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1. WO2020066715 - 腐食性評価装置とその方法

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明 細 書

発明の名称 腐食性評価装置とその方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

非特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011  

発明の効果

0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074  

符号の説明

0075  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : 腐食性評価装置とその方法

技術分野

[0001]
 本発明は、環境によって金属が腐食される程度の大きさを表す腐食性を評価する腐食性評価装置とその方法に関する。

背景技術

[0002]
 我々の生活を支えるインフラ設備は、種類も多く、数も膨大である。加えて、インフラ設備は、市街地だけでなく、山岳地、海岸付近、温泉地、及び寒冷地等の多様な環境に曝されている。このように様々な環境に曝されるインフラ設備の保全には、点検による劣化の現状把握や、予測推定技術を踏まえた効率的な運用が必要になる。
[0003]
 例えば、地上の大気環境に曝露されるインフラ設備も多い。これらのインフラ設備は、風雨等に曝されることで、それぞれの環境に応じた速さで腐食が進行する。
[0004]
 また、水中に設置されたインフラ設備も、その環境特有の速さで腐食する。また、鋼管柱、支持アンカー、地中鋼配管等に代表されるように、全体または一部を地中に埋設した状態で使用される地中設備も多い。
[0005]
 地中設備が埋設される土壌の腐食性を評価する規格としては、例えば、ANSI(American National Standards Institute)及びDVGW(ドイツガス水道協会)が知られている(非特許文献1)。

先行技術文献

非特許文献

[0006]
非特許文献1 : 角田知巳ほか1名、「土壌の腐食性を評価するための視点」、防蝕技術、Vol.36, pp.168-177(1987).

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 ANSIとDVGWのどちらも、腐食性を評価したい土壌について、抵抗率、pH、及び水分量など、腐食に寄与する環境因子を測定し、それらの結果を総合的に取り入れて評価する方法である。しかしながら、いずれも定性的な評価にとどまり、例えば劣化予測に用いるために必要な定量的評価を行うことが難しい。また、得られた結果が実態と合わない場合も多いことが指摘されている(非特許文献1)。
[0008]
 つまり、現状では、金属が配置される環境の腐食性を定量的に評価できる装置及び方法が存在しないという課題がある。
[0009]
 本発明は、この課題に鑑みてなされたものであり、金属が配置される環境の腐食性を定量的に評価できる腐食性評価装置とその方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明の一態様に係る腐食性評価装置は、環境によって金属が腐食される程度の大きさを表す腐食性を評価する腐食性評価装置であって、前記環境に配置され、少なくとも1種類の前記金属を含む電極部と、前記環境の水分量の1サイクルの変化から、該変化の間の前記金属の腐食速度、又は前記金属の腐食速度に関連する値を測定する測定部と、前記測定部で測定された前記値から、前記金属の腐食量、又は前記金属の腐食量に関連する値を計算する計算部とを備えることを要旨とする。
[0011]
 また、本発明の一態様に係る腐食性評価方法は、上記の腐食性評価装置が実行する腐食性評価方法であって、少なくとも1種類の前記金属が配置される環境の水分量の1サイクルの変化から、該変化の間の前記金属の腐食速度、又は前記金属の腐食速度に関連する値を測定する測定ステップと、前記測定ステップで測定された前記値から、前記金属の腐食量、又は前記金属の腐食量に関連する値を計算する計算ステップとを行うことを要旨とする。

発明の効果

[0012]
 本発明によれば、金属が配置される環境の腐食性を定量的に評価することができる。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 本発明の実施形態に係る腐食性評価装置の機能構成例を示す図である。
[図2] 図1に示す腐食速度推定装置の動作フローを示す図である。
[図3] 降雨と土壌含水率の関係を模式的に示す図である。
[図4] 降雨と土壌中の金属の腐食速度との関係を模式的に示す図である。
[図5] ナイキスト線図を模式的に示す図である。
[図6] 電荷移動抵抗を計算するのに仮定する等価回路の例を示す図である。
[図7] 電荷移動抵抗を計算するのに仮定する等価回路の例を示す図である。
[図8] 時間と、腐食速度に比例する値(1/Rct)の関係を模式的に示す図である。
[図9] 収容部の例を模式的に示す図である。
[図10] 他の収容部の例を模式的に示す図である。

発明を実施するための形態

[0014]
 以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。複数の図面中同一のものには同じ参照符号を付し、説明は繰り返さない。
[0015]
 図1は、本発明の実施形態に係る腐食性評価装置の機能構成例を示す図である。図1に示す腐食性評価装置100は、環境によって金属が腐食される程度の大きさを表す腐食性を評価する装置である。この腐食性は、環境の腐食性である。
[0016]
 環境の腐食性とは、インフラ設備が配置される例えば土壌のその設備を腐食させる程度の大きさを表す性質である。例えば、設備を速く腐食するのであれば腐食性が高い、また、設備の腐食が遅いのであれば腐食性は低いと称する。腐食性評価装置100は、インフラ設備が配置される環境の腐食性の大きさを定量的に評価するものである。
[0017]
 図1において、環境の表記は省略している。環境は、土壌、水、及び大気の何れの環境であっても良い。以降の説明では、土壌を例に説明する。
[0018]
 腐食性評価装置100は、電極部10、測定部20、及び計算部30を備える。電極部10は、環境に間隔を空けて配置される2つ以上の金属を含む。
[0019]
 図2は、腐食性評価装置100の処理手順を示すフローチャートである。図1と図2を参照してその動作を説明する。
[0020]
 図1に示す電極部10は、例えば、評価対象の金属片(金属10a,10b)を2つ、環境内に配置した例を示す。金属10a,10bは、同一種類の金属である。つまり、電極部10は、環境に配置され、少なくとも1種類の金属を含む。
[0021]
 図1に示す例では評価対象の土壌に埋設される。なお、金属10a,10bの大きさ厚さを含む形状に特に制限はない。
[0022]
 測定部20は、環境の水分量の1サイクルの変化から、該変化の間の金属10a,10bの腐食速度、又は金属10a,10bの腐食速度に関連する値を測定する(ステップS1)。水分量の1サイクルの変化は、例えば、土壌の含水率が100%~0%に推移することである。なお、上限は100%に限られない。また、下限も0%に限られない。
[0023]
 環境の水分量の1サイクルの変化は、腐食速度を測定する間隔と期間を適切に設定することで捉えることができる。例えば、水はけの良い土壌であれば1日程度の測定期間及び数時間の測定間隔で、1サイクルの水分量の変化に対応させた腐食速度を測定することが可能である。
[0024]
 環境は、この例では土壌である。土壌は、SiやAl、Ti、Fe、Caなどの酸化物等からなる土壌粒子と、土壌粒子の間隔内に存在する気相及び液相(水)から構成される3相共存環境である。土壌中の気相の割合と液相の割合の合計は、一定と考えることができ、一方が高まればもう一方は低くなる相反関係にある。また、土壌腐食反応には、基本的に水と酸素が必要であり、これらの状態に依存した腐食速度で腐食が進行する。
[0025]
 したがって、土壌中を占める水の割合を指す土壌含水率は、腐食速度に寄与する主要な環境因子であり、土壌含水率と共に腐食速度は変化するといえる。
[0026]
 土壌含水率は、地中のよほど深い位置でない限り、常に一定に保持されているわけではない。土壌含水率は、例えば降雨などの自然現象に応じて変化する。
[0027]
 図3は、降雨と土壌含水率の関係を模式的に示す図である。図3の横軸は経過時間である。図3に示すように、土壌含水率の増減は降雨とよく連動しており、降雨時に急激に増加し、雨が止むと徐々に減少するというサイクルを繰り返す。したがって、腐食速度の経時的な変化も、降雨を起点としたサイクルの繰り返しになると考えることができる。
[0028]
 図4は、降雨と土壌中の金属の腐食速度の関係を模式的に示す図である。ここで、1サイクルとは、降雨から次の降雨までの期間を指している。降雨間隔によって1サイクルの時間の長さは異なる。
[0029]
 なお、土壌含水率の他にも腐食速度に寄与する因子は多い。例えばpH値及び各種イオン量がある。これらイオン種は、基本的に土壌中から水に溶出したものであるため、土壌と含水率を定めればpH値及び各種イオン量は一義的に定まる。したがって、これらの因子の時間的な変動も降雨を起点としてサイクル的に変化するものと考えられる。
[0030]
 測定部20は、この1サイクルの土壌含水率の変化の間の金属10a,10bの腐食速度、又は金属10a,10bの腐食速度に関連する値を測定する。具体的な測定方法については後述する。なお、測定部20は、電極部10の金属10a,10bの腐食速度等を測定するが、その腐食速度は金属10a,10bが配置された環境との相互作用によって決定されるものである。したがって、測定部20で測定した腐食速度等は、環境の腐食性の程度の大きさを表すことになる。
[0031]
 計算部30は、測定部20で測定された値から、金属10a,10bの腐食量、又は金属10a,10bの腐食量に関連する値を計算する(ステップS2)。計算部30は、1サイクルの土壌含水率の変化の間に測定された腐食速度、又は腐食速度に関連する値から、腐食量、又は腐食量に関連する値を計算する。計算した値はそのまま外部に出力しても良いし、何らかの基準値と比較して腐食性の大小を判定するようにしても良い。この腐食性の大小は、上記のように金属10a,10bが配置される環境の腐食性を表す。
[0032]
 以上説明したように本実施形態に係る腐食性評価装置100は、環境によって金属10a,10bが腐食される程度の大きさを表す腐食性を評価する腐食性評価装置であって、環境に間隔を空けて配置される2つ以上の金属10a,10bを含む電極部10と、環境の水分量の1サイクルの変化から、該変化の間の金属10a,10bの腐食速度、又は金属10a,10bの腐食速度に関連する値を測定する測定部20と、測定部20で測定された値から、金属10a,10bの腐食量、又は金属10a,10bの腐食量に関連する値を計算する計算部30とを備える。これにより、環境の腐食性を定量的に評価することができる。環境の腐食性は、1サイクルの水分量の変化から求められる。したがって、短時間で環境の腐食性を定量的に評価することができる。
[0033]
 次に、腐食性評価装置100の各機能構成部について詳しく説明する。
[0034]
 (電極部)
 電極部10は、測定部20における電気化学的測定において必要な数の電極を備える必要がある。例えば、2電極法による交流インピーダンス測定を行う場合は、図1に示すように金属10a,10bを備えたものとする。
[0035]
 金属10a,10bは、評価対象の土壌に直接埋設する。なお、評価対象の土壌のサンプルを入手し、土壌サンプルに金属10a,10bを挿入して腐食性を評価しても良い。土壌サンプルを用いて評価する方法については後述する。
[0036]
 また、3電極法による交流インピーダンス測定を行う場合は、作用極、対極、及び参照極を設ける。この場合、対極には白金、カーボンシート等、参照極にはAg/AgCl電極、硫酸銅電極等を用いる。なお、3電極法による交流インピーダンス測定は周知である。
[0037]
 (測定部)
 測定部20は、交流インピーダンス測定機能を有する。交流インピーダンス測定は、環境内に配置された金属を電極とし、電極間に微少電圧もしくは電流を交流で印加し、電気的な応答を測定する。なお、金属は、上記のような2つの金属10a,10bに限られない。
[0038]
 金属に印加する電圧もしくは電流は、金属の表面が変化しないように微少にするのがよい。例えば、電圧で±5mV程度である。周波数は、例えば0.1Hz~数kHzの幅で変化させる。
[0039]
 交流インピーダンス測定を行うことでナイキスト線図を得ることができる。図5に、ナイキスト線図を模式的に示す。ナイキスト線図の横軸は実部、縦軸は虚部である。ナイキスト線図を元に、所定の等価回路に基づいてカーブフィッティングすることで電荷移動抵抗を導く。
[0040]
 図6と図7は、電荷移動抵抗を計算するのに仮定する等価回路の例である。どちらの図も(a)は、3電極で交流インピーダンスを測定した場合の等価回路である。(b)は、2電極で交流インピーダンスを測定した場合の等価回路である。
[0041]
 図中の電荷移動抵抗Rctは、土壌に埋設された金属の腐食反応の抵抗を表す。電気二重層C dlは、金属と土壌の界面に存在する容量である。抵抗成分R S1,R S2は、土壌及びその他の抵抗を表す。容量C は、土壌の容量成分である。ワールブルグインピーダンスZ (図7)は、拡散過程によるインピーダンスである。なお、カーブフィッティングする際は、電気二重層C dlと容量C はCPE(Constant Phase Element)に置き代えてもよい。
[0042]
 図6と図7に示す等価回路によれば、図5に示すようにナイキスト線図の上に理論上二つの円弧が描かれる。高周波数側の円弧は土壌に由来する。低周波数側の円弧は腐食反応に起因するものである。
[0043]
 電荷移動抵抗Rctは、ナイキスト線図の低周波数側の円弧が横軸(実部)と交差する幅で与えられる。なお、2電極で交流インピーダンスを測定した場合の電荷移動抵抗Rctは、その幅の半分の値である。
[0044]
 腐食速度は、電荷移動抵抗Rctの逆数に比例する。腐食速度は、金属表面の単位面積上で単位時間当たりにイオン化する量、すなわち電流密度と同義である。腐食電流密度は、Stern-Gearyの式として知られる分極抵抗の原理から、導出した電荷移動抵抗Rctの逆数と比例定数Kを用いることで求められる(参考文献:「電気化学的手法を中心とした土壌腐食計測(その2)」、材料と環境,Vol. 46,p.610-619(1967))。
[0045]
 比例定数Kは実験で求めてもよい。対象とする土壌における金属のアノード分極試験及びカソード分極試験の結果から予め比例定数Kを求める。
[0046]
 比例定数Kを用いることで、電荷移動抵抗Rctの逆数から、腐食電流密度(腐食速度)を算出することができる。また、腐食電流密度から重量減肉速度や体積減肉速度等の腐食速度に関連する値を算出するようにしてもよい。
[0047]
 このように測定ステップ(ステップS1)で測定した1回のインピーダンス測定結果から、一つの腐食速度、又は一つの腐食速度に比例する値(1/Rct)を得ることができる。
[0048]
 図8は、1回の給水と排水の1サイクルの水分量の変化に対応する時間と、腐食速度に比例する値(1/Rct)の関係を模式的に示す図である。図8の横軸は1回の給水と排水の1サイクルの水分量の変化に対応する時間、縦軸は腐食速度に比例する値(1/Rct)である。
[0049]
 測定部20は、所定時間毎に電荷移動抵抗Rctを測定する。また1サイクルにかかる時間は、対象とする土壌の排水性の善し悪しによって異なる。例えば、1サイクルの時間は数時間の場合もあるし、排水が悪く常に湿潤しているような土壌では日単位の時間となる。また所定時間は任意に定めてもよいが、1サイクルで複数回の測定を実施することが好ましいため、土壌の水はけに応じて所定時間を調整するのがよい。
[0050]
 所定時間を例えば1時間と仮定すると、測定部20は18時間で図8に示す電荷移動抵抗Rctの測定を終了する。測定部20は、測定した電荷移動抵抗Rctから腐食速度(腐食電流密度)を計算してもよいし、重量減肉速度や体積減肉速を計算してもよい。
[0051]
 (計算部)
 計算部30は、測定部20で測定された腐食電流密度(腐食速度)又は重量減肉速度等の値から、金属の腐食量又は腐食量に関連する値を求める。求めた腐食量又は腐食量に関連する値は、外部に出力される。
[0052]
 計算部30は、腐食速度又は腐食速度に比例する値の時間変化を、関数f(t)でフィッティングし、関数f(t)を積分して腐食量を求める。求めた腐食量の大きさで土壌(環境)の腐食性を評価することができる。
[0053]
 以上説明したように本実施形態に係る腐食性評価方法は、2以上の金属が配置される環境の水分量の1サイクルの変化から、該変化の間の例えば金属10a,10bの腐食速度、又は例えば金属10a,10bの腐食速度に関連する値を測定する測定ステップ(S1)と、測定ステップで測定された値から、上記の金属の腐食量、又は上記の金属の腐食量に関連する値を計算する計算ステップ(S2)とを行う。これにより、環境の腐食性を、定量的に且つ短時間で評価することができる。
[0054]
 表1に、腐食性評価装置100で求めた腐食量の例を示す。
[0055]
[表1]


[0056]
 土壌(1)は赤土、土壌(2)は灰色低地土、土壌(3)は黒土、土壌(4)は泥炭土である。腐食量の単位は、腐食速度に比例する値(1/Rct)に時間を乗じたものである。
[0057]
 表1に示すような腐食量が計算されたとすると、腐食性は(4)>(2)>(3)>(1)の順で大きい。腐食性は表1に示すように定量値で評価しても良いし、基準を設け、基準と比較して評価するようにしても良い。
[0058]
 例えば、計算部30で計算した腐食量等が入力される評価部(図示せず)を備え、評価部が備える基準値を上回れば腐食性有り、基準値を下回れば腐食性無し、と評価しても良い。基準値は、表1に示す例であれば例えば0.010といった値である。
[0059]
 なお、求めた値そのものを比較せず、腐食量又は腐食量に比例する値から別の評価基準値に変換するようにしても良い。例えば、ある評価基準について、腐食量又は腐食量に比例する値をxとし、評価値g(x)を求めても良い。
[0060]
 (土壌サンプルを用いて評価する方法)
 評価対象の土壌サンプルを入手し、土壌サンプルを収容部に収容した後に、金属10a,10bを土壌サンプルに埋設させて腐食性を評価しても良い。
[0061]
 図9は、収容部2に土壌サンプル3を収容し、土壌サンプル3に金属10a,10bを埋設した状態を模式的に示す図である。収容部2に対しては、図示しない給水機構から給水するようにしても良い。又は、予め所定の土壌含水率に制御した土壌サンプルを用いるようにしても良い。
[0062]
 土壌サンプル3の水分は、収容部2の下部から外部に排出される。収容部2の下部には、多孔質のフィルターを設けることで、簡便な排水機構を実現することができる。
[0063]
 なお、給水機構と排水機構は、土壌サンプル3の土壌含水率を変化させられればよく、その機構を実現する形態及び方法は問わない。例えば、土壌サンプル3は手動で給水するようにしても良い。
[0064]
 また、収容部2は、評価する対象の環境を模擬する環境機能部を備えても良い。環境機能部としては、例えば、温度制御機能部(図示せず)、及び酸素濃度制御機能部等が考えられる。
[0065]
 温度制御機能部は、例えば恒温槽であり、恒温槽内に収容部2を入れることで、評価する対象の環境の温度を模擬することができる。
[0066]
 酸素濃度制御機能部は、収容部2の内部に、土壌サンプル3の表面を気体に曝す空間を設けることで実現できる。その空間にガスを導入する吸気口と、排出させる排気口を設け、例えばN とO の混合ガスを導入する。また、CO を混合しても良い。
[0067]
 図10は、土壌サンプル3の表面を所定の気体に曝す空間4を備える収容部2の例を模式的に示す図である。ガスは吸気口5aから導入され排気口5bから排出される。ガスを例えば上記の混合ガスとし、その比率を変化させれば土壌サンプル3中の酸素濃度を制御することができる。つまり、図10に示す空間4、吸気口5a、及び排気口5bは、酸素濃度制御機能部を構成する。これにより、実際の土壌環境に近い模擬環境を創ることができ、腐食性評価の信頼性を向上させることができる。
[0068]
 このように、本実施形態に係る腐食性評価装置100は、収容部2を備えても良い。なお、収容部2は、土壌サンプルを収容する例で説明を行ったがこの例に限定されない。収容部2は、気体のみを収容しても良いし、液体と気体の2相を収容するようにしても良い。気体のみを収容した場合、上記の土壌含水率は、収容部2内の湿度ということになる。
[0069]
 このように環境の水分量は、土壌含水率に限られない。環境の水分量は、例えば、収容部2内に液体と気体の2相を収容するようにした場合、金属10a,10bが液体に浸漬される比率(量)、あるいは金属10a,10bの表面が液体に曝される回数等のことである。つまり、環境の水分量の1サイクルの変化は、環境に配置される金属表面の水分量、水膜厚、及び湿度等の水分に関連した量の1サイクルの変化を意味する。
[0070]
 収容部2は、腐食性を評価する対象の環境を模擬したものを閉じ込めるものである。つまり、腐食性評価装置100は、電極部10を収容する収容部2を備え、測定部20は、収容部2内の含水率の1サイクルの変化から、該変化の間の例えば金属10a,10bの腐食速度、又は例えば金属10a,10bの腐食速度に関連する値を測定する。これにより、実験室内で環境の腐食性を評価することができる。
[0071]
 以上説明したように本実施形態に係る腐食性評価装置100によれば、環境の腐食性を定量的に評価することができる。なお、上記の実施形態の説明において環境は、土壌を例に説明したが、本発明はこの例に限定されない。
[0072]
 環境は、大気中及び水中でも構わない。その環境に電極部10を配置することで、それぞれの環境の腐食性を、実態に即した精度で定量的に評価することが可能である。
[0073]
 本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で変形が可能である。例えば、電極部10は、間隔を空けて配置される2つの金属10a,10bで構成される例を示したが、対極、作用極、及び照合電極の3つの電極を備える電極部としても良い。
[0074]
 このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。

符号の説明

[0075]
100:腐食性評価装置
2:収容部
3:土壌サンプル
4:空間(環境機能部)
10:電極部
10a,10b:金属
20:測定部
30:計算部

請求の範囲

[請求項1]
 環境によって金属が腐食される程度の大きさを表す腐食性を評価する腐食性評価装置であって、
 前記環境に配置され、少なくとも1種類の前記金属を含む電極部と、
 前記環境の水分量の1サイクルの変化から、該変化の間の前記金属の腐食速度、又は前記金属の腐食速度に関連する値を測定する測定部と、
 前記測定部で測定された前記値から、前記金属の腐食量、又は前記金属の腐食量に関連する値を計算する計算部と
 を備えることを特徴とする腐食性評価装置。
[請求項2]
 前記電極部を収容する収容部を備え、
 前記測定部は、前記収容部内の含水率の1サイクルの変化から、該変化の間の前記金属の腐食速度、又は前記金属の腐食速度に関連する値を測定する
 ことを特徴とする請求項1に記載の腐食性評価装置。
[請求項3]
 前記収容部は、
 評価する対象の前記環境を模擬する環境機能部を備える
 ことを特徴とする請求項2に記載の腐食性評価装置。
[請求項4]
 環境によって金属が腐食される程度の大きさを表す腐食性を評価する腐食性評価装置が実行する腐食性評価方法であって、
 少なくとも1種類の前記金属が配置される環境の水分量の1サイクルの変化から、該変化の間の前記金属の腐食速度、又は前記金属の腐食速度に関連する値を測定する測定ステップと、
 前記測定ステップで測定された前記値から、前記金属の腐食量、又は前記金属の腐食量に関連する値を計算する計算ステップと
 を行うことを特徴とする腐食性評価方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]