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1. WO2020110902 - 係船索監視システム、係船管理システム、係船索監視方法、及び係船管理方法

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明 細 書

発明の名称 係船索監視システム、係船管理システム、係船索監視方法、及び係船管理方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007  

先行技術文献

特許文献

0008  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041  

発明の効果

0042  

図面の簡単な説明

0043  

発明を実施するための形態

0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125  

符号の説明

0126  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18  

明 細 書

発明の名称 : 係船索監視システム、係船管理システム、係船索監視方法、及び係船管理方法

技術分野

[0001]
 本発明は、船舶を繊維ロープで構成された係船索で桟橋などに係船するときに使用される、係船索監視システム、係船管理システム、係船索監視方法、及び係船管理方法に関する。

背景技術

[0002]
 外航船や内航船等の比較的大きな船舶においては、船舶を桟橋や岸壁等の陸上側に係船する時には、防舷材を船舶と陸上側との間に配置し、船舶側の係船索の先端の輪を桟橋側の係船用部材(ビット等)に掛けて、係船索を係船用機器(ムアリングウインチ等)で巻き取ることで、船舶を陸上側に係船している。
[0003]
 この係船されている船舶は、潮の干満や船舶の積荷の荷役状態の変化により浮き沈みする。そのため、この係船索の張力は、波を受ける船体の動揺による影響だけではなく、気象・海象の変化や潮流の変化や近くを航行する船舶からの波等の多様な影響も受ける。そのため、係船時の各係船索の張力だけでなく、これらの変化に対応して係船索の張力をリアルタイムで監視する必要がある。
[0004]
 この船舶の係船においては、係船索として一般的に繊維ロープが用いられており、この繊維ロープに過大な荷重が加わって破断すると、船舶が移動したり、桟橋等に衝突したり、桟橋等から離れて漂流したりする。さらに、この繊維ロープでは、伸び量と張力との関係にヒステリシスに加えて経年変化による劣化があるため、係船索の破断荷重や弾性率の推定が難しく、係船状態と船体運動と係船索の破断との関係の予測が難しいという問題がある。
[0005]
 そのため、例えば、日本特開平10-109686号公報及び日本特開2005-153595号公報に記載されているように、係船索の張力を検出して破断事故を未然に防止するために、例えば、係留索(または係船索)の中間部が接触するローラーなどの中間接触部に作用する荷重を検出して、この荷重から係留索の張力を推定したり、例えば、日本特開2005-153595号公報に記載されているように、巻き取りドラムに設けたひずみゲージ等で係船索の張力を検出したり、例えば、日本特開2002-211478号公報に記載されているように、係船ウインチのハンド式ブレーキのテンションバーに装着したロードセルにより、係船後の係船索の張力を検出したりしている。
[0006]
 このロードセルによる係船索の張力の検出では、ハンド式ブレーキで係船索の巻き取りドラムが固定されているときにしか計測できず、係船索の巻き込み時や巻き戻し時には計測できないという問題がある。また、特許文献1(日本特開平10-109686号公報)の構成では、係船索取り回し上の制約がある上、係船索径や硬度及び入射角によっても負荷変動が起こるという問題がある。
[0007]
 また、例えば、日本特開平07-232693号公報に記載されているように、陸上側における係船索の張力測定装置として、基地のドルフィンの各フックに取り付けられた張力センサ(ストレイン・ゲージ)から得るものもある。この場合には、張力センサが基地や桟橋の陸上側に設けられているため、一般的に船舶側に設けられる係船索監視システムにデータを送信する必要がある。この場合には、これらの張力測定装置がない桟橋などでは使用できないという問題がある。

先行技術文献

特許文献

[0008]
特許文献1 : 日本特開平10-109686号公報
特許文献2 : 日本特開2005-153595号公報
特許文献3 : 日本特開2002-211478号公報
特許文献4 : 日本特開平07-232693号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0009]
 本発明は、上述の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的簡単な構成で、係船索を用いての係船作業中と係船作業完了時と係船中のいずれにおいても、常時、係船索の張力を検知することができて、係船索の破断を予測及び回避できる、係船索監視システム、係船管理システム、係船索監視方法、及び係船管理方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0010]
 上記の目的を達成するための本発明の係船索監視システムは、船舶を係船している係船索を構成する繊維ロープの伸長率を検出する伸長率検出装置と、前記伸長率検出装置の検出値から前記係船索の張力を算出する制御装置を備えて構成される。
[0011]
 この構成によれば、繊維ロープで構成される係船索に加わる張力(荷重)からではなく、予め設定された伸長率(伸び率)と張力との関係から、あるいは、直前に得られた伸長率と張力との関係に基づいて、伸長率検出装置の検出値から係船索の張力を算出するので、係船作業中、係船作業終了時のみならず、係船している最中における係船索の張力を算出することができる。これにより、各係船索の張力を監視しながら係船作業を行うことができるので、ムアリングウインチなどの係船用機器を操作又は制御して、各係船索の張力をより適正な張力に調整しながら、効率よく係船作業を行うことができるようになる。
[0012]
 また、この伸長率検出装置では、係船索において、伸長率検出装置の検出部がある特定の測定対象部分の伸長率を検出できるので、その測定対象部分の張力を算出できるようになる。そのため、係船用機器から甲板上の係船用部材(ボラード、ムアリングホール等)を経由して、陸側の係船用部材(ビット、ドルフィン等)に接続される係船索の各部分における張力を測定できる。そのため、係船用部材による係船力の分担の影響を考慮して、より精度良く、張力を計測できるようになる。
[0013]
 また、係船索に検出部を設けているので、陸上側での係船索の張力測定の必要が無くなり、予め伸長率と張力の関係を得られていれば、船内側だけの伸長率検出装置と制御装置で、係船索の張力監視ができるため、桟橋側の設備に関係しないので、係船索の張力測定の装置が無い桟橋等に係船しても、係船の際(係船作業中、係船作業完了時、係船中)における係船索の張力監視が可能となる。
[0014]
 上記の係船索監視システムにおいて、前記伸長率検出装置の検出値、又は前記検出値から算出された前記係船索の張力に関係する算出値が、予め設定される警報値(閾値)を超えた場合に警報を出力するか、又は信号を出力するかのいずれかを行うように、前記制御装置が構成されていると、次のような効果を発揮できる。
[0015]
 この伸長率検出装置では、係船中であっても、リアルタイムで張力を検出できるので、潮の干満、船舶の荷役状態、気象・海象や潮流などの外乱の変化に追従して変化する張力に対して、係船中のリアルタイムの検出値又は算出値に基づいて、警報を出力するか、又は信号を出力するかのいずれかを行うことができる。従って、繊維ロープが破断する前にその破断を精度よく予測できて、この予測結果に基づいて手動又は自動で係船用機器による係船索の巻き戻しを行うことなどにより、破断しそうな係船索を緩めることができるので、係船索の破断を回避できる。
[0016]
 なお、この予め設定される警報値の設定時期は、繊維ロープの張力の推定値の判定の前までであればよい。また、警報値も、必ずしも固定値である必要は無く、潮の干満、船舶の荷役状態、気象・海象や潮流などの外乱の変化、あるいは、係船索の劣化度合いに基づいて、更新される値で有ってもよい。
[0017]
 例えば、繊維ロープは経年劣化等により、破断する荷重が低下する場合がある。従来は、係船に所定期間使用した繊維ロープの一部分を切断して、船から下してロープ製造所等に持ち帰り、引張試験装置を行って、破断する荷重を測定し、劣化度合を確認し、繊維ロープの管理方法を決定していた。
[0018]
 ここで、上記の係船索監視システムにおいて、前記制御装置が、前記伸長率検出装置で検出した前記繊維ロープの伸長率の値と、前記繊維ロープの張力を前記伸長率検出装置とは別途に検出する張力検出装置で検出した張力値とから、前記繊維ロープの劣化度合いを判定して、前記劣化度合いに従って前記警報値の値を低下させるように構成されていると、次のような効果を発揮できる。
[0019]
 繊維ロープは、経年劣化等により、同一荷重に対する伸長率または同一の伸長率に対する荷重が変化する。すなわち、繊維ロープの伸長率の値と、張力値(荷重)との関係が変化するので、この変化から繊維ロープの劣化度合いを判定する。そして、この劣化度合いに応じて、繊維ロープが破断する荷重も低下するので、係船索の破断を回避するための警報値の値を低下させる。これにより、警報値を係船索の劣化度合いに基づいて更新して、安全性を向上させることができる。
[0020]
 尚、本システムによる繊維ロープの同一荷重に対する伸長率の変化から、繊維ロープの経年変化等を推定するが、この方法については、例えば、次の2つが考えられる。
1)前述の、所定期間使用した繊維ロープを部分切断し、引張試験装置で測定した応力歪線図のデータが既に蓄積されている場合には、それと対照して繊維ロープの劣化状態や破断荷重を推定する事ができる。
2)上記のデータが蓄積されていない場合には、同一荷重に対する伸長率の増加または同一の伸長率に対する荷重の減少より、経年劣化等による応力歪線図のシフト度合を推定し、必要に応じて外挿等を行う事によって、破断荷重点を推定する事ができる。
[0021]
 上記の係船索監視システムにおいて、前記制御装置が、前記劣化度合いが、予め設定された交換時期警告値(閾値)を超えた場合に、前記繊維ロープが交換時期に達していることを警告するように構成されていると、この警告により、適切な時期に繊維ロープを交換して、劣化による繊維ロープの破断を回避することができるようになるので、係船時における安全性を向上することができる。
[0022]
 また更には、繊維ロープの破断を回避する作業を促す警告を発するシステムを設けた場合において、繊維ロープの使用中に過大の伸長がかかる使用状況となった際に警告が発せられる伸長率の警報値(閾値)の設定を、繊維ロープの劣化度合いに応じて調整したり、当該繊維ロープの巻取巻出装置(ウインチ)の制御及び調整を行ったりすることにより、より安全な係船索の管理が可能になる。
[0023]
 上記の係船索監視システムにおいて、前記伸長率検出装置が、前記繊維ロープの伸長率を検出する索状の検出部を有し、前記繊維ロープが、前記検出部を内部に組み込んで構成されていると、次のような効果を発揮できる。
[0024]
 係船索を構成する繊維ロープ自体に伸長率検出装置の索状の検出部が配設されているので、従来の繊維ロープと同じ取り扱いができ、係船作業時に邪魔にならない。また、索状の検出部をストランドの内部、つまり、芯部又はロープの内部に設けることにより、外的損傷や摩耗を受け難くなるので、検出部が劣化し難くなり、耐久性が向上するという利点がある。
[0025]
 また、船舶が係船用に備えている係船索(繊維ロープ)の検出部から張力データを得ることができるので、桟橋側(陸上側)からの張力データを得ることなく、容易に船舶側の係船索監視システムでデータ処理することができるようになる。さらに、繊維ロープの複数の測定対象部分に複数の検出部を撚り込むことにより、その複数の測定対象部分における伸長率をそれぞれ検出することができる。
[0026]
 上記の係船索監視システムにおいて、前記繊維ロープが、前記繊維ロープのストランドの内部に組み込まれた前記検出部、もしくは、前記検出部に接続された計測用配線に接続され、かつ、前記繊維ロープの前記ストランドの外周に配置された検出部側接続器と、前記検出部側接続器に離脱可能に接合し、制御装置側配線ケーブルに接続している制御装置側接続器と、前記検出部側接続器と前記制御装置側接続器を前記繊維ロープと共に覆う保護部材とを有して構成されていると次のような効果を発揮できる。
[0027]
 この構成によれば、検出部は、ストランドの中心部に配置されるので保護されると共に、最も繊維ロープの曲げや伸び縮みの影響を少なくすることができる。
[0028]
 また、小型コネクタで形成される検出部側接続器と電源側接続器を繊維ロープのストランドの外周に配置し、計測用配線を外周部に導出して検出部側接続器に接続して、この検出部側接続器に電源側接続器を離脱可能に接合しているので、繊維ロープ側の計測用配線と制御装置側の制御装置側配線ケーブルとの接続とその解除を非常に簡単に行うことができる。
[0029]
 さらに、検出部側接続器と電源側接続器とを、保護部材(繊維織物カバー等)で覆うことで、運用時に接続部分の破損を防止することができる。また、この保護部材は、柔軟な素材を用いることで、繊維ロープ格納時にかさばらず、周囲の繊維ロープも傷付けないので、ハンドリング性能及び繊維ロープ強度の低下を最小限にとどめることができる。
[0030]
 上記の係船索監視システムにおいて、前記繊維ロープのストランドの内部に組み込まれた前記検出部もしくは、前記検出部に接続された計測用配線が、前記繊維ロープを巻き取っている係船用機器の内部にもしくは別体で設けられたデータ処理装置に接続され、前記データ処理装置が前記検出部から伝送されたアナログ信号をデジタル信号に変換して、前記デジタル信号を有線若しくは無線で前記制御装置に伝送するように構成されていると、次のような効果を発揮できる。
[0031]
 これらの検出部もしくは計測用配線が、検出部側接続器と電源側接続器等の接続器を介さずに、データ処理装置に直接接続されている場合は、接続器の耐久性やそれを保護する保護カバーの耐久性の問題を回避できる。更に、係船作業時における乗組員の接続器同士を接続するための手間、例えば、保護カバーの開閉、水密キャップの脱着、接続器の脱着等の手作業を省くことができる。従って、この係船索監視システムを乗組員の手を介さない全自動システムにすることができるようになる。
[0032]
 あるいは、上記の係船索監視システムにおいて、前記繊維ロープのストランドの内部に組み込まれた前記検出部もしくは、前記検出部に接続された計測用配線が、前記繊維ロープの内部もしくは表面上に設けられたデータ処理装置に接続され、前記データ処理装置が前記検出部から伝送されたアナログ信号をデジタル信号に変換して、前記繊維ロープの内部に設けた有線信号伝送ケーブル経由の有線もしくは前記繊維ロープの内部に設けた無線信号送信器からの無線により、前記デジタル信号を、前記繊維ロープを巻き取っている係船用機器の内部にもしくは別体で設けられた中継器を経由して、もしくは、直接、前記制御装置に伝送するように構成されていると、次のような効果を発揮できる。
[0033]
 これにより、繊維ロープの内部もしくは表面上に設けられるような小型のデータ処理装置を用いると、測定したい部位のみに配置した検出部で計測したアナログデータを短い距離の有線伝送で外乱に強いデジタル信号に変換することができるので、より精度よく、繊維ロープの伸長率を検出することができるようになる。また、無線でデジタル信号を中継器もしくは制御装置に送ることにより、有線伝送に必要な有線伝送路を設ける必要が無くなり、また、有線伝送路の破損の恐れも無くなる。
[0034]
 上記の係船索監視システムにおいて、前記検出部を前記繊維ロープの線長方向の中央よりも一端側の前半部と前記中央よりも他端側の後半部にそれぞれ配置すると共に、それぞれの前記検出部もしくはそれぞれの前記検出部に接続された計測用配線を、前記前半部に配置された前記検出部と前記後半部に配置された前記検出部との間から引き出すように構成されていると、次のような効果を発揮できる。
[0035]
 この検出部の有るセンサ挿入領域を係船索の前半分と後半分に2分割し、検出部若しくは計測用配線を中央から引き出すことで、初めは係船索の前半分側を使用し、数年後に係船索の前後を入れ替えて後半分側を使用するという係船索の張り替え方法を行うことができる。
[0036]
 そして、上記の目的を達成するための本発明の係船管理システムは、上記の係船索監視システムを備え、前記係船索を用いての係船作業中と計算作業完了時と係船中の少なくともいずれかで、前記係船索監視システムから得られる各係船索の張力が、予め設定される目標張力になるように、各係船索を巻き取っている係船用機器を制御するように、前記制御装置が構成されている。
[0037]
 この構成によれば、係船索監視システムから得られる各係船索の張力を係船索の張力調整に用いることができるので、各係船索の破断の回避のみならず、各係船索の張力を調整することにより係船状態をより良い係船状態にして、係船されている船舶の船体運動が大きくならないようにすることもでき、気象・海象や船舶の荷役状態や、船舶に入射してくる波等の外乱に対して、時々刻々、より良い係船状態にすることができる。
[0038]
 また、上記の目的を達成するための本発明の係船索監視方法は、船舶が係船索を用いて係船されたときに前記係船索を構成する繊維ロープの伸長率を伸長率検出装置で計測し、前記伸長率検出装置の検出値から前記係船索の張力を算出することを特徴とする方法である。
[0039]
 この係船索監視方法によれば、係船索に加わる荷重からではなく、予め設定された伸長率と張力関係から、あるいは、直前に得られた伸長率と張力の関係に基づいて、伸長率検出装置の検出値から係船索の張力を算出するので、桟橋などの陸上側に船舶を係船する際に、係船作業中、係船作業終了時のみならず、係船している最中における係船索の張力を精度よく算出することができる。
[0040]
 また、上記の目的を達成するための本発明の係船管理方法は、船舶が複数の係船索を用いて係船されたときに、それぞれの前記係船索において、前記係船索に撚り込まれ、かつ、前記係船索を構成する繊維ロープの伸長率を計測する伸長率検出装置で計測した検出値から、前記係船索の張力を算出すると共に、前記係船索を用いての係船作業中と係船作業完了時と係船中の少なくともいずれかで、それぞれの前記係船索において、算出した前記係船索の張力が予め設定されるそれぞれの目標張力になるように、それぞれの前記係船索を巻き取っている係船用機器を制御することを特徴とする方法である。
[0041]
 この係船管理方法によれば、各係船索の破断の回避のみならず、各係船索の張力を調整することにより、係船状態をより良い状態にして、係船されている船舶の船体運動が大きくならないようにすることができ、気象・海象や船舶の荷役状態、及び、船舶に入射してくる波等に対して、時々刻々、より良い係船状態にすることができる。

発明の効果

[0042]
 本発明の係船索監視システム、係船管理システム、係船索監視方法、及び係船管理方法によれば、比較的簡単な構成で、係船索を用いての係船作業中と係船作業完了時と係船中のいずれにおいても、常時、係船索の張力を検知することができて、係船索の破断を予測及び回避できる。

図面の簡単な説明

[0043]
[図1] 図1は、本発明に係る実施の形態の係船索監視システム及び係船管理システムの構成を模式的に示す平面図である。
[図2] 図2は、船舶の甲板上の係船用機器と係船用部材と、桟橋の係船用部材と、伸長率の検出部と張力検出装置の配置を模式的に示す図である。
[図3] 図3は、係船用機器における張力検出装置の配置と、係船索における伸長率の検出部の配置を模式的に示す図である。
[図4] 図4は、伸長率検出装置における索状の検出部の構成を模式的に示す図である。
[図5] 図5は、伸長率検出装置の検出部で検出したインダクタンスの変化から算出した伸長率と、検出部の伸びを寸法測定から求めた伸長率との関係の一例を示す図である。
[図6] 図6は、伸長率検出装置の検出部をストランドに配置した位置を示す図で、(a)はストランドの芯部に検出部を配置した図で、(b)はストランドの中層に検出部を配置した図で、(c)はストランドの外層に検出部を配置した図である。
[図7] 図7は、伸長率検出装置の検出部の長さと繊維ロープの長さとの関係を説明するための図である。
[図8] 図8は、伸長率検出装置の検出部を備えた繊維ロープにおける、検出部配線と制御装置側配線ケーブルの接続部分とその接続部分に対する保護状態を示す説明図である。
[図9] 図9は、測定回数ごとの繊維ロープの伸長率(寸法測定)とストランドの伸長率(センサデータ)の関係を示す図である。
[図10] 図10は、図9と同じ状態における、荷重とストランドの伸長率(センサデータ)の関係を示す図である。
[図11] 図11は、図9と図10と同じ状態における、荷重と繊維ロープの伸長率(寸法測定)の関係を示す図である。
[図12] 図12は、ストランドの伸長率(センサデータ)と、警報(信号)出力との関係を示す、ストランドの伸長率(センサデータ)の時系列の一例を示す図である。
[図13] 図13は、ストランドの伸長率(センサデータ)と、破断荷重と警報荷重との関係を示す模式的な図である。
[図14] 図14は、係船用機器における張力検出装置の配置と、係船索における伸長率の検出部の配置の図3とは他の例を模式的に示す図である。
[図15] 図15は、係船用機器における張力検出装置の配置と、係船索における伸長率の検出部の配置の図3、図14とは別の例を模式的に示す図である。
[図16] 図16は、経年変化の劣化度合いによって変化する、繊維ロープの伸長率と荷重との関係を示す模式的な図である。
[図17] 図17は、劣化度合いを反映した場合における、ストランドの伸長率と、警報(信号)出力との関係を示す、ストランドの伸長率の時系列の一例を示す図である。
[図18] 図18は、劣化度合いを反映した警報値の調整と繊維ロープの交換時期を判定するための制御フローの1例を示す図である。

発明を実施するための形態

[0044]
 以下、本発明に係る実施の形態の係船索監視システム、係船管理システム、係船索監視方法、及び係船管理方法について図面を参照しながら説明する。
[0045]
 なお、ここで例示する係船索の繊維ロープとして、「三つ打ちロープ」を例示して説明しているが、その他の構造、例えば6つ打ち、8つ打ち、12打ち又は2重組打ち等のロープでもあってもよい。
[0046]
 図1~図3に示すように、本発明に係る実施の形態の係船索監視システム40においては、水面3に浮いている船舶1が防舷材(フェンダー)51を挟んで桟橋2に横付けされて係船索30により係船されている状態における、係船索30の張力Tを監視するシステムである。
[0047]
 また、本発明に係る実施の形態の係船管理システム50は、係船索監視システム40を備えて構成され、制御装置43で、係船索監視システム40で得られる各係船索30の張力Tを基に、係船索30を巻き取っている係船用機器(ムアリングウインチなど)42を制御して各係船索30の張力Tを調整制御するシステムである。なお、係船用機器42の操作時において、制御装置43と同じ係船用のデータを見ることができるように、無線通信でデータを送受信するモニター装置43aを備えていることが好ましい。また、陸上側でも、このモニター装置43aを使用して、係船索30のデータを共有しておくことが好ましい。このモニター装置43aは、艦橋の制御室等に設けられたモニターとする場合もあり、また、スマートフォン等による携帯用のモニターとする場合があり、また、両方を用いる場合もある。
[0048]
 図1に示す係船状態、及び図2に示す係船作業中の状態では、船舶1と桟橋2との間には、防舷材51が挟まれている。また、甲板1b上に設けられた、8基の係船用機器42のうちの6基の係船用機器42から6本の係船索30が延びて、その方向を甲板1b上の係船用部材1aにより曲げて、係船索30の先端の輪30aが桟橋2側の「ビット」等と呼ばれる係船用部材2aの周囲に嵌めて固定されている。この状態で、係船索30を係船用機器42で巻き込むことにより、船舶1を桟橋2に寄せて防舷材51に押し付けつつ、図1の係船状態にする。
[0049]
 また、係船索30を構成する繊維ロープ(以下、「係船索」と「繊維ロープ」の参照番号を両方共「30」とする)の伸長率αmを検出する伸長率検出装置20の検出部(伸長率センサ)21が、それぞれの係船索30の測定対象部位に撚り込まれている。なお、この伸長率検出装置20については、さらに下記の別項目で詳細に説明する。
[0050]
 また、この伸長率検出装置20とは別に、係船索30の張力Tを検出する張力検出装置(可搬型張力計等)41が係船用機器42に設けられている。なお、この張力検出装置41は、係船索30の劣化度合いδを算定しない場合等で、この張力検出装置41で検出した張力Tを用いない場合には、この係船索監視システム40では必ずしも必要としない。
[0051]
 この張力検出装置41としては、例えば、周知技術のムアリングウインチなどの係船用機器42に設けた張力計等があるが、桟橋2側の係船用部材2aに設けた張力計2bなどの周知技術の張力検出装置を用いることもできる。また、この張力検出装置41は、必ずしも据え付け型の張力計だけではなく、可搬型の張力計(市販品等)を用いてもよく、さらには、本発明の係船索監視システム40で使用する検出部21を備えて張力を算出できるように検定された繊維ロープ30を用いてもよい。
[0052]
 なお、桟橋2側の張力計2bのデータを用いる場合には無線でデータを船舶1側の制御装置43に送ることが好ましく、この場合に、張力計2bと制御装置43とを無線で直接送受信するように構成してもよいが、図2に示すように、無線の中継と必要に応じてデータの一次処理を行うデータ管理装置2cを設けて、このデータ管理装置2c経由で一次処理したデータを制御装置43に送信するように構成してもよい。
[0053]
 この船舶1の甲板上の係船用部材1aとしては、「ボラード」、「ムアリングホール」、「フェアリーダー」、「クリート」等がある。「ボラード」は、甲板上にあるロープを繋ぎ止めておくための円柱状の柱で、多くが2本1組で用いられる。「ムアリングホール」は、係船索30を形成するロープが甲板の角に直接あたって擦り切れるのを防ぐと同時に、ロープが勝手に甲板上を動き回らないようにするための、甲板の端でロープを通す円形の穴を持つ金具である。「フェアリーダー」は、「ムアリングホール」と同じ機能を持ち、ロープが動くのに合わせて回転し、擦り切れるのを防止する、下または上下にローラーを備えている。「クリート」は「ムアリングホール」とほぼ同じであるが、穴を通さずに、上からロープをかけるためのもので、穴ではなく、上部が開かれている構造を用いている。
[0054]
 また、桟橋2側の係船用部材2aは「ビット」や「係船ビット」と呼ばれる、鋼鉄製の大きな突起物である。船の係船時においては、図2及び図3に示すように、この係船用部材2aに、係船索30の先端の輪(アイ)30aを掛ける。この先端の輪30aが簡単には外れないように、係船用部材2aの上部は陸側に湾曲しているものが多い。
[0055]
 また、ドルフィンはシーバースなどの港湾内の水域に杭等を打ち込んで作った係留施設であり、陸域から離れた海底に打ち込んで固定された部材である。この柱杭の上部が水面上に出ていて、係船索を掛けることができるようになっている。
[0056]
 次に、この係船監視システム10で使用する伸長率検出装置20について説明する。この伸長率検出装置20は、繊維ロープ30の伸長率βmを検出する索状の検出部21を有している。図4に示すように、この検出部21は、コイル芯線21a、コイル巻線21b、絶縁樹脂被膜21c、電磁波シールド層21d、及び、必要に応じ、電磁波シールド層の外面に絶縁樹脂被覆(図4には記載なし)を有して構成されている。
[0057]
 このコイル芯線21aは、アラミド繊維などで形成される芯線補強繊維であり、その長さAの範囲の周囲にはコイル巻線21bが巻回されている。また、このコイル巻線21bは、金属導体線であり、絶縁樹脂被膜21cに囲まれている。さらに、絶縁樹脂被膜21cは、金属線編み構造の電磁波シールド層21dにより囲まれている。
[0058]
 この検出部21に張力T(荷重F)が作用すると、コイル芯線21aとコイル巻線21bとが伸び、コイル巻線21bのインダクタンスLが変化する。このインダクタンスLの変化を、コイル巻線21bを流れる電流の変化から検出する、そして、予め測定しておいたインダクタンスLと、検出部21の伸長率αとの関係から、検出されたインダクタンスLmから検出部21の伸長率αmを得ることができる。
[0059]
 ここで、コイル芯線21aの透磁率をμとし、コイル芯線21aの断面積をS(=2×π×D×D/4)とし、コイル巻線21bの巻き数をN、コイル長さをAとすると、L=(μ×N×N×S/A)となるので、インダクタンスLとコイル長さAの関係が定まる。
[0060]
 そして、図4及び図8に示すように、コイル巻線21b1本をコイル芯線21aにコイル状に巻いた索状の検出部21を2本並行に並べ、一方の端で2本の索状の検出部21からの引き出したコイル巻線21bを互いに電気接続している。また、他方の端では2本の索状の検出部21のコイル巻線21bに接続された計測用配線22を引き出して1次側小型コネクタ(計測部側接続器)23と2次側小型コネクタ(制御装置側接続器)24を経由して、制御装置側配線ケーブル25で計測器(図示しない)に接続している。
[0061]
 図5に、検出されたインダクタンスLmから算定した伸長率αmと寸法測定による伸長率αaとの関係の一例を図示している。これによると、インダクタンスLmから算定した伸長率αmは、寸法測定の伸長率αaとほぼ直線関係(比例関係)にあり、この検出部21におけるインダクタンスLmから伸長率αmを算定することによって得られた測定結果では、検出部21の伸長率αmと寸法測定の伸長率αaは非常に良好な相関関係があることが分かる。以下、インダクタンスLmから算出した伸長率αmを、検出部21の伸長率(ストランド伸長率)αmとして以下の説明を続ける。
[0062]
 そして、図6の(a)に示すように、伸長率検出装置20は、検出部21をフィラメント(原糸)を撚って作ったヤーン(撚糸)31と共に撚り込んで、ストランド(小縄)32aを形成する。この検出部21を設けたストランド32aを他のストランド32b、32cと共に撚り込んで、繊維ロープ30を構成している。つまり、この伸長率検出装置20は、索状の検出部21を有し、繊維ロープ30が、検出部21を芯部に設けたストランド32aを他のストランド32b、32cと共に撚り込んで構成されている。
[0063]
 この検出部21を、図6の(b)に示すように、ストランド32aの中層に設けたり、図6の(c)に示すように、ストランド32aの外層に設けたりするよりも、図6の(a)に示すように芯部に設けることが好ましい。この構成にすると、検出部21とストランド32aの伸び量がほぼ同じになる。それとともに、ストランド32aが他のストランド32b、32cと共に撚り込まれて繊維ロープ30を構成した場合に、繊維ロープ30の伸び量に比べて、撚られているストランド32aの芯部の伸び量が、ストランド32aの外層や中層の伸び量よりも小さくなる。そのため、芯部に配置された方の検出部21の耐久性がより高くなるという利点がある。
[0064]
 また、図7に示すように、繊維ロープ30の直線長さArよりも、撚り込まれているストランド32aの長さ(図7の一点鎖線に沿った長さ)Asの方が長くなる。そのため、伸長率検出装置20による測定では、ストランド32aの伸長率αを測定するので、繊維ロープ30の伸長率βを直接測定することはできない。しかし、両者の伸長率α、βの事前の測定などにより、伸長率検出装置20によるストランド32aの芯部の繊維の伸長率の測定値(=検出部21の伸長率)αmから、繊維ロープ30の伸長率βmを算出できる。
[0065]
 検出部21は必要に応じ、100メートルを超える長さで用いられる場合もある。また検出部ではインダクタンス値の検出の他、必要に応じ、コイル巻線21bや電磁波シールド層21dの電気抵抗値(直流抵抗もしくは交流抵抗)、もしくはコイル巻線21bと電磁波シールド層21d間のキャパシタンス値等の検出が為されても良い。
[0066]
 そして、図8に示すように、繊維ロープ30のストランド32aに撚り込まれた検出部21からの制御装置側配線ケーブル25の導出部分に関しては、計測用配線22、1次側小型コネクタ(検出部側接続器)23、2次側小型コネクタ(制御装置側接続器)24、制御装置側配線ケーブル25、緩衝材33、繊維ベルトカバー34、位置固定用結び紐(図示しない)等が有り、船上で接続作業がし易いように、次のように構成されている。
[0067]
 計測用配線22は、繊維ロープ30のストランド32aに撚り込まれた検出部21のコイル巻線21bに接続され、かつ、繊維ロープ30のストランド32a、32b、32cを構成する繊維に囲まれて保護されている。それと共に、繊維ロープ30のストランドの中心部に配線されるので、最も繊維ロープ30の曲げや伸び縮みの影響を少なくすることができる。
[0068]
 計測用配線22は、1次側小型コネクタ23に接続されている。また、制御装置側配線ケーブル25は、2次側小型コネクタ24に接続している。そして、この1次側小型コネクタ23に2次側小型コネクタ24が離脱可能に接合している。1次側小型コネクタ23と2次側小型コネクタ24は両方とも、繊維ロープ30のストランド32a、32b、32cの外周に配置されている。これにより、繊維ロープ30側の検出部21と制御装置との接続とその解除を非常に簡単に行うことができる。なお、図8では、計測用配線22を図示しているが、この計測用配線22は検出側接続器近傍の短い距離(ストランドの外側に出ている部分)のみである。
[0069]
 また、1次側小型コネクタ23と2次側小型コネクタ24はいずれも繊維ロープ30の外周に位置し、さらに、繊維ベルトカバー34で検出部21から1次側小型コネクタ23と2次側小型コネクタ24の有る部分を囲い、検出部21、または、1次側小型コネクタ23と2次側小型コネクタ24の位置が外部から視認できるようにしている。
[0070]
 これにより、例えば、厚みが4mm程度の繊維ベルトカバー34で覆っているので、1次側小型コネクタ23と2次側小型コネクタ24との接続部分に圧迫耐性を付与して、この接続部分を十分保護することができる。
[0071]
 上記の図8に示す構成では、1次側小型コネクタ23と2次側小型コネクタ24を用いているが、図14に示すような中間コネクタを使用しない構成にしてもよい。この構成では、繊維ロープ30のストランド32aの内部に組み込まれた検出部21が、必要に応じて計測用配線22を介して、繊維ロープ30を巻き取る係船用機器42に設けられたデータ処理装置27に接続され、データ処理装置27が検出部21から伝送されたアナログ信号をデジタル信号に変換して、このデジタル信号を有線若しくは無線で制御装置43に伝送するように構成される。
[0072]
 この構成では、検出部21が、必要に応じて計測用配線22を介して、1次側小型コネクタ23と2次側小型コネクタ24を介さずに、データ処理装置27に直接接続している場合は、コネクタ23、24の耐久性やコネクタ23、24を保護する繊維ベルトカバー(保護カバー)34の耐久性の問題を回避できる。更に、係船作業時における乗組員によるコネクタ23、24を接続する手間、例えば、繊維ベルトカバー34の開閉、水密キャップの脱着、コネクタ23、24の脱着等を省くことができる。また、検出部21が、必要に応じて計測用配線22を介し、コネクタ23、24を介している場合でも、係船用機器42に設けられているデータ処理装置27に接続されていると、係船作業時においてコネクタ23、24を脱着させる必要が無いので、乗組員のコネクタ23、24同士を接続するための手間を省くことができる。これにより、この係船索監視システム40を乗組員の手を介さない全自動システムにすることができる。
[0073]
 また、この人手を介さない全自動システムとしては、検出部21を繊維ロープ30に撚り込むとともに、検出部21を、必要に応じて計測用配線22を介して、接続するデータ処理装置27を係船用機器42に設置するだけでなく、係船作業時に、係船作業を開始すると共に、制御装置43が、自動でデータ計測を開始し、この計測データを自動で解析して、各係船索30の張力を算出して、この算出した張力をリアルタイムで表示させる張力連続計測システムになるように構成することが好ましい。このデータ処理装置27は、ノートパソコンサイズに小型化し、係船用機器42に搭載する形にして、組み込むことが好ましい。
[0074]
 あるいは、図15に示すように、この係船索監視システム40において、繊維ロープ30のストランド32aの内部に組み込まれた検出部21は、必要に応じて計測用配線22を介し、繊維ロープ30の内部もしくは表面上に設けられたデータ処理装置27に接続される。
[0075]
 このデータ処理装置27は、検出部21から伝送されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。このデジタル信号は、有線若しくは無線で制御装置43に伝送される。有線の場合は、繊維ロープ30の内部に設けた有線信号伝送ケーブル26を経由して伝送され、無線の場合は、繊維ロープ30の内部若しくは表面上に設けた無線信号送信器27aからの無線により伝送される。なお、無線信号送信器27aはデータ処理装置27に組み込んでおくことが好ましい。また、このデジタル信号は、繊維ロープ30を巻き取っている係船用機器42の内部にもしくは別体で設けられた中継器28を経由して、もしくは、直接、制御装置43に伝送される。
[0076]
 これにより、繊維ロープ30の内部もしくは表面上に設けられるような小型のデータ処理装置27を用いて、測定したい部位のみに配置した検出部21で計測したアナログデータを短い距離の有線伝送で外乱に強いデジタル信号に変換することができるので、より精度よく、繊維ロープ30の伸長率βmを検出することができるようになる。また、無線でデジタル信号を中継器28もしくは制御装置43に送ることにより、有線伝送に必要な有線伝送路を設ける必要が無くなり、また、有線伝送路の破損の恐れも無くなる。
[0077]
 更に、検出部21を繊維ロープ30の線長方向の中央よりも一端側の前半部と前記中央よりも他端側の後半部にそれぞれ配置する。それと共に、それぞれの検出部21、もしくはそれぞれの検出部21に接続された計測用配線22を、前半部に配置された検出部21と後半部に配置された検出部21との間から引き出すように構成する。これにより、繊維ロープ30からの検出部21、もしくは計測用配線22の引き出し部分を繊維ロープ30のほぼ中央に配置できるので、初めは係船索(繊維ロープ)30の前半分側を使用し、数年後に係船索30の前後を入れ替えて後半分側を使用するという係船索の張り替え方法を行うことができるようになる。
[0078]
 次に、この繊維ロープ30を用いて、寸法測定から得た繊維ロープの伸長率βm又は荷重Fと、検出部21から得たセンサデータであるストランド伸長率αmとの関係について説明する。図9~図11に示す例では、荷重Fの大きさを、第1回目と第2回目でロープ破断荷重に対する負荷率で15%負荷とし、第3回目と第4回目で30%負荷とし、第5回目と第6回目で45%負荷とし、第7回目と第8回目で60%負荷とし、第9回目で破断まで荷重Fを増加している。
[0079]
 図9に、繊維ロープの伸長率(寸法測定)βaとストランド伸長率(センサデータ)αmとの関係の一例を示す。また、図10に、この図9のときの荷重Fとストランド伸長率αmとの関係を示す。さらに、図11に、これらの図9と図10のときの荷重Fと繊維ロープの伸長率βaの関係を示す。
[0080]
 この図9~図11では、繊維ロープの伸長率βa又は荷重Fが小さいうちは、繊維ロープの締まりが変化するため、最大荷重の履歴に依存して、曲線が変化している。そのため、荷重Fが小さいうちは、ストランド伸長率αmに基づいて繊維ロープの伸長率βaまたは荷重Fを監視するためには荷重Fの履歴データが必要になる。しかし、荷重Fが大きくなり、ストランド伸長率αmが約1.05以上では、ストランド伸長率αmと繊維ロープの伸長率βa又は荷重Fの関係は、ほぼ一直線上になっているので、破断張力に至る前の警報発生用又は信号出力用の警報値を超えるか否かの判定のための推定値として、ストランド伸長率αmは十分に使用できることが分かった。
[0081]
 また、特に図示しないが、荷重Fの大きさを、第1回目から第4回目まで30%負荷とし、ロープ緩和処理後の第5回目で30%負荷とした場合も実験した。この実験では、第1回目から第2回目後の曲線はロープの締まりの影響を受けているが、ロープの締まりが安定すると一定の曲線に落ち着く傾向があった。また、第4回目後にロープを意図的に緩めると曲線も変化し、ヒステリシスが見られた。なお、繊維ロープの伸長率(寸法測定)βaとストランド伸長率(センサデータ)αmは一直線上に並ばないが、この部分の現象は「構造延び」(撚り締まり)に相当している。
[0082]
 次に、係船索監視システム40における係船索30の監視と、警報又は信号の出力に関して説明する。係船索監視システム40では、上記の索状の検出部21を撚り込んだ繊維ロープを係船索30として用いる。これにより、係船索監視システム40は、船舶1が係船索30を用いて桟橋2等に係船されたときに係船索30を構成する繊維ロープの伸長率βmを検出する伸長率検出装置20を備えて構成される。
[0083]
 そして、さらに、この伸長率検出装置20の検出値βmから係船索30の張力Tmを算出する制御装置43を備えて構成される。なお、ストランド伸長率αmから繊維ロープの伸長率βmを算出することなく、ストランド伸長率αmから直接係船索30の張力Tmを算出してもよい。また、以下の説明では、伸長率検出装置20の検出値として、ストランド伸長率αmを用いて説明しているが、ストランド伸長率αmの代わりに、このストランド伸長率αmから算出される繊維ロープの伸長率βmを用いてもよい。
[0084]
 この構成によれば、繊維ロープ30に加わる荷重Fからではなく、予め設定されたストランド伸長率αmと張力Tmとの関係から、例えば、図10に示すような、事前の試験で得られたストランド伸長率αmと張力Tmとの関係をマップデータM1等でデータベース化して記憶しておき、係船作業中に得られたストランド伸長率αmからそのマップデータM1を参照して、張力Tmを算出する。これにより、張力検出装置41(又は2b)は使用せずに、張力Tmを算出できる。
[0085]
 あるいは、直前に得られたストランド伸長率αmと張力Tmの関係に基づいて、伸長率検出装置20の検出値αm)から係船索30の張力Tmを算出する。この場合は、例えば、係船作業中に伸長率検出装置20で得られたストランド伸長率αmと、張力検出装置43(又は張力計2b)から得られた張力Tmとで、新たなマップデータM2を作成したり、マップデータM1を修正や更新をしたりして、事前に(張力Tmを算出する前までに)、最新のマップデータMnewを作成する。
[0086]
 そして、このマップデータMnewを参照して、係船作業中に得られたストランド伸長率αmから係船索30の張力Tmを算出する。この場合は、張力検出装置41(又は張力計2b)を使用するが、ストランド伸長率αmと張力Tmとの関係を事前の試験で得てマップデータM1等でデータベース化して記憶しておく必要はない。
[0087]
 これらによれば、伸長率検出装置20の検出値であるストランド伸長率αmから係船索30の張力Tmを算出するので、係船作業中、係船作業終了時のみならず、係船している最中における係船索30の張力Tmをより精度よく算出することができる。また、この伸長率検出装置20では、繊維ロープ30における伸長率検出装置20の検出部21がある測定対象部分のストランド伸長率αmを検出することができるので、より精度よく、その測定対象部分における張力Tmを算出できるようになる。
[0088]
 また、この制御装置43は、伸長率検出装置20の検出値αm又はこの検出値αmから算出された係船索30の張力に関係する算出値βm、Tmが、予め設定される警報値αc、βc、Tcを超えた場合に、警報を出力するか、又は信号を出力するかのいずれかを行うように構成されている。この伸長率検出装置20の検出値又は算出値としては、ストランド伸長率αmを用いてもよく、このストランド伸長率αmから算出した繊維ロープ30の伸長率βmを用いてよい。さらには、ストランド伸長率αm又は繊維ロープ30の伸長率βmから算出した張力Tmを用いてもよい。
[0089]
 一般に、係船索30の張力Tは、船舶1が桟橋2に係船されている状態であっても、比較的長時間の変化となる潮の干満やうねり、船舶の積荷の荷役状態の影響に加えて、比較的短時間の変化となる桟橋2に打ち寄せる自然の波と、近くを航行する船舶からの波を受ける。係船索30の張力Tは、短期的には、これらの波による船舶1の船体動揺による変動の影響が大きく、図12に例示するように、時間の経過と共に変動している。
[0090]
 そこで、図13に示すように、これらの時間的変動も考慮に入れて、破断荷重Fdに相当するストランド伸長率αdを設定し、これに対して、警報荷重Fcを設定し、この警報荷重Fcに相当する警報値αcを設定する。なお、ストランド伸長率αdと警報値αcの代わりに、繊維ロープ30の伸長率βdと警報値βcを、又は、張力Tdと警報値Tcを用いてもよい。
[0091]
 なお、この予め設定される警報値αc、βc、Tcの設定時期は、判定の前までであればよく、必ずしも固定値である必要は無く、気象・海象などの外乱要因や、係船索30の劣化度合いに基づいて、更新される値で有ってもよい。また、警報は、ブザーや音声メッセージ等の聴覚的なものであっても、赤色灯の点滅など視覚的なものであってもよい。また、信号としては、他の警報装置を起動させる信号や係船索30の巻き取りを行う係船用機器42を制御するために使用される信号等が考えられる。
[0092]
 また、本発明に係る実施の形態の係船索監視方法では、船舶1が係船索30を用いて桟橋2に係船されたときに係船索30を構成する繊維ロープの伸長率βmを伸長率検出装置20で検出し、前記伸長率検出装置20の検出値αm(又は、βm)から係船索30の張力Tmを算出する。なお、以下の説明では、ストランド伸長率αmを用いて説明しているが、ストランド伸長率αmの代わりに、繊維ロープの伸長率βmを用いてもよい。
[0093]
 この係船索監視方法によれば、繊維ロープ30に加わる張力Tからではなく、予め設定されたストランド伸長率αmと張力Tmとの関係から、あるいは、直前に得られたストランド伸長率αmと張力Tmの関係に基づいて、伸長率検出装置20の検出値αmから係船索30の張力Tmを算出するので、係船作業中、係船作業終了時のみならず、係船している最中における係船索30の張力Tmをより精度よく算出することができる。
[0094]
 また、この係船索監視方法において、計測された伸長率αmが予め設定される警報値αcを超えた場合に、警報を出力するか、又は信号を出力するかすると、比較的簡単な構成で、係船索30の張力Tmを検知することで、繊維ロープ30の破断の予兆を検知して、係船索30の破断を予測及び回避できる。
[0095]
 この方法では、伸長率αmを破断の警報として用いるが、伸長率検出装置20の検出値αmから係船索30の張力Tmを算出する方法では、設計許容負荷の大きさから30%~50%以上の負荷に対しては、算出された張力Tmの精度が高くなっている。また、繊維ロープ30の材料がアラミド繊維などの高強度繊維である方が、弾性率が安定しているので、比較的精度が良くなる。
[0096]
 更に、この係船索監視システム40において、繊維ロープ30の劣化度合いδを考慮したシステムとしてもよい。この場合は次のような構成となる。つまり、制御装置43が、伸長率検出装置20で検出した繊維ロープ30の伸長率βmの値と、繊維ロープ30の張力Tを伸長率検出装置20とは別途に検出する張力検出装置41で検出した張力(荷重)Tmmの値とから、繊維ロープ30の劣化度合いδを判定して、劣化度合いδに従って警報値βcの値を低下させる。
[0097]
 つまり、係船索監視システム40は、繊維ロープ30の伸長率βmの値を検出する伸長率検出装置20と、伸長率検出装置20とは別途で繊維ロープ30の張力Tを検出する張力検出装置41と、伸長率検出装置20で検出した繊維ロープ30の伸長率βmの値と張力検出装置41で検出した張力(荷重)Tmmの値とから、繊維ロープ30の劣化度合いδを判定して、劣化度合いδに従って警報値βcの値を低下させる制御装置43を有して構成される。
[0098]
 言い換えれば、係船索監視システム40の係船索監視方法は、伸長率検出装置20で繊維ロープ30の伸長率βmの値を検出するステップと、張力検出装置41で伸長率検出装置20とは別途で繊維ロープ30の張力Tを検出するステップと、制御装置43で、伸長率検出装置20で検出した繊維ロープ30の伸長率βmの値と張力検出装置41で検出した張力(荷重)Tmmの値とから、繊維ロープ30の劣化度合いδを判定するステップと、劣化度合いδに従って警報値βcの値を低下させるステップを有している。
[0099]
 この張力検出装置41は、必ずしも据え付け型の張力計だけではなく、可搬型の張力計(市販品等)を用いてもよく、さらには、本発明の係船索監視システム40で使用する検出部21を備えて張力を算出できるように検定された繊維ロープ30を用いてもよい。そして、配置位置としては、甲板1b上の係船用部材1aに繋がれた係船索30に設けられていてもよく、また、桟橋2の係船用部材2aに繋がれた係船索30に設けられていてもよい。
[0100]
 この劣化度合いδの判定に関しては、以下の第1の方法と第2の方法がある。第1の方法では、従来では、係船に所定期間使用した繊維ロープの一部分を切断して、船から下してロープ製造所等に持ち帰り、引張試験装置を行って、破断する荷重を測定し、劣化度合を確認していたので、この張試験装置で測定した応力歪線図のデータが既に蓄積されている場合には、それと対照して繊維ロープの劣化状態や破断荷重を推定する。
[0101]
 一方、上記のデータが蓄積されていない場合には、第2の方法で、同一荷重に対する伸長率の増加または同一の伸長率に対する荷重の減少より、経年劣化等による応力歪線図のシフト度合を推定し、必要に応じ外挿等を行う事によって、破断荷重点を推定する。つまり、繊維ロープ30は、経年劣化等により、同一荷重に対する伸長率または同一の伸長率に対する荷重が変化することに注目して、次のようにして算出することができる。
[0102]
 この第2の方法では、繊維ロープ30は同じ張力(荷重)Tmmが加わっても、繊維ロープ30の伸長率βmが経年劣化により徐々に大きくなるので、繊維ロープ30の伸長率βmの値と、張力検出装置41で検出し張力(荷重)Tmmとの比γである「γ=(伸長率βm)/(張力(荷重)Tmm)」が徐々に大きくなる。
[0103]
 そこで、図16に示すように、繊維ロープ30の新品時(a)と、ある程度の時間を経過した後の(b)時点、(c)時点における繊維ロープ30において、測定したTmmjとβmjとから、繊維ロープの伸長率βmと張力(荷重)Tmmとの関係を示す曲線LcのデータLc(a)、Lc(b)、Lc(c)を算出する。
[0104]
 そして、同一の張力(荷重)Tmmに対する伸長率βmの変化に注目する場合には、予め設定した繊維ロープの伸長率βmi、あるいは、予め設定した張力(荷重)Tmmiにおけるγiを「γi=βmi/Tmm」で定義して、繊維ロープの伸長率βmiのi=1~nにおける平均値γを、γ(a)=Σ〔βmi(a)/Tmmi(a)〕/n、γ(b)=Σ〔βmi(b)/Tmmi(b)〕/n、γ(c)=Σ〔βmi(c)/Tmmi(c)〕/nとして算出する。そして、γ(r)を基準値として、劣化度合いδを、「δ=γ/γ(r)」と定義して、δ(a)=γ(a)/γ(r)、δ(b)=γ(b)/γ(r)、δ(c)=γ(c)/γ(r)を算出する。
[0105]
 一方、同一の伸長率βmに対する張力(荷重)Tmmの変化に注目する場合には、図16に示すように、予め設定した繊維ロープの伸長率βmiにおける張力(荷重)Tmmi(a)、Tmmi(b)、Tmmi(c)を用いて、各繊維ロープの伸長率βmiにおける劣化度合いδiを、各張力(荷重)の基準値Tmmi(r)を用いて、「δi=Tmmi/Tmmi(r)」で定義して、δi(a)=Tmmi(a)/Tmmi(r)、δi(b)=Tmmi(b)/Tmmi(r),δi(c)=Tmmi(c)/Tmmi(r)を算出する。さらに、背にロープ30の劣化度合いδを、「δ=〔Σδi〕/n」で定義して、繊維ロープの伸長率βmiのi=1~nにおける平均値、δ(a)=〔Σδi(a)〕/n、δ(b)=〔Σδi(b)〕/n、δ(c)=〔Σδi(c)〕/nを算出する。
[0106]
 これらの基準値γ(r)、Tmmi(r)としては、繊維ロープ30の新品時(a)の値γ(a)、Tmmi(a)としてもよく、予め行った実験の結果や計算等で設定した値を用いてもよいが、繊維ロープ30の新品時(a)の値γ(a)、Tmmi(r)を使用すると、繊維ロープ30の個々の性質(製造時のばらつき)を考慮することができる。
[0107]
 これらの方法により、繊維ロープ30の劣化度合いδを算出して、図17に示すように、この劣化度合いδに応じて、警報値βcの値を低下させる。例えば、βc(b)=βc(a)/γ(b)等に変更する。つまり、劣化度合いδが増加するにつれて連続的又は段階的に警報値βcの値を低下させる。この劣化度合いδと警報値βcの関係は予め実験や計算等により設定しておく。これにより、警報値βcの値を係船索30の劣化度合いδに基づいて更新及び調整することができるようになる。
[0108]
 なお、上記では、「伸長率」と「警報値」として、「繊維ロープの伸長率βm」と「警報値βc」を用いたが、これらの代わりに「ストランド伸長率αm」と「警報値αc」、「張力Tm」と「警報値Tc」を用いてもよい。
[0109]
 更に、制御装置43が、繊維ロープ30の劣化度合いδが、予め設定された交換時期警告値δcを超えた場合に、繊維ロープ30が交換時期に達していることを警告するように構成する。
[0110]
 つまり、係船索監視システム40の制御装置43は、繊維ロープ30の劣化度合いδを算出する機能と、算出された劣化度合いδと予め設定された交換時期警告値δcとを比較する機能と、劣化度合いδが交換時期警告値δcを超えたと判定した場合に、繊維ロープ30が交換時期に達していることを警告する機能を有して構成される。
[0111]
 言い換えれば、係船索監視システム40の係船索監視方法は、繊維ロープ30の劣化度合いδを算出するステップと、算出された劣化度合いδと予め設定された交換時期警告値δcとを比較するステップと、劣化度合いδが交換時期警告値δcを超えたと判定した場合に、繊維ロープ30が交換時期に達していることを警告するステップを有している。
[0112]
 この交換時期警告用の劣化度合い値δcは、実験や計算などにより予め設定しておく。これにより、繊維ロープ30の劣化度合いδが進捗すると、係船時に破断する恐れが生じるが、この警告により、適切な時期に繊維ロープ30を交換して繊維ロープ30の破断を回避することができるようになるので、係船時における安全性を向上することができる。
[0113]
 この繊維ロープ30の劣化度合いδに基づいて、警報値βcの調整と繊維ロープ30の交換時期の判定を行う制御方法に関しての制御フローの1例を図18に示す。この図18の制御フローでは、この制御装置43のスイッチが入れられると、上位の制御フローから呼ばれて、図18の制御フローがスタートする。そして、ステップS11で、初期値を入力する。この初期値としては、判定用数値として使用する、基準となる「張力―伸長率の関係」や新品に対する警報値βc等がある。
[0114]
 次のステップS12で劣化判断の開始をする。この劣化判断では、ステップS13で、対象とする繊維ロープ30の張力(荷重)Tmmiと伸長率βmiを測定し、ステップS14でこの測定した張力(荷重)Tmmと伸長率βmの関係から劣化度合いδを算出する。
[0115]
 次のステップS15で警報値βcの調整をして、新たな警報値βcを設定する。そして、この新たな警報値βcを出力または更新し、上位の制御フローなどでこの警報値βcを使って、警報を発するか否かを判定する。
[0116]
 また、次のステップS16で繊維ロープ30の交換時期を判定する。そして、交換時期であると判定した場合は、交換時期であるとの警告を出す。その後リターンしてステップS12に戻り、ステップS12~ステップS16を繰り返す。そして、制御装置43のスイッチが切られるなどして、終了信号が発生され、この制御フローに割り込まれると、各ステップからリターンに入り、上位の制御フローに戻り、この上位の制御フローの終了とともに、図18の制御フローも終了し、この制御フローを終了する。
[0117]
 次に、本発明に係る実施の形態の係船管理システム50は、上記の係船索監視システム40を備えて構成される。また、制御装置43が、係船索30を用いての係船作業中と係船作業完了時と係船中の少なくともいずれかで、係船索監視システム40から得られた各係船索30の張力Tが予め設定される目標張力Ttになるように、各係船索30を巻き取っている係船用機器42を制御するように構成されている。
[0118]
 なお、この各係船索30の自動調整のための各係船索30における検出部21の配置としては、繊維ロープ30が張っている直線部なる部分で、かつ、船上(もしくは陸上のボラード近く)になる部分に配置しておくことが好ましい。また、繊維ロープ30の弾性率ηを求めて、予め設定される弾性率ηと張力Tの関係に基づいて、この弾性率ηから張力Tを計算し、この張力Tに基づいて、各係船索30の張力Tの分担を監視若しくは自動調整するようにしてもよい。
[0119]
 さらには、船舶1の気象・海象や潮流などのデータに加えて、GPS(全地球測位システム)からの信号を基に算出した船舶の姿勢や船体運動などの状態を考慮しつつ、検出部21から得られた張力Tmのデータを基に、係船用機器42を操作又は制御することでより、特に移動調整することにより、きめ細かな係船管理が可能となる。
[0120]
 この構成によれば、係船索監視システム40から得られる各係船索30の張力Tmを用いることができるので、各係船索30の破断の回避のみならず、各係船索30の張力Tを調整することにより係船状態をより良い係船状態にして、係船されている船舶1の運動が大きくならないようにすることもでき、気象・海象や船舶の荷役状態や、船舶1に入射してくる波等の外乱に対して、時々刻々、より良い係船状態にすることができる。そして、張力検出装置41と組み合わせて弾性率ηを算出することで、劣化具合を診断できるようになる。
[0121]
 次に、本発明に係る係船索監視方法と係船管理方法について説明する。この係船索監視方法では、船舶1が係船索30を用いて桟橋2に係船されたときに係船索30を構成する繊維ロープの伸長率βmを伸長率検出装置20で計測し、伸長率検出装置20の検出値αm(又はβm)から繊維ロープ30の張力Tmを算出する。
[0122]
 この係船索監視方法によれば、繊維ロープ30に加わる荷重Fからではなく、予め設定された伸長率αmと張力Tmの関係から、あるいは、直前に得られた伸長率αmと張力(荷重)Tmmの関係に基づいて、伸長率検出装置20の検出値αmから係船索30の張力Tmを算出するので、係船作業中、係船作業終了時のみならず、係船している最中における係船索30の張力Tmをより精度よく算出することができる。
[0123]
 また、本発明に係る実施の形態の係船管理方法では、船舶1が複数の係船索30を用いて桟橋2等に係船されたときに、それぞれの係船索30において、係船索30に撚り込まれた伸長率検出装置20で計測した検出値αm(又はβm)から、係船索30の張力Tmを算出すると共に、係船索30を用いての係船作業中と係船作業完了時と係船中の少なくともいずれかで、それぞれの係船索30において、算出した係船索30の張力Tmが予め設定されるそれぞれの目標張力Ttになるように、それぞれの係船索30を巻き取っている係船用機器42を制御する。
[0124]
 この係船管理方法によれば、各係船索30の破断の回避のみならず、各係船索30の張力Tを調整することにより係船状態をより良い係船状態にして、係船されている船舶1の運動が大きくならないようにすることができ、気象・海象や船舶1の荷役状態に対して、時々刻々、より良い係船状態にすることができる。
[0125]
 従って、上記の構成の係船索監視システム40、係船管理システム50、係船索監視方法、及び係船管理方法によれば、比較的簡単な構成で、係船索30の張力Tmを検知することができて、係船索30の破断を予測及び回避できる。

符号の説明

[0126]
1 船舶
1a 甲板上の係船用部材
1b 甲板
2 桟橋
2a 桟橋側の係船用部材
2b 張力計
2c データ管理装置
20 伸長率検出装置
21 検出部(伸長率センサ)
21a コイル芯線
21b コイル巻線
21c 絶縁樹脂被膜
21d 電磁波シールド層
22 計測用配線
23 1次側小型コネクタ(検出部側接続器)
24 2次側小型コネクタ(制御装置側接続器)
25 制御装置側配線ケーブル
26 有線信号伝送ケーブル
27 データ処理装置
27a 無線信号送信器
28 中継器
30 係船索(繊維ロープ)
30a 係船索の先端の輪
32a 検出部を練り込んだストランド(小縄)
32b、32c 検出部の無いストランド(小縄)
33 緩衝材
34 繊維ベルトカバー
40 係船索監視システム
41 張力検出装置(可搬型張力計等)
42 係船用機器(ムアリングウインチなど)
43 制御装置
43a モニター装置
50 係船管理システム
51 防舷材
F 荷重
Fc 警報荷重
Fd 破断荷重
T 係船索の張力
Tc 警報荷重に相当する張力
Td 破断荷重に相当する張力
Tm 張力(伸長率検出装置で算出された張力)
Tmm 張力(荷重)(張力検出装置で検出された張力(荷重))
Tt 目標張力
α 検出部のストランド伸長率(伸長率)
αa 寸法測定による伸長率(ストランド伸長率)
αc、βc 警報荷重に相当する警報値
αd :破断荷重に相当するストランド伸長率
αm 検出されたストランド伸長率(伸長率)
βd 破断荷重に相当する繊維ロープの伸長率(伸長率)
βm 繊維ロープの伸長率(伸長率)
γ 伸長率と張力の比
δ 劣化度合い
η 伸張率

請求の範囲

[請求項1]
 船舶を係船している係船索を構成する繊維ロープの伸長率を検出する伸長率検出装置と、前記伸長率検出装置の検出値から前記係船索の張力を算出する制御装置を備えて構成されていることを特徴とする係船索監視システム。
[請求項2]
 前記伸長率検出装置の検出値、又は前記検出値から算出された前記係船索の張力に関係する算出値が、予め設定される警報値を超えた場合に警報を出力するか、又は信号を出力するかのいずれかを行うように、前記制御装置が構成されていることを特徴とする請求項1に記載の係船索監視システム。
[請求項3]
 前記制御装置が、前記伸長率検出装置で検出した前記繊維ロープの伸長率の値と、前記繊維ロープの張力を前記伸長率検出装置とは別途に検出する張力検出装置で検出した張力値とから、前記繊維ロープの劣化度合いを判定して、前記劣化度合いに従って前記警報値の値を低下させるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の係船索監視システム。
[請求項4]
 前記制御装置が、前記劣化度合いが、予め設定された交換時期警告値を超えた場合に、前記繊維ロープが交換時期に達していることを警告するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の係船索監視システム。
[請求項5]
 前記伸長率検出装置が、前記繊維ロープの伸長率を検出する索状の検出部を有し、
 前記繊維ロープが、前記検出部を内部に組み込んでいることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の係船索監視システム。
[請求項6]
 前記繊維ロープが、
 前記繊維ロープのストランドの内部に組み込まれた前記検出部、もしくは、
 前記検出部に接続された計測用配線に接続され、かつ、前記繊維ロープの前記ストランドの外周に配置された検出部側接続器と、
 前記検出部側接続器に離脱可能に接合し、制御装置側配線ケーブルに接続している制御装置側接続器と、
 前記検出部側接続器と前記制御装置側接続器を前記繊維ロープと共に覆う保護部材とを、有して構成されていることを特徴とする請求項5に記載の係船索監視システム。
[請求項7]
 前記繊維ロープのストランドの内部に組み込まれた前記検出部もしくは、前記検出部に接続された計測用配線が、前記繊維ロープを巻き取っている係船用機器の内部にもしくは別体で設けられたデータ処理装置に接続され、前記データ処理装置が前記検出部から伝送されたアナログ信号をデジタル信号に変換して、前記デジタル信号を有線若しくは無線で前記制御装置に伝送するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の係船索監視システム。
[請求項8]
 前記繊維ロープのストランドの内部に組み込まれた前記検出部もしくは、前記検出部に接続された計測用配線が、前記繊維ロープの内部もしくは表面上に設けられたデータ処理装置に接続され、
 前記データ処理装置が前記検出部から伝送されたアナログ信号をデジタル信号に変換して、
 前記繊維ロープの内部に設けた有線信号伝送ケーブル経由の有線もしくは前記繊維ロープの内部に設けた無線信号送信器からの無線により、前記デジタル信号を、前記繊維ロープを巻き取っている係船用機器の内部にもしくは別体で設けられた中継器を経由して、もしくは、直接、前記制御装置に伝送するように構成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の係船索監視システム。
[請求項9]
 前記検出部を前記繊維ロープの線長方向の中央よりも一端側の前半部と前記中央よりも他端側の後半部にそれぞれ配置すると共に、それぞれの前記検出部もしくはそれぞれの前記検出部に接続された計測用配線を、前記前半部に配置された前記検出部と前記後半部に配置された前記検出部との間から引き出すことを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載の係船索監視システム。
[請求項10]
 請求項1~9のいずれか1項に記載の係船索監視システムを備え、
 前記係船索を用いての係船作業中と係船作業完了時と係船中の少なくともいずれかで、前記係船索監視システムから得られる各係船索の張力が、予め設定される目標張力になるように、各係船索を巻き取っている係船用機器を制御するように、前記制御装置が構成されていることを特徴とする係船管理方法。
[請求項11]
 船舶が係船索を用いて係船されたときに前記係船索を構成する繊維ロープの伸長率を伸長率検出装置で計測し、前記伸長率検出装置の検出値から前記係船索の張力を算出することを特徴とする係船索監視方法。
[請求項12]
 船舶が複数の係船索を用いて係船されたときに、それぞれの前記係船索において、前記係船索に撚り込まれ、かつ、前記係船索を構成する繊維ロープの伸長率を計測する伸長率検出装置で計測した検出値から、前記係船索の張力を算出すると共に、
 前記係船索を用いての係船作業中と係船作業完了時と係船中の少なくともいずれかで、それぞれの前記係船索において、算出した前記係船索の張力が予め設定されるそれぞれの目標張力になるように、それぞれの前記係船索を巻き取っている係船用機器を制御することを特徴とする係船管理システム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]