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1. WO2020008512 - 摩擦撹拌点接合装置の裏当て部材、摩擦撹拌点接合装置、摩擦撹拌点接合方法及び継手構造

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明 細 書

発明の名称 摩擦撹拌点接合装置の裏当て部材、摩擦撹拌点接合装置、摩擦撹拌点接合方法及び継手構造

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016  

発明の効果

0017  

図面の簡単な説明

0018  

発明を実施するための形態

0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034  

符号の説明

0035  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : 摩擦撹拌点接合装置の裏当て部材、摩擦撹拌点接合装置、摩擦撹拌点接合方法及び継手構造

技術分野

[0001]
 本発明は、摩擦撹拌点接合装置の裏当て部材、摩擦撹拌点接合装置、摩擦撹拌点接合方法及び継手構造に関する。

背景技術

[0002]
 自動車や航空機や鉄道車両等の組立工程において、複数の板材を互いに重ねて摩擦撹拌点接合(FSJ)により接合して継手構造を製作することがある。例えば、特許文献1では、各板材の重ね合わせ部を裏面側から裏当て部材により支持し、突起部(圧入ピン)を有するツールを各板材の重ね合わせ部に表面側から回転させながら押し込むことで、重ね合わせ部を摩擦熱で軟化させて撹拌し、その後にツールを引き抜いて冷却することで板材同士を接合させる。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2001-321967号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 摩擦撹拌点接合により形成された継手構造には、使用状況に応じて高い継手強度が求められる場合がある。継手強度を高める手段として、撹拌力の高い複雑形状のツールや大径のツールを用いて接合径を増加させる方法が知られている。しかし、複雑形状のツールを用いると、ツールの摩耗が顕著になり、ツール寿命が低下するという問題がある。また、大径のツールを用いると、ツール加圧力の増加に伴って装置の大型化が必要になったり、接合時間が長くなって生産タクトタイムが増加してしまうという問題がある。
[0005]
 そこで本発明は、ツール寿命の低下や接合工程の長時間化を防止しながらも、摩擦撹拌点接合の継手強度を向上させることを目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明の一態様に係る摩擦撹拌点接合装置の裏当て部材は、複数の板材の重ね合わせ部に対し、ショルダ部と前記ショルダ部から突出するピン部とを有するツールを回転させながら押し込んで摩擦撹拌点接合を行う摩擦撹拌点接合装置に用いられ、前記ツールとは反対側から前記重ね合わせ部の裏面を支持する裏当て部材であって、前記重ね合わせ部の前記裏面に当接する支持面を備え、前記支持面は、前記ショルダ部との間で前記重ね合わせ部を挟むベース面と、前記ベース面よりも前記重ね合わせ部側に突出し、前記ピン部との間で前記重ね合わせ部を挟む凸面とを有する。
[0007]
 前記構成によれば、複数の板材の重ね合わせ部のうちツールのピン部と裏当て部材の凸面との間に挟まれる部分が薄くなり、接合径が増大するため、継手強度が向上する。しかも、ツールのピン部の突出長さを長くする必要がなく、ツール加圧力又は接合時間を増加させずに済むため、ツール寿命の低下や作業時間の増加を防止できる。
[0008]
 前記凸面は、前記ベース面の法線に対して前記凸面の径方向外方に向けて斜めに傾斜した法線を有する側周面を含んでもよい。
[0009]
 前記構成によれば、重ね合わせ部の裏面に形成される凹部は、傾斜した法線を有する側周面(例えば、テーパ面、湾曲面等)を含む形状となるため、摩擦撹拌による塑性流動域が、重ね合わせ部の裏面から板材同士の境界面に向けて徐々に拡径するように傾斜しやすい。よって、摩擦撹拌による塑性流動域が、板材同士の境界付近において集中的に大径化され、接合径を効果的に増大できる。
[0010]
 前記凸面は、前記ピン部の先端面と平行な先端面を含んでもよい。
[0011]
 前記構成によれば、重ね合わせ部のうちツールのピン部と裏当て部材の凸面の先端面とで挟まれる部分が均一に薄肉化され、摩擦撹拌による摩擦エネルギーの径方向外方への拡がりが促進されるため、接合径を効果的に増大できる。
[0012]
 本発明の一態様に係る摩擦撹拌点接合装置は、前記した裏当て部材と、前記複数の板材の前記重ね合わせ部と前記ツールとを互いに相対変位させる変位駆動器と、前記ツールを回転させる回転駆動器と、前記重ね合わせ部に前記ツールを回転させた状態で押し込んで摩擦撹拌点接合をするように前記変位駆動器及び前記回転駆動器を制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記重ね合わせ部を前記ショルダ部と前記ベース面との間及び前記ピン部と前記凸面との間で挟み、前記凸面により前記重ね合わせ部の前記裏面に凹部を形成するように前記変位駆動器を制御する。
[0013]
 本発明の一態様に係る摩擦撹拌点接合方法は、複数の板材の重ね合わせ部に対し、ショルダ部と前記ショルダ部から突出するピン部とを有するツールを回転させながら押し込んで点接合を行う摩擦撹拌点接合方法であって、ベース面及び前記ベース面よりも前記重ね合わせ部側に突出した凸面を含む支持面を有する裏当て部材の前記支持面により、前記ツールとは反対側から前記重ね合わせ部の裏面を支持する工程と、前記重ね合わせ部にツールを回転させた状態で押し込むことで、前記重ね合わせ部を前記ショルダ部と前記ベース面との間及び前記ピン部と前記凸面との間で挟み、前記凸面により前記重ね合わせ部の前記裏面に塑性流動域よりも小径の凹部を形成するように摩擦撹拌点接合する工程と、を備える。
[0014]
 前記凹部は、前記板材の境界面の法線に対して前記凹部の径方向外方に向けて斜めに傾斜した法線を有する側周面を含んでもよい。
[0015]
 前記凹部は、前記重ね合わせ部において前記ピン部により形成された窪み部の底面と平行な底面を含んでもよい。
[0016]
 本発明の一態様に係る継手構造は、複数の板材を互いに重ね合わせて摩擦撹拌点接合してなる継手構造であって、前記複数の板材の重ね合わせ部に形成された摩擦撹拌点接合部を備え、前記摩擦撹拌点接合部は、一方面側において前記複数の板材にわたって形成され、接合径よりも小径な窪み部と、他方面側において前記複数の板材のうち前記他方面側の板材に前記窪み部に対向して形成され、接合径よりも小径な凹部とを有する。

発明の効果

[0017]
 本発明によれば、ツール寿命の低下や接合工程の長時間化を防止しながらも、摩擦撹拌点接合の継手強度を向上させることができる。

図面の簡単な説明

[0018]
[図1] 実施形態に係る摩擦撹拌点接合装置の構成図である。
[図2] (A)は図1に示す裏当て部材の斜視図、(B)は(A)に示す裏当て部材の側面図である。
[図3] (A)~(C)は図1に示す摩擦撹拌点接合装置による接合手順を説明する断面図である。
[図4] 図1に示す摩擦撹拌点接合装置(裏当て部材:凸面)により接合された継手構造の継手強度と、従来の摩擦撹拌点接合装置(裏当て部材:平面)により接合された継手構造の継手強度とを対比した実験結果を示すグラフである。
[図5] 凸面を有する裏当て部材の先端径と継手強度との関係を示す実験結果のグラフである。
[図6] 凸面を有する裏当て部材のテーパ角と継手強度との関係を示す実験結果のグラフである。

発明を実施するための形態

[0019]
 以下、図面を参照して実施形態を説明する。
[0020]
 図1は、実施形態に係る摩擦撹拌点接合装置1の構成図である。図1に示すように、ワークWは、互いに重ね合わせられた一対の板材W1,W2であり、例えば鋼材からなる。摩擦撹拌点接合装置1は、一対の板材W1,W2の重ね合わせ部Waを点接合する。摩擦撹拌点接合装置1は、基体2と、基体2に取り付けられた可動体3と、可動体3からワークWに向けて突出したツール保持体4とを備える。可動体3は、ツール保持体4の軸線に沿ってスライド変位可能に基体2に取り付けられる。ツール保持体4は、その軸線回りに回転可能に構成され、ツール保持体4の先端部には、ツール11が着脱可能に取り付けられる。
[0021]
 ツール11は、ワークWに対向して平坦な環状面を有するショルダ部11aと、ショルダ部11aの内径側に連続してショルダ部11aの中心からワークWに向けて突出した円柱状のピン部11bとを有する(図3(A)参照)。なお、ピン部11bの側周面は、僅かに先細り状になっている。基体2には、略L字状に湾曲した湾曲フレーム5が固定される。湾曲フレーム5は、その先端部がツール11に対向する位置まで延びる。湾曲フレーム5の先端部には、ツール11とは反対側がからワークWの重ね合わせ部Waの裏面を支持する裏当て部材6が設けられる。
[0022]
 基体2には、ツール保持体4の軸線方向に可動体3をスライド変位させる直動駆動器7が設けられる。直動駆動器7は、可動体3をスライド変位させることでツール11をワークWに対して進退変位させる。可動体3には、ツール保持体4をその軸線回りに回転させる回転駆動器8が設けられる。回転駆動器8は、ツール保持体4を回転させることでツール11を回転させる。基体2には、多関節ロボット9が取り付けられる。多関節ロボット9は、基体2を変位させることでワークWに対してツール11を所望の位置へ変位させる。即ち、直動駆動器7及び多関節ロボット9が、ワークWとツール11とを互いに相対変位させる変位駆動器10の役目を果たす。
[0023]
 摩擦撹拌点接合装置1は、直動駆動器7、回転駆動器8及び多関節ロボット9を制御するコントローラ12を備える。コントローラ12は、1つの制御ユニットに機能が集約されたものとしてもよいし、複数の制御ユニットに機能が分散された構成としてもよい。コントローラ12は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ及びI/Oインターフェース等を有する。コントローラ12は、図示しない入力装置(例えば、コンピュータ又はティーチングペンダント等)からI/Oインターフェースを介して入力された指令に応答し、不揮発性メモリに保存された制御プログラムに基づいてプロセッサが揮発性メモリを用いて演算し、I/Oインターフェースを介して回転駆動器8及び変位駆動器10と通信する。摩擦撹拌点接合装置1は、コントローラ12に回転駆動器8及び変位駆動器10を制御させることで、一対の板材W1,W2の重ね合わせ部Waにツール11を回転させた状態で押し込み、重ね合わせ部Waのうち摩擦熱で軟化した部分を撹拌して塑性流動させ、摩擦撹拌点接合を行う。
[0024]
 図2(A)は、図1に示す裏当て部材6の斜視図、図2(B)は、図2(A)に示す裏当て部材6の側面図である。図2(A)(B)に示すように、裏当て部材6は、ワークWの重ね合わせ部Waの裏面に当接する支持面20を備える。支持面20は、ワークWに対向して平坦な環状面を有するベース面21と、ベース面21の内径側に連続してベース面21の中心からワークWの重ね合わせ部Wa側に向けて突出した凸面22とを有する。ベース面21は、ツール11のショルダ部11a(図3(A))に対向する。凸面22は、ツール11のピン部11b(図3(A))に対向する。即ち、凸面22は、ツール11のショルダ部11aよりも小径である。凸面22は、例えば滑面である。
[0025]
 裏当て部材6の凸面22の高さ(突出量)は、ツール11のピン部11bの高さ(突出量)よりも小さい。裏当て部材6の凸面22の高さは、裏当て部材6が当接する板材Wbの厚みよりも小さい。凸面22は、台形状の縦断面を有する。凸面22の側周面22aは、ベース面21の法線に対して凸面22の径方向外方に向けて斜めに傾斜した法線を有する。本実施形態では、凸面22の側周面22aは、先細り状の円錐形状を有する。即ち、側周面22aは、ベース面21に対してテーパ角θをもって傾斜している。凸面22の先端面22bは、平坦面である。先端面22bは、所定の先端径D1を有する円形状である。先端面22bは、ワークWの重ね合わせ部Waの裏面と平行であり、ツール11のピン部11bの先端面と平行である。
[0026]
 図3(A)~(C)は、図1に示す摩擦撹拌点接合装置1による接合手順を説明する断面図である。図3(A)に示すように、摩擦撹拌点接合の開始時には、一対の板材W1,W2の重ね合わせ部Waの裏面に裏当て部材6の支持面20の凸面22を当接させる。その際、裏当て部材6の支持面20のベース面21は重ね合わせ部Waから離間している。そして、コントローラ12は、ツール11を回転させるように回転駆動器8を制御する。その状態で、コントローラ12は、平面視において(重ね合わせ部Waの法線方向から見て)、ツール11のピン部11bの中心が裏当て部材6の凸面22の中心に合致する位置にてピン部11bが重ね合わせ部Waに押し込まれるように直動駆動器7を制御する。
[0027]
 そうすると、図3(B)に示すように、ツール11の回転力及び加圧力により、ワークWの重ね合わせ部Waが摩擦熱により軟化し、その軟化部分が撹拌されて塑性流動する。摩擦撹拌点接合中には、重ね合わせ部Waの塑性流動域Fにおいて、ツール11のピン部11bと裏当て部材6の凸面22との間で挟まれる中央部分Faと、ツール11のショルダ部11aと裏当て部材6のベース面21との間で挟まれる外周部分Fbとが生じる。即ち、裏当て部材6の凸面22が重ね合わせ部Waの裏面に塑性流動域Fよりも小径の凹部を形成するように塑性流動域Fに押し込まれ、裏当て部材6のベース面21が重ね合わせ部Waの裏面に当接する。
[0028]
 その際、重ね合わせ部Waの塑性流動域Fのうちツール11のピン部11bと裏当て部材6の凸面22との間に挟まれる中央部分Faが薄くなり、塑性流動域Fの径が増大する。しかも、裏当て部材6の凸面22の側周面22aがテーパ面であるため、摩擦撹拌による塑性流動域Fが、重ね合わせ部Waの裏面から板材Wa,Wb同士の境界面に向けて徐々に拡径するように傾斜しやすい。よって、摩擦撹拌による塑性流動域Fが、板材Wa,Wb同士の境界付近において集中的に大径化される。更に、裏当て部材6の凸面22の先端面が平坦面であり、塑性流動域Fのうちツール11のピン部11bと裏当て部材6の凸面22の先端面とで挟まれる中央部分Faが均一に薄肉化されるので、摩擦撹拌による摩擦エネルギーの径方向外方への拡がりが促進される。
[0029]
 次いで、図3(C)に示すように、コントローラ12がツール11を重ね合わせ部Waから引き抜くように直動駆動器7を制御する。そうすると、重ね合わせ部Waの塑性流動域Fが冷却されて硬化し、摩擦撹拌点接合部30が形成された継手構造W’が完成する。具体的には、継手構造W’の摩擦撹拌点接合部30には、一方面側において各板材W1,W2にわたって形成され、接合径D2よりも小径な窪み部30aと、他方面側において各板材W1,W2のうち他方面側の板材Wbに窪み部30aに対向して形成され、接合径D2よりも小径な凹部30bとが形成される。凹部30bは、各板材W1,W2の境界面の法線に対して凹部30bの径方向外方に向けて斜めに傾斜した法線を有する側周面30ba(テーパ状の側周面)と、窪み部30aの底面30aaと平行な底面30bbとを有する。なお、接合径D2は、各板材W1,W2の境界面上における板材W1,W2同士の接合領域の直径である。
[0030]
 以上に説明した態様によれば、各板材W1,W2の重ね合わせ部Waのうちツール11のピン部11bと裏当て部材6の凸面22との間に挟まれる部分が薄くなり、接合径D2が増大するため、継手強度が向上する。しかも、ツール11のピン部11bの突出長さを長くする必要がなく、ツール11の加圧力又は接合時間を増加させずに済むため、ツール11の寿命の低下や作業時間の増加を防止できる。また、裏当て部材6の凸面22の側周面22aがテーパ状であるため、摩擦撹拌による塑性流動域Fが、板材W1,W2同士の境界付近において集中的に大径化され、接合径D2を効果的に増大できる。また、裏当て部材6の凸面22の先端面22bが平坦であるため、塑性流動域Fの中央部分Faが均一に薄肉化され、摩擦エネルギーの径方向外方への拡がりが促進されるため、接合径D2を効果的に増大できる。
[0031]
 図4は、図1に示す摩擦撹拌点接合装置1(裏当て部材:凸面)により接合された継手構造の継手強度と、従来の摩擦撹拌点接合装置(裏当て部材:平面)により接合された継手構造の継手強度とを対比した実験結果を示すグラフである。なお、接合対象の板材には、980MPa級鋼板(1.2mmt)を用いた。ツールのピン部の突出長さは、2.4mmとし、ツールのピン部の先端径は5mmとした。実施形態の摩擦撹拌点接合装置1では、裏当て部材6の凸面22の先端径D1は5mmとした。裏当て部材6の凸面22の側周面22aのテーパ角は26.6°とした。従来の摩擦撹拌点接合装置は、裏当て部材の支持面を平面(凸面なし)としたものであり、その他の接合条件は、実施形態の摩擦撹拌点接合装置1も従来の摩擦撹拌点接合装置も互いに同じである。図4に示すように、せん断強度及び剥離強度の両方において、実施形態の摩擦撹拌点接合装置1を用いて接合された継手構造(図3(C)参照)の方が、従来の摩擦撹拌点接合装置を用いて接合された継手構造よりも継手強度が高くなることが確認された。
[0032]
 図5は、凸面22を有する裏当て部材6の先端径D1と継手強度(せん断強度)との関係を示す実験結果のグラフである。裏当て部材6には、凸面22の先端径D1が、3mm、5mm、6mm、7mm及び9mmの5種類のものを用意した。ツール11のピン部11bの先端径は、5mmで一定とした。即ち、ツール11のピン部11bの先端径に対する裏当て部材6の凸面22の先端径D1の比が、0.6、1.0、1.2、1.4及び1.8の5種類である。他の接合条件は、全て同じである。図5に示すように、従来の裏当て部材の支持面が平面である場合には、継手強度(せん断強度)が12.7kNであったが、凸型の裏当て部材6を用いた場合には、前記5種類の何れにおいても従来よりも高い継手強度が得られた。即ち、[裏当て部材の凸面の先端径]/[ツールのピン部の先端径]の比が、0.6以上1.8以下のときに継手強度の向上が確認された。
[0033]
 図6は、凸面22を有する裏当て部材6のテーパ角θと継手強度(せん断強度)との関係を示す実験結果のグラフである。裏当て部材6には、凸面22の側周面22aのテーパ角θが、0.0°、14.0°、26.6°、45.0°及び68.2°の5種類のものを用意した。なお、テーパ角θが0.0°のものは、従来の平坦な支持面を有する裏当て部材(テーパ無し)のことである。他の接合条件は、全て同じである。図6に示すように、凸面22の側周面22aがテーパ状である何れの裏当て部材6においても、従来に比べて高い継手強度(せん断強度)が得られた。
[0034]
 なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、その構成を変更、追加、又は削除することができる。例えば、裏当て部材6の凸面22の側周面22aは、縦断面視において直線状に先細る形状ではなく円弧状に先細る形状であってもよい。裏当て部材6の凸面22の先端面22bは、非平坦面でもよく、例えば、凸面22の突出する向きに凸な円弧面でもよい。裏当て部材6の凸面22全体が円弧状でもよい。

符号の説明

[0035]
 1 摩擦撹拌点接合装置
 6 裏当て部材
 11 ツール
 11a ショルダ部
 11b ピン部
 20 支持面
 21 ベース面
 22 凸面
 22a 側周面
 22b 先端面
 30 摩擦撹拌点接合部
 30a 窪み部
 30b 凹部
 D1 先端径
 D2 接合径
 W ワーク
 W1,W2 板材
 Wa 重ね合わせ部
 W’ 継手構造

請求の範囲

[請求項1]
 複数の板材の重ね合わせ部に対し、ショルダ部と前記ショルダ部から突出するピン部とを有するツールを回転させながら押し込んで摩擦撹拌点接合を行う摩擦撹拌点接合装置に用いられ、前記ツールとは反対側から前記重ね合わせ部の裏面を支持する裏当て部材であって、
 前記重ね合わせ部の前記裏面に当接する支持面を備え、
 前記支持面は、前記ショルダ部との間で前記重ね合わせ部を挟むベース面と、前記ベース面よりも前記重ね合わせ部側に突出し、前記ピン部との間で前記重ね合わせ部を挟む凸面とを有する、摩擦撹拌点接合装置の裏当て部材。
[請求項2]
 前記凸面は、前記ベース面の法線に対して前記凸面の径方向外方に向けて斜めに傾斜した法線を有する側周面を含む、請求項1に記載の摩擦撹拌点接合装置の裏当て部材。
[請求項3]
 前記凸面は、前記ピン部の先端面と平行な先端面を含む、請求項1又は2に記載の摩擦撹拌点接合装置の裏当て部材。
[請求項4]
 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の裏当て部材と、
 前記複数の板材の前記重ね合わせ部と前記ツールとを互いに相対変位させる変位駆動器と、
 前記ツールを回転させる回転駆動器と、
 前記重ね合わせ部に前記ツールを回転させた状態で押し込んで摩擦撹拌点接合をするように前記変位駆動器及び前記回転駆動器を制御するコントローラと、を備え、
 前記コントローラは、前記重ね合わせ部を前記ショルダ部と前記ベース面との間及び前記ピン部と前記凸面との間で挟み、前記凸面により前記重ね合わせ部の前記裏面に凹部を形成するように前記変位駆動器を制御する、摩擦撹拌点接合装置。
[請求項5]
 複数の板材の重ね合わせ部に対し、ショルダ部と前記ショルダ部から突出するピン部とを有するツールを回転させながら押し込んで点接合を行う摩擦撹拌点接合方法であって、
 ベース面及び前記ベース面よりも前記重ね合わせ部側に突出した凸面を含む支持面を有する裏当て部材の前記支持面により、前記ツールとは反対側から前記重ね合わせ部の裏面を支持する工程と、
 前記重ね合わせ部にツールを回転させた状態で押し込むことで、前記重ね合わせ部を前記ショルダ部と前記ベース面との間及び前記ピン部と前記凸面との間で挟み、前記凸面により前記重ね合わせ部の前記裏面に塑性流動域よりも小径の凹部を形成するように摩擦撹拌点接合する工程と、を備える、摩擦撹拌点接合方法。
[請求項6]
 前記凹部は、前記板材の境界面の法線に対して前記凹部の径方向外方に向けて斜めに傾斜した法線を有する側周面を含む、請求項5に記載の摩擦撹拌点接合方法。
[請求項7]
 前記凹部は、前記重ね合わせ部において前記ピン部により形成された窪み部の底面と平行な底面を含む、請求項5又は6に記載の摩擦撹拌点接合方法。
[請求項8]
 複数の板材を互いに重ね合わせて摩擦撹拌点接合してなる継手構造であって、
 前記複数の板材の重ね合わせ部に形成された摩擦撹拌点接合部を備え、
 前記摩擦撹拌点接合部は、一方面側において前記複数の板材にわたって形成され、接合径よりも小径な窪み部と、他方面側において前記複数の板材のうち前記他方面側の板材に前記窪み部に対向して形成され、接合径よりも小径な凹部とを有する、継手構造。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]