処理中

しばらくお待ちください...

設定

設定

1. WO2020004064 - 空気入りタイヤ

Document

明 細 書

発明の名称 空気入りタイヤ

技術分野

0001  

背景技術

0002  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0003   0004  

課題を解決するための手段

0005   0006   0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1   2   3A   3B   4   5  

明 細 書

発明の名称 : 空気入りタイヤ

技術分野

[0001]
 本開示は、樹脂層を備えたベルトを有する空気入りタイヤに関する。

背景技術

[0002]
 自動車に装着する空気入りタイヤとして、カーカスのタイヤ径方向外側に樹脂層を含んで構成されたベルトを備えた空気入りタイヤがある(例えば、特開2007-069745号公報、特開2002-002220号公報参照)。

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0003]
 しかしながら、ベルトの樹脂層に応力が集中することで樹脂層に亀裂が入る場合があった。
[0004]
 本開示は上記事実を考慮し、ベルトの樹脂層における亀裂の発生を抑制できる空気入りタイヤの提供を目的とする。

課題を解決するための手段

[0005]
 本開示に係る空気入りタイヤは、一方のビード部から他方のビード部に跨り、複数本のコードがゴムで被覆されて構成されたカーカスと、前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置され前記ゴムよりも引張弾性率の高い樹脂で形成された樹脂層を含むベルトと、前記樹脂層の表面に接合され、前記ゴムよりも引張弾性率の高い材料で形成されたベルト保護層と、を有する。
[0006]
 例えば、ベルトが曲げ変形を受けた際には、ベルトが湾曲して凸となる表面側に張力が作用する。このため、曲げ変形したベルトの凸となる表面側に、微小な凹み等があった場合には、該凹みに応力が集中する場合がある。
[0007]
 本開示に係る空気入りタイヤでは、樹脂層の表面に、カーカスのコードを被覆するゴムよりも引張弾性率の高い材料で形成されたベルト保護層が接合されているので、樹脂層の表面に形成された凹み等に応力が集中することが抑制され、該応力の集中に起因する樹脂層の亀裂の発生を抑制することが出来る。

発明の効果

[0008]
 以上説明したように本開示の空気入りタイヤによれば、ベルトの樹脂層における亀裂の発生を抑制できる、という優れた効果を有する。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤを示すタイヤ回転軸に沿った断面図である。
[図2] ベルト成形ドラムに樹脂被覆コードを巻き付ける工程を示す断面斜視図である。
[図3A] ベルト保護層の設けられていないベルトを示す断面図である。
[図3B] ベルト保護層が接合されたベルトを示す断面図である。
[図4] 他の実施形態に係る空気入りタイヤのベルトを示す断面図である。
[図5] 更に他の実施形態に係る空気入りタイヤのベルトを示す断面図である。

発明を実施するための形態

[0010]
 図1、及び図2を用いて、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ10について説明する。
 図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ10は、例えば、乗用車に用いられる所謂ラジアル空気入りタイヤであり、ビードコア12が埋設された一対のビード部20を備え、一方のビード部20と他方のビード部20との間に、1枚のカーカスプライ14からなるカーカス16が跨っている。なお、図1は、標準リム19に取り付けた空気入りタイヤ10の空気充填前(内圧=大気圧)の自然状態の形状を示している。
[0011]
 カーカスプライ14は、空気入りタイヤ10のラジアル方向に延びる複数本のコード(図示せず)をコーティングゴム(図示せず)で被覆して形成されている。即ち、本実施形態の空気入りタイヤ10は、所謂ラジアル空気入りタイヤである。カーカスプライ14のコードの材料は、例えば、PETであるが、従来公知の他の材料であっても良い。
[0012]
 カーカスプライ14は、タイヤ幅方向の端部分がビードコア12をタイヤ径方向外側に折り返されている。カーカスプライ14は、一方のビードコア12から他方のビードコア12に跨る部分が本体部14Aと呼ばれ、ビードコア12から折り返されている部分が折り返し部14Bと呼ばれる。
[0013]
 本実施形態の空気入りタイヤ10におけるカーカスプライ14の本体部14Aの断面形状は、従来一般の空気入りタイヤと同様の断面形状であり、タイヤ赤道面CL付近は半径が略一定で平坦な形状であり、ショルダー付近において半径が漸減している。
[0014]
 カーカスプライ14の本体部14Aと折返し部14Bとの間には、ビードコア12からタイヤ径方向外側に向けて厚さが漸減するビードフィラー18が配置されている。なお、本実施形態の空気入りタイヤ10において、ビードフィラー18のタイヤ径方向外側端18Aからタイヤ径方向内側の部分がビード部20とされている。
[0015]
 カーカス16の空気入りタイヤ内側にはゴムからなるインナーライナー22が配置されている。一方、カーカス16のタイヤ幅方向外側には、タイヤ径方向外側にサイドゴム層24Aが、タイヤ径方向内側にサイドゴム層24Bが配置されている。なお、サイドゴム層24Bは、一部分がビードコア12の径方向内側を折り返してタイヤ内面の一部まで延びている。
[0016]
 本実施形態では、ビードコア12、カーカス16、ビードフィラー18、インナーライナー22、サイドゴム層24A、及びサイドゴム層24Bによってタイヤケース25が構成されている。タイヤケース25は、言い換えれば、空気入りタイヤ10の骨格を成す空気入りタイヤ骨格部材のことである。
[0017]
(ベルト)
 カーカス16のクラウン部の外側、言い換えればカーカス16のタイヤ径方向外側には、カーカス16の外周部を拘束してタガ効果を得るためのベルト26が配置されている。本実施形態のベルト26は、回転軸に沿った断面で見たときに、ほぼ全体が平坦に形成されている、言い換えれば、タイヤ幅方向中央部分がタイヤ回転軸に平行な直線状に形成されているが、タイヤ幅方向両端部分はタイヤ径方向内側へ若干湾曲している。
 なお、ベルト26のタイヤ幅方向両端部分の湾曲の程度は、カーカス16の湾曲の程度に比較して小さい。したがって、ベルト26は、タイヤ幅方向中央部側の殆どの部分がカーカス16の外周面に密着しているが、幅方向両側の一部分はカーカス16の外周面から離間している。
[0018]
 本実施形態のベルト26は、複数本(本実施形態では2本)の補強コード30を樹脂32で被覆した樹脂被覆コード34に巻回することで形成されている。なお、ベルト26の製法方法は後述する。
 ベルト26の補強コード30は、カーカスプライ14のコードよりも太く、かつ、強力(引張強度)が大きいものを用いることが好ましい。ベルト26の補強コード30は、金属繊維や有機繊維等のモノフィラメント(単線)、又はこれらの繊維を撚ったマルチフィラメント(撚り線)で構成することができる。本実施形態の補強コード30は、スチールコードである。補強コード30としては、例えば、直径が0.225mmの“1×5”のスチールコードを用いることができるが、従来公知の他の構造のスチールコードを用いることもできる。
[0019]
 補強コード30を被覆する樹脂32には、サイドゴム層24A,24Bを構成するゴム材料、及び後述するトレッド部36を構成するゴム材料よりも引張弾性率の高い樹脂材料が用いられている。補強コード30を被覆する樹脂32としては、弾性を有する熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)、及び熱硬化性樹脂等を用いることができる。走行時の弾性と製造時の成形性を考慮すると、熱可塑性エラストマーを用いることが望ましい。
[0020]
 熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、動的架橋型熱可塑性エラストマー(TPV)等が挙げられる。
[0021]
 また、熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。さらに、熱可塑性樹脂材料としては、例えば、ISO75-2又はASTM D648に規定されている荷重たわみ温度(0.45MPa荷重時)が78°C以上、JIS K7113に規定される引張降伏強さが10MPa以上、同じくJIS K7113に規定される引張破壊伸びが50%以上、JIS K7206に規定されるビカット軟化温度(A法)が130°C以上であるものを用いることができる。
[0022]
 補強コード30を被覆する樹脂32の引張弾性率(JIS K7113:1995に規定される)は、100MPa以上が好ましい。また、補強コード30を被覆する樹脂32の引張弾性率の上限は、1000MPa以下とすることが好ましい。なお、補強コード30を被覆する樹脂32の引張弾性率は、200~700MPaの範囲内が特に好ましい。
[0023]
 本実施形態のベルト26の厚さt (図3B参照)は、補強コード30の直径寸法よりも大きくすることが好ましい、言い換えれば、補強コード30が完全に樹脂32に埋設されていることが好ましい。ベルト26の厚さt は、空気入りタイヤ10が乗用車用の場合、具体的には、0.70mm以上とすることが好ましい。
[0024]
(ベルト保護層) 
 本実施形態の空気入りタイヤ10では、ベルト26とカーカス16との間にベルト保護層28が設けられている。
 本実施形態のベルト保護層28は、カーカスプライ14のコードを被覆しているコーティングゴムよりも引張弾性率が高い材料で形成されており、本実施形態では、該コーティングゴムよりも引張弾性率が高い樹脂材料で形成されている。
 また、ベルト保護層28を形成する樹脂材料は、ベルト26の樹脂32と同等以下の引張弾性率とされた樹脂材料で形成することが好ましい。ベルト保護層28を樹脂材料とすることで、ベルト26の樹脂32との接合において、樹脂材料同士の接合となるため、ベルト保護層28と樹脂32との接着強度を高める事が出来る。
[0025]
 なお、ベルト保護層28を形成する樹脂材料は、一例として、ベルト26の樹脂32と同様の樹脂材料を用いることができるが、樹脂32とは異なる樹脂材料を用いることもできる。
 また、ベルト保護層28の厚みt は、0.1~1.5mmの範囲内に設定することが好ましい。
[0026]
(レイヤー)
 ベルト26のタイヤ幅方向の端部26A付近は、帯状のレイヤー38でタイヤ径方向外側から覆われて拘束されている。レイヤー38は、少なくともベルト26におけるタイヤ幅方向最外側の補強コード30をタイヤ径方向外側から覆うことが好ましく、さらには、ベルト26の湾曲している部分を覆うことが好ましい。また、レイヤー38は、ベルト26の端部26Aをタイヤ幅方向外側から覆っている。なお、レイヤー38は、ベルト26の端部26Aよりもタイヤ幅方向外側に延びている。
[0027]
 レイヤー38としては、例えば、図4に示すように、複数本のコード38Aを平行に並べてゴム材料38Bでコーティングしたものを用いることができる。レイヤー38に用いるコードとしては、例えば、有機繊維コード、スチールコードを挙げることができる。レイヤー38にスチールコードを用いる場合、ベルト26に用いるコードよりも曲げ剛性の低いもの、言い換えれば、ベルト26に用いるコードよりも細いものを用いることができる。
[0028]
 レイヤー38に用いるゴム材料38Bは、補強コード30を被覆する樹脂32とサイドゴム層24A,24Bを構成するゴム材料及びトレッド部36を構成するゴム材料との中間の引張弾性率を有するものを用いることができる。
[0029]
 剛性分布をタイヤ幅方向に見て、補強コード30が埋設されたベルト26とゴムのみからなるトレッド部36との間では、剛性段差が大きい、言い換えれば、剛性の差が大きい。ベルト26の端部26A付近等、剛性が大きく変化する部位では、応力が集中し易い。本実施形態の空気入りタイヤ10では、ベルト26の端部26Aをレイヤー38で覆うことで、タイヤ幅方向に見て、ベルト26の端部26Aからトレッド部36にかけて剛性を徐々に変化させることができ、端部26A付近の応力の集中を抑制することができる。
[0030]
(トレッド)
 ベルト26のタイヤ径方向外側には、第2のゴム材料からなるトレッド部36が配置されている。トレッド部36に用いる第2のゴム材料は、従来一般公知のものが用いられる。トレッド部36には、排水用の溝37が形成されている。また、トレッド部36のパターンも従来一般公知のものが用いられる。
[0031]
 タイヤ軸方向に沿って計測するベルト26の幅BWは、タイヤ軸方向に沿って計測するトレッド部36の接地幅TWに対して75%以上とすることが好ましい。なお、ベルト26の幅BWの上限は、接地幅TWに対して110%とすることが好ましい。
[0032]
 ここで、トレッド部36の接地幅TWとは、空気入りタイヤ10をJATMA YEAR BOOK(2018年度版、日本自動車空気入りタイヤ協会規格)に規定されている標準リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧-負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%の内圧を充填し、静止した状態で水平な平板に対して回転軸が平行となるように配置し、最大の負荷能力に対応する質量を加えたときのものである。なお、使用地又は製造地において、TRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。
[0033]
 なお、ベルト26の面内剪断剛性は、コードをゴムで被覆した従来構造のベルト以上であることが好ましい。
[0034]
(空気入りタイヤの製造方法)
 次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の製造方法の一例を説明する。
 公知のタイヤ成形ドラム(不図示)の外周に、ゴム材料(未加硫)からなるインナーライナー22、ビードコア12、コードをゴム材料(未加硫)で被覆したカーカスプライ14、ゴム材料(未加硫)からなるビードフィラー18、サイドゴム層(未加硫)24A、サイドゴム層(未加硫)24Bを貼り付けて未加硫のタイヤケース25を形成する。
[0035]
 以下に、ベルト26の製造工程の一例を図2にしたがって説明する。
 まず、ベルト成形ドラム40の近傍にコード供給装置42、加熱装置50、押付ローラ60、及び冷却ローラ70を移動可能に配置する。なお、本実施形態のベルト成形ドラム40は、軸方向中央側の領域が一定の径に形成されているが、軸方向両側の領域においては、軸方向外側へ向かうに従って徐々に径が縮径されている(なお、図2では、ベルト成形ドラム40の一部分のみを図示しており、縮径した部分の図示は省略されている。)。
[0036]
 コード供給装置42は、補強コード30を被覆用の樹脂32で被覆した樹脂被覆コード34を巻き付けたリール43と、このリール43から巻き出された樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40の外周に巻き付けたシート状のベルト保護層28に案内するためのガイド部材44とを含んで構成されている。このガイド部材44は、筒状とされ、内部を樹脂被覆コード34が通過するようになっている。また、ガイド部材44の口部46からは、ベルト成形ドラム40の外周面に巻き付けたシート状のベルト保護層28に向かって樹脂被覆コード34が送り出される。
[0037]
 加熱装置50は、熱風を樹脂被覆コード34に吹き当てて、吹き当てた部分を加熱し溶融させるものである。なお、本実施形態では、電熱線(不図示)で加熱した空気をファン(不図示)で発生させた気流で吹出し口52から吹き出し、この吹き出した熱風を樹脂被覆コード34に吹き当てるようになっている。なお、加熱装置50の構成は、上記構成に限定されず、熱可塑性樹脂を加熱溶融できれば、どのような構成であってもよい。例えば、樹脂被覆コード34の側面に熱鏝を接触させて側面を加熱溶融させてもよく、輻射熱で加熱溶融させてもよく、赤外線を照射して加熱溶融させてもよい。
[0038]
 押付ローラ60は、後述する樹脂被覆コード34を ベルト成形ドラム40外周面に巻き付けたシート状のベルト保護層28に押し付けるものであり、押付力Fを調整できるようになっている。また、押付ローラ60のローラ表面には、溶融状態の樹脂材料の付着を防ぐための加工が施されている。そして、押付ローラ60は、回転自在となっており、樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40の外周に巻き付けたシート状のベルト保護層28に押し付けている状態では、ベルト成形ドラム40の回転方向(矢印A方向)に対して従動回転するようになっている。
[0039]
 また、冷却ローラ70は、押付ローラ60よりもベルト成形ドラム40の回転方向下流側に配置され、樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40の外周面に巻き付けたシート状のベルト保護層28に押し付けつつ、樹脂被覆コード34を冷却するものである。この冷却ローラ70は、押付ローラ60と同様に、押付力を調整でき、かつ、ローラ表面に溶融状態の樹脂材料の付着を防ぐための加工が施されている。さらに、冷却ローラ70は、押付ローラ60と同様に、回転自在となっており、樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40の外周面に巻き付けたシート状のベルト保護層28に押し付けている状態では、ベルト成形ドラム40の回転方向(矢印A方向)に対して従動回転するようになっている。また、冷却ローラ70は、ローラ内部を液体(例えば、水など)が流通するようになっており、この液体の熱交換によりローラ表面に接触した部材(本実施形態では、樹脂被覆コード34)などを冷却することができる。なお、溶融状態の樹脂材料を自然冷却させる場合には、冷却ローラ70を省略してもよい。
[0040]
 次に、ベルト成形ドラム40を矢印A方向に回転させると共にコード供給装置42の口部46から樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40の外周面に巻き付けたシート状のベルト保護層28に向けて送り出す。
[0041]
 そして、加熱装置50の吹出し口52から樹脂被覆コード34に向かって熱風を吹き出して加熱し樹脂32の表面を溶融させながら、樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40に付着させつつ、樹脂被覆コード34を押付ローラ60でベルト成形ドラム40の外周面に押し付ける。この押付ローラ60によって樹脂被覆コード34は、側部がタイヤ軸方向に膨出するように変形(押し潰しによる変形)して、樹脂32のタイヤ軸方向に隣接する側面同士が接触して溶着する。
[0042]
 なお、加熱装置50の吹出し口52から吹き出す熱風で、ベルト保護層28の表面を溶融させることができ、これにより、ベルト保護層28と樹脂被覆コード34とを溶着させることが出来る。
[0043]
 その後、樹脂32の溶融部分は、冷却ローラ70に接触して固化され、隣接する樹脂被覆コード34同士の溶着が完了する。
[0044]
 このようにして、樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40巻き付けたシート状のベルト保護層28の外周面に螺旋状に巻き付けると共に該外周面に押し付けていくことで、ベルト成形ドラム40の外周面に、ベルト保護層28が一体化したベルト26が形成される。なお、樹脂被覆コード34を螺旋状に巻き付けるには、コード供給装置42の口部46の位置を、タイヤケース17の回転に伴ってタイヤ軸方向に移動させたり、タイヤケース17をタイヤ軸方向に移動させたりすればよい。
[0045]
 本実施形態の樹脂被覆コード34の断面形状は矩形(横幅の長方形)であるが、樹脂被覆コード34は隣接する同士で接合される断面形状であればよく、例えば、平行四辺形等の他の形状であってもよい。
 なお、上述した様に、樹脂被覆コード34を隣接する同士で溶着させることで、補強コード30が埋設された本発明の一例としての樹脂層が形成される。
[0046]
 次に、ベルト保護層28と接合され樹脂32が冷却されて固化したベルト26をベルト成形ドラムから取り外してタイヤ成形ドラムのタイヤケース25の径方向外側に配置し、内側から圧力を掛けて未加硫のタイヤケース25を拡張する。これにより、タイヤケース25の外周面、言い換えればカーカス16の外周面をベルト保護層28の内周面に圧着する。
[0047]
 その後、ベルト26の両端部を覆う様に、及びレイヤー38を貼り付ける。最後に、ベルト26の外周面に、一般の空気入りタイヤの製造と同様に、未加硫のトレッド部36を貼り付け、生タイヤが完成する。
[0048]
 このようにして製造された生タイヤは、一般の空気入りタイヤと同様に加硫成形モールドで加硫成形され、空気入りタイヤ10が完成する。
[0049]
(作用、効果)
 次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の作用、効果を説明する。
 本実施形態の空気入りタイヤ10を説明する前に、図3にしたがって、比較例に係る空気入りタイヤ100を説明する。なお、比較例において、本実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
[0050]
 図3に示すように、比較例に係る空気入りタイヤ100では、ベルト26がカーカス16の外周面に直接接合されており、本実施形態の空気入りタイヤ10で用いられているベルト保護層28が設けられていない。
[0051]
 この空気入りタイヤ100のベルト26も本実施形態の空気入りタイヤ10のベルト26と同様にして形成されるが、樹脂被覆コード34がベルト成形ドラムの外周面に巻回されて形成される。
[0052]
 樹脂被覆コード34は、隣接する同士で溶着されるが、図3Aに示すように、ベルト26の表面において、一方の樹脂被覆コード34の側面と他方の樹脂被覆コード34の側面との溶着境界面Sのベルト表面側の端部に、微小な凹部72が形成されてしまう場合がある。
[0053]
 図1に示すように、ベルト26のタイヤ幅方向端部付近において、ベルト26がタイヤ径方向内側に湾曲している場合、タイヤが回転してトレッド部が平坦な路面に接地した際に、ベルト26の湾曲していた部分は平坦な形状に変形させられる。
[0054]
 これにより、図3Aに示すように、ベルト26には、曲げ力F1作用し、ベルト26の内周面には、張力F2が発生する。
[0055]
 このような張力F2がベルト26の内周面に生ずると、ベルト26の内周面に形成された凹部72に応力が集中し、凹部72が亀裂の核となり、該凹部72から亀裂が樹脂32の内部に向けて進展する場合がある。
[0056]
 一方、本願発明の空気入りタイヤ10では、図3Bに示すように、ベルト26の内周面に、仮に凹部72が形成されていたとしても、凹部72が、内周面が平坦に形成され、カーカス16のコーティングゴムよりも引張弾性率が高く、かつベルト26の樹脂32と同等以下の引張弾性率とされた樹脂材料で埋められており、ベルト26の内周面側において張力が作用しても応力の集中は抑制されるので、ベルト26の樹脂32から亀裂が発生し難くなる。
[0057]
 なお、ベルト保護層28を形成する樹脂材料をベルト26の樹脂32と同種の樹脂材料とすることで、ベルト保護層28の上に樹脂被覆コード34を溶着しながら巻回する際に同種の樹脂材料同士の接合となるので、ベルト保護層28と樹脂被覆コード34とを確実に溶着して接合することが出来る。
[0058]
 また、ベルト保護層28の厚みt が薄すぎると、凹部72を埋めることが困難となり、樹脂32の亀裂の発生を抑制することが困難となる。ベルト保護層28の厚みt は、ある程度あれば十分であり、樹脂32の亀裂の発生を抑制することができ、必要以上に厚くすると、ベルト保護層28の材料使用量が増え、重量が無駄に増加する。このため、ベルト保護層28の厚みt は、0.1~1.5mmの範囲に設定することが好ましい。
[0059]
 ベルト保護層28は、例えば、引張強さ、引裂き強度、破断時伸び、靭性等に優れた樹脂材料(樹脂32、及びカーカスプライ14のコーティングゴム対比)で形成することが好ましい。これにより、ベルト保護層28自身からの亀裂の発生を抑制することが出来る。
[0060]
 本実施形態の空気入りタイヤ10では、カーカス16のクラウン部が、螺旋状に巻回された補強コード30が樹脂32で被覆されたベルト26で補強されているため、従来空気入りタイヤの2枚以上のベルトプライから構成された複数層からなるベルトに比較して軽量となり、製造も簡単になっている。
[0061]
 本実施形態のベルト26は、補強コード30を被覆している樹脂32の引張弾性率が100MPa以上とされ、厚みも0.7mm以上確保されているので、ベルト26のタイヤ幅方向の面内剪断剛性を十分に確保することができる。
[0062]
 ベルト26の面内剪断剛性が確保されることで、空気入りタイヤ10にスリップ角を付与した場合の横力を十分に発生させることができ、操縦安定性を確保することができ、また、応答性も向上させることができる。
[0063]
 また、ベルト26の面外曲げ剛性が確保されることで、空気入りタイヤ10に大きな横力が入力した際、トレッド部36のバックリング(トレッド部36の表面が波打って、一部が路面から離間する現象)を抑制することができる。
[0064]
 さらに、本実施形態の空気入りタイヤ10では、面内剪断剛性が高いベルト26を用いており、ベルト26の幅BWをトレッド部36の接地幅TWの75%以上としているので、ショルダー39付近の剛性を高めることができる。
[0065]
 本実施形態の空気入りタイヤ10では、ベルト26が1層構造であるため、従来の2枚以上のベルトプライで構成した場合に比較して、ベルト26の厚みを薄くでき、その分トレッド部36の厚みを厚くすることができ、かつ溝37の深さを深くすることができる。これにより、空気入りタイヤ10の寿命を延ばすことも可能となる。
[0066]
 空気入りタイヤ10におけるベルト26は、補強コード30が螺旋状に巻回され、周上で補強コード30がタイヤ径方向に重なる部分が無く、タイヤ周方向に厚さt が均一となっているので、空気入りタイヤ10はユニフォミティーに優れたものとなる。
[0067]
 ベルト26の厚みt 、言い換えれば樹脂32の厚みが0.7mm未満になると、樹脂32中に埋設する補強コード30を太くしてタガ効果を得ることができなくなる虞がある。
[0068]
 また、ベルト26の幅BWがトレッド部36の接地幅TWに対して75%未満となると、ベルト26のタガ効果が不十分となったり、ショルダー39付近の騒音の発生を抑制することが困難になる虞がある。一方、ベルト26の幅BWがトレッド部36の接地幅TWに対して110%を超えると、タガ効果としては頭打ち状態となり、ベルト26が必要以上となり、空気入りタイヤ10の重量増加を招く。
[0069]
[その他の実施形態]
 以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
[0070]
 上記実施形態では、ベルト26の内周面のみにベルト保護層28を設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、図4に示すように、ベルト保護層28をベルト26の内周面と外周面に設けてもよく、図5に示すように、ベルト26の全周をベルト保護層28で覆う様にしてもよい。また、図示は省略するが、ベルト26の外周面のみにベルト保護層28を設けてもよい。
[0071]
 上記実施形態では、ベルト26を製造する際に用いた樹脂被覆コード34が、2本の補強コード30を樹脂32で被覆したものであったが、樹脂被覆コード34は1本の補強コード30を樹脂32で被覆したものであってもよく、3本以上の補強コード30を樹脂32で被覆したものであってもよい。
[0072]
 2018年6月25日に出願された日本国特許出願2018-120308号の開示は、その全体が参照される。
 本明細書に記載されたすべての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照されることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照される。

請求の範囲

[請求項1]
 一方のビード部から他方のビード部に跨り、複数本のコードがゴムで被覆されて構成されたカーカスと、
 前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置され前記ゴムよりも引張弾性率の高い樹脂で形成された樹脂層を含むベルトと、
 前記樹脂層の表面に接合され、前記ゴムよりも引張弾性率の高い材料で形成されたベルト保護層と、
 を有する空気入りタイヤ。
[請求項2]
 前記ベルト保護層は、前記ベルトの内周面に接合されている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
[請求項3]
 前記ベルト保護層を形成する前記材料の引張弾性率は、前記樹脂層を形成する前記樹脂の引張弾性率と同等以下に設定されている、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
[請求項4]
 前記ベルト保護層を形成する前記材料は、樹脂材料である、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3A]

[ 図 3B]

[ 図 4]

[ 図 5]