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1. WO2020110479 - 負極材料、および、電池

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明 細 書

発明の名称 負極材料、および、電池

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

非特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004  

課題を解決するための手段

0005  

発明の効果

0006  

図面の簡単な説明

0007  

発明を実施するための形態

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167  

産業上の利用可能性

0168  

符号の説明

0169  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 負極材料、および、電池

技術分野

[0001]
 本開示は、負極材料、および、電池に関する。

背景技術

[0002]
 非特許文献1には、硫化物固体電解質材料を負極材料として用いた全固体リチウムイオン電池が、開示されている。

先行技術文献

非特許文献

[0003]
非特許文献1 : F. Han et al., “A Battery Made from Single Material”, Adv. Mater. 27(2015),3473-3483

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 従来技術においては、電池の充放電効率のさらなる向上が望まれる。

課題を解決するための手段

[0005]
 本開示の一態様における負極材料は、第1固体電解質材料の還元体と、導電助剤とを含み、前記第1固体電解質材料は、下記の式(1)により表され、
 Li αβγ ・・・式(1)
 ここで、上記式(1)において、α、β、およびγは、いずれも0より大きい値であり、Mは、Li以外の金属元素および半金属元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素であり、かつ、Xは、F、Cl、Br、およびIからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である。

発明の効果

[0006]
 本開示によれば、電池の充放電効率を向上させることができる。

図面の簡単な説明

[0007]
[図1] 図1は、第1固体電解質材料の還元体の一例である、Li 2.71.1Cl 6の還元体のX線回折パターンを示す図である。
[図2] 図2は、実施の形態1における負極材料の一例である負極材料1000の概略構成を示す断面図である。
[図3] 図3は、実施の形態2における電池の一例である電池2000の概略構成を示す断面図である。

発明を実施するための形態

[0008]
 以下、本開示の実施の形態が、図面を参照しながら説明される。
[0009]
(実施の形態1)
 実施の形態1における負極材料は、第1固体電解質材料(以下、「ハロゲン化物固体電解質材料」とも記載する)の還元体(以下、「ハロゲン化物還元体」とも記載する。)と、導電助剤とを含む。ハロゲン化物固体電解質材料は、下記の式(1)により表される材料である。
 Li αβγ ・・・式(1)
 ここで、上記式(1)において、α、β、およびγは、いずれも0より大きい値である。また、Mは、Li以外の金属元素および半金属元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である。Xは、F、Cl、Br、およびIからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である。
[0010]
 なお、「半金属元素」とは、B、Si、Ge、As、Sb、およびTeである。
[0011]
 また、「金属元素」とは、
 (i)水素を除く、周期表1族から12族中に含まれるすべての元素、および、
 (ii)B、Si、Ge、As、Sb、Te、C、N、P、O、S、およびSeを除く、周期表13族から16族中に含まれるすべての元素、である。すなわち、「金属元素」は、ハロゲン化物と無機化合物を形成した際に、カチオンとなりうる元素群である。
[0012]
 実施の形態1の負極材料は、以上の構成により、電池の充放電効率を向上させることができる。なお、充放電効率は、以下の式で求められる。
充放電効率(%)=(放電容量/充電容量)×100
[0013]
 上述のとおり、「背景技術」の欄に記載された非特許文献1には、硫化物固体電解質材料の還元体(以下、「硫化物還元体」とも記載する)を負極材料とした電池が開示されている。本発明者らは、鋭意検討の結果、硫化物還元体を負極材料として用いた電池では、硫化物還元体の電子伝導性およびイオン伝導性が低い等の理由により、電池の充放電効率が低下する課題を有することを見出した。上記のハロゲン化物還元体は、良好な電子伝導性およびイオン伝導性を示す。すなわち、実施の形態1の負極材料は、良好な電子伝導性とイオン伝導性とを示すハロゲン化物還元体と、電子伝導を補助する導電助剤とを含むため、電池の充放電効率を向上させることができる。
[0014]
 実施の形態1におけるハロゲン化物固体電解質材料が、上記式(1)において、
 1≦α≦5、
 0<β≦2、および
 5.5≦γ≦6.5
を満たしてもよい。
[0015]
 また、実施の形態1におけるハロゲン化物固体電解質材料は、上記式(1)において、
 1.5≦α≦4.5、
 0.5≦β≦1.5、および
 γ=6
を満たしてもよい。
[0016]
 また、実施の形態1におけるハロゲン化物固体電解質材料は、上記式(1)において、例えばα=2.7、β=1.1、およびγ=6を満たしてもよい。
[0017]
 以上の構成によれば、電池の充放電効率をより向上させることができる。
[0018]
 実施の形態1におけるハロゲン化物固体電解質材料が、上記式(1)において、α+mβ=γの関係を満たしてもよい。ここで、mはMの価数である。なお、Mが複数種の元素を含む場合、mβは、各元素の組成比に当該元素の価数をかけた値の合計となる。例えば、Mが、元素M1と元素M2とを含む場合であって、元素M1の組成比がβ 1で元素M1の価数がm 1、元素M2の組成比がβ 2で元素M2の価数がm 2である場合、mβ=m 1β 1+m 2β 2となる。また、元素Mの価数が複数考えうる場合は、それらの考えうる価数をmとして用いた場合に上記関係式が満たされればよい。
[0019]
 以上の構成によれば、電池の充放電効率をより向上させることができる。
[0020]
 上記式(1)において、Mは、遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含んでもよい。
[0021]
 以上の構成によれば、電池の充放電効率をより向上させることができる。
[0022]
 上記式(1)において、Mは、イットリウム(=Y)を含んでいてもよい。すなわち、ハロゲン化物固体電解質材料は、金属元素としてYを含んでいてもよい。
[0023]
 Yを含むハロゲン化物固体電解質材料は、例えば、下記の式(2)により表されてもよい。
 Li aMe bc6 ・・・式(2)
 ここで、上記式(2)において、a、b、およびcは、a+m eb+3c=6、かつ、c>0を満たし、Meは、LiおよびY以外の金属元素および半金属元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である。また、m eは、Meの価数である。なお、Meが複数種の元素を含む場合、m ebは、各元素の組成比に当該元素の価数をかけた値の合計となる。例えば、Meが、元素Me1と元素Me2とを含む場合であって、元素Me1の組成比がb 1で元素Me1の価数がm e1、元素Me2の組成比がb 2で元素Me2の価数がm e2である場合、m eb=m e11+m e22となる。なお、Me1は、Mg、Ca、Sr
、Ba、Zn、Sc、Al、Ga、Bi、Zr、Hf、Ti、Sn、Ta、およびNbからなる群より選ばれる少なくとも一種であってもよい。また、元素Meの価数が複数考えうる場合は、それらの考えうる価数をm eとして用いた場合に上記関係式が満たされればよい。
[0024]
 実施の形態1における負極材料において、ハロゲン化物固体電解質材料が上記式(2)を満たす場合、電池の充放電効率をより向上させることができる。
[0025]
 実施の形態1におけるハロゲン化物固体電解質材料は、下記の組成式(3)により表される材料であってもよい。
 Li 6-3dd6・・・式(3)
 ここで、組成式(3)において、Xは、Cl、Br、およびIからなる群より選択される二種以上の元素である。また、組成式(3)において、dは、0<d<2を満たす。
[0026]
 実施の形態1における負極材料において、ハロゲン化物固体電解質材料が上記式(3)を満たす場合、実施の形態1における負極材料は、電池のサイクル特性を向上させ、さらに電池の充放電効率も向上させうる。さらに、上記式(3)を満たすハロゲン化物固体電解質材料は、高イオン伝導性を有するので、効率よくハロゲン化物還元体を生成できる。
[0027]
 実施の形態1におけるハロゲン化物固体電解質材料は、下記の組成式(4)により表される材料であってもよい。
 Li 3YX 6・・・式(4)
 ここで、組成式(4)において、Xは、Cl、Br、およびIからなる群より選択される二種以上の元素である。すなわち、上記の組成式(3)において、dは1であってもよい。
[0028]
 実施の形態1における負極材料において、ハロゲン化物固体電解質材料が上記式(4)を満たす場合、実施の形態1における負極材料は、電池のサイクル特性を向上させ、さらに電池の充放電効率も向上させうる。さらに、上記式(4)を満たすハロゲン化物固体電解質材料は、高イオン伝導性を有するので、効率よくハロゲン化物還元体を生成できる。
[0029]
 実施の形態1におけるハロゲン化物固体電解質材料は、下記の組成式(5)により表される材料であってもよい。
 Li 3-3δ1+δCl 6・・・式(5)
 ここで、組成式(5)において、0<δ≦0.15、が満たされる。
[0030]
 実施の形態1における負極材料において、ハロゲン化物固体電解質材料が上記式(5)を満たす場合、実施の形態1における負極材料は、電池のサイクル特性を向上させ、さらに電池の充放電効率も向上させうる。さらに、上記式(5)を満たすハロゲン化物固体電解質材料は、高イオン伝導性を有するので、効率よくハロゲン化物還元体を生成できる
[0031]
 実施の形態1におけるハロゲン化物固体電解質材料は、下記の組成式(6)により表される材料であってもよい。
 Li 3-3δ1+δBr 6・・・式(6)
 ここで、組成式(6)において、0<δ≦0.25、が満たされる。
[0032]
 実施の形態1における負極材料において、ハロゲン化物固体電解質材料が上記式(6)を満たす場合、実施の形態1における負極材料は、電池のサイクル特性を向上させ、さらに電池の充放電効率も向上させうる。さらに、上記式(6)を満たすハロゲン化物固体電解質材料は、高イオン伝導性を有するので、効率よくハロゲン化物還元体を生成できる。
[0033]
 実施の形態1におけるハロゲン化物固体電解質材料は、下記の組成式(7)により表される材料であってもよい。
 Li 3-3δ+a1+δ-aMe aCl 6-x-yBr xy ・・・式(7)
 ここで、組成式(7)において、Meは、Mg、Ca、Sr、Ba、およびZnからなる群より選択される少なくとも一種の元素である。さらに、組成式(7)においては、
-1<δ<2、
0<a<3、
0<(3-3δ+a)、
0<(1+δ-a)、
0≦x≦6、
0≦y≦6、および
(x+y)≦6、
が満たされる。
[0034]
 実施の形態1における負極材料において、ハロゲン化物固体電解質材料が上記式(7)を満たす場合、実施の形態1における負極材料は、電池のサイクル特性を向上させ、さらに電池の充放電効率も向上させうる。さらに、上記式(7)を満たすハロゲン化物固体電解質材料は、高イオン伝導性を有するので、効率よくハロゲン化物還元体を生成できる。
[0035]
 実施の形態1におけるハロゲン化物固体電解質材料は、下記の組成式(8)により表される材料であってもよい。
 Li 3-3δ1+δ-aMe aCl 6-x-yBr xy ・・・式(8)
 ここで、組成式(8)において、Meは、Al、Sc、Ga、およびBiからなる群より選択される少なくとも一種の元素である。さらに、組成式(8)においては、
-1<δ<1、
0<a<2、
0<(1+δ-a)、
0≦x≦6、
0≦y≦6、および
(x+y)≦6、
が満たされる。
[0036]
 実施の形態1における負極材料において、ハロゲン化物固体電解質材料が上記式(8)を満たす場合、実施の形態1における負極材料は、電池のサイクル特性を向上させ、さらに電池の充放電効率も向上させうる。さらに、上記式(8)を満たすハロゲン化物固体電解質材料は、高イオン伝導性を有するので、効率よくハロゲン化物還元体を生成できる。
[0037]
 実施の形態1におけるハロゲン化物固体電解質材料は、下記の組成式(9)により表される材料であってもよい。
 Li 3-3δ-a1+δ-aMe aCl 6-x-yBr xy ・・・式(9)
 ここで、組成式(9)において、Meは、Zr、Hf、およびTiからなる群より選択される少なくとも一種の元素である。さらに、組成式(9)においては、
-1<δ<1、
0<a<1.5、
0<(3-3δ-a)、
0<(1+δ-a)、
0≦x≦6、
0≦y≦6、および
(x+y)≦6、
が満たされる。
[0038]
 実施の形態1における負極材料において、ハロゲン化物固体電解質材料が上記式(9)を満たす場合、実施の形態1における負極材料は、電池のサイクル特性を向上させ、さらに電池の充放電効率も向上させうる。さらに、上記式(9)を満たすハロゲン化物固体電解質材料は、高イオン伝導性を有するので、効率よくハロゲン化物還元体を生成できる。
[0039]
 実施の形態1におけるハロゲン化物固体電解質材料は、下記の組成式(10)により表される材料であってもよい。
 Li 3-3δ-2a1+δ-aMe aCl 6-x-yBr xy ・・・式(10)
 ここで、組成式(10)において、Meは、TaおよびNbからなる群より選択される少なくとも一種の元素である。さらに、組成式(10)においては、
-1<δ<1、
0<a<1.2、
0<(3-3δ-2a)、
0<(1+δ-a)、
0≦x≦6、
0≦y≦6、および
(x+y)≦6、
が満たされる。
[0040]
 実施の形態1における負極材料において、ハロゲン化物固体電解質材料が上記式(10)を満たす場合、実施の形態1における負極材料は、電池のサイクル特性を向上させ、さらに電池の充放電効率も向上させうる。さらに、上記式(10)を満たすハロゲン化物固体電解質材料は、高イオン伝導性を有するので、効率よくハロゲン化物還元体を生成できる。
[0041]
 実施の形態1におけるハロゲン化物固体電解質材料の具体例として、例えば、Li 2.71.1Cl 6、Li 3YBr 3Cl 3、Li 3YBr 6、Li 2.5Zr 0.50.5Cl 6、Li 3YBr 2Cl 22、Li 3.10.9Ca 0.1Cl 6、Li 30.8Al 0.2Cl 6、Li 2.50.5Hf 0.5Cl 6、Li 2.80.9Ta 0.1Cl 6、Li 4.50.475Bi 0.025Cl 6、Li 1.51.425Bi 0.075Cl 6、などが挙げられる。
[0042]
 実施の形態1における負極材料において、以上に例示された材料をハロゲン化物固体電解質材料とする場合、実施の形態1における負極材料は、電池のサイクル特性を向上させ、さらに電池の充放電効率も向上させうる。さらに、以上に例示された材料は、高イオン伝導性を有するので、効率よくハロゲン化物還元体を生成できる。
[0043]
 実施の形態1におけるハロゲン化物固体電解質材料としては、上記の他に、例えば、公知の固体電解質材料のうち、上記式(1)を満たすものを用いてもよい。
[0044]
 実施の形態1におけるハロゲン化物還元体は、Cu-Kα線を線源として用いたX線回折測定によって得られるX線回折パターンにおいて、回折角2θの値がθa以上θb以下の範囲内にピークトップが存在してもよい。
[0045]
 ここで、θbは、ハロゲン化物還元体に含まれるハロゲン(=X)とLiとからなるLiXの(220)面を反映するピークのピークトップの回折角2θの値である。LiXの(220)面のピークとは、LiCl、LiBr、およびLiIなどの空間群Fm-3mに属する結晶構造を有する岩塩型構造のミラー指数hklにおける(220)面によるピークである。なお、ハロゲン化物還元体に含まれるハロゲンが2種以上である場合は、θbを決定するためのハロゲンとしてより原子番号が小さいハロゲンが選択される。
[0046]
 また、θaは、ハロゲン化物固体電解質材料に由来するピークのピークトップの回折角2θの値であって、かつ前記θbに最も近い値である。
[0047]
 以上の構成によれば、実施の形態1における負極材料は、電池の充放電効率をより向上させることができる。具体的には、Li吸蔵に伴い、ハロゲン化物還元体に由来するピークはθaからθbにシフトする。一方、Li放出に伴い、ハロゲン化物還元体に由来するピークはθbからθaにシフトする。Li吸蔵および放出に伴い、ハロゲン化物還元体の結晶構造が収縮および膨張すると考えられる。このため、ハロゲン化物還元体を含む負極材料は、充放電効率を向上させると推察される。
[0048]
 ここで、ハロゲン化物固体電解質材料の還元体の一例である、Li 2.71.1Cl 6の還元体を例に挙げて、ハロゲン化物固体電解質材料とその還元体とのX線回折パターンを確認する。なおLi 2.71.1Cl 6は、後述の実施例1で用いられているハロゲン化物固体電解質材料である。以下、Li 2.71.1Cl 6を「LYC」と記載することがある。
[0049]
 LYCは、実施例1に記載された方法と同様の方法で作製されたものである。さらに、実施例2に記載された方法と同様の方法で、ガラスセラミックス状の固体電解質材料であるLi 2S-P 25(以下、「LPS」とも記載する)も作製された。
[0050]
 まず、絶縁性外筒の中で、0.44molのLPSと、0.022molのLYCとを、この順に積層した。これを370MPaの圧力で加圧成形することで、LPS-LYC積層体を得た。積層体におけるLYCにステンレス鋼のピンを配置することで、LYCからなる作用極を得た。
[0051]
 次に、積層体におけるLPSに接するように、金属In(厚さ200μm)、金属Li(厚さ300μm)、および金属In(厚さ200μm)をこの順に積層し、これを80MPaの圧力で加圧成形することでIn-Li合金を作製した。In-Li合金にステンレス鋼のピンを配置することで、In-Li合金からなる参照極兼対極を得た。これにより、SUS|LYC|LPS|In-Li合金からなる2極式の電気化学セルが得られた。
[0052]
 次に、絶縁性フェルールを用いて、絶縁性外筒内部を外気雰囲気から遮断および密閉した。
[0053]
 最後に、4本のボルトで電気化学セルを上下から拘束することで、電気化学セルに面圧150MPaを印加した。
[0054]
 以上により、LYCの還元体を作製するための電気化学セルが作製された。
[0055]
 上述の電気化学セルを用いて、以下の条件で、LYCの還元体(以下、「red-LYC」と記載する)を作製した。
[0056]
 電気化学セルを70℃の恒温槽に配置した。次に、電気化学セルに対して、電流値0.1mA/cm 2の電流密度で、LYC1分子に対して1電子分の電流量を印加したところで電流印加を終了して得られた作用極をred-LYC(1e充電)サンプルとし、LYC1分子に対して2電子分の電流量を印加したところで電流印加を終了して得られた作用極をred-LYC(2e充電)サンプルとした。また、電気化学セルに対して、電流値0.1mA/cm 2の電流密度で電流を印加して、作用極の電位を-0.6V(vs LiIn)まで下げたものの作用極を、red-LYC(満充電)サンプルとした。
[0057]
 また、電流値0.1mA/cm 2の電流密度で作用極の電位を-0.6V(vs LiIn)まで下げたものに対して、逆方向に電流値0.1mA/cm 2の電流密度で、LYCに対して1電子分の電流量を印加したところで電流印加を終了して得られた作用極をred-LYC(1e放電)サンプルとした。また、電流値0.1mA/cm 2の電流密度で作用極の電位を-0.6V(vs LiIn)まで下げたものに対して、逆方向に電流値0.1mA/cm 2の電流密度で電流を印加し、作用極の電位を1.9V(vs LiIn)まで上げたものの作用極を、red-LYC(満放電)サンプルとした。
[0058]
 図1は、上記red-LYCサンプルのX線回折パターンを示すグラフである。図1に示される結果は、下記の方法により、測定された。
[0059]
 全自動多目的X線回折装置(RIGAKU社、SmartLab)を用いて、露点-50℃以下のドライ環境でred-LYCのX線回折パターンを測定した。X線源については、Cu-Kα1線を用いた。すなわち、Cu-Kα線(波長1.5405Å、すなわち、0.15405nm)をX線として用いて、θ-2θ法でX線回折パターンを測定した。
[0060]
 red-LYCのX線回折ピークのピークトップは、いずれも、LYC由来のX線回折ピークのピークトップ位置(すなわち、θaの位置)とLiClのピークのピークトップ位置(すなわち、θbの位置)との間に存在した。なお、図1に示されたLiClのピークは、無機結晶構造データベース(ICSD)に掲載されているデータに基づいて記載されている(ICSD No.26909)。
[0061]
 図1に示されているように、red-LYCのX線回折ピークは、充電(Li吸蔵)に伴いLYC由来のX線回折ピークのピークトップ位置(すなわち、θaの位置)からLiClのピークのピークトップ位置(すなわち、θbの位置)にシフトし、放電(Li放出)に伴いLiClのX線回折ピークのピークトップ位置からLYCのピークのピークトップ位置にシフトしている。
[0062]
 実施の形態1における、ハロゲン化物還元体の形状は、特に限定されるものではない。ハロゲン化物還元体の形状は、例えば、針状、球状、および楕円球状などであってもよい。例えば、ハロゲン化物還元体の形状は、粒子状であってもよい。
[0063]
 ハロゲン化物還元体の製造方法は、特に限定されるものではなく、ハロゲン化物固体電解質材料を還元しうる公知の方法を用いることができる。例えば、電気化学的手法が挙げられる。例えば、上記LYCの製造方法と同様に、対極にLi含有化合物、作用極にハロゲン化物固体電解質材料を用いた電気化学セルを準備する。このセルに定電流を掃引し、作用極のハロゲン化物固体電解質材料を還元することによって、ハロゲン化物還元体を作製することができる。
[0064]
 実施の形態1の負極材料に含まれる導電助剤としては、例えば、天然黒鉛および人造黒鉛のグラファイト類、アセチレンブラックおよびケッチェンブラックなどのカーボンブラック類、炭素繊維および金属繊維などの導電性繊維類、フッ化カーボンおよびアルミニウムなどの金属粉末類、酸化亜鉛およびチタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー類、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、並びに、ポリアニリン、ポリピロール、およびポリチオフェンなどの導電性高分子化合物、など、が用いられうる。炭素系材料を導電助剤として用いた場合、低コスト化を図ることができる。
[0065]
 実施の形態1における負極材料において、導電助剤はアセチレンブラックを含んでいてもよい。導電助剤は、アセチレンブラックのみからなっていてもよい。実施の形態1における負極材料が導電助剤としてアセチレンブラックを含む場合、電池の充放電効率をより向上させることができる。
[0066]
 実施の形態1における負極材料は、第2固体電解質材料をさらに含んでもよい。
[0067]
 以上の構成によれば、電池の充放電効率および放電容量をより向上させることができる。
[0068]
 また、第2固体電解質材料のリチウムに対する還元電位は、第1固体電解質材料のリチウムに対する還元電位より卑であってもよい。
[0069]
 第2固体電解質材料のリチウムに対する還元電位が、第1固体電解質材料のリチウムに対する還元電位よりも卑である場合、ハロゲン化物還元体がLiの吸蔵および放出する際に、第2固体電解質材料は分解しない。このため、実施の形態1における負極材料は、良好なイオン伝導性を担保することができ、電池の充放電効率および放電容量を向上させることができる。
[0070]
 なお、固体電解質材料のリチウムに対する還元電位は、例えば、次の方法で測定される。
[0071]
 まず、絶縁性外筒の中で、SUS箔、固体電解質材料、およびリチウム箔を、この順に積層する。これを加圧成形することで、積層体を作製する。次に、積層体の上下にステンレス鋼集電体を配置し、集電体に集電リードを付設する。最後に、絶縁性フェルールを用いて、絶縁性外筒を外気雰囲気から遮断・密閉することで、還元電位測定用セルを作製する。
[0072]
 得られた還元電位測定用セルを25℃の恒温槽に配置する。サイクリックボルタンメトリー測定により、リチウム基準電位で-0.5V~6Vまでを5mV/sの速度で電位走査することでリチウムに対する還元電位を測定する。
[0073]
 第2固体電解質材料として、例えば、硫化物固体電解質材料および酸化物固体電解質材料が用いられうる。
[0074]
 硫化物固体電解質材料としては、Li 2S-P 25、Li 2S-SiS 2、Li 2S-B 23、Li 2S-GeS 2、Li 3.25Ge 0.250.754、Li 10GeP 212、など、が用いられうる。また、これらに、LiX(X:F、Cl、Br、I)、Li 2O、MO q、Li pMO q(M:P、Si、Ge、B、Al、Ga、In、Fe、およびZnからなる群より選ばれる少なくとも一種)(p、q:自然数)などが、添加されてもよい。
[0075]
 酸化物固体電解質材料としては、例えば、LiTi 2(PO 43およびその元素置換体を代表とするNASICON型固体電解質材料、(LaLi)TiO 3系のペロブスカイト型固体電解質材料、Li 14ZnGe 416、Li 4SiO 4、LiGeO 4およびその元素置換体を代表とするLISICON型固体電解質材料、Li 7La 3Zr 212およびその元素置換体を代表とするガーネット型固体電解質材料、Li 3NおよびそのH置換体、Li 3PO 4およびそのN置換体、LiBO 2、Li 3BO 3などのLi-B-O化合物をベースとして、Li 2SO 4、Li 2CO 3などが添加されたガラス、ガラスセラミックスなど、が用いられうる。
[0076]
 第2固体電解質材料は、硫化物固体電解質材料を含んでいてもよい。例えば、第2固体電解質材料は、Li 2S-P 25を含んでいてもよい。Li 2S-P 25はイオン伝導度が高く、還元に対して安定である。このため、Li 2S-P 25を含むことにより、実施の形態1の負極材料は、電池の充放電効率および放電容量をより向上することができる。
[0077]
 第2固体電解質材料の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、針状、球状、楕円球状、など、であってもよい。例えば、第2固体電解質材料の形状は、粒子状であってもよい。
[0078]
 図2は、実施の形態1における負極材料の一例である負極材料1000の概略構成を示す断面図である。この例では、ハロゲン化物還元体の形状は粒子状(例えば、球状)であり、第2固体電解質材料の形状は粒子状(例えば、球状)である。
[0079]
 実施の形態1における負極材料1000はハロゲン化物還元体粒子101と、第2固体電解質粒子102と、導電助剤103と、を含む。
[0080]
 たとえば、実施の形態1におけるハロゲン化物還元体粒子101の形状が粒子状(例えば、球状)の場合、ハロゲン化物還元体粒子101のメジアン径は、0.1μm以上かつ100μm以下であってもよい。なお、本明細書において、粒子のメジアン径は、レーザー回折散乱法によって体積基準で測定された粒度分布から求められる、体積累積50%に相当する粒径(d50)を意味する。
[0081]
 ハロゲン化物還元体粒子101のメジアン径が0.1μm以上であると、負極材料1000において、ハロゲン化物還元体粒子101と第2固体電解質粒子102とが、負極材料1000において良好な分散状態を形成できる。これにより、電池の充放電特性が向上する。また、ハロゲン化物還元体粒子101のメジアン径が100μm以下であると、ハロゲン化物還元体粒子101内のリチウム拡散が速くなる。このため、電池の高出力での動作が容易となる。
[0082]
 ハロゲン化物還元体粒子101のメジアン径は、第2固体電解質粒子102のメジアン径よりも、大きくてもよい。これにより、ハロゲン化物還元体粒子101と第2固体電解質粒子102とが、良好な分散状態を形成できる。
[0083]
 第2固体電解質粒子102のメジアン径は、100μm以下であってもよい。メジアン径が100μm以下であると、ハロゲン化物還元体粒子101と第2固体電解質粒子102とが、負極材料において良好な分散状態を形成できる。このため、充放電特性が向上する。
[0084]
 また、第2固体電解質粒子102のメジアン径は、10μm以下であってもよい。
[0085]
 以上の構成によれば、負極材料において、ハロゲン化物還元体粒子101と第2固体電解質粒子102とが、良好な分散状態を形成できる。
[0086]
 実施の形態1における負極材料1000は、複数のハロゲン化物還元体粒子101と、複数の第2固体電解質粒子102、とを含んでもよい。
[0087]
 また、実施の形態1における負極材料1000における、ハロゲン化物還元体粒子101の含有量と第2固体電解質粒子102の含有量とは、互いに、同じであってもよいし、異なってもよい。
[0088]
 実施の形態1における負極材料は、ハロゲン化物還元体、導電助剤、および第2固体電解質材料以外の材料を含んでいてもよい。実施の形態1における負極材料は、例えば、負極活物質、結着剤を含んでいてもよい。なお、結着剤としては、後述の、実施の形態2において負極、電解質層、および正極のうちの少なくとも1つに含まれる結着剤として例示されている材料が使用されうる。
[0089]
 実施の形態1における負極材料は、金属イオン(例えば、リチウムイオン)を吸蔵および放出する特性を有する負極活物質を含んでもよい。負極活物質として、例えば、金属材料、炭素材料、酸化物、窒化物、錫化合物、および珪素化合物、など、が使用されうる。金属材料は、単体の金属であってもよい。もしくは、金属材料は、合金であってもよい。金属材料の例として、リチウム金属、リチウム合金、など、が挙げられる。炭素材料の例として、天然黒鉛、コークス、黒鉛化途上炭素、炭素繊維、球状炭素、人造黒鉛、非晶質炭素、など、が挙げられる。
[0090]
 実施の形態1における負極材料は、ハロゲン化物還元体を、例えば30質量%以上含んでいてもよいし、80質量%以上含んでいてもよい。負極材料がハロゲン化物還元体を30質量%以上含む場合、電池のエネルギー密度を十分に確保できる。
[0091]
 以上の構成によれば、実施の形態1における負極材料は、電池の充放電効率を向上させることができる。
[0092]
 実施の形態1における負極材料は、導電助剤を、例えば20質量%以下含んでいてもよいし、10質量%以下含んでいてもよい。負極材料が導電助剤を20質量%以下含む場合、電池のエネルギー密度を十分に確保できる。
[0093]
 以上の構成によれば、実施の形態1における負極材料は、電池の充放電効率を向上させることができる。
[0094]
 実施の形態1における負極材料は、第2固体電解質材料を、例えば70質量%以下含んでいてもよいし、20質量%以下含んでいてもよい。
[0095]
 以上の構成によれば、実施の形態1における負極材料は、電池の充放電効率を向上させることができる。
[0096]
 実施の形態1における負極材料において、ハロゲン化物還元体と第2固体電解質材料との体積比率「v:100-v」(ここで、vは、ハロゲン化物還元体の体積比率を示す)について、30≦v≦95が満たされてもよい。30≦vの場合、十分な電池のエネルギー密度を確保することができる。また、v≦95の場合、高出力での動作が容易となる。
[0097]
 実施の形態1における負極材料は、例えば、あらかじめ作製されたハロゲン化物固体電解質材料の還元体と、導電助剤と、第2固体電解質材料を添加する場合は第2固体電解質材料と、を混合することによって作製しうる。他の方法として、実施の形態1における負極材料は、例えば、ハロゲン化物固体電解質材料と、導電助剤と、第2固体電解質材料とを混合し、得られた混合物を作用極とし、Li含有化合物を対極とする電気化学セルを準備して、このセルに定電流を掃引することで作用極のハロゲン化物固体電解質材料を還元することによって、作製することができる。
[0098]
 (実施の形態2)
 以下、実施の形態2が説明される。上述の実施の形態1と重複する説明は、適宜、省略される。
[0099]
 図3は、実施の形態2における電池の概略構成を示す断面図である。
[0100]
 実施の形態2における電池2000は、負極201と、電解質層202と、正極203とを備える。
[0101]
 負極201は、上述の実施の形態1と同様の負極材料1000を含む。
[0102]
 電解質層202は、負極201と正極203との間に配置される。
[0103]
 以上の構成により、実施の形態2の電池は、充放電効率を向上させることができる。
[0104]
 なお、負極201は、上述の実施の形態1における負極材料1000のみからなっていてもよい。
[0105]
 以上の構成によれば、実施の形態2の電池は、電池の充放電効率をより向上させることができる。
[0106]
 負極201の厚みは、10μm以上かつ500μm以下であってもよい。負極の厚みを10μm以上とすることで、十分なエネルギー密度を確保することができる。また、負極の厚みを500μm以下とすることで、高出力での動作が容易となる。すなわち、負極201の厚みが適切に調整されていると、電池のエネルギー密度を十分に確保できるとともに、電池を高出力で動作させることができる。
[0107]
 電解質層202は、電解質材料を含む層である。当該電解質材料は、例えば、固体電解質材料である。すなわち、電解質層202は、固体電解質層であってもよい。
[0108]
 電解質層202に含まれる固体電解質材料としては、例えば、ハロゲン化物固体電解質材料、硫化物固体電解質材料、酸化物固体電解質材料、高分子固体電解質材料、および錯体水素化物固体電解質材料が用いられうる。
[0109]
 ハロゲン化物固体電解質材料には、実施の形態1における負極材料に含まれるハロゲン化物還元体の還元前のハロゲン化物固体電解質材料と同じものが用いられてもよいし、これとは異なる別のハロゲン化物固体電解質材料が用いられてもよい。
[0110]
 硫化物固体電解質材料としては、Li 2S-P 25、Li 2S-SiS 2、Li 2S-B 23、Li 2S-GeS 2、Li 3.25Ge 0.250.754、Li 10GeP 212、など、が用いられうる。また、これらに、LiX(X:F、Cl、Br、I)、Li 2O、MO q、Li pMO q(M:P、Si、Ge、B、Al、Ga、In、Fe、およびZnからなる群より選ばれる少なくとも一種)(p、q:自然数)などが、添加されてもよい。
[0111]
 酸化物固体電解質材料としては、例えば、LiTi 2(PO 43およびその元素置換体を代表とするNASICON型固体電解質材料、(LaLi)TiO 3系のペロブスカイト型固体電解質材料、Li 14ZnGe 416、Li 4SiO 4、LiGeO 4およびその元素置換体を代表とするLISICON型固体電解質材料、Li 7La 3Zr 212およびその元素置換体を代表とするガーネット型固体電解質材料、Li 3NおよびそのH置換体、Li 3PO 4およびそのN置換体、LiBO 2、Li 3BO 3などのLi-B-O化合物をベースとして、Li 2SO 4、Li 2CO 3などが添加されたガラス、ガラスセラミックスなど、が用いられうる。
[0112]
 高分子固体電解質材料としては、例えば、高分子化合物と、リチウム塩との化合物が用いられうる。高分子化合物はエチレンオキシド構造を有していてもよい。エチレンオキシド構造を有することで、リチウム塩を多く含有することができ、イオン導電率をより高めることができる。リチウム塩としては、LiPF 6、LiBF 4、LiSbF 6、LiAsF 6、LiSO 3CF 3、LiN(SO 2CF 32、LiN(SO 2252、LiN(SO 2CF 3)(SO 249)、LiC(SO 2CF 33、など、が使用されうる。リチウム塩として、これらから選択される1種のリチウム塩が、単独で、使用されうる。もしくは、リチウム塩として、これらから選択される2種以上のリチウム塩の混合物が、使用されうる。
[0113]
 錯体水素化物固体電解質材料としては、例えば、LiBH 4-LiI、LiBH 4-P 25など、が用いられうる。
[0114]
 なお、電解質層202は、固体電解質材料を、主成分として、含んでもよい。すなわち、電解質層202は、固体電解質材料を、例えば、電解質層202の全体に対する質量割合で50%以上(50質量%以上)、含んでもよい。
[0115]
 以上の構成によれば、電池の充放電特性を、より向上させることができる。
[0116]
 また、電解質層202は、固体電解質材料を、例えば、電解質層202の全体に対する質量割合で70%以上(70質量%以上)、含んでもよい。
[0117]
 以上の構成によれば、電池の充放電特性を、より向上させることができる。
[0118]
 なお、電解質層202は、固体電解質材料を主成分として含みながら、さらに、不可避的な不純物、または、固体電解質材料を合成する際に用いられる出発原料および副生成物および分解生成物など、を含んでいてもよい。
[0119]
 また、電解質層202は、固体電解質材料を、例えば、混入が不可避的な不純物を除いて、電解質層202の全体に対する質量割合で100%(100質量%)、含んでもよい。
[0120]
 以上の構成によれば、電池の充放電特性を、より向上させることができる。
[0121]
 以上のように、電解質層202は、固体電解質材料のみから構成されていてもよい。
[0122]
 なお、電解質層202は、固体電解質材料として挙げられた材料のうちの2種以上を含んでもよい。例えば、電解質層202は、ハロゲン化物固体電解質材料と硫化物固体電解質材料とを含んでもよい。
[0123]
 電解質層202の厚みは、1μm以上かつ300μm以下であってもよい。電解質層202の厚みが1μm以上の場合には、負極201と正極203とが短絡する可能性が低くなる。また、電解質層202の厚みが300μm以下の場合には、高出力での動作が容易となる。すなわち、電解質層202の厚みが適切に調整されていると、電池の十分な安全性を確保できるとともに、電池を高出力で動作させることができる。
[0124]
 正極203は、正極活物質粒子と固体電解質粒子とを含む。
[0125]
 正極203は、金属イオン(例えば、リチウムイオン)を吸蔵および放出する特性を有する正極活物質材料を含む。正極活物質には、リチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属フッ化物、ポリアニオン材料、フッ素化ポリアニオン材料、遷移金属硫化物、遷移金属オキシ硫化物、および遷移金属オキシ窒化物、など、が用いられうる。特に、正極活物質として、リチウム含有遷移金属酸化物を用いた場合には、製造コストを安くでき、平均放電電圧を高めることができる。リチウム含有遷移金属酸化物としては、Li(NiCoAl)O 2、Li(NiCoMn)O 2、LiCoO 2、などが挙げられる。
[0126]
 正極203は、固体電解質材料を含んでもよい。固体電解質材料としては、電解質層202を構成する材料として例示された固体電解質材料を用いてもよい。以上の構成によれば、正極203内部のリチウムイオン伝導性が高くなり、高出力での動作が可能となる。
[0127]
 正極活物質粒子のメジアン径は、0.1μm以上かつ100μm以下であってもよい。正極活物質粒子のメジアン径が0.1μm以上であると、正極において、正極活物質粒子と固体電解質材料とが、良好な分散状態を形成できる。これにより、電池の充放電特性が向上する。また、正極活物質粒子のメジアン径が100μm以下であると、正極活物質粒子内のリチウム拡散が速くなる。このため、電池の高出力での動作が容易となる。すなわち、正極活物質粒子が適切な大きさを有していると、優れた充放電特性を有し、かつ高出力での動作が可能な電池が得られる。
[0128]
 正極活物質粒子のメジアン径は、固体電解質材料のメジアン径よりも、大きくてもよい。これにより、正極活物質粒子と固体電解質材料との良好な分散状態を形成できる。
[0129]
 正極203に含まれる、正極活物質粒子と固体電解質材料の体積比率「v:100-v」(ここで、vは、正極活物質粒子の体積比率を示す)について、30≦v≦95が満たされてもよい。30≦vでは、十分な電池のエネルギー密度を確保することができる。また、v≦95では、電池の高出力での動作が容易となる。
[0130]
 正極203の厚みは、10μm以上かつ500μm以下であってもよい。正極の厚みが10μm以上の場合には、十分な電池のエネルギー密度を確保することができる。また、正極の厚みが500μm以下の場合には、電池の高出力での動作が可能となる。すなわち、正極203の厚みが適切な範囲に調整されていると、電池のエネルギー密度を十分に確保できるとともに、電池を高出力で動作させることができる。
[0131]
 負極201、電解質層202、および正極203のうちの少なくとも1つには、結着剤が含まれてもよい。結着材により、粒子同士の密着性を向上しうる。結着剤は、電極を構成する材料の結着性を向上しうる。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチルエステル、ポリアクリル酸エチルエステル、ポリアクリル酸ヘキシルエステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル、ポリメタクリル酸エチルエステル、ポリメタクリル酸ヘキシルエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルフォン、ヘキサフルオロポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、など、が挙げられる。また、結着剤としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、プロピレン、ペンタフルオロプロピレン、フルオロメチルビニルエーテル、アクリル酸、およびヘキサジエンからなる群より選択された二種以上の材料の共重合体が用いられうる。また、これらのうちから選択された二種以上が混合されて、結着剤として用いられてもよい。
[0132]
 負極201と正極203との少なくとも1つは、導電助剤を含んでもよい。導電助剤により電子導電性を高めうる。導電助剤としては、例えば、天然黒鉛または人造黒鉛のグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック類、炭素繊維または金属繊維などの導電性繊維類、フッ化カーボン、アルミニウムなどの金属粉末類、酸化亜鉛またはチタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー類、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子化合物、など、が用いられうる。炭素導電助剤を用いた場合、低コスト化を図ることができる。
[0133]
 なお、実施の形態2における電池は、コイン型、円筒型、角型、シート型、ボタン型、扁平型、積層型、など、種々の形状の電池として、構成されうる。
[0134]
 電池の作動温度は、特に限定されるものではないが、-50℃~100℃であってもよい。温度が高いほど、ハロゲン化物還元体のイオン伝導率が向上し、高出力動作を図ることができる。
[0135]
 実施の形態2における電池は、例えば、正極形成用の材料、電解質層形成用の材料、負極形成用の材料をそれぞれ準備し、公知の方法で、正極、電解質層、および負極がこの順に配置された積層体を作製することによって製造してもよい。
[0136]
 また、他の製造方法として、例えば、以下の方法を用いることも可能である。
[0137]
 まず、正極と、電解質層と、実施の形態1における負極材料に含まれるハロゲン化物還元体の還元前の状態であるハロゲン化物固体電解質材料を含む負極前駆体層とがこの順で配置された積層体を作製する。
[0138]
 次に、この積層体に定電流を印加する。この場合、正極が対極として機能し、負極前駆体層が作用極として機能して、負極前駆体層のハロゲン化物固体電解質材料が還元される。これにより、正極と、電解質層と、ハロゲン化物還元体および導電助剤を含む負極と、を備えた、実施の形態2の電池が得られる。
[0139]
 すなわち、実施の形態2の電池の製造方法の一例は、
 正極と、電解質層と、導電助剤および実施の形態1における負極材料に含まれるハロゲン化物還元体の還元前の状態であるハロゲン化物固体電解質材料を含む負極前駆体層とがこの順で配置された積層体を作製することと、
 前記積層体に電流を印加することと、
を含む。
[0140]
(実施例)
 以下、実施例および比較例を用いて、本開示の詳細が説明される。なお、本開示の負極材料および電池は、以下の実施例に限定されない。
[0141]
 <実施例1>
 [第1固体電解質材料の作製]
 露点-60℃以下のアルゴングローブボックス内で、原料粉末としてLiClとYCl 3とを、LiCl:YCl 3=2.7:1.1のモル比で秤量した。その後、これらの原料粉末を混合し、得られた混合物を、遊星型ボールミル(フリッチュ社製、P-5型)を用い、25時間、600rpmでミリング処理した。以上により、第1固体電解質材料Li 2.71.1Cl 6(すなわち、LYC)の粉末を得た。
[0142]
 [負極材料の前駆体の作製]
 アルゴングローブボックス内で、LYCと、導電助剤としてのアセチレンブラック(以下、「AB」とも記載する)とを、90:10の質量比率で秤量した。これらをメノウ乳鉢で混合することで、負極材料の前駆体を作製した。
[0143]
 <実施例2>
 [第2固体電解質材料の作製]
 露点-60℃以下のアルゴングローブボックス内で、原料粉末としてLi 2SとP 25とを、Li 2S:P 25=75:25のモル比で秤量した。これらの原料粉末を乳鉢で粉砕して混合した。その後、得られた混合物を、遊星型ボールミル(フリッチュ社製、P-7型)を用い、10時間、510rpmでミリング処理した。得られたガラス状の固体電解質を、不活性雰囲気中、270℃で、2時間熱処理した。以上により、ガラスセラミックス状の固体電解質材料であるLi 2S-P 25(すなわち、LPS)を得た。
[0144]
 [負極材料の前駆体の作製]
 アルゴングローブボックス内で、LYCと、LPSと、導電助剤としてのABとを、30:60:10の質量比率で秤量した。これらをメノウ乳鉢で混合することで、負極材料の前駆体を作製した。
[0145]
 <比較例1>
 [硫化物固体電解質の作製]
 露点-60℃以下のアルゴングローブボックス内で、原料粉末としてLi 2SとP 25とGeS 2とを、Li 2S:P 25:GeS 2=5:1:1のモル比で秤量した。これらの原料粉末を乳鉢で粉砕して混合した。その後、遊星型ボールミル(フリッチュ社製、P-7型)を用い、10時間、510rpmでミリング処理した。以上により、硫化物固体電解質材料Li 10GeP 212(以下、「LGPS」と記載する)を得た。
[0146]
 [負極材料の前駆体の作製]
 アルゴングローブボックス内で、LGPSと、LPSと、ABとを、30:60:10の質量比率で秤量した。これらをメノウ乳鉢で混合することで、負極材料の前駆体を作製した。
[0147]
 <参考例1>
 [負極材料の前駆体の作製]
 LYCのみを、負極材料の前駆体として用いた。
[0148]
 <参考例2>
 [負極材料の前駆体の作製]
 アルゴングローブボックス内で、LYCと、LPSとを、40:60の質量比率で秤量した。これらをメノウ乳鉢で混合することで、負極材料の前駆体を作製した。
[0149]
 [電池の作製]
 上述の実施例1、実施例2、比較例1、参考例1、および参考例2の負極材料の前駆体について、電気化学セルを作製した。
[0150]
 まず、絶縁性を有する外筒の中で、LPS80mgと、負極材料の前駆体7.2mgとを、この順に積層した。これを740MPaの圧力で加圧成形することで、負極前駆体層と固体電解質層との積層体を得た。
[0151]
 次に、固体電解質層において負極前駆体層と接する側とは反対側に、金属In(厚さ200μm)、金属Li(厚さ300μm)、および金属In(厚さ200μm)をこの順に積層した。これを80MPaの圧力で加圧成形することで、負極前駆体層(すなわち、作用極)と、固体電解質層と、正極である対極とからなる2極式の電気化学セルとした。
[0152]
 次に、積層体の上下にステンレス鋼集電体を配置し、集電体に集電リードを付設した。
[0153]
 次に、絶縁性フェルールを用いて、絶縁性外筒内部を外気雰囲気から遮断および密閉した。
[0154]
 最後に、4本のボルトで積層体を上下から拘束することで、作用極、固体電解質層、および対極からなる積層体に、面圧150MPaを印加した。
[0155]
 以上により、電池を得た。ただし、得られた電池において、この段階では、負極に含まれるハロゲン化物固体電解質材料は還元前の状態であった。
[0156]
 <電池の評価>
 [充放電試験]
 上述の実施例1、実施例2、比較例1、参考例1、および参考例2の電池をそれぞれ用いて、以下の条件で、充放電試験を実施した。
[0157]
 電池を25℃の恒温槽に配置した。
[0158]
 電池に対して、電流値0.1mA/cm 2の電流密度で電圧-0.52V(vs LiIn)まで充電することで、ハロゲン化物還元体(すなわち、red-LYC)または硫化物還元体(すなわち、red-LGPS)を含む負極を備えた電池を作製した。
[0159]
 次に、電流値0.1mA/cm 2の電流密度で電圧1.9V(vs LiIn)まで放電した。
[0160]
 以上により、上述の実施例1、実施例2、比較例1、参考例1、および参考例2の電池のそれぞれの充電容量、放電容量、充放電効率(=放電容量/充電容量)を得た。これらの結果を、表1に示す。
[0161]
[表1]


[0162]
 <考察>
 表1に示す実施例1および2の結果と、比較例1、参考例1、および参考例2の結果との比較により、ハロゲン化物還元体と導電助剤とを含む負極を用いることで、電池の充放電効率が向上することが確認された。
[0163]
 また、実施例1および2の結果から、負極がさらに第2固体電解質材料を含む場合には、LYCが3電子反応で還元した際の理論容量269mAh/gに近い充電容量を示し、電池の充電容量および放電容量がより向上することが確認された。
[0164]
 また、実施例2および比較例1の結果から、ハロゲン化物還元体を用いることで、電池の高い充放電効率と高い放電容量とを両立できることが確認された。
[0165]
 また、実施例1と参考例1との結果により、ハロゲン化物還元体に導電助剤が添加されることにより、ハロゲン化物還元体のみの場合よりも電池の充放電効率が向上することが確認された。
[0166]
 また、実施例2と参考例2との結果により、ハロゲン化物還元体および第2固体電解質材料に導電助剤が添加されることにより、ハロゲン化物還元体および第2固体電解質材料のみの場合よりも電池の充放電効率が向上することが確認された。
[0167]
 以上より、組成式Li αβγにより表され、αとβとγとは、いずれも0より大きい値であり、Mは、Li以外の金属元素と半金属元素とのうちの少なくとも1つを含み、かつ、Xは、Cl、Br、IおよびFからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である第1固体電解質材料の還元体と、導電助剤と、を含む負極材料を用いることで、電池の充放電効率が向上することが確認された。

産業上の利用可能性

[0168]
 本開示の電池は、例えば、全固体リチウムイオン二次電池などとして、利用されうる。

符号の説明

[0169]
 1000 負極材料
 101 ハロゲン化物還元体粒子
 102 第2固体電解質粒子
 103 導電助剤
 2000 電池
 201 負極
 202 電解質層
 203 正極

請求の範囲

[請求項1]
 第1固体電解質材料の還元体と、導電助剤とを含み、
 前記第1固体電解質材料は、下記の式(1)により表され、
 Li αβγ ・・・式(1)
 ここで、上記式(1)において、
 α、β、およびγは、いずれも0より大きい値であり、
 Mは、Li以外の金属元素および半金属元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素であり、かつ、
 Xは、F、Cl、Br、およびIからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である、
 負極材料。
[請求項2]
 Cu-Kα線を線源として用いたX線回折測定によって得られる、前記還元体のX線回折パターンにおいて、回折角2θの値がθa以上θb以下の範囲内にピークトップが存在し、
 前記θbは、Liと前記XとからなるLiXの(220)面を反映するピークのピークトップの回折角2θの値であり、
 前記θaは、前記第1固体電解質材料に由来するピークのピークトップの回折角2θの値であって、かつ前記θbに最も近い値である、
 請求項1に記載の負極材料。
[請求項3]
 前記第1固体電解質材料が、
 1.5≦α≦4.5、
 0.5≦β≦1.5、および
 γ=6
を満たす、
 請求項1または2に記載の負極材料。
[請求項4]
 前記第1固体電解質材料が、
 α+mβ=γ
の関係を満たし、
 ここで、mは前記Mの価数である、
 請求項1から3のいずれか一項に記載の負極材料。
[請求項5]
 前記Mは、遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の負極材料。
[請求項6]
 前記Mは、イットリウムを含む、請求項5に記載の負極材料。
[請求項7]
 前記第1固体電解質材料は、下記の式(2)により表され、
 Li aMe bc6 ・・・式(2)
 ここで、上記式(2)において、
 a、b、およびcは、a+m eb+3c=6、かつ、c>0を満たし、
 Meは、LiおよびY以外の金属元素および半金属元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素であり、
 m eは前記Meの価数である、
 請求項6に記載の負極材料。
[請求項8]
 前記導電助剤は、アセチレンブラックを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の負極材料。
[請求項9]
 第2固体電解質材料をさらに含み、
 前記第2固体電解質材料のリチウムに対する還元電位は、前記第1固体電解質材料のリチウムに対する還元電位よりも卑である、
 請求項1から8のいずれか一項に記載の負極材料。
[請求項10]
 前記第2固体電解質材料は、硫化物固体電解質材料を含む、請求項9に記載の負極材料。
[請求項11]
 前記硫化物固体電解質材料は、Li 2S-P 25を含む、請求項10に記載の負極材料。
[請求項12]
 請求項1から11のいずれか一項に記載の負極材料を含む負極と、
 正極と、
 前記負極と前記正極との間に設けられた電解質層と、
を備える、
 電池。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]