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1. WO2020111123 - 被覆工具およびそれを備えた切削工具

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明 細 書

発明の名称 被覆工具およびそれを備えた切削工具

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

0006  

図面の簡単な説明

0007  

発明を実施するための形態

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047  

実施例

0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062  

符号の説明

0063  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 被覆工具およびそれを備えた切削工具

技術分野

[0001]
 本開示は、基体の表面に被覆層を有する被覆工具およびそれを備えた切削工具に関する。

背景技術

[0002]
 超硬合金やサーメット、セラミックス等の基体表面に、TiN層、TiCN層やAl 23層を積層した被覆層を形成した切削工具等の被覆工具が知られている。
[0003]
 切削工具は、最近の切削加工の高能率化に伴って、大きな衝撃が切刃にかかる重断続切削等に用いられる機会が増えている。このような過酷な切削条件においては、被覆層に大きな衝撃がかかり、被覆層のチッピングや剥離が発生しやすくなる。そのため被覆層には、耐摩耗性に加えて耐欠損性の向上が求められている。
[0004]
 上記切削工具において、耐欠損性を向上させる技術として、特許文献1では、結合膜とAl 23層とを順に成膜し、結合膜にAl 23層側に延びる樹状突起と、樹状突起に連なる枝状突起を設けることで、結合膜とAl 23層の密着力を高め、被覆層の剥離を抑制することが開示されている。特許文献1の樹状突起は、Ti(CO)またはTi(CNO)であり、枝状突起は(TiAl)(CNO)であることが開示されており、樹状突起を形成した後に、一旦、原料ガスを流すのをやめ、温度を保持しながら、圧力、原料ガスの種類を変えて樹状突起と異なる組成の枝状突起を形成することが記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特許第5303732号公報

発明の概要

[0006]
 本開示の被覆工具は、基体と、該基体の上に位置する被覆層とを具備する。前記被覆層は、前記基体の近くに位置する、厚みが1μm以上の第1層と、該第1層に接するとともに、前記第1層よりも基体から遠い位置に位置する、複数のAl 23粒子を含む第2層とを有する。平均粒径が1.1~1.3μmの球形のAl 23粒子3質量%を純水に分散させた液体Aを衝突させることによって得られるエロージョン率において、前記第2層におけるエロージョン率A2と、前記第1層におけるエロージョン率A1との差(A2-A1)が、0.60~-0.30μm/gである。本開示の切削工具は、第1端から第2端に向かって延び、前記第1端側にポケットを有するホルダと、前記ポケットに位置する上述の被覆工具と、を備える。

図面の簡単な説明

[0007]
[図1] 本開示の被覆工具の一例を示す概略斜視図である。
[図2] 図1の被覆工具における被覆層の断面の構成を説明するための模式図である。
[図3] 本開示の切削工具の一例を示す平面図である。

発明を実施するための形態

[0008]
 <被覆工具>
 本開示の被覆工具は、図1に示す例においては、主面が概略四角形状の板状である。ただし、この形状に限定されるものではない。被覆工具1は、第1面2(以下、主面2と記載する。)と、第2面3とを有し、第1面2と第2面3とが交わる部分の少なくとも一部に切刃4を有している。第1面2は、すくい面と呼ばれる面であり、第2面3は逃げ面と呼ばれる面である。そのため、すくい面2と逃げ面3とが交わる部分の少なくとも一部に切刃4を有しているともいえるものである。
[0009]
 また、図2の被覆工具1における被覆層7の断面の構成を説明するための模式図に示すように、被覆工具1は、基体5と、この基体5の表面に位置する被覆層7を備えている。
[0010]
 被覆工具1の基体5を構成する材質は、硬質合金、セラミックスまたは金属が挙げられる。硬質合金としては、炭化タングステン(WC)と、コバルト(Co)やニッケル(Ni)等の鉄属金属を含有する超硬合金であってもよい。他の硬質合金として、炭窒化チタン(TiCN)と、コバルト(Co)やニッケル(Ni)等の鉄属金属を含有するTi基サーメットであってもよい。セラミックスが、Si 34、Al 23、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(cBN)であってもよい。金属としては、炭素鋼、高速度鋼、合金鋼であってもよい。上記材質の中でも、被覆工具1として用いる場合には、基体5は、超硬合金またはサーメットからなることが耐欠損性および耐摩耗性の点でよい。
[0011]
 被覆層7は、基体5の近くに位置する、厚みが1μm以上の第1層7aと、第1層7aに接するとともに、第1層7aよりも基体5から遠い位置に位置する、複数のAl 23粒子を含む第2層7bとを有する。
[0012]
 本開示の被覆工具1は、このような構成を有し、さらに純水100質量%に対して、平均粒径が1.1~1.3μmの球形のAl 23粒子3質量%を分散させた液体Aを衝突させることによって得られるエロージョン率において、第2層7bにおけるエロージョン率A2と第1層7aにおけるエロージョン率A1との差(A2-A1)が、0.60~-0.30μm/gである。
[0013]
 なお、エロージョン率とは、液体Aを検査体に衝突させることによって、除去された検査体の深さを評価したものである。したがって、このエロージョン率が小さいと検査体の耐摩耗性は高い。言い換えると、エロージョン率が小さい検査体は、摩耗しにくい。なお、エロージョン率の測定にあたっては、対象物の表面に対して略直角に液体Aが当たるようにして、98~102m/sの速度で液体を衝突させるとよい。
[0014]
 エロージョン率の測定には、株式会社パルメソ製のMSE試験機MSE-Al2O3を用いるとよい。
[0015]
 本開示の被覆工具1のように、被覆膜7が積層膜である場合には、基体5から遠い方に位置する第2層7bが先に摩耗により薄くなっていく。その摩耗は、均一に起こるのではなく、摩耗しやすい部分と摩耗しにくい部分とが存在する。摩耗しやすい部分で先に第2層7bが失われ、最初に第1層7aが露出する。その周りには第2層7bが残っている部分が存在する。言い換えると、第1層7aが露出した部分の周りに、第1層7aと第2層7bの界面が露出した状態で存在することになる。
[0016]
 この状態で、第1層7aと第2層7bのエロージョン率の差を本開示の範囲とすると、摩耗の状態が急激に変化することを抑制できるため、本開示の被覆工具1は、耐剥離性が高い。
[0017]
 なお、第1層7aと第2層7bとの間には、1.0μm以下の中間層(図示せず)が位置していてもよい。このように第1層7aとAl 23層7bとの間に中間層が存在している場合でも、中間層の厚みが1.0μm以下であれば、第1層7aの上において、第1層7aに接して位置する第2層7bを有するものとする。
[0018]
 なお、中間層が、第1中間層(図示しない)と第2中間層(図示しない)との積層体である場合であっても、その総厚みが1μm以下の場合には、本開示においては中間層と見なす。
[0019]
 エロージョン率A1は、エロージョン率A2よりも小さくてもよい。言い換えると、第1層7aが第2層7bよりも摩耗しにくくてもよい。このような構成を有すると、第1層が露出した後に、急激に第1層が摩耗することを抑制できる。
[0020]
 また、エロージョン率A2が1.0~1.5μm/gであり、エロージョン率A1が0.7~1.2μm/gであってもよい。このような構成を有すると、さらに耐剥離性が高い。
[0021]
 第1層7aは、例えば、複数のTiN粒子を含むTiN層や複数のTiC粒子を含むTiC層、複数のTiCN粒子を含むTiCN層、複数のTiCNO粒子を含むTiCNO層であってもよい。第2層7bは、例えば、複数のAl 23粒子を含むAl 23層や複数のZrO 2粒子を含むZrO 2層であってもよい。
[0022]
 これらのTiC層、TiC層、TiCN層、TiCNO層とは、それぞれ、TiN、TiC、TiCN、TiCNOを主成分として含有するものを意味する。主成分とは、それぞれの層に含まれる結晶のうち、50質量%以上含有するものをいう。この含有量は、例えば、X線回折を用いたリードベルト解析によって求めるとよい。
[0023]
 また、被覆層7は、第2層7bに接するとともに、第2層7bよりも基体5から遠い位置に位置する第3層7cを有していてもよい。第3層7cは、複数のTiN粒子を含むTiN層や複数のTiC粒子を含むTiC層、複数のTiCN粒子を含むTiCN層であってもよい。このような第3層7cを有すると、耐摩耗性、耐欠損性に優れ、摩擦が小さいことから、切削片をスムーズに排出することができる。また、第3層7cは、最表層であってもよい。
[0024]
 また、第3層におけるエロージョン率A3と第2層におけるエロージョン率A2との差(A3-A2)が0.0~2.0μm/gであってもよい。
[0025]
 また、基体5は、WCを主成分とする、いわゆる超硬合金であってもよい。また、cBNやダイヤモンドを主成分とする基体5を用いてもよい。
[0026]
 また、基体5と第1層7aとの間にさらにTiNからなる下地層(図示せず)を有していてもよい。下地層は、基体5が、Co、C(炭素)、W(タングステン)等の成分を含むとき、これらの成分が下地層の上に存在する層に拡散することを抑制する機能を有する。下地層は0.1μm~1.0μmの厚みとしてもよい。
[0027]
 また、第1層7aと第2層7bとの間には、さらに中間層としてTiCNおよびTiCNO層(図示せず)を有していてもよい。中間層は複数の中間層からなるものであってもよい。この中間層の厚みはそれぞれ1μm未満である。
[0028]
 なお、各層における構造や厚み、さらには各層を構成する結晶の形状等は、被覆工具1の断面における電子顕微鏡写真(走査型電子顕微鏡(SEM)写真または透過電子顕微鏡(TEM)写真)を観察することにより、測定することが可能である。
[0029]
 さらに、上記被覆工具1は、すくい面と逃げ面との交差部に形成された切刃を被切削物に当てて切削加工するものであり、上述した優れた効果を発揮することができる。また、本開示の被覆工具1は、切削工具以外にも、摺動部品や金型等の耐摩部品、掘削工具、刃物等の工具、耐衝撃部品等の各種の用途へ応用可能であり、この場合にも優れた機械的信頼性を有するものである。
[0030]
 次に、本開示の工具の製造方法について、一例を説明する。
[0031]
 まず、基体となる硬質合金を焼成によって形成しうる炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物等の無機物粉末に、金属粉末、カーボン粉末等を適宜添加、混合して、混合粉末を作製する。次に、この混合粉末を用いて、プレス成形、鋳込成形、押出成形、冷間静水圧プレス成形等の公知の成形方法によって所定の工具形状に成形する。この成形体を、真空中または非酸化性雰囲気中にて焼成することによって上述した基体を作製する。そして、基体の表面に、所望によって研磨加工や切刃部のホーニング加工を施す。
[0032]
 次に、その表面に化学気相蒸着(CVD)法によって被覆層を成膜する。
[0033]
 まず、基体をチャンバ内にセットし、下地層であるTiN層を成膜する。成膜温度を830℃、ガス圧を8kPaとし、反応ガスの組成が、四塩化チタン(TiCl 4)ガスを0.1~20体積%、窒素(N 2)ガスを20体積%、残りが水素(H 2)ガスとして成膜する。
[0034]
 次に、TiCN層である第1層を成膜する。成膜温度を830℃、ガス圧を9kPaとし、反応ガス組成として、体積%で四塩化チタン(TiCl 4)ガスを5.0~20体積%、窒素(N 2)ガスを10~90体積%、アセトニトリル(CH 3CN)ガスを0.3体積%~3.0体積%、残りが水素(H 2)ガスとして、成膜する。このとき、アセトニトリル(CH 3CN)ガスの含有比率を成膜初期よりも成膜後期で増すことによって、第1TiCN層を構成する炭窒化チタン柱状結晶の平均結晶幅を基体側よりも表面側の方が大きい構成とすることができる。第1層の厚みは、1μm以上である。第1層の厚みは、3~20μmとしてもよい。
[0035]
 次に、TiCN層である第1中間層を作製する。成膜温度を950℃、ガス圧を9kPa、反応ガスの組成が、四塩化チタン(TiCl 4)ガスを10~20体積%、メタン(CH 4)ガスを0.5~10体積%、窒素(N 2)ガスを10~70体積%、残りが水素(H 2)ガスとして成膜する。この第1中間層の厚みは1μm未満である。
[0036]
 次に、TiCNO層である第2中間層を成膜する。まず、成膜温度を950℃、ガス圧を9kPaとし、反応ガス組成が、四塩化チタン(TiCl 4)ガスを10~20体積%、メタン(CH 4)ガスを0.5~10体積%、窒素(N 2)ガスを10~20体積%、一酸化炭素(CO)ガスを0.1~3.0体積%、残りが水素(H 2)ガスとして成膜する。この第2中間層の厚みは1μm未満である。また、第1中間層と第2中間層の厚みの和は、1μm未満である。
[0037]
 Al 23層である第2層は、成膜温度を980℃~1100℃、ガス圧を5kPa~20kPaとし、反応ガスの組成が、三塩化アルミニウム(AlCl 3)ガスを5~20体積%、塩化水素(HCl)ガスを2~8体積%、二酸化炭素(CO 2)ガスを3~8体積%、硫化水素(H 2S)ガスを0.001~0.01体積%、アルゴン(Ar)残りが水素(H 2)ガスとして成膜する。第2層の厚みは、1~15μmとしてもよい。
[0038]
 そして、最表層であり、第3層であるTiN層を成膜する。成膜温度を1010℃、ガス圧を10kPaとし、反応ガス組成は、四塩化チタン(TiCl 4)ガスを0.06~5体積%、窒素(N 2)ガスを10~30体積%、残りが水素(H 2)ガスとして、成膜する。第3層の厚みは、0.1~2μmとしてもよい。
[0039]
 なお、上記の例では、第1中間層や第2中間層や第3層を設けた例を示したが、直接、基体の表面に、TiCN層である第1層と、Al 23層である第2層とを積層してもよい。
[0040]
 以上、本開示の被覆工具1について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行なってもよい。
[0041]
 <切削工具>
 次に、本開示の切削工具について図面を用いて説明する。
[0042]
 本開示の切削工具101は、図6に示すように、例えば、第1端(図6における上端)から第2端(図6における下端)に向かって延びる棒状体である。切削工具101は、図10に示すように、第1端側(先端側)にポケット103を有するホルダ105と、ポケット103に位置する上記の被覆工具1とを備えている。切削工具101は、被覆工具1を備えているため、長期に渡り安定した切削加工を行うことができる。
[0043]
 ポケット103は、被覆工具1が装着される部分であり、ホルダ105の下面に対して平行な着座面と、着座面に対して傾斜する拘束側面とを有している。また、ポケット103は、ホルダ105の第1端側において開口している。
[0044]
 ポケット103には被覆工具1が位置している。このとき、被覆工具1の下面がポケット103に直接に接していてもよく、また、被覆工具1とポケット103との間にシート(不図示)が挟まれていてもよい。
[0045]
 被覆工具1は、第1面3及び第2面5が交わる稜線における切刃7として用いられる部分の少なくとも一部がホルダ105から外方に突出するようにホルダ105に装着される。本実施形態においては、被覆工具1は、固定ネジ107によって、ホルダ105に装着されている。すなわち、被覆工具1の貫通孔17に固定ネジ107を挿入し、この固定ネジ107の先端をポケット103に形成されたネジ孔(不図示)に挿入してネジ部同士を螺合させることによって、被覆工具1がホルダ105に装着されている。
[0046]
 ホルダ105の材質としては、鋼、鋳鉄などを用いることができる。これらの部材の中で靱性の高い鋼を用いてもよい。
[0047]
 本実施形態においては、いわゆる旋削加工に用いられる切削工具101を例示している。旋削加工としては、例えば、内径加工、外径加工及び溝入れ加工などが挙げられる。なお、切削工具101としては旋削加工に用いられるものに限定されない。例えば、転削加工に用いられる切削工具に上記の実施形態の被覆工具1を用いてもよい。
実施例
[0048]
 まず、平均粒径1.2μmの金属コバルト粉末を6質量%、平均粒径2.0μmの炭化チタン粉末を0.5質量%、平均粒径2.0μmの炭化ニオブ粉末を5質量%、残部が平均粒径1.5μmのタングステンカーバイト粉末の割合で添加、混合し、プレス成形により工具形状(CNMG120408)に成形した。その後、脱バインダ処理を施し、1500℃、0.01Paの真空中において、1時間焼成して超硬合金からなる基体を作製した。その後、作製した基体にブラシ加工をし、切刃となる部分にRホーニングを施した。
[0049]
 次に、上記の超硬合金の基体に対して、化学気相蒸着(CVD)法により、表1に示す個別の成膜条件を、表2、表3に記載したとおりに組み合わせて被覆層を成膜して、被覆工具を作製した。ただし、第1層と第2層との間には、TiCNO層である第1中間層およびTiCN層である第2中間層を順に製膜した。第1中間層の厚みは、0.5μmであり、第2中間層の厚みは0.1μmであった。
[0050]
 表1において、T1~T4は、TiCN層の成膜条件である。また、A1~A5は、Al 23層の成膜条件である。S1~S3は、TiN層の成膜条件である。
[0051]
 表1において、各化合物は化学記号で表記した。第1層の厚みは、いずれも6μmである。第2層の厚みは、いずれも4μmである。第3層の厚みは0.5μmである。
[0052]
 表2に示す第1層は、いずれもTiCN層である。また、表2に示す第2層はいずれもAl 23層である。また、表3に示す第3層は、いずれもTiN層である。
[0053]
 表1において、各原料ガスは化学記号で表記し、各原料ガスの占める割合を体積%で示した。
[0054]
 なお、表に記載のない第1中間層は、成膜温度を950℃、ガス圧を9kPa、反応ガスの組成が、四塩化チタン(TiCl 4)ガスを15体積%、メタン(CH 4)ガスを5体積%、窒素(N 2)ガスを20体積%、残りが水素(H 2)ガスとして成膜した。
[0055]
 また、表に記載のない第2中間層層9は、まず、成膜温度を950℃、ガス圧を9kPaとし、反応ガス組成が、四塩化チタン(TiCl 4)ガスを15体積%、メタン(CH 4)ガスを5体積%、窒素(N 2)ガスを15体積%、一酸化炭素(CO)ガスを1.0体積%、残りが水素(H 2)ガスとして成膜した。
[0056]
 上記試料について、被覆層を含む断面について、SEM観察を行い、各層の厚みを測定した。次に、被覆層に対して直角の方向から、液体Aを100m/sの速さで衝突させ、各層のエロージョン率(μm/g)を測定した。
[0057]
 次に、得られた被覆工具を用いて、下記の条件において、断続切削試験を行い、摩耗寿命を評価した。試験結果は表2、3に示す。
<断続切削条件>
被削材 :ダクタイル鋳鉄 4本溝入りスリーブ材(FCD700)
工具形状:CNMG120412
切削速度:200m/分
送り速度:0.3mm/rev
切り込み:1.5mm
その他 :水溶性切削液使用
評価項目:剥離の発生または突発欠損によって刃先が脱落した時の切削時間。
[0058]
[表1]


[0059]
[表2]


[0060]
[表3]


[0061]
 表2に示す通り、本開示の被覆工具である試料No.4、9、10は、剥離の発生が抑制され、寿命が長かった。
[0062]
 また、表3に示す通り、第2層におけるエロージョン率A2と、第3層におけるエロージョン率A3との差(A3-A2)が0.0~2.0μm/gである試料No.26、28は、さらに寿命が長かった。

符号の説明

[0063]
1   被覆工具
2   すくい面
3   逃げ面
4   切刃
5   基体
7   被覆層
7a  第1層
7b  第2層
7c  第3層
101 切削工具
103 ポケット
105 ホルダ
107 固定ネジ

請求の範囲

[請求項1]
 基体と、該基体の上に位置する被覆層とを具備してなり、
 前記被覆層は、前記基体の近くに位置する、厚みが1μm以上の第1層と、該第1層に接するとともに、前記第1層よりも基体から遠い位置に位置する、複数のAl 23粒子を含む第2層とを有し、
 平均粒径が1.1~1.3μmの球形のAl 23粒子3質量%を純水に分散させた液体Aを衝突させることによって得られるエロージョン率において、
 前記第2層におけるエロージョン率A2と、前記第1層におけるエロージョン率A1との差(A2-A1)が、0.60~-0.30μm/gである、被覆工具。
[請求項2]
 前記エロージョン率A1は、前記エロージョン率A2よりも小さい、請求項1に記載の被覆工具。
[請求項3]
 前記エロージョン率A2が1.0~1.5μm/gであり、前記エロージョン率A1が0.7~1.2μm/gである、請求項1または2に記載の被覆工具。
[請求項4]
 前記第1層は、複数のTiN粒子、複数のTiC粒子、複数のTiCN粒子のいずれかを含む、請求項1~3のいずれかに記載の被覆工具。
[請求項5]
 前記被覆層は、前記第2層に接するとともに、該第2層よりも前記基体から遠い位置に位置する第3層を有し、
  前記第3層におけるエロージョン率A3と、前記第2層におけるエロージョン率A2との差(A3-A2)が0.0~2.0μm/gである、請求項1~4のいずれかに記載の被覆工具。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]