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1. WO2020012685 - 薄膜、電子デバイス、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス用材料、表示装置、及び、照明装置

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明 細 書

発明の名称 薄膜、電子デバイス、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス用材料、表示装置、及び、照明装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023  

発明の効果

0024  

図面の簡単な説明

0025  

発明を実施するための形態

0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156  

実施例 1

0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206  

産業上の利用可能性

0207  

符号の説明

0208  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

図面

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : 薄膜、電子デバイス、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス用材料、表示装置、及び、照明装置

技術分野

[0001]
 本発明は、薄膜、電子デバイス、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス用材料、表示装置、及び、照明装置に関する。

背景技術

[0002]
 電子デバイスは一般に広く普及しており、例えば、太陽光パネルや有機エレクトロルミネッセンス素子などがその代表例である。有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子)は、電極(陽極及び陰極)、発光層を有する構成であり、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子を発光層内で再結合させることで励起子(エキシトン)を生成させる。このエキシトンが失活する際の光の放出を利用している。
[0003]
 近年、省電力化などの観点から、それら電子デバイスの性能向上が求められている。例えば、一般的に普及している電子デバイスとして有機EL素子が挙げられ、有機EL素子の性能向上のため、様々な有機EL材料が開発されている。その例としては、特許文献1及び特許文献2に記載の有機EL材料が挙げられる。これらの例では、ピリミジン化合物が有機EL材料に用いられ、有機EL素子の性能向上を図っている。
 しかしながら、さらなる電子デバイスの性能向上が求められており、より駆動電圧が低減され、一定時間保存した際の駆動電圧の上昇、すなわち保存安定性がより向上された電子デバイスが求められている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 国際公開第2004/39786号
特許文献2 : 米国特許出願公開第2007/190355号明細書

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 本発明は上記問題に鑑みて、電子デバイスの性能向上のため、電子デバイスの駆動電圧の低減及び保存時の安定性向上に寄与する薄膜、当該薄膜を用いた電子デバイス、当該薄膜を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子、当該有機エレクトロルミネッセンス素子に用いる有機エレクトロルミネッセンス用材料、表示装置、及び、照明装置を提供することである。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
[0007]
 1.下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有する薄膜。
[0008]
[化1]


[0009]
(一般式(1)中、Ar ~Ar は、各々独立に、水素原子、芳香族炭化水素環又は複素環を表し、かつ、少なくとも一つはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、又はキナゾリン環を表す。Ar ~Ar は、各々独立に、水素原子、芳香族炭化水素環又は複素環を表し、かつ、少なくとも一つはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、又はキナゾリン環を表す。nは1以上、かつ5以下の整数を表す。Lは、各々独立に、芳香族炭化水素環又は複素環を表す。)
[0010]
 2.前記一般式(1)において、n=2の場合、Lのうち少なくとも一つは複素環である第1項に記載の薄膜。
[0011]
 3.前記一般式(1)において、nは3以上である第1項に記載の薄膜。
[0012]
 4.前記一般式(1)において、Lが、各々独立に、フェニル環、ピリジン環、ピラジン環、又はピリミジン環を表す第1項から第3項までのいずれか一項に記載の薄膜。
[0013]
 5.更に電子注入材料を含有する第1項から第4項までのいずれか一項に記載の薄膜。
[0014]
 6.電極と、発光層を含む複数の有機機能層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
 前記有機機能層の少なくとも一層が、第1項から第5項までのいずれか一項に記載の前記薄膜である有機エレクトロルミネッセンス素子。
[0015]
 7.前記薄膜、電子注入層、前記電極の順に積層されている第6項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[0016]
 8.前記電極が、銀を主成分としており、
 前記有機機能層が、前記電極に隣接して設けられている第6項または第7項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[0017]
 9.前記電極が、膜厚が15nm以下であり、かつ透明である第6項から第8項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[0018]
 10.下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有する有機エレクトロルミネッセンス用材料。
[0019]
[化2]


[0020]
(一般式(1)中、Ar ~Ar は、各々独立に、水素原子、芳香族炭化水素環又は複素環を表し、かつ、少なくとも一つはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、又はキナゾリン環を表す。Ar ~Ar は、各々独立に、水素原子、芳香族炭化水素環又は複素環を表し、かつ、少なくとも一つはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、又はキナゾリン環を表す。nは1以上、かつ5以下の整数を表す。Lは、各々独立に、芳香族炭化水素環又は複素環を表す。)
[0021]
 11.第6項から第9項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備する表示装置。
[0022]
 12.第6項から第9項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備する照明装置。
[0023]
 13.電極と、第1項から第5項までのいずれか一項に記載の薄膜を有する電子デバイス。

発明の効果

[0024]
 本発明によれば、駆動電圧及び高温保存時の安定性が改善された有機エレクトロルミネッセンス素子及び当該有機エレクトロルミネッセンス素子に用いる有機エレクトロルミネッセンス用材料を提供することができる。また、駆動電圧及び高温保存時の安定性が改善された表示装置及び照明装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0025]
[図1] 有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図
[図2] 表示部Aの模式図
[図3] 画素の回路図
[図4] パッシブマトリクス方式フルカラー表示装置の模式図
[図5] 照明装置の概略図
[図6] 照明装置の断面を示す模式図

発明を実施するための形態

[0026]
 本発明の薄膜は、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項4までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。また、本発明の薄膜は、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物以外にも、他の化合物を含んでもよい。
[0027]
《一般式(1)で表される構造を有する化合物》
[0028]
[化3]


[0029]
 一般式(1)中、Ar ~Ar は、各々独立に、水素原子又は芳香族炭化水素環又は複素環を表し、更に置換基を有してもよく、かつ、少なくとも一つはピリジン環又はピラジン環又はピリミジン環又はキナゾリン環である。すなわち、Ar ~Ar は、各々独立に、水素原子、又は、置換又は無置換の芳香族炭化水素環、又は、置換又は無置換の複素環を表し、かつ少なくとも一つはピリジン環又はピラジン環又はピリミジン環又はキナゾリン環である。芳香族炭化水素環の具体例としては、特に制限されないが、例えば、ベンゼン環、ナフチル環、アントラセン環、ピレン環等が挙げられる。複素環の具体例としては、特に制限されないが、例えば、上記芳香族炭化水素環における炭素原子の一部が、ヘテロ原子(酸素原子、窒素原子又は硫黄原子)によって置換されたものもあり、例えば、ピリジン環、ピロール環、フラン環、ピラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、ピリダジン環、ピリミジン環、プリン環、トリアジン環、トリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環等が挙げられる。
[0030]
 一般式(1)中、Ar ~Ar は、各々独立に、水素原子又は芳香族炭化水素環又は複素環を表し、更に置換基を有してもよく、かつ、少なくとも一つはピリジン環又はピラジン環又はピリミジン環又はキナゾリン環である。すなわち、Ar ~Ar は、各々独立に、水素原子、又は、置換又は無置換の芳香族炭化水素環、又は、置換又は無置換の複素環を表し、かつ少なくとも一つはピリジン環又はピラジン環又はピリミジン環又はキナゾリン環である。芳香族炭化水素環の具体例としては、特に制限されないが、例えば、ベンゼン環、ナフチル環、アントラセン環、ピレン環等が挙げられる。複素環の具体例としては、特に制限されないが、例えば、上記芳香族炭化水素環における炭素原子の一部が、ヘテロ原子(酸素原子、窒素原子又は硫黄原子)によって置換されたものもあり、例えば、ピリジン環、ピロール環、フラン環、ピラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、ピリダジン環、ピリミジン環、プリン環、トリアジン環、トリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環等が挙げられる。
[0031]
 一般式(1)中、nは1以上、かつ5以下の整数を表す。
[0032]
 一般式(1)中、Lは、各々独立に、芳香族炭化水素環又は複素環を表し、更に置換基を有してもよい。すなわち、Lは、各々独立に、置換又は無置換の芳香族炭化水素環、又は、置換又は無置換の複素環を表す。Lの具体例としては、特に制限されないが、例えば、ベンゼン環、ナフチル環、アントラセン環、フルオレン環、ピリジン環、ピラジン環、トリアジン環、ピリミジン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、インドール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピラゾール環又はトリアゾール環、アザジベンゾフラン環を含む二価の連結基を表すもの等が挙げられる。
[0033]
 これらのうち、Lは、各々独立に、フェニル環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、を表すものであることが好ましい。これらは、更に置換基を有してもよい。
[0034]
 n=2の場合、Lのうち少なくとも一つは複素環であることが好ましい。すなわち、n=2の場合、Lのうち少なくとも一つは置換又は無置換の複素環であることが好ましい。複素環の具体例としては、特に制限されず、前述の同様の例が挙げられる。
[0035]
 一般式(1)中、nは3以上、5以下であることが好ましい。さらに、nは3以上、5以下であり、かつ、Lは、各々独立に、フェニル環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、を表すものであることが好ましい。これらは置換基を有してもよい。
[0036]
 一般式(1)で用いられる置換基としては、特に制限されないが、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、イソプロピル基等)、アリール基(例えば、フェニル基等)、ヘテロアリール基(例えば、ピリジル基、カルバゾリル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子等)、シアノ基、若しくはフッ化アルキル基等が挙げられ、後述する例示化合物で使用されているものも好ましい。
[0037]
《一般式(1)で表される構造を有する化合物の合成例》
<合成例1>
本発明化合物(1)の合成
[0038]
[化4]


[0039]
 200mLの4頭コルベンに化合物(1-1) 1.8g(4.64mmol)、化合物(1-2) 0.84g(2.55mmol)、炭酸カリウム 1.28g(9.28mmol)、純水 5mL、THF 43mLを投入して、窒素ガスを流入しながら室温で30分撹拌した。その後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) 0.575g(0.348mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2′,6′-ジメトキシビフェニル 0.142g(0.348mmol)を投入して撹拌しながら7時間加熱還流した。反応終了後、室温まで冷却し、水を加えて撹拌、濾過した。得られた粗結晶にTHFを加えて加熱還流下、懸濁撹拌した後、室温に冷却して濾過、乾燥して1.56gの固体を得た。得られた固体を昇華精製して、化合物(1) 1.04g(収率65%)を得た。構造は H-NMRにより確認した。
[0040]
<合成例2>
本発明化合物(49)の合成
[0041]
[化5]


[0042]
 200mLの4頭コルベンに化合物(49-1) 1.7g(4.34mmol)、化合物(49-2) 0.82g(2.48mmol)、炭酸カリウム 0.92g(6.68mmol)、純水 4mL、THF 40mLを投入して、窒素ガスを流入しながら室温で30分撹拌した。その後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) 0.144g(0.25mmol)2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2′,6′-ジメトキシビフェニル 0.102g(0.25mmol)を投入して撹拌しながら7時間加熱還流した。反応終了後、室温まで冷却し、水を加えて撹拌、濾過した。得られた粗結晶にTHFを加えて加熱還流下、懸濁撹拌した後、室温に冷却して濾過、乾燥して1.02gの固体を得た。得られた固体を昇華精製して、化合物(49) 0.90g(収率60%)を得た。構造は H-NMRにより確認した。
[0043]
《一般式(1)で表される構造を有する化合物の具体例》
 一般式(1)で表される構造を有する化合物の具体例を以下に示す。これらの化合物は一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。
[0044]
[化6]


[0045]
[化7]


[0046]
[化8]


[0047]
[化9]


[0048]
[化10]


[0049]
[化11]


[0050]
[化12]


[0051]
[化13]


[0052]
[化14]


[0053]
[化15]


[0054]
[化16]


[0055]
[化17]


[0056]
[化18]


[0057]
[化19]


[0058]
[化20]


[0059]
 前記説明した本発明の薄膜に関して、その使用方法は特に限定されず、様々な製品等に用いることができる。本発明の薄膜を用いる製品としては、例えば、太陽光パネルや有機EL素子など、種々の電子デバイス等が挙げられる。それら電子デバイスは、金属等により形成される電極と、前記薄膜を有している。
[0060]
 また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス用材料は、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする。前記一般式(1)については、前記説明したとおりである。
[0061]
 また、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物における複数の窒素含有ヘテロ環は、銀との相互作用があり、銀原子の拡散距離が減少し、銀の凝集を抑制することができる。それにより銀を主成分とした電極の均一膜を達成することもできる。電極の詳細については後述する。また、本発明化合物は結晶性を抑制することができるため、膜形成時に積層しやすく平滑性を向上させることができる。さらに、銀の凝集を抑制することにより、銀原子の粒界が増えることを抑制できるため、駆動電圧の低下や、経時的な駆動電圧の上昇を抑制することができる。
[0062]
 また、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物におけるヘテロ原子は、電子注入材料として用いられるアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類と相互作用があり、それら電子注入材料として用いられるアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類の各原子の発光層への拡散を抑制し、駆動電圧の低下や、経時的な駆動電圧の上昇を抑制することができる。
[0063]
《有機EL素子の構成層》
 本発明の有機EL素子の構成層について説明する。本発明の有機EL素子において、電極とは、陽極と陰極を意味する。陽極と陰極との間に挟持される各種有機機能層の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
 (i)陽極/発光層ユニット/電子輸送層/陰極
 (ii)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/電子輸送層/陰極
 (iii)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
 (iv)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
 (v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
[0064]
 更に、発光層ユニットは複数の発光層の間に非発光性の中間層を有していてもよく、該中間層が電荷発生層であるようなマルチフォトンユニット構成であってもよい。この場合、電荷発生層としては、ITO(インジウム・スズ酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ZnO 、TiN、ZrN、HfN、TiOx、VOx、CuI、InN、GaN、CuAlO 、CuGaO 、SrCu 、LaB 、RuO 等の導電性無機化合物層や、Au/Bi 等の2層膜や、SnO /Ag/SnO 、ZnO/Ag/ZnO、Bi /Au/Bi 、TiO /TiN/TiO 、TiO /ZrN/TiO 等の多層膜、またC 60等のフラーレン類、オリゴチオフェン類、金属フタロシアニン類、無金属フタロシアニン類、金属ポルフィリン類、無金属ポルフィリン類等の導電性有機化合物層等が挙げられる。また、電荷発生層は、複数の発光層間の電子の移動を促進する機能を有し、リチウム等のアルカリ金属や、アルカリ土類金属、希土類等が含まれていることが望ましい。その他、電荷発生層の機能や構成としては、後述する電子注入層と同様であってもよい。
 以下、本発明の有機EL素子を構成する各層について説明する。
[0065]
《有機機能層》
 本発明の有機EL素子は、陽極と、発光層を含む複数の有機機能層と、陰極とをこの順に有する。すなわち、本発明に係る有機機能層は、陽極と陰極の間に位置することを特徴とする。
 本発明の有機EL素子は、複数の有機機能層を有し、当該有機機能層は、発光層、及び、前記説明した本発明の薄膜を含んでいる。なお、発光層は一つであっても複数であってもよい。
[0066]
 また、有機機能層として、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物及び電子注入材料を含有する層を有することが好ましい。すなわち、有機機能層としての前記薄膜に電子注入材料が含まれる、若しくは前記薄膜とは別に、電子注入材料が含まれた有機機能層(後述する電子注入層)が設けられることが好ましい。
 また、後述する電子注入層が存在する場合、前記薄膜、電子注入層及び前記陰極の順に積層されていることも好ましい。
[0067]
《発光層》
 本発明に用いる発光層は、電極又は電子輸送層及び正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
 発光層の層厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加することを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、好ましくは2nm~5μmの範囲に調整される。発光層の層厚の総和は、更に好ましくは2~200nmの範囲に調整され、特に好ましくは5~100nmの範囲に調整される。
[0068]
 発光層の作製には、後述する発光ドーパントやホスト化合物を用いて、例えば、真空蒸着法、湿式法等により成膜して形成することができる。湿式法は、ウェットプロセスともいい、例えば、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア・ブロジェット(Langmuir Blodgett法))等を挙げることができる。
 本発明の有機EL素子の発光層には、発光性ドーパント(リン光発光性ドーパントや蛍光発光性ドーパント等)化合物と、ホスト化合物とを含有することが好ましい。
[0069]
(1)発光性ドーパント
 発光性ドーパント(発光ドーパント、ドーパント化合物、単にドーパントともいう。)について説明する。
 発光性ドーパントとしては、リン光発光性ドーパント(リン光ドーパント、リン光性化合物、リン光発光性化合物等ともいう。)、蛍光発光性ドーパント(蛍光ドーパント、蛍光性化合物、蛍光発光性化合物ともいう。)を用いることができる。
[0070]
(1.1)リン光ドーパント
 リン光ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物である。リン光ドーパントは、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
 上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できる。しかし、本発明で用いられるリン光ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
[0071]
 リン光ドーパントの発光は原理としては2種挙げられる。一つはエネルギー移動型である。エネルギー移動型は、キャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こって発光ホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光ドーパントに移動させることでリン光ドーパントからの発光を得るものである。もう一つはキャリアトラップ型である。キャリアトラップ型は、リン光ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光ドーパント上でキャリアの再結合が起こり、リン光ドーパントからの発光が得られるというものである。いずれの場合においても、リン光ドーパントの励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
[0072]
(1.2)蛍光ドーパント
 蛍光ドーパントとしては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等や、レーザー色素に代表される蛍光量子収率が高い化合物が挙げられる。
[0073]
 [従来公知のドーパントとの併用]
 また、本発明に用いられる発光ドーパントは、複数種の化合物を併用して用いてもよく、構造の異なるリン光ドーパント同士の組み合わせや、リン光ドーパントと蛍光ドーパントを組み合わせて用いてもよい。
 ここで、発光ドーパントとして、従来公知の国際公開第2013/061850号に記載の化合物を好適に用いることができるが、本発明はこれらに限定されない。
[0074]
 [ホスト化合物]
 本発明に用いることができるホスト化合物(発光ホスト、発光ホスト化合物ともいう。)は、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であり、かつ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
[0075]
 本発明に用いることができるホスト化合物としては、特に制限はなく、従来有機EL素子で用いられる化合物を用いることができる。代表的にはカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するもの、又は、カルボリン誘導体やジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の少なくとも一つの炭素原子が窒素原子で置換されているものを表す。)等が挙げられる。
[0076]
 本発明に用いることができる公知のホスト化合物としては正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
 また、本発明においては、従来公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、又は複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、従来公知の化合物を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
[0077]
 また、本発明に用いられるホスト化合物としては、低分子化合物でも、繰り返し単位を持つ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(重合性ホスト化合物)でもよい。また、本発明に用いられるホスト化合物としては、このような化合物を1種又は複数種用いても良い。
[0078]
 公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載の化合物が挙げられる。
 特開2001-257076号公報、同2002-308855号公報、同2001-313179号公報、同2002-319491号公報、同2001-357977号公報、同2002-334786号公報、同2002-8860号公報、同2002-334787号公報、同2002-15871号公報、同2002-334788号公報、同2002-43056号公報、同2002-334789号公報、同2002-75645号公報、同2002-338579号公報、同2002-105445号公報、同2002-343568号公報、同2002-141173号公報、同2002-352957号公報、同2002-203683号公報、同2002-363227号公報、同2002-231453号公報、同2003-3165号公報、同2002-234888号公報、同2003-27048号公報、同2002-255934号公報、同2002-260861号公報、同2002-280183号公報、同2002-299060号公報、同2002-302516号公報、同2002-305083号公報、同2002-305084号公報、同2002-308837号公報等である。
[0079]
《陰極》
 陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する。)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものも用いられる。このような電極物質の具体例としては、アルミニウム、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al )混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al )混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
 陰極は、特に、銀を主成分として構成されていることが好ましい。銀を主成分とする合金は、例えば、銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)等が挙げられる。
 なお、本発明における「主成分」とは、膜又は層中の50質量%以上含有されていることを表し、好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上含有されていることを表す。
[0080]
 銀を主成分とする合金を用いる陰極は、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であってもよい。
 陰極の膜厚は、通常10nm~5μm、好ましくは50~200nmの範囲で選ばれる。銀を主成分とする合金を用いる場合は、膜厚が、15nm以下であることが好ましく、12nm以下であることがより好ましい。また、銀を主成分とする合金を用いる場合は、膜厚が、4nm以上であることが好ましい。すなわち、銀を主成分とする合金を用いる場合は、膜厚が、4~12nmの範囲内であることがより好ましい。膜厚が当該範囲内であることにより、膜が吸収又は反射する光の成分をより低減することができ、光透過率をより維持することができ、かつ層の導電性もより確保できる。
[0081]
 前述のとおり、陰極が銀を主成分とする場合、陰極は、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有する有機機能層、すなわち前記薄膜に隣接することが好ましい。
 前記薄膜は、陰極に隣接していることが好ましく、前記薄膜上に陰極を形成する場合であっても、陰極上に前記薄膜を形成してもよい。更には、前記薄膜上に陰極を形成し、更に当該陰極上に前記薄膜を形成し、陰極を2層の前記薄膜で挟持する構成であってもよい。
[0082]
 前記薄膜の上部に、銀を主成分とする陰極を成膜する際、陰極を構成する銀原子が前記薄膜に含有されている前記一般式(1)で表される構造を有する化合物と相互作用する。これにより、前記薄膜表面上での銀原子の拡散距離が減少し、特異箇所での銀の凝集(マイグレーション)を抑制することができる。
 すなわち、銀原子は、まず銀原子と親和性のある原子を有する前記薄膜表面上で二次元的な核を形成し、それを中心に二次元の単結晶層を形成するという層状成長型(Frank-van der Merwe:FM型)の膜成長によって成膜されるようになる。
[0083]
 なお、一般的には、前記薄膜表面において付着した銀原子が表面を拡散しながら結合して3次元的な核を形成し、3次元的な島状に成長するという島状成長型(Volumer-Weber:VW型)での膜成長により、島状に成膜しやすいと考えられる。
 しかし、本発明においては、前記薄膜に含有されている前記一般式(1)で表される構造を有する化合物により、島状成長が抑制され、層状成長が促進されると推察される。
 したがって、薄い膜厚でありながらも均一な膜厚の陰極が得られるようになる。その結果、その薄い膜厚により光透過性を保ちつつも、導電性が確保された透明電極とすることができる。
[0084]
 さらに、前記説明したように、特異箇所での銀の凝集を抑制することにより、陰極と前記薄膜との界面において、銀原子の粒界が増えることを抑制できるため、駆動電圧の低下や、経時的な駆動電圧の上昇を抑制することができる。
[0085]
 また、陰極の上部に前記薄膜を成膜した場合、陰極を構成する銀原子が前記薄膜に含有されている銀原子と親和性のある原子と相互作用し、運動性が抑制されるものと考えられる。これによって、陰極の表面平滑性が良化することで乱反射を抑制することができ、光透過率を向上することが可能である。
 このような相互作用によって、熱や温度といった物理刺激に対する陰極の膜質変化が抑制され、耐久性を向上させることができたものと推測している。
[0086]
 陰極は、銀を主成分とする合金の他、一般的な電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法で薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、駆動電圧をより低くし、発光効率、素子寿命等をより向上させる観点から、陰極としてのシート抵抗値は数百Ω/sq.(Ω/□)以下が好ましく、50Ω/sq.以下がより好ましく、特に25Ω/sq.以下であることが好ましい。下限については特に規定されるものではないが、例えば、1Ω/sq.以上とすることができる。
 なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。陰極の光透過率は、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。更に好ましくは70%以上である。上限については特に規定されるものではないが、例えば、95%以下とすることができる。
 また、陰極に上記金属を1~20nmの膜厚で作製した後に、後述する陽極の説明で挙げる導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができる。これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
[0087]
《電子輸送層》
 電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、前述のとおり、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有することも好ましい。すなわち、電子輸送層は前記薄膜であることも好ましい。広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層若しくは複数層を設けることができる。更に、後述する電子注入層に含まれる材料も含有する電子注入輸送層を設けてもよい。
 電子輸送層は陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、電子輸送層の構成材料としては、従来公知の化合物の中から任意のものを選択し併用することも可能である。
[0088]
 電子輸送層に用いられる従来公知の材料(以下、電子輸送材料という。)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の多環芳香族炭化水素、複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、カルボリン誘導体、又は、該カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の少なくとも一つが窒素原子で置換されている環構造を有する誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体等が挙げられる。
 更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引性基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も電子輸送材料として用いることができる。
 これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
[0089]
 また、8-キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8-キノリノール)アルミニウム(Alq) 、トリス(5,7-ジクロロ-8-キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7-ジブロモ-8-キノリノール)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-キノリノール)アルミニウム、トリス(5-メチル-8-キノリノール)アルミニウム、ビス(8-キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も電子輸送材料として用いることができる。
 その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも電子輸送材料として用いることができる。
 また、n型-Si、n型-SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
[0090]
 電子輸送層は電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、湿式法等により、薄膜化することで形成することが好ましい。湿式法は、ウェットプロセスともいい、例えば、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア・ブロジェット(Langmuir Blodgett法))等を挙げることができる。
[0091]
 電子輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5~5000nm程度、好ましくは5~200nmである。この電子輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよい。
 また、金属錯体やハロゲン化金属など金属化合物等のn型ドーパントをドープして用いてもよい。
[0092]
 本発明の有機EL素子の電子輸送層の形成に好ましく用いられる従来公知の電子輸送材料の一例として、国際公開第2013/061850号に記載の化合物を好適に用いることができるが、本発明はこれらに限定されない。
[0093]
《注入層:電子注入層(陰極バッファー層)、正孔注入層》
 注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、陽極と発光層又は正孔輸送層の間、及び陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させてもよい。
 注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機機能層間に設けられる層のことである。注入層は、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123~166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
[0094]
 陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9-45479号公報、同9-260062号公報、同8-288069号公報等にもその詳細が記載されている。陽極バッファー層としては、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、特表2003-519432号公報や特開2006-135145号公報等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体バッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム錯体等に代表されるオルトメタル化錯体層等が挙げられる。
[0095]
 陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6-325871号公報、同9-17574号公報、同10-74586号公報等にもその詳細が記載されている。陰極バッファー層としては、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、リチウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウム、フッ化セシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、イッテルビウム、スカンジウムに代表される希土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm~5μmの範囲が好ましい。
[0096]
 また、前記説明したように、前記有機機能層は、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有することが好ましい。
[0097]
 例えば、電子輸送層と陰極が隣接し、電子注入層が設けられていない場合、電子輸送層に前記一般式(1)で表される構造を有する化合物に加えて、電子注入材料を含有することも好ましい(すなわち、電子注入輸送層が設けられている)。このような場合であり、かつ、陰極の主成分として銀が用いられる場合、前記説明したように、特異箇所での銀の凝集を抑制することで、駆動電圧の低下や経時的な駆動電圧上昇の抑制が可能である。
[0098]
 例えば、電子輸送層、電子注入層、陰極がこの順に積層される場合、電子輸送層に前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有し(電子輸送層が前記薄膜に該当する)、電子注入層に電子注入材料を含有することも好ましい。この場合、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物が、電子注入材料として使用されるアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類等と相互作用し、電子注入材料の発光層への拡散を抑制すると考えられるため、駆動電圧の低下と経時的な駆動電圧上昇を抑制することができると考えられる。
[0099]
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
 阻止層は、上記のように有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11-204258号公報、同11-204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
[0100]
 正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなる。正孔阻止層は、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
 また、前述する電子輸送層の構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。
 本発明の有機EL素子の正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
 正孔阻止層には、前述のホスト化合物として挙げた、カルバゾール誘導体、カルボリン誘導体、ジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン環を構成する炭素原子のいずれか一つが窒素原子で置き換わったものをいう。)を含有することが好ましい。
[0101]
 一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなる。電子阻止層は、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
 また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の層厚としては、好ましくは3~100nmであり、更に好ましくは5~30nmである。
[0102]
《正孔輸送層》
 正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
 正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
 また、特表2003-519432号公報や特開2006-135145号公報等に記載されているようなアザトリフェニレン誘導体も同様に正孔輸送材料として用いることができる。
[0103]
 正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
 芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′-テトラフェニル-4,4′-ジアミノフェニル;N,N′-ジフェニル-N,N′-ビス(3-メチルフェニル)-〔1,1′-ビフェニル〕-4,4′-ジアミン(TPD);2,2-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)プロパン;1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′-テトラ-p-トリル-4,4′-ジアミノビフェニル;1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン;ビス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′-ジフェニル-N,N′-ジ(4-メトキシフェニル)-4,4′-ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′-テトラフェニル-4,4′-ジアミノジフェニルエーテル;4,4′-ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N-トリ(p-トリル)アミン;4-(ジ-p-トリルアミノ)-4′-〔4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4-N,N-ジフェニルアミノ-(2-ジフェニルビニル)ベンゼン;3-メトキシ-4′-N,N-ジフェニルアミノスチルベン;N-フェニルカルバゾール、更には米国特許第5061569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′-ビス〔N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4-308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが三つスターバースト型に連結された4,4′,4″-トリス〔N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
[0104]
 更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
 また、p型-Si、p型-SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
[0105]
 また、特開平11-251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、いわゆるp型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることからこれらの材料を用いることが好ましい。
[0106]
 正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
 正孔輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5nm~5μm程度、好ましくは5~200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよい。
[0107]
 また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4-297076号公報、特開2000-196140号公報、同2001-102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
 本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
[0108]
《陽極》
 有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、ITO、SnO 、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。
 また、IDIXO(In -ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよい。又はパターン精度を余り必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
[0109]
 又は、導電性有機化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等の湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、光透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗値は数百Ω/sq.以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10~1000nm、好ましくは10~200nmの範囲で選ばれる。
[0110]
《支持基板》
 本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等ともいう。)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
[0111]
 樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル又はポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)又はアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等のフィルムを挙げることができる。
[0112]
 樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよい。ハイブリッド被膜は、JIS K 7129-1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%)が0.01g/m ・24h以下のガスバリアー性フィルムであることが好ましい。更には、ハイブリッド被膜は、JIS K 7126-1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10 -3mL/m ・24h・atm以下、水蒸気透過度が、1×10 -5g/m ・24h以下の高ガスバリアー性フィルムであることが好ましい。
[0113]
 ガスバリアー層を形成する材料としては、水分や酸素等の素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機機能層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
[0114]
 ガスバリアー層の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。しかし、特開2004-68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
 不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
[0115]
 本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し収率は、1%以上であることが好ましく、5%以上であるとより好ましい。
 ここで、外部取り出し量子収率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
 また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を、蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
[0116]
《有機EL素子の作製方法》
 有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/陰極からなる素子の作製方法について説明する。
 まず、適当な基板上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10~200nmの膜厚になるように形成させ、陽極を作製する。
 次に、この上に素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、陰極バッファー層等の有機化合物を含有する薄膜を形成させる。
[0117]
 薄膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいう。)等により成膜して形成することができる。
 湿式法としては、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法等がある。しかし、湿式法としては、精密な薄膜が形成可能で、かつ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法等のロール・to・ロール方式適性の高い方法が好ましい。また、層ごとに異なる成膜法を適用してもよい。
[0118]
 本発明に用いられる発光ドーパント等の有機EL材料を溶解又は分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、ジメチルホルムアミド(DMF)、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。
 また、分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
[0119]
 これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50~200nmの範囲の膜厚になるように形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
 また、順序を逆にして、陰極、陰極バッファー層、電子輸送層、正孔阻止層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
 本発明の有機EL素子の作製は、1回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
[0120]
《封止》
 本発明に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
 封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されていればよく、凹板状でも平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に問わない。
[0121]
 具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。
 また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等から形成されたものを挙げることができる。
 金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブデン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選
ばれる1種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
[0122]
 本発明においては、素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。
 更には、ポリマーフィルムは、JIS K 7126-1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10 -3mL/m ・24h・atm以下、JIS K 7129-1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%)が、1×10 -3g/m ・24h以下のものであることが好ましい。
 封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
[0123]
 接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2-シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
[0124]
 なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
[0125]
 また、有機機能層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に当該電極と有機機能層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、当該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。
 更に、当該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
[0126]
 封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコーンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
 吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
[0127]
《保護膜、保護板》
 有機機能層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜、又は前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、又は保護板を設けてもよい。特に封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
[0128]
《光取り出し》
 有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7~2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15~20%程度の光しか取り出せないことが一般的にいわれている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないためである。また、透明電極又は発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極又は発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
[0129]
 この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4774435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63-314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1-220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62-172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001-202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(基板と外界間を含む。)に回折格子を形成する方法(特開平11-283751号公報)等がある。
[0130]
 本発明においては、これらの方法を本発明の有機EL素子と組み合わせて用いることができる。しかし、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、又は基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(基板と外界間を含む。)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
 本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度又は耐久性に優れた素子を得ることができる。
[0131]
 透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚さで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど外部への取り出し効率が高くなる。
 低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5~1.7程度であるので、低屈折率層は屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。また、更に1.35以下であることが好ましい。
 また、低屈折率媒質の厚さは媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは低屈折率媒質の厚さが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
[0132]
 全反射を起こす界面若しくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は回折格子が一次の回折や二次の回折といったいわゆるブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用したものである。この方法は、発光層から発生した光のうち層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間若しくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
[0133]
 導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な一次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。
 しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
[0134]
 回折格子を導入する位置としては前述のとおり、いずれかの層間若しくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。
 このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2~3倍程度が好ましい。
 回折格子の配列は正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、二次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
[0135]
《集光シート》
 本発明の有機EL素子は基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工したり、又はいわゆる集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
 マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を二次元に配列する。一辺は10~100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚さが厚くなり好ましくない。
[0136]
 集光シートとしては、例えば、液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして、例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることができる。
 プリズムシートの形状としては、例えば、基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
 また、発光素子からの光放射角を制御するために、光拡散板・フィルムを集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることができる。
[0137]
《用途》
 本発明の有機EL素子は、表示装置、ディスプレイ、各種発光装置等に用いることができる。発光装置として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではない。特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
[0138]
 本発明の有機EL素子においては、必要に応じ成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよい。素子全層をパターニングしてもよく、素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。
[0139]
 本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図7.16において、分光放射輝度計CS-1000(コニカミノルタ(株)製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
 また、本発明の有機EL素子が白色素子の場合には、白色とは、2度視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/m でのCIE1931表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.1の領域内にあることをいう。
[0140]
《表示装置》
 本発明の有機EL素子は、表示装置に用いることもできる。
 本発明の表示装置は、本発明の有機EL素子を具備する。表示装置は単色でも多色でもよいが、ここでは多色表示装置について説明する。
 多色表示装置の場合は発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。
 発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、スピンコート法、印刷法である。
[0141]
 表示装置に具備される有機EL素子の構成は、必要に応じて上記の有機EL素子の構成例の中から選択される。
 また、有機EL素子の製造方法は、上記の本発明の有機EL素子の製造の一態様に示したとおりである。
 このようにして得られた多色表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を-の極性として電圧2~40V程度を印加すると発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。更に交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が-の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
[0142]
 多色表示装置は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレイにおいて、青、赤、緑発光の3種の有機EL素子を用いることによりフルカラーの表示が可能となる。
 表示デバイス、ディスプレイとしては、テレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。
 発光光源としては家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
[0143]
 以下、本発明の有機EL素子を有する表示装置の一例を図面に基づいて説明する。
 図1は有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
[0144]
 ディスプレイ1は複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B、表示部Aと制御部Bとを電気的に接続する配線部C等を有する。
 制御部Bは表示部Aと配線部Cを介して電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送る。そして、走査信号により走査線ごとの画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
[0145]
 図2はアクティブマトリクス方式による表示装置の模式図であり、表示部Aの模式図である。
 表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部Cと複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。
 図2においては、画素3の発光した光(発光光L)が白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
[0146]
 配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示していない)。
 画素3は走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。
 発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を適宜同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
[0147]
 次に、画素の発光プロセスを説明する。図3は画素の回路を示した概略図である。
 画素は、有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサー13等を備えている。複数の画素に有機EL素子10として、赤色、緑色及び青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
[0148]
 図3において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンする。そして、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサー13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。
[0149]
 画像データ信号の伝達により、コンデンサー13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子10の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン7から有機EL素子10に電流が供給される。
[0150]
 制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサー13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれる。そして、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。
 すなわち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
[0151]
 ここで、有機EL素子10の発光は複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。また、コンデンサー13の電位の保持は次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
 本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
[0152]
 図4は、パッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。図4において、複数
の走査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。
 順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。
 パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子がなく、製造コストの低減が計れる。
 本発明の有機EL素子を用いることにより、発光効率が向上した表示装置が得られた。
[0153]
《照明装置》
 本発明の有機EL素子は、照明装置に用いることもできる。
 本発明の照明装置は、本発明の有機EL素子を具備する。
 本発明の有機EL素子は、共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよい。このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
 また、本発明の有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。
 動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、パッシブマトリクス方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。又は、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
[0154]
 例えば、複数の発光材料を用いる場合、複数の発光色を同時に発光させて、混色することで白色発光を得ることができる。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色及び青色の三原色の三つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した二つの発光極大波長を含有したものでもよい。
[0155]
 また、本発明の有機EL素子の形成方法は、発光層、正孔輸送層又は電子輸送層等の形成時のみマスクを設け、マスクにより塗り分ける等単純に配置するだけでよい。他層は共通であるのでマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法及び印刷法等で、例えば、電極膜を形成でき、生産性も向上する。
 この方法によれば、複数色の発光素子をアレー状に並列配置した白色有機EL装置と異なり、素子自体が発光白色である。
[0156]
 [照明装置の一態様]
 本発明の有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚さ300μmのガラス基板を封止用基板として用いる。周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを陰極上に重ねて透明支持基板と密着させる。そして、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、封止し、図5及び図6に示すような照明装置を形成することができる。
 図5は、照明装置の概略図を示し、本発明の有機EL素子(照明装置内の有機EL素子101)はガラスカバー102で覆われている(なお、ガラスカバーでの封止作業は、照明装置内の有機EL素子101を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。)。
 図6は、照明装置の断面図を示し、図6において、105は陰極、106は有機機能層、107は透明電極付きガラス基板を示す。なお、ガラスカバー102内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている。
 本発明の有機EL素子を用いることにより、発光効率が向上した照明装置が得られた。
実施例 1
[0157]
 以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り、「質量部」又は「質量%」を表す。
[0158]
 なお、本実施例では有機EL素子を例に挙げているが、本発明の薄膜はこれに限定されず、有機EL素子以外の様々な電子デバイスに用いることができる。
[0159]
[実施例1]
(有機EL素子の作製)
 <有機EL素子1-1の作製>
 50mm×50mm、厚さ0.7mmのガラス基板上に、陽極としてITO(インジウム・スズ酸化物)を150nmの厚さで成膜した。パターニングを行った後、このITO透明電極を付けた透明基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄した。次いで、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。その後、この透明基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。
[0160]
 真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を、各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
 真空度1×10 -4Paまで減圧した後、HAT-CN(1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル)の入った蒸着用るつぼに通電して加熱した。そして、蒸着速度0.1nm/秒でITO透明電極上に蒸着し、層厚10nmの正孔注入層を形成した。
[0161]
 次いで、α-NPD(4,4′-ビス〔N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ〕ビフェニル)を蒸着速度0.1nm/秒で前記正孔注入層上に蒸着し、層厚40nmの正孔輸送層を形成した。ホスト化合物としてCBP(4,4′-Bis(carbazol-9-yl)biphenyl)、発光ドーパントとしてIr(ppy) (Tris(2-phenylpyridinato)iridium(III))を、それぞれ90%、10%の体積%になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、層厚30nmの発光層を形成した。
[0162]
 その後、比較化合物1(電子輸送層(1))とLiQ(8-hydroxyquinolinato lithium)(電子輸送層(2))をそれぞれ50%、50%の体積%になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、層厚30nmの電子輸送層を形成した。なお、電子輸送層(電子輸送層(1)と電子輸送層(2)を合わせた層)が本発明における薄膜に相当する。
 更に、LiQを蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、膜厚2nmの電子注入層を形成した後に、アルミニウムを蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、層厚100nmの陰極を形成した。
 上記素子の非発光面側を、純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下で、缶状ガラスケースで覆い、電極取り出し配線を設置して、有機EL素子1-1を作製した。
[0163]
[化21]


[0164]
 <有機EL素子1-2~1-35の作製>
 電子輸送層(1)、(2)及び電子注入層に含有させる化合物等を表Iに示すように変えた以外は有機EL素子1-1と同様の方法で有機EL素子1-2~1-35を作製した。
 なお、表I中、「-」は、成分を含有していないことを示す。
[0165]
(評価)
(1)相対駆動電圧の測定
 作製した各有機EL素子について、各有機EL素子の透明電極側(すなわち透明基板側)と、対向電極側(すなわち陰極側)との両側での正面輝度を測定し、その和が1000cd/m となるときの電圧を駆動電圧(V)として測定した。なお、輝度の測定には、分光放射輝度計CS-1000(コニカミノルタ製)を用いた。
 上記で得られた駆動電圧を下記式に当てはめて、有機EL素子1-1の駆動電圧に対する、各有機EL素子の相対駆動電圧を求めた。
 相対駆動電圧(%)=(各有機EL素子の駆動電圧/有機EL素子1-1の駆動電圧)×100
 得られた数値が小さいほど、好ましい結果であることを表す。
[0166]
(2)高温保存下での相対駆動電圧変化の測定
 上記作製した有機EL素子を、温度80℃で、2.5mA/cm の定電流条件下で発光させ、発光開始直後の駆動電圧と、開始100時間後の駆動電圧を測定した。
 得られた高温保存前と保存後の駆動電圧を比較して、駆動電圧の変化量(高温保存前の駆動電圧から高温保存後の駆動電圧を差し引いた値)を求めた。
 上記で得られた駆動電圧の変化量を下記式に当てはめて、有機EL素子1-1の駆動電圧変化量に対する、各有機EL素子の駆動電圧変化量の相対値を高温保存下での相対駆動電圧変化として求めた。
 高温保存下での相対駆動電圧変化率(%)=(各有機EL素子の駆動電圧変化量/有機EL素子1-1の駆動電圧変化量)×100
 得られた数値が小さいほど、好ましい結果であることを表す。
[0167]
[表1]


[0168]
[実施例2]
(有機EL素子の作製)
 <有機EL素子2-1の作製>
 50mm×50mm、厚さ0.7mmのガラス基板上に、陽極としてITO(インジウム・スズ酸化物)を150nmの厚さで成膜し、パターニングを行った後、このITO透明電極を付けた透明基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った後、この透明基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。
[0169]
 真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を、各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
 真空度1×10 -4Paまで減圧した後、HAT-CN(1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル)の入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒でITO透明電極上に蒸着し、層厚10nmの正孔注入層を形成した。
[0170]
 次いで、α-NPD(4,4′-ビス〔N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ〕ビフェニル)を蒸着速度0.1nm/秒で前記正孔注入層上に蒸着し、層厚40nmの正孔輸送層を形成した。
 ホスト化合物としてCBP、発光ドーパントとしてIr(ppy) を、それぞれ90%、10%の体積%になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、層厚30nmの発光層を形成した。
[0171]
 その後、比較化合物2とKFをそれぞれ85%、15%の体積%になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、層厚30nmの電子輸送層を形成した。なお、電子輸送層が本発明における薄膜に相当する。
 この後、銀とマグネシウムをそれぞれ90%、10%の体積%になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、膜厚15nmの陰極を形成した。
 上記素子の非発光面側を、純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下で、缶状ガラスケースで覆い、電極取り出し配線を設置して、有機EL素子2-1を作製した。
[0172]
[化22]


[0173]
 <有機EL素子2-2~2-18の作製>
 電子輸送層の化合物と、陰極の銀とマグネシウムの成分比を、表IIに示すように変えた以外は有機EL素子2-1と同様にして有機EL素子2-2~2-18を作製した。
 なお、有機EL素子2-1~2-18において、電子輸送層にはKFが15%含まれるが、表II中、KFの表記は省略している。
[0174]
(評価)
(1)相対駆動電圧の測定
 作製した各有機EL素子について、各有機EL素子の透明電極側(すなわち透明基板側)と、対向電極側(すなわち陰極側)との両側での正面輝度を測定し、その和が1000cd/m となるときの電圧を駆動電圧(V)として測定した。なお、輝度の測定には、分光放射輝度計CS-1000(コニカミノルタ製)を用いた。
 上記で得られた駆動電圧を下記式に当てはめて、有機EL素子2-1の駆動電圧に対する、各有機EL素子の相対駆動電圧を求めた。
 相対駆動電圧(%)=(各有機EL素子の駆動電圧/有機EL素子2-1の駆動電圧)×100
 得られた数値が小さいほど、好ましい結果であることを表す。
[0175]
(2)高温保存下での相対駆動電圧変化の測定
 上記作製した有機EL素子を、温度80℃で、2.5mA/cm の定電流条件下で発光させ、発光開始直後の駆動電圧と、開始100時間後の駆動電圧を測定した。
 得られた高温保存前と保存後の駆動電圧を比較して、駆動電圧の変化量(高温保存前の駆動電圧から高温保存後の駆動電圧を差し引いた値)を求めた。
 上記で得られた駆動電圧の変化量を下記式に当てはめて、有機EL素子2-1の駆動電圧変化量に対する、各有機EL素子の駆動電圧変化量の相対値を高温保存下での相対駆動電圧変化として求めた。
 高温保存下での相対駆動電圧変化率(%)=(各有機EL素子の駆動電圧変化量/有機EL素子2-1の駆動電圧変化量)×100
 得られた数値が小さいほど、好ましい結果であることを表す。
[0176]
[表2]


[0177]
[実施例3]
(有機EL素子の作製)
 <有機EL素子3-1の作製>
 50mm×50mm、厚さ0.7mmのガラス基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄した。次いで、乾燥窒素ガスで乾燥させた後、このガラス基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。
[0178]
 真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を、各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
 真空度1×10 -4Paまで減圧した後、ガラス基板に蒸着マスクを装着し、陽極としてAlの入った蒸着用るつぼに通電して加熱した。そして、蒸着速度0.1nm/秒でガラス基板上に蒸着し、層厚100nmのパターニングされた陽極を形成した。
 次いで、HAT-CN(1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル)を蒸着速度0.1nm/秒で陽極上に蒸着し、層厚10nmの正孔注入層を形成した。
[0179]
 さらに、α-NPD(4,4′-ビス〔N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ〕ビフェニル)を蒸着速度0.1nm/秒で前記正孔注入層上に蒸着し、層厚40nmの正孔輸送層を形成した。
 ホスト化合物としてCBP、発光ドーパントとしてIr(ppy) を、それぞれ90%、10%の体積%になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、層厚30nmの発光層を形成した。
[0180]
 その後、電子輸送層として、Alq を蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、層厚30nmの電子輸送層を形成した。
 その後、比較化合物3とLiQをそれぞれ50%、50%の体積%になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、層厚2nmの電子注入層を形成した。なお、電子注入層が本発明における薄膜に相当する。
 この後、銀を蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、膜厚15nmの陰極を形成した。
 上記素子の非発光面側を、純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下で、缶状ガラスケースで覆い、電極取り出し配線を設置して、有機EL素子3-1を作製した。
[0181]
[化23]


[0182]
 <有機EL素子3-2~3-21の作製>
 電子注入層の化合物と、陰極の銀とマグネシウムの比率及び陰極の膜厚を、表IIIに示すように変えた以外は有機EL素子3-1と同様にして有機EL素子3-2~3-21を作製した。
 なお、有機EL素子3-1~3-21において、電子注入層にはLiQが50%含まれるが、表III中、LiQの表記は省略している。
[0183]
(評価)
(1)相対駆動電圧の測定
 作製した各有機EL素子について、各有機EL素子の透明電極側(すなわち透明基板側)と、対向電極側(すなわち陰極側)との両側での正面輝度を測定し、その和が1000cd/m となるときの電圧を駆動電圧(V)として測定した。なお、輝度の測定には、分光放射輝度計CS-1000(コニカミノルタ製)を用いた。
 上記で得られた駆動電圧を下記式に当てはめて、有機EL素子3-1の駆動電圧に対する、各有機EL素子の相対駆動電圧を求めた。
 相対駆動電圧(%)=(各有機EL素子の駆動電圧/有機EL素子3-1の駆動電圧)×100
 得られた数値が小さいほど、好ましい結果であることを表す。
[0184]
(2)高温保存下での相対駆動電圧変化の測定
 上記作製した有機EL素子を、温度80℃で、2.5mA/cm の定電流条件下で発光させ、発光開始直後の駆動電圧と、開始100時間後の駆動電圧を測定した。
 得られた高温保存前と保存後の駆動電圧を比較して、駆動電圧の変化量(高温保存前の駆動電圧から高温保存後の駆動電圧を差し引いた値)を求めた。
 上記で得られた駆動電圧の変化量を下記式に当てはめて、有機EL素子3-1の駆動電圧変化量に対する、各有機EL素子の駆動電圧変化量の相対値を高温保存下での相対駆動電圧変化として求めた。
 高温保存下での相対駆動電圧変化率(%)=(各有機EL素子の駆動電圧変化量/有機EL素子3-1の駆動電圧変化量)×100
 得られた数値が小さいほど、好ましい結果であることを表す。
[0185]
[表3]


[0186]
[実施例4]
(有機EL素子の作製)
 <有機EL素子4-1の作製>
50mm×50mm、厚さ0.7mmのガラス基板上に、陽極としてITO(インジウム・スズ酸化物)を150nmの厚さで成膜した。パターニングを行った後、このITO透明電極を付けた透明基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄した。次いで、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。その後、この透明基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。
[0187]
 真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を、各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
 真空度1×10 -4Paまで減圧した後、HAT-CN(1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル)の入った蒸着用るつぼに通電して加熱した。そして、蒸着速度0.1nm/秒でITO透明電極上に蒸着し、層厚20nmの第1正孔注入層を形成した。
[0188]
 次いで、下記構造式に示す化合物4-Aを蒸着速度0.1nm/秒で前記第1正孔注入層上に蒸着し、層厚50nmの第1正孔輸送層を形成した。
[0189]
[化24]


[0190]
 さらに、下記構造式に示す化合物4-Bを蒸着速度0.1nm/秒で前記第1正孔輸送層上に蒸着し、層厚10nmの電子阻止層を形成した。
[0191]
[化25]


[0192]
 第1発光層のホスト化合物として下記構造式に示す化合物4-C、青色蛍光発光ドーパントとして化合物4-Dを、それぞれ95%、5%の体積%になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、層厚30nmの第1発光層を形成した。
[0193]
[化26]


[0194]
[化27]


[0195]
その後、第1電子輸送層として、下記構造式に示す化合物4-Eを蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、層厚30nmの第1電子輸送層を形成した。
[0196]
[化28]


[0197]
 以上の工程により、第1正孔輸送層、電子阻止層、第1発光層、第1電子輸送層から成る第1発光ユニットを作製した。
[0198]
 次に、比較化合物1とLiをそれぞれ95%、5%の体積%になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、第1電子輸送層上に層厚20nmの電荷発生層を形成した。なお、電荷発生層が本発明における薄膜に相当する。
[0199]
 その後、上記第1正孔輸送層と同様にHAT-CN(1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル)を蒸着速度0.1nm/秒で前記電荷発生層上に蒸着し、膜厚20nmの第2正孔注入層を形成した。次いで、化合物4-Aを蒸着速度0.1nm/秒で前記第2正孔注入層上に蒸着し、層厚60nmの第2正孔輸送層を形成した。
 第2発光層のホスト化合物として下記構造式に示す化合物4-F、緑色リン光発光ドーパントとしてIr(ppy) 、赤色リン光発光ドーパントとしてIr(piq) (Tris[1-phenylisoquinoline-C ,N]iridium(III))をそれぞれ79%、20%、1%の体積%になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、層厚20nmの第2発光層を形成した。
[0200]
[化29]


[0201]
 その後、上記第1電子輸送層と同様に、化合物4-Eを蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、層厚30nmの第2電子輸送層を形成した。
 更に、LiQを蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、膜厚2nmの電子注入層を形成した後に、アルミニウムを蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、層厚100nmの陰極を形成した
 上記素子の非発光面側を、純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下で、缶状ガラスケースで覆い、電極取り出し配線を設置して、有機EL素子4-1を作製した。
[0202]
 <有機EL素子4-2~4-11の作製>
 電荷発生層の化合物を表IVのように変えた以外は、有機EL素子4-1と同様にして有機EL素子4-2~4-11を作製した。
 なお、有機EL素子4-1~4-11において、電荷発生層にはLiが5%含まれるが、表IV中、Liの表記は省略している。
[0203]
(評価)
(1)相対駆動電圧の測定
 作製した各有機EL素子について、各有機EL素子の透明電極側(すなわち透明基板側)と、対向電極側(すなわち陰極側)との両側での正面輝度を測定し、その和が1000cd/m となるときの電圧を駆動電圧(V)として測定した。なお、輝度の測定には、分光放射輝度計CS-1000(コニカミノルタ製)を用いた。
 上記で得られた駆動電圧を下記式に当てはめて、有機EL素子4-1の駆動電圧に対する、各有機EL素子の相対駆動電圧を求めた。
 相対駆動電圧(%)=(各有機EL素子の駆動電圧/有機EL素子4-1の駆動電圧)×100
 得られた数値が小さいほど、好ましい結果であることを表す。
[0204]
(2)高温保存下での相対駆動電圧変化の測定
 上記作製した有機EL素子を、温度80℃で、2.5mA/cm の定電流条件下で発光させ、発光開始直後の駆動電圧と、開始100時間後の駆動電圧を測定した。
 得られた高温保存前と保存後の駆動電圧を比較して、駆動電圧の変化量(高温保存前の駆動電圧から高温保存後の駆動電圧を差し引いた値)を求めた。
 上記で得られた駆動電圧の変化量を下記式に当てはめて、有機EL素子4-1の駆動電圧変化量に対する、各有機EL素子の駆動電圧変化量の相対値を高温保存下での相対駆動電圧変化として求めた。
 高温保存下での相対駆動電圧変化率(%)=(各有機EL素子の駆動電圧変化量/有機EL素子4-1の駆動電圧変化量)×100
 得られた数値が小さいほど、好ましい結果であることを表す。
[0205]
[表4]


[0206]
 以上より、本発明の有機EL素子は、比較例の有機EL素子よりも相対駆動電圧が低く、高温保存下での相対駆動電圧変化も小さいことから高温保存時の安定性に優れ、耐久性に優れていることがわかった。

産業上の利用可能性

[0207]
 本発明は、電子デバイスの性能向上のため、電子デバイスの駆動電圧の低減及び保存時の安定性向上に寄与する薄膜、電子デバイス、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス用材料、表示装置、及び、照明装置に利用することができる。

符号の説明

[0208]
1 ディスプレイ
3 画素
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機EL素子
11 スイッチングトランジスタ
12 駆動トランジスタ
13 コンデンサー
101 照明装置内の有機EL素子
102 ガラスカバー
105 陰極
106 有機機能層
107 透明電極付きガラス基板
108 窒素ガス
109 捕水剤
A 表示部
B 制御部
C 配線部
L 発光光

請求の範囲

[請求項1]
 下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有する薄膜。
[化1]


(一般式(1)中、Ar ~Ar は、各々独立に、水素原子、芳香族炭化水素環又は複素環を表し、かつ、少なくとも一つはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、又はキナゾリン環を表す。Ar ~Ar は、各々独立に、水素原子、芳香族炭化水素環又は複素環を表し、かつ、少なくとも一つはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、又はキナゾリン環を表す。nは1以上、かつ5以下の整数を表す。Lは、各々独立に、芳香族炭化水素環又は複素環を表す。)
[請求項2]
 前記一般式(1)において、n=2の場合、Lのうち少なくとも一つは複素環である請求項1に記載の薄膜。
[請求項3]
 前記一般式(1)において、nは3以上である請求項1に記載の薄膜。
[請求項4]
 前記一般式(1)において、Lが、各々独立に、フェニル環、ピリジン環、ピラジン環、又はピリミジン環を表す請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の薄膜。
[請求項5]
 更に電子注入材料を含有する請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の薄膜。
[請求項6]
 電極と、発光層を含む複数の有機機能層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
 前記有機機能層の少なくとも一層が、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の前記薄膜である有機エレクトロルミネッセンス素子。
[請求項7]
 前記薄膜、電子注入層、前記電極の順に積層されている請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[請求項8]
 前記電極が、銀を主成分としており、
 前記有機機能層が、前記電極に隣接して設けられている請求項6または請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[請求項9]
 前記電極が、膜厚が15nm以下であり、かつ透明である請求項6から請求項8までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[請求項10]
 下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有する有機エレクトロルミネッセンス用材料。
[化2]


(一般式(1)中、Ar ~Ar は、各々独立に、水素原子、芳香族炭化水素環又は複素環を表し、かつ、少なくとも一つはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、又はキナゾリン環を表す。Ar ~Ar は、各々独立に、水素原子、芳香族炭化水素環又は複素環を表し、かつ、少なくとも一つはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、又はキナゾリン環を表す。nは1以上、かつ5以下の整数を表す。Lは、各々独立に、芳香族炭化水素環又は複素環を表す。)
[請求項11]
 請求項6から請求項9までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備する表示装置。
[請求項12]
 請求項6から請求項9までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備する照明装置。
[請求項13]
 電極と、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の薄膜を有する電子デバイス。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]