処理中

しばらくお待ちください...

設定

設定

1. WO2020008547 - 疲労抑制方法及び乗員支援装置

Document

明 細 書

発明の名称 疲労抑制方法及び乗員支援装置

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006  

発明の効果

0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114  

符号の説明

0115  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 疲労抑制方法及び乗員支援装置

技術分野

[0001]
 本発明は、疲労抑制方法及び乗員支援装置に関する。

背景技術

[0002]
 特許文献1には、可聴音と超高周波音を組み合わせたハイパーソニックサウンドを人間に印加して、人間の脳幹・視床・視床下部を含む基幹脳及び基幹脳ネットワーク系を活性化して脳活性化効果を導くための振動体が提案されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2013-9961号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 しかしながら、特許文献1に記載の技術は、ハイパーソニックサウンドを人間に印加し続けるものであるため、車両の乗員に対して使用する際に脳活性化効果が十分に得られない場合が生じうるという問題があった。
[0005]
 本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両の乗員が疲労し易い状況において、脳活性化効果を十分に得ることが可能な疲労抑制方法及び乗員支援装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0006]
 上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る疲労抑制方法及び乗員支援装置によれば、車両および車両の周囲状況に関する車両情報に基づき、車両の乗員が疲労し易い状態であるか否かを判定し、乗員が疲労し易い状態であると判定された場合に、疲労抑制部を稼働させ、乗員の脳幹の活性化により乗員の疲労を抑制する。

発明の効果

[0007]
 本発明によれば、車両運転中に、乗員が疲労し易い状況が継続する場合であっても、脳活性化効果を十分に得ることができる。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 図1は、本発明の一実施形態に係る乗員支援装置の構成を示すブロック図である。
[図2] 図2は、本発明の一実施形態に係る乗員支援装置による疲労抑制処理の手順を示すフローチャートである。
[図3] 図3は、ハイパーソニックサウンド法による疲労抑制の検証結果を示すグラフ図である。

発明を実施するための形態

[0009]
 次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。説明において、同一のものには同一符号を付して重複説明を省略する。
[0010]
 [乗員支援装置の構成]
 図1は、本実施形態に係る乗員支援装置の構成を示すブロック図である。図2は、本実施形態に係る乗員支援装置による疲労抑制処理の手順を示すフローチャートである。
[0011]
 図1に示すように、乗員支援装置1は、処理部100(コントローラ)と、疲労抑制部50とを、備えている。乗員支援装置1は、図示しない車両に搭載され、処理部100は、当該車両に搭載された車載センサ90、及び、疲労抑制部50と通信可能なように接続される。
[0012]
 車載センサ90は、車両に搭載された、レーザレーダやミリ波レーダ、カメラなど、車両の周囲に存在する物体を検出する物体検出センサなどからなる。車載センサ90は、複数の異なる種類の物体検出センサを備えるものであってもよい。
[0013]
 車載センサ90は、車両の周囲の環境を検出する。例えば、車載センサ90は、他車両、バイク、自転車、歩行者を含む移動物体、及び停止車両を含む静止物体を検出し、移動物体及び静止物体の車両に対する位置、姿勢、大きさ、速度、加速度、減速度、ヨーレートなどを検出するものであってもよい。車載センサ90は、検出結果として、例えば車両の上方の空中から眺めた天頂図(平面図ともいう)における、2次元の物体の挙動を出力するものであってもよい。また、車載センサ90は、車両の周囲に存在する標識(道路標識や路面表示された標識)やガイドレール等を検出するものであってもよい。その他にも、車載センサ90は、車両が備える車輪の回転速度や回転速度差を検出して、車両が走行している車線の路面の滑りやすさを検出するものであってもよい。
[0014]
 また、車載センサ90は、車両の周囲の環境の他にも、車両の状態を検出する。例えば、車載センサ90は、車両の移動速度(前後方向、左右方向の移動速度、旋回速度)や、車両が備える車輪の転舵角、転舵角の変化速度を検出するものであってもよい。
[0015]
 処理部100は、車載センサ90による検出結果に基づいて、疲労抑制部50を制御する。
[0016]
 処理部100(制御部またはコントローラの一例)は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。処理部100には、乗員支援装置の一部として機能させるためのコンピュータプログラム(乗員支援プログラム)がインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、処理部100は、乗員支援装置が備える複数の情報処理回路(10、20、30)として機能する。
[0017]
 なお、ここでは、ソフトウェアによって運転支援装置が備える複数の情報処理回路(10、20、30)を実現する例を示す。ただし、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路(10、20、30)を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路(10、20、30)を個別のハードウェアにより構成してもよい。更に、情報処理回路(10、20、30)は、車両にかかわる他の制御に用いる電子制御ユニット(ECU)と兼用してもよい。
[0018]
 処理部100は、複数の情報処理回路(10、20、30)として、取得部10と、負荷評価部20と、環境判定部30とを備える。
[0019]
 取得部10は、車載センサ90によって検出された車両情報(車両の周囲の環境に関する情報、及び、車両の状態に関する情報)のうち、乗員の身体的負荷の評価に必要な車両情報を抽出、又は、保存し、乗員の身体的負荷の評価に必要な車両情報を負荷評価部20に送信する。
[0020]
 乗員の身体的負荷の評価に必要な情報として、例えば、車両の移動速度(前後方向、左右方向の移動速度、旋回速度)、車両の前方もしくは側方の物体の移動速度、車両が走行している車線の車線幅、車両の側方の物体との間の距離、車両の外部の明度、車両が走行している車線の路面の滑りやすさ、車両の前後方向の加速度、上下方向の加速度、左右方向の加速度、車両が備える車輪の転舵角の変化速度、などが挙げられる。
[0021]
 なお、取得部10が負荷評価部20に送信する車両情報は、上記に示した情報の一部であってもよいし、乗員の身体的負荷の評価に用いるものであれば、上記に示した情報に限定されない。
[0022]
 また、取得部10が負荷評価部20に送信する車両情報は、車載センサ90によって取得した車両情報に限定されない。例えば、乗員支援装置1は、道路情報として道路に対応した車線幅を少なくとも記憶する記憶部を更に有するものであってもよく、取得部10は、当該記憶部に記憶された道路情報に基づいて取得した、車両が走行している車線の車線幅を、負荷評価部20に送信するものであってもよい。
[0023]
 より具体的には、取得部10は、車両情報に含まれる車両の位置情報に基づいて、車両が走行している道路を特定し、記憶部を参照して、特定した道路に対応する道路情報を読み出すものであってもよい。道路情報を読み出すことにより、取得部10は、特定した道路における、車両が走行している車線の車線幅を取得することができる。
[0024]
 負荷評価部20は、取得部10から送信された車両情報に基づき、乗員の身体的負荷を評価する。例えば、取得部10から送信された車両情報に基づいて、乗員の身体的負荷の大きさの尺度となる評価値を算出する。評価値の算出方法は、1種類の方法を使用するものであってもよいし、複数種類の方法を使用して、異なる種類の、複数の評価値を算出するものであってもよい。乗員の身体的負荷の大きさの尺度となる評価値の算出方法については後述する。
[0025]
 環境判定部30は、取得部10から送信された車両情報、あるいは、負荷評価部20によって算出された乗員の身体的負荷の大きさに基づいて、乗員が疲労し易い状態であるか否かを判定する。より具体的には、負荷評価部20にて評価した身体的負荷が所定負荷以上である場合(あるいは算出した評価値が所定の閾値以上である場合)に、乗員が疲労し易い状態であると判定する。
[0026]
 なお、環境判定部30は、負荷評価部20にて評価した身体的負荷が所定負荷以上である場合(あるいは算出した評価値が所定の閾値以上である場合)が、所定時間以上継続する場合に、乗員が疲労し易い状態であると判定するものであってもよい。
[0027]
 ここで、判定に使用する所定時間は、乗員からの指示に基づいて決定されるものであってもよいし、乗員が運転する場合における手動運転の特性といった、乗員の個人差に合わせて決定されるものであってもよい。
[0028]
 さらに、負荷評価部20にて複数の評価値が算出される場合、環境判定部30は、複数の評価値のうちの一部または全部が所定の閾値を超えたことをもって、乗員が疲労し易い状態であると判定するものであってもよい。
[0029]
 または、複数の評価値を重みづけ平均して得られる平均評価値が所定の閾値を超えたことをもって、乗員が疲労し易い状態であると判定するものであってもよい。ここで、複数の評価値のうちの各評価値に対する重みづけは、乗員の身体的負荷と各評価値との間の相関関係の度合いに基づいて決定される。このように、複数の評価値を重みづけ平均して得られる平均評価値を用いることにより、乗員が疲労し易い状態であるか否かの判定をより正確に行うことができる。
[0030]
 疲労抑制部50は、処理部100からの指令に基づき、乗員の脳幹の活性化を引き起こす非侵襲的な方法を実行し、脳幹の活性化を介して乗員の疲労を抑制する。
[0031]
 疲労抑制部50によって行う、乗員の脳幹の活性化をもたらす非侵襲的な方法としては、例えば、経頭蓋磁気刺激法(TMS)、経頭蓋直流電気刺激法(tDCS)、経頭蓋的集束超音波法(tFUS)、ハイパーソニックサウンド法などによる方法が挙げられる。疲労抑制部50は、これらの方法のうち少なくとも一つを用いて、乗員の脳幹の活性化を実現する。疲労抑制部50は、これらの方法を組み合わせて、乗員の脳幹の活性化を実現するものであってもよい。
[0032]
 ここで、経頭蓋磁気刺激法(TMS)とは、電磁石によって生み出される急激な磁場の変化によって脳の組織内に誘起される電流によって脳を刺激する方法である。経頭蓋直流電気刺激法(tDCS)とは、乗員の頭部、または脊髄神経に対して極めて微弱な直流電気を流して脳を刺激する方法である。経頭蓋的集束超音波法(tFUS)とは、脳内で収束する超音波を利用して、音圧によって脳を刺激する方法である。
[0033]
 また、ハイパーソニックサウンド法とは、人間の可聴音域よりも高い周波数の超音波(ハイパーソニックサウンド)を乗員に対して出力し、乗員の脳幹の活性化を実現する方法である。ハイパーソニックサウンド法によって出力されるハイパーソニックサウンドの好ましい周波数帯域は、少なくとも32kHz以上の周波数帯域であり、好ましくは48kHz以上の周波数帯域である。さらに、より好ましくは80kHz以上かつ88kHz以下の周波数帯域である。
[0034]
 ハイパーソニックサウンド法は、人間の可聴音域よりも高い周波数の超音波を出力可能なスピーカーなど、乗員に対して非接触な装置によって実現可能である点で、経頭蓋磁気刺激法(TMS)、経頭蓋直流電気刺激法(tDCS)、経頭蓋的集束超音波法(tFUS)などと比較して優れている。また、ハイパーソニックサウンド法は、電場や磁場ではなく音波を利用するため、車載の周辺機器への影響が抑えられる点で優れている。
[0035]
 ハイパーソニックサウンド法によって脳幹の活性化が実現される原理には不明な点も多いが、都市の環境音に上述した周波数帯域にある超音波の成分がほとんど含まれないのに対し、熱帯雨林などの自然環境音には当該超音波の成分が多く含まれることから、ハイパーソニックサウンド法によって作り出される超音波によって自然環境音に近い状態が作り出され、その結果、都市生活で人間が受けているストレスが軽減されるといった形で、脳の活動状態に影響を及ぼしている可能性がある。実際、ハイパーソニックサウンド法による超音波を含む音を浴びた人間の脳内で血流量が増加するなどして、リラックス状態を示すとされるα波が脳波に現れるという効果が生じる。
[0036]
 以下、本実施形態では、疲労抑制部50は、ハイパーソニックサウンド法を実行するものとして説明する。
[0037]
 図1に示すように、本実施形態において疲労抑制部50は、人間の可聴音域よりも高い周波数の第1音波を発生可能な第1音波出力部51を備えている。また、疲労抑制部50は、第1音波よりも低い周波数の第2音波を乗員に対して出力する第2音波出力部53を備えるものであってもよい。
[0038]
 なお、乗員支援装置1とは別途設けられる車載のスピーカーがハイパーソニックサウンド法で出力される超音波を出力可能なものであれば、当該スピーカーを第1音波出力部51として使用するものであってもよい。
[0039]
 上述した第1音波出力部51から出力される第1音波、及び、第2音波出力部53から出力される第2音波は、それぞれ一つの周波数成分に限定されるものではなく、複数の周波数成分を含むものであってもよいし、さらには、第1音波及び第2音波の周波数成分のパターンが、時間変動するものであってもよい。
[0040]
 [負荷評価の方法]
 次に、負荷評価部20において実行する、乗員の身体的負荷の大きさの尺度となる評価値(以下、評価値)の算出方法については説明する。なお、負荷評価部20は、以下で例示されるような算出方法を、少なくとも一つを実行する。また、負荷評価部20は、複数の算出方法を実行するものであってもよい。
[0041]
 (第1算出方法)
 「第1算出方法」として、負荷評価部20は、車両の移動速度(前後方向、左右方向の移動速度、旋回速度)が大きいほど評価値を大きく算出する(すなわち、乗員の身体的負荷が大きいと評価する)。このように算出する理由は、車両の移動速度が大きいほど、乗員の視覚に入力される情報が増えることを考慮したからである。その結果、乗員は疲れやすくなることから、車両の移動速度が大きい状況は、乗員の身体的負荷が大きい状況であると考えられるためである。
[0042]
 具体的には、パラメータxについての単調増加関数f1(x)を用意し、車両の移動速度の「大きさ」をパラメータxに代入した際の単調増加関数f1(x)の値を評価値として採用する。
[0043]
 また、車両の移動速度が0以上の場合と、移動速度が負の場合とで、異なる単調増加関数f1(x)を用いて評価値を算出するものであってもよい。これは、移動速度が車両の前後方向の移動速度である場合に、車両を前進させる状況と、後進させる状況とでは、乗員が感じる身体的負荷の度合いも異なると考えられるからである。
[0044]
 さらに、単調増加関数f1(x)としては、種々の関数形を採用することが可能である。なお、単調増加関数f1(x)は、パラメータxに応じて乗員が感じる身体的負荷の大きさを示すものであるため、パラメータxが大きくなればなるほど、パラメータxの単位増加量あたりの単調増加関数f1(x)の増加量は、小さくなると考えられる。これは、身体的ストレスについての限界効用逓減の性質を表すものである。
[0045]
 したがって、単調増加関数であって、パラメータxについての2回微分が負の値になるような関数(例えば対数関数)を、単調増加関数f1(x)として採用してもよい。
[0046]
 (第2算出方法)
 「第2算出方法」として、負荷評価部20は、車両の前方もしくは側方の物体の移動速度が大きいほど、評価値を大きく算出する(すなわち、乗員の身体的負荷が大きいと評価する)。このように算出する理由は、車両の前方もしくは側方の物体の移動速度が大きいほど、乗員の視覚に入力される情報が増えることを考慮したからである。その結果、乗員は疲れやすくなることから、車両の前方もしくは側方の物体の移動速度が大きい状況は、乗員の身体的負荷が大きい状況であると考えられるためである。
[0047]
 具体的には、「第1算出方法」で説明した単調増加関数f1(x)と同様に、単調増加関数f2(x)を用意し、車両の前方もしくは側方の物体の移動速度の「大きさ」をパラメータxに代入した際の単調増加関数f2(x)の値を評価値として採用する。
[0048]
 ここで、車両の前方もしくは側方の物体の移動速度を取得するため、車載センサ90は撮像部を含む場合に、取得部10は、撮像部によって撮像した画像から、車両の前方もしくは側方の物体の移動速度を取得するものであってもよい。撮像した画像から得られた、車両の前方もしくは側方の物体の移動速度は、取得部10から負荷評価部20に送信され、評価値の算出に用いられるものであってもよい。
[0049]
 また、車両の前方もしくは側方の物体の移動速度が0以上の場合と、負の場合とで、異なる単調増加関数f2(x)を用いて評価値を算出するものであってもよいし、さらには、単調増加関数f2(x)としては、種々の関数形を採用することが可能である。
[0050]
 (第3算出方法)
 「第3算出方法」として、負荷評価部20は、車両が走行している車線の車線幅が狭いほど、評価値を大きく算出する(すなわち、乗員の身体的負荷が大きいと評価する)。このように算出する理由は、車両が走行している車線の車線幅が狭いほど、乗員が単位時間当たりの処理すべき視覚情報が増加することを考慮したからである。特に、乗員が運転を行う場合には、乗員は隣接車線に対する警戒をする必要があるため、処理すべき視覚情報が増加する。その結果、乗員は疲れやすくなることから、車両が走行している車線の車線幅が狭い状況は、乗員の身体的負荷が大きい状況であると考えられるためである。
[0051]
 具体的には、パラメータxについての単調減少関数g1(x)を用意し、車線の車線幅をパラメータxに代入した際の単調減少関数g1(x)の値を評価値として採用する。
[0052]
 単調減少関数g1(x)としては、種々の関数形を採用することが可能である。車線幅が大きいほど、隣接車線を走行する車両との接触の可能性は低くなるため、乗員は比較的安心して過ごすことができることから、乗員の身体的負荷も小さくなる。
[0053]
 もっとも、車線幅が十分な大きさ以上になれば、乗員が感じる身体的負荷はそれほど変化しないものと考えられる。したがって、単調減少関数であって、パラメータxの値が所定の値以上である場合に、一定の値に収束するような関数(例えば、パラメータxに反比例する関数)を、単調減少関数g1(x)として採用してもよい。
[0054]
 なお、取得部10において、車両情報に基づいて車両が走行している車線の車線幅を評価するものであってもよい。評価された車線の車線幅は、取得部10から負荷評価部20に送信され、評価値の算出に用いられるものであってもよい。
[0055]
 車両が走行している車線の車線幅を評価には、種々の方法が考えられる。例えば、取得部10は、車両情報に含まれる車両の位置情報に基づいて、車両が走行している道路を特定し、道路情報として道路に対応した車線幅を少なくとも記憶する記憶部(図示なし)を参照して、特定した道路に対応する道路情報を読み出すものであってもよい。道路情報を読み出すことにより、取得部10は、特定した道路における、車両が走行している車線の車線幅を取得することができる。
[0056]
 また、取得部10は、車載センサ90によって検出された、車両と車両の側方の物体との間の距離に基づき、当該距離が小さいほど、車線幅が小さいと評価するものであってもよい。
[0057]
 (第4算出方法)
 「第4算出方法」として、負荷評価部20は、車両の外部の明度が低いほど、評価値を大きく算出する(すなわち、乗員の身体的負荷が大きいと評価する)。このように算出する理由は、夜間など、車両の外部が暗い場合には、乗員の視覚に入力される情報量が減るため、車両を運転する乗員にとっては、より多くの視覚情報を得ようと注視するようになる傾向があることを考慮したからである。
[0058]
 具体的には、「第3算出方法」で説明した単調減少関数g1(x)と同様に、単調減少関数g2(x)を用意し、車両の外部の明度をパラメータxに代入した際の単調減少関数g2(x)の値を評価値として採用する。単調減少関数g2(x)としては、種々の関数形を採用することが可能である。
[0059]
 (第5算出方法)
 「第5算出方法」として、負荷評価部20は、車両が走行している車線の路面の滑りやすさに基づいて、路面が滑りやすいほど、評価値を大きく算出する(すなわち、乗員の身体的負荷が大きいと評価する)。このように算出する理由は、路面が滑りやすいほど、乗員は車両の滑りに合わせて体勢を維持しようとし、三半規管などで体感する加速度や、平衡感覚、視覚情報をより多く取得しようとする傾向があることを考慮したからである。さらには、車両を運転する乗員にとっては、滑りやすい路面を走行する際には、安定した運転制御を保つために、三半規管などで体感する体感する加速度や、平衡感覚、視覚情報をより多く取得しようとする傾向があることを考慮したからである。
[0060]
 具体的には、「第1算出方法」で説明した単調増加関数f1(x)と同様に、単調増加関数f3(x)を用意し、車両が走行している車線の路面の滑りやすさを示す指標値をパラメータxに代入した際の単調増加関数f3(x)の値を評価値として採用する。
[0061]
 路面の滑りやすさを示す指標値としては、例えば、車両が備える車輪の、車輪間での回転速度差や、車両外部の静止物体(信号機、交通標識など)との相対速度として得られる実際の車両の車速と車輪速度の間の速度差、などを用いることができる。その他、路面の状態(濡れた路面か否か、雪道であるか否か)などを数値化して得られる指標値を用いるものであってもよい。
[0062]
 (第6算出方法)
 「第6算出方法」として、負荷評価部20は、車両の前後方向、上下方向、左右方向の少なくとも一つの加速度に基づいて、当該加速度が大きいほど、評価値を大きく算出する(すなわち、乗員の身体的負荷が大きいと評価する)。このように算出する理由は、悪路や曲がりくねった道路を走行する場合には、三半規管などで体感する加速度と車両の動きとの間で偏差などが生じやすく、乗員は車酔いしやすいことを考慮したからである。
[0063]
 具体的には、「第1算出方法」で説明した単調増加関数f1(x)と同様に、単調増加関数f4(x)を用意し、車両の前後方向、上下方向、左右方向の少なくとも一つの加速度の大きさをパラメータxに代入した際の単調増加関数f4(x)の値を評価値として採用する。
[0064]
 また、加速度の大きさをパラメータxに代入する代わりに、加速度の変化率の大きさをパラメータxに代入した際の単調増加関数f4(x)の値を評価値として採用してもよい。加速度の変化が大きいほど、乗員に作用する力が大きく変動していることを意味し、乗員の身体的負荷はそれだけ大きいと考えられるからである。
[0065]
 (第7算出方法)
 「第7算出方法」として、負荷評価部20は、車両が備える車輪の転舵角の変化速度が大きいほど、評価値を大きく算出する(すなわち、乗員の身体的負荷が大きいと評価する)。このように算出する理由は、悪路や曲がりくねった道路を走行する場合などで車両が備える車輪の転舵角の変化速度が大きい場合には、三半規管などで体感する加速度と車両の動きとの間で偏差などが生じやすく、乗員は車酔いしやすいことを考慮したからである。
[0066]
 「第6算出方法」の場合と同様に、単調増加関数f5(x)を用意し、車両が備える車輪の転舵角の変化速度の大きさをパラメータxに代入した際の単調増加関数f5(x)の値を評価値として採用する。
[0067]
 [乗員支援装置の処理手順]
 次に、本実施形態に係る乗員支援装置1による疲労抑制処理の手順を、図2のフローチャートを参照して説明する。
[0068]
 図2に示す処理は、車両のイグニッションがオンされると開始され、イグニッションがオンとなっている間、繰り返し実行される。又は、図示しない切り替えスイッチ等により、乗員から疲労抑制処理の実行が指定されると開始され、疲労抑制処理の実行が指定されている間、繰り返し実行される。
[0069]
 まず、ステップS101において、取得部10は、車載センサ90によって検出された車両情報を取得する。取得部10は、車両情報を負荷評価部20に送信する。
[0070]
 ステップS103において、負荷評価部20は、取得部10から送信された車両情報に基づき、乗員の身体的負荷を評価する。具体的には、乗員の身体的負荷の大きさの尺度となる評価値を算出する。
[0071]
 ステップS105において、環境判定部30は、取得部10から送信された車両情報、あるいは、負荷評価部20によって算出された乗員の身体的負荷の大きさに基づいて、乗員が疲労し易い状態であるか否かを判定する。より具体的には、負荷評価部20にて評価した身体的負荷が所定負荷以上である場合(あるいは算出した評価値が所定の閾値以上である場合)に、乗員が疲労し易い状態であると判定する。
[0072]
 ステップS107において、環境判定部30は、疲労し易い状態が所定時間以上継続しているか否かを判定する。
[0073]
 具体的には、環境判定部30は、内蔵されたタイマー等により、ステップS105にて疲労し易い状態ではないと判定された後、最初に疲労し易い状態であると判定されたタイミングからの時間を計測し、計測した時間が、所定時間以上であるか否かを判定する。
[0074]
 そして、疲労し易い状態が所定時間以上継続していると判定された場合(ステップS107でYESの場合)、ステップS109に進み、処理部100は、疲労抑制部50を起動させる。一方、疲労し易い状態が所定時間以上継続していると判定されない場合(ステップS107でNOの場合)、ステップS113に進み、処理部100は、疲労抑制部50を停止させる。
[0075]
 なお、ステップS107は省略されてもよい。ステップS107を省略する場合、ステップS105にて疲労し易い状態と判定された場合にステップS109に進み、それ以外の場合には、ステップS113に進む。
[0076]
 ステップS109、又は、ステップS113の処理を実行した後、図2のフローチャートは終了する。
[0077]
 [ハイパーソニックサウンドによる疲労抑制]
 次に、疲労抑制部50によって実行されるハイパーソニックサウンド法の効果について説明する。
[0078]
 ハイパーソニックサウンド法による疲労抑制の効果を検証するため、発明者らは、車両の乗員が置かれる環境を模すため、スピーカーによって発生させた車両音(車両走行時のロードノイズ)が存在する状況下の被験者に対し、二重タスク試験を行った。二重タスク試験として、被験者は、モニタ画面の中央に表示される数字を暗算で加算し続けていくというタスク(暗算タスク)を行いながら、同時に、モニタ画面の隅に配置したランプが点灯したらボタンを押すというタスク(点灯反応タスク)を行った。
[0079]
 発明者らは、スピーカーから車両音と超高周波音(超音波)を含まない可聴音であるダミーのハイパーソニックサウンドとを出力するパターンと、車両音と超高周波を含む音(超音波)であるハイパーソニックサウンド(ダミーのハイパーソニックサウンドにおける可聴音と超高周波音とで形成された音)とを出力するパターンの、2つのパターンにおいて、ランプが点灯してから被験者がボタンを押すまでのレスポンス時間を計測した。
[0080]
 なお、上記の二重タスクは、例えば、乗員が運転して車両の前方を注視しつつ、周辺視野で、車両の側方を注意したり、車両の走行に合わせて体勢を維持したりする状況に相当する。もしくは、車室内にいる乗員が、読書やインターネットをしている状況で、車両の走行に合わせて体勢を維持するような状況に相当する。
[0081]
 走行中の車両にいる乗員の疲労は、運転への集中以外にも、車両の運動に合わせて身体の平衡感覚を保とうとする脳幹の無意識的な働きによっても生じる。このように、乗員の疲労は、筋肉の疲労というよりも、むしろ脳の疲労というべきものである。
[0082]
 脳が疲労する結果、刺激に対する反応が遅れることが予想されるため、上記のような二重タスクにおいて、ハイパーソニックサウンドを出力する場合にレスポンス時間が短縮されることが確認できれば、疲労抑制の効果が生じていると結論できる。
[0083]
 発明者らは、複数の被験者(12人)に対して、以下の条件での試験を行い、レスポンス時間を測定した。
[0084]
 各被験者に対して、脳神経反応に影響する被験者の疲労、睡眠、服薬、カフェイン取得状況等を確認するためのバックグラウンド・アンケートを行い、その後、所定の練習時間を与えて、暗算タスク及び点灯反応タスクに慣れてもらった。以上の準備が終わった後に、各被験者には上記の二重タスク(計9セット)を行ってもらった。なお、被験者間での差が生じないよう、アンケート、練習時間、二重タスクの実施条件には差が生じないよう注意した。
[0085]
 なお、二重タスク実施中の、ハイパーソニックサウンドの出力のタイミングに関しては、音を受容してから疲労抑制効果が得られるまで数分を要するため、二重タスクのセット開始の1分前から再生することとした。各被験者が行う複数セットの二重タスクのうち、いずれのセットでハイパーソニックサウンドを出力するかはランダムに設定した。そして、プラセボ効果を回避するため、どのセットでハイパーソニックサウンドが出力されるのかは被験者に伝えないこととした(単盲験法)。
[0086]
 図3は、ハイパーソニックサウンド法による疲労抑制の検証結果を示すグラフ図であり、二重タスク試験において得られたレスポンス時間について、複数の被験者の測定結果の平均をとったものである。
[0087]
 図3に示されるように、スピーカーから車両音とダミーのハイパーソニックサウンドとを出力するパターンでは、被験者のレスポンス時間はおおよそ750msec程度であった。一方、スピーカーから車両音とハイパーソニックサウンドの両方を出力するパターンでは、被験者のレスポンス時間はおおよそ740msec程度であった。したがって、ハイパーソニックサウンドの出力によって、10数msec程度、レスポンス時間が短縮されることが確認された。
[0088]
 [ハイパーソニックサウンドによる疲労抑制と出力時間の関係]
 上述の二重タスク試験の結果が示すように、ハイパーソニックサウンドの出力は乗員の疲労抑制の効果を生じさせる。しかしながら、乗員に対してハイパーソニックサウンドを常に出力し続けた場合、疲労抑制の効果は弱まる傾向がある。
[0089]
 この原因は不明であるが、ハイパーソニックサウンドを浴びた乗員の脳内での神経活動が活発化する結果、神経活動によって神経伝達物質が消費される量が増加し、長時間経過後には、神経伝達物質の細胞内での供給が、追いつかなくなってしまうことに一因がある可能性がある。
[0090]
 そのため、本発明の発明者らは、乗員に対してハイパーソニックサウンドを常に出力し続けるよりも、乗員が疲れ易い状況になったときにのみ、ハイパーソニックサウンドを出力することが有効であるという知見を得た。そこで、本実施形態の乗員支援装置1のように、車両情報に基づき、乗員が疲労し易い状態であるか否かを判定し、乗員が疲労し易い状態であると判定された場合に、疲労抑制部50を稼働させる制御を行うことにしたのである。
[0091]
 [実施形態の効果]
 以上詳細に説明したように、本実施形態に係る疲労抑制方法及び乗員支援装置によれば、車両および車両の周囲状況に関する車両情報を取得し、車両情報に基づき、乗員が疲労し易い状態であるか否かを判定し、乗員が疲労し易い状態であると判定された場合に、車両に搭載され、車両の乗員の脳幹の活性化により乗員の疲労を抑制する疲労抑制部を稼働させる。
[0092]
 これにより、乗員の疲れを抑制する必要があるタイミングにおいて、疲労抑制部を稼働させて乗員の脳幹を活性化するので、神経伝達物質の不足などに起因した疲労抑制効果の低下を防ぐことができる。さらには、乗員の疲れを抑制する必要がないタイミングでは、疲労抑制部を稼働させる必要がないため、不必要なタイミングでの乗員の脳幹の活性化が抑止され、代わりに、疲れ易い状況において、乗員はスムーズに外界の変化に対応できるようになる。結果として、乗員が車両に乗っている期間全体でみたときの、疲労抑制効果の低下を防止できる。
[0093]
 また、本実施形態に係る疲労抑制方法及び乗員支援装置によれば、所定時間以上継続して乗員が疲労し易い状態であると判定された場合に、疲労抑制部を稼働させるものであってもよい。疲労し易い状態が瞬間的であるような、所定時間未満しか継続しない場合には、そもそも、乗員の脳内での神経伝達物質の不足は発生しないと考えられる。そのため、疲労し易い状態が所定時間継続した場合に、疲労抑制部を稼働させることで、疲労抑制部の不必要な稼働を抑制することができる。その結果、疲労抑制効果の低下を防止できる。
[0094]
 さらに、本実施形態に係る疲労抑制方法及び乗員支援装置によれば、乗員の身体的負荷を評価し、身体的負荷が所定負荷以上である場合に、乗員が疲労し易い状態であると判定するものであってもよい。疲労抑制部を稼働させるための条件として、乗員の身体的負荷の大きさに着目し、身体的負荷を評価することで、疲労抑制部を稼働させるタイミングを正確に決定することができるため、疲労抑制部の不必要な稼働を抑制することができる。その結果、疲労抑制効果の低下を防止できる。
[0095]
 また、本実施形態に係る疲労抑制方法及び乗員支援装置によれば、車両の移動速度が大きいほど、身体的負荷が大きいと評価するものであってもよい。車両の移動速度が大きいほど、乗員の視覚に入力される情報が増え、乗員は疲れやすくなると考えられるため、車両の移動速度に基づいて身体的負荷を評価することにより、疲労抑制部を稼働させるタイミングを正確に決定することができる。
[0096]
 さらに、本実施形態に係る疲労抑制方法及び乗員支援装置によれば、車両の前方もしくは側方を撮像する撮像部によって撮像した画像から、車両の前方もしくは側方の物体の移動速度を取得し、車両の前方もしくは側方の物体の移動速度が大きいほど、身体的負荷が大きいと評価するものであってもよい。車両の前方もしくは側方の物体の移動速度が大きいほど、乗員の視覚に入力される情報が増え、乗員は疲れやすくなると考えられるため、物体の移動速度に基づいて身体的負荷を評価することにより、疲労抑制部を稼働させるタイミングを正確に決定することができる。
[0097]
 また、本実施形態に係る疲労抑制方法及び乗員支援装置によれば、車両情報に基づいて、車両が走行している車線の車線幅を評価し、評価した車線幅が狭いほど、身体的負荷が大きいと評価するものであってもよい。車両が走行している車線の車線幅が狭いほど、乗員が単位時間当たりの処理すべき視覚情報が増加し、乗員は疲れやすくなると考えられるため、車線幅に基づいて身体的負荷を評価することにより、疲労抑制部を稼働させるタイミングを正確に決定することができる。
[0098]
 さらに、本実施形態に係る疲労抑制方法及び乗員支援装置によれば、車両情報に含まれる車両の位置情報に基づいて、車両が走行している道路を特定し、道路情報として道路に対応した車線幅を少なくとも記憶する記憶部を参照して、特定した道路に対応する道路情報を読み出すことで、車両が走行している車線の車線幅を取得するものであってもよい。道路情報に基づいて車線幅を取得するため、正確な車線幅に基づいて身体的負荷を評価することができる。そして、疲労抑制部を稼働させるタイミングを正確に決定することができる。
[0099]
 また、本実施形態に係る疲労抑制方法及び乗員支援装置によれば、車両と車両の側方の物体との間の距離を検出し、検出した距離が小さいほど、車線幅が小さいと評価するものであってもよい。乗員は車両の側方の物体との距離を知覚して、当該距離が小さいほど乗員は緊張を増すため、乗員は車両の側方の物体との距離に基づくことにより、正確に乗員の身体的負荷を評価することができる、そして、疲労抑制部を稼働させるタイミングを正確に決定することができる。
[0100]
 さらに、本実施形態に係る疲労抑制方法及び乗員支援装置によれば、車両の外部の明度を検出し、検出した明度が低いほど、身体的負荷が大きいと評価することものであってもよい。車両の外部の明度が低いほど、乗員の視覚に入力される情報量が減るため、車両を運転する乗員にとっては、より多くの視覚情報を得ようと注視するようになる傾向があり、乗員は疲れやすくなると考えられる。
[0101]
 したがって、車両の外部の明度に基づいて身体的負荷を評価することにより、疲労抑制部を稼働させるタイミングを正確に決定することができる。
[0102]
 また、本実施形態に係る疲労抑制方法及び乗員支援装置によれば、車両が走行している車線の路面の滑りやすさを検出し、路面が滑りやすいほど、身体的負荷が大きいと評価するものであってもよい。路面が滑りやすいほど、乗員は車両の滑りに合わせて体勢を維持しようとし、三半規管などで体感する加速度や、平衡感覚、視覚情報をより多く取得しようとする傾向があり、乗員は疲れやすくなると考えられる。
[0103]
 さらには、車両を運転する乗員にとっては、滑りやすい路面を走行する際には、安定した運転制御を保つために、三半規管などで体感する体感する加速度や、平衡感覚、視覚情報をより多く取得しようとする傾向があり、同様に、乗員は疲れやすくなると考えられる。
[0104]
 したがって、車両が走行している車線の路面の滑りやすさに基づいて身体的負荷を評価することにより、疲労抑制部を稼働させるタイミングを正確に決定することができる。
[0105]
 さらに、本実施形態に係る疲労抑制方法及び乗員支援装置によれば、車両の前後方向、上下方向、左右方向の少なくとも一つの加速度を検出し、検出した加速度が大きいほど、身体的負荷が大きいと評価するものであってもよい。悪路や曲がりくねった道路を走行する場合には、三半規管などで体感する加速度と車両の動きとの間で偏差などが生じやすく、乗員は車酔いしやすい。そのため、乗員は疲れやすくなると考えられる。
[0106]
 したがって、車両の前後方向、上下方向、左右方向の少なくとも一つの加速度に基づいて身体的負荷を評価することにより、疲労抑制部を稼働させるタイミングを正確に決定することができる。
[0107]
 また、本実施形態に係る疲労抑制方法及び乗員支援装置によれば、車両が備える車輪の転舵角の変化速度を検出し、検出した変化速度が大きいほど、身体的負荷が大きいと評価するものであってもよい。車両が備える車輪の転舵角の変化速度が大きい場合には、三半規管などで体感する加速度と車両の動きとの間で偏差などが生じやすく、乗員は車酔いしやすい。そのため、乗員は疲れやすくなると考えられる。
[0108]
 したがって、車両が備える車輪の転舵角の変化速度に基づいて身体的負荷を評価することにより、疲労抑制部を稼働させるタイミングを正確に決定することができる。
[0109]
 さらに、本実施形態に係る疲労抑制方法及び乗員支援装置によれば、疲労抑制部は、人間の可聴音域よりも高い周波数の第1音波を乗員に対して出力する第1音波出力部を備え、疲労抑制部により、第1音波を乗員に対して出力することで、乗員の脳幹の活性化を行うものであってもよい。電場や磁場ではなく、人間の可聴音域よりも高い周波数の第1音波によって乗員の脳幹の活性化を行うため、乗員に対して接触した状態で設ける別途の機器を用意する必要がなく、さらには、車載の周辺機器への影響を抑えることができる。
[0110]
 また、本実施形態に係る疲労抑制方法及び乗員支援装置によれば、疲労抑制部は、更に、第1音波よりも低い周波数の第2音波を乗員に対して出力する第2音波出力部を備え、 疲労抑制部により、第1音波と第2音波を同時に乗員に対して出力することで、乗員の脳幹の活性化を行うものであってもよい。
[0111]
 第1音波と第2音波を同時に出力することで、人間の可聴音域よりも高い周波数が有するエネルギースペクトルと、人間の可聴音域の周波数が有するエネルギースペクトルの比を調整することができ、車室内の音環境を、より自然環境音に近い状態にすることができる。その結果、乗員のストレス軽減につなげることができ、疲労抑制の効果を増大させることができる。
[0112]
 以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
[0113]
 本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
[0114]
 上述した実施形態で示した各機能は、1又は複数の処理回路により実装され得る。処理回路は、電気回路を含む処理装置等のプログラムされた処理装置を含む。処理装置は、また、実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置を含む。

符号の説明

[0115]
 1 乗員支援装置
 10 取得部
 20 負荷評価部
 30 環境判定部
 50 疲労抑制部
 51 第1音波出力部
 53 第2音波出力部
 90 車載センサ
 100 処理部(コントローラ)

請求の範囲

[請求項1]
 車両に搭載され、前記車両の乗員の脳幹の活性化により前記乗員の疲労を抑制する疲労抑制部と、
 前記疲労抑制部を制御するコントローラと、
を備える乗員支援装置における疲労抑制方法であって、
 前記車両および前記車両の周囲状況に関する車両情報を取得し、
 前記車両情報に基づき、前記乗員が疲労し易い状態であるか否かを判定し、
 前記乗員が疲労し易い状態であると判定された場合に、前記疲労抑制部を稼働させること
を特徴とする疲労抑制方法。
[請求項2]
 請求項1に記載の疲労抑制方法であって、
 所定時間以上継続して前記乗員が疲労し易い状態であると判定された場合に、前記疲労抑制部を稼働させること
を特徴とする疲労抑制方法。
[請求項3]
 請求項1又は2に記載の疲労抑制方法であって、
 前記乗員の身体的負荷を評価し、
 前記身体的負荷が所定負荷以上である場合に、前記乗員が疲労し易い状態であると判定すること
を特徴とする疲労抑制方法。
[請求項4]
 請求項3に記載の疲労抑制方法であって、
 前記車両の移動速度が大きいほど、前記身体的負荷が大きいと評価すること
を特徴とする疲労抑制方法。
[請求項5]
 請求項3又は4に記載の疲労抑制方法であって、
 前記乗員支援装置は、前記車両の前方もしくは側方を撮像する撮像部を更に備え、
 前記撮像部によって撮像した画像から、前記車両の前方もしくは側方の物体の移動速度を取得し、
 前記車両の前方もしくは側方の物体の移動速度が大きいほど、前記身体的負荷が大きいと評価すること
を特徴とする疲労抑制方法。
[請求項6]
 請求項3~5のいずれか一項に記載の疲労抑制方法であって、
 前記車両情報に基づいて、前記車両が走行している車線の車線幅を評価し、
 評価した前記車線幅が狭いほど、前記身体的負荷が大きいと評価すること
を特徴とする疲労抑制方法。
[請求項7]
 請求項6に記載の疲労抑制方法であって、
 前記乗員支援装置は、道路情報として道路に対応した車線幅を少なくとも記憶する記憶部を更に備え、
 前記車両情報に含まれる前記車両の位置情報に基づいて、前記車両が走行している前記道路を特定し、
 前記記憶部を参照し、特定した前記道路に対応する前記道路情報を読み出すことで、前記車両が走行している前記車線の前記車線幅を取得すること
を特徴とする疲労抑制方法。
[請求項8]
 請求項6に記載の疲労抑制方法であって、
 前記車両と前記車両の側方の物体との間の距離を検出し、
 検出した前記距離が小さいほど、前記車線幅が小さいと評価すること
を特徴とする疲労抑制方法。
[請求項9]
 請求項3~8のいずれか一項に記載の疲労抑制方法であって、
 前記車両の外部の明度を検出し、
 検出した前記明度が低いほど、前記身体的負荷が大きいと評価すること
を特徴とする疲労抑制方法。
[請求項10]
 請求項3~9のいずれか一項に記載の疲労抑制方法であって、
 前記車両が走行している車線の路面の滑りやすさを検出し、
 前記路面が滑りやすいほど、前記身体的負荷が大きいと評価すること
を特徴とする疲労抑制方法。
[請求項11]
 請求項3~10のいずれか一項に記載の疲労抑制方法であって、
 前記車両の前後方向、上下方向、左右方向の少なくとも一つの加速度を検出し、
 検出した前記加速度が大きいほど、前記身体的負荷が大きいと評価すること
を特徴とする疲労抑制方法。
[請求項12]
 請求項3~11のいずれか一項に記載の疲労抑制方法であって、
 前記車両が備える車輪の転舵角の変化速度を検出し、
 検出した前記変化速度が大きいほど、前記身体的負荷が大きいと評価すること
を特徴とする疲労抑制方法。
[請求項13]
 請求項1~12のいずれか一項に記載の疲労抑制方法であって、
 前記疲労抑制部は、人間の可聴音域よりも高い周波数の第1音波を前記乗員に対して出力する第1音波出力部を備え、
 前記疲労抑制部により、前記第1音波を前記乗員に対して出力することで、前記乗員の脳幹の活性化を行うこと
を特徴とする疲労抑制方法。
[請求項14]
 請求項13に記載の疲労抑制方法であって、
 前記疲労抑制部は、更に、前記第1音波よりも低い周波数の第2音波を前記乗員に対して出力する第2音波出力部を備え、
 前記疲労抑制部により、前記第1音波と前記第2音波を同時に前記乗員に対して出力することで、前記乗員の脳幹の活性化を行うこと
を特徴とする疲労抑制方法。
[請求項15]
 車両に搭載され、前記車両の乗員の脳幹の活性化により前記乗員の疲労を抑制する疲労抑制部と、
 前記疲労抑制部を制御するコントローラと、
を備える乗員支援装置であって、
 前記コントローラは、
  前記車両および前記車両の周囲状況に関する車両情報を取得し、
  前記車両情報に基づき、前記乗員が疲労し易い状態であるか否かを判定し、
  前記乗員が疲労し易い状態であると判定された場合に、前記疲労抑制部を稼働させること
を特徴とする乗員支援装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]