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1. WO2020004394 - 生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法及びその製造装置

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明 細 書

発明の名称 生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法及びその製造装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

非特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014  

発明の効果

0015  

図面の簡単な説明

0016  

実験例

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051  

産業上の利用可能性

0052  

符号の説明

0053  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : 生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法及びその製造装置

技術分野

[0001]
 本発明は、生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法及びその製造装置に関する。

背景技術

[0002]
 近年、バイオテクノロジーの進歩と共に、水溶性たんぱく質や水溶性多糖類などの生体由来の水溶性高分子(以下、単に水溶性高分子とも記載)を用いた医薬品が増えているが、溶液状態(水分と水溶性高分子を含有する不飽和溶液)での安定性の確保が困難なことが多く、保存可能な期間が短いため、多くの水溶性高分子は、凍結乾燥方法(以下、「FD」とも記載)により水分を除去し乾燥された状態で保存されている。
 しかし、FDは、氷の昇華を伴う乾燥のため長時間(約1~3日)かかり、また、大きなエネルギーを要する。更に、凍結濃縮による水和状態の変化や氷晶などからの物理的なダメージを受け、水溶性高分子が失活や凝集してしまうことがある。
[0003]
 そこで、FDに代わる新しい乾燥方法として、例えば、非特許文献1に記載のマイクロ波常温乾燥法(以下、「MVD」とも記載)が提案されている。このMVDは、特許文献1に記載のように、減圧条件下で水の沸点を下げて水の蒸発を促進させ、蒸発時に奪われる潜熱のみをマイクロ波により供給し、結果として常温で乾燥する方法である。
 これにより、FDと比べて内部からの水分排出効果による乾燥時間の短縮や常温での乾燥が可能となるため、水溶性高分子の物理的なダメージを防ぐことが期待できる。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特許第4474506号公報

非特許文献

[0005]
非特許文献1 : 鶴田隆治、他3名、「マイクロ波を用いたタンパク質製剤の乾燥保存に関する研究」、第53回日本伝熱シンポジウム講演論文集、2016年5月

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 MVDにより、水溶性高分子の乾燥時間は、FDと比較して短縮できるが、更なる大幅な短縮が求められていた。
 また、水溶性高分子の使用にあっては、乾燥保存された水溶性高分子を液体(水)に溶解させる必要があるが、MVDで乾燥された水溶性高分子は厚い膜状物であるため、FDで乾燥された多孔質状の水溶性高分子と比較して、溶解速度が遅く、溶解時間もかかっていた。なお、MVDとFDを組み合わせることで、溶解性の改善を図ることもできるが、FDを用いるため、水溶性高分子の乾燥時間が、MVDのみの場合と比較して長くなるという問題がある。
[0007]
 本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、従来よりも大幅な乾燥時間の短縮が図れ、溶解性も良好な生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法及びその製造装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 前記目的に沿う本発明に係る生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法は、減圧条件下で、水分と生体由来の水溶性高分子を含有する不飽和溶液にマイクロ波を照射し、前記水溶性高分子の変性温度未満で前記不飽和溶液の水分を沸騰させ、該沸騰で生じる蒸気により、見掛けの体積が初期の体積に対して10倍以上になるように、前記不飽和溶液を泡状に膨らませながら水分を除去する乾燥処理を行う。
[0009]
 本発明に係る生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法において、前記乾燥処理の際に、前記不飽和溶液に含まれる水分を予め設定した量まで減少させた後、圧力と前記不飽和溶液の温度を、前記不飽和溶液に含まれる水分が予め設定した量まで減少した際の圧力と前記不飽和溶液の温度よりも上昇させて、前記不飽和溶液に殺菌処理を行うことが好ましい。
[0010]
 本発明に係る生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法において、前記乾燥処理を行って得られた乾燥品を破砕し粉末化することが好ましい。
[0011]
 本発明に係る生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法において、前記不飽和溶液は疎水性の容器に入れた状態で、前記乾燥処理が行われることが好ましい。
[0012]
 前記目的に沿う本発明に係る生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造装置は、水分と生体由来の水溶性高分子を含有する不飽和溶液を内部に配置するチャンバと、
 前記チャンバ内の前記不飽和溶液の温度を検知する温度検知手段と、
 前記チャンバ内の圧力を減圧状態にする減圧手段と、
 前記チャンバ内の前記不飽和溶液にマイクロ波を照射して加熱するマイクロ波加熱手段と、
 前記温度検知手段で取得した温度データに基づいて、前記減圧手段を、前記不飽和溶液の水分が沸騰する温度が前記水溶性高分子の変性温度未満になるように制御すると共に、前記マイクロ波加熱手段を、前記不飽和溶液の水分を沸騰させ、該沸騰で生じる蒸気により、前記不飽和溶液が泡状に膨らんで見掛けの体積が初期の体積の10倍以上になるように制御する制御手段とを有する。
[0013]
 本発明に係る生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造装置において、前記制御手段は、前記減圧手段と前記マイクロ波加熱手段を、前記不飽和溶液に含まれる水分が予め設定した量まで減少したことを条件として、前記不飽和溶液の温度が該不飽和溶液を殺菌処理できる温度まで上昇するように制御することが好ましい。
[0014]
 本発明に係る生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造装置において、更に、前記不飽和溶液を収容し前記チャンバ内に配置される疎水性の容器を有することが好ましい。

発明の効果

[0015]
 本発明に係る生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法及びその製造装置は、減圧条件下で不飽和溶液にマイクロ波を照射し、水溶性高分子の変性温度未満で不飽和溶液の水分を沸騰させ、この沸騰で生じる蒸気により不飽和溶液を泡状に膨らませながら水分を除去するので、沸騰に伴って不飽和溶液の気液境界面積が広がり水分の揮発が促進され、従来のMVDと比較して、乾燥時間の短縮が図れる。また、これにより得られる生体由来の水溶性高分子乾燥品は、薄膜状の発泡片となるため、従来のMVDで乾燥された厚い膜状のものと比較して、液体(水)に接する面積を広くでき溶け易いため、溶解速度を速くでき、溶解時間を短縮できる。
 従って、従来よりも乾燥時間の短縮が図れ(半分以下)、溶解性も良好な生体由来の水溶性高分子乾燥品を提供できる。

図面の簡単な説明

[0016]
[図1] 本発明の一実施例に係る生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造装置の説明図である。
[図2] (A)は同生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造装置を使用して製造した卵白の乾燥品を平面視した写真、(B)は同卵白の乾燥品を側面視した写真、(C)は同卵白の乾燥品をシャーレ上に載せた写真、(D)は従来例に係る卵白の乾燥品の写真である。
[図3] 卵白の分子構造解析を行った結果を示すグラフである。
[図4] 乾燥時における卵白の含水率の時間変化を示すグラフである。
[図5] 乾燥時における卵白の乾燥速度を示すグラフである。
[図6] 卵白の乾燥品の溶解性を示すグラフである。
[0017]
 続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施例につき説明し、本発明の理解に供する。
 まず、図1に示す本発明の一実施例に係る生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造装置10を使用して製造される生体由来の水溶性高分子乾燥品(以下、単に水溶性高分子乾燥品又は乾燥品とも記載)について説明する。
 生体由来の水溶性高分子乾燥品は、水分と生体由来の水溶性高分子(以下、単に水溶性高分子とも記載)を含有する不飽和溶液を乾燥処理することで得られるものである。この生体由来の水溶性高分子には、水溶性たんぱく質や水溶性多糖類等があり、特に、卵白蛋白質や卵黄蛋白質(卵白や卵黄)、アルブミン、リゾチーム、プラセンタエキス、コラーゲン(ゼラチン)、ヒアルロン酸、グルコサミノ グリカン、フコダイン、アルギン酸塩、ペクチン等がある(これらのいずれか2以上の混合物でもよい)。
[0018]
 この生体由来の水溶性高分子乾燥品の一例である卵白の乾燥品A(実験例)について、図2(A)~(C)を参照しながら説明する。なお、図2(A)は製造直後のビーカー内の卵白の乾燥品(生体由来の水溶性高分子乾燥品の一例)を平面視した写真であり、(B)は同卵白の乾燥品を側面視した写真であり、(C)は製造直後のテフロン(登録商標、以下同様)製の容器内の卵白の乾燥品を、容器を逆さまにし衝撃を付与してシャーレ上に落とした卵白の乾燥品Aである。この図2(A)、(B)でガラス製のビーカーを用いているのは、卵白の乾燥品の発泡状況を確認し易くするためであり、図2(C)でテフロン製の容器を用いているのは、高い粘性を有する不飽和溶液から製造される卵白の乾燥品を容器から取り出し易くするためである。このように、卵白の乾燥品の製造に際し、ガラス製のビーカーとテフロン製の容器をそれぞれ用いているが、製造された乾燥品の品質は同じである。
 不飽和溶液は高い粘性を有するため、製造直後の卵白の乾燥品は、その製造過程において不飽和溶液がシャボン玉状に大きく膨らみ(発泡状態になり)、図2(A)、(B)に示すように、径が数cmに及ぶ大きな泡を多数有し、見掛けの体積が、乾燥前の不飽和溶液の体積(初期の体積)に対して数十倍(10倍以上)になった状態で乾燥される。
[0019]
 この卵白の乾燥品を使用する際には、上記した乾燥状態の泡等をそのままの状態で使用できるが、上記したように容器を逆さまにして落とした状態で使用することもでき、更には泡等を破砕し粉末化して使用することもできる(卵白の乾燥品の保存も、乾燥状態の泡等をそのままの状態で行ってもよく、容器を逆さまにして落とした状態で行ってもよく、更には粉末化した状態で行ってもよい。)。
 上記した図2(C)に示す卵白の乾燥品Aは、薄膜状の発泡片(乾燥前の不飽和溶液の含水率(初期含水率)を1として、乾燥後の含水率(最終含水率)が0.05以下)となっている。ここで、薄膜の厚みは、例えば、500μm以下(更には300μm以下)程度である。なお、図2(A)、(B)に示すビーカー内の卵白の乾燥品も同様である。
 また、前記した非特許文献1に記載のマイクロ波常温乾燥法(MVD)を用いて泡状に発泡させることなく乾燥して得られた卵白の乾燥品B(比較例)の写真を図2(D)に示す。卵白の乾燥品Bは、数mmの厚い膜状物となっている。
 このように、卵白の乾燥品Aの形態は、卵白の乾燥品Bとは異なっている。
[0020]
 次に、図1を参照しながら、本実施例に係る生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造装置(以下、単に製造装置とも記載)10について説明する。
 製造装置10は、減圧容器(チャンバの一例)11、光ファイバー温度計(温度検知手段の一例)12、減圧ポンプ(減圧手段の一例)13、マイクロ波加熱手段14、及び、制御手段15を有している。
[0021]
 減圧容器11は、不飽和溶液を内部に配置するものであり、減圧容器11内を減圧することで密閉される。この減圧容器11には、外部の空気を減圧容器11内に供給する吸気用配管16が接続され、この吸気用配管16に流量計17と流量調整弁18が設けられている。
 光ファイバー温度計12は、その温度検出部を不飽和溶液に浸漬(接触)させ、減圧容器11内の不飽和溶液の温度を検知するものである。
 減圧ポンプ13(例えば、真空ポンプ)は、減圧容器11に接続され、減圧容器11内の圧力を減圧状態にするものである。なお、減圧ポンプ13には、油水分離器19が接続されている。
[0022]
 マイクロ波加熱手段14は、マグネトロン(マイクロ波発生素子)を備えたマイクロ波発信器20を有し、減圧容器11内の不飽和溶液に、例えば、周波数が2.45GHzのマイクロ波を照射して加熱するものである。マイクロ波は、例えば、波長の範囲が1~30cm、周波数の範囲が1~30GHzを指す電磁波の総称であって、金属によって反射されるが、水等には吸収され易い性質を有している。
 このマイクロ波加熱手段14はアイソレータ21を有し、減圧容器11から戻ってくる反射波を吸収することで、マイクロ波発信器20内のマグネトロンを保護している。
[0023]
 マイクロ波加熱手段14で加熱される不飽和溶液は、容器(図示しない)に入れた状態で、減圧容器11の内部に配置されている(製造装置10が容器を有している。)。
 容器の材質は、マイクロ波加熱手段14の使用によって変形や変質しないものであれば、特に限定されるものではない。例えば、前記したガラス製のビーカーを使用できるが、製造した卵白等の水溶性高分子の乾燥品の容器からの離型性(剥離性)を考慮すれば疎水性の容器、具体的には、前記したテフロン(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))製の容器を使用することが好ましい。なお、他の材質としては、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)やテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素樹脂、あるいは、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)等が挙げられる。
 また、ガラス製の容器の内面に、上記した材質のシート材を配置してもよい。
[0024]
 制御手段15は、計測部22、操作部23、及び、コンピュータ24を有している。
 計測部22には、光ファイバー温度計12で得られた温度データと、減圧容器11に設けられた圧力計(圧力センサ)25で得られた圧力データが送信される。
 操作部23は、前記した減圧容器11、減圧ポンプ13、マイクロ波加熱手段14(マイクロ波発信器20とアイソレータ21のマイクロ波電源26)、及び、油水分離器19の各動作(例えば、オンオフや出力調整)を行うためのものである。
 コンピュータ24は、計測部22が受信した温度データと圧力データに基づき、操作部23に指令を出すものである。
[0025]
 上記した制御手段15は、光ファイバー温度計12から送信される温度データと、圧力計25から送信される圧力データに基づき、減圧ポンプ13の出力制御を行って減圧容器11内の圧力を調整すると共に、マイクロ波加熱手段14のマイクロ波発信器20の出力制御を行って不飽和溶液の温度を調整するものである。この減圧ポンプ13の出力は、光ファイバー温度計12からの温度データに基づいて制御できるが、この温度データ(光ファイバー温度計12)を用いることなく、圧力計25からの圧力データに基づいて制御することもできる。この場合、水の沸点は気圧条件によって決まるため、温度と圧力の関係を予めグラフ化しておき、このグラフから、沸点が水溶性高分子の変性温度未満になるように圧力条件を算出する。
[0026]
 減圧ポンプ13の出力制御は、減圧容器11内の圧力を低下させ(減圧状態にし)、不飽和溶液の水分が沸騰する温度(以下、沸点とも記載)が水溶性高分子の変性温度未満になるように行われる。
 これは、不飽和溶液を加熱する場合に、熱の影響が大きくなると(変性温度以上になると)、水溶性高分子の分子構造が壊れて必要な機能が得られなくなることによる。
 この水溶性高分子の変性温度は、予め分子構造解析(例えば、円二色性分散計を用いた解析)を行って確認することが好ましい。
[0027]
 マイクロ波加熱手段14のマイクロ波発信器20の出力制御は、減圧容器11内の不飽和溶液を加熱し、不飽和溶液の水分を沸騰させ、この沸騰で局所的に生じる蒸気(気体)により、見掛けの体積が初期の体積に対して10倍以上になるように、不飽和溶液が泡状に大きく膨らむように行われる。この不飽和溶液を泡状にする温度は、上記したように、水溶性高分子の変性温度未満であるため、水溶性高分子の分子構造が壊れずに維持できる。
 このように、不飽和溶液を泡状にしながら乾燥処理するに際し、径が数cmに及ぶ大きな泡を多数有し、見掛けの体積を、乾燥前の不飽和溶液の体積に対して10倍以上にすることで、得られる水溶性高分子乾燥品は、厚い膜状(図2(D)参照)になることなく、薄膜状(図2(A)~(C)参照)になる。なお、見掛けの体積が大きくなるに伴い、発泡による泡の薄膜化で乾燥時間の更なる短縮が図れ、また、得られる水溶性高分子乾燥品の薄膜化で後述する液体への溶解性が良好になることから、乾燥前の不飽和溶液の体積に対する見掛けの体積を、30倍以上、更には50倍以上にすることが好ましい。一方、上限値は、上記した理由から特に限定されるものではないが、見掛けの体積の上昇に伴って効果の顕著な上昇が望めなくなることから、例えば、500倍程度である。
[0028]
 更に、制御手段15は、不飽和溶液を殺菌処理できるように、減圧ポンプ13とマイクロ波発信器20の出力制御を行うものであることが好ましい。この減圧ポンプ13とマイクロ波発信器20の出力制御は、不飽和溶液に含まれる水分(以下、水分含有量とも記載)が、予め設定した量まで減少したことを条件として行われる。
 水分含有量が多い不飽和溶液を加熱した場合、上記したように、熱の影響によって水溶性高分子が変性し易くなる。このため、予め設定した不飽和溶液の水分含有量を、不飽和溶液の初期の水分含有量を100質量%として、60質量%以下、更には50質量%以下とすることが好ましい。このように、乾燥がある程度進んだ状態であれば(不飽和溶液の水分含有量が少なければ)、水溶性高分子は短時間高温に曝されても変性しない(変性しにくい)ため、下限値については規定していないが、殺菌処理を有効に行うには、不飽和溶液の水分含有量を20質量%、更には30質量%とすることが好ましい。
[0029]
 減圧ポンプ13の出力制御は、減圧容器11内の圧力が現状(水分含有量が予め設定した量となった時点での圧力)よりも上昇するように(好ましくは、大気圧未満の範囲で)行われる。即ち、吸気用配管16から減圧容器11内に外気を供給して、圧力が安定するように減圧ポンプ13を動作させる。
 この減圧容器11内の圧力は、マイクロ波発信器20の出力制御を行って(出力を上昇させて)不飽和溶液を加熱する際に、不飽和溶液の温度を現状(水分含有量が予め設定した量となった時点での温度)よりも上昇させて、不飽和溶液を殺菌処理できる温度(例えば、変性温度以上)となるように調整する。
 このように、不飽和溶液の温度を上昇させた後は、再度、減圧ポンプ13の出力を不飽和溶液の沸点が水溶性高分子の変性温度未満になるように制御すると共に、マイクロ波発信器20の出力を、不飽和溶液を泡状にしながら水分を除去できるように制御する。
[0030]
 上記したように、不飽和溶液を泡状にしながら水分を除去するに際しては、膨出した不飽和溶液から発生した気体(水分)を、気流によって外部に排出することにより、不飽和溶液の乾燥を促進することが好ましい。以下に説明する。
 減圧容器11内を減圧状態に保つため、減圧ポンプ13によって吸引される減圧容器11内の空気と、吸気用配管16から減圧容器11内に供給される外気をそれぞれ、圧力調整弁(図示しない)と流量調整弁18によって調整する。
 マイクロ波の照射によって蒸発した減圧容器11内の水は、減圧ポンプ13(減圧容器11の気体排出口から減圧用パイプ)を介して、減圧容器11の外部に放出することができる。このように、減圧容器11内の水を除去することにより、減圧容器11内の湿度を下げることができ、乾燥を更に促進できる。
[0031]
 また、流量調整弁18を開くことにより、外気は吸気用配管16を介して減圧容器11内に供給される(例えば、数百cc/分程度)。このとき、上記したように、減圧容器11内は減圧ポンプ13によって減圧されているので、吸気用配管16を介して減圧容器11内に流入する外気と同程度の、減圧容器11内の気体と蒸気を、減圧容器11内から外部へ排出することで、減圧容器11内の真空度は保たれ、常温乾燥が維持される。
 これにより、不飽和溶液の周囲に気流が発生するため、不飽和溶液の周囲に滞留し充満する蒸気が気流に乗って減圧容器11の外部へ排出されるため、不飽和溶液の乾燥が促進される。
[0032]
 なお、不飽和溶液を殺菌処理する場合は、減圧容器11内への外気の流入量を、減圧ポンプ13による減圧容器11内の空気の排出量より増やすことで、減圧容器11内の気圧を高めることができる。これにより、沸点を殺菌可能な温度まで上昇でき、不飽和溶液を殺菌処理できる。
 上記した外気には、一般に空気を使用できるが、窒素ガスやアルゴンガス(希ガス)等の不活性ガスを用いることが好ましく、これにより、水溶性高分子が酸化され易い物質の場合に、空気に含まれる酸素による変質を防止できる。特に、外気に、水分が除去された乾燥状態(低湿度)の外気を使用することで、不飽和溶液の乾燥を更に促進できる。
[0033]
 続いて、本発明の一実施例に係る生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法について、図1を参照しながら説明する。
 まず、乾燥処理する不飽和溶液について分子構造解析を行い、水溶性高分子の変性温度を確認する。この分子構造解析には、円二色性分散計(以下、円二色性をCDとも記載)を用いることができるが、これに限定されるものではない。
 次に、容器に入れた不飽和溶液を減圧容器11内に装入する。このとき、光ファイバー温度計12の温度検出部を不飽和溶液に浸漬させる。
[0034]
 制御手段15により減圧ポンプ13を作動させ、減圧容器11内を、不飽和溶液の沸点が水溶性高分子の変性温度未満になるまで減圧する。この減圧容器11内の圧力は圧力計25によって検出できる。
 ここで、減圧容器11内の圧力は、不飽和溶液の種類にもよるが、例えば、20kPa以下にする。なお、水分の沸点を下げることで発泡し易くなることを考慮すれば、10kPa以下にすることが好ましく、更には5kPa以下にすることが好ましい。一方、下限値については規定していないが、減圧ポンプの能力(減圧に要する時間)等を考慮すれば、真空状態まで低下させなくてもよい。
[0035]
 上記したように、減圧容器11内を減圧状態にした後、制御手段15によりマイクロ波加熱手段14を作動させ、不飽和溶液にマイクロ波を照射し、水溶性高分子の変性温度未満で不飽和溶液の水分を沸騰させる。ここで、マイクロ波加熱手段14のマイクロ波発信器20の出力制御は、沸騰で生じる蒸気により、見掛けの体積を初期の体積の10倍以上(乾燥時間の更なる短縮や液体への溶解性を考慮すれば、好ましくは、下限を30倍、更には50倍、一方上限値は、効果の顕著な上昇が望めなくなることから、500倍程度)に不飽和溶液が泡状に膨らむように行う。
 このように、減圧条件下で、不飽和溶液を泡状にしながら水分を除去する乾燥処理を、乾燥前の不飽和溶液の含水率(初期含水率)を1として乾燥後の含水率(最終含水率)が0.05以下となるまで行うことにより、薄膜状の発泡片である水溶性高分子乾燥品が得られる。
[0036]
 また、上記した乾燥処理の過程において、不飽和溶液に殺菌処理を行うこともできる。
 この殺菌処理は、不飽和溶液に含まれる水分を予め設定した量まで減少させた後、制御手段15により減圧ポンプ13とマイクロ波発信器20の出力制御を行う。
 ここで、予め設定した不飽和溶液の水分含有量とは、前記したように、不飽和溶液の初期の水分含有量を100質量%として、60質量%以下、更には50質量%以下(下限値を、20質量%、更には30質量%)であることが好ましい。この乾燥処理の過程にある不飽和溶液の水分含有量は、例えば、時間経過に伴う不飽和溶液の質量変化を予め測定しておくことで推定できるが、水分含有量が分かれば特に限定されるものではない。
[0037]
 制御手段15による減圧ポンプ13とマイクロ波発信器20の出力制御は、圧力を現状(水分含有量が予め設定した量となった時点での圧力)よりも上昇させる(加圧する)と共に、不飽和溶液の温度を現状(水分含有量が予め設定した量となった時点での温度)よりも上昇させるように行う。
 不飽和溶液を殺菌処理するには、マイクロ波発信器20の出力を上昇させ、不飽和溶液の温度を上昇させて、不飽和溶液を殺菌処理できる温度まで上昇させる必要がある。このため、吸気用配管16から減圧容器11内に外気を供給して、圧力が安定するように減圧ポンプ13を動作させる。
[0038]
 不飽和溶液を殺菌処理するに際しては、水溶性高分子の変性を抑制、更には防止するため、短時間で高温殺菌を行うことが好ましい。以下、具体的に説明する。
 減圧容器11内の圧力は、不飽和溶液の種類にもよるが、例えば、50kPa以上、好ましくは70kPa以上にする。一方、減圧容器11内の圧力を上昇できれば不飽和溶液の沸点も上昇できるため、上限値は特に規定されるものではないが、殺菌処理後に乾燥処理を減圧条件下で行うことを考慮すれば、例えば、200kPa、好ましくは100kPaにするのがよい。
 上記した減圧容器11内の圧力に相当する不飽和溶液の沸点は、従来公知の水の蒸気圧曲線から得られ、50kPaでは80℃、70kPaでは90℃、200kPaでは120℃、100kPaでは100℃である。なお、減圧容器11内の圧力の調整は、不飽和溶液の沸点が水溶性高分子の変性温度以上になるように行ってもよい。
[0039]
 ここで、殺菌処理の時間は、不飽和溶液の温度が高くなるに伴って、殺菌時間が短くなるように、加熱時間(マイクロ波の照射時間)を制御する。なお、殺菌処理の時間は、不飽和溶液の種類にもよるが、例えば、90℃では10秒前後、120℃では数秒程度、150℃では1秒程度、でよい。
 上記したように、乾燥がある程度進んだ状態であれば(不飽和溶液の水分含有量が少なければ)、短時間(数分未満、好ましくは数十秒程度、更に好ましくは数秒程度)高温に曝されても、加熱による影響はほとんどなく、水溶性高分子が変性しない(変性しにくい)。
 このように、不飽和溶液の殺菌処理を行った後は、引き続き乾燥処理を行う。具体的には、制御手段15による減圧ポンプ13とマイクロ波発信器20の出力制御を、圧力を現状(殺菌処理の終了時点での圧力)よりも低下させる(減圧する)と共に、不飽和溶液の温度を現状(殺菌処理の終了時点での温度)よりも低下させ、水溶性高分子の変性温度未満で不飽和溶液の水分を沸騰させて泡状にしながら水分を除去できるように行う。
[0040]
 これにより、殺菌処理がなされた水溶性高分子乾燥品(初期含水率を1として最終含水率が0.05以下である薄膜状の発泡片)が得られる。
 この水溶性高分子乾燥品は、乾燥状態の泡等をそのままの状態で保存することができるが、前記したように容器を逆さまにして落とした状態で保存することもでき、更には泡等を破砕し粉末化して保存することもできる。
 使用にあっては、乾燥保存された水溶性高分子乾燥品を、水や生理食塩水等の液体に溶解させる(保存することなく、製造した水溶性高分子乾燥品をそのまま液体に溶解させる)こともできる。

実験例

[0041]
 次に、本発明の作用効果を確認するために行った実験例について説明する。
 ここでは、卵白(水分と生体由来の水溶性高分子を含有する不飽和溶液の一例)を用いて、以下の試験を行った。
 まず、前記した卵白を泡状に発泡させながら乾燥した乾燥品A(生体由来の水溶性高分子乾燥品)を評価するため、分子構造解析を行った結果について、図3を参照しながら説明する。この分子構造解析は、円二色性分散計(日本分光(株)製J-820)を用いて、波長:205~240nm、測定温度:25℃(常温)の条件で行った。
[0042]
 試料には、卵白の乾燥品A(実験例:一点鎖線)以外に、前記した発泡させることなく乾燥した卵白の乾燥品B(比較例:細実線)、熱損傷を示す参照試料として98℃で10分加熱した後25℃で20分間静置させた卵白(点線)、未処理の卵白(太実線)、を用いた。
 卵白の乾燥品Aと乾燥品Bの波形はともに、未処理の卵白の波形に対してやや変化しているが、乾燥による影響はほとんどなく、卵白の主成分であるアルブミンのへリックス構造が壊れずにほぼ維持できていることが分かった。一方、98℃で加熱処理した卵白は、未処理の卵白と比較して208~230nmでCD強度が減少し、特に210nmと220nm付近のピークが減少かつ乖離しており、アルブミンのへリックス構造が解けてランダム構造に変化していることが分かった。
[0043]
 次に、減圧条件下での卵白の発泡が乾燥時間に及ぼす影響を検討した結果を、図4を参照しながら説明する。
 ここでは、原料として卵白5gを100ccのピーカーに入れ、減圧条件下(5kPa)で、マイクロ波発信器の出力を、50W(×印)、100W(◇印)、150W(□印)、及び、200W(○印)にそれぞれ調整して、最終含水率が0.05以下になるまで、卵白を乾燥させた。このマイクロ波発信器の出力が150Wと200Wでは、乾燥開始から終了まで卵白の発泡状態が維持され、出力50Wでは卵白は発泡せず(気泡は発生したが成長なし)、出力100Wでは、乾燥開始から中盤まで卵白の発泡状態が維持され、中盤から終了までは卵白は更なる発泡をしなかった(中盤までの卵白の発泡状態が継続)。
 マイクロ波発信器の出力を50Wとすることで、従来法であるFDと比較して卵白の乾燥時間(約1~3日)を大幅に短縮できるが(乾燥時間:85分程度)、更に出力を上昇させ発泡状態を維持することで含水率が短時間で急激に低下し、乾燥時間の更なる短縮が図れることが分かった。特に、卵白を乾燥開始から乾燥終了まで泡状に発泡させながら乾燥させた出力150Wと200Wでは、乾燥時間を20分未満(15分程度)まで短縮できた。
[0044]
 ここで、上記したマイクロ波発信器の出力(50W、100W、150W、及び、200W)が卵白の乾燥処理に及ぼした影響について、更に詳細に説明する。
 圧力条件が20kPaの場合、従来公知の水の蒸気圧曲線から、沸点は60℃となる。このとき、マイクロ波発信器の出力を100Wに設定すると、卵白の温度(卵白近傍の雰囲気温度、以下同様)は40℃以下であった(前記した非特許文献1に記載のマイクロ波常温乾燥法(MVD)に相当)。
 この条件下で卵白を乾燥処理した場合、水の沸点(60℃)が高いため、供給エネルギーが100Wでも水分は沸騰することなく徐々に蒸発し、卵白は発泡しないまま乾燥処理され、内部に数ミリ程度の気泡を含有する、厚さ数mmのフィルム状の乾燥品(厚い膜状物)が得られた(図2(D)参照)。
[0045]
 圧力条件が5kPaの場合、従来公知の水の蒸気圧曲線から、沸点は30℃となる。このとき、マイクロ波発信器の出力を50Wに設定すると、卵白の温度は40℃以下であった。
 この条件下で卵白を乾燥処理した場合、水の沸点(30℃)が低いため、卵白中の水分は沸騰するが、供給エネルギーは50Wと少なく卵白の液状内部に気泡が発生する程度で大きな泡になることはなく、卵白は徐々に乾燥処理され、厚さ5ミリ程度の気泡緩衝材(エアーキャップ(登録商標))状の乾燥品が得られた。
 圧力条件が5kPaの場合に、マイクロ波発信器の出力を100Wに設定すると、卵白の温度は40℃以下であった。
 この条件下で卵白を乾燥処理した場合、水の沸点(30℃)が低いため、卵白中の水分は沸騰するが、供給エネルギーは100Wとやや少なく卵白は発泡するものの気泡の発生は継続せず、発泡部分と泡状のフィルム部分とが混在した乾燥品が得られた。
[0046]
 圧力条件が5kPaの場合に、マイクロ波発信器の出力を150Wに設定すると、卵白の温度は40℃以下であった。
 この条件下で卵白を乾燥処理した場合、水の沸点(30℃)が低いため卵白中の水分は沸騰し、更に、供給エネルギーが150Wと高いため、卵白は発泡が継続したまま乾燥処理され、大きな泡状の乾燥品が得られた。
 圧力条件が5kPaの場合に、マイクロ波発信器の出力を200Wに設定すると、卵白の温度は40℃以下であった。
 この条件下で卵白を乾燥処理した場合、水の沸点(30℃)が低いため卵白中の水分は沸騰し、更に、供給エネルギーが200Wと高いため、卵白は発泡が継続したまま乾燥処理され、大きな泡状の乾燥品が得られた(図2(A)、(B)参照)。
[0047]
 続いて、減圧条件下での卵白の発泡が乾燥速度に及ぼす影響を検討した結果を、図5を参照しながら説明する。
 図5には、卵白の乾燥品A(□印)と卵白の乾燥品B(○印)が得られるまでの含水率の推移を示している。卵白の乾燥品Aのように、卵白を泡状に発泡させながら乾燥させることで、卵白を泡状に発泡させることなく乾燥させた卵白の乾燥品Bと比較して、乾燥速度が大幅に速められることが分かった。
[0048]
 最後に、前記した卵白の乾燥品Aの溶解性を評価するため、他の乾燥方法で得られた乾燥品と比較した結果について、図6を参照しながら説明する。
 溶解性の試験は、卵白の乾燥品0.05gを5mLの超純水に溶かし、所定の時間ごとに溶液を濾過し濾液を撹拌して、卵白の成分の一つであるアルブミン(卵白のたんぱく質中の含有率:50~60%)の濃度(力価=mg/mL)を測定した。
 試料には、卵白の乾燥品A(実験例:▲印)以外に、卵白の乾燥品B(比較例:●印)、前記したFDで乾燥された凍結乾燥品(■印)、前記したMVD(1時間実施)とFDを組み合わせて乾燥された乾燥品(◆印)、を用いた。
[0049]
 初期における溶解速度は、凍結乾燥品が最も速く、卵白の乾燥品Bが最も遅かった。これは、凍結乾燥品が多孔質状であるのに対し、卵白の乾燥品Bが厚い膜状であり、凍結乾燥品の方が卵白の乾燥品Bよりも溶解し易いことによるものと考えられる。
 このため、MVDとFDを組み合わせて得られた乾燥品も、凍結乾燥品よりも僅かに劣るものの、溶解性が良好であることが分かった。
 卵白の乾燥品Aは、卵白の乾燥品Bよりも初期における溶解速度が速く、その溶解性は凍結乾燥品よりも僅かに劣るものの、MVDとFDを組み合わせて得られた乾燥品とは略同等の結果が得られ、溶解性が良好であることが分かった。これは、卵白の乾燥品Aが薄膜状の発泡片であることによるものと考えられる。
[0050]
 以上のことから、本発明の生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法及びその製造装置により、従来よりも大幅な乾燥時間の短縮が図れ、溶解性も良好な生体由来の水溶性高分子乾燥品が得られることを確認できた。
[0051]
 以上、本発明を、実施例を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施例に記載の構成に限定されるものではなく、請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施例や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施例や変形例の一部又は全部を組み合せて本発明の生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法及びその製造装置を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。

産業上の利用可能性

[0052]
 本発明に係る生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法及びその製造装置は、減圧条件下で不飽和溶液にマイクロ波を照射し、水溶性高分子の変性温度未満で不飽和溶液の水分を沸騰させ、この沸騰で生じる蒸気により不飽和溶液を泡状に膨らませながら水分を除去するので、沸騰に伴って不飽和溶液の気液境界面積が広がり水分の揮発が促進され、従来のMVDと比較して、乾燥時間の短縮が図れる。また、これにより得られる生体由来の水溶性高分子乾燥品は、薄膜状の発泡片となるため、従来のMVDで乾燥された厚い膜状のものと比較して、液体(水)に接する面積を広くでき溶け易いため、溶解速度を速くでき、溶解時間を短縮できる。
 従って、従来よりも乾燥時間の短縮が図れ(半分以下)、溶解性も良好な生体由来の水溶性高分子乾燥品を提供でき、食品その他水分を含む物(水溶性たんぱく質や水溶性多糖類など)の乾燥が容易にできる。

符号の説明

[0053]
10:生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造装置、11:減圧容器(チャンバ)、12:光ファイバー温度計(温度検知手段)、13:減圧ポンプ(減圧手段)、14:マイクロ波加熱手段、15:制御手段、16:吸気用配管、17:流量計、18:流量調整弁、19:油水分離器、20:マイクロ波発信器、21:アイソレータ、22:計測部、23:操作部、24:コンピュータ、25:圧力計、26:マイクロ波電源

請求の範囲

[請求項1]
 減圧条件下で、水分と生体由来の水溶性高分子を含有する不飽和溶液にマイクロ波を照射し、前記水溶性高分子の変性温度未満で前記不飽和溶液の水分を沸騰させ、該沸騰で生じる蒸気により、見掛けの体積が初期の体積に対して10倍以上になるように、前記不飽和溶液を泡状に膨らませながら水分を除去する乾燥処理を行うことを特徴とする生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法。
[請求項2]
 請求項1記載の生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法において、前記乾燥処理の際に、前記不飽和溶液に含まれる水分を予め設定した量まで減少させた後、圧力と前記不飽和溶液の温度を、前記不飽和溶液に含まれる水分が予め設定した量まで減少した際の圧力と前記不飽和溶液の温度よりも上昇させて、前記不飽和溶液に殺菌処理を行うことを特徴とする生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法。
[請求項3]
 請求項1又は2記載の生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法において、前記乾燥処理を行って得られた乾燥品を破砕し粉末化することを特徴とする生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法。
[請求項4]
 請求項1~3のいずれか1項に記載の生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法において、前記不飽和溶液は疎水性の容器に入れた状態で、前記乾燥処理が行われることを特徴とする生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造方法。
[請求項5]
 水分と生体由来の水溶性高分子を含有する不飽和溶液を内部に配置するチャンバと、
 前記チャンバ内の前記不飽和溶液の温度を検知する温度検知手段と、
 前記チャンバ内の圧力を減圧状態にする減圧手段と、
 前記チャンバ内の前記不飽和溶液にマイクロ波を照射して加熱するマイクロ波加熱手段と、
 前記温度検知手段で取得した温度データに基づいて、前記減圧手段を、前記不飽和溶液の水分が沸騰する温度が前記水溶性高分子の変性温度未満になるように制御すると共に、前記マイクロ波加熱手段を、前記不飽和溶液の水分を沸騰させ、該沸騰で生じる蒸気により、前記不飽和溶液が泡状に膨らんで見掛けの体積が初期の体積の10倍以上になるように制御する制御手段とを有することを特徴とする生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造装置。
[請求項6]
 請求項5記載の生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造装置において、前記制御手段は、前記減圧手段と前記マイクロ波加熱手段を、前記不飽和溶液に含まれる水分が予め設定した量まで減少したことを条件として、前記不飽和溶液の温度が該不飽和溶液を殺菌処理できる温度まで上昇するように制御することを特徴とする生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造装置。
[請求項7]
 請求項5又は6記載の生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造装置において、更に、前記不飽和溶液を収容し前記チャンバ内に配置される疎水性の容器を有することを特徴とする生体由来の水溶性高分子乾燥品の製造装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]