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1. WO2020009102 - 医療用粉体の体内噴射装置

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明 細 書

発明の名称 医療用粉体の体内噴射装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015  

発明の効果

0016  

図面の簡単な説明

0017  

発明を実施するための形態

0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055  

符号の説明

0056  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : 医療用粉体の体内噴射装置

技術分野

[0001]
 本発明は、外科手術などの際に用いられる医療用粉体の噴射装置に係り、特に癒着防止用や止血用などの粉体を組織へ噴射して処置するのに好適に用いられる医療用粉体の体内噴射装置に関する。

背景技術

[0002]
 手術や組織採取等の外科的措置により損傷を受けた臓器等の組織を放置すると、損傷部分が周囲の組織と癒着するおそれがある。このような組織の癒着は、卵管癒着による不妊症や腸管癒着による腸閉塞などを引き起す原因となることから、患者にとって大きな負担になり、再手術の際に癒着部分の剥離が必要となって臓器に新たな損傷を与えることにもなりかねない。そこで、従来から、損傷を受けた組織における癒着を防止するために、手術等に際して創傷部分を物理的に覆うフィルム状の癒着防止材が用いられている。
[0003]
 ところで、近年では、患者の負担を軽減できることから、手術などの外科的措置を内視鏡下で行う事例が増加している。
[0004]
 ところが、内視鏡下での手術等に際しては、従来から用いられているフィルム状の癒着防止材を使用することが困難であった。即ち、フィルム状の癒着防止材を小さく丸めてトロッカーを通じて体内に挿入した後、体内で癒着防止材を広げることにより損傷部分を覆うように貼付することも考えられるが、内視鏡下での作業が煩雑となって、フィルム状の癒着防止材に割れ等が発生し易く、損傷部分を覆う正しい位置へ癒着防止材を貼付することも難しいという問題があったのである。
[0005]
 なお、このような問題に鑑み、本発明者らは、例えば特開2017-51545号公報(特許文献1)などにおいて、粉体状の癒着防止材などを体内に噴射することのできる医療用粉体の体内噴射装置を提案している。このように、癒着防止材などを粉体として治療部位に噴射することで、内視鏡下でもより容易に癒着防止材による処置を行うことが可能となったのである。そこで、本発明者らは、更なる研究を行い、より安定して医療用粉体を噴射することのできる噴射装置を開発して、本発明に至った。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2017-51545号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、より安定して医療用粉体を噴射することのできる、新規な構造を備えた医療用粉体の体内噴射装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明の第1の態様は、医療用粉体が粉体通路を通じて圧力気体の流通する噴射通路に供給されて、該医療用粉体が圧力気体と共に該噴射通路を通じて体内に噴射される医療用粉体の体内噴射装置において、前記粉体通路に露呈する導電部材と該粉体通路外の外部空間に露呈する除電部材とを備えており、該導電部材と該除電部材とが電気的に接続されていることを特徴とするものである。
[0009]
 本態様に従う構造とされた医療用粉体の体内噴射装置によれば、医療用粉体が、当該医療用粉体が収容される粉体容器や粉体通路と、および/または粉体同士が擦れ合うことにより発生する静電気が、粉体通路に露呈する導電部材と除電部材を通じて外部空間へ、例えば放電されて除去される。この結果、静電気の作用により医療用粉体が粉体容器や粉体通路に張り付いたり粉体同士が凝集したりすることが回避されて、医療用粉体が、例えば粉体通路で詰まったりすることなく安定して噴射され得る。
[0010]
 本発明の第2の態様は、前記第1の態様に係る医療用粉体の体内噴射装置において、前記粉体通路を加振する加振機構を備えているものである。
[0011]
 本態様に従う構造とされた医療用粉体の体内噴射装置によれば、加振機構により粉体通路に加えられる振動が、医療用粉体を収容する粉体容器などにも及ぼされることによって、医療用粉体が、粉体容器から粉体通路を通じて噴射通路に送り出される。ここにおいて、加振機構により加えられる振動によって、医療用粉体が容器や通路と、および/または粉体同士が、より擦れ合い易く静電気が一層発生し易いことから、本発明の効果が有効に享受され得る。
[0012]
 本発明の第3の態様は、前記第1又は第2の態様に係る医療用粉体の体内噴射装置において、前記粉体通路を構成する部材が熱可塑性樹脂により形成されているものである。
[0013]
 本態様に従う構造とされた医療用粉体の体内噴射装置によれば、本発明の効果が有効に享受され得る。すなわち、合成樹脂は、一般に電気絶縁性を有することから、その表面が帯電し易い。それ故、粉体通路を構成する部材が合成樹脂である場合には、医療用粉体との擦れ合いにより静電気がより発生し易いが、本発明に従って静電気を除去することで、医療用粉体が安定して噴射され得る。なお、粉体通路を構成する合成樹脂としては、成形や取扱いに有利であることから、熱可塑性樹脂が好適である。
[0014]
 本発明の第4の態様は、前記第1~第3の何れかの態様に係る医療用粉体の体内噴射装置において、前記医療用粉体が癒着防止材であるものである。
[0015]
 本態様に従う構造とされた医療用粉体の体内噴射装置によれば、医療用粉体が癒着防止材であることから、安定性などの観点から、例えば粉体容器中において乾燥状態で収容されることが好ましい。かかる乾燥状態では、粉体と容器や通路、および/または粉体同士とが擦れ合うことで静電気が一層発生し易いことから、本発明の効果が有効に享受され得る。

発明の効果

[0016]
 本発明に従う構造とされた医療用粉体の体内噴射装置によれば、医療用粉体と粉体容器や粉体通路、および/または粉体同士の擦れ合いにより発生する静電気が除去されることから、医療用粉体が粉体容器や粉体通路に張り付いたり粉体同士が凝集したりすることが回避されて、医療用粉体が粉体通路に詰まることなく安定して噴射され得る。

図面の簡単な説明

[0017]
[図1] 本発明の第1の実施形態としての医療用粉体の体内噴射装置の全体を、押圧部を操作して粉体を噴射した状態で示す斜視図。
[図2] 図1に示された医療用粉体の体内噴射装置の正面図。
[図3] 図1に示された医療用粉体の体内噴射装置の平面図。
[図4] 図3におけるIV-IV断面図。
[図5] 図1に示された医療用粉体の体内噴射装置を構成する保持部材を示す斜視図。
[図6] 図5に示された保持部材の正面図。
[図7] 図5に示された保持部材の右側面図。
[図8] 図6におけるVIII-VIII断面図。
[図9] 図1に示された医療用粉体の体内噴射装置を構成する導電部材を示す斜視図。
[図10] 本発明の第2の実施形態としての医療用粉体の体内噴射装置を構成する保持部材の縦断面図であって、医療用粉体を収容する粉体容器が取り付けられた状態を示す図。

発明を実施するための形態

[0018]
 以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
[0019]
 先ず、図1~4には、本発明の第1の実施形態としての医療用粉体の体内噴射装置(以下、噴射装置ともいう)10が示されている。この噴射装置10は、全体として略シリンジ形状とされており、把持部12を把持してピストン状の押圧部14を操作することにより、噴射ノズル部16の先端から医療用粉体を圧力気体と共に体内に噴射するようになっている。なお、以下の説明において、軸方向とは噴射装置10の延びる図2中の左右方向を示すと共に、先端方向とは噴射ノズル部16の先端側である図2中の左方向を示し、基端方向とは把持部12側である図2中の右方向を示すものである。また、上下方向とは図2中の上下方向を示すものであるとともに、左右方向とは図3中の上下方向を示すものである。
[0020]
 より詳細には、噴射装置10は、装置本体18が中空構造の胴部20と、当該胴部20に取り付けられている押圧部14を含んで構成されている。装置本体18は全体として略シリンジ形状とされており、胴部20の基端部分には、左右方向において相互に反対方向に突出する指掛け部22a,22bが形成されている。本実施形態では、これら指掛け部22a,22bがそれぞれ略弓状とされており、使用時に使用者が手指を引っ掛け易くなっている。なお、この胴部20は、幅方向(図3中の上下方向)における分割構造とされており、半割の円筒状部材の端面を重ね合わせて接着や嵌着によって固定することにより形成されている。
[0021]
 さらに、胴部20の基端側開口部には、ピストン状の押圧部14の先端部分が挿入されている。この押圧部14は、装置本体18の基端部において、軸方向にスライド変位可能とされていると共に、先端の外径寸法が、胴部20の基端における内径寸法よりも大きくされることにより、胴部20から押圧部14が基端側に抜け出さないようにされている。また、かかる押圧部14の基端部が、左右方向に延びる操作部24とされている。そして、噴射装置10においては、これら押圧部14や操作部24、指掛け部22a,22bを含んで把持部12が構成されている。
[0022]
 一方、胴部20の先端には、先端側に延び出す噴射ノズル部16が設けられており、かかる噴射ノズル部16が、軸方向に延びる軟質チューブ26の先端側に、筒状の硬質チューブ28が固定された構造を含んで構成されている。かかる構造とすることで、手術中に鉗子などで硬質チューブ28を摘んで噴射ノズル部16の噴射方向を容易に変更することが可能となっている。なお、本実施形態では、硬質チューブ28の先端開口部に、整流板30が収容状態で組み付けられている。整流板30の形状としては、特に限定されるものではないが、本実施形態では捩り板形状とされている。この整流板30の捩じり面に沿って噴射流体が案内されて渦巻き状に整流されつつ外部へ噴射されることにより、噴射される医療用粉体に対して渦巻き状の回転作用に基づく遠心力が及ぼされて、医療用粉体がより広範囲で略均一に拡散して噴射されるようになっている。
[0023]
 そして、噴射装置10の内部には、押圧部14の端部から噴射ノズル部16の先端にまで至る噴射通路32が設けられている。かかる噴射通路32の基端側部分は、押圧部14の内部に設けられた内部通路34により構成されている。この内部通路34は、押圧部14の先端から軸方向に延びて押圧部14の軸方向中間部分で下方に折れ曲がって外部へと延び出しており、かかる内部通路34の基端が接続ポート36として外部に開口している。この接続ポート36には、可撓性のチューブ38を介して管状部材40が接続されており、本実施形態では、当該管状部材40の内部にフィルタ42が設けられている。このフィルタ42は、圧力気体は通過可能とされていると共に、圧力気体中の雑菌は通過不可能とされており、管状部材40が圧力気体の供給源と連通されることで、内部通路34に無菌の圧力気体が供給されるようになっている。一方、噴射通路32の先端側部分は、軟質および硬質チューブ26,28を含んでなる噴射ノズル部16で構成されている。
[0024]
 また、噴射通路32の中間部分には、噴射通路32を連通状態と遮断状態に切り換える操作手段44と、噴射通路32内へ医療用粉体を供給する粉体供給機構46とが設けられている。この操作手段44を操作することにより、医療用粉体の噴射と停止を切り換えることが可能とされている。
[0025]
 かかる操作手段44は、押圧部14と開閉バルブ48を含んで構成されており、押圧部14に加えられる外部操作力を開閉バルブ48に伝達して、開閉バルブ48ひいては噴射通路32を開閉切換作動させるようになっている。開閉バルブ48としては、公知の各種構造が採用可能であるが、本実施形態では、内部通路34の先端に封止弁が配されていると共に、当該封止弁の先端側に固定ノズル50が設けられており、封止弁に対して、固定ノズル50が挿し込まれることで内部通路34が固定ノズル50に連通される一方、固定ノズル50を引き出すことで内部通路34が密閉状態とされて遮断される構造のものが採用されている。
[0026]
 また、押圧部14の先端には、軸方向に延びる筒状部材52が設けられており、押圧部14と筒状部材52との間で封止弁が接着等により挟持固定されている。一方、封止弁の先端側に設けられた固定ノズル50は、胴部20の基端部分内部に固定されており、基端側に延び出して、固定ノズル50の延出先端が筒状部材52の内部に入り込んでいる。さらに、胴部20の基端部分には、図示しないスプリングが圧縮状態で設けられており、押圧部14を常時基端側に付勢している。
[0027]
 これにより、初期状態では、押圧部14が基端側の移動端へ弾性的に位置決めされており、固定ノズル50と封止弁とが所定距離をもって離隔して、開閉バルブ48が遮断状態に保持されるようになっている。一方、図1~4に示されるように、押圧部14を付勢力に抗して先端側に押し込むことにより、固定ノズル50が封止弁に挿し込まれて噴射通路32が連通状態とされるようになっている。また、かかる押圧部14への押込力を解除することにより、押圧部14が初期位置へ自動的に戻るようになっている。
[0028]
 また、胴部20内には、固定ノズル50の先端側において、図5~8に示される保持部材54が設けられている。本実施形態では、保持部材54が硬質の合成樹脂により形成されており、少なくとも後述する粉体通路66を構成する部分が、熱可塑性樹脂であるポリカーボネートにより形成されている。特に、本実施形態では、噴射装置10において、軟質のチューブやOリング、スプリングなどを除く各部材がポリカーボネートにより形成されており、保持部材54も全体がポリカーボネートにより形成されている。尤も、噴射装置10の各部材を形成する合成樹脂はポリカーボネートに限定されるものではなく、例えば、Eastman社製「TRITAN(登録商標)」やアクリル樹脂などが好適に採用され得る。
[0029]
 この保持部材54には、軸方向に延びる中継通路56が形成されており、中継通路56の先端が、直接的に又は間接的に軟質チューブ26の基端に接続されている一方、中継通路56の基端が、直接的に又は間接的に固定ノズル50の先端に接続されている。これにより、押圧部14の内部通路34から固定ノズル50、中継通路56を経て噴射ノズル部16の先端にまで至る噴射通路32が構成されている。なお、本実施形態では、中継通路56の基端と固定ノズル50の先端とは、複数の可撓性のチューブ管体や筒状の部材などで間接的に接続されている。
[0030]
 一方、軟質チューブ26の基端部分には、略筒状の固定部材58が外嵌固定されているとともに、当該固定部材58の基端側は、略筒状の支持部材60に内嵌固定されている。ここで、固定部材58と支持部材60とは相互に着脱が可能であるように設定されており、医療用粉体が体内の水分でゲル化して噴射ノズル部16の内部で詰まり、医療用粉体が噴射できなくなる事態に際しても固定部材58および噴射ノズル部16を交換することで容易に解決することができる。また、中継通路56の先端側は、支持部材60の基端側に内嵌固定されている。これにより、中継通路56の先端と軟質チューブ26の基端とが間接的に接続されている。要するに、外部の圧力源から圧力気体が供給される気体流路が、内部通路34、固定ノズル50、中継通路56、軟質および硬質チューブ26,28を含んで構成されており、噴射通路32の全長に亘って圧力気体が流通するようになっている。
[0031]
 一方、粉体供給機構46として、保持部材54には、胴部20から上方に露出する容器ホルダ62が設けられており、この容器ホルダ62に対して、医療用粉体を収容した粉体容器64が着脱可能に装着されている。なお、粉体容器64は、使用する医療用粉体の種類等に応じて各種形状や大きさのものが採用されることとなり、容器ホルダ62の形状や大きさも、採用する粉体容器64に応じて適宜に設定される。特に、本発明では、使用する医療用粉体を限定するものでなく、例えば癒着防止材の他、止血材や各種薬剤などの医療用粉体に適用され得るものであり、それに応じて、採用される粉体容器64および容器ホルダ62も適宜に設定可能である。なお、粉体容器64の材質は何等限定されるものではなく、ガラスや硬質の合成樹脂など、従来公知の容器の材質が何れも採用され得る。本実施形態では、医療用粉体としてPGA(ポリグルタミン酸)を含んだ癒着防止材が採用されている。PGAはカルボン酸を含んで構成されており、電子の授受が生じ易いことから静電気が発生し易く、本発明の効果が一層有効に享受され得る。
[0032]
 また、保持部材54には、容器ホルダ62の形成部分から中継通路56に向かって延びる粉体通路66が形成されている。本実施形態では、当該粉体通路66が上下方向に略真っ直ぐに延びており、粉体通路66における粉体容器64側である上方部分が、下方部分よりも大きな内径寸法をもって略ストレートに延びている一方、粉体通路66における中継通路56側である下方部分が、中継通路56に向かって内径寸法が小さくなっている。そして、粉体容器64を、その開口部を下方に向けて容器ホルダ62に装着することにより、粉体容器64内が粉体通路66を通じて中継通路56に連通されて、粉体容器64に収容された医療用粉体が中継通路56へ供給されるようになっている。なお、粉体通路66の形状は何等限定されるものではなく、長さ方向の全長に亘ってストレートに延びていてもよいし、部分的に又は全体的に屈曲や湾曲していてもよい。また、粉体通路66は、上下方向に対して傾斜して形成されてもよい。
[0033]
 更にまた、保持部材54には、加振機構68が装備されている。この加振機構68としては、例えば特開2012-143502号公報に記載のものなど、従来公知のものが採用可能である。即ち、保持部材54の下部には、偏心回転体70が中心軸回りで回転可能に組み付けられていると共に、固定ノズル50の先端側から分岐した分岐通路72を通じて及ぼされる流体圧により、かかる偏心回転体70が回転駆動されるようになっている。ここにおいて、偏心回転体70は、その重心が回転中心軸から偏心設定されており、外周面に設けられた鋸歯状の受圧面に対して流体圧が及ぼされて回転中心軸回りで回転作動することによって、回転周期に対応した振動数で保持部材54および当該保持部材54に装着された粉体容器64を加振するようになっている。そして、粉体容器64が加振されることによって、粉体容器64や粉体通路66等の内部における医療用粉体の詰まりが防止されて、上述の如き医療用粉体の中継通路56への供給が一層安定して実現されるようになっている。
[0034]
 ここにおいて、本実施形態の保持部材54には、図5~8に示されるように、導電性を有する導電部材74と、例えば電気を大気(空間)中に放電することで除去する除電部材76とが設けられている。
[0035]
 導電部材74の材質は、導電性を有していれば何等限定されるものではなく、本実施形態ではステンレス(SUS)により形成されているが、金属の他、導電性の樹脂や導電性のゴムなども採用され得る。また、導電部材74の形状も何等限定されるものではなく、メッシュ状なども採用され得るが、本実施形態では、図9に示されるように、薄い矩形板状とされている。本実施形態では、かかる導電部材74が、粉体通路66の上下方向中間部分において保持部材54に略埋設された状態で配置されており、具体的には、粉体通路66において大径とされた上方部分と、下方に向かって小径とされた下方部分との境界部分に設けられている。そして、導電部材74における一つの辺部分には、粉体通路66の内周面と曲率が略等しくされた略半円形状の切欠き78が形成されており、導電部材74の一部(特に切欠き78の内周面79)が粉体通路66上に露呈しているとともに、導電部材74の他の一部(特に切欠き78が設けられる側とは反対側の辺部分)が、保持部材54の外周面に露呈している。なお、本実施形態では、導電部材74に、成形材料の充填用の貫通孔80が設けられており、保持部材54が、金型の内部に導電部材74をセットした状態で成形されるインサート成形により形成されているが、例えば保持部材と導電部材は別個に形成されて、後組付されてもよい。
[0036]
 一方、除電部材76の材質は、例えば大気中に放電するなどして電気を除去することができれば何等限定されるものではなく、例えば導電性ポリマーにより形成されている。なお、除電部材76により電気を除去する方法は、大気中への放電に限定されるものではないが、本実施形態では、コロナ放電により電気を除去している。また、除電部材76の形状も何等限定されるものではないが、本実施形態では、全体として下方に向かって次第に小径となる略テーパ筒形状とされている。すなわち、本実施形態では、シート状の除電部材76が、保持部材54の外周面において粉体通路66の下方部分に相当する位置に巻き付けられて固着されている。そして、かかる除電部材76が、粉体通路66外の外部空間82(本実施形態では胴部20の内部空間)に露呈されている。なお、除電部材76は、粉体通路66から外れて位置する空間に露呈していればよく、噴射装置10の外部の空間には露呈していなくてもよい。また、本実施形態では、除電部材76として、日本バイリーン株式会社製「デンキトール(登録商標)」を使用しているが、例えば、第百通信工業株式会社製「エレクトロメッシュ(商品名)」や日本真空包装機械株式会社製「放電くんペーパー(商品名)」なども採用され得る。
[0037]
 そして、本実施形態では、かかる除電部材76が保持部材54の外周面に固着されており、導電部材74において保持部材54の外周面に露呈している部分の下面と直接的に接触することで電気的に接続されている。なお、これら導電部材と除電部材とは離隔して配置されてもよく、導電性を有する部材により間接的に接続されて電気的に接続されてもよい。
[0038]
 かかる形状とされた本実施形態の噴射装置10では、手指を指掛け部22a,22bに引っ掛けつつ、手の平、より具体的には手の平側親指の付け根部分と押圧部14の操作部24を重ね合わせるようにして、把持部12を把持するようになっている。そして、手の平により押圧部14を先端側へ押し込んで噴射通路32を連通状態に切り換えることにより、粉体容器64に収容された医療用粉体を、噴射ノズル部16の先端開口部から噴射させることができる。すなわち、図1~4に示されているように、押圧部14を先端側に押し込むと、閉鎖状態に保持されていた開閉バルブ48が開かれて噴射通路32の全長が連通状態とされることとなり、気体流路を通じて圧力気体が供給される。一方、それに伴って、固定ノズル50から分岐する分岐通路72を通じて、加振機構68に圧力気体が供給されることから、偏心回転体70が回転して加振力が継続的に生ぜしめられると共に、粉体容器64内の医療用粉体が噴射通路32内に少しずつ送り出されて、噴射通路32を流通する圧力気体と共に、噴射ノズル部16の先端開口部から外部へ噴射されることとなる。
[0039]
 一方、押圧部14の押込力を解除すると、胴部20内に設けられたスプリングの付勢力により押圧部14が初期位置に戻ることから、開口状態に保持されていた開閉バルブ48が閉じられて噴射通路32が遮断状態とされる。これにより、噴射通路32内への圧力気体の供給が停止されることから、医療用粉体の外部への噴射も停止される。
[0040]
 要するに、噴射通路32は連通状態と遮断状態が操作手段44により切り換えられる。即ち、噴射装置10内における圧力気体の供給と停止が操作手段44により切り換えられる。ここにおいて、噴射通路32が連通状態とされれば医療用粉体が噴射される一方、噴射通路32が遮断状態とされれば医療用粉体の噴射が停止されることから、操作手段44は、医療用粉体の噴射および噴射停止をも切り換えるものである。
[0041]
 上記の如き構造とされた本実施形態の医療用粉体の体内噴射装置10では、導電部材74が粉体通路66上に露呈した状態で配設されていると共に除電部材76が粉体通路66外の外部空間82に露呈した状態で配設されており、且つこれら導電部材74と除電部材76とが相互に電気的に接続されていることから、医療用粉体が、粉体容器64や粉体通路66と、および/または医療用粉体同士が擦れ合うことにより発生する静電気が、導電部材74を通じて除電部材76により、粉体通路66外の外部空間82に放電される。それ故、医療用粉体が静電気の作用により粉体容器64や粉体通路66に張り付いたり凝集したりすることが防止されて、医療用粉体が、噴射通路32を通じて安定して噴射され得る。
[0042]
 特に、本実施形態では、保持部材54に加振機構68が装備されており、当該加振機構68により加えられる振動によって、医療用粉体が、粉体容器64内や粉体通路66内で撹拌される。これにより、医療用粉体が、粉体容器64や粉体通路66と、および/または医療用粉体同士が一層擦れ合うことから、より静電気が発生する。それ故、上記のように静電気を除去することで、医療用粉体が更に安定して噴射され得る。
[0043]
 また、本実施形態では、粉体通路66を構成する保持部材54が、熱可塑性樹脂であるポリカーボネートにより形成されていることから、粉体通路66の表面が帯電し易くなっている。これにより、かかる粉体通路66と医療用粉体が擦れ合うことで一層静電気が発生し易いが、上記のように静電気を除去することで、医療用粉体が、より安定して噴射され得る。
[0044]
 さらに、本実施形態では、医療用粉体としてPGAを含む癒着防止材が採用されている。特に、本実施形態では、安定性の観点から、医療用粉体が、乾燥状態で粉体容器64に収容されて噴射通路32から噴射されることが好ましいが、PGAはカルボン酸を含んでいることから電子の授受が生じ易く、乾燥状態では静電気が一層発生し易い。かかる場合においても、上記のように静電気を除去することで、医療用粉体が、より一層安定して噴射され得る。
[0045]
 次に、図10には、本発明の第2の実施形態としての医療用粉体の体内噴射装置を構成する保持部材54が、粉体容器64が装着された状態で示されている。本実施形態では、保持部材54の形状は、前記第1の実施形態と略同様であるが、保持部材54に設けられる導電部材84の形状が、前記第1の実施形態とは異なっている。なお、本実施形態において、前記第1の実施形態と実質的に同一の部材および部位には、図中に、前記第1の実施形態と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
[0046]
 すなわち、本実施形態の導電部材84は、略リング状とされており、かかる導電部材84が、粉体通路66の上下方向中間部分において保持部材54に略埋設された状態で配置されている。これにより、導電部材84の一部(特に内周面)が粉体通路66上に露呈しているとともに、導電部材84の他の一部(特に下面の外周部分)が、保持部材54の外周面に露呈している。
[0047]
 また、前記第1の実施形態と同様に、保持部材54の外周面において粉体通路66の下方部分に相当する位置には、シート状の除電部材76が巻き付けられて固着されており、これにより、保持部材54の外周面において、導電部材84が露呈する部分と除電部材76とが直接的に接触して、電気的に接続されている。
[0048]
 それ故、導電部材84が上記の如き形状とされる場合であっても、粉体通路66内で発生した静電気が、導電部材84および除電部材76を通じて、粉体通路66外の外部空間82に放電されることから、前記第1の実施形態と同様の効果が発揮され得る。
[0049]
 以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって限定的に解釈されるものでない。
[0050]
 たとえば、前記実施形態では、導電部材74,84が略板状や略リング状とされて保持部材54に略埋設された状態で配されているとともに、除電部材76が略テーパ筒形状とされて保持部材54の外周面に固着されていたが、導電部材および除電部材の配設位置は、導電部材が粉体通路上に露呈される状態で、且つ除電部材が粉体通路外において放電できる空間に露呈される状態であれば、何等限定されるものではない。すなわち、例えば導電部材は、粉体通路を構成する保持部材の内周面などの粉体に接する部位に固着などで配置されてもよいし、前記実施形態の粉体通路に加えて、または代えて、粉体容器内の粉体通路に設けられてもよい。また、除電部材は、保持部材の外周面に代えて、または加えて、胴部の内周面や外周面に設けられて、適切な導電性の部材を通じて導電部材と電気的に接続されてもよい。すなわち、これら導電部材と除電部材とは、例えば直接的に接触した状態で、必要に応じて相互に固着されてもよいし、接触状態または非接触状態で、導電性の部材により相互に固定されてもよい。また、例えば外部空間に露呈されて組み付けられる任意の粉体通路形成部材を金属などの導電部材で形成することで、電気的に接続された導電部材と除電部材を実施することも可能である。すなわち、導電部材と除電部材とは、単一の部材により構成することも可能である。
[0051]
 さらに、前記実施形態では、噴射装置10が、全体として略シリンジ形状とされていたが、噴射装置の形状は何等限定されるものではない。すなわち、噴射装置の形状は、前記実施形態に記載のものの他、例えば特開2017-51545号公報(前記特許文献1)、特開2016-22259号公報、特開2014-140577号公報などに記載のものが何れも採用され得る。
[0052]
 更にまた、前記実施形態では、噴射ノズル部16が、軟質チューブ26を含んで構成されて、医療用粉体の噴射方向を容易に変更可能とされていたが、例えば硬質チューブのみによって構成されてもよく、噴射方向の変更機構は必須ではない。また、前記実施形態では、固定部材58と支持部材60とが相互に着脱可能とされて、例えば噴射ノズル部16が詰まった際に交換可能とされていたが、噴射ノズル部は、胴部に対して一体的に形成されて交換不能とされてもよい。その際には、医療用粉体の詰まりを除去するための機構を別途設けることが好適である。
[0053]
 また、本発明において、粉体通路を加振する加振機構は必須なものではない。すなわち、例えば重力作用により、粉体容器から粉体通路を通じて噴射通路に医療用粉体が供給されてもよい。
[0054]
 更にまた、前記実施形態では、噴射装置10とは別体とされた粉体容器64が別途取り付けられていたが、医療用粉体を収容可能な粉体容器を噴射装置に対して一体的に形成したり、外部の粉体収容部から供給してもよい。かかる場合においても、医療用粉体を収容する部分から噴射通路に至る通路が粉体通路とされる。
[0055]
 さらに、本発明においては、圧力気体が外部から供給されるようにされていたが、例えば噴射装置の内部に圧力気体のボンベ等を内蔵するようにしてもよい。

符号の説明

[0056]
10:医療用粉体の体内噴射装置、32:噴射通路、66:粉体通路、68:加振機構、74,84:導電部材、76:除電部材、82:外部空間

請求の範囲

[請求項1]
 医療用粉体が粉体通路を通じて圧力気体の流通する噴射通路に供給されて、該医療用粉体が圧力気体と共に該噴射通路を通じて体内に噴射される医療用粉体の体内噴射装置において、
 前記粉体通路に露呈する導電部材と該粉体通路外の外部空間に露呈する除電部材とを備えており、該導電部材と該除電部材とが電気的に接続されていることを特徴とする医療用粉体の体内噴射装置。
[請求項2]
 前記粉体通路を加振する加振機構を備えている請求項1に記載の医療用粉体の体内噴射装置。
[請求項3]
 前記粉体通路を構成する部材が熱可塑性樹脂により形成されている請求項1又は2に記載の医療用粉体の体内噴射装置。
[請求項4]
 前記医療用粉体が癒着防止材である請求項1~3の何れか1項に記載の医療用粉体の体内噴射装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]