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1. WO2020003749 - 客室監視方法、及び客室監視装置

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明 細 書

発明の名称 客室監視方法、及び客室監視装置 0001  

技術分野

0002  

背景技術

0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

0006   0007   0008   0009   0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : 客室監視方法、及び客室監視装置

関連出願の相互参照

[0001]
 本出願は、2018年6月26日に出願された日本特許出願番号2018-120955号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。

技術分野

[0002]
 本開示は、乗客が搭乗する車両客室の監視技術に関する。

背景技術

[0003]
 従来、例えば特許文献1には、電車等の各車両において、乗客が所持する携帯電話から痴漢等の犯罪行為についての情報送信があった場合に、車両内で所定の警報装置を表示、アナウンスさせる車両内警報システムが開示されている。特許文献1の車両内警報システムにおいて、音声出力装置を用いた所定のメッセージは、車両に搭乗する乗客全体に対してアナウンスされる。
[0004]
 車両の客室内では、犯罪行為ではないものの、他の乗客に迷惑と感じられるような行為も、頻繁に発生し得る。こうした行為の中止を、特許文献1の車内警報システムのように、音声メッセージによって乗客全体にアナウンスしてしまうと、行為の抑制が可能になる一方で、頻繁に発生し得るアナウンスは、多くの乗客にとって煩わしくなり得た。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2014-52774号公報

発明の概要

[0006]
 本開示は、中止要求に起因する煩わしさを抑えつつ、特定の行為を抑制させて、客室の快適性を確保可能な客室監視方法及び客室監視装置の提供を目的とする。
[0007]
 本開示の第一の態様において、コンピュータによって実施され、複数の乗客が搭乗する車両の客室を監視する客室監視方法は、少なくとも一つのプロセッサ上において、個々の前記乗客に対する個別の報知が可能な個別提示装置を、前記客室に搭乗中の前記乗客のそれぞれに関連付けし、予め想定された特定行為の行為者である前記乗客の一人を認定し、前記行為者に関連付けられた前記個別提示装置を用いて、前記特定行為の中止を前記行為者に対して要求することを含む。
[0008]
 本開示の第二の態様において、車両に搭載され、複数の乗客が搭乗する前記車両の客室を監視する客室監視装置は、個々の前記乗客に対する個別の報知が可能な個別提示装置を、前記客室に搭乗中の前記乗客のそれぞれに関連付ける関連付け部と、予め想定された特定行為の行為者である前記乗客の一人を認定する行為認定部と、前記行為者に関連付けられた前記個別提示装置を用いて、前記特定行為の中止を前記行為者に対して要求する報知制御部とを備える。
[0009]
 本開示の第三の態様において、車両に搭載され、複数の乗客が搭乗する前記車両の客室を監視する客室監視装置は、プロセッサを備える。プロセッサは、個々の前記乗客に対する個別の報知が可能な個別提示装置を、前記客室に搭乗中の前記乗客のそれぞれに関連付け、予め想定された特定行為の行為者である前記乗客の一人を認定し、前記行為者に関連付けられた前記個別提示装置を用いて、前記特定行為の中止を前記行為者に対して要求する。
[0010]
 これらの態様では、予め想定された特定行為の行為者が認定された場合、各乗客に個別に関連付けられる個別提示装置のうちで、行為者に関連付けられた個別提示装置により、特定行為の中止が要求される。故に、特定行為の中止要求の提示は、行為者を除く他の乗客にとって煩わしく感じられ難い。以上によれば、中止要求に起因する煩わしさを抑えつつ、特定行為の抑制が可能になる。したがって、客室の快適性が確保される。

図面の簡単な説明

[0011]
 本開示についての上記目的およびその他の目的、特徴や利点は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な記述により、より明確になる。その図面は、
[図1] 本開示の第一実施形態による車載ユニットを含むシステムの全体像を示すブロック図であり、
[図2] マナー違反行為が生じているシーンを例示する図であり、
[図3] 犯罪に繋がる行為が生じているシーンを例示する図であり、
[図4] 客室内の各乗客に個別提示装置としての携帯端末を関連付ける処理の詳細を示すフローチャートであり、
[図5] 発生通知の送信のため、携帯端末にて実施される通知処理の詳細を示すフローチャートであり、
[図6] 携帯端末のディスプレイに表示される発生通知の入力画面の前半部分の一例を示す図であり、
[図7] 入力画面の後半部分の一例を示す図であり、
[図8] 車載ユニットにて実施される秩序維持処理の詳細を示す図であり、
[図9] 本開示の第二実施形態による車載ユニット及び運行管理コンピュータを含む客室監視システムの全体像を示すブロック図である。

発明を実施するための形態

[0012]
 以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
[0013]
 (第一実施形態)
 本開示の第一実施形態による客室監視装置の機能は、図1に示す車載ユニット100によって実現されている。車載ユニット100は、車両ADVに搭載された車載コンピュータである。図1及び図2に示す車両ADVは、運転者による運転操作がない状態で自律走行可能な自動運転バスであり、車外の通信ネットワークNWと通信可能なコネクテッドカーである。車両ADVには、例えば所定の定員(数名~数十名程度)まで乗客Pを搭乗させることが可能な客室Cが設けられている。客室Cには、乗客Pを着座させる多数の座席が設置されている。
[0014]
 車両ADVには、客室センサ30、乗客認識部32、カードリーダ35、車外通信器40、車内通信器50、モニタ51、スピーカ52及び赤色灯53等が、車載ユニット100と共に搭載されている。
[0015]
 客室センサ30は、客室Cにおける乗客Pの状況を把握するためのセンサである。客室センサ30は、例えば客室Cの天井に複数台設置されており、カメラ31及びマイク33を有している。カメラ31は、客室C及び乗客Pを撮影し、生成した客室映像を乗客認識部32及び車載ユニット100へ向けて逐次出力する。カメラ31は、広角レンズと組み合わされており、客室内に死角ができない配置で設置されている。カメラ31は、可視光域の光に加えて、近赤外線域の光を検出可能な構成であってもよく、又はレーザスキャナ等と組み合わされていてもよい。マイク33は、客室Cの音を検出した客室音声を、車載ユニット100へ向けて逐次出力する。マイク33は、例えば乗客P同士の会話を集音可能である。
[0016]
 乗客認識部32は、カメラ31によって生成された客室映像を解析し、各乗客Pの状態を認識する。乗客認識部32は、各乗客Pの姿勢、並びに移動、着座及び離席等の行動を把握可能である。具体的に、乗客認識部32は、客室映像から乗客P及び物体(大型荷物等)等の物標を検出し、認識した物標毎に、座標及び種別等をタグ付けする。座標の項目には、例えば前方座席右側、後方座席左側、及び(X,Y)等の情報が入力される。種別の項目には、大型荷物、個別の乗客ID等の情報が入力される。乗客認識部32は、物標番号、座標及び種別等を含む検出情報を、車載ユニット100へ向けて逐次出力する。
[0017]
 カードリーダ35は、例えば客室Cの出入口付近に設置されている。カードリーダ35は、交通系カード及び当該カード機能を有する携帯端末10a~10cとの間で、近距離無線通信(Near Field Communication)可能なデバイスである。カードリーダ35は、各交通系カード及び各携帯端末10a~10cから端末固有の識別情報(以下、「端末ID」)を受信する。カードリーダ35は、車外通信器40及び通信ネットワークNWを介して、決済システム41と接続されている。交通系カード又は携帯端末10a~10cが乗客Pによってカードリーダ35にかざされると、カードリーダ35に読み込まれた端末IDに基づき、車両ADV(モビリティサービス)の利用料金がリアルタイムで決済される。カードリーダ35は、交通系カード又は携帯端末10a~10c、或いは決済システム41に記憶された各乗客Pの属性情報を、車載ユニット100等に提供可能である。
[0018]
 車外通信器40は、車外の通信ネットワークNWと無線通信可能である。通信ネットワークNWには、上述の決済システム41に加えて、車両ADVの運行管理センタのシステム(以下、「管理センタ42」)、及び警備会社のシステム(以下、「警備センタ43」)等が接続されている。車外通信器40は、決済システム41、管理センタ42及び警備センタ43との間で、情報を送受信する。
[0019]
 車内通信器50は、例えばBluetooth(登録商標)の規格に準じた無線通信により、乗客Pによって客室Cに持ち込まれた各携帯端末10a~10cと間で情報を送受信可能である。車内通信器50は、任意の携帯端末10a~10cへ向けて、個別にメッセージを送信できる。尚、車内通信器50は、Bluetoothとは異なる通信規格、例えば無線LAN等によって各携帯端末10a~10cと接続されてもよい。
[0020]
 モニタ51、スピーカ52及び赤色灯53は、客室内に設置され、客室Cの乗客Pに情報を提示する。モニタ51は、例えば液晶ディスプレイ等であり、広告、ニュース、車両ADVの運行情報、注意喚起情報等を画面に表示する。スピーカ52は、乗客Pへ向けた音声メッセージを客室内に再生する。赤色灯53は、例えば車両ADVの天井の中央部分に配置されている(図3参照)。赤色灯53は、後述する迷惑行為(犯罪行為)等の発生時に明滅し、緊急事態及び異常事態の発生を乗客Pに通知する。
[0021]
 図1に示す車載ユニット100は、客室Cに搭乗中の乗客Pを見守り、車内の秩序を維持するための制御を行う。こうした車載ユニット100の機能は、有人車両及び鉄道車両等において運転者及び車掌等の役割を代替する。車載ユニット100は、軽度の迷惑行為としてのマナー違反行為、重度の迷惑行為としての犯罪の虞がある行為(以下「犯罪行為」)、及び負傷者及び急病人(以下、「要救護者」)の発生等に対処する。
[0022]
 具体的に、マナー違反として検出する迷惑行為には、大声での会話、携帯電話での通話、客室Cの汚損、イヤホン及びヘッドホン等からの音漏れ、並びに図2に示すような大型荷物による座席の占拠等が含まれる。また、犯罪行為として検出する迷惑行為には、例えば車両設備の破壊、痴漢、窃盗、及び図3に示すような他の乗客Pへの暴言及び暴力等が含まれる。
[0023]
 以上の見守り機能及び秩序維持機能を実現するため、図1に示す車載ユニット100は、プロセッサ61、RAM62、メモリ装置63及び入出力インターフェースを有する制御回路を主体に構成されている。プロセッサ61は、RAM62と結合された演算処理のためのハードウェアであって、種々のプログラムを実行可能である。メモリ装置63は、不揮発性の記憶媒体を含む構成であって、プロセッサ61によって実行される種々のプログラムを格納している。メモリ装置63に格納されたプログラムには、上述の客室監視を車載ユニット100に実施させる客室監視プログラムが少なくとも含まれている。プロセッサ61による客室監視プロフラムの実行により、車載ユニット100には、関連付け部71、状況認定部72及び報知制御部73等の機能部が実装される。
[0024]
 関連付け部71は、関連付け処理(図4参照)により、客室Cに搭乗中の乗客Pのそれぞれに、各々が所持する携帯端末10a~10cを、データ上において関連付ける。こうした関連付け処理により、各携帯端末10a~10cは、所持者である個々の乗客Pに対し、個別の報知が可能な個別提示装置20として登録される。
[0025]
 詳記すると、各乗客Pが車両ADVに乗車する際の各携帯端末10a~10cでの料金支払に伴い、関連付け部71は、カードリーダ35を通じて、各携帯端末10a~10cの端末IDを取得する(図4 S101)。このとき関連付け部71は、乗客認識部32から取得する検出情報に基づき、客室映像に映る乗客Pを個別に把握している。関連付け部71は、携帯端末10a~10cの端末IDを取得したタイミング及び乗客Pの属性情報等を参照し、客室映像に映る各乗客P(物標番号又は乗客ID)に、携帯端末10a~10cの端末IDを紐付ける(図4 S102)。関連付け部71は、少なくとも乗客Pの降車まで、各携帯端末10a~10cを各乗客Pに紐付けた状態を維持する。
[0026]
 さらに関連付け部71は、カードリーダ35から取得した属性情報及び客室映像等に基づき、各物標に属性の項目(優先者か否か等)の情報を付与可能である。例えば、属性情報の示す年齢が高い乗客Pは、優先者として登録される。さらに、白杖WCを使用する乗客Pが検出された場合(図2参照)、当該乗客Pは、優先者として登録される。また、荷物等の物標については、所持者を示す乗客IDと紐付けされてもよい。
[0027]
 状況認定部72は、客室Cの状況を認識し、予め想定された特定行為、即ち、上述のマナー違反行為及び犯罪行為の特定と、当該行為の行為者Phである乗客Pの認定とを行う。状況認定部72は、客室センサ30及び乗客認識部32等と共に、乗客見守りシステムを構築している。
[0028]
 状況認定部72は、客室センサ30の検出情報と、客室Cに搭乗中の乗客Pから送信される発生通知を組み合わせて、迷惑行為等の特定と、行為者Phの認定とを行う。詳記すると、状況認定部72は、乗客認識部32にて解析されたカメラ31の検出情報に加えて、マイク33から出力される客室音声、及びカメラ31から出力される客室映像を取得する。状況認定部72は、客室音声に含まれる会話内容から、プライベートな情報を予め除外したうえで、語調、音量、音域、会話速度を把握すると共に、客室映像における乗客Pの挙動(ジェスチャ等)を把握する。状況認定部72は、把握したこれらの情報を組み合わせて、迷惑行為の内容とその行為者Phを推定する。客室音声及び客室映像の解析は、AI(Artificial Intelligence)技術を用いて、統計的、確率論的に実施されてよい。
[0029]
 一方、発生通知は、客室Cでの迷惑行為を発見した乗客P(通知者Pi)によって車載ユニット100に送信される。通知者Piは、客室Cでの迷惑行為を発見すると、携帯端末10b、並びに車両ADVに設置されたユーザ端末及び通報ボタン等を用いて、発生通知を送信可能である。
 発生通知の送信プロセスを詳記すると、通知者Piは、個人の携帯端末10bにて、予めインストールされた迷惑通知アプリのアイコンICをタップする操作により、迷惑通知アプリを起動する。迷惑通知アプリは、迷惑行為の種別及び行為者Phの位置の入力と、迷惑行為の現場写真(静止画又は動画)の添付とを、通知者Piに要求する(図6及び図7参照)。尚、現場写真の添付は、任意であってもよい。
[0030]
 携帯端末10bは、アイコンICのタップ操作を受けて、図5に示す通知処理を開始し、迷惑通知アプリの起動処理を実施する(S121)。携帯端末10bは、車内通信器50への通信接続の要求により、車載ユニット100との通信をBluetooth等で確立させ(S122)、車載ユニット100へのログイン処理を実施する(S123)。ログイン処理では、携帯端末10bから車載ユニット100に、GPS情報及び端末ID等が送信される。車載ユニット100は、携帯端末10bの位置情報及び端末IDの特定に基づき、携帯端末10bのログインを許可する。
[0031]
 携帯端末10bは、車載ユニット100へのログイン後、入力画面ES(図6及び図7参照)をディスプレイに提示する(S124)。入力画面ESは、迷惑行為等の種別の選択、現場映像の添付、及び迷惑行為の発生場所の入力等を通知者Piに要求する。迷惑行為等の種別は、例えばマナー違反、犯罪、及び要救護者の発生等の項目に予め分類されている(図6 リスト参照)。入力画面ESには、各項目に含まれる迷惑行為等の選択ボタンが一覧で表示される。
[0032]
 通知者Piは、入力画面ESに表示された選択ボタンのタップ操作により、客室Cにて実際に発生しているトラブルを選択する。さらに通知者Piは、携帯端末10bのカメラ31を使用し、迷惑行為等の現場写真を、証拠として添付できる(図3参照)。加えて通知者Piは、客室Cの見取り図を模した選択画面により、迷惑行為等の発生場所を選択する(図7参照)。
[0033]
 携帯端末10bは、通知者Piによる入力画面ESへの入力が完了すると、迷惑行為等の種別、行為者Ph等の位置、現場写真、及び通知者ID(通知者Piの端末ID)等を、発生通知として車載ユニット100に送信し(S125)、通知処理を終了する。尚、携帯端末を所持していない乗客Pは、上述した車内のユーザ端末により、上記各情報を入力可能であってよい。
[0034]
 以上の発生通知の送信後、通知者Piは、迷惑行為等がなくなったか否かの判断を、車載ユニット100から要求される。通知者Piは、携帯端末10b又は車内ユーザ端末の操作により、以前に通知した迷惑行為の終息通知を、車載ユニット100に送信できる。こうした終息通知の送信は、例えば一回のタップ操作だけ等、簡易な操作で実施できることが望ましい。
[0035]
 図1に示す状況認定部72は、カメラ31の検出情報の内容と、通知者Piからの発生通知の内容とが整合した場合に、迷惑行為等の特定と行為者Phの認定とを行う。具体的に、状況認定部72は、通知者Piからの発生通知を受信すると、発生通知の示す位置情報に基づき、迷惑行為等の発生位置周辺の客室映像及び客室音声を解析する。客室映像及び客室音声より認識された行為の内容が、通知された内容に高確率で一致していると判定した(スコアが閾値を超えた)場合、状況認定部72は、迷惑行為等の発生を認定する。加えて状況認定部72は、発生通知を入力した通知者Piからの終息通知に基づき、迷惑行為等の終息を判定できる。
[0036]
 報知制御部73は、状況認定部72にて迷惑行為等が発生していると判定された場合に、発生中の迷惑行為等の種別に応じたアクチュエーションを実施する。具体的に、報知制御部73は、行為者Phへのマナー報知及び警告、管理センタ42、警備センタ43及び警察機関等への通報、並びに客室映像及び客室音声等の保存等を適宜実施する。報知制御部73は、上述の乗客見守りシステムと、アクチュエーションのための各構成(50~53)等と共に、車内秩序維持システムを構築している。
[0037]
 報知制御部73は、マナー違反行為が発生している場合、行為者Phに個別提示装置20として関連付けられた携帯端末10cを用いて、マナー違反行為の中止を行為者Phに対して要求する。例えば、マナー違反行為が検出された場合、予め用意された報知メッセージが、携帯端末10cによって行為者Phに提示される。具体的には、「車内での電話はお控えください。ご協力ありがとうございます。」,「会話の音量は、周囲へのご配慮をお願いします。」「携帯機器の音漏れにご注意ください。」等が携帯端末10cのディスプレイに表示される。尚、イヤホン等を装着している場合、中止要求の提示は、音声メッセージによって行われてもよい。
[0038]
 報知制御部73は、上述したように、マナー違反行為が改善されたか否かの確認を通知者Piに対して要求する。報知制御部73は、通知者Piによる終息通知に基づき、状況認定部72にて迷惑行為の終息が認定されると、携帯端末10c(個別提示装置20)を用いたマナー違反行為の中止要求を終了させる。そして、報知制御部73は、「ご協力ありがとうございます。」等のメッセージを端末のディスプレイに表示させる。こうした処理によれば、無駄な報知の継続による煩わしさの増大が抑止され得る。
[0039]
 一方、犯罪行為が発生している場合、報知制御部73は、行為者Phに対する中止要求の方法を、マナー違反行為の場合から変更する。報知制御部73は、スピーカ52及び赤色灯53を用いて、犯罪行為の中止を行為者Phに対して直接的に要求する。
[0040]
 また、報知制御部73は、要救護者が発生している場合、報知制御部73は、スピーカ52等を用いて、要救護者の救護要求を、要救護者の周囲の乗客Pに呼びかける。さらに報知制御部73は、車内の状況を映像又は音声によって確認可能となるように、管理センタ42のオペレータと通知者Piとを通話可能な状態にする。以上により、重要な判断は、外部のオペレータに委ねられる。
[0041]
 以上の車載ユニット100にて実施される秩序維持処理の詳細を、図8に基づき、図1等を参照しつつ説明する。図8に示す秩序維持処理は、車両ADVの走行システムの起動に基づき開始され、走行システムがオフ状態とされるまで継続される。
[0042]
 S141では、発生通知の受信処理を実施し、S142に進む。S142では、S141での発生通知の受信の有無を判定する。S141及びS142の繰り返しにより、発生通知の受信を待機し、通知者Piからの発生通知の送信があった場合に、S142からS143に進む。
[0043]
 S143では、S141にて受信した発生通知の種別を判別する。S143にて、発生通知がマナー違反行為を通知する内容である場合、S144に進む。S144では、発生通知の内容と、客室センサ30の検出情報の内容とを照合し、S145に進む。S145では、S144の照合の結果、発生通知及び検出情報の各内容が整合しているか否かを判定する。S145にて、各情報の内容が整合していないと判定した場合、発生通知が誤報又はイタズラ通知であると推定し、秩序維持処理を一旦終了する。この場合、例えば行為者Phを特定せずに、客室Cのモニタ51にメッセージを表示し、乗客全体へ向けたアクチュエーションのみを実施してもよい。
[0044]
 一方、S145にて、各情報の内容が整合していると判定した場合、S146に進む。S146では、発生通知に示された行為者Phの位置情報と、客室映像の解析結果とに基づき、迷惑行為の行為者Phを認定して、S147に進む。S147では、S146にて認定した行為者Phに関連付けられた個別提示装置20(携帯端末10c)を用いて、迷惑行為の中止を要求し、S148に進む。尚、個別提示装置20による中止要求の前に、モニタ51によるメッセージの表示が行われてもよい。この場合、スピーカ52を用いた音声による報知は、他の乗客Pに煩わしく感じられ易いため、実施されないことが望ましい。
[0045]
 S148では、携帯端末10bを通じて、通知者Piに迷惑行為の改善確認を依頼し、S149に進む。S149では、通知者Piによる終息通知の受信の有無の判定により、終息通知の受信を待機する。S149にて、終息通知を受信したと判定した場合、S150に進む。S150では、個別提示装置20を用いた行為者Phへの中止要求を終了させて、秩序維持処理を終了する。
[0046]
 一方、発生通知が犯罪行為を通知する内容である場合、S151に進む。S151及びS152では、S144及びS145と同様に、発生通知の内容と、客室センサ30の検出情報の内容とを照合し、発生通知と検出情報とについて、互いの内容が整合しているか否かを判定する。情報が整合しない場合、例えば行為者Phを特定せずに、モニタ51によるメッセージの表示等、客室全体へ向けた注意喚起のみを実施し、秩序維持処理を終了する。
[0047]
 対して、S152にて、発生通知と検出情報の内容が整合していると判定した場合、S153に進む。S153では、犯罪時処理を実行する。具体的に、犯罪時処理では、客室Cへの警報発令、管理センタ42の呼び出し、警察機関及び警備センタ43への通報、行為者Phの特定、行為者Ph周辺の客室映像及び客室音声の記録等を実施する。
[0048]
 また、発生通知が乗客Pの怪我及び急病等を通知する内容である場合、図8のS154に進む。S154では、緊急時処理を実行する。具体的に、緊急時処理では、管理センタ42の呼び出し、管理センタ42オペレータと通知者Piとの音声通話接続、要救護者への声掛け、要救護者のID情報の特定と当該要救護者の家族等関係先への連絡、救急への通報、医療関係者へ連絡等が実施される。
[0049]
 以上の処理に基づく具体的な秩序維持のアクチュエーションの例を、図2及び図3のシーンに沿って、図1及び図8を参照しつつ説明する。
[0050]
 図2に示すマナー違反行為の発生シーンにて、車載ユニット100は、大型荷物による座席の占拠を発見した通知者Piから発生通知を受信し(S141)、客室映像からも大型荷物による座席の占有を検出する(S144,S145)。その結果、車載ユニット100は、大型荷物の所有者をマナー違反行為の行為者Phとして認定する(S146)。大型荷物に占拠された座席が優先席である場合、車載ユニット100は、優先者が座れない状況、一般者(非優先者)が優先席を使用しているという状況も、合わせて特定可能となる。
[0051]
 車載ユニット100は、行為者Phへの中止要求として、「一人でも多く座れるよう混雑時は荷物を膝上にお願いします」、又は「優先席をお譲りください。」等のメッセージを、行為者Phの携帯端末10cのディスプレイに表示させる(S147)。
[0052]
 そして、客室映像から座席解放が検出された場合、又は通知者Piへ改善確認依頼に対する終息通知があった場合、携帯端末10cによる報知を終了させ、「車内マナーへのご協力を感謝いたします。」等のメッセージを表示させる(S150)。
[0053]
 一方、図3に示す犯罪行為の発生シーンにて、車載ユニット100は、乗客Pの暴言又は暴力に遭遇した通知者Piによる発生通知を受信する(S141)。そして、客室映像及び客室音声からも暴言及び暴力を検出すると(S144,S145)、車載ユニット100は、犯罪性の高い犯罪行為の発生を特定し、車内に警告を発信する。例えば、赤色灯53の明滅、スピーカ52による「犯罪行為が疑われます。車内を録画します。警察へ通報します。係員が急行します。」等の音声メッセージの再生が順に実行される。さらに、車載ユニット100は、行為者PhのID情報(端末ID及び/又は乗客ID)と、客室映像及び現場写真等とを紐づけて保存すると共に、これらのデータの少なくとも一部を管理センタ42及び警備センタ43に送信する。
[0054]
 以上の結果、管理センタ42に関連する係員が現場へ急行し、被害者を保護する等の対処が可能となる。さらに、行為者Phが特定されているため、警察機関による行為者Phの任意聴取等も可能になる。
[0055]
 ここまで説明したように、車載ユニット100にて実施される第一実施形態の客室監視方法では、各携帯端末10bが、個別提示装置20として各乗客Pに個別に関連付けられている。故に、迷惑行為等の行為者Phが認定された場合、その行為者Phに関連付けられた個別提示装置20(携帯端末10c)により、迷惑行為の中止が要求される。そのため、迷惑行為の中止要求の提示は、行為者Phを除く他の乗客Pにとって、煩わしく感じられ難くなる。以上によれば、中止要求に起因する煩わしさを抑えつつ、迷惑行為の抑制が可能になる。したがって、客室Cの快適性が確保され易くなる。
[0056]
 加えて第一実施形態では、客室Cに搭乗中の乗客Pからの発生通知に基づき、迷惑行為の発生と行為者Phとが認定される。故に、行為者Phの周囲にて、他の乗客Pが迷惑と感じている迷惑行為が、秩序維持システムによる注意喚起の対象となり易い。したがって、客室Cの快適性は、高い確実性を持って確保可能となる。
[0057]
 また第一実施形態では、客室センサ30の検出情報の内容が発生通知の内容と整合した場合に、迷惑行為の発生と行為者Phとが認定される。即ち、発生通知だけでは、特定の乗客Pを対象とした注意喚起は実施されない。以上のように、迷惑行為の行為者Phを高精度に特定可能であれば、誤った内容の中止要求及び誤った乗客Pへの中止要求等は、生じ難くなる。
[0058]
 さらに第一実施形態の車載ユニット100は、発生通知を送信した携帯端末10bの端末IDを、発生通知と共に取得できる。このように、発生通知の通知者Piを特定可能な情報が残るシステム構成であれば、イタズラによる発生通知の送信が低減できる。その結果、誤った中止要求の実施が抑制され得るため、秩序維持システムの導入が客室Cの快適性を損なう事態は、生じ難くなる。
[0059]
 加えて第一実施形態では、発生通知を入力した通知者Piによる終息通知に基づき、行為者Phへの中止要求が終了される。以上によれば、軽度の迷惑行為のために、煩わしい注意喚起が継続されてしまう事態は、回避される。その結果、不注意で中止要求の対象となってしまったような善意の行為者Phが不快感を覚え難くなる。
[0060]
 また第一実施形態では、行為者Phに対する中止要求の方法が迷惑行為等の種別に応じて変更される。こうしたステップを含むことで、マナー違反行為等の軽度の迷惑行為に対しては、個別の注意喚起により、周囲の乗客Pに煩わしい思いをさせることなく、状況の改善が可能となる。一方で、犯罪性が疑われる重度の迷惑行為に対しては、強い注意喚起の実施により、迅速な状況改善が優先可能となる。
[0061]
 尚、第一実施形態では、状況認定部72が「行為認定部」に相当し、車載ユニット100が「コンピュータ」に相当する。
[0062]
 (第二実施形態)
 図9に示す本開示の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態では、車載ユニット100及び運行管理コンピュータ200等によって客室監視システム210が構成されている。客室監視システム210は、客室Cに搭乗中の乗客Pを見守り、車内の秩序を維持する制御を行う。車載ユニット100及び運行管理コンピュータ200は、互いに連携して、第一実施形態と実質同一の秩序維持処理(図8参照)を実行する。
[0063]
 車載ユニット100は、第二実施形態において、メモリ装置63に記憶された車両側客室監視プログラムをプロセッサ61によって実行する。その結果、車載ユニット100には、第一実施形態と実質同一の報知制御部73が実装される。報知制御部73は、管理センタ42の運行管理コンピュータ200にて迷惑行為等が発生していると判定された場合に、運行管理コンピュータ200の指示に従い、発生中の迷惑行為等の種別に応じたアクチュエーションを実施する。
[0064]
 運行管理コンピュータ200は、管理センタ42に設置されており、通信ネットワークNWを通じて、各車両ADVの各車載ユニット100と接続されている。運行管理コンピュータ200は、プロセッサ261、RAM262、メモリ装置263及び入出力インターフェースを有する制御回路を主体に構成されている。プロセッサ261は、RAM262と結合された大規模な演算処理のためのハードウェアであって、種々のプログラムを実行可能である。メモリ装置263は、不揮発性の記憶媒体を含む構成であって、プロセッサ261によって実行される種々のプログラムを格納している。運行管理コンピュータ200は、メモリ装置263に記憶されたセンタ側客室監視プログラムをプロセッサ261によって実行する。その結果、運行管理コンピュータ200には、第一実施形態と実質同一の関連付け部71及び状況認定部72に加えて、通信制御部274が実装される。
[0065]
 関連付け部71は、第一実施形態と同様に、関連付け処理(図4参照)を行う。具体的に、関連付け部71は、各乗客Pの料金支払いの際にカードリーダ35によって読み取られた端末IDを、車外通信器40及び通信ネットワークNWを通じて取得する。さらに、関連付け部71は、乗客認識部32による検出情報も、車外通信器40及び通信ネットワークNWを通じて取得する。関連付け部71は、客室映像に映る各乗客Pの乗客IDのへ端末IDの紐付けを、遠隔にて実施し、各携帯端末10a~10cを各乗客Pの個別提示装置20として登録する。
[0066]
 状況認定部72は、客室Cの状況を遠隔にて認識し、迷惑行為等の特定と、当該行為の行為者Phの認定とを行う。状況認定部72は、乗客認識部32による検出情報、マイク33の客室音声及びカメラ31の客室映像、通知者Piによる発生通知及び終息通知等を、車外通信器40及び通信ネットワークNWを通じて取得する。状況認定部72は、通知者Piからの発生通知を受信すると、客室映像及び客室音声を解析し、相互の内容が実質一致していると判定した場合に、迷惑行為等の発生とその行為者Phとを認定する。
[0067]
 通信制御部274は、客室Cにて発生している迷惑行為等の種別と、行為者Phを示す情報とを、通信ネットワークNW及び車外通信器40を通じて、車載ユニット100に送信する。以上により、例えばマナー違反行為等が生じていた場合、マナー違反行為の行為者Phの携帯端末10bが、個別提示装置20として機能し、マナー改善を行為者Phに呼びかけるメッセージを表示する。加えて通信制御部274は、犯罪行為が疑われる場合又は要救護者が発生した場合等に、警備センタ43及び警察機関等への通報を実施する。
[0068]
 ここまで説明した第二実施形態のように、秩序維持のための演算が車両側とセンタ側とで分散処理されていても、個別提示装置20(携帯端末10c)を用いた行為者Phへのピンポイントでの中止要求が可能である。故に、第一実施形態と同様の効果を奏し、中止要求に起因する煩わしさを抑えつつ、迷惑行為の抑制が可能になる。尚、第二実施形態では、車載ユニット100及び運行管理コンピュータ200が共に「コンピュータ」及び「客室監視装置」に相当する。
[0069]
 (他の実施形態)
 以上、本開示の複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
[0070]
 上記第一実施形態の変形例1において、状況認定部は、通知者による発生通知を受信した場合だけでなく、客室音声及び客室映像からマナー違反行為の発生を推定した場合にも、行為者を認定し、行為者に対する個別のアクチュエーションを行う。変形例1の車載ユニットは、乗客からの発生通知が無くても、マナー違反行為の継続を抑止できる。
[0071]
 加えて変形例1の車載ユニットは、乗客からの発生通知が無くても、客室内での乗客の行動を認識技術で解析し、犯罪行為を高確率で検出した場合に、管理センタに通報する。こうした変形例1であれば、マナー違反行為及び犯罪行為によって迷惑を受けている乗客が携帯端末を所持していない場合でも、客室の快適性の迅速な回復が可能となる。
[0072]
 尚、客室内の状況認識には、画像認識及び音声認識の両方が用いられなくてもよい。画像認識及び音声認識のいずれか一方のみにより、客室の状況が推定されてよい。
[0073]
 中止要求の対象となる特定行為の種別は、上記実施形態にて例示したマナー違反行為及び犯罪行為等に限定されない。こうした特定行為の種別は、例えば車両が運行される地域(国)、利用者の傾向、時間帯等に応じて適宜変更されてよい。さらに、マナー違反行為及び犯罪行為に含まれる項目も、適宜変更されてよい。
[0074]
 例え、上記実施形態では、犯罪の虞がある重度の迷惑行為を「犯罪行為」と定義していた。詳記すると、将来の裁判にて刑法に照らして犯罪と確定される可能性のある行為であって、発生時では容疑の段階である行為が、「犯罪行為」として検出されていた。しかし、法的には罰せられないような重度の迷惑行為も、「犯罪行為」として検出可能されてよい。尚、保存された現場写真及び客室映像等は、上記裁判にて、犯罪行為を法的に確定させる場合の有効な証拠となる。
また上記実施形態では、特定行為のうちで、マナー違反行為があった場合のみ、個別提示装置を用いた中止要求が行われていた。しかし、犯罪行為があった場合にも、当該行為者の携帯端末を個別提示装置として用いた個別の中止要求が実施されてよい。尚、特定行為の種別に応じた中止要求の変更は、実施されてなくてもよい。
[0075]
 上記実施形態では、イタズラ通知の抑制のため、通知者を特定可能な端末IDが発生通信と共に送信されていた。しかし、匿名性を重視し、端末ID等の携帯端末を識別する識別情報は、発生通知に添付されなくてもよい。
[0076]
 上記実施形態では、各乗客の携帯端末が個別提示装置として利用されていた。しかし、個別提示装置として利用可能な構成は、携帯端末に限定されない。例えば、各座席の座面に個別に設置された振動装置又はモニタ装置が、マナー違反を個別に注意喚起する個別提示装置として機能してもよい。さらに、指向性のスピーカを用いた音声メッセージの再生により、行為者である特定の乗客のみに、中止要求が行われてもよい。
[0077]
 乗客への注意喚起に用いられるモニタ及びスピーカ等の客室内構成は、適宜変更されてよい。加えて、頻繁な注意喚起は、乗客に煩わしさを惹起し易い。そのため、車載ユニットは、モニタ及びスピーカを用いた注意喚起を行った場合、これらを用いた注意喚起を、一定時間、行わないようにしてもよい。
[0078]
 上記実施形態では、発生通知の通知者が終息通知を送信する役割を担っていた。しかし、マナー違反行為の改善確認は、他の乗客によって実施されてもよい。或いは、客室映像及び客室音声の解析結果に基づき、マナー違反行為の改善が確認されてもよい。
[0079]
 上記実施形態での発生通知は、車内通信器へ向けて送信されていた。しかし、上記第二実施形態のように、状況認識が管理センタにて実施される形態では、携帯端末は、車内通信器ではなく、通信ネットワークを通じて運行管理コンピュータへ向けて発生通知等を送信してもよい。
[0080]
 上記実施形態では、一通の発生通知に基づき、マナー違反行為の中止要求を行うシーンを説明した。しかし、同一の内容と推定される発生通知を複数件受信するシーンが推定され得る。例えば、別々の乗客から送信された複数の発生通知において、同一の発生場所が示されている場合、車載ユニットは、個々の発生通知がマナー違反行為を示す内容であったとしても、行為者の行為を迷惑行為として扱い、強い警告を実施してもよい。
[0081]
 具体的には、同一の案件を示す発生通知が三件以下の場合では、個別提示装置を用いた個別の注意喚起が行われる。一方で、同一の案件を示す発生通知を四件以上受信した場合、車載ユニットは、個別の注意喚起を実施せず、スピーカを用いた警告を直ちに実行する。さらに、六件以上の発生通知を受信した場合、車載ユニットは、管理センタ等への通報を直ちに実行する。
[0082]
 上記実施形態では、本開示による客室監視方法を用いた乗客の見守りシステム及び車内秩序維持システムを、無人バスに適用した例を説明した。しかし、見守りシステム及び車内秩序維持システムを適用可能な車両は、無人バスに限定されず、有人車両であってもよい。例えば、運転者による客室全体の監視が困難な鉄道車両及び連節バス等に、上記の見守りシステム及び車内秩序維持システムは、適用されてよい。
[0083]
 本開示の客室監視方法を実施するコンピュータとして、上記実施形態では、車載ユニット及び運行管理コンピュータが例示されていた。こうした客室監視方法に関連する処理は、車載ユニット及び運行管理コンピュータの両方を含む客室管理システムにより、両方のコンピュータの連携により、分散実施されてもよい。また、客室監視方法を実施するコンピュータは、これらのコンピュータに限定されない。例えば、車載された複数の電子制御ユニットが、客室監視プログラムを分散処理してもよい。或いは、管理センタに設置された運行管理コンピュータが、客室監視プログラムの実質全ての演算を処理してもよい。
[0084]
 以上のように、車載ユニット及び運行管理コンピュータの各制御回路により提供された各機能は、ソフトウェア及びそれを実行するハードウェア、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの複合的な組合せによっても提供可能である。さらに、こうした機能がハードウェアである電子回路によって提供される場合、各機能は、多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によっても提供可能である。
[0085]
 客室監視プログラムに関連するデータ処理、並びに命令及びコードを実行するプロセッサの具体的な構成は、適宜変更されてよい。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)に加えて、GPU(Graphics Processing Unit)を含む構成であってもよい。さらに、プロセッサは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)及びAI技術の学習及び推論に特化したアクセラレータ(例えばDSP(Digital Signal Processor)等)を含んでいてもよい。加えてプロセッサは、FPGA及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等に実装された構成であってもよい。
[0086]
 客室監視プログラムを格納する構成として、フラッシュメモリ及びハードディスク等の種々の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)が、メモリ装置に採用可能である。こうした記憶媒体の形態も、適宜変更されてよい。例えば記憶媒体は、メモリカード等の形態であって、コンピュータに設けられたスロット部に挿入されて、制御回路に電気的に接続される構成であってよい。さらに記憶媒体は、上述のような車載装置等のメモリ装置に限定されず、当該メモリ装置へのプログラムのコピー基となる光学ディスク及び汎用コンピュータのハードディスクドライブ等であってもよい。
[0087]
 本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
[0088]
 ここで、この出願に記載されるフローチャート、あるいは、フローチャートの処理は、複数のセクション(あるいはステップと言及される)から構成され、各セクションは、たとえば、S121と表現される。さらに、各セクションは、複数のサブセクションに分割されることができる、一方、複数のセクションが合わさって一つのセクションにすることも可能である。さらに、このように構成される各セクションは、デバイス、モジュール、ミーンズとして言及されることができる。
[0089]
 本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。

請求の範囲

[請求項1]
 コンピュータ(100,200)によって実施され、複数の乗客(P)が搭乗する車両(ADV)の客室(C)を監視する客室監視方法であって、
 少なくとも一つのプロセッサ(61,261)上において、
 個々の前記乗客に対する個別の報知が可能な個別提示装置(20)を、前記客室に搭乗中の前記乗客のそれぞれに関連付けし(S102)、
 予め想定された特定行為の行為者(Ph)である前記乗客の一人を認定し(S146)、
 前記行為者に関連付けられた前記個別提示装置を用いて、前記特定行為の中止を前記行為者に対して要求する(S147)、
 ことを含む客室監視方法。
[請求項2]
 前記客室の状態を検出する客室センサ(30)の検出情報に基づき、前記行為者を認定する請求項1に記載の客室監視方法。
[請求項3]
 前記客室に搭乗中の他の一人の前記乗客からの発生通知に基づき、前記行為者を認定する請求項1又は2に記載の客室監視方法。
[請求項4]
 前記客室に搭乗する他の一人の前記乗客からの発生通知の内容と、前記客室の状態を検出する客室センサ(30)の検出情報の内容とが整合した場合に、前記行為者を認定する請求項1に記載の客室監視方法。
[請求項5]
 他の一人の前記乗客の所持する携帯端末(10b)によって送信された前記発生通知を受信する場合に、当該携帯端末の識別情報を前記発生通知と共に取得する請求項3又は4に記載の客室監視方法。
[請求項6]
 前記発生通知を入力した他の一人の前記乗客からの終息通知に基づき、前記個別提示装置を用いた前記特定行為の中止要求を終了する請求項3~5のいずれか一項に記載の客室監視方法。
[請求項7]
 前記行為者に対する中止要求の方法を、前記行為者による前記特定行為の種別に応じて変更する請求項1~6のいずれか一項に記載の客室監視方法。
[請求項8]
 車両(ADV)に搭載され、複数の乗客(P)が搭乗する前記車両の客室(C)を監視する客室監視装置であって、
 個々の前記乗客に対する個別の報知が可能な個別提示装置(20)を、前記客室に搭乗中の前記乗客のそれぞれに関連付ける関連付け部(71)と、
 予め想定された特定行為の行為者(Ph)である前記乗客の一人を認定する行為認定部(72)と、
 前記行為者に関連付けられた前記個別提示装置を用いて、前記特定行為の中止を前記行為者に対して要求する報知制御部(73)と、を備える客室監視装置。
[請求項9]
 車両(ADV)に搭載され、複数の乗客(P)が搭乗する前記車両の客室(C)を監視する客室監視装置は、
 プロセッサを備え、
 プロセッサは、
   個々の前記乗客に対する個別の報知が可能な個別提示装置(20)を、前記客室に搭乗中の前記乗客のそれぞれに関連付け、
   予め想定された特定行為の行為者(Ph)である前記乗客の一人を認定し、
   前記行為者に関連付けられた前記個別提示装置を用いて、前記特定行為の中止を前記行為者に対して要求する客室監視装置。


図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]