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1. WO2020009191 - 高齢動物の疼痛緩和用アミノ酸含有組成物

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明 細 書

発明の名称 高齢動物の疼痛緩和用アミノ酸含有組成物

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

非特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006  

発明の効果

0007  

発明を実施するための形態

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019  

実施例

0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

明 細 書

発明の名称 : 高齢動物の疼痛緩和用アミノ酸含有組成物

技術分野

[0001]
 本発明は、高齢動物の疼痛緩和用又は高齢動物の身体における違和感を改善するためのアミノ酸含有組成物に関する。

背景技術

[0002]
 高齢者では、長年、関節を酷使し続けることで、関節軟骨の変性と磨耗を生じ、関節周囲を取り囲む滑膜の炎症の併発で、関節の変性が加速している。さらに関節の骨軟骨などの増殖性変化、血管、神経の増生も進んでいる。一方、加齢とともに関節の可動性や構造維持に関与する骨格筋量や筋力は低下している。このような慢性的な関節の変化により、疼痛に関与する物質の増加や疼痛閾値の低下が起こり、当初は違和感を、最終的には慢性疼痛を訴えるようになる。関節の違和感や慢性疼痛は関節の可動域を制限し、関節をスムーズに動かすことの障害となり、高齢者の生活の質を著しく悪化させている。
 たんぱく質やその構成成分のうち特に必須アミノ酸の摂取は筋量、筋力、歩行速度等の運動パフォーマンスを改善することが知られている。特許文献1では、L-ロイシンを総必須アミノ酸中のモル組成比で35%以上含有するアミノ酸含有組成物が、高齢者のサルコペニア(加齢に伴う骨格筋量の減少)を防止又は改善し得ることが報告されている。
 一方、必須アミノ酸の摂取は遅発性筋痛の改善効果があることが知られている(非特許文献1及び2)。しかしながら、ここでいう筋痛は、高強度の運動後の骨格筋の損傷に伴う一時的なものであって、加齢に伴い関節に発生する慢性疼痛とは発生メカニズムが全く異なっている。特許文献1のL-ロイシンを総必須アミノ酸中のモル組成比で35%以上含有するアミノ酸含有組成物が、ヒトをはじめとする高齢動物の違和感や疼痛を緩和するかについてはこれまで報告されていない。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特表2008-534599号公報

非特許文献

[0004]
非特許文献1 : Kato H, Suzuki H, Mimura M, Inoue Y, Sugita M, Suzuki K, Kobayashi H.Leucine-enriched essential amino acids attenuate muscle soreness and improve muscle protein synthesis after eccentric contractions in rats. Amino Acids. 2015;47(6):1193-201
非特許文献2 : Shimomura Y, Yamamoto Y, Bajotto G, Sato J, Murakami T, Shimomura N, Kobayashi H, Mawatari K. Nutraceutical effects of branched-chain amino acids on skeletal muscle. J Nutr. 2006;136(2):529S-532S.

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 そこで、本発明は、高齢動物の疼痛を緩和するためのアミノ酸含有組成物を提供することを目的とする。
 本発明はまた、高齢動物の身体における違和感を改善するためのアミノ酸含有組成物を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明により、以下のアミノ酸含有組成物を提供する。
1.(a)ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35~66%含有する、高齢動物の疼痛緩和用アミノ酸含有組成物。
2.さらに、下記(b)~(i)のアミノ酸を含む、前記1項記載のアミノ酸含有組成物。
(b)イソロイシン
(c)バリン
(d)スレオニン
(e)リジン
(f)メチオニン
(g)ヒスチジン
(h)フェニルアラニン
(i)トリプトファン
3.下記(a)~(i)のアミノ酸を含み、下記(a)~(i)のアミノ酸の総量に対する各アミノ酸のモル組成比が、下記の数値範囲内(%)である、高齢動物の疼痛緩和用アミノ酸含有組成物。
(a)ロイシン    35~66%
(b)イソロイシン   5.0~15%
(c)バリン      5.0~15%
(d)スレオニン    7.0~14%
(e)リジン      8.0~16%
(f)メチオニン    2.0~10%
(g)ヒスチジン    0.1~3.5%
(h)フェニルアラニン 2.5~8.0%
(i)トリプトファン  0.1~2.0%
4.疼痛が、加齢に伴う慢性疼痛である、前記1~3のいずれか1項記載のアミノ酸含有組成物。
5.慢性疼痛が、膝、肩もしくは股の大関節;手指の小関節;脊椎の関節;又は腰における慢性疼痛である、前記4項記載のアミノ酸含有組成物。
6.高齢動物が、日常生活を営むのに支援又は介護を要する身体の状態であるヒトである、前記1~5のいずれか1項記載のアミノ酸含有組成物。
7.アミノ酸を、前記1~3のいずれか1項記載の範囲の割合で含有する、高齢動物の疼痛緩和用医薬品、高齢動物の疼痛緩和用飲食品又は高齢動物の疼痛緩和用飼料。
8.(a)ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35~66%含有する、高齢動物の身体における違和感を改善するためのアミノ酸含有組成物。
9.さらに、下記(b)~(i)のアミノ酸を含む、前記8項記載のアミノ酸含有組成物。
(b)イソロイシン
(c)バリン
(d)スレオニン
(e)リジン
(f)メチオニン
(g)ヒスチジン
(h)フェニルアラニン
(i)トリプトファン
10.下記(a)~(i)のアミノ酸を含み、下記(a)~(i)のアミノ酸の総量に対する各アミノ酸のモル組成比が、下記の数値範囲内(%)である、高齢動物の身体における違和感を改善するためのアミノ酸含有組成物。
(a)ロイシン    35~66%
(b)イソロイシン   5.0~15%
(c)バリン      5.0~15%
(d)スレオニン    7.0~14%
(e)リジン      8.0~16%
(f)メチオニン    2.0~10%
(g)ヒスチジン    0.1~3.5%
(h)フェニルアラニン 2.5~8.0%
(i)トリプトファン  0.1~2.0%
11.違和感が、加齢に伴う身体の違和感である、前記8~10のいずれか1項記載のアミノ酸含有組成物。
12.違和感が、膝、肩もしくは股の大関節;手指の小関節;脊椎の関節;又は腰における違和感である、前記11項記載のアミノ酸含有組成物。
13.高齢動物が、日常生活を営むのに支援又は介護を要する身体の状態であるヒトである、前記8~12のいずれか1項記載のアミノ酸含有組成物。
14.アミノ酸を、前記8~10のいずれか1項記載の範囲の割合で含有する、高齢動物の身体における違和感を改善するための医薬品、高齢動物の身体における違和感を改善するための飲食品又は高齢動物の身体における違和感を改善するための飼料。

発明の効果

[0007]
 本発明によれば、高齢動物の違和感又は疼痛を効果的に緩和することができる。アミノ酸の組み合わせであるので、違和感や疼痛の緩和に用いられる鎮痛薬のような副作用誘発の可能性が低い。

発明を実施するための形態

[0008]
 本発明が対象とするのは、加齢に伴う疼痛があったり、関節をスムーズに動かせない高齢動物である。具体的には、ヒト;イヌやネコなどのペット;牛、羊、山羊等の反芻動物および馬、豚、鶏、魚等の単胃動物を含む家畜等があげられる。
 高齢動物がヒトの場合、対象は、一般的に高齢者と称される65歳以上のヒトに限定されるわけではなく、関節・運動器の使用状態、栄養状態、体質、遺伝的背景によっては加齢に伴う疼痛を抱えるのであれば、40代や50代でも本発明の対象に含まれる。その理由の一つとしてヒトの筋肉量の減少は65歳から始まるわけではなく、30歳前後から始まり、生涯続くと言われている(牛田享宏ら、「加齢と慢性疼痛概論」、高齢者の感覚障害:慢性疼痛を中心に、公益財団法人長寿科学振興財団、23-34頁、平成28年3月)からである。このことから40代や50代でも加齢に伴う疼痛を発症する場合がありうる。
 筋肉量の減少速度は65歳以降で加速し、結果、80歳までに筋肉量はピーク時の30~40%近く低下すると言われている。筋肉量を維持・増加するには適正な運動及び栄養摂取が必要である。しかし現実には、長期的な関節の変化、慢性疼痛、栄養摂取量の低下や活動量の低下より筋量、筋力が低下し、身の回りの世話に介助が必要となる。
 驚くべきことに、本発明の組成物は、日常生活を営むのに支援ないし介護を必要とするような高齢者であっても、疼痛を緩和できることが判明した。日常生活を営むのに支援ないし介護を必要とするような高齢者とは、目安として、介護保険法による区分の要支援1に相当する状態に該当する身体状態-具体的には、立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とすることがある身体状態-にあるヒト及びそれより重度の身体状態にあるヒトを指す。
 疼痛としては、加齢に伴って発生する慢性疼痛(例えば、加齢に伴う変形性関節症などによる慢性疼痛)、具体的には、膝、肩、股の大関節、手指の小関節、脊椎の関節などに発生する関節痛や腰痛等が挙げられる。
 通常、疼痛に対して鎮痛薬や抗炎症剤が処方されるが、高齢者は、鎮痛剤や抗炎症剤への感受性が高く、神経機能をはじめ多くの機能低下が低下していることから、若い人よりも鎮痛剤による副作用が起こり易いと言われている。しかし、本発明の組成物は、たんぱく質を構成する必須アミノ酸から構成されるため、適正摂取量であれば、副作用のリスクを抑えることができる。
 前記痛みの初期症状は、立ち上がるときや階段の昇降などのちょっとした動作を始めるときに感じる膝の動きにくさや、軽いぎっくり腰のような、違和感として捉えられる。初期症状をそのままにしておくと徐々に症状が悪化し、違和感が蓄積して痛みを自覚するようになる。関節や腰の違和感に対しても、本発明の組成物は改善効果を有する。当然に、本発明の組成物は、既に生じている疼痛を改善するだけでなく、将来疼痛が起こる可能性のある部位に作用することにより、疼痛を未然に防ぐ効果も期待できる。
 なお、本明細書において、違和感の「改善」は、違和感の程度を下げることを意味し、違和感の「緩和」や「軽減」等と同義である。疼痛の「緩和」は、痛みをやわらげることを意味し、疼痛の「軽減」等と同義である。
[0009]
 本発明でいう必須アミノ酸とは、ロイシン、イソロイシン、バリン、スレオニン、リジン、メチオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、及びトリプトファンの9種である。
 本発明のアミノ酸含有組成物は、ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35~66%含有する。好ましくは、ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35~57%含有する。さらに好ましくは、ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35~50%含有する。最も好ましくは、ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で40%含有する。前記比率でL-ロイシンを含む本発明の組成物は、高齢動物の身体における違和感又は疼痛の緩和に優れる。
 また好ましくは、総必須アミノ酸中のモル組成比(%)として、ロイシン35~66、イソロイシン5.0~15、バリン5.0~15、スレオニン7.0~14、リジン8.0~16、メチオニン2.0~10、ヒスチジン0.1~3.5、フェニルアラニン2.5~8.0、及びトリプトファン0.1~2.0を含有する。この態様において、各アミノ酸がL体であるのがより好ましい。
 さらに好ましくは、総必須アミノ酸中のモル組成比(%)として、ロイシン35~57、イソロイシン5.0~15、バリン5.0~15、スレオニン7.0~14、リジン8.0~16、メチオニン2.0~10、ヒスチジン0.1~3.5、フェニルアラニン2.5~8.0、及びトリプトファン0.1~2.0を含有する。この態様において、各アミノ酸がL体であるのがより好ましい。
 より好ましくは、総必須アミノ酸中のモル組成比(%)として、ロイシン35~50、イソロイシン5.0~15、バリン5.0~15、スレオニン7.0~14、リジン8.0~16、メチオニン2.0~10、ヒスチジン0.1~3.5、フェニルアラニン2.5~8.0、及びトリプトファン0.1~2.0を含有する。この態様において、各アミノ酸がL体であるのがより好ましい。
 最も好ましくは、総必須アミノ酸中のモル組成比(%)として、ロイシン40、イソロイシン5.0~15、バリン5.0~15、スレオニン7.0~14、リジン8.0~16、メチオニン2.0~10、ヒスチジン0.1~3.5、フェニルアラニン2.5~8.0、及びトリプトファン0.1~2.0を含有する。この態様において、各アミノ酸がL体であるのがより好ましい。
[0010]
 前記必須アミノ酸、及び本発明のアミノ酸含有組成物に含まれていてもよいその他のアミノ酸は、L-体、D-体、DL-体のいずれでもよいが、L-体、DL-体が好ましく、L-体がより好ましい。
 前記必須のアミノ酸、及び本発明のアミノ酸含有組成物に含まれていてもよいその他のアミノ酸は、遊離体のアミノ酸、ペプチド、あるいはたんぱく質のいずれでも良いし、それらの混合物でもよい。
[0011]
 これらのアミノ酸としては、その生理学的に許容できる塩や水和物も使用可能である。例えば、ロイシン塩酸塩、リジン塩酸塩、ヒスチジン塩酸塩1水和物などである。
 塩の形態は、医薬品又は飲食品として許容される塩であれば特に制限されない。例えば、酸付加塩や塩基との塩等があげられる。
 このような塩を形成する酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸;酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチル硫酸等の有機酸があげられる。
 このような塩を形成する塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニア等の無機塩基;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、エタノールアミン、モノエタノールアルキルアミン、ジアルキルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機塩基等があげられる。
[0012]
 前記必須アミノ酸、及び本発明のアミノ酸含有組成物に含まれていてもよいその他のアミノ酸は、前記各アミノ酸を含有する動植物等から抽出し、生成したものや、化学合成法、発酵法、遺伝子組み換え法によって得られるもののいずれを使用してもよい。
[0013]
 本発明のアミノ酸含有組成物は、ヒト用又は非ヒト用の経口又は経腸医薬品、飲食品(特定保健用食品、栄養機能食品及び機能性表示食品を含む保健機能食品、栄養補助食品、その他の健康食品、サプリメントを含む)、飼料用添加剤、又は飼料として提供することができる。
[0014]
 本発明のアミノ酸含有組成物を医薬品として提供する場合、例えば、医薬的に許容できる担体又は希釈剤、例えばカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体;ポテトスターチ、コーンスターチ等の澱粉類;乳糖、ショ糖等の糖類;ピーナッツ油、コーン油、ゴマ油等の植物性油;ポリエチレングリコール、アルギン酸、ゼラチン、タルク等と混合することにより、製剤化することができる。本発明の医薬品は、錠剤、散剤、丸剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ等の経口剤;皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、硬膜外腔注射剤、くも膜下腔注射剤等の注射剤;経鼻投与製剤、経皮製剤、軟膏剤等の外用剤;直腸坐剤、膣坐剤等の坐剤;点滴剤等の剤形とすることができる。
 本発明の医薬品は、経口的又は非経口的に投与することができる。
[0015]
 本発明のアミノ酸含有組成物を飲食品として提供する場合、例えば、飲料等の液状製品、ヨーグルト等の乳状製品、ゼリー等のゼリー状製品、ゼリー様飲料、ガム状製品、粉末状製品、顆粒状製品、シート状製品、カプセル状製品、タブレット状製品、スナックバー、クッキー等の固形状製品等とすることができる。
[0016]
 飲料、調味料、加工食品等の飲食品形態の場合、適宜の添加剤を使用して常法により調製することもできる。このような添加剤としては、甘味料、着色料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤、ガムベース、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味量、乳化剤、強化剤、香料、香辛料等があげられる。
[0017]
 本発明のアミノ酸含有組成物を非ヒト動物に与える場合、本発明の組成物をそのまま与えることもできるし、トウモロコシ、大豆粉、米ぬか、魚粉、ビール酵母等の賦形剤ないし希釈剤と一緒にして飼料とすることもできる。
[0018]
 本発明のアミノ酸含有組成物の摂取量は、摂取する対象の血圧、体重、性別、年齢等を考慮して、適宜調整することができる。摂取量は、対象がヒト(体重60kg)の場合、通常、必須アミノ酸の総量として、1日当たり2g~22gであり、3g~22gが望ましく、3g~20gがより望ましく、3g~9gがさらに望ましく、3g~6gが特に望ましく、3gがさらに特に望ましい。前記の量を1日1~3回程度に分けて摂取するのが好ましい。毎日連続して摂取するのが適当である。摂取するタイミング、回数は問わない。好ましくは食間に摂取するのがよい。また、1食当たりの単位包装形態として提供することが出来る。対象が非ヒト動物の場合の摂取量は、上記のヒトの場合の摂取量に基づき、非ヒト動物の体重や大きさ等に応じて適宜加減すればよい。
[0019]
 本発明のアミノ酸含有組成物を摂取している期間、ゆっくりと軽い負荷をかける筋トレ、例えば脚伸展運動を7.5kg×10回×3セットや膝関節伸展運動を2.5kg×10回×3セットを、週に1回以上、継続的に行うことにより、更なる疼痛緩和効果又は違和感改善効果が期待できる。
実施例
[0020]
[試験例1]
 表1に示すアミノ酸組成を有する高ロイシン含有必須アミノ酸混合物を1製品あたり3g含むゼリードリンクを、地域に在住し通所型デイサービスを利用する22名の高齢の被験者(平均年齢81±7歳(平均±SD,66~94)、女性12名、男性10名(うち、要支援者が10名(女性5名、男性5名)、要介護者が12名(女性7名、男性5名))に、3ヶ月間、1日1回、摂取させた。なお、要支援者及び要介護者は、介護保険法の定義に基づく者をいい、要支援は全2段階、要介護は全5段階に分かれる。段階は身体の状態により異なり、要支援1が最も軽く、要介護5が最も重い。目安として、要支援1は、排泄や食事はほとんど自分でできるが、身の回りの世話の一部に見守りや手助けが必要な状態を指し、要介護5は、排泄や食事がほとんどできない状態を指す。
 被験者には、併せて、当該施設において、週1回以上の運動を行った。前記アミノ酸混合物は、運動実施日には運動後に、それ以外の日は食間に摂取させた。
[0021]
[表1]


[0022]
 被験者には、運動開始前に、準備運動として、10分間、サイクリングマシンを漕いでもらった。運動は、脚伸展運動については7.5kg×10回×3セットを基本とし、体幹屈曲運動、股関節外転運動、肩と肩甲帯屈曲・伸展・内転運動、チェストプレス運動、及び膝関節伸展運動については2.5kg×10回×3セットを基本とし、個人に合わせて運動負荷を設定した。
[0023]
 アミノ酸混合物の摂取及び運動療法開始前と3ヶ月後に、脈拍、収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)、膝関節伸展筋力、表層疼痛閾値(STP)、及び圧痛閾値(PPT)を測定した。
 膝関節伸展筋力は、膝関節伸展運動機器(COP-2201Z、サカイ医療社販売)を用い、股関節90度屈曲の椅子座位にて測定した。2回試行し、平均値を記録した。
 SPTはvon Frey(Sakai Medical Co., Japan )、PPTは、圧痛計(Somedic, Sweden)を用いて測定した。測定は、膝蓋中央、内側関節裂隙及び外側関節裂隙の3カ所において、右脚及び左脚それぞれについて行った。2回試行し、平均値を記録した。なお、PPTは高齢者、慢性膝関節症等で低下することが知られており臨床現場で容易に測定できる深部疼痛の指標として用いられている。
[0024]
〔統計処理〕
 結果を表2に示す。結果はすべて、平均値およびその標準誤差で示した。膝関節伸展筋力は、2ウェイ反復測定分散分析(RM-ANOVA)を使用して評価した。SPT及びPPTに及ぼす介入の影響は、3ウェイRM-ANOVAを使用して明確にした。ニューマン-クールズ(NK)の事後テストは、重要な要因または相互作用の場合に適用した。なお、有意水準はp=0.05以下とした。
[0025]
[表2]


 表中の「Right site 1/2/3」は、右脚の膝蓋中央(「1」)、内側関節裂隙(「2」)及び外側関節裂隙(「3」)における測定を示す。
 表中の「Left site 1/2/3」は、左脚の膝蓋中央(「1」)、内側関節裂隙(「2」)及び外側関節裂隙(「3」)における測定を示す。
[0026]
 表2に示したとおり、本発明により、有意に圧痛閾値(PPT)が向上した。疼痛抑制効果は、深層部位のみで認められ、部位特異性を認めないことから、この疼痛抑制効果は中枢神経系由来による効果である可能性がある。
[0027]
[試験例2]アミノ酸混合物の腰の違和感に対する効果の検討
 表3に試験食品の概要を示す。表1に示すアミノ酸組成を有する高ロイシン含有必須アミノ酸混合物3gを含有する顆粒(アクティブ)または高ロイシン含有必須アミノ酸混合物の代わりにマルチトール3gを含有する顆粒(プラセボ)を常法に従って調製した。
[0028]
[表3]


[0029]
 地域在住の112名の高齢の女性被験者(平均年齢75歳)を2群に分け、表3に示す試験食品をブラインドにて、3ヶ月間、1日1回、摂取させた。なお、本試験の被験者から、重度の腰痛、膝痛、新機能、腎機能、肝機能に障害を有し、運動に支障を来す者を除いた。
[0030]
 被験者は、筋量・筋力を目的とした運動教室に参加した(週1回、1回60分)。運動は、自重負荷やゴムバンド、ankle weight等を使用したプログラムを提供した。
 また、被験者は、運動教室で指導された自宅用トレーニングプログラムを毎日実施した。
[0031]
 試験食品の摂取及び運動の開始前と3ヶ月後に、腰の違和感を測定した。腰の違和感は、VAS(Visual Analog Scale)を用いて測定した。なお、VASは、臨床の現場で用いられている痛みの強さを測る方法である(例えば、日本ペインクリニック学会のHPを参照)。VASによる測定は、100mmの線分とし、左端を「違和感を全く覚えない」状態、右端を「違和感をとても覚える」状態と教示し、被験者に今の状態のレベルがどこに位置するか、その線分上に印を記入させ、左端から印までの距離を測定し、開始前と3ヶ月後との変化量を算出した。
[0032]
 結果を表4に示す。結果はすべて、平均値およびその標準誤差で示した。腰の違和感は、アクティブ群とプラセボ群の群間比較にて、t-検定を行った。なお、有意水準はp=0.05以下とした。
[0033]
[表4]


[0034]
 表4に示したとおり、被験者は、加齢による違和感を抱いていたが、本発明により、有意に腰の違和感が改善した。

請求の範囲

[請求項1]
 (a)ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35~66%含有する、高齢動物の疼痛緩和用アミノ酸含有組成物。
[請求項2]
 さらに、下記(b)~(i)のアミノ酸を含む、請求項1記載のアミノ酸含有組成物。
(b)イソロイシン
(c)バリン
(d)スレオニン
(e)リジン
(f)メチオニン
(g)ヒスチジン
(h)フェニルアラニン
(i)トリプトファン
[請求項3]
 下記(a)~(i)のアミノ酸を含み、下記(a)~(i)のアミノ酸の総量に対する各アミノ酸のモル組成比が、下記の数値範囲内(%)である、高齢動物の疼痛緩和用アミノ酸含有組成物。
(a)ロイシン    35~66%
(b)イソロイシン   5.0~15%
(c)バリン      5.0~15%
(d)スレオニン    7.0~14%
(e)リジン      8.0~16%
(f)メチオニン    2.0~10%
(g)ヒスチジン    0.1~3.5%
(h)フェニルアラニン 2.5~8.0%
(i)トリプトファン  0.1~2.0%
[請求項4]
 疼痛が、加齢に伴う慢性疼痛である、請求項1~3のいずれか1項記載のアミノ酸含有組成物。
[請求項5]
 慢性疼痛が、膝、肩もしくは股の大関節;手指の小関節;脊椎の関節;又は腰における慢性疼痛である、請求項4記載のアミノ酸含有組成物。
[請求項6]
 高齢動物が、日常生活を営むのに支援又は介護を要する身体の状態であるヒトである、請求項1~5のいずれか1項記載のアミノ酸含有組成物。
[請求項7]
 アミノ酸を、請求項1~3のいずれか1項記載の範囲の割合で含有する、高齢動物の疼痛緩和用医薬品、高齢動物の疼痛緩和用飲食品又は高齢動物の疼痛緩和用飼料。
[請求項8]
 (a)ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35~66%含有する、高齢動物の身体における違和感を改善するためのアミノ酸含有組成物。
[請求項9]
 さらに、下記(b)~(i)のアミノ酸を含む、請求項8記載のアミノ酸含有組成物。
(b)イソロイシン
(c)バリン
(d)スレオニン
(e)リジン
(f)メチオニン
(g)ヒスチジン
(h)フェニルアラニン
(i)トリプトファン
[請求項10]
 下記(a)~(i)のアミノ酸を含み、下記(a)~(i)のアミノ酸の総量に対する各アミノ酸のモル組成比が、下記の数値範囲内(%)である、高齢動物の身体における違和感を改善するためのアミノ酸含有組成物。
(a)ロイシン    35~66%
(b)イソロイシン   5.0~15%
(c)バリン      5.0~15%
(d)スレオニン    7.0~14%
(e)リジン      8.0~16%
(f)メチオニン    2.0~10%
(g)ヒスチジン    0.1~3.5%
(h)フェニルアラニン 2.5~8.0%
(i)トリプトファン  0.1~2.0%
[請求項11]
 違和感が、加齢に伴う身体の違和感である、請求項8~10のいずれか1項記載のアミノ酸含有組成物。
[請求項12]
 違和感が、膝、肩もしくは股の大関節;手指の小関節;脊椎の関節;又は腰における違和感である、請求項11記載のアミノ酸含有組成物。
[請求項13]
 高齢動物が、日常生活を営むのに支援又は介護を要する身体の状態であるヒトである、請求項8~12のいずれか1項記載のアミノ酸含有組成物。
[請求項14]
 アミノ酸を、請求項8~10のいずれか1項記載の範囲の割合で含有する、高齢動物の身体における違和感を改善するための医薬品、高齢動物の身体における違和感を改善するための飲食品又は高齢動物の身体における違和感を改善するための飼料。