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1. WO2020110407 - 磁気センサおよび磁気センサの製造方法

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明 細 書

発明の名称 磁気センサおよび磁気センサの製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004  

課題を解決するための手段

0005  

発明の効果

0006  

図面の簡単な説明

0007  

発明を実施するための形態

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062  

符号の説明

0063  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : 磁気センサおよび磁気センサの製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、磁気センサおよび磁気センサの製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 公報記載の従来技術として、非磁性基板上に形成された硬磁性体膜からなる薄膜磁石と、前記薄膜磁石の上を覆う絶縁層と、前記絶縁層上に形成された一軸異方性を付与された一個または複数個の長方形状の軟磁性体膜からなる感磁部とを備えた磁気インピーダンス効果素子が存在する(特許文献1参照)。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2008-249406号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 ところで、磁気インピーダンス効果により磁界を感受する感受素子と、感受素子にバイアス磁界を付与するための薄膜磁石とによって、絶縁層が挟まれた構造を有する磁気センサは、感受素子に高周波電流を供給すると、絶縁層が分極し、静電容量を有するコンデンサとしてはたらく場合がある。すると、感受素子に供給した高周波電流がコンデンサとして使用されることになり、磁界の変化量に対するインピーダンスの変化量が低下する場合がある。
 本発明は、感受素子と薄膜磁石との間に絶縁層を有する場合と比較して、磁界の変化量に対するインピーダンスの変化量が大きい磁気センサを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0005]
 本発明が適用される磁気センサは、非磁性の基板と、前記基板上に積層され、軟磁性体で構成され、長手方向と短手方向とを有し、当該長手方向と交差する方向に一軸磁気異方性を有し、磁気インピーダンス効果により磁界を感受する感受素子と、前記基板上に積層され、前記感受素子を挟んで前記長手方向に対向して配置され、当該感受素子の当該長手方向に磁界を印加する一対の薄膜磁石とを備える。
 このような磁気センサにおいて、前記基板上に積層され、前記感受素子とそれぞれの前記薄膜磁石との間に設けられ、当該薄膜磁石により発生する磁束が当該感受素子を前記長手方向に透過するように誘導する一対のヨークをさらに備えることを特徴とすることができる。
 また、このような磁気センサにおいて、前記ヨークは、前記感受素子の前記長手方向に対向する前記薄膜磁石の磁極に接触していることを特徴とすることができる。
 さらに、このような磁気センサにおいて、前記ヨークは、前記感受素子とそれぞれの前記薄膜磁石との間から当該薄膜磁石上に連続して設けられていることを特徴とすることができる。
 さらにまた、このような磁気センサにおいて、前記感受素子は、Ru又はRu合金から構成される反磁界抑制層を挟んで反強磁性結合した複数の軟磁性体層から構成されることを特徴とすることができる。
 また、他の観点から捉えると、本発明が適用される磁気センサの製造方法は、非磁性の基板上に、磁気異方性が面内方向に制御され、異なる磁極が間隙を介して対向する一対の薄膜磁石を形成する薄膜磁石形成工程と、前記基板上に、一対の前記薄膜磁石により発生する磁束が透過する方向と交差する方向に一軸磁気異方性を有し、磁気インピーダンス効果により磁界を感受する感受素子を含む感受部を形成する感受部形成工程とを含む。

発明の効果

[0006]
 本発明によれば、感受素子と薄膜磁石との間に絶縁層を有する場合と比較して、磁界の変化量に対するインピーダンスの変化量が大きい磁気センサを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0007]
[図1] (a)、(b)は、本実施の形態が適用される磁気センサの一例を説明する図である。
[図2] 磁気センサの感受部における感受素子の長手方向に印加された磁界と感受部のインピーダンスとの関係を説明する図である。
[図3] (a)~(c)は、磁気センサの製造方法の一例を説明する図である。
[図4] (a)~(d)は、磁気センサの製造方法の一例を説明する図である。
[図5] (a)、(b)は、変形例である磁気センサの一例を説明する図である。
[図6] (a)、(b)は、従来の磁気センサの一例を説明する図である。

発明を実施するための形態

[0008]
 本明細書で説明する磁気センサは、いわゆる磁気インピーダンス効果素子を用いたものである。
 以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[0009]
[実施の形態1]
(磁気センサ1の構造)
 図1(a)、(b)は、本実施の形態が適用される磁気センサ1の一例を説明する図である。図1(a)は、磁気センサ1の平面図であり、図1(b)は、図1(a)におけるIB-IB線での断面図である。
 図1(a)、(b)に示すように、本実施の形態が適用される磁気センサ1は、非磁性の基板10と、基板10上に設けられ反磁界抑制層106を挟んで設けられる二層の軟磁性体(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)で構成されて磁場を感受する感受部30を備える。また、磁気センサ1は、基板10上に設けられ反磁界抑制層106を挟んで設けられる2層の軟磁性体(軟磁性体層105a、105b)で構成されて感受部30の後述する感受素子31の長手方向に対向するヨーク40を備える。以下の説明では、二層の軟磁性体(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)をそれぞれ区別しない場合には、単に軟磁性体層105と表記する。さらに、磁気センサ1は、基板10上に設けられ硬磁性体(硬磁性体層103)で構成され感受部30の感受素子31にバイアス磁界を印加する薄膜磁石20を備える。
 なお、磁気センサ1の断面構造等については、後に詳述する。
[0010]
 ここで硬磁性体とは、外部磁界によって磁化されると、外部磁界を取り除いても磁化された状態が保持される、いわゆる保磁力の大きい材料である。一方、軟磁性体とは、外部磁界によって容易に磁化されるが、外部磁界を取り除くと速やかに磁化がないか又は磁化が小さい状態に戻る、いわゆる保磁力の小さい材料である。
[0011]
 なお、本明細書においては、磁気センサ1を構成する要素(薄膜磁石20など)を二桁の数字で表し、要素に加工される層(硬磁性体層103など)を100番台の数字で表す。そして、要素の数字に対して、要素に加工される層の番号を( )内に表記する場合がある。例えば薄膜磁石20の場合、薄膜磁石20(硬磁性体層103)と表記する。図においては、20(103)と表記する。他の場合も同様である。
[0012]
 図1(a)により、磁気センサ1の平面構造を説明する。磁気センサ1は、一例として四角形の平面形状を有する。
 上述したように、磁気センサ1は、感受部30を備える。感受部30は、平面形状が長手方向と短手方向とを有する短冊状である複数の感受素子31と、隣接する感受素子31をつづら折りに直列接続する接続部32と、電流供給のための電線が接続される端子部33とを備える。ここでは、4個の感受素子31が、長手方向が並列するように配置されている。また、本実施の形態の磁気センサ1では、感受素子31が、磁気インピーダンス効果素子である。
 感受素子31は、例えば長手方向の長さが約1mm、短手方向の幅が数100μm、厚さ(軟磁性体層105と反磁界抑制層106とを合わせた厚さ)が0.5μm~5μmである。隣接する感受素子31間の間隔は、50μm~150μmである。
[0013]
 接続部32は、隣接する感受素子31の端部間に設けられ、隣接する感受素子31をつづら折りに直列接続する。図1(a)に示す磁気センサ1では、4個の感受素子31が並列に配置されているため、接続部32は3個ある。感受素子31の数は、感受(計測)したい磁界の大きさなどによって設定される。よって、例えば感受素子31が2個であれば、接続部32は1個である。また、感受素子31が1個であれば、接続部32を備えない。なお、接続部32の幅は、感受部30に流す電流によって設定すればよい。例えば、接続部32の幅は、感受素子31と同じであってもよい。
[0014]
 端子部33は、接続部32で接続されていない感受素子31の2個の端部にそれぞれ設けられている。端子部33は、感受素子31から引き出す引き出し部と、電流を供給する電線を接続するパッド部とを備える。引き出し部は、2個のパッド部を感受素子31の短手方向に設けるために備えられている。引き出し部を設けずパッド部を感受素子31に連続するように設けてもよい。パッド部は、電線を接続しうる大きさであればよい。なお、感受素子31が4個であるため、2個の端子部33は図1(a)において左側に設けられている。感受素子31の数が奇数の場合には、2個の端子部33を左右に分けて設ければよい。
[0015]
 そして、感受部30の感受素子31、接続部32及び端子部33は、二層の軟磁性体層105(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)と反磁界抑制層106とにより一体に構成されている。軟磁性体層105及び反磁界抑制層106は、導電性であるので、一方の端子部33から他方の端子部33に、電流を流すことができる。
 なお、感受素子31の長さ及び幅、並列させる個数など上記した数値は一例であって、感受(計測)する磁界の値や用いる軟磁性体材料などによって変更してもよい。
[0016]
 さらに、磁気センサ1は、感受素子31の長手方向の端部に対向して設けられたヨーク40を備える。ここでは、感受素子31の長手方向の両端部に対向してそれぞれが設けられた2個のヨーク40a、40bを備える。なお、ヨーク40a、40bをそれぞれ区別しない場合には、ヨーク40と表記する。ヨーク40は、感受素子31の長手方向の端部に磁力線を誘導する。このため、ヨーク40は磁力線が透過しやすい軟磁性体(軟磁性体層105)を含んで構成されている。この例では、感受部30及びヨーク40は、二層の軟磁性体層105(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)と反磁界抑制層106とにより構成されている。なお、感受素子31の長手方向に磁力線が十分透過する場合には、ヨーク40を備えなくてもよい。
[0017]
 さらにまた、磁気センサ1は、感受部30及びヨーク40を挟んで長手方向に対向する2個の薄膜磁石20を備える。ここでは、間隙を介してヨーク40aに隣接して設けられる薄膜磁石20aと、間隙を介してヨーク40bに隣接して設けられる薄膜磁石20bとを備える。薄膜磁石20a、20bは、感受素子31の長手方向に磁界(後述するバイアス磁界)を印加する。薄膜磁石20a、20bは、硬磁性体(硬磁性体層103a、103b)で構成されている。また、この例では、薄膜磁石20a、20bは、それぞれ、平面形状が四角形(長方形)になっている。薄膜磁石20a、20bは、例えば長手方向の長さが約4mm、短手方向の長さが約2mmである。
 なお、薄膜磁石20a、20bをそれぞれ区別しない場合には、薄膜磁石20と表記する。同様に、硬磁性体層103a、103bをそれぞれ区別しない場合には、硬磁性体層103と表記する。
[0018]
 以上のことから、磁気センサ1の大きさは、平面形状において数mm角である。なお、磁気センサ1の大きさは、他の値であってもよい。
[0019]
 次に、図1(b)により、磁気センサ1の断面構造を詳述する。磁気センサ1は、非磁性の基板10上に、軟磁性体層105及び反磁界抑制層106からなる感受部30及びヨーク40と、硬磁性体層103からなる薄膜磁石20とが配置(積層)されて構成されている。言い換えると、磁気センサ1は、感受部30及びヨーク40と、薄膜磁石20とが、同一の基板10上に設けられている。また、磁気センサ1では、基板10と薄膜磁石20との間に、密着層101および制御層102が積層されている。付言すると、基板10と薄膜磁石20a(硬磁性体層103a)との間に、密着層101aおよび制御層102aが積層され、基板10と薄膜磁石20b(硬磁性体層103b)との間に、密着層101bおよび制御層102bが積層されている。
[0020]
 基板10は、非磁性体からなる基板であって、例えばガラス、サファイアといった酸化物基板やシリコンなどの半導体基板、あるいは、アルミニウム、ステンレススティール、ニッケルリンメッキを施した金属等の金属基板等が挙げられる。
[0021]
 感受部30における感受素子31は、長手方向に交差する方向、例えば直交する短手方向(幅方向)に一軸磁気異方性が付与されている。なお、長手方向に交差する方向とは、長手方向に対して45°を超えた角度を有すればよい。
 感受素子31を構成する軟磁性体(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)としては、Coを主成分とした合金に高融点金属Nb、Ta、W等を添加したアモルファス合金(以下では、感受素子31を構成するCo合金と表記する。)を用いるのがよい。感受素子31を構成するCo合金としては、CoNbZr、CoFeTa、CoWZr等が挙げられる。感受素子31を構成する軟磁性体(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)の厚さは、例えば、それぞれ0.2μm~2μmである。
[0022]
 感受素子31を構成する反磁界抑制層106は、Ru又はRu合金により構成される。ここで、Ru又はRu合金からなる反磁界抑制層106の膜厚を0.4nm~1.0nm又は1.6nm~2.6nmの範囲とすることで、下層軟磁性体層105aと上層軟磁性体層105bとが反強磁性結合(AFC:Antiferromagnetically Coupled)構造となる。これにより、反磁界が抑制され、感受素子31の感度が向上する。
[0023]
 密着層101は、基板10に対する制御層102の密着性を向上させるための層である。密着層101としては、Cr又はNiを含む合金を用いるのがよい。Cr又はNiを含む合金としては、CrTi、CrTa、NiTaなどが挙げられる。密着層101の厚さは、例えば5nm~50nmである。なお、基板10に対する制御層102の密着性に問題がなければ、密着層101を設けることを要しない。なお、本明細書においては、Cr又はNiを含む合金の組成比を示さない。以下同様である。
[0024]
 制御層102は、硬磁性体層103からなる薄膜磁石20の磁気異方性が面内方向に発現しやすいように制御する層である。制御層102としては、Cr、Mo若しくはW又はそれらを含む合金(以下では、制御層102を構成するCr等を含む合金と表記する。)を用いるのがよい。制御層102を構成するCr等を含む合金としては、CrTi、CrMo、CrV、CrW等が挙げられる。また、制御層102を構成するCr等を含む合金は、bcc(body-centered cubic(体心立方格子))構造を有する。制御層102の厚さは、例えば10nm~300nmである。
[0025]
 薄膜磁石20を構成する硬磁性体層103は、Coを主成分とし、Cr又はPtのいずれか一方又は両方を含む合金(以下では、薄膜磁石20を構成するCo合金と表記する。)を用いることがよい。薄膜磁石20を構成するCo合金としては、CoCrPt、CoCrTa、CoNiCr、CoCrPtB等が挙げられる。なお、Feが含まれていてもよい。硬磁性体層103の厚さは、例えば500nm~1500nmである。
[0026]
 制御層102を構成するCr等を含む合金は、bcc(body-centered cubic(体心立方格子))構造を有する。よって、薄膜磁石20を構成する硬磁性体(硬磁性体層103)は、bcc構造のCr等を含む合金で構成された制御層102上において結晶成長しやすいhcp(hexagonal close-packed(六方最密充填))構造であるとよい。bcc構造上にhcp構造の硬磁性体層103を結晶成長させると、hcp構造のc軸が面内に向くように配向しやすい。よって、硬磁性体層103によって構成される薄膜磁石20が面内方向に磁気異方性を有するようになりやすい。なお、硬磁性体層103は結晶方位の異なる集合からなる多結晶であり、各結晶が面内方向に磁気異方性を有する。この磁気異方性は結晶磁気異方性に由来するものである。
[0027]
 なお、制御層102を構成するCr等を含む合金及び薄膜磁石20を構成するCo合金の結晶成長を促進するために、基板10を100℃~600℃に加熱するとよい。この加熱により、制御層102を構成するCr等を含む合金が結晶成長しやすくなり、hcp構造を持つ硬磁性体層103が面内に磁化容易軸を持つように結晶配向されやすくなる。つまり、硬磁性体層103の面内に磁気異方性が付与されやすくなる。
[0028]
 密着層101a、101b、制御層102a、102bおよび硬磁性体層103(薄膜磁石20a、20b)は、平面形状が四角形(図1(a)参照)になるように加工されている。
 そして、薄膜磁石20a、20bは、異なる磁極が、ヨーク40及び感受部30を介して長手方向に対向するようになっている。この例では、薄膜磁石20aのN極と、薄膜磁石20bのS極とが、ヨーク40及び感受部30を介して長手方向に対向するようになっている。付言すると、薄膜磁石20aのN極と薄膜磁石20bのS極と結ぶ線が、感受部30の感受素子31の長手方向に向くようになっている。なお、長手方向に向くとは、N極とS極とを結ぶ線と長手方向とのなす角度が0°以上且つ45°未満であることをいう。なお、N極とS極とを結ぶ線と長手方向とのなす角度は、小さいほどよい。
[0029]
 磁気センサ1において、薄膜磁石20aのN極から出た磁力線は、ヨーク40aを介して感受素子31を透過し、ヨーク40bを介して薄膜磁石20bのS極へ到達する。つまり、薄膜磁石20a、20bは、感受素子31の長手方向に磁界を印加する。この磁界をバイアス磁界と呼ぶ。
 なお、薄膜磁石20a、20bのN極とS極とをまとめて両磁極と表記し、N極とS極とを区別しない場合には、磁極と表記する。なお、ここでは、図1(a)、(b)において薄膜磁石20aおよび薄膜磁石20bの右側をN極、左側をS極として説明するが、N極とS極とを入れ替えてもよい。
[0030]
 なお、図1(a)に示すように、ヨーク40(ヨーク40a、40b)は、基板10の表面側から見た形状が、感受部30に近づくにつれて狭くなっていくように構成されている。これは、感受部30に磁力線を集めるためである。つまり、感受部30における磁界を強くして、感度の向上を図っている。なお、ヨーク40(ヨーク40a、40b)の感受部30に対向する部分の幅を狭くしなくてもよい。
[0031]
 ここで、ヨーク40(ヨーク40a、40b)と感受部30との間隔は、例えば1μm~100μmであればよい。
 また、ヨーク40(ヨーク40a、40b)と薄膜磁石20(薄膜磁石20a、20b)との間隔は、例えば1μm~100μmとすることができる。ヨーク40(ヨーク40a、40b)と薄膜磁石20(薄膜磁石20a、20b)とは、互いに接触していてもよい。
[0032]
(磁気センサ1の作用)
 続いて、本実施の形態の磁気センサ1の作用について説明する。図2は、磁気センサ1の感受部30における感受素子31の長手方向に印加された磁界と感受部30のインピーダンスとの関係を説明する図である。図2において、横軸が磁界H、縦軸がインピーダンスZである。感受部30のインピーダンスZは、2個の端子部33間に高周波電流を流して測定される。
[0033]
 図2に示すように、感受部30のインピーダンスZは、感受素子31の長手方向に印加する磁界Hが大きくなるにしたがい大きくなる。しかし、印加する磁界Hが感受素子31の異方性磁界Hkより小さい範囲において、磁界Hの変化量ΔHに対してインピーダンスZの変化量ΔZが急峻な部分(ΔZ/ΔHが大きい)を用いれば、磁界Hの微弱な変化をインピーダンスZの変化量ΔZとして取り出すことができる。図2では、ΔZ/ΔHが大きい磁界Hの中心を磁界Hbとして示している。つまり、磁界Hbの近傍(図2で矢印で示す範囲)における磁界Hの変化量(ΔH)が高精度に測定できる。磁界Hbは、バイアス磁界と呼ばれることがある。
[0034]
 ところで、磁気インピーダンス効果素子である感受素子と、感受素子にバイアス磁界を印加する薄膜磁石を備える磁気センサは、基板上に、絶縁層を介して薄膜磁石と感受部とを積層した構造を有する場合がある。図6(a)、(b)は、従来の磁気センサ3の一例を説明する図である。図6(a)は、磁気センサ3の平面図であり、図6(b)は、図6(a)におけるVIB-VIB線での断面図である。ここでは、図1(a)、(b)に示した磁気センサ1と同様の構成については同様の符号を用い、詳細な説明は省略する。
[0035]
 図6(a)、(b)に示す磁気センサ3は、基板10上に、密着層101、制御層102、薄膜磁石21、絶縁層104がこの順に積層され、絶縁層104上に感受部30およびヨーク40が形成されている。すなわち、磁気センサ3では、感受部30(感受素子31)と薄膜磁石21とが、絶縁層104を挟んで対向している。
[0036]
 そして、このような磁気センサ3では、感受部30に高周波電流が供給された場合に、導電性を有する薄膜磁石21と感受部30とに挟まれた絶縁層104が分極し、磁気センサ3がコンデンサとしてはたらく場合がある。
 そして、磁気センサ3では、感受部30に供給された高周波電流がコンデンサに使用される結果、磁界Hの変化量ΔHに対するインピーダンスZの変化量ΔZが低下する場合がある。
[0037]
 これに対し、本実施の形態の磁気センサ1は、上述したように、薄膜磁石20を、感受部30と基板10との間に配置するのではなく、感受部30と同様に基板10上に配置している。言い換えると、本実施の形態の磁気センサ1は、薄膜磁石20と感受部30(感受素子31)とを、同一の基板10上に積層している。これにより、感受部30に対して高周波電流を流した場合に、高周波電流が効率的に使用され、磁界Hの変化量ΔHに対するインピーダンスZの変化量ΔZが低下することが抑制される。
 また、磁気センサ1では、薄膜磁石20と感受部30とを絶縁するための絶縁層が不要となるため、磁気センサ1の構成を簡素化することができる。
[0038]
 なお、「基板10上に積層」とは、基板10上に対象となる層を直接積層する形態のほか、基板10上に他の層を介して対象となる層を積層する形態も含む。例えば、「薄膜磁石20を基板10上に積層」とは、基板10上に薄膜磁石20を直接積層する形態のほか、図1(b)に示したように、基板10上に、密着層101や制御層102を介して薄膜磁石20を積層する形態も含む。
[0039]
(磁気センサ1の製造方法)
 次に磁気センサ1の製造方法の一例を説明する。
 図3(a)~(c)、図4(a)~(d)は、磁気センサ1の製造方法の一例を説明する図である。図3(a)~(c)、図4(a)~(d)は、磁気センサ1の製造方法における工程を示す。なお、図3(a)~(c)、図4(a)~(d)は、代表的な工程であって、他の工程を含んでいてもよい。そして、工程は、図3(a)~(c)、図4(a)~(d)の順に進む。図3(a)~(c)、図4(a)~(d)は、図1(a)のIB-IB線での断面図に対応する。
[0040]
 基板10は、前述したように、非磁性材料からなる基板であって、例えばガラス、サファイアといった酸化物基板やシリコン等の半導体基板、あるいは、アルミニウム、ステンレススティール、ニッケルリンメッキを施した金属等の金属基板である。基板10には、研磨機などを用いて、例えば曲率半径Raが0.1nm~100nmの筋状の溝又は筋状の凹凸が設けられていてもよい。なお、この筋状の溝又は筋状の凹凸の筋の方向は、硬磁性体層103によって構成される薄膜磁石20のN極とS極とを結ぶ方向に設けられているとよい。このようにすることで、硬磁性体層103における結晶成長が、溝の方向へ促進される。よって、硬磁性体層103により構成される薄膜磁石20の磁化容易軸がより溝方向(薄膜磁石20のN極とS極とを結ぶ方向)に向きやすい。つまり、薄膜磁石20の着磁をより容易にする。
[0041]
 ここでは、基板10は、一例として直径約95mm、厚さ約0.5mmのガラスとして説明する。磁気センサ1の平面形状が数mm角である場合、基板10上には、複数の磁気センサ1が一括して製造され、後に個々の磁気センサ1に分割(切断)される。図3(a)~(c)、図4(a)~(d)では、中央に表記する一個の磁気センサ1に着目するが、左右に隣接する磁気センサ1の一部を合わせて示す。なお、隣接する磁気センサ1間の境界を一点鎖線で示す。
[0042]
 図3(a)に示すように、基板10を洗浄した後、基板10の一方の面(以下、表面と表記する。)上に、薄膜磁石20(薄膜磁石20a、20b)が形成される部分を開口とするフォトレジストによるパターン(レジストパターン)111を、公知のフォトリソグラフィ技術により形成する。
[0043]
 次に、図3(b)に示すように、密着層101、制御層102及び硬磁性体層103を順に成膜(堆積)する。
 具体的には、Cr又はNiを含む合金である密着層101、Cr等を含む合金である制御層102、及び薄膜磁石20を構成するCo合金である硬磁性体層103を順に連続して成膜(堆積)する。この成膜は、スパッタリング法などにより行うことができる。それぞれの材料で形成された複数のターゲットに順に対面するように、基板10を移動させることで密着層101、制御層102及び硬磁性体層103が基板10上に順に積層される。前述したように、制御層102及び硬磁性体層103の形成では、結晶成長を促進するために、基板10を例えば100℃~600℃に加熱するとよい。
[0044]
 なお、密着層101の成膜では、基板10の加熱を行ってもよく、行わなくてもよい。基板10の表面に吸着している水分などを除去するために、密着層101を成膜する前に、基板10を加熱してもよい。
[0045]
 次に、図3(c)に示すように、レジストパターン111を除去するとともに、レジストパターン111上の密着層101、制御層102及び硬磁性体層103を除去(リフトオフ)する。
[0046]
 次に、図4(a)に示すように、感受部30が形成される部分及びヨーク40(ヨーク40a、40b)が形成される部分を開口とするレジストパターン112を形成する。
 そして、図4(b)に示すように、感受素子31を構成するCo合金である下層軟磁性体層105a、Ru又はRu合金である反磁界抑制層106、及び感受素子31を構成するCo合金である上層軟磁性体層105bを順に成膜(堆積)する。軟磁性体層105(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)及び反磁界抑制層106の成膜は、例えばスパッタリング法を用いて行える。
[0047]
 次に、図4(c)に示すように、レジストパターン112を除去するとともに、レジストパターン112上の軟磁性体層105及び反磁界抑制層106を除去(リフトオフ)する。これにより、軟磁性体層105及び反磁界抑制層106により構成される感受部30及びヨーク40(ヨーク40a、40b)が形成される。つまり、感受部30とヨーク40とが、軟磁性体層105及び反磁界抑制層106の成膜により同時に形成される。
[0048]
 この後、軟磁性体層105には、感受部30における感受素子31の幅方向に一軸磁気異方性を付与する。この軟磁性体層105への一軸磁気異方性の付与は、例えば3kG(0.3T)の回転磁場中における400℃での熱処理(回転磁場中熱処理)と、それに引き続く3kG(0.3T)の静磁場中における400℃での熱処理(静磁場中熱処理)とで行える。この時、ヨーク40を構成する軟磁性体層105にも同様の一軸磁気異方性が付与される。しかし、ヨーク40は、磁気回路としての役割を果たせばよく、一軸磁気異方性が付与されなくてもよい。
[0049]
 次に、薄膜磁石20を構成する硬磁性体層103を着磁する。硬磁性体層103に対する着磁は、静磁場中又はパルス状の磁場中において、硬磁性体層103の保磁力より大きい磁界を、硬磁性体層103の磁化が飽和するまで印加することで行える。これにより、間隙を介して感受部30に対向する硬磁性体層103の側面に、薄膜磁石20の磁極(薄膜磁石20aのN極、薄膜磁石20bのS極)が形成される。すなわち、着磁された硬磁性体層103は、薄膜磁石20になる。
 なお、上述した薄膜磁石20を構成する硬磁性体層103を成膜する工程、および硬磁性体層103を着磁する工程は、磁気異方性が面内方向に制御された薄膜磁石20を形成するための工程であるから、これらを併せて、薄膜磁石形成工程と呼ぶことがある。
[0050]
 この後、図4(d)に示すように、基板10上に形成された複数の磁気センサ1を個々の磁気センサ1に分割(切断)する。つまり、図1(a)の平面図に示したように、平面形状が四角形になるように、基板10、密着層101、制御層102及び硬磁性体層103を切断する。この分割(切断)は、ダイシング法やレーザカッティング法などにより行える。
[0051]
 なお、図3(b)の密着層101、制御層102及び硬磁性体層103を積層する工程の後、図4(d)の複数の磁気センサ1を個々の磁気センサ1に分割する工程の前に、基板10上において隣接する磁気センサ1の間の密着層101、制御層102及び硬磁性体層103を、平面形状が四角形(図1(a)に示した磁気センサ1の平面形状)になるようにエッチング除去してもよい。そして、露出した基板10を分割(切断)してもよい。
 なお、図3(a)~(c)、図4(a)~(d)に示した製造方法は、このような製造方法に比べ、工程が簡略化される。
[0052]
 また、図3(b)に示した密着層101、制御層102及び硬磁性体層103を積層する工程の前に、図4(a)~(c)に示した軟磁性体層105および反磁界抑制層106を積層して感受部30およびヨーク40を形成する工程を先に行ってもよい。
[0053]
 このようにして、磁気センサ1が製造される。なお、軟磁性体層105への一軸磁気異方性の付与及び/又は薄膜磁石20の着磁は、図4(d)の複数の磁気センサ1を個々の磁気センサ1に分割する工程の後に、磁気センサ1毎又は複数の磁気センサ1に対して行ってもよい。
[0054]
 なお、制御層102を備えない場合には、硬磁性体層103の成膜後、800℃以上に加熱して結晶成長させることで、硬磁性体層103の面内に磁気異方性を付与することが必要となる。しかし、本実施の形態が適用される磁気センサ1のように、制御層102を備える場合には、制御層102により結晶成長が促進されるため、800℃以上のような高温による結晶成長を要しない。
[0055]
 また、感受部30の感受素子31への一軸磁気異方性の付与は、上記の回転磁場中熱処理及び静磁場中熱処理で行う代わりに、感受素子31を構成するCo合金である軟磁性体層105の堆積時にマグネトロンスパッタリング法を用いて行ってもよい。マグネトロンスパッタリング法では、磁石(マグネット)を用いて磁界を形成し、放電によって発生した電子をターゲットの表面に閉じ込める(集中させる)。これにより、電子とガスとの衝突確率を増加させてガスの電離を促進し、膜の堆積速度(成膜速度)を向上させる。このマグネトロンスパッタリング法に用いられる磁石(マグネット)が形成する磁界により、軟磁性体層105の堆積と同時に、軟磁性体層105に一軸磁気異方性が付与される。このようにすることで、回転磁場中熱処理及び静磁場中熱処理で行う一軸磁気異方性を付与する工程が省略できる。
[0056]
 次に、磁気センサ1の変形例を説明する。
(磁気センサ2)
 図5(a)、(b)は、変形例である磁気センサ2の一例を説明する図である。図5(a)は、平面図、図5(b)は、図5(a)のVB-VB線での断面図である。ここでは、図1(a)、(b)に示した磁気センサ1と同様の構成については同様の符号を用い、詳細な説明は省略する。
 図1(a)、(b)に示した磁気センサ1では、感受部30およびヨーク40が、反磁界抑制層106で挟んで設けられた二つの軟磁性体層105(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)により構成されている。また、図1(a)、(b)に示した磁気センサ1では、基板10上において、感受部30と薄膜磁石20(薄膜磁石20a、20b)との間に、ヨーク40(ヨーク40a、40b)が配置されている。
[0057]
 これに対し、磁気センサ1の変形例である磁気センサ2では、図5(a)、(b)に示すように、感受部30およびヨーク41が、一層の軟磁性体層105により構成されている。
 また、磁気センサ2では、図5(a)、(b)に示すようにヨーク41(ヨーク41a、41b)は、感受素子31の長手方向の端部に対向する位置から薄膜磁石20(薄膜磁石20a、20b)の上面まで連続して形成されている。付言すると、磁気センサ2では、ヨーク41(41a、41b)は、薄膜磁石20(薄膜磁石20a、20b)の感受素子31に対向する側面、および上面に接触するように設けられている。
[0058]
 磁気センサ2では、ヨーク41(ヨーク41a、41b)が図5(a)、(b)に示した形状を有することで、薄膜磁石20aのN極から出た磁力線がヨーク41aを介して感受素子31へ導かれる。また、薄膜磁石20aのN極から出て感受素子31を透過した磁力線がヨーク41bを介して薄膜磁石20bのS極へ到達する。
[0059]
 なお、磁気センサ2を製造する場合、例えば、上述した磁気センサ1の製造方法のうち、図4(a)で示したレジストパターン112を形成する工程において、レジストパターン112の形状を、感受部30が形成される部分及びヨーク41(ヨーク41a、41b)が形成される部分を開口とするように変更する。
 また、図4(b)に示した下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b及び反磁界抑制層106を成膜する工程に代えて、一層の軟磁性体層105を成膜するように変更する。これにより、レジストパターン112の開口に対応する基板10上及び硬磁性体層103上に、一層の軟磁性体層105が成膜される。
[0060]
 さらに、図4(d)に示した複数の磁気センサを複数の磁気センサに分割する工程において、基板10、密着層101、制御層102及び硬磁性体層103に加えて、硬磁性体層103上に成膜された軟磁性体層105を合わせて分割(切断)する。
 以上の工程により、図5(a)、(b)に示した磁気センサ2が製造される。
[0061]
 なお、密着層101、制御層102、硬磁性体層103及び軟磁性体層105を積層する工程の後、複数の磁気センサ2を個々の磁気センサ2に分割する工程の前に、基板10上において隣接する磁気センサ1の間の密着層101、制御層102、硬磁性体層103及び軟磁性体層105を、平面形状が四角形(図5(a)に示した磁気センサ2の平面形状)になるようにエッチング除去してもよい。そして、露出した基板10を分割(切断)してもよい。
 また、磁気センサ2は、他の製造工程を用いて製造されてもよい。
[0062]
 以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は本実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨に反しない限りにおいては様々な変形や組み合わせを行っても構わない。

符号の説明

[0063]
1、2、3…磁気センサ、10…基板、20…薄膜磁石、30…感受部、31…感受素子、32…接続部、33…端子部、40、40a、40b、41、41a、41b…ヨーク、101…密着層、102…制御層、103…硬磁性体層、105…軟磁性体層、105a…下層軟磁性体層、105b…上層軟磁性体層、106…反磁界抑制層、111、112…レジストパターン、H…磁界、Z…インピーダンス

請求の範囲

[請求項1]
 非磁性の基板と、
 前記基板上に積層され、軟磁性体で構成され、長手方向と短手方向とを有し、当該長手方向と交差する方向に一軸磁気異方性を有し、磁気インピーダンス効果により磁界を感受する感受素子と、
 前記基板上に積層され、前記感受素子を挟んで前記長手方向に対向して配置され、当該感受素子の当該長手方向に磁界を印加する一対の薄膜磁石と
を備える磁気センサ。
[請求項2]
 前記基板上に積層され、前記感受素子とそれぞれの前記薄膜磁石との間に設けられ、当該薄膜磁石により発生する磁束が当該感受素子を前記長手方向に透過するように誘導する一対のヨークをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
[請求項3]
 前記ヨークは、前記感受素子の前記長手方向に対向する前記薄膜磁石の磁極に接触していることを特徴とする請求項2に記載の磁気センサ。
[請求項4]
 前記ヨークは、前記感受素子とそれぞれの前記薄膜磁石との間から当該薄膜磁石上に連続して設けられていることを特徴とする請求項3に記載の磁気センサ。
[請求項5]
 前記感受素子は、Ru又はRu合金から構成される反磁界抑制層を挟んで反強磁性結合した複数の軟磁性体層から構成されることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
[請求項6]
 非磁性の基板上に、磁気異方性が面内方向に制御され、異なる磁極が間隙を介して対向する一対の薄膜磁石を形成する薄膜磁石形成工程と、
 前記基板上に、一対の前記薄膜磁石により発生する磁束が透過する方向と交差する方向に一軸磁気異方性を有し、磁気インピーダンス効果により磁界を感受する感受素子を含む感受部を形成する感受部形成工程と
を含む磁気センサの製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]