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1. WO2020003678 - 機能性膜の製造方法、乾燥装置、及び機能性膜の製造装置

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明 細 書

発明の名称 機能性膜の製造方法、乾燥装置、及び機能性膜の製造装置

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004  

課題を解決するための手段

0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020  

発明の効果

0021  

図面の簡単な説明

0022  

発明を実施するための形態

0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085  

実施例

0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097  

符号の説明

0098  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

図面

1   2A   2B   3   4   5A   5B   6A   6B   7A   7B   8A   8B  

明 細 書

発明の名称 : 機能性膜の製造方法、乾燥装置、及び機能性膜の製造装置

技術分野

[0001]
 本発明は、機能性膜の製造方法、乾燥装置、及び機能性膜の製造装置に関する。

背景技術

[0002]
 有機EL素子は、基板の表面上に機能性膜を有する。機能性膜等の膜は、膜材料を含むインクを基材上に塗布し、その後、乾燥炉内で乾燥処理を施して形成される。特開2002-340479号公報(特許文献1)には、乾燥炉内に送り込む熱風の風速を制御することにより、膜の面質に風紋が生じるのを防ぐことが記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2002-340479号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 本発明は、機能性膜の表面にスジ状のムラが発生することを抑制できる機能性膜の製造方法、乾燥装置、及び機能性膜の製造装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0005]
 本発明は、以下の[1]~[16]を提供するものである。
 [1] 長尺状の基板の上面に設けられた機能性膜を製造する製造方法であって、
 前記基板の上面に、前記機能性膜の材料を含むインクを塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、
 前記基板を搬送しながら前記塗布膜を乾燥させる乾燥工程と、を有し、
 前記乾燥工程は、前記基板を第1距離搬送し、その間に前記基板の温度を第1温度から第2温度まで昇温させる第1工程を備え、
 前記第1工程は、前記第1距離をd (m)、第1温度をT (℃)、第2温度をT (℃)とすると、次式:
 (T -T )/d ≧10      (1a)
の関係を満たし、かつ前記基板の瞬間変温速度の最大値が5℃/秒以下である、機能性膜の製造方法。
[0006]
 [2] 前記乾燥工程は、前記第1工程の後に、前記基板を第2距離搬送し、その間の前記基板の温度を第2温度近傍範囲に保持する第2工程をさらに備え、
 第2温度近傍範囲は、T ±5℃である、[1]に記載の機能性膜の製造方法。
[0007]
 [3] 前記第1工程は、前記基板を、前記基板の下面に二つ以上の搬送ロールを順次接触させて搬送する、[1]又は[2]に記載の機能性膜の製造方法。
[0008]
 [4] 前記搬送ロールの少なくとも一つは、中空ロール又は表面段付きロールである、[3]に記載の機能性膜の製造方法。
[0009]
 [5] 前記搬送ロールの少なくとも一つは、幅当たりの平均熱容量が110J/K以下である、[3]又は[4]に記載の機能性膜の製造方法。
[0010]
 [6] 前記塗布工程は、インクをインクジェット印刷法により塗布する、[1]~[5]のいずれか1項に記載の機能性膜の製造方法。
[0011]
 [7] 前記第1工程は、赤外線照射により前記基板を加熱する、[1]~[6]のいずれか1項に記載の機能性膜の製造方法。
[0012]
 [8] 前記機能性膜は、有機EL素子の要素である、[1]~[7]のいずれか1項に記載の塗膜の製造方法。
[0013]
 [9] 長尺状の基板の上面に形成された塗布膜を乾燥させる乾燥装置であって、
 前記基板を第1距離搬送し、その間に前記基板の温度を第1温度から第2温度まで昇温させる第1工程部を備え、
 前記第1工程部において、前記第1距離をd (m)、第1温度をT (℃)、第2温度をT (℃)とすると、次式:
 (T -T )/d ≧10    (1a)
の関係を満たし、かつ前記基板の瞬間変温速度の最大値が5℃/秒以下である、乾燥装置。
[0014]
 [10] 前記第1工程部よりも後段に、前記基板を第2距離搬送し、その間の前記基板の温度を第2温度近傍範囲に保持する第2工程部をさらに備え、
 第2温度近傍範囲は、T ±5℃である、[9]に記載の乾燥装置。
[0015]
 [11] 前記第1工程部は、前記基板を、前記基板の下面に二つ以上の搬送ロールを順次接触させて搬送する、[9]又は[10]に記載の乾燥装置。
[0016]
 [12] 前記搬送ロールの少なくとも一つは、中空ロール又は表面段付きロールである、[11]に記載の乾燥装置。
[0017]
 [13] 前記搬送ロールの少なくとも一つは、幅当たりの平均熱容量が110J/K以下である、[11]又は[12]に記載の乾燥装置。
[0018]
 [14] 前記第1工程部は、赤外線照射により前記基板を加熱する、[9]~[13]のいずれか1項に記載の乾燥装置。
[0019]
 [15] 長尺状の基板の上面に機能性膜を製造する製造装置であって、
 [9]~[14]のいずれか1項に記載の乾燥装置を備える、製造装置。
[0020]
 [16] 前記機能性膜は、有機EL素子の要素である、[15]に記載の製造装置。

発明の効果

[0021]
 本発明の製造方法によると、機能性膜の表面にスジ状のムラが発生することを抑制することができる。

図面の簡単な説明

[0022]
[図1] 図1は、本発明の実施形態の乾燥装置を模式的に示す断面図である。
[図2A] 図2Aは、表面段付きロールの一例を模式的に示す断面図である。
[図2B] 図2Bは、表面段付きロールの一例を模式的に示す断面図である。
[図3] 図3は、第1の実施形態に係る有機EL素子の構成を概略的に示す断面図である。
[図4] 図4は、第1の実施形態における発光層形成工程を模式的に示す断面図である。
[図5A] 図5Aは、試験例1の第1工程における温度をプロットしたグラフである。
[図5B] 図5Bは、試験例1の第1工程における瞬間変温速度をプロットしたグラフである。
[図6A] 図6Aは、試験例2の第1工程における温度をプロットしたグラフである。
[図6B] 図6Bは、試験例2の第1工程における瞬間変温速度をプロットしたグラフである。
[図7A] 図7Aは、試験例3の第1工程における温度をプロットしたグラフである。
[図7B] 図7Bは、試験例3の第1工程における瞬間変温速度をプロットしたグラフである。
[図8A] 図8Aは、試験例1の機能性膜のフォトルミネッセンス写真である。
[図8B] 図8Bは、試験例3の機能性膜のフォトルミネッセンス写真である。

発明を実施するための形態

[0023]
 [機能性膜の製造方法]
 本発明は、長尺状の基板の上面に設けられた機能性膜を製造する製造方法であって、基板の上面に機能性膜の材料を含むインクを塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、前記基板を搬送しながら前記塗布膜を乾燥させる乾燥工程と、を有する。インク及び乾燥工程に供される前の塗布膜は、機能性膜の材料と、これを分散又は溶解させる溶媒とを含む。
[0024]
 <乾燥工程>
 乾燥工程は、第1工程を備える。乾燥工程は、第1工程の後に第2工程を備えることが好ましい。第1工程は、基板を第1距離搬送し、その間に基板の温度を第1温度から第2温度まで昇温させる昇温工程である。第1工程は、第1距離をd (m)、第1温度をT (℃)、第2温度をT (℃)とすると、式(1a):
 (T -T )/d ≧10   (1a)
の関係を満たす。
[0025]
 第2工程は、基板を第2距離搬送し、その間の基板の温度を第2温度近傍範囲に保持する恒温工程である。第2温度近傍範囲は、T ±5℃であることが好ましく、T ±2℃であることがさらに好ましい。
[0026]
 第1温度T 及び第2温度T は、次のようにして測定される値とする。基板の任意の位置の温度を、第1工程の開始時点から終了時点まで、すなわち第1距離d 搬送される間、0.1秒間隔で測定を行い、開始時点からx秒後の測定温度をT (℃)とすると、T の最小値を第1温度T とし、T の最大値を第2温度T とする。T を測定する任意の位置は、幅方向の位置が端部から同距離である異なる二つの位置(以下、「位置A1」、「位置A2」とも称する)とし、二つの位置で測定したT の中の最小値を第1温度T とし、最大値を第2温度T とする。通常、第1温度T は、第1工程の開始時点の温度とほぼ一致し、第2温度T は、第1工程の終了時点の温度とほぼ一致する。第1工程では、目標到達温度を予め設定し、第2温度T と目標到達温度がほぼ一致することが好ましい。目標到達温度は、塗布膜に含まれる溶媒の沸点に応じて決定されることが好ましい。
[0027]
 基板の位置A1及び位置A2の温度の測定方法は、0.1秒間隔の測定が可能な温度計であれば特に限定されることはなく、接触式であっても非接触式であってもよい。このような温度計としては、例えば、基板の位置A1及び位置A2に貼り付けが可能な、測温抵抗体、熱電対等が挙げられる。
[0028]
 第1工程及び第2工程では、基板を所定の搬送速度で搬送する。第1工程及び第2工程を経た後の塗布膜に含まれる溶媒の除去率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、99%以上であることがさらに好ましい。第1距離d は、搬送速度、基板の温度応答性等に基づいて、第2温度T と目標到達温度がほぼ一致するように適宜決定されることが好ましい。第2距離d は、搬送速度、塗布膜の厚さ、塗布膜の溶媒含有量等に基づいて、目標とする溶媒の除去率が達成されるように適宜決定されることが好ましい。
[0029]
 第1工程及び第2工程における基板の搬送速度は、例えば0.5~5m/分であり、1~3m/分であることが好ましい。第1距離d は、例えば1m以上5m以下の範囲内の距離である。第2距離d は、例えば2m以上10m以下の範囲内の距離である。
[0030]
 第1工程は、瞬間変温速度の最大値が5℃/秒以下である。瞬間変温速度は、第1工程の開始時点から終了時点まで0.1秒毎に算出される。開始時点(0秒)からx秒後(0.6秒後、0.7秒後、0.8秒後、・・・)の瞬間変温速度をR (℃/秒)、開始時点からx秒後の基板の位置A1又は位置A2の温度をT 、とすると、瞬間変温速度R は、x-0.5秒秒~x+0.4秒の0.1秒毎の10点の温度、すなわちT x-0.5、T x-0.4、T x-0.3、T x-0.2、T x-0.1、T 、T x+0.1、T x+0.2、T x+0.3、T x+0.4の10点の温度より、最小二乗法で単回帰分析を行い、一次式で近似した傾きとする。
[0031]
 第1工程において、位置A1及び位置A2における瞬間変温速度R の最大値が5℃/秒以下であることにより、機能性膜に生じるスジ状のムラを抑制することができる。第1工程において、スジ状のムラをさらに抑制できる観点から、瞬間変温速度R の最大値は4℃/秒以下であることが好ましい。
[0032]
 本発明者らは、第1工程のような昇温工程で瞬間的に大きな温度変化が生じる場合があり、これにより、機能性膜において搬送方向に直交する方向のスジ状のムラが発生しやすいとの知見を得て、本発明に至ったものである。また、搬送ロールで基板を搬送する態様において、搬送ロールに接触する瞬間またはその前後で、瞬間的に大きな温度変化が生じやすいとの知見を得て、特に、第1工程の開始時点に近い時点で搬送ロールに接触する瞬間またはその前後で、瞬間的に大きな温度変化が生じやすいとの知見を得て、本発明を実施する具体的な態様に至ったものである。
[0033]
 第1工程は、時間を短縮化する観点から、式(1b):
 (T -T )/d ≧20   (1b)
の関係を満たすことが好ましい。
[0034]
 第1工程は、瞬間変温速度R の最大値が5℃/秒以下を満たす工程部を構成しやすい観点から、式(1c):
 (T -T )/d ≦50 (1c)
の関係を満たすことが好ましい。
[0035]
 図1は、乾燥工程を行う乾燥装置を模式的に示す断面図である。乾燥装置100は、第1工程部10と第2工程部20とを備える。基板1は、第1工程部10と第2工程部20とを順に通過するように搬送される。第1工程部10では第1工程が行なわれ、第2工程部20では第2工程が行なわれる。
[0036]
 第1工程部10内には、6本の搬送ロール11a~11fと加熱部12とが設けられている。第1工程部10内では、基板1を、基板1の下面に6本の搬送ロール11a~11fを順次接触させて第1距離d 搬送する。その間に、加熱部12により基板1を加熱して、基板1の温度を第1温度から第2温度まで昇温させる。
[0037]
 第2工程部20内には、6本の搬送ロール21a~21fと加熱部22とが設けられている。第2工程部20内では、基板1を、基板1の下面に6本の搬送ロール21a~21fを順次接触させて第2距離d 搬送する。その間、加熱部22により基板1を加熱して、基板1の温度を第2温度近傍範囲に保持する。
[0038]
 第1工程部10及び第2工程部20内の搬送ロールの数は、それぞれ6本に限定されることはなく、2本以上であれば搬送距離に応じて適宜設計し得る。第1工程部10及び第2工程部20における搬送ロールの数は、例えば、3本~10本である。
[0039]
 各搬送ロールは、円柱状であり、基板1を表面に接触させながら回転することにより基板1を搬送させることができる構成のものであれば限定されることはない。搬送ロールの中心部について、空洞である中空ロールであっても、空洞でない中実ロールであってもよい。搬送ロールの表面について、平滑であり基板1の下面の全面が接する表面平滑ロールであっても、段付きであり基板1の下面の一部が接する表面段付きロールであってもよい。搬送ロールの材質は、特に限定されることはなく、その表面材質については、例えば、樹脂、セラミック、金属、木材等が例示される。搬送ロールの直径は、特に限定されることはなく、例えば、30mm~100mmである。第1工程部10内の搬送ロール11a~11f、及び第2工程部20内の搬送ロール21a~21fは、全て同じものである必要はなく、個別に適宜選択し得る。
[0040]
 第1工程部10内の加熱部12は、エネルギー線照射しその輻射熱によって基板1を加熱するものであっても、電熱板等の熱源によって第1工程部10内の雰囲気を加熱し基板1を加熱するものであってもよい。エネルギー線としては、赤外線、遠赤外線、マイクロ波等が例示される。加熱部12は、基板1を効率的に加熱できることから、赤外線照射により基板1を加熱するように構成されているものが好ましい。第1工程部10は、第1距離にわたって第1温度T1から第2温度T2まで単調増加する所定の温度分布を有することが好ましい。赤外線照射により所定の温度分布をつくるには複数の赤外線照射装置を備え、各赤外線照射装置の出力を搬送方向に沿って次第に増大させるようにすることが可能である。本発明では、機能性膜の表面に風紋等が発生することを防止する観点から、熱風乾燥による加熱は行わない方が好ましい。第1工程部10内での加熱部12の配置位置は限定されることはなく、搬送される基板1の上側に配置されていてもよく、下側に配置されていてもよく、両側に配置されていてもよい。
[0041]
 第2工程部20内の加熱部22についても、第1工程部10内の加熱部12と同様に、エネルギー線照射しその輻射熱によって基板1を加熱するものであっても、電熱板等の熱源によって第2工程部20内の雰囲気を加熱し基板1を加熱するものであってもよい。第2工程部20内での加熱部22の配置位置は限定されることはなく、搬送される基板1の上側に配置されていてもよく、下側に配置されていてもよく、両側に配置されていてもよい。
[0042]
 第1工程部10において、瞬間変温速度の最大値が5℃/秒以下を満たすものとする方法として、搬送ロールを調整する方法、温調ロールの表面温度を調節する方法等が挙げられる。搬送ロールを調整する方法としては、搬送ロールの少なくとも一つを、基板1への伝熱量が低い搬送ロール(以下、「低伝熱搬送ロール」とも称する。)にすることが挙げられる。低伝熱搬送ロールとしては、基板1の下面との接触面積が低減される表面段付きロール、熱容量が小さい中空ロール等が挙げられる。低伝熱搬送ロールは、幅当たりの平均熱容量が110J/K以下であることが好ましく、80J/K以下であることがより好ましい。搬送ロールの幅当たりの平均熱容量は、搬送ロールの材質、搬送ロールが中実であるか中空であるか、搬送ロールの直径等によって異なる。中空ロール、表面段付きロール等を用いることにより、幅方向の平均熱容量が110J/K以下の搬送ロールを構成することができる。
[0043]
 第1工程部10内において、全ての搬送ロール(図1では、搬送ロール11a~11f)を低伝熱搬送ロールとしてもよいし、瞬間変温速度が高くなりやすい領域に配置する搬送ロールのみを低伝熱搬送ロールとしてもよい。第1工程部10内において、基板1の温度が第2温度T よりも第1温度T に近い温度である状態で搬送ロールに接触する場合に瞬間変温速度が高くなりやすいため、第1工程部10の第1距離d1を2分割した上流側に配置される搬送ロール(図1では、搬送ロール11a、11b、11c)が低伝熱搬送ロールであることが好ましい。なお、乾燥炉の特性によって瞬間変温速度が高くなりやすい領域が決まるので、予め瞬間変温速度を算出し、瞬間変温速度が5℃/秒を超える位置周辺に配置されている搬送ロールを低伝熱搬送ロールに入れ替える等により調整を行ってもよい。
[0044]
 図2A及び図2Bは、表面段付きロールの一例を模式的に示す断面図である。表面段付きロール30a、30bは、表面に凹状部31と凸状部32とを有し、凹状部31においては基板1の下面がロールと接触することがなく、基板1への熱伝達量が小さくなるように構成されている。表面段付きロール30aは、端部が凸状部32であり、凸状部32に挟まれた中心領域が凹状部31である。表面段付きロール30bは、端部が凸状部32であり、凸状部32に挟まれた中心領域に、凹状部31と凸状部32とが交互に形成されている。
[0045]
 基板1において塗布膜が設けられている領域は、その下面が表面段付きロールの凹状部と対向することが好ましい。基板1の中でも、特に塗布膜が設けられている領域において熱伝達量を小さくすることにより、塗布膜に生じるスジ状のムラの発生をより効果的に抑制することができるからである。塗布膜が設けられている領域の内、50%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは100%の領域の下面が表面段付きロールの凹状部と対向するようにすることにより、表面段付きロールを用いることによる、塗布膜に生じるスジ状のムラの発生の抑制への寄与を大きくすることができる。
[0046]
 第1工程部10において、瞬間変温速度の最大値が5℃/秒以下を満たすものとするために、搬送ロールを調整する他の方法としては、搬送ロールの少なくとも一つを、表面温度が調節可能な搬送ロール(以下、「温調ロール」とも称する。)にすることが挙げられる。温調ロールにおける表面温度の調節方法は限定されることはなく、例えば、内部に冷却流体を通過させる方法等が挙げられる。温調ロールの表面温度は、その位置での基板の温度との温度差が所定値以下となるように調節する方法が好ましい。ここでの所定値以下は、好ましくは15℃以下、より好ましくは10℃以下、さらに好ましくは4℃以下である。温調ロールの表面温度と、基板の温度との温度差を判定する判定部を設け、判定部での判定結果に応じて温調ロールの表面温度を調節することができる。第1工程部10内において、基板1の温度が第2温度T よりも第1温度T に近い温度にある状態で搬送ロールに接触する場合に瞬間変温速度が高くなりやすいため、第1工程部10の第1距離d1を2分割した上流側に配置される搬送ロール(図1では、搬送ロール11a、11b、11c)が温調ロールであることが好ましい。なお、乾燥炉の特性によって瞬間変温速度が高くなりやすい領域が決まるので、予め瞬間変温速度を算出し、瞬間変温速度が5℃/秒を超える位置周辺に配置されている搬送ロールを温調ロールに入れ替える等により調整を行ってもよい。
[0047]
 <塗布工程>
 塗布工程では、長尺状の基板の上面に、インクを塗布して塗布膜を形成する。塗布工程は、基板を搬送しながら行う工程であっても、基板を搬送せずに行う工程であってもよいが、上述の乾燥工程を、塗布工程の後に連続して行うことができる観点から、基板を搬送しながら行う工程であることが好ましい。
[0048]
 インクの塗布方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ-コート法、ノズルコート法等の塗布方法を用いることができ、塗布膜の平坦性が得られる観点から、吐出型の塗布法であるインクジェット印刷法が好ましく用いられる。塗布工程で用いるインクの種類は特に限定されないが、インクの濃度が低いほど、またインクの粘度が小さいほど、機能性膜の表面にスジ状のムラが発生しやすい傾向がある。本発明によると、低濃度のインク、低粘度のインク等を用いた場合であっても、機能性膜の表面にスジ状のムラが発生することを抑制することができる。
[0049]
 塗布工程では、機能性膜の用途に応じて基板の上面の任意の領域にインクを塗布する。なお、インクが装置内に漏れ出ることがないように、長尺状の基板の幅方向の少なくとも端部には、塗布用組成物を塗布しないようにすることが好ましい。
[0050]
 <製造装置>
 本発明に係る機能性膜の製造装置の一形態は、上述の乾燥装置を備える。本形態によると、乾燥装置における搬送方向に直交する方向に生じるスジ状のムラの発生が抑制された機能性膜を製造することができる。
[0051]
 [第1の実施形態]
 以下、本発明の一実施形態を説明する。本実施形態は、機能性膜を有する有機EL素子の製造方法である。
[0052]
  図3は、本実施形態に係る有機EL素子の構成を概略的に示す断面図である。図3に示すように、本実施形態に係る有機EL素子の製造方法で製造される有機EL素子80は、例えば照明に使用される有機EL照明パネルである。有機EL素子80は、基板82と、陽極(第1の電極)84と、発光層(有機EL用の機能層)86と、陰極(第2の電極)88と、を備える。有機EL素子80は、陽極84側から光を出射する形態、又は、陰極88側から光を出射する形態を取り得る。以下では、断らない限り、陽極84側から光を出射する形態について説明する。
[0053]
  <基板>
  基板82は、可視光(波長400nm~800nmの光)に対して透光性を有する。基板82は、フィルム状の基板であり得る。基板82の厚さは、例えば、30μm以上700μm以下である。
[0054]
  基板82は、可撓性を有し、基板82の例はプラスチックフィルム又は高分子フィルムである。基板82の材料としては、例えばポリエーテルスルホン(PES);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;エチレン-酢酸ビニル共重合体のケン化物;ポリアクリロニトリル樹脂;アセタール樹脂;ポリイミド樹脂;エポキシ樹脂等が挙げられる。
[0055]
  基板82には、有機EL素子80を駆動するための駆動回路(例えば、薄膜トランジスタなどを含む回路)が形成されていてもよい。このような駆動回路は、通常、透明材料から構成される。
[0056]
  基板82の上面82a上には、バリア膜が形成されていてもよい。バリア膜は、例えば、ケイ素、酸素及び炭素からなる膜、又は、ケイ素、酸素、炭素及び窒素からなる膜であり得る。具体的には、バリア膜の材料の例は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等である。バリア膜の厚さの例は、100nm以上10μm以下である。
[0057]
  <陽極>
  陽極84は、基板82の上面82a上に設けられている。陽極84には、光透過性を示す電極が用いられる。光透過性を示す電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物及び金属等の薄膜を用いることができ、光透過率の高い薄膜が好適に用いられる。陽極84は、導電体(例えば金属)からなるネットワーク構造を有してもよい。
[0058]
  陽極84の厚さは、光の透過性や、電気伝導度等を考慮して決定することができる。陽極84の厚さは、通常、10nm~10μmであり、好ましくは20nm~1μmであり、さらに好ましくは50nm~500nmである。本明細書において、陽極84が設けられた基板82を電極付き基板60と称する場合もある。
[0059]
  <発光層>
  発光層86は、陽極84上に設けられており、所定の波長の光を発光する機能を有する機能性膜である。発光層86の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定される。発光層86の厚さは、例えば1nm~1μmであり、好ましくは2nm~500nmであり、さらに好ましくは10nm~200nmである。
[0060]
  <陰極>
  陰極88は、発光層86上に設けられている。陰極88の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、電気伝導度、耐久性等を考慮して設定される。陰極88の厚さは、通常、10nm~10μmであり、好ましくは20nm~1μmであり、さらに好ましくは50nm~500nmである。
[0061]
  有機EL素子80において、陽極84と発光層86との間、及び、発光層86と陰極88との間に更に他の機能性膜が設けられてもよい。各種の機能性膜を含む有機EL素子80の層構成の例を以下に示す。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
e)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
f)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
g)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
h)陽極/発光層/電子注入層/陰極
i)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
  記号「/」は、記号「/」の両側の層同士が接合していることを意味している。上記a)の構成が図3に示した構成に対応する。
[0062]
  正孔注入層は、陽極84から発光層86への正孔注入効率を改善する機能を有する機能性膜である。正孔輸送層は、陽極84、正孔注入層又は陽極84により近い正孔輸送層から発光層86への正孔注入効率を改善する機能を有する機能性膜である。電子輸送層は、陰極88、電子注入層又は陰極88により近い電子輸送層からの電子注入効率を改善する機能を有する機能性膜である。電子注入層は、陰極88から発光層86への電子注入効率を改善する機能を有する機能性膜である。電子注入層は、陰極の一部であってもよい。
[0063]
  正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等の有機EL用の機能性膜の材料には、各膜のための公知の材料が使用され得る。有機EL用の各機能性膜の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定される。
[0064]
  有機EL素子80は、電極付き基板60上の少なくとも機能性膜を封止する封止部を備えてもよい。
[0065]
 <製造方法>
  次に、図3に示した構成を有する有機EL素子80の製造方法の一例について説明する。以下では、可撓性を有する長尺の基板82上に陽極84が形成された電極付き基板60を用いて有機EL素子80を製造する形態について説明する。本明細書において、長尺の基板及び長尺の電極付き基板とは、後述する搬送方向(X軸方向)の長さが幅方向(Y軸方向)の長さよりも長い基板及び電極付き基板を指す。
[0066]
  長尺の電極付き基板60は、可撓性を有する長尺の基板82の上面82aに設定される複数の素子形成領域のそれぞれに陽極84を形成することで作製され得る。
[0067]
  陽極84の材料としては、例えば酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム錫酸化物(Indium  Tin  Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium  Zinc  Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、銅等が挙げられ、これらの中でもITO、IZO、又は酸化スズが好ましい。陽極84は、例示した材料からなる薄膜として形成され得る。陽極84の材料には、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機物を用いてもよい。この場合、陽極84は、透明導電膜として形成され得る。前述したように、陽極84は、導電体(例えば金属)からなるネットワーク構造を有してもよい。
[0068]
  陽極84は、有機EL素子80の製造において公知の方法で形成され得る。陽極84の形成方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等が挙げられる。
[0069]
  塗布法としては、例えばインクジェット印刷法が挙げられるが、陽極84を形成可能な塗布法であれば、他の公知の塗布法でもよい。インクジェット印刷法以外の公知の塗布法としては、例えばスリットコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法及びノズルプリント法等が挙げられる。
[0070]
  陽極84の材料を含む塗布液の溶媒は、陽極84の材料を溶解できる溶媒であればよい。溶媒としては、例えばクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩化物溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル溶媒等が挙げられる。
[0071]
  上記電極付き基板60を用いて有機EL素子80を製造する方法は、発光層形成工程(機能性膜形成工程)と、陰極形成工程(電極形成工程)と、を備える。本実施形態で説明するように、長尺の電極付き基板60から有機EL素子80を製造する形態では、通常、長尺の電極付き基板60に、発光層86及び陰極88を形成した後に、素子形成領域毎に電極付き基板60を切断することで、複数の有機EL素子80を得る切断工程を備える。よって、切断工程を備える形態について説明する。
[0072]
 <発光層形成工程>
  発光層形成工程では、上述の機能性膜の製造方法により発光層を形成する。発光層形成工程では、陽極84上に発光層86を形成する。発光層形成工程は、塗布工程と、乾燥工程とを有する。
[0073]
  図4は、発光層形成工程を模式的に示す断面図である。発光層形成工程では、図4に示したように、ロールツーロール方式により、発光層86を形成する。すなわち、巻出しロール62Aに巻かれた長尺の電極付き基板60を繰り出して、その長手方向に搬送ローラRを利用して搬送した後、巻取りロール62Bで巻き取るまでの間に、塗布工程及び乾燥工程を順に実施する。
[0074]
  (塗布工程)
  塗布工程では、電極付き基板60上に配置されるインク塗布器64から、発光層86用の材料を含むインク66を陽極84上に塗布して、塗布膜68を形成する。本実施形態では、インクジェット印刷法を利用して塗布膜68を形成する。この場合、インク塗布器64は、インクジェット塗布器である。
[0075]
  インクジェット塗布器であるインク塗布器64は、電極付き基板60の搬送方向に複数のノズル列を有し、各ノズル列は、電極付き基板60の幅方向に配列された複数のノズルを有する。インク塗布器64としては、例えば解像度が600dpiである塗布器であり得る。
[0076]
  発光層86の材料は、公知の発光層86用の材料であればよい。発光層86は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、或いは、該有機物とこれを補助するドーパントを含む。ドーパントは、例えば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。発光層86に含まれる有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよい。発光層86を構成する発光材料としては、下記の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料等の主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、ドーパント材料等が挙げられる。
[0077]
  色素系材料としては、例えばシクロペンダミン若しくはその誘導体、テトラフェニルブタジエン若しくはその誘導体、トリフェニルアミン若しくはその誘導体、オキサジアゾール若しくはその誘導体、ピラゾロキノリン若しくはその誘導体、ジスチリルベンゼン若しくはその誘導体、ジスチリルアリーレン若しくはその誘導体、ピロール若しくはその誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン若しくはその誘導体、ペリレン若しくはその誘導体、オリゴチオフェン若しくはその誘導体、オキサジアゾールダイマー若しくはその誘導体、ピラゾリンダイマー若しくはその誘導体、キナクリドン若しくはその誘導体、クマリン若しくはその誘導体等が挙げられる。
[0078]
  金属錯体系材料としては、例えばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、又はAl、Zn、Be、Pt、Ir等を中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を配位子に有する金属錯体等が挙げられる。金属錯体としては、例えばイリジウム錯体、白金錯体等の三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体等が挙げられる。
[0079]
  高分子系材料としては、例えばポリパラフェニレンビニレン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリパラフェニレン若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、ポリアセチレン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、上記色素材料及び金属錯体材料の少なくとも一方を高分子化した材料等が挙げられる。
[0080]
  ドーパント材料としては、例えばペリレン若しくはその誘導体、クマリン若しくはその誘導体、ルブレン若しくはその誘導体、キナクリドン若しくはその誘導体、スクアリウム若しくはその誘導体、ポルフィリン若しくはその誘導体、スチリル色素、テトラセン若しくはその誘導体、ピラゾロン若しくはその誘導体、デカシクレン若しくはその誘導体、フェノキサゾン若しくはその誘導体等が挙げられる。
[0081]
  インク66の溶媒は、発光層86用の材料を溶解可能なものであれば限定されない。溶媒としては、例えばクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩化物溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル溶媒等が挙げられる。
[0082]
  一実施形態において、インク66の粘度は、電極付き基板60にインク66が着弾した直後の粘度が1mPa・s~25mPa・sとなるように設定され得る。一実施形態において、インク66の固形分濃度は、電極付き基板60にインク66が着弾した直後の固形分濃度が5重量%以下となるように設定されていてもよい。
[0083]
  (乾燥工程)
  乾燥工程では、乾燥装置100が有する乾燥炉内で塗布膜68を乾燥させ、発光層86を得る。乾燥装置100の例は、図1に示した乾燥装置であり得る。乾燥装置100において、第1温度T は、例えば室温±10℃の範囲内の温度である。第2温度T は、搬送される長尺上の基板を構成する樹脂のガラス転移温度より低い温度であることが好ましく、例えば60℃以上200℃以下の範囲内の温度であり、80℃以上120℃以下の範囲内の温度であることが好ましい。
[0084]
  (陰極形成工程)
  陰極形成工程では、発光層86上に陰極88を形成する。発光層86からの光を陽極84側に陰極88で反射するために、陰極88の材料としては、可視光反射率の高い材料が好ましい。陰極88の材料としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び周期表の13族金属等が挙げられる。陰極88として、導電性金属酸化物及び導電性有機物等からなる透明導電性電極を用いてもよい。陰極88は、陽極84の形成方法と同様にして形成され得る。ロールツーロール方式で陰極88を形成してもよい。すなわち、電極付き基板60をその長手方向に搬送しながら発光層86上に陰極88を形成してもよい。
[0085]
  (切断工程)
  切断工程では、発光層86及び陰極88が形成された長尺の電極付き基板60を、その長手方向に搬送しながら、素子形成領域毎に電極付き基板60を切断する。これにより、発光層86及び陰極88が形成された長尺の電極付き基板60から複数の有機EL素子80が得られる。
実施例
[0086]
 以下、試験例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。
[0087]
 <試験例1~3>
 試験例1~3において機能性膜を作製した。試験例1~3では、まず、長尺状の基板(商品名:PEN-Q65H、300mm幅、100μm厚、帝人デュポン社製)を用意し、これを搬送速度2m/分で搬送させながら、塗布工程及び乾燥工程を施して、機能性膜を作製した。
[0088]
 塗布工程では、インクをインクジェット塗布器を用いて基板の上面の幅方向の端部を除いた領域に均一に塗布した。
[0089]
 乾燥工程では、図1に示す乾燥装置を用いて、第1工程及び第2工程を行った。第1工程部の第1距離d を2m、基板1の搬送速度を2m/分、第1工程部10での目標到達温度を90℃とした。試験例1~3においては、第1工程部内で用いた6つの搬送ロールを、表1に示すロールとし、その配置位置を表1に示す位置(位置1~6)とした点以外は、同じ条件で機能性膜を作製した。なお、表1に示す配置位置は、第1工程の開始時点(第1工程部の入口)の位置を0m、第1工程の終了時点(第1工程部の出口)の位置を2mとしたときの位置である。
[0090]
[表1]


[0091]
 試験例1~3では、基板の上面において、幅方向の一方の端部から40mmの位置(「位置A1」とする)と、他方の端部から40mmの位置(「位置A2」とする)とに測温抵抗体を貼り付けて、乾燥工程の第1工程において、0.1秒間隔で位置A1及び位置A2の温度T を測定した。位置A1及び位置A2は、ともに基板の上面に塗布膜が設けられていない領域に対応する位置であった。
[0092]
 図5Aは、試験例1の第1工程における温度T について、第1工程の経過時間xを、搬送速度を用いて第1工程の開始時点(0m)からの搬送距離に換算して、横軸に搬送距離を、縦軸に温度T をプロットし、プロット点を直線で結んで作成したグラフである。図5Bは、試験例1の第1工程における経過時間xにおける瞬間変温速度R を上述の方法にしたがって算出して、横軸に経過時間xを縦軸に瞬間変温速度R をプロットし、プロット点を直線で結んで作成したグラフである。
[0093]
 図6A及び図6Bは、試験例2の温度T について、試験例1の温度T を用いて作成した図5A及び図5Bと同様にして作成したグラフである。図7A及び図7Bは、試験例3の温度T について、試験例1の温度T を用いて作成した図5A及び図5Bと同様にして作成したグラフである。
[0094]
 表2に、試験例1~3の測定結果より抽出した、乾燥工程の第1工程における第1温度T (最小温度)、第2温度T (最大温度)、及び瞬間変温速度R の最大値と、(T -T )/d の算出値とを示す。
[0095]
 試験例1~3において、得られた機能性膜の平均厚さは、約0.1μmであった。各試験例について、得られた機能性膜と基板との積層体から150mm×150mmの大きさのサンプルを切り出し、フォトルミネッセンス検出装置により機能性膜の表面のスジ状のムラの発生の有無を観察した。表2に観察結果を示す。図8Aは、試験例1のサンプルについてフォトルミネッセンス撮像装置により撮像された写真である。図8Bは、試験例3のサンプルについてフォトルミネッセンス撮像装置により撮像された写真である。
[0096]
[表2]


[0097]
 表2に示す観察結果、及び図8A,図8Bからわかるように、瞬間変温速度R の最大値が5℃/s以下である試験例1、2ではスジ状のムラが観察されず、一方瞬間変温速度R の最大値が5℃/sを超える試験例3では搬送方向に直交する方向のスジ状のムラ(図8Bにおいて矢印で示す)が観察された。

符号の説明

[0098]
 1 基板、10 第1工程部、11a,11b,11c,11d,11e,11f 搬送ロール、12 加熱部、20 第2工程部、21a,21b,21c,21d,21e,21f 搬送ロール、22 加熱部、30a,30b 表面段付きロール、31 凹状部、32 凸状部、60 電極付き基板、62A 巻出しロール、62B 巻取りロール、64 インク塗布器、66 インク、68 塗布膜、80 有機EL素子、84 陽極、86 発光層、100 乾燥装置。

請求の範囲

[請求項1]
 長尺状の基板の上面に設けられた機能性膜を製造する製造方法であって、
 前記基板の上面に、前記機能性膜の材料を含むインクを塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、
 前記基板を搬送しながら前記塗布膜を乾燥させる乾燥工程と、を有し、
 前記乾燥工程は、前記基板を第1距離搬送し、その間に前記基板の温度を第1温度から第2温度まで昇温させる第1工程を備え、
 前記第1工程は、前記第1距離をd (m)、第1温度をT (℃)、第2温度をT (℃)とすると、次式:
 (T -T )/d ≧10      (1a)
の関係を満たし、かつ前記基板の瞬間変温速度の最大値が5℃/秒以下である、機能性膜の製造方法。
[請求項2]
 前記乾燥工程は、前記第1工程の後に、前記基板を第2距離搬送し、その間の前記基板の温度を第2温度近傍範囲に保持する第2工程をさらに備え、
 第2温度近傍範囲は、T ±5℃である、請求項1に記載の機能性膜の製造方法。
[請求項3]
 前記第1工程は、前記基板を、前記基板の下面に二つ以上の搬送ロールを順次接触させて搬送する、請求項1又は2に記載の機能性膜の製造方法。
[請求項4]
 前記搬送ロールの少なくとも一つは、中空ロール又は表面段付きロールである、請求項3に記載の機能性膜の製造方法。
[請求項5]
 前記搬送ロールの少なくとも一つは、幅当たりの平均熱容量が110J/K以下である、請求項3又は4に記載の機能性膜の製造方法。
[請求項6]
 前記塗布工程は、インクをインクジェット印刷法により塗布する、請求項1~5のいずれか1項に記載の機能性膜の製造方法。
[請求項7]
 前記第1工程は、赤外線照射により前記基板を加熱する、請求項1~6のいずれか1項に記載の機能性膜の製造方法。
[請求項8]
 前記機能性膜は、有機EL素子の要素である、請求項1~7のいずれか1項に記載の塗膜の製造方法。
[請求項9]
 長尺状の基板の上面に形成された塗布膜を乾燥させる乾燥装置であって、
 前記基板を第1距離搬送し、その間に前記基板の温度を第1温度から第2温度まで昇温させる第1工程部を備え、
 前記第1工程部において、前記第1距離をd (m)、第1温度をT (℃)、第2温度をT (℃)とすると、次式:
 (T -T )/d ≧10    (1a)
の関係を満たし、かつ前記基板の瞬間変温速度の最大値が5℃/秒以下である、乾燥装置。
[請求項10]
 前記第1工程部よりも後段に、前記基板を第2距離搬送し、その間の前記基板の温度を第2温度近傍範囲に保持する第2工程部をさらに備え、
 第2温度近傍範囲は、T ±5℃である、請求項9に記載の乾燥装置。
[請求項11]
 前記第1工程部は、前記基板を、前記基板の下面に二つ以上の搬送ロールを順次接触させて搬送する、請求項9又は10に記載の乾燥装置。
[請求項12]
 前記搬送ロールの少なくとも一つは、中空ロール又は表面段付きロールである、請求項11に記載の乾燥装置。
[請求項13]
 前記搬送ロールの少なくとも一つは、幅当たりの平均熱容量が110J/K以下である、請求項11又は12に記載の乾燥装置。
[請求項14]
 前記第1工程部は、赤外線照射により前記基板を加熱する、請求項9~13のいずれか1項に記載の乾燥装置。
[請求項15]
 長尺状の基板の上面に機能性膜を製造する製造装置であって、
 請求項9~14のいずれか1項に記載の乾燥装置を備える、製造装置。
[請求項16]
 前記機能性膜は、有機EL素子の要素である、請求項15に記載の製造装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2A]

[ 図 2B]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5A]

[ 図 5B]

[ 図 6A]

[ 図 6B]

[ 図 7A]

[ 図 7B]

[ 図 8A]

[ 図 8B]