処理中

しばらくお待ちください...

設定

設定

出願の表示

1. WO2020116447 - 難溶性薬物の固体分散体

Document

明 細 書

発明の名称 難溶性薬物の固体分散体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

非特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008  

課題を解決するための手段

0009   0010  

発明の効果

0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054  

実施例

0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070  

産業上の利用可能性

0071  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

明 細 書

発明の名称 : 難溶性薬物の固体分散体

技術分野

[0001]
 本発明は、難溶性薬物の溶出性、経口吸収性を高めるための固体分散体に関する。

背景技術

[0002]
 分子内に極性基を有する難溶性薬物を経口投与した場合、消化管内pH条件における低溶解性により経口吸収性が低下する場合がある。特に分子内に酸性基を有する化合物の多くは、pHが低くなるほど溶解性が減少し難溶性となることから、経口投与した場合に胃内で製剤中から効率良く溶出されず、また一旦溶出したとしてもすぐに析出することもあり、経口吸収性の低さが問題となっている。このような化合物の一例として、(2E)-3-{2,6-ジクロロ-4-[(4-{3-[(1S)-1-(ヘキシルオキシ)エチル]-2-メトキシフェニル}-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル}-2-メチル-2-プロペン酸またはその製薬上許容される塩(以下、「化合物I」という場合がある。)がある(特許文献1~3)。
[0003]
 難溶性薬物の経口吸収性を改善する方法として、種々の検討が行われている。例えば、難溶性薬物が分子内に酸性基を有する化合物である場合は、(1)難溶性薬物を塩にすることにより溶解性を改善した製剤(特許文献4)、および(2)pHが低いと、溶解性が低下する難溶性薬物であれば、アルカリ剤を配合して難溶性薬物の近傍をアルカリ環境にすることにより、溶解性を改善した製剤(特許文献5~7、非特許文献1)とすることが報告されている。
[0004]
 特許文献4において、難溶性薬物を塩にすることにより、pH7の水への溶解性を改善しているが、経口投与後に胃の酸性pH条件で薬物の析出が起こり得ることが記載されている。
 特許文献5の製剤は、難溶性薬物を含有する造粒物にアルカリ剤を外部より添加して製造しており、また、非特許文献1の製剤は、難溶性薬物、アルカリ剤を含む混合物を直接打錠し、それぞれの製剤で薬物の溶出性を改善しているが、難溶性が特に高い薬物の製剤とするには、多量のアルカリ剤の配合が必要であり、製剤として適していない。
 また、特許文献6および7の製剤は、難溶性薬物、アルカリ剤および崩壊剤を一括して造粒しているため、崩壊時に造粒物自体が崩壊することにより、難溶性薬物の近傍よりアルカリ剤が分散して、難溶性薬物の溶解に適した環境が失われる可能性がある。
[0005]
 難溶性薬物の経口吸収性を改善する方法の一つとして、固体分散体を形成する方法が知られている。固体分散体は、微細化した難溶性薬物を基剤に担持させて製造するため、難溶性薬物が固体分散体中において非晶質状態で存在する(非特許文献2)。固体分散体としては、特許文献8~15に固体分散体が開示されている。しかし、特許文献8~15に開示される固体分散体中の化合物と本出願の化合物Iとは、化学構造が大きく異なり、これらの文献において、化合物Iが固体分散体中において非晶質状態で存在することは開示されていない。
 以上より、化合物Iの溶解性を改善し、経口吸収性を改善する方法として、化合物Iの固体分散体の開発が期待されている。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 国際公開2005/014561号パンフレット
特許文献2 : 国際公開2009/017098号パンフレット
特許文献3 : 国際公開2012/043709号パンフレット
特許文献4 : 国際公開2006/100281号パンフレット
特許文献5 : 国際公開2009/048940号パンフレット
特許文献6 : 国際公開2007/061415号パンフレット
特許文献7 : 日本国出願公開平3-240729号
特許文献8 : 日本国出願公開平7-118154号
特許文献9 : 国際公開98/01122号パンフレット
特許文献10 : 国際公開2009/123169号パンフレット
特許文献11 : 日本国出願公表2012-522791号
特許文献12 : 日本国出願公表2012-527491号
特許文献13 : 日本国出願公開2014-58584号
特許文献14 : 日本国出願公開2018-20982号
特許文献15 : 国際公開2010/107040号パンフレット

非特許文献

[0007]
非特許文献1 : 「経口投与製剤の設計と評価」、178頁、(1995年)
非特許文献2 : 薬剤学、69巻、5号、329~335頁、(2009年)

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 本発明の目的は、難溶性薬物、特に化合物Iの溶解性が改善され、その結果、経口吸収性も改善された製剤、特に固体分散体を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0009]
 本発明者らは、化合物Iを含有する固体分散体が得られることを見出し、以下の発明(以下、「本発明製剤」という場合がある。)を完成した。
[0010]
すなわち、本発明は、
(1)(2E)-3-{2,6-ジクロロ-4-[(4-{3-[(1S)-1-(ヘキシルオキシ)エチル]-2-メトキシフェニル}-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル}-2-メチル-2-プロペン酸またはその製薬上許容される塩、および水溶性高分子を含有する固体分散体、
(2)水溶性高分子がセルロース系高分子、ビニル系高分子、アクリル酸系高分子およびポリエーテル系高分子からなる群から選択される1以上である上記(1)記載の固体分散体、
(3)水溶性高分子がセルロース系高分子であり,当該セルロース系高分子がヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウムおよび酢酸フタル酸セルロースからなる群から選択される1以上である上記(2)記載の固体分散体、
(4)セルロース系高分子がヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートからなる群から選択される1以上である上記(3)記載の固体分散体、
(5)セルロース系高分子がメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートからなる群から選択される1以上である上記(4)記載の固体分散体、
(6)水溶性高分子がビニル系高分子であり,当該ビニル系高分子がポリビニルピロリドン、ポリビニルポリピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチルコポリマー、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、フマル酸・ステアリル酸・ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート・ヒドロキシプロピルメチルセルロース混合物およびポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートからなる群から選択される1以上である上記(2)記載の固体分散体、
(7)ビニル系高分子がポリビニルピロリドン、ポリビニルポリピロリドン、ポリビニルアルコールおよびポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体からなる群から選択される1以上である上記(6)記載の固体分散体、
(8)ビニル系高分子がポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルポリピロリドンである上記(7)記載の固体分散体、
(9)水溶性高分子がアクリル酸系高分子であり,当該アクリル酸系高分子がアミノアルキルメタアクリレートコポリマーE、メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーLD、メタアクリル酸コポリマーS、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチルコポリマー、アンモニアアルキルメタクリレートコポリマー、メチルアクリレート・メタアクリル酸・メチルメタアクリレートコポリマーおよび2-メチル-5-ビニルピリジンメチルアクリレート・メタクリル酸コポリマーからなる群から選択される1以上である上記(2)記載の固体分散体、
(10)水溶性高分子がポリエーテル系高分子であり,当該ポリエーテル系高分子がポリエチレングリコールおよび/またはプロピレンオキサイド・エチレンオキサイドブロック共重合体である上記(2)記載の固体分散体、
(11)(2E)-3-{2,6-ジクロロ-4-[(4-{3-[(1S)-1-(ヘキシルオキシ)エチル]-2-メトキシフェニル}-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル}-2-メチル-2-プロペン酸またはその製薬上許容される塩、および水溶性高分子を含有し、当該化合物またはその製薬上許容される塩と水溶性高分子の重量比が、1:0.1~1:50である上記(1)から(10)のいずれかに記載の固体分散体、
(12)前記化合物またはその製薬上許容される塩と水溶性高分子の重量比が、1:0.5~1:25である上記(11)記載の固体分散体、
(13)前記化合物またはその製薬上許容される塩と水溶性高分子の重量比が、1:1~1:10である上記(12)記載の固体分散体、
(14)上記(1)から(13)のいずれかに記載の固体分散体を含有する、散剤、顆粒剤および錠剤からなる群から選択されるいずれかの固形製剤、
(15)日本薬局方に規定された溶出試験法(パドル法)における溶出試験開始60分後の(2E)-3-{2,6-ジクロロ-4-[(4-{3-[(1S)-1-(ヘキシルオキシ)エチル]-2-メトキシフェニル}-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル}-2-メチル-2-プロペン酸またはその製薬上許容される塩の溶出率が1%以上である上記(1)から(14)のいずれかに記載の固体分散体または固形製剤、
(16)(2E)-3-{2,6-ジクロロ-4-[(4-{3-[(1S)-1-(ヘキシルオキシ)エチル]-2-メトキシフェニル}-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル}-2-メチル-2-プロペン酸が非晶質状態である上記(1)から(15)のいずれかに記載の固体分散体または固形製剤、
(17)非晶質状態である(2E)-3-{2,6-ジクロロ-4-[(4-{3-[(1S)-1-(ヘキシルオキシ)エチル]-2-メトキシフェニル}-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル}-2-メチル-2-プロペン酸、
に関する。

発明の効果

[0011]
 本発明製剤は、難溶性薬物、特に化合物Iについて、高い溶解性を示す固体分散体であるので、胃から小腸上部に到る広範囲において高い経口吸収性を示すことが期待される。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] 実施例1~4および参考例1~2で得られた化合物Iを含む固体分散体のカプセル剤の経時保存試験開始時および経時保存試験開始一定期間経過後の溶出挙動を示す。縦軸は溶出率(%)、横軸は溶出試験開始後の時間(分)を表す。
[図2] 比較例1で得られた化合物I懸濁液の経時保存試験開始時および経時保存試験開始一定期間経過後の溶出挙動を示す。縦軸は溶出率(%)、横軸は溶出試験開始後の時間(分)を表す。
[図3] 実施例1、2および4で得られた固体分散体カプセル剤の経口投与による化合物Iの血漿中薬物濃度の変化を示す。縦軸は血漿中薬物濃度(ng/mL)、横軸は験開始後の時間(時間)を表す。
[図4] 化合物I結晶の粉末X線回折パターンを示す。縦軸は強度(cps)、横軸は2θ(度)を表す。
[図5] 実施例5で得られた、化合物Iおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを含有する固体分散体末の粉末X線回折パターンを示す。縦軸は強度(cps)、横軸は2θ(度)を表す。
[図6] 実施例6で得られた、化合物Iおよびメチルセルロースを含有する固体分散体末の粉末X線回折パターンを示す。縦軸は強度(cps)、横軸は2θ(度)を表す。
[図7] 実施例7で得られた、化合物およびヒプロメロースを含有する固体分散体末の粉末X線回折パターンを示す。縦軸は強度(cps)、横軸は2θ(度)を表す。
[図8] 実施例8で得られた、化合物Iおよびポビドンを含有する固体分散体末の粉末X線回折パターンを示す。縦軸は強度(cps)、横軸は2θ(度)を表す。
[図9] 参考例3で得られた、化合物Iとポリビニルアルコールを含有する固体分散体末の粉末X線回折パターンを示す。縦軸は強度(cps)、横軸は2θ(度)を表す。
[図10] 参考例4で得られた、化合物Iおよびポロビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を含有する固体分散体末の粉末X線回折パターンを示す。縦軸は強度(cps)、横軸は2θ(度)を表す。
[図11] 参考例5で得られた、化合物Iおよびメタアクリル酸コポリマー L-SDを含有する固体分散体末の粉末X線回折パターンを示す。縦軸は強度(cps)、横軸は2θ(度)を表す。

発明を実施するための形態

[0013]
 本明細書における用語について説明する。
 「難溶性」とは、溶媒、特に水、緩衝液、または消化管内液に対する溶解度が1mg/ml以下、より好ましくは100μg/ml以下、さらに好ましくは10μg/ml以下特に好ましくは1μg/ml以下、最も好ましくは0.1μg/ml以下の状態を意味する。pH7以下のいずれかの溶媒に難溶性であるのが好ましく、pH4~7のいずれか
の溶媒に難溶性であるのがより好ましく、pH4および/またはpH7の溶媒に難溶性であるのがさらに好ましい。但し、分子内に塩基性基を有する化合物の場合は、pH7以上のいずれかの溶媒に難溶性であるのが好ましく、pH7~9のいずれかの溶媒に難溶性であるのがより好ましく、pH7および/またはpH9の溶媒に難溶性であるのがさらに好ましい。溶解度を測定するための溶媒は特に限定されないが、pH4の溶媒としては、例えば、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液などである。pH5の溶媒としては、例えば、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液などである。pH7の溶媒としては、例えば、水、リン酸緩衝液などである。pH9の溶媒としては、例えば、炭酸緩衝液などである。溶解度の測定温度は、いずれの場合も、好ましくは20~40℃であり、より好ましくは37℃である。
[0014]
 本発明製剤の難溶性薬物としては、国際公開2005/014561号パンフレットおよび国際公開2009/017098号パンフレット記載の下式、すなわち(2E)-3-{2,6-ジクロロ-4-[(4-{3-[(1S)-1-(ヘキシルオキシ)エチル]-2-メトキシフェニル}-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル}-2-メチル-2-プロペン酸またはその製薬上許容される塩(化合物I)が挙げられる。
[化1]



 また、化合物Iは、国際公開2015/093586号パンフレット記載の製造方法によって製造される。
[0015]
 本発明製剤は、固体分散体であり、基本的に、薬物と高分子を含有する。固体分散体とは、薬物と高分子を混合した後、固化し、高分子中に非晶質の薬物を安定的に分子分散させたマトリックスのことをいう。詳しくは、固体分散体とは、薬物と水溶性高分子を一度共溶媒中で溶解・混合した後、固化し、高分子中に非晶質の薬物を安定的に分子分散させたマトリックスのことをいう。結晶性の難溶性薬物を固体分散体化することによって、薬物を非晶質化し、溶解度および溶解速度の改善を図る製剤技術である。
[0016]
本明細書において「非晶質」とは、実質的に非晶質状態であることをいう。例えば、組成物中に存在する化合物のうちの、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上が非晶質形態にあることを意味する。また、結晶化度としては、例えば、約20%以下の結晶化度、好ましくは約10%以下の結晶化度、より好ましくは約5%以下の結晶化度、最も好ましくは約1%以下の結晶化度を有することを意味する。
[0017]
 本明細書において「溶解性を改善する」とは、水、または緩衝液などへの化合物Iの溶解度が増加することを意味する。具体的には、例えば、固体分散体、または固体分散体を含有する医薬組成物を溶出試験で評価するとき、例えば、化合物Iを含有する固体分散体(あるいは、化合物Iの固体分散体中における化合物I)の溶解度が化合物I自体の溶解度の1.5倍以上、他の態様として2倍以上、さらに他の態様として5倍以上、更なる態様として10倍以上であることと規定する。
[0018]
 本明細書において「安定」とは、固体分散体が、経時安定性試験において、非晶質状態の化合物の結晶化を抑えられることを意味する。
[0019]
 本発明の医薬組成物は、保存期間中の安定性を含め、高い品質の担保するため、非晶質状態であることが好ましい。
[0020]
 本明細書中で用いる「非晶質状態」とは、規則的な三次元の結晶構造を持たない状態をいう。当該化合物または製剤が非晶質であるかどうかは、例えば、粉末X線回折、ラマン分光法、赤外スペクトル、示差走査熱量測定、固体NMRおよび電子顕微鏡などを含むいくつかの技術で測定することができる。
[0021]
 本発明製剤の固体分散体で使用する高分子は、製剤学的に使用できるものであればよく、2種以上の混合物であっても良いが、固体分散体で使用する高分子として、具体的には水溶性高分子である。水溶性高分子としては、製剤学的に使用できるものであればよく、具体的にはセルロース系高分子、ビニル系高分子、アクリル酸系高分子、ポリエーテル系高分子がある。好ましくは、セルロース系高分子、ビニル系高分子およびアクリル酸系高分子である。
[0022]
 セルロース系高分子として、具体的には、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、酢酸フタル酸セルロースが挙げられる。好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートである。より好ましくは、メチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートである。
[0023]
 ビニル系高分子として、具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルポリピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体が挙げられる。好ましくは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルポリピロリドンである。
[0024]
 アクリル酸系高分子として、具体的には、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE、メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーLD、メタアクリル酸コポリマーS、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチルコポリマー、アンモニアアルキルメタクリレートコポリマー、メチルアクリレート・メタアクリル酸・メチルメタアクリレートコポリマー、2-メチル-5-ビニルピリジンメチルアクリレート・メタクリル酸コポリマーが挙げられる。
[0025]
 ポリエーテル系高分子として、具体的には、ポリエチレングリコール、プロピレンオキサイド・エチレンオキサイドブロック共重合体が挙げられる。
[0026]
 本発明製剤の固体分散体を製造するために、化合物Iである、(2E)-3-{2,6-ジクロロ-4-[(4-{3-[(1S)-1-(ヘキシルオキシ)エチル]-2-メトキシフェニル}-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル}-2-メチル-2-プロペン酸またはその製薬上許容される塩と高分子の重量比は、1:0.05~1:100、好ましくは1:0.1~1:50、より好ましくは1:0.5~1:25、特に好ましくは1:1~1:10である。
[0027]
 以下、本発明の化合物Iと水溶性高分子物質とを含む固体分散体、並びに該固体分散体を含有してなる医薬組成物の製造方法について、詳述する。
 本発明の固体分散体は、通常、化合物Iと水溶性高分子物質とを製薬学的に許容され得る溶媒に溶解および/または懸濁した後、当該溶媒を留去し製造する。
 本発明に用いられる製薬学的に許容され得る溶媒としては、水溶性高分子物質の存在下に、化合物Iを、非晶質状態で維持し得る物質であれば特に制限されないが、具体的には、アセトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、塩化メチレン、またはこれらの混合溶媒および水との混合溶媒が挙げられる。製薬学的に許容され得る溶媒は1種または2種以上適宜混合して使用することもできる。なかでもエタノールとアセトンとの混合溶媒が好適である。水の割合としては、製薬的に許容し得る溶媒量中、0重量%を超え50重量%未満含有するのが好適である。比率としては例えば、エタノールとアセトンの比が9.9:0.1~0.1:9.9であり、他の態様として、9.5:0.5~5.0:5.0であり、更なる態様として、9.5:0.5~8.5:1.5である。または、エタノールとアセトンの比が例えば10.0:0.0~0.1:9.9、他の態様として、10.0:0.0~5.0:5.0であり、更なる態様として10.0:0.0~6.0:4.0、更に他の態様として、9.5:0.5~8.5:1.5である。
 製薬学的に許容され得る溶媒の量としては、化合物Iが非晶質状態となり得るのに必要な量であれば特に制限されないが、当該化合物と水溶性高分子物質との重量に対し、1~100倍量(w/w)であり、他の態様として5~20倍量(w/w)である。
 本発明に用いられる製薬学的に許容され得る溶媒を留去する方法としては、化合物Iと水溶性高分子物質とが溶解および/または懸濁している液から溶媒を留去する方法であれば特に限定されないが、例えば噴霧乾燥法、減圧乾燥法、通風乾燥法等が挙げられ、他の態様として噴霧乾燥法が挙げられる。
[0028]
 本発明の固体分散体の製造方法としては、化合物Iと水溶性高分子物質とを製薬学的に許容され得る溶媒に、溶解および/または懸濁した後、溶媒を留去することにより固体分散体を製造するものである。
 製造方法自体は、公知の方法を採用することができる。例えば、化合物Iや水溶性高分子物質、あるいは添加剤の粉砕工程、混合工程、あるいは製薬学的に許容され得る溶媒への溶解・懸濁工程、噴霧・乾燥工程、減圧・乾燥工程、混合工程、篩過工程等が挙げられる。
[0029]
 本発明の化合物Iと水溶性高分子物質とを含む固体分散体には、さらに製薬的に許容され得る添加剤を配合し、医薬組成物に製剤化される。製剤化される剤形としては、固形製剤、具体的には、日本薬局方記載の製剤総則中における、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤などが挙げられる。好ましくは、錠剤、顆粒剤またはカプセル剤であり、より好ましくは、錠剤である。
[0030]
 医薬組成物に配合される添加剤としては、医薬的に許容され得るものであれば特に制限されないが、具体的には、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤等が使用される。
[0031]
 賦形剤としては、製剤学的に使用できるものであればよく、2種以上の混合物であってもよい。具体的には、水溶性賦形剤、水不溶性賦形剤をいずれも使用することができる。より具体的には、水溶性賦形剤として、ぶどう糖、果糖、乳糖、蔗糖、D-マンニトール、エリスリトール、マルチトール、トレハロース、ソルビトールなどが挙げられ、水不溶性賦形剤として、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン、結晶セルロース、無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素などが挙げられる。
 賦形剤の含有量は、本発明製剤に対し、好ましくは9~99重量%、より好ましくは15~98重量%、さらに好ましくは35~97重量%、特に好ましくは50~95重量%、最も好ましくは50~90重量%である。
[0032]
 崩壊剤としては、製剤学的に使用できるものであればよく、2種以上の混合物であってもよい。具体的には、セルロース誘導体、トウモロコシデンプン、アルファー化デンプン、デンプン誘導体、ポリビニルピロリドン誘導体、カンテン末などで挙げられる。好ましくは、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン誘導体、またはデンプン誘導体である。セルロース誘導体としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウムなどが挙げられ、好ましくは低置換度ヒドロキシプロピルセルロースまたはカルメロースカルシウムである。ポリビニルピロリドン誘導体としては、クロスポビドンなどが挙げられ、好ましくは、クロスポビドンである。デンプン誘導体としては、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げられ、好ましくは、カルボキシメチルスターチナトリウムである。
 崩壊剤の含有量は、本発明製剤に対し、0.2~30重量%、好ましくは0.5~20重量%、より好ましくは1~10重量%である。
[0033]
 結合剤としては、製剤学的に使用できるものであればよく、2種以上の混合物であってもよい。具体的には、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げられ、好ましくはセルロース誘導体および/またはポリビニルピロリドンである。セルロース誘導体としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フマル酸・ステアリン酸・ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート・ヒドロキシプロピルメチルセルロース混合物、ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられ、好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロースである。
 結合剤の含有量は、本発明製剤に対し、0.1~20重量%、好ましくは0.25~15重量%、より好ましくは0.5~10重量%である。
[0034]
 滑沢剤としては、製剤学的に使用できるものであればよく、2種以上の混合物であってもよい。具体的には、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、含水二酸化ケイ素、ステアリン酸金属塩などが挙げられる。好ましくは、ステアリン酸マグネシウム、タルクである。
 滑沢剤の含有量は、本発明製剤に対し、0.1~10重量%、好ましくは0.25~5.0重量%、より好ましくは0.5~3.0重量%である。
[0035]
 コーティング剤としては、製剤学的に使用できるものであればよい。具体的には、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルメロース、カルメロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、PVAコポリマー、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、オパドライ、カルナバロウ、カルボキシビニルポリマー、乾燥メタクリル酸コポリマー、ジメチルアミノエチルメタアクリレート・メチルメタアクリレートコポリマー、ステアリルアルコール、セラック、セタノール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、フマル酸・ステアリン酸・ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート・ヒドロキシプロピルメチルセルロース混合物、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、メタクリル酸コポリマー、2-メチル-5-ビニルピリジンメチルアクリレート・メタクリル酸コポリマーなどが挙げられる。好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。コーティングは公知の手段により行うことができる。
[0036]
 上記コーティング剤は、1以上の着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号などの食用色素、酸化チタン、三二酸化鉄、褐色酸化鉄、黒酸化鉄、銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、リボフラビン、抹茶末などが挙げられる。好ましくは、酸化チタンおよび/または三二酸化鉄である。着色は、遮光効果も有する場合がある。ある種の難溶性薬物は、特定の波長領域、例えば300~500nmでアルカリ剤(例:酸化マグネシウム)との反応によって分解する場合があるが、着色剤、好ましく三二酸化鉄を配合しておくことで、その分解が抑制される。
[0037]
 その他の添加剤としては、酸味料、発泡剤、人工甘味料、香料、着色剤、安定化剤、緩衝剤、抗酸化剤などが使用される。
[0038]
 本発明の固体分散体を含有する製剤、特に固形製剤としては、具体的には、顆粒剤、細粒剤、錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤等であればよく、公知の手段に従い製造することができる。
[0039]
 本発明の固体分散体を含有する顆粒剤の製造方法は、特に制限されないが、具体的には、本発明の固体分散体、崩壊剤、賦形剤等の添加剤を混合して、混合末を製造後、当該混合末を造粒する方法であり、好ましくは水や結合剤を含有する水や溶媒を添加して造粒する湿式造粒法や圧縮成形して水を使用しない乾式造粒法や溶融造粒法である。有効成分や添加剤等を混合する機械として、V型混合機やコンテナブレンダーを使用することができる。また、造粒する機械としては、湿式押出造粒機、流動層造粒機、撹拌造粒機、乾式破砕造粒機や溶融押出造粒機を使用することができる。
[0040]
 本発明の固体分散体を含有する錠剤の製造方法は、特に制限されないが、具体的には、上記方法によって顆粒を製造し、さらに、この顆粒に対して、賦形剤、崩壊剤および滑沢剤等を混合し、当該混合顆粒を打錠機で打錠し、または、本発明の固体分散体、賦形剤、崩壊剤および滑沢剤等を混合し、当該混合物を打錠機で打錠する。有効成分や添加剤等を混合する機械として、V型混合機やコンテナブレンダーを使用することができる。また、打錠機としては、単発打錠機、ロータリー式打錠機等を使用することができる。
[0041]
 本発明の固体分散体を含有する顆粒剤や錠剤は、顆粒剤や錠剤を製造後、当該顆粒剤や錠剤を色素および高分子で被覆し、被覆層を形成することがある。顆粒剤に被覆層を形成する際、流動層造粒コーティング機、流動層転動コーティング機等を用いることができる。錠剤に被覆層を形成する際、パンコーティング機、通気式コーティング機等を用いることができる。光安定化物質および高分子によって製剤表面に被覆層を形成する際、光安定化物質および高分子を水やエタノール等の溶媒中に溶解または懸濁させ、コーティング液を調製する。コーティング機の中で、顆粒剤や錠剤を流動させながら、この顆粒剤や錠剤に当該コーティング液を噴霧、乾燥し、被覆層を形成する。
[0042]
 錠剤の形状としては、どのような形状も採用することができ、具体的には、丸形、楕円形、球形、棒状型、ドーナツ型の形状の錠剤とすることができる。また、積層錠、有核錠などであってもよいが、好ましくは製造法が簡便な単層錠が好ましい。さらには、識別性向上のためのマーク、文字などの刻印さらには分割用の割線を付けてもよい。
[0043]
 粉末X線回折パターンの測定は、日本薬局方の一般試験法に記載された粉末X線回折測定法に従って行う。
 一般に、粉末X線回折における回折角度(2θ)は±0.2°の範囲内で誤差が生じ得るので、回折角度の値は±0.2°程度の範囲内の数値も含む。したがって、粉末X線回折におけるピークの回折角度が完全に一致する結晶だけでなく、ピークの回折角度が±0.2°程度の誤差で一致する結晶も本発明製剤に用いられる。
 化合物Iまたはその製剤が非晶質であるかどうかは、粉末X線回折測定において特定の回折ピークが存在せず、ブロードな回折のプロファイル(ハローパターン)を示すことで確認することができる。当業者間では既知であるが、ここで「ハローパターンを示す」とは、「特定の粉末X線回折ピークが存在しない」とほぼ同義である。
[0044]
 以下、本発明の固体分散体の好ましい態様を記載する。
 化合物Iである、(2E)-3-{2,6-ジクロロ-4-[(4-{3-[(1S)-1-(ヘキシルオキシ)エチル]-2-メトキシフェニル}-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル}-2-メチル-2-プロペン酸またはその製薬上許容される塩、および水溶性高分子を含有する固体分散体である。
[0045]
 別の態様としては、化合物Iおよびセルロース系高分子を含有する固体分散体、化合物Iおよびビニル系高分子を含有する固体分散体、化合物Iおよびアクリル酸系高分子を含有する固体分散体、化合物Iおよびポリエーテル系高分子を含有する固体分散体である。
[0046]
 別の態様としては、化合物Iおよびヒドロキシプロピルセルロースを含有する固体分散体、化合物Iおよびヒプロメロースを含有する固体分散体、化合物Iおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートを含有する固体分散体、化合物Iおよびメチルセルロースを含有する固体分散体、化合物Iおよびカルボキシメチルエチルセルロースを含有する固体分散体、化合物Iおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを含有する固体分散体、化合物Iおよびヒドロキシエチルメチルセルロースを含有する固体分散体、化合物Iおよびヒドロキシエチルセルロースを含有する固体分散体、化合物Iおよびカルメロースナトリウムを含有する固体分散体、化合物Iおよびカルメロースカルシウムを含有する固体分散体、化合物Iおよび酢酸フタル酸セルロースを含有する固体分散体である。好ましくは、化合物Iおよびヒドロキシプロピルセルロースを含有する固体分散体、化合物Iおよびヒプロメロースを含有する固体分散体、化合物Iおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートを含有する固体分散体、化合物Iおよびメチルセルロースを含有する固体分散体、化合物Iおよびカルボキシメチルエチルセルロースを含有する固体分散体、化合物Iおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを含有する固体分散体である。より好ましくは、化合物Iおよびメチルセルロースを含有する固体分散体、化合物Iおよびカルボキシメチルエチルセルロースを含有する固体分散体、化合物Iおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを含有する固体分散体である。
[0047]
 別の態様としては、化合物Iおよびポリビニルピロリドンを含有する固体分散体、化合物Iおよびポリビニルポリピロリドンを含有する固体分散体、化合物Iおよびポリビニルアルコールを含有する固体分散体、化合物Iおよびポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチルコポリマーを含有する固体分散体、化合物Iおよびポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマーを含有する固体分散体、化合物Iおよびポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートを含有する固体分散体、化合物Iおよびフマル酸・ステアリル酸・ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート・ヒドロキシプロピルメチルセルロース混合物を含有する固体分散体、化合物Iおよびポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートを含有する固体分散体である。好ましくは、化合物Iおよびポリビニルピロリドンを含有する固体分散体、化合物Iおよびポリビニルポリピロリドンを含有する固体分散体、化合物Iおよびポリビニルアルコールを含有する固体分散体、化合物Iおよびポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチルコポリマーを含有する固体分散体、より好ましくは、化合物Iおよびポリビニルピロリドンを含有する固体分散体、化合物Iおよびポリビニルポリピロリドンを含有する固体分散体である。
[0048]
 別の態様としては、化合物IおよびアミノアルキルメタアクリレートコポリマーEを含有する固体分散体、化合物Iおよびメタアクリル酸コポリマーLを含有する固体分散体、化合物Iおよびメタアクリル酸コポリマーLDを含有する固体分散体、化合物Iおよびメタアクリル酸コポリマーSを含有する固体分散体、化合物IおよびアミノアルキルメタアクリレートコポリマーRSを含有する固体分散体、化合物Iおよびアクリル酸エチル・メタアクリル酸メチルコポリマーを含有する固体分散体、化合物Iおよびアンモニアアルキルメタクリレートコポリマー、メチルアクリレート・メタアクリル酸・メチルメタアクリレートコポリマーを含有する固体分散体、化合物Iおよび2-メチル-5-ビニルピリジンメチルアクリレート・メタクリル酸コポリマーを含有する固体分散体である。
[0049]
 別の態様としては、化合物Iおよびポリエチレングリコールを含有する固体分散体、化合物Iおよびプロピレンオキサイド・エチレンオキサイドブロックコポリマーを含有する固体分散体である。
[0050]
 別の態様としては、化合物Iおよびセルロース系高分子を含有し、化合物Iとセルロース系高分子の重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびビニル系高分子を含有し、化合物Iとビニル系高分子の重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびアクリル酸系高分子を含有し、化合物Iとアクリル酸系高分子の重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびポリエーテル系高分子を含有し、化合物Iとポリエーテル系高分子の重量比が1:0.1~1:50である固体分散体である。好ましくは、化合物Iおよびセルロース系高分子を含有し、化合物Iとセルロース系高分子の重量比が1:0.5~1:25である固体分散体、化合物Iおよびビニル系高分子を含有し、化合物Iとビニル系高分子の重量比が1:0.5~1:25である固体分散体、化合物Iおよびアクリル酸系高分子を含有し、化合物Iとアクリル酸系高分子の重量比が1:0.5~1:25である固体分散体、化合物Iおよびポリエーテル系高分子を含有し、化合物Iとポリエーテル系高分子の重量比が1:0.5~1:25である固体分散体である。より好ましくは、化合物Iおよびセルロース系高分子を含有し、化合物Iとセルロース系高分子の重量比が1:1~1:10である固体分散体、化合物Iおよびビニル系高分子を含有し、化合物Iとビニル系高分子の重量比が1:1~1:10である固体分散体、化合物Iおよびアクリル酸系高分子を含有し、化合物Iとアクリル酸系高分子の重量比が1:1~1:10である固体分散体、化合物Iおよびポリエーテル系高分子を含有し、化合物Iとポリエーテル系高分子の重量比が1:1~1:10である固体分散体である。
[0051]
 別の態様としては、化合物Iおよびヒドロキシプロピルセルロースを含有し、化合物Iとヒドロキシプロピルセルロースの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびヒプロメロースを含有し、化合物Iとヒプロメロースの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートを含有し、化合物Iとヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびメチルセルロースを含有し、化合物Iとメチルセルロースの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびカルボキシメチルエチルセルロースを含有し、化合物Iとカルボキシメチルエチルセルロースの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを含有し、化合物Iとヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびヒドロキシエチルメチルセルロースを含有し、化合物Iとヒドロキシエチルメチルセルロースの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびヒドロキシエチルセルロースを含有し、化合物Iとヒドロキシエチルセルロースの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびカルメロースナトリウムを含有し、化合物Iとカルメロースナトリウムの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびカルメロースカルシウムを含有し、化合物Iとカルメロースカルシウムの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよび酢酸フタル酸セルロースを含有し、化合物Iと酢酸フタル酸セルロースの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体である。好ましくは、化合物Iおよびヒドロキシプロピルセルロースを含有し、化合物Iとヒドロキシプロピルセルロースの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体、化合物Iおよびヒプロメロースを含有し、化合物Iとヒプロメロースの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体、化合物Iおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートを含有し、化合物Iとヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体、化合物Iおよびメチルセルロースを含有し、化合物Iとメチルセルロースの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体、化合物Iおよびカルボキシメチルエチルセルロースを含有し、化合物Iとカルボキシメチルエチルセルロースの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体、化合物Iおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを含有し、化合物Iとヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体である。より好ましくは、化合物Iおよびメチルセルロースを含有し、化合物Iとメチルセルロースの重量比が1:1~1:10である固体分散体、化合物Iおよびカルボキシメチルエチルセルロースを含有し、化合物Iとカルボキシメチルエチルセルロースの重量比が1:1~1:10である固体分散体、化合物Iおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを含有し、化合物Iとヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの重量比が1:1~1:10である固体分散体である。
[0052]
 別の態様としては、化合物Iおよびポリビニルピロリドンを含有し、化合物Iとポリビニルピロリドンの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびポリビニルポリピロリドンを含有し、化合物Iとポリビニルポリピロリドンの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびポリビニルアルコールを含有し、化合物Iとポリビニルポリピロリドンの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチルコポリマーを含有し、化合物Iとポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチルコポリマーの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマーを含有し、化合物Iとポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマーの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートを含有し、化合物Iとポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびフマル酸・ステアリル酸・ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート・ヒドロキシプロピルメチルセルロース混合物を含有し、化合物Iとフマル酸・ステアリル酸・ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート・ヒドロキシプロピルメチルセルロース混合物の重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートを含有し、化合物Iとポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体である。好ましくは、化合物Iおよびポリビニルピロリドンを含有し、化合物Iとポリビニルピロリドンの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体、化合物Iおよびポリビニルポリピロリドンを含有し、化合物Iとポリビニルポリピロリドンの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体、化合物Iおよびポリビニルアルコールを含有し、化合物Iとポリビニルポリピロリドンの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体、化合物Iおよびポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチルコポリマーを含有し、化合物Iとポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチルコポリマーの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体である。より好ましくは、化合物Iおよびポリビニルピロリドンを含有し、化合物Iとポリビニルピロリドンの重量比が1:1~1:10である固体分散体、化合物Iおよびポリビニルポリピロリドンを含有し、化合物Iとポリビニルポリピロリドンの重量比が1:1~1:10である固体分散体である。
[0053]
 別の態様としては、化合物IおよびアミノアルキルメタアクリレートコポリマーEを含有し、化合物IとアミノアルキルメタアクリレートコポリマーEの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびメタアクリル酸コポリマーLを含有し、化合物Iとメタアクリル酸コポリマーLの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびメタアクリル酸コポリマーLDを含有し、化合物Iとメタアクリル酸コポリマーLDの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびメタアクリル酸コポリマーSを含有し、化合物Iおよびメタアクリル酸コポリマーSの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物IおよびアミノアルキルメタアクリレートコポリマーRSを含有し、化合物IとアミノアルキルメタアクリレートコポリマーRSの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびアクリル酸エチル・メタアクリル酸メチルコポリマーを含有し、化合物Iとアクリル酸エチル・メタアクリル酸メチルコポリマーの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびアンモニアアルキルメタクリレートコポリマー、メチルアクリレート・メタアクリル酸・メチルメタアクリレートコポリマーを含有し、化合物Iとアンモニアアルキルメタクリレートコポリマー、メチルアクリレート・メタアクリル酸・メチルメタアクリレートコポリマーの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよび2-メチル-5-ビニルピリジンメチルアクリレート・メタクリル酸コポリマーを含有し、化合物Iと2-メチル-5-ビニルピリジンメチルアクリレート・メタクリル酸コポリマーの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体である。好ましくは、化合物IおよびアミノアルキルメタアクリレートコポリマーEを含有し、化合物IとアミノアルキルメタアクリレートコポリマーEの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体、化合物Iおよびメタアクリル酸コポリマーLを含有し、化合物Iとメタアクリル酸コポリマーLの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体、化合物Iおよびメタアクリル酸コポリマーLDを含有し、化合物Iとメタアクリル酸コポリマーLDの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体、化合物Iおよびメタアクリル酸コポリマーSを含有し、化合物Iおよびメタアクリル酸コポリマーSの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体、化合物IおよびアミノアルキルメタアクリレートコポリマーRSを含有し、化合物IとアミノアルキルメタアクリレートコポリマーRSの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体、化合物Iおよびアクリル酸エチル・メタアクリル酸メチルコポリマーを含有し、化合物Iとアクリル酸エチル・メタアクリル酸メチルコポリマーの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体、化合物Iおよびアンモニアアルキルメタクリレートコポリマー、メチルアクリレート・メタアクリル酸・メチルメタアクリレートコポリマーを含有し、化合物Iとアンモニアアルキルメタクリレートコポリマー、メチルアクリレート・メタアクリル酸・メチルメタアクリレートコポリマーの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体、化合物Iおよび2-メチル-5-ビニルピリジンメチルアクリレート・メタクリル酸コポリマーを含有し、化合物Iと2-メチル-5-ビニルピリジンメチルアクリレート・メタクリル酸コポリマーの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体である。より好ましくは、化合物IおよびアミノアルキルメタアクリレートコポリマーEを含有し、化合物IとアミノアルキルメタアクリレートコポリマーEの重量比が1:1~1:10である固体分散体、化合物Iおよびメタアクリル酸コポリマーLを含有し、化合物Iとメタアクリル酸コポリマーLの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体、化合物Iおよびメタアクリル酸コポリマーLDを含有し、化合物Iとメタアクリル酸コポリマーLDの重量比が1:1~1:10である固体分散体、化合物Iおよびメタアクリル酸コポリマーSを含有し、化合物Iおよびメタアクリル酸コポリマーSの重量比が1:1~1:10である固体分散体、化合物IおよびアミノアルキルメタアクリレートコポリマーRSを含有し、化合物IとアミノアルキルメタアクリレートコポリマーRSの重量比が1:1~1:10である固体分散体、化合物Iおよびアクリル酸エチル・メタアクリル酸メチルコポリマーを含有し、化合物Iとアクリル酸エチル・メタアクリル酸メチルコポリマーの重量比が1:1~1:10である固体分散体、化合物Iおよびアンモニアアルキルメタクリレートコポリマー、メチルアクリレート・メタアクリル酸・メチルメタアクリレートコポリマーを含有し、化合物Iとアンモニアアルキルメタクリレートコポリマー、メチルアクリレート・メタアクリル酸・メチルメタアクリレートコポリマーの重量比が1:1~1:10である固体分散体、化合物Iおよび2-メチル-5-ビニルピリジンメチルアクリレート・メタクリル酸コポリマーを含有し、化合物Iと2-メチル-5-ビニルピリジンメチルアクリレート・メタクリル酸コポリマーの重量比が1:1~1:10である固体分散体である。
[0054]
 別の態様としては、化合物Iおよびポリエチレングリコールを含有し、化合物Iとポリエチレングリコールの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体、化合物Iおよびプロピレンオキサイド・エチレンオキサイドブロックコポリマーを含有し、化合物Iとプロピレンオキサイド・エチレンオキサイドブロックコポリマーの重量比が1:0.1~1:50である固体分散体である。好ましくは、化合物Iおよびポリエチレングリコールを含有し、化合物Iとポリエチレングリコールの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体、化合物Iおよびプロピレンオキサイド・エチレンオキサイドブロックコポリマーを含有し、化合物Iとプロピレンオキサイド・エチレンオキサイドブロックコポリマーの重量比が1:0.5~1:25である固体分散体である。より好ましくは、化合物Iおよびポリエチレングリコールを含有し、化合物Iとポリエチレングリコールの重量比が1:1~1:10である固体分散体、化合物Iおよびプロピレンオキサイド・エチレンオキサイドブロックコポリマーを含有し、化合物Iとプロピレンオキサイド・エチレンオキサイドブロックコポリマーの重量比が1:1~1:10である固体分散体である。
実施例
[0055]
 以下に、製造例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。化合物Iは、国際公開2015/093586号パンフレット(当該パンフレット中では、化合物Iは、「化合物(XI’)」と記載)記載の方法によって製造される。
[0056]
試験例1 化合物Iの溶解度評価
 第14改正日本薬局方溶出試験法第2法(パドル法)に従い、化合物Iに以下溶媒を添加し、超音波照射処理を行った後、37℃、毎分50回転で3時間撹拌した。3時間後、検体を0.45μmフィルターでろ過し、ろ液中の薬物濃度をHPLC法により測定した。なお、溶媒としては100mMクエン酸緩衝液(pH4)、100mMリン酸緩衝液(pH7)、および100mM炭酸緩衝液(pH9)を用いた。
 結果を表1に示す。化合物Iが酸性および中性の溶媒に難溶であることを確認した。
[表1]


[0057]
試験例2 固体分散体末を含有したカプセルの溶出試験
 化合物I:水溶性高分子重量比が1:9である固体分散体末のカプセルを次のように製造した。
 表2に示した通り、化合物I及び水溶性高分子をエタノール/アセトン(1/1)混合液に溶解した後、40℃減圧下で溶媒を除去し、得られた固形物を錠剤粉砕機KC-HUK型(KONISHI社製)で粉砕した(固体分散体)。得られた粉砕物にD-マンニトール(ROQUETTE)、含水二酸化ケイ素(カープレックス67、DSLジャパン)およびカルメロースカルシウム(FMC BioPolymer)を一定の割合で混合し、固体分散体末を製造した。製造した固体分散末をゼラチン2号カプセル(クオリカプス)に充填した。表2に固体分散体末およびカプセル剤の組成を示す。
[表2]



 水溶性高分子としては、表3に示す通り、ポビドン(Kollidone 25、BASF ジャパン)、メチルセルロース(SM-4、信越化学工業)、ヒプロメロース(TC-5、信越化学工業)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-SSL、日本曹達)、ポリエチレングリコール6000(PEG6000、和光純薬)およびポリオキシエチレン (160)ポリオキシプロピレン (30)グリコール(Poloxamer188、BASF)を使用した。
[表3]


[0058]
(比較例1 懸濁液の調製)
 化合物I 5mgおよびヒドロキシプロピルセルロース 25mgを混合し、10mlの水に懸濁することにより懸濁液を得た。
[0059]
(溶出試験法)
 実施例1~4および参考例1~2で得られたカプセル剤、および比較例1で得られた懸濁液について、以下の溶出試験(溶出試験1:実施例1~4および参考例1~2、溶出試験2:比較例1)を行った。

溶出試験1
 溶出試験は、第14改正日本薬局方溶出試験法第2法(パドル法)に従い、日本薬局方
崩壊試験法第2液900mlを用いて、37℃で毎分50回転の条件により行った。任意の時間ごとに溶出試験装置より溶出試験液をサンプリングし、サンプリングした試験液をTHFで2倍に希釈後、分光光度計(DU7500 SPECTROPHOTOMETER、BECKMAN社製)にてUV吸光度を測定した。
なお、実施例4の溶出試験のみ、20分後に毎分50回転から毎分100回転へ、40分後に毎分100回転から毎分200回転へ回転数を上げた。
 UV吸光度:250nm
 セル長:1cm

溶出試験2
 溶出試験は、第14改正日本薬局方溶出試験法第2法(パドル法)に従い、日本薬局方崩壊試験法第2液900mlを用いて、37℃で毎分50回転の条件により行った。溶出試験装置にOptical Fiber式溶出モニター(DM-3100、大塚電子社製)を装着し、オンラインで測定した。
 UV吸光度:250nm
 光路長:0.5cm
[0060]
(溶出試験の結果)
 実施例1~4および参考例1~2で得られたカプセル剤の溶出試験の結果を図1に、比較例1で得られた懸濁液の溶出試験の結果を図2に示す。前記溶出試験開始60分後の溶出率が、いずれの固体分散体のカプセル剤においても、比較例1の懸濁液と比較して、非常に高い溶出率を示した。この結果から、化合物Iは難溶性であるが、本発明の固体分散体にすることにより溶解性が改善できることが確認された。
[0061]
試験例3 イヌにおける経口吸収性評価
 実施例1、2、4で得られたカプセル剤、および比較例1で得られた懸濁液について、以下のイヌにおける経口吸収性評価を行った。
 雄ビーグル犬を予め24時間絶食させた後、検体1カプセルを経口投与した。投与前および投与後一定時間後に、前肢静脈より採血を行い、血漿中薬物濃度をLC/MS/MSを用いて測定し、最大血漿中薬物濃度(Cmax)、最高血漿中薬物濃度到達時間(Tmax)を求め、台形法により投与時から無限大までの血漿中薬物濃度-時間曲線下面積(AUC)を算出した。
[0062]
(イヌにおける経口吸収性評価の結果)
 化合物Iを3mg含む実施例1、2および4の血漿中薬物濃度変化についての結果を図3に示す。実施例1、2ならびに4で得られたカプセル剤、および比較例1で得られた懸濁液のTmax、CmaxおよびAUC inf値についての結果を表4に示す。その結果、実施例1、2および4で得られた固体分散体末を含有するカプセル剤は、比較例1の懸濁液と比べ大幅に吸収が改善した。
[表4]




[0063]
試験例4 製造直後における固体分散体の安定性
(固体分散体の製造法)
 化合物I:水溶性高分子の重量比が1:9である固体分散体を次のように製造した。
 表5に示した通り一定の割合で、化合物Iおよび水溶性高分子をエタノールに溶解した後、40℃減圧下で溶媒を除去し、得られた固形物を錠剤粉砕機KC-HUK型(KONISHI社製)で粉砕し、固体分散体を製造した。
[表5]





 水溶性高分子としては、表6に示す通り、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(AQOAT、信越化学工業)、メチルセルロース(SM-4、信越化学工業)、ヒプロメロース(TC-5、信越化学工業)、ポビドン(Kollidone 25、BASF ジャパン)、ポリビニルアルコール(PVA IV-88、Merck)、ポロビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(POVACOAT、大同化工)、メタアクリル酸コポリマー(Eudragit L-SD、エボニックジャパン)を使用した。
[表6]




[0064]
 実施例5~8、参考例3~5で得られた固体分散体について、粉末X線回折測定を行い、結晶化ピークの有無によって非晶質化の確認を実施した。なお、化合物Iの粉末X線回折パターンは、図4で示す通り、シャープな回折ピークを示した。
 上記のように製造した固体分散体末について、日本薬局方の一般試験法に記載された粉末X線回折測定法に従い、粉末X線回折測定を実施した。測定条件を以下に示す。
(装置)
リガク社製RINT Ultima
(操作方法)
試料について、以下の条件で測定を行った。
測定法:反射法
使用波長:CuKα線
管電流:30mA
管電圧:40kV
X線の入射角(2θ):4°~35°
サンプリング幅:0.02°
スキャンスピード:5°/min
発散スリット:1/2°
発散縦スリット: 5 mm
散乱スリット: 0.73 mm
受光スリット: 0.3 mm
モノクロ受光スリット: 0.8 mm
[0065]
(結果)
 実施例5~8、参考例3~5の固体分散体の粉末X線回折測定の結果を表7および図5~11に示す。いずれの固体分散体末も、製造直後は、粉末X線回折において特定の回折ピークが存在しないハローパターンを示し、製剤中での化合物Iは非晶質状態であることを確認した。
[表7]




[0066]
試験例5 経時安定性試験後における固体分散体の安定性
 実施例5~8、参考例3~5で得られた固体分散体を密封ガラスビン中に入れ、以下の条件で保存した。経時保存後、上記記載の条件で、粉末X線回折測定を行い、結晶化ピークの有無によって、製剤の安定性を評価した。
 保管条件:40℃、1ヶ月間保存
[0067]
(固体分散体の経時安定性試験の結果)
 実施例5~8、参考例3~5で得られた固体分散体末の経時保存後の安定性に関して、粉末X線回折測定の結果を表8および図5~11に示す。
[表8]





 参考例3で得られたポリビニルアルコールを含む固体分散体、参考例4で得られたポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を含む固体分散体、および参考例5で得られたメタアクリル酸コポリマー L-SDを含む固体分散体については、経時保存後において、粉末X線回折にて回折ピークが確認された。
 一方、実施例5で得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを含む固体分散体、実施例6で得られたメチルセルロースを含む固体分散体、実施例7で得られたヒプロメロースを含む固体分散体、および実施例8で得られたポビドンを含む固体分散体については、粉末X線回折おいて、特定の回折ピークが存在しないハローパターンを示した。従って、40℃、1ヶ月間保存においても非晶質状態を維持しており、製剤安定性が示された。
[0068]
試験例6 水溶性高分子の含量における経時安定性の影響
(固体分散体の製造方法)
 上記の実施例5~8、参考例3~5の固体分散体の製造法に倣い、化合物I:水溶性高分子の重量比が1:3である固体分散体を製造した。一定の割合で、化合物I及び水溶性高分子をエタノール/アセトン(1/1)混合液に溶解した後、40℃減圧下で溶媒を除去し、得られた固形物を錠剤粉砕機KC-HUK型(KONISHI社製)で粉砕し、固体分散体末を調製した。
 化合物I:水溶性高分子の重量比および水溶性高分子の種類を表9に示した。水溶性高分子としては、ヒドロキシプロピルセルロース-SL(HPC-SL、日本曹達製)、ヒプロメロース(TC-5、信越化学工業))、メチルセルロース(SM-4、信越化学工業)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(AQOAT、信越化学工業)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC、FREUND)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP、信越化学工業)、ポビドン(Kollidone 25、BASFジャパン)を使用した。
[表9]




[0069]
 実施例9~21で得られた固体分散体を密封ガラスビン中に入れて、以下の条件で保存し、保管後のサンプルについて上記条件で粉末X線回折測定を行った。粉末X線回折測定の結晶化ピークの有無によって、製剤の安定性を評価した。保管条件は、40℃、1~3ヶ月間保存である。
[0070]
(製剤の安定性試験の結果)
 実施例9~21で得られた固体分散体の保管安定性に関して、粉末X線回折測定の結果を表10に示す。なお、特定の回折ピークが存在しないハローパターンを確認した場合「〇」、回折ピークを確認した場合「×」とした。
[表10]





 その結果、化合物I:水溶性高分子重量比が1:3である固体分散体においては、いずれの固体分散体も特定の回折ピークが存在しないハローパターンが確認された。したがって、40℃、1~3ヶ月間保存において、非晶質状態を維持しており、製剤安定性が示された。
 なお、化合物I:水溶性高分子の重量比が1:2である固体分散体を40℃、1~3ヶ月間保存した場合、水溶性高分子がメチルセルロースである固体分散体、水溶性高分子がヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートである固体分散体、および水溶性高分子がカルボキシメチルエチルセルロースである固体分散体は、特定の回折ピークが存在しないハローパターンを示したことから、非晶質状態を維持しており、製剤の安定性が示された。

産業上の利用可能性

[0071]

 (2E)-3-{2,6-ジクロロ-4-[(4-{3-[(1S)-1-(ヘキシルオキシ)エチル]-2-メトキシフェニル}-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル}-2-メチル-2-プロペン酸またはその製薬上許容される塩(化合物I)および水溶性高分子を含有する固体分散体とすることによって、化合物Iの水溶解度が増加した。また、この固体分散体を経口投与することによって、化合物Iの吸収性が増加した。

請求の範囲

[請求項1]
(2E)-3-{2,6-ジクロロ-4-[(4-{3-[(1S)-1-(ヘキシルオキシ)エチル]-2-メトキシフェニル}-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル}-2-メチル-2-プロペン酸またはその製薬上許容される塩、および水溶性高分子を含有する固体分散体。
[請求項2]
水溶性高分子がセルロース系高分子、ビニル系高分子、アクリル酸系高分子およびポリエーテル系高分子からなる群から選択される1以上である請求項1記載の固体分散体。
[請求項3]
水溶性高分子がセルロース系高分子であり,当該セルロース系高分子がヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウムおよび酢酸フタル酸セルロースからなる群から選択される1以上である請求項2記載の固体分散体。
[請求項4]
セルロース系高分子がヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートからなる群から選択される1以上である請求項3記載の固体分散体。
[請求項5]
セルロース系高分子がメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートからなる群から選択される1以上である請求項4記載の固体分散体。
[請求項6]
水溶性高分子がビニル系高分子であり,当該ビニル系高分子がポリビニルピロリドン、ポリビニルポリピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチルコポリマー、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、フマル酸・ステアリル酸・ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート・ヒドロキシプロピルメチルセルロース混合物およびポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートからなる群から選択される1以上である請求項2記載の固体分散体。
[請求項7]
ビニル系高分子がポリビニルピロリドン、ポリビニルポリピロリドン、ポリビニルアルコールおよびポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体からなる群から選択される1以上である請求項6記載の固体分散体。
[請求項8]
ビニル系高分子がポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルポリピロリドンである請求項7記載の固体分散体。
[請求項9]
水溶性高分子がアクリル酸系高分子であり,当該アクリル酸系高分子がアミノアルキルメタアクリレートコポリマーE、メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーLD、メタアクリル酸コポリマーS、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチルコポリマー、アンモニアアルキルメタクリレートコポリマー、メチルアクリレート・メタアクリル酸・メチルメタアクリレートコポリマーおよび2-メチル-5-ビニルピリジンメチルアクリレート・メタクリル酸コポリマーからなる群から選択される1以上である請求項2記載の固体分散体。
[請求項10]
水溶性高分子がポリエーテル系高分子であり,当該ポリエーテル系高分子がポリエチレングリコールおよび/またはプロピレンオキサイド・エチレンオキサイドブロック共重合体である請求項2記載の固体分散体。
[請求項11]
(2E)-3-{2,6-ジクロロ-4-[(4-{3-[(1S)-1-(ヘキシルオキシ)エチル]-2-メトキシフェニル}-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル}-2-メチル-2-プロペン酸またはその製薬上許容される塩、および水溶性高分子を含有し、当該化合物またはその製薬上許容される塩と水溶性高分子の重量比が、1:0.1~1:50である請求項1~10のいずれかに記載の固体分散体。
[請求項12]
前記化合物またはその製薬上許容される塩と水溶性高分子の重量比が、1:0.5~1:25である請求項11記載の固体分散体。
[請求項13]
前記化合物またはその製薬上許容される塩と水溶性高分子の重量比が、1:1~1:10である請求項12記載の固体分散体。
[請求項14]
請求項1~13のいずれかに記載の固体分散体を含有する、散剤、顆粒剤および錠剤からなる群から選択されるいずれかの固形製剤。
[請求項15]
日本薬局方に規定された溶出試験法(パドル法)における溶出試験開始60分後の(2E)-3-{2,6-ジクロロ-4-[(4-{3-[(1S)-1-(ヘキシルオキシ)エチル]-2-メトキシフェニル}-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル}-2-メチル-2-プロペン酸またはその製薬上許容される塩の溶出率が1%以上である請求項1~14のいずれかに記載の固体分散体または固形製剤。
[請求項16]
(2E)-3-{2,6-ジクロロ-4-[(4-{3-[(1S)-1-(ヘキシルオキシ)エチル]-2-メトキシフェニル}-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル}-2-メチル-2-プロペン酸が非晶質状態である請求項1~15のいずれかに記載の固体分散体または固形製剤。
[請求項17]
非晶質状態である(2E)-3-{2,6-ジクロロ-4-[(4-{3-[(1S)-1-(ヘキシルオキシ)エチル]-2-メトキシフェニル}-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル}-2-メチル-2-プロペン酸またはその製薬上許容される塩。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]