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1. WO2020116476 - 炭化水素の製造装置および炭化水素の製造方法

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明 細 書

発明の名称 炭化水素の製造装置および炭化水素の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013  

先行技術文献

特許文献

0014  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0015  

課題を解決するための手段

0016  

発明の効果

0017  

図面の簡単な説明

0018  

発明を実施するための形態

0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178  

実施例

0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193  

符号の説明

0194  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 炭化水素の製造装置および炭化水素の製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、炭化水素の製造装置および炭化水素の製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 近年、地球温暖化対策として、地球温暖化の原因物質である二酸化炭素(CO )とメタン(CH )とを接触させて、一酸化炭素と水素とを含む合成ガスに変換する技術であるドライリフォーミングが着目されている。
[0003]
 このような合成ガスを製造する際に用いる触媒として、例えば、特許文献1には、担体としてMnや所定のアルカリ土類金属等を含む酸素欠損ペロブスカイト型の複合酸化物を用い、かつ、担持金属としてニッケルを用いた触媒が開示されている。
[0004]
 しかし、二酸化炭素とメタンとを接触させて、一酸化炭素と水素とを含む合成ガスに変換する反応は、800℃以上の高温で行う必要がある。特許文献1に開示されている触媒では、担体の表面に金属が担持されているため、高温下で触媒粒子同士が凝集し、触媒活性が低下しやすく、触媒活性も十分とは言えない。
[0005]
 触媒粒子同士の接着を抑制し、触媒粒子の比表面積を増加させる方法として、例えば、特許文献2には、基材表面に触媒粒子を固定した後、酸化処理及び還元処理を所定の条件で行う方法が開示されている。
[0006]
 しかし、特許文献2に開示されている基材表面に触媒粒子が固定された触媒構造体においても、触媒構造体が高温の反応場に配されることによって、触媒活性が低下する。そのため、触媒機能を再生するために、酸化処理及び還元処理を再度施す必要があり、作業が煩雑となる。
[0007]
 また、石油の代替燃料である合成油、合成燃料等の液体もしくは固体燃料製品の原料として利用される炭化水素化合物を製造する方法として、一酸化炭素(CO)ガス及び水素(H )ガスを主成分とする合成ガスから触媒反応を利用して炭化水素、特に液体もしくは固体炭化水素を合成するフィッシャー・トロプシュ合成反応(以下、「FT合成反応」ということもある。)が知られている。
[0008]
 このFT合成反応に使用される触媒として、例えば、特許文献3には、シリカ、アルミナ等の担体上に、コバルト、鉄等の活性金属を担持した触媒が開示され、特許文献4には、コバルト、ジルコニウム又はチタン、及びシリカを含有する触媒が開示されている。
[0009]
 FT合成反応に用いる触媒は、例えば、シリカ、アルミナ等の担体に、コバルト塩、ルテニウム塩等を含浸させ、これを焼成することによって、コバルト酸化物及び/又はルテニウム酸化物が担持された触媒(未還元触媒)として得ることができる。このようにして得られた触媒がFT合成反応に対して十分な活性を発現するために、特許文献5に開示されているように、該触媒を水素ガス等の還元ガスに接触させて還元処理し、活性金属であるコバルト及び/又はルテニウムを酸化物の状態から、金属の状態へと変換する必要がある。
[0010]
 FT合成反応を行う反応器においては、炭素数が比較的多い重質炭化水素が主に液体成分として、炭素数が比較的少ない軽質炭化水素が主にガス成分として合成される。しかしながら、FT合成反応では、様々な炭素数を有する炭化水素が合成されるため、所望の炭化水素を得るには、合成プロセス後に、分解プロセス、精製プロセス等の余分なプロセスを行う必要がある。そのため、FT合成反応において、生成物の炭素数分布をできるだけ制御することが望ましい。
[0011]
 特許文献6には、FT合成触媒をなすコア部と、炭化水素を分解して軽質化するシェル部からなるコア-シェル型の触媒を用いて、コア部のFT合成触媒で炭化水素を成長させ、シェル部の炭化水素を分解する触媒でFT合成反応により得られた生成物を分解することにより、生成した炭化水素を軽質化する技術が開示されている。しかしながら、特許文献6には、主に炭素数が5以上の炭化水素を対象とした炭素数分布しか開示されていない。
[0012]
 また、コア部のコバルト触媒で合成した炭化水素の炭素数をシェル部のゼオライト表面の反応で調整しているため、シェル部で生成物の軟質化を調製した後も、コア部または隣接するシェル部などと再度反応する場合がある。そのため、特定の範囲の炭素数を有する炭化水素の選択性の制御が困難であり、特に、より炭素数が少ない軽質炭化水素を対象とした炭素数分布の制御が困難である。
[0013]
 FT合成反応においてガス成分として生成されるプロピレン、ブテン等の軽質炭化水素や各種の芳香族炭化水素は、種々の化学製品の基礎原料として使用されることで知られている。FT合成反応では、このような化合物も生成され得るものの、その選択性は依然として低い。すなわち、FT合成反応により得られる生成物において、上記のような化合物の選択性を高める技術は未だ確立されていない。また、このような技術を開発することにより、上記化合物の選択性を向上させるだけでなく、従来の合成プロセスで要していた精製プロセス等の追加操作を省き、生産効率の向上を図ることも望まれる。

先行技術文献

特許文献

[0014]
特許文献1 : 特開2013-255911号公報
特許文献2 : 特開2016-2527号公報
特許文献3 : 特開平4-227847号公報
特許文献4 : 特開昭59-102440号公報
特許文献5 : 国際公開第2015/072573号
特許文献6 : 国際公開第2014/142282号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0015]
 本発明の目的は、触媒活性の低下を抑制し、選択性を高めて、メタンと二酸化炭素とから、一酸化炭素と水素とを含む合成ガスを介して、プロピレンを含む低級オレフィンと芳香族炭化水素とを含む炭化水素を効率良く製造することができる炭化水素の製造装置及びその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0016]
 本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
1. プロピレンを含む低級オレフィンと炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素とを含む炭化水素を製造する炭化水素の製造装置であって、メタンと二酸化炭素とを含む原料ガスを供給する第1供給部と、前記第1供給部から前記原料ガスが供給され、第1触媒構造体を加熱しながら、前記原料ガスに含まれるメタンと二酸化炭素とから一酸化炭素と水素とを含む合成ガスを生成する合成ガス生成部と、前記合成ガス生成部から排出される前記合成ガスを供給する第2供給部と、前記第2供給部から前記合成ガスが供給され、第2触媒構造体を加熱しながら、前記合成ガスに含まれる一酸化炭素と水素とからプロピレンを含む低級オレフィンと炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素とを含む炭化水素を生成する炭化水素生成部と、前記炭化水素生成部から排出される前記炭化水素中のプロピレンと前記芳香族炭化水素とを検出する第1検出部と、を備え、前記第1触媒構造体は、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の第1担体と、前記第1担体に内在する少なくとも1つの第1触媒物質と、を備え、前記第1担体が、該第1担体の外部と連通する第1通路を有し、前記第1触媒物質が、第1金属微粒子であり、前記第1担体の少なくとも前記第1通路に存在し、前記第2触媒構造体は、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の第2担体と、前記第2担体に内在する少なくとも1つの第2金属微粒子と、を備え、前記第2担体が、該第2担体の外部と連通する第2通路を有し、前記第2通路の一部が、平均内径が0.95nm以下である、炭化水素の製造装置。
2. 前記芳香族炭化水素は、下記式(1)で表される化合物および多環芳香族炭化水素の少なくとも一方の化合物を含む、前記1記載の炭化水素の製造装置。
[化1]


(式(1)中、R ~R は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基である。)
3. 前記式(1)で表される化合物は、ベンゼン、トルエン、およびブチルベンゼンからなる群から選択される1種以上の化合物を含む、前記2記載の炭化水素の製造装置。
4. 前記多環芳香族炭化水素は、アズレンおよびナフタレンの少なくとも一方の化合物を含む、前記2記載の炭化水素の製造装置。
5. 前記合成ガス生成部に酸素を供給する酸素供給部をさらに備える、前記1~4のいずれかに記載の炭化水素の製造装置。
6. 前記酸素供給部は、爆発下限界未満の濃度の酸素を前記合成ガス生成部に供給する、前記5記載の炭化水素の製造装置。
7. 前記合成ガス生成部は、前記第1触媒構造体を600℃以上1000℃以下で加熱する、前記1~6のいずれかに記載の炭化水素の製造装置。
8. 前記第1金属微粒子が、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)からなる群から選択される少なくとも1種の金属から構成される微粒子である、前記1~7のいずれかに記載の炭化水素の製造装置。
9. 前記第1通路は、前記ゼオライト型化合物の骨格構造の一次元孔、二次元孔及び三次元孔のうちのいずれかと、前記一次元孔、前記二次元孔及び前記三次元孔のうちのいずれとも異なる第1拡径部とを有し、かつ、
 前記第1触媒物質が、少なくとも前記第1拡径部に存在している、前記1~8のいずれかに記載の炭化水素の製造装置。
10. 前記第1拡径部は、前記一次元孔、前記二次元孔及び前記三次元孔のうちのいずれかを構成する複数の孔同士を連通している、前記9に記載の炭化水素の製造装置。
11. 前記第1金属微粒子の平均粒径が、前記第1通路の平均内径よりも大きく、かつ、前記第1拡径部の内径以下である、前記9または10に記載の炭化水素の製造装置。
12. 前記合成ガス生成部から排出される前記合成ガス中のメタンと二酸化炭素とを分離する第1分離部をさらに備える、前記1~11のいずれかに記載の炭化水素の製造装置。
13. 前記第1分離部で分離したメタンと二酸化炭素とを前記合成ガス生成部に供給する第3供給部をさらに備える、前記12に記載の炭化水素の製造装置。
14. 前記合成ガス生成部から排出される前記合成ガス中の一酸化炭素と水素とを検出する第2検出部をさらに備える、前記1~13のいずれかに記載の炭化水素の製造装置。
15. 前記炭化水素生成部は、前記第2触媒構造体を350℃以上550℃以下で加熱する、前記1~14のいずれかに記載の炭化水素の製造装置。
16. 前記第2金属微粒子は、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)およびコバルト(Co)からなる群から選択される少なくとも1種の第1金属、または、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)およびコバルト(Co)からなる群から選択される少なくとも1種の第1金属、ならびに、前記第1金属と異なる種類であり、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、Zr(ジルコニウム)およびMn(マンガン)からなる群から選択される少なくとも1種の第2金属、を含有する、前記1~15のいずれかに記載の炭化水素の製造装置
17. 前記第2通路の一部における平均内径が0.39nm以上0.75nm以下であることを特徴とする、前記1~16のいずれかに記載の炭化水素の製造装置。
18. 前記第2通路は、前記ゼオライト型化合物の骨格構造の一次元孔、二次元孔及び三次元孔のうちのいずれかと、前記一次元孔、前記二次元孔及び前記三次元孔のうちのいずれとも異なる第2拡径部とを有し、かつ
 前記第2金属微粒子が、少なくとも前記第2拡径部に存在している、前記1~17のいずれかに記載の炭化水素の製造装置、
19. 前記炭化水素生成部から排出される前記炭化水素と一酸化炭素と水素とを分離する第2分離部をさらに備える、前記1~18のいずれかに記載の炭化水素の製造装置。
20. 前記第2分離部で分離した一酸化炭素と水素とを前記炭化水素生成部に供給する第4供給部をさらに備える、前記19に記載の炭化水素の製造装置。
21. 前記炭化水素生成部から排出される前記炭化水素とメタンと二酸化炭素とを分離する第3分離部をさらに備える、前記1~20のいずれかに記載の炭化水素の製造装置。
22. 前記第3分離部で分離したメタンと二酸化炭素とを前記合成ガス生成部に供給する第5供給部をさらに備える、前記21に記載の炭化水素の製造装置。
23. 前記炭化水素生成部から排出される前記炭化水素を冷却して、前記低級オレフィンと前記芳香族炭化水素とを分離する第4分離部をさらに備える、前記1~22のいずれかに記載の炭化水素の製造装置。
24. プロピレンを含む低級オレフィンと炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素とを含む炭化水素を製造する炭化水素の製造方法であって、メタンと二酸化炭素とを含む原料ガスを第1触媒構造体に供給する工程S1と、前記第1触媒構造体を加熱しながら、前記原料ガスに含まれるメタンと二酸化炭素とから一酸化炭素と水素とを含む合成ガスを生成する工程S2と、前記工程S2で得られた前記合成ガスを第2触媒構造体に供給する工程S3と、前記第2触媒構造体を加熱しながら、前記合成ガスに含まれる一酸化炭素と水素とからプロピレンを含む低級オレフィンと炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素とを含む炭化水素を生成する工程S4と、前記炭化水素中のプロピレンと前記芳香族炭化水素とを検出する工程S5と、を有し、前記第1触媒構造体は、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の第1担体と、前記第1担体に内在する少なくとも1つの第1触媒物質と、を備え、前記第1担体が、該第1担体の外部と連通する第1通路を有し、前記第1触媒物質が、第1金属微粒子であり、前記第1担体の少なくとも前記第1通路に存在し、前記第2触媒構造体は、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の第2担体と、前記第2担体に内在する少なくとも1つの第2金属微粒子と、を備え、前記第2担体が、該第2担体の外部と連通する第2通路を有し、前記第2通路の一部が、平均内径が0.95nm以下である、炭化水素の製造方法。

発明の効果

[0017]
 本発明によれば、触媒活性の低下を抑制し、選択性を高めて、メタンと二酸化炭素とから、一酸化炭素と水素とを含む合成ガスの生成を経て、プロピレンを含む低級オレフィンと芳香族炭化水素とを含む炭化水素を効率良く製造することができる炭化水素の製造装置及びその製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0018]
[図1] 図1は、実施形態の炭化水素の製造装置を構成する要部構成要素のそれぞれをブロックで示したときのブロック図である。
[図2] 図2は、炭化水素の製造装置に用いられる第1触媒構造体の内部構造が分かるように概略的に示したものであって、図2(a)は斜視図(一部を横断面で示す。)、図2(b)は部分拡大断面図である。
[図3] 図3は、図2の第1触媒構造体の変形例を示す模式図である。

発明を実施するための形態

[0019]
 以下、実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[0020]
 本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、第1触媒構造体と第2触媒構造体を用いることによって、触媒活性の低下が抑制され、選択性が向上して、プロピレンを含む低級オレフィンと芳香族炭化水素とを含む炭化水素を効率良く製造することを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成させるに至った。
[0021]
 実施形態の炭化水素の製造装置は、プロピレンを含む低級オレフィンと炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素とを含む炭化水素を製造する炭化水素の製造装置であって、メタンと二酸化炭素とを含む原料ガスを供給する第1供給部と、前記第1供給部から前記原料ガスが供給され、第1触媒構造体を加熱しながら、前記原料ガスに含まれるメタンと二酸化炭素とから一酸化炭素と水素とを含む合成ガスを生成する合成ガス生成部と、前記合成ガス生成部から排出される前記合成ガスを供給する第2供給部と、前記第2供給部から前記合成ガスが供給され、第2触媒構造体を加熱しながら、前記合成ガスに含まれる一酸化炭素と水素とからプロピレンを含む低級オレフィンと炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素とを含む炭化水素を生成する炭化水素生成部と、前記炭化水素生成部から排出される前記炭化水素中のプロピレンと前記芳香族炭化水素とを検出する第1検出部と、を備え、前記第1触媒構造体は、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の第1担体と、前記第1担体に内在する少なくとも1つの第1触媒物質と、を備え、前記第1担体が、該第1担体の外部と連通する第1通路を有し、前記第1触媒物質が、第1金属微粒子であり、前記第1担体の少なくとも前記第1通路に存在し、前記第2触媒構造体は、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の第2担体と、前記第2担体に内在する少なくとも1つの第2金属微粒子と、を備え、前記第2担体が、該第2担体の外部と連通する第2通路を有し、前記第2通路の一部が、平均内径が0.95nm以下である。
[0022]
 実施形態の炭化水素の製造方法は、プロピレンを含む低級オレフィンと炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素とを含む炭化水素を製造する炭化水素の製造方法であって、メタンと二酸化炭素とを含む原料ガスを第1触媒構造体に供給する工程S1と、前記第1触媒構造体を加熱しながら、前記原料ガスに含まれるメタンと二酸化炭素とから一酸化炭素と水素とを含む合成ガスを生成する工程S2と、前記工程S2で得られた前記合成ガスを第2触媒構造体に供給する工程S3と、前記第2触媒構造体を加熱しながら、前記合成ガスに含まれる一酸化炭素と水素とからプロピレンを含む低級オレフィンと炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素とを含む炭化水素を生成する工程S4と、前記炭化水素中のプロピレンと前記芳香族炭化水素とを検出する工程S5と、を有し、前記第1触媒構造体は、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の第1担体と、前記第1担体に内在する少なくとも1つの第1触媒物質と、を備え、前記第1担体が、該第1担体の外部と連通する第1通路を有し、前記第1触媒物質が、第1金属微粒子であり、前記第1担体の少なくとも前記第1通路に存在し、前記第2触媒構造体は、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の第2担体と、前記第2担体に内在する少なくとも1つの第2金属微粒子と、を備え、前記第2担体が、該第2担体の外部と連通する第2通路を有し、前記第2通路の一部が、平均内径が0.95nm以下である。
[0023]
[炭化水素の製造装置の構成]
 図1は、実施形態の炭化水素の製造装置を構成する要部構成要素のそれぞれをブロックで示したときのブロック図を示したものである。
[0024]
 図1に示す炭化水素の製造装置100(以下、単に製造装置ともいう)は、プロピレンを含む低級オレフィンと炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素とを含む炭化水素を製造する装置であり、第1供給部101、合成ガス生成部103、第2供給部106、炭化水素生成部107、および第1検出部109で主に構成されている。
[0025]
 第1供給部101は、メタン供給部102aと二酸化炭素供給部102bとを備え、メタンと二酸化炭素とを含む原料ガスを合成ガス生成部103に供給する。メタン供給部102aは、例えばメタンガスのボンベやメタンガス発生機などから構成され、合成ガス生成部103に供給するメタンガスの供給量を制御することができる。二酸化炭素供給部102bは、例えば二酸化炭素ガスのボンベや二酸化炭素ガス発生機などから構成され、合成ガス生成部103に供給する二酸化炭素の供給量を制御することができる。
[0026]
 合成ガス生成部103は、第1触媒構造体を収容する第1触媒構造体収容部104および不図示の加熱炉のような加熱部を備え、第1触媒構造体収容部104内の第1触媒構造体が加熱炉によって所定の温度に加熱される。そして、合成ガス生成部103は、第1供給部101からメタンと二酸化炭素とを含む原料ガスが供給され、第1触媒構造体収容部104内の第1触媒構造体を加熱しながら、原料ガスに含まれるメタンと二酸化炭素とから一酸化炭素と水素とを含む合成ガスを生成する。
[0027]
 具体的には、第1供給部101からメタンと二酸化炭素とを含む原料ガスを合成ガス生成部103に供給するとともに、合成ガス生成部103の内部に設けられる第1触媒構造体を加熱することによって、供給されたメタンと二酸化炭素とが第1触媒構造体によって反応し、これによって一酸化炭素と水素とを含む合成ガスを生成することができる。以下では、合成ガス生成部103で生じる合成ガスの生成反応をドライリフォーミング反応ということもある。
[0028]
 第1触媒構造体収容部104の合成ガス生成部103内における設置状態は、第1触媒構造体収容部104の内部に収容される加熱状態の第1触媒構造体が原料ガスに接触することができればよい。例えば、図1に示すように、原料ガスを供給する配管および合成ガス生成部103の接続部分と、合成ガス生成部103および合成ガスを排出する配管の接続部分とを、連結するように、第1触媒構造体収容部104を設置する。
[0029]
 第2供給部106は、合成ガス生成部103で生成されて排出される一酸化炭素と水素とを含む合成ガスを、炭化水素生成部107に供給する。第2供給部106は、炭化水素生成部107に供給する合成ガスの供給量を制御することができる。
[0030]
 炭化水素生成部107は、第2触媒構造体を収容する第2触媒構造体収容部108および不図示の加熱炉のような加熱部を備え、第2触媒構造体収容部108内の第2触媒構造体が加熱炉によって所定の温度に加熱される。そして、炭化水素生成部107は、第2供給部106から一酸化炭素と水素とを含む合成ガスが供給され、第2触媒構造体収容部108内の第2触媒構造体を加熱しながら、合成ガスに含まれる一酸化炭素と水素とから、プロピレンを含む低級オレフィンと炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素とを含む炭化水素を生成する。
[0031]
 具体的には、第2供給部106から一酸化炭素と水素とを含む合成ガスを、炭化水素生成部107に供給するとともに、炭化水素生成部107の内部に設けられる第2触媒構造体を加熱することによって、供給された一酸化炭素と水素とが第2触媒構造体によって反応し、これによってプロピレンを含む低級オレフィンと炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素とを含む炭化水素を生成することができる。以下では、炭化水素生成部107で生じる炭化水素の生成反応をFT合成反応ということもある。
[0032]
 第2触媒構造体収容部108の炭化水素生成部107内における設置状態は、第2触媒構造体収容部108の内部に収容される加熱状態の第2触媒構造体が合成ガスに接触することができればよい。例えば、図1に示すように、合成ガスを供給する配管および炭化水素生成部107の接続部分と、炭化水素生成部107および炭化水素を排出する配管の接続部分とを、連結するように、第2触媒構造体収容部108を設置する。
[0033]
 第1検出部109は、炭化水素生成部107で生成されて排出される炭化水素中のプロピレンと上記芳香族炭化水素とを検出する。
[0034]
 製造装置100で製造される炭化水素にはプロピレンと上記芳香族炭化水素とが含まれる。炭化水素中のプロピレンおよび上記芳香族炭化水素の濃度は、特に限定されるものではなく、ドライリフォーミング反応やFT合成反応の条件などを調整することによって、適宜選択される。
[0035]
 上記の炭化水素に含まれる低級オレフィンとしては、プロピレンに加えて、炭素数4以下のオレフィン、例えばエチレン、プロピレン、ブテンなどが挙げられる。
[0036]
 また、上記の炭化水素に含まれる芳香族炭化水素は、下記式(1)で表される化合物および多環芳香族炭化水素の少なくとも一方の化合物を含む。
[0037]
[化2]


[0038]
 式(1)中、R ~R は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基である。
[0039]
 上記式(1)で表される化合物としては、ベンゼン、トルエン、およびブチルベンゼンからなる群から選択される1種以上の化合物を含む。また、上記の多環芳香族炭化水素としては、アズレンおよびナフタレンの少なくとも一方の化合物を含む。
[0040]
 また、第2触媒構造体収容部108に供給される水素/一酸化炭素のモル比は、好ましくは1.5以上2.5以下、より好ましくは1.8以上2.2以下である。また、第2触媒構造体収容部108内の圧力は、好ましくは0.1MPa以上3.0MPa以下(絶対圧力)である。このような条件であると、炭化水素生成部107内のFT合成反応が効率的に進行する。
[0041]
 製造装置100によれば、第1触媒構造体および第2触媒構造体を用いることによって、メタンと二酸化炭素とを含む原料ガスから、一酸化炭素と水素とを含む合成ガスを生成するとともに、生成した合成ガスから、プロピレンを含む低級オレフィンと炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素とを含む炭化水素を製造することができる。このように、製造装置100では、原料ガスから生成された合成ガスに対する、物質の添加や除去のような成分調整などの処理を行わずに、生成された合成ガスをそのまま利用できるため、簡便に上記炭化水素を製造することができる。
[0042]
 なお、製造装置100には、炭化水素生成部107に対して一酸化炭素を供給する一酸化炭素供給部(図示せず)や水素を供給する水素供給部(図示せず)を別個に設けて、原料ガスから生成された合成ガスに対して、一酸化炭素と水素とを追加で供給してもよい。
[0043]
 第1検出部109が炭化水素中のプロピレンおよび上記芳香族炭化水素を検出できる場合には、製造装置100が正常に稼働していることを判断できる。一方、第1検出部109が炭化水素中のプロピレンおよび芳香族炭化水素を検出できない場合には、製造装置100が異常であるため、ドライリフォーミング反応に関連する部分およびFT合成反応に関連する部分の少なくとも一方を止めて点検や修理を行う。
[0044]
 また、製造装置100は、合成ガス生成部103に酸素を供給する酸素供給部114をさらに備えてもよい。酸素供給部114は、例えば酸素ガスのボンベや酸素ガス発生機などから構成され、合成ガス生成部103に供給する酸素ガスの供給量を制御することができる。酸素供給部114から合成ガス生成部103に供給された酸素は、合成ガス生成部103を介して炭化水素生成部107にも供給される。
[0045]
 酸素供給部114から第1触媒構造体収容部104内の第1触媒構造体や第2触媒構造体収容部108内の第2触媒構造体に酸素を供給することによって、ドライリフォーミング反応で生じる第1触媒構造体のコーキングによる第1触媒構造体の触媒活性の低下、およびFT合成反応で生じる第2触媒構造体のコーキングによる第2触媒構造体の触媒活性の低下を抑制することができる。
[0046]
 酸素供給部114は、好ましくは爆発下限界未満の濃度の酸素を合成ガス生成部103に供給する。上記濃度の酸素が合成ガス生成部103に供給されると、コーキングによる第1触媒構造体および第2触媒構造体の触媒活性の低下を効率的に抑制することができる。
[0047]
 具体的には、合成ガス生成部103に供給される酸素量が多いほど、コーキングによる第1触媒構造体および第2触媒構造体の失活を抑制できるが、この酸素量の上限値は爆発下限界未満の濃度の酸素量である。酸素供給部114から供給される酸素は、窒素やアルゴンなどの不活性ガスと混合して、所定の酸素濃度に調整する。
[0048]
 合成ガス生成部103は、好ましくは600℃以上1000℃以下で第1触媒構造体を加熱する。第1触媒構造体が上記温度範囲内で加熱されると、ドライリフォーミング反応が効率的に進むため、一酸化炭素および水素の生成量が増加する。
[0049]
 また、製造装置100は、合成ガス生成部103から排出されるガスから、一酸化炭素と水素とを含む合成ガスを分離して回収する第1分離部105をさらに備えてもよい。第1分離部105は、例えば深冷分離式の分離部であって、排出されるガスを、合成ガス生成部103におけるドライリフォーミング反応で未反応のメタンと二酸化炭素を含む原料ガスと、一酸化炭素と水素とを含む合成ガスとに分離することが好ましい。排出されるガス中に含まれる未反応の原料ガスを分離することによって、一酸化炭素と水素とを高い体積割合で生成することができるため、FT合成反応の効率が向上する。
[0050]
 また、製造装置100は、第1分離部105で分離した未反応の原料ガスを、合成ガス生成部103に供給する第3供給部116をさらに備えてもよい。第3供給部116は、合成ガス生成部103に供給するメタンおよび二酸化炭素を含む原料ガスの供給量を制御することができる。第3供給部116から合成ガス生成部103に供給された原料ガスは、ドライリフォーミング反応に再利用することができるため、原料ガスの使用量を低減することができる。
[0051]
 また、製造装置100は、合成ガス生成部103から排出されるガス中の合成ガス(例えば一酸化炭素と水素)を検出する第2検出部115をさらに備えてもよい。第2検出部115が合成ガス中の一酸化炭素と水素とを検出できる場合には、ドライリフォーミング反応が正常に行われていることを判断できる。一方、第2検出部115において、排出されるガスの成分分析を行った結果、一酸化炭素と水素が検出されない場合には、ドライリフォーミング反応が行われていないため、ドライリフォーミング反応に関連する部分を止めて点検や修理を行う。
[0052]
 炭化水素生成部107は、好ましくは350℃以上550℃以下、より好ましくは450以上550℃未満で、第2触媒構造体を加熱する。第2触媒構造体が上記温度範囲内で加熱されると、FT合成反応におけるプロピレンなどの低級オレフィンや上記芳香族炭化水素を選択的に生成することができるため、所望の炭化水素の生成量が増加する。
[0053]
 また、製造装置100は、炭化水素生成部107から排出されるガスから、上記炭化水素を分離して回収する第2分離部111をさらに備えてもよい。第2分離部111は、例えば深冷分離式の分離部であって、排出されるガスを、炭化水素生成部107におけるFT合成反応で未反応の一酸化炭素と水素を含む合成ガスと、上記炭化水素とに分離することが好ましい。排出されるガス中に含まれる未反応の合成ガスを分離することによって、高い体積割合で上記炭化水素を生成することができる。
[0054]
 また、製造装置100は、第2分離部111で分離した未反応の合成ガスを、炭化水素生成部107に供給する第4供給部117をさらに備えてもよい。第4供給部117は、炭化水素生成部107に供給する合成ガス(例えば一酸化炭素および水素)の供給量を制御することができる。第4供給部117から炭化水素生成部107に供給された一酸化炭素と水素とは、FT合成反応に再利用することができるため、合成ガスの使用量、ひいては原料ガスの使用量を低減することができる。
[0055]
 また、製造装置100は、炭化水素生成部107から排出されるガスから、上記炭化水素と、未反応の原料ガス(例えばメタンと二酸化炭素)を分離する第3分離部113をさらに備えてもよい。第3分離部113は、例えば深冷分離式の分離部であって、排出されるガスを、合成ガス生成部103におけるドライリフォーミング反応で未反応の原料ガスと、上記炭化水素とに分離する。排出されるガス中に含まれる未反応の原料ガスを分離することによって、高い体積割合で上記炭化水素を生成することができる。
[0056]
 また、製造装置100は、第3分離部113で分離した未反応の原料ガスを、合成ガス生成部103に供給する第5供給部118をさらに備えてもよい。第5供給部118は、合成ガス生成部103に供給する原料ガス(例えばメタンおよび二酸化炭素)の供給量を制御することができる。第5供給部118から合成ガス生成部103に供給されたメタンと二酸化炭素とは、ドライリフォーミング反応に再利用することができるため、原料ガスの使用量を低減することができる。
[0057]
 また、製造装置100は、炭化水素生成部107から排出されるガスを冷却して、低級オレフィンを含むガスと上記芳香族炭化水素とに分離する第4分離部110をさらに備えてもよい。第4分離部110は、例えば室温まで冷却可能な気液分離部である。低級オレフィンを含むガスには、低級オレフィン、メタン、二酸化炭素、一酸化炭素、および水素が含まれる。
[0058]
 また、製造装置100は、第4分離部110から排出される上記芳香族炭化水素中の水を分離する第5分離部112をさらに備えてもよい。第5分離部112は、例えば沸点別に分留する分離部である。第5分離部112で分離した水は、工業用排水として扱うことができる。
[0059]
 なお、図1では、メタン供給部102aおよび二酸化炭素供給部102bによって、メタンと二酸化炭素とを個別に供給している一例を示しているが、メタンと二酸化炭素とを混合させた混合ガスを合成ガス生成部103に供給してもよい。また、第1供給部101および酸素供給部114によって、原料ガスと酸素とを個別に供給している一例を示しているが、原料ガスと酸素とを混合させた混合ガスを合成ガス生成部103に供給してもよい。
[0060]
 また、メタン供給部102aから供給されるメタンの濃度や二酸化炭素供給部102bから供給される二酸化炭素の濃度は、特に限定されるものではない。例えば、これらの濃度は、100%でもよいし、窒素やアルゴンなどの不活性ガスと混合して、所定値に調整してもよい。不活性ガスを用いる場合、図示しない不活性ガス供給部から製造装置100に不活性ガスが供給される。
[0061]
 また、第1触媒構造体の設置状態について、図1では、第1触媒構造体が第1触媒構造体収容部104内に収容される一例を示しているが、加熱状態の第1触媒構造体が原料ガスに接触することができれば特に限定されず、例えば、第1触媒構造体は合成ガス生成部103内の一部もしくは全部に収容されてもよい。また、第2触媒構造体の設置状態についても、第1触媒構造体と基本的に同様であり、加熱状態の第2触媒構造体が合成ガスに接触することができれば特に限定されず、例えば、第2触媒構造体は炭化水素生成部107内の一部もしくは全部に収容されてもよい。また、第1触媒構造体によるドライリフォーミング反応および第2触媒構造体によるFT合成反応は、例えば、固定床、超臨界固定床、スラリー床、流動床等で実施することができる。その中でも、好ましくは、固定床、超臨界固定床、スラリー床である。
[0062]
 また、第2分離部111および第3分離部113の配置構成について、図1では、第2分離部111から排出される炭化水素が、第3分離部113に供給される一例を示しているが、第2分離部111と第3分離部113の配置順を変えて、第3分離部113から排出される炭化水素が、第2分離部111に供給されるように構成してもよい。
[0063]
 また、第4分離部110の配置構成について、図1では、炭化水素生成部107から排出される炭化水素が、第4分離部110に供給される一例を示しているが、第2分離部111や第3分離部113から排出される炭化水素が第4分離部110に供給されるように構成してもよい。また、製造装置100は、第4分離部110を複数備えていてもよい。
[0064]
[炭化水素の製造方法]
 実施形態の炭化水素の製造方法は、プロピレンを含む低級オレフィンと炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素とを含む炭化水素を製造するための方法であり、例えば図1に示す製造装置100を用いて行うことができる。
[0065]
 実施形態の炭化水素の製造方法は、第1供給工程S1、第1生成工程S2、第2供給工程S3、第2生成工程S4、および第1検出工程S5で主に構成される。
[0066]
 第1供給工程S1は、メタンと二酸化炭素とを含む原料ガスを第1触媒構造体に供給する。図1に示す製造装置100では、第1供給部101から供給される原料ガスは、合成ガス生成部103の内部に設けられる第1触媒構造体収容部104内の第1触媒構造体に供給される。
[0067]
 第1生成工程S2は、第1触媒構造体を加熱しながら、第1供給工程S1で供給された原料ガスに含まれるメタンと二酸化炭素とから一酸化炭素と水素とを含む合成ガスを生成する。製造装置100では、合成ガス生成部103で所定の温度に加熱されている第1触媒構造体によって、原料ガス中のメタンと二酸化炭素とから、一酸化炭素と水素とを含む合成ガスが生成される。
[0068]
 第2供給工程S3は、第1生成工程S2で得られた合成ガスを第2触媒構造体に供給する。製造装置100では、合成ガス生成部103で生成されて排出された合成ガスは、炭化水素生成部107の内部に設けられる第2触媒構造体収容部108内の第2触媒構造体に供給される。
[0069]
 第2生成工程S4は、第2触媒構造体を加熱しながら、第2供給工程S3で供給された合成ガスに含まれる一酸化炭素と水素とから、プロピレンを含む低級オレフィンと炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素とを含む炭化水素を生成する。製造装置100では、炭化水素生成部107で所定の温度に加熱されている第2触媒構造体によって、合成ガス中の一酸化炭素と水素とから、上記炭化水素が生成される。
[0070]
 第1検出工程S5は、第2生成工程S4で生成した炭化水素中のプロピレンと上記芳香族炭化水素とを検出する。製造装置100では、炭化水素生成部107で生成されて排出される炭化水素中のプロピレンと上記芳香族炭化水素とが、第1検出部109によって検出される。
[0071]
 また、実施形態の炭化水素の製造方法は、酸素を第1触媒構造体および第2触媒構造体に供給する酸素供給工程S11をさらに有してもよい。酸素供給部114から供給される酸素は、第1触媒構造体収容部104内の第1触媒構造体と、第2触媒構造体収容部108内の第2触媒構造体に供給される。そのため、第1生成工程S2および第2生成工程S4における第1触媒構造体および第2触媒構造体のコーキングによる触媒活性の低下を抑制することができる。
[0072]
 また、実施形態の炭化水素の製造方法は、第1生成工程S2で生成される合成ガスからメタンと二酸化炭素とを分離する第1分離工程S12をさらに有してもよい。第1分離部105が第1生成工程S2で生成される合成ガスからメタンと二酸化炭素とを分離するため、第2生成工程S4で行われるFT合成反応の効率を向上することができる。
[0073]
 また、実施形態の炭化水素の製造方法は、第1分離工程S12で分離したメタンと二酸化炭素とを第1生成工程S2に供給する第3供給工程S13をさらに有してもよい。第3供給部116がメタンと二酸化炭素とを第1生成工程S2に供給するため、メタンと二酸化炭素とを含む原料ガスは第1生成工程S2で行われるドライリフォーミング反応に再利用される。
[0074]
 また、実施形態の炭化水素の製造方法は、第1生成工程S2で生成した合成ガスを構成する一酸化炭素と水素とを検出する第2検出工程S14をさらに有してもよい。第2検出部115は、第1生成工程S2で生成される合成ガスを構成する一酸化炭素と水素とを検出する。
[0075]
 また、実施形態の炭化水素の製造方法は、第2生成工程S4で生成される炭化水素から一酸化炭素と水素とを分離する第2分離工程S15をさらに有してもよい。第2分離部111が第2生成工程S4で生成される炭化水素から一酸化炭素と水素とを分離するため、高い体積割合で上記炭化水素を生成することができる。
[0076]
 また、実施形態の炭化水素の製造方法は、第2分離工程S15で分離した一酸化炭素と水素とを第2生成工程S4に供給する第4供給工程S16をさらに有してもよい。第4供給部117が未反応の合成ガスである一酸化炭素と水素とを第2生成工程S4に供給するため、一酸化炭素と水素とは第2生成工程S4で行われるFT合成反応に再利用される。
[0077]
 また、実施形態の炭化水素の製造方法は、第2生成工程S4から排出する上記炭化水素からメタンと二酸化炭素とを分離する第3分離工程S17をさらに有してもよい。第3分離部113が上記炭化水素からメタンと二酸化炭素とを分離するため、高い体積割合で上記炭化水素を生成することができる。
[0078]
 また、実施形態の炭化水素の製造方法は、第3分離工程S17で分離したメタンと二酸化炭素とを第1生成工程S2に供給する第5供給工程S18をさらに有してもよい。第5供給部118が未反応の原料ガスであるメタンと二酸化炭素とを第1生成工程S2に供給するため、メタンと二酸化炭素とは第1生成工程S2で行われるドライリフォーミング反応に再利用される。
[0079]
 また、実施形態の炭化水素の製造方法は、第2生成工程S4で生成される上記炭化水素を冷却して、上記低級オレフィンを含むガスと上記芳香族炭化水素とに分離する第4分離工程S19をさらに有してもよい。第4分離部110は、上記炭化水素を冷却することによって、上記低級オレフィンと上記芳香族炭化水素とを分離する。
[0080]
 また、実施形態の炭化水素の製造方法は、第4分離工程S19で得られた上記芳香族炭化水素中の水を分離する第5分離工程S20をさらに有してもよい。第5分離部112は、第4分離工程S19で得られた芳香族炭化水素に含まれる水を分離する。
[0081]
[第1触媒構造体の構成]
 図2は、上記の炭化水素の製造装置100の第1触媒構造体収容部104に収容される第1触媒構造体1の構成を概略的に示す図であり、(a)は斜視図(一部を横断面で示す。)、(b)は部分拡大断面図である。なお、図2における第1触媒構造体は、その一例を示すものであり、各構成の形状、寸法等は、図2のものに限られないものとする。第1触媒構造体1は、ドライリフォーミング反応に好適な触媒である。
[0082]
 図2(a)に示すように、第1触媒構造体1は、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の第1担体10と、該第1担体10に内在する、少なくとも1つの第1触媒物質20とを備える。
[0083]
 第1触媒構造体1において、複数の第1触媒物質20,20,・・・は、第1担体10の多孔質構造の内部に包接されている。第1触媒物質20は、触媒能(触媒活性)を有する物質であればよく、具体的に第1金属微粒子である。第1金属微粒子については、詳しくは後述する。
[0084]
 第1担体10は、多孔質構造であり、図2(b)に示すように、好適には複数の第1孔11a,11a,・・・が形成されることにより、第1担体10の外部と連通し、互いに連通する第1通路11を有する。ここで第1触媒物質20は、第1担体10の少なくとも第1通路11に存在しており、好ましくは第1担体10の少なくとも第1通路11に保持されている。
[0085]
 このような構成により、第1担体10内での第1触媒物質20の移動が規制され、第1触媒物質20、20同士の凝集が有効に防止されている。その結果、第1触媒物質20としての有効表面積の減少を効果的に抑制することができ、第1触媒物質20の触媒活性は長期にわたって持続する。すなわち、第1触媒構造体1によれば、第1触媒物質20の凝集による触媒活性の低下を抑制でき、第1触媒構造体1としての長寿命化を図ることができる。また、第1触媒構造体1の長寿命化により、第1触媒構造体1の交換頻度を低減でき、使用済みの第1触媒構造体1の廃棄量を大幅に低減することができ、省資源化を図ることができる。
[0086]
 通常、第1触媒構造体を、流体の中で用いる場合、流体から外力を受ける可能性がある。この場合、第1触媒物質が第1担体10の外表面に付着されているのみであると、第1触媒物質は流体からの外力の影響で第1担体10の外表面から離脱しやすいという問題がある。これに対し、第1触媒構造体1では、第1触媒物質20は第1担体10の少なくとも第1通路11に存在しているため、流体から外力を受けたとしても、第1担体10から第1触媒物質20が離脱しにくい。
[0087]
 すなわち、第1触媒構造体1が流体内にある場合、流体は第1担体10の第1孔11aから、第1通路11内に流入するため、第1通路11内を流れる流体の速さは、流路抵抗(摩擦力)により、第1担体10の外表面を流れる流体の速さに比べて、遅くなると考えられる。このような流路抵抗の影響により、第1通路11内に存在している第1触媒物質20が流体から受ける圧力は、第1担体10の外部において第1触媒物質が流体から受ける圧力に比べて低くなる。
[0088]
 そのため、第1担体11に内在する第1触媒物質20が離脱することを効果的に抑制でき、第1触媒物質20の触媒活性を長期的に安定して維持することが可能となる。なお、上記のような流路抵抗は、第1担体10の第1通路11が、曲がりや分岐を複数有し、第1担体10の内部がより複雑で三次元的な立体構造となっているほど、大きくなると考えられる。
[0089]
 また、第1通路11は、ゼオライト型化合物の骨格構造によって画定される一次元孔、二次元孔及び三次元孔のうちのいずれかと、上記一次元孔、上記二次元孔及び上記三次元孔のうちのいずれとも異なる第1拡径部12とを有していることが好ましく、このとき、第1触媒物質20は、少なくとも第1拡径部12に存在していることが好ましく、少なくとも第1拡径部12に包接されていることがより好ましい。
[0090]
 これにより、第1触媒物質20の第1担体10内での移動がさらに規制され、第1触媒物質20の離脱や、第1触媒物質20、20同士の凝集をさらに有効に防止することができる。包接とは、第1触媒物質20が第1担体10に内包されている状態を指す。このとき第1触媒物質20と第1担体10とは、必ずしも直接的に互いが接触している必要はなく、第1触媒物質20と第1担体10との間に他の物質(例えば、界面活性剤等)が介在した状態で、第1触媒物質20が第1担体10に間接的に保持されていてもよい。
[0091]
 ここでいう一次元孔とは、一次元チャンネルを形成しているトンネル型またはケージ型の孔、もしくは複数の一次元チャンネルを形成しているトンネル型またはケージ型の複数の孔(複数の一次元チャンネル)を指す。また、二次元孔とは、複数の一次元チャンネルが二次元的に連結された二次元チャンネルを指し、三次元孔とは、複数の一次元チャンネルが三次元的に連結された三次元チャンネルを指す。
[0092]
 図2(b)では第1触媒物質20が第1拡径部12に包接されている場合を示しているが、この構成だけには限定されず、第1触媒物質20は、その一部が第1拡径部12の外側にはみ出した状態で第1通路11に存在していてもよい。また、第1触媒物質20は、第1拡径部12以外の第1通路11の部分(例えば第1通路11の内壁部分)に部分的に埋設され、又は固着等によって保持されていてもよい。
[0093]
 また、第1拡径部12は、上記一次元孔、上記二次元孔及び上記三次元孔のうちのいずれかを構成する複数の第1孔11a,11a同士を連通しているのが好ましい。これにより、第1担体10の内部に、一次元孔、二次元孔又は三次元孔とは異なる別途の通路が設けられるので、第1触媒物質20の機能をより発揮させることができる。
[0094]
 また、第1通路11は、第1担体10の内部に、分岐部又は合流部を含んで三次元的に形成されており、第1拡径部12は、第1通路11の上記分岐部又は合流部に設けられることが好ましい。
[0095]
 第1担体10に形成された第1通路11の平均内径D F1は、上記一次元孔、二次元孔及び三次元孔のうちのいずれかを構成する第1孔11aの短径及び長径の平均値から算出され、例えば0.1nm以上1.5nm以下であり、好ましくは0.5nm以上0.8nm以下である。また、第1拡径部12の内径D E1は、例えば0.5nm以上50nm以下であり、好ましくは1.1nm以上40nm以下、より好ましくは1.1nm以上3.3nm以下である。第1拡径部12の内径D E1は、例えば後述する第1前駆体材料(A1)の細孔径、及び包接される第1触媒物質20の平均粒径D C1に依存する。第1拡径部12の内径D E1は、第1触媒物質20を包接し得る大きさである。
[0096]
 第1担体10は、ゼオライト型化合物で構成される。ゼオライト型化合物としては、例えば、ゼオライト(アルミノケイ酸塩)、陽イオン交換ゼオライト、シリカライト等のケイ酸塩化合物、アルミノホウ酸塩、アルミノヒ酸塩、ゲルマニウム酸塩等のゼオライト類縁化合物、リン酸モリブデン等のリン酸塩系ゼオライト類似物質などが挙げられる。中でも、ゼオライト型化合物はケイ酸塩化合物であることが好ましい。
[0097]
 ゼオライト型化合物の骨格構造は、FAU型(Y型又はX型)、MTW型、MFI型(ZSM-5)、FER型(フェリエライト)、LTA型(A型)、MWW型(MCM-22)、MOR型(モルデナイト)、LTL型(L型)、BEA型(ベータ型)などの中から選択され、好ましくはMFI型であり、より好ましくはZSM-5である。ゼオライト型化合物には、各骨格構造に応じた孔径を有する孔が複数形成されており、例えばMFI型の最大孔径は0.636nm(6.36Å)、平均孔径0.560nm(5.60Å)である。
[0098]
 以下、第1触媒物質20について詳しく説明する。 第1触媒物質20は第1金属微粒子である。第1金属微粒子は一次粒子の状態で第1通路11に保持されている場合と、一次粒子が凝集して形成された二次粒子の状態で第1通路11に保持されている場合とがある。いずれの場合にも、第1金属微粒子の平均粒径D C1は、好ましくは第1通路11の平均内径D F1よりも大きく、且つ第1拡径部12の内径D E1以下である(D F1<D C1≦D E1)。このような第1触媒物質20は、第1通路11内では、好適には第1拡径部12に包接されており、第1担体10内での第1触媒物質20の移動が規制される。よって、第1触媒物質20が流体から外力を受けた場合であっても、第1担体10内での第1触媒物質20の移動が抑制され、第1担体10の第1通路11に分散配置された第1拡径部12、12、・・のそれぞれに包接された第1触媒物質20、20、・・同士が接触するのを有効に防止することができる。
[0099]
 第1金属微粒子の平均粒径D C1は、1nm以上13.0nm以下であることが好ましい。第1金属微粒子の平均粒径D C1が当該範囲内であると、触媒活性は十分に増加し、平均粒径D C1が小さくなるにつれて、触媒活性は向上する。また、高い触媒活性と耐コーキング性の両立の観点から、第1金属微粒子の平均粒径D C1は、好ましくは9.0nm以下であり、より好ましくは4.5nm以下である。また、第1金属微粒子が後述のように鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)からなる群から選択される少なくとも1種の金属から構成される微粒子である場合、第1金属微粒子の平均粒径D C1が当該範囲内であると、触媒活性と共に耐コーキング性の両方が十分に向上する。
[0100]
 また、第1触媒物質20が第1金属微粒子である場合、第1金属微粒子の第1金属元素(M1)は、第1触媒構造体1に対して、0.5質量%以上7.6質量%以下で含有されているのが好ましく、0.5質量%以上6.9質量%以下で含有されているのがより好ましく、0.5質量%以上2.5質量%以下で含有されているのがさらに好ましく、0.5質量%以上1.5質量%以下で含有されているのが最も好ましい。例えば、第1金属元素(M1)がNiである場合、Ni元素の含有量(質量%)は、{(Ni元素の質量)/(第1触媒構造体1の全元素の質量)}×100で表される。
[0101]
 第1金属微粒子は、酸化されていない金属を含んで構成されていればよく、例えば、単一の金属で構成されていてもよく、又は2種以上の金属の混合物で構成されていてもよい。なお、本明細書において、第1金属微粒子を構成する(材質としての)「金属」は、1種の第1金属元素(M1)を含む単体金属と、2種以上の第1金属元素(M1)を含む金属合金とを含む意味であり、1種以上の第1金属元素を含む金属の総称である。また、第1金属微粒子と金属元素が同じ金属酸化物が使用環境で還元され結果的に第1金属微粒子の組成になる場合、前記金属酸化物は実質的に第1金属微粒子とみなすことができる。
[0102]
 このような金属としては、例えばロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、セリウム(Ce)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)等が挙げられ、上記のいずれか1種以上を主成分とすることが好ましい。特に、第1金属微粒子は、触媒活性の観点で、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)からなる群から選択される少なくとも1種の金属から構成される微粒子であることが好ましく、触媒活性の観点から、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)及びニッケル(Ni)からなる群から選択される少なくとも1種の金属がより好ましく、中でも価格と性能の両立の観点から、ニッケル(Ni)が特に好ましい。
[0103]
 また、第1金属微粒子を構成する第1金属元素(M1)に対する、第1担体10を構成するケイ素(Si)の割合(原子数比Si/M)は、10以上1000以下であることが好ましく、50以上200以下であるのがより好ましい。上記割合が1000より大きいと、触媒活性が低く、触媒物質としての作用が十分に得られない可能性がある。一方、上記割合が10よりも小さいと、第1金属微粒子の割合が大きくなりすぎて、第1担体10の強度が低下する傾向がある。なお、ここでいう第1金属微粒子20は、第1担体10の内部に存在し、又は担持された微粒子をいい、第1担体10の外表面に付着した金属微粒子を含まない。
[0104]
[第1触媒構造体の機能] 第1触媒構造体1は、上記のとおり、多孔質構造の第1担体10と、第1担体に内在する少なくとも1つの第1触媒物質20とを備える。第1触媒構造体1は、第1担体10に内在する第1触媒物質20が流体と接触することにより、第1触媒物質20の機能に応じた触媒能を発揮する。具体的に、第1触媒構造体1の第1外表面10aに接触した流体は、第1外表面10aに形成された第1孔11aから第1担体10内部に流入して第1通路11内に誘導され、第1通路11内を通って移動し、他の第1孔11aを通じて第1触媒構造体1の外部へ出る。流体が第1通路11内を通って移動する経路において、第1通路11に保持された第1触媒物質20と接触することによって、第1触媒物質20に応じた触媒反応が生じる。また、第1触媒構造体1は、担体が多孔質構造であることにより、分子篩能を有する。
[0105]
 まず、第1触媒構造体1の分子篩能について、流体がメタン含有ガスと二酸化炭素である場合を例として説明する。なお、メタン含有ガスとは、メタンと、メタン以外のガスとを含む混合ガスのことをいう。また、第1触媒構造体1に対して、メタン含有ガスと二酸化炭素を順に接触させてもよく、同時に接触させてもよい。
[0106]
 第1孔11aの孔径以下、言い換えれば、第1通路11の内径以下の大きさを有する分子で構成される化合物(例えば、メタン、二酸化炭素)は、第1担体10内に流入することができる。一方、第1孔11aの孔径を超える大きさを有する分子で構成されるガス成分は、第1担体10内へ流入することができない。このように、流体が複数種類の化合物を含んでいる場合に、第1担体10内に流入することができない化合物の反応は規制され、第1担体10内に流入することができる化合物を反応させることができる。本実施形態では、メタンと二酸化炭素との反応が進行する。
[0107]
 反応によって第1担体10内で生成した化合物のうち、第1孔11aの孔径以下の大きさを有する分子で構成される化合物のみが第1孔11aを通じて第1担体10の外部へ出ることができ、反応生成物として得られる。一方、第1孔11aから第1担体10の外部へ出ることができない化合物は、第1担体10の外部へ出ることができる大きさの分子で構成される化合物に変換させれば、第1担体10の外部へ出すことができる。このように、第1触媒構造体1を用いることにより、特定の反応生成物を選択的に得ることができる。本実施形態では、具体的に、メタンと二酸化炭素が反応して、一酸化炭素と水素とを含む合成ガスが反応生成物として得られる。
[0108]
 第1触媒構造体1では、第1通路11の第1拡径部12に第1触媒物質20が包接されている。第1触媒物質20(金属微粒子)の平均粒径D C1が、第1通路11の平均内径D F1よりも大きく、第1拡径部12の内径D E1よりも小さい場合には(D F1<D C1<D E1)、第1触媒物質20と第1拡径部12との間に第1小通路13が形成される。そこで、第1小通路13に流入した流体が第1触媒物質20と接触する。各第1触媒物質20は、第1拡径部12に包接されているため、第1担体10内での移動が制限されている。これにより、第1担体10内における第1触媒物質20同士の凝集が防止される。その結果、第1触媒物質20と流体との大きな接触面積を安定して維持することができる。
[0109]
 本実施形態では、第1触媒構造体1を用いることにより、メタン含有ガスと二酸化炭素とを原料として、一酸化炭素と水素とを含む合成ガスを製造することができる。この触媒反応は、好ましくは600℃以上1000℃以下、例えば800℃以上の高温下で行われるが、第1触媒物質20は第1担体10に内在しているため、加熱による影響を受けにくい。その結果、触媒活性の低下が抑制され、第1触媒構造体1の長寿命化を実現することができる。
[0110]
[第1触媒構造体の製造方法] 以下、第1担体に内在する第1触媒物質20が金属微粒子である場合を例に、第1触媒構造体の製造方法の一例を説明する。
[0111]
(ステップS1-1:準備工程) まず、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の第1担体を得るための第1前駆体材料(A1)を準備する。前駆体材料(A1)は、好ましくは規則性メソ細孔物質であり、第1触媒構造体の第1担体を構成するゼオライト型化合物の種類(組成)に応じて適宜選択できる。
[0112]
 ここで、第1触媒構造体の第1担体を構成するゼオライト型化合物がケイ酸塩化合物である場合には、規則性メソ細孔物質は、細孔径1nm以上50nm以下の細孔が1次元、2次元又は3次元に均一な大きさかつ規則的に発達したSi-O骨格からなる化合物であることが好ましい。このような規則性メソ細孔物質は、合成条件によって様々な合成物として得られるが、合成物の具体例としては、例えばSBA-1、SBA-15、SBA-16、KIT-6、FSM-16、MCM-41等が挙げられ、中でもMCM-41が好ましい。なお、SBA-1の細孔径は10nm以上30nm以下、SBA-15の細孔径は6nm以上10nm以下、SBA-16の細孔径は6nm、KIT-6の細孔径は9nm、FSM-16の細孔径は3nm以上5nm以下、MCM-41の細孔径は1nm以上10nm以下である。また、このような規則性メソ細孔物質としては、例えばメソポーラスシリカ、メソポーラスアルミノシリケート、メソポーラスメタロシリケート等が挙げられる。
[0113]
 第1前駆体材料(A1)は、市販品及び合成品のいずれであってもよい。第1前駆体材料(A1)を合成する場合には、公知の規則性メソ細孔物質の合成方法を採用することができる。例えば、第1前駆体材料(A1)の構成元素を含有する原料と、第1前駆体材料(A1)の構造を規定するための鋳型剤とを含む混合溶液を調製し、必要に応じてpHを調整して、水熱処理(水熱合成)を行う。その後、水熱処理により得られた沈殿物(生成物)を回収(例えば、ろ別)し、必要に応じて洗浄及び乾燥し、さらに焼成することで、粉末状の規則性メソ細孔物質である第1前駆体材料(A1)が得られる。ここで、混合溶液の溶媒としては、例えば水、アルコール等の有機溶媒、これらの混合溶媒などを用いることができる。また、原料は、第1担体の種類に応じて選択されるが、例えばテトラエトキシシラン(TEOS)等のシリカ剤、フュームドシリカ、石英砂等が挙げられる。また、鋳型剤としては、各種界面活性剤、ブロックコポリマー等を用いることができ、規則性メソ細孔物質の合成物の種類に応じて選択することが好ましく、例えばMCM-41を作製する場合にはヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等の界面活性剤が好適である。水熱処理は、例えば、密閉容器内で、80℃以上800℃以下、5時間以上240時間以下、0kPa以上2000kPa以下の処理条件で行うことができる。焼成処理は、例えば、空気中で、350℃以上850℃以下、2時間以上30時間以内の処理条件で行うことができる。
[0114]
(ステップS1-2:含浸工程) 次に、準備した第1前駆体材料(A1)に、第1金属含有溶液を含浸させ、第1前駆体材料(B1)を得る。
[0115]
 第1金属含有溶液は、第1金属微粒子を構成する第1金属元素(M1)に対応する金属成分(例えば、金属イオン)を含有する溶液であればよく、例えば、溶媒に、第1金属元素(M1)を含有する金属塩を溶解させることにより調製できる。このような金属塩としては、例えば、塩化物、水酸化物、酸化物、硫酸塩、硝酸塩等が挙げられ、中でも硝酸塩が好ましい。溶媒としては、例えば水、アルコール等の有機溶媒、これらの混合溶媒などを用いることができる。
[0116]
 第1前駆体材料(A1)に第1金属含有溶液を含浸させる方法は、特に限定されないが、例えば、後述する焼成工程S1-3の前に、粉末状の第1前駆体材料(A1)を撹拌しながら、第1金属含有溶液を複数回に分けて少量ずつ添加することが好ましい。また、第1前駆体材料(A1)の細孔内部に第1金属含有溶液がより浸入し易くなる観点から、第1前駆体材料(A1)に、第1金属含有溶液を添加する前に予め、添加剤として界面活性剤を添加しておくことが好ましい。このような添加剤は、第1前駆体材料(A1)の外表面を被覆する働きがあり、その後に添加される第1金属含有溶液が第1前駆体材料(A1)の外表面に付着することを抑制し、第1金属含有溶液が第1前駆体材料(A1)の細孔内部により浸入し易くなると考えられる。
[0117]
 このような添加剤としては、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどの非イオン性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、分子サイズが大きく第1前駆体材料(A1)の細孔内部には浸入できないため、細孔の内部に付着することは無く、第1金属含有溶液が細孔内部に浸入することを妨げないと考えられる。非イオン性界面活性剤の添加方法としては、例えば、後述する焼成工程S1-3の前に、非イオン性界面活性剤を、第1前駆体材料(A1)に対して50質量%以上500質量%以下添加するのが好ましい。非イオン性界面活性剤の第1前駆体材料(A1)に対する添加量が50質量%未満であると上記の抑制作用が発現し難く、非イオン性界面活性剤を第1前駆体材料(A1)に対して500質量%よりも多く添加すると溶液の粘度が上がりすぎる。よって、非イオン性界面活性剤の第1前駆体材料(A1)に対する添加量を上記範囲内の値とする。
[0118]
 また、第1前駆体材料(A1)に添加する第1金属含有溶液の添加量は、第1前駆体材料(A1)に含浸させる第1金属含有溶液中に含まれる第1金属元素(M1)の量(すなわち、第1前駆体材料(B1)に内在させる第1金属元素(M1)の量)を考慮して、適宜調整することが好ましい。例えば、後述する焼成工程S1-3の前に、第1前駆体材料(A1)に添加する第1金属含有溶液の添加量を、第1前駆体材料(A1)に添加する第1金属含有溶液中に含まれる第1金属元素(M1)に対する、第1前駆体材料(A1)を構成するケイ素(Si)の比(原子数比Si/M)に換算して、10以上1000以下となるように調整することが好ましく、50以上200以下となるように調整することがより好ましい。例えば、第1前駆体材料(A1)に第1金属含有溶液を添加する前に、添加剤として界面活性剤を第1前駆体材料(A1)に添加した場合、第1前駆体材料(A1)に添加する第1金属含有溶液の添加量を、原子数比Si/Mに換算して50以上200以下とすることで、第1金属微粒子の第1金属元素(M1)を、第1触媒構造体1に対して0.5質量%以上7.6質量%以下で含有させることができる。第1前駆体材料(B1)の状態で、その細孔内部に存在する第1金属元素(M1)の量は、第1金属含有溶液の金属濃度や、上記添加剤の有無、その他温度や圧力等の諸条件が同じであれば、第1前駆体材料(A1)に添加する第1金属含有溶液の添加量に概ね比例する。また、第1前駆体材料(B1)に内在する第1金属元素(M1)の量は、第1触媒構造体の第1担体に内在する第1金属微粒子を構成する第1金属元素の量と比例関係にある。したがって、第1前駆体材料(A1)に添加する第1金属含有溶液の添加量を上記範囲に制御することにより、第1前駆体材料(A1)の細孔内部に第1金属含有溶液を十分に含浸させることができ、ひいては、第1触媒構造体の第1担体に内在させる第1金属微粒子の量を調整することができる。
[0119]
 第1前駆体材料(A1)に第1金属含有溶液を含浸させた後は、必要に応じて、洗浄処理を行ってもよい。洗浄溶液として、水、アルコール等の有機溶媒、これらの混合溶媒等を用いることができる。また、第1前駆体材料(A)に第1金属含有溶液を含浸させ、必要に応じて洗浄処理を行った後、さらに乾燥処理を施すことが好ましい。乾燥処理としては、一晩程度の自然乾燥、150℃以下の高温乾燥等が挙げられる。なお、第1前駆体材料(A1)に、第1金属含有溶液に含まれる水分及び洗浄溶液の水分が多く残った状態で後述の焼成処理S1-3を行うと、第1前駆体材料(A1)の規則性メソ細孔物質としての骨格構造が壊れる恐れがあるので、十分に乾燥させることが好ましい。
[0120]
(ステップS1-3:焼成工程) 次に、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の第1担体を得るための第1前駆体材料(A1)に第1金属含有溶液が含浸された第1前駆体材料(B1)を焼成して、第1前駆体材料(C1)を得る。
[0121]
 焼成処理は、例えば、空気中で、350℃以上850℃以下、2時間以上30時間以下の処理条件で行うことが好ましい。このような焼成処理により、規則性メソ細孔物質の孔内に含浸された金属成分が結晶成長して、孔内で第1金属微粒子が形成される。
[0122]
(ステップS1-4:水熱処理工程) 次いで、第1前駆体材料(C1)と第1構造規定剤とを混合した混合溶液を調製し、前記第1前駆体材料(B1)を焼成して得られた第1前駆体材料(C1)を水熱処理して、第1触媒構造体を得る。
[0123]
 第1構造規定剤は、第1触媒構造体の第1担体の骨格構造を規定するための鋳型剤であり、例えば界面活性剤を用いることができる。第1構造規定剤は、第1触媒構造体の第1担体の骨格構造に応じて選択することが好ましく、例えばテトラメチルアンモニウムブロミド(TMABr)、テトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)、テトラプロピルアンモニウムブロミド(TPABr)等の界面活性剤が好適である。
[0124]
 第1前駆体材料(C1)と第1構造規定剤との混合は、本水熱処理工程時に行ってもよいし、水熱処理工程の前に行ってもよい。また、上記混合溶液の調製方法は、特に限定されず、第1前駆体材料(C1)と、第1構造規定剤と、溶媒とを同時に混合してもよいし、溶媒に第1前駆体材料(C1)と第1構造規定剤とをそれぞれ個々の溶液に分散させた状態にした後に、それぞれの分散溶液を混合してもよい。溶媒としては、例えば水、アルコール等の有機溶媒、これらの混合溶媒などを用いることができる。また、混合溶液は、水熱処理を行う前に、酸又は塩基を用いてpHを調整しておくことが好ましい。
[0125]
 水熱処理は、公知の方法で行うことができ、例えば、密閉容器内で、80℃以上800℃以下、5時間以上240時間以内、0kPa以上2000kPa以下の処理条件で行うことが好ましい。また、水熱処理は、塩基性雰囲気下で行われることが好ましい。 ここでの反応メカニズムは必ずしも明らかではないが、第1前駆体材料(C1)を原料として水熱処理を行うことにより、第1前駆体材料(C1)の規則性メソ細孔物質としての骨格構造は次第に崩れるが、第1前駆体材料(C1)の細孔内部での第1金属微粒子の位置は概ね維持されたまま、第1構造規定剤の作用により、第1触媒構造体の第1担体としての新たな骨格構造(多孔質構造)が形成される。このようにして得られた第1触媒構造体は、多孔質構造の第1担体と、第1担体に内在する第1金属微粒子を備え、さらに第1担体はその多孔質構造により複数の第1孔が互いに連通した第1通路を有し、第1金属微粒子はその少なくとも一部分が第1担体の第1通路に存在している。 また、本実施形態では、上記水熱処理工程において、第1前駆体材料(C1)と第1構造規定剤とを混合した混合溶液を調製して、第1前駆体材料(C1)を水熱処理しているが、これに限らず、第1前駆体材料(C1)と第1構造規定剤とを混合すること無く、第1前駆体材料(C1)を水熱処理してもよい。
[0126]
 水熱処理後に得られる沈殿物(第1触媒構造体)は、回収(例えば、ろ別)後、必要に応じて洗浄処理、乾燥処理及び焼成処理を施すことが好ましい。洗浄溶液としては、水、アルコール等の有機溶媒、これらの混合溶媒等を用いることができる。乾燥処理としては、一晩程度の自然乾燥や、150℃以下の高温乾燥が挙げられる。なお、沈殿物に水分が多く残った状態で焼成処理を行うと、第1触媒構造体の第1担体としての骨格構造が壊れる恐れがあるので、十分に乾燥させることが好ましい。また、焼成処理は、例えば、空気中で、350℃以上850℃以下、2時間以上30時間以内の処理条件で行うことができる。このような焼成処理により、第1触媒構造体に付着していた第1構造規定剤が焼失する。また、第1触媒構造体は、使用目的に応じて、回収後の沈殿物に対して焼成処理を施すことなくそのまま用いることもできる。例えば、第1触媒構造体の使用する環境が、酸化性雰囲気の高温環境である場合には、使用環境に一定時間晒すことで、第1構造規定剤は焼失する。この場合、焼成処理を施した場合と同様の第1触媒構造体が得られるので、焼成処理を施す必要がない。
[0127]
 以上説明した第1触媒構造体の製造方法は、第1前駆体材料(A1)に含浸させる金属含有溶液に含まれる第1金属元素(M1)が、酸化され難い金属種(例えば、貴金属)である場合の一例である。
[0128]
 第1前駆体材料(A1)に含浸させる金属含有溶液中に含まれる第1金属元素(M1)が、酸化され易い金属種(例えば、Fe、Co、Ni等)である場合には、上記水熱処理工程後に、水熱処理された第1前駆体材料(C1)に還元処理を行うことが好ましい。金属含有溶液中に含まれる第1金属元素(M1)が、酸化され易い金属種である場合、含浸処理(ステップS1-2)の後の工程(ステップS1-3~S1-4)における熱処理により、金属成分が酸化されてしまう。そのため、水熱処理工程(ステップS1-4)で形成される担体には、金属酸化物微粒子が内在することになる。そのため、第1担体に第1金属微粒子が内在する第1触媒構造体を得るためには、上記水熱処理後に、回収した沈殿物を焼成処理し、さらに水素ガス等の還元ガス雰囲気下で還元処理することが望ましい。還元処理を行うことにより、第1担体に内在する金属酸化物微粒子が還元され、金属酸化物微粒子を構成する第1金属元素(M1)に対応する第1金属微粒子が形成される。その結果、第1担体に第1金属微粒子が内在する第1触媒構造体が得られる。なお、このような還元処理は、必要に応じて行えばよく、例えば、第1触媒構造体の使用する環境が、還元雰囲気である場合には、使用環境に一定時間晒すことで、金属酸化物微粒子は還元される。この場合、還元処理した場合と同様の第1触媒構造体が得られるので、還元処理を施す必要がない。
[0129]
[第1触媒構造体1の変形例] 図3は、図2の第1触媒構造体1の変形例である第1触媒構造体2を示す模式図である。 図2の第1触媒構造体1は、第1担体10と、第1担体10に内在する第1触媒物質20とを備えるが、この構成だけには限定されず、例えば、図3に示すように、第1触媒構造体2が、第1担体10に内在する第1触媒物質20に加えて、第1担体10の外表面10aに保持された少なくとも1つの他の触媒物質30を更に備えていてもよい。
[0130]
 この触媒物質30は、一又は複数の触媒能を発揮する物質である。他の触媒物質30が有する触媒能は、第1触媒物質20が有する触媒能と同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、第1触媒物質20と触媒物質30の双方が同一の触媒能を有する物質である場合、他の触媒物質30の材料は、第1触媒物質20の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。本構成によれば、第1触媒構造体2に保持された触媒物質の含有量を増大することができ、触媒物質の触媒活性を更に促進することができる。
[0131]
 この場合、第1担体10に内在する第1触媒物質20の含有量は、第1担体10の外表面10aに保持された他の触媒物質30の含有量よりも多いことが好ましい。これにより、第1担体10の内部に保持された第1触媒物質20による触媒能が支配的となり、第1触媒物質の触媒能が安定的に発揮される。
[0132]
[第2触媒構造体の構成]
 上記の炭化水素の製造装置100の第2触媒構造体収容部108に収容される第2触媒構造体の構成を概略的に示す図は、第1触媒構造体1と基本的に同様である。そのため、本明細書における第2触媒構造体の概略図は、簡略化の観点から、図2および3において、第1触媒構造体1を第2触媒構造体に、第1担体10を第2担体に、第1担体の外表面10aを第2担体の外表面に、第1通路11を第2通路に、第1孔11aを第2孔に、第1拡径部12を第2拡径部に、第1小通路13を第2小通路に、第1触媒物質20を第2金属微粒子に、第1触媒物質20の平均粒径D C1を第2金属微粒子の平均粒径D C2に、第1拡径部12の内径D E1を第2拡径部の内径D E2に、第1通路11の平均内径D F1を第2通路の平均内径D F2に、それぞれ読み替える。第2触媒構造体は、FT合成反応に好適な触媒である。
[0133]
 第2触媒構造体は、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の第2担体と、該第2担体に内在する、少なくとも1つの第2金属微粒子とを備える。
[0134]
 第2触媒構造体において、複数の第2金属微粒子は、第2担体の多孔質構造の内部に包接されている。第2金属微粒子は、触媒能(触媒活性)を有する触媒物質である。金属微粒子については、詳しくは後述する。また、金属微粒子20は、金属酸化物や金属の合金、またはこれらの複合材料を含む粒子であってもよい。
[0135]
 第2担体は、多孔質構造であり、図2(b)に示すように、好適には複数の第2孔が形成されることにより、第2担体の外部と連通する第2通路を有する。ここで、第2担体の第2通路の一部は、平均内径が0.95nm以下であり、第2金属微粒子は、平均内径が0.95nm以下の第2通路に存在しており、好ましくは平均内径が0.95nm以下の第2通路に保持されている。
[0136]
 このような構成により、特に、FT合成反応において、上記炭化水素の選択性を高めることができる。また、第2担体内での第2金属微粒子の移動が規制され、第2金属微粒子同士の凝集が有効に防止されている。その結果、第2金属微粒子としての有効表面積の減少を効果的に抑制することができ、第2金属微粒子の触媒活性は長期にわたって持続する。すなわち、第2触媒構造体によれば、第2金属微粒子の凝集による触媒活性の低下を抑制でき、第2触媒構造体としての長寿命化を図ることができる。また、第2触媒構造体の長寿命化により、第2触媒構造体の交換頻度を低減でき、使用済みの第2触媒構造体の廃棄量を大幅に低減することができ、省資源化を図ることができる。
[0137]
 通常、第2触媒構造体を、流体(例えば、重質油や、NOx等の改質ガスなど)の中で用いる場合、流体から外力を受ける可能性がある。第2触媒構造体では、第1触媒構造体1と同様に、第2通路内に保持された第2金属微粒子が流体から受ける圧力は、第2担体の外部において第2金属微粒子が流体から受ける圧力に比べて低くなる。そのため、第2担体に内在する第2金属微粒子が離脱することを効果的に抑制でき、第2金属微粒子の触媒活性を長期的に安定して維持することが可能となる。
[0138]
 また、第1触媒構造体1と同様に、第2通路は、ゼオライト型化合物の骨格構造によって画定される一次元孔、二次元孔及び三次元孔のうちのいずれかと、上記一次元孔、上記二次元孔及び上記三次元孔のうちのいずれとも異なる第2拡径部とを有していることが好ましく、このとき、第2金属微粒子は、少なくとも第2拡径部に存在していることが好ましく、少なくとも第2拡径部に包接されていることがより好ましい。また、第2拡径部は、上記一次元孔、上記二次元孔及び上記三次元孔のうちのいずれかを構成する複数の第2孔同士を連通しているのが好ましい。これにより、第2担体の内部に、一次元孔、二次元孔又は三次元孔とは異なる別途の通路が設けられるので、第2金属微粒子の機能をより発揮させることができる。また、第2金属微粒子の第2担体内での移動がさらに規制され、第2金属微粒子の離脱、第2金属微粒子同士の凝集をさらに有効に防止することができる。
[0139]
 また、第2金属微粒子20が拡径部12に包接されている構成だけには限定されず、第2金属微粒子は、その一部が第2拡径部の外側にはみ出した状態で第2通路に保持されていてもよい。また、第2金属微粒子は、第2拡径部以外の第2通路の部分(例えば第2通路の内壁部分)に部分的に埋設され、または固着等によって保持されていてもよい。
[0140]
 また、第2通路は、第2担体の内部に、分岐部または合流部を含んで三次元的に形成されており、第2拡径部は、第2通路の上記分岐部または合流部に設けられるのが好ましい。
[0141]
 第2担体に形成された第2通路の全体の平均内径D F2は、上記一次元孔、二次元孔及び三次元孔のうちのいずれかを構成する第2孔の短径及び長径の平均値から算出され、例えば0.10nm以上1.50nm以下であり、好ましくは0.49nm以上0.95nm以下である。また、FT合成反応では、一酸化炭素と水素が原料であり、一酸化炭素の分子サイズは約0.38nm、水素の分子サイズは約0.29nmである。そのため、第2通路の全体の平均内径D F2は、0.40nm以上1.50nm以下であることが好ましく、0.49nm以上0.95nm以下であることがより好ましく、0.49nm以上0.70nm以下であることがさらに好ましい。また、第2拡径部の内径D E2は、例えば0.5nm以上50nm以下であり、好ましくは1.1nm以上40nm以下、より好ましくは1.1nm以上3.3nm以下である。第2拡径部の内径D E2は、例えば後述する第2前駆体材料(A2)の細孔径、及び包接される第2金属微粒子の平均粒径D C2に依存する。第2拡径部の内径D E2は、第2金属微粒子を包接し得る大きさである。
[0142]
 第2担体は、ゼオライト型化合物で構成される。ゼオライト型化合物としては、例えば第1触媒構造体1と同様である。中でも、ゼオライト型化合物はケイ酸塩化合物であることが好ましい。
[0143]
 ゼオライト型化合物の骨格構造は、第1触媒構造体1と同様であり、好ましくはMFI型、MOR型、BEA型である。
[0144]
 ゼオライト型化合物には、各骨格構造に応じた孔径を有する孔が複数形成されており、例えばMFI型([010]軸)の孔径においては、短い孔径が0.53nm(5.30Å)であり、長い孔径が0.56nm(5.50Å)であるため、平均孔径(平均内径)は約0.55nm(5.50Å)である。一方、ゼオライト型化合物の骨格構造に依存する第2担体の内部に存在する第2通路の内径が、得られる生成物の大きさ、例えば分子サイズよりも小さい場合、第2通路を介したこのような生成物の移動が制限される。また、炭化水素の合成では、ゼオライト型化合物の細孔内部に存在する第2金属微粒子に反応物質が接触することより炭素鎖が成長する。そのため、第2通路の一部、すなわち、触媒物質としての第2金属微粒子を内在させる第2通路における平均内径D T2が0.95nm以下であるゼオライト型化合物から構成される第2担体を使用する。これにより、ゼオライト型化合物に形成されている細孔サイズに基づき、炭素鎖の成長が抑制され、比較的大きい分子サイズの重質炭化水素の生成が抑制される。このように、第2金属微粒子が存在する第2通路の一部の平均内径D T2を0.95nm以下に制御することにより、例えば、フィッシャー・トロプシュ合成反応において、炭素数が4以下のオレフィンや上記芳香族炭化水素の選択性を高めることができる。尚、平均内径D T2は、ゼオライト型化合物の骨格構造に応じて異なるものの、炭素数が3以上の生成物が石化原料として有用である観点から、平均内径D T2の下限値は0.39nm以上であることが好ましい。また、ゼオライト型化合物に存在する細孔は、必ずしも円形とは限らず多角形である場合もある。そのため、平均内径D T2は、例えば、各細孔において、長い孔径(長軸)と短い孔径(短軸)を足して等分した値から算出してもよい。
[0145]
 第2金属微粒子を内在している第2通路の一部について、平均内径D T2をより厳密に制御することにより、生成される軽質炭化水素の選択性をより高めることができ、特に平均内径D T2と同等の分子サイズを有する軽質炭化水素の選択性を高めることが可能となる。例えば、炭素数が3の軽質炭化水素の分子サイズは0.49nm以上0.59nm未満、炭素数が4の軽質炭化水素の分子サイズは0.59nm以上0.70nm未満、炭素数が5の軽質炭化水素の分子サイズは0.70nm以上0.79nm未満、炭素数が6の軽質炭化水素の分子サイズは0.79nm以上0.95nm未満である。また、炭素数が6のn-ヘキセンの分子サイズは約0.91nmであり、炭素数が5のn-ペンテンの分子サイズは約0.78nmであり、炭素数が4のn-ブテンの分子サイズは約0.65nmであり、炭素数が3のプロピレンの分子サイズは約0.52nmであり、炭素数が2のエチレンの分子サイズは約0.39nmである。そのため、生成物として炭素数が4以下の炭化水素の選択性を高める場合、第2通路の一部における平均内径D T2は0.75nm以下であることが好ましく、炭素数が4の炭化水素、例えばn-ブテンの選択性を高める場合、第2通路の一部における平均内径D T2は0.75nm未満であることがより好ましく、0.55nm以上0.75nm未満であることがさらに好ましく、炭素数が3の炭化水素よりも炭素数が4の炭化水素の選択性が高く、n-ブテンの回収をより選択的に行える観点から0.63nm以上0.75nm未満であることが特に好ましい。生成物として炭素数が3の炭化水素、例えばプロピレンの選択性を高める場合、第2通路の一部における平均内径D T2は0.68nm未満であることが好ましく、0.39nmより大きく0.68nm未満であることがより好ましい。また、軽質炭化水素の選択性は、ゼオライト型化合物に形成されている細孔サイズだけでなく、ゼオライト型化合物の骨格構造、生成される軽質炭化水素の分子運動等の影響も受ける場合がある。例えば、ゼオライト型化合物の骨格構造がMFI型である場合、プロピレン、ブテン(n-ブテン及びイソブテン)等のオレフィンの選択性が高まる傾向にある。このように、平均内径D T2よりも大きい分子サイズを有する軽質炭化水素であっても、これらの影響により、選択性を高めることができる。
[0146]
 第2金属微粒子は一次粒子である場合と、一次粒子が凝集して形成した二次粒子である場合とがあるが、第2金属微粒子の平均粒径D C2は、好ましくは第2通路の全体の平均内径D F2よりも大きく、且つ第2拡径部の内径D E2以下である(D F2<D C2≦D E2)。このような第2金属微粒子は、第2通路内では、好適には第2拡径部に存在しており、第2担体内での第2金属微粒子の移動が規制される。よって、第2金属微粒子が流体から外力を受けた場合であっても、第2担体内での第2金属微粒子の移動が抑制され、第2担体の第2通路に分散配置された第2拡径部のそれぞれに存在する第2金属微粒子同士が接触するのを有効に防止することができる。
[0147]
 また、第2金属微粒子の平均粒径D C2は、一次粒子および二次粒子のいずれの場合も、好ましくは0.08nm以上である。また、第2通路の全体の平均内径D F2に対する第2金属微粒子の平均粒径D C2の割合(D C2/D F2)は、好ましくは0.05以上300以下であり、より好ましくは0.1以上30以下であり、更に好ましくは1.1以上30以下であり、特に好ましくは1.4以上3.6以下である。また、第2金属微粒子の第2金属元素(M2)は、第2触媒構造体に対して、0.5質量%以上7.6質量%以下で含有されているのが好ましく、0.5質量%以上6.9質量%以下で含有されているのがより好ましく、0.5質量%以上2.5質量%以下で含有されているのがさらに好ましく、0.5質量%以上1.5質量%以下で含有されているのが最も好ましい。
[0148]
 第2金属微粒子は、酸化されていない金属を含んで構成されていればよく、例えば、単一の金属で構成されていてもよく、あるいは2種以上の金属の混合物で構成されていてもよい。なお、本明細書において、第2金属微粒子を構成する(材質としての)「金属」は、1種の第2金属元素(M2)を含む単体金属と、2種以上の第2金属元素(M2)を含む金属合金とを含む意味であり、1種以上の第2金属元素を含む金属の総称である。また、第2金属微粒子と金属元素が同じ金属酸化物が使用環境で還元され結果的に第2金属微粒子の組成になる場合、前記金属酸化物は実質的に第2金属微粒子とみなすことができる。
[0149]
 第2金属微粒子は、第1金属、または、第1金属と第2金属とを含有する。第1金属としては、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)およびコバルト(Co)からなる群から選択される少なくとも1種の元素である。第2金属としては、第1金属と異なる種類であり、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、Zr(ジルコニウム)およびMn(マンガン)からなる群から選択される少なくとも1種の元素である。第2金属がRuである場合、第1金属は、Ni、FeおよびCoからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。これらの中でも、FT合成反応における有用性の観点から、第2金属微粒子は、少なくともCo、Fe、Ni、Ruの何れかから成る金属微粒子であれば良い。また、FT合成反応における触媒活性向上の観点から、Co、Fe、Ni、Ruのいずれかの第1金属の他に上記第2金属を含んでいることがより好ましい。
[0150]
 また、第2金属微粒子を構成する第2金属元素(M2)に対する、第2担体を構成するケイ素(Si)の割合(原子数比Si/M)は、10以上1000以下であることが好ましく、50以上200以下であることがより好ましく、100以上200以下であることがさらに好ましい。上記割合が1000より大きいと、触媒活性が低いなど、第2金属微粒子の触媒物質としての作用が十分に得られない可能性がある。一方、上記割合が10よりも小さいと、第2金属微粒子20の割合が大きくなりすぎて、第2担体の強度が低下する傾向がある。なお、ここでいう第2金属微粒子は、第2担体の内部に保持され、または担持された微粒子をいい、第2担体の外表面に付着した金属微粒子を含まない。
[0151]
[第2触媒構造体の機能]
 第2触媒構造体は、上記のとおり、多孔質構造の第2担体と、第2担体に内在する少なくとも1つの第2金属微粒子とを備える。第2触媒構造体は、第2担体に内在する第2金属微粒子が流体と接触することにより、第2金属微粒子の触媒能を発揮する。具体的には、第2触媒構造体の外表面に接触した流体は、外表面に形成された第2孔から第2担体内部に流入して第2通路内に誘導され、第2通路内を通って移動し、他の第2孔を通じて第2触媒構造体の外部へ出る。流体が第2通路内を通って移動する経路において、第2通路のうち平均内径が0.95nm以下の通路に存在している第2金属微粒子と接触することによって、第2金属微粒子による触媒反応が生じる。また、第2触媒構造体は、第2担体が多孔質構造であることにより、分子篩能を有する。
[0152]
 まず、第2触媒構造体の分子篩能について、流体が一酸化炭素と水素である場合を例として説明する。なお、第2触媒構造体に対して、一酸化炭素と水素を順に接触させてもよく、同時に接触させてもよい。
[0153]
 第2孔の孔径以下、言い換えれば、第2通路の内径以下の大きさを有する分子(例えば、一酸化炭素、水素)は、第2担体内に浸入することができる。一方、第2孔の孔径を超える大きさを有する分子で構成されるガス成分は、第2担体内へ浸入することができない。このように、流体が複数種類の化合物を含んでいる場合に、第2担体内に浸入することができない化合物の反応は規制され、第2担体内に浸入することができる化合物を反応させることができる。
[0154]
 反応によって第2担体内で生成した化合物のうち、第2孔の孔径以下の大きさを有する分子で構成される化合物のみが第2孔を通じて第2担体の外部へ出ることができ、反応生成物として得られる。一方、第2孔から第2担体の外部へ出ることができない化合物は、第2担体の外部へ出ることができる大きさの分子で構成される化合物に変換させれば、第2担体の外部へ出すことができる。また、生成した化合物の分子運動により、第2孔の孔径より大きな分子も、分子の伸縮運動をしながら第2担体の外部に出ることができる。このように、第2孔の孔径、特に第2金属微粒子の存在する孔径を制御した第2触媒構造体を用いることにより、特定の反応生成物を選択的に得ることができる。本実施形態では、具体的に、一酸化炭素と水素が反応して、プロピレンを含む低級オレフィンと炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素とを含む炭化水素が反応生成物として得られる。
[0155]
 第2触媒構造体では、第2通路の第2拡径部に第2金属微粒子が包接されている。第2金属微粒子の平均粒径D C2が、第2通路の一部における平均内径D T2よりも大きく、第2拡径部の内径D E2よりも小さい場合には(D T2<D C2<D E2)、第2金属微粒子と第2拡径部との間に第2小通路が形成される。そこで、第2小通路に浸入した流体が第2金属微粒子と接触する。各第2金属微粒子は、第2拡径部に包接されているため、第2担体内での移動が制限されている。これにより、第2担体10内における第2金属微粒子同士の凝集が防止される。その結果、第2金属微粒子と流体との大きな接触面積を安定して維持することができる。
[0156]
 具体的には、第2通路に浸入した分子が第2金属微粒子に接触すると、触媒反応によって分子(被改質物質)が改質される。第2通路の一部における平均内径D T2を制御した第2触媒構造体を用いることにより、例えば、水素と一酸化炭素とを主成分とする混合ガスを原料として、低級オレフィンや上記芳香族炭化水素を選択的に製造することができる。また、水素と一酸化炭素とを主成分とするこのFT合成反応は、例えば350℃以上550℃以下の高温下で行われるが、第2金属微粒子は第2担体に内在しているため、加熱による影響を受けにくい。特に、第2金属微粒子は第2拡径部に存在しているため、第2金属微粒子の第2担体内での移動がより制限され、第2金属微粒子同士の凝集(シンタリング)がさらに抑制される。その結果、触媒活性の低下がより抑制され、第2触媒構造体のさらなる長寿命化を実現することができる。また、第2触媒構造体を長期にわたって使用することにより、触媒活性が低下しても、第2金属微粒子は第2担体に結合していないため、第2金属微粒子の活性化処理(還元処理)を容易に行うことができる。
[0157]
[第2触媒構造体の製造方法]
 第2触媒構造体の製造方法は、第1触媒構造体1の製造方法と基本的に同様である。そのため、第2触媒構造体の製造方法については、第1触媒構造体1の製造方法と同様の内容を省略し、異なる内容について説明する。
[0158]
(ステップS2-1:準備工程)
 先ず、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の第2担体を得るための第2前駆体材料(A2)を準備する。
[0159]
 第2触媒構造体の担体を構成するゼオライト型化合物がケイ酸塩化合物である場合の規則性メソ細孔物質については、第1触媒構造体1と同様である。
[0160]
 第2前駆体材料(A2)については、第1触媒構造体1と同様である。
[0161]
(ステップS2-2:含浸工程)
 次に、準備した第2前駆体材料(A2)に、第2金属含有溶液を含浸させ、第2前駆体材料(B2)を得る。
[0162]
 第2金属含有溶液は、第2触媒構造体の第2金属微粒子を構成する第2金属元素(M2)に対応する金属成分(例えば、金属イオン)を含有する溶液であればよく、例えば、溶媒に、第2金属元素(M2)を含有する金属塩を溶解させることにより調製できる。このような金属塩としては、例えば、塩化物、水酸化物、酸化物、硫酸塩、硝酸塩等の金属塩が挙げられ、中でも硝酸塩が好ましい。溶媒としては、例えば水、またはアルコール等の有機溶媒、若しくはこれらの混合溶媒等を用いることができる。
[0163]
 第2前駆体材料(A2)に第2金属含有溶液を含浸させる方法については、第1触媒構造体1と同様である。
[0164]
 また、第2前駆体材料(A2)に添加する第2金属含有溶液の添加量は、第2前駆体材料(A2)に含浸させる第2金属含有溶液中に含まれる第2金属元素(M2)の量(すなわち、第2前駆体材料(B2)に内在させる第2金属元素(M2)の量)を考慮して、適宜調整することが好ましい。例えば、後述する焼成工程S2-3の前に、第2前駆体材料(A2)に添加する第2金属含有溶液の添加量を、第2前駆体材料(A2)に添加する第2金属含有溶液中に含まれる第2金属元素(M2)に対する、第2前駆体材料(A2)を構成するケイ素(Si)の比(原子数比Si/M)に換算して、10以上1000以下となるように調整することが好ましく、50以上200以下となるように調整することがより好ましく、100以上200以下となるように調整することがさらに好ましい。
[0165]
 第2前駆体材料(A2)に第2金属含有溶液を含浸させた後については、第1触媒構造体1と同様である。
[0166]
(ステップS2-3:焼成工程)
 次に、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の第2担体を得るための第2前駆体材料(A2)に第2金属含有溶液が含浸された第2前駆体材料(B2)を焼成して、第2前駆体材料(C2)を得る。焼成処理は、第1触媒構造体1と同様である。
[0167]
(ステップS2-4:水熱処理工程)
 次いで、第2前駆体材料(C2)と第2構造規定剤とを混合した混合溶液を調製し、前記第2前駆体材料(B2)を焼成して得られた第2前駆体材料(C2)を水熱処理して、第2触媒構造体を得る。
[0168]
 第2構造規定剤は、第2触媒構造体の第2担体の骨格構造を規定するための鋳型剤であり、例えば界面活性剤を用いることができる。第2構造規定剤は、第2触媒構造体の第2担体の骨格構造に応じて選択することが好ましく、例えばテトラメチルアンモニウムブロミド(TMABr)、テトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)、テトラプロピルアンモニウムブロミド(TPABr)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)等の界面活性剤が好適である。
[0169]
 第2前駆体材料(C2)と第2構造規定剤との混合や混合溶液の調整方法は、第1触媒構造体1の場合と同様である。
[0170]
 水熱処理は、公知の方法で行うことができ、例えば、第1触媒構造体1と同様である。ここでの反応メカニズムは必ずしも明らかではないが、第2前駆体材料(C2)を原料として水熱処理を行うことにより、第2前駆体材料(C2)の規則性メソ細孔物質としての骨格構造は次第に崩れるが、第2前駆体材料(C2)の細孔内部での第2金属微粒子の位置は概ね維持されたまま、第2構造規定剤の作用により、第2触媒構造体の第2担体としての新たな骨格構造(多孔質構造)が形成される。このようにして得られた第2触媒構造体は、多孔質構造の第2担体と、第2担体に内在する第2金属微粒子を備え、さらに第2担体はその多孔質構造により複数の第2孔が互いに連通した第2通路を有し、第2金属微粒子はその少なくとも一部分が第2担体の第2通路に存在している。また、本実施形態では、上記水熱処理工程において、第2前駆体材料(C2)と第2構造規定剤とを混合した混合溶液を調製して、第2前駆体材料(C2)を水熱処理しているが、これに限らず、第2前駆体材料(C2)と第2構造規定剤とを混合することなく、第2前駆体材料(C2)を水熱処理してもよい。
[0171]
 水熱処理後に得られる沈殿物(第2触媒構造体)は、回収(例えば、ろ別)後、必要に応じて、例えば第1触媒構造体1と同様に、洗浄、乾燥および焼成することが好ましい。
[0172]
 以上説明した第2触媒構造体の製造方法は、第2前駆体材料(A2)に含浸させる金属含有溶液に含まれる第2金属元素(M2)が、酸化され難い金属種(例えば、貴金属)である場合の一例である。
[0173]
 第2前駆体材料(A2)に含浸させる金属含有溶液中に含まれる第2金属元素(M2)が、酸化され易い金属種(例えば、Fe、Co、Ni等)である場合には、上記水熱処理工程後に、水熱処理された第2前駆体材料(C2)に還元処理を行うことが好ましい。金属含有溶液中に含まれる第2金属元素(M2)が、酸化され易い金属種である場合、含浸処理(ステップS2-2)の後の工程(ステップS2-3~S2-4)における熱処理により、金属成分が酸化されてしまう。そのため、水熱処理工程(ステップS2-4)で形成される担体には、金属酸化物微粒子が内在することになる。そのため、第2担体に第2金属微粒子が内在する第2触媒構造体を得るためには、上記水熱処理後に、回収した沈殿物を焼成処理し、さらに水素ガス等の還元ガス雰囲気下で還元処理することが望ましい。還元処理を行うことにより、第2担体に内在する金属酸化物微粒子が還元され、金属酸化物微粒子を構成する第2金属元素(M2)に対応する第2金属微粒子が形成される。その結果、第2担体に第2金属微粒子が内在する第2触媒構造体が得られる。なお、このような還元処理は、必要に応じて行えばよく、例えば、第2触媒構造体の使用する環境が、還元雰囲気である場合には、使用環境に一定時間晒すことで、金属酸化物微粒子は還元されるため、還元処理した場合と同様の第2触媒構造体が得られるので、第2担体に酸化物微粒子が内在した状態でそのまま使用することが可能となる。
[0174]
[第2触媒構造体の変形例] 第2触媒構造体の変形例は、第1触媒構造体の変形例と基本的に同様である。そのため、本明細書における第2触媒構造体の変形例は、簡略化の観点から、第1触媒構造体2(変形例)を第2触媒構造体に読み替える。
[0175]
 第2触媒構造体は、第2担体と、第2担体に内在する第2金属微粒子とを備えるが、この構成だけには限定されず、第2触媒構造体が、第2担体に内在する第2金属微粒子に加えて、第2担体の外表面に保持された少なくとも1つの他の触媒物質30を更に備えていてもよい。
[0176]
 この触媒物質30は、一又は複数の触媒能を発揮する物質である。他の触媒物質30が有する触媒能は、第2金属微粒子が有する触媒能と同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、第2金属微粒子と触媒物質30の双方が同一の触媒能を有する物質である場合、他の触媒物質30の材料は、第2金属微粒子の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。本構成によれば、第2触媒構造体に保持された触媒物質の含有量を増大することができ、触媒物質の触媒活性を更に促進することができる。
[0177]
 この場合、第2担体に内在する第2金属微粒子の含有量は、第2担体の外表面に保持された他の触媒物質30の含有量よりも多いことが好ましい。これにより、第2担体の内部に保持された第2金属微粒子による触媒能が支配的となり、第2触媒物質の触媒能が安定的に発揮される。
[0178]
 以上、実施形態に係る炭化水素の製造装置および炭化水素の製造方法について述べたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
実施例
[0179]
(実施例1-1)
 まず、触媒構造体として、表1に示す第1触媒構造体E1-1を用いた。第1触媒構造体E1-1において、第1触媒物質であるNi(第1金属微粒子)は担体に内在および担体の外表面に担持されていた。第1触媒構造体E1-1を合成ガス生成部の内部に設置した。続いて、第1触媒構造体E1-1を700℃に加熱しながら、5時間にわたって合成ガス生成部にメタンと二酸化炭素とを体積比1:1で供給し(GHSV=5600h -1)、合成ガス生成部から排出されたガス中の一酸化炭素および水素の有無を検出器で測定した。その結果、検出器が一酸化炭素および水素を検出したので、合成ガス生成部で合成ガスを生成することができることを確認した。
[0180]
[評価1]
 次に、メタン転化率と炭素の析出の有無とを評価した。
[0181]
(1-1)メタン転化率
 合成ガス生成部に供給したメタン量(M1)と合成ガス生成部から排出したメタン量(M2)とをそれぞれ測定し、(M1-M2)×100/M1を計算して、メタン転化率を算出した。メタン転化率が大きいほど、一酸化炭素および水素の生成量は多い。そして、メタン転化率が40%以上である場合、触媒活性が良好で〇、メタン転化率が40%未満である場合、触媒活性が不良で×とした。
[0182]
(1-2)炭素の析出の有無
 第1触媒構造体E1-1への炭素の析出(コーキング)の有無について、CHN元素分析装置(機器名:CE-440、EXETER ANALYTICAL,INC.社製)を用いて確認した。
[0183]
(比較例1-1~1-2)
 表1に示すように第1触媒構造体E1-1を触媒構造体C1-1または触媒構造体C1-2に代えた以外は、実施例1-1と同様に行った。その後、実施例1-1と同様に上記評価を行った。触媒構造体C1-1または触媒構造体C1-2は、ゼオライト構造を有しない塊状のアルミナ担体に対して含浸法でNiを担持させた触媒構造体であり、Niは、この担体の外表面にのみ担持されており、担体の内部には存在していなかった。
[0184]
 表1には、触媒構造体の前処理条件、合成ガス生成部での反応条件、および評価結果も示す。
[0185]
[表1]


[0186]
(実施例2-1)
 まず、触媒構造体として、表2に示す第2触媒構造体E2-1を用いた。第2触媒構造体E2-1において、第2触媒物質であるCo(第2金属微粒子)は担体に内在および担体の外表面に担持されていた。第2触媒構造体E2-1を炭化水素生成部の内部に設置した。続いて、第2触媒構造体E2-1を400℃および500℃に加熱しながら、炭化水素生成部に合成ガスを供給し(GHSV=3000h -1)、炭化水素生成部から排出されたガス中の低級オレフィンおよび芳香族炭化水素の有無を検出器で測定した。その結果、検出器がプロピレンを含む炭素数4以下のオレフィンおよび炭素数6以上10以下の上記芳香族炭化水素を検出したので、炭化水素生成部で所望の炭化水素を生成することができることを確認した。なお、炭化水素生成部に供給した合成ガスとは、メタン転化率が良好であり、炭素の析出が確認されなかった実施例1-1の合成ガス生成部で得られた合成ガスを用いた。
[0187]
[評価2]
 次に、低級オレフィンおよび上記芳香族炭化水素の選択率をそれぞれ評価した。
[0188]
(2-1)低級オレフィンの選択率
 反応生成物の炭化水素に占める低級オレフィン(炭素数4以下のオレフィン)の含有割合、すなわち低級オレフィンの選択率が10%以上である場合、選択率が良好で〇とし、選択率が10%未満である場合、選択率が不良で×とした。
[0189]
(2-2)芳香族炭化水素の選択率
 反応生成物の炭化水素に占める上記芳香族炭化水素(炭素数6以上10以下)の含有割合、すなわち上記芳香族炭化水素の選択率が5%以上である場合、選択率が良好で〇とし、選択率が1%以上5%未満である場合、選択率が可で△とし、選択率が1%未満である場合、選択率が不良で×とした。
[0190]
(比較例2-1)
 表2に示すように第2触媒構造体E2-1を触媒構造体C2-1に代えた以外は、実施例2-1と同様に行った。その後、実施例2-1と同様に上記評価を行った。触媒構造体C2-1は、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造を有する担体の外表面にCoを担持させた触媒構造体であり、Coは、この担体の外表面にのみ担持されており、担体の内部には存在していなかった。
[0191]
 表2には、触媒構造体の前処理条件、炭化水素生成部での反応条件、および評価結果も示す。
[0192]
[表2]


[0193]
 表1~2の結果から、上記実施例の製造装置では、第1触媒構造体上の炭素の析出が観察されず、長時間の連続稼働が可能であることが明らかとなった。また、所望の炭化水素の選択率が高いことも明らかとなった。このような結果から、合成ガス生成部内の第1触媒構造体を加熱することによって、原料ガスに含まれるメタンと二酸化炭素とから一酸化炭素と水素とを含む合成ガスを生成し、炭化水素生成部内の第2触媒構造体を加熱することによって、合成ガスに含まれる一酸化炭素と水素とからプロピレンを含む低級オレフィンと炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素とを含む炭化水素を生成することについて、触媒活性の低下が抑制され、所望の炭化水素の選択性が向上した。

符号の説明

[0194]
 100 炭化水素の製造装置
 101 第1供給部
 102a メタン供給部
 102b 二酸化炭素供給部
 103 合成ガス生成部
 104 第1触媒構造体収容部
 105 第1分離部
 106 第2供給部
 107 炭化水素生成部
 108 第2触媒構造体収容部
 109 第1検出部
 110 第4分離部
 111 第2分離部
 112 第5分離部
 113 第3分離部
 114 酸素供給部
 115 第2検出部
 116 第3供給部
 117 第4供給部
 118 第5供給部
 1、2 第1触媒構造体
 10 第1担体
 10a 第1担体の外表面
 11 第1通路
 11a 第1孔
 12 第1拡径部
 13 第1小通路
 20 第1触媒物質
 30 触媒物質

請求の範囲

[請求項1]
 プロピレンを含む低級オレフィンと炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素とを含む炭化水素を製造する炭化水素の製造装置であって、
 メタンと二酸化炭素とを含む原料ガスを供給する第1供給部と、
 前記第1供給部から前記原料ガスが供給され、第1触媒構造体を加熱しながら、前記原料ガスに含まれるメタンと二酸化炭素とから一酸化炭素と水素とを含む合成ガスを生成する合成ガス生成部と、
 前記合成ガス生成部から排出される前記合成ガスを供給する第2供給部と、
 前記第2供給部から前記合成ガスが供給され、第2触媒構造体を加熱しながら、前記合成ガスに含まれる一酸化炭素と水素とからプロピレンを含む低級オレフィンと炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素とを含む炭化水素を生成する炭化水素生成部と、
 前記炭化水素生成部から排出される前記炭化水素中のプロピレンと前記芳香族炭化水素とを検出する第1検出部と、
を備え、
 前記第1触媒構造体は、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の第1担体と、前記第1担体に内在する少なくとも1つの第1触媒物質と、を備え、
 前記第1担体が、該第1担体の外部と連通する第1通路を有し、
 前記第1触媒物質が、第1金属微粒子であり、前記第1担体の少なくとも前記第1通路に存在し、
 前記第2触媒構造体は、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の第2担体と、前記第2担体に内在する少なくとも1つの第2金属微粒子と、を備え、
 前記第2担体が、該第2担体の外部と連通する第2通路を有し、
 前記第2通路の一部が、平均内径が0.95nm以下である、炭化水素の製造装置。
[請求項2]
 前記芳香族炭化水素は、下記式(1)で表される化合物および多環芳香族炭化水素の少なくとも一方の化合物を含む、請求項1記載の炭化水素の製造装置。
[化1]


(式(1)中、R ~R は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基である。)
[請求項3]
 前記式(1)で表される化合物は、ベンゼン、トルエン、およびブチルベンゼンからなる群から選択される1種以上の化合物を含む、請求項2記載の炭化水素の製造装置。
[請求項4]
 前記多環芳香族炭化水素は、アズレンおよびナフタレンの少なくとも一方の化合物を含む、請求項2記載の炭化水素の製造装置。
[請求項5]
 前記合成ガス生成部に酸素を供給する酸素供給部をさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の炭化水素の製造装置。
[請求項6]
 前記酸素供給部は、爆発下限界未満の濃度の酸素を前記合成ガス生成部に供給する、請求項5記載の炭化水素の製造装置。
[請求項7]
 前記合成ガス生成部は、前記第1触媒構造体を600℃以上1000℃以下で加熱する、請求項1~6のいずれか1項に記載の炭化水素の製造装置。
[請求項8]
 前記第1金属微粒子が、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)からなる群から選択される少なくとも1種の金属から構成される微粒子である、請求項1~7のいずれか1項に記載の炭化水素の製造装置。
[請求項9]
 前記第1通路は、前記ゼオライト型化合物の骨格構造の一次元孔、二次元孔及び三次元孔のうちのいずれかと、前記一次元孔、前記二次元孔及び前記三次元孔のうちのいずれとも異なる第1拡径部とを有し、かつ、
 前記第1触媒物質が、少なくとも前記第1拡径部に存在している、請求項1~8のいずれか1項に記載の炭化水素の製造装置。
[請求項10]
 前記第1拡径部は、前記一次元孔、前記二次元孔及び前記三次元孔のうちのいずれかを構成する複数の孔同士を連通している、請求項9に記載の炭化水素の製造装置。
[請求項11]
 前記第1金属微粒子の平均粒径が、前記第1通路の平均内径よりも大きく、かつ、前記第1拡径部の内径以下である、請求項9または10に記載の炭化水素の製造装置。
[請求項12]
 前記合成ガス生成部から排出される前記合成ガス中のメタンと二酸化炭素とを分離する第1分離部をさらに備える、請求項1~11のいずれか1項に記載の炭化水素の製造装置。
[請求項13]
 前記第1分離部で分離したメタンと二酸化炭素とを前記合成ガス生成部に供給する第3供給部をさらに備える、請求項12に記載の炭化水素の製造装置。
[請求項14]
 前記合成ガス生成部から排出される前記合成ガス中の一酸化炭素と水素とを検出する第2検出部をさらに備える、請求項1~13のいずれか1項に記載の炭化水素の製造装置。
[請求項15]
 前記炭化水素生成部は、前記第2触媒構造体を350℃以上550℃以下で加熱する、請求項1~14のいずれか1項に記載の炭化水素の製造装置。
[請求項16]
 前記第2金属微粒子は、
  ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)およびコバルト(Co)からなる群から選択される少なくとも1種の第1金属、または、
  ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)およびコバルト(Co)からなる群から選択される少なくとも1種の第1金属、ならびに、前記第1金属と異なる種類であり、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、Zr(ジルコニウム)およびMn(マンガン)からなる群から選択される少なくとも1種の第2金属、
を含有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の炭化水素の製造装置
[請求項17]
 前記第2通路の一部における平均内径が0.39nm以上0.75nm以下であることを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載の炭化水素の製造装置。
[請求項18]
 前記第2通路は、前記ゼオライト型化合物の骨格構造の一次元孔、二次元孔及び三次元孔のうちのいずれかと、前記一次元孔、前記二次元孔及び前記三次元孔のうちのいずれとも異なる第2拡径部とを有し、かつ
 前記第2金属微粒子が、少なくとも前記第2拡径部に存在している、請求項1~17のいずれか1項に記載の炭化水素の製造装置、
[請求項19]
 前記炭化水素生成部から排出される前記炭化水素と一酸化炭素と水素とを分離する第2分離部をさらに備える、請求項1~18のいずれか1項に記載の炭化水素の製造装置。
[請求項20]
 前記第2分離部で分離した一酸化炭素と水素とを前記炭化水素生成部に供給する第4供給部をさらに備える、請求項19に記載の炭化水素の製造装置。
[請求項21]
 前記炭化水素生成部から排出される前記炭化水素とメタンと二酸化炭素とを分離する第3分離部をさらに備える、請求項1~20のいずれか1項に記載の炭化水素の製造装置。
[請求項22]
 前記第3分離部で分離したメタンと二酸化炭素とを前記合成ガス生成部に供給する第5供給部をさらに備える、請求項21に記載の炭化水素の製造装置。
[請求項23]
 前記炭化水素生成部から排出される前記炭化水素を冷却して、前記低級オレフィンと前記芳香族炭化水素とを分離する第4分離部をさらに備える、請求項1~22のいずれか1項に記載の炭化水素の製造装置。
[請求項24]
 プロピレンを含む低級オレフィンと炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素とを含む炭化水素を製造する炭化水素の製造方法であって、
 メタンと二酸化炭素とを含む原料ガスを第1触媒構造体に供給する工程S1と、
 前記第1触媒構造体を加熱しながら、前記原料ガスに含まれるメタンと二酸化炭素とから一酸化炭素と水素とを含む合成ガスを生成する工程S2と、
 前記工程S2で得られた前記合成ガスを第2触媒構造体に供給する工程S3と、
 前記第2触媒構造体を加熱しながら、前記合成ガスに含まれる一酸化炭素と水素とからプロピレンを含む低級オレフィンと炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素とを含む炭化水素を生成する工程S4と、
 前記炭化水素中のプロピレンと前記芳香族炭化水素とを検出する工程S5と、
を有し、
 前記第1触媒構造体は、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の第1担体と、前記第1担体に内在する少なくとも1つの第1触媒物質と、を備え、
 前記第1担体が、該第1担体の外部と連通する第1通路を有し、
 前記第1触媒物質が、第1金属微粒子であり、前記第1担体の少なくとも前記第1通路に存在し、
 前記第2触媒構造体は、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の第2担体と、前記第2担体に内在する少なくとも1つの第2金属微粒子と、を備え、
 前記第2担体が、該第2担体の外部と連通する第2通路を有し、
 前記第2通路の一部が、平均内径が0.95nm以下である、炭化水素の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]