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1. WO2020115797 - レーザ加工方法およびレーザ加工装置

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明 細 書

発明の名称 レーザ加工方法およびレーザ加工装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105  

符号の説明

0106  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22  

明 細 書

発明の名称 : レーザ加工方法およびレーザ加工装置

技術分野

[0001]
 本発明は、レーザ光を加工対象物に照射して加工対象物を切断するレーザ加工方法およびレーザ加工装置に関する。

背景技術

[0002]
 近年、高い強度と軽さとを併せ持つ材料として、ガラス繊維強化プラスチック(Glass Fiber Reinforced Plastics:GFRP)のような母材と強化繊維とから構成される繊維強化複合材料が注目されている。繊維強化複合材料は、母材と強化繊維とが各々異なる特性を有するため、加工が困難であることが知られている。レーザ加工装置は、レーザ出力を上げることで加工速度を上げることができるため、加工速度が求められる場合、繊維強化複合材料の加工に用いられることがある。
[0003]
 特許文献1には、1パルスのパルスレーザで形成される複数の貫通孔を形成し、隣り合う貫通孔の一部をオーバーラップさせることによりガラス繊維強化樹脂フィルムを切断することが開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2011-098381号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、上記特許文献1においては、GFRPよりも加工閾値および熱伝導性の物性値が遙かに高い繊維を含んだ繊維強化複合材料の切断については言及されていない。
[0006]
 例えば炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic:CFRP)は、熱的特性が大きく異なった炭素繊維と樹脂との2種類の材料から構成されており、樹脂よりも熱伝導率が高い炭素繊維がレーザ加工時に発生する熱の伝熱経路として作用する。CFRPでは、炭素繊維の融点は3500℃程度であって、樹脂の融点は250℃程度である。この場合、切断加工時の加工点の温度は融点が高い方に合わせて調整されるため、3500℃以上となる。このため、CFRPのレーザ加工時においては、加工時に発生して炭素繊維から伝熱される熱に起因して加工部位の周辺の樹脂に熱損傷が拡散する懸念がある。したがって、CFRPの切断においては、樹脂への熱影響を減らすために、1パルスのパルスレーザで1つの孔を貫通させることが望ましい。
[0007]
 CFRPにおいて熱損傷によって繊維表面と樹脂との界面の密着度が低下した場合は、CFRPの構造材としての機械的強度特性が劣化し、切断されたCFRPの品質が低下する。このため、CFRPの加工において、加工部位の周囲への熱損傷拡散は極力回避する必要がある。
[0008]
 本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、繊維強化複合材料の樹脂への熱影響を抑制して繊維強化複合材料の加工が可能なレーザ加工方法を得ることを目的とする。

課題を解決するための手段

[0009]
 上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるレーザ加工方法は、母材と、熱伝導率および加工閾値がガラス繊維の物性値よりも高い繊維を含んだ繊維強化複合材料からなる加工対象物をレーザ加工する加工方法である。レーザ加工方法は、加工対象物と加工ヘッドとを予め定められた切断方向において相対移動させながら、加工ヘッドからパルスレーザ光を加工対象物に照射して加工対象物を貫通する複数の貫通孔を形成することによって加工対象物を加工する工程を含む。パルスレーザ光は、パルス幅が1ms未満であり、貫通孔を1パルスで形成可能なエネルギー密度を有する。

発明の効果

[0010]
 本発明にかかるレーザ加工方法は、繊維強化複合材料の樹脂への熱影響を抑制して繊維強化複合材料の加工が可能である、という効果を奏する。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 本発明の実施の形態1にかかるレーザ加工装置の機能構成を示す図
[図2] 図1に示すレーザ加工装置のハードウェア構成の一例を示す模式図
[図3] 図1に示すレーザ加工装置によるレーザ加工方法を示す図
[図4] CFRPの物性値を示す図
[図5] 図1に示すレーザ加工装置において出力されるパルスレーザ光であるパルスレーザの出力波形を示す図であり、加工対象物を厚み方向に貫通する貫通孔である加工孔を1回の照射で形成可能なエネルギーを有するパルスレーザの出力波形を示す図
[図6] パルスレーザ光による加工対象物の加工条件が式(3)の条件を満たさない場合であり、オーバーラップ比率が0未満の場合の加工状態を示す模式図
[図7] パルスレーザ光による加工対象物の加工条件が式(3)の条件を満たす場合の加工状態を示す模式図
[図8] パルスレーザ光による加工対象物の加工条件が式(3)の条件を満たさない場合であり、オーバーラップ比率が0.5以上の場合の加工状態を示す模式図
[図9] 加工対象物の加工点に対して1回目のパルスレーザ光の照射を行った直後の状態を示す模式断面図
[図10] 加工対象物の加工点に対して1回目のパルスレーザ光の照射を行った後の穴の底部の放置期間における状態を示す模式断面図
[図11] 加工対象物の加工点に対して2回目のパルスレーザ光の照射を行った直後の状態を示す模式断面図
[図12] 加工対象物の加工点に対して2回目のパルスレーザ光の照射を行った後の穴の底部の放置期間における状態を示す模式断面図
[図13] 加工対象物の加工点に対して複数回のパルスレーザ光の照射が行われて加工対象物に貫通孔が形成された状態を示す模式断面図
[図14] 図5に示す出力波形のパルスレーザと同じ加工速度で、CWレーザにより切断加工を行う場合のCWレーザの出力波形を示す図
[図15] 光軸の外から光軸に向けてガスを噴射するサイドフローノズルであるノズルを使用した例を示す図
[図16] 光軸に沿った方向から加工点に向けてガスを噴射する軸流ノズルを使用した例を示す図
[図17] レーザ加工装置を用いた切断加工において加工対象物の良好な加工品質が得られた切断加工条件例を示す図
[図18] レーザ加工装置を用いた切断加工において切断された加工サンプルの画像を示す図
[図19] 図18に示す加工サンプルの領域Aを拡大した画像を示す図
[図20] 図1に示すレーザ加工装置においてパルスレーザ光を2回走査して切断長を切断加工するレーザ加工方法を示す図であり、1回目のパルスレーザ光の走査状態を示す図
[図21] 図1に示すレーザ加工装置においてパルスレーザ光を2回走査して切断長を切断加工するレーザ加工方法を示す図であり、2回目のパルスレーザ光の走査状態を示す図
[図22] 図1に示す制御部の機能を実現するためのハードウェア構成を示す図

発明を実施するための形態

[0012]
 以下に、本発明の実施の形態にかかるレーザ加工方法およびレーザ加工装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
[0013]
実施の形態1.
 図1は、本発明の実施の形態1にかかるレーザ加工装置100の機能構成を示す図である。図2は、図1に示すレーザ加工装置100のハードウェア構成の一例を示す模式図である。図3は、図1に示すレーザ加工装置100によるレーザ加工方法を示す図である。図3では、レーザ加工装置100によるレーザ加工に関わる要部について示している。レーザ加工装置100は、レーザ発振器11と、光路12と、加工ヘッド13と、駆動部14と、ノズル15と、ノズル移動機構16と、検知部17と、制御部18とを有する。
[0014]
 レーザ加工装置100は、加工対象物Wにパルスレーザ光1を照射して、加工対象物Wの切断加工を行う機能を有する。本実施の形態1における加工対象物Wは、母材および強化繊維を含む繊維強化複合材料からなる板状の加工対象物である。繊維強化複合材料の一例としては、CFRPが挙げられる。CFRPは、母材と、熱伝導率および加工閾値がガラス繊維の物性値よりも高い繊維を含んだ繊維強化複合材料からなる加工対象物である。
[0015]
 図4は、CFRPの物性値を示す図である。CFRPにおいて、強化繊維は、直径が5ミクロン以上、10ミクロン以下の範囲である炭素繊維である。加工対象物W内においては、複数の強化繊維が予め決められた一方向に沿って配置されている。図3において、予め決められた一方向は、図中の左下から右上に向かう方向である。
[0016]
 母材は、エポキシ樹脂に代表される熱硬化型の樹脂である。炭素繊維の熱伝導率は、100W/m・K以上、800W/m・K以下の範囲であり、樹脂の熱伝導率0.3W/m・Kよりも高い。炭素繊維の融点は、2000℃以上、3500℃以下の範囲であり、樹脂の融点250℃以下よりも高い。すなわち、CFRPにおける炭素繊維と樹脂とは、融点および熱伝導性が大きく異なり、両特性とも炭素繊維が母材に対して非常に高い。したがって、繊維強化複合材料の一例であるCFRPは、母材と、母材よりも熱伝導率および加工閾値が高い炭素繊維を含む複合材料である。
[0017]
 CFRPからなる加工対象物Wは、強化繊維である炭素繊維Waと、母材である樹脂Wbとを含む。図示の便宜上、図2等においては、複数の炭素繊維Waが樹脂Wb中において複数層に配置された状態を示しているが、実際にはより多数の炭素繊維Waが樹脂Wb中に、予め決められた一方向に沿って配置されている。なお、加工対象物Wの表面をXY平面とし、XY平面に垂直な方向をZ軸方向とする。パルスレーザ光1の照射方向は、Z軸と平行である。
[0018]
 比較のため、特許文献1で加工対象にしているGFRPの物性値を図4に併せて示す。図4より、CFRPは、加工閾値および熱伝導性が、ともにGFRPよりも大幅に高いことがわかる。ここで、炭素繊維の熱伝導性が高いことは、レーザ加工時において炭素繊維から伝熱される熱に起因して加工部位の周囲の樹脂に熱損傷が拡散する懸念が高いことを意味する。炭素繊維の融点が高いことは、加工しにくいことを意味する。すなわち、炭素繊維の融点が高いことは、加工閾値が高く、加工しにくいことを意味する。加工閾値とは、パルスレーザ光1が加工対象物に照射されたときに、加工対象物の分解が開始するときのパルスレーザ光1の最小のエネルギー密度のことである。
[0019]
 レーザ発振器11は、パルスレーザ光1を発振して射出する。本実施の形態1にかかるレーザ加工装置100に用いるレーザ発振器11は、CO レーザ発振器が好ましい。すなわち、本実施の形態1にかかるレーザ加工装置100に用いるパルスレーザ光1は、CO レーザ発振器が好ましい。
[0020]
 レーザ発振器11から射出されたパルスレーザ光1は、光路12を介して加工ヘッド13へ供給される。光路12は、レーザ発振器11が射出したパルスレーザ光1を加工ヘッド13まで伝送する経路であり、パルスレーザ光1を空中で伝搬させる経路でもよいし、光ファイバを通じてパルスレーザ光1を伝送させる経路でもよい。光路12は、パルスレーザ光1の特性に対応して設計される。
[0021]
 加工ヘッド13は、パルスレーザ光1を加工対象物Wへ集光する光学系を有している。加工ヘッド13は、供給されたパルスレーザ光1を集光して加工対象物Wの加工対象面である加工対象物Wの一方の面へ照射する。加工ヘッド13は、加工対象物Wの表面付近に焦点を結ぶような光学系を備えていることが望ましい。
[0022]
 駆動部14は、加工ヘッド13と加工対象物Wとの相対位置関係を制御して変化させることができる。なお、レーザ加工装置100において、駆動部14は加工ヘッド13の位置を変化させることで、加工ヘッド13と加工対象物Wとの相対位置関係を変化させることとしたが、駆動部14は、加工対象物Wを載置するテーブルの位置を変化させてもよいし、加工ヘッド13と加工対象物Wを載置するテーブルとの両方の位置を変化させてもよい。つまり、駆動部14は、加工ヘッド13および加工対象物Wの少なくとも1つの位置を変化させる機能を有していればよい。
[0023]
 駆動部14が加工ヘッド13と加工対象物Wとの相対位置関係を変化させながら、加工ヘッド13が加工対象物Wにパルスレーザ光1を照射することで、加工対象物Wの切断加工を行うことができる。
[0024]
 ノズル15は、加工ヘッド13から加工対象物Wにパルスレーザ光1が照射される部分にガス23を噴射するガス噴射ノズルである。ノズル15は、加工ヘッド13から加工対象物Wに照射されるパルスレーザ光1の光軸1aの外から光軸1aに向けてガス23を噴射する。より詳細には、ノズル15は、加工ヘッド13から加工対象物Wに照射されるパルスレーザ光1の光軸1aの外から、加工対象物Wにおけるパルスレーザ光1による加工点に向けてガス23を噴射する。ノズル15の位置は、ノズル移動機構16によって変化させられる。ノズル15の位置は、加工対象物Wの加工中において制御部18の制御により任意の位置に移動可能である。
[0025]
 検知部17は、加工対象物Wの状態またはレーザ加工装置100の状態を検知するセンサである。検知部17は、加工中の加工対象物Wの位置、加工中に発生する光の強度および波長、音波、超音波といった物理量の計測値を時系列信号として計測する。検知部17は、例えば、静電容量センサ、フォトダイオード、CCD(Charge Coupled Device)センサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ、スペクトル分光器、音響センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、距離センサ、位置検出器、温度センサ、湿度センサなどである。検知部17は、計測値を示す時系列信号を制御部18に入力する。
[0026]
 制御部18は、設定された加工条件および検知部17から送信される計測値に従って、パルスレーザ光1が加工対象物W上の加工経路を走査するようにレーザ発振器11、駆動部14、ノズル移動機構16などを制御する。加工条件は、例えば、加工対象物Wの材質、厚み、および表面の状態を含む。加工条件は、さらに、レーザ発振器11のレーザ出力強度、レーザ出力周波数、レーザ出力のデューティ比、モード、波形、および波長などを含む。加工条件は、パルスレーザ光1の焦点位置、パルスレーザ光1の集光径、ノズル15から噴射するガスの種類、ガス圧、ノズルの穴径、加工速度などを含むことができる。また、加工条件は、加工対象物Wと加工ヘッド13との間の距離、温度、湿度など検知部17から入力される計測値を含むこともできる。
[0027]
 パルスレーザ光1を加工点に集光する集光レンズ21を含む光学ユニット22は、図1に示す加工ヘッド13の一部である。
[0028]
 レーザ加工装置100は、パルスレーザ光1を加工対象物Wの一方の面へ照射して加工対象物Wを加工品29と端材28とに分離させる切断加工を行う。加工品29は、切断加工の後に部品などとして使用される側であり、端材28は、切断加工の後に不要となる側である。パルスレーザ光1を加工対象物Wに照射する位置は、制御部18によって制御され、加工経路に沿って移動する。
[0029]
 つぎに、加工対象物WであるCFRPのレーザ加工装置100による加工方法について説明する。加工対象物Wの切断加工においては、パルスレーザ光1は、図3に示すように集光レンズ2で加工対象物Wの表面に集光される。パルスレーザ光1は、加工対象物Wの加工対象面において予め定められた切断方向に走査させて照射される。すなわち、パルスレーザ光1は、加工ヘッド13と加工対象物Wとの相対位置関係を変化させて加工対象物Wに対するパルスレーザ光1の照射位置を変えながら照射される。
[0030]
 図5は、図1に示すレーザ加工装置100において出力されるパルスレーザ光1であるパルスレーザの出力波形を示す図であり、加工対象物Wを厚み方向に貫通する貫通孔である加工孔41を1回の照射で形成可能なエネルギーを有するパルスレーザの出力波形を示す図である。加工対象物Wの切断長さLを切断するために加工対象物Wに照射するパルスレーザ光1のパルス数をNとする。Nは、2以上の正数である。例えば、走査速度vの速度でパルスレーザ光1の照射位置を移動させながら、図5に示すように周波数fでパルスレーザを繰り返し照射して1回の走査で加工対象物Wを切断する場合は、加工対象物Wに照射するパルスレーザ光1のパルス数Nは、以下の式(1)で表される。
[0031]
 N=L×f/v・・・(1)
[0032]
 加工対象物Wの切断方向における、1パルスのパルスレーザ光1で加工される加工孔41の孔径を加工孔径dとしたとき、切断方向において隣り合う2つの加工孔同士の切断方向におけるオーバーラップ比率ro、すなわち切断方向における加工孔の重なり具合は、以下の式(2)で表される。加工対象物Wの切断方向は、パルスレーザ光1の走査方向と同じ方向である。オーバーラップ比率roは、切断方向において隣り合う2つの加工孔同士が切断方向においてオーバーラップする長さの、加工孔径dに対する比率である。加工孔径dは、パルスレーザ光1の集光径と同じである。すなわち、加工孔径dは、加工対象物Wの切断方向における、パルスレーザ光1の集光径dと換言できる。なお、図3等の図においては、加工孔同士がオーバーラップした状態を理解しやすくするために、加工孔径dをパルスレーザ光1の集光径よりも大きくして図示している。
[0033]
 ro=(d-L/N)/d・・・(2)
[0034]
 そして、本実施の形態1においては、オーバーラップ比率roを以下の式(3)に示すように、0より大であり0.5未満の範囲としてレーザ加工が行われる。
[0035]
 0<ro=(d-L/N)/d<0.5・・・(3)
[0036]
 つぎに、上記の式(3)の条件を満たすように照射されるパルスレーザ光1が1パルスで加工対象物Wを貫通して切断可能であることについて説明する。図6から図8は、オーバーラップ比率roを変化させた場合のパルスレーザ光1による加工対象物Wの加工状態を示す模式図である。図6は、パルスレーザ光1による加工対象物Wの加工条件が式(3)の条件を満たさない場合であり、オーバーラップ比率roが0未満の場合の加工状態を示す模式図である。図7は、パルスレーザ光1による加工対象物Wの加工条件が式(3)の条件を満たす場合の加工状態を示す模式図である。図8は、パルスレーザ光1による加工対象物Wの加工条件が式(3)の条件を満たさない場合であり、オーバーラップ比率roが0.5以上の場合の加工状態を示す模式図である。図6から図8においては、ノズル15の図示を省略している。
[0037]
 図6に示すようにパルスレーザ光1による加工対象物Wの加工条件が式(3)の条件を満たさない場合であり、オーバーラップ比率roが0未満の場合は、切断方向における隣り合う加工孔41同士が切断方向においてオーバーラップしない、すなわち重ならない場合を意味する。したがって、図6に示す加工では、加工対象物Wを切断できない。
[0038]
 図8に示すようにパルスレーザ光1による加工対象物Wの加工条件が式(3)の条件を満たさない場合であり、オーバーラップ比率roが0.5以上であり隣り合う2つの加工孔41同士の切断方向における重なり具合が式(3)の条件よりも大きい場合は、切断長Lの全域において2回以上、パルスレーザ光1が照射されている。この場合には、加工対象物Wへの、切断に寄与しない余分な入熱量が多くなり、加工孔41の内面から周囲の樹脂Wbに対して不要な熱影響が生じる。また、切断長Lを切断加工するために必要なパルスレーザ光1の照射数が増え、使用するレーザエネルギーが増大してしまう。
[0039]
 一方、図7に示す場合は、パルスレーザ光1による加工対象物Wの加工条件が式(3)の条件を満たす場合であり、切断長Lにおける図7中のドットハッチングを施した加工領域42には、1パルス分のパルスレーザ光1のエネルギーしか入らない。この状態で加工対象物Wの切断長Lを切断できるということは、1パルス分のパルスレーザ光1のエネルギーで加工対象物Wを厚み方向に貫通する加工孔41を形成して切断を行っていることを示している。
[0040]
 すなわち、図7に示す場合は、加工孔が形成されて切断された領域について、パルスレーザ光1の走査方向においてパルスレーザが2回照射された領域が図8に示す場合よりも少ない状態で、切断長Lが切断される。つまり、図7に示すようにパルスレーザ光1による加工対象物Wの加工条件が式(3)の条件を満たす場合は、パルスレーザ光1を移動させながら1つのパルスレーザを繰り返し照射して切断するレーザ加工方法において、1回のパルスレーザの照射で、加工対象物Wを貫通する貫通孔である加工孔41を形成して加工対象物Wの切断を行う。これにより、加工対象物Wの樹脂Wbへの熱影響を抑制して加工対象物Wの切断が可能である。
[0041]
 なお、図7において、n=0のときのパルスレーザ光1の照射により、開口形状が半円状の加工孔41が形成されている。また、n=Nのときにはパルスレーザ光1の照射により、開口形状が円状の加工孔41が形成されている。ここで、n=Nの場合に形成された加工孔41において、切断長さLを切断するために必要な部分は、n=N-1の場合に形成された加工孔41側の、開口形状が半円状の部分である。したがって、n=0のときに形成された開口形状が半円状の加工孔41の部分と、n=Nのときに形成された加工孔41における開口形状が半円状の部分と、を合わせて1つの円状の加工孔41と考えることできる。このため、図7に示す場合、加工対象物Wの切断長さLを切断するために加工対象物Wに照射するパルスレーザ光1のパルス数はNと考えられる。
[0042]
 レーザ加工装置100による加工対象物Wの切断加工において、制御部18は、上記の式(3)の条件を満たすように駆動部14を制御して、加工ヘッド13と加工対象物Wとの相対位置関係を制御して変化させる。すなわち、制御部18は、加工対象物Wの切断加工を行う場合に、上記の式(3)の条件を満たすように、パルスレーザ光1の照射位置と加工対象物Wとの相対位置関係を制御する。
[0043]
 なお、本実施の形態1においては、上述したようにオーバーラップ比率roを「0<ro<0.5」の範囲とするが、オーバーラップ比率roは「0<ro<0.5」の範囲においても極力小さいこと、すなわち0に近いことが、より好ましい。オーバーラップ比率roを極力小さくすることにより、既に貫通している貫通孔の部分に再度照射されるパルスレーザ光1を減らし、加工対象物Wへの、切断に寄与しない余分な入熱を低減することができる。
[0044]
 オーバーラップ比率roの最適値は、0.2である。オーバーラップ比率roが0.2のとき、切断速度が遅くなることなく、かつ切断端面の平滑度も高くなる。すなわち、オーバーラップ比率roが0.2のときには、加工孔41同士をオーバーラップさせても加工速度の低下が抑えられつつ、切断端面において高い平滑度が得られる。
[0045]
 上述したように本実施の形態1にかかる加工対象物Wのレーザ加工方法により、1回のパルスレーザの照射で加工対象物Wを貫通させて切断することの効果について、加工対象物Wを深さ方向において複数回に分けて穴加工を繰り返して加工対象物Wを切断する比較例のレーザ加工方法と比較して説明する。
[0046]
 以下で説明する比較例のレーザ加工方法では、1回のパルスレーザ光1の照射では加工対象物Wを貫通する貫通孔が形成されず、同一箇所に対する複数回のパルスレーザ光1の照射により加工対象物Wを貫通する貫通孔を形成して切断を行う。図9は、加工対象物Wの加工点に対して1回目のパルスレーザ光1の照射を行った直後の状態を示す模式断面図である。図10は、加工対象物Wの加工点に対して1回目のパルスレーザ光1の照射を行った後の穴51の底部52の放置期間における状態を示す模式断面図である。図11は、加工対象物Wの加工点に対して2回目のパルスレーザ光1の照射を行った直後の状態を示す模式断面図である。図12は、加工対象物Wの加工点に対して2回目のパルスレーザ光1の照射を行った後の穴51の底部52の放置期間における状態を示す模式断面図である。図13は、加工対象物Wの加工点に対して複数回のパルスレーザ光1の照射が行われて加工対象物Wに貫通孔が形成された状態を示す模式断面図である。図9から図13は、図8におけるIX-IX線、X-X線、XI-XI線、XII-XII線およびXIII-XIII線に沿った断面に対応する。
[0047]
 理解の容易のため、パルスレーザ光1のビームプロファイルはトップハットであり、ビームの形通りに加工対象物Wが加工されるものとする。加工対象物Wの加工点に対して1回目のパルスレーザ光1の照射を行った直後、加工対象物Wにパルスレーザ光1が照射されて形成された穴51の底部52には、注入されたエネルギーが加工閾値に到達せずに、すなわち温度が融点に達せずに高温のまま残った炭素繊維Waが存在する。
[0048]
 炭素繊維Waの融点は、3500℃程度である。炭素繊維Waは、3500℃に近い温度の状態で除去されずに残っている。そして、穴51に対して次のレーザ光1が照射されるまでの間は、穴51の底部52に高温のまま残存した炭素繊維Waの熱が、熱伝導性が樹脂に比べて非常に高い炭素繊維Waを伝って穴51の周囲の樹脂Wbに伝熱し、熱影響層53が形成される。炭素繊維Waの熱は、穴51の下方に伝熱されるとともに図10における矢印で示すように穴51から外側に離れる方向に伝熱される。
[0049]
 熱影響層53は、樹脂Wbのうち、炭素繊維Waを伝って伝熱した、穴51の底部52に高温のまま残存した炭素繊維Waの熱により温度が上昇して熱の影響を受けた領域である。穴51の底部52に高温のまま残存した炭素繊維Waの熱の炭素繊維Waを伝った伝熱は、1回目のパルスレーザ光1が照射後から2回目のパルスレーザ光1が照射されるまでの間、穴51の底部52の高温の炭素繊維Waが放置される放置期間において生じる。
[0050]
 このとき炭素繊維Waから樹脂Wbに伝熱する熱量は、融点が250℃以下であり加工閾値が低い母材の樹脂においては大きな熱量である。穴51の底部52の穴径d1の長さの3500℃程度の炭素繊維が有する熱が、炭素繊維Waを伝って樹脂Wbに伝熱すると考える。この場合、炭素繊維Waの延在方向において母材である樹脂Wbが加工閾値に到達する範囲長さDは、以下の式(4)で表され、底部52の穴径d1の14倍に及ぶ。範囲長さDは、炭素繊維Waの延在方向において穴51の中心軸を中心とした範囲である。
[0051]
 D=d1×3500/250=14×d1・・・(4)
[0052]
 穴径d1を0.2mmとすると、Dは2.8mmであり、炭素繊維Waの延在方向における熱影響層53の長さhは、h=2.8/2-0.2/2=1.3mmとなり、穴径d1に比べて非常に大きくなる。熱影響層53の長さhは、炭素繊維Waの延在方向における、穴51の開口端部から、熱影響層53における炭素繊維Waの延在方向における外側の端部までの長さである。
[0053]
 熱影響層53は、パルスレーザ光1のエネルギーによって程度が異なるが、熱損傷によって炭素繊維Waと樹脂Wb部との界面の密着度が低下し、加工対象物Wの構造材としての機械的強度特性が劣化し、切断された加工対象物Wの品質が低下する。
[0054]
 つぎに、加工対象物Wにおける穴51が形成された切断加工位置に対して2回目のパルスレーザ光1が照射されると、図12に示すように、穴51の深さが深くなるとともに、次のパルスレーザ光1が照射されるまでの放置期間において、1回目のパルスレーザ光1の照射により形成された熱影響層53の下方および外側に拡がる新たな熱影響層53が形成される。
[0055]
 以降、穴51深さが加工対象物Wの厚みに達して貫通孔が形成されるまで3パルス目以降のパルスレーザ光1の照射が行われる。3パルス目以降のパルスレーザ光1の照射後においても、上記と同様に熱影響層53が発生する。そして、複数回のパルスレーザ光1の照射により、最終的に図13に示すように貫通孔54が形成される。そして、パルスレーザ光1を切断方向に走査させて、隣り合う貫通孔54同士をオーバーラップさせながら複数の貫通孔54を形成することで、切断方向において隣り合う貫通孔54同士が連通し、加工対象物Wが切断される。
[0056]
 そして、上記のように形成された貫通孔54の周囲には、パルスレーザ光1の照射から次のパルスレーザ光1が照射されるまでの放置期間において穴51の底部52に高温のまま残存した炭素繊維Waの熱が炭素繊維Waを伝って伝熱して発生した熱影響層53が存在し、切断された加工対象物Wの品質が低下する。
[0057]
 上述した現象は、繊維強化複合材料に特有の現象である。単一材料からなる加工対象物における同一箇所を深さ方向に複数回に分けて切断する場合は、上記と同様に切断途中に形成される穴の底部の温度は、加工閾値以下である。このため、穴の底部の熱が、穴の周囲の領域に伝熱しても、穴の周囲の領域が加工されることはない。
[0058]
 一方、上述した本実施の形態1にかかるレーザ加工装置100では、1回のパルスレーザ光1の照射で加工対象物Wを厚み方向に貫通する貫通孔を形成可能なエネルギーのパルスレーザで切断加工を行う。これにより、上述した放置期間に穴51の底部52に高温のまま残存した炭素繊維Waの熱が炭素繊維Waを伝って伝熱する現象を無くして、熱影響層53の発生を防止できる。すなわち、上述した本実施の形態1にかかるレーザ加工装置100では、切断加工の途中に形成される穴の底部に残存する炭素繊維Waに溜まっている熱が炭素繊維Waを伝って周囲の樹脂Wbに伝熱することが無く、炭素繊維Waに比べて加工閾値の低い樹脂Wbが加熱されて熱影響層53が発生することを防止できる。これにより、加工対象物Wのレーザ加工時における加工対象物Wの樹脂Wbへの熱影響を抑制することができ、切断加工に起因した切断後の加工対象物Wの機械的強度特性の劣化を防止し、高品質な切断加工が可能である。
[0059]
 また、レーザ加工装置100では、切断加工を行うためのパルスレーザ光1の走査回数が1回であるため、切断加工時間が短い。すなわち、レーザ加工装置100では、高品質かつ効率良く加工対象物Wをレーザ切断することが可能となる。
[0060]
 上述した1回目のパルスレーザ光1が照射後から2回目のパルスレーザ光1が照射されるまでの放置期間に生じる熱影響層53の発生を抑制するために、たとえばガルバノスキャナを用いてパルスレーザ光1を走査し、且つ、次のパルスレーザ光1の照射までに100ms以上の走査時間間隔を設けることで、穴51の底部52に溜まる熱量を抑制することが考えられる。
[0061]
 しかしながら、パルスレーザ光1の走査速度を高くすれば、パルスレーザ光1の1照射当たりに形成される穴の加工深さが浅いため、パルスレーザ光1の照射数を大幅に増やす必要があり、加工時間が長くなる。
[0062]
 また、加工対象物Wの加工エリアが広ければ、パルスレーザ光1の走査時間間隔の間に加工対象物Wにおける他の加工部分を加工すれば、レーザ加工装置100の休止時間は発生しない。しかしながら、ガルバノスキャナを用いる場合は、加工エリアが100mm程度と小さいため、加工対象物Wにおける他の部分を加工し続けることはできない。
[0063]
 例えば直径が9.5mmであり周長30mmの穴を加工する場合を考える。例えばパルスレーザ光1の走査速度vが6m/sであり、休止時間が300msあれば、パルスレーザ光1の照射回数が20回であっても、走査時間は、30mm/6m/s×20回=100msと比較的短い時間となる。一方、休止時間が300ms×20回=6000msである。このため、走査時間と休止時間との合計である全体の加工時間は、6.1sとなる。この加工時間を加工速度に換算すれば、0.3m/minとなり、レーザ加工速度としては一般的なCFRPのレーザ加工速度よりも遅い加工速度となる。
[0064]
 本実施の形態1にかかるレーザ加工装置100において使用するレーザ発振器11は、CO レーザ発振器が好ましい。すなわち、レーザ加工装置100に用いるパルスレーザ光1は、CO レーザ発振器により発振されたCO レーザ光が適している。例えばファイバーレーザから発振されたレーザ光は、樹脂に吸収されない。このため、ファイバーレーザから発振されたレーザ光を用いた場合には、炭素繊維から樹脂へ伝熱する熱により樹脂を加熱除去することになる。これに対して、CO レーザ光は、ファイバーレーザから発振されたレーザ光に比べて樹脂における吸収率が高いため、上記伝熱時間が不要な分だけ短時間で、且つ少ない投入熱量で、貫通孔を加工することが可能となる。したがって、レーザ加工装置100においてCO レーザ光を使用することで、より効率的に且つ熱影響の少ない切断加工が可能である。
[0065]
 つぎに、上述したようにパルスレーザを用いる本実施の形態1にかかるレーザ加工装置100におけるレーザ加工方法と、連続的にレーザ光を出すCWレーザ(Continuous Wave Laser)を用いたレーザ加工方法と、の違いについて説明する。図14は、図5に示す出力波形のパルスレーザと同じ加工速度で、CWレーザにより切断加工を行う場合のCWレーザの出力波形を示す図である。加工速度が同じ速度であるということは、図5に示す出力波形のパルスレーザと、図14に示す出力波形のCWレーザの平均出力が同じということである。
[0066]
 ここで、図14に示すようにCWレーザの出力は、図5に示すパルスレーザの出力より低くなる。一方、図14および図5に示すように、CWレーザにより切断加工を行う場合に加工対象物Wを厚み方向に貫通する貫通孔を1つ加工するために要する加工時間Twcは、CWレーザにより切断加工を行う場合に加工対象物Wを厚み方向に貫通する貫通孔を1つ加工するために要する加工時間Tpよりも大幅に長くなる。そして、加工時間Twcは、パルスレーザにより切断加工を行う場合に貫通孔を1つ加工し終わって2つ目の貫通孔の加工が開始されるまでの時間1/fと同じである。すなわち、加工対象物Wを厚み方向に貫通する1つの貫通孔を加工するために要する時間は、CWレーザを用いた加工場合の方が、パルスレーザを用いた加工よりも長くなる。
[0067]
 貫通孔の形成途中においてレーザが照射される穴の底部は、加工対象物Wが除去された部分の直下であるため、加工閾値に近く、温度がほぼ融点であり、レーザの出力に関係なく温度は3500℃程度となる。CWレーザを用いる場合、貫通孔の形成途中において穴の底部が存在している時間は加工時間Twcに近似される。パルスレーザ(w)を用いる場合、貫通孔の形成途中において穴の底部が存在している時間は加工時間Tpに近似される。
[0068]
 そして、パルスレーザ(w)を用いる場合は、CWレーザを用いる場合よりも貫通孔の形成途中において穴の底部が存在している時間が短い分だけ、穴の底部から穴の周囲への伝熱を抑制して、穴の周囲の樹脂Wbへの熱影響を低減できる。
[0069]
 特に、CWレーザを用いて1つの貫通孔を加工するために要する加工時間Twcは、Twc=1/f={d(1-ro)}/vとなる。このことより、加工時間Twcは、走査速度vが低速であるほど長くなるため、レーザ出力が小さくても走査速度vが低速であるほど加工品質が悪くなる。
[0070]
 一方、パルスレーザを用いる本実施の形態1にかかるレーザ加工方法では、1つの貫通孔を加工するために要する加工時間Tpは、走査速度vに依存しないため、走査速度vが低速であっても良好な切断品質が得られる。
[0071]
 つぎに、上述したようにパルスレーザを用いる本実施の形態1にかかるレーザ加工方法におけるパルス幅について説明する。上述したように、本実施の形態1にかかるレーザ加工方法において、貫通孔の形成途中において穴の底部が存在している時間は加工時間Tpに近似される。このため、本実施の形態1にかかるレーザ加工方法におけるパルスレーザ光1のパルスレーザのパルス幅は、短いほど好ましい。そして、後述する具体的実施例に示すように、パルスレーザ光1のパルス幅が1ms以上になると、熱影響層53が大きくなる。このため、パルスレーザ光1のパルス幅は、1ms未満であることが好ましい。
[0072]
 一方、パルスレーザ光1のピーク出力が150Kwを超えると、エアーブレイクダウンと言われる、大気がプラズマ化する現象が発生する。プラズマ化した大気は、パルスレーザ光1を吸収、散乱するため切断品質が悪化する。後述するように、厚み1mmのPAN(Polyacrylonitrile)系炭素繊維含有率70%のCFRPからなる加工対象物に、パルスレーザ光1の1パルスで貫通孔を形成するために最低必要なパルスエネルギーは、0.15Jであった。パルス幅を計算すると、0.15/150000=1e -6[s]=1[μs]となる。したがって、パルス幅は短いほど好ましいが、パルスレーザ光1のパルス幅の下限を1μsとすることで、切断品質を悪化させることなく切断が可能である。
[0073]
 なお、パルスレーザ光のパルス幅をナノ秒より小さいピコ秒レベルにすることで、高い加工品質で繊維強化複合材料を切断できることが知られている。しかしながら、この場合は、レーザ発振器の出力が10W程度と低いため、加工時間が非常に長くなる。
[0074]
 上述したように、本実施の形態1にかかるレーザ加工方法では、オーバーラップ比率roを0.5未満と小さくしているため、加工対象物Wの切断方向に沿って形成される複数の加工孔41は、隣の加工孔41との境界部分の開口が小さい。また、加工孔41の形成途中の穴が貫通するまでは、穴の底部は塞がっている。このため、加工孔41の形成途中の穴が貫通するまでは、パルスレーザ光1の光軸1aの軸方向において、パルスレーザ光1の照射側、すなわち加工ヘッド13側上向きにしか、切断加工の際に発生する分解生成物30の穴からの出口がない。したがって、分解生成物30は、穴の内部からパルスレーザ光1の照射側に向かって激しく吹き上がる。
[0075]
 特に、炭素繊維の加工閾値は、図4に示すようにガラス繊維と比較して高く、大きなパルスエネルギーのパルスレーザで加工する必要があるため、穴からの分解生成物30の噴出は非常に激しい。
[0076]
 また、切断加工時における加工対象物への熱影響を少なくするために、近年の高ピークパワーを発生するレーザ発振器を用いて、パルス幅を1ms未満と短くする場合は、分解生成物は貫通孔の形成途中の穴から激しく噴出する。発明者等の実験では、高ピークパワーを発生するレーザ発振器を用いてパルス幅を1ms未満と短くして加工対象物Wの切断加工を行う場合に、貫通孔の形成途中の穴からの分解生成物30の噴出速度は100m/sにも達するとの知見を得ている。ピークパワーは、パルスエネルギー(J)=パルス幅(s)×ピークパワー(W)で定義される。
[0077]
 また、上述した式(4)から分かるように、切断加工時の樹脂Wbへの熱影響を小さくするためには、貫通孔の形成途中の穴の底部52の穴径d1は小さい方が好ましい。これは、本実施の形態1にかかる加工対象物Wのレーザ加工方法による切断においても同様であり、パルスレーザ光1の照射時における樹脂Wbへの熱影響を小さくするためには、パルスレーザ光1により形成される貫通孔の孔径は小さい方が好ましい。一方で、貫通孔の孔径を小さくすると、貫通孔の形成途中の穴の穴径も小さくなり、穴のアスペクト比が大きくなるため、穴からの分解生成物30の噴出速度が早くなる。
[0078]
 そして、分解生成物30は、パルスレーザ光1の光軸1aの軸方向に噴出される。このため、分解生成物30を放置した状態で切断加工を行うと、分解生成物30がパルスレーザ光1を吸収したり、分解生成物30がパルスレーザ光1を散乱させたりするため、加工品質および加工速度を悪化させる。
[0079]
 そこで、レーザ加工装置100においては、サイドフローノズルであるノズル15を使用することにより、上述した問題を解消している。図15および図16は、図1に示すレーザ加工装置100の効果の説明図である。図15は、図2に示すレーザ加工装置100と同様に、光軸1aの外から光軸1aに向けてガス23を噴射するサイドフローノズルであるノズル15を使用した例を示す図である。図16は、板金の切断加工において一般的に使用される比較例であり、光軸1aに沿った方向から加工点に向けてガス23を噴射する軸流ノズル61を使用した例を示す図である。
[0080]
 軸流ノズル61を用いた場合には、ガス23の軸流の進行方向の先にある穴の底は塞がっているため、ガス23の流速は低下する。また、ガス23の噴出方向と穴の深さ方向とが一致しているため、分解生成物30は軸流ノズル61内に入りやすい。軸流ノズル61の先端の細い部分以外はガス23の流路の断面積が大きく、ガス23の流速が低いため、軸流ノズル61に入った分解生成物は、ノズル内、つまり光軸上に滞留し、レーザ光を吸収したり、レーザ光の集光性を悪化させたりする。
[0081]
 これに対して、サイドフローノズルでは、光軸1aの外から加工点の光軸1aに向けてガス23を噴射するため、分解生成物30の吹き飛ばされる方向は穴の深さ方向と異なる方向となる。サイドフローノズルは、光軸1aと同じ方向である分解生成物30の噴出方向に対して、直交する速度成分を持たせているため、分解生成物30の噴出方向を光軸1aの軸方向以外に変えることができ、効率的に光軸1a上における分解生成物30の滞留を防止することができる、光軸1a上に滞留する分解生成物30に起因した加工対象物Wの加工速度の低下を防止できる。
[0082]
 また、光軸1aと直交する方向には、ガス23の流れを遮る物がないため、ガス23の流速の低下がなく、分解生成物30の噴出方向を効率良く光軸1aの軸方向以外の方向に変えることができる。
[0083]
 この結果、レーザ加工装置100は、切断後の加工対象物Wの機械的強度特性の劣化を防止するとともに効率的な加工対象物Wの切断加工が可能であり、加工対象物Wの高品質および効率的に短時間でレーザ切断が可能となる。
[0084]
 本実施の形態1にかかるレーザ加工装置100における加工対象物Wの切断加工では一般的なレーザ切断加工とは異なり、分解生成物30の噴出方向が光軸1aと一致し、通孔の形成途中の穴である止まり穴がガス23の流れの障害になることに着目することにより、上記のサイドフローノズルを使用している。
[0085]
 ガス23の種類は、分解生成物30の除去が目的であるため、特に限定されず、窒素、ヘリウムまたは酸素等のガスが使用可能である。ガス23の吹きつけガスの圧力は、0.1MPa以上が好ましい。ガス23の吹きつけガスの圧力は、0.1MPa以下の場合には、分解生成物30の除去効果が不足し、加工品質が悪化するおそれがある。
[0086]
 また、パルスレーザ光1の集光ビームのプロファイルが円形の場合は、切断方向における1パルスのパルスレーザ光1で加工される加工孔の加工孔径dは、レーザ切断加工のカーフ幅C、すなわちレーザ切断加工の切断溝幅と同じになる。すなわち、加工孔径dとパルスレーザ光の集光径dと読み替えると、集光径dはレーザ切断加工におけるレーザ切断溝幅と同じとなり、上述した式(3)において、加工孔径dをカーフ幅Cで読み替えることができる。すなわち、パルスレーザ光1が円形ビームの場合は、カーフ幅Cをパルスレーザ光1の集光ビーム径と見なせる。この場合、集光径dを制御することで、レーザ切断加工の切断溝幅を精度よく制御することができる。
[0087]
 次に、レーザ加工装置100を用いた具体的な切断加工例について説明する。厚み1mmのPAN系炭素繊維含有率70%のCFRPを加工対象物に用いて、1パルスで貫通するために必要なパルスエネルギーを調べたところ、少なくとも、0.15Jという大きなパルスエネルギーが必要であった。
[0088]
 パルスレーザ光1には、CO レーザ光を用いた。パルスレーザ光1の集光径、すなわち1パルスのパルスレーザ光1で加工される加工孔の加工孔径dは、200μmである。パルスレーザ光1のパルス幅は、1msを超えると、切断品質が悪化することが発明者の実験により確認された。このため、パルスレーザ光1のパルス幅は、1ms未満であることが好ましい。
[0089]
 図17は、レーザ加工装置100を用いた切断加工において加工対象物の良好な加工品質が得られた切断加工条件例を示す図である。図18は、レーザ加工装置100を用いた切断加工において切断された加工サンプルの画像を示す図である。図18は、厚み1mmの加工対象物に対して、加工速度6m/minで、1回のパルスレーザ光1の走査で切断加工したサンプルを示している。図19は、図18に示す加工サンプルの領域Aを拡大した画像を示す図である。
[0090]
 図17に示すように、切断加工は、板厚が1mmの加工サンプルと板厚が2mmのサンプルの2種類の加工サンプルついて実施した。この結果、板厚が1mmの加工サンプルについては、オーバーラップ比率roが23%で熱影響層の長さhは、0.1mmの小さい値となった。板厚が2mmの加工サンプルについては、オーバーラップ比率roが29%で熱影響層の長さhは、0.15mm以下の小さい値となった。なお、図17においては、オーバーラップ比率roを百分率で表示している。また、加工速度0.2m/minの低速条件で切断加工を行った場合でも、パルスレーザ光1の周波数を低くすることで、熱影響層の長さhは0.15mm以下の小さい値となり、良好な加工が可能であることが分かった。
[0091]
 3次元ロボットを用いて加工対象物の切断加工を行うことを想定する場合、加減速時および切断経路のコーナ部では、低速での加工条件が必要となる。CFRPは、レーザ出力を小さくしても、低速で加工すると、熱影響が非常に大きくなることが知られている。
[0092]
 これに対して、本実施の形態1にかかるレーザ加工方法では、加工速度に対応してパルス周波数を変えてCFRPの切断加工を行うことで、CFRPの樹脂への熱影響の少ない、高品質な加工が実現できることが上記の実験結果において示されている。
[0093]
 本実施の形態1にかかるレーザ加工方法は、複数の強化繊維が単層で単一方向に沿って混入された繊維強化複合材料、複数の強化繊維が複数の層において異なる方向に沿って混入された繊維強化複合材料、また、短い強化繊維が単層または複数の層にランダムに混入されている繊維強化樹脂などの各種の繊維強化複合材料の加工に適用可能である。この場合も、本実施の形態1にかかるレーザ加工方法の効果が得られる。
[0094]
 また、本実施の形態1では、強化繊維を炭素としたが、強化繊維はSiCまたはB等でもよく、また、母材も、ポリアミド樹脂およびポリカーボネート樹脂に代表される熱可塑型樹脂でもよい。
[0095]
 また、本実施の形態1にかかるレーザ加工方法は、強化繊維複合材料の切断、穴あけおよびトリミングといった加工に適用することで、機械加工およびウォータージェット加工よりも短時間で効率良く加工を行うことが可能になる。
[0096]
 上述したように、本実施の形態1にかかるレーザ加工装置およびレーザ加工方法によれば、1パルスのパルスレーザ光1で加工対象物Wを厚み方向に貫通させるため、貫通孔の形成途中の穴の底部が高温のままの状態とされることに起因した熱影響層53の発生を防止できる。
[0097]
 また、本実施の形態1にかかるレーザ加工装置およびレーザ加工方法によれば、光軸1a外から加工点に向けてガス23を吹き付けながら加工を行うため、分解生成物30を光軸1aの外に除去することができ、光軸1a上に滞留する分解生成物30に起因した加工対象物Wの加工速度の低下を防止できる。
[0098]
 また、本実施の形態1にかかるレーザ加工装置およびレーザ加工方法によれば、1ms未満の短いパルス幅のパルスレーザ光1で加工を行うため、形成される貫通孔の周囲への熱影響が小さい、高品質な強化繊維複合材料の切断加工が可能となる。
[0099]
 したがって、本実施の形態1によれば、繊維強化複合材料の樹脂への熱影響を抑制して繊維強化複合材料をレーザ加工することができ、レーザ加工における繊維強化複合材料の加工速度および加工品質を向上可能である、という効果を奏する。
[0100]
実施の形態2.
 上述した実施の形態1では、パルスレーザ光1を1回走査することで切断長Lを切断加工する例を示したが、パルスレーザ光1を2回走査することで切断長Lを切断加工してもよい。図20は、図1に示すレーザ加工装置100においてパルスレーザ光1を2回走査して切断長Lを切断加工するレーザ加工方法を示す図であり、1回目のパルスレーザ光1の走査状態を示す図である。図21は、図1に示すレーザ加工装置100においてパルスレーザ光1を2回走査して切断長Lを切断加工するレーザ加工方法を示す図であり、2回目のパルスレーザ光1の走査状態を示す図である。
[0101]
 図19に示すように、1回目のパルスレーザ光1の走査では、奇数番目の加工孔41である加工孔41aを加工する。つぎに、図20に示すように、2回目のパルスレーザ光1の走査では、偶数番目の加工孔41である加工孔41bを加工して切断長Lを切断加工する。
[0102]
 本実施の形態2の場合も、制御部18は、上記の式(3)の条件を満たすように駆動部14を制御して、加工ヘッド13と加工対象物Wとの相対位置関係を制御して変化させる。また、制御部18は、1回目のパルスレーザ光1の走査で、加工孔41aを形成する制御を行う。また、制御部18は、2回目のパルスレーザ光1の走査で、加工孔41bを形成する制御を行う。
[0103]
 上述した実施の形態2にかかるレーザ加工方法によれば、上述した実施の形態1の場合と同様の効果が得られ、繊維強化複合材料の樹脂への熱影響を抑制して繊維強化複合材料をレーザ加工することができ、レーザ加工における繊維強化複合材料の加工速度および加工品質を向上可能である、という効果を奏する。
[0104]
 図22は、図1に示す制御部18の機能を実現するためのハードウェア構成を示す図である。レーザ加工装置100の制御部18の機能は、図22に示すように、CPU(Central Processing Unit)201、メモリ202、記憶装置203、表示装置204および入力装置205を備える制御装置により実現される。制御部18が実行する機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、コンピュータプログラムとして記述されて記憶装置203に格納される。CPU201は、記憶装置203に記憶されたソフトウェアまたはファームウェアをメモリ202に読み出して実行することにより、制御部18の機能を実現する。すなわち、コンピュータシステムは、制御部18の機能がCPU201により実行されるときに、実施の形態1で説明した制御部18の動作を実施するステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するための記憶装置203を備える。また、これらのプログラムは、制御部18の機能が実現する処理をコンピュータに実行させるものであるともいえる。メモリ202は、RAM(Random Access Memory)といった揮発性の記憶領域が該当する。記憶装置203は、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリといった不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスクが該当する。表示装置204の具体例は、モニタ、ディスプレイである。入力装置205の具体例は、キーボード、マウス、タッチパネルである。
[0105]
 以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、実施の形態の遺影対の技術同士を組み合わせることも可能であるし、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。

符号の説明

[0106]
 1 パルスレーザ光、1a 光軸、2 集光レンズ、11 レーザ発振器、12 光路、13 加工ヘッド、14 駆動部、15 ノズル、16 ノズル移動機構、17 検知部、18 制御部、21 集光レンズ、22 光学ユニット、23 ガス、28 端材、29 加工品、30 分解生成物、41,41a,41b 加工孔、42 加工領域、51 穴、52 底部、53 熱影響層、54 貫通孔、61 軸流ノズル、100 レーザ加工装置、201 CPU、202 メモリ、203 記憶装置、204 表示装置、205 入力装置、C カーフ幅、d 加工孔径、d1 穴径、f 周波数、L 切断長、N パルス数、ro オーバーラップ比率、Tp,Twc 加工時間、v 走査速度、W 加工対象物、Wa 炭素繊維、Wb 樹脂。

請求の範囲

[請求項1]
 母材と、熱伝導率および加工閾値がガラス繊維の物性値よりも高い繊維を含んだ繊維強化複合材料からなる加工対象物をレーザ加工する加工方法であって、
 前記加工対象物と加工ヘッドとを予め定められた切断方向において相対移動させながら、前記加工ヘッドからパルスレーザ光を前記加工対象物に照射して前記加工対象物を貫通する複数の貫通孔を形成することによって前記加工対象物を加工する工程を含み、
 前記パルスレーザ光は、パルス幅が1ms未満であり、前記貫通孔を1パルスで形成可能なエネルギー密度を有すること、
 を特徴とするレーザ加工方法。
[請求項2]
 前記レーザ加工の間、前記パルスレーザ光の光軸の外から前記光軸に向けてガスを噴射し、
 前記切断方向における前記パルスレーザ光の集光径を集光径dとし、加工長さを加工長さLとし、前記加工長さLの加工領域に照射される前記パルスレーザ光のパルス数をパルス数Nとしたときに、前記切断方向において隣り合う2つの前記貫通孔同士が前記切断方向においてオーバーラップする長さの前記集光径dに対する比率であるオーバーラップ比率roが下記式(1)を満たすこと、
 を特徴とする請求項1に記載のレーザ加工方法。
 0<ro=(d-L/N)/d<0.5・・・(1)
[請求項3]
 前記パルスレーザ光は、円形に集光されて前記加工対象物に照射され、
 前記集光径dが前記パルスレーザ光によるレーザ切断溝幅と同じであること、
 を特徴とする請求項2に記載のレーザ加工方法。
[請求項4]
 前記オーバーラップ比率roが0.2であること、
 を特徴とする請求項2または3に記載のレーザ加工方法。
[請求項5]
 前記パルスレーザ光を発振するレーザ発振器がCO レーザであること、
 を特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のレーザ加工方法。
[請求項6]
 母材と、熱伝導率および加工閾値がガラス繊維の物性値よりも高い繊維を含んだ繊維強化複合材料からなる加工対象物と、加工ヘッドと、を予め定められた切断方向において相対移動させながら、パルスレーザ光を前記加工対象物に照射して前記加工対象物を貫通する複数の貫通孔を形成することによって前記加工対象物をレーザ加工するレーザ加工装置であって、
 前記パルスレーザ光を加工対象物に照射する加工ヘッドと、
 前記加工対象物と加工ヘッドとの少なくとも一方を移動させる駆動部と、
 前記パルスレーザ光の前記加工対象物への照射を制御する制御部と、
 を備え、
 前記パルスレーザ光は、パルス幅が1ms未満であり、前記貫通孔を1パルスで形成可能なエネルギー密度を有すること、
 を特徴とするレーザ加工装置。
[請求項7]
 前記パルスレーザ光の光軸の外から前記光軸に向けてガスを噴射するノズルを備え、
 前記制御部は、
 前記切断方向における前記パルスレーザ光の集光径を集光径dとし、加工長さを加工長さLとし、前記加工長さLの加工領域に照射される前記パルスレーザ光のパルス数をパルス数Nとしたときに、前記切断方向において隣り合う2つの前記貫通孔同士が前記切断方向においてオーバーラップする長さの前記集光径dに対する比率であるオーバーラップ比率roが下記式(2)を満たすように、前記加工ヘッドからパルスレーザ光を前記加工対象物に照射させ、前記レーザ加工の間、前記パルスレーザ光の光軸の外から前記光軸に向けてガスを噴射させること、
 を特徴とする請求項6に記載のレーザ加工装置。
 0<ro=(d-L/N)/d<0.5・・・(2)
[請求項8]
 前記パルスレーザ光は、円形に集光されて前記加工対象物に照射され、
 前記集光径dが前記パルスレーザ光によるレーザ切断溝幅と同じであること、
 を特徴とする請求項7に記載のレーザ加工装置。
[請求項9]
 前記オーバーラップ比率roが0.2であること、
 を特徴とする請求項7または8に記載のレーザ加工装置。
[請求項10]
 前記パルスレーザ光を発振するレーザ発振器を有し、
 前記レーザ発振器がCO レーザであること、
 を特徴とする請求項6から9のいずれか1つに記載のレーザ加工装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]