処理中

しばらくお待ちください...

設定

設定

出願の表示

1. WO2020110786 - アーク溶接制御方法

Document

明 細 書

発明の名称 アーク溶接制御方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011  

発明の効果

0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116  

産業上の利用可能性

0117  

符号の説明

0118  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : アーク溶接制御方法

技術分野

[0001]
 本発明は、アーク溶接制御方法に関し、特にパルス溶接の制御方法に関する。

背景技術

[0002]
 自転車や自動二輪などの溶接において、美しい波目状の溶接ビードを実現するとともに、生産性を向上させる観点から、消耗電極式のミグ溶接やマグ溶接を用いることが多くなってきている。消耗電極式のミグ溶接やマグ溶接では、電極である溶接ワイヤに電流を流し、溶接ワイヤと母材間に発生するアーク熱を利用して、溶接ワイヤを溶かしながら溶接するため、溶着効率が高く、溶接速度を速くすることができる。
[0003]
 ところで、消耗電極式のミグ溶接やマグ溶接において、ビード形状を制御するために、母材への入熱差を付けて入熱量を制御する方法が提案されており、代表的なものとして短絡溶接とパルス溶接とがある。このうち、パルス溶接は、溶接ワイヤから溶滴を離脱させる臨界電流値よりも高いピーク電流と、アークを維持させる臨界電流値よりも低いベース電流とを交互に溶接ワイヤに流すことで、平均電流値は臨界電流値以下としつつ、溶滴移行を行うことができるため、良く用いられる。また、1回のピーク電流を流す期間で溶滴を1回移行させるため、1パルス1ドロップ制御とも呼ばれる。
[0004]
 一方、パルス溶接は、溶滴離脱時に電流値が高いため、スパッタが発生しやすく、また、CO ガスをシールドガスとして用いた場合には、発生するアークの反力が大きく、1パルス1ドロップ制御が難しくなるという問題があった。
[0005]
 そこで、ピーク電流の波形を変化させて、溶滴の離脱と成長とを連続的に行う制御方法(例えば、特許文献1参照)や、異なるピーク値及びパルス幅のパルス電流を溶接ワイヤに流して、一方のパルス電流で溶滴を離脱させ、他方のパルス電流で溶滴を成長させる制御方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特公平02-031630号公報
特許文献2 : 特許第4857163号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 ところで、近年、溶接対象物である母材としてアルミニウムやアルミニウムを主体とする合金が多く使用されており、これらのアーク溶接においてもパルス溶接を行うことが増えてきている。
[0008]
 しかし、特許文献1,2に開示された従来の方法は、CO ガスを用いたアーク溶接に関するものであり、不活性ガスを主成分とするシールドガスを用いたアーク溶接にそのまま適用することは困難であった。また、短絡溶接に比べて溶接電流が高いパルス溶接では母材への入熱量が大きくなるため、特に母材が薄板である場合に溶接ビードの形状制御が難しくなるという問題があった。
[0009]
 本発明はかかる点に鑑みなされたもので、その目的は、外観が良好な溶接ビードを低溶接電流で形成可能なパルス溶接を含むアーク溶接制御方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0010]
 上記目的を達成するために、本発明に係るアーク溶接制御方法は、溶接ワイヤを母材に向けて所定の送給速度で送給するとともに、前記溶接ワイヤにピーク電流とベース電流とを交互に流すことで、前記母材と前記溶接ワイヤとの間でアークを発生させるパルス溶接期間を含む、アーク溶接制御方法であって、前記パルス溶接期間は、ピーク電流値が第1の電流値である第1のピーク電流を前記溶接ワイヤに流す第1のピーク期間と、第2の電流値を有するベース電流を前記溶接ワイヤに流すベース期間と、を交互に含み、前記ベース期間では、ピーク電流値が前記第2の電流値と第3の電流値との和となるように第2のピーク電流を前記第1のピーク電流の第1のパルス周波数よりも高い第2のパルス周波数で前記ベース電流に重畳させ、前記第2の電流値と前記第3の電流値との和は前記第1の電流値よりも小さく、前記溶接ワイヤに前記第2のピーク電流を1回流す第2のピーク期間は前記第1のピーク期間よりも短く、前記第1のピーク期間中または前記第1のピーク期間直後に前記溶接ワイヤから前記母材に向けて溶滴を移行させることを特徴とする。
[0011]
 この方法によれば、低い溶接電流で安定したパルス溶接を行うことができる。また、良好な外観の溶接ビードを安定して形成できる。

発明の効果

[0012]
 本発明によれば、低い溶接電流で安定したパルス溶接を行うことができる。また、良好な外観の溶接ビードを安定して形成できる。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 図1は、本発明の実施形態1に係るアーク溶接装置の概略構成を示す図である。
[図2] 図2は、パルス溶接時の溶接電流及び溶接電圧の波形と溶滴移行状態を示す図である。
[図3] 図3は、比較のための溶接電流の波形と溶滴移行状態を示す図である。
[図4] 図4は、パルス溶接条件の設定手順を示すフローチャートである。
[図5] 図5は、図4に示す手順で設定された溶接条件の一例である。
[図6] 図6は、パルス溶接時の溶接ビードの形状を示す平面模式図である。
[図7] 図7は、パルス溶接時の溶接ビードの形状を示す断面模式図である。
[図8] 図8は、パルス溶接時の溶接ビードの外観を示す写真である。
[図9] 図9は、本発明の実施形態2に係るアーク溶接時の各種出力波形を示す図である。
[図10] 図10は、溶接ワイヤの先端と溶接方向とのなす角度を説明する図である。

発明を実施するための形態

[0014]
 以下、本実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
[0015]
 (実施形態1)
 [アーク溶接装置の構成]
 図1は、本実施形態に係るアーク溶接装置の概略構成を示す図である。アーク溶接装置16は、消耗電極である溶接ワイヤ18と溶接対象物である母材17との間で、アーク状態と短絡状態とを繰り返して溶接を行う。なお、溶接ワイヤ18は、図示しないトーチに保持されており、トーチが所定の速度で移動することで、溶接ワイヤ18の先端も同様に、同じ速度で所定の溶接区間に沿って移動する。また、本実施形態において、溶接ワイヤ18の材質を硬質アルミ(ER5356)、ワイヤ径を1.2mmとし、母材17の材質をアルミニウム、板厚を3.0mmとしている。ただし、母材17はアルミニウムを主体とする合金、例えば、A5052等であってもよい。また、母材17に吹き付けられるシールドガスは、Ar(アルゴン)ガスを80%以上の比率で含んでおり、その流量を20L/minに設定している。ただし、シールドガスの流量は特にこれに限定されない。
[0016]
 アーク溶接装置16は、主変圧器2と、一次側整流部3と、スイッチング部4と、DCL(リアクトル)5と、二次側整流部6と、溶接電流検出部7と、溶接電圧検出部8と、制御切替部9と、出力制御部10と、ワイヤ送給速度制御部13を有している。また、アーク溶接装置16は、トーチ(図示せず)を保持するロボット(図示せず)の動作を制御するロボット制御部(図示せず)を有している。
[0017]
 出力制御部10は、短絡溶接制御部11とパルス溶接制御部12を有している。ワイヤ送給速度制御部13は、ワイヤ送給速度検出部14と、演算部15とを有している。一次側整流部3は、アーク溶接装置16の外部にある入力電源(三相交流電源)1から入力した入力電圧を整流する。スイッチング部4は、一次側整流部3の出力を溶接に適した出力に制御する。主変圧器2は、スイッチング部4の出力を溶接に適した出力に変換する。
[0018]
 二次側整流部6は、主変圧器2の出力を整流する。DCL(リアクトル)5は、二次側整流部6の出力を溶接に適した電流に平滑する。溶接電流検出部7は、溶接電流を検出する。溶接電圧検出部8は、溶接電圧を検出する。
[0019]
 制御切替部9は、短絡溶接制御からパルス溶接制御、パルス溶接期間から冷却期間、に切り替えるタイミングを出力制御部10に出力する切替部である。この制御切替部9は計時機能を有しており、溶接条件設定部22により設定された所定時間を計時して、制御を切り替えるタイミングを出力制御部10とワイヤ送給速度制御部13に出力する。なお、「冷却期間」とは、例えば、溶接電流Iを0にする期間であり、この期間ではアーク19からの入熱量は0となる(図9参照)。
[0020]
 出力制御部10は、スイッチング部4に制御信号を出力して溶接出力を制御する。短絡溶接制御部11は、制御切替部9が短絡溶接を指令した場合に短絡溶接の制御を行う。パルス溶接制御部12は、制御切替部9がパルス溶接を指令した場合に、パルス溶接の制御を行う。なお、後述するように、少なくともパルス溶接の制御にあたっては、母材17に実際に形成された溶接ビードの外観等に基づいて溶接条件が設定され、所定の形式でテーブル化されて図示しない記憶部に保存される。
[0021]
 ワイヤ送給速度制御部13は、ワイヤ送給部21を制御して溶接ワイヤ18の送給速度を制御する。ワイヤ送給速度検出部14は、ワイヤ送給速度を検出する。演算部15は、ワイヤ送給速度検出部14からの信号に基づいて、溶接ワイヤ18の送給量の積算量を演算し、ワイヤ送給速度を制御する。具体的には、ワイヤ送給速度の指令値と検出値とを比較して差分を求め、当該差分の積算量に基づいて、実際のワイヤ送給速度を指令値にあわせるようにフィードバック制御を行う。
[0022]
 アーク溶接装置16には、ワイヤ送給部21と、溶接条件設定部22が接続されている。溶接条件設定部22は、アーク溶接装置16に溶接条件を設定するために用いられる。また、溶接条件設定部22は、短絡溶接設定部23とパルス溶接設定部24と冷却期間設定部25を有する。ワイヤ送給部21は、ワイヤ送給速度制御部13からの信号に基づいて、溶接ワイヤ18の送給の制御を行う。
[0023]
 アーク溶接装置16の溶接出力は、図示しないトーチSW(スイッチ)がONになると溶接チップ20を介して溶接ワイヤ18に供給される。そして、アーク溶接装置16の溶接出力により、溶接ワイヤ18と溶接対象物である母材17との間にアーク19を発生させて溶接を行う。
[0024]
 なお、実際にアーク溶接を行うにあたって、溶接ワイヤ18と母材17との間で短絡状態を経ずにパルス溶接のみを行ってもよい。この場合には、制御切替部9と短絡溶接設定部23と冷却期間設定部25とを省略してもよい。
[0025]
 [パルス溶接の制御方法]
 図2は、本実施形態に係るパルス溶接時の溶接電流及び溶接電圧の波形と溶滴移行状態との時間関係を示し、図3は、比較のためのパルス溶接時の溶接電流の波形と溶滴移行状態との時間関係を示す。なお、図示しないが、パルス溶接期間Tpにおいて、溶接ワイヤ18の送給速度Wp(以下、ワイヤ送給速度Wpという。図9参照)は一定になるように保たれている。
[0026]
 なお、溶接電流Iの設定平均値(以下、設定電流Isと呼ぶことがある。)は、パルス溶接期間Tp中の溶接電流Iの移動平均値に相当し、また、溶接電圧Vの設定平均値(以下、設定電圧Vsと呼ぶことがある。)は、パルス溶接期間Tp中の溶接電圧Vの移動平均値に相当する。ここで移動平均値とは、ある一定区間毎の平均値を、区間をずらしながら求めた値である。本実施形態において、溶接電流Iは設定電流Isに基づいて制御される。具体的には、設定電流Isが設定されると、パルス溶接期間Tp中は、この値を維持するように溶接電流Iが制御される。
[0027]
 また、設定電流Isとワイヤ送給速度Wpとは比例関係にある。具体的には、ワイヤ送給速度Wpに応じて設定電流Isが決定され、溶接ワイヤ18の送給が正送と逆送を交互に繰り返す送給の場合は、ワイヤ送給速度Wpの平均送給速度Wsに応じて設定電流Isが決定される。あるいは、設定電流Isに応じてワイヤ送給速度Wpが決定され、溶接ワイヤ18の送給が正送と逆送を交互に繰り返す送給の場合は、設定電流Isに応じてワイヤ送給速度Wpの平均送給速度Wsが決定されてもよい(図9参照)。
[0028]
 図2,3に示すように、パルス溶接期間Tpでは、基本単位期間Tpbが1回または複数回繰り返されて、母材17のパルス溶接が行われる。溶接ワイヤ18に第1のピーク電流Ip1を流す期間を第1のピーク期間Tp1、第1のピーク期間Tp1の後にベース電流Ibを流す期間をベース期間Tbとするとき、基本単位期間Tpbは、第1のピーク期間Tp1とベース期間Tbとの和となる。また、第1のピーク期間Tp1では溶接ワイヤ18に第1のピーク電流Ip1を1回流すようにしている。
[0029]
 なお、図2,3から明らかなように、第1のピーク期間Tp1において、第1のピーク電流Ip1はパルス状の波形となっている。また、ベース期間Tbにおいて、第2のピーク電流Ip2のそれぞれもパルス状の波形となっている。したがって、以降の説明において、第1のピーク電流Ip1や第2のピーク電流Ip2をパルスとして捉える場合は、それぞれ「第1のピーク電流Ip1のパルス」や「第2のピーク電流Ip2のパルス」と呼ぶことがある。また、第1のピーク期間Tp1中に第1のピーク電流Ip1の第1のパルスが発生する回数やベース期間Tb中に第2のピーク電流Ip2の第2のパルスが発生する回数をパルス数と呼ぶことがある。
[0030]
 また、以降の説明において、第1のピーク電流Ip1のピーク値を第1の電流値IAと、ベース電流Ibの電流値を第2の電流値IBとそれぞれ呼ぶことがある。また、第2の電流値IBは設定電流Isよりも低くなるように、かつアーク19を維持するのに必要な値に設定される。
[0031]
 なお、溶接ワイヤ18に流れる電流を急峻に高くすると、溶接ワイヤ18の先端に形成された溶滴が吹き飛びスパッタとなる可能性があるため、図2に示すように、第1のピーク電流Ip1の立ち上がりに所定の傾きのスロープを設けている。また、溶接ワイヤ18に流れる電流を急峻に下げると、アンダーシュートして溶接電流Iが0となり、アーク19が切れてしまう可能性があるため、第1のピーク電流Ip1の立ち下がりにスロープを設けている。よって、図2に示すように、第1のピーク期間Tp1は、以下の式(1)で表わされる。
[0032]
 Tp1=T1+T2+T3 ・・・(1)
[0033]
 ここで、T1は第1のピーク電流Ip1の立ち上がり期間、T2は第1のピーク電流Ip1が第1の電流値IAを保持している期間、T3は第1のピーク電流Ip1の立ち下がり期間である。なお、実際には、第1のピーク電流Ip1の立ち上がり期間T1の後半部分において、スパッタの発生を確実に抑制するため、スロープの傾きがさらに小さくなるように溶接電流Iを制御しているが、説明の便宜上、図2では、立ち上がり期間T1における溶接電流Iのスロープは一定の傾きで図示している。また、第1のピーク電流Ip1の立ち下がり期間T3の後半部分において、アーク19が切れるのを確実に防止するため、スロープの傾きがさらに小さくなるように溶接電流Iを制御しているが、説明の便宜上、図2では、立ち下がり期間T3における溶接電流Iのスロープは一定の傾きで図示している。
[0034]
 図2に示す溶接電流Iの波形は、ベース期間Tb中に、第2のピーク電流Ip2の第2のパルスがn回(nは1以上の整数)発生するとともに、第2のピーク電流Ip2の第3の電流値ICがベース電流Ibに第2のパルスの所定の周波数Fp2(以下、第2のパルス周波数Fp2という)で重畳されている点で、図3に示す溶接電流Iの波形と異なる。なお、以降の説明において、第2のパルスにおける第2の電流値IBであるベース電流Ibを基準とした場合、ベース期間Tb中のピーク電流値を第3の電流値IC(図2参照)と呼ぶことがある。なお、図2に示すように、第2のパルスの実際のピーク電流値は第2の電流値IBと第3の電流値ICとの和としての第2のピーク電流Ip2となる。また、第2のピーク電流Ip2は、第1のパルスのピーク電流値である第1のピーク電流Ip1よりも低くなるように溶接電流Iが制御される。また、ここで、第2のパルスとしての、第2のピーク電流Ip2の対応するピーク電圧値の第2のピーク電圧Vp2は、第1のパルスとしての、第1のピーク電流Ip1に対応するピーク電圧値の第1のピーク電圧Vp1より低い。
[0035]
 なお、第1のピーク電流Ip1は第2のピーク電流Ip2よりも高く、第1のピーク電流Ip1及び第2のピーク電流Ip2は、ベース電流Ibよりも高い。
[0036]
 また、上記の第2のパルス周波数Fp2(Hz)は、以下の式(2)で表わされ、第2のピーク期間と第2のベース期間の和の逆数である。
[0037]
 Fp2=1/(Tp2+Tb2) ・・・(2)
[0038]
 ここで、Tp2は溶接ワイヤ18に第2のピーク電流Ip2を1回流す期間(以下、第2のピーク期間Tp2という)であり、第2のピーク電流Ip2のパルス幅に相当する。また、Tb2は、第2のピーク期間Tp2に続けて、または第2のピーク期間Tp2の直前に、溶接ワイヤ18にベース電流Ibを流す期間(以下、第2のベース期間Tb2という)である。なお、図2より明らかなように、第2のベース電流期間Tb2は第2のピーク期間Tp2より長い。また、第2のピーク電流Ip2の第2のパルス周波数Fp2はパルス溶接期間Tpにおける第1のピーク電流Ip1の周波数Fp1(=1/(Tp1+Tb);以下、第1のパルス周波数Fp1と呼ぶことがある。)よりも高い高周波である。また、第1のピーク期間Tp1からベース期間Tbに切り替わる際は、第1のピーク期間Tp1に続けて第2のベース期間Tb2が設定され、さらに続けて第2のピーク期間Tp2が設定される。
[0039]
 また、1つのベース期間Tb中に、第2のピーク電流Ip2がベース電流Ibに1回または複数回重畳される回数n、言い換えると、1つのベース期間Tb中の第2のピーク電流Ip2のパルス数nは、設定電流Isや母材17の厚さ等によって適宜変更されうる。
[0040]
 図2の状態(c)や図3の状態(c)に示すように、第1のピーク期間Tp1中または第1のピーク期間Tp1直後に、溶接ワイヤ18から母材17に向けて溶滴が移行するように溶接条件が設定されている(第1のピーク電流Ip1を1回流す毎に溶滴を母材17に1回移行させる1パルス1ドロップ動作を行う1パルス1ドロップ制御)。なお、溶滴移行時も含め、パルス溶接時に溶接ワイヤ18と母材17とは短絡していない。また、図3に示すパルス溶接制御は、第1のピーク期間Tp1中または第1のピーク期間Tp1直後に、第1のピーク電流Ip1を1回流す毎に溶滴を母材17に1回移行させる1パルス1ドロップ動作を行う、1パルス1ドロップ制御に相当する。
[0041]
 なお、図2に示すパルス溶接制御において、各種溶接条件を、例えば、設定電流Isを60A、設定電圧Vsを17V、第1の電流値IAを360A、第2の電流値IBを25A、第3の電流値ICを35Aとそれぞれ設定している(図5参照)。ただし、特にこれに限定されず、設定電流Is等を含む溶接条件は母材17の厚さや母材17及び溶接ワイヤ18の材質等によって適宜変更されうる。
[0042]
 [パルス溶接条件の設定手順]
 図4は、パルス溶接条件の設定手順のフローチャートを示す。
[0043]
 まず、母材17及び溶接ワイヤ18の材質を設定した後、母材17の厚さに応じて設定電流Is及び設定電圧Vsを設定する。本実施形態における母材17及び溶接ワイヤ18の材質は前述の通りであり、母材17の厚さを例えば1mm~6mmの範囲で適宜、複数選択し、これらに応じてそれぞれ設定電流Is及び設定電圧Vsを選択する。なお、母材17及び溶接ワイヤ18の材質や母材17の厚さによって、設定電流Isや設定電圧Vsの選択範囲が変更されることは言うまでもない。
[0044]
 選択された一つの設定電流Isに対して1パルス1ドロップ制御となるように、第1の電流値IA(第1のピーク電流Ip1)や第1のピーク期間Tp1及びベース期間Tbや第2の電流値IB等の溶接条件を実験的に求める。続けて、選択された複数の設定電流Isのそれぞれに対して溶接条件を実験的に求め、これらをテーブル化して、例えば記憶部(図示せず)に記憶する(ステップS1)。なお、記憶部はアーク溶接装置16の外部に設けるようにしてもよく、例えば、アーク溶接装置16に有線または無線で接続されたサーバー等を記憶部として用いるようにしてもよい。
[0045]
 ステップS1で作成されたテーブルにおいて、一つの設定電流Isを選択し、対応する溶接条件を抽出する(ステップS2)。
[0046]
 選択された設定電流Is及び溶接条件に対して、第1のピーク電流Ip1による1パルス1ドロップ制御を維持可能な範囲で、ベース期間Tbの第2の電流値IBに重畳させる第2のピーク電流Ip2の電流値(第3の電流値)IC及び第2のピーク期間Tp2を決定する(ステップS3)。
[0047]
 このように決定された溶接条件を用いて、母材17に対してパルス溶接を行い、形成された溶接ビードの外観に基づいて第2のベース期間Tb2を決定する。また、これに応じて、第2のパルス周波数Fp2及びパルス数nがそれぞれ決定される(ステップS4)。
[0048]
 また、溶接ビード周縁部において、形状が良好であるか否か、具体的には、ビード際の不揃いが無いか、また、なじみは良好であるかを別途観察し(ステップS5)、ステップS5での判断結果が否定的であれば、ステップS4に戻って、第3の電流値IC、第2のピーク期間Tp2、第2のパルス周波数Fp2及びパルス数nを再設定し、ステップS5に進む。
[0049]
 ステップS5での判断結果が肯定的であればステップS6に進み、テーブル中の各設定電流Isに対して第3の電流値IC,第2のピーク期間Tp2,第2のベース期間Tb2,第2のパルス周波数Fp2及びパルス数nはすべて決定されたか否かを判断する。
[0050]
 ステップS6での判断結果が肯定的であれば溶接条件の設定を終了し、すべての溶接条件をテーブル化して所定の記憶部(図示せず)に記憶する。一方、ステップS6での判断結果が否定的であれば、ステップS2に戻って、設定電流Isを再度選択し、ステップS3~ステップ6までの一連の処理を繰り返す。
[0051]
 図5は、図4に示す手順で設定された溶接条件の一例を示す。
[0052]
 図5から明らかなように、母材17の板厚が薄くなるほど、設定電流Is、設定電圧Vs及びワイヤ送給速度Wpは低くなる。これは、溶接に必要な母材17への入熱量が小さくなるためである。また、設定電流Isが高くなるほど、第1~第3の電流値IA~ICもそれぞれ高くなる。また、ベース期間Tbでの溶接ワイヤ18に流れる電流の時間積分値が大きくなるため、ベース期間Tbは短くなり、これに応じて第2のパルス周波数Fp2は高くなり、パルス数nは小さくなる。
[0053]
 なお、図5に示す条件はあくまでも一例であって、実際にパルス溶接を行うにあたっては、母材17の材質や厚さ、また、溶接ワイヤ18のワイヤ径や材質、さらにシールドガスの種類や流量等に応じて適切な溶接条件の組が設定される。
[0054]
 [効果等]
 以上説明したように、本実施形態に係るアーク溶接制御方法は、溶接ワイヤ18を母材17に向けて所定のワイヤ送給速度Wpで送給するとともに、溶接ワイヤ18に第1のピーク電流Ip1とベース電流Ibとを交互に流すことで、母材17と溶接ワイヤ18との間でアーク19を発生させるパルス溶接期間Tpを含んでいる。
[0055]
 また、少なくともパルス溶接期間Tpでは、溶接ワイヤ18に流れる溶接電流Iの設定平均値である設定電流Isに基づいて溶接電流Iを制御している。
[0056]
 パルス溶接期間Tpは、ピーク値が第1の電流値IAである第1のピーク電流Ip1を溶接ワイヤ18に流す第1のピーク期間Tp1と、第2の電流値IBを有するベース電流Ibを溶接ワイヤ18に流すベース期間Ibと、を交互に含んでいる。
[0057]
 ベース期間Tbでは、第2のパルスのピーク電流値が第2の電流値IBと第3の電流値ICとの和となるように、パルス数がn回(nは1以上の整数)の第2のパルスの第2のピーク電流Ip2を第1のパルスの第1のパルス周波数Fp1よりも高い第2のパルスの第2のパルス周波数Fp2でベース電流Ibに重畳させている。これにより、パルス数がn回の第2のピーク電流Ip2の第2のパルスと第1のピーク電流Ip1の第1のパルスとを交互に繰り返し発生させる。
[0058]
 第2の電流値IBと第3の電流値ICとの和は第1の電流値IAとしての第1のピーク電流Ip1よりも小さく、第2のピーク期間Tp2は第1のピーク期間Tp1よりも短い。
[0059]
 また、本実施形態に係るアーク溶接制御方法では、第1のピーク期間Tp1中または第1のピーク期間Tp1直後に溶接ワイヤ18から母材17に向けて溶滴を移行させている。
[0060]
 アーク溶接制御方法をこのように構成することで、設定電流Isを低く設定した低溶接電流でのパルス溶接において、溶接ビード周縁部のビード際の不揃いを抑制して、ビード際の揃いを安定させ、溶接ビードの外観を良好なものとすることができる。また、溶接ビード周縁部での母材17とのなじみが良化することで、フラットな形状の溶接ビードを形成することができる。このことについて、図6,7を用いてさらに説明する。
[0061]
 図6は、パルス溶接時の溶接ビードの平面模式図を、図7は断面模式図をそれぞれ示す。なお、図6,7に示す例では、所定の区間で溶接速度が一定に保たれるようにトーチを連続的に移動させて母材17をパルス溶接している。また、図7において、(a)図は、図6のVIIA-VIIA線での断面模式図を、(b)図は、図6のVIIB-VIIB線での断面模式図を、(c)図は、図6のVIIC-VIIC線での断面模式図をそれぞれ示している。
[0062]
 図3に示すような、従来の1パルス1ドロップ制御において、設定電流Isを低く設定すると、ベース電流Ibの電流値である第2の電流値IBもこれに対応して低い値となる。
[0063]
 しかし、第2の電流値IBが所定値以上に低くなると、アーク19は維持できるものの、その指向性は低下し、パルス溶接期間Tp中の異なる基本単位期間Tpbにおいて、あるいは同じ基本単位期間Tpb中に、母材17に対するアーク19の入射方向や入射位置が変動してしまうことがある(図3の状態(a),(b)参照)。このような状態が生じるとトーチの進行方向(以下、溶接方向という)に対して母材17の入熱箇所がふらつき、その結果、溶接ビード周縁部がビード際に不揃いが生じて、溶接ビードの幅がばらついてしまうおそれがある(図6の(b)図参照)。
[0064]
 一方、本実施形態によれば、図2に示すように、ベース期間Tb中に、ベース電流Ibに第1のパルス周波数Fp1よりも高い第2のパルス周波数Fp2で第2のピーク電流Ip2を重畳させている。このようにすることで、ベース期間Tbで溶接ワイヤ18に流れる電流の時間積分値を低く保つことができる。また、ベース期間Tbでのアーク力を周期的に強めることで、アーク19の指向性が低下するのを抑制し、溶接方向に対する母材17の所定の位置に安定して入熱できる。その結果、図6の(a)図に示すように、溶接ビード周縁部でのビード際の不揃いを抑制して、ビード際の揃いを安定させ、溶接ビードの幅を安定させることができるとともに、その外観を良好なものとすることができる。
[0065]
 また、ベース期間Tb中に、ベース電流Ibに第2のピーク電流Ip2を重畳させることにより、ベース期間Tbでの溶接ワイヤ18に流れる電流の時間積分値が増加し、第2のピーク電流Ip2を重畳させない場合に比べて母材17への入熱量を大きくできる。このことにより、第2のピーク電流Ip2の重畳が無い場合(図7の(b),(c)図参照)に比べて、図7の(a)図に示すように、溶接ビート周縁部の断面形状がなだらかになり、母材17とのなじみが良化するとともに、フラットな溶接ビードを形成できる。
[0066]
 また、第2の電流値IBと第3の電流値ICとの和を第1の電流値IAよりも小さくし、かつ第2のピーク期間Tp2を第1のピーク期間Tp1よりも短くすることで、ベース期間Tb中に溶接ワイヤ18の先端に形成される溶滴のサイズが大きくなりすぎるのを防止できる。これは、ベース期間Tb中にベース電流Ibと第2のピーク電流Ip2とが第2のパルス周波数Fp2で交互に流れるため、第2のピーク期間Tp2中に溶滴がわずかに成長しても、続く第2のベース期間Tb2でその成長が抑制されるためである。このことにより、ベース期間Tb中に溶滴が溶接ワイヤ18から意図せず離脱するのを防止でき、パルス溶接期間Tpにおいて、基本単位期間Tpb中の所定のタイミング、つまり第1のピーク期間Tp1中または第1のピーク期間Tp1直後に、第1のピーク電流Ip1を1回流す毎に溶滴を母材17に1回移行させる1パルス1ドロップ動作を行うように、溶接ワイヤ18から母材17に向けて確実に溶滴を母材17に移行させることができる。これにより、パルス数がn回の第2のピーク電流Ip2の第2のパルスと1回の第1のピーク電流Ip1の第1のパルスとを交互に繰り返し発生させ、第1のピーク期間Tp1中または第1のピーク期間Tp1直後に、言い替えると第1のピーク電流Ip1の第1のパルスを1回流す毎に、基本単位期間Tpb毎に溶接ワイヤ18に生成された溶滴を母材17に移行させている。
[0067]
 また、溶滴の過度の成長を抑制するために、第2のベース期間Tb2は第2のピーク期間Tp2と同じか、それよりも長いことが好ましい。なお、図5に示すように、本実施形態では、第2のピーク期間Tp2と第2のベース期間Tb2との比Tp2:Tb2が1:2となるように設定しているが、当該比は特にこれに限定されない。
[0068]
 なお、第1のピーク期間Tp1で複数回、第1のピーク電流Ip1を流すように溶接電流Iを制御する場合、溶滴移行のタイミングが安定しないおそれがある。このような場合、形成された溶接ビードのピッチがばらついて波目が揃わず、溶接ビードの外観が悪化するおそれがある。よって、第1のピーク期間Tp1では第1のピーク電流Ip1を1回流すようにするのがよい。
[0069]
 なお、図5に示すように、第2のピーク電流Ip2のピーク値、つまり第2の電流値IBと第3の電流値ICとの和は、第1のピーク電流Ip1のピーク値である第1の電流値IAの1/2以下であることが好ましい。このようにすることで、ベース期間Tb中に溶接ワイヤ18の先端に形成される溶滴のサイズが大きくなりすぎるのを確実に防止できる。
[0070]
 また、母材17の板厚が薄く、設定電流Isが低く設定される場合には、ベース電流Ibもそれに応じて低くなる。このような場合には、ベース期間Tbにおいて、第2のピーク電流Ip2を第2のパルス周波数Fp2でベース電流Ibに複数回重畳させるようにしてもよい。
[0071]
 また、本願発明者等の検討結果によれば、第3の電流値ICは150A未満であることが好ましく、100A以下であることがより好ましい。また、第2のベース期間Tb2は第2のピーク期間Tp2と同じか、それよりも長いことが好ましい。
[0072]
 第3の電流値ICや第2のベース期間Tb2、第2のピーク期間を上記のように設定することで、第1のピーク期間Tp1中または第1のピーク期間Tp1直後に、溶接ワイヤ18から母材17に向けてより確実に溶滴を母材17に移行させることができる。例えば、第3の電流値ICを150A未満とすることで、第1の電流値IAに比べて第3の電流値ICを十分に小さな値とすることができる。このことにより、1パルス1ドロップの溶滴移行に対して、溶接ワイヤ18に流れる電流量が大きくなりすぎて、溶接ワイヤ18の溶融が進み、溶滴移行タイミングや移行する溶滴数が変動するのを防止できる。
[0073]
 また、本実施形態によれば、ベース期間Tb中に母材17にアーク19が照射されることで、母材17の表面に溶接ワイヤ18または母材17を構成する金属の酸化物が付着するのを抑制している。
[0074]
 アルミ系材料をパルス溶接する場合、母材17や溶接ワイヤ18が蒸発した金属蒸気と大気中の酸素等とが結合した金属酸化物(以下、スマットという)が母材17に付着しやすく、溶接ビードの外観を損ねるという問題があった。特に、溶接ワイヤ18が硬質アルミ系材料である場合には、スマットの付着が顕著であった。
[0075]
 本実施形態によれば、ベース期間Tb中に、ベース電流Ibに、第1のピーク電流Ip1の第1のパルスの第1のパルス周波数Fp1より高い、第2のピーク電流Ip2の第1のパルスの第2のパルス周波数Fp2で、第1のピーク電流Ip1より低く、パルス数がn回の第2のパルスの第2のピーク電流Ip2を、第1のピーク電流Ip1の第1のパルスの第1のピーク期間Tp1よりも短い第2のパルスの第2のピーク期間Tp2になるように、重畳させ、パルス数がn回の第2のピーク電流Ip2の第2のパルスと、パルス数が1回の第1のピーク電流Ip1の第1のパルスとを交互に繰り返し発生させる、ここで第2のピーク電流Ip2の第2のパルスに対応する第2のピーク電圧Vp2は、第1のピーク電流Ip1の第1のパルスに対応する第1のピーク電圧Vp1より低い。これにより、溶接ワイヤ18と母材17との間で発生したアーク19のアーク力を周期的に、言い換えると第2のパルス周波数Fp2で、好ましい強弱度合いで変動させて、アークの指向性も高めつつ母材17に対し安定的にアークが印加される。第2のピーク期間Tp2において、第2のベース期間Tb2よりもアーク力が強まった状態でアーク19が母材17の表面に照射されることにより、母材17の表面の酸化膜が分解され清浄化される。つまり、一種のクリーニング作用がはたらいて、母材17の表面にスマットが付着するのを抑制することができる。
[0076]
 なお、パルス数がn回の第2のピーク電流Ip2の第2のパルスと、パルス数が1回の第1のピーク電流Ip1の第1のパルスとを交互に繰り返し発生させるとしたが、第2のピーク電流Ip2のパルス数を複数回とし、パルス数が複数回の第2のピーク電流Ip2の第2のパルスと、パルス数が1回の第1のピーク電流Ip1の第1のパルスとを交互に繰り返し発生させることがより好ましい。
[0077]
 これにより、ベース期間Tb中の第2のピーク電流Ip2のパルスがより安定する。また、溶接ビードのビード際の不揃い等に影響するアーク19の指向性や母材17の表面にスマットが付着するのをより抑制し、溶接ビードのクリーニング性をより安定させ維持することができる。
[0078]
 図8は、本実施形態における溶接ビードの外観写真を示している。図8に示す例では、トーチを溶接方向に一定速度で相対的に送りながら溶接電流のONとOFFとを繰り返して母材17を、溶接ビードの形状が鱗ビード状になるようにパルス溶接する、パルスステッチ溶接を行っており、溶接電流のONとOFFとを繰り返しする際にワイヤ送給の送給と停止を同時に繰り返している(図9参照)。
[0079]
 図8に示すように、ベース期間Tbにおいて、第2のピーク電流Ip2を重畳させていない場合には、溶接ビード内にスマットが付着しているのに対し、本実施形態に示すように、第2のピーク電流Ip2を重畳させた場合には、このようなスマットの付着が見られず、良好な外観の溶接ビードを形成することができた。
[0080]
 なお、第2のパルス周波数Fp2が高くなるほど、上記のクリーニング作用は高められる。ただし、第2のパルス周波数Fp2が所定値以上に高くなると、溶接電流Iの変動に伴う振動の周波数が高くなりすぎ、騒音が問題となる。
[0081]
 このため、第2のパルス周波数Fp2は3000Hz以下であることが好ましく、1000Hz以下であることがより好ましい。一方、第2のパルス周波数Fp2が300Hzよりも低くなると、ベース期間Tb中でのアーク19の指向性を高める効果が弱くなる。
[0082]
 このため、第2のパルス周波数Fp2は、300Hz以上、3000Hz以下の高周波であることが好ましく、騒音の問題を重視する場合は、300Hz以上、1000Hz以下の高周波であることがより好ましい。
[0083]
 なお、ベース期間Tbにおけるアーク19の指向性や母材17へのクリーニング性能を高めるために、例えば、図3に示すパルス溶接制御において、ベース期間Tb中にベース電流Ibを一様に高めることも考えられる。
[0084]
 しかし、この方法では、クリーニング性能自体は向上するものの、以下に示す不具合を生じてしまう。まず、パルス溶接期間Tp中は、設定電流Is及び/または設定電圧Vsを維持するように溶接電流Iを制御している。ベース期間Tb中でベース電流Ibを一様に高めるようにすると、溶滴の移行周期が長くなってしまい、それに伴い、溶接ビードのピッチが長くなる。また、溶滴自体のサイズも大きくなる。このような場合、溶滴が落下した部分と落下していない部分との形状差が目立つようになり、さらには溶接ビードにしわができるおそれがあった。また、図6の(b)図に示す溶接ビード周縁部のビード際の不揃いが生じてしまうおそれがあった。また、溶滴のサイズが大きくなりすぎて溶滴移行時にスパッタが発生するおそれがあった。
[0085]
 また、ベース電流Ibを所定値以上に高めてしまうと、設定電流Isを維持するために第1のピーク電流Ip1が低下してしまう場合がある。このような場合、溶滴移行時に母材17への入熱量が不足して、図7の(b),(c)図に示すように溶接ビードが設定以上に細くなってしまうおそれがあった。このような場合、母材17とのなじみが悪化し、幅が狭く盛り上がった外観形状の溶接ビードが形成されるおそれがあった。
[0086]
 一方、本実施形態によれば、ベース期間Tb中に、ベース電流Ibに第2のパルス周波数Fp2で第2のピーク電流Ip2の第3の電流値ICを重畳させ、かつ、第2のピーク期間Tp2及び/または第2のベース期間Tb2を適切に設定することで、ベース期間Tb中でのアーク19の指向性を高めて、溶接ビード周縁部でのビード際の不揃いの発生を抑制して、溶接ビードの幅を安定させることができるとともに、その外観を良好なものとすることができる。また、母材17とのなじみを良化させ、フラットな溶接ビードを形成することができる。
[0087]
 また、溶接ビードの仕上がり具合によっては、当初設定した設定電圧Vsを変更して、溶接ビードの幅を調整する場合がある。例えば、アーク長が長いと、アーク19が広がり溶接ビードの幅が大きくなる傾向にある。このため、当初の目標値よりも実際に形成した溶接ビードの幅が広ければ、設定電圧Vsを低くしてアーク長が短くなるように調整する必要がある。また、当初の目標値よりも実際に形成した溶接ビードの幅が狭ければ、設定電圧Vsを高くしてアーク長が長くなるように調整する必要がある。アーク長が短くなりすぎて、微小短絡のおそれがある場合も同様に、設定電圧Vsを高くしてアーク長が長くなるように調整する必要がある。
[0088]
 一方、本実施形態に示すアーク溶接制御方法において、アーク長の補正のため、設定電圧Vsが高くなるように調整すると、ベース期間Ibが短くなるとともにパルス数nが減少する傾向にあり、設定電圧Vsを低くすると、ベース期間Ibが長くなるとともにパルス数nが増加する傾向にある。
[0089]
 具体的には、例えば、図5に示す例において、設定電流Isの設定値が60Aの場合、設定電圧Vsが1V低くなるように調整すると、ベース期間Tbが長くなりパルス数nが4回に増加する。また、設定電圧Vsが1V高くなるように調整すると、ベース期間Tbが短くなりパルス数nが2回に減少する。このように、設定電圧Vsに応じて、ベース期間Tbは変動する。
[0090]
 一方、本実施形態によれば、設定電流Isに対して第2のピーク電流Ip2の各パラメータの最適値を決めている。つまり、第2のピーク電流Ip2のピーク値は、ベース電流Ibの電流値である第2の電流値IBからのかさ上げ値(=第3の電流値IC)を用いて決定し、また、第2のピーク期間Tp2及び第2のベース期間Tb2を設定電流Isに応じた一定の周期として決定している。その結果、第2のピーク電流Ip2は第2のパルス周波数Fp2で出力される。
[0091]
 したがって、アーク長の補正のため、設定電圧Vsを調整したとしても、設定電流Isに対して予め定めた一定の周期で第2のピーク電流Ip2が出力されるため、溶接ビードのビード際の不揃い等に影響するアーク19の指向性や溶接ビードのクリーニング性を安定して高めて維持することができる。
[0092]
 なお、前述したように、設定電圧Vsを変更すると、ベース期間Tbが変更されるため、パルス数nは変わることとなるが、本実施形態ではそれ以外の第2のピーク電流Ip2の条件、つまり、第3の電流値ICや第2のピーク期間Tp2、第2のベース期間Tb2への影響が生じないように溶接電流Iを制御している。
[0093]
 また、本実施形態の制御方法は、母材17がアルミニウムまたはアルミニウムを主体とする合金である場合に、スマットが付着するのを抑制し、外観の美しい溶接ビードを得ることができる。溶接ワイヤ18が硬質アルミ系材料である場合には、母材17にスマットがより付着しやすいため、本実施形態に示すアーク溶接制御方法は特に有用である。
[0094]
 母材17の厚さが1mm以上、6mm以下である、いわゆる薄板である場合には、設定電流Isを低く設定して低溶接電流でパルス溶接を行う必要があるため、本実施形態に示すアーク溶接制御方法は特に有用である。
[0095]
 (実施形態2)
 図9は、本実施形態に係るアーク溶接時の各種出力波形を示す。図9を用いて、図1に示すアーク溶接装置16の動作について説明する。なお、本実施形態では、アーク溶接時に、短絡溶接とパルス溶接とを順に行い、その後に溶接電流を0にする冷却期間を設けるようにアーク溶接装置16を動作させる。なお、溶接ワイヤ18を保持するトーチ(図示せず)は、溶接が行われる所定の区間を一定の速度で移動するように制御される。つまり、一般のステッチ溶接のように、トーチが停止している時間に溶接を行い、溶接を停止してから次の教示点にトーチを移動させるのではなく、所定の区間で溶接速度が一定に保たれるようにトーチが連続的に移動する。なお、母材17の溶接箇所全体にわたって、溶接速度が一定でなくてもよい。例えば、母材17の板厚が変化する部分等では、溶接速度を変化させるようにしてもよい。
[0096]
 また、図9において、破線で囲まれた部分Aでは、図2に示す、第1のピーク期間Tp1とベース期間Tbとの和からなる基本単位期間Tpbを1回または複数回繰り返してパルス溶接を行っている。
[0097]
 まず、溶接開始を指示した時点Wstから送給速度W1で溶接ワイヤ18の送給が開始される。そして溶接開始を指示した時点Wstから、または、溶接開始を指示し溶接ワイヤ18と溶接対象物である母材17との短絡発生を検出した時点Edから、短絡溶接設定部23により設定された条件で短絡溶接制御部11により溶接出力が制御され、短絡溶接を行う。次に、予め短絡溶接設定部23により設定された所定の時間Tsを経過すると、制御切替部9が短絡溶接からパルス溶接に切り替える。その後、パルス溶接設定部24により設定された条件でパルス溶接制御部12により溶接出力が制御され、ピーク電流とベース電流を繰り返しながらパルス溶接開始時点Pst(Pst1、Pst2)よりパルス溶接を行う。このとき、溶接電流Iは、図2に示す溶接電流の波形となるようにパルス溶接制御部12により制御される。
[0098]
 そして、予めパルス溶接設定部24により設定された所定の時間のパルス溶接期間Tpを経過すると、制御切替部9がパルス溶接から冷却期間に切り替える。冷却期間設定部25により設定された所定の時間の冷却期間Tnの間、出力制御部10からの出力を遮断する。これによりアークによる入熱量を0にすることができる。上述の第1短絡溶接期間Tsとパルス溶接期間Tpと冷却期間Tnとを1つの溶接周期として、これらを順に繰り返すことで鱗状の溶接ビードを形成する。
[0099]
 図9に示すように、第1短絡溶接期間Tsの後に、入熱量の高いパルス溶接期間Tpを設け、さらにその後に入熱量が0である冷却期間Tnを設けることで、溶接箇所での冷却効果を高め、入熱量の差を最も大きくすることができ、波目状が明瞭な鱗状の溶接ビードを実現できる。冷却期間Tnでは、溶接電流及び溶接電圧の出力を0にすると、入熱量を0にすることができ最も冷却性が良い。溶接電流のみ0にし、溶接電圧を印加したままにすると、無負荷電圧を発生した状態を維持することができ、次のアークスタートを円滑に行うことができる。パルス溶接期間Tpのパルス溶接開始時点Pst1から、次のサイクルのパルス溶接期間Tpのパルス溶接開始時点Pst2までの周期を、パルス溶接期間の周期Pcとし、このパルス溶接期間の周期Pcは、長いほど波目は粗い形状となり、短いほど波目は密な形状となる。
[0100]
 また、パルス溶接期間Tpにおいてアーク19の発生時にアーク直下に溶融池が形成されていないと、第1のピーク電流Ip1の出力時に溶接ワイヤ18の溶滴が吹き飛ばされスパッタが発生してしまう。そのため、短絡溶接期間Tsをパルス溶接期間Tpの前に設ける。このことで、パルス溶接期間Tpへの切り替え時にアーク直下に溶融地が形成され、第1のピーク電流Ip1によるスパッタの発生を抑制できる。
[0101]
 短絡溶接期間Tsのアークスタート時には、図9に示すように、パルス溶接期間Tp中の溶接電圧よりも高い無負荷電圧V1が出力され、一定送給速度W1で、溶接ワイヤ18が母材17と短絡し電流検出するまで送給される。電流検出後の、溶接電流I1は本溶接の短絡開放時の溶接電流よりも大きい。溶接電流I1は所定期間出力される。この期間中、溶接ワイヤ18の送給は予め決められた振幅で逆送される。短絡開放後、溶接ワイヤ18の送給は、予め決められた振幅及び周波数をもって正送及び逆送を繰り返しながら行われる。図9は送給波形が正弦波の場合を示すが、周期的な波形であれば、例えば台形波(図示しない)など、どのような送給波形でも良い。また周波数(周期)は、一定でもよいし、変動してもよい。また、予め決められた振幅及び周波数などをもたない、一定送給速度で送給を行うと管理が容易であるが、短絡開放時に電磁的ピンチ力によるスパッタが発生しやすい。そのため、予め決められた振幅及び周波数で溶接ワイヤ18を機械的に正送及び逆送することで、短絡溶接期間Tsにおける短絡開放時のスパッタ発生を抑制できる。
[0102]
 このときの溶滴移行状態を図9の最下段に示す。状態(a)は短絡溶接期間Ts中における短絡アーク溶接のアーク期間の溶滴移行状態を示し、アークを発生させながら溶接ワイヤ18を正送している。状態(b)は短絡溶接期間Ts中における短絡アーク溶接の短絡期間の溶滴移行状態を示し、溶接ワイヤ先端の溶滴を母材17に移行させたのちにワイヤを逆送させ、機械的に短絡開放を促している。次に、パルス溶接期間Tpにおける溶接ワイヤ18の送給は、パルス溶接設定部24により設定された溶接電流に最適な一定送給速度で行われ、図2に示すピーク期間Tp1とベース期間Tbとの和となる基本単位期間Tpb中において、溶接ワイヤ18先端に形成された溶滴を、第1のピーク期間Tp1中または第1のピーク期間Tp1直後に溶滴を離脱させ母材17に向けて移行させている。そして、パルス溶接期間Tpが終了した冷却期間Tnでは、状態(d)に示すように溶接ワイヤ18の送給速度は停止されている。そのときの溶接ワイヤ先端から母材17までの距離がWDである。さらに冷却期間Tn経過後に再び次のサイクルが実行され、状態(e)に示すように溶接ワイヤ18が母材17と接触して電流検出したのちに次の短絡溶接期間Tsが再び開始される。このように、短絡溶接期間Ts及びパルス溶接期間Tpで維持していたアークが、冷却期間Tnでは消滅し、次の短絡溶接期間Tsに切り替わる際にアークを再発生させる必要があるため、アークスタート初期の短絡開放時に電磁的ピンチ力によるスパッタが発生しやすい。しかし、本実施形態に示すように、短絡溶接期間Tsでは、溶接ワイヤ18を機械的に正送及び逆送するため、アークスタート初期の短絡開放時のスパッタ発生を抑制することができる。すなわち、短絡溶接期間Tsにおいて溶接ワイヤ18を正送及び逆送し、機械的に短絡状態を開放させることで、電磁的ピンチ力によるスパッタの発生を低減できる。
[0103]
 図9に示すように、短絡溶接期間Tsにおける溶接電流Iと送給速度Wは刻々と変化させている。特に、送給速度の平均送給速度は、パルス溶接期間Tpの溶接条件の設定送給量に近づくよう次第に増加させている。
[0104]
 本実施形態によれば、パルス溶接期間Tp中に実施形態1に示すパルス溶接制御を行うことにより、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
[0105]
 さらに、上述の短絡溶接期間Tsとパルス溶接期間Tpと冷却期間Tnとを順に繰り返すサイクルにて溶接を行うことにより、低入熱の短絡溶接、高入熱のパルス溶接、入熱量が0である冷却期間をそれぞれ調整することで、母材17への入熱量を幅広く制御することができ、溶接ビード形状をより精密に制御することが可能である。また、低溶接電流(例えば、設定電流Isが40A以上190A以下)でパルス溶接期間Tpでのパルス溶接を安定して行えるため、板厚のより薄い母材17(例えば板厚が1mm以上6mm以下)の溶接にも対応ができる。
[0106]
 なお、短絡溶接期間Ts中、溶接ワイヤ18は、予め決められた振幅及び周波数で送給されるが、これに限らない。上述のように、管理を容易にするため、短絡溶接期間Ts中、溶接ワイヤ18を一定送給速度で送給してもよい。
[0107]
 また、パルス溶接期間Tp中、溶接ワイヤ18は、一定送給速度で送給されるが、これに限られない。パルス溶接期間Tp中、溶接ワイヤ18の送給速度を変動させてもよい。
[0108]
 また、短絡溶接期間Ts中に平均送給速度Wsをパルス溶接期間Tp中の一定送給速度まで増加させているが、これに限らない。短絡溶接期間Tsの終了時の平均送給速度Wsがパルス溶接期間Tp中の一定送給速度と異なっていてもよい。
[0109]
 なお、図示しないが、図9に示すパルス溶接期間Tpと冷却期間Tnとの間に、第2短絡溶接期間Tseを設けるようにしてもよい。第2短絡溶接期間Tseでは、平均送給速度Wsは徐々に低下させるようにする。短絡溶接は、パルス溶接に比べてアーク長が短く、溶接終了時の溶接ワイヤ先端と母材までの距離WDを短くすることができ、冷却期間Tnの変動を小さくすることができ、パルス溶接期間の周期Pcを一定にして均一な溶接ビードを形成できる。
[0110]
 (その他の実施形態)
 なお、実施形態1,2において、パルス溶接中に溶接ワイヤ18の先端は溶接方向に対して所定の角度で傾斜するようにしてもよい。その場合、図10に示すように、溶接方向に対して溶接ワイヤ18が直交する方向を向く、いわゆる面直とするか、あるいは溶接ワイヤ18の先端が面直位置から溶接方向に対して前方に位置するように溶接ワイヤ18を傾斜させて、溶接ワイヤ18を前進させるのが好ましい。
[0111]
 一方、溶接ワイヤ18の先端が面直位置から溶接方向に対して後方に位置するように溶接ワイヤ18を傾斜させて、溶接ワイヤ18を後進させると、特に、母材17や溶接ワイヤ18がアルミニウムまたはアルミニウムを主体とする合金の場合は、形成後の溶接ビードが金属蒸気に曝されやすくなるため、スマットが付着しやすく好ましくない。
[0112]
 なお、スマットの付着を確実に防止するためには、溶接ワイヤ18を前進させるのが好ましく、その場合の前進角θ(図10参照)は20度以下であるのが好まく、より好ましくは10度である。母材17や溶接ワイヤ18が硬質アルミ系材料である場合には、溶接ワイヤ18を前進させるのがより好ましい。
[0113]
 なお、シールドガスは、CO ガスやO ガスを含んでいてもよい。例えば、Arガスが80%、CO ガスが20%の混合ガスであっても、Arガスが98%、O ガスが2%の混合ガスであってもよい。ただし、CO ガスは、アーク溶接中に分解して酸素(O )を生成する。この酸素と溶接ワイヤ18または母材17を構成する金属とが反応してスマットが形成される。したがって、アーク溶接の仕様に適合した範囲で、CO ガスやO ガスの比率は低くする方が好ましい。この観点から言えば、シールドガスは100%のArガスであることがより好ましい。
[0114]
 また、シールドガスとして、100%のHe(ヘリウム)ガスを用いるようにしてもよい。この場合も、シールドガスに酸素やCO が含まれないので、スマットが母材17に付着されにくくなる。
[0115]
 なお、実施形態1,2において、母材17をアルミニウムまたはアルミニウムを主体とする合金とし、溶接ワイヤ18の硬質アルミとしたが、特にこれに限定されず、他の材質であってもよい。例えば、母材17を軟鋼とし、溶接ワイヤ18を鉄系材料としてもよい。
[0116]
 また、母材17の材質に限らず、その厚さが1mm以上、6mm以下である、いわゆる薄板である場合には、設定電流Isを低く設定して低溶接電流でパルス溶接を行う必要があるため、実施形態1,2に示すアーク溶接制御方法は特に有用である。

産業上の利用可能性

[0117]
 本発明のアーク溶接制御方法は、低い溶接電流で安定した溶接を行うことができるとともに、良好な外観の溶接ビードを安定して形成できるため、薄板のパルス溶接に適用する上で特に有用である。

符号の説明

[0118]
1  入力電源
2  主変圧器(トランス)
3  一次側整流部
4  スイッチング部
5  DCL(リアクトル)
6  二次側整流部
7  溶接電流検出部
8  溶接電圧検出部
9  制御切替部
10 出力制御部
11 短絡溶接制御部
12 パルス溶接制御部
13 ワイヤ送給速度制御部
14 ワイヤ送給速度検出部
15 演算部
16 アーク溶接装置
17 母材
18 溶接ワイヤ
19 アーク
20 溶接チップ
21 ワイヤ送給部
22 溶接条件設定部
23 短絡溶接設定部
24 パルス溶接設定部
25 冷却期間設定部

請求の範囲

[請求項1]
 溶接ワイヤを母材に向けて所定の送給速度で送給するとともに、前記溶接ワイヤにピーク電流とベース電流とを交互に流すことで、前記母材と前記溶接ワイヤとの間でアークを発生させるパルス溶接期間を含む、アーク溶接制御方法であって、
 前記パルス溶接期間は、
 ピーク電流値が第1の電流値である第1のピーク電流を前記溶接ワイヤに流す第1のピーク期間と、
 第2の電流値を有するベース電流を前記溶接ワイヤに流すベース期間と、を交互に含み、
 前記ベース期間では、ピーク電流値が前記第2の電流値と第3の電流値との和となるように第2のピーク電流を前記第1のピーク電流の第1のパルス周波数よりも高い第2のパルス周波数で前記ベース電流に重畳させ、
 前記第2の電流値と前記第3の電流値との和は前記第1の電流値よりも小さく、
 前記溶接ワイヤに前記第2のピーク電流を1回流す第2のピーク期間は前記第1のピーク期間よりも短く、
 前記第1のピーク期間中または前記第1のピーク期間直後に前記溶接ワイヤから前記母材に向けて溶滴を移行させることを特徴とするアーク溶接制御方法。
[請求項2]
 請求項1に記載のアーク溶接制御方法において、
 前記ベース期間では、前記第2のピーク電流を前記ベース電流に複数回重畳させることを特徴とするアーク溶接制御方法。
[請求項3]
 請求項1または2に記載のアーク溶接制御方法において、
 前記第2のピーク電流の前記第2のパルス周波数は300Hz以上、3000Hz以下であることを特徴とするアーク溶接制御方法。
[請求項4]
 請求項3に記載のアーク溶接制御方法において、
 前記第2のピーク電流の前記第2のパルス周波数は300Hz以上、1000Hz以下であることを特徴とするアーク溶接制御方法。
[請求項5]
 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法において、
 前記第2のピーク期間に続けて、または第2のピーク期間の直前に、前記溶接ワイヤに前記ベース電流を流す期間を第2のベース期間としたとき、前記第2のベース期間は前記第2のピーク期間と同じか、それよりも長く、前記第2のピーク電流の前記第2のパルス周波数は、第2のピーク期間と第2のベース期間の和の逆数であることを特徴とするアーク溶接制御方法。
[請求項6]
 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法において、
 前記第2のピーク期間での溶接電圧である第2のピーク電圧は、前記第1のピーク期間での溶接電圧である第1のピーク電圧よりも低いことを特徴とするアーク溶接制御方法。
[請求項7]
 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法において、
 前記第1のピーク電流は前記第2のピーク電流よりも高く、
 前記第1のピーク電流及び前記第2のピーク電流は、それぞれ前記ベース電流よりも高いことを特徴とするアーク溶接制御方法。
[請求項8]
 請求項1ないし7のいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法において、
 前記ベース期間中に前記母材に前記第2のパルス周波数でアーク力が変動するようにアークが照射されることで、前記母材の表面に前記溶接ワイヤまたは前記母材を構成する金属の酸化物が付着するのを抑制することを特徴とするアーク溶接制御方法。
[請求項9]
 請求項1ないし8のいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法において、
 前記パルス溶接期間の後に、前記母材に対して前記溶接ワイヤの正送と逆送とを交互に繰り返すことで、前記母材と前記溶接ワイヤとの間でアークが発生した状態と前記母材と前記溶接ワイヤとが短絡した状態とが交互に繰り返される第1短絡溶接期間を設けることを特徴とするアーク溶接制御方法。
[請求項10]
 請求項9に記載のアーク溶接制御方法において、
 前記パルス溶接期間と前記第1短絡溶接期間との間に、前記母材に対する入熱量を0にする冷却期間を設けることを特徴とするアーク溶接制御方法。
[請求項11]
 請求項10に記載のアーク溶接制御方法において、
 前記パルス溶接期間と前記冷却期間との間に、前記母材に対して前記溶接ワイヤの正送と逆送とを交互に繰り返すことで、前記母材と前記溶接ワイヤとの間でアークが発生した状態と前記母材と前記溶接ワイヤとが短絡した状態とが交互に繰り返される第2短絡溶接期間をさらに設けることを特徴とするアーク溶接制御方法。
[請求項12]
 請求項1ないし11のいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法において、
 前記母材及び前記溶接ワイヤは、それぞれアルミニウムまたはアルミニウムを主体とする合金であることを特徴とするアーク溶接制御方法。
[請求項13]
 請求項1ないし12のいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法において、
 前記母材の厚さは1mm以上、6mm以下であることを特徴とするアーク溶接制御方法。
[請求項14]
 請求項1ないし13のいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法において、
 前記母材に吹き付けられるシールドガスは、アルゴンガスを80%以上の比率で含んでいることを特徴とするアーク溶接制御方法。
[請求項15]
 請求項1ないし14のいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法において、
 前記母材に吹き付けられるシールドガスは、ヘリウムガスであることを特徴とするアーク溶接制御方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]