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1. WO2020008226 - 逐次成形方法

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明 細 書

発明の名称

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008   0009   0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057  

符号の説明

0058  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17  

明 細 書

発明の名称 : 逐次成形方法

技術分野

[0001]
 本発明は、周囲を保持した金属板に工具を押し付けて移動させることにより、金属板を三次元形状に逐次成形する際に用いられる逐次成形方法に関するものである。

背景技術

[0002]
 従来の逐次成形方法としては、例えば、特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に記載の逐次成形方法は、水平にした金属板の周囲を固定する治具と、金属板の下面側に配置した成形型と、金属板の上面側に配置した工具とを用いる。治具は、昇降可能な構造である。工具は、先端を加工面とした棒状を成しており、直交する三軸方向に移動可能である。
[0003]
 逐次成形方法は、金属板の上面に工具の先端を押し付けて移動させることで、金属板に連続的に塑性変形を加え、工具の移動経路を変更しながら、工具及び治具を下降させる。これにより、逐次成形方法は、成形型の表面に沿うように金属板を次第に変形させ、最終的に、成形型の表面形状に合致した三次元形状の被加工部(成形品)を成形する。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 日本国特許第4787548号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、上記したような従来の逐次成形方法は、成形型を用いるので、精度の良好な被加工部が得られるものの、複数種類の被加工部を成形する場合には、それぞれ専用の成形型を容易する必要がある。このため、従来の逐次成形方法では、設備費及び製造コストが嵩むという問題点があり、このような問題点を解決することが課題であった。
[0006]
 本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたもので、成形型を用いずに高精度の被加工部を成形することを可能にし、設備費や製造コストの低減を図ることができる逐次成形方法を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明に係わる逐次成形方法は、金属板の一方の面側に配置した工具を用いて、金属板に他方の面側に突出した三次元形状の被加工部を逐次成形する方法である。逐次成形方法は、金属板の周囲を挟持する固定治具と、被加工部の輪郭の少なくとも一部に沿った成形縁部を有するテンプレートとを用いる。そして、逐次成形方法は、テンプレートを金属板の他方の面側に配置し、固定治具によりテンプレートとともに金属板の周囲を挟持して固定し、金属板の一方の面に工具を押し付けて移動させることにより、金属板に三次元形状の被加工部を逐次成形することを特徴としている。

発明の効果

[0008]
 本発明に係わる逐次成形方法は、成形型を使用せず、被加工部のうちで変形(誤差)が生じ易い部位に合わせて、金属板の他方の面側にテンプレートを配置する。複数種類の被加工部を成形する場合、種類別の専用の成形型を用いるよりも、被加工部の少なくとも一部に対応するテンプレートを用いた方が明らかに廉価である。
[0009]
 そして、逐次成形方法は、固定治具によりテンプレートとともに金属板の周囲を挟持して固定し、金属板の一方の面に工具を押し付けて移動させる。この際、逐次成形方法は、テンプレートを配置した部分では、工具がテンプレートの成形縁部に沿って移動して、工具と成形縁部との間で金属板を拘束する。これにより、逐次成形方法は、被加工部の縁部の形状凍結性を高めて縦壁の張力を増加させ、被加工部の変形を抑制する。
[0010]
 このようにして、逐次成形方法は、成形型を用いずに高精度の被加工部(成形品)を成形することを可能にし、設備費や製造コストの低減を図ることができる。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 本発明に係わる逐次成形方法の第1実施形態において、金属板と被加工部とを示す平面図である。
[図2] 逐次成形の開始時の状態を示す断面図である。
[図3] 逐次成形の終了時の状態を示す断面図である。
[図4] 金属板に対する固定治具及びテンプレートの配置を示す平面図である。
[図5] 固定治具及びテンプレートの要部を説明する断面図である。
[図6] 工具の移動経路を示す平面図である。
[図7] 被加工部における変形領域の分布を示す平面図である。
[図8] テンプレートの有無と金属板の成形誤差との関係を示すグラフである。
[図9] テンプレートの有無と金属板の変形量との関係を示すグラフである。
[図10] 図9中の要部を説明する断面図である。
[図11] 逐次成形方法の第2実施形態を示す平面図である。
[図12] 逐次成形方法の第3実施形態を示す平面図である。
[図13] 逐次成形方法の第4実施形態を示す平面図である。
[図14] 図13に示すテンプレートの平面図である。
[図15] 図13に示すテンプレートの他の例を示す平面図である。
[図16] 逐次成形方法の第5実施形態を示す平面図である。
[図17] 逐次成形方法の第6実施形態を示す断面図である。

発明を実施するための形態

[0012]
〈第1実施形態〉
 図1~図10は、本発明に係わる逐次成形方法の第1実施形態を説明する図である。
 逐次成形方法では、図1に示すように、平坦で矩形状を成す金属板(ブランク材)Wを用い、金属板Wの中央部に、図中に仮想線で示す被加工部Fを逐次成形する。図示例の被加工部Fは、後に周囲を切除して成形品となる部分であり、一例として、自動車のエンジンフードである。
[0013]
 逐次成形方法は、図2及び図3に示すように、金属板Wの一方の面側(図中で上側)に配置した工具Tを用いて、金属板Wに他方の面側(図中で下側)に突出した三次元形状の被加工部Fを逐次成形する。その際、逐次成形方法は、金属板Wの周囲を挟持する固定治具1と、被加工部Fの輪郭の少なくとも一部に沿った成形縁部を有するテンプレートP1とを用いる。
[0014]
 工具Tは、先端に加工面を有する棒状を成しており、例えば、多軸制御型の作業ロボット(図示せず)のハンド部に装着してある。これにより、工具Tは、直交する三軸方向に移動可能であり、三軸回りに回転させることも可能である。なお、逐次成形方法では、NC工作機械等を用いることも可能であり、その工具ヘッドに工具を装着する。
[0015]
 固定治具1は、矩形の枠状を成すものであって、下側の固定板1Aと、上側の可動板1Bとを備えている。可動板1Bは、図示しない駆動機構により昇降可能であり、下降して固定板1Aとの間で金属板Wの周囲を挟持して固定する。図示例の固定治具1は、金属板Wを水平に保持している。
[0016]
 テンプレートP1は、図4に示すように、被加工部Fの左右両側(エンジンフードの左右両側)に配置してあり、概略矩形状の板部材であると共に、その一辺に、被加工部Fの輪郭の左右両側に沿った成形縁部Eを有している。
[0017]
 ここで、金属板Wは、図4中に点線で示す固定治具1の外縁に相当する縦横寸法を有する。また、被加工部Fは、固定治具1の内側領域に余裕をもって収まる大きさである。すなわち、固定治具1は、被加工部Fに対する汎用性をもたせたものであり、複数種類の被加工部Fの製造に適用可能である。これに対して、テンプレートP1は、固定治具1により挟持可能な大きさを有し、固定治具1の内側領域に成形縁部Eを有している
[0018]
 逐次成形方法では、より望ましい実施形態として、固定治具1から被加工部Fの輪郭に至る距離が相対的に大きい部位にテンプレートP1を配置する。図示例の固定治具1は、長辺を左右方向とする矩形状を成しており、その内側領域の中央部で被加工部Fが成形される。この場合、固定治具1から被加工部Fに至る距離は、固定治具1の長辺から被加工部Fまでの距離よりも、固定治具1の短辺から被加工部Fまでの距離の方が大きいので、テンプレートP1は、被加工部Fの左右両側に配置してある。
[0019]
 また、逐次成形方法では、より望ましい実施形態として、工具Tの移動経路を被加工部Fの中心方向に変更する部位にテンプレートP1を配置する。さらに、逐次成形方法では、より望ましい実施形態として、金属板Wの成形前の面と被加工部Fの成形後の面とが成す角度を成形角度(図3中の符号θ)とし、成形角度θが相対的に小さい部位にテンプレートP1を配置する。
[0020]
 さらに、逐次成形方法では、図5に示すように、テンプレートP1が、金属板Wが接触する角部にR形状(図中の符号R)を有する。換言すれば、逐次成形方法では、金属板Wが接触する角部にRを有するテンプレートP1を使用する。
[0021]
 逐次成形方法では、上記の工具T、固定治具1及びテンプレートP1を用い、図2、図3及び図5に示すように、テンプレートP1を金属板Wの他方の面側(各図中で下側)に配置する。このとき、テンプレートP1は、成形縁部Eが未加工の被加工部Fの輪郭に一致するように位置調整してある。
[0022]
 次いで、逐次成形方法では、固定治具1の固定板1A及び可動板1Bにより、テンプレートP1とともに金属板Wの周囲を挟持して固定する。これにより、テンプレートP1は、固定治具1の内側領域内に成形縁部Eの部分が延出した状態に固定される。
[0023]
 この際、固定治具1は、2箇所にテンプレートP1,P1を介装するので、図2及び図3に示すように、テンプレートP1の無い部分に、テンプレートP1と同一の厚さを有するスペーサSを介装することが有効である。なお、図2及び図3は、図4中のA−A線に基づいて、テンプレートP1の有る部分と無い部分の両方の断面を示している。
[0024]
 そして、逐次成形方法は、金属板Wの一方の面において、被加工部Fの輪郭上に工具Tの先端を押し付けて水平方向に移動させる。これにより、逐次成形方法は、金属板Wに連続的に塑性変形を加えながら、工具Tの移動経路の変更及び下降を繰り返して、金属板Wに三次元形状の被加工部Fを逐次成形する。
[0025]
 より具体的に説明すると、逐次成形方法は、図6に示すように、被加工部Fの輪郭の1箇所(図示例ではコーナー部)を始点101とし、工具Tを始点101に押し付けて、図中の矢印a1で示す一方向に周回移動させる。この周回移動経路は、被加工部Fの輪郭に沿った経路である。
[0026]
 このとき、逐次成形方法では、被加工部Fの左右両側にテンプレートP1,P1を配置しているので、テンプレートP1の成形縁部Eに沿って工具Tが移動する。このため、テンプレートP1を配置した部分では、工具Tと成形縁部Eとの間で金属板Wを拘束することで、被加工部Fの縁部の形状凍結性を高めることができる。
[0027]
 次に、逐次成形方法は、工具Tが始点101に到達したところで、図6中の細矢印で示すように、工具Tを被加工部Fの中心方向に移動(ピッチ移動)させると共に、所定量だけ下降させる。そして、逐次成形方法は、図6中の太い矢印a2で示すように、初回の移動方向a1とは逆の方向a2に工具Tを周回移動させる。
[0028]
 それ以降、逐次成形方法は、工具Tの周回移動(太矢印a3~a11)と、工具Tのピッチ移動(細矢印)及び下降とを繰り返し行う。これにより、逐次成形方法は、図2に示す成形開始から図3に示す成形終了に移行するように、金属板Wの中央部を次第に押し下げるように成形する。この際、工具Tの周回移動経路は、被加工部Fの輪郭に沿った経路であるが、被加工部Fの中心に向かうにつれて経路長が短くなる。なお、図6では、便宜上、周回移動経路の間隔(ピッチ移動量)を大きく示したが、実際の周回移動経路の間隔は密である。
[0029]
 この間、逐次成形方法では、先述したように、被加工部Fの左右両側に配置したテンプレートP1により、被加工部Fの縁部の形状凍結性が高められるので、少なくとも成形縁部Eの範囲において被加工部Fの縦壁(成形面)の張力が増大し、これにより、被加工部Fの変形を抑制する。
[0030]
 そして、逐次成形方法は、図6に示すように、最終的に工具Tが終点102に到達した時点で、金属板Wの他方の面側(下側)に突出状態となった被加工部Fを成形する。
[0031]
 上記の逐次成形方法は、成形型を使用せず、被加工部Fのうちで変形(誤差)が生じ易い部位に合わせて、金属板Wの他方の面側にテンプレートP1を配置する。複数種類の被加工部Fを成形する場合、種類別の専用の成形型を用いるよりも、被加工部Fの少なくとも一部に対応するテンプレートP1を用いた方が明らかに廉価である。
[0032]
 このようにして、上記の逐次成形方法は、成形型を用いずに高精度の被加工部(成形品)Fを成形することを可能にし、設備費や製造コストの低減を図ることができる。なお、被加工部Fは、それ以外の周囲部分を切除して成形品となる。
[0033]
 ここで、図6に示すように、被加工部Fのコーナー部位を始点101として逐次成形を行う場合、大半の領域では工具Tの周回移動が行われるが、コーナー部位では工具Tのピッチ移動、すなわち工具Tが被加工部Fの中心方向に移動する。このため、被加工部Fには、ピッチ移動による負荷も加わるので、対角線に沿って全体を折り曲げるように負荷が作用する。これにより、被加工部Fは、テンプレートP1を用いずに成形をした場合、図7に示すように、左下のコーナー部位と、対角となる右上のコーナー部位に変形領域Q,Qが生じ易い。
[0034]
 これに対して、上記の逐次成形方法では、被加工部Fの左右両側に配置したテンプレートP1,P1が、工具Tの移動経路を被加工部Fの中心方向に変更する部位、すなわちコーナー部位をも含むので、コーナー部位の形状凍結性が高められ、コーナー部位の変形を抑制することができる。
[0035]
 図8は、テンプレートP1の有無と金属板Wの成形誤差との関係を示すグラフである。成形誤差とは、設計値と被加工部Fの実測値との差である。図中右側に示すテンプレート有りの場合の成形誤差は、図中左側に示すテンプレート無しの場合の成形誤差に比べて、端部及び中央部のいずれにおいても明らかに小さくなる。
[0036]
 また、図9及び図10は、テンプレートP1の有無と金属板Wの変形量との関係を示すグラフである。このグラフは、被加工部Fの断面形状に一致している。変形量とは、図中に二点鎖線で示す設計値と実測値との差である。中央領域では、テンプレートの有無に係わらず変形量が小さい。しかし、端部領域では、テンプレート有りの場合(実線)の変形量は、テンプレート無しの場合(点線)の変形量に比べて明らかに小さい。
[0037]
 逐次成形では、テンプレートを用いない場合、金属板Wの固定治具1から離間した位置(拘束されていない位置)に工具Tを押し付けるので、金属板Wが下方に撓み易く、スプリングバックにより縁部の形状凍結性が確保できない。つまり、テンプレート無しの場合では、被加工部Fの縦壁(成形面)が、緩やかな斜面になり、設計値に対する変形量が大きくなる。このような変形量の増大は、固定治具1から被加工部Fの輪郭に至る距離が大きくなるほど、また、成形角度θが小さいほど顕著に表れる。
[0038]
 そこで、上記の逐次成形方法では、固定治具1から被加工部Fの輪郭に至る距離が相対的に大きい部位にテンプレートP1を配置し、また、成形角度θが相対的に小さい部位にテンプレートP1を配置する。
[0039]
 これにより、上記の逐次成形方法では、テンプレートP1により被加工部Fの縁部の形状凍結性が高められるので、金属板Wの変形し易い部位において、被加工部Fの縦壁の変形量を小さくし得る。よって、上記の逐次成形方法によれば、高精度の被加工部(成形品)Fを成形することができる。
[0040]
 さらに、上記の逐次成形方法では、金属板Wが接触する角部にRを有するテンプレートP1を用いる。これにより、上記の逐次成形方法では、工具Tにより、テンプレートP1の成形縁部Eに沿って金属板Wを折り曲げる際に、その折り曲げ部位での応力集中を緩和すると共に、板厚の減少も抑制する。
[0041]
 上記のテンプレートP1は、少なくとも金属板Wとの接触面(図中で上面)に、摩擦係数の小さい表面処理を施すことも有効である。この場合、逐次成形の際に、金属板Wが内側方向に僅かに滑ることにより、金属板Wに過大な引張応力が生じるのを抑制しつつ、被加工部Fの縁部の形状凍結性を高めることができる。なお、金属板Wは、後に周囲部分を切除するので、周囲部分の変形が被加工部Fの精度に影響する心配はない。
[0042]
 図11~図17は、本発明に係わる逐次成形方法の第2~第6の実施形態を説明する図である。以下の実施形態において、第1実施形態と同等の部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
[0043]
〈第2実施形態〉
 図11に示す逐次成形方法では、上下方向に長辺を有する矩形枠状の固定治具1を用いている。このため、逐次成形方法では、固定治具1から被加工部Fの輪郭に至る距離が相対的に大きい部位、すなわち、図中において、被加工部Bの輪郭の上下両側部位にテンプレートP2,P2を配置している。被加工部Bが自動車のエンジンフードである場合、テンプレートP2,P2は、前端及び後端の二辺に配置してあり、被加工部Bの前端及び後端の各辺に沿った成形縁部E,Eを有する。
[0044]
 上記の逐次成形方法は、先の実施形態と同様に、固定治具1により、テンプレートP2とともに金属板Wの周囲を挟持して固定、金属板Wの一方の面に工具Tを押し付けつつ移動させて被加工部Fを逐次成形する。この際、逐次成形方法は、工具TとテンプレートP2の成形縁部Eとの間で金属板Wを拘束しつつ成形するので、被加工部Fの縁部の形状凍結性が高められ、被加工部Fの縦壁(成形面)の張力を増大させて、被加工部Fの変形を抑制する。これにより、寸法精度の高い被加工部Fを成形することができる。
[0045]
〈第3実施形態〉
 図12に示す逐次成形方法では、左右方向に長辺を有する矩形枠状の固定治具1を用いている。この逐次成形方法では、工具Tの移動経路を被加工部Fの中心方向に変更する部位として、被加工部Fのコーナー部位にテンプレートP3を配置している。なお、工具Tの移動経路が先の図6に例示したものである場合、工具Tの移動経路を変更する部位は1箇所のコーナー部位である。しかし、被加工部Bは、先述したように、移動経路を変更する部位と、その対角位置との2箇所に変形領域Qが生じ易いのであるから、双方の2箇所にテンプレートP3を配置するのがより望ましい。
[0046]
 これに対して、図示例では、4箇所の全てのコーナー部位にテンプレートP3を配置している。この場合の逐次成形方法は、工具Tの移動経路を被加工部Fの中心方向に変更する部位だけでなく、固定治具1から被加工部Fの輪郭に至る距離が相対的に大きい部位にもテンプレートP3を配置したのと同等である。
[0047]
 上記の逐次成形方法にあっても、固定治具1により、テンプレートP3とともに金属板Wの周囲を挟持して固定し、工具Tにより被加工部Fを逐次成形する。そして、逐次成形方法は、テンプレートP3を配置した部位で、被加工部Fの縁部の形状凍結性を高め、被加工部Fの縦壁(成形面)の張力を増大させて被加工部Fの変形を抑制し、寸法精度の高い被加工部Fを成形する。
[0048]
〈第4実施形態〉
 図13に示す逐次成形方法では、左右方向に長辺を有する矩形枠状の固定治具1を用いており、図中において、被加工部Bの輪郭の下側部位にテンプレートP4を配置している。被加工部Bが自動車のエンジンフードである場合、テンプレートP4は、前端の一辺に配置してあり、被加工部Bの前端の辺に沿った成形縁部Eを有する。
[0049]
 上記の逐次成形方法にあっても、固定治具1により、テンプレートP4とともに金属板Wの周囲を挟持して固定し、工具Tにより被加工部Fを逐次成形する。そして、逐次成形方法は、テンプレートP3を配置した部位で、被加工部Fの縁部の形状凍結性を高め、被加工部Fの縦壁(成形面)の張力を増大させて被加工部Fの変形を抑制し、寸法精度の高い被加工部Fを成形する。
[0050]
 ここで、テンプレートP4は、図14に示すように、少なくとも固定治具1で挟持可能な大きさと成形縁部Eを有するものであれば良い。但し、テンプレートP4は、図15に示すように、固定治具1で挟持される枠状のスペーサSと一体化した構造にしたり、スペーサSに対して着脱可能な構造にしたりすることができる。とくに、スペーサSは、テンプレートP4と分離可能な構造にすれば、複数種類のテンプレートに共通する汎用部品となり、設備費等のさらなる節減に貢献し得る。
[0051]
〈第5実施形態〉
 図16に示す逐次形成方法は、被加工部Fの輪郭の全周に対応した成形縁部Eを有するテンプレートP5を用いる。この逐次成形方法では、テンプレートP5により、被加工部Fの縁部全周で形状凍結性が高められ、被加工部Fの縦壁(成形面)の張力を増大させて被加工部Fの変形を抑制する。これにより、逐次成形方法では、寸法精度の高い被加工部Fを成形することができる。
[0052]
 また、上記のテンプレートP5を用いた逐次成形方法では、被加工部Fの大きさに合った金属板(ブランク材)Wを使用することができる。これにより、上記の逐次成形方法では、金属板Wの大きさを必要最小限にして、材料歩留まりを向上させることができる。
[0053]
〈第6実施形態〉
 図17に示す逐次成形方法では、金属板Wの他方の面側(下側)に配置するテンプレートP6Aと、このテンプレートP6Aと同形の成形縁部Eを有し且つ金属板Wの一方の面側(上側)に配置される第2のテンプレートP6Bとを用いる。なお、第2のテンプレートP6Bは、下側のテンプレートP6Aの全体若しくは一部に対応するものでも良い。
[0054]
 上記の逐次成形方法にあっても、固定治具1により、テンプレートP6A,P6Bとともに金属板Wの周囲を挟持して固定し、工具Tにより被加工部Fを逐次成形する。そして、逐次成形方法は、テンプレートP6A,P6Bを配置した部位で、被加工部Fの縁部の形状凍結性を高め、被加工部Fの縦壁(成形面)の張力を増大させて被加工部Fの変形を抑制し、寸法精度の高い被加工部Fを成形する。
[0055]
 また、上記の逐次成形方法では、金属板Wの両面にテンプレートP6A,P6Bを配置して逐次成形を行うので、金属板Wの拘束力がさらに高められ、金属板Wのスプリングバックをより確実に防止する。これにより、逐次成形方法では、縁部の形状凍結性がより一層向上し、被加工部(成形品)Fの寸法精度のさらなる向上を実現する。
[0056]
 本発明に係わる逐次成形方法は、その構成が上記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成を適宜変更することができる。金属板の姿勢は、水平だけでなく、垂直状態や傾斜状態であっても良い。また、移動可能な固定治具を使用して、工具と金属板とを相対的に移動させても良い。
[0057]
 さらに、逐次成形方法は、三次元形状の様々な被加工部の成形に適用することができ、とくに、自動車の車体パネルのように車種毎に異なる被加工部を製造するのに好適であり、設備費及びコストの低減に非常に有効である。

符号の説明

[0058]
 1 固定治具
 E 成形縁部
 F 被加工部
 P1~P5 テンプレート
 P6A,P6B テンプレート
 T 工具
 W 金属板
 θ 成形角度

請求の範囲

[請求項1]
 金属板の一方の面側に配置した工具を用いて、前記金属板に他方の面側に突出した三次元形状の被加工部を逐次成形するに際し、
 前記金属板の周囲を挟持する固定治具と、前記被加工部の輪郭の少なくとも一部に沿った成形縁部を有するテンプレートとを用い、
 前記テンプレートを前記金属板の他方の面側に配置し、
 前記固定治具により前記テンプレートとともに前記金属板の周囲を挟持して固定し、
 前記金属板の一方の面に前記工具を押し付けて移動させることにより、前記金属板に三次元形状の前記被加工部を逐次成形することを特徴とする逐次成形方法。
[請求項2]
 前記固定治具から前記被加工部の輪郭に至る距離が相対的に大きい部位に前記テンプレートを配置して、前記被加工部を逐次成形することを特徴とする請求項1に記載の逐次成形方法。
[請求項3]
 前記工具の移動経路を前記被加工部の中心方向に変更する部位に前記テンプレートを配置して、前記被加工部を逐次成形することを特徴とする請求項1に記載の逐次成形方法。
[請求項4]
 前記金属板の成形前の面と前記被加工部の成形後の面とが成す角度を成形角度とし、前記成形角度が相対的に小さい部位に前記テンプレートを配置して、前記被加工部を逐次成形することを特徴とする請求項1に記載の逐次成形方法。
[請求項5]
 前記テンプレートが、前記金属板が接触する角部にR形状を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の逐次成形方法。
[請求項6]
 前記テンプレートと同形の成形縁部を有し且つ前記金属板の一方の面側に配置される第2のテンプレートを用い、

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]