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1. WO2020110803 - 車両用灯具およびDMDの制御方法

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明 細 書

発明の名称 車両用灯具およびDMDの制御方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008   0009   0010  

課題を解決するための手段

0011   0012   0013  

発明の効果

0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081  

産業上の利用可能性

0082  

符号の説明

0083  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : 車両用灯具およびDMDの制御方法

技術分野

[0001]
 本発明は、車両用灯具に関する。

背景技術

[0002]
 光を空間的にパターニングする空間変調器として、DMD(Digital Micromirror Device)が知られている。DMDは高分解能であり、高速にパターンを切替可能であることから、走行状況に応じて配光を適応的に切り替えるADB(Adaptive Driving Beam)システムや、路面に運転支援のためのパターンを描画する路面描画システムなど、車両用灯具への採用が検討されている。
[0003]
 図1(a)~(c)は、DMDの構造を示す図である。DMD100は、図1(a)に示すようにマトリクス状に配置された可動式のマイクロミラー104のアレイ102を備える。各マイクロミラー104は、画素に対応する。図1(b)に示すように、各マイクロミラー104は、ヒンジ106によって回動可能に支持されており、その傾斜角を切りかえることにより、画素毎に、光のオン、オフが切りかえ可能となっている。
[0004]
 DMDの性能を劣化させる要因のひとつとして、ヒンジメモリが知られている。ヒンジメモリは、マイクロミラー104を支持するヒンジ106が正常に動作しなくなる異常である。ヒンジメモリは、長時間にわたり、マイクロミラー104をオンし続けたり、オフし続けたりすることにより発生する。そこでDMDのコントローラは、ヒンジメモリを抑制するために、DMDの電源オフの間、図1(c)に示すようにマイクロミラー104をオンとオフの中間のニュートラル(フラット)な位置にセットする処理を行っている。一旦DMDに電源を投入し、起動が完了すると、外部からの画像データにもとづいて制御可能な状態(イネーブル状態という)となる。イネーブル状態におけるマイクロミラー104の位置は、オン、オフのいずれかの状態のみを取りえ、フラットな状態にしておくことはできない。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2016-091976号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 本発明者らは、DMDについて検討した結果、以下の課題を認識するに至った。室内で使用されるプロジェクタなどの用途では、各画素は、表示する画像に応じて頻繁にオン、オフを繰り返すため、ヒンジメモリは発生しにくいといえる。
[0007]
 これに対して車両用灯具が形成する配光は、第1部分は常に光が照射され、第2部分は常に遮光されているような状況が発生する。つまりDMDの第1部分に含まれる画素に対応するピクセルは、数時間にわたりオン状態、第2部分に含まれる画素に対応するピクセルは数時間にわたりオフ状態に固定されるような状況も生じうる。
[0008]
 また車両用灯具は、ランプの点灯指示に応じて、直ちに点灯することが求められる。DMDの起動時間は数百ms~1秒程度であるため、点灯指示を受けてからDMDの電源投入したのでは、実際に点灯するまでに遅延が発生することとなる。この遅延を防止するためには、ランプの消灯期間中も、DMDに電源を供給してイネーブル状態としておき、来たる点灯指示に備えておく必要がある。ところがDMDのイネーブル状態において、マイクロミラーはオフ側に固定的に倒れた状態となるため、ヒンジメモリを誘発する。
[0009]
 加えて車両用灯具にDMDを搭載する場合、ヘッドランプ内の狭い空間に、LEDなどの半導体光源に近接してDMDが配置されることとなる。LEDなどの半導体光源は、非常に高温になるため、DMDの動作温度は、一般的なプロジェクタに比べて高くなる。本発明者らが実験で得た知見によれば、DMDの動作温度が80度を超える環境下で、各画素のオン、オフが固定された状態が持続すると、ヒンジメモリが発生する。高温環境下で動作した後に、DMDの電源をオフすると、コントローラは、マイクロミラーをフラットにするようにDMDを制御する。ところがヒンジメモリの影響でマイクロミラーを完全にフラットに戻すことができず、ヒンジがねじれた状態で、長時間放置されることになる。その結果、電源オフ期間の、ヒンジのねじれはさらなるヒンジメモリを引き起こし、次に電源を投入して使用する際に、画質の低下の原因となる。
[0010]
 なおこの知見を当業者の一般的な認識と捉えてはならない。本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、ヒンジメモリによる画質の低下を抑制した車両用灯具の提供にある。

課題を解決するための手段

[0011]
 本発明のある態様は車両用灯具に関する。車両用灯具は、照明光を生成する照明装置と、照明光をパターン信号に応じて空間的に変調し、反射するDMD(Digital Micromirror Device)を含むパターニングデバイスと、を備える。この車両用灯具は、DMDがイネーブル状態であり、かつ照明光がオフである期間に、マイクロミラーがオン、オフを繰り返すリフレッシュ動作を実行可能に構成される。
[0012]
 なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
[0013]
 さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。

発明の効果

[0014]
 本発明のある態様によれば、ヒンジメモリによる画質の劣化を抑制できる。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 図1(a)~(c)は、DMDの構造を示す図である。
[図2] 実施の形態に係る車両用灯具のブロック図である。
[図3] リフレッシュ期間T REFRESHにおけるマイクロミラーの動作を説明する図である。
[図4] 図4(a)、(b)は、リフレッシュパターン信号S PTN_REFRESHの例を示す図である。
[図5] 図5(a)~(d)は、リフレッシュパターン信号S PTN_REFRESHのいくつかの例を示すタイムチャートである。
[図6] 実施例1に係るリフレッシュ動作を説明する図である。
[図7] 実施例2に係るリフレッシュ動作を説明する図である。
[図8] 実施例3に係るリフレッシュ動作を説明する図である。
[図9] 一実施例に係る車両用灯具のブロック図である。
[図10] 変形例1に係るリフレッシュ動作を説明する図である。

発明を実施するための形態

[0016]
(実施の形態の概要)
 本明細書に開示される一実施の形態は、車両用灯具に関する。車両用灯具は、照明光を生成する照明装置と、照明光をパターン信号に応じて空間的に変調し、反射するDMD(Digital Micromirror Device)を含むパターニングデバイスと、を備える。車両用灯具は、DMDがイネーブル状態であり、かつ照明光がオフである期間に、マイクロミラーがオン、オフを繰り返すリフレッシュ動作を実行可能に構成される。
[0017]
 この実施の形態によれば、リフレッシュ動作によってマイクロミラーを強制的にオン方向、オフ方向に傾動させることにより、ヒンジの固着を解消でき、ヒンジメモリによる画質の低下を抑制できる。
[0018]
 フレーム周期の整数倍の時間で、マイクロミラーのオン、オフを切り替えてもよい。
[0019]
 DMDはPWM(Pulse Width Modulation)制御による多階調制御が可能であり、中間階調値を与えると、DMDのドライバは、PWM周波数、階調値に応じたデューティ比にて、マイクロミラーをスイッチングさせる。したがって、中間階調値を含むリフレッシュパターン信号を発生し、PWM制御を利用して、各マイクロミラーをオン、オフさせてもよい。
[0020]
 車両用灯具は、電源投入直後のイニシャライズ期間に、リフレッシュ動作を実行してもよい。これにより、DMDの電源オフ中に残留しているヒンジメモリを解消できる。またイニシャライズ期間は、点灯指示が禁止されているため、点灯指示とリフレッシュ動作の衝突がおきにくいという利点がある。
[0021]
 車両用灯具は、電源シャットダウン時に、リフレッシュ動作を実行してもよい。これにより、DMDの動作中に発生したヒンジメモリを解消でき、マイクロミラーがフラットな状態で、DMDの電源をオフさせておくことができる。またシャットダウン期間は、点灯指示が発生し得ないため、点灯指示とリフレッシュ動作の衝突がおきにくいという利点がある。
[0022]
 車両用灯具は、起動シーケンスの完了後、照明光がオフである期間に、リフレッシュ動作を実行してもよい。
[0023]
 照明装置およびパターニングデバイスはハイビームであり、車両用灯具はさらにロービームを備えてもよい。車両用灯具は、ロービームが点灯状態、ハイビームが消灯状態において、リフレッシュ動作を実行してもよい。ロービームの点灯期間が続くと、その発熱によりDMDの温度が上昇する一方で、DMDのマイクロミラーはオフ状態を維持するため、ヒンジメモリを誘発する。そこでロービームの点灯中に、リフレッシュパターン信号を発生することで、ヒンジメモリを解消できる。
[0024]
 車両用灯具は、DMDの温度が所定値を超えると、リフレッシュ動作を実行してもよい。ヒンジメモリは、温度が低い状態では発生しにくいため、温度はリフレッシュパターン信号の発生のトリガとして好適である。
[0025]
 リフレッシュ動作の頻度は、DMDの温度が高いほど高くてもよい。これにより、ヒンジメモリを効果的に抑制できる。
[0026]
(実施の形態)
 以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
[0027]
 本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
[0028]
 同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
[0029]
 本明細書において参照する波形図やタイムチャートの縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化され、あるいは誇張もしくは強調されている。
[0030]
 図2は、実施の形態に係る車両用灯具のブロック図である。車両用灯具200は、照明装置210、パターニングデバイス220およびDMDコントローラ230を備える。照明装置210、パターニングデバイス220およびDMDコントローラ230はモジュール化されてもよく、これをDMDユニットと称してもよい。
[0031]
 本実施の形態において車両用灯具200は、ADB機能を備える前照灯であり、走行環境(先行車、対向車、歩行者の有無、時間帯や車速、ステアリング角、走行シーンなど)に応じて、配光を動的、適応的に変化させる。
[0032]
 照明装置210は、断面の光強度分布が均一な照明光L1を発生する。たとえば照明装置210は、光源212および点灯回路214を備える。点灯回路214は、光源212の目標輝度に応じた電流量に安定化された駆動電流I OUTを生成し、光源212に供給する。光源212は、たとえばLD(レーザダイオード)やLED(発光ダイオード)、有機EL(Electro Luminescence)素子などであり、駆動電流I OUTに応じた輝度で発光する。
[0033]
 パターニングデバイス220は、照明光L1をパターン信号S PTNに応じて空間的に変調し、反射するDMD222(100)と、DMDドライバ224を含む。上述のようにDMD222は、マトリクス状に配置された複数の画素、すなわちマイクロミラーのアレイを備える。各画素のマイクロミラーのオン、オフは、DMDドライバ224によって個別に制御される。DMDドライバ224は、所定のフレームレートで、パターン信号(すなわち画像データ)S PTNを受け、パターン信号S PTNに応じて、複数のマイクロミラーそれぞれのDMD222を制御する。パターニングデバイス220の反射光L2は、オフの画素を含む領域において暗くなり、オンの画素を含む領域において明るくなる。
[0034]
 つまり、パターニングデバイス220に入射した照明光L1のうち、複数のマイクロミラーのうちオン状態のミラーに入射する部分が、車両用灯具200の出射光として、車両用灯具の前方へ反射され、オフ状態のミラーに入射する部分は、車両用灯具の前方と別の方向に反射されて、遮光あるいは吸収される。このようにして、複数のマイクロミラーのオン、オフの組み合わせに応じて、所望の配光パターンを形成することができる。
[0035]
 パターン信号S PTNは、多階調(たとえば8ビット)の画像データでありうる。瞬時的には、個々のマイクロミラーは、オン状態とオフ状態の2状態をとりうるため、瞬時的な反射率は、0%か100%のいずれかである。DMDドライバ224は、中間階調が得られるように、PWM調光によって、1フレーム期間内のオン時間とオフ時間の比率を変化させ、これにより1フレームにわたる反射率の平均値を制御させる。
[0036]
 DMDコントローラ230は、走行環境に応じて適切なパターン信号(配光パターン信号という)S PTN_DISTを生成する。配光パターン信号S PTN_DISTは、走行環境に応じて時々刻々と変化し、あるいは走行環境によっては固定される場合もあり得る。DMD100の反射光L2は、配光パターン信号S PTN_DISTに応じて空間的に変調される。
[0037]
 本実施の形態において車両用灯具200には、電源電圧V CCが共有される。電源電圧V CCは、たとえばイグニッション系(IG)の電源である。また車両用灯具200には、点消灯を指示する制御信号(LAMP_ON)が入力される。たとえばLAMP_ON信号は、点灯指示がハイ、消灯指示がローに割り当てられた2値の信号であってもよい。
[0038]
 DMDコントローラ230には、LAMP_ON信号に加えて、DMDコントローラ230が配光パターン信号S PTN_DISTを規定する画像データIMGが供給されてもよい。つまり、配光の制御は車両側に委ねられている。
[0039]
 あるいは配光パターンの制御を、車両用灯具200が主体的に行ってもよい。この場合、車両用灯具200は、描画用のECUを搭載してもよい。描画ECUは、車両側から、配光パターンを決定するために必要な情報(先行車、対向車、歩行者の位置、時間帯や車速、ステアリング角、走行シーンなど)を受け、これらの情報にもとづいて画像データIMGを生成し、DMDコントローラ230に供給してもよい。描画ECUとDMDコントローラ230の機能をひとつのマイコンやプロセッサに統合してもよい。
[0040]
 車両用灯具200の電源が投入されると、車両用灯具200の各ブロックがイニシャライズされる。パターニングデバイス220は、電源オフの間、DMD222のマイクロミラーがフラットな状態で保持されているが、イニシャライズが実行されると、マイクロミラーはオフ状態となることに留意されたい。車両用灯具200に電源電圧V CCが供給されている状態を、起動状態という。
[0041]
 イニシャライズの完了後、車両側から点灯指示を含むLAMP_ON信号を受信すると、照明装置210が点灯し、照明光L1がパターニングデバイス220に照射される。DMDコントローラ230は、所望の配光が得られるように配光パターン信号S PTN_DISTを生成する。
[0042]
 車両側から消灯指示に対応するLAMP_ON信号を受信すると、照明装置210が消灯する。なお照明装置210が消灯している間も、パターニングデバイス220は再点灯に備えるべく、イネーブル状態で待機している。
[0043]
 このように、車両用灯具200の起動後、パターニングデバイス220のイネーブル状態において、照明光L1がオフである期間が発生しうる。DMDコントローラ230は、この期間の一部を利用して、マイクロミラーがオン、オフを繰り返すようなリフレッシュパターン信号S PTN_REFRESHを発生する。リフレッシュパターン信号S PTN_REFRESHを発生する期間を、リフレッシュ期間T REFRESHという。
[0044]
 以上が車両用灯具200の構成である。続いてその動作を説明する。図3は、リフレッシュ期間T REFRESHにおけるマイクロミラーの動作を説明する図である。図3には、ひとつのマイクロミラーのみを示すが、その他のマイクロミラーも、同様に動作する。リフレッシュ期間T REFRESHの間、マイクロミラーはオン状態φ ONとオフ状態φ OFFを交互に繰り返す。オン時間T ON、オフ時間T OFFそれぞれの長さは、DMDのフレーム時間の整数倍とすることが好ましいが、その限りでなく、使用されるDMDの種類やメーカーなどに応じて最適化すればよい。
[0045]
 車両用灯具200によれば、リフレッシュパターン信号S PTN_REFRESHによってマイクロミラーを強制的にオン方向、オフ方向に傾動させることにより、ヒンジの固着を解消でき、ヒンジメモリによる画質の低下を抑制できる。
[0046]
 本発明は、図1のブロック図として把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな装置、方法に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本発明の範囲を狭めるためではなく、発明の本質や動作の理解を助け、またそれらを明確化するために、より具体的な構成例や実施例を説明する。
[0047]
 図4(a)、(b)は、リフレッシュパターン信号S PTN_REFRESHの例を示す図である。図4(a)に示すように、リフレッシュパターン信号S PTN_REFRESHは、異なる2枚以上のパターン(フレーム)を含むことができる。一方のパターンPTN1は、全画素がオン(最大階調、8ビットの場合、255)であり、他方のパターンPTN2は、全画素がオフ(最低階調0)である。
[0048]
 図4(b)に示すように、1フレームを複数の領域(この例4では4個の領域)に分割し、2枚のパターンPTN1,PTN2の対応する領域で、オンとオフを反転した関係としてもよい。領域の個数は特に限定されない。また分割の仕方に関して、図4(b)では2行2列に分割されるが、任意のM行N列(M,Nは自然数)に分割してよい。
[0049]
 図4(a)、(b)の例では最大階調と最小階調を与える場合を説明したが、その限りでなく、最大階調に近い階調と、最小階調に近い非ゼロの値を与えてもよい。
[0050]
 図5(a)~(d)は、リフレッシュパターン信号S PTN_REFRESHのいくつかの例を示すタイムチャートである。図5(a)の例では、2つのパターンPTN1,PTN2が、フレーム周期T ごとに交互に選択される。つまり制御周期Tcは2×T となる。
[0051]
 図5(b)の例では、複数の連続するMフレーム(この例ではM=3)の間、パターンPTN1が選択され、それに続くNフレーム(この例ではN=3)の間、パターンPTN2が選択される。この場合、制御周期Tcは、(M+N)×T となる。
[0052]
 図5(c)に示すように、フレーム毎に、2つのパターンPTN1,PTN2をランダムに選択するようにしてもよい。
[0053]
 図5(d)に示すように、制御周期Tcを、時間とともに変化させてもよい。図5(d)の例では、制御周期Tcが時間とともに短くなっており、したがって各画素のオン時間、オフ時間も、時間とともに減少していく。反対に、制御周期を時間とともに長くしていってもよい。
[0054]
 続いて、リフレッシュ期間T REFRESHについて、いくつかの実施例を説明する。
[0055]
 図6は、実施例1に係るリフレッシュ動作を説明する図である。この実施例1において、DMDコントローラ230は、車両用灯具200の電源投入直後のイニシャライズ期間に、リフレッシュ期間T REFRESHを設け、リフレッシュパターン信号S PTN_REFRESHを出力する。
[0056]
 時刻t に、電源電圧V CCが供給されると、車両用灯具200の各回路ブロックが起動し、所定のイニシャライズシーケンスが実行される。イニシャライズシーケンスの完了までをイニシャライズ期間T INITと称し、イニシャライズ期間T INITの間は、点灯指示は禁止される。たとえば車両用灯具200は、時刻t にイニシャライズシーケンスが完了すると、それを示すフラグを、車両側のECU(Electronic Control Unit)に送信してもよい。
[0057]
 言い換えれば、イニシャライズ期間T INITの間は、LAMP_ON信号による点灯指示が入力されないことが保証される。そこで、イニシャライズ期間T INITの間であって、DMDの起動完了後、DMDがイネーブル状態となった後に、リフレッシュ期間T REFRESHを設けることにより、ヒンジメモリを解消できる。
[0058]
 時刻t に、点灯指示(LAMP_ON=HI)が入力されると、照明装置210は照明光L1をパターニングデバイス220に照射する。またDMDコントローラ230は、配光パターン信号S PTN_DISTをパターニングデバイス220に供給し、配光を制御する。
[0059]
 この制御は、点灯指示とリフレッシュ動作が衝突しないという利点がある。
[0060]
 図7は、実施例2に係るリフレッシュ動作を説明する図である。この実施例2において、DMDコントローラ230は、車両用灯具200の電源オフ時のシャットダウン期間に、リフレッシュ期間T REFRESHを設け、リフレッシュパターン信号S PTN_REFRESHを出力する。
[0061]
 時刻t に、LAMP_ON信号がローとなり、消灯が指示される。これにより、照明装置210は、照明光L1をオフする。時刻t に、電源電圧V CCがオフすると、車両用灯具200はシャットダウンシーケンスを実行する。
[0062]
 シャットダウン期間の間、DMDの電源を落とす前、すなわちDMDがイネーブル状態である間、リフレッシュ期間T REFRESHを挿入してヒンジメモリを解消する。その後、DMDの電源を落としてディセーブル状態とする。時刻t にリフレッシュ期間T REFRESHが終了すると、DMDの停止シーケンスが実行され、時刻t にDMDがディセーブル状態となる。時刻t 以降、マイクロミラーはフラットな状態となる。
[0063]
 図8は、実施例3に係るリフレッシュ動作を説明する図である。DMDコントローラ230は、イニシャライズ期間T INITの終了後、照明光L1がオフである期間に、リフレッシュ期間T REFRESHを挿入してもよい。この場合のリフレッシュ期間T REFRESHは、たとえば照明光L1のオフ(すなわち無点灯時間)が所定の判定時間(あるいは間欠周期)τ 持続したことを条件として挿入してもよい。その後も、無点灯時間が判定時間τ 継続する毎に、リフレッシュ期間T REFRESHを挿入してもよい。
[0064]
 実施例3において、もしリフレッシュ期間T REFRESH中に、LAMP_ON信号がハイとなり点灯指示が入力されると、リフレッシュ期間T REFRESHの完了を待って、照明装置210が照明光L1をオンしてもよい。
[0065]
 あるいは点灯指示をトリガとして、DMDコントローラ230は、直ちに、リフレッシュパターン信号S PTN_REFRESHを配光パターン信号S PTN_DISTに切りかえ、リフレッシュ期間T REFRESHを終了し、照明装置210に照明光L1を発生させてもよい。
[0066]
 本発明者らが検討したところ、ヒンジメモリはDMDの温度が高いほど、発生しやすいという知見が得られており、70℃を超えると発生頻度が高まり、80℃を超えるとその傾向は一層顕著となる。そこで、リフレッシュ動作に、DMDの温度(あるいはその周辺温度)を反映させるとよい。
[0067]
 たとえば、実施例3(図8)のリフレッシュ動作に関連して、温度Tが高いほど、判定時間τ を短くして、リフレッシュ動作の頻度を高めてもよい。反対に、温度Tがあるしきい値より低く、ヒンジメモリの発生のおそれが低い場合、リフレッシュ動作を無効化してもよい。この場合のしきい値は、70℃あるいはそれより低く定めてもよい。車両用灯具200は温度検出のための温度センサを含むことができる。
[0068]
 また、実施例1~3のリフレッシュ動作に関して、温度Tが高いほど、リフレッシュ期間T REFRESHの長さを長くしてもよい。
[0069]
 また、複数のリフレッシュパターン信号S PTN_REFRESHを用意しておき、温度Tに応じたひとつを選択するようにしてもよい。
[0070]
 図9は、一実施例に係る車両用灯具200Aのブロック図である。この車両用灯具200Aにおいて、照明装置210およびパターニングデバイス220はハイビーム240である。車両用灯具200Aはハイビーム240に加えてロービーム250を備える。ロービーム250は、半導体光源252とその点灯回路254を含んでもよい。車両用灯具200Aには、ハイビーム240の点消灯を指示するHI信号と、ロービーム250の点消灯を指示するLO信号が入力される。ロービーム250の点消灯は、LO信号によって直接制御される。DMDコントローラ230Aは、HI信号に加えてLO信号を監視する。
[0071]
 DMDコントローラ230Aは、ロービーム250が点灯状態、ハイビーム240が消灯状態において、リフレッシュパターン信号S PTN_REFRESHを発生してもよい。ロービーム250の点灯期間が続くと、その発熱によりDMD222の温度が上昇する一方で、DMD222のマイクロミラーはオフ状態を維持するため、ヒンジメモリを誘発する。そこでロービーム250の点灯中に、リフレッシュ期間T REFRESHを挿入して、リフレッシュ動作を行うことでヒンジメモリを解消できる。すなわち、ロービーム250が点灯していることを条件として、図8の制御が有効にしているものと理解することができる。
[0072]
 なお、車両用灯具200Aに供給される電源電圧V CCが、ランプの点消灯と連動していない場合、DMDがイネーブルの状態で、ロービーム250とハイビーム240が両方消灯した状態が持続することも考えられる。この場合に、DMD222の温度が、ヒンジメモリを誘発する程度まで上昇しないプラットフォームでは、リフレッシュ動作を行わないようにしてもよい。
[0073]
 反対に、ロービーム250とハイビーム240が両方消灯した状態においても、DMD222の温度が、ヒンジメモリを誘発する程度まで上昇するようなプラットフォームでは、リフレッシュ動作を行うようにしてもよい。この場合に、ロービーム250のオンのとき、図8の間欠周期τ を短くし、ロービーム250のオフのとき、図8の間欠周期τ を長くしてもよい。
[0074]
 以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
[0075]
(変形例1)
 図10は、変形例1に係るリフレッシュ動作を説明する図である。この実施例1~3では、リフレッシュ期間T REFRESHの間に、数フレームから数百フレームの短い時間スケールでマイクロミラーをオン、オフさせるものであった。これに対して、変形例1では、より長い時間スケール(数十秒、あるいは数百秒、あるいは数時間)で、マイクロミラーをオン、オフさせる。
[0076]
 具体的には、車両用灯具200の起動完了後、DMDがイネーブルとなった状態で、照明光L1がオフである期間、マイクロミラーを、間欠的にオンさせてもよい。たとえば、DMDコントローラ230は、所定のオフ時間T OFFの間、全マイクロミラーがオフとなるパターン信号S PTN_OFFを発生し、所定のオン時間T ONの間、全マイクロミラーがオンとなるパターン信号S PTN_ONを発生する動作を繰り返してもよい。この変形例では、S PTN_OFFとS PTN_ONの組み合わせを、リフレッシュパターン信号S PTN_REFRESHに対応付けることができる。
[0077]
(変形例2)
 あるいはリフレッシュパターン信号S PTN_REFRESHにより誘起されるマイクロミラーのオン、オフの往復は、フレーム周期T よりも短い時間スケールで行ってもよい。上述のようにDMD222はPWM(Pulse Width Modulation)制御による多階調制御が可能であり、中間階調値を与えると、DMDドライバ224は、PWM周波数で、階調値に応じたデューティ比でマイクロミラー104をスイッチングさせる。したがって、DMDコントローラ230は、リフレッシュ期間T REFRESHにおいて中間階調値を含むリフレッシュパターン信号S PTN_REFRESHを発生し、PWM制御を利用して、各マイクロミラーをオン、オフさせてもよい。
[0078]
(変形例3)
 実施の形態では、車両用灯具200の電源をIG系からとる場合を説明したがその限りでない。たとえば、車両用灯具200の電源を、常時通電するバッテリ系(+B)からとってもよい。この場合、車両用灯具200の起動、停止を指示するスタンバイ信号を、車両側から別途与え、スタンバイ信号にもとづいて、車両用灯具200の軌道、停止を制御するようにしてもよい。
[0079]
(変形例4)
 実施の形態では、ヘッドランプを説明したがその限りでなく、路面にさまざまな図形や文字などを描画する車両用灯具にも本発明は適用可能である。
[0080]
(変形例5)
 実施の形態では、DMDコントローラが生成するリフレッシュパターン信号S PTN_REFRESHにもとづいてリフレッシュ動作が行われたが、リフレッシュ動作を実行するためのインプリメントはそれに限定されない。たとえばリフレッシュ動作のための回路を、DMDドライバ224に内蔵してもよい。この場合、DMDドライバ224に対して、照明光L1がオフであることを通知する信号を与えればよい。
[0081]
 実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。

産業上の利用可能性

[0082]
 本発明は、車両用灯具に関する。

符号の説明

[0083]
100…DMD、102…アレイ、104…マイクロミラー、106…ヒンジ、200…車両用灯具、210…照明装置、212…光源、214…点灯回路、220…パターニングデバイス、222…DMD、224…DMDドライバ、230…DMDコントローラ、240…ロービーム。

請求の範囲

[請求項1]
 照明光を生成する照明装置と、
 前記照明光をパターン信号に応じて空間的に変調し、反射するDMD(Digital Micromirror Device)を含むパターニングデバイスと、
 を備え、
 前記DMDがイネーブル状態であり、かつ前記照明光がオフである期間に、マイクロミラーがオン、オフを繰り返すリフレッシュ動作を実行可能に構成されることを特徴とする車両用灯具。
[請求項2]
 前記車両用灯具の電源投入直後のイニシャライズ期間に、前記リフレッシュ動作を実行することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
[請求項3]
 前記車両用灯具の電源シャットダウン時に、前記リフレッシュ動作を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
[請求項4]
 イニシャライズ期間の終了後、前記照明光がオフである期間に、前記リフレッシュ動作を実行することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両用灯具。
[請求項5]
 前記照明装置および前記パターニングデバイスはハイビームであり、前記車両用灯具はさらにロービームを備え、
 前記ロービームが点灯状態、前記ハイビームが消灯状態において、前記リフレッシュ動作を実行することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両用灯具。
[請求項6]
 前記DMDの温度が所定値を超えると、前記リフレッシュ動作を実行することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の車両用灯具。
[請求項7]
 前記リフレッシュ動作の頻度は、前記DMDの温度が高いほど高いことを特徴とする請求項6に記載の車両用灯具。
[請求項8]
 前記パターン信号を生成するDMDコントローラをさらに備え、
 前記DMDコントローラは、前記DMDがイネーブル状態であり、かつ前記照明光がオフである期間に、前記マイクロミラーがオン、オフを繰り返すようなリフレッシュパターン信号を発生することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の車両用灯具。
[請求項9]
 前記リフレッシュパターン信号は、連続する複数のフレームを含み、前記複数のフレーム内において、各画素の輝度値は、ゼロか最大値の一方をとることを特徴とする請求項8に記載の車両用灯具。
[請求項10]
 車両用灯具に搭載されるDMD(Digital Micromirror Device)の制御方法であって、
 前記車両用灯具の点灯期間中に、前記DMDに照明光を照射し、前記DMDにパターン信号を与えるステップと、
 前記照明光を照射しない消灯期間中に、前記DMDに、マイクロミラーがオン、オフを繰り返すようなリフレッシュパターン信号を供給するステップと、
 を備えることを特徴とする制御方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]