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1. WO2020105151 - 設備保守点検支援システム及び点検順序決定方法

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明 細 書

発明の名称 設備保守点検支援システム及び点検順序決定方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009   0010  

課題を解決するための手段

0011  

発明の効果

0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

図面

1A   1B   2   3A   3B   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18  

明 細 書

発明の名称 : 設備保守点検支援システム及び点検順序決定方法

技術分野

[0001]
 本発明は、広域設備の点検順序を適正化する設備保守点検支援システムに関する。

背景技術

[0002]
 限られたリソース(点検作業員数、作業に使用する機材など)で広域に設置された設備を点検保守する場合、効率的かつ適切な時期に巡視や点検・保守を行うように点検順序を策定し、設備に故障や事故を発生させないことが重要である。設備点検順序策定の考え方として、主に時間基準保全と状態基準保全の2通りが知られている。時間基準保全では、設備状態によらず周期的に点検が行われる。時間基準保全では、点検や修理が必要な設備の点検順序が点検リストの最後尾に配置される場合がある。また、直ちに点検が必要のない状態の設備を点検することになり、件費がかかる。
[0003]
 一方、状態基準保全では、設備状態が劣化している設備を優先的に点検する。状態基準保全によれば、故障前に巡視や点検・修理が実施される確率が高くなるため、信頼性の低下を防止でき、さらに故障による修理対応費や補償費の発生を抑制できる。そこで、近年、時間基準保全から状態基準保全への移行が必要とされている。
[0004]
 この技術分野の背景技術として、以下の先行技術がある。特許文献1(特開2002-142244号公報)には、種々の機器が設置された複数の通信基地局を対象として、前記機器の保守サービスおよび不具合対応サービスのための巡回経路を提供する通信基地局のサービス巡回経路提供システムにおいて、前記巡回経路を決定するセンタが設けられ、前記各通信基地局は、設置された前記機器の動作状態を検出する動作状態検出手段および当該通信基地局の環境状態を検出する環境状態検出手段の少なくとも一方の検出手段と、この検出手段により検出された状態を監視データとして前記センタに送信する通信手段とを備え、前記センタは、前記各通信基地局から前記監視データを受信する通信手段と、前記各通信基地局の機器に関する保守データが格納された保守データベースと、前記通信手段により受信した監視データと前記保守データベースから読み出した保守データとに基づいて前記各通信基地局に対するサービス必要度を算出し、その算出したサービス必要度に応じて各通信基地局の巡回経路を決定する巡回経路決定手段とを備えて構成されていることを特徴とする通信基地局のサービス巡回経路提供システムが記載されている(請求項1参照)。
[0005]
 また、特許文献2(特開2009-3517号公報)には、プラントを構成する機器の劣化状態を検査し、保守計画の策定を行う保守管理支援装置であって、複数の評価項目に対する一致度を含む計算条件を受け付ける入力部と、前記プラント内の状態信号を計測し入力する信号入力部と、前記状態信号に基づいて機器の劣化状態を推定し、該劣化状態と前記計算条件により、保守作業の内容および実施時期を含む対策案について前記複数の評価項目に対する評価を行い、評価結果が前記一致度の範囲外である場合は前記対策案を修正して再計算する計算部と、前記対策案についての計算結果を表示する出力部と、を備え、前記出力部に、前記対策案及び修正した対策案の各々に対し前記複数の評価項目の評価結果を表示することを特徴とする保守管理支援装置が記載されている(請求項1参照)。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2002-142244号公報
特許文献2 : 特開2009-3517号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 状態基準保全の実施には各設備の状態を把握し、最適な巡視や保守・点検順序(以下、点検順序と称する)を策定する必要がある。設備の状態を測定するセンサが設備に取り付けられている場合には、センサデータを分析して状態を把握できる。しかし、柱上変圧器に代表される配電設備のように、多数の設備が広域に長期間わたって設置される場合には、各設備にセンサを取り付けて状態を監視するとコストが必要になる。また、多くの設備は屋外に設置されており日光や風雨など環境や天候による影響を直接受ける。従って、広域設備へ状態基準保全を適用する際には、設備の設置位置や年数などの設備情報に加えて設備の設置環境の情報が必要となる。特許文献1では、機器の状態及び環境状態を使用するため、機器自体に温度、湿度、風量などのセンサを取り付ける必要がある。特許文献1に記載された技術を配電設備に適用する場合には、多数のセンサが必要となり、センサの設置コストやメンテナンスコストがかかるため現実的ではない。
[0008]
 そこで、一般に公開されているオープンデータを活用して設備の状態を把握することが考えられる。しかし、オープンデータの観測局は設備に比べて少なく、設備と観測局との距離によって、設備に関連付けられた観測データが実際の設備設置位置の環境と異なる可能性がある。また、観測局側の事情により、観測が行われない場合があり、観測値の平均値、最高値、最低値が実際とは異なる場合がある。そこで、設備に関連付けられたオープンデータの信頼性を評価する必要がある。例えば、日本の気象庁は、品質情報が付されたオープンデータを公開している。以上より、各設備に関連付けられた観測データの信頼性を評価し、それを考慮して点検順序の策定する必要がある。
[0009]
 また、多数の設備に対して点検作業員数は限られているため、点検を一度に行うことはできない。現在の設備状態順に点検を行う場合、点検予定日が数年後となることがある。特許文献2では、現在の設備の故障停止確率に基づいて保守計画を決定する方法を提案している。しかし、設置環境によっては、点検が実施される数年後までの間に設備の状態が急激に悪化することも考えられが、保守計画の策定において数年後の故障確率は考慮されていない。そこで、将来の設備状態を予測し、現在及び将来の設備状態を考慮して点検順序を策定することによって、故障前に巡視や保守・点検を実施できる確率が向上する。
[0010]
 本発明の目的は、広域設備を状態基準保全に基づいて巡視や点検・保守する場合に、推定された設備状態及びデータの信頼性に基づいて点検順序を適正化することである。

課題を解決するための手段

[0011]
 本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、設備の保守業務における点検順序を決定する設備保守点検支援システムであって、点検順序を決定するための条件を受け付ける入力部と、設備が設置されている環境に関する環境データと、点検対象の設備の情報及び点検結果を含む設備データを収集するデータ収集部と、前記収集されたデータに基づいて現在及び将来の設備健全度を算出し、前記設備健全度の算出に使用したデータの不確信度を算出し、前記算出された設備健全度及び前記算出された不確信度に基づいて点検順序を決定する演算部と、前記決定された点検順序の結果及び前記決定された点検順序による改善状況を表示する出力部とを備えることを特徴とする。

発明の効果

[0012]
 本発明の一態様によれば、点検順序を適正化できる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1A] 設備保守点検支援システムの概略構成図である。
[図1B] 設備保守点検支援システムを構成する計算機の物理的な構成を示すブロック図である。
[図2] 環境情報データベースの気象データに保持されるデータ項目の例を示す図である。
[図3A] 設備保守データベースに格納されるデータ項目の一部を示す図である。
[図3B] 環境情報データベースに格納されるデータ項目の一部を示す図である。
[図4] 点検順序決定処理のフローチャートである。
[図5] 劣化段階評価テーブルの例を示す図である。
[図6] VHI出力データの例を示す図である。
[図7] 点検順序適正化処理の詳細な手順のフローチャートである。
[図8] 不確信度算出処理の詳細な手順のフローチャートである。
[図9] 設備と観測局の関係を示す図である。
[図10] 環境情報データベースに格納される観測局毎の観測項目データの例を示す図である。
[図11] 特徴量、各特徴量の重要度、及びデータ取得元を関連付けたテーブルの例を示す図である。
[図12] 設備IDに関連付けられた特徴量を記録するテーブルを示す図である。
[図13] 不確信度に基づく点検順序並べ替え処理の詳細な手順のフローチャートである。
[図14] 不確信度が追加された点検順序リストの例を示す図である。
[図15] 将来のVHI算出処理の詳細な手順のフローチャートである。
[図16] 点検予定年VHIに基づく並べ替え処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
[図17] 点検予定設備のVHIの変化とVHIの変化に影響を与える特徴量を確認する画面例を示す図である。
[図18] 点検順序適正化の効果を確認するための画面例を示す図である。

発明を実施するための形態

[0014]
 以下、実施例を図面を用いて説明する。
[0015]
 <実施例1>
 まず、本発明の実施例1として、本発明の設備保守点検支援システムを配電設備の点検順序策定に適用した例について説明する。
[0016]
 図1Aは、設備保守点検支援システムの概略構成図である。
[0017]
 設備保守点検支援システムは、入力装置101、データ収集装置102、演算装置103及び出力装置104から構成される。図1Aでは、入力装置101、データ収集装置102、演算装置103及び出力装置104が別の計算機である構成を図示したが、入力装置101、データ収集装置102、演算装置103及び出力装置104が一つの計算機に実装されてもよい。
[0018]
 入力装置101は、点検計画立案者が使用する計算機であり、点検計画立案者が点検作業員数、作業車数などのリソースを考慮して策定した年間に点検可能な設備数が入力される。また、点検計画立案者は、時間基準保全を実施した際に設定された点検周期を入力装置101に入力する。データ収集装置102は、設備が設置されている環境を示すオープンデータ及び設備のデータを収集し、それぞれ環境情報データベース105及び設備保守データベース106にデータを格納する計算機である。演算装置103は、データ収集装置102に格納されたデータを用いて、本実施例の設備保守点検支援システムの主たる処理を実行する計算機である。出力装置104は、点検計画を出力する計算機であり、点検作業拠点に設置される。点検作業者は、出力装置104から出力される点検計画に従って配電設備を点検する。
[0019]
 環境情報データベース105は、オープンデータとして分析に利用するデータを格納し、気象データ108、大気データ109及び地理データ110を含む。気象データ108は、気象庁の過去の気象データ・ダウンロードサイトから定期的に自動データ収集部107が取得する。本実施例では月別値を使用するため、気象データは一か月に一度データが更新されるタイミングで取得すればよい。同様に大気データ109も月別値を利用するため、一か月に一度、国立環境研究所の環境数値データベースから自動データ収集部107が取得する。地理データ110は、国土地理院が提供しており、変化が少なく更新頻度が低いため数年に一度、手作業でデータを更新すればよい。
[0020]
 設備保守データベース106は、設備データ111及び点検履歴データ112を含む。設備データ111は、配電事業者の設備台帳から定期的に自動データ収集部107により自動的に収集する。点検履歴データ112は、配電事業者が点検作業員の点検結果を格納する点検結果データを、自動データ収集部107で自動的に収集する。
[0021]
 図1Bは、設備保守点検支援システムを構成する計算機の物理的な構成を示すブロック図である。
[0022]
 本実施例のシステムを構成する計算機は、プロセッサ(CPU)1、メモリ2、補助記憶装置3及び通信インターフェース4有する。計算機は、入力インターフェース5及び出力インターフェース8を有してもよい。
[0023]
 プロセッサ1は、メモリ2に格納されたプログラムを実行する演算デバイスである。プロセッサ1が、各種プログラムを実行することによって、計算機の各種機能が実現される。なお、プロセッサ1がプログラムを実行して行う処理の一部を、他の演算デバイス(例えば、FPGAやASIC)で実行してもよい。
[0024]
 メモリ2は、不揮発性の記憶素子であるROM及び揮発性の記憶デバイスであるRAMを含む。ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS)などを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶デバイスであり、プロセッサ1が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを一時的に格納する。
[0025]
 補助記憶装置3は、例えば、磁気記憶装置(HDD)、フラッシュメモリ(SSD)等の大容量かつ不揮発性の記憶デバイスである。また、補助記憶装置3は、プロセッサ1がプログラムの実行時に使用するデータ及びプロセッサ1が実行するプログラムを格納する。すなわち、プログラムは、補助記憶装置3から読み出されて、メモリ2にロードされて、プロセッサ1によって実行されることによって、計算機の各機能を実現する。
[0026]
 通信インターフェース4は、所定のプロトコルに従って、他の装置との通信を制御するネットワークインターフェース装置である。
[0027]
 入力インターフェース5は、キーボード6、マウス7、タッチパネル(図示省略)などの入力装置が接続され、オペレータからの入力を受けるインターフェースである。出力インターフェース8は、ディスプレイ装置9やプリンタ(図示省略)などの出力装置が接続され、プログラムの実行結果をオペレータが視認可能な形式で出力するインターフェースである。
[0028]
 プロセッサ1が実行するプログラムは、リムーバブルメディア(CD-ROM、フラッシュメモリなど)又はネットワークを介して計算機に提供され、非一時的記憶媒体である不揮発性の補助記憶装置3に格納される。このため、計算機は、リムーバブルメディアからデータを読み込むインターフェースを有するとよい。
[0029]
 データ収集装置102及び演算装置103は、物理的に一つの計算機上で、又は、論理的又は物理的に構成された複数の計算機上で構成される計算機システムであり、複数の物理的計算機資源上に構築された仮想計算機上で動作してもよい。
[0030]
 各データに含まれる主なデータ項目については後述する。例えば、図2に示すように、環境情報データベース105の気象データ108は、観測項目、観測局の緯度及び経度、観測局名、観測年月、観測値、及び品質情報などを保持する。品質情報は、例えば、所定期間に観測値が得られた回数の割合でもよい。また、日本の気象庁は、品質情報が付されたオープンデータを公開している。
[0031]
 図3A及び図3Bは、データ収集装置102が収集し、保持するデータ項目の例を示す図である。
[0032]
 設備の設備健全度(VHI:Virtual Health Index)は、設置されてからの経過年数や、設置されている環境によって異なる。このため、VHIの算出には設備情報と設備が設置されている環境を示す情報を使用する。本実施例では、気象庁が公開している気象データ108、国立環境研究所が公開している大気データ109、国土地理院が公開している地理データ(国土数値情報)110などのオープンデータをVHIの算出に使用する。本実施例で使用するオープンデータは、気象庁、国立環境研究所、国土地理院のウェブサイトから取得できる。
[0033]
 図3Aは、設備保守データベース106に格納されるデータ項目の一部を示し、図3Bは、環境情報データベース105に格納されるデータ項目の一部を示す図である。
[0034]
 気象データ108として月別の値が取得可能な項目は、気温、降水、日照/日射、積雪/降雪、風、湿度/気圧、雲量/天気などの実測値である。各項目は月別に統計処理された数値が取得可能である。例えば、統計的に処理された気温として、月の最高気温、最低気温、平均気温、月のうちある条件を満たす日数などが取得できる。
[0035]
 大気データ109として取得可能な観測項目は、SO2、NO、NO2、NOX、CO、OX、NMHC、CH4、THC、SPM、SP、PM2.5などの実測値である。それぞれ実績値を月間値としてダウンロード可能である。大気データの観測項目も実績値を統計処理した結果としてダウンロード可能である。
[0036]
 地理データ110は、国土地理院の国土数値情報から標高、傾斜度、土地利用、幹線道路、海岸線、湖沼、河川データなどを使用する。国土数値情報はデータにより形式が異なる。例えば、標高及び傾斜度はメッシュデータで、各メッシュの平均標高、最高標高、最低標高、平均傾斜角度、最大傾斜角度、最低傾斜角度、最大傾斜方向、最小傾斜方向を持つ。土地利用は、各メッシュについて、田、その他の農用地、森林、荒地、建物用地、道路、鉄道、その他の用地、河川地及び湖沼、海浜、海水域、ゴルフ場などの利用区分の面積を平方メートル単位で持つ。海岸線、河川データはシェープファイル形式で取得できる。
[0037]
 演算装置103は、データ加工部113、VHI算出モデル作成部114、VHI計算部115、記憶部116及び点検順序決定部117から構成される。データ加工部113は、データ収集装置102が収集したデータの関連付けやクレンジングを行う。クレンジング処理で、異常値や、短期間しか収集されていないデータを除外することによって、VHIを正確に算出できる。VHI計算部115では加工済みデータからVHIを算出する。
[0038]
 VHIは、保守対象の設備の健全度を示す数値指標であり、値が高いほど健全であり、値が低いほど劣化が進んでいることを示す。VHIは、製造時が最も高い値を示すもので、製造時の値を1、故障時の値を0として正規化してもよい。VHIは、設備ごとに算出される値であり、例えば、電柱、開閉器、変圧器では素材や劣化メカニズムが異なるため、それぞれ別のVHI算出モデルを作成し、VHIを算出する。
[0039]
 記憶部116は、加工済みデータ、及び算出されたVHIを格納する。点検順序決定部117は、算出されたVHIとVHI算出に使用したデータの信頼性に基づいて、点検順序を適正化する。適正化された点検順序と、適正化による効果は、出力装置104の画面に表示される。
[0040]
 図4は、演算装置103が現在のVHIを算出する際の、データ加工部113、VHI計算部115及び点検順序決定部117が実行する点検順序決定処理のフローチャートである。
[0041]
 データ加工部113は、環境情報データベース105と設備保守データベース106に格納したデータを分析に適したデータに変換し、関連付けを行うデータ加工処理を実行する(401)。データの変換は二種類実施する。一つ目は設備データの変換である。現在のVHIを算出する場合、設備データの変換では、日付に関するデータを現在までの経過日数に変換する。例えば、工事年月日は設備データに記載されている工事年月日を現在までの経過日数に変換する。二つ目はオープンデータの加工である。オープンデータの加工では、まず、オープンデータを分析可能な形式に変換し、各設備に関連付ける。分析可能な形式への変換として、各メッシュにおける各土地利用面積が記載されている土地利用データから各メッシュにおける土地利用割合への変換がある。また、海岸線や工業用地、河川・湖沼海岸線データ、幹線道路データはシェープファイルであり、それぞれの設備が存在する位置を示す。VHIの算出では設備の劣化に影響する特徴量を入力データとして利用するため、各設備から海岸線、工業用地、河川、湖沼までの距離を算出する。さらに気象データついては、設備が設置されてから現在までの加算値、平均値、最大値、最小値などを算出する。例えば、降水量や降雪量は日々の観測値を累積した月間の加算値に意味があり、気温や風速は日々の観測値の月間の平均値、最大値、最小値等に意味がある。各データを加工後、設備IDをキー項目として設備データと、点検履歴データと、オープンデータとを関連付ける。本実施例では、設備データとの距離が最も近い観測点のオープンデータを関連付ける。以上の加工・算出結果は演算装置103の記憶部116に保持される。
[0042]
 VHI計算ステップ402は、VHI算出モデル作成部114及びVHI計算部115で実行される。まず、VHI算出モデル作成部114では過去のデータを使用して事前にVHI算出モデルを作成する。ここでVHI算出モデル作成時に使用するデータ項目とモデル作成方法について説明する。VHI算出モデル作成時の特徴量(説明変数)は、ステップ401で作成するデータと同じ項目を使用し、点検履歴データを目的変数とする。特徴量は、モデル作成時以前の気象データ、大気データ、地理データ、設備データなどである。広範囲にわたって設置される広域設備には個々に設備状態を計測するセンサが設けられないことから、目的変数に設定する点検履歴データは、設備の状態を数値で評価しても、”OK””NG”の2値で評価してもよい。数値で設備状態を記録している場合には、モデル作成時の目的変数に点検結果を設定することで、現在の設備状態を数値で予測可能である。
[0043]
 しかし、一般的に広域設備の点検結果の多くは、複数の段階で評価されている。”OK””NG”の2値で記録されている場合には”OK””NG”の2クラスを目的変数として状態を予測するモデルを作成する必要がある。しかし、予測結果が”OK””NG”の二値の場合には、”NG”と判別された設備のうち、どの設備の状態が最も悪いか判定できず、適切な点検順序の決定が困難である。そこで、直接、設備状態を数値で予測するのではなく、SVM(Support Vector Machine)で”OK””NG”を識別する境界面を作成し、クラスの境界面から各設備データまでの距離をVHIとして利用することによって数値として設備状態を示す方法を採用する。”OK””NG”を分けるモデルにおいて境界面から”OK”側に離れている場合には設備の状態が良く、”NG”側に離れている場合には設備の状態が悪いことを示す。”NG”側の境界面からの距離はマイナスをつけてVHIとすることによって、VHI値が大きいほど健全度が高く、小さいほど健全度が低く、早急に点検・修理が必要である状態を示す。
[0044]
 なお、2値で設備の状態を評価するVHI算出方法では、前述した以外の方法を採用できる。また、SVMなどの方法によって、目的変数の予測に使用する各特徴量の重要度(目的変数に対する寄与の大きさ)をVHI算出モデル作成時に取得可能である。特徴量の重要度によって、目的変数に大きな影響を与える特徴量を知ることができる。また、点検結果を5段階など複数段階で評価している場合には、推定される各段階の確からしさを用いてVHIを算出できる。複数段階で評価した場合でも、各段階に判定された設備を巡視・点検すべき順序の決定が困難である。このため、複数段階評価の場合にも2段階の”OK””NG”評価と同様に環境情報データベース105に格納されるデータと設備保守データベース106に格納される過去のデータを入力として、設備状態の段階を推定するモデルを作成する。例えば、5段階で設備状態を評価する場合に、段階1は設備の劣化が進んでいる状態を示し、段階5は設備が健全な状態を示す。ある設備は、設置後、段階5から段階1まで状態が徐々に変化すると考えられる。SVCを算出モデルとして利用したとき、設備状態5と推定される確からしさが高いほど設備状態が良く、設備状態1と推定される確からしさが高いほど設備状態が悪く、劣化が進んでいると判定できる。そこで、VHI算出モデルで算出される各劣化段階評価に割り当てられる確からしさを用いてVHIを算出する。
[0045]
 図5は、点検結果を複数段階で評価する場合に、各劣化段階評価に割り当てられる確からしさの数値を示す劣化段階評価テーブルの例を示す図である。VHIは劣化段階評価とその確からしさの重みづけ平均で算出する。VHI算出式は下記に示す。ここで劣化評価段階nと推定される確からしさをpnとする。ただし、複数段階で設備の状態を評価する際のVHI算出方法はこれに限らない。
[0046]
[数1]


[0047]
 演算装置103のVHI計算部115は、ステップ402のVHI計算処理を実行する。ステップ402のVHI計算では、VHI算出モデル作成部114が算出したモデルに、ステップ401のデータ加工で作成したデータを入力し、現在のVHIを数値指標として算出する。VHI算出時に特徴量の重要度が出力され、演算装置103の記憶部116に保持する。図11に保持される重要度を示すテーブルの例を示す。特徴量の重要度は、ステップ403の点検順序適正化処理で利用される。各項目の詳細については後述する。
[0048]
 ステップ402のVHI計算処理の実行結果として、各設備のVHIが算出される。各設備のVHIは、図6に示すVHI出力データとして演算装置103の記憶部116に保持され、出力装置104から出力(例えば、リストとして表示)される。ステップ403の点検順序適正化処理では、ステップ402のVHI計算処理で算出されたVHIに基づいて、最適な設備の巡視点検順序を決定する。
[0049]
 図7は、図4のステップ403の点検順序適正化処理の詳細な手順のフローチャートである。
[0050]
 ステップ701の点検順序適正化処理では、ステップ401のVHI算出処理の結果として出力されたVHIを値が低い方から順に設備を並べ替え、設備点検順序リストを作成する。
[0051]
 次に、ステップ702の不確信度算出処理では、モデル作成時に使用した各特徴量の重要度及びデータの品質情報から、各設備に関連付けられるデータの不確信度を算出する。ステップ702の処理の詳細については後述する。
[0052]
 ステップ703の不確信度に基づく設備点検順序並び替え処理では、ステップ701で並べ替えた設備点検順序リストをセグメントに分け(例えば、上位から所定件数ずつセグメントに分け)、セグメント内で不確信度に基づいて設備の点検順序を並べ替える。セグメントの分け方としてVHIの値を一定数値ごとに分ける方法や、一年など、所定の期間に点検可能な設備数ごとに分ける方法がある。セグメントを分ける方法は、管理者が入力装置101のキーボードやマウスを利用して設定する。設備の巡視、点検の実施にあたり、作業員数及び点検コストは限られているため、一年間に点検可能な設備数は限られる。そこで、設備点検順序リストの上位から順に点検予定年を設定する。
[0053]
 ステップ704の将来のVHI算出処理では、将来のデータに変換した特徴量を図4のステップ402で作成したモデルに入力し、将来のVHIを算出する。
[0054]
 最後に、ステップ705にて点検予定年月のVHIと現在のVHIとの差を算出し、点検予定年月までに著しく設備状態が低下する設備を抽出し、設備劣化が生じる前に点検が完了するように点検順序リストを再度並び替える。将来のVHI算出処理の詳細は後述する。
[0055]
 不確信度は、設備とデータ観測局との距離やVHI算出時の特徴量に使用するオープンデータの品質情報から算出される。データの品質情報とは、データ自体の信頼性を示す値であり、本実施例では、オープンデータの精度(品質情報)や、目的変数として入力される点検結果(劣化評価段階n)の更新頻度を用いる。
[0056]
 まず、設備に関連付けられた観測局との距離を用いて不確信度を算出する例を説明する。
[0057]
 図8は、ステップ702の不確信度算出処理の詳細な手順のフローチャートである。
[0058]
 まず、図8のステップ801で、設備に関連付けられた観測局との距離を算出する。設備と観測局との距離は、設備保守データベース106の設備データ111に格納されている設備の位置情報、及び環境情報データベース105の各データ108、109、110に格納されている観測局の位置情報から算出し、演算装置103の記憶部116に格納される。
[0059]
 例えば、図9に示す設備001に最も近い観測局は観測局1である。設備001と観測局1間の距離をd 11とする。しかし、分析に使用するデータ項目が一つの観測局で全て観測されているとは限らない。例えば、図10に示すように、設備001に最も近い観測局1では降水量が観測されていないため、降水量が観測されている観測局のうち、最も距離が近い観測局3と設備001も関連付ける必要がある。このように一つの設備に対して複数の観測局のデータが関連付けられてもよい。設備に関連付けられた各観測局との距離を記憶部116に格納する。このように、一つの設備が1又は複数の観測局と関連付けられ、図8のステップ801の処理によって図12に例示するテーブルが作成される。
[0060]
 次に、不確信度算出処理(ステップ802)では、ステップ801で算出された設備と観測局との距離を用いて不確信度を算出する。不確信度は設備と観測局間との距離と関連付けた特徴量の重要度を用いた重みづけ平均によって不確信度R d_1を算出する。
[0061]
 図11は、図8のステップ802の不確信度算出処理に使用する特徴量、各特徴量の重要度、及びデータ取得元を関連付けたテーブルの例を示す図である。また、図12は、ステップ802の不確信度算出処理に入力される設備に関連付けられた特徴量(観測値)である、観測局、設備-観測局間距離、品質情報を記録するテーブルを示す図である。これらテーブルは記憶部116に格納される。
[0062]
 図11に示すテーブルのデータ取得元カラムには、特徴量が環境情報データベース105に記録されている場合には1を、設備保守データベース106に記録されている場合には2を記録する。不確信度は、環境情報データベース105に格納された観測局で収集されたデータ、及び設備保守データベース106に格納されたデータのいずれでも算出可能である。
[0063]
 設備-観測局間距離に基づく不確信度を算出する場合には、図11のテーブルを参照し、データ取得元カラムに”1”が設定された、観測局データを使用した特徴量を抽出する。これによって、例えば、図12に示すように、データ取得元カラムにフラグ”1”が設定されている特徴量が気温、降水量及び気温の3項目である場合、設備001の設備-観測局距離に基づく不確信度R d_1を、図11のテーブルに記録された特徴量の重みと記憶部116に格納した設備と観測局との距離を用いて式(2)によって算出する。下式において、d 11は設備001と気温及び気圧を測定した観測局1との距離、d 13は設備001と降水量を観測した観測局3との距離である。
[0064]
[数2]


[0065]
 次に、環境情報データベース105に格納されるデータ(各観測項目のデータ品質や観測日数)を用いて不確信度を算出する例を説明する。設備001のVHI算出に使用したデータの品質情報を用いて不確信度R q_1を算出する場合には、図12の品質情報カラムに格納したデータ品質情報を数値に変換した値の重要度を用いた重みづけ平均によって不確信度R q_1を算出する。そして、距離に基づく不確信度R d_1及び品質情報に基づく不確信度R q_1から、設備001の不確信度R1を下式で算出する。
[0066]
[数3]


[0067]
 計算に使用する重みw distanceとw qualityは、電力会社のポリシーに従って適切な値を設定するとよい。算出された不確信度は図5のテーブルを参照して劣化段階に変換され、図14に示す点検順序リストで記憶部116に格納する。なお、重みw distanceとw qualityの調整によって、距離を用いることなく、品質情報を用いて不確信度を算出してもよい。
[0068]
 なお、設備の点検間隔を用いて不確信度を計算してもよい。例えば、点検間隔が長ければ不確信度を大きくし、短ければ(例えば3か月)不確信度を小さくする。これは、点検間隔が5年の設備は、点検後の時間の経過に伴って推定される設備の状態と実際の設備の状態との乖離が大きくなると考えられ、点検間隔が3か月の設備より、不確信度が大きくなるからである。
[0069]
 また、点検情報112(設備保守データベース106)に記録されている前回の点検年月日からの経過期間が長ければ不確信度を大きくし、短ければ不確信度を小さくしてもよい。
[0070]
 さらに、品質情報として、各観測項目のデータ品質や観測日数、点検間隔、前回の点検からの経過期間を例示したが、設備の種類によって劣化に寄与する観測項目の他の品質情報を使用してもよく、これらのうち、任意の一つ以上を使用すればよい。
[0071]
 図13は、図7のステップ703の不確信度に基づく点検順序並べ替え処理の詳細な手順のフローチャートである。
[0072]
 ステップ1301では、図7のステップ701の出力結果である点検順序リストを上位から順に複数セグメントに分ける。セグメントに分ける方法は、VHIの値ごとに分ける方法や、所定数ずつ分ける方法があり、設備管理ポリシーや目的に適する方法や数値が点検計画立案者によって選択される。
[0073]
 ステップ1302では、図7のステップ702で算出した不確信度に基づいて、ステップ1301で分けたセグメント内で設備点検順序リストを並べ替える。このとき、VHIの信頼性が高い設備を優先的に点検する場合には、不確信度が低い設備を上位の点検順に並べる。また、VHIの値が低いセグメントで、確実に設備を点検したい場合には不確信度が高い設備を上位の点検順に並べる。不確信度によってオープンデータのデータ信頼性を評価可能となる。図14で示す点検順序リストの設備を不確信度に基づいて並べ替えた後、記憶部116に格納する。
[0074]
 図15は、図7のステップ704の将来のVHI算出処理の詳細な手順のフローチャートである。
[0075]
 ステップ704で算出された将来のVHIに基づいて、ステップ705では点検順序リストを並べ替える。配電会社によってポリシーは異なるが、時間を基準にして保全する時間基準保全の場合には数年に一度のサイクルで全ての設備を点検する。例えば、時間基準保全を導入していた場合に設定されている周期をM年とする。時間基準保全で設定されている周期は計画立案者がキーボードから入力する。図4のステップ402では現時点までのデータを使用して、現時点でのVHIを算出するが、ステップ704では将来のVHIを算出するため、M年後までのデータを作成する必要がある。
[0076]
 図15のステップ1501では、現在からM年後までの各年についてオープンデータを作成する。標高や海岸線からの距離はM年後に大きく変化しないと考えられるが、降水量や日照量のM年分を加算して合計値を算出する。また、M年後までの詳細な気象予報の取得は困難であるため、長期の気象シナリオや過去の気象データに基づいて複数のパターンを想定して作成する。例えば、平均的な気候が続くことが想定される場合には過去数年分の降水量や日照量などの平均値を加算して各年分の気象データを算出することによって、M年後までの各年の分析に適した気象データを取得できる。
[0077]
 ステップ1502では、M年後までの各年の設備データを作成し、更新する。ステップ1502では、設備を設置してからM年後までの各年における経過年数を算出する。
[0078]
 ステップ1503では、VHI算出モデル作成部114が作成したVHI算出モデルを用いて、ステップ1501及びステップ1502で作成したデータと、環境情報データベース105及び設備保守データベース106とから参照する年で変化しないデータを説明変数として、M年後までの各年のVHIを算出する。算出された各年のVHIは記憶部116に格納される。
[0079]
 ステップ1504では入力装置101で入力された一年に点検可能な設備数に基づいて点検順序リストの上位から順に点検予定年を設定する。
[0080]
 図16は、図7のステップ705の点検予定年VHIに基づく並べ替え処理の詳細な手順のフローチャートである。
[0081]
 並べ替えには、図7のステップ704で算出した将来のVHIと図4のステップ402で算出した現在のVHIを使用する。故障が近い危険な値を現在のVHIが示していなくても、現在のVHIに基づいて決定された点検予定年までに急激にVHIが低下することがある。そこで、VHIの著しい悪化が予想される設備は点検順序を入れ替え、点検順序を適正化する。図16のステップ1601では記憶部116に格納している現在のVHIの値及び将来のVHIの値を参照し、各設備について点検予定年VHIと現在のVHIとの差を算出する。VHIの差を算出後、図17に示す画面を点検計画策定者に提示する。
[0082]
 以上、全設備の点検順序を適正化する処理について説明したが、本発明の処理によって選択された一部の設備の適切な点検順序を決定できる。
[0083]
 図17は点検計画立案者がある年に点検が予定されている設備のVHIの変化とVHIの変化に影響を与える特徴量を確認する画面例を示す図である。
[0084]
 図17に示す画面例1701は、平均VHI経時変化表示領域1702、VHI差表示領域1703、及び設備状態推定に影響する特徴量表示領域1704を含む。平均VHI経時変化表示領域1702には、図7のステップ704と図16のステップ1601で算出した、N年後に点検が予定されている設備の平均VHIと、現在VHIとN年後のVHIの差が閾値を上回る設備について、平均VHIの継時変化を示すグラフが表示される。平均VHI経時変化表示領域1702によると、平均VHIの改善状況を確認できる。VHI差表示領域1703には、現在のVHIとN年後のVHIとの差が閾値より大きい設備について、設備ID、現在のVHI及びN年後のVHIの値がリスト形式で表示される。また、特徴量表示領域1704には、設備状態の悪化に影響した特徴量がリスト形式で表示される。点検計画立案者は、特徴量表示領域1704を確認することによって、対象設備の巡視、点検時の着目点及び劣化発生の対策方法を点検実施者に指示できる。
[0085]
 図16のステップ1602では、図7のステップ703で不確信度に基づいて並べ替えた結果を複数のセグメントに分割する。セグメントは1年ごとのように点検予定年ごとに分けてもよく、VHIの値の範囲ごとに分けてもよい。
[0086]
 図16のステップ1603では、図16のステップ1601で算出されたVHIの差が閾値t1より大きい設備をセグメント内の上位に並べ替える。ステップ1603ではセグメント内で並べ替えたが、VHIの差分が大きい場合には他セグメントに移動させることが適切であるため、ステップ1604では各セグメントごとにM年後までの各年のVHI平均値を算出する。ステップ1605ではステップ1603でセグメント内の上位に並べ替えた設備について、点検予定年のVHIと他のセグメントの点検予定年のVHI平均値とを比較する。
[0087]
 ステップ1605の条件に当てはまる場合には、ステップ1606に進み、当該レコードが所属するセグメントを変更しない。一方、ステップ1605の条件に当てはまらない場合には、ステップ1607に進み、平均値が最も近いセグメントに当該レコードを移動する。ステップ1608では、点検予定年を移動後のセグメントの点検予定年に更新する。ステップ1609では、移動後のセグメント内で点検予定年のVHI順に設備を並べ替える。
[0088]
 図18は、図4に示す処理を実行した結果として、点検計画策定者が点検順序適正化の効果を確認するための画面例を示す図である。
[0089]
 図18に示す画面例1800は、画面左側のグラフ1801と、画面右側のテーブル1802とを含む。画面左側のグラフ1801では、点検予定年を横軸とし、図7のステップ704で算出したM年後までの各年のVHIを縦軸として、ある年までに点検が実施されていない設備(点検未実施設備)の平均VHIを表示する。グラフ1801では、VHIが低い方から順に点検を行った場合と本発明により点検順序を適正化を実施した場合を比較して表示する。点検計画策定者は、本設備保守点検支援システムによる適正化によって、点検予定年が後半の設備についても平均VHIの悪化を抑制できることを、グラフ1801で確認できる。
[0090]
 また、画面右側のテーブル1802には、点検予定年と適正化前後の設備点検順序が表示される。テーブル1802によって、点検順序適正化前後では点検を行う設備IDの順序が異なることが確認できる。点検計画策定者は、適正化後の設備IDの順に巡視、点検を実施する点検計画を策定できる。
[0091]
 点検計画策定者は、設備状態を基準として適正化された点検順序案を、さらに、設備位置を考慮して点検順序を適正化するシステムに入力してもよい。
[0092]
 なお、本実施例では広域設備点検の対象の例として配電設備を示したが、本発明のシステムの適用範囲は、これに限定されず、広域に設備を有する通信、ガス、水道等の点検保守順序の適正化に適用可能である。
[0093]
 以上に説明したように、本発明の実施例の設備保守点検支援システムは、点検順序を決定するための条件を受け付ける入力部(入力装置101)と、設備が設置されている環境に関する環境データ(環境情報データベース105)と、点検対象の設備の情報及び点検結果を含む設備データ(設備保守データベース106)を収集するデータ収集部(データ収集装置102)と、前記収集されたデータに基づいて現在及び将来の設備健全度を算出し、前記設備健全度の算出に使用したデータの不確信度を算出し、前記算出された設備健全度及び前記算出された不確信度に基づいて点検順序を決定する演算部(演算装置103)と、前記決定された点検順序の結果及び前記決定された点検順序による改善状況を表示する出力部(出力装置104)とを備えるので、推定された設備状態及びデータの信頼性に基づいて点検順序を適正化できる。また、点検計画策定者は、設備状態を予測する際に使用したデータの信頼性を考慮して適正化された点検順序の提案を受け、その効果を確認できる。また、点検順序の適正化によって、点検前に発生する設備故障数を抑制できる。
[0094]
 また、データ収集部102は、前記環境データ105及び前記設備データ106を所定のタイミングで自動的に収集するので、情報の更新タイミングを知らなくても、最新の情報に基づいて点検順序を決定できる。
[0095]
 また、演算部103は、収集された環境データ105と設備データ106とを関連付け、分析用データに変換するデータ加工部113と、前記加工された分析用データから前記設備健全度を算出するモデルを作成するVHI算出モデル作成部114と、前記作成されたモデルを用いて、前記分析用データから設備健全度を算出するVHI計算部115と、前記設備健全度の算出に使用したデータの不確信度を算出し、前記算出された設備健全度及び前記算出された不確信度に基づいて点検順序を決定する点検順序決定部117とを有するので、推定された設備状態及びデータの信頼性に基づいて点検順序を適正化できる。
[0096]
 また、VHI算出モデル作成部114は、前記作成されたモデルを用いて算出される設備健全度への、前記モデルに特徴量として入力される各データの寄与の大きさを表す重要度を算出するので、設備状態の悪化に影響したデータが分かり、対象設備の巡視、点検時の着目点及び劣化発生の対策方法を検討できる。
[0097]
 また、点検順序決定部117は、前記算出された設備健全度が悪い設備を上位の点検順序に並べ替える第1並べ替え処理701と、前記不確信度を算出する不確信度算出処理702と、前記算出された不確信度に基づいて、設備の点検順序を並べ替える第2並べ替え処理703と、将来の設備健全度を算出する将来VHI算出処理704と、前記算出された将来の設備健全度に基づいて、設備の点検順序を並べ替える第3並べ替え処理705とを実行するので、適正な点検順序を作成できる。
[0098]
 また、点検順序決定部117は、前記不確信度算出処理702において、前記モデルに入力される各データの品質及び前記算出された重要度に基づいて、前記不確信度を算出するので、データの寄与度を考慮した不確信度を算出でき、適正な点検順序を作成できる。
[0099]
 また、点検順序決定部117は、前記不確信度算出処理702において、前記環境データに含まれる観測値の重要度に基づいて前記不確信度を算出するので、環境データに含まれる各観測値の寄与度を考慮した不確信度を算出でき、適正な点検順序を作成できる。
[0100]
 また、点検順序決定部117は、前記不確信度算出処理702において、前記設備データ106に含まれる設備の位置情報及び前記環境データ105に含まれる観測局の位置情報を用いて算出された観測局と前記設備との距離に基づいて前記不確信度を算出するので、距離による観測値のズレを考慮した不確信度を算出でき、適正度な点検順序を作成できる。
[0101]
 また、点検順序決定部117は、前記不確信度算出処理702において、前記設備データ106に含まれる点検結果の点検間隔から前記データの品質を算出するので、点検間隔の長短を考慮した不確信度を算出でき、適正な点検順序を作成できる。
[0102]
 また、点検順序決定部117は、前記第2並べ替え処理703において、分割されたセグメント内で、前記算出された不確信度に基づいて設備の点検順序を並べ替えるので、不確信度を考慮して適正な点検順序を作成できる。
[0103]
 また、点検順序決定部117は、前記将来VHI算出処理704において、現在から所定の保全周期が終了するまでの各年の環境データを作成し(1501)、現在から前記保全周期が終了するまでの各年の設備データを作成し(1502)、前記作成された各年の環境データ及び前記作成された各年の設備データを用いて将来の設備健全度を算出し(1503)、 前記算出された将来の設備健全度に基づいて点検予定年を設定する(1504)ので、将来の設備健全度を正確に算出でき、適正度な点検順序を作成できる。
[0104]
 また、点検順序決定部117は、前記第3並べ替え処理705において、一年に点検実施可能な設備数に基づいて前記設備の点検予定年を設定し、各設備について前記算出された現在の設備健全度と前記算出された点検予定年の設備健全度との差を算出し(1601)、所定の順序に並べられた設備をセグメントに分割し(1602)、前記設備健全度の差が所定の閾値より大きい設備を前記セグメント内の上位に並べ替え(1603)、前記各セグメントにおける設備健全度の平均を算出し(1604)、設備が所属するセグメントの点検予定年の設備健全度の平均値が設備点検予定年の設備健全度に最も近いかを判定し(1605)、設備が所属するセグメントの点検予定年のVHI平均値が設備点検予定年のVHIに最も近いものではない場合、平均値が最も近いセグメントの点検予定年に設備の点検予定年を更新し(1608)、セグメント内で設備健全度が悪い順に設備を並べ替える(1609)ので、将来の設備健全度を考慮した、適正度な点検順序を作成できる。
[0105]
 また、出力部104は、前記点検順序を決定する前後において、設備の点検時期ごとの設備健全度の平均値を示すグラフと、前記点検順序を決定した後の点検順序のリストとを表示する画面データを出力するので、点検順序の適正化の効果を分かりやすく提示できる。
[0106]
 なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
[0107]
 また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
[0108]
 各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
[0109]
 また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。

請求の範囲

[請求項1]
 設備の保守業務における点検順序を決定する設備保守点検支援システムであって、
 点検順序を決定するための条件を受け付ける入力部と、
 設備が設置されている環境に関する環境データと、点検対象の設備の情報及び点検結果を含む設備データを収集するデータ収集部と、
 前記収集されたデータに基づいて現在及び将来の設備健全度を算出し、前記設備健全度の算出に使用したデータの不確信度を算出し、前記算出された設備健全度及び前記算出された不確信度に基づいて点検順序を決定する演算部と、
 前記決定された点検順序の結果及び前記決定された点検順序による改善状況を表示する出力部とを備えることを特徴とする設備保守点検支援システム。
[請求項2]
 請求項1に記載の設備保守点検支援システムであって、
 前記データ収集部は、前記環境データ及び前記設備データを所定のタイミングで自動的に収集することを特徴とする設備保守点検支援システム。
[請求項3]
 請求項1に記載の設備保守点検支援システムであって、
 前記演算部は、
 前記収集された環境データと設備データとを関連付け、分析用データに加工するデータ加工部と、
 前記加工された分析用データから前記設備健全度を算出するモデルを作成するVHI算出モデル作成部と、
 前記作成されたモデルを用いて、前記分析用データから設備健全度を算出するVHI計算部と、
 前記設備健全度の算出に使用したデータの不確信度を算出し、前記算出された設備健全度及び前記算出された不確信度に基づいて点検順序を決定する点検順序決定部とを有することを特徴とする設備保守点検支援システム。
[請求項4]
 請求項3に記載の設備保守点検支援システムであって、
 前記VHI算出モデル作成部は、前記作成されたモデルを用いて算出される設備健全度への、前記モデルに特徴量として入力される各データの寄与の大きさを表す重要度を算出することを特徴とする設備保守点検支援システム。
[請求項5]
 請求項4に記載の設備保守点検支援システムであって、
 前記点検順序決定部は、
 前記算出された設備健全度が悪い設備を上位の点検順序に並べ替える第1並べ替え処理と、
 前記不確信度を算出する不確信度算出処理と、
 前記算出された不確信度に基づいて、設備の点検順序を並べ替える第2並べ替え処理と、
 将来の設備健全度を算出する将来VHI算出処理と、
 前記算出された将来の設備健全度に基づいて、設備の点検順序を並べ替える第3並べ替え処理とを実行することを特徴とする設備保守点検支援システム。
[請求項6]
 請求項5に記載の設備保守点検支援システムであって、
 前記点検順序決定部は、前記不確信度算出処理において、前記モデルに入力される各データの品質及び前記算出された重要度に基づいて、前記不確信度を算出することを特徴とする設備保守点検支援システム。
[請求項7]
 請求項6に記載の設備保守点検支援システムであって、
 前記点検順序決定部は、前記不確信度算出処理において、前記環境データに含まれる観測値の重要度に基づいて前記不確信度を算出することを特徴とする設備保守点検支援システム。
[請求項8]
 請求項6に記載の設備保守点検支援システムであって、
 前記環境データは、データを観測した観測局の位置情報を含み、
 前記点検順序決定部は、前記不確信度算出処理において、
 前記設備データに含まれる前記設備の位置情報及び前記環境データに含まれる前記観測局の位置情報を用いて、当該観測局と当該設備との距離を算出し、
 前記算出された距離に基づいて前記不確信度を算出することを特徴とする設備保守点検支援システム。
[請求項9]
 請求項6に記載の設備保守点検支援システムであって、
 前記点検順序決定部は、前記不確信度算出処理において、前記設備データに含まれる点検日時に基づいて前記データの品質を算出することを特徴とする設備保守点検支援システム。
[請求項10]
 請求項5に記載の設備保守点検支援システムであって、
 前記点検順序決定部は、前記第2並べ替え処理において、
 所定の順序に並べられた設備をセグメントに分割し、
 前記分割された各セグメント内で、前記算出された不確信度に基づいて設備の点検順序を並べ替えることを特徴とする設備保守点検支援システム。
[請求項11]
 請求項5に記載の設備保守点検支援システムであって、
 前記点検順序決定部は、前記将来VHI算出処理において、
 現在から所定の保全周期が終了するまでの各年の環境データを作成し、
 現在から前記保全周期が終了するまでの各年の設備データを作成し、
 前記作成された各年の環境データ及び前記作成された各年の設備データを用いて将来の設備健全度を算出し、
前記算出された将来の設備健全度に基づいて点検予定年を設定することを特徴とする設備保守点検支援システム。
[請求項12]
 請求項5に記載の設備保守点検支援システムであって、
 前記点検順序決定部は、前記第3並べ替え処理において、
 一年に点検実施可能な設備数に基づいて前記設備の点検予定年を設定し、
 各設備について前記算出された現在の設備健全度と前記算出された点検予定年の設備健全度との差を算出し、
 所定の順序に並べられた設備をセグメントに分割し、
 前記設備健全度の差が所定の閾値より大きい設備を前記セグメント内の上位に並べ替え、
 前記各セグメントにおける設備健全度の平均を算出し、
 設備が所属するセグメントの点検予定年の設備健全度の平均値が設備点検予定年の設備健全度に最も近いかを判定し、
 設備が所属するセグメントの点検予定年のVHI平均値が設備点検予定年のVHIに最も近いものではない場合、平均値が最も近いセグメントの点検予定年に設備の点検予定年を更新し、セグメント内で設備健全度が悪い順に設備を並べ替えることを特徴とする設備保守点検支援システム。
[請求項13]
 請求項1に記載の設備保守点検支援システムであって、
 前記出力部は、
 前記点検順序を決定する前後において、設備の点検時期ごとの設備健全度の平均値を示すグラフと、
 前記点検順序を決定した後の点検順序のリストとを表示する画面データを出力することを特徴とする設備保守点検支援システム。
[請求項14]
 計算機が設備の保守業務における点検順序を決定する設備保守点検支援方法であって、
 前記計算機は、
 所定の処理を実行する演算装置と、前記演算装置に接続された記憶デバイスと、前記演算装置に接続された通信インターフェースとを有し、
 前記設備保守点検支援方法は、
 前記演算装置が、点検順序を決定するための条件を受け付ける入力手順と、
 前記演算装置が、設備が設置されている環境に関する環境データと、点検対象の設備の情報及び点検結果を含む設備データを収集するデータ収集手順と、
 前記演算装置が、前記収集されたデータに基づいて現在及び将来の設備健全度を算出し、前記設備健全度の算出に使用したデータの不確信度を算出し、前記算出された設備健全度及び前記算出された不確信度に基づいて点検順序を決定する演算手順と、
 前記演算装置が、決定された点検順序の結果及び前記決定した点検順序による改善状況を表示する出力手順とを含むことを特徴とする設備保守点検支援方法。

図面

[ 図 1A]

[ 図 1B]

[ 図 2]

[ 図 3A]

[ 図 3B]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]