処理中

しばらくお待ちください...

設定

設定

出願の表示

1. WO2020111270 - 含水チョコレート様菓子及び含水チョコレート様菓子の製造方法

Document

明 細 書

発明の名称 含水チョコレート様菓子及び含水チョコレート様菓子の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

0004   0005   0006   0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110  

実施例

0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27   28   29   30   31   32   33  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 含水チョコレート様菓子及び含水チョコレート様菓子の製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、含水チョコレート様菓子及び含水チョコレート様菓子の製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 特許文献1~8には、含水チョコレートを製造する技術が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開平3-151831号公報
特許文献2 : 特開平10-28530号公報
特許文献3 : 特開2003-9770号公報
特許文献4 : 特開2005-224139号公報
特許文献5 : 特開2013-162791号公報
特許文献6 : 国際公開第2005/79592号
特許文献7 : 特開2001-45975号公報
特許文献8 : 特開平10-136893号公報

発明の概要

[0004]
 含水チョコレート様菓子及びその製造方法に関する従来の技術には、保存性の観点でさらなる改善の余地がある。
[0005]
 本発明の課題は、保存性に優れる含水チョコレート様菓子及び保存性に優れる含水チョコレート様菓子を製造できる製造方法を提供することである。
[0006]
 本発明によれば、以下の含水チョコレート様菓子等を提供できる。
1.水分含量が20重量%以下であり、水分活性が0.7以下であり、かつ水中油型に乳化されている混合物を含む、含水チョコレート様菓子。
2.カカオ由来成分を少なくとも含有するチョコレート原料と、水分と、単糖及び二糖からなる群から選択される1種以上の糖とを少なくとも含有する混合物を含む、含水チョコレート様菓子であって、
 前記チョコレート原料は油脂を含有し、
 前記混合物は、水分含量が20重量%未満であり、水分活性が0.7以下であり、かつ水中油型に乳化されている、1に記載の含水チョコレート様菓子。
3.前記混合物は、20℃において可塑性を有する、2に記載の含水チョコレート様菓子。
4.前記混合物は、微結晶セルロース及びグリセロールの合計の含有量が0.5重量%以下である、2又は3に記載の含水チョコレート様菓子。
5.前記混合物は、前記単糖及び二糖からなる群から選択される1種以上の糖の含有量が50重量%未満である、2~4のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子。
6.水分含量が3~20重量%であり、水分活性が0.7以下であり、かつ水中油型に乳化されている混合物を含む、1に記載の含水チョコレート様菓子。
7.前記混合物は、20℃において可塑性を有する、6に記載の含水チョコレート様菓子。
8.前記混合物は、微結晶セルロース及びグリセロールの合計の含有量が0.5重量%以下である、6又は7に記載の含水チョコレート様菓子。
9.前記混合物は、単糖及び二糖からなる群から選択される1種以上の糖の含有量が50重量%未満である、6~8のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子。
10.前記混合物と、副原料とを組み合わせた、1~9のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子。
11.油系原料と含水原料とを冷却しながら混合して混合物を得ることを含む、含水チョコレート様菓子の製造方法であって、
 前記混合物は、水分含量が20重量%以下であり、水分活性が0.7以下であり、かつ水中油型に乳化されている、前記製造方法。
12.カカオ由来成分を少なくとも含有するチョコレート原料と、含水原料とを、冷却しながら混練して、混合物を得る混合工程を有する、含水チョコレート様菓子の製造方法であって、
 前記チョコレート原料は油脂を含有し、
 前記チョコレート原料及び前記含水原料の少なくとも一方は、単糖及び二糖からなる群から選択される1種以上の糖を含有し、
 前記混合物は、水分含量が20重量%未満であり、水分活性が0.7以下であり、かつ水中油型に乳化されている、11に記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
13.前記混合物は、20℃において可塑性を有する、12に記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
14.前記混合物は、微結晶セルロース及びグリセロールの合計の含有量が0.5重量%以下である、12又は13に記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
15.前記混合物は、前記単糖及び二糖からなる群から選択される1種以上の糖の含有量が50重量%未満である、12~14のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
16.前記混合工程において、前記チョコレート原料と前記含水原料とを、-20℃~20℃の範囲に冷却した状態で混練する、12~15のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
17.前記混合工程において、冷却によって前記チョコレート原料に含有される油脂を固化させた状態で、前記チョコレート原料と前記含水原料とを混練する、12~16のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
18.前記混合工程において、前記チョコレート原料と前記含水原料とを冷却しながら混練する冷却混練部と、前記混合物を吐出する吐出口とを備えた冷却混合機を用いる、12~17のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
19.前記冷却混合機は、冷却手段を備える、一軸又は複数軸のスクリューを有するエクストルーダーである、18に記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
20.前記混合物単独で前記含水チョコレート様菓子を製造するか、又は、前記混合物を副原料と組み合わせて前記含水チョコレート様菓子を製造する、12~19のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
21.粉体原料と水系原料とを混合してペーストを調製するペースト調製工程と、
 前記ペーストと油系原料とを冷却しながら混合して混合物を得る冷却混合工程と
 を含む、含水チョコレート様菓子の製造方法であって、
 前記混合物は、水分含量が3~20重量%であり、水分活性が0.7以下であり、かつ水中油型に乳化されている、11に記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
22.前記ペースト調製工程において、前記粉体原料と前記水系原料とを加温しながら混合する、21に記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
23.前記混合物を成形する成形工程をさらに含む、21又は22に記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
24.前記混合物は、20℃において可塑性を有する、21~23のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
25.前記混合物は、微結晶セルロース及びグリセロールの合計の含有量が0.5重量%以下である、21~24のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
26.前記混合物は、単糖及び二糖からなる群から選択される1種以上の糖の含有量が50重量%未満である、21~25のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
27.前記冷却混合工程において、冷却によって前記油系原料に含有される油脂を固化させた状態で、前記ペーストと前記油系原料とを混練する、21~26のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
28.前記冷却混合工程において、前記ペーストと前記油系原料とを冷却しながら混練する冷却混練部と、前記混合物を吐出する吐出口とを備えた冷却混合手段を用いる、21~27のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
29.前記冷却混合手段は、冷却手段を備える、一軸又は複数軸のスクリューを有するエクストルーダーである、28に記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
30.前記混合物単独で前記含水チョコレート様菓子を製造するか、又は、前記混合物を副原料と組み合わせて前記含水チョコレート様菓子を製造する、21~29のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
31.11~30のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法によって得られた前記混合物を含む、含水チョコレート様菓子。
32.12~20のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法によって得られた前記混合物を含む、含水チョコレート様菓子。
33.21~30のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法によって得られた前記混合物を含む、含水チョコレート様菓子。
[0007]
 本発明によれば、保存性に優れる含水チョコレート様菓子及び保存性に優れる含水チョコレート様菓子を製造できる製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 本発明の第1態様の一実施形態に係る含水チョコレート様菓子の製造方法によって製造した混合物と、原料混合時の冷却を省略して製造した混合物との成分分散状態を説明する図である。
[図2] チョコレート原料と含水原料との混合の実施形態を説明するブロック図である。
[図3] 本発明の第2態様の一実施形態に係る含水チョコレート様菓子の製造方法を説明するブロック図である。

発明を実施するための形態

[0009]
 以下、本発明の含水チョコレート様菓子及び含水チョコレート様菓子の製造方法の実施形態について説明する。
[0010]
 本発明の含水チョコレート様菓子は、水中油型に乳化されている混合物を含み、この混合物は、水分含量が20重量%以下であり、水分活性が0.7以下である。これにより、混合物は、例えば30℃以上の温度下における耐熱性(耐熱保型性及び耐熱非付着性)に優れ、かつ水分活性が低減されているため、常温での長期保存が可能である。混合物は、例えば、アルコール等による制菌を実施しなくても、常温にて1年程度の長い期間にわたって一定の品質を担保することができる。また、保存時における混合物からの油及び水の滲み出しも好適に抑制できる。
[0011]
 本発明の含水チョコレート様菓子の製造方法は、油系原料と含水原料とを冷却しながら混合して混合物を得ることを含み、前記混合物は、水分含量が20重量%以下であり、水分活性が0.7以下であり、かつ水中油型に乳化されている。これにより、含水チョコレート様菓子に用いられる混合物に含まれる油脂や水を均一に分散できる。
[0012]
 本明細書において、「含水チョコレート様菓子」は、一般社団法人全国公正取引協議会連合会が規定する公正競争規約における「チョコレート類」である場合に限定されず、上述した混合物を含む菓子であればよい。
[0013]
 含水チョコレート様菓子に含まれる混合物の水分含量は、好ましくは、18重量%以下、15重量%以下、13重量%以下、11重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、さらには8重量%以下とすることができる。また、水分含量の下限は格別限定されず、例えば、3重量%以上、4重量%以上、さらには5重量%以上とすることができる。
[0014]
 混合物の水分活性は、保存安定性を向上する観点では、好ましくは、0.69以下、0.68以下、0.67以下、0.66以下、0.65以下、0.64以下、0.63以下、0.62以下、0.61以下、0.60以下、さらには0.55以下である。水分活性の下限は格別限定されず、例えば、0.40以上とすることができる。ある態様においては、水分活性が0.60以上0.70以下の範囲で十分な保存安定性が得られる。
[0015]
 混合物は20℃において可塑性を有することが好ましい。
 本明細書でいう「可塑性」は、20℃環境下において、押圧変形可能であり、かつ押圧解除後にその形状を維持可能であることを意味する。なお、押圧解除後の形状は、肉眼では変化が認められない程度に維持可能であればよい。そのような可塑性を有する混合物は、手指で自由な形状に成形することができる。そのような可塑性を有する混合物は、例えば成形性等に優れる効果を奏する。
 混合物は、20℃、23℃、25℃、さらには28℃における、製造直後から、少なくとも10時間、少なくとも24時間、少なくとも1週間、少なくとも1か月、さらには少なくとも3か月の保存後において、可塑性を有することが好ましい。
 混合物は、20℃、23℃、25℃、さらには28℃における、10時間以上、24時間以上、1週間以上、1か月以上、さらには3か月以上の保存後において、可塑性を有することが好ましい。
[0016]
 本発明によれば、冷却下での混練(混合)による混合物中の成分の均一分散によって、水分活性を低下できる。そのため、一般的に水分活性を低下させる目的で添加される添加物の添加量を削減すること、あるいは添加を省略することができる。そのような添加物は、チョコレート本来の風味品質を低下させる場合が多いため、これを削減ないし省略することで、チョコレート本来の風味品質を向上できる。そのような添加剤として、例えば、糖(特に糖アルコール)、微結晶セルロース、ゲル化剤等が挙げられる。そのような添加物の添加について、以下に詳細に説明する。
[0017]
 混合物は、単糖及び二糖からなる群から選択される糖の含有量が50重量%未満であることが好ましい。かかる糖の含有量が50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、さらには20重量%未満であることによって、チョコレート本来の風味品質がさらに向上する効果が得られる。また、単糖、二糖及び糖アルコールからなる群から選択される糖の含有量が50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、さらには20重量%未満であることによって、チョコレート本来の風味品質がさらに向上する効果が得られる。さらに、混合物は、糖アルコールの含有量が50重量%未満、40重量%以下、30重量%以下、25重量%未満、20重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、3重量%以下、1重量%以下であること、さらには糖アルコールを含有しないことによって、チョコレート本来の風味品質がさらに向上する。糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、グリセロール等が挙げられる。また、一実施形態において、混合物は、微結晶セルロース及びグリセロールの合計の含有量が0.5重量%以下であることが好ましく、微結晶セルロース及びグリセロールを含有しないことが最も好ましい。これにより、チョコレート本来の風味品質がさらに向上する。また、混合物は、グリセロールの含有量が少量であることによって、過剰な粘度上昇が抑制され、製造時において混合や搬送に適した粘度が保持され易くなる。
[0018]
 混合物は、ゲル化剤の含有量が10重量%以下、5重量%以下、又は1重量%以下であることが好ましく、さらにはゲル化剤を含有しないことが好ましい。ゲル化剤としては、例えば、カラギーナン、ジェランガム、ゼラチン、キサンタンガム、ペクチン、寒天、ローカストビーンガム、グアガム等が挙げられる。
[0019]
 混合物には、乳化剤を配合することができる。混合物における乳化剤の含有量は、例えば、10重量%以下、5重量%以下、1重量%以下であり得る。また、混合物には乳化剤を配合しなくてもよい。本実施形態に係る製造方法によれば、乳化剤を配合しない場合でも、製造工程中で油脂と水が分離せず、油脂や水が均一に分散された混合物を得ることができる。
[0020]
 混合物における油脂の含有量は、水中油型の乳化状態を形成できるものであれば格別限定されず、例えば、3重量%以上97重量%以下であることが好ましく、20重量%以上50重量%以下であることがさらに好ましい。混合物中の油脂の総量のうちの30重量%以上、50重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、さらには95重量%以上が、チョコレート原料に由来することが好ましい。尚、油脂の含有量は、日本国消費者庁Webページの「別添 栄養表示関係」(http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/pdf/foods_index_18_180119_0003.pdf)における「別添 栄養成分等の分析方法等」 2.脂質 (4)酸分解法によって測定される値である。
[0021]
 含水チョコレート様菓子は、混合物単独で構成されてもよいし、混合物と任意の副原料との組み合わせによって構成されてもよい。副原料は格別限定されず、例えば、混合物の表面の少なくとも一部を被覆する被覆材等が挙げられる。被覆材は、例えば、粉末状、層状等の形態を有し得る。また、副原料は、混合物の内部に内包される内包物であってもよい。副原料は、食品であれば格別限定されず、例えばチョコレート、ホワイトチョコレート、クリーム、ソース、ナッツ(アーモンド)、果実(ラムレーズン)、焼き菓子(ビスケット)、チーズ等であり得る。
 なお、混合物と副原料とを組み合わせた含水チョコレート様菓子を「複合菓子」という場合がある。
[0022]
 以下、本発明の第1態様及び第2態様について説明する。本発明は第1態様及び第2態様を包含し、本発明について上述した説明は第1態様及び第2態様に援用される。第1態様及び第2態様のそれぞれについてする説明は、適宜、相互に援用される。なお、第1態様における「チョコレート原料」は、上述した「油系原料」に該当する。また、第2態様における「ペースト」は、上述した「含水原料」に該当する。
[0023]
(第1態様)
 本発明の第1態様は、風味品質に優れる含水チョコレート様菓子を製造できる含水チョコレート様菓子の製造方法、及び風味品質に優れる含水チョコレート様菓子に関する。
[0024]
 本発明の第1態様が解決しようとする課題について説明する。
 含水チョコレートは、チョコレート生地に含水可食物を付与して混合することによって製造される。通常は、得られる混合物の水分含量が3~20重量%の範囲であると、乳化安定性が低いために増粘や成分の分離が発生し、安定的な含水チョコレートの製造が困難である。
[0025]
 特許文献1には、チョコレートに低HLB値の乳化剤を配合することで、水分含量が20重量%以下である含水チョコレートを製造する技術が開示されている。しかし、この含水チョコレートは油中水型の乳化状態であるため、水中油型に乳化された含水チョコレートの風味品質を得ることはできない。
[0026]
 特許文献2には、水分含量が3~20重量%である含水チョコレートを製造する技術が開示されている。しかし、この技術ではゲル化剤や微結晶セルロース、グリセロール等の多価アルコールを配合することが必要となり、また得られる含水チョコレートは標準のチョコレートと類似の風味品質であるため、油中水型であると評価でき、水中油型に乳化された含水チョコレートの風味品質を得ることはできない。
[0027]
 特許文献3には、含水チョコレートにセルロース複合体を配合する技術が開示されている。この技術は、チョコレートに混合される生クリームに予めセルロース複合体を混合しておくものであるため、得られる含水チョコレートは油中水型に乳化されるものと推察され、水中油型に乳化された含水チョコレートの風味品質を得ることはできない。
[0028]
 特許文献4には、含水チョコレートを油中水型に乳化させるために、水分含量を2~40重量%、特に4~15重量%にすることが記載されている。尚、水中油型に乳化された含水チョコレートの記載もあるが、その具体的な製造方法は明らかではない。
[0029]
 これに対して、特許文献5には、水中油型に乳化された含水チョコレートを製造する技術が開示されている。この技術は、含水チョコレートに、直鎖状多価アルコール(即ち、糖アルコール)の含量が10~25重量%である二糖類以下の糖質を55~70重量%含有させることによって、水分活性(以下、「Aw」ということがある。)を低下させている。このように糖アルコールの多量添加に依拠して水分活性を低下させる手法では、チョコレート本来の風味品質を得ることはできない。
[0030]
 従って、従来の技術には、含水チョコレート様菓子の風味品質を向上する観点でさらなる改善の余地がある。
[0031]
 そこで、本発明の第1態様の課題は、風味品質に優れる含水チョコレート様菓子を製造できる含水チョコレート様菓子の製造方法、及び風味品質に優れる含水チョコレート様菓子を提供することである。
[0032]
 以下、本発明の第1態様に係る含水チョコレート様菓子の製造方法及び含水チョコレート様菓子の実施形態について説明する。
[0033]
[含水チョコレート様菓子の製造方法]
 本発明の第1態様の一実施形態に係る含水チョコレート様菓子の製造方法は、カカオ由来成分を少なくとも含有するチョコレート原料と、含水原料とを、冷却しながら混練して、混合物を得る混合工程を有し、前記チョコレート原料は油脂を含有し、前記チョコレート原料及び前記含水原料の少なくとも一方は、単糖及び二糖からなる群から選択される1種以上の糖を含有し、前記混合物は、水分含量が20重量%未満であり、水分活性が0.7以下であり、かつ水中油型に乳化されていることを特徴とする。これにより、風味品質に優れる含水チョコレート様菓子を製造できる効果が得られる。
[0034]
 本態様において、「含水チョコレート様菓子」は、一般社団法人全国公正取引協議会連合会が規定する公正競争規約における「チョコレート類」である場合に限定されず、上述した混合物を含む菓子であればよい。
[0035]
 本実施形態に係る含水チョコレート様菓子の製造方法においては、冷却によって、チョコレート原料中の油脂の流動性を低下させた状態、好ましくは該油脂を固化させた状態で、チョコレート原料と含水原料とを混合することができる。これにより、チョコレート原料中の油脂の分離を防止した状態で、両原料中の成分を均一分散することができる。これについて、図1を参照して説明する。
[0036]
 図1は、本発明の第1態様の一実施形態に係る含水チョコレート様菓子の製造方法によって製造した混合物(本発明の第1態様)と、原料混合時の冷却を省略して製造した混合物(比較)との成分分散状態を説明する図である。図1において、(a)は混合物の外観写真、(b)は混合物内部のラマン分光顕微鏡画像(倍率:60倍)、(c)は混合物内部の走査型電子顕微鏡(SEM)画像(倍率:50倍)である。特に(b)のラマン分光顕微鏡画像(油脂分は白く着色して示した。)より、比較では、油脂が局在化しているのに対して、本発明の第1態様では、微細化された油脂結晶が、糖のネットワーク内に均一に分散されていることを確認できる。尚、図1(b)における「ショ糖・水和物1」及び「ショ糖・水和物2」は、それぞれ「ショ糖・1水和物」及び「ショ糖・2水和物」に対応する。
[0037]
 その結果、本発明の第1態様の一実施形態に係る含水チョコレート様菓子の製造方法によれば、含水率が15重量%未満であり、水分活性が0.7以下であり、かつ水中油型に乳化されている含水チョコレート様菓子を好適に製造できる。特に、そのような混合物を、チョコレート本来の風味品質を損ないやすい糖アルコールの多量添加に依拠することなく、得ることができる。かかる混合物を含む含水チョコレート様菓子は、口中において、チョコレートの良好な風味を付与する好ましい香気成分の多くをより微量で知覚することができる。また、かかる含水チョコレート様菓子は、口中において、糖や酸などのような含水原料由来成分の溶出が早まるため、味覚にも優れる。
[0038]
 かかる混合物は、従来の一般的な水中油型の含水チョコレートに比べて、水分含量が低く、また上述した微細な均一分散が達成されているため、水分を含まないチョコレートとも、従来の水中油型の含水チョコレートとも風味発現の特徴が異なり、甘さや香り立ちの強さと苦渋味の弱さを有し、口中に長く滞留することで強い余韻を得ることができる。
[0039]
 本発明の第1態様の一実施形態に係る含水チョコレート様菓子の製造方法によれば、複雑な工程を設けたり、特別な添加物を添加したりしなくても、簡便に上述した混合物が得られる。
[0040]
 チョコレート原料に含有されるカカオ由来成分としては、カカオ豆、カカオニブ、カカオマス、ココアバター、ココアパウダー、ココアケーキ等が挙げられる。カカオニブは、カカオ豆を破砕し豆の殻及び胚を除去して得られる胚乳部である。カカオマスは、カカオニブを磨砕して得られる。カカオマスを常法に従って加工することによって、ココアバター、ココアパウダー、ココアケーキが得られる。
[0041]
 チョコレート原料には、カカオ由来成分以外の他の成分を適宜含むことができる。他の成分は格別限定されず、例えば、糖、乳原料、乳化剤、香料等が挙げられる。糖としては、例えば、単糖、二糖、三糖~十糖のオリゴ糖等が挙げられる。単糖としては、例えば、ブドウ糖、果糖等が挙げられる。二糖としては、例えば、ショ糖、乳糖等が挙げられる。乳原料としては、例えば、全脂粉乳、脱脂粉乳、乳タンパク質等が挙げられる。
[0042]
 チョコレート原料として以上に例示した成分は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよいが、油脂を含有する成分を1種以上選択する。
[0043]
 チョコレート原料と含水原料とを混練する混合工程の前に、チョコレート原料に前処理を施すことができる。前処理としては、チョコレート原料を構成する成分の混合、粉砕(微粒化)、コンチング等が挙げられる。これらの前処理には、当分野において既知の任意の手法を用いることができる。
[0044]
 チョコレート原料は、チョコレート生地の形態を有することができる。本態様において、「チョコレート生地」とは、チョコレート原料を構成する成分の混合、粉砕及びコンチングを経て得られた液状のチョコレートを指す。チョコレート生地として、具体的には、例えば、ミルクチョコレート生地、ホワイトチョコレート生地、ハイカカオチョコレート生地等が挙げられる。ミルクチョコレート生地は、例えば、カカオマス、ココアバター、全脂粉乳、乳化剤、香料、及びショ糖を含む。ホワイトチョコレート生地は、例えば、ココアバター、全脂粉乳、乳化剤、香料、及びショ糖を含む。ハイカカオチョコレート生地は、例えば、カカオマス、ココアバター、ココアパウダー、乳化剤、香料、及びショ糖を含む。
[0045]
 チョコレート原料において、油脂は、カカオ由来成分及び他の成分の少なくとも一方として含有される。油脂として、20℃以下の温度で固化されるものを1種以上含有することが好ましい。チョコレート原料が、カカオ由来成分である油脂、例えばココアバターを含有することは好ましいことである。ココアバターは、通常は、90重量%以上がオレイン酸、ステアリン酸及びパルミチン酸からなる3種類の脂肪酸によって構成され、25℃以下の温度で固化され、特に20℃以下の温度で安定に固化される。
[0046]
 含水原料としては、水分を含有する原料であれば格別限定されず、例えば、卵、果汁、糖類含有液、チーズ、ジュース、生クリーム等が挙げられる。卵としては、例えば、全卵、卵黄、卵白等が挙げられる。果汁としては、例えば、イチゴ果汁等が挙げられる。糖類含有液は、例えば、チョコレート原料として例示した糖を含有する水溶液であり、ソルビトール等のような糖アルコール含有液、各種液糖、水飴等が挙げられる。チーズとしては、例えば、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、チーズフード等が挙げられる。含水原料は、液状、ペースト状のいずれでもよいが、好ましいのはペースト状である。尚、一実施形態において、含水原料は水のみによって構成されてもよい。
[0047]
 チョコレート原料及び含水原料の少なくとも一方は、単糖及び二糖からなる群から選択される1種以上の糖を含有する。
[0048]
 混合工程では、チョコレート原料と含水原料とを、冷却しながら混練して、混合物を得る。
[0049]
 冷却によってチョコレート原料中の油脂は、流動性が低下し、好ましくは固化する。この状態で混練することで、油脂の分離が防止され、チョコレート原料の成分と、含水原料の成分とが均一分散される。これにより、含水原料由来の水分が混合物中に均一分散され、水分活性が低下する。
[0050]
 混合工程において、チョコレート原料と含水原料とを、-20℃~20℃の範囲に冷却した状態で混練することが好ましい。これにより、チョコレート原料中の油脂が好適に固化され、均一分散がさらに促進され、その結果、水分活性がさらに低下する。
[0051]
 冷却によってチョコレート原料中の油脂を固化した状態で混練することは好ましいことである。本態様において、「チョコレート原料中の油脂が固化した状態」というのは、チョコレート原料中の全油脂の65重量%以上が固化した状態を意味する。チョコレート原料について、ある温度下において測定される固体脂含量(SFC)が、チョコレート原料中の全油脂の65重量%以上であれば、当該温度下においてチョコレート原料中の油脂を固化した状態で混練することができる。ここで、固体脂含量は、核磁気共鳴(NMR)法によって測定される値である。
[0052]
 混合工程においては、冷却混合機を用いることができる。冷却混合機は、チョコレート原料と含水原料とを冷却しながら混練する冷却混練部と、混合物を吐出する吐出口とを備えることが好ましい。混合物には、吐出口に設けられるダイ(口金)の開口形状に応じた任意の形状を付与できる。冷却混合機によって押出成形された混合物をさらに成形してもよい。例えば、混合物をシート状に押し出して、次いで、シート状の混合物を切断して、最終的な形状を付与してもよい。最終的な形状は格別限定されず、例えば、直方体、立方体、円柱、角柱、球体等の任意の形状であり得る。
[0053]
 好ましい実施形態において、上述した冷却混合機は、例えば、一軸又は複数軸のスクリューを有するエクストルーダーであり得る。なかでも、二軸のスクリューを有するエクストルーダー(以下、「二軸式エクストルーダー」ともいう。)が好適である。
[0054]
 エクストルーダーは、混練されるチョコレート原料と含水原料とを冷却するための冷却手段を備えることができる。冷却手段は格別限定されず、例えば、冷媒を流通する流路が形成されたジャケット構造等を用いることができる。冷却手段は、冷却混練部を通過する原料を冷却可能であればよい。冷却手段は、例えば、エクストルーダーのスクリューを取り囲むハウジング側に設けてもよいし、スクリュー側に設けてもよい。
[0055]
 好ましい実施形態において、エクストルーダーの投入口に投入されたチョコレート原料及び含水原料は、スクリューによって吐出口に向けて搬送される過程で、冷却混練部を通過する。冷却混練部において、チョコレート原料及び含水原料は、好ましくは-20℃~20℃の範囲に冷却された状態で、スクリューにより混練される。
[0056]
 エクストルーダーを用いることによって、チョコレート原料及び含水原料の冷却下での混練から、混合物の吐出までを連続的に実施することができる。そのため、これらの原料に由来する成分が均一分散された状態を良好に保持したまま、混合物を吐出することができる。
[0057]
 エクストルーダーは、回転するスクリューによって、チョコレート原料及び含水原料にせん断応力を作用させて混練する。また、スクリューがこれらの原料を吐出口に向けて押圧することで、これらの原料に圧力が作用する。このようなせん断応力や圧力が作用することによって、チョコレート原料の成分と、含水原料の成分とがさらに均一分散される。
[0058]
 このようなせん断応力や圧力によって温度上昇が生じることで、吐出口から吐出される混合物の温度は、冷却混練部における温度よりも高いものになり得る。吐出口から吐出される混合物の温度は、例えば、35℃以下、30℃以下、28℃以下、26℃以下、さらには25℃以下であることが好ましい。
[0059]
 エクストルーダーには1つ又は複数の投入口を設けることができる。チョコレート原料と含水原料とは、1つの投入口に共通に投入されてもよいし、複数の投入口に原料ごとに投入されてもよい。投入口に投入されるチョコレート原料及び含水原料の温度は格別限定されず、例えば室温等であってもよい。
[0060]
 以上の説明では、冷却混合機として、エクストルーダーについて主に示したが、これに限定されない。冷却混合機は、冷却手段と、該冷却手段によって冷却された原料を混合する混合手段とを備えるものであればよく、例えば冷却ジャケットを備えたミキサー等であってもよい。
[0061]
 本実施形態において、以上に説明した混合工程によって得られる混合物は、水分含量が20重量%未満であり、水分活性が0.7以下であり、かつ水中油型に乳化されている。
[0062]
 ある実施形態において、チョコレート原料の水分含量は、例えば、0重量%以上10重量%以下であることが好ましく、0重量%以上5重量%以下であることがさらに好ましい。また、チョコレート原料の油脂の含有量は5重量%以上100重量%以下であることが好ましく、10重量%以上100重量%以下であることがさらに好ましい。一方、含水原料の水分含量は、例えば、5重量%以上100重量%以下であることが好ましく、10重量%以上100重量%以下であることが更に好ましい。また、含水原料の油脂の含有量は0重量%以上95重量%以下であることが好ましく、0重量%以上80重量%以下であることが更に好ましい。
[0063]
 次に、図2を参照して、チョコレート原料と含水原料との混合の実施形態について説明する。図2は、チョコレート原料と含水原料との混合の実施形態を説明するブロック図である。
[0064]
 図2(a)の実施形態では、混合工程1において、チョコレート原料と含水原料とを、冷却下で混合して、混合物を得る。
[0065]
 図2(b)の実施形態では、含水原料が複数の原料A~Cによって構成される。本実施形態では、混合工程1において、チョコレート原料と、含水原料を構成する複数の原料A~Cとを冷却下で混合して、混合物を得る。
[0066]
 図2(c)の実施形態でも、含水原料が複数の原料A~Cによって構成される。本実施形態では、混合工程1の前にプレ混合工程2が設けられる。プレ混合工程2において、含水原料を構成する複数の原料A~Cを混合する。この混合は、常温下で行われても、冷却下で行われてもよい。この混合によって、原料A~Cを含む含水原料のペースト状混合物が得られる。次いで、混合工程1において、チョコレート原料と含水原料のペースト状混合物とを冷却下で混合して、混合物を得る。本実施形態によれば、混合物の水分活性をさらに低下できる。
[0067]
 図2(d)の実施形態でも、含水原料が複数の原料A~Cによって構成される。本実施形態では、混合工程1の前にプレ混合工程2として、第1のプレ混合工程21及び第2のプレ混合工程22が設けられる。第1のプレ混合工程21において、含水原料を構成する複数の原料A~Cを混合する。この混合は、常温下で行われても、冷却下で行われてもよい。この混合によって、原料A~Cを含む含水原料のペースト状混合物が得られる。次いで、第2のプレ混合工程22において、チョコレート原料と含水原料のペースト状混合物とを混合する。この混合は、常温下で行われても、冷却下で行われてもよい。この混合によって、チョコレート原料と含水原料との固練り混合物が得られる。次いで、混合工程1において、固練り混合物を冷却下でさらに混合して、混合物を得る。本実施形態によれば、上記(c)の実施形態に比べて、混合物の水分活性をさらに低下できる。
[0068]
 以上に説明した(b)~(d)の実施形態において、含水原料を構成する原料は、3つである場合に限定されず、2以上の原料であればよい。また、以上に説明した(a)~(d)の実施形態において、チョコレート原料が複数の原料によって構成されてもよい。この場合、チョコレート原料を構成する複数の原料は、混合工程1において混合されてもよいし、混合工程1に供される前に予め混合されてもよい。以上に説明した(a)~(d)の実施形態において、プレ混合工程2に用いられる混合機は格別限定されず、当分野において既知の任意の混合機を用いることができる。
[0069]
[含水チョコレート様菓子]
 本発明の第1態様の一実施形態に係る含水チョコレート様菓子は、以上に説明した含水チョコレート様菓子の製造方法によって得られた混合物を含む。これにより、風味品質に優れる効果が得られる。
[0070]
(第2態様)
 本発明の第2態様は、水中油型に乳化された含水チョコレート様菓子を簡便に製造できる含水チョコレート様菓子の製造方法及び含水チョコレート様菓子に関する。
[0071]
 本発明の第2態様が解決しようとする課題について説明する。
 従来の技術には、常温流通可能な保存安定性が付与され、かつ水中油型に乳化された含水チョコレート様菓子を簡便に製造する観点で、さらなる改善の余地が見いだされた。
[0072]
 本発明の第2態様の課題は、常温流通可能な保存安定性が付与され、かつ水中油型に乳化された含水チョコレート様菓子を簡便に製造できる含水チョコレート様菓子の製造方法及び含水チョコレート様菓子を提供することである。
[0073]
 以下、本発明の第2態様の含水チョコレート様菓子の製造方法及び含水チョコレート様菓子の実施形態について説明する。
[0074]
[含水チョコレート様菓子の製造方法]
 本発明の第2態様の一実施形態に係る含水チョコレート様菓子の製造方法は、粉体原料と水系原料とを混合してペーストを調製するペースト調製工程と、前記ペーストと油系原料とを冷却しながら混合して混合物を得る冷却混合工程とを含み、前記混合物は、水分含量が3~20重量%であり、水分活性が0.7以下であり、かつ水中油型に乳化されていることを特徴とする。これにより、常温流通可能な保存安定性が付与され、かつ水中油型に乳化された含水チョコレート様菓子を簡便に製造できる効果が得られる。
[0075]
 本発明の第2態様の一実施形態に係る含水チョコレート様菓子の製造方法について、図3を参照してさらに詳しく説明する。
[0076]
 図3に示されるように、一実施形態に係る製造方法は、粉体原料と水系原料とを混合してペーストを調製するペースト調製工程11と、前記ペーストと油系原料とを冷却しながら混合して混合物を得る冷却混合工程12とを有する。
[0077]
 一実施形態に係る製造方法において、得られる混合物は、水分含量が3~20重量%であり、水分活性(以下、「Aw」ということがある。)が0.7以下であり、かつ水中油型に乳化されている。
[0078]
 これにより、常温流通可能な保存安定性が付与され、かつ水中油型に乳化された含水チョコレート様菓子を簡便に製造できる効果が得られる。以下に、かかる効果について、さらに詳しく説明する。
[0079]
 本態様において、「含水チョコレート様菓子」は、一般社団法人全国公正取引協議会連合会が規定する公正競争規約における「チョコレート類」である場合に限定されず、例えば、粉体原料、水系原料及び油系原料のいずれか1以上にカカオ由来成分を用いて得られた上記混合物を含む菓子であればよい。カカオ由来成分については、第1態様についてした説明が援用される。
[0080]
 従来の含水チョコレートとして、「生チョコレート」が挙げられる。そのような生チョコレートは、生クリームとチョコレートを加温しながらよく混合してクリーム状とした後、冷却して成形することにより製造される。ここで、前記チョコレートは、従来の製造方法に従えば、カカオ原料、砂糖、粉乳等の原料を粉砕、混合、微細化、精練等するための複数の装置と工程を経て製造される。そのため、チョコレートを使用する従来の製造方法は、製造工程が複雑であり、容易に実施することができなかった。
[0081]
 これに対して、本発明の第2態様の一実施形態に係る製造方法おいては、必ずしもチョコレートを使用する必要がないため、製造工程が大幅に簡略化される。そのため、含水チョコレート様菓子を、簡便に製造することができる。
[0082]
 また、一実施形態に係る製造方法より得られる混合物は、上述したように、水分含量が3~20重量%であり、水分活性が0.7以下であり、かつ水中油型に乳化されている。これにより、混合物及び該混合物を含む含水チョコレート様菓子に、常温流通可能な保存安定性が好適に付与される。
[0083]
 ペースト調製工程11についてさらに詳しく説明する。上述したように、ペースト調製工程11では、粉体原料と水系原料とを混合してペーストを調製する。
[0084]
 このようなペースト調製工程を設けることによって、後段の冷却混合工程で得られる混合物の水分活性を低下させることができる。例えば、ペースト調製工程を省略して、全ての原料を一括して冷却混合工程に供した場合と比較して、混合物が同じ配合であるにもかかわらず、水分活性を低下させることができる。このような効果が得られる理由は、本発明の第2態様を限定することを意図するものではないが、次のように推定される。即ち、粉体原料を水系原料にあらかじめ溶解分散して混合することにより、一括して混合する方法よりも、可溶性成分が油に阻害されずに溶解して分散するため、水分活性を下げることができると考えられる。
[0085]
 ペースト調製工程に供される粉体原料は、食品成分によって構成された任意の粉体であってよく、好ましくは、水系原料に含まれる水に溶解可能な粉体、及び、水系原料中に分散可能な粉体からなる群より選ばれる1種又は2種以上によって構成される。
[0086]
 そのような粉体原料として、例えば、糖、乳原料、植物粉末、ココアパウダー等があげられる。糖としては、例えば、ショ糖、果糖、乳糖、糖アルコール、オリゴ糖等が挙げられる。乳原料としては、例えば、全脂粉乳、脱脂粉乳、乳タンパク質等が挙げられる。植物粉末としては、例えば、果汁粉末、野菜粉末、植物抽出粉末等が挙げられる。ここで、「水系原料中に分散可能な粉体」は、例えば、ヘラや泡立て器等を用いて撹拌や混合する等のような簡易な作業で水系原料中に安定に分散可能な粉体であることが好ましい。
[0087]
 ペースト調製工程に供される水系原料は、水を含む原料であれば格別限定されない。そのような水系原料として、例えば、水、水溶液、水分散液、抽出液等が挙げられる。具体的には、例えば、生クリーム、牛乳、濃縮乳、果汁、糖液、アルコール、香料等が挙げられる。
[0088]
 水系原料の水分含有量は、後に冷却混合工程によって得られる混合物の水分含有量を考慮して適宜設定可能であるが、一例として、水系原料の総重量に対して、5~100重量%、10~95重量%、さらには15~90重量%とすることができる。
[0089]
 ペースト調製工程には、本発明の第2態様の目的を損なわない範囲で、上述した粉末原料及び水系原料以外の他の原料を配合することができる。他の原料は、食品原料であれば格別限定されず、例えば、バター、チーズ等のような乳製品等が挙げられる。
[0090]
 ペースト中に含まれる粉体原料、水系原料及び他の原料の含量(混合比)は、後に冷却混合工程によって得られる混合物の水分含有量を考慮して適宜設定可能である。また、本実施形態によれば、これら原料の混合比の調整によって、含水チョコレート様菓子の食感や風味を好適に調整できる効果も得られる。
[0091]
 ペースト調製工程に用いられる混合手段は格別限定されず、粉体原料と、水系原料と、必要に応じて他の原料と、を混合してペーストにできるものであればよい。具体的には、例えば、縦型ミキサー、卓上ミキサー、カッターミキサー、横軸ミキサー等が挙げられる。
[0092]
 ペースト調製工程では、好ましくは10~70℃、より好ましくは20~60℃、さらに好ましくは30~50℃で加温しながら、上述した各原料を混合する。混合手段が、混合に供される原料を上記の温度範囲内に加温するためのヒーター等の温度調整手段を備えることは好ましいことである。
[0093]
 上記のような温度範囲内で混合することにより、上述した各原料に含まれる成分の溶解や分散を促進し、成分が均一に分散されたペーストを効率的に調製することができる。また、水に分散しにくい乳タンパク質(カゼイン等)等の成分についても、ペースト調製工程においてペースト中に均一に分散される。
[0094]
 ペースト調製工程に用いられる混合手段は、回分(バッチ)式でも連続式でもよいが、ペースト調製工程から後段の冷却混合工程までの一連の工程を連続的に行う観点では、連続式であることが好ましい。連続式の混合手段は、連続的に供給される原料を混合して、ペーストを連続的に排出するように構成される。ここで、排出されたペーストは、後段の冷却工程において用いられる冷却混合手段に連続的に供給されることが好ましい。
[0095]
 ペースト調製工程によって得られるペーストは、使用した原料中の溶解性成分が溶解し、不溶性成分が均一に分散された状態であることが好ましい。そのような状態のペーストは、ざらつきがない食感となっていることが、さらに好ましい。ざらつきがない食感となっているペーストは、例えば、マイクロメータで測定される粒度が20μm以下である。
[0096]
 次に、冷却混合工程12についてさらに詳しく説明する。上述したように、冷却混合工程12では、ペースト調製工程11で得られたペーストと油系原料とを冷却しながら混合して混合物を調製する。ある実施形態において、ペーストと油系原料とは、例えば、30℃以下、28℃以下、25℃以下、20℃以下、さらには15℃以下に冷却されながら混合される。冷却温度の下限は格別限定されないが、例えば-20℃以上とすることができる。このような冷却を行うことで、水系原料を含有するペーストと、油系原料とを混合する際に、油が分離することを抑制し、水を連続相とする中に油が均一に分散された安定的な水中油型の乳化状態を有する混合物が得られる。また、成分が均に一分散されることによって、混合物の水分活性を好適に低下させることができる。
[0097]
 冷却によって油系原料中の油脂を固化した状態で混練することは好ましいことである。本態様において、「油系原料中の油脂が固化した状態」というのは、混練に供される油系原料中の全油脂の65重量%以上が固化した状態を意味する。油系原料について、ある温度下において測定される固体脂含量(SFC)が、油系原料中の全油脂の65重量%以上であれば、当該温度下において油系原料中の油脂を固化した状態で混練することができる。ここで、固体脂含量は、核磁気共鳴(NMR)法によって測定される値である。
[0098]
 冷却混合工程に供される油系原料は、油脂を含有する原料であり、例えば、油脂、又は油を連続相とする乳化物等が挙げられる。具体的には、例えば、ココアバター、カカオマス、ココアバター代替脂、植物油脂、ショートニング、各種スプレッド等が挙げられる。
[0099]
 油系原料における油脂の含有量は格別限定されず、一例として、油系原料の総重量に対して、5~100重量%、30~80重量%、さらには40~60重量%とすることができる。尚、油脂の含有量は、第1態様について説明した方法によって測定される値である。
[0100]
 油系原料は、冷却混合工程で得られる混合物に配合される油系原料全体として、常温(20℃)で固体となるか又は0℃付近で固体となる性質を有することが好ましい。ここで、「油系原料全体」というのは、油系原料が1種であれば、該油系原料を指し、油系原料が2種以上であれば、それら油系原料の混合物を指す。かかる油系原料の混合物における各油系原料の重量比は、冷却混合工程で得られる混合物に配合される各油系原料の重量比とする。
[0101]
 冷却混合工程に用いられる冷却混合手段は格別限定されず、ペーストと油系原料とを冷却しながら混合できるものであればよい。冷却混合手段については、第1態様の冷却混合機についてした説明が援用される。第2態様の冷却混合手段として、第1態様について説明した冷却混合機を、ペーストと油系原料とを冷却しながら混合するために用いることができる。
[0102]
 好ましい実施形態において、冷却混合手段であるエクストルーダーの冷却混練部において、ペーストと油系原料とは、例えば、30℃以下、28℃以下、25℃以下、20℃以下、さらには15℃以下に冷却された状態で、スクリューにより混練される。
[0103]
 エクストルーダーの投入口には、前段のペースト調製工程からのペーストと、油系原料とが連続的に供給されることが好ましい。
[0104]
 冷却混合工程によって得られる混合物は、水分含量が3~20重量%であり、水分活性が0.7以下であり、かつ水中油型に乳化されている。
[0105]
 本実施形態に係る製造方法により得られる混合物は、一般的な生チョコレートよりも少ない生クリーム配合量であっても、油を分離させることなく成形することが可能である。また、かかる混合物は、一般的な生チョコレートより少ない水分含量であっても成形することが可能である。
[0106]
 本実施形態の製造方法によって得られる混合物は、食感も良好であり、冷却混合工程において一般的なミキサーを用いて得られる混合物は、焼き菓子のような食感を有している。また、冷却混合工程においてエクストルーダーを用いて得られる混合物は、固形分が多くても非常に滑らかな食感を有し、前記したミキサーにより得られる混合物よりもきわめて改善された口どけを有する。
[0107]
 以上の説明において、ペースト調製工程における原料の混合は、1つの混合手段によって行われる場合に限定されず、原料を複数の混合手段に順次供給して行ってもよい。また、冷却混合工程における原料の混合は、1つの混合手段によって行われる場合に限定されず、原料を複数の混合手段に順次供給して行ってもよい。
[0108]
 本発明の第2態様のある実施形態に係る含水チョコレート様菓子の製造方法は、冷却混合工程で得られる混合物を成形する成形工程をさらに有する。混合物は成形に適した可塑性を有するため、好ましい形状やサイズに成形することができる。成形工程に用いられる成形方法は格別限定されず、例えば、混合冷却手段の吐出口に設けられるダイ(口金)の開口形状に応じた任意の形状を付与できる。
[0109]
[含水チョコレート様菓子]
 本発明の第2態様の一実施形態に係る含水チョコレート様菓子は、以上に説明した含水チョコレート様菓子の製造方法によって得られた混合物を含む。これにより、含水チョコレート様菓子に常温流通可能な保存安定性が付与される効果が得られる。
[0110]
 本明細書に記載の物性や測定値等は、特に断りのない限り、20℃環境下で観察されるものである。
実施例
[0111]
 以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載には限定されない。尚、以下の実施例において、「%」は、特に断りのない限り「重量%」を表す。
[0112]
[測定方法]
 まず、以下の実施例及び比較例において混合物等について測定される水分活性、水分含量、乳化状態及び応力の測定方法について説明する。
[0113]
(1)水分活性
 水分活性測定器(METER社製「AquaLab Sereies4TE」)を用いて測定した。
[0114]
(2)水分含量
 日本国消費者庁Webページの「別添 栄養表示関係」(http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/pdf/foods_index_18_180119_0003.pdf)における「別添 栄養成分等の分析方法等」 5.炭水化物 イ 水分 (3)減圧加熱乾燥法に準拠し、下記の手順により測定した。
[減圧加熱乾燥法]
 底部の直径が50mmである秤量皿(蓋付き)の恒量(W (g))を求める。次いで、秤量皿に2gの試料を採取し、秤量(W (g))する。次いで、秤量皿の蓋をずらした状態で、100℃に調節した真空乾燥器に入れ、真空ポンプで吸引しながら、減圧度を25mmHgに設定する。2時間、減圧乾燥した後に、真空ポンプを止め、除湿空気を真空乾燥器内に静かに導入して常圧に戻し、秤量皿を取り出し、蓋をして恒量(W (g)を求める。試料中の水分含量は、下記式によって求められる。
 試料中の水分含量(重量%)={(W -W )/(W -W )}×100
[0115]
(3)乳化状態
 測定用サンプルである混合物の電気抵抗をテスターで測定し、測定部位を異ならせても一定の電気抵抗値を示す場合は水中油型と判定し、電気抵抗が無限大を示す場合は油中水型と判定する。
[0116]
(4)応力
 測定用サンプルとして、略直方体形状(高さ約7mm)に成形された混合物を用いて、以下の装置にて測定した。測定時の室温は20℃とした。
・測定機器:FUDOHレオメーターRTC-3010D-CW
・プランジャー:直径3mmの円柱状のプランジャー(金属素材)
・プランジャーの進入速度:2cm/分
・プランジャーの進入深度:3mm
 上記の条件において、得られた応力について以下の評価基準で評価した。
なお、以下でいう「応力」とは、測定された応力の最大値(Peak)を意味する。
・10kgf以上:食感として、とても硬いと感じられる。
・7kgf以上10kgf未満:食感として、硬いと感じられる。
・4kgf以上7kgf未満:食感として、やや硬いと感じられる。
・3kgf以上4kgf未満:食感として、やや柔らかいと感じられる。
・2kgf以上3kgf未満:食感として、柔らかいと感じられる。
・2kgf未満:食感として、とても柔らかいと感じられる。
[0117]
[チョコレート原料の調製]
(ミルクチョコレート生地)
 ミルクチョコレート生地は、カカオマス20重量部、ココアバター20重量部、全脂粉乳20重量部、乳化剤0.5重量部、香料0.1重量部、及びショ糖40重量部を常法により混合、粉砕及びコンチングして調製した。
[0118]
(ホワイトチョコレート生地)
 ホワイトチョコレート生地は、ココアバター30重量部、全脂粉乳30重量部、乳化剤0.5重量部、香料0.1重量部、及びショ糖40重量部を常法により混合、粉砕及びコンチングして調製した。
[0119]
(ハイカカオチョコレート生地)
 ハイカカオチョコレート生地は、カカオマス75重量部、ココアバター10重量部、ココアパウダー5重量部、乳化剤0.5重量部、香料0.1重量部、及びショ糖10重量部を常法により混合、粉砕及びコンチングして調製した。
[0120]
[含水チョコレート様菓子の製造]
(実施例1)
 ミルクチョコレート生地90.9重量%、及び含水原料として全卵(水分含量76%)9.1重量%を二軸式エクストルーダーに投入して、下記運転条件で冷却搬送、混練、押出成形を行った。押出成形された混合物を、略2cm角サイズに切断し、含水チョコレート様菓子を得た。
[0121]
エクストルーダー運転条件
・原料投入温度:20℃
・冷却域の内部温度:8~19℃
・吐出温度(表面):25.6℃
 ここで、「冷却域の内部温度」は、上述した冷却混練部を通過する混合物の温度である。また、「吐出温度(表面)」は、吐出口から吐出される混合物の表面温度である。
[0122]
 得られた含水チョコレート様菓子の水分活性は0.70、水分含量は7重量%であった。また、この含水チョコレート様菓子の乳化型は水中油型であった。この含水チョコレート様菓子を、40℃で3時間保存した後に指でつまんで持ち上げたところ、変形せずに持ち上げることができた。
[0123]
(比較例1)
 実施例1と全く同じ配合のミルクチョコレート生地と全卵とを、ボールに投入して泡立て器とゴムベラを使用して均一になるまで混合し、混合物によって構成された含水チョコレート様菓子を得た。
[0124]
 得られた含水チョコレート様菓子の水分活性は0.76、水分含量は7重量%であった。また、この含水チョコレート様菓子の乳化型は判定不能であった。外観上は均一に混合されているようでも、乳化型の測定において、測定箇所によっては導電性がある部位と導電性がない部位とがあり、ばらつきがみられた。実施例1と比較例1は、全く同じ配合であるにもかかわらず、実施例1の方が水分活性の低い含水チョコレート様菓子が得られることがわかる。
[0125]
(実施例2)
 ミルクチョコレート生地74.3重量%、チョコシードB(不二製油株式会社製)2.2重量%、及び含水原料としてソルビトール(水分含量30%)23.5重量%を、二軸式エクストルーダーに投入して、下記運転条件で冷却搬送、混練、押出成形を行った。押出成形された混合物を、略2cm角サイズに切断し、含水チョコレート様菓子を得た。
[0126]
エクストルーダー運転条件
・原料投入温度:20℃
・冷却域の内部温度:9~25℃
・吐出温度(表面):10~22℃
[0127]
 得られた含水チョコレート様菓子の乳化型は水中油型であった。この含水チョコレート様菓子の水分活性は0.62、水分含量は6.00重量%、応力は0.52kgfであり、とても柔らかい食感を有していた。
[0128]
 保存性を評価するために、得られた含水チョコレート様菓子を、冷凍庫内、13℃、20℃、23℃、25℃、28℃で3カ月間保存した後に応力を測定したところ、それぞれ、0.56、0.70、0.77、0.79、0.90、0.92kgfであり、いずれの温度帯においてもとても柔らかい食感が維持されていた。また、いずれの菓子も、3カ月間保存後においても可塑性を保持していた。また、全ての保存温度帯において、保存後の菓子の水分活性は0.7以下であった。
[0129]
(実施例3)
 表1に示す原料をエクストルーダーに投入して、下記運転条件で冷却搬送、混練、押出成形を行った。押出成形された混合物を、略2cm角サイズに切断し、含水チョコレート様菓子を得た。
[0130]
エクストルーダー運転条件
・原料投入温度:23~24℃
・冷却域の内部温度:1~11℃
・吐出温度(表面):21.9~24.8℃
[0131]
[表1]


[0132]
 試験区3-1~3-6のすべてにおいて、得られた含水チョコレート様菓子の乳化型は水中油型であり、水分活性は0.7以下、応力は2kgf以下で、とても柔らかい食感を有していた。
[0133]
 保存性を評価するために、それぞれの含水チョコレート様菓子を、28℃、35℃、40℃で24時間保存した。保存後の菓子は、全て保存前の形状を維持していた。また、指でつまんで持ち上げたところ、28℃で保存した菓子は指に付着することも変形することもなく、容易に持ち上げることができた。35℃以上で保存した菓子は、非常に柔らかかったが、注意して持ち上げることができた。
[0134]
 さらに、それぞれの含水チョコレート様菓子を、4℃、13℃、20℃、23℃、28℃で0~6カ月間保存した。保存後の菓子は、全ての保存温度帯、保存期間後においてAwが0.7以下を維持していた。また、いずれの菓子も、可塑性を有していた。
[0135]
(実施例4)
 表2に示す原料をエクストルーダーに投入して、表2に示す運転条件で冷却搬送、混練、押出成形を行った。押出成形されて得られた含水チョコレート様菓子を、略2cm角サイズに切断した。
[0136]
[表2]


[0137]
 試験区4-1~4-7のすべてにおいて、得られた含水チョコレート様菓子の乳化型は水中油型であり、水分活性は0.7以下、応力は2~7kgfの範囲内であった。食してみたところ、水分含量が4%の菓子は、市販の板チョコと同様の硬さであり、水分含量が6%以上の菓子は市販のやや柔らかい食感のチョコレートと同様の硬さを有していた。
[0138]
 耐熱性を評価するために、それぞれの含水チョコレート様菓子を、28℃、35℃、40℃で24時間保存した。保存後の菓子は、全て保存前の形状を維持していた。さらに、指でつまんで持ち上げたところ、28℃で保存した菓子は指に付着することも変形することもなく、容易に持ち上げることができた。35℃以上で保存した菓子は、非常に柔らかかったが、注意して持ち上げることができた。
[0139]
 保存性を評価するために、それぞれの含水チョコレート様菓子を、4℃、13℃、20℃、23℃、28℃で0~6カ月間保存した。保存後の菓子は、全ての保存温度帯、保存期間後においてAwは0.7以下を維持していた。また、いずれの菓子も可塑性を有していた。
[0140]
(実施例5)
 ミルクチョコレート生地77.6重量%、及び含水原料としてイチゴ果汁(水分含量35.9%)22.4重量%をエクストルーダーに投入して、下記運転条件で冷却搬送、混練、押出成形を行った。押出成形された混合物を、略2cm角サイズに切断し、含水チョコレート様菓子を得た。
[0141]
エクストルーダー運転条件
・原料投入温度:28.7℃
・冷却域の内部温度:2~7℃
・吐出温度(表面):23.2℃
[0142]
 得られた含水チョコレート様菓子の乳化型は水中油型であった。この含水チョコレート様菓子の水分活性は0.62、水分含量は8.03重量%、応力は0.52kgfであり、とても柔らかい食感を有していた。
[0143]
 耐熱性を評価するために、得られた含水チョコレート様菓子を、28℃、35℃、40℃で24時間保存した。保存後の菓子は、保存前の形状を維持していた。さらに、指でつまんで持ち上げたところ、28℃で保存した菓子は指に付着することも変形することもなく、容易に持ち上げることができた。35℃以上で保存した菓子は、非常に柔らかかったが、注意して持ち上げることができた。
[0144]
 保存性を評価するために、得られた含水チョコレート様菓子を、4℃、13℃、20℃、23℃、28℃で0~4カ月間保存した。保存後の菓子は、全ての保存温度帯、保存期間後において水分活性は0.7以下を維持していた。保存後の菓子は、可塑性を有していた。
[0145]
(実施例6)
 表3に示す原料をエクストルーダーに投入して、実施例5と同様の運転条件で冷却搬送、混練、押出成形を行った。押出成形された混合物を、略2cm角サイズに切断し、含水チョコレート様菓子を得た。実施例6では、含水原料として下記の糖液を用いた。
[0146]
含水原料(糖液)
・メイオリゴG(明治フードマテリア社製、水分24%)
・カップリングシュガー(林原社製、水分25%)
・コーソシラップ(日本コーンスターチ社製、水分25%)
[0147]
[表3]


[0148]
 試験区6-1~6-4のすべてにおいて、得られた含水チョコレート様菓子の乳化型は水中油型であり、Awは0.7以下であった。
[0149]
 保存性を評価するために、試験区6-4の含水チョコレート様菓子を、4℃、13℃、20℃、23℃、28℃で0~5カ月間保存した。保存後の菓子は、全ての保存温度帯、保存期間後においてAwは0.7以下を維持していた。保存後の菓子は、いずれも可塑性を有していた。
[0150]
(実施例7)
 表4に示す原料をエクストルーダーに投入して、表4に示す運転条件で冷却搬送、混練、押出成形を行った。押出成形された混合物を、略2cm角サイズに切断し、含水チョコレート様菓子を得た。表4中、「メイオリゴG」は、糖液(明治フードマテリア社製、水分24%)である。
[0151]
[表4]


[0152]
 試験区7-1~7-6のすべてにおいて、得られた含水チョコレート様原料の乳化型は水中油型であり、Awは0.7以下であった。また、応力は2~7kgfの範囲内であった。食してみたところ、水飴が配合された菓子は、やや硬めの食感であったが、チョコレート生地に替えて油脂とココアパウダーを配合した菓子や、水分含量が40%以上の含水原料を配合した菓子は、市販のやや柔らかい食感のチョコレートと同様の硬さであり、柔らかい食感を有していた。
[0153]
(実施例8)
 ミルクチョコレート生地68重量%、及び含水原料として糖液(明治フードマテリア社製「メイオリゴG」、水分24%) 32%重量%をエクストルーダーに投入して、下記運転条件で冷却搬送、混練、押出成形を行った。押出成形された混合物を、略2cm角サイズに切断し、含水チョコレート様菓子を得た。
[0154]
エクストルーダー運転条件
・原料投入温度:4℃
・冷却域の内部温度:0.4~6.4℃
・吐出温度(表面):24.8~25.7℃
[0155]
 得られた含水チョコレート様菓子の乳化型は水中油型であった。この含水チョコレート様菓子の水分活性は0.61、水分含量は5.9重量%、応力は2.81kgfであり、やや柔らかい食感を有していた。
[0156]
(実施例9)
 表5に示す配合成分のうち、脱脂粉乳、全脂粉乳、糖原料(果糖又はグラニュー糖)の全量をミキサーボールに投入し、生クリームを半量投入した。ミキサーのジャケット温度を60℃に調温し、原料を10分間混合した。混合した原料がペースト状となり、糖原料の結晶が溶解した状態で、残りの生クリームを投入して、さらに10分間混合撹拌して、なめらかなペースト状混合物を得た。この工程は、本発明の第2態様に係る含水チョコレート様菓子の製造方法におけるペースト調製工程に対応する。
[0157]
[表5]


[0158]
 表5に示した配合成分は、本発明の第2態様に係る含水チョコレート様菓子の製造方法に照らして、表6のようにも表現できる。
[0159]
[表6]


[0160]
 得られたペースト状混合物に、流動状のカカオマスを加えた後、ミキサーのジャケット温度を10℃まで冷却しながら混合した。混合物は徐々に白くなり、全体的に均一に混合されると茶色の外観となった。この工程は、本発明の第2態様に係る含水チョコレート様菓子の製造方法における冷却混合工程(固練り混合物を得る工程)に対応する。この混合物(以下、「固練り混合物」ともいう。)を、シート成形して、切断することにより、焼き菓子のような食感を有する含水チョコレート様菓子が得られた。即ち、前記含水チョコレート様菓子は、シート成形とその後の切断が可能な程度の自由度のある可塑性を有していた。
[0161]
 表7に、配合A及び配合Bについて、ペースト状混合物(本発明の第2態様に係る含水チョコレート様菓子の製造方法におけるペーストに相当する。)及び含水チョコレート様菓子(混合物)のそれぞれについて測定された製造直後の水分活性を示す。
[表7]


[0162]
 表7より、配合A及び配合Bのいずれにおいても、混合物(含水チョコレート様菓子)の水分活性は0.7以下であったが、果糖を配合した配合Aの方が、ショ糖を配合した配合Bよりも水分活性が0.07程度低い値になることがわかる。また、いずれの混合物も、水中油型に乳化されていることが確認された。
[0163]
(実施例10)
試験区10-1
 実施例9で得られた固練り混合物を二軸式エクストルーダーに投入して、実施例5と同様の運転条件で冷却搬送、混練、押出成形を行った。押出成形された混合物を、略2cm角サイズに切断し、含水チョコレート様菓子を得た。
[0164]
 上記のとおり、本試験区10-1では、チョコレート原料及び含水原料について、二軸式エクストルーダーによる混合を行う前に、実施例9について説明した混合(即ち、ペースト状混合物を得るための混合と、固練り混合物を得るための混合の組み合わせであり、以下「プレ混合工程A」ともいう。)を行っている。
 本発明の第2態様に係る含水チョコレート様菓子の製造方法に照らして言い換えれば、本試験区10-1では、ペースト調製工程及び冷却混合工程(固練り混合物を得る工程)を経て調製された実施例9の混合物(固練り混合物)を、二軸式エクストルーダーを用いたさらなる冷却混合工程に供している。
[0165]
試験区10-2(参考例)
 実施例9の表5に示した配合Aと同配合の原料を、一括してミキサー中に投入し、冷却せずに室温(25℃)で混合して、混合物を得た。得られた混合物は、だまになり、油脂が分離してしまった。また配合Bにおいても同様の結果となった。
[0166]
試験区10-3
 試験区10-2で得られた、油脂が分離した混合物を二軸式エクストルーダーに投入し、実施例5と同様の運転条件で冷却搬送、混練、押出成形を行った。押出成形された混合物を、略2cm角サイズに切断し、含水チョコレート様菓子を得た。
[0167]
 上記のとおり、本試験区10-3では、チョコレート原料及び含水原料について、二軸式エクストルーダーによる混合を行う前に、試験区10-2で説明した混合(即ち、室温下での原料の一括混合であり、以下「プレ混合工程B」ともいう。)を行っている。
 本発明の第2態様に係る含水チョコレート様菓子の製造方法に照らして言い換えれば、本試験区10-3では、ペースト調製工程及び固練り混合物を得る工程が省略され、粉体原料、水系原料及び油性原料を一括混合して得られた混合物を、二軸式エクストルーダーを用いた冷却混合工程に供している。
[0168]
 試験区10-1及び10-3において、エクストルーダーに投入する前の混合物(表8中、「エクストルーダー前」)と、エクストルーダーからの吐出から1週間経過後の含水チョコレート様菓子(表8中、「エクストルーダー後」)とのそれぞれについて、水分活性を測定した。結果を表8に示す。
[0169]
[表8]


[0170]
 表8より、同配合の混合物であっても、エクストルーダーで冷却混練された後のチョコレート様菓子は、エクストルーダーによる処理前の混合物よりも水分活性が低くなることがわかる。試験区10-1及び10-3のいずれにおいても、エクストルーダーの前後で混合物の配合処方自体は変化していないにもかかわらず、エクストルーダー後の水分活性は、エクストルーダー前よりも低くなることがわかる。
[0171]
 また、表8より、プレ混合工程A(ペースト状混合物を得るための混合と、固練り混合物を得るための混合の組み合わせ)を含む試験区10-1の混合物は、プレ混合工程Aに代えてプレ混合工程B(室温下での原料の一括混合)を含む試験区10-3の混合物よりも低い水分活性を有することがわかる。複数種の含水原料を併用する場合は、エクストルーダーによる冷却混練の前に、該複数種の含水原料のうちの2種以上をプレ混合してペースト状にしておくことが、含水チョコレート様菓子の水分活性のさらなる低下に有効であることがわかる。ペースト調製工程を設けた試験区10-1の混合物は、ペースト調製工程を省略した試験区10-3の混合物よりも低い水分活性を有することがわかる。
[0172]
 試験区10-1及び10-3のいずれにおいても、混合物は水中油型に乳化されていた。
[0173]
(実施例11)
 チョコレート原料(カカオマス40重量%)、及び以下の含水原料(全脂粉乳10重量%、脱脂粉乳5重量%、果糖25重量%、及び生クリーム20重量%)を混合して得られたペースト状混合物をエクストルーダーに投入して、下記運転条件で冷却搬送、混練、押出成形を行った。押出成形された混合物を、略2cm角サイズに切断し、含水チョコレート様菓子を得た。
[0174]
エクストルーダー運転条件
・原料投入温度:20~38℃(ペースト状混合物20℃、チョコレート原料38℃)
・冷却域の内部温度:5~15℃
・吐出温度(表面):25~27℃
[0175]
 得られた含水チョコレート様菓子の乳化型は水中油型であり、水分活性は0.6248であり、水分含量は10.5%であった。
[0176]
 得られた含水チョコレート様菓子を、-20℃、13℃、20℃、23℃、25℃で6ヵ月保存して、水分活性、可塑性、及び応力の変化を観察した。結果を以下に示す。
 水分活性:全ての保存温度において、含水チョコレート様菓子は、保存前と保存後において水分活性0.7以下を維持していた。
 可塑性:全ての保存温度において、含水チョコレート様菓子は、保存後においても、保存前と同様の可塑性を有していた。
 応力:下記表9に示すように、全ての保存温度において、含水チョコレート様菓子は、保存前後で2kgf未満の応力を維持していた。
[0177]
[表9]


[0178]
 この含水チョコレート様菓子と、上記配合中の生クリームの半量を植物油脂および乳脂に置き換えて製造された油中水型チョコレート(対照品)とについて、同じサンプルに対して同評点を付けることが可能な程度に訓練されたチョコレート専門パネル30名により官能評価を実施した。評価項目は以下のとおりとして、得られた結果から平均値を算出した。
[0179]
評価項目
・口に入れてから飲み込むまでの時間:実施品と対照品のそれぞれについて、時間を測定した。
・風味:口中に入れてから最初に感じる風味(トップ)、中盤で感じる風味(ミドル)、後半から余韻で感じる風味(ラスト)のそれぞれの段階について、苦味、渋味、酸味、甘味、香りの強さを、対照品の風味を評点「4」として、5段階で評価した。評点の基準は、「1:非常に弱い」、「2:弱い」、「3:やや弱い」、「4:同程度」、「5:強い」とした。
 以上の結果を表10に示す。
[0180]
[表10]


[0181]
 表10より、水中油型に乳化された実施例11のチョコレートは、油中水型に乳化された対照品との対比で、甘味と香りが強く、苦味・渋味が弱い特徴を有していた。このような効果が得られる理由として、次のようなことが推定される。本発明のチョコレートは、乳化型が水中油型であるため、糖の溶出が早くなり、さらに水分が存在することで香りの成分の閾値が下がること、さらに口中に入れた早い段階から甘味が感じられることで、相対的に苦味や渋味が抑制されると考えられる。
[0182]
 尚、本発明のチョコレートは、乳化型が水中油型であることから、口どけがよくなり喫食時間が短くなると予測していたが、予想に反して、対照品よりもやや喫食時間が長い傾向がみられた。
[0183]
(実施例12)
 実施例11により得られた、切断された含水チョコレート様菓子に、溶融させた被覆用チョコレート生地をコーティングした後、冷却してチョコレートコーティング含水チョコレート様菓子を得た。
[0184]
(実施例13)
 実施例11により得られた、押出成形された混合物を3mm厚のシート状に成形し、その上に3mm厚のホワイトチョコレートを塗布した後、ロール状に成形し、冷却固化してロールケーキタイプ含水チョコレート様菓子を得た。
[0185]
(実施例14)
 実施例11により得られた、押出成形された混合物を7mm厚のシート状に成形し、3cm×3.5cmサイズに切断した。得られた2枚のシートの間に、センターチョコレート(厚さ7mm)を載せて、前記混合物のシートが最外層となるように挟みこんだ複合菓子である含水チョコレート様菓子(チョコレートサンド)を得た。
[0186]
(実施例15)
 果糖35重量%、バター27重量%、生クリーム20重量%、粉乳原料13重量%、グラニュー糖5重量%を加熱混合し、70℃付近になり糖原料が溶けたところで、カッターミキサーにより攪拌混合して乳化されたセンタークリームを得た。
 包餡機(レオン社製)を用いて、実施例11により得られた押出成形された混合物をシェル部とし、前記センタークリームをセンター部として成形し、含水チョコレート様菓子(クリーム包餡)を得た。
[0187]
(実施例16)
 ホワイトチョコレート生地を67.5重量%、及び含水原料(果糖15重量%、バター7重量%、ラム酒2.0重量%及び生クリーム8.5重量%)を混合して得られたペースト状混合物をエクストルーダーに投入して、下記運転条件で冷却搬送、混練、押出成形を行った。押出成形された混合物を、略2cm角サイズに切断し、含水チョコレート様菓子を得た。得られた含水チョコレート様菓子(混合物)の乳化型は水中油型であり、水分活性は0.64であり、水分含量は7.9%であった。
エクストルーダー運転条件
・原料投入温度:20~38℃(ペースト状混合物20℃、チョコレート原料38℃)
・冷却域の内部温度:-5~10℃
・吐出温度(表面):10~15℃
[0188]
(実施例17)
 実施例16の含水チョコレートを製造するにあたり、エクストルーダーによる原料の冷却混練後かつ吐出前のゾーンにおいて混合物にアーモンドクラッシュを供給して、混合した後に吐出し、得られた複合菓子を略2cm角に切断した。前記アーモンドクラッシュは、前記混合物90重量部に対して10重量部となるように添加した。
[0189]
(実施例18)
 実施例16により得られた押出成形された混合物90重量部に対して、ラムレーズン10重量部を添加して、オーバーミキサーで混合した後、得られた複合菓子をシート状に成形し、略2cm角に切断した。
[0190]
(実施例19)
 実施例16の含水チョコレートを製造するにあたり、エクストルーダーによる原料の冷却混練後かつ吐出前のゾーンにおいて混合物にアーモンドクラッシュを供給して、混合した後に吐出し、得られた複合菓子を5mm厚さのシート状に成形し、さらに2.5cm×2.5cmサイズに切断した。切断した2枚のシートの間に、センタークリーム3.5gを載せて前記混合物のシートが最外層となるように挟みこんだ複合菓子である含水チョコレート様菓子(チョコレートサンド)を得た。
[0191]
(実施例20)
 実施例16の含水チョコレートを製造するにあたり、エクストルーダーによる原料の冷却混練後かつ吐出前のゾーンにおいて混合物にラムレーズンを供給して、混合した後に吐出し、得られた複合菓子を5mm厚さのシート状に成形し、さらに2.5cm×5cmサイズに切断した。切断した2枚のシートの間に、ビスケットを載せて前記混合物のシートが最外層となるように挟みこんだ複合菓子である含水チョコレート様菓子(ビスケットサンド)を得た。
[0192]
(実施例21)
 実施例16の含水チョコレートを製造するにあたり、エクストルーダーによる原料の冷却混練後かつ吐出前のゾーンにおいて混合物にアーモンドクラッシュを供給して、混合した後に吐出し、複合菓子を得た。包餡機(レオン社製)を用いて、前記複合菓子をシェル部とし、チーズをセンター部として成形し、含水チョコレート様菓子(チーズ包餡)を得た。
[0193]
(実施例22)
 ミルクチョコレート原料(ホワイトチョコレート25重量%、植物油脂13重量%、カカオマス22重量%)、及び以下の含水原料(粉糖8.6重量%、脱脂粉乳5.7重量%、メイオリゴG15.7重量%及び生クリーム10重量%)を混合して得られたペースト状混合物をエクストルーダーに投入して、下記運転条件で冷却搬送、混練、押出成形を行った。押出成形された混合物を、略2cm角サイズに切断し、含水チョコレート様菓子を得た。得られた含水チョコレート様菓子(混合物)の乳化型は水中油型であり、水分活性は0.64であり、水分含量は10.0%であった。
エクストルーダー運転条件
・原料投入温度:20~40℃(ペースト状混合物20℃、チョコレート原料38℃)
・冷却域の内部温度:3~7℃
・吐出温度(表面):13~15℃
[0194]
(実施例23)
 実施例22の含水チョコレート様菓子の製造において、エクストルーダーの回転数を287~431rpmとすることにより、比重が0.84~0.93である気泡含有含水チョコレート様菓子を得た。
[0195]
(実施例24)
 実施例22の含水チョコレート様菓子の製造において、エクストルーダーの回転数を49rpmとし、さらにバレルの途中からエアーを0.6MPaで注入することにより、比重が0.88である気泡含有含水チョコレート様菓子を得た。
[0196]
(実施例25)
 カカオマス24重量%、果糖25重量%、生クリーム10重量%、糖液10重量%、バター28重量%、乳化剤2重量%及びラム酒1重量%を混合して、センターソースを調製した。
 実施例22の含水チョコレート様菓子の製造において、エクストルーダーの回転数を49rpmとし、さらにバレルの途中からエアーを0.6MPaで注入することにより、比重が0.88である気泡含有含水チョコレート様菓子(混合物)を得た。得られた混合物を、円柱ノズルにより吐出し、センターソースをノズル途中から注入して同時に吐出した。吐出した後、ワイヤーカッターにて切断して複合菓子である含水チョコレート様菓子(ロールタイプ)を得た。
[0197]
(実施例26)
 ホワイトチョコレート52重量%、及び含水原料(果糖19.7重量%、クリームチーズ19重量%、植物油脂7重量%及び味材2.3重量%)を混合して得られたペースト状混合物をエクストルーダーに投入して、下記運転条件で冷却搬送、混練、押出成形を行った。押出成形された混合物を、略2cm角サイズに切断し、含水チョコレート様菓子を得た。得られた含水チョコレート様菓子(混合物)の乳化型は水中油型であり、水分活性は0.6であり、水分含量は11.8%であった。
エクストルーダー運転条件
・原料投入温度:20~40℃(ペースト状混合物40℃、チョコレート原料38℃)
・冷却域の内部温度:3~7℃
・吐出温度(表面):13~15℃
[0198]
(実施例27)
 実施例26により得られた押出成形された混合物を5mm厚さのシート状に成形し、2.5cm×2.5cmサイズに切断した。切断した2枚のシートの間に、ビスケットを載せて前記混合物のシートが最外層となるように挟みこんだ複合菓子である含水チョコレート様菓子(ビスケットサンド)を得た。
[0199]
 以上、実施例12~27においては、混合物の良好な可塑性等に起因して、含水チョコレート様菓子の成形時に良好な成形性が発揮された。また、含水チョコレート様菓子は、混合物の良好な保存性に起因して、例えば混合物を最外層に有する場合においても、良好な保存性を発揮する。
[0200]
 上記に本発明の実施形態及び/又は実施例を幾つか詳細に説明したが、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施形態及び/又は実施例に多くの変更を加えることが容易である。従って、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
 この明細書に記載の文献、及び本願のパリ条約による優先権の基礎となる出願の内容を全て援用する。

請求の範囲

[請求項1]
 水分含量が20重量%以下であり、水分活性が0.7以下であり、かつ水中油型に乳化されている混合物を含む、含水チョコレート様菓子。
[請求項2]
 カカオ由来成分を少なくとも含有するチョコレート原料と、水分と、単糖及び二糖からなる群から選択される1種以上の糖とを少なくとも含有する混合物を含む、含水チョコレート様菓子であって、
 前記チョコレート原料は油脂を含有し、
 前記混合物は、水分含量が20重量%未満であり、水分活性が0.7以下であり、かつ水中油型に乳化されている、請求項1に記載の含水チョコレート様菓子。
[請求項3]
 前記混合物は、20℃において可塑性を有する、請求項2に記載の含水チョコレート様菓子。
[請求項4]
 前記混合物は、微結晶セルロース及びグリセロールの合計の含有量が0.5重量%以下である、請求項2又は3に記載の含水チョコレート様菓子。
[請求項5]
 前記混合物は、前記単糖及び二糖からなる群から選択される1種以上の糖の含有量が50重量%未満である、請求項2~4のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子。
[請求項6]
 水分含量が3~20重量%であり、水分活性が0.7以下であり、かつ水中油型に乳化されている混合物を含む、請求項1に記載の含水チョコレート様菓子。
[請求項7]
 前記混合物は、20℃において可塑性を有する、請求項6に記載の含水チョコレート様菓子。
[請求項8]
 前記混合物は、微結晶セルロース及びグリセロールの合計の含有量が0.5重量%以下である、請求項6又は7に記載の含水チョコレート様菓子。
[請求項9]
 前記混合物は、単糖及び二糖からなる群から選択される1種以上の糖の含有量が50重量%未満である、請求項6~8のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子。
[請求項10]
 前記混合物と、副原料とを組み合わせた、請求項1~9のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子。
[請求項11]
 油系原料と含水原料とを冷却しながら混合して混合物を得ることを含む、含水チョコレート様菓子の製造方法であって、
 前記混合物は、水分含量が20重量%以下であり、水分活性が0.7以下であり、かつ水中油型に乳化されている、前記製造方法。
[請求項12]
 カカオ由来成分を少なくとも含有するチョコレート原料と、含水原料とを、冷却しながら混練して、混合物を得る混合工程を有する、含水チョコレート様菓子の製造方法であって、
 前記チョコレート原料は油脂を含有し、
 前記チョコレート原料及び前記含水原料の少なくとも一方は、単糖及び二糖からなる群から選択される1種以上の糖を含有し、
 前記混合物は、水分含量が20重量%未満であり、水分活性が0.7以下であり、かつ水中油型に乳化されている、請求項11に記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
[請求項13]
 前記混合物は、20℃において可塑性を有する、請求項12に記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
[請求項14]
 前記混合物は、微結晶セルロース及びグリセロールの合計の含有量が0.5重量%以下である、請求項12又は13に記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
[請求項15]
 前記混合物は、前記単糖及び二糖からなる群から選択される1種以上の糖の含有量が50重量%未満である、請求項12~14のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
[請求項16]
 前記混合工程において、前記チョコレート原料と前記含水原料とを、-20℃~20℃の範囲に冷却した状態で混練する、請求項12~15のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
[請求項17]
 前記混合工程において、冷却によって前記チョコレート原料に含有される油脂を固化させた状態で、前記チョコレート原料と前記含水原料とを混練する、請求項12~16のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
[請求項18]
 前記混合工程において、前記チョコレート原料と前記含水原料とを冷却しながら混練する冷却混練部と、前記混合物を吐出する吐出口とを備えた冷却混合機を用いる、請求項12~17のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
[請求項19]
 前記冷却混合機は、冷却手段を備える、一軸又は複数軸のスクリューを有するエクストルーダーである、請求項18に記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
[請求項20]
 前記混合物単独で前記含水チョコレート様菓子を製造するか、又は、前記混合物を副原料と組み合わせて前記含水チョコレート様菓子を製造する、請求項12~19のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
[請求項21]
 粉体原料と水系原料とを混合してペーストを調製するペースト調製工程と、
 前記ペーストと油系原料とを冷却しながら混合して混合物を得る冷却混合工程と
 を含む、含水チョコレート様菓子の製造方法であって、
 前記混合物は、水分含量が3~20重量%であり、水分活性が0.7以下であり、かつ水中油型に乳化されている、請求項11に記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
[請求項22]
 前記ペースト調製工程において、前記粉体原料と前記水系原料とを加温しながら混合する、請求項21に記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
[請求項23]
 前記混合物を成形する成形工程をさらに含む、請求項21又は22に記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
[請求項24]
 前記混合物は、20℃において可塑性を有する、請求項21~23のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
[請求項25]
 前記混合物は、微結晶セルロース及びグリセロールの合計の含有量が0.5重量%以下である、請求項21~24のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
[請求項26]
 前記混合物は、単糖及び二糖からなる群から選択される1種以上の糖の含有量が50重量%未満である、請求項21~25のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
[請求項27]
 前記冷却混合工程において、冷却によって前記油系原料に含有される油脂を固化させた状態で、前記ペーストと前記油系原料とを混練する、請求項21~26のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
[請求項28]
 前記冷却混合工程において、前記ペーストと前記油系原料とを冷却しながら混練する冷却混練部と、前記混合物を吐出する吐出口とを備えた冷却混合手段を用いる、請求項21~27のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
[請求項29]
 前記冷却混合手段は、冷却手段を備える、一軸又は複数軸のスクリューを有するエクストルーダーである、請求項28に記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
[請求項30]
 前記混合物単独で前記含水チョコレート様菓子を製造するか、又は、前記混合物を副原料と組み合わせて前記含水チョコレート様菓子を製造する、請求項21~29のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法。
[請求項31]
 請求項11~30のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法によって得られた前記混合物を含む、含水チョコレート様菓子。
[請求項32]
 請求項12~20のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法によって得られた前記混合物を含む、含水チョコレート様菓子。
[請求項33]
 請求項21~30のいずれかに記載の含水チョコレート様菓子の製造方法によって得られた前記混合物を含む、含水チョコレート様菓子。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]