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1. WO2020012759 - 練乳風味増強剤

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明 細 書

発明の名称 練乳風味増強剤

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016  

発明の効果

0017  

発明を実施するための形態

0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046  

実施例

0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : 練乳風味増強剤

技術分野

[0001]
 本発明は、乳風味飲食品に練乳様の風味を付与し増強する練乳風味増強剤、練乳風味香料組成物、当該練乳風味増強剤または練乳風味香料組成物によって練乳風味が付与増強された乳風味飲食品、並びに、当該練乳風味増強剤または練乳風味香料組成物による練乳風味の付与増強方法に関する。

背景技術

[0002]
 練乳(加糖練乳)は、牛乳にショ糖(砂糖)を加え、加熱や減圧によって濃縮することにより保存性をもたせた乳製品である。当初は牛乳の代替品として、湯で薄めてそのまま飲用に供したり、コーヒーや紅茶等に加えて飲むために用いられたが、最近は、イチゴなどのフルーツやかき氷に使うシロップ用途、菓子やアイスクリーム、アイスキャンデーの素材としての用途が広がっている。
 練乳は、加熱反応による独特の風味やコクを呈する調味料として高い価値があるが、工業的な製造は複雑でコントロールが難しい面があるため、大量生産が難しいとされている。
[0003]
 そこで、生産時間の短縮(特許文献1)、効率化(特許文献2)、高圧処理を用いた製造技術(特許文献3)が提案されてきた。
 しかし、いずれの方法によっても、食品の濃縮や加熱反応などの複雑な反応を依然として必要とするため、簡便性や低コスト性には欠けていた。
 一方、練乳には多量の砂糖を使用するが、その砂糖や乳脂肪がカロリーアップの原因や虫歯の原因などになることが指摘されることもあり、健康面を配慮して、砂糖を低カロリー甘味料の糖アルコールに置換する技術も開発されている(特許文献4)。
[0004]
 このように健康面を気にせず、簡単に練乳の風味を味わうため、練乳風味の香料が求められている。そうした練乳風味の香料に関する技術として、加糖練乳を超臨界炭酸ガス抽出することで香気成分を抽出する方法がある(特許文献5)。
 しかし、この方法では、原料自体が練乳であるため簡便性にはやや欠けるし、工程が煩雑であり、高コストである。
 上述した状況において、既存の香料素材を利用して、乳風味飲食品に練乳の風味やコクを付与増強することができ、様々なアレンジも可能な練乳風味の香料組成物の提供が求められている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2014-226139号公報
特許文献2 : 特開2003-199492号公報
特許文献3 : 特開平6-181685号公報
特許文献4 : 特開平7-264978号公報
特許文献5 : 特開平3-58768号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 本発明の目的は、乳、乳製品、乳若しくは乳製品を含有する飲食品、又は乳の風味を有する飲食品に添加することにより、簡便に練乳様の風味やコクを付与増強することができる練乳風味増強剤、練乳風味が増強された乳風味飲食品、並びに乳風味飲食品に練乳風味を付与増強する方法を提供することである。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明者は、上記課題を解決するために、練乳の香味特性は、加熱感、乳感および甘味感の3種が交錯して醸し出されることに着目した。すなわち、牛乳と比較して、練乳には、香ばしさのある加熱感、クリーミーでコクのある乳感、カラメリックな甘味感がある。そうした特徴を踏まえて、数多くの香料素材とそれらの組み合わせを鋭意検討した。
 その結果、それぞれ特定の化合物から構成されるA群、B群及びC群から選ばれる2つの化合物群のそれぞれから選ばれる化合物(ここで各群から複数個選択可能である)を組み合わせた風味改善剤が、乳風味飲食品に特定の濃度で添加したときに、乳風味飲食品に練乳風味を付与増強できることを見出し本発明の完成に至った。A群の化合物は主として加熱感付与に寄与し、B群の化合物は主として乳感付与に寄与し、そしてC群の化合物は主として甘味感付与に寄与する成分である。
[0008]
 すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕下記のA群、B群及びC群から選ばれる少なくとも2つの化合物群からなる組成物であって、A群化合物:B群化合物:C群化合物の質量比が0.1~1:0.1~100(ただし、スカトールについては0.1~1):0.1~100である練乳風味増強剤。
 A群:2-メチル-3-フランチオール、
o-トルエンチオール、
フルフリルメルカプタン、
ジメチルトリスルフィドおよび
メチルプロピルトリスルフィドから選ばれる少なくとも1種以上。
 B群:メチオナール、
メチオノール、
β-ダマセノン、
12-メチルトリデカナールおよび
スカトールから選ばれる少なくとも1種以上。
 C群:2-エチル-3,5(3,6)-ジメチルピラジン、
2-エチルピラジン、
2-メトキシ-3-メチルピラジン、
4,5-ジメチル-3-ヒドロキシ-2(5H)-フラノン、
4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、
4-ヒドロキシ-5-メチル-3(2H)-フラノン、
5-エチル-3-ヒドロキシ-4-メチル-2(5H)-フラノンおよび
3-メチル-2(5H)-フラノンから選ばれる少なくとも1種以上。
[0009]
〔2〕A群化合物が2-メチル-3-フランチオールおよびジメチルトリスルフィドから選択される少なくとも1種以上であり、B群化合物がメチオナール、β-ダマセノンおよびスカトールから選択される少なくとも1種以上であり、C群化合物が2-エチル-3,5(3,6)-ジメチルピラジンおよび4,5-ジメチル-3-ヒドロキシ-2(5H)-フラノンから選択される少なくとも1種以上である、上記記載の練乳風味増強剤。
[0010]
〔3〕上記記載の練乳風味増強剤を
 A群化合物が10 -13%~10 -1
 B群化合物が10 -13%~10%、ただし、スカトールについては10 -13%~10 -1
 C群化合物が10 -13%~10%
で含有することを特徴とする練乳風味を付与増強するための香料組成物。
[0011]
〔4〕A群化合物が2-メチル-3-フランチオールおよびジメチルトリスルフィドから選択される少なくとも1種以上であり、B群化合物がメチオナール、β-ダマセノンおよびスカトールから選択される少なくとも1種以上であり、C群化合物が2-エチル-3,5(3,6)-ジメチルピラジンおよび4,5-ジメチル-3-ヒドロキシ-2(5H)-フラノンから選択される少なくとも1種以上である、上記記載の香料組成物。
[0012]
〔5〕香料組成物がミルクフレーバーである上記記載の香料組成物。
[0013]
〔6〕上記記載の練乳風味増強剤が、
 A群化合物が0.1ppq~1ppb、
 B群化合物が0.1ppq~100ppb、ただし、スカトールについては0.1ppq~1ppb、および
 C群化合物が0.1ppq~100ppb
の濃度で添加されてなることを特徴とする、練乳風味が付与増強された乳風味飲食品。
[0014]
〔7〕上記のいずれか1項に記載の香料組成物が、
 A群化合物が0.1ppq~1ppb、
 B群化合物が0.1ppq~100ppb、ただし、スカトールについては0.1ppq~1ppb、および
 C群化合物が0.1ppq~100ppb
の濃度で添加されてなることを特徴とする、練乳風味が付与増強された飲食品。
[0015]
〔8〕乳風味飲食品に対して、上記記載の練乳風味増強剤を、
 A群化合物が0.1ppq~1ppb、
 B群化合物が0.1ppq~100ppb、ただし、スカトールについては0.1ppq~1ppb、および
 C群化合物が0.1ppq~100ppb
の濃度で添加することを特徴とする、乳風味飲食品に練乳風味を付与増強する方法。
[0016]
〔9〕飲食品に対して、上記のいずれか1項に記載の香料組成物を、
 A群化合物が0.1ppq~1ppb、
 B群化合物が0.1ppq~100ppb、ただし、スカトールについては0.1ppq~1ppb、および
 C群化合物が0.1ppq~100ppb
の濃度で添加することを特徴とする、飲食品に練乳風味を付与増強する方法。

発明の効果

[0017]
 本発明の練乳風味増強剤を用いることにより、乳風味飲食品すなわち乳、乳製品、乳若しくは乳製品を含有する飲食品、又は乳の風味を有する飲食品に、練乳を使用することなく、簡便に練乳様の風味、具体的には、練乳様のコクのある加熱感、華やかで伸びのある乳感、やわらかな甘味感を付与することができる。
 また、練乳を使用する飲食品に添加すれば、上記の練乳風味を一層増強することができ、その結果、練乳の使用量を減らして低カロリー化を図るなど、従来にない特徴的な製品の開発につながる。

発明を実施するための形態

[0018]
 以下、本発明について詳細に説明する。
<1> 練乳風味増強剤
 下記のA群、B群及びC群から選ばれる少なくとも2つの群のそれぞれから選ばれる化合物(各群から複数個の化合物を選択可能)を組み合わせた練乳風味増強剤である。
 すなわち、具体的な組み合わせは、A群とB群、B群とC群、A群とC群、あるいはA群とB群とC群であり、それぞれの群から1種又は2種以上の化合物が選択される。
 A群の化合物は主として加熱感付与に寄与し、B群の化合物は主として乳感付与に寄与し、そしてC群の化合物は主として甘味感付与に寄与する成分である。
 本発明者は、練乳の特徴ある香味を再現するためには、乳感よりも加熱感と甘味感を優先させるべきであること、さらにこれら3つが全て存在することが最も好ましいことを見出した。
 従って、群の組み合わせを、好適な順に挙げると、A+B+C > A+C ≧ A+B = B+C となる。
 A群とC群を選択した場合のそれぞれの比率は質量比でA:B:C = 0.1~1:0:0.1~100のように使用する群間のみの比率とする。
[0019]
 また、本発明の練乳風味増強剤は、製剤化に必要な溶剤を含むことができる。例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびこれらの混合溶剤、植物性油脂、動物性油脂、中鎖脂肪酸トリグリセライドおよびこれらの混合溶剤を適宜、練乳風味増強剤に使用できる。
[0020]
(A)A群化合物
 (A-1)
 2-メチル-3-フランチオール(2-Methyl-3-furanthiol;CAS 28588-74-1)は、ビーフ、ポーク、チキンなどに見出される、ローストミート様香気の液体である。
[0021]
 (A-2)
 o-トルエンチオール(o-Toluenethiol;CAS 137-06-4)は、o-チオクレゾールとも呼ばれ、コーヒーに存在する。
[0022]
 (A-3)
 フルフリルメルカプタン(Furfuryl marcaptan;CAS 98-02-2)は、コーヒーの揮発性成分に存在し、強く拡散性のあるコーヒー様香気の無色液体である。
[0023]
 (A-4)
 ジメチルトリスルフィド(Dimethyl trisulfide;CAS 3658-80-8)は、ホップ、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどに存在する、強く新鮮なオニオン臭の無色~淡黄色液体である。
[0024]
 (A-5)
 メチルプロピルトリスルフィド(Methyl propyl trisulfide;CAS 17619-36-2)は、ココア、オニオン等に存在し、強い浸透性あるオニオン様ハーバル様香気の淡黄色液体であり、希釈するとオニオン香となる。
[0025]
 上記のA群化合物の中でも、2-メチル-3-フランチオールとジメチルトリスルフィドが練乳様の香ばしさのある加熱感付与増強の観点から好ましい。
[0026]
(B)B群化合物
 (B-1)
 メチオナール(Methional;CAS 3268-49-3)は、ビール、醤油、ポテトチップス、チーズなどに存在する、拡散性あるオニオン、ミート様香気の淡黄色液体である。
[0027]
 (B-2)
 メチオノール(Methionol;CAS 505-10-2)は、醤油中に存在する。拡散性あるオニオン、ミート様香気の淡黄色液体であり、希釈すると醤油様香気となる。
[0028]
 (B-3)
 β-ダマセノン(Damascenone;CAS 23696-85-7(β))は、ブルガリアローズ油、ゼラニウム油、タバコ、ラズベリー、グレープに存在し、合成でも得られる。ローズ様の特徴あるフローラル香の淡黄色液体である。
[0029]
 (B-4)
 12-メチルトリデカナール
 下記構造の12-メチルトリデカナール(12-Methyltridecanal;CAS 75853-49-5)は、加熱により放出されるフレーバー物質であり、乳風味の付与や増強、ビーフ特有の香気成分である。
[化1]


 例えば、下記の合成方法で得ることができるし、試薬として市販品を適宜購入して使用することができる。
[化2]


[0030]
 (B-5)
 スカトール(Skatole;3-Methyl Indole;CAS 83-34-1)は、シベット、チーズ、ミルク、茶、カツオなどに存在し、シベット様の不快な動物臭であるが、希薄にすると快香となる白色板状結晶である。
[0031]
 上記のB群化合物の中でも、メチオナール、β-ダマセノン、スカトールが、練乳様のクリーミーでコクのある乳感付与増強の観点から好ましい。
[0032]
(C)C群化合物
 (C-1)
 2-エチル-3,5(3,6)-ジメチルピラジン(2-Ethyl-3,5(3,6)-dimethyl pyrazine;CAS 27043-05-6(Mixt))はココア、コーヒー、肉類、ピーナッツなどに存在し、ウッディなアーモンド香の無色液体である。
[0033]
 (C-2)
 2-エチルピラジン(2-Ethylpyrazine;CAS 13925-00-3)は、ベーカリー製品、牛肉、ほうじ茶、ポテトチップス、豚レバー、ゴマなどに広く存在し、チョコレート、ピーナッツ様ロースト香の無色液体である。
[0034]
 (C-3)
 2-メトキシ-3-メチルピラジン(2-Methoxy-3-methyl pyrazine;CAS 2847-30-5)は、ヘーゼルナッツ、アーモンド、ピーナッツ様香気の無色液体である。
[0035]
(C-4)
4,5-ジメチル-3-ヒドロキシ-2(5H)-フラノン(4,5-Dimethyl-3-hydroxy-2(5H)-furanon;CAS 28664-35-9)はソトロンとも呼ばれ、糖蜜香気の主要成分であり、日本酒、醤油にも見出される強力な香気成分で、濃厚では醤油やカレー様でフェノール的カラメル香、希釈すると香気はマイルドになり、閾値付近で糖蜜用芳香になる。
[0036]
(C-5)
4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン(4-Hydroxy-2,5-dimethyl-3(2H)-furanone;CAS 3658-77-3)は、フラネオールとも呼ばれ、パイナップル、ストロベリー、ラズベリー、コーヒー、ポップコーン、ローストアーモンド、醤油、ローストビーフに存在し、強くフルーティでカラメル香を有し、ジャム、あるいは調理されたパイナップルを想起させる香気の無色結晶である。
[0037]
(C-6)
4-ヒドロキシ-5-メチル-3(2H)-フラノン(4-Hydroxy-5-methyl-3(2H)-furanone;CAS 19322-27-1)は、牛肉、グアバ、ラズベリー、醤油、トマトなどに存在する。
[0038]
(C-7)
5-エチル-3-ヒドロキシ-4-メチル-2(5H)-フラノン(5-Ethyl-3-hydroxy-4-methyl-2(5H)-furanone;CAS 698-10-2)は、プロテインの加水分解物中に存在する、甘いフルーツ、カラメル様香気の無色液体である。
[0039]
(C-8)
 3-メチル-2(5H)-フラノン(3-methyl-2(5H)-furanone;CAS 22122-36-7)は、ワイン、茶、コーヒーなどに存在する。
[0040]
 上記のC群化合物の中でも、2-エチル-3,5(3,6)-ジメチルピラジンと4,5-ジメチル-3-ヒドロキシ-2(5H)-フラノンが練乳様のカラメリックな甘味感付与増強の観点から好ましい。
[0041]
<2> 香料組成物
 本発明の練乳風味増強剤と、飲食品に一般的に用いられる香料成分、着色料、酸化防止剤、保存料等を混合することができる。香料成分としては、特許庁「周知慣用技術集(香料)第II部 食品用香料(2000年1月14日発行)」等に記載されている各種天然香料、合成香料を特に制限なく使用することができる。
 含有する香料成分に特に制限はないが、風味の点からミルクフレーバーが望ましい。ここで、ミルクフレーバーとは乳様の風味を付与する目的で使用される香料組成物を言い、δ-デカラクトン、γ-ドデカラクトンなどのラクトン類、ジアセチル、アセトイン等のケトン類が主要成分例として挙げられる。
[0042]
 また、本発明の香料組成物は、製剤化に必要な溶剤やその他の付加的成分を含むことができる。例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびこれらの混合溶剤、植物性油脂、動物性油脂、中鎖脂肪酸トリグリセライドおよびこれらの混合溶剤を適宜、香料組成物に使用できる。
[0043]
<3> 香料組成物の製造方法
 本発明の香料組成物は、必須成分であるA群、B群およびC群のうち少なくとも2群に含まれる化合物を組み合わせ、必要に応じてその他食品香料成分や溶剤、付加的成分を適宜配合して常法によって混合し調製することができる。
 例えば、前記の溶剤に適宜混合して香料組成物を調製し、飲食品に添加することができる。
 また、香料組成物は、添加する対象の飲食品の形態に応じて適宜、剤形を変えて使用することができる。例えば、乳化剤を利用して乳化香料として、又、賦形剤を利用して粉末として飲食品に添加することができる。
[0044]
<4> 乳風味飲食品
 本発明の乳風味飲食品とは(a)乳、(b)乳製品、(c)乳若しくは乳製品を含有する飲食物、又は(d)乳製品代用品であり、例としては以下のとおりである。
 (a)乳としては、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(昭和26年12月27日厚生省令第52号)に規定された生乳、牛乳、特別牛乳、部分脱脂乳、加工乳などを挙げることができる。
 (b)乳製品としては、前記省令に規定されたクリーム、バター、バターオイル、ヨーグルトなどの発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、チーズ、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、全粉乳、脱脂粉乳、加糖練乳、無糖練乳、濃縮ホエー、ホエーパウダーなどを挙げることができる。
[0045]
 (c)乳若しくは乳製品を含有する飲食物としては、例えば、上記の牛乳、クリーム類、バター、チーズ、練乳、粉乳などを添加したコーヒー飲料(カフェラテなど)、ミルクティーなどの茶飲料、果汁飲料、炭酸飲料、アイスクリームやミルクシャーベットなどの冷菓類、ミルクキャンディーなどのキャンディーやクッキー・ビスケット、牛乳プリンなどの洋菓子類、和菓子類、パン類、カレーやクリームシチュー、クリームスープなどの各種インスタント飲食品、各種スナック食品、カスタードなどのフラワーペースト、ドレッシングなどの調味料などを挙げることができる。
 (d)乳製品代用品としては、乳を用いずに乳の風味を再現したものであり、例えば、植物性油脂を乳化して製造されるマーガリン、ショートニングやファットスプレッドなどのバター代用品、コーヒーや紅茶などに添加するコーヒーホワイトナーなどのクリーム代用品を挙げることができる。
[0046]
 本発明の練乳風味増強剤は、乳風味飲食品に添加することにより乳風味飲食品の練乳感を増強することができる。
 添加方法は特に制限はなく、乳風味飲食品製造の各段階で適宜添加することができる。添加量は、乳風味飲食品中に添加される濃度が、A群化合物が0.1ppq~1ppb、B群化合物が0.1ppq~100ppb、ただし、スカトールについては0.1ppq~1ppb、およびC群化合物が0.1ppq~100ppbとなるよう適宜調整すればよい。
実施例
[0047]
 以下に実施例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔1〕練乳風味増強剤
 実施例、比較例において練乳風味増強剤に使用した香料化合物、評価サンプル、評価方法は、以下の通りである。
 香料化合物は、いずれも市販の香料原料を購入もしくは小川香料製の香料原料を使用した。
[0048]
[表1]


[0049]
 実施例、比較例において、本発明品または比較品を添加して評価するサンプル用に、以下の牛乳シロップを調製した。
 また、評価の際に基準とする練乳シロップも調製した。
[0050]
[表2]


[0051]
 評価方法は、評価サンプルの牛乳シロップに練乳風味増強剤を添加して十分に撹拌して混合し評価用サンプル作成した。
 どの程度、練乳風味を呈するかを練乳シロップを基準にして、官能評価により判定した。官能評価は、6名の専門パネルによる下記の10段階の採点及びコメントの記述により行った。
[0052]
 牛乳シロップの練乳感を1点、練乳シロップの練乳感を10点と設定し、各サンプルの練乳感を以下の評価基準にもとづいて評価した。
 10点:上記の練乳シロップと同等の香味を有する。
  9点:無添加品よりも練乳感が極めて強い。
  8点:無添加品よりも練乳感が非常に強い。
  7点:無添加品よりも練乳感がとても強い。
  6点:無添加品よりも練乳感が強い。
  5点:無添加品よりも練乳感がやや強い。
  4点:無添加品よりも練乳感がわずかに強い。
  3点:無添加品よりも練乳感がわずかに感じられる。
  2点:無添加品よりも添加効果はあるが練乳感は感じられない。
  1点:無添加品と差がない。
[0053]
 点数を記録し、サンプル毎に6人の採点の平均値を求めて評価結果とした。さらに、評価時には各飲料の印象を自由にコメントし、そのうち多かった意見を抽出した。各飲料の得点及びコメントを表3~7に示した。
 表中、○印は練乳風味増強剤を構成する化合物であることを示す。無添加品は練乳風味増強剤が未添加の牛乳シロップ自体であり、比較品1、2、3は、それぞれA群化合物のみ、B群化合物のみ、C群化合物のみ添加したサンプルである。
[0054]
 表3において、添加した香料化合物の添加量はいずれも0.1ppqである。
 表4において、添加した香料化合物の添加量はA群化合物とB群化合物はそれぞれ0.1ppb、C群化合物はそれぞれ0.01ppbである。
 表5において、添加した香料化合物の添加量はA群化合物とスカトールはそれぞれ1ppb、スカトール以外のB群化合物とC群化合物はそれぞれ100ppbである。
 表6において、添加した香料化合物の添加量はいずれも0.01ppqである。
 表7において、添加した香料化合物の添加量はA群化合物とスカトールはそれぞれ0.01ppm、スカトール以外のB群化合物とC群化合物はそれぞれ1ppmである。
[0055]
[表3]


[0056]
[表4]


[0057]
[表5]


[0058]
[表6]


[0059]
[表7]


[0060]
[表8]


[0061]
[表9]


[0062]
[表10]


[0063]
[表11]


[0064]
[表12]


[0065]
[表13]


[0066]
 以上の結果より、A群、B群及びC群から選ばれる2群もしくは3群に含まれる化合物を1品以上組み合わせることにより、練乳風味の一部、もしくは全体感を付与増強させることが可能であることが示唆された。
また、その時の各群における各化合物の濃度は下記の範囲となった。
 A群化合物が0.1ppq~1ppb、
 B群化合物が0.1ppq~100ppb、ただし、スカトールについては0.1ppq~1ppb、
 C群化合物が0.1ppq~100ppb
[0067]
〔2〕練乳風味増強剤を含むミルクフレーバー
 下記の表8に示した成分からなる練乳風味増強剤を含むミルクフレーバー(本発明品44)を調製した。
[0068]
[表14]


[0069]
 表8の〔A群〕、〔B群〕、〔C群〕の化合物に代わりにプロピレングリコールを配合し、比較品6のミルクフレーバー組成物を得た。
[0070]
 本発明品44の練乳風味増強剤を含むミルクフレーバーまたは比較品6のミルクフレーバー組成物を、前記「表2の1」記載の「牛乳シロップ」に0.02%添加し、十分に撹拌して混合し評価用サンプル作成した。
 どの程度、練乳風味を呈するかを練乳シロップを基準にして、官能評価により判定した。官能評価は、6名の専門パネルによる下記の10段階の採点及びコメントの記述により行った。
 評価基準は以下の通りである。
[0071]
 10点:表2の2の練乳シロップと同等の香味を有する。
  9点:無添加品よりも練乳感が極めて強い。
  8点:無添加品よりも練乳感が非常に強い。
  7点:無添加品よりも練乳感がとても強い。
  6点:無添加品よりも練乳感が強い。
  5点:無添加品よりも練乳感がやや強い。
  4点:無添加品よりも練乳感がわずかに強い。
  3点:無添加品よりも練乳感がわずかに感じられる。
  2点:無添加品よりも添加効果はあるが練乳感は感じられない。
  1点:無添加品と差がない。
[0072]
 点数を記録し、サンプル毎に6人の採点の平均値を求めて評価結果とした。さらに、評価時には各飲料の印象を自由にコメントし、そのうち多かった意見を抽出した。各飲料の得点及びコメントを表9に示した。
[0073]
[表15]


[0074]
〔3〕乳風味飲食品への適用
(1)練乳代替物
 豆乳100gに砂糖50gを添加したものを撹拌・均一化した後、100gになるまで加熱濃縮したものに、本発明品44の練乳風味増強剤を含むミルクフレーバーまたは比較品6のミルクフレーバー組成物を0.05%添加し、練乳代替物の評価サンプルを得た。
[0075]
(2)乳飲料
 表10の処方のカフェラテに、本発明品44の練乳風味増強剤を含むミルクフレーバーまたは比較品6のミルクフレーバー組成物を0.02%添加し、カフェラテの評価サンプルを得た。
[0076]
[表16]


[0077]
(3)牛乳プリン
 表11の処方の牛乳プリン基材に、本発明品44の練乳風味増強剤を含むミルクフレーバーまたは比較品6のミルクフレーバー組成物を0.05%添加し、常法によりプリンを調製し、評価サンプルを得た。
[0078]
[表17]


[0079]
(4)アイスクリーム
 表12の処方のアイスクリーム基材に、本発明品44の練乳風味増強剤を含むミルクフレーバーまたは比較品6のミルクフレーバー組成物を0.05%添加し、常法によりアイスクリームを調製し、評価サンプルを得た。
[0080]
[表18]


[0081]
(5)フラワーペースト
 表13の処方のフラワーペーストに、本発明品44の練乳風味増強剤を含むミルクフレーバーまたは比較品6のミルクフレーバー組成物を0.05%添加し、常法によりフラワーペーストを調製し、評価サンプルを得た。
[0082]
[表19]


[0083]
(6)ミルクキャンディー
 表14の処方のミルクキャンディー基材に、本発明品44の練乳風味増強剤を含むミルクフレーバーまたは比較品6のミルクフレーバー組成物を0.2%添加し、常法によりキャンディーを調製し、評価サンプルを得た。
[0084]
[表20]


[0085]
 上記の(1)~(6)の乳風味飲食品について、専門パネラー6名による官能評価を行った。その結果、専門パネラー6名全員が、比較品6を添加した製品と比較して、本発明品44の練乳風味増強剤を含むミルクフレーバーを添加した乳風味飲食品は、トップにコクのある加熱感が感じられ、かつ華やかで伸びのある乳感も強くなっており、練乳様の風味が強く感じられるという回答であった。

請求の範囲

[請求項1]
 下記のA群、B群及びC群から選ばれる少なくとも2つの化合物群からなる組成物であって、A群化合物:B群化合物:C群化合物の質量比が0.1~1:0.1~100(ただし、スカトールについては0.1~1):0.1~100である練乳風味増強剤。
 A群:2-メチル-3-フランチオール、
o-トルエンチオール、
フルフリルメルカプタン、
ジメチルトリスルフィドおよび
メチルプロピルトリスルフィドから選ばれる少なくとも1種以上。
 B群:メチオナール、
メチオノール、
β-ダマセノン、
12-メチルトリデカナールおよび
スカトールから選ばれる少なくとも1種以上。
 C群:2-エチル-3,5(3,6)-ジメチルピラジン、
2-エチルピラジン、
2-メトキシ-3-メチルピラジン、
4,5-ジメチル-3-ヒドロキシ-2(5H)-フラノン、
4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、
4-ヒドロキシ-5-メチル-3(2H)-フラノン、
5-エチル-3-ヒドロキシ-4-メチル-2(5H)-フラノンおよび
3-メチル-2(5H)-フラノンから選ばれる少なくとも1種以上。
[請求項2]
 A群化合物が2-メチル-3-フランチオールおよびジメチルトリスルフィドから選択される少なくとも1種以上であり、B群化合物がメチオナール、β-ダマセノンおよびスカトールから選択される少なくとも1種以上であり、C群化合物が2-エチル-3,5(3,6)-ジメチルピラジンおよび4,5-ジメチル-3-ヒドロキシ-2(5H)-フラノンから選択される少なくとも1種以上である、請求項1に記載の練乳風味増強剤。
[請求項3]
 請求項1に記載の練乳風味増強剤を
 A群化合物が10 -13%~10 -1
 B群化合物が10 -13%~10%、ただし、スカトールについては10 -13%~10 -1
 C群化合物が10 -13%~10%
で含有することを特徴とする練乳風味を付与増強するための香料組成物。
[請求項4]
 A群化合物が2-メチル-3-フランチオールおよびジメチルトリスルフィドから選択される少なくとも1種以上であり、B群化合物がメチオナール、β-ダマセノンおよびスカトールから選択される少なくとも1種以上であり、C群化合物が2-エチル-3,5(3,6)-ジメチルピラジンおよび4,5-ジメチル-3-ヒドロキシ-2(5H)-フラノンから選択される少なくとも1種以上である、請求項3に記載の香料組成物。
[請求項5]
 香料組成物がミルクフレーバーである請求項3または4に記載の香料組成物。
[請求項6]
 請求項1または2に記載の練乳風味増強剤が、
 A群化合物が0.1ppq~1ppb、
 B群化合物が0.1ppq~100ppb、ただし、スカトールについては0.1ppq~1ppb、および
 C群化合物が0.1ppq~100ppb
の濃度で添加されてなることを特徴とする、練乳風味が付与増強された乳風味飲食品。
[請求項7]
 請求項3~5のいずれか1項に記載の香料組成物が、
 A群化合物が0.1ppq~1ppb、
 B群化合物が0.1ppq~100ppb、ただし、スカトールについては0.1ppq~1ppb、および
 C群化合物が0.1ppq~100ppb
の濃度で添加されてなることを特徴とする、練乳風味が付与増強された飲食品。
[請求項8]
 乳風味飲食品に対して、請求項1または2に記載の練乳風味増強剤を、
 A群化合物が0.1ppq~1ppb、
 B群化合物が0.1ppq~100ppb、ただし、スカトールについては0.1ppq~1ppb、および
 C群化合物が0.1ppq~100ppb
の濃度で添加することを特徴とする、乳風味飲食品に練乳風味を付与増強する方法。
[請求項9]
 飲食品に対して、請求項3~5のいずれか1項に記載の香料組成物を、
 A群化合物が0.1ppq~1ppb、
 B群化合物が0.1ppq~100ppb、ただし、スカトールについては0.1ppq~1ppb、および
 C群化合物が0.1ppq~100ppb
の濃度で添加することを特徴とする、飲食品に練乳風味を付与増強する方法。