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1. WO2020080413 - バチルス・プミルスKS-C4株の液体培養物を用いた植物残渣分解剤

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明 細 書

発明の名称 バチルス・プミルスKS-C4株の液体培養物を用いた植物残渣分解剤

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006   0007  

発明の効果

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031  

実施例

0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : バチルス・プミルスKS-C4株の液体培養物を用いた植物残渣分解剤

技術分野

[0001]
本発明は、農作物の収穫後等に生じる植物残渣を効率よく分解するためのバチルス・プミルス菌株を含む植物残渣分解剤、およびそれを用いて植物残渣を分解する方法に関する。

背景技術

[0002]
農作物として栽培された作物は、収穫され可食部と植物体残渣に大きく分けられる。この植物体残渣には、収穫物とともに回収されるものとそのまま圃場に残されるものにさらに分けられる。回収された残渣は、乾燥などを経て稲藁などとして産業利用されるもの、自然発酵などの工程を経て有機物肥料として活用されるもの、焼却などの処理経て廃棄物として処分されるものがある。一方、圃場に残された植物体残渣は、機械などによる鋤きこみなどにより自然分解を促進されるか、そのままの状態で放置される。ここで、回収される植物体残渣や圃場に残される植物体残渣のいずれにおいても、速やかに分解することが処分作業や次の栽培時の作業環境の効率化の点から求められる。また、圃場に残された植物体残渣が分解されて土壌への還元されることで、次に栽培される作物等の養分となる。つまりは、速やかに分解されて土壌中の養分になることで、新たに過度の化成肥料等の施肥が必要なくなることからも環境保全型農業を目指す上で重要となる。
[0003]
このような状況下で、セルロースを分解する能力を有するバチルス属細菌などの微生物を用いて植物残渣を分解・減容する方法が提案されている。例えば、特許文献1ではバチルス・プミルス( Bacillus pumilus)KS-C4株を用いた植物残渣を分解・減容するための資材が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特許第4904122号明細書

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
特許文献1に開示されたバチルス・プミルスKS-C4株は植物残渣を分解する能力に優れる。しかしながら、より分解能力を向上させるために、培養工程や製剤化工程などに改善の余地があった。したがって、本発明は、植物残渣分解能力が向上し、幅広い植物の残渣に適用可能な植物残渣分解剤を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0006]
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、バチルス・プミルスKS-C4株の菌体を用いた植物残渣分解剤を製剤化するにあたり、セルラーゼを高生産する培地にて液体培養後に、培養液をそのまま用いるか、菌体の濃縮操作時に菌体と培養液を完全分離することなくそのまま製剤化することで、より植物残渣分解能力を向上させることができ、幅広い植物の残渣の分解に適用できることを見出し、発明を完成するに至った。
[0007]
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]バチルス・プミルスKS-C4株(FERM BP-10842)の菌体を含む植物残渣分解剤であって、前記菌体はKS-C4株の液体培養物をそのまま、または濃縮処理後、菌体を液体から分離することなく製剤化されたものである、前記植物残渣分解剤。
[2]前記菌体は、前記液体培養物の濃縮処理後、乾燥処理されたものである、[1]の植物残渣分解剤。
[3]粒状製剤、液状製剤、粉状製剤、水和剤、または油剤である、[1]の植物残渣分解剤。
[4]対象植物が野菜類、芝、雑草、穀物類、イモ類、豆類、および果樹を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の植物残渣分解剤。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の植物残渣分解剤で植物残渣を処理することを特徴とする、植物残渣分解方法。
[6]前記植物残渣分解剤で植物残渣を直接処理する、および/または植物残渣が残存する土壌を前記植物残渣分解剤で処理する、[5]に記載の方法。
[7]バチルス・プミルスKS-C4株を液体培養する工程、前記工程で得られた液体培養物を濃縮処理する工程、前記工程で得られた濃縮処理物を使用し、菌体を液体から分離することなく製剤化を行う工程を含む、バチルス・プミルスKS-C4株の菌体を含む植物残渣分解剤の製造方法。
[8]前記製剤化を行う工程は、前記濃縮処理物を乾燥する工程を含む、[7]に記載の製造方法。
[9]バチルス・プミルス ( Bacillus pumilus) KS-C4株(FERM BP-10842)の培養菌体の乾燥処理物であって、前記培養菌体はKS-C4株の液体培養物を濃縮処理後、菌体を液体から分離することなく乾燥処理されたものである、前記乾燥処理物。

発明の効果

[0008]
本発明のバチルス・プミルス KS-C4株を含む微生物製剤は耐熱菌数およびセルラーゼ活性が高いため、植物残渣の分解活性が向上しており、効率よく植物残渣を分解させることができる。本発明の植物残渣分解剤は、野菜類や芝やサッチ、雑草に限らず、コムギやトウモロコシ、イネなどの穀物類、ジャガイモなどのイモ類、ダイズなどの豆類、果樹などの幅広い植物体の残渣を速やかに分解可能にできる。本発明は、作物の栽培作業の効率化、環境循環型農業の促進に貢献するものである。

発明を実施するための形態

[0009]
本発明の植物残渣の分解剤は、バチルス・プミルス KS-C4株(FERM BP-10842)の菌体を含む植物残渣分解剤であって、前記菌体はKS-C4株の液体培養物をそのまま、または濃縮処理後、菌体を液体から分離することなく製剤化されたものであることを特徴とする。分離することなくとは、菌体と液体を分ける操作、例えば、遠心分離操作を行わないことをいう。
[0010]
バチルス・プミルスKS-C4株は、本発明者らによって、埼玉県のゴルフ場の土壌から分離された菌株であり、植物残渣を分解する能力を持つことを特徴とする。
[0011]
KS-C4株は、平成18年8月2日に、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)(現:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター(IPOD)(千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室))に受託番号FERM P-20978で寄託され、その後、ブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、国際寄託番号FERM BP-10842が付与された。
[0012]
バチルス・プミルス KS-C4株の菌学的性質は以下のとおりである。
KS-C4株は、セルラーゼ活性及びペクチナーゼ活性を有している。セルラーゼ活性及びペクチナーゼ活性を有するとは、菌体を培養して得られた培養物中にセルラーゼ活性及びペクチナーゼ活性を検出することができる程度にこれらの酵素を産生することをいう。具体的には、細胞内でセルラーゼ及びペクチナーゼを産生し、細胞壁の外側に産生セルラーゼ及び産生ペクチナーゼを付着しているか、細胞外に産生セルラーゼ及び産生ペクチナーゼを分泌することをいう。
[0013]
セルラーゼは、セルロースのβ1→4グルコシド結合を加水分解する酵素である。セルラーゼは、セルロース鎖をランダムに分解するエンドグルカナーゼ、及びセルロースの還元末端からセルロース鎖を分解し、セロビオースを生成するセロビオヒドロラーゼの両方を含む。ペクチナーゼは、ペクチン、ペクチニン酸、ペクチン酸を構成するポリガラクツロン酸のα1→4結合を加水分解する酵素である。
これらの酵素の働きにより、植物残渣に菌体を投入した場合に、その植物残渣に含まれる植物体を構築している多糖類を栄養源として増殖し、その結果、植物残渣の固形分の質量や体積を減少させることができる。
[0014]
KS-C4株の16S rRNA遺伝子のDNA塩基配列を配列番号1に示す。
なお、本発明に用いるKS-C4株は、植物残渣分解能を有する限り、KS-C4株から誘導される変異株であってもよい。例えば、16S rRNA遺伝子のDNA塩基配列が配列番号1と1~数塩基、例えば、1~5塩基、1~3塩基、1~2塩基または1塩基異なっていても、16S rRNA遺伝子のDNA塩基配列が配列番号1である元のKS-C4株と同等以上の植物残渣分解活性を有していれば、本発明の植物残渣分解剤に含有されるKS-C4株の範囲に含まれる。
[0015]
KS-C4株の変異株は、KS-C4株を自然変異させたり、化学的変異剤や紫外線等で変異処理して得られた菌株から、KS-C4株の植物残渣を分解する能力が、KS-C4株と同等又は増強されている菌株を選抜することにより得ることができる。
[0016]
本発明の植物残渣分解剤は、前記KS-C4株のセルラーゼを高生産する培地にて液体培養物をそのまま、または濃縮処理後、菌体を液体から分離することなく製剤化することで得られる。
[0017]
KS-C4株は、通常、バチルス・プミルスの培養に用いられる方法により液体培養することができる。例えば、培養温度は通常は10~50℃、好ましくは30~40℃である。培養時間は十分な菌体量が得られる時間であればよく特に制限はないが、例えば、20~72時間である。また、培養方法は、往復動式振とう培養、ジャーファーメンター培養などによる液体培養法を用いることができる。
培養に用いる液体培地は、培養に適した濃度の、炭素源および窒素源などの培地成分を含んだ一般的な液体培地を使用することができる。
例えば、炭素源しては、糖(でんぷん、グルコース、ラクトース、グリセロール、アラビノース、リボース、キシロース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、イノシトール、マンニトール、ソルビトール、グルコサミン、N-アセチルグルコサミン、セロビオース、マルトース、スクロース、トレハロース、キシリトールなど)もしくは糖源原料、アルコール、有機酸、有機酸塩、アルカンまたは他の一般的な炭素源が例示され、窒素源としては、大豆由来成分、酵母由来成分、コーン由来成分、動植物タンパク質およびその分解物、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム等のアンモニウム塩、アンモニア、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、グルタミン酸ナトリウム、尿素等が例示される。炭素源および窒素源以外の培地成分としては、微量金属塩、アミノ酸、ビタミン等が挙げられ、また、培養を効率的に行うため消泡剤も必要に応じて適宜添加することができる。このような液体培地の中でも窒素源および炭素源を高濃度に含有し、上記の中から選択される炭素源を1(重量)%以上、同様に窒素源として1(重量)%以上含む培地が望ましい。
[0018]
培養後、液体培地と菌体を含む液体培養物をそのまま製剤化に用いてもよいが、製剤化に用いる前に菌体の濃度を上げるため、液体培地と菌体を分離せずに濃縮操作を行うことが好ましい。
ここで、濃縮とは、菌体を含んだ状態で、液体培地中の分泌酵素、特にセルラーゼの総量をある程度維持しつつ液体培地の量を減少させる操作を意味する。濃縮は遠心分離や濾過、限外濾過膜を用いる方法や、エバポレーターによる減圧濃縮などによって行うことができる。また、乾燥処理によって濃縮することもできる。
菌体量を維持し、かつ分泌酵素、特に高いセルラーゼ活性を維持しながら液体培地を濃縮させるためには、液体培地の容量を培養に使用した容量の1/2以下に減少させることが好ましく、1/4以下に減少させることがより好ましく、1/8以下に減少させることがさらに好ましい。なお、液体培地と菌体とを製剤化に使用するため、液体培地と菌体とが完全に分離されないように、濃縮処理後、液体培地は培養に使用した容量の1/400以上残存することが好ましく、セルラーゼを特に高含有させる場合は、1/100以上残存させることが望ましい。
[0019]
本発明の植物残渣分解剤を液剤として調製する場合は、液体培養物をそのまま用いるか、濃縮操作後に得られた菌体と濃縮液を含む濃縮処理物をそのまま製剤に使用してもよいが、通常は、液体培養物、または濃縮処理物を乾燥させてから製剤化することが好ましい。乾燥は、植物残渣分解剤の水分含有量が10質量%以下となるように行うことが好ましい。乾燥方法は特に制限されず、自然乾燥、通風乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥などが挙げられるが、この中でも噴霧乾燥及び凍結乾燥が好ましく用いられる。乾燥時、スキムミルク、グルタミン酸ナトリウム及び糖類などの保護剤を用いることができる。
[0020]
なお、上記濃縮処理物を乾燥させてから製剤化する場合、濃縮処理物を乾燥させた状態におけるセルラーゼの酵素量は10~10000U/gであることが好ましく、100~10000U/gであることがより好ましい。また、上記濃縮処理物を乾燥させた状態における菌含有量は1×10 6~1×10 13CFU/gであることが好ましく、1×10 7~5×10 12CFU/gであることがより好ましい。
[0021]
なお、セルラーゼ活性の1単位、1ユニット(U)は、セルラーゼ基材(カルボキシルメチルセルロースやセルロース性のろ紙など)をpH6.0からpH7.0、25℃から30℃の間の一定の反応条件下において、1分間に1μmolのグルコース相当の還元糖を生成する量として定義する。また、測定においては、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて還元糖量を測定してもよく、Somogyi-Nelson法やDNS法などの比色定量法を用いて還元糖量を測定してもよい。または、蛍光基質を用いたMarkerGene(商標) Fluorescent Cellulase Assay Kitなどを用いて、精製酵素より算出される標準曲線からセルラーゼ活性を算出してもよい。
[0022]
上記のような液体培養物、濃縮処理物、またはその乾燥処理物を必要に応じて希釈して植物残渣分解剤として製剤化すればよい。
[0023]
本発明の植物残渣分解剤の単位重量当たりのKS-C4株の菌含有量は、1×10 3~1×10 13CFU/gであることが好ましく、1×10 4~5×10 12CFU/gであることがより好ましい。例えば、植物残渣に適用する際に希釈して使用される態様の場合は、菌含有量が1×10 7~5×10 12CFU/gであることが好ましく、植物残渣に適用する際に希釈せずに使用される態様の場合は、菌含有量が1×10 4~1×10 7CFU/gであることが好ましい。
[0024]
本発明の植物残渣分解剤の単位重量当たりの酵素含有量は、セルラーゼの酵素量が0.001~10000U/gであることが好ましく、0.001~5000U/gであることがより好ましい。例えば、植物残渣に適用する際に希釈して使用される態様の場合は、セルラーゼの酵素量が1~10000U/gであることが好ましく、植物残渣に適用する際に希釈せずに使用される態様の場合は、セルラーゼの酵素量が0.001~10U/gであることが好ましい。
[0025]
本発明の植物残渣の分解剤に含まれるKS-C4株の菌体は、胞子の状態であってもよいし、栄養細胞の状態であってもよい。通常は、保存性や耐熱性の観点から胞子の状態であることが好ましい。胞子を形成させる場合は、培養の周期において、培地の組成、培地のpH、培養温度、培養湿度、培養する際の酸素濃度などの培養条件を、その胞子形成条件に適合させるように調整すればよい。
[0026]
液体培養物、濃縮後に得られた、菌体と濃縮液を含む濃縮処理物又はその乾燥物はそのまま製剤としてもよいが、他の担体等と混合して製造することができる。
[0027]
例えば、上記液体培養物、濃縮処理物又はその乾燥物に、液体担体、固体担体、界面活性剤(乳化剤、分散剤、消泡剤等)、補助剤などの任意の物質を加えて製剤化することができる。すなわち、本発明の植物残渣の分解剤は、液体担体、固体担体、界面活性剤(乳化剤、分散剤、消泡剤等)、補助剤などを含むものであってよい。
これらの任意の物質は、環境上安全なものであれば特に制限されず、通常土壌散布剤、肥料などに用いられているものを用いることができる。液体担体としては、例えば、リン酸緩衝液、炭酸緩衝液、生理食塩水等が挙げられる。また、固体担体としては、例えば、カオリン、粘土、タルク、チョーク、石英、パリゴルスカイト(アタパルジャイト)、モンモリロナイト、珪藻土等の天然鉱物粉末、ケイ酸、アルミナ、ケイ酸塩等の合成鉱物粉末、結晶性セルロース、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸等の高分子性天然物が挙げられる。また、界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン・脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン・脂肪アルコールエーテル、アルキルアリールポリグリコールエーテル、アルキルスルフォネート、アルキルサルフェート、アリールスルフォネート等が挙げられる。補助剤としては、例えば、グリセロール、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、アラビアゴム、デンプン、乳糖などが挙げられる。
[0028]
本発明の植物残渣の分解剤の剤形は通常の微生物製剤に適用しうる剤型であれば特に制限されないが、例えば、粒状製剤、液状製剤、粉状製剤、水和剤、または油剤が挙げられる。
[0029]
本発明の植物残渣の分解剤で植物残渣を処理することにより、植物残渣を分解することができる。ここで、「植物残渣」とは、植物の葉、茎、花、根などの植物体の少なくとも一部を含み、かつ除去、分解が必要とされるものを意味する。例えば、芝やサッチ、オガクズ、バーク、剪定材等などの木質物、イナワラ、ムギワラなどのワラ類、モミガラ、フスマなどの穀物残渣、農作物等の収穫残渣、農作物等の土壌中の根部残渣、野菜などの植物を含む家庭の生ゴミ、植物を摂食する家畜の糞、食品産業廃棄物などが含まれる。
この中でも、本発明の植物残渣の分解剤は、農作物等の収穫残渣、特に、コムギやトウモロコシ、イネなどの穀物類、ジャガイモなどのイモ類、ダイズなどの豆類の残渣の分解に好適に使用することができる。
[0030]
本発明の植物残渣分解剤による処理は、植物残渣を直接処理することでもよいし、植物残渣が残存する土壌を処理してもよい。投入方法は、対象とする植物残渣が存在する場所や面積、さらには分解剤の剤型などに応じて、適当な方法をとることができる。例えば、植物残渣が堆積している状態のところに植物残渣分解剤を投入したり、植物残渣が存在する場所の土壌中に植物残渣分解剤を散布又は混合してもよい。植物残渣分解剤は必要に応じ、希釈して適用することもできる。
[0031]
本発明の植物残渣分解剤の使用量は、KS-C4株が死滅せず増殖可能な菌体数を有している限りにおいて特に制限されない。例えば、乾燥粉末に換算した場合の濃度が、通常は0.1~50g/m 2、好ましくは0.5~10g/m 2、又は0.1~100g/m 3、好ましくは0.5~20g/m 3となるように投入することが好ましい。
実施例
[0032]
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。しかしながら、以下の実施例はあくまでも本発明の一態様にすぎず、本発明は以下の実施態様には限定されない。
[0033]
<菌体乾燥物の調製>
普通寒天培地上に生育させたKS-C4株のコロニーより1白金耳を取って表1に記載の培地100mlに植菌した。培地はそれぞれ100mLずつ作成し、オートクレーブ滅菌を行った。なおメイラード反応を避けるため、グルコースは別途滅菌の上、無菌的に混合した。植菌した後、30℃、150rpmで振とう培養を44時間行った。その後、培養液を2L分集め、3000rpm、15分の遠心分離により菌体液を500mLまで濃縮した(1500mLの上清を廃棄)。得られた菌体を含む濃縮液をスプレードライヤーにて乾燥させ、菌体乾燥物を調製した。
[0034]
[表1]


[0035]
<耐熱菌数の測定>
上記の調製工程における、培養液、濃縮物、乾燥物、それぞれにおける耐熱菌数を以下の方法により測定したところ、表2のようになった。すなわち、菌体培養液を濃縮、乾燥することにより100倍以上に耐熱菌数を高めることができた。
[0036]
なお、耐熱菌数測定法は以下のとおりである。
各サンプルを80℃10分間インキュベートした後に、平板希釈法にて耐熱菌数を測定した。スプレードライ後のサンプルに関しては滅菌水にて希釈後用いた。
[0037]
[表2]


[0038]
<セルラーゼ活性の測定>
比較例としてKS-C4株をブイヨン培地(肉エキス、ペプトン、KH 2PO 4、MgSO 4を含む液体培地)を用いて30℃で2日間培養し、得られた液体培養物を種菌として、固体培養物の基材である丸ダイズ(オートクレーブ121℃、30分間滅菌)に接種し、30℃で2日間培養した。ここで得られたそれぞれの菌株の固体培養物を室温で風乾した後、ミルを用いて粉砕して菌体乾燥物を得た。
上記の実施例でKS-C4株を液体培養後、濃縮して乾燥させて得られた菌体乾燥物と、比較例の菌体乾燥物について、セルラーゼ活性を比較した。
[0039]
具体的には、各菌体乾燥物について、重量を揃えたうえで希釈を行い、CMC(カルボキシメチルセルロース)を含有する寒天培地に塗布し、一定時間培養後、CMCの分解をコンゴーレッドにて染色することで透明なハロとして検出した。
結果を表3に示す。その結果、液体培養物を濃縮・乾燥したものの方が、顕著にセルラーゼ活性が高いことが分かった。
[0040]
[表3]


[0041]
<植物残渣分解試験>
試験に供試した植物残渣は以下の通りである。
イネ 品種 コシヒカリ 水稲用育苗培土(平成培土)にてポット栽培後、地上部を回収し乾燥したもの
コムギ 品種 さとのそら 園芸用培土(げんきくん一号)にてポット栽培後、地上部を回収し乾燥したもの
ダイズ 品種 ゆきほまれ 園芸用培土(げんきくん一号)にてポット栽培後、地上部を回収し乾燥したもの
バレイショ 品種 トヨシロ 園芸用培土(げんきくん一号)にてポット栽培後、葉を乾燥したもの
トウモロコシ 品種 38V52 園芸用培土(げんきくん一号)にてポット栽培後、地上部を乾燥したもの
[0042]
乾燥した植物残渣を1~2cmの切片に切り、滅菌水中に浸漬させた。後述の各種製剤を残渣乾燥重量当り1gあたり、菌体数が10 8cfuとなるよう添加した後、30℃30日間で培養した。
培養後、残っている植物残渣を回収し、80℃で乾燥後、乾燥重量を測定した。
試験は各処理区3反復で行い、処理後の平均乾燥重量を算出した。処理前の平均植物残渣重量からの減少率を算出し、分解率とした。
分解率(%)=処理後の植物残渣の平均乾燥重量/処理前の植物残渣の平均乾燥重量×100
[0043]
結果を表4~8に示す。なお、粉剤は粉剤1を用いた。
その結果、本発明の分解剤ではいずれの植物残渣に対しても、固体培養物の分解剤と比べて顕著に高い分解度を示すことが分かった。
[0044]
[表4]


[0045]
[表5]


[0046]
[表6]


[0047]
[表7]


[0048]
[表8]


[0049]
<製剤の製造例>
 普通寒天培地上に生育させたKS-C4株のコロニーより1白金耳を取って表1に記載の培地100mlに植菌した。培地はそれぞれ100mLずつ作成し、オートクレーブ滅菌を行った。なおメイラード反応を避けるため、グルコースは別途滅菌の上、無菌的に混合した。植菌した後、30℃、150rpmで振とう培養を44時間行った。その後、培養液を2L分集め、3000rpm、15分の遠心分離により菌体液を500mLまで濃縮した(1500mLの上清を廃棄)。得られた菌体を含む濃縮液をスプレードライヤーにて乾燥させ、菌体乾燥物を調製した。
[0050]
<粉剤1>
KS-C4株の液体培養菌体が製剤中に5×10 8cfu/g含有されるようにHAカオリンクレーと混合し、ミキサーで粉砕し粉剤を調製した。
[0051]
<水和剤>
ソルポール5082が製剤中に10%、大豆粉が製剤中に3%含有され、KS-C4株の液体培養菌体が製剤中に5×10 8cfu/g含有されるようにHAカオリンクレーと混合し水和剤を調製した。
[0052]
<粉剤2>
大豆粉が製剤中に3%含有され、KS-C4株の液体培養菌体が製剤中に5×10 8cfu/g含有されるように一度適当量の水に希釈した後に、軽石に噴霧処理を行ったのちに、風乾燥を行い、粉剤を調製した。
[0053]
<乳化剤>
乳化剤を5%添加しKS-C4株の液体培養菌体が製剤中に5×10 8cfu/g含有されるように大豆油と混合することでと混合し、油剤を調製した。
[0054]
<液剤>
グリセリンが10%、Tween-20が製剤中に10%含有され、KS-C4株の液体培養菌体が製剤中に5×10 8cfu/g含有されるように水と混合することで、液剤を調製した。
[0055]
<固体培養物>
比較例としてKS-C4株をブイヨン培地(肉エキス、ペプトン、KH 2PO 4、MgSO 4を含む液体培地)を用いて30℃で2日間培養し、得られた液体培養物を種菌として、固体培養物の基材である丸ダイズ(オートクレーブ121℃、30分間滅菌)に接種し、30℃で2日間培養した。得られた培養物を室温で風乾した後、ミルを用いて粉砕して菌体乾燥物を固体培養物として使用した。

請求の範囲

[請求項1]
バチルス・プミルス ( Bacillus pumilus) KS-C4株(FERM BP-10842)の菌体を含む植物残渣分解剤であって、前記菌体はKS-C4株の液体培養物をそのまま、または濃縮処理後、菌体を液体から分離することなく製剤化されたものである、前記植物残渣分解剤。
[請求項2]
前記菌体は、前記液体培養物の濃縮処理後、乾燥処理されたものである、請求項1に記載の植物残渣分解剤。
[請求項3]
粒状製剤、液状製剤、粉状製剤、水和剤、または油剤である、請求項1に記載の植物残渣分解剤。
[請求項4]
対象植物が野菜類、芝、雑草、穀物類、イモ類および豆類、果樹を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の植物残渣分解剤。
[請求項5]
請求項1~4のいずれか一項に記載の植物残渣分解剤で植物残渣を処理することを特徴とする、植物残渣分解方法。
[請求項6]
前記植物残渣分解剤で植物残渣を直接処理する、および/または植物残渣が残存する土壌を前記植物残渣分解剤で処理する、請求項5に記載の方法。
[請求項7]
バチルス・プミルスKS-C4株を液体培養する工程、前記工程で得られた液体培養物を濃縮処理する工程、前記工程で得られた濃縮処理物を使用し、菌体を液体から分離することなく製剤化を行う工程を含む、バチルス・プミルスKS-C4株の菌体を含む植物残渣分解剤の製造方法。
[請求項8]
前記製剤化を行う工程は、前記濃縮処理物を乾燥する工程を含む、請求項7に記載の製造方法。
[請求項9]
バチルス・プミルス ( Bacillus pumilus) KS-C4株(FERM BP-10842)の培養菌体の乾燥処理物であって、前記培養菌体はKS-C4株の液体培養物濃縮処理後、菌体を液体から分離することなく乾燥処理されたものである、前記乾燥処理物。