処理中

しばらくお待ちください...

設定

設定

出願の表示

1. WO2020116597 - 繊維用防水処理製品及び繊維製物品の表面処理方法

Document

明 細 書

発明の名称 繊維用防水処理製品及び繊維製物品の表面処理方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

0006   0007  

図面の簡単な説明

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061  

実施例

0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072  

産業上の利用可能性

0073  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : 繊維用防水処理製品及び繊維製物品の表面処理方法

技術分野

[0001]
 本発明は、繊維用防水処理製品、及びそれを用いた繊維製物品の表面処理方法に関する。

背景技術

[0002]
 下穿き等の下着は、繊維を主体として構成され、肌に直接あてがって使用される繊維製物品の典型例の1つである。下穿きの内側に取り付けて、主として尿を吸収するタイプの吸収性物品が知られている。特許文献1には、斯かる吸収性物品の一種として、多量の尿が一度に排泄されても漏れ出さないように、排泄された尿の横流れを堰き止める防漏カフを具備する男性失禁用パッドが記載されている。同文献に記載の男性失禁用パッドは、排泄量が多い使用者に対しては十分満足できるものである。
[0003]
 特許文献2には、凹凸構造の織編物における一方の面の凸部にのみ撥水剤が付着された織編物を備えた繊維製品が記載されている。同文献には、撥水剤を織編物に付着させる方法としては、グラビアロール法等の種々の工業的な塗工方法が記載されている。同文献に記載の繊維製品によれば、撥水剤の付着した面を肌側にして使用すると、汗が織編物の凹部又は空隙部を通して他の面に吸収され、撥水剤の付着した凸部に接触した汗が容易に落下し、むれ感を低減することができると、同文献には記載されている。
[0004]
 また本出願人は、先に、繊維の柔軟性、平滑性、及び撥水性を向上させるとともに、濃色化に優れた繊維表面処理剤として、シリコーン系の繊維表面処理剤を提案した(特許文献3参照)。同文献には、繊維表面処理剤を繊維の表面に付着させる方法として、吹き付け法が記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2015-188714号公報
特許文献2 : 特開2006-249610号公報
特許文献3 : 特開平4-163374号公報

発明の概要

[0006]
 本発明は、揮発性溶媒に溶解したポリマーを含む防水処理剤と、該防水処理剤を充填したスプレー式吐出容器とを備えた繊維用防水処理製品を提供する。
 一実施形態において、前記ポリマーは25℃における水への溶解度が50mg/100g未満である。
 一実施形態において、前記スプレー式吐出容器によって繊維製物品に前記防水処理剤を噴霧したときに、該スプレー式吐出容器からの距離が10cmの位置における、スプレーされた該防水処理剤の下記方法により求められる液滴の速度が400cm/秒以下である。
 一実施形態において、前記液滴の速度は、前記スプレー式吐出容器との距離が5cmの位置から10cmの位置までの距離である5cmを、該スプレー式吐出容器との距離が5cmの位置から10cmの位置までの前記液滴の移動時間(秒)で除して求められる。
[0007]
 また本発明は、繊維製物品の表面を、揮発性溶媒に溶解したポリマーを含む防水処理剤で処理する工程を有する繊維製物品の表面処理方法を提供する。
 一実施形態において、前記ポリマーは25℃における水への溶解度が50mg/100g未満である。
 一実施形態において、前記防水処理剤を、スプレー式吐出容器を用いて、該防水処理剤の液滴が繊維製物品に到達する際の速度を400cm/秒以下となる条件下に、該繊維製物品に対して噴霧する。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 図1は、本発明の好ましい実施形態である繊維用防水処理製品において、スプレー式吐出容器からの距離が10cmの位置における、スプレーされた防水処理剤の液滴の速度の測定方法を説明する為の図である。
[図2] 図2は、本実施形態の繊維用防水処理製品を適用した繊維製物品を説明する為の図である。

発明の詳細な説明

[0009]
 特に高齢の男性において、排尿時の尿が出し切れずに、排尿終了後に少量の尿漏れ、言い換えれば排尿後尿滴下が生じて尿が衣服に染み出してしまうことを問題にしている人は少なくない。このような尿漏れ量の少ない使用者にとっては、特許文献1に記載の高吸水容量の男性失禁用パッドは大袈裟であり、自尊心が傷つけられ、パッドの使用に抵抗を感じてしまう。また、該男性失禁用パッドは、高吸水容量を有しているが故に嵩が高くなりがちであり、そのことに起因してパッドを装着していることを他人に気付かれないかという不安を抱く場合がある。更に、使用後の男性失禁用パッドを廃棄する場所に困ることがある。従って、男性失禁用パッドのような大掛かりな物品を使用せず、普段使いの下穿きなどの衣料をそのまま使用しながらも、前記問題を解決し得る技術に対する要望は高く、該技術は未だ提供されていない。
[0010]
 特許文献2に記載の技術は、織編物の表面に撥水剤を付与して、肌と接する面のドライ感を向上させ、むれ感を低減するというものであるが、前述した排泄量の少ない使用者が使用することを想定していない。また同文献に記載の撥水剤の塗工方法は、工業的であり、使用者が簡単に且つ均一に撥水剤を塗工できる方法ではない。
[0011]
 特許文献3に記載の撥水剤の塗工方法に関しては、吹き付け法が採用されているので、特許文献2に記載の塗工方法に比べ、使用者が簡単に均一に撥水剤を塗工できる。しかし、特許文献3に記載の技術は、前述した排泄量の少ない使用者が使用することを想定していない。
[0012]
 本発明は、上記事情に鑑み、普段使用している下穿き等の衣料をそのまま使用しながら、衣料自体の吸水性を損ねることなく、身体から排泄された体液が衣料から染み出してしまうことを効果的に防止し得る繊維用防水処理製品に関する。また本発明は、該繊維用防水処理製品を用いて繊維製物品の表面処理方法に関する。
[0013]
 以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明は、繊維用防水処理製品に関するものである。本発明の繊維用防水処理製品の好ましい一実施形態である繊維用防水処理製品1は、図1に示すように、揮発性溶媒に溶解したポリマーを含む防水処理剤2と、該防水処理剤2を容器本体31内に充填したスプレー式吐出容器3とを備えている。繊維用防水処理製品1は、容器本体31内に充填された防水処理剤2を、スプレー式吐出容器3を用いて噴霧して使用される。
[0014]
 繊維用防水処理製品1は、スプレー式吐出容器3によって、例えば男性用の下穿き等の繊維製物品に防水処理剤2を噴霧したときに、スプレー式吐出容器からの距離が10cmの位置における、スプレーされた防水処理剤2の下記方法により求められる液滴の速度が400cm/秒以下となるように調整されている。仮に前記液滴の速度が400cm/秒より速ければ、繊維製物品における防水処理剤の噴霧した面のみならず、該面の反対側の面まで、該繊維製物品の厚み方向の全域に防水処理剤が行き渡ってしまい、該繊維製物品自体の吸水性や風合いを損ねてしまう。それに対し、図2に示す通り、防水処理剤2の液滴の速度が400cm/秒以下という弱い勢いで繊維製物品4の外表面41に向かって防水処理剤2を噴霧すれば、該外表面41における適用部位に防水性のポリマーの膜22が形成され易い。この理由は、防水処理剤2を適用した繊維製物品4の適用部位に防水処理剤2が留まり易く、該適用部位において揮発性溶媒が揮発し、該適用部位に防水性のポリマーの膜22が形成されるからと推測される。一方、防水処理剤2を適用していない繊維製物品の内表面42側にはポリマーの膜22が形成され難い。したがって、着用者10の排泄部に直接当接する例えば下穿き等に防水処理剤2を適用したとしても、下穿き等の内表面42側の吸水性が低下しにくいので、防水処理剤2を適用した下穿き等を違和感なく着用することができ、繊維製物品4内に体液を吸収し保持することができる。下穿き等の外表面41に防水性のポリマーの膜22が形成されていると、着用者10から排泄された体液が下穿きの外表面41に染み出し難く、ズボンなどのアウター衣料5への体液の染み出しを防止することができ、特に排尿後尿滴下対策に有効である。防水処理剤2を噴霧した繊維製物品の外表面側にのみ防水性のポリマーの膜を形成し易い観点から、スプレー式吐出容器からの距離が10cmの位置における、防水処理剤2の液滴の速度は、400cm/秒以下であり、350cm/秒以下であることが好ましく、300cm/秒以下であることがより好ましい。液滴の速度の下限は、特に制限はなく、防水処理剤2の液滴が繊維製物品の外表面に到達すれば十分であり、低いほど好ましいが、10cm/秒以上であることが好ましく、100cm/秒以上であることがより好ましい。
[0015]
<スプレー式吐出容器からの距離が10cmの位置における、スプレーされた防水処理剤の液滴の速度の測定方法>
 図1に示すように、スプレー式吐出容器3によって防水処理剤2を水平方向に噴霧させる。そして高速度カメラ又はハイスピードカメラ(例えば株式会社キーエンス社製のハイスピードマイクロスコープ:VW-9000)を用いて防水処理剤2の液滴21を撮像する。測定条件は、シャッタースピードを1/750秒、ゲインをX1(0dB)、撮像フレームノートを500fps、画素を640×240とする。液滴21の速度は、スプレー式吐出容器3との距離が5cmの位置P1から10cmの位置P2までの距離Lである5cm、具体的には液滴21の水平方向への移動距離である5cmを、スプレー式吐出容器3との距離が5cmの位置P1から10cmの位置P2までの液滴21の移動時間(秒)で除して求められる。
 液滴21の速度(cm/秒) = 距離L:5cm / 移動時間(秒)
[0016]
 スプレー式吐出容器3としては、直圧又は蓄圧型の手動式のスプレー容器、耐圧容器内に噴射剤を含有するエアゾールスプレー容器等が挙げられる。手動式のスプレー容器とは、ガスなどの噴射剤を用いないスプレイヤーを備えたものであり、スプレイヤーを指で押し下げたり、指で引っ張ったりした力を利用して容器内の防水処理剤2を噴射させるものである。一般財団法人日本エアゾール協会が定める「家庭用エアゾール防水スプレー製品等の安全性向上のための自主基準」において、シリコーン樹脂やフッ素樹脂を含む衣類用エアゾールスプレーは安全性の観点から屋内での使用が制限されている。そのため、屋内で衣類に対して処理を行う場合において、シリコーン系ポリマーの場合は手動式のスプレー容器が好ましく用いられる。一方、屋内及び屋外を問わず、アクリレート系ポリマーは手動式のスプレー容器、及びエアゾール容器、どちらも用いることが可能である。
[0017]
 防水処理剤2を繊維製物品に適用する量は、繊維製物品の処理に要する時間短縮、及び繊維製物品の処理の簡便化の観点から、15g/m 以上であることが好ましく、50g/m 以上であることがより好ましく、80g/m 以上であることが更に好ましい。また、防水処理剤2を適用した繊維製物品の適用表面側にのみ防水性のポリマーの膜を形成し易い観点から、300g/m 以下であることが好ましく、200g/m 以下であることがより好ましく、100g/m 以下であることが更に好ましい。防水処理剤2を繊維製物品に適用する量は、15g/m 以上300g/m 以下であることが好ましく、50g/m 以上200g/m 以下であることがより好ましく、80g/m 以上100g/m 以下であることが更に好ましい。
[0018]
 本発明の防水処理剤を繊維製物品に適用する場合の後述する揮発性溶媒に溶解可能なポリマーの量は、繊維製物品の防水性を一層向上させる観点から、0.75g/m 以上であることが好ましく、2.5g/m 以上であることがより好ましく、4g/m 以上であることが更に好ましい。また、15g/m 以下であることが好ましく、10g/m 以下であることがより好ましく、5g/m 以下であることが更に好ましい。本発明の防水処理剤を繊維製物品に適用する場合の後述する揮発性溶媒に溶解可能なポリマーの量は、0.75g/m 以上15g/m 以下であることが好ましく、2.5g/m 以上10g/m 以下であることがより好ましく、4g/m 以上5g/m 以下であることが更に好ましい。
[0019]
 スプレー式吐出容器3として手動式のスプレー容器を用いるときには、スプレーされた防水処理剤2の前記液滴の速度を400cm/秒以下とする観点(以下、「防水処理剤2の液滴の最適速度」とも言う。)から、吐出口の開口径Kが、0.3mm以上であることが好ましく、0.35mm以上であることがより好ましく、そして、0.6mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。吐出口の開口径Kは、0.3mm以上0.6mm以下であることが好ましく、0.35mm以上0.5mm以下であることがより好ましい。
[0020]
 スプレー式吐出容器3として手動式のスプレー容器を用いるときには、防水処理剤2の液滴の最適速度の観点、及び防水処理剤2を適用した繊維製物品の適用表面側にのみ防水性のポリマーの膜を形成し易い観点から、1操作当たりの防水処理剤2の吐出量が、0.06mL以上であることが好ましく、0.1mL以上であることがより好ましく、そして、1mL以下であることが好ましく、0.6mL以下であることがより好ましい。1操作当たりの防水処理剤2の吐出量は、0.06mL以上1mL以下であることが好ましく、0.1mL以上0.6mL以下であることがより好ましい。同様な観点から、1操作当たりの防水処理剤2の吐出量が0.06mL以上1mL以下であるときの、吐出口の開口径Kから噴霧される噴霧角αは、30度以上90度以下であることが好ましく、50度以上80度以下であることがより好ましい。噴霧角αは、背景を黒色に設定した状態で、噴霧の様子をカメラ、及びビデオカメラで撮影し、得られた写真及び動画の噴霧角を、分度器を用いて測定することで算出することができる。
[0021]
 スプレー式吐出容器3としてエアゾールスプレー容器を用いる場合、スプレー容器内には、防水処理剤2に加えて噴射剤も収容されていることが好ましい。噴射剤としては、従来エアゾールスプレー容器に用いられるものを特に制限なく用いることができる。噴射剤としては、例えばLPG、ジメチルエーテル(DME)、炭酸ガス、窒素ガス、これらの混合物等が挙げられ、気化膨張し易く霧を容易に形成できる観点から、LPG、ジメチルエーテル(DME)が好ましく用いられる。
[0022]
 スプレー式吐出容器3としてエアゾールスプレー容器を用いる場合、防水処理剤2の液滴の最適速度の観点から、吐出口の開口径Kが、0.3mm以上であることが好ましく、0.35mm以上であることがより好ましく、そして、0.6mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。吐出口の開口径Kは、0.3mm以上0.6mm以下であることが好ましく、0.35mm以上0.5mm以下であることがより好ましい。
[0023]
 スプレー式吐出容器3としてエアゾールスプレー容器を用いるときには、防水処理剤2の液滴の最適速度の観点、及び防水処理剤2を適用した繊維製物品の適用表面側にのみ防水性のポリマーの膜を形成し易い観点から、噴射剤としてLPG又はジメチルエーテル(DME)を用いたときには、1秒当たりの防水処理剤2の吐出量が、0.2mL以上であることが好ましく、0.5mL以上であることがより好ましく、そして、1.5mL以下であることが好ましく、1mL以下であることがより好ましい。1秒当たりの防水処理剤2の吐出量は、0.2mL以上1.5mL以下であることが好ましく、0.5mL以上1mL以下であることがより好ましい。同様な観点から、1秒当たりの防水処理剤2の吐出量が0.2mL以上1.5mL以下であるときの、吐出口の開口径Kから噴霧される噴霧角αは、10度以上80度以下であることが好ましく、15度以上30度以下であることがより好ましい。噴霧角αは、背景を黒色に設定した状態で、噴霧の様子をカメラ、及びビデオカメラで撮影し、得られた写真及び動画の噴霧角を、分度器を用いて測定することで算出することができる。
[0024]
 エアゾールスプレー容器を用いて、1秒当たりの防水処理剤2の吐出量が0.2mL以上1.5mL以下に調整する場合には、スプレー容器内に収容される前記噴射剤の量は、防水処理剤2と噴射剤の質量比で、防水処理剤2:噴射剤が、5:95~95:5であることが好ましく、20:80~50:50であることがより好ましい。また、スプレー容器内の圧力が25℃で0.1MPa以上0.8MPa以下であることが好ましく、0.2MPa以上0.5MPa以下であることがより好ましい。
[0025]
 防水処理剤2の粘度が高くなるとスプレー式吐出容器3から噴霧されるときの噴霧角αが狭くなり易く、液滴の流れが集中することによって、防水処理剤2の液滴の速度が速くなる傾向にある。その為、防水処理剤2の液滴の最適速度の観点から、スプレー式吐出容器3に充填される防水処理剤2の粘度が、25℃において、好ましくは20mPa・s以下、より好ましくは15mPa・s以下、更に好ましくは10mPa・s以下である。また粘度の下限は、特に制限はなく、防水処理剤2の液滴が繊維製物品の外表面に到達すれば十分であり、低いほど好ましいが、1mPa・s以上であることが好ましい。防水処理剤2の粘度は、B型粘度計を用いて測定される。B型粘度計としては例えば東機産業株式会社製のB型粘度計(TVB-10型粘度計)を用いることができる。その場合の測定条件は、スピンドルNo.M1、回転数は粘度に応じた適切な回転数により測定する。
[0026]
 防水処理剤2は、その構成成分の一つとして、揮発性溶媒を含んでいる。揮発性溶媒を含有することによって、後述する揮発性溶媒に溶解可能なポリマーを、広い範囲に分散させて噴霧することができる。揮発性溶媒は、25℃において飽和蒸気圧が3000Pa以上である物質であることが好ましい。揮発性溶媒としては、水や有機溶媒が挙げられ、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を用いてもよい。有機溶媒からなる揮発性溶媒の例としては、アルコール、エステル、ニトリル、エーテル、炭化水素、ケトンなどが挙げられる。これらの揮発性溶媒は1種を単独で用いることができ、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上の揮発性溶媒を組み合わせて用いる場合、前記の飽和蒸気圧とは、複数用いた揮発性溶媒のうち最も飽和蒸気圧が低い揮発性溶媒の飽和蒸気圧のことである。これらの揮発性溶媒のうち、後述するポリマーの溶解性と防水処理剤の乾燥時間とを両立させる観点から、水、エタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサン、ジメチルエーテル、LPG(プロパンとブタンの混合物)からなる群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせを用いることが好ましい。
[0027]
 揮発性溶媒としてアルコールを用いる場合には、炭素数が1以上5以下である一価又は多価の脂肪族アルコールを用いることが好ましい。特に炭素数が1以上3以下である一価のアルコール、例えばメタノール、エタノール及びイソプロピルアルコールなどを用いることが好ましい。揮発性溶媒としてエステルを用いる場合には、炭素数が1以上4以下である一価又は多価の脂肪族アルコールと、炭素数が1以上4以下である一価又は多価の脂肪酸とのエステルを用いることが好ましい。特に、炭素数が1以上2以下である一価の脂肪族アルコールと、炭素数が1以上3以下である一価の脂肪酸とのエステル、例えば酢酸エチル、プロピオン酸メチルなどを用いることが好ましい。揮発性溶媒としてニトリルを用いる場合には、炭素数が2以上3以下であるアルカンのニトリル、例えばアセトニトリルなどを用いることが好ましい。
[0028]
 防水処理剤2には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上述した揮発性溶媒に加えて、不揮発性溶媒が含まれていてもよい。尤も、防水処理剤2に含まれる溶媒は、揮発性溶媒のみであることが本発明の効果が確実に奏される観点から好ましい。
[0029]
 防水処理剤2は、揮発性溶媒に加えて、該揮発性溶媒に溶解可能なポリマーを含んでいる。防水処理剤2には、揮発性溶媒に溶解可能なポリマーに加えて、溶解不可能なポリマーを含むことが許容される。尤も防水処理剤2は、揮発性溶媒に溶解可能なポリマーのみを含むことが本発明の効果が確実に奏される観点から好ましい。揮発性溶媒に溶解可能なポリマーとは、本防水処理剤に用いる揮発性溶媒100gへの溶解度が25℃において1g以上である高分子化合物のことである。ポリマーが2種以上である場合、全てのポリマーが揮発性溶媒に溶解可能なものであることが好ましい。
[0030]
 揮発性溶媒に対するポリマーの溶解度は次の方法で測定される。すなわち、揮発性溶媒としてエタノールを例に取ると、密閉容器中で100gのエタノールを25℃で撹拌しながら、ポリマーを加えて24時間撹拌したときの、該ポリマーの限界溶解量を溶解度(g)とする。ポリマーは、16メッシュアンダーの粉体の状態で溶解させる。
[0031]
 揮発性溶媒に溶解可能なポリマーは、25℃における水への溶解度が50mg/100g未満である。25℃における水への溶解度が50mg/100g未満であるポリマーを用いて繊維製物品の表面を処理すると、体液が衣料から染み出してしまうことを効果的に防止し得る。25℃における水への溶解度は、体液が衣料から染み出してしまうことを効果的に防止する観点から、好ましくは40mg/100g以下であって、より好ましくは30mg/100g以下、更に好ましくは20mg/100g以下、より更に好ましくは20mg/100g未満である。該ポリマーとしては、例えば、シリコーン系ポリマー、アクリル樹脂、フッ素系ポリマーなどが挙げられるが、揮発性溶媒に溶解可能であって、25℃における水への溶解度が50mg/100g未満であれば、ポリマーの種類は限定されない。
[0032]
 防水処理剤2は、防水処理剤2を適用した繊維製物品の適用部位に防水性のポリマーの膜を形成し易い観点から、揮発性溶媒に溶解可能なポリマーの含有量が、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2.5質量%以上が更に好ましく、繊維製物品の洗濯時にポリマーの膜を洗い落とす観点及び噴霧した場合のノズルからの吐出性の観点から、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、7.5質量%以下が更に好ましい。防水処理剤2は、前記ポリマーの含有量が、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましく、2.5質量%以上7.5質量%以下が更に好ましい。防水処理剤2が含有するポリマーが1種の場合には、1種のポリマー単独で、上記範囲を満たすことが好ましく、ポリマーが2種以上の場合には、含有する全ポリマーの全体で、上記範囲を満たすことが好ましい。
[0033]
 本発明者が種々検討した結果、揮発性溶媒に溶解可能なポリマーとしては、アクリル樹脂や、ポリシロキサン骨格を主鎖とする例えばシリコーン系ポリマーや、フッ素系ポリマーが、防水処理剤2の液滴の最適速度の観点、及び防水処理剤2を適用した繊維製物品の適用表面側にのみ防水性のポリマーの膜を形成し易い観点から好ましいことが判明した。揮発性溶媒に溶解可能なポリマーは、上述した溶解度を満たすことを条件として、防水処理剤2の液滴の最適速度の観点から、重量平均分子量が、10000以上であることが好ましく、20000以上5000000以下であることがより好ましい。防水処理剤2が含有するポリマーが2種以上の場合には、含有する各ポリマーが上記範囲を満たすことが好ましい。重量平均分子量は、公知の方法で分析することができるものであり、例えば(株)東ソー製のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(DP-8020)により、標準ポリスチレン換算値として求めることができる。
[0034]
 アクリル樹脂としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、又はメタクリル酸エステル等のアクリル酸誘導体を主成分として単独又は共重合して得られるものを使用することができる。具体的には、(アクリル酸/t-ブチルアクリルアミド)共重合体、(アクリル酸アルキルエステル/t‐ブチルアクリルアミド)共重合体、(アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/t‐ブチルアクリルアミド)共重合体、(アクリル酸アルキルエステル/オクチルアクリルアミド)共重合体、(アクリル酸/アクリルアミド/アクリル酸エチル)共重合体、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキルエステル)共重合体、(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)共重合体、(アルキルアクリルアミド/アクリル酸/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート)共重合体、(アルキルアクリルアミド/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート)共重合体、(アルキルアクリルアミド/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート)共重合体、アクリル酸アルキルエステル重合体、(アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル)共重合体、(アクリル酸アルキルエステル/ジアセトンアクリルアミド)共重合体、(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C1-C18)エステル/アルキル(C1-C8)アクリルアミド)共重合体、(メタクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミド)共重合体、(スチレン/アクリル酸)共重合体、(スチレン/アクリル酸アルキルエステル)共重合体、(スチレン/アクリルアミド)共重合体、ウレタン-アクリル系共重合体、(アクリル酸/メタクリル酸アルキルエステル)共重合体、メタアクリル酸アルキルエステル重合体、(メタクリル酸/アクリル酸アルキルエステル)共重合体、(メタクリル酸/メタクリル酸アルキルエステル)共重合体、(ビニルピロリドン/アクリル酸/メタクリル酸)共重合体、(ビニルピロリドン/アクリル酸アルキルエステル/メタクリル酸)共重合体、(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)共重合体、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキルエステル)共重合体、(アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)共重合体等が挙げられ、これらの内、溶剤可溶性、及び透明性の観点から、(アクリル酸/アクリル酸エチル/t-ブチルアクリルアミド)共重合体(Ultrahold(登録商標)8:BASF社の商品名)、(アクリル酸アルキルエステル/オクチルアクリルアミド)共重合体(DERMACRYL 79:アクゾノーベル株式会社の商品名)が好ましく用いられる。
[0035]
 前記のポリシロキサン骨格とは-O-Si-O-Si-結合からなる構造であり、典型的にはシリコーンが挙げられる。シリコーンのうち、シリコーングラフト共重合体を用いると前記効果が一層顕著なものとなるので好ましい。シリコーングラフト共重合体は、シロキサン結合による主骨格を有する高分子化合物であって、共重合成分としてN-アシルアルキレンイミン、アクリル酸、アクリル酸の塩、アクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリル酸、メタクリル酸の塩、メタクリル酸エステル及びメタクリルアミドのうち少なくとも一種を側鎖中に含む化合物である。シリコーングラフト共重合体には、大別すると、架橋点が物理的な相互作用によって生じる物理架橋体、共有結合で結ばれた化学架橋体の2種が存在する。揮発性溶媒に溶解しやすい観点から、本発明においては物理架橋体を用いることが好適である。
[0036]
 物理架橋型のシリコーングラフト共重合体としては、(A)水との接触角が70度以上であり、且つ25℃の空気中において固体であるか、又は(B)アミノ基を有し、且つアミン当量が5,000g/mol以下の液体のものが好適に用いられる。(A)の固体のシリコーングラフト共重合体の「25℃の空気中において固体である」ものの中には、当初は液体であったとしても、25℃60%RHの環境下で重合して固体となるものも含まれる。
[0037]
 揮発性溶媒に溶解可能なポリマーは、前記(A)の固体の重合体及び前記(B)の液体の重合体の少なくとも一方のみであってもよく、前記(A)の重合体及び前記(B)の重合体、並びにそれら以外の前記アクリル樹脂等の溶解可能なポリマーであってもよい。防水処理剤2の液滴の最適速度の観点、及び防水処理剤2を適用した繊維製物品の適用表面側にのみ防水性のポリマーの膜を形成し易い観点からは、前記(A)の重合体及び前記(B)の重合体の少なくとも一方のみであることが好ましい。防水処理剤2に(A)の重合体及び(B)の重合体の両方が含まれている場合、(A)の固体の重合体と(B)の液体の重合体との比率は、〔(A)の固体の重合体の質量/(B)の液体の重合体の質量〕の値で表して、繊維製物品における選択性の広さの観点から、0.01以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、1以上が更に好ましい。また〔(A)の固体の重合体の質量/(B)の液体の重合体の質量〕の値は、ポリマー膜の形成された繊維製物品の肌触りの観点から、100以下が好ましく、50以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。〔(A)の固体の重合体の質量/(B)の液体の重合体の質量〕の値は、0.01以上100以下が好ましく、0.1以上50以下がより好ましく、1以上10以下が更に好ましい。
[0038]
 揮発性溶媒に溶解可能なポリマーは、セルロース骨格を有する綿、キュプラ、レーヨン等を含有する繊維製物品に加えて、ポリエステル系繊維等の合成繊維のみからなる繊維製物品に対しても、防水性のポリマーの膜を形成することができる。防水処理剤2を噴霧した繊維製物品の処理面側にのみ防水性のポリマーの膜を形成し易い観点から、揮発性溶媒に溶解可能なポリマーは、水との接触角が、好ましくは70度以上、より好ましくは80度以上、更に好ましくは90度以上である。接触角は、防水処理剤2で処理した繊維製物品表面の疎水度の指標となるものであり、接触角の数値が大きいほど疎水性が強く(親水性が低く)、接触角の数値が小さいほど疎水性が弱い(親水性が高い)。揮発性溶媒に溶解可能なポリマーが2種以上の場合には、含有する重合体の全体で、上記範囲を満たすことが好ましい。接触角は下記方法により測定される。
[0039]
<接触角の測定方法>
 防水処理剤2を、バットに流延し、25℃の温度で12時間静置することにより膜を形成する。この膜を測定サンプルとする。測定環境は、気温23±2℃、相対湿度50±5%RHとする。測定サンプルにおける接触角の被測定面に、イオン交換水1μLの液滴を付着させ、該液滴を液滴と膜との界面が見える側面から録画して、その録画した画像に基づき接触角を測定する。測定装置として例えば株式会社キーエンス製のマイクロスコープVHX-1000を用いる。録画され複数の画像のうち、液滴の輪郭が鮮明な画像を10枚選択し、その10枚の画像それぞれについて基準面に基づき液滴の接触角を計測し、それらの接触角の平均値を、ポリマーの水との接触角とする。
[0040]
 (A)の固体のシリコーングラフト共重合体としては、例えばポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)変性シリコーン、シリコーンアルコキシオリゴマー、シリコーンレジン、アクリルシリコーン、糖変性シリコーン(特開昭63-139106号公報)、ポリグリセリン変性シリコーン(特開2004-339244号公報)、シリコーングラフトアクリレートポリマー(特開平4-342513号公報)、シリコーンPEGブロックポリマー(特開平4-234307公報)などが例示される。これらのシリコーングラフト共重合体は1種を単独で用いることができ、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらのうち、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)変性シリコーンを用いることが、揮発性溶媒への溶解性が高いことから好ましい。
[0041]
 上述のポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーンとしては、例えば、分子内にポリ(N-アシルアルキレンイミン)のセグメントと、オルガノポリシロキサンのセグメントとを有し、オルガノポリシロキサンのセグメントの末端又は側鎖のケイ素原子の少なくとも1個にアルキレン基を介して、前記のポリ(N-アシルアルキレンイミン)のセグメントが結合してなるものが好ましい。アルキレン基の炭素数は好ましくは2~20である。このアルキレン基に代えて、該アルキレン基における隣り合うメチレン基の間、又は該アルキレン基の端末に、窒素原子、酸素原子又はイオウ原子等のヘテロ原子を含んでいる基を用いてもよい。ヘテロ原子の数は1~3個であることが好ましい。
[0042]
 好ましいポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーンの具体的な例としては、ポリ(N-ホルミルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N-アセチルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーン等が挙げられる。なかでも、重量平均分子量が約20,000~200,000で、ポリマー中のポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)セグメントの割合が約3~50質量%のポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーン(INCI名:ポリシリコーン-9)が好ましい。
[0043]
 上述のポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)変性シリコーンとしては、例えば、分子内にオルガノポリシロキサンのセグメントと、不飽和単量体由来の重合体セグメントとを有し、オルガノポリシロキサンのセグメントの末端又は側鎖のケイ素原子の少なくとも1個にアルキレン基を介して、前記の不飽和単量体由来の重合体セグメントが結合してなるものが好ましい。具体的には、不飽和単量体由来の重合体セグメント中に、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMAAm)由来の繰り返し単位を含有するオルガノポリシロキサングラフトポリマーが挙げられる。前記のアルキレン基の炭素数は好ましくは2~20である。このアルキレン基に代えて、該アルキレン基における隣り合うメチレン基の間、又は該アルキレン基の端末に、窒素原子、酸素原子又はイオウ原子等のヘテロ原子を含んでいる基を用いてもよい。ヘテロ原子の数は1~3個であることが好ましい。前記不飽和単量体由来の重合体セグメント中、DMAAm由来の繰返し単位以外の部分は、DMAAmと共重合可能な不飽和単量体(但しDMAAmを除く)由来の繰返し単位からなっている。DMAAmと共重合可能な不飽和単量体由来の繰返し単位としては、オレフィン、ハロゲン化オレフィン、ビニルエステル、(メタ)アクリル酸エステル類、又は(メタ)アクリルアミド類(但し、DMAAmを除く)等の不飽和単量体由来の繰返し単位が挙げられる。
[0044]
 DMAAmと共重合可能なオレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、イソブチレンが挙げられる。ハロゲン化オレフィンの具体例としては、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニリデンクロリド、ビニリデンフルオライドが挙げられる。ビニルエステルの具体例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル類の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の炭素数1以上16以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル等の水酸基が置換した炭素数1以上16以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;及び(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。DMAAmを除く(メタ)アクリルアミド類の具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド;N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド類(但しDMAAmは除く);N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-tert-オクチル(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド類;ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の窒素原子上の置換基にカルボニル基を有するN-モノ置換(メタ)アクリルアミド類;N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の窒素原子上の置換基にアミノ基を有するN-モノ置換(メタ)アクリルアミド類;N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の窒素原子上の置換基に水酸基を有するN-モノ置換(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
[0045]
 好ましいポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)変性シリコーンの具体的な例としては、ジメチルアクリルアミドグラフトオルガノシロキサン等が挙げられる。なかでも、ポリマー中のポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)セグメントの割合が約1質量%~50質量%のジメチルアクリルアミドグラフトオルガノシロキサンが好ましい。
[0046]
 上述した(B)の液体のシリコーングラフト共重合体としては、アミノ変性シリコーン等が挙げられる。アミノ変性シリコーンは1種を単独で用いることができ、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。セルロース骨格を有する綿、キュプラ、レーヨン等を含有する繊維製物品に対し、アミノ変性シリコーンは、そのアミノ基が、セルロース系繊維の水酸基に吸着し易く、防水処理剤2を噴霧した繊維製物品の処理面側にのみ防水性のポリマーの膜を形成することができる。セルロース系繊維に吸着し易い観点から、アミノ変性シリコーンは、アミン当量が、5,000g/mol以下であることが好ましく、4000g/mol以下であることがより好ましく、3000g/mol以下であることが更に好ましい。ここでアミン当量とは、アミノ基1モル当量に対するアミノ変性シリコーンの質量をいい、アミノ変性シリコーンの平均分子量をアミノ変性シリコーン1分子中に存在するアミノ基の数で割った値である。アミン当量の数値が低い程、質量あたりのアミノ基の数が多くなる。防水処理剤2が含有するアミノ変性シリコーンが2種以上の場合には、含有する全シリコーンの全体で、上記範囲を満たすことが好ましい。
[0047]
 揮発性溶媒に溶解可能なポリマーとして用いられる前記のフッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンやポリフッ化ビニリデン等のフッ素化オレフィンを重合したもの並びにさらに一部を修飾したものなどが挙げられる。
[0048]
 防水処理剤に含まれるポリマーとして、アクリル系樹脂、シリコーン系ポリマー、及びフッ素系ポリマー以外に、水への溶解度が50mg/100g未満である他のポリマーを使用することもできる。他の溶解性ポリマーとしては、例えば、(ビニルメチルエーテル/マレイン酸)共重合体、(ビニルメチルエーテル/マレイン酸アルキルエステル)共重合体、(ビニルメチルエーテル/マレイン酸ブチル)共重合体等のマレイン酸系重合体が挙げられる。
[0049]
 繊維用防水処理製品1は、防水処理剤2を例えば男性用の下穿き等の繊維製物品に適用することで、繊維製物品に防水性を付与することができ、排尿後尿滴下対策に有効である。詳述すると、繊維製物品の表面を防水処理剤2で処理する工程を有する方法によって、繊維製物品の表面を処理し、繊維製物品の適用面側にのみ防水性のポリマーの膜を形成し、繊維製物品に防水性を付与することができる。繊維製物品の適用面側にのみ防水性のポリマーの膜を形成し易い観点から、防水処理剤2を、スプレー式吐出容器3を用いて、防水処理剤2の液滴21が繊維製物品に到達する際の速度を400cm/秒以下となる条件下に、該繊維製物品に対して噴霧する。繊維製物品に到達する際の液滴21の速度は、該繊維製物品とスプレー式吐出容器3との間隔と同距離の位置における液滴21の通過速度として、上述した<スプレー式吐出容器からの距離が10cmの位置における、スプレーされた防水処理剤の液滴の速度の測定方法>と略同様にして測定する。具体的には、(1)繊維製物品とスプレー式吐出容器3との間隔が5cm以上であるときには、図1に示すように、スプレー式吐出容器3によって防水処理剤2を水平方向に噴霧させ、該間隔と同距離の位置P3の手前5cmの位置P4から該位置P3までの液滴21の水平方向への移動距離である5cmを、位置P4から位置P3までの液滴21の移動時間(秒)で除して、液滴21の速度が求められる。(2)繊維製物品とスプレー式吐出容器3との間隔が5cmよりも小さいときには、図1に示すように、スプレー式吐出容器3によって防水処理剤2を水平方向に噴霧させ、スプレー式吐出容器3の位置P0から、該間隔と同距離の位置P5までの液滴21の水平方向への移動距離を、位置P0から位置P5までの液滴21の移動時間(秒)で除して、液滴21の速度が求められる。
[0050]
 スプレー式吐出容器3を用いて防水処理剤2を繊維製物品に対して噴霧するときには、繊維製物品における防水処理剤2を噴霧した適用面と反対側の非適用面まで防水処理剤2が到達しないように噴霧することが好ましい。防水処理剤2の非適用面まで防水処理剤2が到達しないように噴霧する観点から、スプレー式吐出容器3と繊維製物品との距離を、3cm以上の間隔を空けて噴霧することが好ましく、5cm以上の間隔を空けて噴霧することがより好ましく、30cm以下の間隔内で噴霧することが好ましく、20cm以下の間隔内で噴霧することがより好ましい。スプレー式吐出容器3と繊維製物品との距離は、3cm以上30cm以下の範囲であることが好ましく、5cm以上20cm以下の範囲であることがより好ましい。
[0051]
 防水処理剤2を適用する繊維製物品としては、下穿き、肌着等の下着が挙げられる。素材としては、綿、キュプラ、レーヨン等のセルロース骨格を有する繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維、あるいはこれらの繊維を混紡したメッシュ状の織編物から形成された通気性を有するものが挙げられる。織編物の坪量は、70g/m 以上300g/m 以下であることが好ましく、90g/m 以上200g/m 以下であることがより好ましい。繊維製物品中にセルロース骨格を有する繊維の割合は、防水処理剤2が含有する上述した揮発性溶媒に溶解可能なポリマーが25℃の空気中において固体であるときには、特に関係が無い。一方、該ポリマーが該空気中において液体であるときには、繊維製物品中にセルロース骨格を有する繊維の割合は、1質量%以上含むことが好ましく、20質量%以上含むことがより好ましい。
[0052]
 防水処理剤2を、例えば使用者の肌に直接当接する衣料に施す場合、衣料の面のうち、使用者の肌から遠い外面側、及び使用者の肌に近い内面側の少なくとも一方の面側に適用することができる。衣料の外面側に防水処理剤を適用すると、体液の滲み出し量が低減することから好ましい。
[0053]
 本発明の表面処理方法によれば、相対向する二面(例えば表面及び裏面)を有する繊維製物品の一方の面のみに、尿等の体液の透過を防止する被膜を形成し、他方の面には該被膜を形成しないようにすることが可能である。このような「繊維製物品の片面被膜化」による利点として、繊維製物品の防水化が必要最小限に抑えられ、繊維製物品が本来有する諸物性が維持される点が挙げられる。繊維製物品を従来公知の防水処理方法に従って防水化すると、防水化が必要以上に進行し、吸水性、柔軟性、通気性などの、本来低下させたくない物性が大きく低下する場合があるが、本発明の表面処理方法によれば、繊維製物品の片面被膜化が容易に可能である。
[0054]
 防水処理剤2を適用する繊維製物品の一例として、JIS L-1907の滴下法による吸水時間が30秒以下、好ましくは20秒以下、より好ましくは15秒以下、更に好ましくは1秒以下の吸水性を有するもの(以下、「吸水性繊維製物品」ともいう。)が挙げられる。吸水性繊維製物品は、水及び種々の水性液を吸収することができ、例えば、体液の一種である汗、尿、血液を吸収することができる。吸水性繊維製物品は、典型的には、吸水性繊維を主体とするものである。該吸水性繊維としては、例えば、木材パルプ、綿、麻等の天然繊維が用いられる。吸水性繊維製物品における吸水性繊維の含有量は、該吸水性繊維製物品の全質量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。吸水性繊維製物品は、例えば、厚み0.3~20mm程度のシート状の繊維製物品、より具体的には、織物(織布)、編物、不織布、紙の何れか1種又は2種以上を含む形態であり得る。
[0055]
 防水処理剤2は、吸水性繊維製物品を含む種々の繊維製物品の片面バリア化に使用することができ、例えば、下記(1)~(10)の用途に好適である。一般に、下記(1)~(6)は、比較的少量の液体、具体的には好ましくは1mL以下程度、より好ましくは0.5mL以下程度の量の液体を吸収する用途であり、下記(7)~(10)は、それよりも多量の液体、具体的には好ましくは1~100mL程度、より好ましくは1~10mL程度の量の液体を吸収する用途である。
[0056]
(1)靴下(吸水性繊維製物品)の非肌対向面の防水化による、靴及び中敷きへの足汗の移行防止(靴の防臭)。ここでいう「非肌対向面」とは、吸水性繊維製物品の使用時に使用者の肌側とは反対側に向けられる面(相対的に使用者の肌から遠い側)であり、以下特に断らない限り同じである。なお、吸水性繊維製物品における非肌対向面とは反対側の面(使用時に使用者の肌側に向けられる面)は、「肌対向面」である。
(2)女性用下着(吸水性繊維製物品)の非肌対向面の防水化による、ボトム(下半身に着ける衣服)への排泄物(おりもの、経血等)の移行防止。
(3)女性用ブラジャー(吸水性繊維製物品)の非肌対向面の防水化による、衣服への母乳の移行防止。
(4)画用紙(吸水性繊維製物品)の裏面の防水化による、水性インクの裏移り防止。
(5)不織布(吸水性繊維製物品)の片面の防水化による、隠蔽性の向上。隠蔽性が向上した不織布は、例えばドリップシートとして好適である。ドリップシートは、肉や魚などの食材から染み出す(ドリップ(血液など)を吸収保持するシート状物であり、食材の鮮度を保持するために使用される。片面バリア化によって隠蔽性が向上した不織布からなるドリップシートで食材を被覆することで、該不織布の防水化された片面(食材側とは反対側の面)によってドリップの裏抜けが防止されるとともに、該食材から染み出す血液などのドリップが外部から見えにくくなる。
(6)テーブルクロスの裏面の防水化による、テーブルへの汚れ移行防止。
[0057]
(7)雑巾・台拭き(吸水性繊維製物品)の片面の防水化による、手への汚れ付着防止。(8)よだれ掛け(吸水性繊維製物品)の内面(使用者の身体側の面)の防水化による、衣服へのよだれや食べこぼしの汚れ移行防止。
(9)足拭きマット(吸水性繊維製物品)の片面の防水化による、床濡れ防止、滑り防止、カビ・雑菌の繁殖防止。
(10)シーツ・布団カバー・枕カバー(吸水性繊維製物品)の裏面(使用者の身体側とは反対側の面)の防水化による、敷布団・掛布団・枕への汗の移行防止(防湿)。
[0058]
 防水処理剤2は、下記(11)~(15)の用途にも好適である。下記(11)~(15)は、前述の片面防水化である必要は無く、繊維製物品の相対向する両面が防水化されてもよい場合があり得る。
[0059]
(11)ズボン(吸水性繊維製物品)の肌対向面の防水化による、尿汚れ付着防止。
(12)靴・靴下・帽子(吸水性繊維製物品)の肌対向面の防水化による、汗のべたつき軽減。
(13)シーツ(吸水性繊維製物品)の表面(使用者の身体側の面)の防水化による、汗のべたつき軽減。
(14)肌着(吸水性繊維製物品)の肌対向面の防水化による、汗のべたつき軽減。
(15)肌着(吸水性繊維製物品)の非肌対向面の防水化による、汗シミ防止。
[0060]
 繊維用防水処理製品1は、スプレー式吐出容器3の壁面に、又は繊維用防水処理製品1を包装する包装体等に、繊維用防水処理製品1の使用説明を記載することが好ましい。使用説明として、繊維製物品から10cm程度空けた位置から、スプレー式吐出容器3を用いて防水処理剤2を繊維製物品に向けて噴霧することを推奨する表示を設けることが好ましい。
[0061]
 本発明の防水処理剤は、上述した揮発性溶媒及びポリマーに加えて他の成分を含んでいてもよい。そのような他の成分としては、例えば、尿臭低減を目的とした消臭剤、抗菌剤、又は香料や、洗濯による除去性向上を目的とした界面活性剤又は可塑剤や、排泄された尿の速乾性向上を目的とした吸水剤や、処理後の視認性向上を目的とした染料又は顔料などが挙げられる。これらの他の成分は、本発明の防水処理剤中に、総和で、好ましくは5質量%以下含まれる。発明の効果を一層顕著なものとする観点からは、本発明の防水処理剤は、揮発性溶媒及び溶解性ポリマーのみを含有していることが好ましい。揮発性溶媒は、防水処理剤に含まれる成分を溶解し得る媒体となるものであり、防水処理剤における揮発性溶媒の含有量は、該成分の残部とすることができる。

実施例

[0062]
 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
[0063]
 〔実施例1ないし22及び比較例1ないし5〕
 以下の表1に示すポリマーを用いた。該ポリマーを、表1に示す揮発性溶媒に溶解して表1に示す濃度の防水処理剤を得た。この防水処理剤を手動式のスプレー式吐出容器に充填して実施例及び比較例の繊維用防水処理製品を製造した。手動式のスプレイヤーとしては、株式会社三谷バルブ製の品番Z-155-C110-1-290(95-0)(開口径:0.45mm)及び品番Z-155-C110-1-290(90-0)(開口径:0.3mm)を用いた。該スプレイヤーは、それぞれ、1操作当たりの吐出量が0.15mLのものであった。ボトルは竹本容器株式会社製の「PH-100 No.2白」を用いた。
[0064]
<防水処理剤の粘度測定方法>
 各防水処理剤の粘度は、東機産業株式会社製のB型粘度計(TVB-10型粘度計)を用いて、25℃で測定した。
[0065]
<水に対する溶解度測定方法>
 1Lガラスビーカーに水を500g加え、回転子(フッ素樹脂(PTFE)製、φ8mm×50mm)を用い、回転数100rpmで攪拌しながら、25℃の恒温槽にて保温した。各種ポリマーを0.1g添加し、10分後に目視にて均一透明な状態になっているか否かを確認した。均一透明でなくなるまで各種ポリマーを0.1gずつ追加で添加し、水への溶解度を測定した。
 ポリマーを50g添加しても均一透明の場合、その時点で測定を終了し、25℃の水100gに対する溶解度は10g以上と判断した。ポリマーを0.1g添加したときに均一透明でない場合、25℃の水100gに対する溶解度は20mg未満と判断した。
・水:オルガノ株式会社製の純水装置G-10DSTSETで製造した25℃における導電率が1μS/cm以下の純水。
[0066]
 表1に示すポリマーの詳細を以下に示す。アミン当量は上述した方法で測定した。ポリマー中のポリシロキサン骨格の割合は、ポリマーを重クロロホルム中に溶解させ、核磁気共鳴( H-NMR)装置「Mercury 400」(Varian社製)を用いて測定した。
 ・OS-88:ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーン、重量平均分子量:11万、ポリマー中のポリシロキサン骨格の割合 88質量%。
 ・OS-71:ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーン、重量平均分子量:7万、ポリマー中のポリシロキサン骨格の割合 71質量%。
 ・DS-75:ポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)変性シリコーン、重量平均分子量:10万、ポリマー中のポリシロキサン骨格の割合 75質量%。
 ・KF-864:アミノ変性シリコーン(重量平均分子量:5万、信越化学工業株式会社製)。
 ・AP-3651:アミノ変性シリコーン(東レ・ダウコーニング株式会社製)。
 ・KS-7002:アルコキシオリゴマー(信越化学工業株式会社製)。
 ・KR-251:シリコーンレジン(信越化学工業株式会社製)。
 ・KP-541:アクリルシリコーン(信越化学工業株式会社製)。
 ・TSPL-30ID:シリコーン被膜化剤(信越化学工業株式会社製)。
 ・Ultrahold(登録商標)8:(アクリレーツ/t-ブチルアクリルアミド)コポリマー(BASF社製)。
 ・DERMACRYL 79:(アクリル酸アルキル/オクチルアクリルアミド)コポリマー(アクゾノーベル株式会社製)。
 ・Gentrez ES-435:(ビニルメチルエーテル/マレイン酸ブチル)コポリマー(50%イソプロパノール溶液、アイエスピー・ジャパン株式会社製)。
 ・Amphomer 28-4910:(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマー(アクゾノーベル株式会社製)。
 ・ユカフォーマー AMPHOSET:(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー(50%エタノール溶液、三菱ケミカル株式会社製)。
 ・ダイヤフォーマー Z-651:(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー(30%エタノール(水10%)溶液、三菱ケミカル株式会社製)。
 ・ユニダイン TG-6071:フッ素系ポリマー(10~20%酢酸n-ブチル溶液、ダイキン工業株式会社製)。
 ・KF-6017:PEG-10ジメチコン(信越化学工業株式会社製)
 ・OS-51:ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーン、重量平均分子量:10万、ポリマー中のポリシロキサン骨格の割合 51質量%。
 ・PEG-1000:ポリエチレングリコール 1,000(重量平均分子量:900~1100、富士フィルム和光純薬株式会社製)。
[0067]
 表1に示す噴霧対象である繊維製物品の詳細を以下に示す。
 ・布1:株式会社ユニクロ製、スーピマコットン男性用ボクサーブリーフ(綿93質量%、ポリウレタン7質量%)を用い、それから10cm×10cmの平面視正方形形状に切り出して作製した。
 ・布2:日本規格協会製のカナキン3号:綿100質量%、サイズ10cm×10cm
 ・布3:株式会社ユニクロ製、エアリズム男性用ボクサーブリーフ(ポリエステル88質量%、ポリウレタン12質量%)を用い、それから10cm×10cmの平面視正方形形状に切り出して作製した。
 ・布4:株式会社フリーアドヴァンス製、MEN’S BOTTOMS男性用ボクサーブリーフ(綿35質量%、ポリエステル65質量%)を用い、それから10cm×10cmの平面視正方形形状に切り出して作製した。
[0068]
 実施例及び比較例の繊維用防水処理製品について、表1に示す噴霧性能で片面バリア性を評価した。表1に示す噴霧性能の噴射速度とは、繊維製物品に到達する際の防水処理剤の液滴の速度を意味しており、該液滴の速度を上述した方法で測定した。また片面バリア性を下記方法により測定した。これらの結果を表1に示す。
[0069]
<片面バリア性の評価1>
 表1に示す各繊維製物品を、垂直な台の上に載置し、該繊維製物品から表1に示す距離を試験布と対向して空けて実施例及び比較例の繊維用防水処理製品を配した。次いで、繊維製物品の外表面に対し、スプレー式吐出容器を6回操作して、防水処理剤を噴霧した後、10分間静置して乾燥させた。こうして、繊維製物品の片面の外表面側に防水処理剤が適用された処理剤付与繊維製物品を得た。その後、水平な台の上に、10cm×10cmの平面視正方形形状の別の繊維製物品(日本規格協会製のカナキン3号)を載置し、別の繊維製物品の上に、前記の処理剤付与繊維製物品を、処理剤の適用された面が別の繊維製物品に対向するように、重ね合わせた。この状態下に、処理剤付与繊維製物品における処理剤の適用されていない面へ向けて、着色された蒸留水を0.5mL滴下した。蒸留水は0.01質量%の着色料(青色1号)で着色されたものである。そして、処理剤の適用されていない面側からの処理剤付与繊維製物品の蒸留水の吸水時間を測定した。吸水時間が5秒以内であれば、良好な吸水性と判断する。次に蒸留水滴下から1分後に処理剤付与繊維製物品を取り除き、残った別の繊維製物品を目視観察し、下記評価基準により評価した。本試験は、処理剤付与繊維製物品を下着などのインナー衣料、別の繊維製物品をアウター衣料のズボンと想定したものである。本試験は、処理剤付与繊維製物品における処理剤の適用されていない面の吸水性を評価するとともに、処理剤付与繊維製物品における処理剤の適用された面側のバリア性を評価して、片面バリア性を評価するものである。バリア性は、評価点が大きいほど、高評価となる。
(バリア性の評価基準)
 5点:別の繊維製物品に蒸留水の付着部は存在しない、3点:別の繊維製物品に最大差し渡し長さ5mm以下の平面視点状の蒸留水の付着部が存在する、0点:別の繊維製物品に最大差し渡し長さ5mmよりも大きい平面視点状の蒸留水の付着部が存在する。
[0070]
<片面バリア性の評価2>
 表1に示す各繊維製物品を、垂直な台の上に載置し、該繊維製物品から表1に示す距離を試験布と対向して空けて実施例及び比較例の繊維用防水処理製品を配した。次いで、繊維製物品の外表面に対し、スプレー式吐出容器を6回操作して、防水処理剤を噴霧した後、10分間静置して乾燥させた。こうして、繊維製物品の片面の外表面に防水処理剤が適用された処理剤付与繊維製物品を得た。その後、ガラス製の水平な台上に載置された、10cm×10cmの平面視正方形形状の別の繊維製物品(日本規格協会製のカナキン3号)の上に、前記の処理剤付与繊維製物品を、処理剤の適用された面が別の繊維製物品に対向するように、重ね合わせた。この状態下に、処理剤付与繊維製物品における処理剤の適用されていない面へ向けて、着色された蒸留水を2mL滴下した。蒸留水は0.01質量%の着色料(青色1号)で着色されたものである。そして、別の繊維製物品への液移行を目視観察し、蒸留水の滴下開始から別の繊維製物品に蒸留水が染み出すまでの時間を測定した。測定は300秒まで行い、300秒で染み出さないものは>300と表記した。
[0071]
[表1]


[0072]
 表1に示す結果から明らかなとおり、各実施例の防水処理剤の適用された処理剤付与繊維製物品は、処理剤の適用されていない面側においては繊維製物品の吸水性が維持されており、処理剤の適用された面側においてはバリア性があることが分かった。以上のことから、各実施例においては、防水処理剤を適用した繊維製物品の適用部位の片面側にのみ防水性のポリマーの膜が形成されることが分かる。

産業上の利用可能性

[0073]
 本発明によれば、着用者の排泄部に直接当接する下穿き等の衣料に適用することで、衣料自体の吸水性を損ねることなく、身体から排泄された体液が衣料から染み出してしまうことを効果的に防止し得る。また本発明の表面処理方法によれば、繊維製物品の吸水性を損ねることなく、身体から排泄された体液が繊維製物品から染み出してしまうことを効果的に防止し得るように、該繊維製物品を効率的に表面処理できる。

請求の範囲

[請求項1]
 揮発性溶媒に溶解したポリマーを含む防水処理剤と、該防水処理剤を充填したスプレー式吐出容器とを備えた繊維用防水処理製品であって、
 前記ポリマーは25℃における水への溶解度が50mg/100g未満であり、
 前記スプレー式吐出容器によって繊維製物品に前記防水処理剤を噴霧したときに、該スプレー式吐出容器からの距離が10cmの位置における、スプレーされた該防水処理剤の下記方法により求められる液滴の速度が400cm/秒以下である、繊維用防水処理製品。

 前記液滴の速度は、前記スプレー式吐出容器との距離が5cmの位置から10cmの位置までの距離である5cmを、該スプレー式吐出容器との距離が5cmの位置から10cmの位置までの前記液滴の移動時間(秒)で除して求められる。
[請求項2]
 前記ポリマーは、
 (A)水との接触角が70度以上であり、且つ25℃の空気中において固体であるか、又は(B)アミノ基を有し、且つアミン当量が5,000g/mol以下の液体である、請求項1に記載の繊維用防水処理製品。
[請求項3]
 前記スプレー式吐出容器の吐出口の開口径が、0.3mm以上0.6mm以下である、請求項1又は2に記載の繊維用防水処理製品。
[請求項4]
 前記防水処理剤の25℃における粘度が、20mPa・s以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の繊維用防水処理製品。
[請求項5]
 繊維製物品の表面を、揮発性溶媒に溶解したポリマーを含む防水処理剤で処理する工程を有する繊維製物品の表面処理方法であって、
 前記ポリマーは25℃における水への溶解度が50mg/100g未満であり、
 前記防水処理剤を、スプレー式吐出容器を用いて、該防水処理剤の液滴が繊維製物品に到達する際の速度を400cm/秒以下となる条件下に、該繊維製物品に対して噴霧する、繊維製物品の表面処理方法。
[請求項6]
 前記スプレー式吐出容器として、その吐出口の開口径が0.3mm以上0.6mm以下のものを用いる、請求項5に記載の繊維製物品の表面処理方法。
[請求項7]
 前記防水処理剤として、その25℃における粘度が20mPa・s以下のものを用いる、請求項5又は6に記載の繊維製物品の表面処理方法。
[請求項8]
 前記スプレー式吐出容器と前記繊維製物品との距離を、3cm以上30cm以下の範囲で噴霧する、請求項5~7の何れか1項に記載の繊維製物品の表面処理方法。
[請求項9]
 前記繊維製物品における前記防水処理剤を噴霧した面と反対側の面まで該防水処理剤が到達しないように噴霧する、請求項5~8の何れか1項に記載の繊維製物品の表面処理方法。
[請求項10]
 前記繊維製物品が、男性用の下穿きである、請求項5~9の何れか1項に記載の繊維製物品の表面処理方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]