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1. WO2020004479 - ビスコースレーヨン不織布用処理剤及びビスコースレーヨン

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明 細 書

発明の名称 ビスコースレーヨン不織布用処理剤及びビスコースレーヨン

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014  

発明の効果

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035  

実施例

0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : ビスコースレーヨン不織布用処理剤及びビスコースレーヨン

技術分野

[0001]
 本発明は、ビスコースレーヨンの親水性を阻害することなく、優れた工程通過性をビスコースレーヨンに付与するビスコースレーヨン不織布用処理剤及びかかる処理剤が付着したビスコースレーヨンに関する。

背景技術

[0002]
 一般に、不織布に使用される原料繊維として、木綿繊維等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ポリオレフィン等の合成樹脂が用いられている。不織布を製造する際に必要とされる潤滑性、集束性等の各種特性を原料繊維に付与するべく、界面活性剤等を含有する不織布用処理剤を原料繊維の表面に付着させる処理が行われることがある。
[0003]
 従来、特許文献1,2に開示される不織布用処理剤が知られている。特許文献1は、不織布用処理剤として、鉱物油、脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル等を含む構成について開示する。特許文献2は、スパンレース用処理剤として、多価アルコール脂肪酸エステルサルフェート塩等を含む構成について開示する。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 国際公開第2016/104106号公報
特許文献2 : 特開2014-240530号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかし、これら従来の不織布用処理剤がビスコースレーヨン不織布に適用される場合、ビスコースレーヨンの親水性が阻害されるとともに、特に高速化された不織布製造機械での工程通過性が悪いという問題があった。
[0006]
 本発明が解決しようとする課題は、ビスコースレーヨンの親水性を阻害することなく、優れた工程通過性をビスコースレーヨンに付与するビスコースレーヨン不織布用処理剤及びビスコースレーヨンを提供する処にある。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、特定の多価アルコール、特定の脂肪酸、及び非イオン界面活性剤を含有して成るビスコースレーヨン不織布用処理剤がまさしく好適であることを見出した。
[0008]
 上記目的を達成するために、本発明の一態様では、分子中に2~6個の水酸基を有する多価アルコール、炭素数12~24の脂肪酸、及び非イオン界面活性剤を含有し、不織布の原料繊維のビスコースレーヨン繊維に付着させて使用されることを特徴とするビスコースレーヨン不織布用処理剤(洗浄又は洗濯用配合物としての適用を除く)が提供される。
[0009]
 前記ビスコースレーヨン不織布用処理剤は、前記多価アルコール、前記脂肪酸、及び前記非イオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量%とすると、前記多価アルコールを0.1~10質量%、前記脂肪酸を0.1~10質量%、及び前記非イオン界面活性剤を80~95質量%の割合で含有することが好ましい。
[0010]
 前記ビスコースレーヨン不織布用処理剤は更に潤滑油を含有することが好ましく、前記潤滑油は、炭化水素化合物、油脂、エステル、及びシリコーンから選ばれる少なくとも一種の油性成分を含み、且つ70℃で液状であることが好ましい。
[0011]
 前記ビスコースレーヨン不織布用処理剤は、前記多価アルコール、前記脂肪酸、前記非イオン界面活性剤、及び前記潤滑油の含有割合の合計を100質量%とすると、前記多価アルコールを0.1~10質量%、前記脂肪酸を0.1~10質量%、前記非イオン界面活性剤を50~95質量%、及び前記潤滑油を1~40質量%の割合で含有することが好ましい。
[0012]
 前記ビスコースレーヨン不織布用処理剤は更にアニオン界面活性剤を含有することが好ましい。
 前記ビスコースレーヨン不織布用処理剤は、前記多価アルコール、前記脂肪酸、前記非イオン界面活性剤、及び前記アニオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量%とすると、前記多価アルコールを0.1~10質量%、前記脂肪酸を0.1~10質量%、前記非イオン界面活性剤を50~95質量%、及び前記アニオン界面活性剤を1~30質量%の割合で含有することが好ましい。
[0013]
 前記ビスコースレーヨン不織布用処理剤は、潤滑油に加えて更にアニオン界面活性剤を含有することが好ましい。
 前記ビスコースレーヨン不織布用処理剤は、前記多価アルコール、前記脂肪酸、前記非イオン界面活性剤、前記潤滑油、及び前記アニオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量%とすると、前記多価アルコールを0.1~10質量%、前記脂肪酸を0.1~10質量%、前記非イオン界面活性剤を50~95質量%、前記潤滑油を1~40質量%、及び前記アニオン界面活性剤を1~30質量%の割合で含有することが好ましい。
[0014]
 前記ビスコースレーヨン不織布用処理剤は、酸価が0.1~30であり、けん化価が20~80であって、水酸基価が80~200であることが好ましい。
 また、本発明の別の態様では、前記ビスコースレーヨン不織布用処理剤が付着していることを特徴とするビスコースレーヨンが提供される。

発明の効果

[0015]
 本発明によると、ビスコースレーヨンの親水性を阻害することなく、優れた工程通過性をビスコースレーヨンに付与することができる。

発明を実施するための形態

[0016]
 (第1実施形態)
 先ず、本発明に係るビスコースレーヨン不織布用処理剤(以下、単に処理剤ともいう)を具体化した第1実施形態について説明する。本実施形態の処理剤(洗浄又は洗濯用配合物としての適用を除く)は、下記の多価アルコール、下記の脂肪酸、及び非イオン界面活性剤を含有して成り、不織布の原料繊維であるビスコースレーヨン繊維に付着させて使用されるものである。
[0017]
 多価アルコールは、分子中に2~6個の水酸基を有する多価アルコールである。これらの多価アルコールは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[0018]
 脂肪酸は、炭素数12~24の脂肪酸である。これらの脂肪酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
 本実施形態の処理剤に供する多価アルコールとしては、上述したように分子中に2~6個の水酸基を有する多価アルコールである。分子中に2~6個の水酸基を有する多価アルコールの具体例としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン等が挙げられる。
[0019]
 炭素数12~24の脂肪酸の具体例としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸等が挙げられる。
[0020]
 本実施形態の処理剤に供する非イオン界面活性剤の種類は、特に限定は無いが、例えば(1)ポリオキシエチレン(オキシエチレン単位の数n(=エチレンオキサイドの付加モル数)が10、すなわちn=10)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(n=20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(n=30)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(n=10)アルキル(炭素数12~13)エーテル、ポリオキシアルキレン(n=10、オキシプロピレン単位の数m(=プロピレンオキサイドの付加モル数)が10、すなわちm=10)ラウリルエーテル等の飽和又は不飽和脂肪族1価アルコールにアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、(2)ポリオキシエチレン(n=10)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(n=20)ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレン(n=20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(n=20)ソルビタントリステアレート等の脂肪族多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるポリオキシアルキレン多価アルコールエーテル、(3)ポリオキシエチレン(n=10)ラウリルエステル、ポリオキシエチレン(n=10)ステアリルエステル、ポリオキシエチレン(n=20)オレイルエステル、ポリオキシアルキレン(n=10、m=10)ステアリルエステル等の飽和又は不飽和脂肪酸にアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるポリオキシアルキレンアルキル(又はアルキレン)エステル、(4)ポリエチレングリコール(分子量400)モノオレート、ポリエチレングリコール(分子量600)ジオレート、ポリエチレングリコール(分子量1000)モノステアレート等の飽和又は不飽和脂肪酸にポリアルキレングリコールを付加反応させて得られるポリアルキレングリコールアルキル(又はアルキレン)エステル、(5)ポリオキシエチレン(n=30)ひまし油エステル、ポリオキシアルキレン(n=10、m=10)ひまし油エステル、ポリオキシエチレン(n=10)硬化ひまし油エステル等の油脂にアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるポリオキシアルキレンの油脂エステル、(6)ポリオキシエチレン(n=10)オクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン(n=10)ノニルフェノールエーテル等のアルキルフェノールにアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、(7)ポリオキシエチレン(n=5)オクチルアミノエーテル、ポリオキシエチレン(n=8)ラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレン(n=20)ステアリルアミノエーテル等の飽和又は不飽和脂肪族アミンにアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるポリオキシアルキレンアミノエーテル等が挙げられる。これらの非イオン界面活性剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、アルキレンオキサイドとして、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを有する場合、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの付加形態は、ブロック付加、ランダム付加、及びブロック付加とランダム付加の組み合わせのいずれでもよく、特に制限はない。
[0021]
 本実施形態の処理剤は、処理剤中の上述した多価アルコール、脂肪酸、及び非イオン界面活性剤の含有比率に制限はない。上述した多価アルコール、脂肪酸、及び非イオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量%とすると、処理剤は多価アルコールを0.1~10質量%、脂肪酸を0.1~10質量%、及び非イオン界面活性剤を80~95質量%の割合で含有して成ることが好ましい。かかる構成の場合、本発明の効果をより向上させることができる。
[0022]
 本実施形態の処理剤は、炭化水素化合物、油脂、エステル、及びシリコーンから選ばれる少なくとも一種の油性成分を含み、且つ70℃で液状である潤滑油を更に含有することができる。この潤滑油を配合することにより、本発明の効果をより向上させることができる。これらの油性成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[0023]
 潤滑油の70℃における状態は、JIS K 0064により測定できる。JIS K 0064には、化学製品の常温以上300℃以下の融点及び溶融範囲を測定するための一般的な方法が規定されている。
[0024]
 炭化水素化合物の具体例としては、例えば鉱物油、パラフィンワックス等が挙げられる。
 油脂の具体例としては、例えばひまし油、ごま油、トール油、パーム油、パーム核油、やし油、菜種油、豚脂、牛脂、鯨油、これらの硬化油等が挙げられる。
[0025]
 エステルの具体例としては、例えばブチルステアレート、ステアリルステアレート、グリセリンモノオレート、グリセリントリオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート等が挙げられる。
[0026]
 シリコーンの具体例としては、例えばジメチルシリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリオキシアルキレン変性シリコーン等が挙げられる。
 本実施形態の処理剤は、処理剤中の上述した多価アルコール、脂肪酸、非イオン界面活性剤、及び潤滑油の含有比率に制限はない。上述した多価アルコール、脂肪酸、非イオン界面活性剤、及び潤滑油の含有割合の合計を100質量%とすると、処理剤は多価アルコールを0.1~10質量%、脂肪酸を0.1~10質量%、非イオン界面活性剤を50~95質量%、及び潤滑油を1~40質量%の割合で含有して成ることが好ましい。かかる構成の場合、本発明の効果をより向上させることができる。
[0027]
 本実施形態の処理剤は、更にアニオン界面活性剤を含有して成ることが好ましい。アニオン界面活性剤を配合することにより、得られたウェブがより優れた工程通過性を示す。特に通過したウェブの制電性がより向上する。アニオン界面活性剤の種類に特に限定は無いが、例えば、(1)ラウリルリン酸エステルアルカリ金属塩、セチルリン酸エステルアルカリ金属塩、オレイルリン酸エステルアルカリ金属塩、ステアリルリン酸エステルアルカリ金属塩等の脂肪族アルコールのリン酸エステルのアルカリ金属塩、(2)ポリオキシエチレン(n=5)ラウリルエーテルリン酸エステルのアルカリ金属塩、ポリオキシエチレン(n=5)オレイルエーテルリン酸エステルのアルカリ金属塩、ポリオキシエチレン(n=10)ステアリルエーテルリン酸エステルのアルカリ金属塩等の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも一種のアルキレンオキサイドを付加したもののリン酸エステルのアルカリ金属塩、(3)ラウリルスルホン酸エステルのアルカリ金属塩、オレイルスルホン酸エステルのアルカリ金属塩、ステアリルスルホン酸エステルのアルカリ金属塩等の脂肪族アルコールのスルホン酸エステルのアルカリ金属塩、(4)ラウリル硫酸エステルのアルカリ金属塩、オレイル硫酸エステルのアルカリ金属塩、ステアリル硫酸エステルのアルカリ金属塩等の脂肪族アルコールの硫酸エステルのアルカリ金属塩、(5)ポリオキシエチレン(n=3)ラウリルエーテル硫酸エステルのアルカリ金属塩、ポリオキシエチレン(n=5)ラウリルエーテル硫酸エステルのアルカリ金属塩、ポリオキシアルキレン(n=3、m=3)ラウリルエーテル硫酸エステルのアルカリ金属塩、ポリオキシエチレン(n=3)オレイルエーテル硫酸エステルのアルカリ金属塩、ポリオキシエチレン(n=5)オレイルエーテル硫酸エステルのアルカリ金属塩等の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも一種のアルキレンオキサイドを付加したものの硫酸エステルのアルカリ金属塩、(6)ひまし油脂肪酸硫酸エステルのアルカリ金属塩、ごま油脂肪酸硫酸エステルのアルカリ金属塩、トール油脂肪酸硫酸エステルのアルカリ金属塩、大豆油脂肪酸硫酸エステルのアルカリ金属塩、なたね油脂肪酸硫酸エステルのアルカリ金属塩、パーム油脂肪酸硫酸エステルのアルカリ金属塩、豚脂脂肪酸硫酸エステルのアルカリ金属塩、牛脂脂肪酸硫酸エステルのアルカリ金属塩、鯨油脂肪酸硫酸エステルのアルカリ金属塩等の脂肪酸の硫酸エステルのアルカリ金属塩、(7)ひまし油の硫酸エステルのアルカリ金属塩、ごま油の硫酸エステルのアルカリ金属塩、トール油の硫酸エステルのアルカリ金属塩、大豆油の硫酸エステルのアルカリ金属塩、菜種油の硫酸エステルのアルカリ金属塩、パーム油の硫酸エステルのアルカリ金属塩、豚脂の硫酸エステルのアルカリ金属塩、牛脂の硫酸エステルのアルカリ金属塩、鯨油の硫酸エステルのアルカリ金属塩等の油脂の硫酸エステルのアルカリ金属塩、(8)ラウリン酸のアルカリ金属塩、オレイン酸のアルカリ金属塩、ステアリン酸のアルカリ金属塩等の脂肪酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。
[0028]
 本実施形態の処理剤は、処理剤中の上述した多価アルコール、脂肪酸、非イオン界面活性剤、及びアニオン界面活性剤の含有比率に制限はない。上述した多価アルコール、脂肪酸、非イオン界面活性剤、及びアニオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量%とすると、処理剤は多価アルコールを0.1~10質量%、脂肪酸を0.1~10質量%、非イオン界面活性剤を50~95質量%、及びアニオン界面活性剤を1~30質量%の割合で含有して成ることが好ましい。かかる構成の場合、本発明の効果をより向上させることができる。
[0029]
 本実施形態の処理剤は、処理剤中の上述した多価アルコール、脂肪酸、非イオン界面活性剤、潤滑油、及びアニオン界面活性剤の含有比率に制限はない。上述した多価アルコール、脂肪酸、非イオン界面活性剤、潤滑油、及びアニオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量%とすると、処理剤は多価アルコールを0.1~10質量%、脂肪酸を0.1~10質量%、非イオン界面活性剤を50~95質量%、潤滑油を1~40質量%、及びアニオン界面活性剤を1~30質量%の割合で含有して成ることが好ましい。かかる構成の場合、本発明の効果をより向上させることができる。
[0030]
 本実施形態の処理剤は、処理剤の酸価、けん化価、水酸基価に特に制限はないが、酸価が0.1~30であり、けん化価が20~80であって、水酸基価が80~200であると好ましい。これらの各値をかかる数値範囲に規定することにより、本発明の効果をより向上させることができる。特にけん化価が20~80の場合、より優れた工程通過性が得られる。例えば斑を抑制し、均一なウェブを得ることができる。
[0031]
 ここで規定する酸価、けん化価、水酸基価は、JIS K 0070により測定できる。JIS K 0070には、主として油脂製品、その誘導体及びこれらを含有する化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物を試験する場合の一般的な方法が規定されている。
[0032]
 (第2実施形態)
 次に、本発明に係るビスコースレーヨンを具体化した第2実施形態について説明する。本実施形態のビスコースレーヨンは、第1実施形態の処理剤が付着しているビスコースレーヨンである。付着方法としては、公知の方法、例えば浸漬法、スプレー法、ローラー法等を適用することができる。また、処理剤をどの工程で付着させるかは、特に限定されないが、例えば精錬工程の後工程、紡績工程等が挙げられる。
[0033]
 第1実施形態の処理剤をビスコースレーヨン繊維に付着させる際の処理剤の形態は、例えば有機溶媒溶液又は水性液であってもよい。ビスコースレーヨン繊維の処理方法は、第1実施形態の処理剤を水で希釈して濃度0.5~20質量%の水性液とし、該水性液を不織布の原料繊維であるビスコースレーヨン繊維に対し、溶媒を含まない第1実施形態の処理剤として0.1~1質量%の割合となるよう付着させることが好ましい。第1実施形態の処理剤が付着したビスコースレーヨンをさらにカード機に通過させて不織布を製造する場合、カードの種類としては、特に限定されないが、例えばフラットカード、コンビネーションカード、ローラーカード等が挙げられる。
[0034]
 上記実施形態の処理剤、ビスコースレーヨンによれば、以下のような効果を得ることができる。
 (1)上記実施形態では、分子中に2~6個の水酸基を有する多価アルコール、炭素数12~24の脂肪酸、及び非イオン界面活性剤を含有する処理剤を構成した。したがって、ビスコースレーヨンの親水性を阻害することなく、優れた工程通過性をビスコースレーヨンに付与することができる。特に、工程を通過したウェブに、優れた制電性が付与されるとともに、斑を抑制し、均一なウェブを得ることができる。また、近年の高速化された不織布製造機械においても優れた工程通過性をビスコースレーヨンに付与することができる。また、処理剤は良好なエマルジョン安定性(乳化安定性)を発揮することができる。
[0035]
 なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
 ・上記実施形態の処理剤には、本発明の効果を阻害しない範囲内において、処理剤の品質保持のための安定化剤や制電剤として、つなぎ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の処理剤に通常用いられる成分をさらに配合してもよい。
実施例
[0036]
 以下、本発明の構成及び効果をより具体的に説明するため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例の説明において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
[0037]
 試験区分1(ビスコースレーヨン不織布用処理剤の調製)
 ・ビスコースレーヨン不織布用処理剤(実施例1)の調製
 ソルビトール(A-3)5%、ステアリン酸(B-3)5%、ポリオキシエチレン(n=20)ソルビタンモノステアレート(C-5)16%、ポリオキシエチレン(n=20)ソルビタンモノオレート(C-6)46%、牛脂(D-4)10%、ポリオキシエチレン(n=5)ラウリルエーテルホスフェートカリウム塩(E-2)10%、オレイン酸カリウム塩(E-8)8%となるように調製したビスコースレーヨンの紡績用処理剤100部に水900部を加え、50℃で撹拌し不織布用処理剤(実施例1)を10%含有する水性液を調製した。
[0038]
 ・ビスコースレーヨン不織布用処理剤(実施例1)の酸価、けん化価、水酸基価の測定
 実施例1のビスコースレーヨン不織布用処理剤の酸価、けん化価、水酸基価をJIS K 0070により測定した。
[0039]
 ・ビスコースレーヨン不織布用処理剤(実施例2~27及び比較例1~5)の調製
 実施例1のビスコースレーヨン不織布用処理剤の調製と同様の手順で実施例2~27及び比較例1~5の処理剤を調製した。ただし、使用する多価アルコール、脂肪酸、非イオン界面活性剤、潤滑油、及びアニオン界面活性剤の種類、並びに処理剤中における各成分の含有比率(%)を表1の“多価アルコール”欄、“脂肪酸”欄、“非イオン界面活性剤”欄、“潤滑油”欄及び“アニオン界面活性剤”欄に示されるように適宜に変更した。得られた処理剤の酸価、けん化価、水酸基価をJIS K 0070により測定した結果を表1の“酸価”欄、“けん化価”欄及び“水酸基価”欄に示す。
[0040]
[表1]


 表1において、
A-1:エチレングリコール、
A-2:グリセリン、
A-3:ソルビトール、
A-4:ソルビタン、
B-1:ラウリン酸、
B-2:オレイン酸、
B-3:ステアリン酸、
B-4:ベヘニン酸、
C-1:ポリオキシエチレン(n=10)ラウリルエーテル、
C-2:ポリオキシエチレン(n=20)ステアリルエーテル、
C-3:ポリオキシエチレン(n=30)オレイルエーテル、
C-4:ポリオキシエチレン(n=20)ソルビタンモノラウレート、
C-5:ポリオキシエチレン(n=20)ソルビタンモノステアレート、
C-6:ポリオキシエチレン(n=20)ソルビタンモノオレート、
C-7:ポリオキシエチレン(n=20)ソルビタントリステアレート、
C-8:ポリオキシエチレン(n=10)ラウリルエステル、
C-9:ポリオキシエチレン(n=20)ステアリルエステル、
C-10:ポリエチレングリコール(分子量400)モノオレート、
D-1:鉱物油(粘度30秒)、
D-2:鉱物油(粘度80秒)、
D-3:鉱物油(粘度120秒)、
D-4:牛脂、
D-5:グリセリンモノオレート、
D-6:ソルビタンモノオレート、
D-7:ソルビタントリステアレート、
D-8:ソルビタンモノステアレート、
D-9:パラフィンワックス、
D-10:アミノシリコーン、
E-1:ラウリルホスフェートカリウム塩、
E-2:ポリオキシエチレン(n=5)ラウリルエーテルホスフェートカリウム塩、
E-3:C12-13アルコールスルホネートナトリウム塩、
E-4:牛脂サルフェートナトリウム塩、
E-5:トール油脂肪酸サルフェートナトリウム塩、
E-6:ラウリルサルフェートナトリウム塩、
E-7:ポリオキシエチレン(n=5)ラウリルエーテルサルフェートナトリウム塩、
E-8:オレイン酸カリウム塩、
を示す。
[0041]
 試験区分2(ビスコースレーヨン繊維へのビスコースレーヨン不織布用処理剤の付着)
 表1に記載した各例のビスコースレーヨン不織布用処理剤の水性液をさらに希釈してビスコースレーヨン不織布用処理剤の1%エマルジョンを調製した。各水性エマルジョンを繊度1.3×10 -4g/m(1.2デニール)で繊維長38mmのビスコースレーヨン繊維に、付着量(溶媒を除く)が0.3質量%となるようスプレー給油法で付着させ、80℃の熱風乾燥機で2時間乾燥した。その後、25℃×40%RHの雰囲気下で一夜調湿して、ビスコースレーヨン不織布用処理剤を付着させた処理済みビスコースレーヨンを得た。得られたビスコースレーヨンについて、親水性、及び工程通過性として高速カード特性について評価した。高速カード特性は、具体的には下記に示すように制電性とウェブ性状について評価した。
[0042]
 試験区分3(ビスコースレーヨン不織布用処理剤の評価)
 ・親水性の評価
 上記で得た処理済みビスコースレーヨンを用い、EDANA法(NWSP 010.1.RO(15))により測定を実施した。かかる評価結果を表1の“親水性”欄に示す。
[0043]
 ・親水性の評価基準
◎(優):未処理のビスコースレーヨンと同等の親水性を示す。
○(良):未処理のビスコースレーヨンよりも僅かに親水性は劣るが、問題にならない。
×(不良):未処理のビスコースレーヨンよりも親水性が劣り、問題である。
[0044]
 ・制電性の評価
 上記で得た処理済みビスコースレーヨン10kgを用い、20℃×40%RHの雰囲気下でフラットカード(豊和工業社製)に供し、紡出速度=140m/分の条件で通過させた。紡出されるカードウェブの静電気を以下の基準で判定した。かかる評価結果を表1の“制電性”欄に示す。
[0045]
 ・制電性の評価基準
◎(優):2kV以下。
○(良):2kVを超え且つ4kV以下。
×(不良):4kVより大きい。
[0046]
 ・ウェブ形状の評価
 上記で得た処理済みビスコースレーヨン10kgを用い、30℃×70%RHの雰囲気下でフラットカード(豊和工業社製)に供し、紡出速度=140m/分の条件で通過させた。紡出されるカードウェブの外観形状について以下の基準で判定した。かかる評価結果を表1の“web形状”欄に示す。
[0047]
 ・ウェブ形状の評価基準
◎(優):斑が全くなく、優れて均一である。
○(良):わずかな斑が認められるが、問題にならない。
×(不良):斑が多く確認でき、問題である。
[0048]
 ・乳化安定性の評価
 試験区分1で調製した不織布用処理剤を10%含有する水溶液を50℃で3日間精置し、水溶液の外観を目視で判定した。かかる評価結果を表1の“乳化安定性”欄に示す。
[0049]
 ・乳化安定性の評価基準
◎(優):粒子の析出が全くなく、優れて均一である。
○(良):わずかな粒子の析出は認められるが、問題にならない。
×(不良):粒子の析出が多く、問題である。
[0050]
 表1の結果からも明らかなように、本発明の処理剤によれば、ビスコースレーヨンの親水性を阻害することなく、近年の高速化された機械においても優れた工程通過性をビスコースレーヨンに付与することができ、かつ良好な乳化安定性を発揮できる。

請求の範囲

[請求項1]
 分子中に2~6個の水酸基を有する多価アルコール、炭素数12~24の脂肪酸、及び非イオン界面活性剤を含有し、不織布の原料繊維のビスコースレーヨン繊維に付着させて使用されることを特徴とするビスコースレーヨン不織布用処理剤(洗浄又は洗濯用配合物としての適用を除く)。
[請求項2]
 前記多価アルコール、前記脂肪酸、及び前記非イオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量%とすると、前記多価アルコールを0.1~10質量%、前記脂肪酸を0.1~10質量%、及び前記非イオン界面活性剤を80~95質量%の割合で含有する請求項1に記載のビスコースレーヨン不織布用処理剤。
[請求項3]
 更に潤滑油を含有し、前記潤滑油が炭化水素化合物、油脂、エステル、及びシリコーンから選ばれる少なくとも一種の油性成分を含み、且つ70℃で液状である、請求項1に記載のビスコースレーヨン不織布用処理剤。
[請求項4]
 前記多価アルコール、前記脂肪酸、前記非イオン界面活性剤、及び前記潤滑油の含有割合の合計を100質量%とすると、前記多価アルコールを0.1~10質量%、前記脂肪酸を0.1~10質量%、前記非イオン界面活性剤を50~95質量%、及び前記潤滑油を1~40質量%の割合で含有する請求項3に記載のビスコースレーヨン不織布用処理剤。
[請求項5]
 更にアニオン界面活性剤を含有する請求項1に記載のビスコースレーヨン不織布用処理剤。
[請求項6]
 前記多価アルコール、前記脂肪酸、前記非イオン界面活性剤、及び前記アニオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量%とすると、前記多価アルコールを0.1~10質量%、前記脂肪酸を0.1~10質量%、前記非イオン界面活性剤を50~95質量%、及び前記アニオン界面活性剤を1~30質量%の割合で含有する請求項5に記載のビスコースレーヨン不織布用処理剤。
[請求項7]
 更にアニオン界面活性剤を含有する請求項3に記載のビスコースレーヨン不織布用処理剤。
[請求項8]
 前記多価アルコール、前記脂肪酸、前記非イオン界面活性剤、前記潤滑油、及び前記アニオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量%とすると、前記多価アルコールを0.1~10質量%、前記脂肪酸を0.1~10質量%、前記非イオン界面活性剤を50~95質量%、前記潤滑油を1~40質量%、及び前記アニオン界面活性剤を1~30質量%の割合で含有する請求項7に記載のビスコースレーヨン不織布用処理剤。
[請求項9]
 酸価が0.1~30であり、けん化価が20~80であって、水酸基価が80~200である請求項1~8のいずれか一項に記載のビスコースレーヨン不織布用処理剤。
[請求項10]
 請求項1~9のいずれか一項に記載のビスコースレーヨン不織布用処理剤が付着していることを特徴とするビスコースレーヨン。