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1. WO2020110958 - 環状オレフィン系共重合体組成物、ワニス、及び、架橋体

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明 細 書

発明の名称 環状オレフィン系共重合体組成物、ワニス、及び、架橋体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010  

発明の効果

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114  

実施例

0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

明 細 書

発明の名称 : 環状オレフィン系共重合体組成物、ワニス、及び、架橋体

技術分野

[0001]
 本発明は、環状オレフィン系共重合体組成物、ワニス、及び、架橋体に関する。

背景技術

[0002]
 昨今、高周波帯域を使用する無線通信機器等の増加に加え、通信速度の高速化によって、必然的に高い帯域の周波数帯が用いられることが多くなってきた。これに伴い、高周波における伝送ロスを極限まで軽減するために絶縁性が高く誘電正接が小さい回路基板用材料が求められている。
[0003]
 このような回路基板に用いる樹脂材料としては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されたジエンを共重合させた環状オレフィン共重合体が挙げられる。
[0004]
 特許文献1および特許文献2には、特定のジエン化合物を共重合した環状オレフィン共重合体を有機過酸化物等で架橋することにより得られるシートが優れた誘電特性を示すことが開示されている。
 さらに、特許文献3には、特定のジエン化合物を共重合した環状オレフィン共重合体と種々の樹脂を含む樹脂組成物が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2010-100843号公報
特許文献2 : 国際公開第2012/046443号
特許文献3 : 特開2015-067822号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 本発明者らの検討によれば、特許文献1~3に記載の環状オレフィン共重合体から得られる架橋体を回路基板用材料として使用するには、均一性および誘電特性を維持しながら、さらに耐熱性および機械的強度を向上させる必要があることが明らかになった。
[0007]
 本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、回路基板用材料として、高集積化演算装置に向けた回路基板用の層間絶縁フィルム(回路基板中では層間絶縁層とも呼ぶ。)および回路基板等に好適な高周波領域での誘電特性、耐熱性および機械的特性に優れた架橋体を得ることが可能な樹脂組成物を提供するものである。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、回路基板等に好適な高周波領域での誘電特性を満足しながら、耐熱性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
[0009]
 すなわち、本発明によれば、以下に示す環状オレフィン系共重合体組成物、ワニス、および、架橋体が提供される。
[0010]
[1]
 環状オレフィン系共重合体(M)と、マレイミド化合物(L)とを含む環状オレフィン系共重合体樹脂組成物であって、
 上記環状オレフィン系共重合体(M)は、
 下記一般式(I)で表される1種以上のオレフィン由来の繰り返し単位と、
 下記一般式(III)で表される1種以上の環状非共役ジエン由来の繰り返し単位と、
 下記一般式(V)で表される1種以上の環状オレフィン由来の繰り返し単位と、を含む環状オレフィン系共重合体(m)を含み、
 上記マレイミド化合物(L)は、
 Fedors法で求めた溶解度パラメータ(SP値)が19J 1/2/cm 3/2以上、26J 1/2/cm 3/2以下であり、
 分子内に少なくとも2つのマレイミド基を有するビスマレイミド化合物であるマレイミド化合物(l)を含み、
 上記環状オレフィン系共重合体(M)と上記マレイミド化合物(L)の合計を100質量部とした場合に、上記マレイミド化合物(L)の含有量が1質量部以上50質量部以下である環状オレフィン系共重合体樹脂組成物。
[化1]


〔上記一般式(I)において、R 300は水素原子または炭素原子数1~29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。〕
[化2]


〔上記一般式(III)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R 61~R 76ならびにR a1およびR b1は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基または炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、R 104は水素原子または炭素原子数1~10のアルキル基であり、tは0~10の正の整数であり、R 75およびR 76は互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕
[化3]


〔上記一般式(V)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R 61~R 78ならびにR a1およびR b1は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基または炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、R 75~R 78は互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕
[2]
 上記環状オレフィン系共重合体(m)中の繰り返し単位の合計モル数を100モル%とした場合に、上記環状非共役ジエン由来の繰り返し単位の含有量が19モル%以上40モル%以下の範囲である[1]に記載の環状オレフィン系共重合体樹脂組成物。
[3]
 上記環状オレフィン系共重合体(m)において、上記環状非共役ジエン由来の繰り返し単位を構成する環状非共役ジエンが5-ビニル-2-ノルボルネンを含み、上記環状オレフィン由来の繰り返し単位を構成する環状オレフィンがテトラシクロ[4.4.0.1 2,5.1 7,10]-3-ドデセンを含む[1]又は[2]に記載の環状オレフィン系共重合体樹脂組成物。
[4]
 上記マレイミド化合物(l)の分子量が300以上、1000以下である[1]乃至[3]に記載の環状オレフィン系共重合体樹脂組成物。
[5]
 上記環状オレフィン系共重合体(m)と上記マレイミド化合物(l)とを相溶化させる相溶化剤(C)をさらに含有する[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の環状オレフィン系共重合体樹脂組成物。
[6]
 [5]に記載の環状オレフィン系共重合体樹脂組成物において、
 上記相溶化剤(C)の含有量が、上記環状オレフィン系共重合体(m)と上記マレイミド化合物(l)の合計を100質量部としたとき、0.1質量部以上10質量部以下である環状オレフィン系共重合体樹脂組成物。
[7]
 [1]乃至[6]のいずれか一つに記載の環状オレフィン系共重合体組成物と、溶媒と、を含有するワニス。
[8]
 上記溶媒は、少なくとも1種の非極性溶媒(X)と、少なくとも1種の極性溶媒(Y)を含む混合溶媒からなる[7]に記載のワニス。
[9]
 上記非極性溶媒(X)がトルエンおよびキシレン、シクロヘキサン、デカリンから選択される少なくとも一種を含み、上記極性溶媒(Y)がメチルイソブチルケトンおよびメチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノンから選択される少なくとも一種を含み、
上記非極性溶媒(X)と上記極性溶媒(Y)との合計量を100質量%としたとき、
 上記非極性溶媒(X)の含有量が70質量%以上95質量%以下であり、
 上記極性溶媒(Y)の含有量が5質量%以上30質量%以下である[8]に記載のワニス。
[10]
 [1]乃至[6]のいずれか一つに記載の環状オレフィン系共重合体組成物を架橋して得られる架橋体。
[11]
 [10]に記載の架橋体を含むフィルムまたはシート。
[12]
 [10]に記載の架橋体を含む積層体。
[13]
 [10]に記載の架橋体を含む電気絶縁層と、前記電気絶縁層上に設けられた導体層とを含む回路基板。
[14]
 [13]に記載の回路基板を備えた電子機器。
[15]
 [1]乃至[6]のいずれか一つに記載の環状オレフィン系共重合体組成物と、シート状繊維基材と、を含むプリプレグ。

発明の効果

[0011]
 本発明によれば、回路基板等に好適な高周波領域での誘電特性および均一性を維持しながら、さらに耐熱性および機械的強度に優れた架橋体を得ることができる環状オレフィン系共重合体組成物を提供することができる。

発明を実施するための形態

[0012]
 以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。なお、本実施形態では、数値範囲を示す「A~B」はとくに断りがなければ、A以上B以下を表す。
[0013]
 まず、本発明に係る実施形態の環状オレフィン系重合体組成物について説明する。本実施形態に係る環状オレフィン系重合体組成物は、環状オレフィン系共重合体(M)と、マレイミド化合物(L)とを含む。
 上記環状オレフィン系共重合体(M)は、
 下記一般式(I)で表される1種以上のオレフィン由来の繰り返し単位と、
 下記一般式(III)で表される1種以上の環状非共役ジエン由来の繰り返し単位と、
 下記一般式(V)で表される1種以上の環状オレフィン由来の繰り返し単位と、を含む環状オレフィン系共重合体(m)を含み、
 上記マレイミド化合物(L)は、
 Fedors法で求めた溶解度パラメータ(SP値)が19J 1/2/cm 3/2以上、26J 1/2/cm 3/2以下であり、
 分子内に少なくとも2つのマレイミド基を有するビスマレイミド化合物であるマレイミド化合物(l)を含む。
[0014]
 また、本実施形態に係る環状オレフィン系重合体組成物に含まれる環状オレフィン系共重合体(M)とマレイミド化合物(L)との合計量を100質量部としたとき、マレイミド化合物(L)の含有量は、1質量部以上50質量部以下であり、好ましくは1質量部以上40質量部以下、より好ましくは1質量部以上30質量部以下、さらに好ましくは1質量部以上25質量部以下である。
[0015]
 本実施形態に係る環状オレフィン系重合体組成物によれば、環状オレフィン系共重合体(M)として上記態様の環状オレフィン系共重合体(m)を含み、マレイミド化合物(L)として上記態様のマレイミド化合物(l)を含み、かつ、環状オレフィン系共重合体(M)とマレイミド化合物(L)の配合量を上記数値範囲内とすることによって、環状オレフィン系共重合体(M)と、マレイミド化合物(L)との相溶性を維持しながら、架橋体の誘電特性の低下を防ぎ、さらに耐熱性および機械的強度に優れた架橋体を得ることができる環状オレフィン系共重合体組成物とすることができる。
[0016]
[環状オレフィン系共重合体(M)]
 まず、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(M)について説明する。上記したように本実施形態に係る上記環状オレフィン系共重合体(M)は、環状オレフィン系共重合体(m)を含む。また、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物は環状オレフィン系共重合体(m)とは異なる環状オレフィン系重合体(n)をさらに含有することもできる。
 以下、まず、本発明に係る実施形態の環状オレフィン系共重合体(m)について説明する。
[0017]
[環状オレフィン系共重合体(m)]
 本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(m)は、
 下記一般式(I)で表される1種以上のオレフィン由来の繰り返し単位と、
 下記一般式(III)で表される1種以上の環状非共役ジエン由来の繰り返し単位と、
 下記一般式(V)で表される1種以上の環状オレフィン由来の繰り返し単位と、を含む架橋性基を有する環状オレフィン系共重合体である。
[0018]
 そして、上記環状オレフィン系共重合体(m)中の繰り返し単位の合計モル数を100モル%とした場合に、上記環状非共役ジエン由来の繰り返し単位の含有量が19モル%以上40モル%以下であることが好ましく、好ましくは20モル%以上39モル%以下、より好ましくは23モル%以上38モル%以下である。
 環状非共役ジエン由来の繰り返し単位の含有量が上記範囲内であると、環状オレフィン系共重合体(m)から得られる架橋体(Q)は、誘電特性の経時的安定性に優れるとともに耐熱性にも優れる。さらに、機械特性、誘電特性、透明性およびガスバリア性にも優れた架橋体(Q)を得ることができる。言い換えればこれらの物性のバランスに優れた架橋体を得ることができる。
 環状非共役ジエン由来の繰り返し単位の含有量が上記上限値以下であると、環状オレフィン系共重合体(m)の成形性や溶解性が向上し、架橋体(Q)の誘電特性の経時的安定性が向上する。環状非共役ジエン由来の繰り返し単位の含有量が上記下限値以上であると、環状オレフィン系共重合体(m)を架橋することによって得られる架橋体(Q)の耐熱性および機械的特性が向上する。
[0019]
 また、環状オレフィン系共重合体(m)の数平均分子量Mnは3,000以上、好ましくは4,500以上、より好ましくは6,000以上である。環状オレフィン系共重合体(m)の数平均分子量Mnが上記下限値以上であると、環状オレフィン系共重合体(m)または本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物を架橋することによって得られる架橋体(Q)の誘電特性や耐熱性、機械的特性を良好にすることができる。
 また、環状オレフィン系共重合体(m)の数平均分子量Mnは30,000以下、好ましくは25,000以下、より好ましくは20,000以下である。環状オレフィン系共重合体(m)の数平均分子量Mnが上記上限値以下であると、環状オレフィン系共重合体(m)または本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物の回路基板作製時の繊維基材への含浸性や配線埋め込み性等の成形性を良好にすることができる。
 環状オレフィン系共重合体(m)の数平均分子量Mnは、重合触媒、助触媒、H 添加量、重合温度等の重合条件により制御することが可能である。
[0020]
 ここで、環状オレフィン系共重合体(m)の数平均分子量Mnが上記範囲内であると、環状オレフィン系共重合体(m)が有する優れた誘電特性を有しながら、流動性、機械特性及び回路基板作製時の繊維基材への含浸性や配線埋め込み性等の成形性を良好にすることができる。
 ここで、従来の環状オレフィン共重合体では、数平均分子量が上記のような範囲内であると、比較的低分子量となるので、得られる架橋体の耐熱性や、誘電特性、機械特性等が低下する傾向にある。しかし、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(m)は数平均分子量Mnが上記範囲内であっても、繊維基材への含浸性が良好で、また無機フィラー、難燃剤等の添加剤との混合性が向上するため、機械強度の低下を抑制することができる。
[0021]
 本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(m)において、環状オレフィン系共重合体(m)中の繰り返し単位の合計モル数を100モル%とした場合に、環状非共役ジエン由来の繰り返し単位の含有量と環状オレフィン由来の繰り返し単位の含有量の合計は、好ましくは60モル%未満の範囲であり、より好ましくは50モル%未満の範囲であり、さらに好ましくは48モル%未満の範囲である。
 環状非共役ジエン由来の繰り返し単位の含有量と環状オレフィン由来の繰り返し単位の含有量の合計の下限は特に限定されないが、例えば20モル%以上、好ましくは26モル%以上である。
[0022]
[化4]


[0023]
 上記一般式(I)において、R 300は水素原子または炭素原子数1~29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。
[0024]
[化5]


[0025]
 上記一般式(III)中、uは0または1であり、vは0または正の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、wは0または1であり、R 61~R 76ならびにR a1およびR b1は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基または炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、R 104は水素原子または炭素原子数1~10のアルキル基であり、tは0~10の正の整数であり、R 75およびR 76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
[0026]
[化6]


[0027]
 上記一般式(V)中、uは0または1であり、vは0または正の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、wは0または1であり、R 61~R 78ならびにR a1およびR b1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基または炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、R 75~R 78は互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
[0028]
 環状オレフィン系共重合体(m)において、環状オレフィン系共重合体(m)中の繰り返し単位の合計モル数を100モル%とした場合に、オレフィン由来の繰り返し単位の含有量が好ましくは20モル%以上80モル%以下、より好ましくは30モル%以上75モル%以下、さらに好ましくは40モル%以上70モル%以下、特に好ましくは50モル%以上70モル%以下であり、環状非共役ジエン由来の繰り返し単位の含有量が19モル%以上40モル%以下、好ましくは20モル%以上39モル%以下、より好ましくは23モル%以上38モル%以下であり、環状オレフィン由来の繰り返し単位の含有量が好ましくは1モル%以上30モル%以下、より好ましくは2モル%以上25モル%以下、さらに好ましくは3モル%以上20モル%以下である。
 環状オレフィン系共重合体(m)中の繰り返し単位の各含有量が上記範囲内であると、環状オレフィン系共重合体(m)から得られる架橋体(Q)は、誘電特性の経時的安定性に優れるとともに耐熱性にも優れる。さらに、機械特性、誘電特性、透明性およびガスバリア性にも優れた架橋体(Q)を得ることができる。言い換えればこれらの物性のバランスに優れた架橋体(Q)を得ることができる。
[0029]
 環状オレフィン系共重合体(m)の共重合原料の一つであるオレフィンモノマーは、付加共重合して上記式(I)で表される骨格を与えるモノマーであり、下記一般式(Ia)で表されるオレフィンである。
[0030]
[化7]


[0031]
 上記一般式(Ia)中、R 300は水素原子または炭素原子数1~29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。一般式(Ia)で表されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等が挙げられる。より優れた耐熱性、機械的特性、誘電特性、透明性およびガスバリア性を有する架橋体(Q)を得る観点から、これらの中でも、エチレンとプロピレンが好ましく、エチレンが特に好ましい。上記式(Ia)で表されるオレフィンモノマーは二種類以上を用いてもよい。
[0032]
 環状オレフィン系共重合体(m)の共重合原料の一つである環状非共役ジエン単量体は付加共重合して上記式(III)で表される構成単位を形成するものである。具体的には、上記一般式(III)に対応する下記一般式(IIIa)で表される環状非共役ジエンが用いられる。
[0033]
[化8]


[0034]
 上記一般式(IIIa)中、uは0または1であり、vは0または正の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、wは0または1であり、R 61~R 76ならびにR a1およびR b1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基または炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、R 104は水素原子または炭素原子数1~10のアルキル基であり、tは0~10の正の整数であり、R 75およびR 76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
[0035]
 上記一般式(IIIa)で表される環状非共役ジエンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、下記化学式で表される環状非共役ジエンを挙げることができる。これらのうち5-ビニル-2-ノルボルネン、8-ビニル-9-メチルテトラシクロ[4.4.0.1 2,5.1 7,10]-3-ドデセンが好ましく、5-ビニル-2-ノルボルネンが特に好ましい。
[0036]
[化9]


[0037]
[化10]


[0038]
 上記一般式(IIIa)で表される環状非共役ジエンは、具体的には以下の一般式(IIIb)で表すこともできる。
[0039]
[化11]


[0040]
 一般式(IIIb)中のnは0~10の整数であり、R は水素原子または炭素原子数1~10のアルキル基であり、R は水素原子または炭素原子数1~5のアルキル基である。
[0041]
 本実施形態の環状オレフィン系共重合体(m)には、一般式(III)で表される環状非共役ジエン由来の構成単位が含まれることにより、側鎖部分、すなわち共重合の主鎖以外の部分に二重結合を有することが特徴である。
[0042]
 環状オレフィン系共重合体(m)の共重合原料の一つである環状オレフィンモノマーは付加共重合して上記式(V)で表される構成単位を形成するものである。具体的には、上記一般式(V)に対応する下記一般式(Va)で表される環状オレフィンモノマーが用いられる。
[0043]
[化12]


[0044]
 上記一般式(Va)中、uは0または1であり、vは0または正の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、wは0または1であり、R 61~R 78ならびにR a1およびR b1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基、または炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、R 75~R 78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
[0045]
 上記一般式(Va)で表される環状オレフィンの具体例については国際公開第2006/118261号に記載の化合物を用いることができる。
 上記一般式(Va)で表される環状オレフィンとしては、ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン(ノルボルネンとも呼ぶ。)、テトラシクロ[4.4.0.1 2,5.1 7,10]-3-ドデセン(テトラシクロドデセンとも呼ぶ。)が好ましく、テトラシクロ[4.4.0.1 2,5.1 7,10]-3-ドデセンがより好ましい。これらの環状オレフィンは剛直な環構造を有するため共重合体および架橋体の弾性率が保持され易く、また異種二重結合構造を含まないため架橋の制御をし易くなる利点がある。
[0046]
 共重合成分として、前述した一般式(Ia)で表されるオレフィンモノマー、一般式(Va)で表される環状オレフィンを用いることにより、環状オレフィン系共重合体(m)の溶媒への溶解性がより向上するため成形性が良好となり、製品の歩留まりが向上する。
[0047]
 環状オレフィン系共重合体(m)は、一般式(I)で表される1種以上のオレフィン由来の繰り返し単位、一般式(III)で表される環状非共役ジエン由来の繰り返し単位、および、一般式(V)で表される1種以上の環状オレフィン由来の繰り返し単位に加えて、一般式(III)で表される環状非共役ジエンおよび一般式(V)で表される環状オレフィン以外の環状オレフィン、および/または鎖状ポリエン由来の繰り返し単位とから構成されていてもよい。
 この場合、環状オレフィン系共重合体(m)の共重合原料として、一般式(Ia)で表されるオレフィンモノマー、一般式(IIIa)で表される環状非共役ジエンモノマー、一般式(Va)で表される環状オレフィンモノマーに加えて、一般式(IIIa)で表される環状非共役ジエンモノマーおよび一般式(Va)で表される環状オレフィンモノマー以外の環状オレフィンモノマー、および/または鎖状ポリエンモノマーを用いることができる。
 このような環状オレフィンモノマーおよび鎖状ポリエンモノマーとしては下記一般式(VIa)または(VIIa)で表される環状オレフィン、または下記一般式(VIIIa)で表される鎖状ポリエンである。これらの環状オレフィンや鎖状ポリエンは異なる二種以上を用いてもよい。
[0048]
[化13]


[0049]
 一般式(VIa)中、xおよびdは0または1以上の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、yおよびzは0、1または2であり、R 81~R 99は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基もしくは炭素原子数3~15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R 89およびR 90が結合している炭素原子と、R 93が結合している炭素原子またはR 91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R 95とR 92またはR 95とR 99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
[0050]
[化14]


[0051]
 一般式(VIIa)中、R 100およびR 101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1~5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18である。
[0052]
[化15]


[0053]
 一般式(VIIIa)中、R 201からR 206は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1~20の炭化水素基であり、Pは炭素原子数1~20の直鎖または分岐状の炭化水素基で、二重結合および/または三重結合を含んでいてもよい。
[0054]
 一般式(VIa)および一般式(VIIa)で表される環状オレフィンの具体例については国際公開第2006/118261号の段落0037~0063に記載の化合物を用いることができる。
[0055]
 一般式(VIIIa)で表される鎖状ポリエンとして、具体的には、1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4,5-ジメチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、DMDT、1,3-ブタジエン,1,5-ヘキサジエン等が挙げられる。また1,3-ブタジエン、1,5-ヘキサジエン等のポリエンから環化した環化性のポリエンを用いてもよい。
[0056]
 環状オレフィン系共重合体(m)が、上記一般式(VIIIa)で表される鎖状ポリエン由来の構成単位、あるいは一般式(III)で表される環状非共役ジエンおよび一般式(V)で表される環状オレフィン以外の環状オレフィン〔例えば、一般式(VIa)、一般式(VIIa)〕に由来する構成単位を含む場合は、該構成単位の含有量は、上記一般式(I)で表される1種以上のオレフィン由来の繰り返し単位、上記一般式(III)で表される1種以上の環状非共役ジエン由来の繰り返し単位、上記一般式(V)で表される1種以上の環状オレフィン由来の繰り返し単位の合計モル数に対して、通常0.1~100mol%、好ましくは0.1~50mol%である。
[0057]
 共重合成分として、前述した一般式(I)で表されるオレフィンモノマー、一般式(VIa)または(VIIa)で表される環状オレフィンおよび一般式(VIIIa)で表される鎖状ポリエンを用いることにより、本実施形態に係る効果が得られるとともに、環状オレフィン系共重合体の溶媒への溶解性がより向上するため成形性が良好となり、製品の歩留まりが向上する。これらのうちでも一般式(VIa)または(VIIa)で表される環状オレフィンが好ましい。これらの環状オレフィンは剛直な環構造を有するため共重合体および架橋体の弾性率が保持され易く、また異種二重結合構造を含まないため架橋の制御をし易くなる利点がある。
[0058]
 環状オレフィン系共重合体(m)は目的とする用途に応じて、モノマーの仕込み比により、そのコモノマー含有量、およびガラス転移点(Tg)をコントロールできる。環状オレフィン系共重合体(m)のTgは、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、さらに好ましくは200℃以下、さらにより好ましくは170℃以下、とりわけ好ましくは150℃以下である。Tgが上記上限値以下であると、環状オレフィン系共重合体(m)の溶融成形性およびワニス化するときの溶媒への溶解性が向上する。
[0059]
[環状オレフィン系共重合体(m)の製造方法]
 本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(m)は、例えば、国際公開第2012/046443号の段落0075~0219に記載の環状オレフィン系共重合体の製造方法にしたがって製造することができる。ここでは詳細は省略する。
[0060]
(環状オレフィン系重合体(n))
 本実施形態に係る環状オレフィン系重合体(n)は、例えば、国際公開第2017/150218号の段落0054~0081に記載の環状オレフィン系共重合体と同様のものを使用することができる。ここでは詳細は省略する。
[0061]
 [マレイミド化合物(L)]
 次に、本実施形態に係るマレイミド化合物(L)について説明する。
 本発明におけるマレイミド化合物(L)は、無水マレイン酸と各種アミン化合物から得られるものである。
 本実施形態に係るマレイミド化合物(L)は、Fedors法で求めた溶解度パラメータ(SP値)が19J 1/2/cm 3/2以上、26J 1/2/cm 3/2以下であり、分子内に少なくとも2つのマレイミド基を有するビスマレイミド化合物であるマレイミド化合物(l)を含む。
 上記態様のマレイミド化合物(l)を含むことにより、環状オレフィン系重合体組成物は、環状オレフィン系重合体と、マレイミド化合物とを含みつつ、配合成分が十分に溶解した組成物とすることができ、かつ、環状オレフィン系重合体組成物は、環状オレフィン系重合体組成物を架橋して得られる架橋体において、回路基板等に好適な高周波領域での誘電特性に誘電特性を満足しながら、耐熱性と機械的強度を向上させることが可能となる。
[0062]
 本実施形態に係るマレイミド化合物(L)は、マレイミド化合物(l)以外のマレイミド化合物を含むこともできる。本実施形態に係る環状オレフィン系重合体組成物に含まれるマレイミド化合物(l)と、マレイミド化合物(l)以外のマレイミド化合物の合計量を100質量%としたとき、マレイミド化合物(l)の含有量は、例えば10質量%以上、100質量%以下とすることができ、好ましくは30質量%以上、100質量%以下、より好ましくは50質量%以上100質量%以下とすることができる。また、本実施形態に係る環状オレフィン系重合体組成物に含まれるマレイミド化合物(l)と、マレイミド化合物(l)以外のマレイミド化合物の合計量を100質量%としたとき、マレイミド化合物(l)の含有量を100質量%とし、マレイミド化合物(l)以外のマレイミド化合物を含まない態様とすることもできる。
[0063]
[マレイミド化合物(l)]
 マレイミド化合物(l)の具体例としてはビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド(大和化成工業(株)製BMI-4000)、3,3'―ジメチルー5,5'―ジエチルー4,4'―ジフェニルメタンビスマレイミド(大和化成工業社製BMI-5100)、1,6'-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン(大和化成工業(株)製BMI-TMH)、BMI689(Designer Molecules Inc.製)等が挙げられる。この中でも、特に3,3'―ジメチルー5,5'―ジエチルー4,4'―ジフェニルメタンビスマレイミドが好ましい。マレイミド化合物(l)は、2種以上を併用してもよい。
 本実施形態に係るマレイミド化合物(l)として、例えば、マレイミド樹脂と、マレイミド化合物(l)およびシアン酸エステル化合物を反応させて得られるトリアジン樹脂との混合物(ビスマレイミドトリアジン樹脂とも呼ぶ。)を用いた場合、得られる環状オレフィン系重合体組成物は、ワニス化したときの安定性が悪い。そのためマレイミド化合物(l)として、ビスマレイミドトリアジン樹脂は好ましくない。
[0064]
 本実施形態に係る組成物の成分であるマレイミド化合物(l)は、Fedors法による溶解性パラメーター(SP値)が19.0J 1/2/cm 3/2以上、26.0J 1/2/cm 3/2以下である。溶解性パラメーター(SP値)は、19.0J 1/2/cm 3/2以上であり、19.5J 1/2/cm 3/2以上であることが好ましく、20.0J 1/2/cm 3/2以上が特に好ましい。また、溶解性パラメーター(SP値)は、26.0J 1/2/cm 3/2以下であり、25.5J 1/2/cm 3/2以上が好ましく、25.0J 1/2/cm 3/2以下がより好ましい。
[0065]
 SP値を上記数値範囲内とすることで、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物のおける各成分の相容性をより良好に保つことができる。
 なお、溶解性パラメーターSP値は、Fedors法(Robert F.Fedors、Polymer Engineering and Science、14、147-154(1974))により算出される値で、下記式(1)を用いて算出することができる。
 式(1) δ=(E/V) 1/2(1)
 式(1)中、δは溶解性パラメーター(SP値)、Eは凝集エネルギー(J/mol)、Vはモル体積(cm /mol)を表す。
 なお、マレイミド化合物(l)の溶解性パラメーター(SP値)は、各構造単位の凝集エネルギーE(J/mol)及びモル体積V(cm /mol)の文献値(例えば、D.W.VanKREVELEN、PROPERITES OF POLYMERS)を元に、算出することが可能である。
[0066]
 本実施形態に係るマレイミド化合物(l)は、その分子量が、300以上、1000以下であることが好ましく、300以上、900以下であることがより好ましく、300以上、700以下であることが特に好ましい。
 マレイミド化合物(l)の分子量を上記数値範囲内とすることにより、誘電特性を維持しながら、さらに耐熱性および機械的強度に優れた架橋体を得ることができる環状オレフィン系共重合体組成物となる。
[0067]
 以下、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体樹脂組成物が含み得るその他の成分について説明する。
[0068]
[相溶化剤]
 本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物は、上記環状オレフィン系共重合体(M)と上記マレイミド化合物(L)とを相溶化させる相溶化剤(C)をさらに含有することが好ましい。本実施形態において、相溶化剤(C)は環状オレフィン系共重合体(M)とマレイミド化合物(L)を相溶化させる化合物であり、特に、環状オレフィン系共重合体(m)とマレイミド化合物(l)を相溶化させる化合物である。例えば、変性ポリオレフィン、分子内に極性基と、重合反応に寄与することのできる不飽和炭素結合とを備えた化合物などが挙げられる。相溶化剤(C)を含むことにより、本実施形態に係る環状オレフィン系重合体組成物は、環状オレフィン系重合体と、マレイミド化合物とを含みつつ、配合成分が十分に溶解した組成物とすることができる。
[0069]
 変性ポリオレフィンとしては、極性基を有する単量体をグラフトまたはグラフト重合させたポリオレフィン、オレフィンと極性基を有する単量体との共重合体等が挙げられる。
 これらの中でも極性基を有する単量体をグラフトさせたポリオレフィンが好ましい。ここで、「グラフト」とは、主鎖である幹ポリマーに、極性基を有する化合物を導入することをいう。「グラフト重合させた」とは、主鎖である幹ポリマーに、主鎖とは異なる重合体からなる枝ポリマーを導入することをいう。
[0070]
 極性基としては、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、ニトリル基、ニトロ基、アルデヒド基、アミド基、エステル基などが挙げられる。これらは単独または2種以上の組み合わせで用いられる。これらの中でも、得られる硬化物の機械的強度をより一層向上できる観点から、カルボキシル基が好ましい。
[0071]
 このような極性基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピリジン、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイミド、アリルアルコール、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、オキサゾリン等が挙げられる。上記化合物は、単独または2種以上の組み合わせで用いることができる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましい。
[0072]
 また、ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α-オレフィン共重合体、スチレン・ブタジエンブロック共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体、ポリ-4-メチルペンテン、ポリブテン、などのポリオレフィン類またはオリゴマー類、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム(アクリロニトリル‐ブタジエン共重合体)、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ポリウレタンエラストマー、シリコーンゴム、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、クロロスルフィン化ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、塩素化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴム、ニトリルイソプレンゴム等の合成ゴム、ポリエステルエラストマー、ウレタンエラストマー等のエラストマー、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体等が挙げられる。これらの単独または2種以上の組み合わせで用いることができる。
[0073]
 このような極性基を有する単量体をグラフトさせたポリオレフィンとしては、例えば、無水マレイン酸をグラフトしたスチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加物等のマレイン酸変性ポリオレフィン、極性基を有する単量体をグラフトしたプロピレン・1-ブテン共重合体等が挙げられる。
[0074]
 さらに、相溶化剤(C)としては上述のような変性ポリオレフィンに代表される高分子化合物には限定されず、繰り返し単位を有さない低分子化合物を用いることができる。
[0075]
 このような低分子化合物としては、分子内に極性基と重合反応に寄与することのできる不飽和炭素結合とを備えた化合物が好ましい。ここで示した、極性基としてはアミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、ニトリル基、ニトロ基、アルデヒド基、アミド基、エステル基、グリシジル基などが挙げられる。これらの中でも、得られる硬化物の機械的強度をより一層向上できる観点から、エポキシ基、グリシジル基が好ましい。
[0076]
 分子内に極性基と重合反応に寄与することのできる不飽和炭素結合とを備えた化合物としては、入手容易性等の観点から、アクリル酸やメタクリル酸、あるいはこれらの誘導体を用いることが好ましい。
[0077]
 アクリル酸誘導体の例としてはアクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、アクリルアミド、N-シクロプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
 また、メタクリル酸誘導体の例としてはメタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジル、メタクリルアミド、N-シクロプロピルメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N-ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、メタクリロニトリル等が挙げられる。
 これらの中でも、得られる架橋体の機械的強度をより一層向上できる観点から、メタクリル酸グリシジルが好ましい。
[0078]
 上に相溶化剤(C)として用いることのできる化合物の例を列挙したが、これらは単独で用いることもできるし、複数種類を組み合わせて使用することもできる。
 相溶化剤(C)の含有量は、当該硬化性樹脂組成物中の前記環状オレフィン系共重合体(M)と前記マレイミド化合物(L)の合計を100質量部としたとき、好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは2~5質量部である。
 相溶化剤(C)の含有量を上記数値範囲内とすることにより、誘電特性、機械的特性、耐熱性のバランスに優れた架橋体を得ることができる環状オレフィン系樹脂組成物とすることができる。
[0079]
(エラストマー)
 本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物は、得られる架橋体の機械的特性を向上させつつ、高周波領域での誘電特性を良好にする観点から、エラストマーをさらに含んでもよい。
 エラストマーの含有量は、環状オレフィン系共重合体組成物の全体を100質量部としたとき、得られる架橋体の機械的特性を向上させつつ、高周波領域での誘電特性をより良好にする観点から、1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。
 上記エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、エチレン・プロピレンエラストマー、およびジエン系エラストマーから選ばれる一種または二種以上を含むことが好ましい。
[0080]
 スチレン系エラストマーは、例えば、スチレン・共役ジエンブロック共重合樹脂(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエンブロック共重合樹脂の水素添加物(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエン・スチレンのトリブロック共重合樹脂(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエン・スチレンのトリブロック共重合樹脂の水素添加物(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)等が挙げられる。
 エチレン・プロピレンエラストマーとしては、例えば、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム等が挙げられる。
 ジエン系エラストマーとしては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム等が挙げられる。
[0081]
(添加剤)
 本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物には、目的に応じて、各種添加剤を添加してもよい。添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない範囲内で用途に応じて適宜選択される。
 上記添加剤としては、耐熱安定剤、耐候安定剤、耐放射線剤、摩擦磨耗性向上剤、難燃剤、発泡剤、耐衝撃剤、充填材、塩酸吸収剤および金属不活性化剤からなる群から選択される一種または二種以上の添加剤が挙げられる。
[0082]
 上記耐熱安定剤としては、ヒンダードフェノール系耐熱安定剤;硫黄系耐熱安定剤;アミン系耐熱安定剤等を挙げることができる。また、これらを一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることもできる。中でも、ホスファイト系耐熱安定剤、およびヒンダードフェノール系耐熱安定剤が好ましい。
 上記添加剤としては、例えば、国際公開第2017/150218号の段落0085~0120に記載の、耐熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐放射線剤、可塑剤、滑剤、離型剤、核剤、摩擦磨耗性向上剤、難燃剤、発泡剤、帯電防止剤、着色剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、耐衝撃剤、表面ぬれ改善剤、充填材、塩酸吸収剤、金属不活性化剤等を用いることができる。
[0083]
(環状オレフィン系共重合体組成物の調製方法)
 本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物の調製方法は、環状オレフィン系共重合体(M)と、マレイミド化合物(L)と、必要に応じてエラストマーや、各種添加剤と、を混合することにより調製できる。混合方法としては、押出機等で溶融ブレンドする方法、または適当な溶媒に溶解、分散させて行う溶液ブレンド法等を採用することができる。溶媒については、以下詳述する。
[0084]
[ワニス]
 本実施形態に係るワニスは、上記環状オレフィン系共重合体組成物と、溶媒とを含有することができる。
 前記溶媒は、少なくとも1種の非極性溶媒(X)と、少なくとも1種の極性溶媒(Y)を含む混合溶媒からなることが好ましい。
 非極性溶媒(X)としては、ヘプタン、ヘキサン、オクタン、デカン等の飽和炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン等の脂環状炭化水素;トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン、プソイドクメン等の芳香族炭化水素;を挙げることができる。
 極性溶媒(Y)としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、プロパンジオール、フェノール等のアルコール;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等のセルソルブ類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、ギ酸ブチル等のエステル類;トリクロルエチレン、ジクロルエチレン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等を挙げることができる。
[0085]
 非極性溶媒(X)としては、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、および、デカリンから選択される少なくとも一種を含み、極性溶媒(Y)としては、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、および、シクロヘキサノンから選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
[0086]
 これらの中でも、ワニスの長期安定性、溶解性および汎用性の観点から、非極性溶媒(X)としては、少なくともトルエンを含み、極性溶媒(Y)として少なくともメチルイソブチルケトンを含む態様がより好ましく、トルエンとメチルイソブチルケトンの混合溶媒であることが特に好ましい。
[0087]
 また、上記非極性溶媒(X)と上記極性溶媒(Y)との合計量を100質量%としたとき、上記非極性溶媒(X)の含有量が70質量%以上95質量%以下であり、上記極性溶媒(Y)の含有量が5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
 非極性溶媒(X)と極性溶媒(Y)の配合比を上記数値範囲内とすることにより、より安定性、配合成分の溶解性に優れたワニスとすることができる。
[0088]
 本実施形態において、ワニスを作製する方法としては、いかなる方法で実施してもよいが、通常は環状オレフィン系共重合体組成物と溶媒とを混合する工程を含む。各成分の混合については、その順序に制限はなく、一括または分割等のいかなる方式でも実施することができる。ワニスを調製する装置としても、制限はなく、撹拌、混合が可能な、バッチ式、もしくは連続式の、いかなる装置で実施してもよい。ワニスを調製する際の温度は、室温から溶媒の沸点までの範囲で任意に選択することができる。
 なお、環状オレフィン系共重合体(m)が得られた際の反応溶液をそのまま溶媒として用い、そこへ環状オレフィン系重合体(n)を溶解させることによりワニスを調製してもよい。また、環状オレフィン系共重合体(m)が得られた際の反応溶液に、別途調製した環状オレフィン系重合体(n)のワニスを混合することによりワニスを調製してもよい。
[0089]
[架橋体(Q)の製造方法]
 架橋体(Q)は、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物の架橋体であり、上述の環状オレフィン系共重合体組成物中の環状オレフィン系共重合体(M)を架橋することにより得られる。環状オレフィン系共重合体(M)の架橋方法としては特に制限はないが、ラジカル重合開始剤や硫黄、ヒドロシリル基含有化合物、電子線や他の放射線を用いて、任意の形に成形しながら、または成形後に架橋する方法等が挙げられる。
[0090]
 ラジカル重合開始剤による架橋は、ポリオレフィンで適用されている通常のラジカル重合開始剤による架橋方法をそのまま適用できる。すなわち環状オレフィン系共重合体組成物にジクミルペルオキシドのようなラジカル重合開始剤を配合し、加熱、架橋する。ラジカル重合開始剤の配合割合は特に制限がないものの、環状オレフィン系共重合体(m)100質量部あたり通常は0.02~20質量部、好ましくは0.05~10質量部であり、さらに好ましくは0.5~10質量部である。ラジカル重合開始剤の配合割合が上記上限値以下であると、架橋体(Q)の誘電特性が向上し、上記下限値以上であると、架橋体(Q)の耐熱性、機械的特性を向上させることができる。
[0091]
 上記ラジカル重合開始剤としては、公知の熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤およびこれらを併用することができる。これらのラジカル重合開始剤のうち、熱ラジカル重合開始剤を使用する場合は、保存安定性の観点から10時間半減期温度が通常80℃以上、好ましくは120℃以上のものである。このような開始剤として、例えば、ジクミルパーオキシド、t-ブチルクミルパーオキシド、2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)2,5-ジメチルヘキシン-3、ジ-t-ブチルパーオキシド、イソプロピルクミル-t-ブチルパーオキシド、ビス(α-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、等のジアルキルパーオキシド類;1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレート、エチル-3,3-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブチレート、3,3,6,6,9,9-ヘキサメチル-1,2,4,5-テトラオキシシクロノナン等のパーオキシケタール類;ビス(t-ブチルパーオキシ)イソフタレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシアセテート等のパーオキシエステル類;t-ブチルハイドロパーオキシド、t-ヘキシルハイドロパーオキシド、クミンハイドロパーオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド、p-メンタンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド類;2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン等のビベンジル化合物類;3,3,5,7,7-ペンタメチル-1,2,4-トリオキセパン等が挙げられる。
[0092]
 ラジカル重合開始剤のうち、光ラジカル重合開始剤は具体的には、例えば、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンゾフェノン、メチルベンゾイルフォーメート、イソプロピルチオキサントンおよびこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。また、これらの光ラジカル重合開始剤とともに増感剤を使用することもできる。増感剤の例としては、アントラキノン、1,2-ナフトキノン、1,4-ナフトキノン、ベンズアントロン、p,p'-テトラメチルジアミノベンゾフェノン、クロラニル等のカルボニル化合物、ニトロベンゼン、p-ジニトロベンゼン、2-ニトロフルオレン等のニトロ化合物、アントラセン、クリセン等の芳香族炭化水素、ジフェニルジスルフィド等の硫黄化合物、ニトロアニリン、2-クロロ-4-ニトロアニリン、5-ニトロ-2-アミノトルエン、テトラシアノエチレン等の窒素化合物等を挙げることができる。
[0093]
 硫黄等により架橋する場合には、環状オレフィン系共重合体組成物に硫黄系化合物、必要に応じて加硫促進剤、加硫促進助剤を配合して加熱し、架橋反応を行う。硫黄系化合物の配合量はとくに制限はないものの、架橋反応を効率よく進行させ、かつ得られる架橋物の物性改善を計ることおよび経済性の面等から環状オレフィン系共重合体(m)100質量部に対して通常0.1~10質量部、好ましくは0.3~5質量部の範囲で使用され、加硫促進剤や加硫促進助剤を併用する場合には通常0.1~20質量部、好ましくは0.2~10質量部の範囲で使用される。
 架橋反応を起こすため使用される硫黄系化合物は公知の種々のものが使用でき、一例を挙げると硫黄、一塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン等がある。また加硫促進剤も種々のものを使用でき、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾール-スルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾール-スルフェンアミド、N,N-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾール-スルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ベンゾチアジル-ジスルフィド等のチアゾール系;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジ-オルソ-トリルグアニジン、オルソートリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン系;アセトアルデヒド-アニリン反応物;ブチルアルデヒド-アニリン縮合物;ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニア等のアルデヒドアミン、またはアルデヒド-アンモニア系;2-メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系;チオカルバニリド、ジエチルチオユリアジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジオルソートリルチオユリア等のチオユリア系;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルチオカルバミン酸亜鉛、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系;ジブチルキサントゲン酸亜鉛等のザンテート系;等を挙げることができる。加硫促進助剤としては、酸化亜鉛、活性亜鉛華、炭酸亜鉛、複合亜鉛華、酸化マグネシウム、リサージ、鉛丹、塩基性炭酸鉛等の金属酸化物系、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸鉛等の脂肪酸系、トリエタノールアミン、ジエチレングリコール等の有機アミン・グリコール系等を挙げることができる。
[0094]
 環状オレフィン系共重合体組成物をラジカル重合開始剤架橋、硫黄架橋共に、架橋する温度は通常100~300℃、好ましくは120~250℃、さらに好ましくは120~220℃の温度で行い、温度を段階的に変化させて架橋を行ってもよい。上記下限値以上であると、架橋を十分に進行させることができる。また、上記上限値以下であると、得られる架橋体の着色が抑制できたり、プロセスを簡略化できたりする。なお、参考として、代表的な二重結合含有重合体であるポリブタジエンは、一般に上記のような条件では架橋できず、300℃のような高温での架橋条件を必要とする。
[0095]
 本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物は、ヒドロシリル基を1分子中に少なくとも2つ有するヒドロシリル基含有化合物を用いて架橋することもできる。ヒドロシリル基含有化合物を用いた架橋については、例えば、特開2015-193680号公報に記載の方法にしたがって行うことができる。ここでは詳細は省略する。
[0096]
 電子線や他の放射線を用いて架橋する方法は、成型時の温度、流動性の制限を伴わないという利点があり、放射線としては、電子線の他、γ線、UV等を挙げることができる。
[0097]
 ラジカル重合開始剤や硫黄、ヒドロシリル基含有化合物等を用いる方法、放射線を用いて架橋する方法のいずれの場合も、架橋助剤の併用下に架橋することができる。
[0098]
 架橋助剤としては特に制限はないが、例えば、p-キノンジオキシム、p,p'-ジベンゾイルキノンジオキシム等のオキシム類;エチレンジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アクリル酸/酸化亜鉛混合物、アリルメタクリレート等のアクリレートもしくはメタクリレート類;ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニルピリジン等のビニルモノマー類;ヘキサメチレンジアリルナジイミド、ジアリルイタコネート、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル化合物類;N,N'-m-フェニレンビスマレイミド、N,N'-(4,4'-メチレンジフェニレン)ジマレイミド等のマレイミド化合物類等、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン類が挙げられる。これらの架橋助剤は単独で用いてもよいし、組み合わせて使用することもできる。
[0099]
 架橋反応は、環状オレフィン系共重合体組成物と、上記したラジカル重合開始剤や硫黄、ヒドロシリル基含有化合物等の化合物との混合物を溶融状態として行うこともできるし、または該混合物を溶媒に溶解、または分散させた溶液状態で行うこともできるし、または溶媒に溶解した溶液状態から溶媒を揮発させフィルム、コーティング等任意の形に成形した後にさらに架橋反応を進行させることもできる。
[0100]
 溶融状態で反応を行う場合はミキシングロール、バンバリーミキサー、押出機、ニーダ、連続ミキサー等の混練装置を用いて、原料の混合物を溶融混練して反応させる。また、任意の手法で成形した後に更に架橋反応を進行させることもできる。
[0101]
 溶液状態で反応を行う場合に使用する溶媒としては上記溶液ブレンド法で用いた溶媒と同様の溶媒が使用できる。
[0102]
 電子線またはその他の放射線、UVを用いて架橋反応を行う場合には、任意の方法で付形した後に、反応を行うことができる。
[0103]
[フィルムまたはシート]
 本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物の架橋体はフィルムまたはシートに成形して各種用途に用いることができる。本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物を用いて、フィルムまたはシートを形成する方法としては、各種公知の方法が適用可能である。例えば、熱可塑性樹脂フィルム等の支持基材上に上述したワニスを塗布して乾燥後、加熱処理等して環状オレフィン系共重合体組成物を架橋することにより形成する方法が挙げられる。ワニスの支持基材への塗布方法は特に限定されないが、例えば、スピンコーターを用いた塗布、スプレーコーターを用いた塗布、バーコーターを用いた塗布等を挙げることができる。
 また、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物を溶融成形して、フィルムまたはシートを得る方法も挙げることができる。
[0104]
[積層体]
 本実施形態に係る上記フィルムまたはシートは基材に積層することにより、積層体として各種用途に用いることができる。本実施形態に係る積層体を形成する方法は各種公知の方法が適用可能である。
 例えば、基材に対し、上述の方法により製造したフィルムまたはシートを積層し、必要に応じてプレス等により加熱硬化することにより積層体を作製することができる。
 また、導体層に対して、前述した架橋体を含む電気絶縁層を積層することにより積層体を作製することもできる。
[0105]
[多層成形体または多層積層フィルム]
 本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物は、各種の多層成形体または多層積層フィルムの表層に形成してもよい。このとき、環状オレフィン系共重合体組成物により形成された樹脂層は100μm以下であるのが好ましい。
 各種の多層成形体または多層積層フィルムとしては、例えば、樹脂光学レンズ表面に本実施形態の環状オレフィン系共重合体組成物が形成された光学レンズ用多層成形体や、PETフィルムやPEフィルム等の樹脂フィルム表面にガスバリア性付与のために本実施形態の環状オレフィン系共重合体組成物が形成された多層ガスバリアフィルム等が挙げられる。
[0106]
[プリプレグ]
 また、本実施形態に係るプリプレグは、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物とシート状繊維基材とを複合して形成されたものである。
 プリプレグの製造方法としては特に限定されず、各種公知の方法が適用可能である。例えば、上述したワニスをシート状繊維基材に含浸し含浸体を得る工程と、得られた含浸体を加熱し上記ワニスに含まれる溶媒を乾燥する工程とを含む方法が挙げられる。
 上記ワニスのシート状繊維基材への含浸は、例えば、所定量のワニスを、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法等の公知の方法によりシート状繊維基材に塗布し、必要に応じてその上に保護フィルムを重ね、上側からローラー等で押圧することにより行うことができる。
 また、上記含浸体を加熱し、上記ワニスに含まれる溶媒を乾燥する工程はとくに限定されないが、例えば、バッチ式で送風乾燥機により空気中あるいは窒素中で乾燥する、あるいは、連続工程で加熱炉を通すことによって乾燥する、等の方法を挙げることができる。
 本実施形態においては、ワニスをシート状繊維基材に含浸させた後、得られた含浸体を所定温度に加熱することにより、上記ワニスに含まれる溶媒が蒸発し、プリプレグが得られる。
[0107]
 本実施形態に係るシート状繊維基材を構成する繊維としては無機系および/または有機系の繊維が使用でき、特に限定されないが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、アラミド繊維、超高分子ポリエチレン繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維、液晶ポリエステル繊維等の有機繊維;ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、タングステン繊維、モリブデン繊維、チタン繊維、スチール繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、シリカ繊維等の無機繊維;等を挙げることができる。これらの中でも、有機繊維やガラス繊維が好ましく、特にアラミド繊維、液晶ポリエステル繊維、ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維としては、Eガラス、NEガラス、Sガラス、Dガラス、Hガラス、Tガラス等を挙げることができる。
 シート状繊維基材へのワニスの含浸は、例えば、浸漬および塗布によって実施される。含浸は必要に応じて複数回繰り返してもよい。
 これらのシート状繊維基材は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、所望により適宜選択されるが、プリプレグあるいは積層体中の、通常、10~90質量%、好ましくは20~80質量%、より好ましくは30~70質量%の範囲である。この範囲にあれば、得られる積層体の誘電特性と機械強度が高度にバランスされ、好適である。
[0108]
 本実施形態に係るプリプレグの厚みは、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常は0.001~10mmであり、好ましくは0.005~1mmであり、より好ましくは0.01~0.5mmである。この範囲にあれば、積層時の賦形性や、硬化して得られる積層体の機械強度や靭性等の特性が充分に発揮され好適である。
[0109]
[回路基板]
 上述したように、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物は、誘電特性、耐熱性、機械的特性等に優れることから、回路基板に好適に用いることができる。
 回路基板の製造方法としては一般的に公知の方法を採用でき特に限定されないが、例えば、前述の方法により製造したフィルム、シートまたはプリプレグを積層プレス等により加熱硬化し、電気絶縁層を形成する。次いで、得られた電気絶縁層に導体層を公知の方法で積層し、積層体を作製する。その後、該積層体中の導体層を回路加工等することにより、回路基板を得ることができる。
[0110]
 導体層となる金属としては、銅、アルミニウム、ニッケル、金、銀、ステンレス等の金属を用いることができる。導体層の形成方法としては、例えば、該金属類を箔等にして電気絶縁層上に熱融着させる方法、該金属類を箔等にして電気絶縁層上に接着剤を用いて張り合わせる方法、あるいはスパッタ、蒸着、めっき等の方法で電気絶縁層上に該金属類からなる導体層を形成する方法等が挙げられる。回路基板の態様としては、片面板、両面板のいずれでもよい。
[0111]
 このような回路基板は、例えば、半導体素子等の電子部品を搭載することにより、電子機器として使用することができる。電子機器は公知の情報に基づいて作製することができる。
 このような電子機器としては、例えば、サーバ、ルータ、スーパーコンピューター、メインフレーム、ワークステーション等のICTインフラ機器;GPSアンテナ、無線基地局用アンテナ、ミリ波アンテナ、RFIDアンテナ等のアンテナ類;携帯電話、スマートフォン、PHS、PDA、タブレット端末等の通信機器;パーソナルコンピューター、テレビ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、POS端末、ウェアラブル端末、デジタルメディアプレーヤー等のデジタル機器;電子制御システム装置、車載通信機器、カーナビゲーション機器、ミリ波レーダー、車載カメラモジュール等の車載電子機器;半導体試験装置、高周波計測装置等;等が挙げられる。
[0112]
[発泡体]
 また、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物を架橋するとともに発泡せしめることにより発泡体とすることができる。このとき、環状オレフィン系共重合体組成物に前述した発泡剤を添加してもよい。
[0113]
[用途]
 本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(m)、環状オレフィン系共重合体組成物および架橋体(Q)は、耐溶剤性、耐熱性、機械的強度、透明性に優れるので、当該架橋体からなる成形体は、例えば光ファイバー、光導波路、光ディスク基盤、光フィルター、レンズ、光学用接着剤、PDP用光学フィルター、有機EL用コーティング材料、航空宇宙分野における太陽電池のベースフィルム基材、太陽電池や熱制御システムのコーティング材、半導体素子、発光ダイオード、各種メモリー類等の電子素子、ハイブリッドIC、MCM、回路基板、回路基板の絶縁層を形成するために用いられるプリプレグや積層体、表示部品等のオーバコート材料あるいは層間絶縁材料、液晶ディスプレイや太陽電池の基板、医療用器具、自動車用部材、離型剤、樹脂改質剤、ディスプレイ用透明基板、リチウムイオン電池用部材、半導体プロセス部材、フィルムコンデンサ、ガスバリアコート材、電線被服材、自動車用部材、航空宇宙用部材、半導体用プロセス材、電線被覆材、リチウムイオン電池用部材、燃料電池用部材、コンデンサーフィルム、フレキシブルディスプレイ部材、アンカーコート材、透明接着剤、改質材、架橋助剤、医療用容器、医療用カテーテル部材、防水シール材、離型材、ハードコート材、発泡改質剤といった用途で使用することができる。
 特に、誘電特性の経時安定性に優れ、耐溶剤性、耐熱性、透明性、機械的特性等にも優れるので、高周波回路基板等の高周波用途に好適に用いることができる。さらに、ガスバリア性にも優れるため、液晶ディスプレイや太陽電池の基板やフィルムまたはシートとして好適に用いることができる。
[0114]
 以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
 また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
実施例
[0115]
 以下、本発明を合成例、実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何等制限されるものではない。
[0116]
 なお、合成例、実施例、比較例で用いた環状オレフィン系共重合体(m)の組成は、次に述べる方法で測定した。
[0117]
 組成; H-NMR測定を行い、二重結合炭素に直接結合している水素由来のピークとそれ以外の水素のピークの強度により環状非共役ジエン含量を算出した。
[0118]
 実施例および比較例によって得られた成形体(フィルム)は次に述べる方法で評価を行った。
[0119]
 誘電正接評価:実施例および比較例によって得られたフィルムについて、円筒空洞共振器法により、10GHzにおける誘電正接を評価した。
 実験には以下の原材料を用いた。
[0120]
 遷移金属化合物(1):
 特開2004-331965号公報に記載の方法により合成した。
[0121]
[化16]


[0122]
 MMAO(東ソー・ファインケム社製)
 トルエン(和光純薬工業株式会社製:和光特級)
 5-ビニル-2-ノルボルネン(東京化成工業株式会社製)
 テトラシクロ[4.4.0.1 2,5.1 7,10]-3-ドデセン(三井化学株式会社製)
 アセトン(和光純薬工業株式会社製:和光特級)
 メタノール(和光純薬工業株式会社製:和光特級)
[0123]
 マレイミド化合物(l):
 l-1:下記式(l-1)で表されるビスマレイミド化合物(大和化成製、BMI-5100)
[0124]
[化17]


 l-2:下記式(l-2)で表されるビスマレイミド化合物(大和化成製、BMI-TMH)
[0125]
[化18]


 l-3:下記式(l-3)で表されるビスマレイミド化合物(大和化成製、BMI-1000)
[0126]
[化19]


[0127]
 l-4:下記式(l-4)で表されるビスマレイミド化合物(DESIGNER MOLECURES Inc.製、BMI-3000、数平均分子量Mn3000)
[0128]
[化20]


(式中、nは1~20の範囲の数である。)
[0129]
 l-5:上記式(l-4)で表されるビスマレイミド化合物(DESIGNER MOLECURES Inc.製、BMI-5000、数平均分子量Mn5000)
[0130]
ラジカル重合開始剤:
 架橋剤1:パークミルD(日本油脂社製)
[0131]
 環状オレフィン系共重合体(m):
 〔合成例1(環状オレフィン系共重合体(m-1)(Mn=11,900))〕
十分に窒素置換した内容積1LのSUS製オートクレーブに、トルエン380mL、5-ビニル-2-ノルボルネン(以下、VNBとも呼ぶ。)94ml、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(以下、TDとも呼ぶ。)26ml、MMAO(東ソーファインケム社製)のトルエン溶液をAl換算で1.5mmol、水素868mlを挿入した後、系中にエチレンを全圧0.78MPaになるまで導入した。トルエンに溶解した遷移金属化合物(1)33μmolを添加し、35℃で180分間重合を行った後、得られたポリマー溶液を、0.1vol%の濃塩酸を加えたアセトン/メタノール(=3/1)混合溶媒に投入してポリマーを析出させ、撹拌後濾紙でろ過した。得られた固体を80℃、10時間で減圧乾燥し、エチレン/TD/VNB共重合体を得た。NMRにより決定したポリマー中のVNB由来構造の組成比は35.9mol%、TD由来構造の組成比は6.5mol%、GPC測定より求めた数平均分子量(Mn)は11,900であった。
[0132]
<数平均分子量(Mn)>
 環状オレフィン系共重合体(m)の数平均分子量(Mn)は、GPC測定により測定し、標準ポリスチレン換算値として求めた。GPC測定は以下の条件で行った。
 装置:GPC HLC-8321(東ソー株式会社製)
 溶剤:o-ジクロロベンゼン
 カラム:TSKgel GMH6-HT×2、TSKgel GMH6-HTL×2(何れも東ソー社製)
 流速:1.0ml/分
 試料:1mg/mL o-ジクロロベンゼン溶液
 温度:140℃
[0133]
 相溶化剤(C-1):
[合成例2:無水マレイン酸変性ポリスチレン/ポリブタジエン/ポリスチレントリブロック共重合体(相溶化剤(C-1))の合成]
 撹拌翼を備えた容量1.0Lのガラス製オートクレーブに、ポリスチレン/ポリブタジエン/ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物(シェル化学社製、クレイトンG1652、数平均分子量:8.5×10 、スチレン含量:30質量%)105g、および脱水トルエン340mlを入れ、165℃に加熱して溶解させた。続いて、無水マレイン酸3.46gを脱水トルエン40mlに溶解させた溶液、およびジ-t-ブチルパーオキサイド0.31gを脱水トルエン40mlに溶解させた溶液を調製し、両溶液を4時間かけて逐次滴下した。滴下終了後、165℃で2時間後反応を行った。
 得られた変性共重合体の無水マレイン酸グラフト量を酸素分析により測定したところ、3.5質量%であった。
[0134]
[実施例1]
(ワニス1の調製)
 合成例1で得られた環状オレフィン系共重合体(m-1)、ラジカル重合(架橋)開始剤として架橋剤1、溶媒としてトルエン及びメチルイソブチルケトン(MIBK)を用い、表1の配合組成に従い秤量した。秤量したサンプルを、200mlのセパラブルフラスコに装入し、回転数200rpmの撹拌翼で4時間、撹拌し、目的とするワニス状の環状オレフィン系共重合体組成物を得た。なお、表1中における各原料の配合割合の単位は質量部である。
[0135]
(環状オレフィン系共重合体組成物の相容性)
 上述の方法でワニス状の環状オレフィン系共重合体組成物および環状オレフィン重合体組成物からなるフィルムを調製した際、目視にて、ワニスおよびフィルムの状態を観察し、以下の基準で各配合成分の相容性を評価した。
 ○:ワニスに不溶成分が発生せず、フィルムの外観が均一であった。
 ×:ワニスに不溶成分が発生し、フィルムの外観が不均一であった。
[0136]
(フィルム製膜)
 得られたワニス状の環状オレフィン系共重合体組成物を、離型処理されたPETフィルム上に10mm/秒の速度で塗工した後、窒素気流下送風乾燥機中で150℃で4分乾燥した。得られたフィルムを2枚重ね、真空プレスにより、3.5MPaに加圧し、室温(25℃)から一定速度で昇温し、180℃で120分保持し、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムについて、ガラス転移温度Tg、貯蔵弾性率、及び、誘電正接の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
[0137]
(貯蔵弾性率E'およびガラス転移温度Tgの評価)
 以下の条件で得られたフィルムの固体粘弾性温度分散測定を行い、290℃における貯蔵弾性率E'およびガラス転移温度Tgの評価を行った。Tgはtanδのピーク温度とした。
装置:RSA-III(ティー・エイ・インスツルメント社製)
変形モード:引張
昇温速度:3℃/分
周波数:1Hz
設定歪:0.1%
環境:窒素雰囲気下
[0138]
[実施例2~7および比較例1~2]
 表1に示す配合組成に変えた以外は、実施例1と同様にフィルムをそれぞれ作製し、それぞれ評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
 なお、比較例2については、均一な環状オレフィン系共重合体組成物を得ることができず、フィルムの作製が困難であったため、ガラス転移温度Tg、貯蔵弾性率、及び、誘電正接の評価はおこなっていない。
[0139]
[表1]


[0140]
 この出願は、2018年11月27日に出願された日本出願特願2018-221022号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

請求の範囲

[請求項1]
 環状オレフィン系共重合体(M)と、マレイミド化合物(L)とを含む環状オレフィン系共重合体樹脂組成物であって、
 前記環状オレフィン系共重合体(M)は、
 下記一般式(I)で表される1種以上のオレフィン由来の繰り返し単位と、
 下記一般式(III)で表される1種以上の環状非共役ジエン由来の繰り返し単位と、
 下記一般式(V)で表される1種以上の環状オレフィン由来の繰り返し単位と、を含む環状オレフィン系共重合体(m)を含み、
 前記マレイミド化合物(L)は、
 Fedors法で求めた溶解度パラメータ(SP値)が19J 1/2/cm 3/2以上、26J 1/2/cm 3/2以下であり、
 分子内に少なくとも2つのマレイミド基を有するビスマレイミド化合物であるマレイミド化合物(l)を含み、
 前記環状オレフィン系共重合体(M)と前記マレイミド化合物(L)の合計を100質量部とした場合に、前記マレイミド化合物(L)の含有量が1質量部以上50質量部以下である環状オレフィン系共重合体樹脂組成物。
[化1]


〔上記一般式(I)において、R 300は水素原子または炭素原子数1~29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。〕
[化2]


〔上記一般式(III)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R 61~R 76ならびにR a1およびR b1は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基または炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、R 104は水素原子または炭素原子数1~10のアルキル基であり、tは0~10の正の整数であり、R 75およびR 76は互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕
[化3]


〔上記一般式(V)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R 61~R 78ならびにR a1およびR b1は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基または炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、R 75~R 78は互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕
[請求項2]
 前記環状オレフィン系共重合体(m)中の繰り返し単位の合計モル数を100モル%とした場合に、前記環状非共役ジエン由来の繰り返し単位の含有量が19モル%以上40モル%以下の範囲である請求項1に記載の環状オレフィン系共重合体樹脂組成物。
[請求項3]
 前記環状オレフィン系共重合体(m)において、前記環状非共役ジエン由来の繰り返し単位を構成する環状非共役ジエンが5-ビニル-2-ノルボルネンを含み、前記環状オレフィン由来の繰り返し単位を構成する環状オレフィンがテトラシクロ[4.4.0.1 2,5.1 7,10]-3-ドデセンを含む請求項1又は2に記載の環状オレフィン系共重合体樹脂組成物。
[請求項4]
 前記マレイミド化合物(l)の分子量が300以上、1000以下である請求項1乃至3に記載の環状オレフィン系共重合体樹脂組成物。
[請求項5]
 前記環状オレフィン系共重合体(M)と前記マレイミド化合物(L)とを相溶化させる相溶化剤(C)をさらに含有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の環状オレフィン系共重合体樹脂組成物。
[請求項6]
 請求項5に記載の環状オレフィン系共重合体樹脂組成物において、
 前記相溶化剤(C)の含有量が、前記環状オレフィン系共重合体(M)と前記マレイミド化合物(L)の合計を100質量部としたとき、0.1質量部以上10質量部以下である環状オレフィン系共重合体樹脂組成物。
[請求項7]
 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の環状オレフィン系共重合体組成物と、溶媒と、を含有するワニス。
[請求項8]
 前記溶媒は、少なくとも1種の非極性溶媒(X)と、少なくとも1種の極性溶媒(Y)を含む混合溶媒からなる請求項7に記載のワニス。
[請求項9]
 前記非極性溶媒(X)がトルエン、キシレン、シクロヘキサン、および、デカリンから選択される少なくとも一種を含み、前記極性溶媒(Y)がメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、および、シクロヘキサノンから選択される少なくとも一種を含み、
 前記非極性溶媒(X)と前記極性溶媒(Y)との合計量を100質量%としたとき、
 前記非極性溶媒(X)の含有量が70質量%以上95質量%以下であり、
 前記極性溶媒(Y)の含有量が5質量%以上30質量%以下である請求項8に記載のワニス。
[請求項10]
 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の環状オレフィン系共重合体組成物を架橋して得られる架橋体。
[請求項11]
 請求項10に記載の架橋体を含むフィルムまたはシート。
[請求項12]
 請求項10に記載の架橋体を含む積層体。
[請求項13]
 請求項10に記載の架橋体を含む電気絶縁層と、前記電気絶縁層上に設けられた導体層とを含む回路基板。
[請求項14]
 請求項13に記載の回路基板を備えた電子機器。
[請求項15]
 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の環状オレフィン系共重合体組成物と、シート状繊維基材と、を含むプリプレグ。