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1. WO2020012937 - 列車制御装置および列車制御方法

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明 細 書

発明の名称 列車制御装置および列車制御方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012  

課題を解決するための手段

0013  

発明の効果

0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071  

符号の説明

0072  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

図面

1   2   3   4   5   6A   6B   6C   7   8  

明 細 書

発明の名称 : 列車制御装置および列車制御方法

技術分野

[0001]
 本発明は、概して、列車制御に関する。

背景技術

[0002]
 列車制御に関して、例えば、特許文献1および2に開示の技術が知られている。特許文献1は、「駅の信号機5,軌道回路7,転てつ器8などの現場設備の設備状態管理DB11と、信号機状態管理DB12と、駅を走行する列車40のダイヤ情報DB13と、これらDBの情報により現場設備に制御指示を出力し列車に走行指示を出力する演算処理手段10とからなり、設備状態管理DB11が、現場設備の故障状態を記憶する故障状態欄を備え、信号機状態管理DB12が、信号機5に付随する手信号代用信号機6の代用可否を記憶する手信号代用許可欄を備え、演算処理手段10が、駅の現場設備の偶発故障/計画的交換による使用不可能な状態が生じた時、使用可能な現場設備および手信号代用信号機6の情報に基づき現場設備に対する制御指示および列車40に対する走行指示を演算する列車運行管理装置。」を開示する。特許文献2は、「列車追跡・制御コンピュータ2を有し、CTC情報に基づいて、追跡する列車の最後尾が在線する軌道回路(基準軌道回路)を記憶する機能4と、当該列車の進路を構成する信号機情報を記憶する機能5と、当該列車の進行リンク情報を記憶する機能6と、当該列車の進行する軌道回路の在線リンクを作成し、該在線リンクを記憶する機能7を備え、追跡する列車の基準軌道回路が扛上した場合、在線リンクに従い順に軌道回路を照査し、落下状態である軌道回路を検出したとき、列車の在線位置と在線列車を追跡列車として特定する。」を開示する。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2006-062513号公報
特許文献2 : 特開平10-147242号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 列車の走行路は、複数の軌道回路にそれぞれ対応した複数のブロックに区切ることができる。ブロックとは、当該ブロックに対応した軌道回路がカバーする走行路部分である。
[0005]
 ブロックに列車が在線した場合、当該ブロックをカバーする軌道回路が落下する。当該ブロックから別のブロックに列車が移動した場合には、当該軌道回路が扛上する。
[0006]
 しかし、当該ブロックをカバーする軌道回路の故障等が原因で、当該ブロックに列車が在線していなくても、当該軌道回路が落下してしまうといった不合理なエラーが生じることがある。
[0007]
 本願発明者が、鋭意検討した結果、次の知見を得るに至った。
[0008]
 軌道回路が落下したことを理由に、常に、当該軌道回路がカバーするブロックへの列車が停止すると、列車の稼働率(運行効率)の低下を招く。
[0009]
 また、軌道回路の故障の原因によっては、列車を停止しない方が(言い換えれば列車を移動させた方が)安全性が向上すると考えられるケースがある。
[0010]
 また、特許文献1および2のいずれにおいても、このような課題やその課題の解決手段については開示も示唆もされていない。
[0011]
 このような課題は、軌道回路以外の現場設備(例えば分岐器)の故障等が原因で不合理なエラーが生じることについてもあり得る。
[0012]
 本発明の目的は、列車の稼働率と安全性の向上が期待できる列車制御技術を提供することである。

課題を解決するための手段

[0013]
 本発明に係る列車制御装置は、列車の走行路の複数の構成要素としてそれぞれ定義された複数の走行路部分のうち、列車の進路に属し列車に進入される前の少なくとも一つの走行路部分の状態が不合理エラー(列車の走行に関して合理性の無い異常として定義されたエラー)である場合、少なくとも一つの走行路部分の状態として不合理エラーを検出する。この場合、列車制御装置は、速度制限を行ったうえで少なくとも一つの走行路部分へ列車が進入することを許可する。

発明の効果

[0014]
 本発明によれば、列車の稼働率と安全性の向上が期待できる。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 本発明の一実施例に係る列車制御装置を含む全体の構成を示す概略図である。
[図2] ブロックの状態遷移を示す図である。
[図3] 進路種別表を示す図である。
[図4] 内方第1ブロックが扛上していた場合の「Emergency Route」の使用例を示す図である。
[図5] 内方第1ブロックが故障していた場合の「Emergency Route」の使用例を示す図である。
[図6A] 分岐器が故障していた場合の「Super Emergency Route」の使用例の一部分を示す図である。
[図6B] 分岐器が故障していた場合の「Super Emergency Route」の使用例の別の部分を示す図である。
[図6C] 分岐器が故障していた場合の「Super Emergency Route」の使用例の残りの部分を示す図である。
[図7] 進路管理表を示す図である。
[図8] 設備管理表を示す図である。

発明を実施するための形態

[0016]
 以下に、本発明の一実施例に係る列車制御装置について図面を参照して説明する。
[0017]
 ただし、本発明は、以下に示す実施例に限定されるものではなく、本明細書が開示する技術的思想の範囲内において、当業者による様々な変更および修正が可能である。また、実施例を説明するための図面において、同一の機能を有するものには同一の符号を付け、その繰り返しの説明を省略することがある。
[0018]
 また、以下の説明では、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号のうちの共通符号を使用し、同種の要素を区別する場合は、参照符号を使用することがある。例えば、ブロックを区別しない場合には、「ブロック104」と言い、ブロックを区別する場合には、「ブロック104A」、「ブロック104B」のように言う。
[0019]
 図1は、本発明の一実施例に係る列車制御装置を含む全体の構成を示す概略図である。
[0020]
 所定の軌道103(走行路の一例)を走行する列車100を車上装置102は制御する。
[0021]
 地上装置101(列車制御装置の一例)は、信号機105および分岐器106を制御する。なお、信号機105において、「Y」は、黄色灯火を意味し、「G」は、緑色灯火を意味し、「R」は、赤色灯火を意味する。
[0022]
 軌道103は、複数のブロック104に分割される。ブロック104毎に、物理検知器107が設置されている。言い換えれば、各ブロック104は、軌道103のうちの、当該ブロック104に対応した物理検知器107がカバーする範囲である。物理検知器107は、軌道回路の一例、具体的には、軌道回路を含む装置(例えば、軌道回路の他に、列車のインとアウトの回数をカウントするアクセルカウンタを含む装置)である。なお、複数のブロック104は、軌道103の複数の構成要素としてそれぞれ定義された複数の走行路部分の一例である。
[0023]
 車上装置102と地上装置101間で無線にて通信が行われる。車上装置102は、列車100が地上に設置された地上子(図示せず)を検知することで、その地点の位置情報を特定し、この位置情報と列車100の速度情報、地上装置101から受信した走行許可などを基に速度照査を行ったり、列車100の速度が制限速度を超過した場合にはブレーキ指令を出力することで列車速度を制限速度以下に減速したりといった制御を行う。車上装置102は、列車100の位置情報などの情報を地上装置101へ送信する。
[0024]
 地上装置101は、例えば、区間内の物理検知器107や車上装置102から受信した列車位置情報などを用いて列車100の走行許可などの情報を演算し、車上装置102へこれらの制御情報を送信する。なお、本実施例では、地上装置101は、列車100の外に存在する装置を指し、例えば、軌道区間毎に存在する装置と、その装置を通信可能な運行管理センタとを含んでよい。
[0025]
 地上装置101は、通信装置111、記憶装置112、入力装置113、出力装置114、および、それらに接続された演算装置115を備える。通信装置111は、一つ以上の通信インターフェースでよい。記憶装置112は、一つ以上のメモリを含み、さらに、一つ以上の補助記憶デバイスを含んでよい。入力装置113は、キーボード、ポインティングデバイスおよびタッチパネルのうちの少なくとも一つでよい。出力装置114は、液晶ディスプレイおよびタッチパネルのうちの少なくとも一つでよい。演算装置115は、一つ以上のプロセッサでよい。少なくとも一つのプロセッサは、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサでもよい。入力装置113および出力装置114の少なくとも一部であるいわゆるマンマシンインターフェースは、地上装置101の外部に存在してもよい。地上装置101の少なくとも一部は、計算リソース(例えば、インターフェース、メモリおよびプロセッサ)に基づく仮想的な装置(例えば、ソフトウェアディファインドの装置)であってもよい。
[0026]
 通信装置111は、現場設備(例えば、物理検知器107、信号機105および分岐器106)の状態を示す情報等の信号を受信したり、列車100の進路の内方の現場設備の状態に基づき決定された信号機105の現示を示す信号を送信したりする。
[0027]
 出力装置114を通じて、列車100の進路を含む所定区域の路線を示す画面が表示されてよい。入力装置113を通じて、操作者(例えば管理員)から、当該進路に関して、鎖錠対象とされる区域である鎖錠区域(当該進路それ自体、または、当該進路に関わる区域)が指定されてよい。鎖錠区域は、後述の走行制御部132により自動で設定されてよい。
[0028]
 記憶装置112は、管理情報121、および、プログラム群121を格納する。
[0029]
 管理情報121は、列車100の制御の際に参照または更新される情報であり、例えば、後述の進路管理表(図7参照)および設備管理表(図8参照)を含む。図7に例示するように、進路管理表700は、進路(発点と着点の組)毎に、発点の位置を示す情報(発点が属するブロック104の情報でもよい)と、着点の位置を示す情報(着点が属するブロック104の情報でもよい)と、当該進路の進路種別を示す情報と、当該進路に存在する分岐器106を示す情報(例えば、分岐器106の識別情報)と、当該進路に存在するブロック104を示す情報(例えば、ブロック104の識別情報)とを格納する。図8に例示するように、設備管理表800は、現場設備(例えば、物理検知器107、分岐器106)毎に、設備を示す情報(例えば、設備の識別情報)と、設備の状態を示す情報とを格納する。図8で言う設備は、物理検知器107に代えてブロック104でもよい。設備管理表800から、ブロック104や分岐器106の状態を後述の状態検出部131が特定可能である。
[0030]
 プログラム群121は、演算装置115により実行される一つ以上のプログラムである。プログラム群121のうちの少なくとも一つのプログラムが演算装置115により実行されることで、状態検出部131および走行制御部132といった機能が実現される。少なくとも一つのプログラムが演算装置115によって実行されることで状態検出部131および走行制御部132といった機能が実現されるため、機能を主語として説明された処理は、演算装置115あるいはその演算装置115を有する地上装置101が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機又は計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
[0031]
 状態検出部131は、列車100の進路(発点から着点までの軌道部分)に属し列車100に進入される前の少なくとも一つのブロック104の状態が、異常落下(列車100の走行に関して合理性の無い異常として定義されたエラーである不合理エラーの一例)である場合、当該少なくとも一つのブロック104の状態として異常落下を検出する。走行制御部132は、当該少なくとも一つのブロック104の状態として異常落下が検出された場合、速度制限を行ったうえで当該少なくとも一つのブロック104へ列車100が進入することの許可を行う。
[0032]
 ブロック104について、「異常落下」は、物理検知器107がカバーするブロック104に列車100が在線していないにもかかわらず軌道回路が落下した状態(或いは、物理検知器107に接続されたケーブル切断等が生じて軌道回路から情報取得できない状態)である。このような状態のブロック104に対し、本実施例では、速度制限を行ったうえで列車100の進入が許可される。これにより、列車の稼働率と安全性の向上が期待できる。
[0033]
 図2は、ブロック104の状態遷移を示す図である。
[0034]
 ブロック104の状態は、落下および扛上の変化状況に応じて、「扛上」、「正常落下」、「異常落下」の3つに大別される。なお、図2の矢印201は、落下から扛上への変化を示し、図2の矢印202は、扛上から落下への変化を示す。
[0035]
 扛上から落下への変化に際して以下の条件(a)が成立した場合、ブロック104の状態は、扛上から正常落下に遷移する。
<条件(a):下記の全てを満たすこと>
・隣接ブロック104(例えば、制御範囲への進入口に隣接するブロック104)をカバーする物理検知器107の落下(例えば、当該物理検知器107の落下から一定時分以上経過している)。
・落下した物理検知器107がカバーするブロック104に隣接するブロック104をカバーする物理検知器107が、落下している。
[0036]
 扛上から落下への変化に際して以下の条件(b)が成立した場合、ブロック104の状態は、扛上から異常落下に遷移する。
<条件(b)>
・条件(a)の不成立。
[0037]
 落下から扛上への変化に際して以下の条件(c)が成立した場合、正常落下または異常落下から扛上に遷移する。
<条件(c):下記の全てを満たすこと>
・ブロック104の落下変化後、一定時分以上経過している。
・扛上変化したブロック104に隣接するブロック104が、落下状態である。
[0038]
 上記の遷移条件(a)には、路線条件に応じて、システム進入口(例えば進路の発点)のブロック104の単独の落下は正常落下とする条件が追加されてもよい。
[0039]
 図3は、進路種別表を示す図である。この表は、管理情報121に一種のデータとして含まれる表であってもよい。
[0040]
 進路種別は、扱い等級に応じて、「Normal Route」、「Emergency Route」、「Super Emergency Route」の3つに大別される。図示の“異常要因”は、進路内方の設備故障状況に対する進路の設定可否を示す。表中の”〇”は進路設定可、”×”は進路設定不可を指す。
[0041]
 具体的には、進路種別(進路の扱い)が「Emergency Route」(第1の進路種別の一例)の場合、当該機能の条件を満足することで、分岐器106(走行路部分の一例)が異常な状態(例えば、分岐器106の故障等により開通方向が調査できない状態)であると進路の設定は不可能であるが、ブロック104が異常な状態(異常落下)でも進路の設定が可能である。
[0042]
 進路種別が「Super Emergency Route」(第2の進路種別の一例)の場合、当該機能の条件を満足することで、分岐器106が異常な状態でもブロック104が異常な状態(異常落下)でも進路の設定が可能である。「Super Emergency Route」は、「Emergency Route」よりも、扱い等級が高い(異常レベルが高い)。扱い等級の高さは、不具合エラーの生じた走行路部分の種別に依存してよい。
[0043]
 進路種別が「Normal Route」の場合、分岐器106が異常な状態であってもブロック104が異常な状態であっても進路の設定が不可能である。
[0044]
 進路種別が「Normal Route」の場合、状態検出部131は、設備管理表800のうち、分岐器106についての状態も、ブロック104についての状態も参照するようになっている(図8参照)。しかし、進路種別が、「Normal Route」のように正常を意味する種別から、「Emergency Route」のように異常を意味する種別に変更された場合、状態検出部131が参照する設備種別が減る。具体的には、状態検出部131は、進路に属するいずれの種別の現場設備(走行路部分の一例)がいずれの状態であるかに応じて定まる進路種別に従い、進路に列車が進入するために進路の内方におけるいずれの現場設備の状態をチェックするかを決定し、決定した現場設備の状態をチェックする。より具体的には、「Emergency Route」が関連付けられた進路について、状態検出部131は、進路に属するいずれのブロック104の状態もチェックしないが、進路に属する分岐器106があれば当該分岐器106の状態をチェックする。また、「Super Emergency Route」が関連付けられた進路について、状態検出部131は、進路に属するいずれのブロック104の状態もチェックせず、且つ、当該進路に属する分岐器106があっても当該分岐器106の状態をチェックしない。このように、進路種別に応じて、参照対象の設備種別が異なる。具体的には、進路種別が設定される異常要因の設備種別が、参照対象の設備種別から除外される。故に、不合理エラーに応じた異常レベルの進路種別が設定されても、速度制限を行ったうえで列車100の進入を許可することができる。
[0045]
 また、仮に、列車100の自動運転が行われていて、当該列車100の進路の進路種別が「Normal Route」から「Emergency Route」あるいは「Super
Emergency Route」に変わった場合、走行制御部132により列車100の自動運転が解除され手動運転に切り替えられてもよい。
[0046]
 図4は、内方第1ブロックが扛上していた場合の「Emergency Route」の使用例を示す図である。なお、以下の説明では、下記が採用される。
・「内方第nブロック」とは(nは自然数)、信号機105の内方にあるブロックである内方ブロックのうちn番目のブロックを意味する。第1内方ブロック104Bは、先頭の内方ブロックに相当する。
・発点401と着点402の組により進路が定まる。発点401の三角形の向き(図4の例では、左向き)は、列車100の進行方向に相当する。
・ブロック104の灰色は、当該ブロック104の状態が落下状態(正常落下または異常落下)であることを意味する。
・ブロック104の網掛けは、当該ブロック104が鎖錠されている状態であることを意味する。
・信号機105において、右の黒色は、赤色灯火が点灯していることを意味する。左の濃い灰色は、黄色灯火が点灯していることを意味する。中央の薄い灰色(図6B参照)は、緑色灯火が点灯していることを意味する。
[0047]
 ステップ401では、初期状態としては、内方第2ブロック104Cが故障(異常落下)しているとする。この場合、状態検出部131が、設備管理表800を参照し、進路に属する内方第2ブロック104Cが異常落下であることを特定する。
[0048]
 ステップ402では、状態検出部131が、進路に属する内方第2ブロック104Cが異常落下であることを検出したため(且つ、当該進路についていずれの分岐器についても異常が検出されなかったため)、進路種別「Emergency Route」を当該進路について設定する(例えば、進路管理表700に、当該進路について「Emergency Route」を登録する)。走行制御部132は、進路「Emergency Route」に属するブロック104のうちの少なくとも全内方ブロック104(鎖錠区域に属する全ブロックの一例)を鎖錠する。これにより、一旦、全内方ブロック104にいずれの列車の進入を防ぐことができる。図4の例では、各内方ブロック104について、落下状態を優先的に示しているため、扛上である内方第1ブロック104Bのみが鎖錠されたように見えるが、全ての内方ブロック104が鎖錠される。例えば、鎖錠された全ての内方ブロック104を示す情報が、全列車の車上装置に送信されてよい。その後、走行制御部132は、信号機105の現示を、速度制限を行ったうえで進入することを許可する現示とする。当該図4では、速度制限のうえでの進入許可を示す現示は、黄色灯火と赤色灯火の点灯である。
[0049]
 ステップ403では、列車100が、内方第1ブロック104Bに進入する。結果として、内方第1ブロック104Bをカバーする物理検知器107が正常落下する。状態検出部131が、当該正常落下が検出された際に、内方第1ブロック104Bの状態「正常落下」を設備管理表800に登録し、走行制御部132は、信号機105の現示を停止現示とする。
[0050]
 ステップ404では、列車100が、内方第1ブロック104Bから内方第2ブロック104Cに進む。結果として、内方第2ブロック104Cをカバーする物理検知器107が正常落下し、且つ、内方第1ブロック104Bをカバーする物理検知器107が扛上する。状態検出部131が、内方第2ブロック104Cの状態「正常落下」、および、内方第1ブロック104Bの状態「扛上」を、設備管理表800に登録する。
[0051]
 ステップ405では、列車100が着点402に到達したことを、走行制御部132が検出する。その場合、走行制御部132は、進路の進路種別「Emergency Route」を復位する。例えば、走行制御部132は、進路の進路種別を「Emergency Route」から「Normal Route」に変更する。「Emergency Route」の復位に伴い、走行制御部132は、鎖錠状態の全ての内方ブロック104を解錠する(鎖錠を解除する)。列車100が着点402に到達した場合に解錠が行われるので、列車100の稼働率の低下を避けることが期待できる。
[0052]
 本実施例では、速度制限のうえでの進入許可をすることは、列車100の運転士向けに、不合理エラーに対応した進入許可通知をすることである。運転士は、その通知に従い、速度制限のうえで列車を進めることができる。
[0053]
 速度制限のうえでの進入許可の具体例が、信号機105の現示を、進入許可且つ不合理エラーの現示として定義された現示、つまり、速度制限のうえで列車を進めることの現示である。運転士は、信号機105の現示に従い列車100の運転を行うため、信号機105の現示を、速度制限のうえでの進入許可とすることは、有用である。
[0054]
 また、本実施例では、信号機105の現示により進入が許可されるため、状態のチェック対象は、信号機105の内方にある走行路部分である。これにより、信号機105の外方にある走行路部分についてはチェックがされないでよく、結果として、地上装置101の負荷の軽減が期待できる。
[0055]
 図4によれば、内方第1ブロック104Bの状態が、扛上であり、それ以外の少なくとも一つのブロック104の状態が、異常落下の場合、走行制御部132は、内方第1ブロック104Bに対応した軌道回路から落下する前に、信号機105の現示を、赤色灯火と黄色灯火を点灯する現示とする。そして、内方第1ブロック104Bに対応した物理検知器107から落下が検出された際に、走行制御部132は、信号機105の現示を、赤色灯火のみの点灯である停止現示とする。このようにして、列車の稼働率と安全性の向上に貢献することができる。
[0056]
 図5は、内方第1ブロック104が故障(異常落下)していた場合の「Emergency Route」の使用例を示す図である。
[0057]
 ステップ501では、初期状態としては、内方第1ブロック104Bが故障(異常落下)しているとする。この場合、状態検出部131が、設備管理表800を参照し、進路に属する内方第1ブロック104Bが異常落下であることを特定する。
[0058]
 ステップ502では、状態検出部131が、進路に属する内方第1ブロック104Bが異常落下であることを検出したため(且つ、当該進路についていずれの分岐器についても異常が検出されなかったため)、進路種別「Emergency Route」を当該進路について設定する(例えば、進路管理表700に、当該進路について「Emergency Route」を登録する)。走行制御部132は、進路「Emergency Route」に属するブロック104を鎖錠する。図5の例では、各ブロック104について、落下状態を優先的に示しているため、扛上である内方第2ブロック104Cのみが鎖錠されたように見えるが、全ての内方ブロック104が鎖錠されてよい。走行制御部132は、信号機105の現示を、速度制限を行ったうえで進入することを許可する現示とする。
[0059]
 ステップ503では、列車100が内方第1ブロック104Bに進入したこと検知することができないので(内方第1ブロック104Bをカバーする物理検知器107が故障しているため)、走行制御部132は、進行を許可(指示)する現示の点灯した場合、一定時分後に、信号機105の現示を停止現示とする。これにより、安全性の向上が期待できる。
[0060]
 ステップ504では、所定のコマンドの一例である「Re-aspect command」が入力装置113または通信装置111経由で入力され、その場合、走行制御部132は、再度、信号機105の現示を、進行を許可(指示)する現示(赤色灯火と黄色灯火を点灯する現示)とする。結果として、列車100の進入が許可となる。これにより、列車100の稼働率と安全性の向上の期待を維持できる。所定のコマンドの一例である「Re-aspect command」は、信号機105の現示を、進行を許可(指示)する現示に戻すためのコマンドと言うことができる。「Re-aspect command」は、手動で入力されてもよいし、定期的に自動で入力されてもよい。具体的には、例えば、内方第1ブロック104Bの直前の外方ブロック104Aの状態が、扛上から正常落下し、その後一定時間経っても、正常落下から扛上に戻らない場合、外方ブロック104Aをカバーする物理検知器107の故障等が考えられるため、状態検出部131または走行制御部132が、定期的に、「Re-aspect command」を入力してもよい。
[0061]
 ステップ505では、列車100が着点402に到達したことを、走行制御部132が検出する。その場合、走行制御部132は、進路の進路種別「Emergency Route」を復位する。
[0062]
 上記の進路設定および復位、「Re-aspect command」の指示は、車上装置102または、地上装置101の1つの形態として運行管理装置、操作端末が行うことも可能である。
[0063]
 また、物理検知器107の状態を外部装置で監視する(または人間系で確認する)ことで正常落下の場合でも、「Emergency Route」が設定されてもよい。すなわち、進路に属するいずれかの走行路部分に関して故障が発生したことが当該走行路部分を監視する外部の装置により検出された場合に、当該外部の装置からの情報を基に、当該走行路部分の種別に応じて当該進路の進路種別が状態検出部131により定められてよい。これにより、効率的に適切な進路種別の設定することが期待できる。
[0064]
 図6A~図6Cは、分岐器106が故障していた場合の「Super Emergency Route」の使用例を示す図である。分岐器106の故障の想定は、開通しているがリレーおよび配線などの障害により、地上装置101が情報を取り込めない状態(開通方向が照査できない状態)である。なお、図6A~図6Cの例では、分岐器106があり、また、信号機105A~105Cがある。
[0065]
 ステップ601では、初期状態としては、分岐器106が故障しているとする。進路種別が「Normal Route」の場合、開通方向が照査できないので、地上装置101は対象進路(発点401Bと着点402Bの組)を進行信号とすることができない。
[0066]
 ステップ602では、対象進路に関する区域650に「Super Emergency Lock」が設定される。「Super Emergency Lock」が設定された区域650が、鎖錠区域の一例である。鎖錠区域は、いずれの列車も在線することができない区域である。以下、「Super Emergency Lock」が設定された区域650を、「鎖錠区域650」と言う。鎖錠区域650に属する進路に対して、進路種別「Super Emergency Route」が設定可能である。なお、鎖錠区域650の範囲を示す情報は、例えば、走行制御部132により、管理情報121に含められてよい。また、区域650の指定や「Super Emergency Lock」の設定は、所定のポリシーに従い走行制御部132により行われてもよいし、通信装置111または入力装置113経由で操作者(例えば管理員)により行われてもよい。
[0067]
 ステップ603では、列車100が、扛上であるブロック104A(信号機105Aの外方ブロック104A)に在線する。結果として、ブロック104Aの状態が落下状態(正常落下)となる。ブロック104Aは、鎖錠区域650の外にあるため、列車100が在線することが可能である。
[0068]
 ステップ604では、状態検出部131が、進路種別「Normal Route」を、鎖錠区域650の外にある進路(発点401Aと着点402Aの組)について設定する。走行制御部132は、信号機105Aの現示を、進行現示(緑色灯火の点灯)とする。
[0069]
 ステップ605では、列車100が、信号機105Aの内方第1ブロック104Bに進入する。結果として、ブロック104Aの状態が扛上となり、ブロック104Bの状態が落下状態(正常落下)となる。このため、走行制御部132は、信号機105Aの現示を、停止現示に戻す。信号機105Aの内方ブロックに列車100が在線するためである。
[0070]
 ステップ606では、状態検出部131が、進路種別「Super Emergency Route」を、鎖錠区域650に属する対象進路について設定する。対象進路に属する分岐器106が故障しているが、人間系または外部装置により実際に開通方向は確認できており、故障した分岐器106について開通方向の確認済を示す情報が管理情報121に含まれているためである。走行制御部132は、対象進路に属する先頭の信号機105Bの現示を、進行現示(赤色灯火および黄色灯火の点灯)とする。なぜなら、鎖錠区域650内に他の列車が在線していないことが保証されており、且つ、在線が不可とされる鎖錠区域650内への進入を許可するためである。
[0071]
 ステップ607では、列車100が、対象進路に属する104H(信号機105Bの最後尾の内方ブロック)に進入する。列車100が着点402Bに到達したことを、走行制御部132が検出する。その場合、走行制御部132は、対象進路の「Super Emergency Route」を復位する。

符号の説明

[0072]
100:列車、101:地上装置、102:車上装置、103:軌道、104:ブロック、105:信号機、106:分岐器、107:物理検知器

請求の範囲

[請求項1]
 列車の走行路の複数の構成要素としてそれぞれ定義された複数の走行路部分のうち、前記列車の進路に属し前記列車に進入される前の少なくとも一つの走行路部分の状態が、前記列車の走行に関して合理性の無い異常として定義されたエラーである不合理エラーである場合、前記少なくとも一つの走行路部分の状態として不合理エラーを検出する状態検出部と、
 前記少なくとも一つの走行路部分の状態として不合理エラーが検出された場合、速度制限を行ったうえで前記少なくとも一つの走行路部分へ前記列車が進入することの許可を行う走行制御部と
を備える列車制御装置。
[請求項2]
 前記許可を行うとは、前記列車の運転士向けに、不合理エラーに対応した進入許可通知を行うことである、
請求項1に記載の列車制御装置。
[請求項3]
 前記進入許可通知を行うとは、前記走行路に備えられた信号機の現示を、進入許可且つ不合理エラーの現示として定義された現示とすることである、
請求項2に記載の列車制御装置。
[請求項4]
 前記少なくとも一つの走行路部分は、前記信号機の内方にある走行路部分である、
請求項3に記載の列車制御装置。
[請求項5]
 前記複数の走行路部分は、前記走行路に備えられた複数の軌道回路にそれぞれ対応した複数のブロックを含み、
 前記複数のブロックの各々は、当該ブロックに対応した軌道回路によりカバーされる走行路部分であり、
 前記少なくとも一つの走行路部分において、
  前記信号機の内方ブロックのうちの少なくとも先頭の内方ブロックの状態が、扛上であり、
  当該先頭の内方ブロック以外の少なくとも一つのブロックの状態が、異常落下という不合理エラーであり、
 前記走行制御部は、
  前記先頭の内方ブロックに対応した軌道回路から落下する前に、前記信号機の現示を、進入許可且つ不合理エラーの現示として定義された現示とし、
  前記先頭の内方ブロックに対応した軌道回路から落下が検出された際に、前記信号機の現示を、停止現示とする、
請求項4に記載の列車制御装置。
[請求項6]
 前記少なくとも一つの走行路部分において、少なくとも先頭の内方ブロックの状態が、異常落下という不合理エラーであり、
 前記走行制御部は、前記信号機の現示を、進入許可且つ異常落下の現示として定義された現示とし、一定時間経過後に、前記信号機の現示を、停止現示とする、
請求項4に記載の列車制御装置。
[請求項7]
 前記走行制御部は、前記一定時間経過後に前記信号機の現示を停止現示とした後に、所定のコマンドが入力されたならば、前記信号機の現示を、再び、進入許可且つ異常落下の現示として定義された現示とする、
請求項6に記載の列車制御装置。
[請求項8]
 前記走行制御部は、前記進路に関する鎖錠区域に属する全走行路部分を、当該全走行路部分にいずれの列車も進入不可能にするために鎖錠し、その後に、前記少なくとも一つの走行路部分へ前記列車が進入することの許可を行う、
請求項1に記載の列車制御装置。
[請求項9]
 前記走行制御部は、前記列車が前記進路の着点に到達した場合に、前記全走行路部分を解錠する、
請求項8に記載の列車制御装置。
[請求項10]
 前記状態検出部は、前記進路に属するいずれの種別の走行路部分がいずれの状態であるかに応じて定まる進路種別に従い、前記進路に前記列車が進入するために前記進路の内方におけるいずれの走行路部分の状態をチェックするかを決定し、決定した走行路部分の状態をチェックする、
請求項1に記載の列車制御装置。
[請求項11]
 前記複数の走行路部分は、
  一つ以上の分岐器と、
  前記走行路に備えられた複数の軌道回路にそれぞれ対応した複数のブロックと
を含み、
 前記複数のブロックの各々は、当該ブロックに対応した軌道回路によりカバーされる走行路部分であり、
 前記進路に属する走行路部分として、不合理エラーという状態にあるいずれかのブロックがあるが、不合理エラーという状態にあるいずれかの分岐器がない場合、
  前記進路種別は、第1の進路種別であり、
  前記第1の進路種別が関連付けられた前記進路について、前記状態検出部は、前記進路に属するいずれのブロックの状態もチェックしないが、前記進路に属する分岐器があれば当該分岐器の状態をチェックし、
 前記進路に属する走行路部分として、不合理エラーという状態にあるいずれかの分岐器がある場合、
  前記進路種別は、前記第1の進路種別よりも異常レベルが高い種別である第2の進路種別であり、
  前記第2の進路種別が関連付けられた前記進路について、前記状態検出部は、前記進路に属するいずれのブロックの状態もチェックせず、且つ、前記進路に属する分岐器があっても当該分岐器の状態をチェックしない、
請求項10に記載の列車制御装置。
[請求項12]
 前記進路に属するいずれかの走行路部分に関して故障が発生したことが当該走行路部分を監視する外部の装置により検出された場合に、当該走行路部分の種別に応じて前記進路の進路種別が定まる、
請求項10に記載の列車制御装置。
[請求項13]
 列車の走行路の複数の構成要素としてそれぞれ定義された複数の走行路部分のうち、前記列車の進路に属し前記列車に進入される前の少なくとも一つの走行路部分の状態が、前記列車の走行に関して合理性の無い異常として定義されたエラーである不合理エラーである場合、前記少なくとも一つの走行路部分の状態として不合理エラーを検出し、
 前記少なくとも一つの走行路部分の状態として不合理エラーが検出された場合、速度制限を行ったうえで前記少なくとも一つの走行路部分へ前記列車が進入することの許可を行う、
列車制御方法。
[請求項14]
 列車の走行路の複数の構成要素としてそれぞれ定義された複数の走行路部分のうち、前記列車の進路に属し前記列車に進入される前の少なくとも一つの走行路部分の状態が、前記列車の走行に関して合理性の無い異常として定義されたエラーである不合理エラーである場合、前記少なくとも一つの走行路部分の状態として不合理エラーを検出し、
 前記少なくとも一つの走行路部分の状態として不合理エラーが検出された場合、速度制限を行ったうえで前記少なくとも一つの走行路部分へ前記列車が進入することの許可を行う、ことをコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6A]

[ 図 6B]

[ 図 6C]

[ 図 7]

[ 図 8]