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1. WO2020110556 - 静電容量センサ

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明 細 書

発明の名称 静電容量センサ

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012  

課題を解決するための手段

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022  

発明の効果

0023  

図面の簡単な説明

0024  

発明を実施するための形態

0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082  

符号の説明

0083  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : 静電容量センサ

技術分野

[0001]
 本開示は、静電容量の変化を検出する静電容量センサに係り、特に、相互容量型の静電容量センサに関するものである。

背景技術

[0002]
 一般的な相互容量方式のセンサでは、異なる電極の間に形成される寄生的なキャパシタの静電容量(相互容量)が検出される。例えば下記の特許文献1に記載される入力デバイスでは、複数のX電極と複数のY電極が格子状に交差して配置されており(図1)、各交差部分においてこれらの電極間に形成されるキャパシタの相互容量が検出される。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2015-132506号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 図6Aは、相互容量方式の静電容量センサの一般的な構成を示す図である。図6Aに示す静電容量センサは、検出電極ESと、検出電極ESにそれぞれ交差した複数の駆動電極EDと、検出電極ESに接続されたチャージアンプ91と、スイッチ回路92と、駆動信号供給回路93と、基準電圧発生回路94とを有する。検出電極ESと複数の駆動電極EDとの交差部分には、それぞれ寄生的なキャパシタCMが形成される。スイッチ回路92は、複数の駆動電極EDから順に1つの駆動電極EDを選択し、駆動信号供給回路93に接続する。駆動信号供給回路93は、スイッチ回路92によって選択された駆動電極EDに駆動信号を供給する。チャージアンプ91は、駆動信号の供給に伴ってキャパシタCMから入力される電荷を検出する。
[0005]
 チャージアンプ91は、図6Aに示すように、演算増幅器OP1と、帰還キャパシタCfと、スイッチSW1を有する。演算増幅器OP1の反転入力端子は、検出電極ESに接続されるとともに、帰還キャパシタCfを介して演算増幅器OP1の出力端子に接続される。演算増幅器OP1の非反転入力端子には、基準電圧発生回路94の基準電圧Vrが入力される。
[0006]
 スイッチSW1をオンさせて帰還キャパシタCfの電荷を放電すると、演算増幅器OP1は基準電圧Vrと略等しい電圧Voutを出力する。この状態で、スイッチSW1をオフさせるとともに、1つの駆動電極EDに対して駆動信号を供給すると、演算増幅器OP1は、検出電極ESが概ね基準電圧Vrに保たれるように電圧Voutを制御する。検出電極ESが基準電圧Vrに保たれるため、キャパシタCMには駆動信号による電圧の変化が生じる。キャパシタCMの電圧が変化すると、キャパシタCMと帰還キャパシタCfとの間では、キャパシタCMの静電容量(相互容量)に比例した電荷が転送される。この電荷の転送により、電圧Vout(帰還キャパシタCfの電圧)には、キャパシタCMの相互容量に概ね比例した信号成分が表れる。指などが近づくことによってキャパシタCMの相互容量が変化すると、電圧Voutに表れる信号成分も変化する。従って、電圧Voutに表れる信号成分の変化を検出することにより、指などの近接の有無を判定することが可能となる。
[0007]
 スイッチ回路92は、図6Aに示すように、1つの駆動電極EDを駆動信号供給回路93に接続する一方、駆動信号供給回路93に接続されない他の駆動電極EDをそれぞれグランドに接続する。上述したように、検出電極ESは概ね基準電圧Vrに保たれるため、グランドに接続された駆動電極EDと検出電極ESとの間に形成されるキャパシタCM(非検出対象のキャパシタCM)の電圧は、概ね基準電圧Vrに保たれる。仮に、基準電圧Vrが理想的な直流電圧であるとすると、非検出対象のキャパシタCMは一定の電圧に保たれる。そのため、非検出対象のキャパシタCMと帰還キャパシタCfとの間で電荷が転送されることはなく、非検出対象のキャパシタCMは電圧Voutの信号成分に影響を与えない。
[0008]
 しかしながら、基準電圧Vrにノイズ成分が重畳している場合、このノイズ成分が非検出対象のキャパシタCMに作用し、非検出対象のキャパシタCMと帰還キャパシタCfとの間で電荷が転送される。その結果、電圧Voutには、基準電圧Vrのノイズ成分に起因した誤差成分が表れてしまう。
[0009]
 図6Bは、図6Aに示す静電容量センサの交流的な等価回路を示す図であり、基準電圧VrにノイズVnzが重畳している場合の等価回路を示す。図6Bにおける「Ctr」は、検出対象のキャパシタCM(駆動信号供給回路93に接続された駆動電極EDと検出電極ESとの間に形成されるキャパシタCM)の静電容量を示す。また「Ctg」は、検出電極ESとグランドとの間に形成される寄生的なキャパシタの静電容量を示す。この寄生的なキャパシタCtgには、上述した非検出対象のキャパシタCMが含まれる。図6Bに示す等価回路から、ノイズVnzに起因した電圧Voutの誤差成分ΔVoutは次の式で表される。
[0010]
 ΔVout=Vnz×{1+(Ctr+Ctg)/Cf} …(1)
[0011]
 式(1)に示すように、キャパシタCtgが大きくなるほど誤差成分ΔVoutが大きくなる。キャパシタCtgは、非検出対象のキャパシタCMの数が増えるほど大きくなる。そのため、駆動電極EDの数が多い場合、基準電圧VrのノイズVnzに起因した誤差成分ΔVoutが大きくなるという問題がある。
[0012]
 そこで本開示は、ノイズに起因した検出結果の誤差を低減できる静電容量センサを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0013]
 本開示の第1の態様に係る静電容量センサは、少なくとも1つの検出電極と、検出電極との間にそれぞれキャパシタが形成される複数の駆動電極と、複数の駆動電極の電圧をそれぞれ独立に変化させることが可能な駆動部と、基準電圧を発生する基準電圧発生部と、検出電極の電圧が基準電圧に近づくように電荷を転送し、当該電荷の転送に応じた検出信号を生成する検出信号生成部と、駆動部を制御する制御部とを有する。駆動部は、複数の駆動電極の各々に基準電圧を印加可能であり、制御部は、駆動部において一部の駆動電極の電圧を変化させているとき、残りの駆動電極には基準電圧を印加するように駆動部を制御する。
[0014]
 上記第1の態様に係る静電容量センサによれば、駆動部において一部の駆動電極の電圧を変化させているとき、残りの駆動電極には基準電圧が印加される。このとき、検出信号生成部が検出電極において電荷を転送することによって、検出電極の電圧は基準電圧に近い電圧に保たれる。そのため、基準電圧にノイズ成分が重畳していても、当該残りの駆動電極と検出電極との間に形成されるキャパシタ(非検出対象のキャパシタ)には殆ど電圧が発生せず、殆ど電荷が蓄積されない。すなわち、非検出対象のキャパシタは、検出電極において転送される電荷を殆ど発生しない。従って、基準電圧に重畳するノイズ成分が非検出対象のキャパシタに作用することによる検出信号の誤差が小さくなる。
[0015]
 上記第1の態様に係る静電容量センサは、複数の検出電極から1つの検出電極を選択して検出信号生成部に接続可能であるとともに、複数の検出電極の各々を基準電圧に接続可能なスイッチ部を有してよい。制御部は、スイッチ部において1つの検出電極を検出信号生成部に接続しているとき、残りの検出電極を基準電圧に接続するようにスイッチ部を制御してよい。
 この構成によれば、スイッチ部において1つの検出電極を検出信号生成部に接続しているとき、残りの検出電極は基準電圧に接続される。そのため、基準電圧にノイズ成分が重畳していても、当該1つの検出電極と当該残りの検出電極との間に形成される寄生的なキャパシタには殆ど電圧が発生せず、殆ど電荷が蓄積されない。すなわち、検出電極間の寄生的なキャパシタは、当該1つの検出電極において転送される電荷を殆ど発生しない。従って、基準電圧に重畳するノイズ成分が寄生的なキャパシタに作用することによる検出信号の誤差が小さくなる。
[0016]
 駆動部は、駆動電極の電圧を所定の電圧差だけ上昇させる駆動信号、駆動電極の電圧を所定の電圧差だけ低下させる駆動信号、又は、駆動電極に基準電圧を印加する駆動信号をM個(Mは2以上の整数を示す。)の駆動電極の各々へ供給可能であってよい。M個の駆動電極へ同時に供給するM個の駆動信号の組み合わせを駆動パターンと呼ぶ場合に、制御部は、M個の異なる駆動パターンによってM個の駆動電極にそれぞれ駆動信号をM回供給するように駆動部を制御し、1つの検出電極において電荷を転送する検出信号生成部がM個の異なる駆動パターンに応じて生成したM個の検出信号を取得し、当該M個の検出信号に基づいて、当該1つの検出電極とM個の駆動電極との間に形成されるM個のキャパシタの相互容量値を算出してよい。
 この構成によれば、1以上の駆動電極に対して基準電圧を印加する駆動信号が供給された場合、当該1以上の駆動電極と検出電極との間に形成されるキャパシタには殆ど電圧が発生せず、殆ど電荷が蓄積されない。この場合、基準電圧にノイズ成分が重畳しているか否かにかかわらず、当該1以上の駆動電極と検出電極との間に形成されるキャパシタは、検出電極において転送される電荷を殆ど発生しない。従って、当該1以上の駆動電極と検出電極との間に形成される1以上のキャパシタにノイズ成分が作用することによる検出信号の誤差が小さくなる。これにより、M個の検出信号に基づいて算出されるM個のキャパシタの相互容量値においても、ノイズ成分に起因した誤差が小さくなる。
[0017]
 検出信号生成部は、反転入力端子に検出電極が接続され、非反転入力端子に基準電圧が入力された第1演算増幅器と、第1演算増幅器の出力端子と反転入力端子との間の経路に設けられた帰還キャパシタとを含んでよい。
[0018]
 本開示の第2の態様に係る静電容量センサは、少なくとも1つの検出電極と、検出電極との間にそれぞれキャパシタが形成される複数の駆動電極と、複数の駆動電極の電圧をそれぞれ独立に変化させることが可能な駆動部と、基準電圧を発生する基準電圧発生部と、検出電極の電圧が基準電圧に近づくように電荷を転送し、当該電荷の転送に応じた検出信号を生成する検出信号生成部と、基準電圧に近づくように帰還制御された疑似基準電圧を発生する疑似基準電圧発生部と、駆動部を制御する制御部とを有する。駆動部は、複数の駆動電極の各々に疑似基準電圧を印加可能であり、制御部は、駆動部において一部の駆動電極の電圧を変化させているとき、残りの駆動電極には疑似基準電圧を印加するように駆動部を制御する。
[0019]
 上記第2の態様に係る静電容量センサによれば、駆動部において一部の駆動電極の電圧を変化させているとき、残りの駆動電極には疑似基準電圧が印加される。このとき、検出信号生成部が検出電極において電荷を転送することによって、検出電極の電圧は基準電圧に近い電圧に保たれる。また、疑似基準電圧は、疑似基準電圧発生部の帰還制御によって基準電圧に近い電圧に保たれる。そのため、基準電圧にノイズ成分が重畳していても、当該残りの駆動電極と検出電極との間に形成されるキャパシタ(非検出対象のキャパシタ)には殆ど電圧が発生せず、殆ど電荷が蓄積されない。すなわち、非検出対象のキャパシタは、検出電極において転送される電荷を殆ど発生しない。従って、基準電圧に重畳するノイズ成分が非検出対象のキャパシタに作用することによる検出信号の誤差が小さくなる。
[0020]
 上記第2の態様に係る静電容量センサは、複数の検出電極から1つの検出電極を選択して検出信号生成部に接続可能であるとともに、複数の検出電極の各々を疑似基準電圧に接続可能なスイッチ部を有してよい。制御部は、スイッチ部において1つの検出電極を検出信号生成部に接続しているとき、残りの検出電極を疑似基準電圧に接続するようにスイッチ部を制御してよい。
 この構成によれば、スイッチ部において1つの検出電極を検出信号生成部に接続しているとき、残りの検出電極は、基準電圧に近い電圧に保たれた疑似基準電圧に接続される。そのため、基準電圧にノイズ成分が重畳していても、当該1つの検出電極と当該残りの検出電極との間に形成される寄生的なキャパシタには殆ど電圧が発生せず、殆ど電荷が蓄積されない。すなわち、検出電極間の寄生的なキャパシタは、当該1つの検出電極において転送される電荷を殆ど発生しない。従って、基準電圧に重畳するノイズ成分が寄生的なキャパシタに作用することによる検出信号の誤差が小さくなる。
[0021]
 駆動部は、駆動電極の電圧を所定の電圧差だけ上昇させる駆動信号、駆動電極の電圧を所定の電圧差だけ低下させる駆動信号、又は、駆動電極に疑似基準電圧を印加する駆動信号をM個(Mは2以上の整数を示す。)の駆動電極の各々へ供給可能であってよい。M個の駆動電極へ同時に供給するM個の駆動信号の組み合わせを駆動パターンと呼ぶ場合に、制御部は、M個の異なる駆動パターンによってM個の駆動電極にそれぞれ駆動信号をM回供給するように駆動部を制御し、1つの検出電極において電荷を転送する検出信号生成部がM個の異なる駆動パターンに応じて生成したM個の検出信号を取得し、当該M個の検出信号に基づいて、当該1つの検出電極とM個の駆動電極との間に形成されるM個のキャパシタの相互容量値を算出してよい。
 この構成によれば、1以上の駆動電極に対して疑似基準電圧を印加する駆動信号が供給された場合、当該1以上の駆動電極と検出電極との間に形成されるキャパシタには殆ど電圧が発生せず、殆ど電荷が蓄積されない。この場合、基準電圧にノイズ成分が重畳しているか否かにかかわらず、当該1以上の駆動電極と検出電極との間に形成されるキャパシタは、検出電極において転送される電荷を殆ど発生しない。従って、当該1以上の駆動電極と検出電極との間に形成される1以上のキャパシタにノイズ成分が作用することによる検出信号の誤差が小さくなる。これにより、M個の検出信号に基づいて算出されるM個のキャパシタの相互容量値においても、ノイズ成分に起因した誤差が小さくなる。
[0022]
 検出信号生成部は、反転入力端子に検出電極が接続され、非反転入力端子に基準電圧が入力された第1演算増幅器と、第1演算増幅器の出力端子と反転入力端子との間の経路に設けられた帰還キャパシタとを含んでよい。疑似基準電圧発生部は、非反転入力端子に基準電圧が入力され、反転入力端子と出力端子とが接続された第2演算増幅器を含んでよい。

発明の効果

[0023]
 本開示によれば、ノイズに起因した検出結果の誤差を低減できる静電容量センサを提供できる。

図面の簡単な説明

[0024]
[図1] 本実施形態に係る静電容量センサの構成の一例を示す図である。
[図2] 第1の実施形態に係る静電容量センサの各部の構成例を示す図である。
[図3] 第2の実施形態に係る静電容量センサの各部の構成例を示す図である。
[図4] 第3の実施形態に係る静電容量センサの各部の構成例を示す図である。
[図5] 第4の実施形態に係る静電容量センサの各部の構成例を示す図である。
[図6] 図6Aは、相互容量方式の静電容量センサの一般的な構成を示す図である。図6Bは、図6Aに示す静電容量センサの交流的な等価回路を示す図である。

発明を実施するための形態

[0025]
<第1の実施形態>
 図1は、本実施形態に係る静電容量センサの構成の一例を示す図である。図2は、静電容量センサの各部の構成例を示す図である。本実施形態に係る静電容量センサは、指などの物体が近接することによる電極間の静電容量(相互容量)の変化を検出するセンサであり、例えば、ユーザのタッチ操作等を検出する各種の入力装置(タッチパッド、タッチパネル、タッチセンサなど)を構成する。なお、本明細書において「近接」とは近くにあることを意味しており、接触の有無を限定しない。
[0026]
 図1、図2に示す静電容量センサは、電極部5と、駆動部10と、検出信号生成部20と、基準電圧発生部30と、スイッチ部50と、制御部60を有する。
[0027]
 電極部5は、N個の検出電極ES-1~ES-N(以下、区別せずに「検出電極ES」と記す場合がある。)と、M個の駆動電極ED-1~駆動電極ED-M(以下、区別せずに「駆動電極ED」と記す場合がある。)を含む。N個の検出電極ESとM個の駆動電極EDとの間には、それぞれ寄生的なキャパシタが形成される。検出電極ES-i(iは1からNまでの整数を示す。)と駆動電極ED-j(jは1からMまでの整数を示す。)との間には、キャパシタC(i,j)が形成される。
[0028]
 検出電極ES及び駆動電極EDは、例えばプリント基板に形成された導体パターンであり、検出電極ESと駆動電極EDとは異なる配線層に形成される。図2の例において、N個の検出電極ESが互いに平行に伸びているとともに、M個の駆動電極EDが互いに平行に伸びている。検出電極ESの延伸方向と駆動電極EDの延伸方向とが直交しており、平面視においてN個の検出電極ESとM個の駆動電極EDとが格子状に交差している。検出電極ES及び駆動電極EDは、それぞれ細長い短冊状の形状を持っている。なお、図2に示す検出電極ES及び駆動電極EDの個数や配置、形状等は一例であり、任意に変更可能である。例えば、検出電極ES及び駆動電極EDの形状は、複数の菱形部分を一方向に連ねた形状でもよい。
[0029]
 駆動部10は、制御部60の制御に従って、M個の駆動電極EDの電圧をそれぞれ独立に変化させる。また駆動部10は、制御部60の制御に従って、M個の駆動電極EDの各々に基準電圧Vrを印加する。
[0030]
 図2の例において、駆動部10は、M個のスイッチ11-1~11-Mと、M個のスイッチ12-1~12-Mと、駆動信号発生部13を含む。
 スイッチ11-jは、駆動信号発生部13の出力と駆動電極ED-jとの間の経路に設けられており、制御部60の制御に従ってオン又はオフする。スイッチ11-jがオンすると、駆動信号発生部13から駆動電極ED-jへ駆動信号が供給される。
 スイッチ12-jは、後述する基準電圧発生部30の出力と駆動電極ED-jとの間の経路に設けられており、制御部60の制御に従ってオン又はオフする。スイッチ12-jがオンすると、基準電圧発生部30の基準電圧Vrが駆動電極ED-jに印加される。
[0031]
 駆動信号発生部13は、制御部60の制御に従って、駆動電極EDの電圧を変化させる駆動信号を発生する。駆動信号発生部13が発生する駆動信号は、例えばパルス状に電圧が変化する信号でもよいし、所定の周波数で振動する正弦波信号でもよい。
[0032]
 スイッチ部50は、制御部60の制御に従って、N個の検出電極ESから1つの検出電極ESを選択し、後述する検出信号生成部20に接続する。またスイッチ部50は、制御部60の制御に従って、N個の検出電極ESの各々を基準電圧Vrに接続する。
[0033]
 図2の例において、スイッチ部50は、N個のスイッチ51-1~51-Nと、N個のスイッチ52-1~52-Nを含む。
 スイッチ51-iは、検出信号生成部20の入力と検出電極ES-iとの間の経路に設けられており、制御部60の制御に従ってオン又はオフする。スイッチ51-iがオンすると、検出電極ES-iの電圧が基準電圧Vrに近づくように検出電極ES-iと検出信号生成部20との間で電荷が転送される。
 スイッチ52-iは、基準電圧発生部30の出力と検出電極ES-iとの間の経路に設けられており、制御部60の制御に従ってオン又はオフする。スイッチ52-iがオンすると、基準電圧発生部30の基準電圧Vrが検出電極ES-iに印加される。
[0034]
 検出信号生成部20は、スイッチ部50を介して接続された検出電極ESの電圧が基準電圧Vrに近づくように、検出電極ESにおいて電荷を転送し、この電荷の転送に応じた検出信号Sを生成する。
[0035]
 例えばスイッチ51-jがオンの状態で駆動電極ED-jの電圧が上昇すると、検出電極ES-iはキャパシタC(i,j)によって駆動電極ED-jと静電結合しているため、検出電極ES-iの電圧も上昇しようとする。このとき、検出信号生成部20は、検出電極ES-iの電圧が基準電圧Vrを超えて上昇しないように、検出電極ES-iへ負の電荷を転送する(検出電極ES-iから正の電荷を奪う)。逆に、スイッチ51-jがオンの状態で駆動電極ED-jの電圧が低下し、検出電極ES-iの電圧も低下しようとすると、検出信号生成部20は、検出電極ES-iの電圧が基準電圧Vrより低下しないように、検出電極ES-iへ正の電荷を転送する(検出電極ES-iから負の電荷を奪う)。
[0036]
 検出電極ES-iの電圧が基準電圧Vrに保たれる場合、検出電極ES-iにおいて転送される電荷は、キャパシタC(i,j)の静電容量(相互容量)に概ね比例する。検出信号生成部20は、例えば、検出電極ES-iにおいて転送される正又は負の電荷に比例した変化を生じる検出信号Sを生成する。この場合、検出信号Sの変化は、キャパシタC(i,j)の相互容量の変化に概ね比例する。
[0037]
 図2の例において、検出信号生成部20は、演算増幅器21と、帰還キャパシタCfと、スイッチ22を含む。演算増幅器21の反転入力端子は、スイッチ部50のスイッチ51-1~51-Nを介して検出電極ES-1~ES-Nに接続される。演算増幅器21の非反転入力には、基準電圧発生部30の基準電圧Vrが入力される。帰還キャパシタCfは、演算増幅器21の出力端子と反転入力端子との間の経路に設けられている。スイッチ22は、帰還キャパシタCfと並列に接続される。
[0038]
 演算増幅器21の反転入力端子に接続された検出電極ESの電圧が基準電圧Vrを超えて上昇すると、演算増幅器21の出力電圧(検出信号S)が低下し、帰還キャパシタCfからキャパシタC(i,j)へ負の電荷が転送され、検出電極ESの電圧の上昇が抑制される。また、演算増幅器21の反転入力端子に接続された検出電極ESの電圧が基準電圧Vrより低下すると、演算増幅器21の出力電圧(検出信号S)が上昇し、帰還キャパシタCfからキャパシタC(i,j)へ正の電荷が転送され、検出電極ESの電圧の低下が抑制される。
[0039]
 基準電圧発生部30は、略一定の直流電圧である基準電圧Vrを発生する。図2の例において、基準電圧発生部30は、基準電圧源31と、演算増幅器32と、抵抗R1及びR2を含む。基準電圧源31は、例えばASICの内部電源電圧であり、バンドギャップリファレンス回路から作成され、電源電圧に依存しない直流電圧Vaを発生する。抵抗R1及びR2は、基準電圧源31の出力端子とグランドとの間に直列に接続される。抵抗R1及びR2の接続中点には、直流電圧Vaを分圧した電圧Vbが生じる。演算増幅器32の反転入力端子は、出力端子に接続される。演算増幅器32の非反転入力端子には、抵抗R1及びR2の接続中点に生じた電圧Vbが入力される。演算増幅器32は、電圧Vbと略等しい基準電圧Vrを出力する。
[0040]
 制御部60は、電極部5の各駆動電極ED-jと各検出電極ES-iとの間に形成される各キャパシタC(i,j)の相互容量に応じた検出信号Sが生成されるように、静電容量センサの各部を制御する。制御部60は、例えば、プログラムの命令コードに従って処理を実行するコンピュータを含んでもよい。また制御部60は、全ての処理をコンピュータによってプログラムに基づいて実行してもよいし、少なくとも一部の処理を専用のハードウェア(ASIC、FPGAなど)によって実行してもよい。
[0041]
 制御部60は、駆動部10において一部の駆動電極EDの電圧を変化させているとき、残りの駆動電極EDには基準電圧Vrを印加するように駆動部10を制御する。また、制御部60は、スイッチ部50において1つの検出電極ESを検出信号生成部20に接続しているとき、残りの検出電極ESを基準電圧Vrに接続するようにスイッチ部50を制御する。
[0042]
 次に上述した構成を有する本実施形態に係る静電容量センサにおいて、駆動電極ED-jと検出電極ES-iとの間に形成されるキャパシタC(i,j)の相互容量に応じた検出信号Sを生成する動作を説明する。
[0043]
 まず制御部60は、検出信号生成部20のスイッチ22をオンに設定し、帰還キャパシタCfに蓄積される電荷を放電させる。
[0044]
 また制御部60は、1つの検出電極ES-iが検出信号生成部20に接続され、それ以外の検出電極ESが基準電圧Vrに接続されるように、スイッチ部50の各スイッチ(51-1~51-N、52-1~52-N)を制御する。
 更に制御部60は、1つの駆動電極ED-jが駆動信号発生部13に接続され、それ以外の駆動電極EDが基準電圧Vrに接続されるように、駆動部10の各スイッチ(11-1~11-M、12-1~12-M)を制御する。
[0045]
 次に制御部60は、検出信号生成部20のスイッチ22をオフに設定し、帰還キャパシタCfに蓄積される電荷がほぼゼロの状態において、駆動信号発生部13から駆動電極ED-jへ駆動信号を供給させる。例えば駆動信号発生部13は、駆動電極ED-jの電圧をグランドレベルから電源電圧レベルまで上昇させる駆動信号を発生する。
[0046]
 駆動信号によって駆動電極ED-jの電圧が変化し、これに応じて検出電極ES-iの電圧と基準電圧Vrとの間に差が生じると、検出信号生成部20は、この電圧差が小さくなるように、検出電極ES-iにおいて電荷を転送する。例えば、駆動電極ED-jの電圧が上昇し、これに応じて検出電極ES-iの電圧が基準電圧Vrを超えて上昇すると、検出信号生成部20は検出電極ES-iを介してキャパシタC(i,j)に負の電荷を転送して、検出電極ES-iの電圧の上昇を抑制する。その結果、検出電極ES-iは、基準電圧Vrに近い電圧に保たれる。このときキャパシタC(i,j)へ転送される電荷の量は、キャパシタC(i,j)の相互容量に比例する。すなわち、キャパシタC(i,j)の相互容量が大きくなるほど、検出電極ES-iを基準電圧Vrに保つためにキャパシタC(i,j)へ転送される電荷の量も大きくなる。
[0047]
 キャパシタC(i,j)に電荷が転送されるとき、これと同じ量の電荷が帰還キャパシタCfにも蓄積される。駆動電極ED-jへ駆動信号が供給される直前において、帰還キャパシタCfに蓄積される電荷はほぼゼロであるため、駆動信号の供給後に帰還キャパシタCfに蓄積される電荷は、検出電極ES-iを介してキャパシタC(i,j)へ転送された電荷とほぼ等しい。すなわち、帰還キャパシタCfには、キャパシタC(i,j)の相互容量に比例した電荷が蓄積され、この電荷に比例した電圧が発生する。従って、駆動信号の供給後に帰還キャパシタCfに発生する電圧は、キャパシタC(i,j)の相互容量に比例する。
[0048]
 検出信号Sは、帰還キャパシタCfの電圧と基準電圧Vrとの和であるため、検出信号Sの変化は、帰還キャパシタCfの電圧の変化に相当し、キャパシタC(i,j)の相互容量の変化に比例する。制御部60は、各キャパシタC(i,j)について得られる検出信号Sの変化に基づいて、各キャパシタC(i,j)の相互容量の変化を検出し、この検出結果から、各キャパシタC(i,j)における物体(指など)の近接の有無や近接度合いを判定する。
[0049]
 以上説明したように、本実施形態に係る静電容量センサによれば、駆動部10において一部の駆動電極EDの電圧を変化させているとき、残りの駆動電極EDには基準電圧Vrが印加される。このとき、検出信号生成部20が検出電極ESにおいて電荷を転送することによって、検出電極ESの電圧は基準電圧Vrに近い電圧に保たれる。そのため、基準電圧発生部30が発生する基準電圧Vrにノイズ成分が重畳していても、当該残りの駆動電極EDと検出電極ESとの間に形成されるキャパシタC(i,j)(非検出対象のキャパシタC(i,j))には殆ど電圧が発生せず、殆ど電荷が蓄積されない。すなわち、非検出対象のキャパシタC(i,j)は、検出電極ESにおいて転送される電荷を殆ど発生しない。従って、基準電圧Vrにノイズ成分が重畳している場合でも、非検出対象のキャパシタC(i,j)にはノイズ成分が作用せず、非検出対象のキャパシタC(i,j)で発生した電荷が検出電極ESにおいて転送されることがないため、検出信号Sの誤差を微小に抑えることができる。
[0050]
 また、本実施形態に係る静電容量センサによれば、スイッチ部50において1つの検出電極ESを検出信号生成部20に接続しているとき、残りの検出電極ESは基準電圧Vrに接続される。そのため、基準電圧Vrにノイズ成分が重畳していても、当該1つの検出電極ESと当該残りの検出電極ESとの間に形成される寄生的なキャパシタには殆ど電圧が発生せず、殆ど電荷が蓄積されない。すなわち、当該1つの検出電極ESと当該残りの検出電極ESとの間に形成される寄生的なキャパシタは、当該1つの検出電極ESにおいて転送される電荷を殆ど発生しない。従って、基準電圧Vrにノイズ成分が重畳している場合でも、検出電極ES間の寄生的なキャパシタにはノイズ成分が作用せず、これらのキャパシタで発生した電荷が検出電極ESにおいて転送されることがないため、検出信号Sの誤差を微小に抑えることができる。
[0051]
<第2の実施形態>
 次に、第2の実施形態に係る静電容量センサについて説明する。
 図3は、第2の実施形態に係る静電容量センサの各部の構成例を示す図である。第2の実施形態に係る静電容量センサは、図2に示す静電容量センサにおいて駆動部10を駆動部10Aに置き換えるとともに、制御部60の処理を変更したものであり、他の構成は図2に示す静電容量センサと概ね同じである。
[0052]
 駆動部10Aは、制御部60の制御に従って、M個の駆動電極EDの各々に独立した駆動信号を供給する。図3の例において、駆動部10Aは、それぞれ駆動信号を発生するM個の駆動信号発生部14-1~14-M(以下、区別せずに「駆動信号発生部14」と記す場合がある。)を含む。駆動信号発生部14-jは、駆動電極ED-jに供給される駆動信号を発生する。
[0053]
 駆動信号発生部14-jは、3種類の駆動信号(以下、「第1駆動信号」、「第2駆動信号」、「第3駆動信号」と記す場合がある。)を発生することができる。第1駆動信号は、駆動電極ED-jの電圧を所定の電圧差VDだけ上昇させる信号であり、第2駆動信号は、駆動電極ED-jの電圧を電圧差VDだけ低下させる信号である。また、第3駆動信号は、駆動電極ED-jに基準電圧Vrを印加する信号である。
[0054]
 M個の駆動信号発生部14がM個の駆動電極EDへ同時に供給するM個の駆動信号(第1駆動信号、第2駆動信号又は第3駆動信号)の組み合わせを、ここでは「駆動パターン」と呼ぶ。
[0055]
 制御部60は、M個の異なる駆動パターンによってM個の駆動電極EDにそれぞれ駆動信号(第1駆動信号、第2駆動信号又は第3駆動信号)をM回供給するように、駆動部10Aの各駆動信号発生部14を制御する。すなわち制御部60は、駆動パターンを切り替えながら、M個の駆動電極EDへ同時に駆動信号を供給する動作をM回繰り返す。また制御部60は、M個の異なる駆動パターンによって駆動電極EDを駆動している間、検出信号生成部20が1つの検出電極ESにおいて電荷を転送するように(検出信号生成部20が1つの検出電極ESと接続されるように)スイッチ部50を制御する。そして、制御部60は、M個の異なる駆動パターンに応じて検出信号生成部20が生成したM個の検出信号Sを取得し、当該M個の検出信号Sに基づいて、当該1つの検出電極ESとM個の駆動電極EDとの間に形成されるM個のキャパシタC(i,j)の相互容量値をそれぞれ算出する。
[0056]
 ここで、M個の駆動電極ED-1~ED-Mと1つの検出電極ES-iとの間に形成されるM個のキャパシタC(i,1),C(i,2),…,C(i,M)の相互容量を、それぞれ「C(1)」,「C(2)」,…,「C(M)」とする。
 また、M個の駆動電極ED-1~ED-Mへそれぞれ駆動信号を供給したとき、検出電極ES-iからM個のキャパシタC(i,1),C(i,2),…,C(i,M)へ転送される電荷を、それぞれ「Q(1)」,「Q(2)」,…,「Q(M)」とする。
 更に、電極部5へ物体(指など)が近接していない場合と比較した相互容量C(1),C(2),…,C(M)の変化を、それぞれ「ΔC(1)」,「ΔC(2)」,…,「ΔC(M)」とする。
 この場合、相互容量の変化ΔC(j)が生じたことによる電荷Q(j)の変化ΔQ(j)は、次の式で表される。
[0057]
 ΔQ(j)=A(j)×VD×ΔC(j) … (2)
[0058]
 式(2)における係数A(j)は、駆動電極ED-jに供給される駆動信号の種類に応じて、それぞれ次の値を持つ。
[0059]
   第1駆動信号の場合: A(j)=1  …(3)
   第2駆動信号の場合: A(j)=-1 …(4)
   第3駆動信号の場合: A(j)=0  …(5)
[0060]
 M個の駆動電極ED-1~ED-Mへ同時に駆動信号を供給したとき、帰還キャパシタCfに蓄積される電荷Qcfは、次の式で表される。
[0061]
 Qcf=Q(1)+Q(2)+…+Q(M) …(6)
[0062]
 電極部5に物体(指など)が近接していない場合の電荷Qcfに対する変化ΔQcfは、次の式で表される。
[0063]
 ΔQcf=ΔQ(1)+ΔQ(2)+…+ΔQ(M) …(7)
[0064]
 帰還キャパシタCfにおける電荷の変化ΔQcfに対応した検出信号Sの変化を「ΔS」とし、帰還キャパシタCfの静電容量を「Cf」とすると、電荷の変化ΔQcfは次の式で表される。
[0065]
 ΔQcf=Cf×ΔS …(8)
[0066]
 式(7)に式(2)及び式(8)を代入すると、次の式が得られる。
[0067]
 B×ΔS=A(1)×ΔC(1)+…+A(M)×ΔC(M) …(9)
  ただし、
 B=Cf/VD …(10)
[0068]
 式(9)において、係数Bと係数A(1),A(2),…,A(M)はそれぞれ既知の値を持つ。また、M個の係数A(1),A(2),…,A(M)の組み合わせは、M個の駆動パターンごとに異なっている。M個の異なる駆動パターンに応じたM個の検出信号Sが得られると、制御部60は、M個の検出信号Sの各々について、基準値(電極部5に物体が近接していないときの検出信号Sの平均値など)からの変化ΔSを算出する。M個の変化ΔSが得られると、係数A(1),A(2),…,A(M)の組み合わせが異なるM個の式(9)を立てることができる。相互容量の変化ΔC(1),ΔC(2),…,ΔC(M)を未知数としたM個の式(9)からなる連立方程式は、行列演算によって解くことができる。従って、制御部60は、M個の異なる駆動パターンに応じたM個の検出信号Sに基づいて、上述した連立方程式を解くことにより、相互容量の変化ΔC(1),ΔC(2),…,ΔC(M)をそれぞれ算出する。
[0069]
 制御部60は、1つの検出電極ES-iについて相互容量の変化ΔC(1),ΔC(2),…,ΔC(M)を算出すると、スイッチ部50において別の1つの検出電極ES-iを選択し、検出信号生成部20に接続する。そして、制御部60は、上述と同様にM個の異なる駆動パターンに応じたM個の検出信号Sを取得し、連立方程式を解くことにより、相互容量の変化ΔC(1),ΔC(2),…,ΔC(M)をそれぞれ算出する。制御部60は、この動作を繰り返すことにより、全ての検出電極ESについて相互容量の変化ΔC(1),ΔC(2),…,ΔC(M)を算出する。
[0070]
 本実施形態に係る静電容量センサによれば、1以上の駆動電極EDに対して第3駆動信号(駆動電極EDに基準電圧Vrを印加する駆動信号)が供給された場合、当該1以上の駆動電極EDと検出電極ESとの間に形成されるキャパシタC(i,j)には殆ど電圧が発生せず、殆ど電荷が蓄積されない。この場合、基準電圧Vrにノイズ成分が重畳しているか否かにかかわらず、当該1以上の駆動電極EDと検出電極ESとの間に形成されるキャパシタC(i,j)は、検出電極ESにおいて転送される電荷を殆ど発生しない。従って、基準電圧Vrにノイズ成分が重畳している場合でも、当該1以上の駆動電極EDと検出電極ESとの間に形成される1以上のキャパシタC(i,j)にはノイズ成分が作用しない。また、当該1以上のキャパシタC(i,j)で発生した電荷は、検出電極ESにおいて転送されることがない。そのため、1以上の駆動電極EDに対して第3駆動信号が供給された場合に、検出信号Sの誤差を低減することができる。これにより、M個の検出信号Sに基づいて算出されるM個のキャパシタC(i,j)の相互容量値(相互容量の変化ΔC(1),ΔC(2),…,ΔC(M))についても、ノイズ成分に起因した誤差を低減できる。
[0071]
<第3の実施形態>
 次に、第3の実施形態に係る静電容量センサについて説明する。
 図4は、第3の実施形態に係る静電容量センサの各部の構成例を示す図である。第3の実施形態に係る静電容量センサは、図2に示す静電容量センサに疑似基準電圧発生部40を追加するとともに、駆動部10及びスイッチ部50において基準電圧Vrの替わりに疑似基準電圧VArを用いたものであり、他の構成は図2に示す静電容量センサと概ね同じである。
[0072]
 疑似基準電圧発生部40は、基準電圧Vrに近づくように帰還制御された疑似基準電圧VArを発生する。図4の例において、疑似基準電圧発生部40は、非反転入力端子に基準電圧Vrが入力され、反転入力端子と出力端子とが接続された演算増幅器41を含む。演算増幅器41は、基準電圧Vrと略等しい疑似基準電圧VArを出力する。
[0073]
 駆動部10は、制御部60の制御に従って、M個の駆動電極EDの電圧をそれぞれ独立に変化させる。また駆動部10は、制御部60の制御に従って、M個の駆動電極EDの各々に疑似基準電圧VArを印加する。
[0074]
 スイッチ部50は、制御部60の制御に従って、N個の検出電極ESから1つの検出電極ESを選択し、検出信号生成部20に接続する。またスイッチ部50は、制御部60の制御に従って、N個の検出電極ESの各々を疑似基準電圧VArに接続する。
[0075]
 制御部60は、駆動部10において一部の駆動電極EDの電圧を変化させているとき、残りの駆動電極EDには疑似基準電圧VArを印加するように駆動部10を制御する。また、制御部60は、スイッチ部50において1つの検出電極ESを検出信号生成部20に接続しているとき、残りの検出電極ESを疑似基準電圧VArに接続するようにスイッチ部50を制御する。
[0076]
 本実施形態に係る静電容量センサにおいても、既に説明した第1の実施形態に係る静電容量センサ(図2)と同様の効果を奏することができる。また、疑似基準電圧発生部40の演算増幅器41として、検出信号生成部20の演算増幅器21と同等の性能(オフセット特性、周波数特性など)を持った回路を用いることにより、検出信号生成部20の演算増幅器21の反転入力端子に接続される検出電極ESと、疑似基準電圧VArに接続される電極(検出電極ES、駆動電極ED)との電圧差を更に微小に抑えることが可能となり、検出信号Sに含まれるノイズを微小に抑えることができる。
[0077]
<第4の実施形態>
 次に、第4の実施形態に係る静電容量センサについて説明する。
 図5は、第4の実施形態に係る静電容量センサの各部の構成例を示す図である。第4の実施形態に係る静電容量センサは、図3に示す静電容量センサに疑似基準電圧発生部40を追加するとともに、駆動部10A及びスイッチ部50において基準電圧Vrの替わりに疑似基準電圧VArを用いたものであり、他の構成は図3に示す静電容量センサと概ね同じである。疑似基準電圧発生部40の構成は、図4に示す静電容量センサと同じである。
[0078]
 図5に示す静電容量センサにおける駆動部10Aは、図3に示す静電容量センサと同様に、M個の駆動電極EDの各々に独立した駆動信号を供給することが可能であり、それぞれ駆動信号を発生するM個の駆動信号発生部14-1~14Mを含む。駆動信号発生部14-jは、図3に示す静電容量センサと同様に、3種類の駆動信号(第1駆動信号、第2駆動信号又は第3駆動信号。)を発生することが可能である。第1駆動信号及び第2駆動信号は、図3に示す静電容量センサと同じである。第3駆動信号は、駆動電極ED-jに疑似基準電圧VArを印加する信号である。
[0079]
 本実施形態に係る静電容量センサにおいても、既に説明した第2の実施形態に係る静電容量センサ(図3)と同様の効果を奏することができる。また、疑似基準電圧発生部40の演算増幅器41として、検出信号生成部20の演算増幅器21と同等の性能(オフセット特性、周波数特性など)を持った回路を用いることにより、検出信号生成部20の演算増幅器21の反転入力端子に接続される検出電極ESと、疑似基準電圧VArに接続される電極(検出電極ES、駆動電極ED)との電圧差を更に微小に抑えることが可能となり、検出信号Sに含まれるノイズを微小に抑えることができる。
[0080]
 本開示に係る技術的思想は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
[0081]
 例えば、上述した実施形態では複数の検出電極ESを備える静電容量センサの例が挙げられているが、検出電極は1つのみでもよい。
[0082]
 また、上述した実施形態では、M個の駆動電極EDの各々がN個の検出電極ESの各々に対して寄生的なキャパシタを形成しているが、他の実施形態では、一部の駆動電極EDが一部の検出電極ESに対して寄生的なキャパシタを形成しないようにしてもよい。

符号の説明

[0083]
 5…電極部、10,10A…駆動部、11-1~11-M,12-1~12-M…スイッチ、13,14-1~14-M…駆動信号発生部、20…検出信号生成部、21…演算増幅器、22…スイッチ、30…基準電圧発生部、31…基準電圧源、32…演算増幅器、40…疑似基準電圧発生部、41…演算増幅器、50…スイッチ部、51-1~51-M,52-1~52-M…スイッチ、60…制御部

請求の範囲

[請求項1]
 少なくとも1つの検出電極と、
 前記検出電極との間にそれぞれキャパシタが形成される複数の駆動電極と、
 前記複数の駆動電極の電圧をそれぞれ独立に変化させることが可能な駆動部と、
 基準電圧を発生する基準電圧発生部と、
 前記検出電極の電圧が前記基準電圧に近づくように電荷を転送し、当該電荷の転送に応じた検出信号を生成する検出信号生成部と、
 前記駆動部を制御する制御部とを有し、
 前記駆動部は、前記複数の駆動電極の各々に前記基準電圧を印加可能であり、
 前記制御部は、前記駆動部において一部の前記駆動電極の電圧を変化させているとき、残りの前記駆動電極には前記基準電圧を印加するように前記駆動部を制御する、
 静電容量センサ。
[請求項2]
 複数の前記検出電極から1つの前記検出電極を選択して前記検出信号生成部に接続可能であるとともに、複数の前記検出電極の各々を前記基準電圧に接続可能なスイッチ部を有し、
 前記制御部は、前記スイッチ部において1つの前記検出電極を前記検出信号生成部に接続しているとき、残りの前記検出電極を前記基準電圧に接続するように前記スイッチ部を制御する、
 請求項1に記載の静電容量センサ。
[請求項3]
 前記駆動部は、
  前記駆動電極の電圧を所定の電圧差だけ上昇させる駆動信号、
  前記駆動電極の電圧を前記所定の電圧差だけ低下させる駆動信号、又は、
  前記駆動電極に前記基準電圧を印加する駆動信号
 をM個(Mは2以上の整数を示す。)の前記駆動電極の各々へ供給可能であり、
 前記M個の駆動電極へ同時に供給するM個の前記駆動信号の組み合わせを駆動パターンと呼ぶ場合に、
 前記制御部は、
  M個の異なる前記駆動パターンによって前記M個の駆動電極にそれぞれ前記駆動信号をM回供給するように前記駆動部を制御し、
  1つの前記検出電極において前記電荷を転送する前記検出信号生成部が前記M個の異なる駆動パターンに応じて生成したM個の前記検出信号を取得し、当該M個の検出信号に基づいて、前記1つの検出電極と前記M個の駆動電極との間に形成されるM個の前記キャパシタの相互容量値を算出する、
 請求項1又は2に記載の静電容量センサ。
[請求項4]
 前記検出信号生成部は、
  反転入力端子に前記検出電極が接続され、非反転入力端子に前記基準電圧が入力された第1演算増幅器と、
  前記第1演算増幅器の出力端子と前記反転入力端子との間の経路に設けられた帰還キャパシタとを含む、
 請求項1~3のいずれか一項に記載の静電容量センサ。
[請求項5]
 少なくとも1つの検出電極と、
 前記検出電極との間にそれぞれキャパシタが形成される複数の駆動電極と、
 前記複数の駆動電極の電圧をそれぞれ独立に変化させることが可能な駆動部と、
 基準電圧を発生する基準電圧発生部と、
 前記検出電極の電圧が前記基準電圧に近づくように電荷を転送し、当該電荷の転送に応じた検出信号を生成する検出信号生成部と、
 前記基準電圧に近づくように帰還制御された疑似基準電圧を発生する疑似基準電圧発生部と、
 前記駆動部を制御する制御部とを有し、
 前記駆動部は、前記複数の駆動電極の各々に前記疑似基準電圧を印加可能であり、
 前記制御部は、前記駆動部において一部の前記駆動電極の電圧を変化させているとき、残りの前記駆動電極には前記疑似基準電圧を印加するように前記駆動部を制御する、
 静電容量センサ。
[請求項6]
 複数の前記検出電極から1つの前記検出電極を選択して前記検出信号生成部に接続可能であるとともに、複数の前記検出電極の各々を前記疑似基準電圧に接続可能なスイッチ部を有し、
 前記制御部は、前記スイッチ部において1つの前記検出電極を前記検出信号生成部に接続しているとき、残りの前記検出電極を前記疑似基準電圧に接続するように前記スイッチ部を制御する、
 請求項5に記載の静電容量センサ。
[請求項7]
 前記駆動部は、
  前記駆動電極の電圧を所定の電圧差だけ上昇させる駆動信号、
  前記駆動電極の電圧を前記所定の電圧差だけ低下させる駆動信号、又は、
  前記駆動電極に前記疑似基準電圧を印加する駆動信号
 をM個(Mは2以上の整数を示す。)の前記駆動電極の各々へ供給可能であり、
 前記M個の駆動電極へ同時に供給するM個の前記駆動信号の組み合わせを駆動パターンと呼ぶ場合に、
 前記制御部は、
  M個の異なる前記駆動パターンによって前記M個の駆動電極にそれぞれ前記駆動信号をM回供給するように前記駆動部を制御し、
  1つの前記検出電極において前記電荷を転送する前記検出信号生成部が前記M個の異なる駆動パターンに応じて生成したM個の前記検出信号を取得し、当該M個の検出信号に基づいて、前記1つの検出電極と前記M個の駆動電極との間に形成されるM個の前記キャパシタの相互容量値を算出する、
 請求項5又は6に記載の静電容量センサ。
[請求項8]
 前記検出信号生成部は、
  反転入力端子に前記検出電極が接続され、非反転入力端子に前記基準電圧が入力された第1演算増幅器と、
  前記第1演算増幅器の出力端子と前記反転入力端子との間の経路に設けられた帰還キャパシタとを含み、
 前記疑似基準電圧発生部は、非反転入力端子に前記基準電圧が入力され、反転入力端子と出力端子とが接続された第2演算増幅器を含む、
 請求項5~7のいずれか一項に記載の静電容量センサ。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]