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1. WO2020008918 - ステップモータ駆動装置

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明 細 書

発明の名称 ステップモータ駆動装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018  

発明の効果

0019  

図面の簡単な説明

0020  

発明を実施するための形態

0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20  

明 細 書

発明の名称 : ステップモータ駆動装置

技術分野

[0001]
 本発明は、ステップモータ駆動装置に関する。

背景技術

[0002]
 例えばアナログ表示手段を備えた電子時計では、ステップモータがその指針を駆動している。1つのコイルを有し1ステップでロータが半回転するステップモータでは、コイルに通電されてない際にロータの磁極が安定する位置と、コイルに通電された際に磁極が安定する位置とがずれている。コイルに1つのパルスを印加するだけで確実に正転させるためである。ロータを逆転させる際には、ロータが正方向に少し回転させる第1パルスをコイルに印加し、その後、逆方向の電位の第2パルスをコイルに印加することで反動を利用して逆方向に回転させる。また、さらに第1パルスと同じ極性の第3パルスをコイルに印加し、ロータがより確実に所望の位置で安定するようにしている。
[0003]
 特許文献1には、ステップモータを逆転させる際に、反発パルスG1、吸引パルスG2、反発パルスG3を順にコイルに印加することが開示されている。反発パルスG1はロータを正転方向に回転させ、吸引パルスG2はロータを逆転方向に回転させて引き戻し、反発パルスG3は逆転方向に回転しているロータの回転を後押しする。特許文献2には、ステップモータを正転させる際に、駆動パルスの印加後に揺動パルスを印加してロータを揺動し、ロータの揺動により生じる電圧に基づいてロータの回転、非回転を検出すること、また非回転の場合に補正駆動パルスを印加することが開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2016-3877号公報
特許文献2 : 特開昭63-73181号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 発明者らは、ステップモータを逆転させる際の消費電力を削減するために、第3パルスをできる限り出力しないことを検討している。一方で、衝撃等の外部要因によってロータの位置が本来の状態から半回転ずれることがある。このような場合に第1パルスおよび第2パルスのみを出力すると、ロータが正転してしまい、以降のステップでもロータが正転してしまう。このようなケースでは補正が非常に難しいため、第3パルスの出力を削減することができなかった。
[0006]
 本発明の目的は上記課題を鑑みてなされたものであって、その目的は、消費電力を抑制しつつステップモータを確実に逆転させることが可能なステップモータ駆動装置を提供することである。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記課題を解決するために、本発明にかかるステップモータ駆動装置は下記記載の構成を採用する。
[0008]
(1)2極以上着磁されたロータと、前記ロータへ磁力を伝達するステータと、前記ステータに向けて磁力を発生するコイルとを有するステップモータと、前記コイルへ測定駆動信号を出力する駆動回路と、前記測定駆動信号の出力の後に前記コイルに生じる逆起電流を検出し、前記検出された逆起電流に基づいて前記ロータの位相が所期の位相であるか判定する位相検出回路と、前記位相が所期の位相である場合に、前記ロータを1ステップ回転させる第1駆動信号を前記駆動回路が出力する第1の駆動方式により制御し、前記位相が前記所期の位相と異なる場合に前記第1の駆動方式と異なる第2の駆動方式により前記ロータの回転を制限するよう制御する制御部と、を含むステップモータ駆動装置。
[0009]
(2)(1)において、前記制御部は、前記位相が所期の位相である場合に、前記ロータを1ステップ逆回転させる第1駆動信号を前記駆動回路が出力する第1の駆動方式により制御する、ステップモータ駆動装置。
[0010]
(3)(1)または(2)において、前記第1の駆動方式において、第1の極性の磁力を前記コイルに発生させる第1部分信号と、前記第1部分信号のあとに前記第1の極性と反対である第2の極性の磁力を前記コイルに発生させる第2部分信号と、を含む第1駆動信号を前記駆動回路が出力する、ステップモータ駆動装置。
[0011]
(4)(1)から(3)のいずれかにおいて、前記第2の駆動方式において、前記第1の極性の磁力を前記コイルに発生させる第1部分信号と、前記第1部分信号のあとに前記第2の極性の磁力を前記コイルに発生させる第2部分信号と、前記第2部分信号のあとに前記第1の極性の磁力を前記コイルに発生させる第3部分信号と、を含む第2駆動信号を前記駆動回路が出力する、ステップモータ駆動装置。
[0012]
(5)(3)において、前記第2の駆動方式において、前記駆動回路は駆動信号を出力しない、ステップモータ駆動装置。
[0013]
(6)(3)から(5)のいずれかにおいて、前記第1の駆動方式において、前記駆動回路は、前記第1部分信号を出力することなしに前記第2部分信号を出力する、ステップモータ駆動装置。
[0014]
(7)(3)から(6)のいずれかにおいて、前記制御部は、前記第1駆動信号の出力後に前記コイルに生じる逆起電流を検出し、前記検出された逆起電流に基づいて、前記ロータの回転力を判定し、前記判定された回転力に基づいて前記駆動回路が出力する前記第1駆動信号の強さを示すランクを変更するランク決定部をさらに含む、ステップモータ駆動装置。
[0015]
(8)(7)において、前記ランクが所定のランクである場合に、前記駆動回路は、前記測定駆動信号として前記第1の極性の磁力を前記コイルに発生させる信号を出力し、前記第1駆動信号として、前記第2部分信号を出力し、前記ランクが前記所定のランクより強い信号に対応する場合に、前記駆動回路は、前記第1駆動信号として、前記第1部分信号と、前記第2部分信号とを出力する、ステップモータ駆動装置。
[0016]
(9)(7)または(8)において、前記ランク決定部は、前記第1駆動信号が出力されたのちに、閾値を超える信号が検出される期間が所定の期間より短いか否かに基づいて、前記ランクを変更し、前記ランク決定部は、前記第1駆動信号が出力されてから前記閾値を超える逆起電流が検出されるまでの間に当該逆起電流と異なる極性の逆起電流が検出された場合に、前記ランクをより弱い信号に対応するランクに変更する、ステップモータ駆動装置。
[0017]
(10)(7)から(9)のいずれかにおいて、前記ランク決定回路は、前記第1駆動信号の出力後に前記コイルに生じる逆起電流を検出し、前記検出された逆起電流に基づいて、前記ロータが所定の回転をしたか否かを判定し、前記駆動回路は、前記ロータが所定の回転をしなかったと判定された場合に、前記第1駆動信号より前記ロータを強く回転させる補正駆動信号を出力する、ステップモータ駆動装置。
[0018]
(11)(1)から(10)のいずれかにおいて、前記駆動回路は、前記測定駆動信号の後に、複数の断続的な第1の部分パルスを含む位相検出パルスにより、逆起電流を検出する回路と前記コイルとを接続し、前記前記第1駆動信号が出力された後に、複数の断続的な第2の部分パルスを含む回転検出信号により、逆起電流を検出する回路と前記コイルとを接続し、前記第1の部分パルスの出力間隔は前記第2の部分パルスより小さい、または、前記第1の部分パルスのそれぞれの印加期間は前記第2の部分パルスより大きい、ステップモータ駆動装置。

発明の効果

[0019]
 本発明によれば、消費電力を抑制しつつステップモータを確実に逆転させることができる。

図面の簡単な説明

[0020]
[図1] 第1の実施形態にかかる電子時計の一例を示す平面図である。
[図2] 第1の実施形態にかかる電子時計の回路構成を示すブロック図である。
[図3] 同相の場合のロータの回転を説明する図である。
[図4] 逆相の場合のロータの動作を示す図である。
[図5] 第1の実施形態にかかる逆回転の処理のフローチャートである。
[図6] 1ステップの逆回転の際に出力されるパルスの一例を示す波形図である。
[図7] 同相の場合の逆起電流、端子O1,O2の電圧の波形図の一例を示す図である。
[図8] 逆相の場合の逆起電流、端子O1,O2の電圧の波形図の一例を示す図である。
[図9] 同相で非回転の場合の逆起電流、端子O1,O2の電圧の波形図の一例を示す図である。
[図10] 逆相検出を行わずかつ逆相の場合のロータの状態を示す図である。
[図11] 逆相の場合の逆起電流、端子O1,O2の電圧の波形図の他の一例を示す図である。
[図12] 同相の場合の逆起電流、端子O1,O2の電圧の波形図の他の一例を示す図である。
[図13] 逆相の場合の逆起電流、端子O1,O2の電圧の波形図の他の一例を示す図である。
[図14] 同相の場合の逆起電流、端子O1,O2の電圧の波形図の他の一例を示す図である。
[図15] 第2の実施形態にかかる逆回転の処理のフローチャートである。
[図16] 逆回転の際に出力されるパルスの一例を示す波形図である。
[図17] 前兆波形が検出される場合の逆起電流、端子O1,O2の電圧の波形図の一例を示す図である。
[図18] 異常回転が生じる場合の逆起電流、端子O1,O2の電圧の波形図の一例を示す図である。
[図19] 電池の電圧変動に応じた駆動ランクの変化を伴う動作の一例を示す波形図である。
[図20] 第2の実施形態にかかる電子時計の回路構成を示すブロック図である。

発明を実施するための形態

[0021]
 以下では、図面とともに本発明の実施の形態について詳述する。以下では、携帯型の電子時計1に本発明を適用した場合について説明する。
[0022]
[第1の実施形態]
 図1は、第1の実施形態の電子時計1の一例を示す平面図であり、図2は、電子時計1の回路構成を概略的に示す図である。電子時計1は、アナログ表示方式の電子時計である。電子時計1は、文字板51と、時針52aと、分針52bと、秒針52cと、モータ制御部2と、電源3と、ステップモータ20と、図示しない輪列と、を含む。ステップモータ20は、1つのコイル21とロータ22とを有する。ステップモータ20は輪列に機械的に接続されている。電源3は例えば二次電池を含む。
[0023]
 モータ制御部2は、発振回路11と、分周回路12と、通常駆動パルス生成回路31と、測定駆動パルス生成回路32と、位相検出パルス生成回路33と、追加パルス生成回路34と、補正駆動パルス生成回路35と、回転検出パルス生成回路36と、セレクタ6と、ドライバ回路7と、回転検出回路41と、位相検出回路42と、駆動方式切替回路43とを含む。モータ制御部2は、例えばマイクロコントローラを含む集積回路として実装されている。
[0024]
 発振回路11は、水晶振動子(図示せず)によって所定のクロック信号を出力する。クロック信号は分周回路12に入力される。分周回路12はクロック信号を分周し、分周回路12により分周されたクロック信号は、通常駆動パルス生成回路31と、測定駆動パルス生成回路32と、位相検出パルス生成回路33と、追加パルス生成回路34と、補正駆動パルス生成回路35と、回転検出パルス生成回路36とに入力される。
[0025]
 測定駆動パルス生成回路32は、ステップモータ20の逆転駆動を開始する際に、ロータ22へ所定の向き(極性)の磁界をコイル21に生じさせるための測定駆動パルスGを生成する。位相検出パルス生成回路33は、測定駆動信号の出力後のロータ22の動きにより生じる逆起電流を検出するための位相検出パルスGPを生成する。通常駆動パルス生成回路31は、仮にモータ制御部2が想定する位相とロータ22の位相とが同じ場合に、ステップモータ20を逆転方向に駆動するための駆動パルスSPを生成し出力する。回転検出パルス生成回路36は、回転の検出のための回転検出パルスDPを生成し出力する。補正駆動パルス生成回路35は、ステップモータ20の回転がされない、または回転したか否かが不確実な場合に、ステップモータ20を確実に回転させるための補正パルスFPを生成し出力する。補正パルスFPによるロータ22の駆動力は、駆動パルスSPより大きい。追加パルス生成回路34は、仮にモータ制御部2が想定する位相とロータ22の位相とが反対の場合に、モータ制御部2が想定する位相とロータ22の位相とを合わせるための信号(追加パルスC)を生成し出力する。
[0026]
 セレクタ6には、測定駆動パルスG、駆動パルスSP、補正パルスFP、追加パルスC、位相検出パルスGP、回転検出パルスDPが入力される。そして、セレクタ6は、モータ制御部2に含まれるロジック回路やマイクロコントローラの制御に基づいて、これらのパルスのいずれか1つをドライバ回路7へ出力する。
[0027]
 ドライバ回路7は、セレクタ6から入力された測定駆動パルスG、駆動パルスSP、補正パルスFP、追加パルスCのいずれかに応じた駆動信号をステップモータ20のコイル21の端子O1,O2に供給し、ステップモータ20を駆動する。またドライバ回路7はセレクタ6から回転検出パルスDPが入力されると、コイル21と回転検出回路41との間に設けられたスイッチを制御することにより、コイル21のO1端子、O2端子に生じた逆起電流を回転検出回路41へ入力させる。ドライバ回路7はセレクタ6から位相検出パルスGPが入力されると、コイル21と位相検出回路42との間に設けられたスイッチを制御することにより、コイル21のO1端子、O2端子に生じた逆起電流を位相検出回路42に入力させる。
[0028]
 回転検出回路41は、回転検出パルスDPがドライバ回路7に入力された際にコイル21に生じた逆起電流を検出する回路である。回転検出回路41は、例えばコンパレータを含み、検出抵抗に基づいて定まる閾値dVtを超える逆起電流が生じているか否かを検出する。また、回転検出回路41は、検出された逆起電流に基づいてロータ22が次のステップへ逆回転したか否かを判定する。回転検出回路41は、逆回転しないと判断した場合に、セレクタ6を制御し、補正パルスFPをドライバ回路7へ入力させる。
[0029]
 位相検出回路42は、位相検出パルスGPがドライバ回路7に入力された際にコイル21に生じた逆起電流を検出する回路である。位相検出回路42は、例えばコンパレータを含み、検出抵抗に基づいて定まる閾値gVtを超える逆起電流が生じているか否かを検出する。また、位相検出回路42は、検出された逆起電流に基づいて、ロータ22の位相が、これまでのモータ制御部2の動作から予期される位相(前回のステップの動作に基づいてモータ制御部2が予測しメモリ等に格納した現在の位相)と同じ(同相)か、反対(逆相)かを判定する。
[0030]
 駆動方式切替回路43は、位相検出回路42により判定されたロータ22の位相に基づいて、ドライバ回路7からコイル21へ入力される駆動信号を切り替える。駆動信号の切り替えの詳細については後述する。駆動方式切替回路43は、マイクロコントローラにより実現されてもよい。
[0031]
 次に、本発明の実施形態にかかるステップモータ20の逆転時の動作の概要を説明する。図3は、同相の場合のロータ22の回転を説明する図であり、ロータ22の状態の変化を示すである。ステップモータ20は、ロータ22へ磁力を伝達する2つのステータ23a,23bを含んでいる。ロータ22はNとSとの2極着磁されており、ステータ23a,23bはロータ22を挟んで対向している。コイル21の一端および他端から発生した磁力は、それぞれステータ23a,23bに伝達される。図3の直線Lは、コイル21が磁力を発生しない場合にロータ22が静止する位置を示し、静止時のロータ22のN極およびS極を通っている。直線Lはステータ23a,23bを正転方向にj°(jは90度未満)回転させた方向に延びている。ロータ22が静止する位置はロータ22が減衰しながら自由振動する際の中心であり、以下では「安定位置」と記載する。ステップモータ20の1ステップは半回転であり、ロータ22は半回転ごとに安定位置に達する。
[0032]
 時間T10は、初期状態であり、ロータ22は安定位置に静止している。時間T11には、測定駆動パルスGがドライバ回路7へ入力され、測定駆動信号がコイル21に入力されている。コイル21はステータ23a,23bを介して第1の極性の磁力をロータ22に伝達する。第1の極性の磁力により、時間T11かつ同相の場合にロータ22の磁極とステータ23a,23とが反発する。これにより、ロータ22は正転方向に少し回転している。その後、位相検出パルスGPがドライバ回路7に入力され、位相検出回路42によりロータ22の位相が判定される。ここではロータ22の位相が予期された位相と同じである(同相)と判定される。
[0033]
 次に、同相の場合に駆動パルスSPがドライバ回路7に入力され、コイル21にはロータ22を次のステップへ逆回転させる駆動信号が供給される。時間T12には、駆動パルスSPに含まれるパルスAがドライバ回路7に供給され、それに応じてドライバ回路7が出力する部分駆動信号によりコイル21に第1の極性の磁力が生じ、その磁力はロータ22へ伝達される。ロータ22は測定駆動パルスGの場合より大きくかつ1ステップに達しないように、正転方向に回転している。時間T13には、駆動パルスSPに含まれるパルスBがドライバ回路7に供給され、それに応じてドライバ回路7が出力する部分駆動信号によりコイル21に第1の極性と反対の第2の極性の磁力が生じ、その磁力はロータ22へ伝達される。第2の極性の磁力により、時間T13かつ同相の場合にロータ22の磁極とステータ23a,23bとが引き合う。第2の極性の磁力により、ロータ22は逆転方向に回転し、慣性により次のステップまで逆転し(時間T14)、最終的には次のステップの安定位置で静止する(時間T15)。ロータ22の極性が反転しているため、その後さらに1ステップ逆回転させる際には、前ステップとは反対の極性の磁力がコイル21から供給される(時間T16参照)。
[0034]
 図4は、逆相の場合のロータ22の動作を示す図である。時間T20は、初期状態であり、ロータ22は安定位置に静止している。ここで、モータ制御部2の動作から予期される位相は図3の時間T10の状態であり、時間T20のロータ22の位相はモータ制御部2の動作から予期される位相と反対(逆相)であるとする。
[0035]
 時間T21には、測定駆動パルスGがドライバ回路7へ入力され、測定駆動信号がコイル21に入力されている。コイル21はステータ23a,23bを介して第1の極性の磁力をロータ22に伝達する。第1の極性は、同相の場合と同じであるが、時間T21においてはロータ22が逆相であるので、第1の極性ではロータ22の磁極とステータ23a,bとが引き合い、ロータ22は逆転方向に少し回転する。その後、位相検出パルスGPがドライバ回路7に入力され、位相検出回路42によりロータ22の位相が判定される。ここではロータ22の位相が予期された位相と反対である(逆相)と判定される。
[0036]
 次に、逆相の場合に駆動パルスSPとそれに続く追加パルスCとがドライバ回路7に入力され、ドライバ回路7はロータ22の次のステップへの回転を制限する。時間T22には、駆動パルスSPに含まれるパルスAがドライバ回路7に供給され、それに応じて第1の極性の磁力がコイル21からロータ22へ伝達される。ロータ22は測定駆動パルスGの場合より大きくかつ1ステップに達しないように、逆転方向に回転している。時間T23には、駆動パルスSPに含まれるパルスBがドライバ回路7に供給され、それに応じて第1の極性と反対の第2の極性の磁力がコイル21からロータ22へ伝達される。第2の極性の磁力により、時間T23かつ逆相の場合にロータ22の磁極とステータ23a,23bとが反発する。第2の極性の磁力により、ロータ22は正転方向に回転する(時間T23)。
[0037]
 時間T24には追加パルスCがドライバ回路7に入力され、コイル21から第1の極性の磁力がロータ22に伝達される。第1の極性の磁力により、時間T24かつ逆相の場合にロータ22の磁極とステータ23a,23bとが反発し、ロータ22は逆転方向に回転する。このため、ロータ22は最終的には測定駆動パルスGが供給される前と同じ安定位置で静止する。駆動パルスSPとそれに続く追加パルスCは、特許文献1に示されるものと同様であり、即ち、逆相の場合には従来と同様の逆転用の逆転パルスが測定駆動パルスGに続いて出力される。なお、仮に位相検出回路42が同相の状態を逆相であると誤判定し、駆動パルスSPのあと(図3における時間T13の後)に追加パルスCがドライバ回路7に入力された場合には、第1の極性の磁力により、ロータ22の磁極とステータ23a,23bとが引き合い、ロータ22は最終的に1ステップ逆転した安定位置で静止する。即ち、仮に同相で追加パルスCが誤って出力されたとしても針の位置がずれることはない。また、図4の例では、逆相と判定された場合に駆動パルスSPとそれに続く追加パルスCが出力されたが、代わりにこれらのパルスが出力されなくてもよい。即ち、図4の例において時間T21で1ステップが終了するため、ロータ22は最終的には測定駆動パルスGが供給される前と同じ安定位置で静止する。
[0038]
 次に、逆回転の際の制御についてさらに詳細に説明する。図5は、第1の実施形態にかかる逆回転の処理のフローチャートである。図6は、1ステップの逆回転の際に出力されるパルスの一例を示す波形図である。図6のa1は、測定駆動パルス生成回路32からコイル21の端子O1へ向けて出力される信号の波形を示しており、b1,c1,d1,e1,f1は、それぞれ、位相検出パルス生成回路33、通常駆動パルス生成回路31、追加パルス生成回路34、補正駆動パルス生成回路35、回転検出パルス生成回路36から端子O1に向けて出力される信号の波形を示している。c2,f2は、それぞれ、通常駆動パルス生成回路31、補正駆動パルス生成回路35から端子O2に向けて出力される信号の波形を示している。1ステップ毎、端子O1から出力される信号の波形と端子O2から出力される信号の波形とが切り替わる。
[0039]
 はじめに、測定駆動パルス生成回路32が測定駆動パルスGを生成し、測定駆動パルスGを入力されたドライバ回路7はコイル21へ測定駆動信号を出力する(ステップS101)。測定駆動信号が出力されると、図3のT11,図4のT21に示されるようにロータ22はその際の位相に応じた方向に回転する。そして、位相検出パルス生成回路33は位相検出パルスGPを出力し、ドライバ回路7はコイル21の端子O1と位相検出回路42とを接続し、位相検出回路42はコイル21に生じた逆起電流を計測し、また位相検出回路42は、計測された逆起電流に基づいて、ロータ22の位相を判定する(ステップS102)。
[0040]
 図6に示されるように、位相検出パルスGPは所定の間隔で出力される複数の部分パルスからなり、それぞれの部分パルスは短時間(16μs)印加される。図6において部分パルスのそれぞれに示されている数字は、測定駆動パルス生成回路32が測定駆動パルスGの出力を開始する時を0とした場合における、部分パルスが出力されるタイミングを示している。また部分パルスが出力されるタイミングで逆起電流が計測される。
[0041]
 また、より具体的には、ステップS102において、位相検出回路42は、閾値gVtを超える電圧(逆起電流に相当)が2回以上計測された場合にロータ22が同相であると判定し、そうでない場合に逆相であると判定する。図7は、同相の場合の逆起電流、端子O1,O2の電圧の波形図の一例を示す図である。図7において、位相検出パルスGPとして書かれている複数の線は、位相検出パルスGPに含まれる部分パルスが出力された時点における逆起電流の強さを示している。図7の例では、測定駆動パルスGの出力後の、位相検出パルスGPの5つの部分パルスのうち2つにおいて、閾値gVtを上回る逆起電流が計測されており、位相検出回路42は、ロータ22の位相が予期された位相と同じである(同相)と判定する。
[0042]
 図8は、逆相の場合の逆起電流、端子O1,O2の電圧の波形図の一例を示す図であり、図7に対応する図である。図8の例では、測定駆動パルスGの出力後の、位相検出パルスGPの5つの部分パルスのいずれにおいても閾値gVtを上回る逆起電流が計測されず、位相検出回路42は、ロータ22の位相が予期された位相と異なる(逆相)と判定する。
[0043]
 そして、逆相と判定された場合には(ステップS103のY)、駆動方式切替回路43の制御に基づいて、ドライバ回路7が逆相用の駆動信号を出力する(ステップS104)。より具体的には、駆動方式切替回路43は、通常駆動パルス生成回路31が図6のc1およびc2に示される駆動パルスSPを出力したのちに、追加パルス生成回路34に図6のd1に示される追加パルスCを出力させ、さらにセレクタ6にドライバ回路7へ駆動パルスSPおよび追加パルスCを入力させることで、ドライバ回路7に逆相用の駆動信号を出力させる。図6に示されるように、追加パルスCは、電源電圧に応じた電位(フルパルス)が印加される区間(1.0ms)と、それに続き、0.25ms周期でデューティ比16/32のパルス信号が印加される区間(10.0ms)とを有する。逆相用の駆動信号により、図4の時間T22からT24に示されるように、ロータ22が逆相の場合に正転することが抑えられる。
[0044]
 なお、この状態ではモータ制御部2でメモリ等に格納されている指針等の位置と実際の指針等の位置とがずれることになる。しかしながら、位置検出機構を別途設けておくことにより指針等が特定の位置に達したことを検出することで、そのずれを補正することは容易である。ステップS104の後に、モータ制御部2は測定駆動パルスGの出力開始から32ms経過するまで待機し、その後に次のステップの逆回転などの処理を開始する(ステップS109)。なお、測定駆動パルスGの出力開始から待機終了までの待機時間はロータ22の振動が収まる時間に応じて設定されている。
[0045]
 一方、同相と判定された場合には(ステップS103のN)、駆動方式切替回路43の制御に基づいて、ドライバ回路7が同相用の駆動信号を出力する(ステップS105)。より具体的には、駆動方式切替回路43は、通常駆動パルス生成回路31が図6のc1およびc2に示される駆動パルスSPを出力するが、追加パルス生成回路34には追加パルスCを出力させない。またセレクタ6からドライバ回路7へ駆動パルスSPを入力させる。これにより、ドライバ回路7は同相用の駆動信号を出力する。同相用の駆動信号により、図3の時間T12からT14に示されるように、ロータ22は1ステップ逆回転する。
[0046]
 また、通常駆動パルス生成回路31が駆動パルスSPを出力したのちに、駆動方式切替回路43は回転検出パルス生成回路36に回転検出パルスDPを生成させ、セレクタ6からドライバ回路7へ回転検出パルスDPを出力させる(ステップS106)。またドライバ回路7は回転検出パルスDPに基づいて、コイル21の端子O1と回転検出回路41とを接続し、回転検出回路41はコイル21に生じた逆起電流を計測し、計測された逆起電流に基づいて、ロータ22が1ステップ逆回転したか否かを判定する(ステップS106)。
[0047]
 図6に示されるように、回転検出パルスDPは所定の間隔で出力される複数の部分パルスからなり、それぞれの部分パルスは短時間(16μs)印加される。図6において部分パルスのそれぞれに示されている数字は、測定駆動パルス生成回路32が測定駆動パルスGの出力を開始する時を0とした場合における、部分パルスが出力されるタイミングを示している。また部分パルスが出力されるタイミングで逆起電流が計測される。
[0048]
 なお、図6に示すように位相検出パルスGPの部分パルスが出力される間隔は回転検出パルスDPの間隔よりも密である。これは位相検出パルスGPの期間では逆起電流が出づらいため、密にすることで検出の精度を高めている。またこれら位相検出パルスGPや回転検出パルスDPはコイルをハイインピーダンスの状態にして、ロ-タ22の自由振動によってコイルに発生する誘起電圧を検出し、判定を行うものである。ハイインピーダンスの状態を続けることで、コイルにロータ22の自由振動によって発生する磁束の変化を妨げる向きに磁界を生じるような誘導起電力、即ち電磁ブレーキが生じることはなくなる。そのため、部分パルスが出力される間隔を密にすることで、電磁誘導に基づく電磁ブレーキを抑えられ、ロータ22の回転に基づく逆起電流を増加させる効果も有している。また今回、位相検出パルスGPの部分パルスが出力される間隔を密にしたが、部分パルス単体の印加幅(16μs)を回転検出パルスDPより大きくしてもよい。この場合も同様の効果が期待できる。
[0049]
 ステップS106において、より具体的には、回転検出回路41は、閾値dVtを超える電圧(逆起電流に相当)が4回以上計測された場合にロータ22が逆方向に1ステップ回転したと判定し、そうでない場合には回転していないと判定する。図7の例では、回転検出パルスDPの複数の部分パルスのうち5つにおいて、閾値dVtを上回る電圧が計測されており、回転検出回路41は、ロータ22が逆方向に1ステップ回転したと判定する。なお、閾値dVtを上回る電圧が5つ見られた時点で回転検出パルスDPの出力を終了してもよい。また、回転検出パルスDPの出力終了を起点として次ステップの駆動パルス等の出力開始タイミングを逐次切り替えてもよい。これにより、逆転の高速運針の際のスピードを高めることができる。ここで、図7では、回転検出パルスDPとして書かれている複数の線は、回転検出パルスDPに含まれる部分パルスが出力された時点における逆起電流の強さを示している。またこの例では、10ms経過時点でロータ22が逆方向に半回転した位置にほぼ収束する。
[0050]
 図9は、同相で非回転の場合の逆起電流、端子O1,O2の電圧の波形図の一例を示す図である。図9の例では、位相検出パルスGPの5つの部分パルスのうち2つにおいて、閾値gVtを上回る逆起電流が計測されており、同相と判定されているが、一方で、回転検出パルスDPの複数の部分パルスのうち閾値dVtを超える電圧が計測された回数が4回未満であるため、回転検出回路41は、ロータ22が回転しなかったと判定する。そのため、図9の例では、図示されていないが、32msから補正パルスFPが出力される。なお、回転検出回路41は、閾値dVtを超える電圧が初めて検出されたタイミングに基づいて回転、非回転を判断してもよい。回転検出回路41は、例えば図6の例において、回転の場合では回転検出パルスDPの出力開始から1つめの部分パルスで電圧を検出しており、図9の非回転の場合では回転検出パルスDPの出力開始から6つめの部分パルスで電圧を初めて検出している。例えば、回転検出回路41は、回転検出パルスDPの出力開始から3つめの部分パルスを基準とし、その基準までに初めて電圧を検出したかどうかに基づいて回転非回転を判断してもよい。また、回転検出回路41は、電圧が検出されるタイミングと、その検出回数との組み合わせに基づいて回転、非回転を判定してもよい。
[0051]
 なお、図9の例では回転検出パルスDPの出力開始の時点で閾値dVtを上回る逆起電流は見られないものの、閾値dVtに近い電圧の検出信号が見られており、単なる検出回数のカウントでは状況によっては誤判定の可能性がある。回転検出回路41が、単純に期間内の検出回数に基づいて判断するのではなく、連続して検出できた検出回数に基づいて回転非回転を判断することにより、より判定の精度が高まる。
[0052]
 ステップS106において1ステップ逆回転したと判定された場合には(ステップS107のY)、モータ制御部2は測定駆動パルスGの出力開始から24ms経過するまで待機し、その後に次のステップの逆回転などの処理を開始する(ステップS110)。なお、測定駆動パルスGの出力開始から待機終了までの待機時間はロータ22の振動が収まる時間に応じて設定されており、追加パルスCの出力がないためステップS109における時間より短い。
[0053]
 ステップS106において逆回転していないと判定された場合には(ステップS107のN)、回転検出回路41はセレクタ6を制御し、補正駆動パルス生成回路35が生成した補正パルスFPをドライバ回路7へ入力し、ドライバ回路7は補正駆動信号を出力する(ステップS108)。図6に示されるように、補正パルスFPは、パルスFP1、パルスFP2、パルスFP3を有する。パルスFP1、パルスFP2、パルスFP3は、それぞれパルスA、パルスB、追加パルスCに相当するが、補正駆動信号の駆動力を大きくするため、パルスFP1、パルスFP2、パルスFP3のうち少なくとも一部の期間は、対応するパルスより長い。補正パルスFPにより、例えばカレンダの動作等の外部負荷によってステップモータ20が逆回転できなかった場合にも、確実にステップモータ20を動作させることができる。
[0054]
 補正駆動信号が出力されると、モータ制御部2は測定駆動パルスGの出力開始から64ms経過するまで待機し、その後に次のステップの逆回転などの処理を開始する(ステップS111)。なお、待機時間は、補正パルスFPの出力があるためステップS109における時間より長い。なお、待機時間は逆相か否か、回転したか否かに応じた値になっているが、一律の時間であってもよい。
[0055]
 本実施形態にかかる電子時計1では、測定駆動パルスGと位相検出パルスGPに基づくロータ22の位相の検出を行い、ロータ22の位相に応じた駆動信号の出力をしている。仮に、位相の検出を行わず、かつ同相の場合の駆動パルスSPを用いてステップモータ20を駆動した場合、ロータ22が正転する現象が発生し、またそれを止めることが難しい。
[0056]
 図10は、ステップS103に示される逆相検出を行わず、かつ逆相の場合のロータ22の状態を示す図であり、図4に対応する図である。ここで、時間T90のロータ22の位相はモータ制御部2の動作から予期される位相と反対(逆相)であるとする。図10の例では位相の検出を行わないので、逆相である場合にも同相の場合と同じ駆動信号が供給される。すると、追加パルスCが供給されないので、ロータ22は時間T93において正転方向に回転すると、時間T94において半回転だけ正転した安定位置で静止する。
[0057]
 一方、同相で問題なく逆回転した場合も半回転しており、次のステップにおいて予期される位相も反対になる。すると、逆相で半回転した場合は、次のステップにおいても逆相になるため、さらに1ステップ逆回転させようとするとさらに正転してしまう。したがって、この場合は、一度逆相になると、位置検出機構を用いてもそのずれを補正することは困難である。
[0058]
 ここで、仮に、同相の場合にも、逆相の場合に生成される駆動パルスSPおよび追加パルスCを用いて、ステップモータ20に供給する場合について考える。この場合、追加パルスCにより生じる磁力は、同相の場合はロータ22が逆回転した状態に維持し、逆相の場合はロータ22を当初の安定位置へ向けて戻すため、本実施形態と同様の安定位置まで回転させることは可能である。しかしながら、この場合には、比較的期間の長い追加パルスCによる駆動信号を毎回出力する必要があるため、消費電力が増加し、また回転に必要な時間が増加してしまう。
[0059]
 本実施形態においては、同相の場合に低消費電力で逆回転を行いつつ、逆相の場合に補正が困難になることを防ぐことができる。これにより、電子時計1の消費電力を抑制しつつステップモータ20を確実に逆転させることができる。
[0060]
 ロータ22の駆動の方法や位相の検出の手法は、これまでに説明したものと異なっていてもよい。図11は、逆相の場合の逆起電流、端子O1,O2の電圧の波形図の他の一例を示す図である。図12は、同相の場合の逆起電流、端子O1,O2の電圧の波形図の他の一例を示す図である。図11,12はそれぞれ図8,7に対応する。
[0061]
 図11,12の例では、測定駆動パルスGによる測定駆動信号の極性が、図7,8の例と反対になっている。これにより、コイル21はステータ23a,23bを介して第2の極性の磁力をロータ22に伝達する。図11,12の例では測定駆動信号が入力される端子がO2となっており、ロータ22は図7,8の例と反対の向きに少し回転する。そのため、図11に示されるように、位相検出回路42は、閾値gVtを超える電圧(逆起電流に相当)が2回以上計測された場合にロータ22が逆相であると判定し、ドライバ回路7は駆動パルスSPと追加パルスCとに基づく駆動信号を出力する。一方、図12に示されるように、位相検出回路42は、閾値gVtを超える電圧(逆起電流に相当)が2回以上計測されない場合にはロータ22が同相であると判定し、駆動パルスSPに基づく駆動信号を出力する。なお、図11,12の例では、パルスAはデューティ比16/32のパルス信号が印加される区間を有している。図11,12の例でも、ロータ22の位相が検出でき、電子時計1の消費電力を抑制しつつステップモータ20を確実に逆転させることができる。
[0062]
 また、測定駆動パルスGと駆動パルスSPに含まれるパルスAとが兼用であってもよい。図13は、逆相の場合の逆起電流、端子O1,O2の電圧の波形図の他の一例を示す図である。図14は、同相の場合の逆起電流、端子O1,O2の電圧の波形図の他の一例を示す図である。図13,14はそれぞれ図8,7に対応する。図13,14の例では、測定駆動パルスGがドライバ回路7に供給され、それに応じてドライバ回路7が測定駆動信号を出力し、測定駆動信号によりコイル21に第1の極性の磁力が生じ、その磁力はロータ22へ伝達される。ロータ22は1ステップに達しないように、正転方向に回転している。その後、位相検出パルス生成回路33は位相検出パルスGPを出力し、位相検出回路42はロータ22の位相を判定する。同相であるか逆相であるかの判定手法の詳細は図7,8の例で説明したものと同様である。
[0063]
 同相と判定された場合には、駆動パルスSPに含まれるパルスBがドライバ回路7に供給され、それに応じてドライバ回路7が出力する部分駆動信号によりコイル21に第1の極性と反対の第2の極性の磁力が生じ、その磁力はロータ22へ伝達される(図14参照)。測定駆動パルスGに起因する回転がパルスAによる回転の代わりとなるため、この手法でもロータ22を1ステップ逆回転することができる。なお、この場合は、図7の例に比べてロータ22の回転力は低くなる。
[0064]
 逆相と判定された場合には、駆動パルスSPに含まれるパルスBがドライバ回路7に供給され、コイル21に第1の極性と反対の第2の極性の磁力が生じる。さらに、追加パルスCがドライバ回路7に入力され、コイル21から第1の極性の磁力がロータ22に伝達される(図13参照)。これにより、図8の例と同様に、ロータ22の回転は制限される。
[0065]
[第2の実施形態]
 以下では本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態に比べ、駆動信号の強さを示す駆動ランクを調整する点が異なる。以下では、主に第1の実施形態との相違点について説明する。
[0066]
 図20は、第2の実施形態にかかる電子時計1の回路構成を示すブロック図であり、第1の実施形態の図2に対応する図である。第2の実施形態では、通常駆動パルス生成回路31はランク決定回路44を含み、ランク決定回路44は回転検出回路41と接続されている。
[0067]
 ランク決定回路44は、駆動パルスSPに応じた駆動信号が出力された後に検出された逆起電流に基づいて、ロータ22の回転力を判定し、判定された回転力に基づいてドライバ回路7が出力する駆動信号の強さを示す駆動ランクを変更する。
[0068]
 図15は、第2の実施形態にかかる電子時計1の逆回転の処理のフローチャートである。はじめに、測定駆動パルス生成回路32が測定駆動パルスGを生成し、測定駆動パルスGを入力されたドライバ回路7はコイル21へ測定駆動信号を出力する(ステップS201)。そして、位相検出パルス生成回路33は位相検出パルスGPを出力し、位相検出回路42はコイル21に生じた逆起電流を計測し、また位相検出回路42は、計測された逆起電流に基づいて、ロータ22の位相を判定する(ステップS202)。これらの処理は第1の実施形態におけるステップS101,S102の処理と同様であるので詳細の説明を省略する。
[0069]
 そして、逆相と判定された場合には(ステップS203のY)、駆動方式切替回路43の制御に基づいて、ドライバ回路7が逆相用の駆動信号を出力する(ステップS204)。ステップS204の処理は、第1の実施形態のステップS104の処理と同様である。図示はしないが、その後、第1の実施形態と同様に、モータ制御部2は測定駆動パルスGの出力開始から所定の期間が経過するまで待機し、その後に次のステップの逆回転などの処理を開始する。
[0070]
 一方、同相と判定された場合には、(ステップS203のN)、ランク決定回路44は、現在の駆動ランクが最低の駆動ランクである1であるか否かを判定する(ステップS205)。
[0071]
 ここで、駆動ランクについてさらに説明する。本実施形態では、駆動ランクは1から3まである。駆動ランクが1の場合に出力される駆動信号はその駆動力が最も弱く、駆動ランクの値が大きくなるにつれて駆動力が大きくなる。図16は、第2の実施形態において、逆回転の際に出力されるパルスの一例を示す波形図であり、第1の実施形態の図6に対応する。図16の例では、駆動ランクが3の場合に波形c1に示されるパルスAが通常駆動パルス生成回路31から出力される。波形c1に示されるパルスAは、図6に示されるものと同じであり、その期間ずっと電源電圧に応じた電位(フルパルス)が印加される。駆動ランクが2の場合には、波形kc1に示される、デューティ比が26/32と波形c1より小さいパルスAが通常駆動パルス生成回路31から出力される。一方、駆動ランクが1の場合には、パルスAは出力されない。
[0072]
 駆動ランクは、電源電圧の変化等によるステップモータ20の駆動力の変化に起因する問題の発生を緩和するために用いられる。駆動ランクの設定の詳細については後述する。なお、駆動ランクの数は3でなくてもよく、2以上であればよい。例えば、駆動ランクの数が4以上の場合は、デューティ比を駆動ランクに応じてさらに細かく変化させてよい。
[0073]
 現在の駆動ランクが1である場合には(ステップS205のY)、駆動力を小さくするため、通常駆動パルス生成回路31はパルスAを出力せずに、ドライバ回路7へ向けてパルスBを出力する。それにより、セレクタ6はドライバ回路7へパルスBを出力する(ステップS206)。パルスBに基づいてドライバ回路7は同相用の駆動信号としてパルスBに対応する部分駆動信号を出力し、コイル21に生じた第2の極性の磁力はロータ22へ伝達される。ステップS206の動作であっても、第1の実施形態における図14の例と同様に、測定駆動パルスGを駆動信号に含まれるパルスAの代わりに用いることで、ロータ22が逆回転できる。なお、パルスBなど、これ以降の信号の出力開始タイミングは、順序が変わらなければ図16に示されるタイミングより早くするなど、適宜調整されてもよい。
[0074]
 現在の駆動ランクが1でない場合には(ステップS205のN)、通常駆動パルス生成回路31は駆動ランクに応じた駆動パルスSPを出力し、ドライバ回路7は、駆動ランクに応じた強さの同相用の駆動信号を出力する(ステップS207)。これにより、駆動ランクに応じてロータ22の駆動力が調整される。
[0075]
 ステップS206またはステップS207の処理が実行されると、回転検出パルス生成回路36はドライバ回路7へ回転検出パルスDPを出力する(ステップS208)。また回転検出回路41はコイル21に生じた逆起電流を計測し、計測された逆起電流に基づいて、ロータ22が1ステップ逆回転したか否かを判定する(ステップS208)。ステップS208において逆回転していないと判定された場合には(ステップS209のN)、補正パルスFPがドライバ回路7へ入力され、ドライバ回路7は補正駆動信号を出力する(ステップS210)。またこの場合には、ランク決定回路44は、駆動ランクを1上げることで、次のステップにおける逆回転をより容易にする(ステップS211)。ステップS208およびステップS210の動作は、第1の実施形態のステップS106,ステップS108の動作と同様であるので詳細の説明は省略する。なお、図示していないが、第1の実施形態と同様に、ステップS211の後、かつ測定駆動パルスGの出力開始から一定時間経過した際に次のステップの動作を開始する。
[0076]
 一方、ステップS208において1ステップ逆回転したと判定された場合には(ステップS209のY)、回転検出回路41は異常回転の前兆を示す前兆波形Xが検出されたか否かを判定する(ステップS212)。
[0077]
 図17は、同相かつ前兆波形Xが検出される場合の逆起電流、端子O1,O2の電圧の波形図の一例を示す図である。図17の例では、電源電圧に対して駆動ランクが高いため、パルスAによるロータ22の正方向の回転量が大きくなっている。この場合、パルスBの出力が終了した直後かつ回転検出のための所定の極性(パルスBによる部分駆動信号と同じ極性)の逆起電流が検出される前に、その所定の極性と反対の極性の逆起電流の前兆波形Xが生じる。図17の例では、回転検出パルスDPの複数の部分パルスのうち閾値dVtを超える電圧が計測された回数が4回以上であり逆方向に半回転したと判定されており、ロータ22の回転角をみても逆転方向に半回転している。しかしながら、外的要因によりさらにロータ22の回転力が強くなると、次のステップでパルスAに起因して正転方向に回転する可能性が高くなる。
[0078]
 図18は、異常回転が生じる場合の逆起電流、端子O1,O2の電圧の波形図の一例を示す図である。図18の例では、図17の例より電源電圧が高くなっており、パルスAによりロータ22は正転方向に大きく回転し、その後のパルスBが出力されるタイミングで正転方向に半回転してしまう。
[0079]
 前兆波形Xの検出についてより具体的に説明する。パルスBの生成終了直後に、回転検出パルス生成回路36が前兆検出パルスEPを出力し、前兆検出パルスEPはドライバ回路7に入力される。ドライバ回路7はコイル21の端子O2と回転検出回路41を接続し、回転検出回路41は、逆起電流により生じる電圧が閾値eVtを超えているか否かを判定する。回転検出回路41に接続されるコイル21の端子が回転検出パルスDPと異なるため、逆起電流により生じる電圧が閾値eVtを超える場合は、回転検出にかかる逆起電流と異なる極性の電流が検出される。つまり、回転検出回路41は、逆起電流により生じる電圧がeVtを超えるか否かを判定することで、異常回転の前兆波形Xが検出された否かを判定する。
[0080]
 異常回転の前兆を示す前兆波形Xが検出されると(ステップS212のY)、ランク決定回路44は、駆動ランクを2下げる(ステップS213)。なお、現在の駆動ランクが2の場合には、ランク決定回路44は駆動ランクを1に変更する。
[0081]
 異常回転の前兆が検出されない場合には(ステップS212のN)、ランク決定回路44は、今回のステップで出力される複数の回転検出パルスDPのうち、閾値dVtを超える電圧(逆起電流に相当)が計測された回数に応じて駆動ランクを調整する。より具体的には、回転検出の際に逆起電流により5回未満の閾値dVtを超える電圧が検出された場合には(ステップS214のY)、ランク決定回路44は駆動ランクを1下げ(ステップS215)、7回を超えて閾値dVtを超える電圧が検出された場合には(ステップS216のY)、ランク決定回路44は駆動ランクを1上げる(ステップS211)。駆動力が減るにつれ、閾値dVtを超える電圧が検出される回数が増えるため、これらの処理により、駆動力が過大または過少になることを防ぎ、消費電力を減らすことが可能になる。また、突然の電圧変動などにより異常回転などが起きる可能性を低減することも可能になる。なお、図示していないが、第1の実施形態と同様に、ステップS216の後、かつ測定駆動パルスGの出力開始から一定時間経過した際に次のステップの動作を開始する。
[0082]
 図19は、リチウム電池といった充放電可能な電池の電圧変動に応じた駆動ランクの変化を伴う動作の一例を示す波形図である。図19には、逆起電流の波形と、コイル21の端子O1,O2に印加される信号の波形とが記載されている。期間aa,bb,cc,dd,eeは、それぞれロータ22が半回転するステップの動作についての波形を示している。期間aaでは、電源電圧が2.0Vかつ駆動ランクが2である。期間aaは図7の例に相当し、期間aaでは回転検出パルスDPにより閾値dVt以上の電圧が検出された回数(以下では検出回数と記載します)が5回であるので、駆動ランクは変化しない。期間bbは次のステップの半回転をする期間であり、測定駆動パルスG、駆動パルスSP(パルスA,B)、それらに基づく測定駆動信号および駆動信号の極性は、期間aaに対して反対になっている。以降も次のステップの期間になるたびに極性は反転している。電源電圧および検出回数は期間aaと同じであり、駆動ランクは変化しない。
[0083]
 期間ccでは電源電圧が2.3Vへ上昇しており、検出回数は4回まで下がっている。これに対応して駆動方式切替回路43は駆動ランクを1へ下げる。期間ddでは、電源電圧は2.3Vのままであり、駆動ランクの低下によりパルスAに対応する部分駆動信号がデューティ比を有する連続的なパルスに変化している。これによりロータ22の駆動力が低下し、検出回数は5回となり、駆動ランクは変化しない。期間eeになると、電源電圧が2.0Vに低下し、検出回数が7回になる。これにより、駆動ランクが2に戻る。図19に示されるように、電源電圧の変化に応じた駆動力の変化に応じて駆動ランクを変更することにより、必要以上の強さの駆動信号を用いることや、必要より弱い駆動信号に起因する補正駆動信号の出力を抑えることができ、消費電力を抑えることができる。
[0084]
 なお、図16の例では、dVtを超える電圧が検出される回数が5回以上7回以下の場合には駆動ランクが変化しないが、所定の数(たとえば200)の逆回転のステップで正常に逆回転できた場合に、ランク決定回路44が駆動ランクを1下げてもよい。ある駆動ランクにおいて安定的に回転している場合、その下の駆動ランクでも問題なく回転できる可能性が高いので、消費電力をさらに低減できる蓋然性が高い。また、仮にロータ22の駆動力が不足する場合でも補正パルスFPの出力や駆動ランクの増加により問題の発生は抑えられる。また電源電圧検出回路を用意しておき、ランク決定回路44が電池電圧に基づいて駆動ランクを切り替えてもよい。
[0085]
 なお、本発明の各実施形態で示した構成図、回路図、波形図等は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば、任意に変更することができる。

請求の範囲

[請求項1]
 2極以上着磁されたロータと、
 前記ロータへ磁力を伝達するステータと、前記ステータに向けて磁力を発生するコイルとを有するステップモータと、
 前記コイルへ測定駆動信号を出力する駆動回路と、
 前記測定駆動信号の出力の後に前記コイルに生じる逆起電流を検出し、前記検出された逆起電流に基づいて前記ロータの位相が所期の位相であるか判定する位相検出回路と、
 前記位相が所期の位相である場合に、前記ロータを1ステップ回転させる第1駆動信号を前記駆動回路が出力する第1の駆動方式により制御し、前記位相が前記所期の位相と異なる場合に前記第1の駆動方式と異なる第2の駆動方式により前記ロータの回転を制限するよう制御する制御部と、
 を含むステップモータ駆動装置。
[請求項2]
 請求項1に記載のステップモータ駆動装置において、
 前記制御部は、前記位相が所期の位相である場合に、前記ロータを1ステップ逆回転させる第1駆動信号を前記駆動回路が出力する第1の駆動方式により制御する、
 ステップモータ駆動装置。
[請求項3]
 請求項1または2に記載のステップモータ駆動装置において、
 前記第1の駆動方式において、第1の極性の磁力を前記コイルに発生させる第1部分信号と、前記第1部分信号のあとに前記第1の極性と反対である第2の極性の磁力を前記コイルに発生させる第2部分信号と、を含む第1駆動信号を前記駆動回路が出力する、
 ステップモータ駆動装置。
[請求項4]
 請求項1から3のいずれかに記載のステップモータ駆動装置において、
 前記第2の駆動方式において、前記第1の極性の磁力を前記コイルに発生させる第1部分信号と、前記第1部分信号のあとに前記第2の極性の磁力を前記コイルに発生させる第2部分信号と、前記第2部分信号のあとに前記第1の極性の磁力を前記コイルに発生させる第3部分信号と、を含む第2駆動信号を前記駆動回路が出力する、
 ステップモータ駆動装置。
[請求項5]
 請求項3に記載のステップモータ駆動装置において、
 前記第2の駆動方式において、前記駆動回路は駆動信号を出力しない、
 ステップモータ駆動装置。
[請求項6]
 請求項3から5のいずれかに記載のステップモータ駆動装置において、
 前記第1の駆動方式において、前記駆動回路は、前記第1部分信号を出力することなしに前記第2部分信号を出力する、
 ステップモータ駆動装置。
[請求項7]
 請求項3から6のいずれかに記載のステップモータ駆動装置において、
 前記制御部は、前記第1駆動信号の出力後に前記コイルに生じる逆起電流を検出し、前記検出された逆起電流に基づいて、前記ロータの回転力を判定し、前記判定された回転力に基づいて前記駆動回路が出力する前記第1駆動信号の強さを示すランクを変更するランク決定部をさらに含む、
 ステップモータ駆動装置。
[請求項8]
 請求項7に記載のステップモータ駆動装置において、
 前記ランクが所定のランクである場合に、前記駆動回路は、前記測定駆動信号として前記第1の極性の磁力を前記コイルに発生させる信号を出力し、前記第1駆動信号として、前記第2部分信号を出力し、
 前記ランクが前記所定のランクより強い信号に対応する場合に、前記駆動回路は、前記第1駆動信号として、前記第1部分信号と、前記第2部分信号とを出力する、
 ステップモータ駆動装置。
[請求項9]
 請求項7または8に記載のステップモータ駆動装置において、
 前記ランク決定部は、前記第1駆動信号が出力されたのちに、閾値を超える信号が検出される期間が所定の期間より短いか否かに基づいて、前記ランクを変更し、
 前記ランク決定部は、前記第1駆動信号が出力されてから前記閾値を超える逆起電流が検出されるまでの間に当該逆起電流と異なる極性の逆起電流が検出された場合に、前記ランクをより弱い信号に対応するランクに変更する、
 ステップモータ駆動装置。
[請求項10]
 請求項7から9のいずれかに記載のステップモータ駆動装置において、
 前記ランク決定回路は、前記第1駆動信号の出力後に前記コイルに生じる逆起電流を検出し、前記検出された逆起電流に基づいて、前記ロータが所定の回転をしたか否かを判定し、
 前記駆動回路は、前記ロータが所定の回転をしなかったと判定された場合に、前記第1駆動信号より前記ロータを強く回転させる補正駆動信号を出力する、
 ステップモータ駆動装置。
[請求項11]
 請求項1から10のいずれかに記載のステップモータ駆動装置において、
 前記駆動回路は、前記測定駆動信号の後に、複数の断続的な第1の部分パルスを含む位相検出パルスにより、逆起電流を検出する回路と前記コイルとを接続し、前記前記第1駆動信号が出力された後に、複数の断続的な第2の部分パルスを含む回転検出信号により、逆起電流を検出する回路と前記コイルとを接続し、
 前記第1の部分パルスの出力間隔は前記第2の部分パルスより小さい、または、前記第1の部分パルスのそれぞれの印加期間は前記第2の部分パルスより大きい、
 ステップモータ駆動装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]