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1. (WO2019065758) 合成樹脂表皮材複合体及び合成樹脂表皮材複合体の製造方法
Document

明 細 書

発明の名称 合成樹脂表皮材複合体及び合成樹脂表皮材複合体の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086  

実施例

0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : 合成樹脂表皮材複合体及び合成樹脂表皮材複合体の製造方法

技術分野

[0001]
 本開示は、合成樹脂表皮材複合体及び合成樹脂表皮材複合体の製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 インストルメントパネル、ドアトリム、座席、天井などの自動車内装部品、トリム、座席、天井などの鉄道車輌内装部品及び航空機内装部品、家具、靴、履物、鞄、建装用内外装部材、衣類表装材及び裏地、壁装材などには、天然皮革や繊維製シートに代えて、耐久性に優れる合成皮革が多用されている。このような合成皮革は、最表面に天然皮革に類似した凹凸、即ち、絞(シボ)模様を有している。
 近年、自動車用シート、椅子等に用いる合成皮革として、従来汎用されている皮革様の浅い凹凸を有する合成皮革よりも、さらに深い凹凸を有する立体形状の表皮材が求められている。
 このため、一般的には、基材として布(生地)を使用し、基材裏面にウレタンフォーム層を設けてクッション性を付与し、表面には意匠性を付与するための表皮層を設けたものが使用されている。
[0003]
 例えば、表皮層にソフトな風合いを付与するため、湿式加工を用いた自動車用内装材として、起毛繊維を有する生地の起毛側の面に湿式ミクロポーラス層、ポリウレタン接着層、及びウレタン表皮層を有し、基布の起毛繊維先端部が、ポリウレタン接着層内に存在する内装材が提案されている(特開平7-132573号公報参照)。
 また、凹凸模様を深くはっきりと形成させることができ、長期間使用しても凹凸形状の変形の生じない凹凸表皮材の製造方法として、定荷重伸びが2%~50%である表地に、特定の物性を有する軟質ポリウレタンフォーム材を積層一体化してラミネートシートを得た後、上下一対の熱盤間に、ラミネートシートと、型押部が多数個突設された成形型とを配置して、熱プレスを行う方法が提案されている(特開2003-326598号公報参照)。

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 しかし、特開平7-132573号公報に記載の内装材は、湿式法を用いているためにボリューム感を有する内装材であるが、形成される凹凸は立体感を有する程には深い凹部を形成することが困難であり、意匠性の観点から改良が望まれている。
 特開2003-326598号公報に記載の製造方法により得られた表皮材は基布側にエンボス加工を行うため、凹凸の形状保持性に優れるが、凹凸の形状が基布の物性のみに依存するため、深く立体的な凹凸感を有する意匠性を達成するには至っていない。
[0005]
 本発明の一実施形態の課題は、従来、汎用される合成樹脂表皮材が有する表面のシボ模様と比較して、より深い凹部を有する立体形状を備え、形成された立体形状の形状保持性が良好な合成樹脂表皮材複合体を提供することである。
 本発明の他の実施形態の課題は、深い凹部を有する立体形状を備え、形成された立体形状の形状保持性が良好な合成樹脂表皮材複合体を製造しうる合成樹脂表皮材複合体の製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

[0006]
 上記課題の解決手段は以下に示す実施形態を含む。
<1> 基材の一方の面にウレタン樹脂表皮層を備えるウレタン樹脂表皮材と、
 前記ウレタン樹脂表皮材のウレタン樹脂表皮層を備える面とは反対側の面に配置されたクッション層と、を備え、前記ウレタン樹脂表皮材のウレタン樹脂表皮層側に凹部を有し、前記凹部は、合成樹脂表皮材複合体の厚み方向において、前記ウレタン樹脂表皮層から前記凹部を有しない領域におけるウレタン樹脂表皮材とクッション層との界面を超えてクッション層内に至る深さの凹部である合成樹脂表皮材複合体合成樹脂表皮材複合体。
[0007]
<2> 前記クッション層の厚みは1mm~15mmであり、かつ、前記クッション層の厚みは、前記ウレタン樹脂表皮材の厚みよりも厚い<1>に記載の合成樹脂表皮材複合体。
<3> 前記ウレタン樹脂表皮材が、乾式樹脂表皮材又は湿式樹脂表皮材である<1>又は<2>に記載の合成樹脂表皮材複合体。
<4> 合成樹脂表皮材複合体の厚さ方向に、前記ウレタン樹脂表皮材に対し、ウレタン樹脂表皮材を貫通する複数の孔を有する<1>~<3>のいずれか1つに記載の合成樹脂表皮材複合体。
[0008]
<5> 基材の一方の面にウレタン樹脂表皮層を形成して、ウレタン樹脂表皮材を得る工程と、前記ウレタン樹脂表皮材の、ウレタン樹脂表皮層を有しない側に、クッション層を形成して、前記ウレタン樹脂表皮材とクッション層との積層体を得る工程と、エンボス型を有する第1の金型と、エンボス型を有しない第2の金型とからなる一対の金型の間に、得られた積層体を配置し、前記第1の金型を130℃~160℃の範囲に加熱し、かつ、前記第2の金型を140℃~200℃の範囲に加熱して、前記積層体のウレタン樹脂表皮層側に、前記第1の金型のエンボス型の凸部を押しつけて凹部を形成する際に、前記第1の金型におけるエンボス型の凸部の先端を、クッション層内に至る深さまで進入させる条件にてエンボス加工し、前記エンボス加工により、ウレタン樹脂表皮材とクッション層との界面よりも深くクッション層内に至る深さの凹部を形成する工程と、を有する合成樹脂表皮材複合体の製造方法。
[0009]
<6> 前記ウレタン樹脂表皮材の、ウレタン樹脂表皮層を有しない側に、クッション層を形成して、前記ウレタン樹脂表皮材とクッション層との積層体を得る工程は、前記クッション層として軟質ポリウレタンフォーム材を接着する工程を含む<5>に記載の合成樹脂表皮材複合体の製造方法。
<7> 前記クッション層として軟質ポリウレタンフォーム材を接着する工程は、フレームラミネート工程を含む<6>に記載の合成樹脂表皮材複合体の製造方法。
<8>前記ウレタン樹脂表皮材が、乾式樹脂表皮材又は湿式樹脂表皮材である<5>~<7>のいずれか1つに記載の合成樹脂表皮材複合体の製造方法。
<9> 合成樹脂表皮材複合体の厚さ方向に、前記ウレタン樹脂表皮材に対し、ウレタン樹脂表皮材を貫通する複数の孔を穿孔する工程をさらに有する<5>~<8>のいずれか一つに記載の合成樹脂表皮材複合体の製造方法。

発明の効果

[0010]
 本発明の一実施形態によれば、従来、汎用される合成樹脂表皮材が有する表面のシボ模様と比較してより深い凹部を有する立体形状を備え、形成された立体形状の形状保持性が良好な合成樹脂表皮材複合体を提供することができる。
 本発明の他の実施形態によれば、深い凹部を有する立体形状を備え、形成された立体形状の形状保持性が良好な合成樹脂表皮材複合体を製造しうる合成樹脂表皮材複合体の製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 本発明の一実施形態である、合成樹脂表皮材複合体を示す概略断面図である。
[図2] 図1に示す合成樹脂表皮材複合体の製造に用いる合成樹脂表皮材とクッション層との積層体を示す概略断面図である。
[図3] 本発明の別の実施形態の一つである、合成樹脂表皮材複合体の厚さ方向に、前記ウレタン樹脂表皮材に対し、ウレタン樹脂表皮材を貫通する複数の孔を有する合成樹脂表皮材複合体を示す概略断面図である。
[図4] 本発明の別の実施形態の一つである、合成樹脂表皮材複合体の厚さ方向に、前記合成樹脂表皮材複合体を貫通する複数の孔を有する合成樹脂表皮材複合体を示す概略断面図である。
[図5] 合成樹脂表皮材複合体の製造に用いる一対の金型に、合成樹脂表皮材とクッション層との積層体を配置した状態の一例を示す概略図である。

発明を実施するための形態

[0012]
 本開示において「~」を用いて記載した数値範囲は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を表す。
 本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
 さらに、本開示において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
 本開示に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
 本開示において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
 本開示では、ウレタン樹脂表皮材等の合成樹脂表皮材の基材として用いられる布(生地)を基布と称することがある。
 本開示において、ウレタン樹脂とポリウレタンは同義である。また、本開示における「ウレタン樹脂」及び「ポリウレタン」の語は、ウレタン結合を有する樹脂を指し、「ウレタン樹脂」及び「ポリウレタン」の種々の変性物を包含する意味で用いられる。
[0013]
 以下、本開示の合成樹脂表皮材複合体及びその製造方法について詳細に説明する。
[0014]
[合成樹脂表皮材複合体]
 本開示の合成樹脂表皮材複合体は、基材の一方の面にウレタン樹脂表皮層を備えるウレタン樹脂表皮材と、前記ウレタン樹脂表皮材のウレタン樹脂表皮層を備える面とは反対側の面に配置されたクッション層と、を備え、前記ウレタン樹脂表皮材のウレタン樹脂表皮層側に凹部を有し、前記凹部は、合成樹脂表皮材複合体の厚み方向において、前記ウレタン樹脂表皮層から前記凹部を有しない領域におけるウレタン樹脂表皮材とクッション層との界面を超えてクッション層内に至る深さの凹部である。
[0015]
 本開示における作用は明確ではないが、以下のように考えている。
 本開示の合成樹脂表皮材複合体は、汎用のウレタン樹脂表皮材とクッション層との積層体の構造を有することで、立体形状に適する厚みと柔軟性とクッション性とを有している。そして、この積層体のウレタン樹脂表皮材側からクッション層に向い、深い凹部、より具体的には、合成樹脂表皮材複合体の厚み方向において、前記ウレタン樹脂表皮層から前記凹部を有しない領域におけるウレタン樹脂表皮材とクッション層との界面を超えて、クッション層内に至る深さの凹部を有することにより、従来と比較してより深い凹部を有する立体形状の合成樹脂表皮材複合体を提供するに至った。
[0016]
 また、本開示の合成樹脂表皮材複合体の製造方法においては、汎用の基材の一方の面にウレタン樹脂表皮層を有するウレタン樹脂表皮材と、軟質ポリウレタンフォーム材とを接着する工程を含む。この工程により、前記ウレタン樹脂表皮材に前記軟質ポリウレタンフォーム材からなるクッション層を有する積層体を形成することで、充分な厚みを有し、クッション性に優れた積層体が得られる。
 その後、エンボス型を有する第1の金型と、エンボス型を有しない第2の金型とからなる一対の金型の間に、得られた積層体を配置し、前記一対の金型をそれぞれ適切な温度範囲に加熱し、前記積層体のウレタン樹脂表皮層側に、エンボス型の凸部の先端を押しつけ、エンボス型の凸部の先端がクッション層内に至る深さまで進入してエンボス加工する。
 この場合、加熱により最表面のウレタン樹脂表皮層と、クッション層と、が変形しやすくなり、前記積層体のウレタン樹脂表皮層側からクッション層内に至る充分な深さを有する凹部が容易に形成される。
 なお、金型に取り付けるエンボス型の形状を変えることで、任意の形状と深さとを有する凹部が形成された合成樹脂表皮材複合体を製造することができる。
[0017]
 以下、本開示における合成樹脂表皮材複合体の一例を、図面を用いて説明する。
 図1は、本開示の一実施形態である合成樹脂表皮材複合体10の概略断面図を示す。合成樹脂表皮材複合体10は、基材12の一方の面にウレタン樹脂表皮層14と接着剤層13とを備えるウレタン樹脂表皮材15と、前記ウレタン樹脂表皮材15のウレタン樹脂表皮層14を備える面とは反対側の面にクッション層16と、を備える積層体である。
 なお、接着剤層13は、後述するように、基材12とウレタン樹脂表皮層14との密着性をより向上させるため設けられる任意の層である。
[0018]
 図2に、ウレタン樹脂表皮材15と、ウレタン樹脂表皮材15のウレタン樹脂表皮層14を備える面とは反対側の面にクッション層16と、を備える積層体20の一実施形態を示す。
 なお、図2では、ウレタン樹脂表皮材15におけるウレタン樹脂表皮層14は、2層の樹脂層を有するが、本開示におけるウレタン樹脂表皮材15の層構造は図2に示す態様に限定されない。
 ウレタン樹脂表皮材は、少なくとも1層のウレタン樹脂表皮層を有していれば、その他の構成には特に制限はない。ウレタン樹脂表皮材は、例えば、基材12上にウレタン樹脂を含むウレタン樹脂表皮層のみを有する構造であってもよく、基材上に、ウレタン樹脂表皮層と他の樹脂層とを有する多層構造であってもよく、組成の異なる複数のウレタン樹脂表皮層を有する多層構造であってもよく、ウレタン樹脂表皮層の面上に表面処理層を有する構造であってもよい。
[0019]
 ウレタン樹脂表皮材15の基材12側にクッション層16を積層することで、従来のウレタン樹脂表皮材15よりも、厚みが大きく、クッション性に優れた積層体20が得られる。
 図2に一例を示す如き積層体20に、ウレタン樹脂表皮層14側から凹部18が形成され、図1に一例にて示す如き合成樹脂表皮材複合体10となる。前記凹部18は、合成樹脂表皮材複合体の厚み方向において、前記ウレタン樹脂表皮層14から前記凹部18を有しない領域におけるウレタン樹脂表皮材15とクッション層16との界面を超えて、クッション層16内に至る深さに形成されている。
 このようにして本開示の合成樹脂表皮材複合体10は、深い凹部18を有する立体形状の合成樹脂表皮材複合体10となる。
 本開示の合成樹脂表皮材複合体において、最表面に位置するウレタン樹脂表皮材15は、基材12の少なくとも一方の面にウレタン樹脂表皮層14を有する。
[0020]
<ウレタン樹脂表皮材>
 以下、本開示の合成樹脂表皮材複合体に用いうるウレタン樹脂表皮材について説明する。ウレタン樹脂表皮材は、基材の一方の面にウレタン樹脂表皮層を有する以外に特に制限はなく、公知のウレタン樹脂表皮材を適宜選択して用いることができる。
[0021]
 なお、本開示におけるウレタン樹脂表皮材は、乾式樹脂表皮材であってもよく、湿式樹脂表皮材であってもよい。
 本開示における乾式樹脂表皮材とは、基布に加工を施さずウレタン樹脂表皮層と貼り合せて得る表皮材を指し、湿式樹脂表皮材とは、基布に湿式加工を施し、湿式ベースとした後、ウレタン樹脂表皮層と貼り合せて得る表皮材を指す。
 乾式樹脂表皮材は、軽量で柔軟性に優れる。他方、基布に樹脂を含浸した後、表皮層を貼り合わせる湿式樹脂表皮材は、含浸した樹脂により基布の強度が向上し、かつ、後述の貫通孔を穿孔する場合における基布の糸ほつれが抑制される。
[0022]
 以下、ウレタン樹脂表皮材における各構成層の一例について説明する。
[0023]
〔基材〕
 本開示のウレタン樹脂表皮材に用いる基材には特に制限はなく、公知の合成樹脂表皮材用基材であれば適宜選択して用いることができる。
 基材としては、柔軟性と強度が良好であることから基布が好ましい。基布としては、織布、編布、不織布などが挙げられる。
 なかでも、深い凹凸を形成する際の形状追従性と耐久性との観点から、基布は、編布が好ましい。基布としての編布は、片面編布でもよく、両面編布でもよく、パイル生地でもかまわない。また、編布は、少なくとも一方の面に起毛加工を施してあってもよい。
[0024]
 基布を構成する繊維は、必要な強度と柔軟性とを有すれば特に制限はない。
 基布に用いる繊維は、合成樹脂表皮材複合体の使用目的により、適宜選択することができる。基布に用いる繊維は1種のみでもよく、2種以上であってもよい。
 基布に用いる好ましい繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、高強度ポリアミド繊維であるケブラー繊維、ポリウレタン繊維、綿繊維、麻繊維、レーヨン繊維、ナイロン繊維等が挙げられる。
 例えば、基布としての編布の編成に用いる繊維の一部としてポリウレタン繊維を含むことで、基布の伸縮性が向上する。また、基布の編成に用いる繊維として、ポリエステル繊維、ケブラー繊維等を含むことで、基布の強度がより向上する。
 なかでも、耐久性と柔軟性により優れるという観点からは、基布はポリエステル繊維を含むことが好ましい。
[0025]
 基布の厚みは、合成樹脂表皮材複合体の使用目的に応じて、適宜選択される。一般的には、0.5mm~1.5mmの範囲とすることができる。
[0026]
(湿式表皮材用の基布の製造)
 湿式表皮材を形成する場合には、まず、基布に樹脂溶液を含浸させ、樹脂溶液中の溶剤と水を置換し、乾燥することで、多孔質構造が形成された湿式表皮材形成用の基布を得ることができる。
 樹脂としては、ポリウレタンが好ましい。ポリウレタンとしては、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン等が挙げられる。耐加水分解性、耐熱劣化性等の点から、ポリカーボネート系ポリウレタン、及びポリエーテル系ポリウレタンが好ましい。
[0027]
 基布に含浸させる樹脂溶液は、主剤となる樹脂及び溶剤に加え、必要に応じて種々の成分を含有することができる。
 本開示において、基布に含浸させる樹脂溶液の「主剤となる樹脂」とは、樹脂を含む組成物の全量に対し、固形分濃度で20質量%を超える量で含まれる樹脂を指す。
 例えば、樹脂溶液が難燃剤を含むことで、合成樹脂表皮材複合体の難燃性が向上する。
 難燃剤としては、有機難燃剤、例えば、リン系難燃剤、窒素-リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤などが挙げられる。
 また、樹脂溶液は、例えば、着色剤、レベリング剤などを含有してもよい。
[0028]
〔ウレタン樹脂表皮層〕
 本開示におけるウレタン樹脂表皮層は、既述の基布の一面に配置される。なお、以下、ウレタン樹脂表皮層を、単に表皮層と称することがある。
 なかでも、耐久性、及び、弾力性が良好であり、深い凹部を形成する際の加工性が良好であるという観点から、本開示における表皮層はウレタン樹脂(以下、ポリウレタンとも称する)を含む。
 表皮層の形成に用いられる合成樹脂は、ウレタン樹脂を含む以外には特に制限はなく、目的に応じて、ウレタン樹脂に加え、他の合成樹脂を適宜選択して併用することができる。表皮層の形成に用いられる他の合成樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル等が挙げられる。
[0029]
 表皮層の形成に使用されるポリウレタンとしては、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン及びこれらの変性物等が挙げられる。
 本開示の合成樹脂表皮材複合体が、例えば、自動車用内装材、椅子等の長期耐久性が必要な用途に用いられる観点からはポリカーボネート系ポリウレタンが好適である。
 ポリウレタンは市販品を用いてもよく、例えば、DIC(株)製のクリスボン(登録商標)NY-324)等が好適に用いられる。
[0030]
 表皮層の形成に使用されるポリウレタンとしては、JIS K 6301に準じて測定した硬さが、100%モジュラスで49N/cm ~980N/cm であることが好ましく、196N/cm ~588N/cm がより好適である。
 ポリウレタンの軟化点としては130℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。
 ポリウレタンの軟化点は、JIS K 7196(2012年)に記載の軟化温度試験方法により測定することができる。
 なお、ポリウレタンの硬さ(100%モジュラス)を調整する方法としては、例えば、柔らかくする場合には、ソフトセグメントとなるポリオール成分比率を増加するか、又はポリオールの分子量を大きくする方法が挙げられる。ポリウレタンを硬くする場合には、ハードセグメントとなるウレタン結合、ウレア結合を増加させる方法、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)等の架橋剤をポリウレタン主剤に添加してエネルギーを付与し、架橋構造を形成する方法等が挙げられる。
 表皮層におけるポリウレタンは、水系ポリウレタン、無溶剤系ポリウレタン、及び溶剤系ポリウレタンから、適宜選択して使用することができる。
[0031]
 また、ウレタン樹脂表皮材は、基材と、少なくとも1層のウレタン樹脂を含む表皮層と、を有する以外は、特に制限はない。既述のように、ウレタン樹脂表皮材は、複数のウレタン樹脂を含む層を有していてもよく、ウレタン樹脂を含む層に加え、他の樹脂、例えば、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル等を含む層を有していてもよい。
[0032]
 表皮層表面には、所望により、予め皮革様等の任意の凹凸模様(絞:シボ)を設けることができる。表皮層に予め設けられる凹凸模様の凹部は、表皮層の厚みよりも小さい深さの凹部であることが好ましい。
 ウレタン樹脂表皮材は、既述の基布上に、ポリウレタンなどの合成樹脂を塗布し、乾燥して形成してもよく、基布上に、予め形成されたウレタン樹脂シートをラミネートして形成してもよい。
[0033]
 表皮層には、主剤となるポリウレタン及び所望により用いられる他の合成樹脂に加え、効果を損なわない限りにおいて、意匠性、感触向上、強度向上等種々の機能を付与する目的で、合成樹脂表皮材に用いられる公知の添加剤を加えてもよい。
 表皮層が含みうる添加剤としては、架橋剤、架橋促進剤、着色剤、感触向上剤、成膜助剤、難燃剤、発泡剤等が挙げられる。
 例えば、表皮層が着色剤を含有することで、得られる合成樹脂表皮材複合体の意匠性が向上する。また、リン系、ハロゲン系、無機金属系等の公知の難燃剤を添加することで表皮材の難燃性向上が図れる。
[0034]
 表皮層の厚みは、合成樹脂表皮材複合体の使用目的に応じて適宜選択される。本開示の合成樹脂表皮材複合体は深い凹部を有するため、表皮層の厚みは、凹部を形成する際の加工性の観点から、10μm~100μmの範囲が好ましく、15μm~60μmの範囲がより好ましい。
[0035]
(接着剤層)
 本開示の合成樹脂表皮材複合体は、基布12とウレタン樹脂表皮層14との間に接着剤層13を設けることができる。任意の層である接着剤層13を設けることで、基布12とウレタン樹脂表皮層14との密着性がより向上する。
 接着剤層の形成に用い得る接着剤としては、特に制限はない。接着剤としては、ポリウレタン、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂を含有する接着剤等が挙げられる。
 より具体的には、例えば、(1)2液硬化型ポリエステル系接着剤、(2)2液硬化型ポリウレタン接着剤、(3)2液硬化型アクリル粘着剤等が好適に挙げられる。
 なお、接着剤層の形成に使用される接着剤は市販品としても入手可能であり、例えば、ウェルダー用接着剤No.3660〔2液硬化型ポリウレタン接着剤:ノーテープ工業(株)〕、ダイカラック7250NT〔2液硬化型ポリエステル接着剤:大同化成工業(株)〕、クリスボンTA265〔2液硬化型ポリエーテル系接着剤:DIC(株)、クリスボンTA205〔ポリカーボネート系ポリウレタン接着剤:DIC(株)〕等が好適である。
[0036]
 接着剤層を形成する方法としては、例えば、ウレタン樹脂表皮層14の裏面に、接着剤層形成用の接着剤を塗布し、その後、基布を、前記接着剤を塗布した面に密着させ、加熱乾燥させて、ウレタン樹脂表皮層14と基布12とを接着させる方法等が挙げられる。
 なお、本開示における合成樹脂表皮材であるウレタン樹脂表皮材15は、既述のウレタン樹脂表皮層14と基布12との積層物を指し、さらに接着剤層13を有する場合には、図1に示すように、ウレタン樹脂表皮層14と接着剤層13と基布12との積層物を指す。
[0037]
<クッション層>
 本開示の合成樹脂表皮材複合体は、既述のウレタン樹脂表皮材の、ウレタン樹脂表皮層を有しない側、即ち、基布側にクッション層が配置される。
 クッション層は、弾力性に優れた合成樹脂により形成された層であり、必要な弾力性を達成できれば、用いる合成樹脂に特に制限はない。なかでも、軽量で弾力性が良好であるという観点からは、合成樹脂の発泡体からなる層であることが好ましい。発泡体における気泡は連続気泡でもよく、独立気泡でもよく、これら双方を含んでいてもよい。
 クッション層を形成する際に使用しうる合成樹脂としては、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン等が挙げられ、弾力性の観点から、ポリウレタンが好ましく、軟質ポリウレタンがより好ましい。
[0038]
 ウレタン樹脂表皮材にクッション層を形成する方法としては、ウレタン樹脂表皮材にクッション層形成用材を接着して形成する方法、ウレタン樹脂表皮材にクッション層形成用材となる前駆体を塗布して形成する方法等が挙げられる。
 クッション層は、例えば、発泡体原料(クッション層形成用材の前駆体)を予め合成樹脂発泡体に成形した後、接着してクッション層を形成してもよく、合成樹脂又は合成樹脂の前駆体を含む発泡体原料(クッション層形成用材の前駆体)を直接ウレタン樹脂表皮材に塗布し、表皮材上で発泡させて気泡を内包する合成樹脂発泡体として形成してもよい。
 なかでも、クッション性、加工性が良好であるという観点から、クッション層の形成には、クッション層形成用材として、合成樹脂発泡体を用いることが好ましく、連続した気泡を有する軟質ポリウレタンフォーム材を用いることがより好ましい。
[0039]
 前記軟質ポリウレタンフォーム材は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、発泡剤及び触媒を含有する発泡体原料を反応及び発泡させることにより形成される。本開示における軟質ポリウレタンフォーム材とは、気泡を内包するポリウレタンを含み、軽量で、一般にセルが連通する連続気泡構造を有し、柔軟性があり、かつ圧力又は変形に対し復元性を有するものをいう。以下に、軟質ポリウレタンフォーム材の形成に有用な発泡体原料について順に説明する。
[0040]
 ポリオール類としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールが用いられる。
 ポリエステルポリオールとしては、アジピン酸、フタル酸等のポリカルボン酸を、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のポリオールと反応させることによって得られる縮合系ポリエステルポリオールのほか、ラクトン系ポリエステルポリオール及びポリカーボネート系ポリオールが挙げられる。
[0041]
 ポリエーテルポリエステルポリオールとしては、例えばエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のポリオールに、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加した化合物に、アジピン酸、フタル酸等のポリカルボン酸を反応させたものが用いられる。
[0042]
 ポリエーテルポリオールとしては、例えばエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のポリオールにプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加した化合物が挙げられる。このポリオール類は、原料成分の種類、分子量、縮合度等を調整することによって、水酸基の数や水酸基価を変えることができる。
[0043]
 フレーム処理などの加熱処理により、耐久性を有する溶融固形物を形成するために、ポリオール類として上記ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリエステルポリオールをそれぞれ単独又は複数種類含むように使用することが好ましい。これらのポリエステル成分を含むポリオール類の使用比率を上げることにより、加熱処理によって溶融した発泡体の溶融物の粘度を上昇させ、溶融物が凝集して溶融固形物が形成されやすくなる。ポリウレタンフォーム材(ポリウレタン発泡体)からなるクッション層のフレームラミネート性を向上させることが可能になるため、クッション層の面上にウレタン樹脂表皮材を積層するときに、加工効率が高く、接着剤等を介在させることなくクッション層の面上にウレタン樹脂表皮材を接合することができる。
[0044]
 また、ポリオール類の一部として架橋剤を含有させてもよい。ポリオール類の一部としての架橋剤としては、例えばポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等のポリオール(多官能アルコール)又は既述のポリオールにアルキレンオキサイド等で鎖延長をした化合物等が挙げられる。既述の架橋剤を含有することにより、軟質ポリウレタンフォーム材の架橋密度を高め、クッション層の機械的物性を向上させることができる。
[0045]
 ポリオール類と反応させるポリイソシアネート類としては、イソシアネート基を複数有する化合物であって、具体的にはトリレンジイソシアネート(TDI)、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が挙げられる。中でも、トリレンジイソシアネートは、低密度(軽比重)のポリウレタン発泡体を製造し易いという観点から好ましい。
[0046]
 発泡体原料に含まれる触媒は、ポリオール類とポリイソシアネート類との樹脂化反応(ウレタン化反応)を促進し、ポリイソシアネート類と発泡剤としての水との泡化反応などを促進するために用いられる。
 樹脂化反応を選択的に促進する触媒としては、金属触媒が用いられ、泡化反応を促進するための触媒としては特にアミン触媒が用いられる。金属触媒としては、具体的には、オクチル酸スズ(スズオクトエート)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルジ酢酸スズ、ジ(2-エチルヘキシル)ジラウリン酸スズ、ジ(2-エチルヘキサン酸)スズ等の有機スズ化合物やジ(2-エチルヘキサン酸)鉛等が挙げられる。アミン触媒としては、具体的には、N,N´,N´-トリメチルアミノエチルピペラジン、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン等の第3級アミンが挙げられる。
[0047]
 発泡剤は、ポリウレタンを発泡させてポリウレタン発泡体を形成する成分である。発泡剤としては、軟質ポリウレタンフォーム材の製造で一般的に使用される水(ポリイソシアネート類と反応して炭酸ガスを発生する)が挙げられ、さらに、水と補助発泡剤としてのハロゲン化脂肪族炭化水素、例えばメチレンクロライド、トリクロロエタン、炭酸ガス等との併用、酸アミドとの併用も好適な組み合わせとして挙げられる。これらの発泡剤のうち、泡化反応の反応性に優れ、取扱性の良好な水が好ましいが、軽量な発泡体を求める場合には水のみではなく、補助発泡剤であるハロゲン化炭化水素、炭酸ガス等との併用が好ましい。
[0048]
 発泡体原料には、既述の各原料に加え、必要に応じて、架橋促進剤、難燃剤、撥水剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、整泡剤、破泡剤(充填剤)、成膜助剤等を常法に従って含有することができる。
[0049]
 整泡剤は、発泡剤によって行われる発泡を円滑に進行させるため、必要に応じて用いられる。
 整泡剤としては、軟質ポリウレタンフォーム材を製造する際に通常使用されるものを用いることができる。整泡剤としては、具体的には、シリコーン化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリエーテルシロキサン、フェノール系化合物等が用いられる。この整泡剤の含有量は常法に従って設定される。
[0050]
 本開示においてクッション層の形成に使用される軟質ポリウレタンフォーム材としては、スラブ発泡法により得られる軟質スラブポリウレタン発泡体が好ましい。
 スラブ発泡法によれば、混合撹拌された発泡体原料(反応混合液)をベルトコンベア上に吐出し、該ベルトコンベアが移動する間に発泡体原料が常温、大気圧下で反応し、自然発泡することで軟質ポリウレタン発泡体が得られる。
 形成された軟質ポリウレタン発泡体を、所定の厚さにスライスすることにより、クッション層を形成する軟質ポリウレタンフォーム材を得ることができる。
[0051]
 また、クッション層の形成には、公知の気泡を内包する合成樹脂層の形成方法、例えば、前記表皮材の基布側に、発泡剤と合成樹脂又は合成樹脂前駆体とを含む発泡体原料(クッション層形成用材の前駆体)を塗布した後、発泡硬化させて合成樹脂発泡体(クッション層形成用材)からなるクッション層を形成する方法、未硬化のウレタン樹脂前駆体に剪断力を付与して機械発泡させ、気泡を含むウレタン樹脂前駆体(クッション層形成用材の前駆体)を前記表皮材の基布側に塗布して、ウレタン樹脂を硬化させ、クッション層を形成する方法などを適用してもよい。
[0052]
 クッション層となる軟質ポリウレタンフォーム材は、弾性部材であるが、所定の温度範囲では圧縮することでその形状に形を保つ、即ち、塑性変形することが可能である。軟質ポリウレタンフォーム材の塑性変形温度は130℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。
 上記塑性変形温度が130℃以上であることで、合成樹脂表皮材複合体に凹部を形成する際の成形性及び成形後の凹部の形状保持性がより向上する。
 塑性変形温度の上限は、軟質ポリウレタンフォーム材が熱分解して溶ける温度よりも低い温度であり、生産性の観点からは250℃以下であることが好ましい。
[0053]
 クッション層の密度は、15kg/m ~100kg/m の範囲であることが好ましく、18kg/m ~60kg/m の範囲であることがより好ましい。
[0054]
 クッション層の厚みには特に制限はない。深い凹部を形成しやすいという観点からは、既述のウレタン樹脂表皮材の厚みよりもクッション層の厚みが厚いことが好ましい。
 なかでも、適度なクッション性を発現しやすく、深い凹部を形成する際の加工性がより良好であるという観点からは、一般的には、空孔を含んだ厚みが、1mm~15mmであることが好ましく、3mm~10mmであることがより好ましい。
 なお、クッション層は複数有してもよいが、複数のクッション層を有する場合のクッション層の厚みの合計は上記範囲であることが好ましい。
[0055]
〔その他の層〕
 本開示の合成樹脂表皮材複合体は、ウレタン樹脂表皮材及びクッション層に加え、効果を損なわない限り、さらに、その他の層を設けてもよい。
 その他の層としては、各層間の接着性向上のための既述の接着剤層、表皮層の表面物性及び外観の少なくともいずれかを制御するための表面処理層等が挙げられる。
[0056]
(表面処理層)
 表面処理層は、水系エマルジョン樹脂を含む表面処理剤組成物、樹脂を含む有機溶剤系表面処理剤組成物等を、ウレタン樹脂表皮材の表皮層の面上に塗布することで形成することができる。
 表面処理層の形成に使用される樹脂としては、目的に応じて何れの樹脂を用いてもよい。表面処理層の形成に使用される樹脂としては、例えば、ポリウレタン、アクリル、エラストマー等が好ましく挙げられ、ポリウレタンがより好ましい。
 表皮層表面に表面処理剤層を形成することで、外観がより良化する。
 表面処理層には、架橋剤、有機フィラー、滑剤、難燃剤等を含有させることができる。例えば、表面処理層に有機フィラー、滑剤等を含有することで、表皮材に滑らかな感触が付与され、耐摩耗性がより向上する。
[0057]
〔ウレタン樹脂表皮材の厚さ方向に貫通する孔〕
 本開示の合成樹脂表皮材複合体は、合成樹脂表皮材複合体の厚さ方向に、ウレタン樹脂表皮材に対し、ウレタン樹脂表皮材を貫通する複数の孔を有していてもよい。
 合成樹脂表皮材複合体において、ウレタン樹脂表皮材が、ウレタン樹脂表皮材を貫通する孔を有することで、合成樹脂表皮材複合体は、通気性、及び透湿性がより良好となる。
 図3は、合成樹脂表皮材複合体26の厚さ方向に、ウレタン樹脂表皮材に対し、ウレタン樹脂表皮材を貫通する複数の孔30を有する合成樹脂表皮材複合体26を示す概略断面図である。
 図3に示す合成樹脂表皮材複合体26は、ウレタン樹脂表皮材15を貫通する複数の孔30を有する。
[0058]
 複数の孔は、合成樹脂表皮材複合体の厚さ方向に、ウレタン樹脂表皮材とクッション層とを貫通する孔であってもよい。
 図4は、合成樹脂表皮材複合体28の厚さ方向に、合成樹脂表皮材複合体28を貫通する複数の孔30を有する合成樹脂表皮材複合体28を示す概略断面図である。
 図4に示す合成樹脂表皮材複合体28では、ウレタン樹脂表皮材15と、ウレタン樹脂表皮材15と積層されたクッション層16とを貫通する複数の孔30を有する。即ち、図4に示す合成樹脂表皮材複合体28は、合成樹脂表皮材複合体28を貫通する複数の孔30を有している。
[0059]
 本開示の合成樹脂表皮材複合体は、既述のウレタン樹脂表皮材とクッション層との積層体に、表皮層側から、クッション層中に至る深い凹部を有することで、立体形状の凹凸を備え、耐久性と意匠性に優れる。このため、本開示の合成樹脂表皮材複合体は、種々の用途、例えば、自動車内装部品、鉄道車輌内装部品、航空機内装部品、家具、靴、履物、鞄、建装用内外装部材、衣類表装材及び裏地、壁装材等に好適に使用することができる。
[0060]
[合成樹脂表皮材複合体の製造方法]
 既述の本開示の合成樹脂表皮材複合体の製造方法には特に制限はなく、公知の製造方法により製造することができる。
 なかでも、以下に記載する本開示の合成樹脂表皮材複合体の製造方法により製造することが、深い凹部を有し、耐久性に優れる合成樹脂表皮材複合体を得ることができ、好ましい。
[0061]
 本開示の合成樹脂表皮材複合体の製造方法は、基材の一方の面にウレタン樹脂表皮層を形成して、ウレタン樹脂表皮材を得る工程〔工程(A)〕と、前記ウレタン樹脂表皮材の、ウレタン樹脂表皮層を有しない側に、クッション層形成用材を接着して、前記ウレタン樹脂表皮材に、クッション層形成用材により形成されたクッション層を有する積層体を得る工程〔工程(B)〕と、エンボス型を有する第1の金型と、エンボス型を有しない第2の金型とからなる一対の金型の間に、得られた積層体を配置し、前記第1の金型を130℃~160℃の範囲に加熱し、かつ、前記第2の金型を140℃~200℃の範囲に加熱して、前記積層体のウレタン樹脂表皮層側に、前記第1の金型のエンボス型の凸部を押しつけて凹部を形成する際に、前記第1の金型におけるエンボス型の凸部の先端を、前記積層体の凹部に形成されない領域におけるクッション層内に至る深さまで進入させる条件にてエンボス加工し、前記エンボス加工によりウレタン樹脂表皮材とクッション層との界面よりも深くクッション層内に至る深さの凹部を形成する工程〔工程(C)〕と、を有する。
 各工程について順次説明する。
[0062]
〔基材の一方の面にウレタン樹脂表皮層を形成して、ウレタン樹脂表皮材を得る工程:工程(A)〕
 工程(A)では、基材の一方の面にウレタン樹脂表皮層を形成して、ウレタン樹脂表皮材を得る。
 表皮層の形成方法には特に制限はない。表皮層の形成方法としては、例えば、表皮層形成用組成物を離型材に塗布して、表皮層形成用組成物層を形成し、基材にラミネートすることにより表皮層を基材上に形成してウレタン樹脂表皮材を得る方法を挙げることができる。
 表皮層形成用組成物は、主剤となる樹脂であるポリウレタン等を含む。表皮層形成用組成物がポリウレタンを含むことにより、合成樹脂表皮材複合体の耐久性、及び、弾力性がより良好となり、深い凹部が形成しやすく、形成された凹部は耐久性に優れる。ポリウレタンは、水系ポリウレタン及び溶剤系ポリウレタンのいずれであってもよく、目的に応じて適宜選択して使用することができる。
 ポリウレタンとしては、例えば、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン及びこれらの変性物等が挙げられ、長期耐久性が必要な場合には、ポリカーボネート系ポリウレタンが好適である。
[0063]
 表皮層形成用組成物におけるポリウレタンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。例えば、好ましいポリウレタンであるポリカーボネート系ポリウレタンと、ポリカーボネート系ポリウレタン以外のポリウレタンとを併用してもよい。
[0064]
 水系ポリウレタンとしては、ポリエーテル又はポリカーボネート系の水系ポリウレタンの単独重合体あるいはポリエーテル系ポリウレタンとポリカーボネート系ポリウレタンとの混合物又は共重合体を用いた場合におけるウレタン主剤の分子鎖の一部に、水系ポリウレタン主剤に対して、質量比で0.01%~10%、好ましくは0.05%~5%、より好ましくは0.1%~2%のカルボキシル基が導入されたポリウレタンが挙げられる。既述の質量比の範囲でカルボキシル基が導入された場合、カルボキシル基の存在に起因して、水系ポリウレタンは、充分な水分散性と乾燥成膜性とを有することができる。
[0065]
 溶剤系ポリウレタンとしては、有機溶剤に溶解可能なポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン及びこれらの変性物からなる群より選択される少なくとも1種の溶剤系ポリウレタンが挙げられる。溶剤系ポリウレタンは1液系であっても、2液系であってもよい。
[0066]
 また、形成される表皮層の膜強度がより良好となるという観点からは、ポリウレタンが硬化後に、架橋構造を有することが好ましい。
 水系ポリウレタンに架橋構造を導入する態様を例に挙げれば、例えば、ポリウレタン主剤にカルボキシル基が導入されたものを用いることにより、カルボキシル基と架橋剤とが反応して架橋構造を形成することができる。
 架橋構造を形成するために表皮層形成用組成物に用い得る架橋剤としては、従来公知の架橋剤を挙げることができる。例えば、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤、カルボジイミド架橋剤、オキサゾリン系架橋剤等が挙げられる。なかでも、カルボジイミド架橋剤を用いることが、ポリウレタンの加水分解を抑制する観点から好ましい。
[0067]
 また、溶剤系ポリウレタンに架橋構造を導入する態様を例に挙げれば、例えば、溶剤系ブロックイソシアネート系ポリウレタンを主剤として用い、架橋成分としてのアミンと併用する態様が挙げられる。アミンを併用することで、ポリウレタンの加熱硬化時にブロック剤が解離して、ポリウレタンに架橋構造を形成することができる。
[0068]
 表皮層形成用組成物は、主剤となる樹脂、及び溶剤に加え、さらに他の成分を含んでもよい。
 表皮層形成用組成物に含まれ得る他の成分としては、例えば、架橋剤、着色剤、感触向上剤等が挙げられる。
[0069]
 表皮層形成用組成物は、着色剤を含有してもよい。
 着色剤としては、例えば、ウレタン系樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子等から選ばれる有機樹脂微粒子に着色剤が含まれてなる着色有機樹脂粒子等が挙げられる。なかでも、分散媒となるポリウレタン系樹脂に対する親和性、均一分散性の観点から、着色剤としてはポリカーボネート系の着色樹脂粒子を含有することが好ましい。
 このような有機樹脂微粒子の平均粒径は、一般的には、0.01μm~100μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは、3μm~50μmの範囲である。
[0070]
 離型材表面に表皮層形成用組成物を付与する方法には特に制限はなく、公知の付与法を適用できる。付与方法としては、密閉式コーティングヘッドまたは開放式コーティングヘッドにて塗布する方法が挙げられる。
 表皮層形成用組成物の塗布量、及び形成される表皮層の膜厚には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。
 一般的には、強度及び外観の観点から、表皮層形成用組成物の乾燥前の塗布量として、50g/m ~300g/m の範囲であることが好ましく、150g/m ~250g/m の範囲であることがさらに好ましい。
[0071]
 表皮層形成用組成物の乾燥は公知の方法で行なうことができる。
 乾燥条件としては、温度80℃~150℃が好ましく、90℃~120℃がより好ましい。この温度条件下での乾燥時間は、1分間~5分間とすることができ、2分間~3分間が好ましい。
 既述のように、表皮層の乾燥後の厚みは、10μm~100μmの範囲が好ましく、15μm~60μmの範囲がより好ましい。
[0072]
 表皮層の表面には絞(シボ)を形成することができる。
 絞の形成方法としては、予め絞が形成された絞型転写用離型材表面に、表皮層形成用組成物層を形成し、加熱乾燥して表面に絞が形成された表皮層を得ること、得られた、表面に絞模様が形成された表皮層の絞型転写用離型材側とは反対側に基材に密着させて加熱乾燥した後、絞型転写用離型材を剥離すること、を含む方法が挙げられる。
 絞型転写用離型材表面に表皮層形成用樹脂組成物を適用する方法は、絞型転写用離型材表面に表皮層形成用樹脂組成物を塗布し、乾燥する方法でもよく、絞型転写に支障がない場合には、転写法を用いてもよい。
[0073]
 絞型転写用離型材は、所望される絞形状が形成されたものであればいずれを使用してもよく、例えば、市販品を用いてもよく、或いは、コンピュータグラフィックス等により、離型材の表面に所望の絞用パターンを形成したものを用いてもよい。
 なお、後述のように、本開示の合成樹脂表皮材複合体は、深い凹部を有する凹凸模様を有するため、必ずしも表皮層に絞を形成する必要はない。
 このようにして、工程(A)では、ウレタン樹脂表皮材が形成される。
[0074]
〔クッション層を形成して積層体を得る工程:工程(B)〕
 工程(B)では、工程(A)で得たウレタン樹脂表皮材の、ウレタン樹脂表皮層を有しない側に、クッション層を形成して、前記ウレタン樹脂表皮材とクッション層との積層体を得る。
 クッション層形成用材の詳細、及びクッション層形成用材によりクッション層を形成する方法については、クッション層の説明の項にて述べたとおりである。
[0075]
 クッション層の形成に用いるクッション層形成用材としては、好ましくは、後述のフレームラミネート工程に適用が可能な軟質ポリウレタンフォーム材が好ましい。
 即ち、工程(B)は、前記ウレタン樹脂表皮材に、前記クッション層として、軟質ポリウレタンフォーム材を接着する工程を含むことが好ましい。
 以下、軟質ポリウレタンフォーム材用いてクッション層を形成する態様を例に挙げて、工程(B)をさらに詳細に説明する。
 軟質ポリウレタンフォーム材を形成する軟質ポリウレタン発泡体は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、発泡剤(水)及び所望により併用される触媒、添加剤等を含有する発泡体原料を反応させ、発泡させることにより形成される。ポリオール類は少なくともエステル結合を有するポリエステルポリオール又はポリエーテルポリエステルポリオールを含有するものが好ましい。前記発泡体原料を発泡形成した軟質ポリウレタン発泡体を裁断してシート状にすることで、軟質ポリウレタンフォーム材を得ることができる。
 発泡体原料等の詳細は、クッション層の説明の項にて述べたとおりである。
[0076]
 そして、シート状に形成された軟質ポリウレタンフォーム材と、工程(A)で得られたウレタン樹脂表皮材とを接着して積層体を得る。軟質ポリウレタンフォーム材は、ウレタン樹脂表皮材の基材側に接着する。
[0077]
 接着方法としては、既述の接着剤層を用いて行う方法、フレームラミネート工程により行なう方法などが挙げられる。
 接着剤層を用いて行う接着方法は、既述の基材とウレタン樹脂表皮層との接着に用いた接着剤層と同様のものを、軟質ポリウレタンフォーム材とウレタン樹脂表皮材との間に形成する方法を適用すればよい。
 生産性がより良好であるという観点から、工程(B)において、クッション層として軟質ポリウレタンフォーム材を用いる場合には、フレームラミネート工程を含むことが好ましい。
 フレームラミネート工程は、クッション層であるポリウレタンフォーム材の表面をバーナーなどの火炎(フレーム)により加熱し、該ポリウレタンフォーム材の表面を熱溶融させ、溶融した箇所に、予め工程(A)にて得られたウレタン樹脂表皮材の基材面を接触させ、加圧冷却して、ウレタン樹脂表皮材とクッション層とを接着する工程である。
 フレームラミネート工程によりウレタン樹脂表皮材と、クッション層とを接着する方法をとることで、接着剤を塗布し、乾燥硬化させる接着剤層を用いて行う接着方法に比較して、短時間でウレタン樹脂表皮材とクッション層とが密着する。このため、積層体の生産性がより向上する。さらに、ウレタン樹脂表皮材と、クッション層との間に接着剤層を有しないため、合成樹脂表皮材複合体の厚みをより薄くすることができる。従って、後述する凹部の形成を、より効率よく行うことができるという利点を有する。
[0078]
〔積層体に、クッション層内に至る深さの凹部を形成する工程:工程(C)〕
 工程(C)では、工程(B)で得られたウレタン樹脂表皮材とクッション層との積層体に、凹部を形成する。
 即ち、工程(C)は、前記積層体のウレタン樹脂表皮層側に、合成樹脂表皮材複合体の厚み方向において、前記ウレタン樹脂表皮層から、ウレタン樹脂表皮材とクッション層との界面を超えて、クッション層内に至る深さの凹部を形成する工程である。
 工程(C)は、エンボス型を有する第1の金型と、エンボス型を有しない第2の金型とからなる一対の金型の間に、前記積層体を配置し、前記第1の金型を130℃~160℃の範囲に加熱し、かつ、前記第2の金型を140℃~200℃の範囲に加熱する工程、及び、前記積層体のウレタン樹脂表皮層側に、前記第1の金型のエンボス型の凸部を押しつけて凹部を形成する際に、前記第1の金型におけるエンボス型の凸部の先端を、前記ウレタン樹脂表皮層側からクッション層内に至る深さまで進入させてエンボス加工する工程を含む。
[0079]
 図5は、合成樹脂表皮材複合体の製造に用いる一対の金型22に、ウレタン樹脂表皮材15にクッション層16を備えた積層体20を配置した状態の一例を示す概略図である。
 まず、エンボス型22Cを有する金型22A(第1の金型)と、表面にエンボス型を有しない金型22B(第2の金型)とからなる一対の金型22の間に、得られた積層体20を配置する。積層体20は、第1の金型となる金型22Aのエンボス型22Cと積層体20のウレタン樹脂表皮層14とが接触する向きに配置される。
 前記一対の金型22、即ち、金型22A及び金型22Bを既述の温度に加熱し、前記積層体20のウレタン樹脂表皮層14側に、エンボス型22Cを有する金型22Aの凸部の先端を押しつけ、金型22Aの凸部の先端が、前記積層体20の凹部が形成されない領域におけるウレタン樹脂表皮材15とクッション層16との界面を超えて、クッション層16内に至る深さまでエンボス加工する。このようにして、前記積層体20のウレタン樹脂表皮層14側に、クッション層内に至る深さの凹部18を形成する。
[0080]
 金型22は、立体形状の形成しやすさ、及び立体形状保持性を考慮して選択された条件、即ち、前記エンボス型を有する第1の金型は130℃~160℃の範囲に、前記エンボス型を有しない第2の金型は140℃~200℃の範囲にそれぞれ加熱されて、エンボス加工が行われる。
 前記エンボス型を有する第1の金型の加熱温度は130℃~160℃の範囲であり、135℃~155℃の範囲が好ましく、140℃~150℃の範囲がより好ましい。
 前記エンボス型を有しない第2の金型の加熱温度は140℃~200℃の範囲であり、150℃~190℃の範囲が好ましく、170℃~180℃の範囲がより好ましい。
 また、前記エンボス型を有する第1の金型の加熱温度は、前記エンボス型を有しない第2の金型の加熱温度よりも低いことが好ましい。
 金型22を加熱する際の温度条件が上記範囲において、凹部の形成性、及び形成された凹部の形状保持性が良好となる。
 なお、エンボス型を有する第1の金型の加熱温度の上限は、表皮層の軟化点以下であることが好ましい。
[0081]
 エンボス加工の条件としては、圧力20kgf/cm ~50kgf/cm であり、加熱時間10秒~90秒で加熱印加することが好ましく、圧力30kgf/cm 前後で、20秒から60秒間程度圧力印加することがより好ましい。
 エンボス加工の条件を上記範囲とすることで、深いエンボス模様である凹部が形成され、形成された凹部は長期間に亘り形状が保持され、耐久性に優れた合成樹脂表皮材複合体を形成することができる。
[0082]
 図5に示す一対の金型22のうち、エンボス型を有する第1の金型22Aに取り付けられるエンボス型22Cを選択することで、種々の形状の凹部を形成することができる。このため、簡易な構成の装置により、エンボス型22Cのみを換えることで、種々の意匠の凹部を形成することができる。
 図5では、凹部を形成するためのエンボス型を有する第1の金型22Aに取り付けられるエンボス型22Cの凸部は円柱形であり、先端が平坦に形成されているが、エンボス型の凸部の形状はこれに限定されない。エンボス型の凸部の形状としては、例えば、先端が鮮鋭な円錐形、先端が半球径のドーム形である円柱形、三角柱、四角柱などの角柱形など、目的に応じて種々の形状を選択することができる。このため、本開示の製造方法によれば、種々の意匠の、深い凹部を有する合成樹脂表皮材複合体を得ることができる。
[0083]
 また、図5に示すように、エンボス型を有する第1の金型22Aとエンボス型を有しない第2の金型22Bとの距離を調整するため、金型の端部にスペーサ24A、24Bを配置してもよい。図5では、2つのスペーサ24A、24Bが配置されているが、これに限定されず、スペーサの厚み、枚数を調整することで、合成樹脂表皮材複合体に形成される凹部の深さを簡易に制御することができる。
 また、図5は、エンボス型を有する第1の金型22Aを可動金型とし、エンボス型を有しない第2の金型22Bを固定金型とした例を示すが、これに限定されず、エンボス型を有する金型を固定金型とし、エンボス型を有しない金型を可動金型とすることもできる。
[0084]
 本開示の合成樹脂表皮材複合体の製造方法は、既述の工程(A)、工程(B)及び工程(C)に加え、他の工程を有してもよい。
 他の工程としては、例えば、ウレタン樹脂表皮材表面に、表面処理層を形成する工程、得られた合成樹脂表皮材複合体に孔を穿孔する工程等が挙げられる。
[0085]
〔ウレタン樹脂表皮材の厚さ方向に、ウレタン樹脂表皮材を貫通する複数の孔を穿孔する工程〕
 合成樹脂表皮材複合体に通気孔を穿孔する工程としては、前記ウレタン樹脂表皮材の厚さ方向に、ウレタン樹脂表皮材を貫通する複数の孔を穿孔する工程が挙げられる。
 複数の孔は、ウレタン樹脂表皮材の表面であるウレタン樹脂表皮層から、ウレタン樹脂表皮材の底面である基布に至るまで貫通する孔であることが好ましい。また、穿孔される複数の孔は、ウレタン樹脂表皮材とクッション層とを貫通する孔、即ち、合成樹脂表皮材複合体を貫通する孔とすることもできる。
 合成樹脂表皮材複合体の厚さ方向に、ウレタン樹脂表皮材又はウレタン樹脂表皮材とクッション層とを貫通した多数の孔を有することにより、合成樹脂表皮材複合体は、通気性及び透湿性等がより良好となる。また、合成樹脂表皮材複合体の外観がより良好となる。
 前記ウレタン樹脂表皮材の厚さ方向に、ウレタン樹脂表皮材を貫通する複数の孔を穿孔する工程は、例えば、パンチングロールによりウレタン樹脂表皮材に所望の間隔で所望の径を有する孔を穿孔する工程とすることができる。
 複数の孔を穿孔する工程は、ウレタン樹脂表皮材の製造後、即ち、工程(B)の後に行なってもよく、ウレタン樹脂表皮材の面上にクッション層を設けた後、即ち、工程(C)の後に行なってもよい。
[0086]
 本開示の合成樹脂表皮材複合体の製造方法によれば、従来の合成樹脂表皮材よりも、より深い凹部を有する立体形状を備え、形成された立体形状の形状保持性が良好な合成樹脂表皮材複合体を製造することができる。
 本開示の合成樹脂表皮材複合体の製造方法によれば、クッション性が良好であり、形成された深い凹部による立体形状の形状保持性が良好である。また、公知のウレタン樹脂表皮材を用いて、深い凹部による立体形状を有する合成樹脂表皮材複合体を製造することができる。また、本開示の製造方法により得られる合成樹脂表皮材複合体は、層構成に起因してクッション性と耐久性が良好であるため、自動車内装材などの耐久性を要求される用途に好適に使用される。
実施例
[0087]
 以下、実施例を挙げて本開示の合成樹脂表皮材複合体及びその製造方法について具体的に説明する。以下に示す実施例は実施態様の一例を示すに過ぎず、本開示は以下の実施例に制限されない。
 実施例において、特に断らない限り、以下の「%」及び「部」は質量基準である。
[0088]
〔実施例1〕
(ウレタン樹脂表皮材の作製)
 クリスボン(登録商標)NY-324(DIC(株)製、熱軟化温度:150℃のポリカーボネート系ポリウレタン)を、固形分15%となる量の溶剤(ジメチルホルムアミド:DMF)で希釈し、表皮層形成用組成物を調製した。得られた表皮層形成用組成物をナイフコーターで、離型紙ARX196M(商品名、旭ロール社製)表面に、塗布量200g/m として塗工し、離型紙表面に表皮層形成用組成物層を形成した。
 接着剤層は、ウレタン樹脂表皮層形成用組成物層の裏面、即ち、離型紙と接触する側とは反対側に、接着剤層形成用の接着剤を150g/m の量で塗布し、100℃にて2分間加熱、乾燥させて、離型紙上にウレタン樹脂表皮層と接着剤層とをこの順に形成した。形成したウレタン樹脂表皮層と接着剤層との、接着剤層側に基材である基布(両面編布:林テレンプ(株)製のジャージ)を貼り合わせ、その後、50℃で48時間熟成させてウレタン樹脂表皮層と接着剤層と硬化させ、離型紙を剥離して、厚み1.2mmのウレタン樹脂表皮材を得た。〔工程(A)〕
[0089]
(積層体の製造)
 得られたウレタン樹脂表皮材と、密度20kg/m (JIS K7222)、硬さ98.1(JIS K6400-2)、圧縮残留歪8%以下(JIS K6400-4)のスラブ発泡法で得られたポリエーテルポリエステル系軟質ウレタンフォーム材((株)イノアックコーポレーション製、カラーフォームEL-67F)(厚さ6mmにスライスされたもの)とを、フレームラミネート加工により貼り合せを行い、積層体を形成した。〔工程(B)〕
 工程(B)では、ポリウレタンフォーム材の表面をバーナーの火炎(フレーム)により加熱し、該ポリウレタンフォーム材の表面を溶融させ、溶融した箇所に、予め工程(A)にて得られたウレタン樹脂表皮材の基材面を接触させ、加圧冷却して、ウレタン樹脂表皮材とクッション層とを接着して積層体を得た。
[0090]
(合成樹脂表皮材複合体の製造)
 次に得られた積層体を幅700mm、長さ500mmの寸法に裁断した。なお、本実施例では、評価用として合成樹脂表皮材複合体を上記サイズに裁断しているが、裁断の寸法はこれに限定されず、合成樹脂表皮材複合体の使用目的に応じて任意の寸法で行なうことができる。
 立体エンボス加工機のエンボス型を有する第1の金型22Aの温度を150℃、エンボス型を有しない第2の金型22Bの温度を170℃に加熱し、第1の金型22Aにエンボス型22Cを取り付け、第2の金型22B上に、工程(B)で得た積層体を、前記積層体のクッション層が第2の金型22Bと接する方向に配置し、加圧圧力を29kgf/cm にて第1の金型22Aを押しつけ、圧力を40秒印加することで、深い凹部が形成された立体形状模様を有した合成樹脂表皮材複合体を得た。形成された凹部の深さは、2mmであり、形成された凹部の底面は、凹部を有しない領域におけるクッション層内までの深さであることが確認された。
[0091]
〔実施例2〕
 実施例1の合成樹脂表皮材複合体の製造方法と同様にして、積層体を形成した。
 第1の金型の加熱温度を140℃、第2の金型22Bの温度を180℃とした以外は、同様の金型を用いて、加熱温度以外は、実施例1と同様の条件にてエンボス加工して凹部を形成し、実施例2の合成樹脂表皮材複合体を得た。
 形成された凹部の深さは、5mmであり、形成された凹部の底面は、凹部を有しない領域におけるクッション層内までの深さであることが確認された。
[0092]
〔比較例1〕
 実施例1の合成樹脂表皮材複合体の製造方法と同様にして、積層体を形成した。
 第1の金型の加熱温度を120℃、第2の金型22Bの温度を130℃とした以外は、同様の金型を用いて、加熱温度以外は、実施例1と同様の条件にてエンボス加工して凹部を形成し、比較例1の合成樹脂表皮材複合体を得た。
 形成された凹部の深さは、1.1mmであり、形成された凹部の底面は、凹部を有しない領域におけるクッション層に至らない深さであった。
[0093]
〔比較例2〕
 実施例1の合成樹脂表皮材複合体の製造方法と同様にして、積層体を形成した。
 第1の金型の加熱温度を170℃、第2の金型22Bの温度を210℃とした以外は、同様の金型を用いて、加熱温度以外は、実施例1と同様の条件にてエンボス加工して凹部を形成し、比較例2の合成樹脂表皮材複合体を得た。
 形成された凹部の深さは、2mmであり、形成された凹部の底面は、凹部を有しない領域におけるクッション層内に至る深さであった。しかし、形成された凹部の形状が設計値どおりではなく、深さ方向の中程で凹部周辺の壁面が融着したり、合成樹脂表皮材複合体表面の凹部の表面端部の一部が軟化により変形したりして、充分な深さであり、かつ、外観が良好な凹部は形成されなかった。
[0094]
〔比較例3〕
 実施例1の合成樹脂表皮材複合体の製造方法と同様にして、積層体を形成した。
 第1の金型の加熱温度を250℃、第2の金型22Bの温度を250℃とした以外は、同様の金型を用いて、加熱温度以外は、実施例1と同様の条件にてエンボス加工して凹部を形成し、比較例2の合成樹脂表皮材複合体を得た。
 金型の加熱温度が高いため、合成樹脂表皮材複合体の表面が軟化、溶融し、エンボス型の押圧による凹部は形成されなかった。このため、下記評価を行なわなかった。
[0095]
<合成樹脂表皮材複合体の評価>
(立体性)
 得られた合成樹脂表皮材複合体の凹部の深さを以下に示す方法にて測定し、下記評価基準にて合成樹脂表皮材複合体の立体性を評価した。結果を下記表1に示す。
-評価基準-
A:凹部深さが2mm以上
B:凹部深さが1mm以上2mm未満
C:凹部深さが1mm未満
[0096]
(耐久性)
 得られた合成樹脂表皮材複合体の19.6N平面摩耗試験を以下に示す方法にて実施し、下記評価基準にて合成樹脂表皮材複合体の耐久性を評価した。結果を下記表1に示す。
 JASO M 403/88/シート表皮用布材料の平面摩耗試験機(B法)を参考に試験を行った。
 以下のように、試験条件における荷重をJASO法の条件から変更した以外は同様にして行った。
(試験条件)
 JASO法における標準の条件を本試験の条件とし、JASO法における押圧荷重:9.81Nを、荷重19.6Nに代えた以外は同様に行なった。
-評価基準-
A:平面摩耗10000回以上でも凹部形状が保持される
B:平面摩耗7500回以上10000回未満で凹部形状が崩れる
C:平面摩耗7500回未満で凹部形状が崩れる
[0097]
(エンボス凹部の外観)
 得られた合成樹脂表皮材複合体の凹部の外観を観察し、以下の基準で評価した。ランクA及びBが実用上容認できるレベルである。
-評価基準-
A:エンボス型の設計値どおりの深さと形状の凹部が形成された
B:エンボス型の設計値に近い凹部形状が形成されるが、凹部の一部に変形が見られた
C:エンボス型の設計値どおりの凹部が形成されず、凹部の周辺部が融着して深さが不十分であるか、または、凹部の表面周辺部に変形が見られた
[0098]
[表1]


[0099]
 表1に示す結果より、実施例1及び実施例2の合成樹脂表皮材複合体は、深い凹部を有する立体形状を備え、形成された立体形状は、10000回以上の摩耗試験でも形状が保持されていた。このことから、実施例1及び実施例2の合成樹脂表皮材複合体は、立体形状の形状保持性が良好であることがわかる。
 他方、エンボス加工時の加熱温度がより低い条件で製造された比較例1の合成樹脂表皮材複合体は、充分な深さの凹部が形成されなかった。エンボス加工時の加熱温度が、ポリウレタンの軟化温度より高い条件で製造された比較例2の合成樹脂表皮材複合体は、加熱条件が厳しいことに起因して合成樹脂表皮材複合体自体の強度が低下し、充分な立体形状保持性が得られず、耐久性に劣っていた。さらに、形成された凹部の形状が設計値どおりではなく、深さ方向の中程で凹部周辺の壁面が融着したり、合成樹脂表皮材複合体表面の凹部の表面端部の一部が軟化により変形したりして、充分な深さで外観が良好な凹部が形成されなかった。また、エンボス加工時の加熱温度が比較例2よりもさらに高い条件で製造された比較例3では、合成樹脂表皮材の表面が溶融して、凹部が形成されなかった。
[0100]
 2017年9月29日に出願された日本国特許出願2017-192165の開示は参照により本明細書に取り込まれる。
 本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
[0101]
(符号の説明)
10、26、28 合成樹脂表皮材複合体
12 基材(基布)
13 接着剤層
14 ウレタン樹脂表皮層
15 ウレタン樹脂表皮材
16 クッション層
18 凹部(エンボス模様)
20 ウレタン樹脂表皮層とクッション層との積層体
22 金型
22A エンボス型を有する第1の金型(エンボス型を有する可動金型)
22B エンボス型を有しない第2の金型(エンボス型を有しない固定金型)
22C エンボス型
24A 金型のスペーサ
24B 金型のスペーサ
30 ウレタン樹脂表皮材を貫通する孔(貫通孔)

請求の範囲

[請求項1]
 基材の一方の面にウレタン樹脂表皮層を備えるウレタン樹脂表皮材と、
 前記ウレタン樹脂表皮材のウレタン樹脂表皮層を備える面とは反対側の面に配置されたクッション層と、を備え、
 前記ウレタン樹脂表皮材のウレタン樹脂表皮層側に凹部を有し、前記凹部は、合成樹脂表皮材複合体の厚み方向において、前記ウレタン樹脂表皮層から前記凹部を有しない領域におけるウレタン樹脂表皮材とクッション層との界面を超えてクッション層内に至る深さの凹部である合成樹脂表皮材複合体。
[請求項2]
 前記クッション層の厚みは1mm~15mmであり、かつ、前記クッション層の厚みは、前記ウレタン樹脂表皮材の厚みよりも厚い請求項1に記載の合成樹脂表皮材複合体。
[請求項3]
 前記ウレタン樹脂表皮材が、乾式樹脂表皮材又は湿式樹脂表皮材である請求項1又は請求項2に記載の合成樹脂表皮材複合体。
[請求項4]
 前記合成樹脂表皮材複合体の厚さ方向に、前記ウレタン樹脂表皮材に対し、ウレタン樹脂表皮材を貫通する複数の孔を有する請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の合成樹脂表皮材複合体。
[請求項5]
 基材の一方の面にウレタン樹脂表皮層を形成して、ウレタン樹脂表皮材を得る工程と、
 前記ウレタン樹脂表皮材の、ウレタン樹脂表皮層を有しない側に、クッション層を形成して、前記ウレタン樹脂表皮材とクッション層との積層体を得る工程と、
 エンボス型を有する第1の金型と、エンボス型を有しない第2の金型とからなる一対の金型の間に、得られた積層体を配置し、前記第1の金型を130℃~160℃の範囲に加熱し、かつ、前記第2の金型を140℃~200℃の範囲に加熱して、前記積層体のウレタン樹脂表皮層側に、前記第1の金型のエンボス型の凸部を押しつけて凹部を形成する際に、前記第1の金型におけるエンボス型の凸部の先端を、クッション層内に至る深さまで進入させる条件にてエンボス加工し、前記エンボス加工により、ウレタン樹脂表皮材とクッション層との界面よりも深くクッション層内に至る深さの凹部を形成する工程と、を有する合成樹脂表皮材複合体の製造方法。
[請求項6]
 前記ウレタン樹脂表皮材の、ウレタン樹脂表皮層を有しない側に、クッション層を形成して、前記ウレタン樹脂表皮材とクッション層との積層体を得る工程は、前記クッション層として軟質ポリウレタンフォーム材を接着する工程を含む請求項5に記載の合成樹脂表皮材複合体の製造方法。
[請求項7]
 前記クッション層として軟質ポリウレタンフォーム材を接着する工程は、フレームラミネート工程を含む請求項6に記載の合成樹脂表皮材複合体の製造方法。
[請求項8]
 前記ウレタン樹脂表皮材が、乾式樹脂表皮材又は湿式樹脂表皮材である請求項5~請求項7のいずれか1項に記載の合成樹脂表皮材複合体の製造方法。
[請求項9]
 前記合成樹脂表皮材複合体の厚さ方向に、前記ウレタン樹脂表皮材に対し、ウレタン樹脂表皮材を貫通する複数の孔を穿孔する工程をさらに有する請求項5~請求項8のいずれか1項に記載の合成樹脂表皮材複合体の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]