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1. WO2020110666 - 固体電池

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明 細 書

発明の名称 固体電池

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011  

発明の効果

0012   0013  

図面の簡単な説明

0014  

発明を実施するための形態

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112  

産業上の利用可能性

0113  

符号の説明

0114  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : 固体電池

技術分野

[0001]
 本発明は、固体電池に関する。より具体的には、本発明は、電池構成単位を構成する各層が積層して成る積層型固体電池に関する。

背景技術

[0002]
 従前より、繰り返しの充放電が可能な二次電池が様々な用途に用いられている。例えば、二次電池は、スマートフォンおよびノートパソコン等の電子機器の電源として用いられたりする。
[0003]
 二次電池においては、充放電に寄与するイオン移動のための媒体として液体の電解質が一般に使用されている。つまり、いわゆる電解液が二次電池に用いられている。しかしながら、そのような二次電池においては、電解液の漏出防止点で安全性が一般に求められる。また、電解液に用いられる有機溶媒等は可燃性物質ゆえ、その点でも安全性が求められる。
[0004]
 そこで、電解液に代えて、固体電解質を用いた固体電池について研究が進められている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2009-181905号公報
特許文献2 : 特開2015-049991号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 固体電池は、正極層、負極層、およびそれらの間の固体電解質から成る固体電池積層体を有して成る(特許文献1参照)。固体電池では、正負極層におけるイオンと電子の受渡しを伴う反応により充放電が行われるため、正負極層内のイオンの伝導性を向上させることが重要となる。その点において、粒径を一定にしたSi粒子を負極活物質粒子として用いることで良好なイオン伝導パスを有する固体電池が提案されている(特許文献2参照)。
[0007]
 本願発明者は、上述したような従前提案されている固体電池では克服すべき課題が依然あることに気付き、そのための対策を取る必要性を見出した。具体的には以下の課題があることを本願発明者は見出した。
[0008]
 図1に示すように、固体電池500を充電する場合、イオン10は積層方向において正極層40から負極層50へ移動する。負極層50が実質的に均一な粒径の活物質粒子20から成る場合、その表層から内層までのイオン拡散距離の差が大きくなり得る。そのため、正極層40に近い側にある負極層50表層の活物質粒子20周辺でイオン10の反応が集中し得る。その結果、電極層内層にまでイオン10が移動することなく、表層でのみ反応が進み、充放電反応が不均一になる虞がある。また、イオンが還元されて電極層表面に析出物10’として蓄積すると、充放電反応の可逆性が低下し、長期的な観点で電池劣化が大きくなる虞がある。したがって、固体電池は、充放電反応の点で好適とならない場合がある。
[0009]
 本発明はかかる課題に鑑みて為されたものである。即ち、本発明の主たる目的は、充放電反応におけるイオン伝導性の観点から、より好適な固体電池を提供することである。

課題を解決するための手段

[0010]
 本願発明者は、従来技術の延長線上で対応するのではなく、新たな方向で対処することによって上記課題の解決を試みた。その結果、上記主たる目的が達成された固体電池の発明に至った。
[0011]
 本発明では、固体電池であって、
 正極層、負極層、および正極層と負極層との間に介在する固体電解質層を備える電池構成単位を積層方向に沿って少なくとも1つ備え、
 正極層および負極層の少なくとも1つが、活物質粒子の平均粒径が互いに異なる複数のサブ活物質層から構成された異粒径層となっている、固体電池が提供される。

発明の効果

[0012]
 本発明に係る固体電池は、充放電反応におけるイオン伝導性の観点で、より好適な固体電池となっている。
[0013]
 より具体的には、本発明の固体電池では、電極層の充放電反応のバランスが向上したものとなっている。その結果、充放電時の反応ムラを低減でき、レート特性の改善や電極層表面での析出物を低減することが可能となる。

図面の簡単な説明

[0014]
[図1] 図1は、従来の固体電池における電極層でのイオン伝導を模式的に示した断面図である。
[図2] 図2は、本発明の一実施形態に係る固体電池における電極層でのイオン伝導を模式的に示した断面図である。
[図3] 図3は、本発明の一実施形態に係る固体電池を模式的に示した断面図である。
[図4] 図4は、本発明の一実施形態に係る固体電池において、2つのサブ活物質層から構成された異粒径層を模式的に示した断面図である。
[図5] 図5は、本発明の一実施形態に係る固体電池において、小粒径のサブ活物質層間に、大粒径のサブ活物質層が介在する異粒径層を模式的に示した断面図である。
[図6] 図6は、本発明の一実施形態に係る固体電池において、活物質粒子の粒径が積層方向にて漸次的に異なっている異粒径層を模式的に示した断面図である。
[図7] 図7は、本発明の一実施形態に係る固体電池において、小粒径のサブ活物質層間に、複数の大粒径のサブ活物質層が介在する異粒径層を模式的に示した断面図である。
[図8] 図8は、本発明の一実施形態に係る固体電池を模式的に示した断面図である。
[図9] 図9Aおよび図9Bは、本発明の一実施形態に係る固体電池を模式的に示した断面図である。
[図10] 図10A~図10Cは、本発明の一実施形態に係る固体電池の製造方法を説明するための模式的に示した断面図である。

発明を実施するための形態

[0015]
 以下、本発明の「固体電池」を詳細に説明する。必要に応じて図面を参照して説明を行うものの、図示する内容は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。
[0016]
 本発明でいう「固体電池」とは、広義にはその構成要素が固体から構成されている電池を指し、狭義にはその構成要素(特に好ましくは全ての構成要素)が固体から構成されている全固体電池を指す。ある好適な態様では、本発明における固体電池は、電池構成単位を成す各層が互いに積層するように構成された積層型固体電池であり、好ましくはそのような各層が焼結体から成っている。なお、「固体電池」は、充電および放電の繰り返しが可能な、いわゆる「二次電池」のみならず、放電のみが可能な「一次電池」をも包含する。本発明のある好適な態様では「固体電池」は二次電池である。「二次電池」は、その名称に過度に拘泥されるものではなく、例えば、蓄電デバイスなどの電気化学デバイスも包含し得る。
[0017]
 本明細書でいう「平面視」とは、固体電池を構成する各層の積層方向に基づく厚み方向に沿って対象物を上側または下側から捉えた場合の形態に基づいている。又、本明細書でいう「断面視」とは、固体電池を構成する各層の積層方向に基づく厚み方向に対して略垂直な方向から捉えた場合の形態(端的にいえば、厚み方向に平行な面で切り取った場合の形態)に基づいている。本明細書で直接的または間接的に用いる“上下方向”および“左右方向”は、それぞれ図中における上下方向および左右方向に相当する。特記しない限り、同じ符号または記号は、同じ部材・部位または同じ意味内容を示すものとする。ある好適な態様では、鉛直方向下向き(すなわち、重力が働く方向)が「下方向」に相当し、その逆向きが「上方向」に相当すると捉えることができる。
[0018]
[固体電池の基本的構成]
 固体電池は、正極層、負極層、およびそれらの間に介在する固体電解質から成る電池構成単位を積層方向に沿って少なくとも1つ備える固体電池積層体を有して成る。
[0019]
 固体電池は、それを構成する各層が焼成によって形成され得る。つまり、好ましくは、正極層、負極層および固体電解質層などが焼結層を成している。より好ましくは、正極層、負極層および固体電解質は、それぞれが互いに一体焼成されており、それゆえ電池構成単位が一体焼結体を成している。
[0020]
 正極層は、少なくとも正極活物質(特に、正極活物質の粒子)を含んで成る電極層である。正極層は、更に固体電解質材および/または正極集電層を含んで成っていてよい。ある好適な態様では、正極層は、正極活物質粒子と固体電解質材と正極集電層とを少なくとも含む焼結体から構成されている。一方、負極層は、少なくとも負極活物質(特に、負極活物質の粒子)を含んで成る電極層である。負極層は、更に固体電解質材および/または負極集電層を含んで成っていてよい。ある好適な態様では、負極層は、負極活物質粒子と固体電解質材と負極集電層とを少なくとも含む焼結体から構成されている。
[0021]
 正極活物質および負極活物質は、固体電池において電子の受け渡しに関与する物質である。固体電解質層を介した正極層と負極層との間におけるイオンの移動(伝導)と、外部回路を介した正極層と負極層との間における電子の受け渡しが行われることで充放電がなされる。正極層および負極層は特にリチウムイオンまたはナトリウムイオンを吸蔵放出可能な層であることが好ましい。つまり、固体電解質層を介してリチウムイオンまたはナトリウムイオンが正極層と負極層との間で移動して電池の充放電が行われる全固体型二次電池であることが好ましい。
[0022]
(正極活物質)
 正極層に含まれる正極活物質としては、例えば、リチウム含有化合物である。リチウム化合物の種類は、特に限定されないが、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物および/またはリチウム遷移金属リン酸化合物である。リチウム遷移金属複合酸化物は、リチウムと1種類または2種類以上の遷移金属元素とを構成元素として含む酸化物の総称である。リチウム遷移金属リン酸化合物は、リチウムと1種類または2種類以上の遷移金属元素とを構成元素として含むリン酸化合物の総称である。遷移金属元素の種類は、特に限定されないが、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)および/または鉄(Fe)などである。
[0023]
 リチウム遷移金属複合酸化物は、例えば、Li M1O およびLi M2O のそれぞれで表される化合物などである。リチウム遷移金属リン酸化合物は、例えば、Li M3PO で表される化合物などである。ただし、M1、M2およびM3のそれぞれは、1種類または2種類以上の遷移金属元素である。x、yおよびzのそれぞれの値は、任意である。
[0024]
 具体的には、リチウム遷移金属複合酸化物は、例えば、LiCoO 、LiNiO 、LiVO 、LiCrO および/またはLiMn などである。また、リチウム遷移金属リン酸化合物は、例えば、LiFePO および/またはLiCoPO などである。
[0025]
 また、ナトリウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質としては、ナシコン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、ナトリウム含有層状酸化物およびスピネル型構造を有するナトリウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
[0026]
(負極活物質)
 負極層に含まれる負極活物質としては、例えば、炭素材料、金属系材料、リチウム合金および/またはリチウム含有化合物などである。
[0027]
 具体的には、炭素材料は、例えば、黒鉛、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)および/または高配向性グラファイト(HOPG)などである。
[0028]
 金属系材料は、リチウムと合金を形成可能である金属元素および半金属元素のうちのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含む材料の総称である。この金属系材料は、単体でもよいし、合金でもよいし、化合物でもよい。ここで説明する単体の純度は、必ずしも100%に限られないため、その単体は、微量の不純物を含んでいてもよい。
[0029]
 金属元素および半金属元素は、例えば、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)および/または白金(Pt)などである。
[0030]
 具体的には、金属系材料は、例えば、Si、Sn、SiB 、TiSi 、SiC、Si 、SiO (0<v≦2)、LiSiO、SnO (0<w≦2)、SnSiO 、LiSnOおよび/またはMg Snなどである。
[0031]
 リチウム含有化合物は、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物などである。リチウム遷移金属複合酸化物に関する定義は、上記した通りである。具体的には、リチウム遷移金属複酸化物は、例えば、Li (PO 3、Li Fe (PO および/またはLi Ti 12等である。
[0032]
 また、ナトリウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質としては、ナシコン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物およびスピネル型構造を有するナトリウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
[0033]
 なお、正極層および/または負極層は、電子伝導性材料を含んでいてもよい。正極層および/または負極層に含まれる電子伝導性材料としては、例えば、炭素材料および/または金属材料などである。具体的には、炭素材料は、例えば、黒鉛および/またはカーボンナノチューブなどである。金属材料は、例えば、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)および/またはパラジウム(Pd)などであり、それらの2種類以上の合金でもよい。
[0034]
 また、正極層および/または負極層は、結着剤を含んでいてもよい。結着剤としては、例えば、合成ゴムおよび高分子材料などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。具体的には、合成ゴムは、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムおよび/またはエチレンプロピレンジエンなどである。高分子材料は、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミドおよびアクリル樹脂から成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。
[0035]
 さらに、正極層および/または負極層は、焼結助剤を含んでいてもよい。焼結助剤としては、リチウム酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化ビスマスおよび酸化リンから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。
[0036]
 正極層および負極層の厚みは特に限定されず、例えば、それぞれ独立して、2μm以上50μm以下、特に5μm以上30μm以下であってよい。
[0037]
(固体電解質)
 固体電解質は、リチウムイオンまたはナトリウムイオンが伝導可能な材質である。特に固体電池で電池構成単位を成す固体電解質は、正極層と負極層との間においてリチウムイオンが伝導可能な層を成している。なお、固体電解質は、正極層と負極層との間に少なくとも設けられていればよい。つまり、固体電解質は、正極層と負極層との間からはみ出すように正極層および/または負極層の周囲においても存在していてもよい。具体的な固体電解質としては、例えば、結晶性固体電解質およびガラスセラミックス系固体電解質などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
[0038]
 結晶性固体電解質は、結晶性の電解質である。具体的には、結晶性固体電解質は、例えば、無機材料および/または高分子材料などである。かかる無機材料は、例えば、硫化物および酸化物などである。硫化物は、例えば、Li S-P 、Li S-SiS -Li PO 、Li 11、Li 3.25Ge 0.250.75SおよびLi 10GeP 12などである。酸化物は、例えば、Li (PO (1≦x≦2、1≦y≦2、Mは、Ti、Ge、Al、GaおよびZrから成る群より選ばれた少なくとも1種)、Li La Zr 12、Li 6.75La Zr 1.75Nb 0.2512、Li BaLa Ta 12、Li 1+xAl Ti 2-x(PO 、La 2/3Li 3xTiO 、Li 1.2Al 0.2Ti 1.8(PO 、La 0.55Li 0.35TiO ならびに/またはLi La Zr 12等である。高分子材料は、例えばポリエチレンオキシド(PEO)などである。
[0039]
 ガラスセラミックス系固体電解質は、アモルファスと結晶とが混在した状態の電解質である。このガラスセラミックス系固体電解質は、例えば、リチウム(Li)、ケイ素(Si)および/またはホウ素(B)を構成元素として含む酸化物などであり、より具体的には、酸化リチウム(Li O)、酸化ケイ素(SiO )および/または酸化ホウ素(B )などを含んでいる。酸化リチウム、酸化ケイ素および酸化ホウ素の総含有量に対する酸化リチウムの含有量の割合は、特に限定されないが、例えば、40mol%以上73mol%以下である。酸化リチウム、酸化ケイ素および酸化ホウ素の総含有量に対する酸化ケイ素の含有量の割合は、特に限定されないが、例えば、8mol%以上40mol%以下である。酸化リチウム、酸化ケイ素および酸化ホウ素の総含有量に対する酸化ホウ素の含有量の割合は、特に限定されないが、例えば、10mol%以上50mol%以下である。酸化リチウム、酸化ケイ素および酸化ホウ素のそれぞれの含有量を測定するためには、例えば、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)などを用いてガラスセラミックス系固体電解質を分析する。
[0040]
 なお、ナトリウムイオンが伝導可能な固体電解質としては、例えば、ナシコン構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、ペロブスカイト構造を有する酸化物、ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物等が挙げられる。ナシコン構造を有するナトリウム含有リン酸化合物としては、Na (PO (1≦x≦2、1≦y≦2、Mは、Ti、Ge、Al、GaおよびZrから成る群より選ばれた少なくとも一種)が挙げられる。
[0041]
 固体電解質層は、結着剤および/または焼結助剤を含んでいてもよい。固体電解質層に含まれる結着剤および/または焼結助剤は、例えば、正極層および/または負極層に含まれ得る結着剤および/または焼結助剤と同様の材料から選択されてもよい。
[0042]
 固体電解質層の厚みは特に限定されず、例えば、1μm以上15μm以下、特に1μm以上5μm以下であってもよい。
[0043]
(正極集電層/負極集電層)
 正極集電層を構成する正極集電材および負極集電層を構成する負極集電材としては、導電率が大きい材料を用いるのが好ましい。例えば、正極集電材および負極集電材の各々としては、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅およびニッケルから成る群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。正極集電層および負極集電層はそれぞれ、外部と電気的に接続するための電気的接続部を有し、端子と電気的に接続可能に構成されていてもよい。正極集電層および負極集電層はそれぞれ箔の形態を有していてもよいが、一体焼結による電子伝導性向上および製造コスト低減の観点から、一体焼結の形態を有することが好ましい。なお、正極集電層および負極集電層が焼結体の形態を有する場合、それらの各々は、例えば、電子伝導性材料、結着剤および/または焼結助剤を含む焼結体より構成されてもよい。正極集電層および負極集電層の各々に含まれる電子伝導性材料は、例えば、正極層および/または負極層に含まれ得る電子伝導性材料と同様の材料から選択されてもよい。正極集電層および負極集電層の各々に含まれる結着剤および/または焼結助剤は、例えば、正極層および/または負極層に含まれ得る結着剤および/または焼結助剤と同様の材料から選択されてもよい。
[0044]
 正極集電層および負極集電層の各厚みは特に限定されない。例えば、正極集電層および負極集電層の各厚みは1μm以上10μm以下であってよい。
[0045]
(絶縁層)
 絶縁層は、広義には電気を通さない材質、すなわち非導電性材から構成される層を指し、狭義には絶縁材から構成されるものを指す。特に限定されるものではないが、当該絶縁層は、例えばガラス材および/またはセラミック材等から構成され得る。当該絶縁層として、例えばガラス材が選択されてよい。特に限定されるものではないが、ガラス材は、ソーダ石灰ガラス、カリガラス、ホウ酸塩系ガラス、ホウケイ酸塩系ガラス、ホウケイ酸バリウム系ガラス、ホウ酸亜塩系ガラス、ホウ酸バリウム系ガラス、ホウケイ酸ビスマス塩系ガラス、ホウ酸ビスマス亜鉛系ガラス、ビスマスケイ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、アルミノリン酸塩系ガラス、および、リン酸亜塩系ガラスからなる群より選択される少なくとも1種を挙げることができる。また、特に限定されるものではないが、セラミック材は、酸化アルミニウム(Al )、窒化ホウ素(BN)、二酸化ケイ素(SiO )、窒化ケイ素(Si )、酸化ジルコニウム(ZrO )、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)およびチタン酸バリウム(BaTiO )からなる群より選択される少なくとも1種を挙げることができる。
[0046]
(電極分離部)
 電極分離部は、正極層の周囲に配置されることにより、かかる正極層を負極端子から離間させる。および/または、電極分離部は、負極層の周囲に配置されることにより、かかる負極層を正極端子から離間させる。特に限定されるものではないが、当該電極分離部は、例えば固体電解質、絶縁材等から構成されることが好ましい。
[0047]
(保護層)
 保護層は、一般に固体電池の最外側に形成され得るもので、電気的、物理的および/または化学的に保護するためのものである。保護層を構成する材料としては絶縁性、耐久性および/または耐湿性に優れ、環境的に安全であることが好ましい。例えば、ガラス、セラミックス、熱硬化性樹脂および/または光硬化性樹脂等を用いることが好ましい。
[0048]
(端子)
 固体電池には、一般に端子(例えば、外部端子)が設けられている。特に、固体電池の側面に正負極の端子が対を成すように設けられている。より具体的には、正極層と接続された正極側の端子と、負極層と接続された負極側の端子とが対を成すように設けられていてよい。そのような端子は、導電率が大きい材料を用いることが好ましい。端子の材質としては、特に制限するわけではないが、銀、金、プラチナ、アルミニウム、銅、スズおよびニッケルから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。
[0049]
[本発明の固体電池の特徴]
 本発明の固体電池は、正極層、負極層、および正極層と負極層との間に介在する固体電解質層を備える電池構成単位を積層方向に沿って少なくとも1つ備える固体電池であるところ、正極層および負極層(すなわち、電極層)における活物質層の構成の点で特徴を有する。特に、電極層の少なくとも1つが複数のサブ活物質層から構成される点で特徴を有する。
[0050]
 より具体的には、固体電池において、電極層の少なくとも1つは、活物質粒子の平均粒径が互いに異なる複数のサブ活物質層から構成された異粒径層となっている。異粒径層におけるサブ活物質の層数は、少なくとも2つである。好ましくは、単一の異粒径層におけるサブ活物質の層数は、3つ以上である。
[0051]
 本発明でいう「平均粒径」とは、各サブ活物質層における複数の活物質粒子の算術平均径を指すものである。例えば、各サブ活物質層の断面SEM画像から、各層における10以上の活物質粒子のそれぞれの最大の差し渡し長さを粒径として求め、かかる10以上の活物質粒子の粒径を算術平均したものを「平均粒径」としてよい。
[0052]
 本明細書でいう「サブ活物質層」とは、電極層を例えば単一の活物質層としてみた場合にその活物質層に含まれ、当該活物質層を構成する要素となる層のことをいう。
[0053]
 本発明の固体電池を充放電する場合、電極層の少なくとも1つが異粒径層とすることで、かかる電極層の表層から内層までのイオン拡散距離の差を実質的に小さくすることができる。その結果、電極層表層における反応集中を緩和でき、またイオンが還元することにより生じる析出物の蓄積を低減することができる。つまり、積層方向における充放電反応のバランスが向上することで、より望ましい固体電池がもたらされ得る。よって、充放電時の反応ムラを低減でき、レート特性の改善や電極層表面での析出物を低減することが可能となる。換言すれば、そのような所望の充放電に起因して長期的な観点で電池劣化が抑制されることになり、結果として、長期的信頼性が向上した固体電池がもたらされ得る。
[0054]
 図3に示す例示態様でいえば、固体電池500の断面視において、正極層40、固体電解質層30、負極層50がこの順に設けられている。端的にいえば、正極層40と負極層50との間に固体電解質層30が介在している。そのような固体電池500において、正極層40および負極層50の少なくとも1つが、活物質粒子の平均粒径が互いに異なる複数のサブ活物質層から構成された異粒径層となっている。
[0055]
 ある好適な態様では、例えば、積層方向にて1つの対向側のみに異極層が存在する負極層50 および50 等の場合、かかる電極層は、図4に示すような2つの平均粒径の異なるサブ活物質層(すなわち、相対的に小さい平均粒径の活物質粒子20Iから成る層および相対的に大きい平均粒径の活物質粒子20IIから成る層)からそれぞれ構成されている。この場合、負極層50 および50 における相対的に小さい平均粒径の活物質粒子20Iから成るサブ活物質層が、積層方向において対向する正極層40 および40 側にそれぞれ設けられている。なお、積層方向にて1つの対向側のみに異極層が存在する負極層50 および50 は、例えば、固体電池積層体にて最外層に相当し得る。つまり、そのような最外層に相当する負極層では、相対的に小さい平均粒径の活物質粒子20Iのサブ活物質層は、直接的に対向する正極層に対して相対的に近位に配置されている。
[0056]
 別のある好適な態様では、例えば、積層方向にて双方の対向側に異極層が存在する正極層40 および40 ならびに負極層50 等の場合、かかる電極層は、図5に示すように3つのサブ活物質層から成り、積層方向において相対的に小さい平均粒径の活物質粒子20Iから成る2つのサブ活物質層の間に、相対的に大きい平均粒径の活物質粒子20IIから成るサブ活物質層が介在する構造を有している。なお、積層方向にて双方の対向側に異極層が存在する正極層40 および40 ならびに負極層50 は、例えば、固体電池積層体にて最外層以外の内側層に相当し得る。
[0057]
 特定の理論に拘束される訳ではないが、異粒径層において、積層方向にて対向する異極層が存在する側に相対的に小さい平均粒径の活物質粒子から成るサブ活物質層を設けることで、異粒径層の表層において活物質粒子の間隙が増加し、イオンの拡散距離を減ずることができる(図2参照)。これは、かかる表層においてイオンが通過し得る曲路が増加するため、またイオンがより直線的に伝導し得るためである。その結果、電極層における表層から内層までの実質的なイオン拡散距離の差をより小さくすることができ、より効果的に電極層の積層方向における充放電反応のバランスを向上させることができる。
[0058]
 また、本発明は上述のような構成の異粒径層に限定されず、活物質粒子の平均粒径が互いに異なる複数のサブ活物質層から構成された異粒径層となっているものであれば、どのようなものであっても適用することができる。例えば、それぞれのサブ活物質層に用いる活物質粒子の反応速度に応じて、積層方向にて対向する異極層が存在する側に相対的に大きい平均粒径の活物質粒子から成るサブ活物質層を設ける異粒径層であってもよい。なお、ある1つの好適な態様では、対象となる層におけるサブ活物質層の異粒径層同士は、互いに同じ厚みを有している。また、別の態様では、対象となる層におけるサブ活物質層の異粒径層同士は互いに異なる厚みを有する。更には、別のある1つの好適な態様では、正極層および負極層の少なくとも一方の電極層(すなわち、単一の電極層)が、実質的に全て異粒径層から構成されている。
[0059]
 ある好適な態様では、異粒径層において、複数のサブ活物質層のそれぞれの活物質粒子の平均粒径が、積層方向に漸次的に異なっている。図6に示す例示態様でいえば、異粒径層が3つの平均粒径の異なるサブ活物質層から構成される。かかる異粒径層の積層方向において、相対的に小さい平均粒径の活物質粒子20Iから成るサブ活物質層、相対的に中粒径の活物質粒子20IIから成るサブ活物質層、相対的に大きい平均粒径の活物質粒子20IIIから成るサブ活物質層が、この順に設けられている。図3に示す例示態様に基づけば、かかる異粒径層は、1つの対向側のみに異極層が存在する負極層50 および50 等であってよい。この場合、負極層50 および50 における相対的に小さい平均粒径の活物質粒子20Iから成るサブ活物質層が、積層方向において対向する正極層40 および40 側にそれぞれ設けられていることが好ましい。
[0060]
 別のある好適な態様では、異粒径層において、相対的に小さい平均粒径の活物質粒子から成るサブ活物質層の間に、複数の相対的に大きい平均粒径の活物質粒子から成るサブ活物質層が、積層方向においてそれらの活物質粒径が漸次的に異なるように介在している。図7に示す例示態様でいえば、異粒径層は、相対的に小さい平均粒径の活物質粒子20Iから成る第1サブ活物質層、相対的に中粒径の活物質粒子20IIから成る第2サブ活物質層、相対的に大きい平均粒径の活物質粒子20IIIから成る第3サブ活物質層の3種類のサブ活物質層から構成されている。かかる異粒径層の積層方向において、第1サブ活物質層、第2サブ活物質層、第3サブ活物質層、第2サブ活物質層および第1サブ活物質層が、この順に設けられている。図3に示す例示態様に基づけば、かかる異粒径層は、双方の対向側に異極層が存在する正極層40 および40 ならびに負極層50 等であってよい。
[0061]
 上述のように異粒径層において、複数のサブ活物質層のそれぞれの活物質粒子の平均粒径が、積層方向に漸次的に異なっていることで、電極層における表層から内層までの実質的なイオン拡散距離の差をさらに小さくすることができる。したがって、電極層の積層方向におけるイオン伝導をより均一化することができ、より効果的に電極層の積層方向における充放電反応のバランスを向上させることができる。
[0062]
 ある好適な態様では、複数のサブ活物質層が互いに同一種の活物質粒子から成る。複数のサブ活物質層におけるそれぞれの活物質粒子を互いに同一種とすることで、それぞれの活物質粒子表面の反応速度を同一とすることができる。つまり、活物質粒子の平均粒径のみで積層方向におけるイオン拡散距離を調整でき、より効果的に電極層の積層方向における充放電反応のバランスを向上させることができる。
[0063]
 ある好適な態様では、負極層の活物質粒子が炭素材料を含んで成る粒子である。負極層の活物質粒子が炭素材料を含んで成ることで、より好適にイオン(特に、リチウムイオン)をその材料内に担持することができる。また、炭素材料は良好な電子伝導性を有するため、負極層に集電層を備えていない構造(すなわち、集電体レス構造)とすることができる。負極層を集電体レス構造とすることで、負極活物質粒子の体積比率を上げることができ、固体電池のエネルギー密度を向上させることができる。
[0064]
 ある好適な態様では、正極層の積層方向において、正極サブ活物質層および正極集電層が積層された構造を有している。例えば、2つの正極サブ活物質層の間に正極集電層が介在している。このような構造にすることにより、正極活物質に電子伝導性が低い材料を用いた場合でも、正極層が高い電子伝導性を有することができる。
[0065]
 より好適な態様では、負極層の活物質粒子が炭素材料を含んで成り、かつ正極層の積層方向において、正極サブ活物質層および正極集電層が積層された構造を有している(図8参照)。
[0066]
 ある好適な態様では、異粒径層において、相対的に最小の平均粒径の活物質粒子から成るサブ活物質層が、相対的に最大の平均粒径の活物質粒子から成るサブ活物質層に対して、0.05以上0.7以下の平均粒径比を有する。図6に示す例示態様でいえば、活物質粒子の「最小平均粒径」とは、活物質粒子20Iから成るサブ活物質層の平均粒径を示し、「最大平均粒径」とは、活物質粒子20IIIから成るサブ活物質層の平均粒径を示す。
[0067]
 上述するような平均粒径比を0.05以上とすることで、相対的に小さい平均粒径の活物質粒子の孤立化を特に防止でき、固体電池のエネルギー密度をより向上させることができる。また、かかる平均粒径比を0.7以下とすることで、より効果的に活物質粒子の粒子間隙を通って拡散するイオンを増加させることができる。さらに、かかる平均粒径比を0.05以上0.7以下の範囲とすることで、各サブ活物質層における反応速度に応じたより好適なイオン拡散距離の差とすることができ、電極層の積層方向における充放電反応のバランスをより向上させることができる。
[0068]
 本明細書における、活物質粒子の平均粒径が互いに異なる複数のサブ活物質層から構成された異粒径層は、電顕画像から判断できる。例えば、かかる異粒径層の構造は、イオンミリング装置(日立ハイテク社製 型番IM4000PLUS)によって、固体電池の断面視方向断面を切り出し、走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテク社製 型番SU-8040)を用いて取得した画像から把握することができる。また、本明細書でいう活物質粒子の平均粒径比は、上述した方法により取得した画像から測定した寸法から算出した値を指すものであってもよい。
[0069]
 活物質粒子の平均粒径は、例えば以下のようにして求められる。まず、走査型電子顕微鏡(SEM)で、活物質粒子の平均粒径が互いに異なるサブ活物質層から構成された異粒径層の断面画像を撮影する。次に、撮影した1の画像につき、各サブ活物質層から無作為に10個の活物質粒子をそれぞれ選び出し、それらの粒子それぞれの最大の差し渡し長さ(SEM像で観察される面における最大の差し渡し長さ)を粒径として求める。上述の粒径を求める処理を、各サブ活物質層にて10の画像について行い、得られた各サブ活物質層におけるそれぞれの活物質粒子の粒径を算術平均して平均粒径を求める。また、得られた各サブ活物質層の平均粒径において、最小平均粒径を最大平均粒径で除算することで、複数のサブ活物質層間における活物質粒子の最大平均粒径に対する最小平均粒径の平均粒径比を求めることができる。
[0070]
 本発明に係る固体電池は、電池構成単位を構成する各層が積層して成る積層型固体電池であり、スクリーン印刷法等の印刷法、グリーンシートを用いるグリーンシート法、またはそれらの複合法により製造することができる。それゆえ、電池構成単位を構成する各層は焼結体から成っている。好ましくは、正極層、負極層および固体電解質のそれぞれが互いに一体焼結されている。つまり、固体電池積層体は、焼成一体化物を成しているといえる。そのような焼成一体化物において、正極層および負極層の少なくとも1つが、活物質粒子の平均粒径が互いに異なる複数のサブ活物質層から構成された異粒径層となっている。
[0071]
 固体電池のより好適な態様を説明しておく。図8に示す態様を例にとると、固体電池500の断面視において、正極層40(すなわち、正極層40 および40 )、負極層50(すなわち、負極層50 、50 および50 )ならびに正極層40および負極層50の周囲に固体電解質層30が設けられている。正極層40 は、正極活物質層40 1Aおよび40 1Bに、集電層60が介在する構造を有しており、正極層40 も同様の構造を有している。また、負極層50は、活物質粒子として炭素材料を含んでいるため、集電体層を含まない集電レス構造を有している。
[0072]
 正極層40および負極層50は、正極側端面500’Aおよび負極側端面500’Bにてそれぞれ終端するように延在している。正極層40における正極側端面500’Aにて終端する部分は、集電層60のみが延在し、その周辺に電極分離部70が設けられている。正極層40は負極側端面500’Bにて終端しないように形成され、負極層50は正極側端面500’Aにて終端しないように形成される。正極層40と負極側端面500’Bとの間、および負極層50と正極側端面500’Aとの間には、電極分離部70がそれぞれ設けられていてよい。
[0073]
 正極層40 および40 、ならびに負極層50 、50 および50 は、その各々が活物質粒子の平均粒径が互いに異なる複数のサブ活物質層から構成された異粒径層となっていてよい。正極活物質層40 1A、40 1B、40 2Aおよび40 2B、ならびに負極層50 および50 は、図4に示すような2つの平均粒径の異なるサブ活物質層をそれぞれ有している。ここで、正極活物質層40 1A、40 1B、40 2Aおよび40 2Bにおける相対的に小さい平均粒径の活物質粒子20Iから成るサブ活物質層は、積層方向において対向する負極層50側にそれぞれ設けられている(つまり、かかる正極活物質層において、相対的に小さい平均粒径の活物質粒子から成るサブ活物質層は、直接的に対向する負極層に対して相対的に近位に配置されている)。また、負極層50 および50 における相対的に小さい平均粒径の活物質粒子20Iから成るサブ活物質層は、積層方向において対向する正極層40側にそれぞれ設けられている(つまり、かかる負極活物質層において、相対的に小さい平均粒径の活物質粒子から成るサブ活物質層は、直接的に対向する正極層に対して相対的に近位に配置されている)。
[0074]
 負極層50 は、図5に示すような3つのサブ活物質層から成り、積層方向において相対的に小さい平均粒径の活物質粒子20Iから成る2つのサブ活物質層の間に、相対的に大きい平均粒径の活物質粒子20IIから成るサブ活物質層が介在する構造を有している。
[0075]
 固体電池は端子を更に備えるものであってもよい。図9Aに示すように、固体電池500は、正極側端面500’Aにて正極層40と電気的に接続された正極端子80Aと、負極側端面500’Bにて負極層50と電気的に接続された負極端子80Bとを備えていてもよい。
[0076]
 固体電池は保護層を更に備えるものであってもよい。図9Bに示すように、固体電池500において、固体電池積層体500’、正極端子80Aおよび負極端子80Bの外側には、それらと一体化するように保護層90が設けられていてもよい。
[0077]
[固体電池の製造方法]
 本発明の固体電池は、上述したように、スクリーン印刷法等の印刷法、グリーンシートを用いるグリーンシート法、またはそれらの複合法により製造することができる。以下、本発明の理解のために印刷法およびグリーンシート法を採用する場合について詳述するが、本発明は当該方法に限定されない。
[0078]
(固体電池積層前駆体の形成工程)
 本工程では、正極層用ペースト、負極層用ペースト、固体電解質層用ペースト、集電層用ペースト、電極分離部用ペーストおよび保護層用ペースト等の数種類のペーストをインクとして用いる。つまり、ペーストを印刷法で塗布することを通じて支持基体としての基体上に所定構造のペーストを形成する。
[0079]
 印刷に際しては、所定の厚みおよびパターン形状で印刷層を順次、積層することによって、所定の固体電池の構造に対応する固体電池積層前駆体を基体上に形成することができる。パターン形成方法の種類は、所定のパターンを形成可能な方法であれば、特に限定されないが、例えば、スクリーン印刷法およびグラビア印刷法などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
[0080]
 ペーストは、正極活物質粒子、負極活物質粒子、電子伝導性材料、固体電解質材料、集電層材料、絶縁材、結着剤および焼結助剤から成る群から適宜選択される各層の所定の構成材料と、有機材料を溶媒に溶解した有機ビヒクルとを湿式混合することによって作製することができる。正極層用ペーストは、例えば、正極活物質粒子、電子伝導性材料、固体電解質材料、結着剤、焼結助剤、有機材料および溶媒を含む。負極層用ペーストは、例えば、負極活物質粒子、電子伝導性材料、固体電解質材料、結着剤、焼結助剤、有機材料および溶媒を含む。固体電解質層用ペーストは、例えば、固体電解質材料、結着剤、焼結助剤、有機材料および溶媒を含む。正極集電層用ペーストおよび負極集電層用ペーストは、それぞれ、例えば電子伝導性材料、結着剤、焼結助剤、有機材料および溶媒を含む。電極分離部用ペーストは、例えば、固体電解質材料、絶縁材、結着剤、焼結助剤、有機材料および溶媒を含む。保護層用ペーストは、例えば、絶縁材、結着剤、有機材料および溶媒を含む。絶縁層用ペーストは、例えば絶縁材、結着剤、有機材料および溶媒を含む。
[0081]
 ペーストに含まれる有機材料は特に限定されないが、ポリビニルアセタール樹脂、セルロース樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂およびポリビニルアルコール樹脂などから成る群から選択される少なくとも1種の高分子材料を用いることができる。溶媒の種類は、特に限定されないが、例えば、酢酸ブチル、N-メチル-ピロリドン、トルエン、テルピネオールおよびN-メチル-ピロリドン等の有機溶媒のうちのいずれか1種類または2種類以上である。
[0082]
 湿式混合ではメディアを用いることができ、具体的には、ボールミル法またはビスコミル法等を用いることができる。一方、メディアを用いない湿式混合方法を用いてもよく、サンドミル法、高圧ホモジナイザー法またはニーダー分散法等を用いることができる。
[0083]
 支持基体は、各ペースト層を支持可能な支持体であれば、特に限定されないが、例えば、一面に離型処理が施された離型フィルムなどである。具体的には、ポリエチレンテレフタレート等の高分子材料から成る基体を用いることができる。各ペースト層を基体上に保持したまま焼成工程に供する場合には、基体は焼成温度に対して耐熱性を呈するものを使用してよい。
[0084]
 塗布したペーストを、30℃以上50℃以下に加熱したホットプレート上で乾燥させることで、基体(例えばPETフィルム)上に所定の形状、厚みを有する正極層グリーンシート、負極層グリーンシート、固体電解質グリーンシート、絶縁層グリーンシートおよび/または保護層グリーンシート等をそれぞれ形成する。
[0085]
 次に、各グリーンシートを基体から剥離する。剥離後、積層方向に沿って、一方の電池構成単位の各構成要素のグリーンシートを順に積層することで固体電池積層前駆体を形成する。積層後、電極グリーンシートの側部領域にスクリーン印刷により固体電解質層、絶縁層および/または保護層等を供してもよい。
[0086]
(焼成工程)
 焼成工程では、固体電池積層前駆体を焼成に付す。あくまでも例示にすぎないが、焼成は、酸素ガスを含む窒素ガス雰囲気中または大気中で、例えば500℃にて有機材料を除去した後、窒素ガス雰囲気中または大気中で例えば550℃以上5000℃以下で加熱することで実施する。焼成は、積層方向(場合によっては積層方向および当該積層方向に対する垂直方向)で固体電池積層前駆体を加圧しながら行ってよい。
[0087]
 そのような焼成を経ることによって、固体電池積層体が形成され、最終的には所望の固体電池が得られることになる。
[0088]
(本発明における特徴部分の作製について)
 本発明の固体電池における異粒径層は、かかる層において平均粒径の異なる複数のサブ活物質層が積層構造を成す形態であれば、いずれの方法で形成されてもよい。例えば、原料ペーストの段階から活物質粒子の平均粒径を変えてよい。つまり、平均粒径の異なる各活物質粒子が複数のサブ活物質層として積層構造を成すように、複数の原料ペーストを調製してもよい。つまり、平均粒径の異なる活物質粒子ごとに、それぞれ原料ペーストを調製してもよい。
[0089]
 また、例えば、グリーンシートとして、そこに含まれる活物質粒子の平均粒径を変えてもよい。つまり、平均粒径の異なる活物質粒子をそれぞれ含む各原料ペーストの印刷層を所定の厚みおよびパターン形状で順次、積層し、所定の構造に対応する電極層グリーンシートを作製してもよい。具体的には、積層させる各印刷層における原料ペーストの活物質粒子粒径および/または塗布回数を調製することによって、電極層グリーンシートを、所定の複数の粒径の異なるサブ活物質層を含むように調製してもよい。
[0090]
 以下、図10A~図10Cに示す例示態様に基づいて、固体電池の製造方法をより具体的に例示説明する。
[0091]
 固体電池を製造するためには、例えば、以下で説明するように、正極グリーンシート200Aの形成工程、負極グリーンシート200Bの形成工程、固体電池積層体500’の形成工程、ならびに正極端子80Aおよび負極端子80Bのそれぞれの形成工程が行われる。
[0092]
[正極グリーンシートの形成工程]
 固体電解質と、溶媒と、必要に応じて電解質結着剤などとを混合することにより、固体電解質層用ペーストを調製する。続いて、図10Aに示すように、基体100の一面に固体電解質層用ペーストを塗布することにより、固体電解質層30を形成する。
[0093]
 絶縁材と、溶媒と、必要に応じて電極分離結着剤などとを混合することにより、電極分離部用ペーストを調製する。続いて、パターン形成方法を用いて、固体電解質層30の表面の端部に電極分離部用ペーストを塗布することにより、2つの電極分離部70を形成する。
[0094]
 正極活物質と、溶媒と、必要に応じて正極活物質粒子結着剤などとを混合することにより、正極ペーストを調製する。正極ペーストは、粒径の異なる2つ正極活物質粒子を用いて、2種類のペーストを調製する。
[0095]
 パターン形成方法を用いて、固体電解質層30の表面に2種類の正極ペーストを塗布する。この際、まず相対的に粒径の小さい正極活物質粒子の正極ペーストを塗布し、その上に相対的に粒径の大きい正極活物質粒子の正極ペーストを塗布することで、正極サブ活物質層40 を形成する。
[0096]
 導電性材料と、溶媒と、必要に応じて正極集電結着剤などとを混合することにより、正極集電ペーストを調製する。続いて、パターン形成方法を用いて、正極サブ活物質層40 および電極分離部70の表面に正極集電ペーストを塗布することにより、正極集電層60を形成する。
[0097]
 最後に、正極集電層60の表面に、正極ペーストおよび電極分離部用ペーストを塗布することにより、正極サブ活物質層40 および電極分離部70を形成する。この際、まず相対的に粒径の大きい正極活物質粒子の正極ペーストを塗布し、その上に相対的に粒径の小さい正極活物質粒子の正極ペーストを塗布し、正極サブ活物質層40 を形成する。これにより、2つの正極サブ活物質層40 および40 が、正極集電層60を介して互いに積層されるため、正極層40が形成される。よって、同一の階層に配置されるように正極層40および電極分離部70が形成されるため、その正極層40、固体電解質層30および電極分離部70を含む正極グリーンシート200Aが得られる。
[0098]
[負極グリーンシートの形成工程]
 上記した手順により、図10Bに示すように、基体100の一面に固体電解質層30を形成する。
[0099]
 上記した電極分離部用ペーストの調製手順と同様の手順により、電極分離部用ペーストを調製する。続いて、パターン形成方法を用いて、固体電解質層30の表面に電極分離部用ペーストを塗布することにより、電極分離部70を形成する。
[0100]
 負極活物質粒子と、溶媒と、必要に応じて負極結着剤などとを混合することにより、負極ペーストを調製する。負極ペーストは、粒径の異なる2つ負極活物質粒子を用いて、2種類のペーストを調製する。
[0101]
 パターン形成方法を用いて、固体電解質層30の表面に2種類の負極ペーストを塗布する。この際、まず相対的に粒径小さい負極活物質粒子の負極ペーストを塗布し、その上に相対的に粒径の大きい負極活物質粒子の負極ペーストを塗布することで、負極層50 を形成する。これにより、同一の階層に配置されるように負極層50 および電極分離部70が形成されるため、その負極層50 、固体電解質層30および電極分離部70を含む負極グリーンシート200B が得られる。
[0102]
 同様にして、パターン形成方法を用いて、固体電解質層30の表面に2種類の負極ペーストを塗布する。この際、まず相対的に粒径小さい負極活物質粒子の負極ペーストを塗布し、その上に相対的に粒径大きい負極活物質粒子の負極ペーストを塗布し、さらにその上に相対的に粒径の小さい負極活物質粒子の負極ペーストを塗布することで、負極層50 を形成する。これにより、同一の階層に配置されるように負極層50 および電極分離部70が形成されるため、その負極層50 、固体電解質層30および電極分離部70を含む負極グリーンシート200B が得られる。
[0103]
[固体電池積層体の形成工程]
 保護固体電解質と、溶媒と、必要に応じて保護結着剤などとを混合することにより、保護ペーストを調製する。または、保護固体電解質と、溶媒と、絶縁材と、必要に応じて保護結着剤などとを混合することにより、保護ペーストを調製する。続いて、図10Cに示すように、基体100の一面に保護ペーストを塗布することにより、保護層90を形成する。
[0104]
 保護層90の表面に固体電解質層用ペーストを塗布することにより、固体電解質層30を形成する。続いて、パターン形成方法を用いて、固体電解質層30の表面に電極分離部用ペーストを塗布することにより、電極分離部70を形成する。
[0105]
 パターン形成方法を用いて、固体電解質層30の表面に2種類の負極ペーストを塗布する。この際、まず相対的に粒径大きい負極活物質粒子の負極ペーストを塗布し、その表面に相対的に粒径の小さい負極活物質粒子の負極ペーストを塗布することで、負極層50 を形成する。これにより、同一の階層に配置されるように負極層50 および電極分離部70が形成される
[0106]
 負極層50 および電極分離部70の上に、基体100から剥離されたグリーンシート200A、200B 、200Aおよび200B をこの順に積層させる。
[0107]
 固体電解質層30の形成手順と同様の手順により、負極層50 および電極分離部70の上に固体電解質層30を形成したのち、保護層90の形成手順と同様の手順により、固体電解質層30の上に保護層90を形成する。次いで、最下層の基材100を剥離させることで、固体電池積層前駆体500Zが形成される。これにより、固体電池積層前駆体500Zが得られる。
[0108]
 最後に、固体電池積層前駆体500Zを加熱する。この場合には、固体電池積層前駆体500Zを構成する一連の層が焼結されるように加熱温度を設定する。加熱時間などの他の条件は、任意に設定可能である。
[0109]
 この加熱処理により、固体電池積層前駆体500Zを構成する一連の層が焼結されるため、その一連の層が熱圧着される。よって、固体電池積層体500’が形成される。
[0110]
[正極端子および負極端子のそれぞれの形成工程]
 例えば導電性接着剤を用いて固体積層体に正極端子を接着させると共に、例えば導電性接着剤を用いて固体積層体に負極端子を接着させる。これにより、正極端子および負極端子のそれぞれが固体積層体に取り付けられるため、固体電池が完成する。
[0111]
 以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の態様が考えられることを当業者は容易に理解されよう。
[0112]
 例えば、上記説明においては、例えば図8などで例示される固体電池を中心にして説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されない。本発明では正極層、負極層、固体電解質層を有し、正極層および負極層の少なくとも1つが、活物質粒子の平均粒径が互いに異なる複数のサブ活物質層から構成された異粒径層となっているものであれば、どのようなものであっても同様に適用することができる。

産業上の利用可能性

[0113]
 本発明の固体電池は、蓄電が想定される様々な分野に利用することができる。あくまでも例示にすぎないが、本発明の固体電池は、モバイル機器などが使用される電気・情報・通信分野(例えば、携帯電話、スマートフォン、ノートパソコンおよびデジタルカメラ、活動量計、アームコンピューター、電子ペーパーなどのモバイル機器分野)、家庭・小型産業用途(例えば、電動工具、ゴルフカート、家庭用・介護用・産業用ロボットの分野)、大型産業用途(例えば、フォークリフト、エレベーター、湾港クレーンの分野)、交通システム分野(例えば、ハイブリッド車、電気自動車、バス、電車、電動アシスト自転車、電動二輪車などの分野)、電力系統用途(例えば、各種発電、ロードコンディショナー、スマートグリッド、一般家庭設置型蓄電システムなどの分野)、医療用途(イヤホン補聴器などの医療用機器分野)、医薬用途(服用管理システムなどの分野)、ならびに、IoT分野、宇宙・深海用途(例えば、宇宙探査機、潜水調査船などの分野)などに利用することができる。

符号の説明

[0114]
 10    イオン
 10’   析出物
 20    活物質粒子
 30    固体電解質層
 40    正極層
 40     第1正極層
 40 1A    第1正極層における正極サブ活物質層
 40     第2正極層
 40 2A    第2正極層における正極サブ活物質層
 50    負極層
 50     第1負極層
 50     第2負極層
 50     第3負極層
 60    正極集電層
 70    電極分離部
 80    端子
 80A   正極端子
 80B   負極端子
 90    保護層
 100   基体
 200   グリーンシート
 200A  正極グリーンシート
 200B  負極グリーンシート
 500Z  固体電池積層前駆体
 500’  固体電池積層体
 500’A 正極側端面
 500’B 負極側端面
 500   固体電池

請求の範囲

[請求項1]
固体電池であって、
 正極層、負極層、および該正極層と該負極層との間に介在する固体電解質層を備える電池構成単位を積層方向に沿って少なくとも1つ備え、
 前記正極層および前記負極層の少なくとも1つが、活物質粒子の平均粒径が互いに異なる複数のサブ活物質層から構成された異粒径層となっている、固体電池。
[請求項2]
前記異粒径層において、相対的に小さい平均粒径の活物質粒子から成るサブ活物質層間に、相対的に大きい平均粒径の活物質粒子から成るサブ活物質層が介在している、請求項1に記載の固体電池。
[請求項3]
前記異粒径層において、前記複数のサブ活物質層のそれぞれの前記活物質粒子の平均粒径が、前記積層方向に漸次的に異なっている、請求項1または2に記載の固体電池。
[請求項4]
前記複数のサブ活物質層が互いに同一種の活物質粒子から成る、請求項1~3のいずれかに記載の固体電池。
[請求項5]
前記負極層が前記異粒径層であり、該負極層の前記活物質粒子が炭素材料を含んで成る粒子である、請求項1~4のいずれかに記載の固体電池。
[請求項6]
前記異粒径層において、相対的に最小の平均粒径の活物質粒子から成るサブ活物質層が、
相対的に最大の平均粒径の活物質粒子から成るサブ活物質層に対して、0.05以上0.7以下の平均粒子径比を有する、請求項1~5のいずれかに記載の固体電池。
[請求項7]
前記正極層および前記負極層がリチウムイオンを吸蔵放出可能な層となっている、請求項1~6のいずれかに記載の固体電池。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]