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1. (WO2019065605) 金属造形物の製造装置及び金属造形物の製造方法
Document

明 細 書

発明の名称 金属造形物の製造装置及び金属造形物の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077  

産業上の利用可能性

0078  

符号の説明

0079  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : 金属造形物の製造装置及び金属造形物の製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、金属造形物の製造装置及び金属造形物の製造方法に関する。

背景技術

[0002]
Additive Manufacturingと称される付加製造技術がある。付加製造技術は、任意の形状の構造物を短時間で製造できるため、航空機産業及び医療等の先端技術分野で有望な技術として注目されている。
 付加製造技術を利用する製造装置の一例として、造形ステージに貯蔵された金属粉末をレーザー等で焼結する3D金属プリンターが知られている。3D金属プリンターは、焼結された金属の層を造形ステージ上で順次積層し、金属造形物を製造できる。
[0003]
 金属造形物の原料となる金属粉末は、種々の特性が要求される金属造形物の性質を決定する要因として重要である。先端技術分野のニーズに応えるために、多種多様の粉末製造技術が開発されている。
 例えば、3D金属プリンターに関する技術分野では、金属造形物の製造に使用しなかった金属粉末を回収して再利用することも望まれている(特許文献1)。特許文献1は、粉末を乾燥した保護遮蔽ガス雰囲気下のみで保管及びアトマイズし、特定の元素の含有量を調整する技術を開示している。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2017-82324号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 一般に、市販の金属粉末は樹脂製の密閉容器に封入されていることが多い。密閉容器は、密閉容器のふたを開封してから、3D金属プリンターの装置内に設置される。その後、金属粉末は、3D金属プリンターの装置内で造形ステージに搬送され、造形ステージ上でレーザー等によって焼結される。
[0006]
 ところが、密閉容器のふたを開封したときから、内部の金属粉末の金属粒子の表面の酸化反応が始まり、レーザー等により焼結されるまで金属粉末の酸化反応が継続する。特に、チタン等の酸化しやすい金属の粉末は、密閉容器を開封したときから即座に表面が酸化されてしまう。また、金属粉末は大気中の水分を吸湿する性質があるため、密閉容器の開封からレーザーの焼結までの間に起きる金属粉末の吸湿を防止できない。
[0007]
 その結果、3D金属プリンターによる金属造形物の造形にあっては、特許文献1に記載の技術等で処理された金属粉末を原料として用いても、金属造形物の靱性及び耐割れ性が低下しやすいという課題があった。
 また、金属粉末の吸湿及び酸化によって金属粉末の流動性が低下すると、造形ステージに金属粉末を供給しにくくなるという課題があった。
[0008]
 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって金属粉末の流動性を損なうことなく、靱性及び耐割れ性に優れる金属造形物を製造できる金属造形物の製造装置及びその製造方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0009]
 上記課題を解決するため、本発明は以下の金属造形物の製造装置および金属造形物の製造方法を提供する。
[1] 造形ステージに貯蔵された金属粉末を焼結して又は前記金属粉末を溶融固化させて金属の層を造形し、前記層を積層して金属造形物を製造する装置であって、金属粉末が封入された密閉容器を、不活性ガス雰囲気下にある内部空間に収容する搬送部と、前記密閉容器を前記内部空間で開封する開封手段と、前記密閉容器内の金属粉末を前記造形ステージに供給する供給手段とを備えることを特徴とする、金属造形物の製造装置。
[2] 前記密閉容器が乾燥剤を有する、[1]の金属造形物の製造装置。
[3] 前記乾燥剤が塩化カルシウムである、[2]の金属造形物の製造装置。
[4] 前記密閉容器がステンレス製であるとともに、前記密閉容器の内面がパシベート処理されている、[1]~[3]のいずれかの金属造形物の製造装置。
[5] 造形ステージに貯蔵された金属粉末を焼結して又は前記金属粉末を溶融固化させて金属の層を造形し、前記層を積層して金属造形物を製造する方法であって、金属粉末が封入された密閉容器を、内部空間が不活性ガス雰囲気下にある搬送部に収容し、前記密閉容器を前記内部空間で開封し、前記密閉容器内の金属粉末を前記造形ステージに供給することを特徴とする、金属造形物の製造方法。
[6] 前記密閉容器が乾燥剤を有する、[5]の金属造形物の製造方法。
[7] 前記乾燥剤が塩化カルシウムである、[6]の金属造形物の製造方法。
[8] 前記密閉容器がステンレス製であるとともに、前記密閉容器の内面がパシベート処理されている、[5]~[7]のいずれかの金属造形物の製造方法。

発明の効果

[0010]
 本発明によれば、金属粉末の流動性を損なうことなく、靱性及び耐割れ性に優れる金属造形物を製造できる。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 本発明を適用した一実施形態に係る金属造形物の製造装置の構成の一例を示す模式図である。
[図2] 図1の金属造形物の製造装置が備える搬送部の内部空間に収容される密閉容器の構成の一例を示す断面図である。
[図3] 本発明を適用した一実施形態に係る金属造形物の製造装置の構成の一例を示す模式図である。
[図4] 図3の金属造形物の製造装置が備える搬送部の内部空間に収容される密閉容器の構成の一例を示す断面図である。
[図5] 異なる密閉容器に保管された金属粉末の酸素含有量の変化を示すグラフである。

発明を実施するための形態

[0012]
 本明細書において、金属造形物の製造装置とは、金属粉末に熱を供給して金属の層を造形し、造形された層を積層して金属造形物を製造する装置を意味する。本明細書において、金属造形物の製造装置を「製造装置」と省略して記すこともある。
[0013]
 製造装置における金属粉末に熱を供給する方法としては、レーザー、電子ビーム等を金属粉末に照射すること等が例示されるがこれらに限定されない。金属造形物の製造装置は、レーザー及び電子ビーム等の照射によって金属粉末を焼結して又は溶融固化させて、金属の層を造形し、造形された層を積層する。
[0014]
 本明細書において、「金属粉末を焼結等する」と記載した場合、金属粉末を焼結すること又は金属粉末を溶融固化させることを意味する。なお、金属粉末を焼結等して造形される金属の層を単に、「焼結層」とも記すことがある。
[0015]
 本明細書において、シールドガスとは、金属粉末を焼結等する際に、金属粉末の周囲の酸素ガス濃度を低減すること等を目的として金属粉末の周囲に供給されるガスを意味する。
[0016]
<第1の実施形態>
 以下、本発明を適用した一実施形態の金属造形物の製造装置及び金属造形物の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
[0017]
[金属造形物の製造装置]
 以下、本発明を適用した一実施形態である第1の実施形態に係る金属造形物の製造装置20の構成について説明する。
 図1は、製造装置20の構成の一例を示す模式図である。図1に示すように、製造装置20は、レーザー発振器1と、光学系2と、搬送部3と、造形部4とを備える。
 以下に金属造形物の製造装置20の各構成要素に関して詳しく説明を行う。
[0018]
 レーザー発振器1はレーザーを照射できる形態であれば特に限定されない。レーザー発振器1は光学系2を経由させて、レーザーを造形部4内の金属粉末Mに照射する。これにより製造装置20はレーザーが照射された位置の金属粉末Mを焼結等でき、金属の層を造形できる。
[0019]
 光学系2はレーザー発振器1から金属粉末Mに照射されるレーザーの反射位置をあらかじめ入力されたデータにしたがって制御できる形態であれば特に限定されない。光学系2は、例えば一以上の反射鏡で構成できる。製造装置20は、あらかじめ入力されたデータにしたがって光学系2を制御することで、金属粉末Mに照射されるレーザーの位置を制御し、任意の形状の金属の層を造形できる。
[0020]
 搬送部3は、金属粉末Mが封入された密閉容器を、不活性ガス雰囲気下にある内部空間に収容する。搬送部3の内部空間が不活性ガス雰囲気下にあることにより、搬送部3の内部空間に収容された密閉容器を開封した後でも、金属粉末Mの酸化及び吸湿を防止できる。
[0021]
 本実施形態では、搬送部3の内部空間が外気と遮断されている。外気と遮断されていることにより、搬送部3の内部空間が不活性ガス雰囲気下に維持しやすくなる。
 搬送部3の内部空間を不活性ガス雰囲気下に維持する方法としては、図示略の不活性ガスの供給源から搬送部3の内部空間に不活性ガスを供給し、搬送部3の内部空間をパージするパージ方法が例示される。搬送部3の内部空間をパージすると、搬送部3の内部空間の酸素ガス濃度と水分濃度を十分に下げやすくなる。
[0022]
 図2は、搬送部3の内部空間に収容される密閉容器30の構成の一例を示す断面図である。図2に示すように密閉容器30は、容器蓋30aと、容器本体30bとを備える。容器蓋30aは容器本体30bを密閉するための蓋である。本実施形態では、容器蓋30a及び容器本体30bの材質がSUS等のステンレス製である。
[0023]
 容器蓋30aはパッキン材31と、ゲッター材32とを有している。
 パッキン材31は、容器本体30b内を密閉できる形態であれば特に限定されない。パッキン材31により、密閉容器30が気密状態に保たれ、金属粉末Mの酸化をさらに防止できる。
 ゲッター材32は乾燥剤の一例である。ゲッター材32により、密閉状態にある金属粉末Mの吸湿をさらに防止できる。ゲッター材32としては、シリカゲル、石灰、塩化カルシウム等が例示される。これらの中でも塩化カルシウムが好ましい。塩化カルシウムは水分を吸収して安定な水和物となりやすく、吸湿能力が非常に強く、塩化カルシウム1gに対して10g程度の水分を吸湿できるため好ましい。
[0024]
 容器本体30bは金属粉末Mを貯蔵している。容器本体30bは、容器の内側の表面に酸化被膜33を有している。酸化被膜33は、硝酸系の酸化剤により防錆性能を向上させるパシベート処理方法によって形成される膜である。酸化被膜33としては、クロムリッチパッシベート処理による膜が特に好ましい。クロムリッチパッシベート処理は、電解複合研磨により加工変質層を付与した後、低酸素雰囲気中で加熱酸化処理を催し、高濃度のCr 酸化皮膜を生成させる処理である。このように容器本体30bがステンレス製であるとともに、容器本体30bの内面がパシベート処理されていると、容器本体30bの内表面に水分子が吸着しにくく、水分子が吸着しても脱離しやすくなる。
[0025]
 金属粉末Mとしては、カーボン、ホウ素、マグネシウム、カルシウム、クロム、銅、鉄、マンガン、モリブテン、コバルト、ニッケル、ハフニウム、ニオブ、チタン、アルミ等の各種の金属及びこれらの合金の粉末が例示される。
 金属粉末Mの金属粒子の粒径としては、10~200μm程度である。
[0026]
 搬送部3(図1参照)は、上述の密閉容器30を搬送部3の内部空間で開封する図示略の開封装置を有している。開封装置としては、搬送部3の内部空間と外部空間とを貫通する操作アームが例示される。操作アームとしては、密閉容器30を開封する操作を搬送部3の外部空間から制御できる形態であれば特に限定されない。操作アームとしてはアーム型ロボットが例示される。
[0027]
 搬送部3は、開封された密閉容器30内の金属粉末Mを造形部4に搬送する図示略の搬送装置を有している。搬送装置としては、搬送部3の内部空間で金属粉末Mを搬送できる形態であれば特に限定されない。
[0028]
 造形部4は金属粉末Mを焼結等して焼結層を造形し、焼結層を積層するための筐体である。図1に示すように、造形部4は造形ステージ5と、第1の供給槽6と、供給経路7とを収容している。造形部4は、第1の供給槽6から供給経路7を介して造形ステージ5に金属粉末Mを供給する。
 造形部4は、金属粉末Mを焼結等して造形ステージ5上に焼結層を任意の形状に造形する操作と、造形した焼結層を積層する操作とを繰り返すことで、任意の形状の三次元構造を有する金属造形物Xを製造できる。
[0029]
 造形部4は、図示略のシールドガス供給部と接続されている。シールドガス供給部は、造形部4内にシールドガスを供給して、造形部4内から酸素ガスをパージできる形態であれば特に限定されない。造形部4がシールドガス供給部と接続されていることにより、金属粉末Mが酸化しにくくなり、金属粉末Mの変性を防止しやすくなる。そのため、金属構造物Xの機械的物性がさらに向上し、金属造形物Xの形状の劣化がさらに低減される。
[0030]
 第1の供給槽6は、金属粉末Mを一時的に貯蔵する槽である。第1の供給槽6には搬送部3から搬送された金属粉末Mが貯蔵されている。第1の供給槽6の底部は、供給経路7と接続されている。供給経路7は第1の端部が第1の供給槽6の底部と接続され、第2の端部が造形ステージ5と接続されている。これにより、第1の供給槽6から、供給経路7を介して造形ステージ5に金属粉末Mが供給される。このように本実施形態では、密閉容器30内の金属粉末Mを造形ステージ5に供給する供給装置が、上述の搬送装置と、第1の供給槽6と、供給経路7とで構成されている。
[0031]
 造形ステージ5は、焼結層の造形と、造形した焼結層の積層とが行われる場である。造形ステージ5は、第2の供給槽8と、造形槽9と、リコーター10と、凹部11とを有している。
[0032]
 第2の供給槽8は、金属粉末Mを貯蔵するとともに、金属粉末Mを造形槽9に供給するための槽である。第2の供給槽8は、供給経路7の第2の端部と接続されている。これにより、第2の供給槽8に金属粉末Mが供給される。
 第2の供給槽8には第1の供給槽6から供給された金属粉末Mが敷き詰められている。第2の供給槽8の底面は、第1の昇降台13に支持されている。第1の昇降台13は、図中上方向に移動可能である。これにより、第2の供給槽8の底面は図中上方向に移動できる。
[0033]
 造形槽9は、金属粉末Mを貯蔵するとともに、金属造形物Xの造形を行うための槽である。造形槽9には第2の供給槽8から供給された金属粉末Mが敷き詰められている。また、造形槽9では造形途中の金属造形物Xが形成されている。
 造形槽9の底面は、第2の昇降台12に支持されている。第2の昇降台12は、図1中下方向に移動可能である。これにより、造形槽9の底面は図中下方向に移動できる。
[0034]
 リコーター10は、第2の供給槽8に貯蔵された金属粉末Mを造形槽9に供給するとともに、第2の供給槽8及び造形槽9の上面を造形ステージ5の上面と均一にする。
 リコーター10は、造形ステージ5の上面に沿って、図1中の水平方向に移動可能である。リコーター10の先端10aは、造形ステージ5の上面と接している。そのため、リコーター10が図1中の左方向に移動すると、造形ステージ5の上面にある金属粉末が図1中の左方向に搬送されるとともに、第2の供給槽8及び造形槽9の上面が造形ステージ5の上面と均一になる。
[0035]
 凹部11は、造形ステージ5の上面に設けられている。リコーター10によって搬送される金属粉末Mのうち、造形槽9に供給されなかった残りの金属粉末Mは、リコーター10が図1に示す凹部11の位置まで移動することにより、凹部11に貯留される。
[0036]
 以上説明した第1の実施形態に係る金属造形物の製造装置によれば、金属粉末が封入された密閉容器を不活性ガス雰囲気下にある内部空間に収容する搬送部を備えるため、金属粉末と大気との接触を防止でき、金属粉末の酸化及び吸湿を低減できる。よって、酸化及び吸湿が低減された金属粉末を原料として用いることができるため、金属粉末の流動性を損なうことなく、金属粉末を造形ステージにスムーズに供給できるとともに、靱性及び耐割れ性に優れる金属造形物を製造できる。
[0037]
[金属造形物の製造方法]
 以下、第1の実施形態に係る金属造形物の製造方法について説明する。
 本実施形態の金属造形物の製造方法は、上述した構成を備える金属造形物の製造装置20を用いた金属造形物の製造方法である。以下、図1を参照して、第1の実施形態に係る金属造形物の製造方法について、具体的に説明する。
[0038]
 まず、第1の実施形態に係る金属造形物の製造方法では、金属粉末Mが封入された密閉容器30(図2参照)を、内部空間が不活性ガス雰囲気下にある搬送部3に収容する。搬送部3の内部空間を不活性ガス雰囲気下に維持する方法としては、図示略の不活性ガスの供給源から搬送部3の内部空間に不活性ガスを供給し、搬送部3の内部空間をパージする方法が例示される。
[0039]
 次に、密閉容器30を、搬送部3が有する開封装置によって不活性ガス雰囲気下にある搬送部3の内部空間で開封する。その後、密閉容器30内の金属粉末Mを、搬送部3が有する搬送装置によって、搬送部3の内部空間から搬送部3の外部空間にある第1の供給槽6に搬送する。第1の供給槽6に搬送された金属粉末Mは、一時的に第1の供給槽6で貯蔵された後、供給経路7を経て第2の供給槽8に供給される。
[0040]
 次に、第2の供給槽8に供給された金属粉末Mを造形ステージ5が有する造形槽9に供給する。第2の供給槽8から造形槽9への金属粉末Mの供給は、例えば下記の様にして行われる。
 まず、第1の昇降台13が上方に移動する。これにより、第2の供給槽8に貯蔵された金属粉末Mの上面が造形ステージ5の上面より上方に移動する。第1の昇降台13の上昇距離によって造形槽9への金属粉末Mの供給量が決定されるため、造形槽9の金属粉末Mの貯蔵量に応じて、前記上昇距離を調節することが好ましい。
[0041]
 次に、リコーター10が図1中の左方向に移動する。これにより、第2の供給槽8に貯蔵された金属粉末Mであって、造形ステージ5の上面より上方に位置する金属粉末Mが造形槽9に供給される。より具体的には、リコーター10の先端10aによって、造形ステージ5の上面より上方に位置する金属粉末Mが造形槽9に搬送される。この際、金属粉末Mの上面が造形ステージ5の上面と一致するように、金属粉末Mの上面がリコーター10の先端10aによって平坦化され、金属粉末Mが造形槽9に敷き詰められる。
[0042]
 リコーター10は、金属粉末Mを第2の供給槽8から造形槽9に供給した後、図1中に示す凹部11の位置まで移動する。これにより、レーザーの照射により生じたヒューム、スパッタ、金属粒子の凝集粒子及び金属粉末Mの酸化物がリコーター10によって凹部11に搬送される。その結果、凹部11には、第2の供給槽8から造形槽9に敷き詰めることができなかった未使用の金属粉末Mとともに、レーザーの照射により生じたヒューム、スパッタ、金属粒子の凝集粒子及び金属粉末Mの酸化物が貯留される。
[0043]
 造形槽9に金属粉末Mを供給した後、製造装置20はあらかじめ入力されたデータにしたがい、造形槽9に敷き詰められている金属粉末Mにレーザーを照射する。レーザーが照射されると、レーザーが照射された部分の金属粉末Mが焼結され、焼結層がレーザーの描画線に沿って任意の形状に造形される。焼結が終わると、第2の昇降台12が下方に移動し、造形槽9に敷き詰められた金属粉末Mの上面が造形ステージ5の上面より下方に移動する。ここで、金属粉末Mの焼結層の厚さは、第2の昇降台12の下降距離によって決定される。
[0044]
 レーザーの照射に際しては、図示略のシールドガス供給部から造形部4内にシールドガスを供給して、造形部4内から酸素ガスをパージすることが好ましい。これにより、金属構造物Xの機械的物性をさらに高め、形状の劣化をさらに防止できる。造形部4内の酸素ガスの濃度が0.8%以下になるまでパージを行うことが好ましい。造形部4内の酸素ガスの濃度が0.8%以下であると、金属粉末Mが酸化しにくく、金属粉末Mの変質を防止しやすい。
[0045]
 次に、第1の昇降台13が上方に移動し、第2の供給槽8に敷き詰められた金属粉末Mの上面が造形ステージ5の上面より上方に移動する。第1の昇降台13が上方に移動した後、リコーター10が図1中左方向に移動する。これにより、造形ステージ5の上面より上方に位置する金属粉末Mが造形槽9にリコーター10の先端10aによって搬送され、造形槽9に敷き詰められる。この際、金属粉末Mの上面が造形ステージ5の上面と一致するように、金属粉末Mの上面がリコーター10の先端10aによって平坦化される。
[0046]
 金属粉末Mの上面が平坦化された後、レーザーを再度照射すると、すでに造形した焼結層の上方に新たな焼結層が任意の形状で造形されるとともに、新たに造形された焼結層が、すでに造形された焼結層の上方に積層される。
 このように造形部4では、造形ステージ5上におけるレーザーの照射と金属粉末Mの供給とを繰り返して金属造形物Xが造形される。
 あらかじめデータが入力されたすべての焼結層の造形と、積層とが完了すると、金属造形物Xが完成する。完成した金属造形物は、造形槽9から取り出される。
[0047]
 以上説明した第1の実施形態に係る金属造形物の製造方法によれば、金属粉末が封入された密閉容器を、内部空間が不活性ガス雰囲気下にある搬送部に収容するため、金属粉末と大気との接触を防止でき、金属粉末の酸化及び吸湿を低減できる。よって、酸化及び吸湿が低減された金属粉末を原料として供給できるため、金属粉末の流動性を損なうことなく、金属粉末を造形ステージにスムーズに供給できるとともに、靱性及び耐割れ性に優れる金属造形物を製造できる
[0048]
 なお、以上説明した第1の実施形態に係る製造装置20は、造形部4外に搬送部3を備える構成であるが、搬送部3は造形部4内に収容されていてもよい。
[0049]
<第2の実施形態>
 以下、本発明を適用した一実施形態である第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の説明において、第1の実施形態で説明した構成と、同一の構成については、同一の語及び同一の符号を用い、その説明を省略する。
[0050]
[金属造形物の製造装置]
 以下、第2の実施形態に係る金属造形物の製造装置50の構成について説明する。
 図3は、第2の実施形態に係る金属造形物の製造装置50の構成の一例を示す模式図である。図3に示すように、第2の実施形態に係る製造装置50は、上述した搬送部3が搬送部53に、上述した造形部4が造形部21にそれぞれ置換されているとともに、搬送部53が造形部21内に収容されている点以外は、第1の実施形態に係る製造装置20と同一の構成を備えている。
[0051]
 搬送部53は、金属粉末Mが封入された密閉容器を、不活性ガス雰囲気下にある内部空間に収容する。搬送部53の内部空間が不活性ガス雰囲気下にあることにより、搬送部53の内部空間に収容された密閉容器を開封した後でも、金属粉末Mの酸化及び吸湿を防止できる。
[0052]
 図4は、製造装置50が備える搬送部53の内部空間に収容される密閉容器40の構成の一例を示す断面図である。図4に示すように密閉容器40は、容器蓋40aと、容器本体40bとを備える。容器蓋40aは容器本体40bを密閉するための蓋である。容器蓋40a及び容器本体40bの材質はSUS等のステンレス製である。
[0053]
 容器蓋40aはパッキン材41と、ゲッター材42とを有している。パッキン材41及びゲッター材42については、第1の実施形態で説明したパッキン材31及びゲッター材32と同様のものが例示される。
[0054]
 容器本体40bは金属粉末Mを貯蔵している。容器本体40bは、容器の内側の表面に酸化被膜43を有している。酸化被膜43は、その機能及び性能において、第1の実施形態で説明した酸化被膜33と同様である。
[0055]
 搬送部53(図3参照)は、上述の密閉容器40を搬送部53の内部空間で開封する図示略の開封装置を有している。開封装置としては、搬送部53の内部空間と外部空間とを貫通する操作アームが例示される。操作アームとしては、密閉容器40を開封する操作を搬送部53の外部空間から制御できる形態であれば特に限定されない。操作アームとしてはアーム型ロボットが例示される。
[0056]
 図3に示す製造装置50では、容器本体40bが図4に示す開口面44を下方向に向けた状態で搬送部53に収容されている。これにより、容器本体40b内の金属粉末Mが重力の影響を受け、第1の供給槽22に搬送される。
[0057]
 造形部21は、金属粉末Mを焼結等して焼結層を任意の形状に造形する操作と、造形した焼結層を積層する操作とを繰り返すことで、任意の形状の三次元構造を有する金属造形物を製造するための筐体である。
 図3に示すように、造形部21は第1の供給槽22と、供給経路23と、第2の供給槽24と、リコーター25と、造形ステージ28とを収容している。また、第2の実施形態では、搬送部53が造形部21の内部空間の上部に設けられている。
[0058]
 第1の供給槽22は、金属粉末Mを一時的に貯蔵する槽である。第1の供給槽22には搬送部53から搬送された金属粉末Mが貯蔵されている。第1の供給槽22の底部は、供給経路23と接続されている。供給経路は第1の端部が第1の供給槽22の底部と接続され、第2の端部が第2の供給槽24と接続されている。これにより、第1の供給槽22から、供給経路23を介して第2の供給槽24に金属粉末Mが供給される。
[0059]
 第2の実施形態では、リコーター25は、第2の供給槽24に貯蔵された金属粉末Mを造形ステージ28に供給する。
 リコーター25は、第2の供給槽24の下方に設けられている。リコーター25は、造形ステージ5の上面に沿って、図3中の水平方向に移動しながら第2の供給槽24に貯蔵された金属粉末Mを造形ステージ28に供給できる。
[0060]
 このように本実施形態では、密閉容器40内の金属粉末Mを造形ステージ28に供給する供給装置が、第1の供給槽22と、供給経路23と、第2の供給槽24と、リコーター25とを備えて構成されている。
 リコーター25は後述する造形槽26の上面を造形ステージ28の上面と均一にする。リコーター25の先端25aは、造形ステージ28の上面と接している。これにより、リコーター25が図3中の右方向に移動すると、造形槽26に貯蔵された金属粉末Mの上面が造形ステージ28の上面と均一になる。
[0061]
 造形ステージ28は、焼結層の造形と、造形した焼結層の積層とが行われる場である。造形ステージ28は、造形槽26と、昇降台27とを有している。
 造形槽26は、金属粉末Mを貯蔵するとともに、金属造形物Xの造形を行うための槽である。造形槽26にはリコーター25の先端25aから供給された金属粉末Mが敷き詰められている。また、造形槽26では造形途中の金属造形物Xが形成されている。
 造形槽26の底面は、昇降台27に支持されている。昇降台27は、図中下方向に移動可能である。これにより、造形槽26の底面は図3中の下方向に移動できる。
[0062]
 以上説明した構成を備える第2の実施形態に係る金属造形物の製造装置50は、第1の実施形態に係る金属造形物の製造装置20と同様の作用効果を奏するほか、重力を利用して搬送部53から第1の供給槽22に金属粉末Mを搬送できるため、製造装置50は、製造装置20では必須の構成である搬送部3が有する搬送装置を省略し簡略化できる。
[0063]
[金属造形物の製造方法]
 以下、第2の実施形態に係る金属造形物の製造方法の一例について説明する。
 本実施形態の金属造形物の製造方法は、上述した構成を備える金属造形物の製造装置50を用いた金属造形物の製造方法である。以下、図3を参照して、第2の実施形態に係る金属造形物の製造方法について、具体的に説明する。
[0064]
 まず、本実施形態の金属造形物の製造方法では、金属粉末Mが封入された密閉容器40(図4参照)を、内部空間が不活性ガス雰囲気下にある搬送部53に収容する。この際、密閉容器40の開口面44を図4中下方向に向けた状態で、搬送部53に密閉容器40を収容する。
[0065]
 次に、密閉容器40を、搬送部53が有する開封装置によって不活性ガス雰囲気下にある搬送部53の内部空間で開封する。密閉容器40内の金属粉末Mは、重力の影響を受けて、搬送部53の内部空間から搬送部53の外部空間にある第1の供給槽22に搬送される。第1の供給槽22に搬送された金属粉末Mは、一時的に第1の供給槽22で貯蔵された後、供給経路23を経て第2の供給槽24に供給される。
[0066]
 次に、第2の供給槽24に供給された金属粉末Mを造形ステージ28が有する造形槽26に供給する。第2の供給槽24から造形槽26への金属粉末Mの供給は、例えば下記の様にして行われる。
 第2の供給槽24に供給された金属粉末Mは、一時的に第2の供給槽24で貯蔵された後、リコーター25によって、造形槽26に供給される。第2の供給槽24から造形槽26への金属粉末Mの供給は、リコーター25が図3中の右方向に移動しながら、リコーター25の先端25aから金属粉末Mを供給して行わる。
[0067]
 リコーター25が図3中の右方向に移動する際、金属粉末Mの上面が造形ステージ28の上面と一致するように、金属粉末Mの上面がリコーター25の先端25aによって平坦化され、金属粉末Mが造形槽26に敷き詰められる。
[0068]
 造形槽26に金属粉末Mが貯蔵された後、製造装置50はあらかじめ入力されたデータにしたがい、造形槽26に敷き詰められている金属粉末Mにレーザーを照射する。レーザーが照射されると、レーザーが照射された部分の金属粉末Mが焼結され、焼結層がレーザーの描画線に沿って任意の形状に造形される。焼結が終わると、昇降台27が下方に移動し、造形槽26に敷き詰められた金属粉末Mの上面が造形ステージ28の上面より下方に移動する。ここで、金属粉末Mの焼結層の厚さは、昇降台27の下降距離によって決定される。
[0069]
 次に、リコーター25が図3に示す位置に戻り、再度、造形槽26に金属粉末Mを供給しながら図3に示す右方向に移動する。この際、造形槽26に貯蔵された金属粉末Mの上面が造形ステージ28の上面と一致するように、金属粉末Mの上面がリコーター25の先端25aによって平坦化される。
[0070]
 金属粉末Mの上面が平坦化された後、レーザーを再度照射すると、すでに造形した焼結層の上方に新たな焼結層が任意の形状で造形されるとともに、新たに造形された焼結層が、すでに造形された焼結層の上方に積層される。
 このようにして造形部21では、造形ステージ28上におけるレーザーの照射と金属粉末Mの供給とを繰り返して金属造形物Xが造形される。
[0071]
 以上説明した第2の実施形態に係る金属造形物の製造方法は、第1の実施形態に係る金属造形物の製造方法と同様の作用効果を奏するほか、重力を利用して搬送部53から第1の供給槽22に金属粉末Mを搬送し、金属粉末Mを造形部ステージ28に供給できるため、第1の実施形態に係る金属造形物の製造方法に比べて操作を簡略化できる。
[0072]
 以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されない。また、本発明は特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が加えられてよい。
[0073]
 例えば、以上説明した実施形態に係る製造装置では、金属粉末をレーザーの照射によって焼結していたが、上述した製造装置は金属粉末をレーザー又は電子ビームの照射によって、溶融固化させる形態であってもよい。
[0074]

(参考例1)
 金属粉末として、チタン合金Ti6Al4V(Φ10~45μm)を使用した。粉末密閉容器として、一般的な樹脂製の容器を使用した。温度18~25℃、湿度35~70%の環境で保管した。
 未使用粉末および上記条件で一週間~五週間保管した粉末について酸素含有量を測定した。
[0075]
(測定方法)
 「酸素含有量[wt%]」は、金属粉末について、LECO社製酸素分析計TC-600を用いて測定した。
[0076]
(参考例2)
 比較例2では、粉末密閉容器として、図2に示す密閉容器30を使用した。材質はステンレス、乾燥剤として塩化カルシウムを用いた。内面はパシベート処理を行っている。その他の条件は、比較例1と同条件で金属粉末の酸素含有量測定を行った。
[0077]
 得られた測定結果を図5に示す。図5に示す参考例1および参考例2の結果より、通常容器を用いて金属粉末を保管した場合と比較して、容器30を用いて金属粉末を保管した場合、粉末の含有酸素量はより長期間にわたり一定に保たれることが確認された。これは、大気中の水分の吸着および酸化が抑制されたためであると考えられる。
 またこの結果から、容器30を用いて金属造形物製造装置内に金属粉末を供給した場合にも、同様の効果が得られ、造形物の品質にも一定の効果が見込める。

産業上の利用可能性

[0078]
 本発明によれば、金属粉末の流動性を損なうことなく、靱性及び耐割れ性に優れる金属造形物を製造できる金属造形物の製造装置及びその製造方法を提供できる。

符号の説明

[0079]
1…レーザー発振器、2…光学系、3,53…搬送部、4,21…造形部、5,28…造形ステージ、6,22…第1の供給槽、7,23…供給経路、8,24…第2の供給槽、9,26…造形槽、10,25…リコーター、11…凹部、12…第2の昇降台、13…第1の昇降台、20…金属造形物の製造装置、27…昇降台、30,40…密閉容器、31,41…パッキン材、32,42…ゲッター材、33,43…酸化被膜、M…金属粉末、X…金属造形物

請求の範囲

[請求項1]
 造形ステージに貯蔵された金属粉末を焼結して又は前記金属粉末を溶融固化させて金属の層を造形し、前記層を積層して金属造形物を製造する装置であって、
 金属粉末が封入された密閉容器を、不活性ガス雰囲気下にある内部空間に収容する搬送部と、
 前記密閉容器を前記内部空間で開封する開封装置と、
 前記密閉容器内の金属粉末を前記造形ステージに供給する供給装置と、
 を備えることを特徴とする、金属造形物の製造装置。
[請求項2]
 前記密閉容器が乾燥剤を有する、請求項1に記載の金属造形物の製造装置。
[請求項3]
 前記乾燥剤が塩化カルシウムである、請求項2に記載の金属造形物の製造装置。
[請求項4]
 前記密閉容器がステンレス製であるとともに、前記密閉容器の内面がパシベート処理されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の金属造形物の製造装置。
[請求項5]
 造形ステージに貯蔵された金属粉末を焼結して又は前記金属粉末を溶融固化させて金属の層を造形し、前記層を積層して金属造形物を製造する方法であって、
 金属粉末が封入された密閉容器を、内部空間が不活性ガス雰囲気下にある搬送部に収容し、
 前記密閉容器を前記内部空間で開封し、
 前記密閉容器内の金属粉末を前記造形ステージに供給することを特徴とする、金属造形物の製造方法。
[請求項6]
 前記密閉容器が乾燥剤を有する、請求項5に記載の金属造形物の製造方法。
[請求項7]
 前記乾燥剤が塩化カルシウムである、請求項6に記載の金属造形物の製造方法。
[請求項8]
 前記密閉容器がステンレス製であるとともに、前記密閉容器の内面がパシベート処理されている、請求項5~7のいずれか一項に記載の金属造形物の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]