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1. (WO2019064503) 電子ビーム装置、照明光学系、及びデバイス製造方法
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明 細 書

発明の名称 電子ビーム装置、照明光学系、及びデバイス製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015  

図面の簡単な説明

0016  

発明を実施するための形態

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228  

符号の説明

0229  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27   28   29   30   31   32   33   34   35   36   37   38   39   40   41   42   43   44   45   46   47   48   49   50   51   52   53   54   55   56   57  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27   28   29   30   31   32   33   34   35   36   37   38   39   40   41   42   43   44   45   46   47   48   49   50   51   52   53  

明 細 書

発明の名称 : 電子ビーム装置、照明光学系、及びデバイス製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、電子ビーム装置及びデバイス製造方法に係り、特に光電素子に光を照射するとともに、前記光電素子から発生する電子を電子ビームとしてターゲットに照射する電子ビーム装置、及び電子ビーム装置を用いるデバイス製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 近年、例えばArF光源を用いた液浸露光技術と、荷電粒子ビーム露光技術(例えば電子ビーム露光技術)とを相補的に利用するコンプリメンタリ・リソグラフィが、提案されている。コンプリメンタリ・リソグラフィでは、例えばArF光源を用いた液浸露光においてダブルパターニングなどを利用することで、単純なラインアンドスペースパターン(以下、適宜、L/Sパターンと略記する)を形成する。次いで、電子ビームを用いた露光を通じて、ラインパターンの切断、あるいはビアの形成を行う。
[0003]
 コンプリメンタリ・リソグラフィでは、例えば複数のブランキング・アパーチャを用いてビームのオン・オフを行うマルチビーム光学系を備えた電子ビーム露光装置を用いることができる(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、ブランキング・アパーチャ方式に限らず、電子ビーム露光装置の場合、改善すべき点が存在する。また、露光装置に限らず、電子ビームを用いてターゲットに対する加工若しくは処理、又は加工及び処理を行う装置、あるいは検査装置などでも、改善すべき点が存在する。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 米国特許公開第2015/0200074号公報

発明の概要

[0005]
 本発明の第1の態様によれば、光電素子に光を照射し、前記光電素子から発生する電子ビームをターゲットに照射する電子ビーム装置であって、
 第1面を照明する照明光学系と、
 前記第1面に配置された複数の反射素子を有し、前記照明光学系からの光で複数の光ビームを発生するパターンジェネレータと、
 前記パターンジェネレータからの前記複数の光ビームを前記光電素子の光電変換面に投影する投影光学系と、を備え、
 前記照明光学系は、照明瞳から第1方向に沿って射出される第1光束と、前記照明瞳から前記第1方向と異なる第2方向に沿って射出される第2光束とを集光する集光光学系を含み、前記照明光学系の光軸に対して法線が傾くように配置された前記第1面を斜入射照明し、
 前記集光光学系は、前記第1光束の光軸方向の集光位置と、前記第2光束の前記光軸方向の集光位置とを異ならせる集光点調整部材を有する電子ビーム装置が、提供される。
[0006]
 本発明の第2の態様によれば、光電素子に光を照射し、前記光電素子から発生する電子ビームをターゲットに照射する電子ビーム装置であって、
 第1面を照明する照明光学系と、
 前記第1面に配置された複数の反射素子を有し、前記照明光学系からの光で複数の光ビームを発生するパターンジェネレータと、
 前記パターンジェネレータからの前記複数の光ビームを前記光電素子の光電変換面に投影する投影光学系と、を備え、
 前記照明光学系は、前記第1面上の第1位置に達する第1光束と、前記第1面上の第2位置に達する第2光束とを集光する集光光学系を含み、前記照明光学系の光軸に対して法線が傾くように配置された前記第1面を斜入射照明し、
 前記集光光学系は、前記第1光束の光軸方向の集光位置と、前記第2光束の前記光軸方向の集光位置とを異ならせる集光点調整部材を有する電子ビーム装置が、提供される。
[0007]
 本発明の第3の態様によれば、光電素子に光を照射し、前記光電素子から発生する電子ビームをターゲットに照射する電子ビーム装置であって、
 第1面を照明する照明光学系と、
 前記第1面に配置された複数の反射素子を有し、前記照明光学系からの光で複数の光ビームを発生するパターンジェネレータと、
 前記パターンジェネレータからの前記複数の光ビームを前記光電素子の光電変換面に投影する投影光学系と、を備え、
 前記照明光学系は、照明瞳から第1方向に沿って射出される第1光束と、前記照明瞳から前記第1方向と異なる第2方向に沿って射出される第2光束とを集光する集光光学系を含み、
 前記集光光学系は、前記第1光束の光軸方向の集光位置と、前記第2光束の前記光軸方向の集光位置とを異ならせる集光点調整部材を有する電子ビーム装置が、提供される。
[0008]
 本発明の第4の態様によれば、光電素子に光を照射し、前記光電素子から発生する電子ビームをターゲットに照射する電子ビーム装置であって、
 第1面を照明する照明光学系と、
 前記第1面に配置された複数の反射素子を有し、前記照明光学系からの光で複数の光ビームを発生するパターンジェネレータと、
 前記パターンジェネレータからの前記複数の光ビームを前記光電素子の光電変換面に投影する投影光学系と、を備え、
 前記照明光学系は、前記投影光学系の光軸に対して法線が傾くように配置された前記第1面を斜入射照明する電子ビーム装置が、提供される。
[0009]
 本発明の第5の態様によれば、光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
 前記照明光学系の光軸に対して法線が傾くように配置された前記被照射面上の第1位置および第2位置に、照明瞳から第1方向に沿って射出される第1光束と、前記照明瞳から前記第1方向と異なる第2方向に沿って射出される第2光束とをそれぞれ集光する集光光学系を含み、
 前記集光光学系は、前記第1光束の光軸方向の集光位置と、前記第2光束の前記光軸方向の集光位置とを異ならせる集光点調整部材を備える照明光学系が、提供される。
[0010]
 本発明の第6の態様によれば、光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
 照明瞳から射出されて、前記照明光学系の光軸に対して法線が傾くように配置された前記被照射面上の第1位置に達する第1光束と、前記照明瞳から射出されて前記被照射面上の第2位置に達する第2光束とを集光する集光光学系を含み、
 前記集光光学系は、前記第1光束の光軸方向の集光位置と、前記第2光束の前記光軸方向の集光位置とを異ならせる集光点調整部材を備える照明光学系が、提供される。
[0011]
 本発明の第7の態様によれば、光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
 前記被照射面上の第1位置および第2位置に、照明瞳から第1方向に沿って射出される第1光束と、前記照明瞳から前記第1方向と異なる第2方向に沿って射出される第2光束とをそれぞれ集光する集光光学系を含み、
 前記集光光学系は、前記第1光束の光軸方向の集光位置と、前記第2光束の前記光軸方向の集光位置とを異ならせる集光点調整部材を備える照明光学系が、提供される。
[0012]
 本発明の第8の態様によれば、光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
 照明瞳から射出されて、前記被照射面上の第1位置に達する第1光束と、前記照明瞳から射出されて前記被照射面上の第2位置に達する第2光束とを集光する集光光学系を含み、
 前記集光光学系は、前記第1光束の光軸方向の集光位置と、前記第2光束の前記光軸方向の集光位置とを異ならせる集光点調整部材を備える照明光学系が、提供される。
[0013]
 本発明の第9の態様によれば、光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
 前記光源からの光の光路中に並列的に配置された複数の波面分割要素を有し、第1方向に細長い複数の光源像を照明瞳に形成するオプティカルインテグレータと、
 前記複数の光源像からの光束を前記被照射面に集光する集光光学系と、を備え、
 前記被照射面において前記第1方向と直交する第2方向に干渉縞を形成することにより、前記第1方向に細長い矩形状の照野を前記第2方向に間隔を隔てて複数形成する照明光学系が、提供される。
[0014]
 本発明の第10の態様によれば、第5の態様、第6の態様、第7の態様、第8の態様、または第9の態様の照明光学系と、
 個別に制御可能な複数の反射素子を有するパターンジェネレータと、
 前記複数の反射素子が配置された受光面と光電素子の光電変換面とを光学的に共役に配置する投影光学系と、を備え、
 前記照明光学系により前記被照射面に配置された前記受光面を斜入射照明し、前記投影光学系を介して前記受光面からの光を前記光電素子に照射して、前記光電素子から発生する電子ビームをターゲットに照射する電子ビーム装置が、提供される。
[0015]
 本発明の第11の態様によれば、リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、
 前記リソグラフィ工程は、ターゲット上にラインアンドスペースパターンを形成することと、
 第1の態様、第2の態様、第3の態様、第4の態様、または第10の態様の電子ビーム装置を用いて、前記ラインアンドスペースパターンを構成するラインパターンの切断を行うことと、を含むデバイス製造方法が、提供される。

図面の簡単な説明

[0016]
[図1] 第1の実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。
[図2] 図1の電子ビーム光学ユニットを断面して示す斜視図である。
[図3] 電子ビーム光学ユニットを示す縦断面である。
[図4] 図4(A)~(C)は、光電カプセルの構成及び光電カプセルメーカーの工場内での蓋部材の本体部に対する装着の手順を説明するための図(その1~その3)である。
[図5] 電子ビーム光学ユニットの組み立て手順の一部について説明するための図(その1)である。
[図6] 電子ビーム光学ユニットの組み立て手順の一部について説明するための図(その2)である。
[図7] 電子ビーム光学ユニットの組み立て手順の一部について説明するための図(その3)である。
[図8] 図8(A)は光電カプセルに設けられた光電素子を示す一部省略した縦断面図、図8(B)は光電素子を示す一部省略した平面図である。
[図9] 蓋収納プレートを示す一部省略した平面図である。
[図10] 光学ユニット内の複数のパターン投射装置を、電子ビーム光学ユニットとともに示す図である。
[図11] 図11(A)は、+X方向から見た光照射装置の構成を示す図、図11(B)は、-Y方向から見た光照射装置の構成を示す図である。
[図12] 図12(A)は、光回折型ライトバルブを示す斜視図、図12(B)は、光回折型ライトバルブを示す側面図である。
[図13] パターンジェネレータを示す平面図である。
[図14] 図14(A)は、+X方向から見た電子ビーム光学系の構成を示す図、図14(B)は、-Y方向から見た電子ビーム光学系の構成を示す図である。
[図15] 図15(A)~図15(C)は、第1静電レンズによるX軸方向及びY軸方向に関する縮小倍率の補正について説明するための図である。
[図16] ベースプレートに吊り下げ状態で支持された45の電子ビーム光学系の外観を示す斜視図である。
[図17] パターンジェネレータの受光面上でのレーザビームの照射領域と、光電素子の面上でのレーザビームの照射領域と、像面(ウエハ面)上での電子ビームの照射領域(露光領域)との対応関係を示す図である。
[図18] 露光装置の制御系を主として構成する主制御装置の入出力関係を示すブロック図である。
[図19] 正方形フィールドと比べた矩形フィールドのメリットについて説明するための図である。
[図20] 図20(A)及び図20(B)は、光学系起因のブラー及びレジストブラーによって生じるカットパターンの形状変化(4隅の丸まり)の補正について説明するための図である。
[図21] 図21(A)及び図21(B)は、複数の電子ビーム光学系に共通のディストーションの補正について説明するための図である。
[図22] バックアップ用のリボン列を有するパターンジェネレータの一例を示す平面図である。
[図23] 図23(A)及び図23(B)は、補正用のリボン列について説明するための図である。
[図24] 図24(A)~図24(D)は、光学パターン形成ユニットの種々のタイプの構成例を示す図である。
[図25] 図25(A)は、アパーチャを使用しない方式を示す説明図、図25(B)は、アパーチャを使用する方式を示す説明図である。
[図26] 第2の実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。
[図27] 第2の実施形態に係る露光装置の1つの電子ビーム光学系に対応する、筐体の内部の構成を示す図である。
[図28] 図28(A)~図28(E)は、アパーチャ一体型光電素子の種々の構成例を示す図である。
[図29] 図29は、電子ビーム光学系が収差として有する像面湾曲を補償する方法について説明するための図である。
[図30] 1列置きにピッチが異なるアパーチャ列が形成されたマルチピッチ型のアパーチャ一体型光電素子の一例を示す図である。
[図31] 図31(A)~図31(C)は、図30のアパーチャ一体型光電素子を用いてピッチが異なるラインパターンの切断用のカットパターンを形成する手順を示す図である。
[図32] 図32(A)は、アパーチャ別体型光電素子の構成の一例について説明するための図、図32(B)~図32(E)は、アパーチャ板の種々の構成例を示す図である。
[図33] 第1のタイプの構成にしたがう投影光学系の構成を概略的に示す図である。
[図34] 第2のタイプの構成にしたがう投影光学系の構成を概略的に示す図である。
[図35] 第1および第2のタイプの構成においてコマ収差が発生することを説明する図である。
[図36] 第1および第2のタイプの構成においてコマ収差を補正する第1の手法を説明する図である。
[図37] 第1および第2のタイプの構成においてコマ収差を補正する第2の手法を説明する図である。
[図38] 第3のタイプの構成にしたがう投影光学系の構成を概略的に示す図である。
[図39] 第4のタイプの構成にしたがう投影光学系の構成を概略的に示す図である。
[図40] 波面分割型のオプティカルインテグレータを用いた照明光学系の基本構成を概略的に示す図である。
[図41] 図40の照明光学系により被照射面に形成される照度分布を概略的に示す図である。
[図42] 回折光学素子を用いた照明光学系の基本構成を概略的に示す図である。
[図43] 図40に示す照明光学系において被照射面が光軸に対して非垂直な場合に発生する不都合を説明する図である。
[図44] 図40に示す照明光学系において集光点調整部材として楔プリズムを用いる構成例を概略的に示す図である。
[図45] (a)および(b)は直角三角形状の楔プリズムの作用を説明する図である。
[図46] 集光点調整部材として段差板を用いる構成例を概略的に示す図である。
[図47] 集光点調整部材として偏心配置されたフーリエ変換光学系を用いる構成例を概略的に示す図である。
[図48] 楔プリズムに起因して発生する収差を補正する第1の収差補正部材について説明する図である。
[図49] 楔プリズムに起因して発生する収差を補正する第2の収差補正部材について説明する図である。
[図50] V字折り曲げタイプにしたがって第1~第3タイプの投影光学系を照明光学系に接続した様子を概略的に示す図である。
[図51] V字折り曲げタイプにしたがって第4タイプの投影光学系を照明光学系に接続した様子を概略的に示す図である。
[図52] N字折り曲げタイプにしたがって第1~第3タイプの投影光学系を照明光学系に接続した様子を概略的に示す図である。
[図53] N字折り曲げタイプにしたがって第4タイプの投影光学系を照明光学系に接続した様子を概略的に示す図である。

発明を実施するための形態

[0017]
《第1の実施形態》
 以下、第1の実施形態について、図1~図25に基づいて説明する。図1には、第1の実施形態に係る露光装置100の構成が概略的に示されている。露光装置100は、後述するように複数の電子ビーム光学系を備えているので、以下、電子ビーム光学系の光軸に平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で後述する露光時にウエハWが移動される走査方向をY軸方向とし、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向とし、X軸、Y軸及びZ軸回りの回転(傾斜)方向を、それぞれθx、θy及びθz方向として、説明を行う。
[0018]
 露光装置100は、クリーンルームの床面F上に設置されたステージチャンバ10と、ステージチャンバ10の内部の露光室12内に配置されたステージシステム14と、床面F上でフレーム16に支持され、ステージシステム14の上方に配置された光学システム18と、を備えている。
[0019]
 ステージチャンバ10は、図1では、X軸方向の両端部の図示が省略されているが、その内部を真空引き可能な真空チャンバである。ステージチャンバ10は、床面F上に配置されたXY平面に平行な底壁10aと、ステージチャンバ10の上壁(天井壁)を兼ねる前述のフレーム16と、底壁10aの周囲を取り囲むとともに、フレーム16を下方から水平に支持する周壁10b(図1ではそのうちの+Y側部分の一部のみ図示)とを備えている。フレーム16及び底壁10aは、ともに平面視矩形の板部材から成り、フレーム16にはその中央部の近傍に平面視円形の開口16aが形成されている。開口16a内に光学システム18の外観が段付き円柱状の電子ビーム光学ユニット18Aの筐体19の直径が小さい第2部分19bが上方から挿入され、筐体19の直径が大きい第1部分19aが、その開口16aの周囲のフレーム16の上面に下方から支持されている。図示は省略されているが、開口16aの内周面と、筐体19の第2部分19bとの間は、シール部材によってシールされている。ステージチャンバ10の底壁10a上にステージシステム14が配置されている。
[0020]
 ステージシステム14は、底壁10a上に複数の防振部材20を介して支持された定盤22と、定盤22上で重量キャンセル装置24に支持され、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ所定のストローク、例えば50mmで移動可能であるとともに、残りの4自由度方向(Z軸、θx、θy及びθz方向)に微動可能なウエハステージWSTと、ウエハステージWSTを駆動するステージ駆動系26(図1ではそのうちの一部のみ図示、図18参照)と、ウエハステージWSTの6自由度方向の位置情報を計測する位置計測系28(図1では不図示、図18参照)と、を備えている。ウエハステージWSTは、その上面に設けられた不図示の静電チャックを介してウエハWを吸着し、保持している。
[0021]
 ウエハステージWSTは、図1に示されるように、XZ断面矩形枠状の部材から成り、その内部(中空部)の底面上にYZ断面矩形枠状のヨークと磁石(不図示)とを有するモータ30の可動子30aが一体的に固定され、その可動子30aの内部(中空部)にY軸方向に延びるコイルユニットから成るモータ30の固定子30bが挿入されている。固定子30bは、その長手方向の両端が、定盤22上でX軸方向に移動する不図示のXステージに接続されている。Xステージは、磁束漏れが生じない一軸駆動機構、例えばボールねじを用いた送りねじ機構によって構成されるXステージ駆動系32(図18参照)によって、ウエハステージWSTと一体でX軸方向に所定ストロークで駆動される。なお、Xステージ駆動系32を、駆動源として超音波モータを備えた一軸駆動機構によって構成しても良い。いずれにしても、磁束漏れに起因する磁場変動が電子ビームの位置決めに与える影響は無視できるレベルである。
[0022]
 モータ30は、可動子30aを固定子30bに対して、Y軸方向に所定ストローク、例えば50mmで移動可能で、かつX軸方向、Z軸方向、θx方向、θy方向及びθz方向に微小駆動可能な閉磁界型かつムービングマグネット型のモータである。本実施形態では、モータ30によってウエハステージWSTを6自由度方向に駆動するウエハステージ駆動系が構成されている。以下、ウエハステージ駆動系をモータ30と同一の符号を用いて、ウエハステージ駆動系30と表記する。
[0023]
 Xステージ駆動系32とウエハステージ駆動系30とによって、ウエハステージWSTをX軸方向及びY軸方向にそれぞれ所定のストローク、例えば50mmで駆動するとともに、残りの4自由度方向(Z軸、θx、θy及びθz方向)に微小駆動する前述のステージ駆動系26が構成されている。Xステージ駆動系32及びウエハステージ駆動系30は、主制御装置110によって制御される(図18参照)。
[0024]
 モータ30の上面及びX軸方向の両側面を覆う状態でXZ断面逆U字状の磁気シールド部材(不図示)が、不図示のXステージのX軸方向の両端部に設けられた一対の凸部間に架設されている。この磁気シールド部材は、可動子30aの固定子30bに対する移動を妨げることがない状態で、ウエハステージWSTの中空部内に挿入されている。磁気シールド部材は、モータ30の上面及び側面を、可動子30aの移動ストロークの全長に渡って覆っており、かつXステージに固定されているので、ウエハステージWST及びXステージの移動範囲の全域で、上方(後述する電子ビーム光学系側)への磁束の漏れをほぼ確実に防止することができる。
[0025]
 重量キャンセル装置24は、ウエハステージWST下面に上端が接続された金属製のベローズ型空気ばね(以下、空気ばねと略記する)24aと、空気ばね24aの下端に接続された平板状の板部材から成るベーススライダ24bと、を有している。ベーススライダ24bには、空気ばね24a内部の空気を、定盤22の上面に噴き出す軸受部(不図示)が設けられ、軸受部から噴出される加圧空気の軸受面と定盤22上面との間の静圧(隙間内圧力)により、重量キャンセル装置24、ウエハステージWST(可動子30aを含む)及びウエハWの自重が支持されている。なお、空気ばね24aには、ウエハステージWSTに接続された不図示の配管を介して圧縮空気が供給されている。ベーススライダ24bは、一種の差動排気型の空気静圧軸受を介して定盤22上に非接触で支持され、軸受部から定盤22に向かって噴出された空気が、周囲に(露光室内に)漏れ出すことが防止されている。なお、実際には、ウエハステージWSTの底面には、空気ばね24aをY軸方向に挟んで一対のピラーが設けられ、ピラーの下端に設けられた板ばねが空気ばね24aに接続されている。
[0026]
 光学系システム18は、前述したように、フレーム16に保持された電子ビーム光学ユニット18Aと、電子ビーム光学ユニット18Aの上に搭載された光学ユニット18Bと、を備えている。
[0027]
 図2には、電子ビーム光学ユニット18Aが断面して斜視図にて示されている。また、図3には、電子ビーム光学ユニット18Aの縦断面図が示されている。これらの図に示されるように、電子ビーム光学ユニット18Aは、上側の第1部分19aと下側の第2部分19bとを有する筐体19を備えている。
[0028]
 筐体19の第1部分19aは、図2から明らかなように、その外観は、高さの低い円柱状である。第1部分19aの内部には、例えば図1及び図3に示されるように、第1の真空室34が形成されている。第1の真空室34は、図1等に示されるように、上壁(天井壁)を構成する平面視円形の板部材から成る第1プレート36、第1プレート36と同じ直径の板部材から成り、底壁を構成する第2プレート(以下、ベースプレートと呼ぶ)38、及び第1プレート36とベースプレート38の周囲を取り囲む円筒状の側壁部40、等から区画されている。
[0029]
 第1プレート36には、図3などに示されるように、平面視円形の上下方向の貫通孔36aがXY2次元方向に所定間隔で複数、ここでは、一例として7行7列のマトリクスの4隅を除く配置で、45(=7×7-4)個形成されている。これら45個の貫通孔36aには、図3に示されるように、次に説明する光電カプセルの本体部52がほぼ隙間がない状態で上方から挿入されている。
[0030]
 光電カプセル50は、図4(A)、図5に示されるように、一端面(図4(A)における下端面)側に開口52cが形成され、内部に中空部52bを有する円柱状で、他端(図4(A)における上端)にフランジ部52aが設けられた本体部52と、開口52cを閉塞可能な蓋部材64と、を備える。中空部52bは、本体部52の下端面から所定深さで丸穴を形成し、さらにその丸穴の底面に略円錐状の凹部を形成して得られるような形状の中空部である。フランジ部52aを含む本体部52の上面は、平面視正方形であり、その正方形の中心は、中空部52bの中心軸に一致している。本体部52の上面には、その中心部に光電素子54が設けられている。光電素子54は、光電素子54の一部を示す、図8(A)の縦断面図に示されるように、真空隔壁を兼ねる本体部52の最上面を形成する透明の板部材(例えば石英ガラス)56と、その板部材56の下面に例えば蒸着されたクロムなどから成る遮光膜(アパーチャ膜)58と、板部材56及び遮光膜58の下面側に成膜されたアルカリ光電膜(光電変換膜)の層(アルカリ光電変換層(アルカリ光電層))60と、を含む。遮光膜58には、多数のアパーチャ58aが形成されている。図8(A)には、光電素子54の一部のみが示されているが、実際には、遮光膜58には、所定の位置関係で多数のアパーチャ58aが形成されている(図8(B)参照)。アパーチャ58aの数は、後述するマルチビームの数と同一であっても良いし、マルチビーム数より多くても良い。アルカリ光電層60は、アパーチャ58aの内部にも配置され、アパーチャ58aにおいて板部材56とアルカリ光電層60が接触している。本実施形態では、板部材56、遮光膜58及びアルカリ光電層60が一体的に形成され、光電素子54の少なくとも一部を形成している。
[0031]
 アルカリ光電層60は、2種類以上のアルカリ金属を用いたマルチアルカリフォトカソードである。マルチアルカリフォトカソードは、耐久性が高く、波長が500nm帯の緑色光で電子発生が可能で、光電効果の量子効率QEが10%程度と高いとされるのが特長のフォトカソードである。本実施形態では、アルカリ光電層60は、レーザ光による光電効果によって電子ビームを生成する一種の電子銃として用いられるので、変換効率が10[mA/W]の高効率のものが用いられている。なお、光電素子54では、アルカリ光電層60の電子放出面は、図8(A)における下面、すなわち板部材56の上面とは反対側の面である。
[0032]
 本体部52の平面視円環状の下端面には、図4(A)等に示されるように、所定深さの平面視円環状の凹溝が形成され、その凹溝内にシール部材の一種であるOリング62がその一部が凹溝内に収納される状態で取付けられている。
[0033]
 蓋部材64は、本体部52の下端面の外周縁(輪郭)と同様の平面視円形の板部材から成り、後述するようにして真空中で取り外されるが、その前の状態では、本体部52に装着され、本体部52の開口端を閉塞している(図5参照)。すなわち、蓋部材64によって閉塞された本体部52の内部の閉空間(中空部52b)は真空空間になっているため、蓋部材64は、蓋部材64に作用する大気圧によって本体部52に圧着されている。
[0034]
 なお、光電カプセルのメーカーで製造された光電カプセルの搬送中を含む、露光装置メーカーで蓋部材が開放されるまでの、一連の流れについては、後に詳述する。
[0035]
 電子ビーム光学ユニット18Aの説明に戻り、図5に示されるように、第1の真空室34の内部には、一対の真空対応のアクチュエータ66によって、X軸、Y軸及びZ軸方向の3方向に駆動される蓋収納プレート68が収納されている。蓋収納プレート68には、図5に示されるように、45個の光電カプセル50の配置に対応する配置で、45の所定深さの丸穴68aが上面に形成され、各丸穴68aの内部底面には、円形の貫通孔68bが形成されている。なお、丸穴68aの数は、光電カプセル50の数と同じでなくても良い。また、丸穴68aを設けずに、蓋収納プレート68で蓋部材64を支持しても良い。
[0036]
 蓋収納プレート68には、さらに、蓋収納プレート68の一部省略した平面図である図9に示されるように、丸穴68aと丸穴68aとの間に最終的に電子ビームの光路(電子ビームの通路と呼んでも良い)となる円形開口68cが形成されている。なお、蓋収納プレート68が電子ビームの通路から待避可能であれば、開口68cを設けなくても良い。
[0037]
 ベースプレート38には、図3などに示されるように、45個の光電カプセル50の本体部52それぞれの中心軸上にその中心が位置する45個の所定深さの凹部38aが形成されている。これらの凹部38aは、ベースプレート38の上面から下面より所定深さを有し、その内部底面には、絞り部として機能する貫通孔38bが形成されている。以下では、貫通孔38bを絞り部38bとも呼ぶ。絞り部38bについてはさらに後述する。
[0038]
 ベースプレート38の下面には、45個の光電カプセル50の本体部52それぞれの中心軸上にその光軸AXeが位置する45本の電子ビーム光学系70が吊り下げ状態で固定されている。なお、電子ビーム光学系70の支持はこれに限定されず、例えば45本の電子ビーム光学系70をベースプレート38とは異なる支持部材で支持し、その支持部材を、筐体19の第2部分19bで支持しても良い。電子ビーム光学系70については、後にさらに詳述する。
[0039]
 筐体19の第2部分19bは、図1及び図2から明らかなように、その外観は、第1部分に比べて直径が小さく、高さが幾分高い円柱状である。第2部分19bの内部には、45個の電子ビーム光学系70をその内部に収容する第2の真空室72(図1及び図3参照)が形成されている。第2の真空室72は、図1及び図2に示されるように、上壁(天井壁)を構成する前述のベースプレート38と、底壁を構成する平面視円形の薄板状のクーリングプレート74と、クーリングプレート74の直径とほぼ同一の外径を有し、クーリングプレート74の下端面に固定された円筒状の周壁部76と、によって区画されている。周壁部76の上面がベースプレート38の下面に固定されることで、第1部分19aと第2部分19bとが一体化され、これによって筐体19が構成されている。クーリングプレート74は、冷却機能に加えて後述するフォギングを抑制する機能を備えている。
[0040]
 第1の真空室34と第2の真空室72とは、それぞれの内部を真空引きすることが可能である(図2における白抜き矢印参照)。なお、第1の真空室34を真空引きする第1真空ポンプとは別に、第2の真空室72を真空引きする第2真空ポンプを備えても良いし、共通の真空ポンプを使って第1の真空室34と第2の真空室72を真空引きしても良い。また、第1の真空室34の真空度と第2の真空室72の真空度が異なっていても良い。また、メンテナンスなどのために、第1の真空室34と第2の真空室72の一方を大気圧空間にし、他方を真空空間にしても良い。本実施形態においては、絞り部38bを設けて第1の真空室34の真空度と第2の真空室72の真空度を異ならせることができるが、絞り部38bなどを設けずに、第1の真空室32と第2の真空室72とが実質的に一つの真空室となるようにしても良い。
[0041]
 光学ユニット18Bは、図1に示されるように、電子ビーム光学ユニット18Aの上に搭載された鏡筒(筐体)78と、鏡筒78内に収納された45の光照射装置(光学系と呼ぶこともできる)80と、を備えている。45の光照射装置80は、45個の光電カプセル50の本体部52のそれぞれに対応する配置でXY平面内で配置されている。鏡筒78内部は、大気圧空間である。
[0042]
 45の光照射装置80のそれぞれは、45個の光電カプセル50(光電素子54)に対応して設けられ、光照射装置80からの少なくとも一つの光ビームが光電素子54のアパーチャ58aを介してアルカリ光電層(以下、光電層と略記する)60に照射される。なお、光照射装置80の数と光電カプセル50の数とは等しくなくても良い。
[0043]
 45の光照射装置80のそれぞれは、例えば、図10に示されるように、照明系82と、パターニングされた光を発生するパターンジェネレータ84と、投影光学系86と、を有する。パターンジェネレータ84は、所定方向へ進行する光の振幅、位相及び偏光の状態を空間的に変調して射出する空間光変調器と称しても良い。パターンジェネレータ84は、例えば明暗パターンからなる光学パターンを発生することができる。
[0044]
 図11(A)及び図11(B)には、光照射装置80の構成の一例が、対応する光電カプセル50の本体部52とともに示されている。このうち、図11(A)は、+X方向から見た構成を示し、図11(B)は、-Y方向から見た構成を示す。図11(A)及び図11(B)に示されるように、照明系82は、照明光(レーザ光)LBを発生する光源部82aと、その照明光LBを、1又は2以上のX軸方向に長い断面矩形状のビームに成形する成形光学系82bと、を有する。
[0045]
 光源部82aは、光源としての可視光又は近傍の波長、例えば波長365nmのレーザ光を連続発振するレーザダイオード88と、このレーザ光の光路上に配置されたAO偏向器(AOD又は光偏向素子とも呼ばれる)90とを含む。AO偏向器90は、ここでは、スイッチング素子として機能し、レーザ光を間欠発光化するのに用いられる。すなわち、光源部82aは、波長365nmのレーザ光(レーザビーム)LBを間欠的に発光可能な光源部である。なお、光源部82aの発光のデューティ比は、例えばAO偏光器90を制御することにより変更可能である。スイッチング素子としては、AO偏光器には限定されず、AOM(音響光学変調素子)であっても良い。なお、レーザダイオード88自体を間欠的に発光させても良い。
[0046]
 成形光学系82bは、光源部82aからのレーザビーム(以下、適宜、ビームと略記する)LBの光路上に順次配置された回折光学素子(DOEとも呼ばれる)92、照度分布調整素子94及び集光レンズ96を含む。
[0047]
 回折光学素子92は、AO偏向器90からのレーザビームが入射すると、そのレーザビームが、回折光学素92の射出面側の所定面において、Y軸方向に所定間隔で並ぶX軸方向に長い複数の矩形状(本実施形態では細長いスリット状)の領域で光強度が大きい分布を持つように、レーザビームの面内強度分布を変換する。本実施形態では、回折光学素子92は、AO偏向器90からのレーザビームの入射により、Y軸方向に所定間隔で並ぶX軸方向に長い複数の断面矩形状のビーム(スリット状のビーム)を生成する。本実施形態では、詳細は後述するが、パターンジェネレータ84の構成に合わせた数のスリット状のビームを生成する。なお、レーザビームの面内強度分布を変換する素子としては、回折光学素子には限定されず、屈折光学素子や反射光学素子であっても良く、空間光変調器であっても良い。
[0048]
 照度分布調整素子94は、パターンジェネレータ84に複数のビームが照射された際に、パターンジェネレータ84の受光面を複数に分割した個々の分割領域において、分割領域毎に照度を個別に調整できるようにするものである。本実施形態では、照度分布調整素子94としては、印加電圧に応じて屈折率が変化する非線形光学効果を有する結晶、例えばリチウムタンタレート(タンタル酸リチウム(略称:LT)単結晶)を複数XY平面に平行な面内で並べ、その入射側と出射側に偏光子を配置して構成される素子が用いられる。本実施形態では、図11(A)の円内に模式的に示されるように、一例として1mmピッチでXY平面内で例えば2行12列のマトリクス状に24個のリチウムタンタレートの結晶94aが配置された照度分布調整素子94が用いられる。符号94bは、電極を示す。かかる構成の照度分布調整素子94によると、出射側の偏光子は所定の偏光成分のみを通過させるので、入射側の偏光子を介して結晶に入射した光の偏光状態を変化させる、例えば直線偏光から円偏光へ変化させることで、出射側の偏光子から射出される光の強度を変化させることができる。この場合において、偏光状態の変化は、結晶に対する印加電圧を制御することで可変にできる。したがって、個々の結晶に対する印加電圧を制御することで、個々の結晶に対応する領域(図13の二点鎖線で囲まれた領域)毎の照度の調整が可能になる(図11(A)参照)。照度分布調整素子94は、リチウムタンタレートに限らず、リチウムナイオベート(ニオブ酸リチウム(略称:LN)単結晶)などの他の光強度変調結晶(電気光学素子)を用いて構成することもできる。なお、パターンジェネレータ84、あるいはパターンジェネレータ84と光電素子54との間に配置された光学部材を使って、光電素子54に照射される少なくとも一つの光ビームの強度を調整できる場合には、照度分布調整素子94を設けなくても良い。なお、照度分布調整素子94として、射出する光の振幅、位相及び偏光の状態を空間的に変調する空間光変調器、一例としては透過型液晶素子や反射型液晶素子などを用いても良い。
[0049]
 本実施形態では、後述するように、パターンジェネレータ84として、反射型の空間光変調器が用いられているため、集光レンズ96下方の光射出側には光路折り曲げ用のミラー98が配置されている。集光レンズ96は、回折光学素子92で生成された複数の断面矩形状(スリット状)のビームをY軸方向に関して集光し、ミラー98に照射する。集光レンズ96としては、例えばX軸方向に長いシリンドリカルレンズなどを用いることができる。なお、集光レンズ96は複数のレンズで構成されていても良い。集光レンズの代わりに、集光ミラー等の反射光学部材や回折光学素子を用いても良い。また、ミラー98は、平面鏡に限定されず、曲率を持った形状であっても良い。ミラー98が曲率を有する(有限の焦点距離を有する)場合、集光レンズ96の機能も兼用できる。
[0050]
 ミラー98は、XY平面に対して所定角度でに配置され、照射された複数のスリット状のビームを図11(A)における左斜め上方向に反射する。
[0051]
 パターンジェネレータ84は、ミラー98によって反射された複数のスリット状のビームの反射光路上に配置されている。詳述すると、パターンジェネレータ84は、Z軸方向に関して、集光レンズ96とミラー98との間に配置された回路基板102の-Z側の面に配置されている。ここで、回路基板102には、図11(A)に示されるように、集光レンズ96からミラー98に向かう複数のスリット状のビームの光路となる開口102aが形成されている。
[0052]
 本実施形態では、パターンジェネレータ84は、プログラマブルな空間光変調器の一種である光回折型ライトバルブ(GLV(登録商標))によって構成されている。光回折型ライトバルブGLVは、図12(A)及び図12(B)に示されるように、シリコン基板(チップ)84a上に「リボン」と呼ばれるシリコン窒化膜の微細な構造体(以下、リボンと称する)84bを数千個の規模で形成した空間光変調器である。
[0053]
 GLVの駆動原理は、次のとおりである。
[0054]
 リボン84bのたわみを電気的に制御することにより、GLVはプログラム可能な回折格子として機能し、高解像度、ハイスピード(応答性250kHz~1MHz)、高い正確さで、調光、変調、レーザ光のスイッチングを可能にする。GLVは微小電気機械システム(MEMS)に分類される。リボン84bは、硬度、耐久性、化学安定性において強固な特性を持つ高温セラミックの一種である、非晶質シリコン窒化膜(Si )から作られている。各リボンの幅は2~4μmで、長さは100~300μmである。リボン84bはアルミ薄膜で覆われており、反射板と電極の両方の機能を合わせ持つ。リボンは、共通電極84cを跨いで張られており、ドライバ(図12(A)及び図12(B)では不図示)から制御電圧がリボン84bに供給されると、静電気により基板84a方向にたわむ。制御電圧が無くなると、リボン84bは、シリコン窒化膜固有の高い張力により元の状態に戻る。すなわち、リボン84bは、可動反射素子の一種である。
[0055]
 GLVには、電圧の印加により位置が変化するアクティブリボンと、グランドに落ちていて位置が普遍のバイアスリボンとが交互に並んだタイプと、全てがアクティブリボンであるタイプとがあるが、本実施形態では後者のタイプが用いられている。
[0056]
 本実施形態では、リボン84bが-Z側に位置し、シリコン基板84aが+Z側に位置する状態で、図11(A)等に示される回路基板102の-Z側の面にGLVから成るパターンジェネレータ84が取付けられている。回路基板102には、リボン84bに制御電圧を供給するためのCMOSドライバ(不図示)が設けられている。以下の説明では、便宜上、CMOSドライバを含んでパターンジェネレータ84と呼ぶ。
[0057]
 本実施形態で用いられるパターンジェネレータ84は、図13に示されるように、リボン84bを、例えば6000個有するリボン列85が、その長手方向(リボン84bの並ぶ方向)をX軸方向として、Y軸方向に所定の間隔で例えば12列、シリコン基板上に形成されている。各リボン列85のリボン84bは、共通電極の上に張られている。本実施形態では、一定レベルの電圧の印加と印加の解除とにより、主としてレーザ光のスイッチング(オン・オフ)のために、各リボン84bは、駆動される。ただし、GLVは、印加電圧に応じて回折光強度の調節が可能なので、後述するようにパターンジェネレータ84からの複数のビームの少なくとも一部の強度の調整が必要な場合などには、印加電圧が微調整される。例えば、各リボンに同じ強度の光が入射した場合に、異なる強度を持つ複数の光ビームをパターンジェネレータ84から発生することができる。
[0058]
 本実施形態では、回折光学素子92でスリット状のビームが12本生成され、この12本のビームが、照度分布調整素子94a、集光レンズ96、及びミラー98を介して、各リボン列85の中央にX軸方向に長いスリット状のビームLBが照射される。本実施形態においては、各リボン84bに対するビームLBの照射領域は、正方形領域となる。なお、各リボン84bに対するビームLBの照射領域は、正方形領域でなくても良い。X軸方向に長い、あるいはY軸方向に長い矩形領域であっても良い。本実施形態においては、12本のビームのパターンジェネレータ84の受光面上での照射領域(照明系82の照射領域)は、X軸方向の長さがSmm、Y軸方向の長さがTmmの矩形の領域とも言える。
[0059]
 各リボン84bは独立制御可能となっているので、パターンジェネレータ84で発生される断面正方形のビームの本数は、6000×12=72000本であり、72000本のビームのスイッチング(オン・オフ)が可能である。本実施形態では、パターンジェネレータ84で発生される72000本のビームを、個別に照射可能となるように、光電カプセル50の光電素子54の遮光膜58には、72000個のアパーチャ58aが形成されている。なお、アパーチャ58aの数は、例えばパターンジェネレータ84が照射可能なビームの数と同じでなくてもよく、72000本のビーム(レーザビーム)のそれぞれが対応するアパーチャ58aを含む光電素子54(遮光膜58)上の領域に照射されれば良い。すなわち、光電素子54上の複数のアパーチャ58aそれぞれのサイズが、対応するビームの断面のサイズより小さければ良い。なお、パターンジェネレータ84が有する可動素子(リボン84b)の数と、パターンジェネレータ84で発生するビームの本数とは異なっていても良い。例えば、電圧の印加により位置が変化するアクティブリボンと、グランドに落ちていて位置が普遍のバイアスリボンとが交互に並んだタイプを用いて、複数(2つ)の可動素子(リボン)によって1本のビームのスイッチングを行っても良い。また、パターンジェネレータ84の数と光電カプセル50の数とは等しくなくても良い。
[0060]
 投影光学系86は、図11(A)及び図11(B)に示されるように、パターンジェネレータ84からの光ビームの光路上に順次配置されたレンズ86a、86bを含む対物レンズを有する。レンズ86aとレンズ86bとの間には、フィルタ86cが配置されている。投影光学系86の投影倍率は、例えば約1/4である。以下では、アパーチャ58aは、矩形であるものとするが、正方形であっても良いし、多角形、楕円など、他の形状であっても良い。ここで、各レンズ86a、86bは、それぞれが複数のレンズで構成されていても良い。また、投影光学系は、屈折型光学系には限定されず、反射型光学系や反射屈折型光学系であっても良い。
[0061]
 本実施形態においては、投影光学系86は、パターンジェネレータ84からの光を光電素子54に投射することで、複数、ここでは72000個のアパーチャ58aの少なくとも一つ通過した光ビームが光電層60に照射してされる。すなわち、パターンジェネレータ84からのオンとされたビームは、対応するアパーチャ58aを介して光電層60に照射され、オフとされたビームは、対応するアパーチャ58a及び光電層60へ照射されない。なお、パターンジェネレータ84からの光の像が、例えば光電層60上(板部材56の下面、あるいはその近傍面)に結像する場合には、投影光学系86を結像光学系とも呼ぶことができる。
[0062]
 投影光学系86には、図10に示されるように、投影光学系86の光学特性を調整可能な光学特性調整装置87が、設けられている。光学特性調整装置87は、本実施形態では投影光学系86を構成する一部の光学素子、例えばレンズ86aを、動かすことで、少なくともX軸方向の投影倍率(倍率)の変更が可能である。光学特性調整装置87として、例えば投影光学系86を構成する複数のレンズ間に形成される気密空間の気圧を変更する装置を使っても良い。また、光学特性調整装置87として、投影光学系86を構成する光学部材を変形させる装置、あるいは投影光学系86を構成する光学部材に熱分布を与える装置を使っても良い。なお、図10では、図中の1つの光照射装置80にのみ光学特性調整装置87が併設されているように示されているが、実際には、45の光照射装置80の全てに光学特性調整装置87が併設されている。45の光学特性調整装置87は主制御装置110の指示に基づき、制御部11によって制御される(図18参照)。
[0063]
 なお、投影光学系86の内部にパターンジェネレータ84で発生され、光電層60に照射される複数のビームの少なくとも1つの強度を変更可能な強度変調素子を設けても良い。光電層60に照射される複数のビームの強度の変更は、複数のビームのうちの一部のビームの強度を零にすることを含む。また、投影光学系86が光電層60に照射される複数のビームの少なくとも1つの位相や偏光を変更可能な位相変調素子、偏光変調素子、などを備えていても良い。
[0064]
 図11(A)から明らかなように、本実施形態では、照明系82が有する光学系の光軸AXiと投影光学系86の光軸(最終光学素子であるレンズ86bの光軸と一致)AXoとは、いずれもZ軸に平行であるが、Y軸方向に所定距離ずれている(オフセットしている)。なお、照明系82が有する光学系の光軸AXiと投影光学系の光軸AXoとが非平行であっても良い。
[0065]
 図14(A)及び図14(B)には、電子ビーム光学系70の構成の一例が、対応する光電カプセル50の本体部52とともに示されている。このうち、図14(A)は、+X方向から見た構成を示し、図14(B)は、-Y方向から見た構成を示す。図14(A)及び図14(B)に示されるように、電子ビーム光学系70は、鏡筒104と鏡筒104に保持された一対の電磁レンズ70a、70bから成る対物レンズと、静電マルチポール70cとを有する。電子ビーム光学系70の対物レンズと、静電マルチポール70cは、複数のビームLBを光電素子54に照射することによって光電素子54の光電変換によって放出される電子(複数の電子ビームEB)のビーム路上に配置されている。一対の電磁レンズ70a、70bは、それぞれ鏡筒104内の上端部近傍及び下端部近傍に配置され、上下方向に関して両者は離れている。この一対の電磁レンズ70a、70b相互間に静電マルチポール70cが配置されている。静電マルチポール70cは、対物レンズによって絞られる電子ビームEBのビーム路上のビームウェスト部分に配置されている。このため、静電マルチポール70cを通過する複数のビームEBは、相互間に働くクーロン力によって互いに反発し、倍率が変化することがある。
[0066]
 そこで、本実施形態では、XY倍率補正用の第1静電レンズ70c と、ビームの照射位置制御(及び照射位置ずれ補正)、すなわち光学パターンの投影位置調整(及び投影位置ずれ補正)用の第2静電レンズ70c とを有する静電マルチポール70cが電子ビーム光学系70の内部に設けられている。第1静電レンズ70c は、例えば図15(A)に模式的に示されるように、X軸方向及びY軸方向に関する縮小倍率を、高速で、かつ個別に補正する。ただし、第1静電レンズ70c は、図15(B)に示されるように、総電流量の変化によって生じる、クーロン効果に起因する倍率変化を補正対象とし、図15(C)に示されるような局所的なクーロン効果に起因する偏った倍率変化は補正対象としない。図15(C)に示されるような倍率変化が極力生じないにするパターンの生成ルールの採用を前提とし、その上で発生するクーロン効果を、第1静電レンズ70c を用いて補正する。
[0067]
 また、第2静電レンズ70c は、各種振動等に起因するビームの照射位置ずれ(光学パターンのうちの明画素、すなわち後述するカットパターンの投影位置ずれ)を一括で補正する。第2静電レンズ70c は、露光の際にビームのウエハWに対する追従制御を行う際のビームの偏向制御、すなわちビームの照射位置制御にも用いられる。なお、縮小倍率の補正を、電子ビーム光学系70以外の部分、例えば前述の投影光学系86などを用いて行う場合などには、静電マルチポール70cに代えて、電子ビームの偏向制御が可能な静電レンズから成る静電偏向レンズを用いても良い。
[0068]
 電子ビーム光学系70の縮小倍率は、倍率補正を行わない状態で、設計上例えば1/50である。1/30、1/20など、その他の倍率でも良い。
[0069]
 図16は、ベースプレート38に吊り下げ状態で支持された45の電子ビーム光学系70の外観を斜視図にて示す。
[0070]
 鏡筒104の射出端には、図14(A)及び図14(B)に示されるように電子ビームの出口104aが形成されており、この出口104a部分の下方には、反射電子検出装置106が配置されている。反射電子検出装置106は、クーリングプレート74に前述の出口104aに対向して形成された円形(又は矩形)の開口74aの内部に配置されている。より具体的には、電子ビーム光学系70の光軸AXe(前述の光電カプセル50の中心軸及び投影光学系86の光軸AXo(図11(A)参照)に一致)を挟みX軸方向の両側に、一対の反射電子検出装置106x 、106x が設けられている。また、光軸AXeを挟みY軸方向の両側に、一対の反射電子検出装置106y 、106y が設けられている。また、上記2対の反射電子検出装置106のそれぞれは、例えば半導体検出器によって構成され、ウエハ上のアライメントマーク、あるいは基準マーク等の検出対象マークから発生する反射成分、ここでは反射電子を検出し、検出した反射電子に対応する検出信号を信号処理装置108に送る(図18参照)。信号処理装置108は、複数の反射電子検出装置106の検出信号を不図示のアンプにより増幅した後に信号処理を行い、その処理結果を主制御装置110に送る(図18参照)。なお、反射電子検出装置106は、45個の電子ビーム光学系70の一部(少なくとも1つ)に設けるだけでも良いし、設けなくても良い。
[0071]
 反射電子検出装置106 x1、106 x2、106 y1、106 y2は、鏡筒104に固定されても良いし、クーリングプレート74に取付けられていても良い。
[0072]
 クーリングプレート74には、45の電子ビーム光学系70の鏡筒104の出口104aに個別に対向して開口74aが、45個形成され、その開口74a内に2対の反射電子検出装置106が配置されている(図2参照)。
 図14(A)及び図14(B)に示されるように、ベースプレート38には、光軸AXe上に、前述した絞り部38bが形成されている。絞り部38bは、ベースプレート38の上面に所定の深さで形成された平面視円形(又は矩形)の凹部38aの内部底面に形成された、X軸方向に長い矩形の孔から成る。また、光軸AXe上には、光電層60の上側に設けられた多数のアパーチャ58aの配置領域の中心(ここでは、光電カプセル50の本体部52の中心軸に一致)がほぼ一致している。絞り部38bは、図2に示されるように、ベースプレート38に45の電子ビーム光学系70の光軸AXeに個別に対向して形成されている。
[0073]
 また、ベースプレート38と光電素子54との間には、光電層60から射出される電子を加速するための引き出し電極112が配置されている。なお、図14(A)及び図14(B)では、図示が省略されているが、引き出し電極112は、例えば蓋収納プレート68の円形開口68cの周囲に設けることができる。勿論、引き出し電極112を、蓋収納プレート68とは別の部材に設けても良い。
[0074]
 露光装置100では、前述の鏡筒78、筐体19の第1部分19a、第2部分19b、及びステージチャンバ10には、メンテナンス用の開閉部が設けられている。
[0075]
 ここで、露光装置100の組み立ての流れの一例を、光電カプセルメーカーで製造された光電カプセルの搬送、及び露光装置メーカーで蓋部材が開放されるまでの一連の流れを中心として説明する。
[0076]
 まず、光電カプセルメーカーの工場の真空チャンバ120内で、図4(A)中の上向きの白抜き矢印で示されるように、蓋部材64が上方に移動され、開口52cが塞がれるように、光電カプセル50の本体部52に蓋部材64を接触させる。次いで、図4(B)に示されるように、真空チャンバ120内でばねその他の付勢部材122を用いて、蓋部材64に上向きの力(与圧)が加えられる。このとき、与圧の作用により、本体部52の下端面に設けられたOリング62が完全に潰される。そして、蓋部材64に与圧を加えたままの状態で、真空チャンバ120内を大気開放すると、光電カプセル50の内部が真空であるため、大気圧によって蓋部材64が本体部52に圧着されるので。付勢部材122による与圧を解除する。図4(C)には、この与圧が解除された状態が示されている。この図4(C)の状態では、本体部52と蓋部材64とが、一体化され光電カプセル50が構成されている(大気圧で光電カプセル50がシールドされている)。上述のようにして、複数(少なくとも45個)の光電カプセル50は、図4(C)の状態を維持したまま、露光装置メーカーの工場まで輸送される。なお、蓋部材64の本体部52と対向する面に環状の凹溝を形成し、該凹溝にOリング62を一部埋め込んだ状態で取付けても良い。なお、本体部52に蓋部材64を接触させた状態で、大気空間においても光電カプセル内部の空間の真空状態を維持できるのであれば、Oリング62などのシール部材を設けなくても良い。
[0077]
 露光装置メーカーの工場内では、45個の光電カプセル50は、クリーンルーム内に搬送され、既に、フレーム16に組み付けられている電子ビーム光学ユニット18Aの第1プレート36に形成された45個の貫通孔36aのそれぞれに、図5中に下向きの矢印で示されるように、上方から挿入され、第1プレート36に組み付けられる。この組み付け状態では、45個の貫通孔36aには、光電カプセル50の本体部52がほぼ隙間がない状態で挿入されている。また、このとき、蓋収納プレート68は、45の所定深さの丸穴68aが、45個の光電カプセル50の真下にそれぞれ位置し、蓋部材64と蓋収納プレート68の上面との間に所定の隙間が存在する高さ位置にある。
[0078]
 なお、フレーム16に対する電子ビーム光学ユニット18Aの組み付けに先立って、ステージシステム14の組み立て、組み立てられたステージシステム14のステージチャンバ10内への搬入、並びにステージシステム14に関する必要な調整などが行われている。
[0079]
 光電カプセル50の、第1プレート36に対する組み付け後、真空対応アクチュエータ66によって、図6に示されるように、蓋収納プレート68の45の所定深さの丸穴68aの内部に蓋部材64が一部入り込む位置まで、蓋収納プレート68が上方に駆動される。
[0080]
 次に、筐体19の第1部分19a内部と第2部分19b内部との真空引きが並行して行われる(図2参照)。また、これと並行して、ステージチャンバ10内部の真空引きが行われる。
[0081]
 このとき、筐体19の第1部分19a内部は、光電カプセル50内部と同レベルの高真空状態となるまで真空引きが行われ、第1部分19aの内部が第1の真空室34となる(図7参照)。このとき、光電カプセル50内部の気圧と外部(第1部分19a内部)の気圧とが釣り合うようになるので、図7に示されるように蓋部材64が自重によって、本体部52から離れ、丸穴68aの内部に完全に収納される。なお、筐体19の第1部分19a内部の真空引きが完了した状態では、複数の光電カプセル50のそれぞれ有する光電素子54は、第1の真空室34とその外側(筐体19の外部)の空間とを隔てる隔壁(真空隔壁)として機能する。第1の真空室34の外側は、大気圧、又は大気圧よりわずかに陽圧である。
[0082]
 一方、筐体19の第2部分19b内部は、第1部分19aと同レベルの高真空状態となるまで、真空引きを行なっても良いが、第1部分19aより真空度が低い(圧力が高い)レベルの中真空状態まで真空引きを行なっても良い。本実施形態では、第1部分19a内部と第2部分19b内部とは、絞り部38bによって実質的に隔離されているので、このようなことが可能である。第2部分19b内部の真空引き完了後、第2部分19aの内部が第2の真空室72となる。第2部分19b内部を、中真空状態まで真空引きする場合には、真空引きに要する時間を短縮することが可能になる。ステージチャンバ10の内部は、第2部分19bの内部と同レベルの真空引きが行われる。
[0083]
 第1部分19bの真空引き完了後、真空対応アクチュエータ66によって、蓋収納プレート68がXY平面内(及びZ軸方向)に駆動され、蓋収納プレート68に形成された45個の円形開口68cが、45の電子ビーム光学系70の光軸AXe上にそれぞれ位置決めされる。図3には、このようにして、光軸AXe上に円形開口68cが位置決めされた状態が示されている。その後、必要な調整が行われ、電子ビーム光学ユニット18Aの組立が終了する。
[0084]
 次いで、図1に示されるように、組み立てられた電子ビーム光学ユニット18A(第1プレート36)上に、予め別に組み立てられた光学ユニット18Bが、搭載される。このとき、光学ユニット18Bは、鏡筒78の内部の45の光照射装置80のそれぞれが、45の光電素子54のそれぞれに対応する配置となるように、すなわち、投影光学系86の光軸AXoが、電子ビーム光学系70の光軸AXeとほぼ一致する状態で、搭載される。そして、光学ユニット18Bに関する必要な調整及び電子ビーム光学ユニット18Aと光学ユニット18Bとの間の必要な調整、並びに光学ユニット18Bと電子ビーム光学ユニット18Aとの相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等などが行われ、露光装置100の組み立てが完了する。
[0085]
 なお、上述した各部の必要な調整には、各種光学系についての光学的精度を達成するための調整、各種機械系についての機械的精度を達成するための調整、各種電気系についての電気的精度を達成するための調整が含まれる。
[0086]
 これまでの説明から明らかなように、本実施形態に係る露光装置100では、図17に示されるように、露光時に、パターンジェネレータ84の受光面上でX軸方向の長さSmm、Y軸方向の長さTmmの矩形の領域の内部にビームが照射され、この照射によりパターンジェネレータ84からの光が縮小倍率1/4を有する投影光学系86によって光電素子54に照射され、さらにこの照射によって生成される電子ビームが縮小倍率1/50を有する電子ビーム光学系70を介して、像面(像面に位置合わせされるウエハ面)上の矩形の領域(露光フィールド)に照射される。すなわち、本実施形態の露光装置100では、光照射装置80(投影光学系86)と、これに対応する光電素子54と、これらに対応する電子ビーム光学系70と、反射電子検出装置106と、を含んで、縮小倍率1/200の直筒型のマルチビーム光学システム200(図18参照)が構成され、このマルチビーム光学システム200を、XY平面内で前述したマトリクス状の配置で45有している。したがって、本実施形態の露光装置100の光学系は、縮小倍率1/200の縮小光学系を45有するマルチカラム電子ビーム光学系である。
[0087]
 また、露光装置100では、直径300ミリの300ミリウエハを露光対象とし、ウエハに対向して45本の電子ビーム光学系70を配置するため、電子ビーム光学系70の光軸AXeの配置間隔を一例として43mmとしている。このようにすれば、1つの電子ビーム光学系70が受け持つ露光エリアは、最大で43mm×43mmの矩形領域となるため、前述したようにウエハステージWSTのX軸方向及びY軸方向の移動ストロークが50mmもあれば十分である。なお、電子光学系70の数は、45本に限られず、ウエハの直径、ウエハステージWSTのストローク、などに基づいて決めることができる。
[0088]
 図18には、露光装置100の制御系を主として構成する主制御装置110の入出力関係がブロック図にて示されている。主制御装置110は、マイクロコンピュータ等を含み、図18に示される各部を含む露光装置100の構成各部を統括的に制御する。図18において、制御部11に接続されている光照射装置80は、主制御装置110からの指示に基づき、制御部11によって制御されるレーザダイオード88、AO偏向器90、回折光学素子92、及び照度分布調整素子94を含む。また、制御部11に接続されている電子ビーム光学系70は、主制御装置110からの指示に基づき、制御部11によって制御される一対の電磁レンズ70a、70b及び静電マルチポール70c(第1静電レンズ70c 及び第2静電レンズ70c )を含む。また、図18において、符号500は、前述したマルチビーム光学システム200と、制御部11と、信号処理装置108と、を含んで構成される露光ユニットを示す。露光装置100では、露光ユニット500が45設けられている。
[0089]
 ところで、露光装置100では、次のような理由により、正方形ではなく、矩形(長方形)の露光フィールドを採用している。
[0090]
 図19には、電子ビーム光学系の直径Dの有効領域(収差有効領域)を示す円内に、正方形フィールドSFと矩形フィールドRFとが図示されている。この図19から明らかなように、電子ビーム光学系の有効領域を最大限使おうとすると正方形フィールドSFが良い。ただし、正方形フィールドSFの場合、図19に示されるようにフィールド幅としては30%(1/√2)程度損をする。例えば、60:11のアスペクト比を持つ矩形フィールドRFだと有効領域がほぼフィールド幅となる。これは、マルチカラムでは大きなメリットになる。この他、アライメントマークを検出する際のマーク検出感度が向上するというメリットもある。フィールドの形状を問わず、フィールド内に照射される電子の総量は同じであるため、矩形フィールドは正方形フィールドに比べて電流密度が大きく、そのため、ウエハ上のより小さい面積にマークを配置しても十分な検出感度で検出できる。また、矩形フィールドは収差管理が正方形フィールドに比べて容易である。
[0091]
 図19では、正方形フィールドSF及び矩形フィールドRFのいずれの露光フィールドも電子ビーム光学系の光軸AXeを含むように設定されている。しかし、これに限らず、露光フィールドを光軸AXeを含まないように、収差有効領域内に設定しても良い。また、露光フィールドを、矩形(正方形を含む)以外の形状、例えば円弧状に設定しても良い。
[0092]
 次に、本実施形態に係る露光装置100で、ウエハWの露光中に行われるドーズ制御について説明する。
[0093]
 露光フィールド内の照度ムラは、主制御装置110が、後述する露光時に、照度分布調整素子94を用いて、前述した印加電圧の制御による偏光状態の可変制御を結晶毎に行い、個々の結晶に対応する領域(個々の結晶に対応するパターンジェネレータ84の受光面上の領域)毎に光強度(照度)の制御を行うことで、結果的に光電層60の電子放出面上での面内の照度分布、及びこれに対応するウエハ面上での露光フィールドRF内の照度分布の調整を行う。すなわち、露光フィールドRFに照射される複数の電子ビームのそれぞれの強度を適正に調整する。なお、本実施形態の露光装置100では、パターンジェネレータ84がGLVによって構成されているので、主制御装置110は、パターンジェネレータ84自体で中間調を発生することができるので、光電層60に照射されるそれぞれの光ビームの強度調整により、光電層60の電子放出面上での面内の照度分布、及びこれに対応するウエハ面上での露光フィールドRF内の照度分布の調整、すなわちドーズ制御を行うこともできる。勿論、主制御装置110は、照度分布調整素子94とパターンジェネレータ84とを併用して光電層60の電子放出面上での面内の照度分布の調整を行なっても良い。
[0094]
 なお、光電層60の電子放出面上での面内の照度分布の調整の前提として、光電変換によって光電層60の電子放出面から生成される複数の電子ビームの強度(電子ビームの照度、ビーム電流量)がほぼ同一となるように、パターンジェネレータ84で発生され光電層60に照射される複数のビームの強度の調整が行われる。このビームの強度の調整は、照明系82内で行なっても良いし、パターンジェネレータ84で行なっても良いし、投影光学系86内で行なっても良い。ただし、光電変換によって光電層60の電子放出面から生成される複数の電子ビームの強度(電子ビームの照度、ビーム電流量)を少なくとも一部のビームについて他のビームと異ならせるように、複数のビームの強度の調整を行なっても良い。
[0095]
なお、ウエハに形成されたレジスト層は、光電層60の電子放出面上での面内の照度分布のみの影響を受けるものではなく、その他の要因、例えば電子の前方散乱、後方散乱、あるいはフォギングなどの影響を受ける。
[0096]
 ここで、前方散乱とは、ウエハ表面のレジスト層内に入射した電子がウエハ表面に到達するまでの間にレジスト層内で散乱する現象を意味し、後方散乱とは、レジスト層を介してウエハ表面に到達した電子がウエハ表面またはその内部で散乱してレジスト層内に再度入射し、周囲に散乱する現象を意味する。また、フォギングとは、レジスト層の表面からの反射電子が、例えばクーリングプレート74の底面で再反射し、周囲にドーズを加える現象を指す。
[0097]
 上記の説明から明らかなように、前方散乱の影響を受ける範囲は、後方散乱及びフォギングと比べて狭いので、露光装置100では、前方散乱と、後方散乱及びフォギングとで、異なる補正方法を採用している。
[0098]
 前方散乱成分の影響を軽減するためのPEC(Proximity Effect Correction)では、主制御装置110は、前方散乱成分の影響を見込んで、制御部11を介してパターンジェネレータ84(及び/又は照度分布調整素子94)を用いた面内の照度分布の調整を行う。
[0099]
 一方、後方散乱成分の影響を軽減するためのPEC、及びフォギングの影響を軽減するためのFEC(Fogging Effect Correction)では、主制御装置110は、制御部11を介して、照度分布調整素子94を用いてある程度の空間周波数で面内の照度分布の調整を行う。
[0100]
 ところで、本実施形態に係る露光装置100は、例えばコンプリメンタリ・リソグラフィに用いられる。この場合、例えばArF光源を用いた液浸露光においてダブルパターニングなどを利用することでL/Sパターンが形成されたウエハを露光対象とし、そのラインパターンの切断を行うためのカットパターンの形成に用いられる。露光装置100では、光電素子54の遮光膜58に形成された72000個のアパーチャ58aのそれぞれに対応するカットパターンを形成することが可能である。
[0101]
 本実施形態における、ウエハに対する処理の流れは、次の通りである。
[0102]
 まず、電子線レジストが塗布された露光前のウエハWが、ステージチャンバ10内で、ウエハステージWST上に載置され、静電チャックによって吸着される。
[0103]
 ウエハステージWST上のウエハWに形成された例えば45個のショット領域のそれぞれに対応してスクライブライン(ストリートライン)に形成された少なくとも各1つのアライメントマークに対して、各電子ビーム光学系70から電子ビームを照射し、少なくとも各1つのアライメントマークからの反射電子が反射電子検出装置106 x1、106 x2、106 y1、106 y2の少なくとも1つで検出され、ウエハW の全点アライメント計測が行われ、この全点アライメント計測の結果に基づいて、ウエハW 上の複数のショット領域に対し、45の露光ユニット500(マルチビーム光学システム200)を用いた露光が開始される。例えばコンプリメンタリ・リソグラフィの場合、ウエハW上に形成されたX軸方向を周期方向とするL/Sパターンに対するカットパターンを各マルチビーム光学システム200から射出される多数のビーム(電子ビーム)を用いて形成する際に、ウエハW(ウエハステージWST)をY軸方向に走査しつつ、各ビームの照射タイミング(オン・オフ)を制御する。なお、全点アライメント計測を行わずに、ウエハWの一部のショット領域に対応して形成されたアライメントマークの検出を行い、その結果に基づいて45のショット領域の露光を実行しても良い。また、本実施形態においては、露光ユニット500の数とショット領域の数が同じであるが、異なっていても良い。例えば、露光ユニット500の数が、ショット領域の数よりも少なくても良い。
[0104]
 ここで、パターンジェネレータ84を用いた露光シーケンスについて、説明を行う。ここでは、ウエハ上のある領域内に互いに隣接してXY2次元配置された多数の10nm角(アパーチャ58aを介したビームの照射領域と一致)の画素領域を仮想的に設定し、その全ての画素を露光する場合について説明する。また、ここでは、リボン列として、A、B、C、……、K、Lの12のリボン列があるものとする。
[0105]
 リボン列Aに着目して説明すると、ウエハ上にX軸方向に並ぶある行(第K行とする)の連続した6000画素領域に対してリボン列Aを用いた露光が開始される。この露光開始の時点では、リボン列Aで反射されるビームは、ホームポジションにあるものとする。そして、露光開始からウエハWの+Y方向(又は-Y方向)のスキャンに追従させてビームを+Y方向(又は-Y方向)に偏向しながら同一の6000画素領域に対する露光を続行する。そして、例えば時間Ta[s]でその6000画素領域の露光が完了したとすると、その間にウエハステージWSTは、速度V[nm/s]で、例えばTa×V[nm]進む。ここで、便宜上、Ta×V=96[nm]とする。
[0106]
 続いて、ウエハステージWSTが速度Vで+Y方向に24nmスキャンしている間に、ビームをホームポジションに戻す。このとき、実際にウエハ上のレジストが感光されないようにビームをオフにする。このビームのオフは、AO偏向器90を用いて行われる。
[0107]
 このとき、上記の露光開始時点からウエハステージWSTは+Y方向に120nm進んでいるので、第(K+12)行目の連続した6000画素領域が、露光開始時点における第K行の6000画素領域と同じ位置にある。
[0108]
 そこで、同様にして、第(K+12)行目の連続した6000画素領域を、ウエハステージWSTにビームを偏向追従させながら露光する。
[0109]
 実際には、第K行の6000画素領域の露光と並行して、第(K+1)行~第(K+11)行それぞれの6000画素は、リボン列として、B、C、……、K、Lによって露光される。
[0110]
 このようにして、ウエハ上のX軸方向の長さ60μmの幅の領域については、ウエハステージWSTをY軸方向にスキャンさせながらの露光(スキャン露光)が可能であり、ウエハステージWSTを60μmX軸方向にステッピングして同様のスキャン露光を行えば、そのX軸方向に隣接する長さ60μmの幅の領域の露光が可能である。したがって、上記のスキャン露光とウエハステージのX軸方向のステッピングとを交互に繰り返すことで、ウエハ上の1つのショット領域の露光を、1つの露光ユニット500により行うことができる。また、実際には、45の露光ユニット500を用いて並行してウエハ上の互いに異なるショット領域を露光することができるので、ウエハ全面の露光が可能である。
[0111]
 なお、露光装置100は、コンプリメンタリ・リソグラフィに用いられ、ウエハW上に形成された例えばX軸方向を周期方向とするL/Sパターンに対するカットパターンの形成に用いられるので、パターンジェネレータ84で72000のリボン84bのうち、任意のリボン84bで反射するビームをオンにしてカットパターンを形成することができる。この場合に、72000本のビームが同時にオン状態とされても良いし、されなくても良い。
[0112]
 本実施形態に係る露光装置100では、上述した露光シーケンスに基づく、ウエハWに対する走査露光中に、主制御装置110によって位置計測系28の計測値に基づいて、ステージ駆動系26が制御されるとともに、各露光ユニット500の制御部11を介して光照射装置80及び電子ビーム光学系70が制御される。この際、主制御装置110の指示に基づき、制御部11によって、前述したドーズ制御が必要に応じて行われる。
[0113]
 ところで、上で説明したドーズ制御は、照度分布調整素子94若しくはパターンジェネレータ84、又は照度分布調整素子94及びパターンジェネレータ84を制御することで行われるドーズ制御であるから、動的なドーズ制御と言える。
[0114]
 しかしながら、露光装置100で採用できるドーズ制御は、これに限られず、以下のようなドーズ制御をも採用することができる。
[0115]
 例えば光学系起因のブラー(ぼけ)及び/又はレジストブラーによって、図20(A)に示されるように、ウエハ上では本来正方形(又は矩形)であるべきカットパターン(レジストパターン)CPが、例えば4隅(コーナー)が丸まってカットパターンCP’のようになる場合がある。本実施形態では、図20(B)に示されるように、遮光膜58に形成されるアパーチャ58aの4隅に補助パターン58cを設けた非矩形のアパーチャ58a’を介して光ビームを光電層60に照射し、光電変換により発生した電子ビームを電子ビーム光学系70を介してウエハ上に照射することで、非矩形のアパーチャ58a’と形状の異なる形状の電子ビームの照射領域をウエハ上に形成しても良い。この場合、電子ビームの照射領域の形状と、ウエハに形成されるべきカットパターンCPの形状は、同じであっても良いし、異なっていても良い。例えば、レジストブラーの影響をほぼ無視できる場合には、電子ビームの照射領域の形状が、所望のカットパターンCPの形状(例えば、矩形あるいは正方形)とほぼ同じになるようにアパーチャ58a’の形状を決めれば良い。この場合のアパーチャ58a’の使用をドーズ制御と考えなくても良い。
 ここで、アパーチャ58a’では、矩形のアパーチャ58aの4隅の全てに補助パターン58cを設ける必要はなく、アパーチャ58aの4隅のうち、少なくとも一部にのみ補助パターン58cを設けても良い。また、遮光膜58に形成される複数のアパーチャ58a’の一部でのみ矩形のアパーチャ58aの4隅の全てに補助パターン58cを設けても良い。また、遮光膜58に形成される複数のアパーチャの一部をアパーチャ58a’とし、残りのをアパーチャ58aとしても良い。すなわち、遮光膜58に形成される複数のアパーチャ58a’の全ての形状を同一にする必要はない。なお、アパーチャの形状、大きさ等は、シミュレーション結果に基づいて設計することも可能であると思われるが、実際の露光結果に基づいて、例えば電子ビーム光学系70の特性に基づいて最適化することが望ましい。いずれにしても、ウエハ(ターゲット)上での照射領域の角部の丸まりを抑えるようにアパーチャそれぞれの形状が決定される。なお、前方散乱成分の影響もアパーチャ形状で軽減可能である。
 なお、例えば、光学系起因のブラーをほぼ無視できる場合には、アパーチャ58a’の形状と電子ビームの照射領域の形状が同じであっても良い。
[0116]
 露光装置100では、電子ビーム光学系70を複数、一例として45持っているが、その45の電子ビーム光学系70は同様の仕様を満足するように、同様の製造工程を経て製造されるため、例えば図21(A)に模式的に示されるように、露光フィールドが歪む固有のディストーション(歪曲収差)が、45の電子ビーム光学系70に共通して発生することがある。かかる複数の電子ビーム光学系70に共通のディストーションは、図21(B)に模式的に示されるように、光電層60上に位置する遮光膜58上のアパーチャ58aの配置を、上記ディストーションを打ち消すような、又は低減するような配置にして補正しても良い。なお、図21(A)の円は、電子ビーム光学系70の収差有効領域を示す。
[0117]
 図21(B)には、わかりやすくするため、各アパーチャ58aが、矩形ではなく、平行四辺形などとして示されているが、実際には、遮光膜58上のアパーチャ58aは矩形又は正方形で形成される。この例は、電子ビーム光学系70に固有の樽型ディストーションを、糸巻き型ディストーション形状に沿って複数のアパーチャ58aを光電層60上に配置することで、相殺する、又は低減する場合を示している。なお、電子ビーム光学系の70のディストーションは、樽型ディストーションに限られず、例えば電子ビーム光学系の70のディストーションが糸巻き型ディストーションの場合には、その影響を打ち消す、あるいは低減するように、複数のアパーチャ58aを樽型ディストーション形状に配置しても良い。また、各アパーチャ58aの配置に合わせて投影光学系86からの複数の光ビームの位置を調整しても良いし、調整しなくても良い。
[0118]
 以上説明したように、本実施形態に係る露光装置100は、マルチビーム光学システム200と、制御部11と、信号処理装置108と、を含んで構成される露光ユニット500を45備えている(図18参照)。マルチビーム光学システム200は、光照射装置80と、電子ビーム光学系70とを含む。光照射装置80は、個別に制御可能な複数の光ビームを提供可能なパターンジェネレータ84と、パターンジェネレータ84に照明光を照射する照明系82と、パターンジェネレータ84からの複数の光ビームを光電素子54に照射する投影光学系86と、を含み、電子ビーム光学系70は、複数の光ビームを光電素子54に照射することによって光電素子54から放出される電子を複数の電子ビームとしてウエハWに照射する。したがって、露光装置100によると、ブランキング・アパーチャが無いため、チャージアップや磁化による複雑なディストーションの発生源が根本的になくなるとともに、ターゲットの露光に寄与しない無駄電子(反射電子)がゼロになるので、長期的な不安定要素を排除することが可能になる。
[0119]
 また、本実施形態に係る露光装置100によると、実際のウエハの露光時には、主制御装置110は、ウエハWを保持するウエハステージWSTのY軸方向の走査(移動)をステージ駆動系26を介して制御する。これと並行して、主制御装置110は、露光ユニット500のm個(例えば45個)のマルチビーム光学システム200のそれぞれについて、光電素子54のn個(例えば72000個)のアパーチャ58aをそれぞれ通過したn本のビームの照射状態(オン状態とオフ状態)をアパーチャ58aごとにそれぞれ変化させるとともに、照度分布調整素子94を用いて個々の結晶に対応する分割領域毎に、又はパターンジェネレータ84を用いてビーム毎に光ビームの強度調整を行う。
[0120]
 また、露光装置100では、静電マルチポール70cの第1静電レンズ70c により、総電流量の変化によって生じる、クーロン効果に起因するX軸方向及びY軸方向に関する縮小倍率(の変化)を、高速で、かつ個別に補正する。また、露光装置100では、第2静電レンズ70c により、各種振動等に起因するビームの照射位置ずれ(光学パターンのうちの明画素、すなわち後述するカットパターンの投影位置ずれ)を一括で補正する。
[0121]
 これにより、例えばArF液浸露光装置を用いたダブルパターニングなどによりウエハ上の例えば45個のショット領域のそれぞれに予め形成されたX軸方向を周期方向とする微細なラインアンドスペースパターンの所望のライン上の所望の位置にカットパターンを形成することが可能になり、高精度かつ高スループットな露光が可能になる。
[0122]
 したがって、本実施形態に係る露光装置100を用いて、前述したコンプリメンタリ・リソグラフィを行い、L/Sパターンの切断を行う場合に、各マルチビーム光学システム200で、複数のアパーチャ58aのうち、いずれのアパーチャ58aを通過するビームがオン状態となる場合であっても、換言すればオン状態となるビームの組み合わせの如何を問わず、ウエハ上の例えば45個のショット領域のそれぞれに予め形成されたX軸方向を周期方向とする微細なラインアンドスペースパターンのうちの所望のライン上の所望のX位置にカットパターンを形成することが可能になる。
[0123]
 また、本実施形態に係る露光装置100では、前述の光電カプセル50が採用されていることから光電素子54の搬送が容易であるとともに、光電素子54の電子ビーム光学ユニット18Aの筐体19への組付けが容易である。また、第1の真空室34内を真空引きするだけで、複数の光電カプセル50それぞれの蓋部材64を、自重で本体部52から離し、真空対応アクチュエータ66により駆動される蓋収納プレート68によって同時に受け取り、丸穴68a内に収納することができるので、複数の光電カプセル50の蓋部材64の取り外しを短時間で行うことができる。また、電子ビーム光学ユニット18Aのメンテナンスの際などには、蓋収納プレート68の複数の丸穴68a内に個別に収納されている複数の蓋部材64を、同時に、対応する光電カプセル50の本体部52に押し付けた状態で、第1の真空室34内を大気開放するだけで、光電カプセル50の内部(真空)と外部(大気圧)との圧力差により、それぞれの蓋部材64を対応する本体部52と一体化させることができる。これにより、確実に、光電層60が空気に触れるのを阻止できる。さらに、この本体部52に蓋部材64が装着されている状態で、本体部52は、本体部52をリリース可能に支持する第1プレート36からリリース可能である。
[0124]
 なお、上記実施形態に係る露光装置100において、図13に示されるリボン列85を12列有するパターンジェネレータ84に代えて、図22に示される、リボン列85を13列有するパターンジェネレータ184を用いても良い。パターンジェネレータ184では、図22中の最上部に位置するリボン列(図22では識別のため85aと表記されている)は、通常用いられる12列のリボン列(メインのリボン列)85のいずれかに不良が生じた際に、その不良が生じたリボン列85に代えて用いられるバックアップ用のリボン列である。バックアップ用のリボン列85aを複数設けても良い。
[0125]
 また、露光装置100では、照度分布調整素子94によってパターンジェネレータ84の受光面が実質的に2×12=24の部分領域に分割されている(図13参照)ので、分割された部分領域毎にバックアップ用のリボン列を設けても良い。
[0126]
 なお、これまでの説明では、パターンジェネレータの各リボン84bと、光電素子54のアパーチャ58aとは1:1で対応する、すなわち各リボン84bとウエハ上に照射される電子ビームとは1:1で対応するものとした。しかし、これに限らず、メインのリボン列85のうちの1つのリボン列、例えばバックアップ用のリボン列85aに隣接するリボン列に含まれる1つのリボン84bからの光ビームを光電素子54に照射することによって生成された電子ビームを、ターゲットであるウエハ上のあるターゲット領域(第1ターゲット領域と称する)に照射し、例えばリボン列85aに含まれる1つのリボン84b又はメインのリボン列85のうちの他のリボン列に含まれる1つのリボン84bからの光ビームを光電素子54に照射することによって生成された電子ビームを、ウエハ上の第1ターゲット領域に照射可能に構成しても良い。すなわち、異なるリボン列にそれぞれ含まれる2つのリボン84bからの光ビームの照射に起因して光電素子54で生成された電子ビームをウエハ上の同一のターゲット領域に重畳して照射可能としても良い。これによって、例えばそのターゲット領域のドーズ量が所望状態になるようにしてもよい。
[0127]
 この他、図13に示されるパターンジェネレータ84に代えて、図23(A)に示されるように、メインのリボン列85に対して、リボン84bの幅(リボン84bの配列ピッッチ)の1倍未満の距離だけずらして配置した補正用のリボン列85bを追加したパターンジェネレータを用いても良い。図23(A)に示される補正用のリボン列85bは、図23(A)の円B内の近傍を拡大して示す図23(B)に示されるように、リボン84bの幅の半分(リボン84bの配列ピッチの半分(1μm))だけずらして配置されている。この補正用のリボン列85bを用いて、PEC(Proximity Effect Correction)等の微妙なDose調整を実施しても良い。GLV自体で中間調を作ることも可能であるが、さらに画素ずらしで補正したい場合に有効である。パターンジェネレータは、メインのリボン列85に加えて、バックアップ用のリボン列85aと補正用のリボン列85bとを、持っていても良い。
[0128]
 なお、上記実施形態では、パターンジェネレータ84を、GLVで構成する場合について例示したが、これに限らず、パターンジェネレータ84を、反射型の液表示素子あるいはデジタル・マイクロミラー・デバイス(Digital Micromirror Device)、PLV(Planer Light Valve)などの複数の可動反射素子を有する反射型の空間光変調器を用いて構成しても良い。あるいは、光照射装置80内部の光学系の構成によっては、各種の透過型の空間光変調器によってパターンジェネレータを構成しても良い。パターンジェネレータ84は、個別に制御可能な複数の光ビームを提供可能なパターンジェネレータであれば、空間光変調器に限らず、ビームのオン・オフは勿論、強度の調整、サイズの変更が可能なパターンジェネレータを用いることができる。また、パターンジェネレータ84は、ビームの制御(オン・オフ、強度の調整、サイズの変更など)が、必ずしも個々の光ビームについて可能である必要はなく、一部のビームについてのみ可能、あるいは複数のビーム毎に可能であっても良い。
[0129]
 したがって、上記実施形態の光学ユニット18Bに相当する、光学ユニットの構成は、種々考えられる。図24には、種々のタイプの光学ユニットの構成例が示されている。図24(A)に示される光学ユニットは、L型反射タイプと呼ぶことができ、XZ平面上に所定の位置関係で2次元配置された複数の照明系を含む照明系ユニットIUと、XY平面に対して45度傾斜したベースBSの一面に複数の照明系に個別に対応する位置関係で2次元配置された複数のパターンジェネレータ84と、複数のパターンジェネレータ84及び対応する光電素子に個別に対応する位置関係でXY平面上で2次元配置された複数の投影光学系を含む光学ユニットIMUと、を備えている。複数の結像光学系それぞれの光軸は、図示は省略されているが、対応する電子ビーム光学系の光軸に一致している。この場合、パターンジェネレータ84は、上記実施形態と同様に反射型の空間光変調器で構成される。このL型反射タイプは、パターンジェネレータに対するアクセスが容易であり、パターンジェネレータの受光面のサイズに対する制約が前述した実施形態などに比べて緩やかであるという利点がある。
[0130]
 図24(B)に示される光学ユニットは、U型反射タイプと呼ぶことができ、XY平面上に所定の位置関係で2次元配置された複数の照明系を含む照明系ユニットIUと、XY平面に対して-45度傾斜したベースBS の一面に複数の照明系に個別に対応する位置関係で2次元配置された複数の反射型の空間光変調器84 と、XY平面に対して45度傾斜したベースBS の一面に複数の空間光変調器84 に対応する位置関係で2次元配置された複数の反射型の空間光変調器84 と、複数の空間光変調器84 及び対応する光電素子に個別に対応する位置関係でXY平面上で2次元配置された複数の投影光学系を含む光学ユニットIMUと、を備えている。複数の投影光学系それぞれの光軸は、図示は省略されているが、対応する電子ビーム光学系の光軸に一致している。この場合、例えば一方の反射型の空間光変調器84 をパターンジェネレータとして用いるものとすると、他方の空間光変調器84 を、前述した照度分布調整素子94と同等以上の分解能を有する照度分布調整装置として用いることができる。
[0131]
 図24(C)に示される光学ユニットは、直筒透過型タイプと呼ぶことができ、照明系とパターンジェネレータ84と投影光学系とが同一の光軸上に配置されて成る光学系(光照射装置80A)が、複数、複数の光電素子に対応する所定の位置関係で同一の筐体(鏡筒)78内でXY2次元配置されている。複数の光照射装置80Aの光軸は、対応する電子ビーム光学系の光軸と一致している。この直筒透過型タイプでは、パターンジェネレータ84は、透過型の空間光変調器、例えば透過型の液晶表示素子などを用いる必要がある。直筒透過型タイプは、各軸毎の精度保証がし易い、鏡筒サイズがコンパクト、並びに図25(A)及び図15(B)をそれぞれ用いて後述する、2つの方式の両者に対応可能であるというメリットがある。
[0132]
 図24(D)は、上記実施形態の露光装置100で採用した光学ユニット18Bと同様のタイプの光学ユニットを、簡略化して示す。この図24(D)に示される光学ユニットは、直筒反射型タイプと呼ぶことができ、直筒透過型タイプと同様のメリットがある。
[0133]
 上述の実施形態では、アパーチャ58を介して光電層60に光を照射しているが、アパーチャを用いなくても良い。
 例えば図25(A)に示されるように、パターンジェネレータで形成した光パターン像を光電素子上に投影し、さらに光電素子で電子像に変換してウエハ面上に縮小して結像するようにしても良い。
[0134]
 上述の実施形態では、図25(B)に示されるように、複数のアパーチャを介して光電層に光を照射している。このようにアパーチャを用いることで、パターンジェネレータと光電素子との間の投影光学系の収差などの影響をうけずに、所望の断面形状を有する光ビームを光電層に入射させることできる。なお、アパーチャと光電層とは、前述した実施形態のように一体的に形成されていても良いし、所定のクリアランス(隙間、ギャップ)を介して対向配置されていても良い。
[0135]
 なお、上記実施形態では、真空隔壁を兼ねる透明の板部材56とアパーチャ58aが形成された遮光膜58と光電層60とが一体である場合について説明したが、真空隔壁と、遮光膜(アパーチャ膜)と、光電層とは、種々の配置が可能である。
[0136]
 なお、上記実施形態では、蓋収納プレート68の円形開口68cの周囲に引き出し電極112を設ける場合について例示したが、これに代えて、あるいはこれに加えて蓋収納プレート68に電子ビームの位置を計測する計測部材及び電子ビームを検出するセンサの少なくとも一方を設けても良い。前者のビームの位置を計測する計測部材としては、開口を有する反射面と該反射面からの反射電子を検出する検出装置との組合せ、あるいは表面にマークが形成された反射面とそのマークから発生する反射電子を検出する検出装置との組合せなどを用いることができる。
[0137]
《第2の実施形態》
 図26には、第2の実施形態に係る露光装置1000の構成が概略的に示されている。ここで、前述した第1の実施形態に係る露光装置100と同一若しくは同等の構成については同一の符号を用いるとともにその説明を省略する。
[0138]
 露光装置1000は、前述の第1の実施形態に係る露光装置100において、光電カプセル50の本体部52が挿入されていた第1プレート36の貫通孔36aが第1の真空室34を区画する、石英ガラスなどから成る真空隔壁132によって外部に対して気密状態で閉塞されている点及び第1の真空室34が形成される筐体19の第1部分19aの内部の構成が、前述した第1の実施形態に係る露光装置100と相違する。以下、相違点を中心として説明する。
[0139]
 図27には、本第2の実施形態に係る露光装置1000の1つの電子ビーム光学系70に対応する、筐体19の内部の構成が、示されている。図27に示されるように、真空隔壁132から所定距離下方には、光電素子136が配置されている。光電素子136は、図28(A)に示されるように、前述の光電素子54と同様の順序で配置され、同様の手法によって一体的に形成された石英(S )から成る基材134、遮光膜58及び光電層60を備えている。光電素子136の遮光膜58には、前述と同様の配置で、少なくとも72000個のアパーチャ58aが形成されている。
[0140]
 図27に戻り、第1の真空室34内部の光電素子136の下方には、引き出し電極112aが配置されている。
[0141]
 露光装置1000では、光電カプセル50は用いられていないため、第1の真空室34内に蓋収納プレート68及び真空対応アクチュエータ66は、設けられていない(図26及び図27参照)。
[0142]
 本第2の実施形態に係る電子ビーム光学ユニット18Aは、ベースプレート38を含み、その下方の構成は、第2の真空室72内部の電子ビーム光学系70を含み、前述した第1の実施形態に係る露光装置100と同様である。また、電子ビーム光学ユニット18A以外の構成も、前述した露光装置100と同様である。
[0143]
 このようにして構成された露光装置1000では、前述した第1の実施形態に係る露光装置100と同等の効果を得ることができる他、真空隔壁132とは別に光電素子136が設けられているため、以下のような追加の機能を持っても良い。
[0144]
 すなわち、電子ビーム光学系の数を増やすため、鏡筒の経を小さくしていくと、電子ビーム光学系の像面湾曲成分が顕著になる。例えば図29に模式的に示されるような像面湾曲を電子ビーム光学系がその収差として持つ場合、図29に模式的に示されるように、光電層60(正しくは、光電素子136の全体)を、像面の湾曲成分と逆位相の湾曲が光電層60に生じるように撓ませる、すなわち光電層60の電子放出面を湾曲させる(非平面にする)。これにより、電子ビーム光学系70の像面湾曲の少なくとも一部を補償し、像面湾曲に起因する電子ビーム像の位置ずれ、ぼけ(デフォーカス)等を抑制する。なお、光電層60の電子放出面の湾曲量を、可変にしても良い。例えば、電子ビーム光学系70の光学特性(収差、例えば像面湾曲)の変化に応じて、電子放出面の湾曲量を変えても良い。したがって、対応する電子ビーム光学系の光学特性にそれぞれ応じて、複数の光電素子136相互間で電子放出面の湾曲量を異ならせても良い。また、図29では、光電層60に+Z方向に(投影光学系60に向かって)凸の湾曲を生じさせる場合の例が示されているが、これは-Z方向に凸の像面湾曲を電子ビーム光学系がその収差として保つ場合を仮定したため、この像面湾曲の影響を相殺する、又は低減する湾曲を光電層60に与えるためである。したがって、+Z方向に凸の像面湾曲を電子ビーム光学系がその収差として保つ場合、光電層60に-Z方向に凸の湾曲を生じさせる必要がある。
[0145]
 なお、本第2の実施形態に係る露光装置1000においても、前述した露光装置100と同様に、X軸方向に長い矩形の露光フィールドが採用されているので、図29中に短い両矢印で示されるように、1方向の曲げ(一軸回りの曲げ、すなわちX軸方向に関して湾曲する、XZ断面内での曲げ)でも効果が高い。なお、光電素子136(光電層60)を1方向の曲げに限らず、4隅を下方に撓ませるなど3次元的に変形させても勿論良い。光電素子136の変形のさせ方を変えることで、球面収差に起因する光学パターン像の位置ずれ、変形等を効果的に抑制することができる。光電層60の電子放出面を湾曲させると、その電子放出面の一部(例えば中央部)と、他部(例えば周辺部)とで、電子ビーム光学系70の光軸AXeの方向に関して位置が互いに異なることになる。
 なお、光電層60の厚みに分布を持たせて、電子放出面の一部(例えば中央部)と、他部(例えば周辺部)の光軸AXeの方向の位置が異なるようにしても良い。
 また、第1実施形態のように、光電素子が真空隔壁を兼ねる場合にも、光電層60の電子放出面を湾曲(非平面)にしても良い。
[0146]
 また、光電素子136のようなアパーチャが光電層と一体的に設けられたいわばアパーチャ一体型の光電素子を用いる場合、そのアパーチャ一体型光電素子を、XY平面内で駆動可能なアクチュエータを設けることとしても良い。この場合には、例えば、アパーチャ一体型光電素子として、図30に示されるように、1列置きにピッチaのアパーチャ58aの列と、ピッチbのアパーチャ58bの列とが形成されたマルチピッチ型のアパーチャ一体型光電素子136aを用いても良い。ただし、この場合には、前述した光学特性調整装置87を用いて、X軸方向の投影倍率(倍率)を変更するズーム機能を併用する。かかる場合には、図31(A)に示されるように、アパーチャ一体型光電素子136aのアパーチャ58aの列にビームを照射する状態から、光学特性調整装置87を用いて、投影光学系86のX軸方向の倍率を拡大し、図31(B)中の両矢印で示されるように、複数のビームを全体的にX軸方向に拡大した後、図31(C)中の白抜き矢印で示されるように+Y方向に、アパーチャ一体型光電素子136aを駆動することで、ビームをアパーチャ58bの列に照射することが可能になる。これにより、ピッチが異なるラインパターンの切断用のカットパターン形成が可能になる。ただし、ビームのサイズ、形状によっては、必ずしも投影光学系86のズーム機能を用いなくても、アパーチャ一体型光電素子136aを駆動するのみでも、ビームをピッチがaのアパーチャ58aの列とピッチがbのアパーチャ58bの列とに切り換えて照射することが可能になる。要は、切り換えの前後のいずれの状態においても、複数のビーム(レーザビーム)のそれぞれが対応するアパーチャ58a又は58bを含む光電素子136a上の領域に照射されれば良い。すなわち、光電素子136a上の複数のアパーチャ58a又は58bそれぞれのサイズが、対応するビームの断面のサイズより小さければ良い。
[0147]
 なお、光電素子136aにピッチが互いに異なる3種類以上のアパーチャの列を光電変換素子の遮光膜58上に形成し、上述と同様の手順で露光を行うことで、3つ以上のピッチのカットパターンの形成に対応可能にしても良い。
[0148]
 上述したように、投影光学系86の倍率を変更すると、ビーム(レーザビーム)の被照射面内の単位面積当たりのビームの強度が変わるので、予めシミュレーションなどで、倍率の変化とビームの強度の変化との関係を求めておき、その関係に基づいて、ビームの強度を変更(調整)することとしても良い。あるいは、倍率を変更したときの一部のビームの強度をセンサで検出し、その検出された強度の情報に基づいてビームの強度を変更(調整)することとしても良い。後者の場合、例えば図27に示されるように、光電素子136の基材の上面の一端部にセンサ135を設け、上述したアクチュエータによって光電素子136を駆動することでセンサ135をXY平面内の所望の位置に移動可能に構成しても良い。なお、光電素子136は、XY平面内での移動のみでなく、光軸AXeに平行なZ軸方向に移動可能、XY平面に対して傾斜可能、光軸AXeに平行なZ軸回りに回転可能に構成しても良い。
[0149]
 ところで、これまでは、特に説明しなかったが、光電層60は、ある程度の面積を有するため、その面内の光電変換効率が均一である保証はなく、光電層60は光電変換効率の面内分布を有すると考えるのが実際的である。したがって、光電層60の光電変換効率の面内分布に応じて、光電素子に照射される光ビームの強度の調整を行なっても良い。すなわち、光電層60が第1の光電変換効率の第1部分と第2の光電変換効率の第2部分とを有するとすると、第1の光電変換効率及び第2の光電変換効率にそれぞれ基づいて、第1部分に照射されるビームの強度及び第2部分に照射されるビームの強度を調整することとしても良い。あるいは、第1の光電変換効率と第2の光電変換効率との違いを補償するように第1部分に照射される光ビームの強度と第2部分に照射される光ビームの強度を調整しても良い。
[0150]
 また、本第2の実施形態に係る露光装置1000において、アパーチャ一体型光電素子136に代えて、アパーチャ板(アパーチャ部材)が光電素子と別体であるいわばアパーチャ別体型光電素子を用いても良い。図32(A)に示されるアパーチャ別体型光電素子138は、基材134の下面(光射出面)に光電層60が形成されて成る光電素子140と、光電素子140の基材134の上方(光入射面側)に例えば1μ以下の所定のクリアランス(間隙、ギャップ)隔てて配置された多数のアパーチャ58aが形成された遮光部材から成るアパーチャ板142とを含む。
 アパーチャ別体型光電素子を用いる場合、アパーチャ板142をXY平面内で駆動可能な駆動機構を設けることが望ましい。かかる場合には、前述したアパーチャ一体型光電素子136aと同様のマルチピッチ型のアパーチャを、アパーチャ板142に形成し、投影光学系86の倍率の拡大機能と、光電素子140とアパーチャ板142とを、両者の位置関係を維持した状態で駆動する機能とを用いることで、前述と同様の手順で、ピッチが異なるラインパターンの切断用のカットパターンの形成が可能になる。これに加えて、光電素子140をXY平面内で駆動可能な駆動機構を設けても良い。例えば、光電素子140及びアパーチャ板142の一方のみを駆動することで、アパーチャ板142と光電素子140とのXY平面内の相対位置をずらすことで、光電層60の長寿命化を図ることができる。なお、アパーチャ板142に対して投影光学系86をXY平面内で移動可能に構成しても良い。また、アパーチャ板142は、XY平面内での移動のみでなく、光軸AXeに平行なZ軸方向に移動可能、XY平面に対して傾斜可能、光軸AXeに平行なZ軸回りに回転可能に構成しても良く、光電素子140とアパーチャ板142とのギャップを調整可能としても良い。
 なお、アパーチャ別体型光電素子を用いる場合、光電素子140を移動する駆動機構だけを設けるようにしても良い。この場合も、光電素子140をXY平面内で移動することによって、光電層60の長寿命化を図ることができる。
 また、第1実施形態で説明した一体型光電素子を用いる場合にも、光電素子54を移動する駆動機構を設けても良い。この場合も、光電素子54をXY平面内で移動することによって、光電層60の長寿命化を図ることができる。
[0151]
 なお、上述したアパーチャ板のアパーチャと、光電素子のアパーチャとを併用しても良い。すなわち、前述したアパーチャ一体型光電素子の光ビームの入射側に、アパーチャ板を配置し、アパーチャ板のアパーチャを介したビームをアパーチャ一体型光電素子のアパーチャを介して光電層に入射させても良い。
 なお、ピッチが異なるラインパターンの切断用のカットパターンの形成に際して、上述のアパーチャ別体型光電素子を用いる場合、アパーチャ板を交換しても良い。
 また、上述のアパーチャ別体型光電素子を用いる場合、アパーチャ板の代わりに、透過型液晶素子などの空間光変調器を使って複数のアパーチャを形成しても良い。
[0152]
 なお、上では、ピッチが異なるラインパターンの切断用のカットパターンの形成に際して、投影光学系86の倍率の拡大機能を用いる場合について説明したが、倍率の変更の代わりに、投影光学系86からアパーチャ一体型光電素子136a又はアパーチャ板142の同一のアパーチャ列の複数のアパーチャにそれぞれ照射される複数のビームのピッチを変更する装置を設けても良い。例えば、投影光学系86と光電素子との間の光路中に、複数の平行平板を配置して、その傾斜角を変えることで複数のビームのピッチを変更することができる。
[0153]
 なお、アパーチャ一体型光電素子としては、図28(A)に示されるタイプに限らず、例えば図28(B)に示されるように、図28(A)の光電素子136において、アパーチャ58a内の空間が透明膜144で埋められたタイプの光電素子136bを用いることもできる。光電素子136bにおいて、透明膜144の代わりに、基材の一部がアパーチャ58a内の空間を埋めるようにすることもできる。
[0154]
 この他、図28(C)に示されるように、基材134の上面(光入射面)にクロムの蒸着によりアパーチャ58aを有する遮光膜58を形成し、基材134の下面(光射出面)に光電層60を形成したタイプの光電素子136c、あるいは図28(D)に示されるように、図28(C)の光電素子136cにおいて、アパーチャ58a内の空間が透明膜144で埋められたタイプの光電素子136dを用いることもできる。
[0155]
 この他、図28(E)に示されるように、基材134の下面に光電層60を形成し、光電層60の下面にアパーチャ58aを有するクロム膜58を形成したタイプの光電素子136eが存在する。なお、図28(E)のクロム膜58は、光ではなく、電子を遮蔽する役目を有している。
[0156]
 これまでに説明したアパーチャ一体型光電素子136、136a、136b、136c、136d、136eのいずれにおいても、基材134を石英のみでなく、石英と透明膜(単層、又は多層)の積層体によって構成しても良い。
[0157]
 なお、アパーチャ別体型光電素子を、例えば図32(A)に示される光電素子140とともに構成するために光電素子140とともに用いることができる、アパーチャ板は、アパーチャ板142のようにアパーチャを有する遮光部材のみから成るタイプに限らず、基材と遮光膜とが一体のアパーチャ板を用いることもできる。このタイプのアパーチャ板としては、例えば図32(B)に示されるように、例えば石英から成る基材144の下面(光射出面)にクロムの蒸着によりアパーチャ58aを有する遮光膜58が形成されたアパーチャ板142a、図32(C)に示されるように、石英から成る板部材146と透明膜148とから成る基材150と、この基材150の下面(光射出面)にクロムの蒸着によりアパーチャ58aを有する遮光膜58が形成されたアパーチャ板142b、図32(D)に示されるように、アパーチャ板142aにおいて、アパーチャ58a内の空間が透明膜148で埋められたアパーチャ板142c、図32(E)に示されるように、アパーチャ板142aにおいて、アパーチャ58a内の空間が、基材144の一部によって埋められているアパーチャ板142dを用いることができる。なお、アパーチャ板142、142a、142b、142c,142dは、いずれも上下反転して用いることもできる。
[0158]
 なお、前述した第1の実施形態において、光電カプセル50の本体部52の真空隔壁を兼ねる光電素子54に代えて、本体部52に真空隔壁を設け、その真空隔壁の下に所定のクリアランスを介して前述した種々のタイプのアパーチャ一体型光電素子、又はアパーチャ別体型光電素子を配置し、本体部52の内部に収納しても良い。アパーチャ一体型光電素子136(136a~136d)の駆動機構、又は光電素子140とアパーチャ板142(142a~142d)との少なくとも一方を移動する駆動機構を設けても良い。
[0159]
 また、これまでは、光電素子54、136、136a~136e及びアパーチャ板142、142a~142dの複数のアパーチャ58aは、全てが同一サイズ、同一形状であることを前提として説明を行っているが、複数のアパーチャ58aの全てのサイズが同一でなくても良いし、形状も全てのアパーチャ58aで同一でなくても良い。要は、アパーチャ58aは、対応するビームがその全域に照射されるように、その対応するビームのサイズより小さければ良い。
[0160]
 なお、第2の実施形態に係る露光装置1000において、アパーチャ板142を使わなくても良い。この場合も、前述と同様、ウエハWは、Y軸方向に移動しながら電子ビームが照射される走査露光によって露光される。この場合、X軸方向に第1のピッチ(例えばピッチ(間隔)a)で複数の光ビームを光電素子140の基材134を介して光電層60に照射可能な第1状態と、X軸方向に第2のピッチ(例えばピッチ(間隔)b)で複数の光ビームを光電素子140の基材134を介して光電層60に照射可能な第2状態との一方から他方へ切り換えることで、ピッチが異なるラインパターンの切断用のカットパターン形成が可能になる。この場合も、投影光学系86の倍率の変更機能を併用しても良い。この場合も、倍率の変更の代わりに、投影光学系86から光電素子140に照射される複数のビームのピッチ(間隔)を変更する装置を設けても良い。例えば、投影光学系86と光電素子との間の光路中に、複数の平行平板を配置して、その傾斜角を変えることで複数のビームのピッチ(間隔)を変更することができる。この場合も、3つ以上のピッチのカットパターンの形成に対応可能にしても良い。
[0161]
 また、上記第1及び第2の実施形態(以下、各実施形態と称する)では、露光装置100、1000が備える光学系が、複数のマルチビーム光学システム200を備えるマルチカラムタイプである場合について説明したが、これに限らず、光学系は、シングルカラムタイプのマルチビーム光学系であっても良い。かかるシングルカラムタイプのマルチビーム光学系であっても、上で説明したドーズ制御、倍率制御、パターンの結像位置ずれの補正、ディストーション等の各種の収差の補正などは、光電素子又はアパーチャ板を用いた各種要素の補正、光電層の長寿命化などは適用可能である。
[0162]
 なお、上記各実施形態において、周壁部76に開口を設けて、第2の真空室72とステージチャンバ10の内部とを1つの真空室としても良い。あるいは、周壁部72の上端部の一部のみを残すとともに、クーリングプレート74を取り去って、第2の真空室72とステージチャンバ10の内部とを1つの真空室としても良い。
[0163]
 また、上記各実施形態では、ウエハWが単独でウエハステージWST上に搬送され、そのウエハステージWSTを走査方向に移動しつつ、マルチビーム光学システム200からウエハWにビームを照射して露光を行う露光装置100について説明したが、これに限らず、ウエハWがシャトルと呼ばれるウエハと一体で搬送可能なテーブル(ホルダ)と一体でステージ上で交換されるタイプの露光装置にも、上記各実施形態(ウエハステージWSTを除く)は適用が可能である。
[0164]
 また、上記各実施形態では、ウエハステージWSTが、Xステージに対して6自由度方向に移動可能な場合について説明したが、これに限らず、ウエハステージWSTはXY平面内でのみ移動可能であっても良い。この場合、ウエハステージWSTの位置情報を計測する位置計測系28も、XY平面内の3自由度方向に関する位置情報を計測可能であっても良い。
[0165]
 上記各実施形態では、光学システム18が、ステージチャンバ10の天井部を構成するフレーム16を介して床面上に支持される場合について説明したが、これに限らず、クリーンルームの天井面又は真空チャンバの天井面に、防振機能を備えた吊り下げ支持機構によって例えば3点で吊り下げ支持されていても良い。
[0166]
 また、コンプリメンタリ・リソグラフィを構成する露光技術は、ArF光源を用いた液浸露光技術と、荷電粒子ビーム露光技術との組み合わせに限られず、例えば、ラインアンドスペースパターンをArF光源やKrF等のその他の光源を用いたドライ露光技術で形成しても良い。
[0167]
 なお、上記各実施形態では、ターゲットが半導体素子製造用のウエハである場合について説明したが、上記各実施形態に係る露光装置100、1000は、ガラス基板上に微細なパターンを形成してマスクを製造する際にも好適に適用できる。
[0168]
 半導体素子などの電子デバイス(マイクロデバイス)は、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態に係る電子ビーム露光装置及びその露光方法によりウエハに対する露光(設計されたパターンデータに従ったパターンの描画)を行うリソグラフィステップ、露光されたウエハを現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記各実施形態の露光装置100、1000のいずれかを用いて前述の露光方法を実行することで、ウエハ上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のマイクロデバイスを生産性良く(歩留まり良く)製造することができる。特に、リソグラフィステップで、前述したコンプリメンタリ・リソグラフィを行い、その際に上記各実施形態の露光装置100、1000のいずれかを用いて前述の露光方法を実行することで、より集積度の高いマイクロデバイスを製造することが可能になる。
[0169]
 なお、上記各実施形態では、電子ビームを使用する露光装置について説明したが、露光装置に限らず、溶接など電子ビームを用いてターゲットに対する所定の加工及び所定の処理の少なくとも一方を行う装置、あるいは電子ビームを用いる検査装置などにも上記実施形態の電子ビーム装置は適用することができる。
[0170]
 なお、上記各実施形態では、光電層60がアルカリ光電変換膜によって形成される場合について説明したが、電子ビーム装置の種類、用途によっては、光電層として、アルカリ光電変換膜に限らず、その他の種類の光電変換膜を用いて光電素子を構成しても良い。
 また、上述の各実施形態では、部材、開口、穴などの形状を、円形、矩形などを用いて説明している場合があるが、これらの形状に限られないことは言うまでもない。
[0171]
 上述の実施形態では、図11(A)などに示すように、反射型のパターンジェネレータ84を用いているので、照明系82によりパターンジェネレータ84の受光面を斜入射照明している。この場合、パターンジェネレータ84の受光面で図11(A)の紙面(YZ平面)において鉛直方向(Z方向)に対して斜めに反射された光を投影光学系86で有効に取り込むことが求められる。別の表現をすれば、パターンジェネレータ84の受光面からの反射光を、投影光学系86を介して光電素子(光電変換素子)54の光電変換面まで有効に導く必要がある。以下、斜入射照明されたパターンジェネレータ84の受光面からの反射光を有効に取り込むことのできる投影光学系の基本構成について説明する。
[0172]
 図33は、第1のタイプの構成にしたがう投影光学系の構成を概略的に示す図である。図33では、図11(A)と同じ全体座標(X,Y,Z)を用いており、図33の紙面と図11(A)の紙面とは互いに同じXY平面である。以下、他の関連する図においても、特記しない限り、図11(A)と同じ全体座標(X,Y,Z)を用いている。そして、理解を容易するために、全体座標(X,Y,Z)のZ方向が空間の鉛直方向と一致し、XY平面が空間の水平面と一致しているものとする。
[0173]
 第1のタイプの構成では、図33に示すように、パターンジェネレータ84の受光面84dの法線が図33の紙面(YZ平面)において投影光学系86Aの光軸AXoに対して傾き、且つ光電素子54の光電変換面54aの法線も図33の紙面において投影光学系86Aの光軸AXoに対して傾くように配置されている。そして、受光面84dと光電変換面54aとは投影光学系86Aを介して光学的に共役に配置され、光電変換面54aは水平に配置されている。なお、図33では、投影光学系86Aは、開口絞りASを挟んで2つのレンズのみ図示しているが、実際には、パターンジェネレータ84と開口絞りASとの間には複数のレンズが配置され、開口絞りASと光電素子54の光電変換面54aとの間には複数のレンズが配置されている。
[0174]
 すなわち、投影光学系86Aは、その物体面に対応する受光面84dおよび像面に対応する光電変換面54aに関してシャインプルーフの条件を満足している。なお、パターンジェネレータ84として光回折型ライトバルブGLVを用いる場合、受光面84dとは基準状態にある複数の反射素子(上述の実施形態ではリボン84bに対応)の反射面が配置される面である。なお、パターンジェネレータ84の受光面84dを、パターンジェネレータ84が有する複数の反射素子の反射面が配置される配置面と称してもよい。その結果、投影光学系86Aの光軸AXoは図33の紙面において鉛直方向(Z方向)に対して傾いており、受光面84dは図33の紙面において水平方向(Y方向)に対して傾いている。なお、パターンジェネレータ84の受光面84dの法線は、図33におけるYZ平面をY軸廻りに(θy方向に)回転させた面において投影光学系86Aの光軸AXoに対して傾いていてもよい。このときには、光電素子54の光電変換面54aの法線も図33におけるYZ平面をY軸廻りに(θy方向に)回転させた面において投影光学系86Aの光軸AXoに対して傾いていればよい。言い換えると、パターンジェネレータ84の受光面84dの法線は、図33におけるZ軸をX軸廻りに(θx方向に)回転させ、且つY軸廻りに(θy方向に)回転させたものであってもよい。また、光電素子54の光電変換面54aの法線も、図33におけるZ軸をY軸廻りに(θy方向に)回転させたものであってもよい。
[0175]
 図33に示す第1のタイプの構成では、投影光学系86Aの光軸AXoを鉛直方向からX軸廻りに(すなわちθx方向に)所定の角度だけ傾けて設置するだけでよく、投影光学系自体の構成に変化を加える必要は無い。具体的に、投影光学系86Aの倍率が1/6である場合、投影光学系86Aの光軸AXoの傾き角度は約1.7度である。また、光電変換面54aが水平面(XY平面)に沿って配置されているので、後続の電子光学系(電子ビーム光学系)70の光軸AXeに対して光電変換面54aを垂直に設定すれば、電子光学系70の光軸AXeを鉛直方向に一致させることができ、電子光学系70の設置が容易である。この場合、電子光学系70の光軸AXeに対して光電変換面54aが垂直に設定されているので、電子光学系70の収差補正の負担を低減させることができる。
[0176]
 図33では、パターンジェネレータ84の入射側(光入射側)に、光路折り曲げ用のミラー98が配置されている。また、ミラー98の入射側には、所定の楔角(頂角)を有する楔プリズム182eが配置されている。投影光学系86Aと照明光学系との間(厳密にはパターンジェネレータ84と照明光学系との間)に配置された偏向部材としてのミラー98、および照明光学系の集光点調整部材としての楔プリズム182eの作用については後述する。
[0177]
 第1のタイプの構成では、投影光学系86Aの光軸AXoを鉛直方向に対して傾けているが、図34に示すように、投影光学系86Bの光軸AXoを鉛直方向(Z方向)に一致させ、受光面84dおよび光電変換面54aをともに水平方向(Y方向)に対して傾けて配置する構成も可能である。図34に示す第2のタイプの構成は、図33に示す第1のタイプの構成を単にX軸廻りに所定の角度だけ回転させることにより得られる。したがって、受光面84dと光電変換面54aとは、投影光学系86Bを介して光学的に共役に配置されている。なお、図34では、投影光学系86Bは、開口絞りASを挟んで2つのレンズのみ図示しているが、実際には、パターンジェネレータ84と開口絞りASとの間には複数のレンズが配置され、開口絞りASと光電素子54の光電変換面54aとの間には複数のレンズが配置されている。
[0178]
 また、投影光学系86Bは、その物体面に対応する受光面84dおよび像面に対応する光電変換面54aに関してシャインプルーフの条件を満足している。第2のタイプの構成では、光軸AXoが鉛直方向に延びているので、投影光学系86Bの設置が容易である。ただし、光電変換面54aが水平面(XY平面)に対して傾いているので、後続の電子光学系70の光軸AXeに対して光電変換面54aを垂直に設定すれば、電子光学系70の光軸AXeが鉛直方向に対して傾くことになる。
[0179]
 第1のタイプの構成および第2のタイプの構成では、図35に示すように、平行平面板状の透明基板(上述の実施形態における透明な板部材56に対応)56の射出側(光射出側:図35の下側)に設けられた光電変換面(上述の実施形態におけるアルカリ光電層60の光電変換面に対応)54aに入射する光の主光線Chは、光電変換面54aの位置に依存することなく互いに同じ角度であるが、光電変換面54aに対して非垂直である。なお、図35では、図面の明瞭化のために、透明基板56と光電変換面54aとの間に設けられた遮光膜(ピンホール)58の図示を省略している。
[0180]
 この場合、例えば上側周辺光線UPMLと下側周辺光線UNMLと主光線Chとの間で透明基板56における光路長が異なるため、コマ収差が発生する。第1のタイプの構成および第2のタイプの構成において、光電変換面54aへの斜入射に起因して発生するコマ収差を補正するには、図36に示すように、透明基板56aの入射側の面(図36中右側の面)を投影光学系86A,86Bの光軸AXoと直交させて、透明基板56aを非平行平面板状に、すなわち楔プリズム状に形成すれば良い。なお、図36において、透明基板56aの入射側には、平行平面板の形態を有する真空隔壁用の窓ガラス56Aが配置されている。なお、透明基板56aの入射側の面を投影光学系86A,86Bの光軸AXoと直交させる場合には限定されず、透明基板56aの入射側の面を透明基板56aの射出側の面(光電変換面54a)に対して非平行としても良い。
[0181]
 あるいは、図37に示すように、透明基板56bの入射側の面と射出側の面とを平行に構成する必要がある場合、透明基板56bの入射側に間隔を隔てて配置された真空隔壁用の窓ガラス56Bの入射側の面(図37中右側の面)が投影光学系86A,86Bの光軸AXoと直交し、その射出側の面(図37中左側の面)の法線が図37の紙面において光軸AXoに対して傾くように形成しても良い。換言すれば、透明基板56bを平行平面板状に形成し、窓ガラス56Bを楔プリズム状に形成することにより、光電変換面54aへの斜入射に起因して発生するコマ収差を補正しても良い。第2の透明基板である窓ガラス56A,56Bは、電子光学系70の真空空間と外部雰囲気との境界に位置している。なお、透明基板56bの入射側の面と射出側の面とを平行に構成する必要がない場合であっても、真空隔壁用の窓ガラス56Bの入射側の面を投影光学系86A,86Bの光軸AXoと直交させ、その射出側の面(図37中左側の面)の法線を図37の紙面において光軸AXoに対して傾くように形成しても良い。
[0182]
 また、図示を省略するが、光電変換面54aへの斜入射に起因して発生するコマ収差を補正できる形状を有する非球面形状の光学面を投影光学系86A,86Bに導入しても良い。この非球面形状の光学面の数は1つには限定されない。透明基板56bを楔プリズム状に形成する図36の手法と非球面形状の光学面を投影光学系86A,86Bに導入する手法とを組み合わせたり、窓ガラス56Bを楔プリズム状に形成する図37の手法と非球面形状の光学面を投影光学系86A,86Bに導入する手法とを組み合わせたりして、光電変換面54aへの斜入射に起因して発生するコマ収差を補正しても良い。
[0183]
 第3のタイプの構成では、図38に示すように、パターンジェネレータ84の受光面84dは、その法線が図38の紙面(YZ平面)において投影光学系86Cの光軸AXoに対して傾くように配置されているが、光電変換面54aは投影光学系86Cの光軸AXoと直交するように配置されている。具体的には、投影光学系86Cの光軸AXoは鉛直方向(Z方向)に延びており、光電変換面54aは水平面(XY平面)に沿って配置されている。そして、受光面84dと光電変換面54aとの間に光学的な共役関係を確保するために、投影光学系86Cはその光軸AXoに関して偏心配置された少なくとも1つの光学部材86Caを有する。なお、図38では、投影光学系86Cは、開口絞りASを挟んで2つのレンズのみ図示しているが、実際には、パターンジェネレータ84と開口絞りASとの間には複数のレンズが配置され、開口絞りASと光電素子54の光電変換面54aとの間には複数のレンズが配置されている。
[0184]
 すなわち、光学部材86Caは、投影光学系86Cの光軸AXoに対して偏心配置されている。光学部材86Caの光軸は、投影光学系86Cの光軸AXoから外れて(例えばY方向に偏心して)いてもよく、投影光学系86Cの光軸AXoに対して傾いていてもよく、これらが組み合わされていてもよい。第3のタイプの構成では、光軸AXoが鉛直方向に延びているので、投影光学系86Cの設置が容易である。また、光電変換面54aが水平面に沿って配置されているので、後続の電子光学系70の光軸AXeに対して光電変換面54aを垂直に設定すれば、電子光学系70の光軸AXeを鉛直方向に一致させることができ、電子光学系70の設置が容易である。この場合、電子光学系70の光軸AXeに対して光電変換面54aが垂直に設定されているので、電子光学系70の収差補正の負担を低減させることができる。
 なお、図38では、投影光学系86Cの光軸AXoに対して偏心配置されている光学部材86Caは、開口絞りASと光電素子54の光電変換面54aとの間の光学部材であるが、これに代えて、或いは加えて、パターンジェネレータ84の受光面84dと開口絞りASとの間の光学部材を投影光学系86Cの光軸AXoに対して偏心配置してもよい。また、偏心配置する光学部材の数は1つには限定されず、複数の光学部材を偏心配置してもよい。
[0185]
 第4のタイプの構成では、図39に示すように、パターンジェネレータ84の受光面84dおよび光電変換面54aは、その法線が投影光学系86Dの光軸AXoに平行で且つ投影光学系86Dの光軸AXoからそれぞれY方向に離れて配置されている。別の表現をすると、パターンジェネレータ84の複数の反射素子(例えばリボン84b)は、その反射面の法線が投影光学系86Dの光軸AXoに平行で且つ投影光学系86Dの光軸AXoを含むYZ面において投影光学系86Dの光軸AXoから離れて配置されている。そして、投影光学系86Dの光軸AXoは鉛直方向(Z方向)に延びており、受光面84dおよび光電変換面54aはともに水平面(XY平面)に沿って配置されている。受光面84dと光電変換面54aとは、投影光学系86Dを介して光学的に共役に配置されている。なお、図39では、投影光学系86Dは、開口絞りASを挟んで2つのレンズのみ図示しているが、実際には、パターンジェネレータ84と開口絞りASとの間には複数のレンズが配置され、開口絞りASと光電素子54の光電変換面54aとの間には複数のレンズが配置されている。
[0186]
 第4のタイプの構成では、光軸AXoが鉛直方向に延びているので、投影光学系86Dの設置が容易である。また、投影光学系86Dの射出側(光電変換面54a側)ではテレセントリックであるが、入射側(受光面84d側)では非テレセントリックであるため、パターンジェネレータ84を、ひいてはその受光面84dをZ方向に移動させることにより、投影光学系86Dの倍率を補正(調整)することができる。また、光電変換面54aが水平面に沿って配置されているので、後続の電子光学系70の光軸AXeに対して光電変換面54aを垂直に設定すれば、電子光学系70の光軸AXeを鉛直方向に一致させることができ、電子光学系70の設置が容易である。この場合、電子光学系70の光軸AXeに対して光電変換面54aが垂直に設定されているので、電子光学系70の収差補正の負担を低減させることができる。
[0187]
 第1~第4のタイプの構成にしたがう投影光学系86A~86Dは、複数の反射素子を有し、照明光学系からの光で複数の光ビームを発生するパターンジェネレータ84からの複数の光ビームを、光電素子54の光電変換面54aに投影する。別の表現をすれば、投影光学系86A~86Dは、パターンジェネレータ84の受光面84dと光電変換面54aとを光学的に共役にして、パターンジェネレータ84からの複数の光ビームを光電変換面54aに投影する。
[0188]
 第1~第3のタイプの構成では、パターンジェネレータ84の受光面84dの法線は、投影光学系86A~86Cの光軸AXoを含むYZ平面において光軸AXoに対して傾いている。第4のタイプの構成では、パターンジェネレータ84は、投影光学系86Dの光軸AXoから離れて配置されている。ただし、第1~第4のタイプの構成では、パターンジェネレータ84側の主光線、すなわちパターンジェネレータ84からの反射光の主光線が、投影光学系86A~86Dの光軸AXoを含むYZ平面において受光面54aの法線に対して傾いている点で共通している。その結果、斜入射照明されたパターンジェネレータ84の受光面84dからの反射光を、投影光学系86A~86Dを介して光電変換面54aまで有効に導くことが、ひいては受光面84dからの反射光を投影光学系86A~86Dへ有効に取り込むことができる。
[0189]
 また、第1~第4のタイプの構成では、光電変換面54aに入射する光の主光線が光電変換面54aの位置に依存することなく一定の角度である点で共通している。その結果、光電変換面54aが投影光学系86A~86Dの光軸AXoの方向に位置ずれしても、光電変換面54aの位置ずれが投影光学系86A~86Dの結像性能に与える影響を小さく抑えることができる。言い換えると、光電変換面54aが光軸AXoの方向に位置ずれしても、光電変換面54a上に形成される光パターンの崩れを抑えることができる。ひいては、電子光学系70を介してウエハ上に形成される電子ビームの照射領域の形状を所望の形状にすることができる。特に、第3および第4のタイプの構成では、光電変換面54aに入射する光の主光線が光電変換面54aの位置に依存することなく光電変換面54aに垂直である。このように、投影光学系86C,86Dが射出側でテレセントリックであるため、光電変換面54aの位置ずれが投影光学系86C,86Dの結像性能に与える影響をさらに小さく抑えることができる。
[0190]
 また、上述したように、第1、第3および第4のタイプの構成では、光電変換面54aが水平面に沿って配置されている。このことは、後続の電子光学系70の光軸Aeを鉛直方向に一致させて、その光軸AXeを光電変換面54aに対して垂直に設定することができることを意味している。その結果、電子光学系70での収差補正の負担を軽くして、その設計を容易し、機構を簡素化することができる。
[0191]
 次に、パターンジェネレータ84の受光面84dを斜入射照明する照明系82について説明する。上述の実施形態では、パターンジェネレータ84としてGLVを用いており、その受光面84dにおいて図11(A)の紙面(YZ平面)と直交するX方向に細長い矩形状の照野(スリット状の照野)を、X方向と直交する方向(受光面84dがXY平面に沿って配置されている場合にはY方向)に間隔を隔てて複数形成する必要がある。そして、電子ビーム処理、例えば電子ビーム露光を良好に行うために、パターンジェネレータ84の受光面84d上の位置に依存することなく斜め方向から均一照明することが求められる。ここで、受光面84dを均一照明することは、各スリット状の照野内の照度をほぼ均一にすること、各照野の形状を所望のスリット状にすること、すべての照野の間で照度、形状、照明NAなどを均一化することなどを意味している。なお、すべての照野の間で照度、形状、照明NAなどが所定の誤差の範囲内でばらついていてもよいことは言うまでもない。
[0192]
 以下、理解を容易にするために、照明系82の光軸AXiと直交する被照射面に複数のスリット状の照野を間隔を隔てて形成する照明光学系の基本構成について説明する。図40に示す照明光学系182Aには、光源部82aからレーザ光が間欠的に供給される。図40では、照明光学系182Aの光軸AXiに沿ってz1軸を、光軸AXiと直交する面において図40の紙面の鉛直方向にy1軸を、図40の紙面と直交する方向にx1軸を設定している。この局所座標(x1,y1,z1)と図11(A)の全体座標(X,Y,Z)との間において、x1,y1,z1軸が、X,Y,Z軸にそれぞれ対応している。
[0193]
 光源部82aは、図40の紙面(y1z1平面)と直交するx1方向に細長い矩形状の発光部を有する。光源部82aとして、例えば、高コヒーレンスの半導体レーザ光源を用いることができる。具体的には、前述したように、光源部82aとして、例えば波長365nmのレーザ光を連続発振するレーザダイオード88と、AO偏向器90とを含み、波長365nmのレーザ光(レーザビーム)を間欠的に発光可能な光源部を用いることができる。あるいは、光源部82aとして、レーザダイオード88自体を間欠的に発光させる光源部を用いることができる。なお、光源部82aは連続的にレーザ光を供給するものであってもよい。この場合、光源部82aの射出側にシャッタを設けてもよい。
[0194]
 照明光学系182Aは、光源部82aから光軸AXiと直交する被照射面82cに向かって順に、光源部82aからの光を集光するコリメータ光学系182aと、光軸AXiと直交するx1y1平面に沿って並列的に配置された複数の波面分割要素(例えば微小レンズ)182baを有するオプティカルインテグレータ182bと、オプティカルインテグレータ182bの射出側の照明瞳からの光束を被照射面82cにおいて重畳させるように集光するフーリエ変換光学系182cとを有する。なお、オプティカルインテグレータ182bをフライアイレンズ系と称してもよい。また、フーリエ変換光学系182cは集光光学系と称してもよい。
[0195]
 照明光学系182Aでは、光源部82aからの光が、コリメータ光学系182aを介して、ほぼ平行な光束となってオプティカルインテグレータ182bに入射する。オプティカルインテグレータ182bに入射した光束は、複数の波面分割要素182baにより波面分割され、各波面分割要素182baの射出側にはそれぞれ1つの光源像が形成される。すなわち、オプティカルインテグレータ182bの各波面分割要素182baの射出側の照明瞳には、x1方向に細長い矩形状の光源像が形成される。すなわち、照明光学系182Aの照明瞳には、x1方向に細長い矩形状の光源像が複数形成される。なお、照明光学系182Aの照明瞳に形成される複数の光源像は、細長い矩形状のものに限定されず、例えば長丸形状や楕円形状であってもよい。
[0196]
 照明光学系182Aの照明瞳に形成された複数の光源像からの光束は、フーリエ変換光学系182cを介して被照射面82cで重畳されるように集光する。すなわち、フーリエ変換光学系182cは、照明瞳に形成された複数の光源像からの光束を被照射面82cに集光する集光光学系を構成している。その結果、各波面分割要素182baを経た光束がy1方向に干渉縞を形成することにより、図41に示すように、x1方向に細長い複数のスリット状の照野82caがy1方向に間隔を隔てて形成される。このように、光源部82aは、x1方向の長さがy1方向よりも長い発光部を有し、その可干渉性はx1方向よりもy1方向の方が高い。
[0197]
 図40に示す照明光学系182Aでは、波面分割型のオプティカルインテグレータ182bを用いているが、図42に示すように、オプティカルインテグレータ182bに代えて回折光学素子182dを用いる構成も可能である。回折光学素子182dは、光源部82aからの光を回折して、照明光学系182Bの光軸AXiに対する角度が離散的に異なる複数の光束を射出する光学素子である。回折光学素子182dとして、例えばダマン回折格子(dammann回折格子)のような回折光学素子を用いることができる。
[0198]
 図42に示す照明光学系182Bでは、光源部82aからの光がコリメータ光学系182aを介して、ほぼ平行な光束となって回折光学素子182dに入射する。回折光学素子182dを経た光、光軸AXiに対する角度が離散的に異なる複数の光束は、フーリエ変換光学系182cによってそれぞれ被照射面82cにおける異なる位置に集光される。この場合、フーリエ変換光学系182cは、回折光学素子182dからの複数の光束を被照射面82cに集光する集光光学系を構成している。その結果、図41に示すように、x1方向に細長い複数のスリット状の照野82caが、y1方向に間隔を隔てて形成される。換言すれば、回折光学素子182dの回折光学面は、ほぼ平行な入射光束が入射したときに、ファーフィールド領域(遠視野領域)に複数のスリット状の照野を形成するように設計されており、この回折光学素子182dをフーリエ変換光学系182cと組み合わせて用いることにより、ファーフィールド領域(遠視野領域)に形成されている複数のスリット状の照野は、回折光学素子から有限距離の面、典型的には被照射面に形成される。この結果、被照射面82cに図41に示すような複数のスリット状の照野82caが形成される。
[0199]
 被照射面82cが照明光学系182A,182Bの光軸AXiと直交している場合、図41に示すような複数のスリット状の照野82caを形成しつつ被照射面82cを均一照明することは比較的容易である。しかしながら、上述の実施形態では、反射型のパターンジェネレータ84の前後で光路を分離するために、照明系82によりパターンジェネレータ84の受光面84dを斜め方向から均一照明することが求められる。換言すれば、被照射面である受光面84dの前後で光路分離を実現するために、照明系82の光軸AXiに対して非垂直な被照射面を斜め方向から均一照明することが求められる。
[0200]
 図43は、図40に示す照明光学系182Aにおいて被照射面82cが光軸AXiに対して非垂直な場合に発生する不都合を説明する図である。ただし、図43では、図面の明瞭化のために、オプティカルインテグレータ182bから被照射面82cまでの構成を示し、コリメータ光学系182aの図示を省略している。コリメータ光学系182aの図示を省略している点は、関連する図44、図46~図49においても同様である。
[0201]
 図43では、オプティカルインテグレータ182bの射出側の照明瞳に形成された複数の光源像から第1角度および第2角度で射出される光線群301,302がそれぞれ集光される位置P1およびP2と、複数の光源像から光軸AXiと平行に射出される(第3角度で射出される)光線群303が集光される位置P3とが、光軸AXi方向に沿って一致している。言い換えると、位置P1~P3を含む平面が光軸AXiと垂直である。その結果、照明光学系182Aの光軸AXiに対して法線方向が傾いた被照射面82c上に集光位置P3があるとき、集光位置P1は被照射面82cよりも後側(または前側)に位置し、集光位置P2は被照射面82cよりも前側(または後側)に位置することになる。
[0202]
 この場合、被照射面82cの集光位置P3に形成されるスリット状の照野82caの幅(被照射面82c上においてx1軸と直交するy2軸方向の寸法:y2軸は不図示)に比して、被照射面82cの集光位置P1およびP2に対応する位置に形成されるスリット状の照野82caの幅が大きくなる恐れがある。このことは、集光位置P3に形成されるスリット状の照野82caの照度よりも、集光位置P1およびP2に対応する位置に形成されるスリット状の照野82caの照度が小さくなることを意味し、ひいては形状および照度の観点において被照射面82cを均一照明することができない恐れがあることを意味している。さらに、集光位置P1およびP2に到達する光束に関連する瞳強度分布が、集光位置P3に到達する光束に関連する瞳強度分布に比べてぼけた瞳強度分布となる恐れがある。
[0203]
 このように、光軸AXiに対して傾いた被照射面82cを均一照明するには、被照射面82cに入射する光の集光点の位置を被照射面82cに近づけること、被照射面82cに入射する光の集光点の位置を被照射面82cに合わせて揃えることが求められる。言い換えると、被照射面82cに入射する光の集光点で規定される平面を被照射面82cと一致させることが求められる。図44は、図43に示す照明光学系182Aにおいてフーリエ変換光学系182cと被照射面82cとの間の光路中に楔プリズム182eを付設することにより集光点の位置を被照射面82cに近づける様子を示す図である。
[0204]
 以下、図45(a)および図45(b)を参照して、楔プリズム182eの光学的な作用を説明する。図45(a)および(b)では、説明の理解を容易にするために、光軸AXiと直交する入射側の面を有し且つ屈折率がnで楔角(頂角)がαの直角三角形状の楔プリズム182fを用いている。この場合、図45(a)に示すように、被照射面82cは、楔プリズム182fの楔角αの分だけ、照明光学系の光軸AXiの延長軸AXxに対して傾斜する。楔プリズム182fの作用により折り曲げられた光軸AXiの楔プリズム182fの射出側の面の法線に対する角度(射出角)α’は、α’=arcsin(n×sinα)で表され、楔プリズム182fの後側の光軸AXiに対する被照射面82cの法線の傾斜角もα’になる。
[0205]
 このように、図44の照明光学系182Aでは、フーリエ変換光学系182cと被照射面82cとの間の光路中に、光軸AXiに対する被照射面82cの傾きに応じた楔角を有する楔プリズム182eを付設することにより、光軸AXiを所要の角度だけ折り曲げて、各光束の集光点の位置を被照射面82cに近づけることができる。ここで、光軸AXiに対する被照射面82cの傾きに応じた楔角を有するとは、光軸AXiに対する被照射面82cの傾きに応じた屈折率と楔角とを有するとしてもよい。言い換えると、照明光学系182Aは、フーリエ変換光学系182cと被照射面82cとの間の光路中の楔プリズム182eによって、各光束の集光点によって規定される平面を被照射面82cに近づけることができる。この場合、楔プリズム182eは、オプティカルインテグレータ182bおよびフーリエ変換光学系182cを経て被照射面82cに入射する光の集光点の位置を被照射面(ひいてはパターンジェネレータ84の受光面84d)82cに近づける集光点調整部材を構成している。また、フーリエ変換光学系182cと楔プリズム182eとは、オプティカルインテグレータ182bの射出側の照明瞳に形成された複数の光源像からの光束を被照射面82cに集光する集光光学系182jを構成している。
[0206]
 このように、集光点調整部材としての楔プリズム182eは、照明光学系182Aの光軸AXiに対する被照射面82cの傾きに応じた楔角を有する。そして、楔プリズム182eは、各光束の集光点の位置を被照射面82cに近づけるために、オプティカルインテグレータ182bの射出側の照明瞳から第1方向に沿って射出される第1光束の照明瞳から被照射面82cまでの光路長と、照明瞳から第1方向と異なる第2方向に沿って射出される第2光束の照明瞳から被照射面82cまでの光路長とを揃える機能を有する。なお、楔プリズム182eでは、第1光束の照明瞳から被照射面82cまでの光路長と、第2光束の照明瞳から被照射面82cまでの光路長とを完全に揃える必要はなく、これら第1光束の照明瞳から被照射面82cまでの光路長と、第2光束の照明瞳から被照射面82cまでの光路長との差を小さくすればよいことは言うまでもない。
[0207]
 なお、図46に示すように、被照射面82cの傾きに応じた楔角を有する楔プリズム182eに代えて或いは加えて、照明光学系182Aの光軸AXiに沿った厚さが図46の紙面(y1z1平面)の鉛直方向(y1方向)に段階的に変化する段差板182gを集光点調整部材として用いることができる。この場合、フーリエ変換光学系182cと段差板182gとは、オプティカルインテグレータ182bの射出側の照明瞳に形成された複数の光源像からの光束を被照射面82cに集光する集光光学系182jを構成している。必要に応じて、楔プリズム182eと段差板182gとを組み合わせて集光点調整部材を構成することもできる。
[0208]
 あるいは、図47に示すように、楔プリズム182eまたは段差板182gの付設に代えて或いは加えて、被照射面82cに入射する光の集光点が被照射面82cに近づくようにフーリエ変換光学系182cを図47の紙面(y1z1平面)の鉛直方向(y1方向)に偏心配置することもできる。あるいは、図示を省略するが、複数の光源像からの光の集光点の位置が被照射面82cに近づくように、オプティカルインテグレータ182bの各波面分割要素182baの入射側の面を、その中心法線が図43の紙面において照明光学系182Aの光軸AXiに対して傾くように形成しても良い。
[0209]
 ただし、図45(b)に示すように光線追跡を行うと、楔プリズム182eに起因してコマ収差および非点収差が発生することがわかる。楔プリズム182eに起因してコマ収差や非点収差が発生すると、各スリット状の照野82caについて所望の照度、所望の形状などが得られなくなり、ひいては均一照明が困難になってしまう恐れがある。そこで、集光点調整部材として楔プリズム182e(または段差板182g)を用いる場合、楔プリズム182eなどに起因して発生するコマ収差や非点収差を補正しても良い。以下、図48および図49を参照して、楔プリズム182e(または段差板182g)に起因して発生する収差を補正する収差補正部材について説明する。
[0210]
 図48に示す構成では、フーリエ変換光学系182cの前側に、さらに詳細にはオプティカルインテグレータ182bとフーリエ変換光学系182cとの間の光路中においてオプティカルインテグレータ182bの射出側の照明瞳を含む照明瞳空間に、非点収差を発生させる第1収差発生部材182haと、コマ収差を発生させる第2収差発生部材182hbとを付設している。第1収差発生部材182haは、楔プリズム182eに起因して発生する非点収差を補正するために、例えばZ5で表されるツェルニケ関数で規定される非球面形状の光学面を用いて非点収差を発生させる。また、第2収差発生部材182hbは、楔プリズム182eに起因して発生するコマ収差を補正するために、例えばZ7で表されるツェルニケ関数で規定される非球面形状の光学面を用いてコマ収差を発生させる。
[0211]
 具体的に、Z5で表されるツェルニケ関数とは極座標系を用いるツェルニケ(Zernike)多項式における第5項にかかる関数であり、Z7で表されるツェルニケ関数とはツェルニケ多項式における第7項にかかる関数である。ツェルニケ関数やツェルニケ多項式の詳細については、例えば米国特許第7,405,803号公報などを参照することができる。図48において、第1収差発生部材182haと、第2収差発生部材182hbと、フーリエ変換光学系182cと、楔プリズム182eとは、オプティカルインテグレータ182bの射出側の照明瞳に形成された複数の光源像からの光束を被照射面であるパターンジェネレータ84の受光面84dに集光する集光光学系182jを構成している。
[0212]
 図48に示す構成では、非点収差を発生させる第1収差発生部材182haと、コマ収差を発生させる第2収差発生部材182hbとからなる第1の収差補正部材182hを用いて、楔プリズム182eに起因して発生するコマ収差および非点収差の双方を補正している。その結果、被照射面であるパターンジェネレータ84の受光面84dに集光する光が点像スポットを形成し、ひいては各スリット状の照野82caの幅を所望の寸法まで狭めて均一にすることができる。なお、図48に示す構成では、第1収差発生部材182haと第2収差発生部材182hbとを照明瞳空間に設けたが、第1収差発生部材182haと第2収差発生部材182hbとは別の空間、例えばフーリエ変換光学系182cを構成する複数の光学部材の間やフーリエ変換光学系182cと被照射面82cとの間に設けてもよい。また、フーリエ変換光学系182cを構成する複数の光学部材のうちの少なくとも1つの光学面を、非点収差を発生させる面形状として、この光学面を有する光学部材を第1収差発生部材182haとしてもよく、フーリエ変換光学系182cを構成する複数の光学部材のうちの少なくとも1つの光学面をコマ収差を発生させる面形状として、この光学面を有する光学部材を第2収差発生部材182hbとしてもよい。
[0213]
 図49に示す構成では、図48の第1の収差補正部材182hに代えて、コマ収差を発生させる第3収差発生部材として、図49の紙面(y1z1平面)の鉛直方向(y1方向)に偏心配置された(あるいは偏心可能な)アフォーカル光学系182kを用いている。すなわち、アフォーカル光学系182kは、第2の収差補正部材として、オプティカルインテグレータ182bとフーリエ変換光学系182cとの間の光路中に、さらに詳細にはオプティカルインテグレータ182bの射出側の照明瞳を含む照明瞳空間に配置されている。図49において、第2の収差補正部材182kと、フーリエ変換光学系182cと、楔プリズム182eとは、オプティカルインテグレータ182bの射出側の照明瞳に形成された複数の光源像からの光束を被照射面であるパターンジェネレータ84の受光面84dに集光する集光光学系182jを構成している。
[0214]
 図49に示す構成では、コマ収差を発生させる偏心アフォーカル光学系182kからなる第2の収差補正部材を用いて、楔プリズム182eに起因して発生するコマ収差だけを補正しているが、被照射面であるパターンジェネレータ84の受光面84dに集光する光が図49の紙面と直交する方向(x1方向)に細長い線状像スポットを形成し、ひいては各スリット状の照野82caの幅を所望の寸法まで狭めて均一にすることができる。なお、偏心アフォーカル光学系182kに代えて或いは加えて、フーリエ変換光学系182cを構成する複数の光学部材のうちの少なくとも1つの光学部材を、光軸AXiから偏心させる、或いは光軸AXiに対して傾斜させて、所要のコマ収差を発生させてもよい。なお、図49に示す偏心アフォーカル光学系182kと、図48の第2の収差補正部材182hbとを組み合わせて用いてもよく、図49に示す偏心アフォーカル光学系182kと、図48の第1の収差補正部材182haとを組み合わせて用いてもよい。
[0215]
 なお、図43、図44、図46~図49では、波面分割型のオプティカルインテグレータ182bを用いる照明光学系182Aに基づいて、集光点調整部材および収差補正部材の作用を説明しているが、回折光学素子182dを用いる照明光学系182Bに対しても同様に、上述した集光点調整部材や収差補正部材を適用することができる。この場合、図43、図44、図46~図49における波面分割型のオプティカルインテグレータ182bを回折光学素子182dに置き換えて理解すればよい。
[0216]
 以上のように、照明光学系182A,182Bは、オプティカルインテグレータ182bの射出側の照明瞳から第1方向に沿って射出される第1光束(例えば図43における光線群301)と、照明瞳から第1方向と異なる第2方向に沿って射出される第2光束(例えば図43における光線群302または303)とを集光する集光光学系182jを含み、光軸AXiに対して法線が傾くように配置されたパターンジェネレータ84の受光面84dを斜入射照明する。集光光学系182jは、第1光束の光軸AXi方向の集光位置と、第2光束の光軸AXi方向の集光位置とを異ならせる集光点調整部材182e(182gなど)を有する。言い換えると、集光光学系182jは、第1光束の光軸AXi方向の集光位置と、第2光束の光軸AXi方向の集光位置とを含む平面を被照射面に近づける集光点調整部材182eを有する。
[0217]
 集光光学系182jからの第1光束および第2光束は、受光面84d上の第1点および第1点と異なる第2点に集光される。集光点調整部材として、光軸AXiに対する受光面84dの傾きに応じた楔角を有する楔プリズム182eを用いることができる。楔プリズム182eは、オプティカルインテグレータ182bの射出側の照明瞳から受光面84dまでの第1光束の光路長と、照明瞳から受光面84dまでの第2光束の光路長との差を小さくする機能を有する。
[0218]
 集光点調整部材としての楔プリズム182eに代えて、あるいは楔プリズム182eに加えて、光軸AXiに沿った厚さが光軸AXiを横切る方向(例えば図46ではy1方向)で異なる段差板182gを用いることができる。集光光学系182jは、楔プリズム182eや段差板182gのような集光点調整部材に起因して発生する収差を補正する収差補正部材182h(または182k)を有する。収差補正部材182h(182ha,182hb)は、コマ収差および非点収差のうちの少なくとも一方を発生させる非球面形状の光学面を有する。収差補正部材182kは、光軸AXiを横切る方向に偏心したアフォーカル光学系を有する。
[0219]
 あるいは、集光光学系182jは、第1光束の光軸AXi方向の集光位置と、第2光束の光軸AXi方向の集光位置とを異ならせるように、光軸AXiに対して偏心配置されている少なくとも1つの光学部材182c、具体的には光軸AXiを横切る方向(例えば図47ではy1方向)に偏心配置されたフーリエ変換光学系182cを有する。あるいは、集光光学系182jにおいて、オプティカルインテグレータ182bの各波面分割要素182baの入射側の面の中心法線を、所定面(図47ではy1z1平面)において光軸AXiに対して傾けることにより、第1光束の光軸AXi方向の集光位置と、第2光束の光軸AXi方向の集光位置とを異ならせても良い。
[0220]
 別の表現をすると、照明光学系182A,182Bは、パターンジェネレータ84の受光面84d上の第1位置に達する第1光束と、受光面84d上の第2位置に達する第2光束とを集光する集光光学系182jを含み、光軸AXiに対して法線が傾くように配置された受光面84dを斜入射照明する。そして、集光光学系182jは、第1光束の光軸AXi方向の集光位置と、第2光束の光軸AXi方向の集光位置とを異ならせる集光点調整部材として、光軸AXiに対して受光面84dの法線が傾く方向に頂角(楔角)を持つ楔プリズム182eを有する。
[0221]
 また、別の表現をすると、照明光学系182A,182Bは、オプティカルインテグレータ182bの射出側の照明瞳から第1方向に沿って射出される第1光束と、照明瞳から第1方向と異なる第2方向に沿って射出される第2光束とを集光する集光光学系182jを含み、集光光学系182jは、パターンジェネレータ84の受光面84dを含む空間に配置されて、第1光束の光軸AXi方向の集光位置と第2光束の光軸方向AXiの集光位置とを異ならせる集光点調整部材182e(182gなど)を有する。
[0222]
 上述の照明光学系182A,182Bでは、集光光学系182jが第1光束の光軸AXi方向の集光位置と、第2光束の光軸方向AXiの集光位置とを異ならせる集光点調整部材182e(182gなど)を備えているので、この集光点調整部材182e(182gなど)の作用により各光束の集光位置をパターンジェネレータ84の受光面84dに近づけることができ、ひいては光軸AXiに対して傾くように配置された受光面84dを均一照明すること、ひいては良好な電子ビーム処理、例えば電子ビーム露光を行うことが可能になる。
[0223]
 また、上述の照明光学系182A,182Bでは、集光点調整部材として楔プリズム182eや段差板182gを用いる場合に、楔プリズム182eや段差板182gに起因して発生する収差を補正する収差補正部材182h(または182k)を集光光学系182jに付設することにより、光軸AXiに対して傾くように配置された受光面84dをさらに均一照明すること、ひいてはさらに良好な電子ビーム処理、例えば電子ビーム露光を行うことが可能になる。
[0224]
 前述したように、光源部82aと、照明光学系182A(または182B)と、パターンジェネレータ84と、投影光学系86A(または86B,86C,86D)とは、光電素子54に光を照射するための光照射装置80を構成する。すなわち、照明光学系182A(または182B)と、投影光学系86A(または86B,86C,86D)とは、パターンジェネレータ84を挟んで光学的に接続される。
[0225]
 図50は、いわゆるV字折り曲げタイプにしたがって、第1~第3タイプの投影光学系86A(86B,86C)を照明光学系182A(182B)に接続した様子を概略的に示す図である。図50の構成例では、図示を省略した照明光学系182A(182B)からの光が、光路折り曲げ用のミラー98で反射された後に、パターンジェネレータ84の受光面84dを斜入射照明する。受光面84dで反射された光は、第2の光路折り曲げ用のミラー99で反射された後に、投影光学系86A(86B,86C)を介して、光電素子54の光電変換面54aに照射される。
[0226]
 この構成例では、ミラー98で反射されて受光面84dに入射する光の光路と、受光面84dで反射されてミラー99に入射する光の光路とが、V字を形成している。ミラー99は、パターンジェネレータ84と投影光学系86A(86B,86C)との間に配置された偏向部材である。そして、ミラー98は照明光学系182A(182B)とパターンジェネレータ84との間に配置された第1反射面を有し、ミラー99はパターンジェネレータ84と投影光学系86A(86B,86C)との間に配置された第2反射面を有する。ここで、照明光学系182A(182B)からの照明光を折り曲げてパターンジェネレータ84に入射させる第1反射面は、照明光学系の光路を非垂直に偏向しているため、パターンジェネレータ84の受光面(被照射面)は、受光面(被照射面)の法線に対して斜め方向から照明されることになる。そして、パターンジェネレータ84からの複数のビームを投影光学系86A(86B,86C)に導く第2反射面も、投影光学系の光路を非垂直に偏向しているため、パターンジェネレータ84の受光面(投影光学系の物体面)からの複数のビームも、受光面(物体面)の法線に対して斜め方向に射出する。
 同様に、図51は、V字折り曲げタイプにしたがって、第4タイプの投影光学系86Dを照明光学系182A(182B)に接続した様子を概略的に示している。
[0227]
 図52は、いわゆるN字折り曲げタイプにしたがって、第1~第3タイプの投影光学系86A(86B,86C)を照明光学系182A(182B)に接続した様子を概略的に示す図である。図52の構成例では、図示を省略した照明光学系182A(182B)からの光が、光路折り曲げ用のミラー98で反射された後に、パターンジェネレータ84の受光面84dを斜入射照明する。受光面84dで反射された光は、投影光学系86A(86B,86C)に入射した後に、光電素子54の光電変換面54aに照射される。
[0228]
 この構成例では、照明光学系182A(182B)からミラー98に入射する光の光路と、ミラー98で反射されて受光面84dに入射する光の光路と、受光面84dで反射されて投影光学系86A(86B,86C)に入射する光の光路とが、N字を形成している。ミラー98は、照明光学系182A(182B)とパターンジェネレータ84との間に配置された偏向部材である。同様に、図53は、N字折り曲げタイプにしたがって、第4タイプの投影光学系86Dを照明光学系182A(182B)に接続した様子を概略的に示している。
 なお、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電子ビーム装置、電子ビーム露光装置、電子ビーム検査装置、電子ビーム加工装置及び電子ビーム装置を用いるデバイス製造方法もまた本発明の技術思想に含まれる。

符号の説明

[0229]
 10…ステージチャンバ、34…第1の真空室、50…光電カプセル、52…本体部、54…光電素子、58…遮光膜、58a…アパーチャ、58b…アパーチャ、60…光電層、62…Oリング、64…蓋部材、66…真空対応アクチュエータ、68…蓋収納プレート、68c…円形開口、70…電子ビーム光学系、72…第2の真空室、82…照明系、82b…成形光学系、84…パターンジェネレータ、86…投影光学系、88…レーザダイオード、98…ミラー、100…露光装置、102…回路基板、102a…開口、110…主制御装置、112…引き出し電極、134…基材、136…光電素子、140…光電素子、142…アパーチャ部材、144…基材、EB…電子ビーム、LB…レーザビーム、W…ウエハ、WST…ウエハステージ。
86A~86D 投影光学系
182A,182B 照明光学系
182a コリメータ光学系
182b オプティカルインテグレータ
182c フーリエ変換光学系
182d 回折光学素子
182e,182f 楔プリズム
182g 段差板
182h(182ha,182hb) 第1の収差補正部材
182j 集光光学系
182k 第2の収差補正部材

請求の範囲

[請求項1]
光電素子に光を照射し、前記光電素子から発生する電子ビームをターゲットに照射する電子ビーム装置であって、
 第1面を照明する照明光学系と、
 前記第1面に配置された複数の反射素子を有し、前記照明光学系からの光で複数の光ビームを発生するパターンジェネレータと、
 前記パターンジェネレータからの前記複数の光ビームを前記光電素子の光電変換面に投影する投影光学系と、を備え、
 前記照明光学系は、照明瞳から第1方向に沿って射出される第1光束と、前記照明瞳から前記第1方向と異なる第2方向に沿って射出される第2光束とを集光する集光光学系を含み、前記照明光学系の光軸に対して法線が傾くように配置された前記第1面を斜入射照明し、
 前記集光光学系は、前記第1光束の光軸方向の集光位置と、前記第2光束の前記光軸方向の集光位置とを異ならせる集光点調整部材を有する電子ビーム装置。
[請求項2]
前記集光光学系からの前記第1光束および前記第2光束は、前記第1面上の第1点および前記第1点と異なる第2点に集光される請求項1に記載の電子ビーム装置。
[請求項3]
前記集光点調整部材は、前記第1面の傾きに応じた楔角の楔プリズムを有する請求項1または2に記載の電子ビーム装置。
[請求項4]
前記楔プリズムは、前記照明瞳から前記第1面までの前記第1光束の光路長と、前記照明瞳から前記第1面までの前記第2光束の光路長とを揃える請求項3に記載の電子ビーム装置。
[請求項5]
前記集光点調整部材は、前記照明光学系の光軸に沿った厚さが前記光軸を横切る方向で異なる段差板を有する請求項1または2に記載の電子ビーム装置。
[請求項6]
前記集光光学系は、前記集光点調整部材に起因して発生する収差を補正する収差補正部材を有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子ビーム装置。
[請求項7]
前記収差補正部材は、コマ収差および非点収差のうちの少なくとも一方を発生させる非球面形状の光学面を有する請求項6に記載の電子ビーム装置。
[請求項8]
前記収差補正部材は、前記照明光学系の光軸を横切る方向に偏心したアフォーカル光学系を有する請求項6または7に記載の電子ビーム装置。
[請求項9]
前記集光光学系は、前記第1光束の光軸方向の集光位置と、前記第2光束の前記光軸方向の集光位置とを異ならせるように前記照明光学系の光軸に対して偏心配置されている少なくとも1つの光学部材を有する請求項1または2に記載の電子ビーム装置。
[請求項10]
前記第1面は、前記照明光学系の光軸と前記光軸を横切る方向とを含む第2面において、その法線が前記照明光学系の光軸に対して傾くように配置され、
 前記光学部材は、前記横切る方向に偏心配置されている請求項9に記載の電子ビーム装置。
[請求項11]
前記第1面は、前記照明光学系の光軸と前記光軸を横切る方向とを含む第2面において、その法線が前記照明光学系の光軸に対して傾くように配置され、
 光源からの光の光路中に並列的に配置された複数の波面分割要素を有し、第3方向に細長い複数の光源像を照明瞳に形成するオプティカルインテグレータの各波面分割要素の入射側の面は、前記第1光束の光軸方向の集光位置と、前記第2光束の前記光軸方向の集光位置とを異ならせるように、その中心法線が前記第2面において前記照明光学系の光軸に対して傾いている請求項1または2に記載の電子ビーム装置。
[請求項12]
光電素子に光を照射し、前記光電素子から発生する電子ビームをターゲットに照射する電子ビーム装置であって、
 第1面を照明する照明光学系と、
 前記第1面に配置された複数の反射素子を有し、前記照明光学系からの光で複数の光ビームを発生するパターンジェネレータと、
 前記パターンジェネレータからの前記複数の光ビームを前記光電素子の光電変換面に投影する投影光学系と、を備え、
 前記照明光学系は、前記第1面上の第1位置に達する第1光束と、前記第1面上の第2位置に達する第2光束とを集光する集光光学系を含み、前記照明光学系の光軸に対して法線が傾くように配置された前記第1面を斜入射照明し、
 前記集光光学系は、前記第1光束の光軸方向の集光位置と、前記第2光束の前記光軸方向の集光位置とを異ならせる集光点調整部材を有する電子ビーム装置。
[請求項13]
前記集光点調整部材は、前記照明光学系の光軸に対して前記第1面の前記法線が傾く方向に頂角を持つ楔プリズムを有する請求項1乃至4および12のいずれか1項に記載の電子ビーム装置。
[請求項14]
光電素子に光を照射し、前記光電素子から発生する電子ビームをターゲットに照射する電子ビーム装置であって、
 第1面を照明する照明光学系と、
 前記第1面に配置された複数の反射素子を有し、前記照明光学系からの光で複数の光ビームを発生するパターンジェネレータと、
 前記パターンジェネレータからの前記複数の光ビームを前記光電素子の光電変換面に投影する投影光学系と、を備え、
 前記照明光学系は、照明瞳から第1方向に沿って射出される第1光束と、前記照明瞳から前記第1方向と異なる第2方向に沿って射出される第2光束とを集光する集光光学系を含み、
 前記集光光学系は、前記第1光束の光軸方向の集光位置と、前記第2光束の前記光軸方向の集光位置とを異ならせる集光点調整部材を有する電子ビーム装置。
[請求項15]
前記集光点調整部材は、前記第1面を含む空間に配置される請求項1乃至14のいずれか1項に記載の電子ビーム装置。
[請求項16]
光電素子に光を照射し、前記光電素子から発生する電子ビームをターゲットに照射する電子ビーム装置であって、
 第1面を照明する照明光学系と、
 前記第1面に配置された複数の反射素子を有し、前記照明光学系からの光で複数の光ビームを発生するパターンジェネレータと、
 前記パターンジェネレータからの前記複数の光ビームを前記光電素子の光電変換面に投影する投影光学系と、を備え、
 前記照明光学系は、前記投影光学系の光軸に対して法線が傾くように配置された前記第1面を斜入射照明する電子ビーム装置。
[請求項17]
前記照明光学系は、前記照明光学系の光軸に対して法線が傾くように配置された前記第1面を斜入射照明する請求項14乃至16のいずれか1項に記載の電子ビーム装置。
[請求項18]
前記照明光学系は、光源からの光の光路中に並列的に配置された複数の波面分割要素を有し、第3方向に細長い複数の光源像を照明瞳に形成するオプティカルインテグレータと、前記複数の光源像からの光束を前記第1面に集光する集光光学系と、を備え、前記第1面において前記第3方向と直交する第4方向に干渉縞を形成することにより、前記第3方向に細長い矩形状の照野を前記第4方向に間隔を隔てて複数形成する請求項1乃至17のいずれか1項に記載の電子ビーム装置。
[請求項19]
前記照明光学系は、光源からの光を回折して、前記照明光学系の光軸に対する角度が離散的に異なる複数の光束を射出する回折光学素子と、
 前記回折光学素子からの前記複数の光束を前記第1面に集光する集光光学系と、を備え、
 第3方向に細長い矩形状の照野を前記第1面において前記第3方向と直交する第4方向に間隔を隔てて複数形成する請求項1乃至17のいずれか1項に記載の電子ビーム装置。
[請求項20]
前記パターンジェネレータからの反射光の主光線は、前記投影光学系の光軸を含む第2面において前記第1面の法線に対して傾いている請求項1乃至19のいずれか1項に記載の電子ビーム装置。
[請求項21]
前記第1面および前記光電変換面は、その法線が前記第2面において前記投影光学系の光軸に対してそれぞれ傾くように配置されている請求項20に記載の電子ビーム装置。
[請求項22]
前記投影光学系は、前記第1面および前記光電変換面に関してシャインプルーフの条件を満足している請求項21に記載の電子ビーム装置。
[請求項23]
前記光電変換面は水平に配置され、前記投影光学系の光軸は鉛直方向に対して傾いている請求項21または22に記載の電子ビーム装置。
[請求項24]
前記投影光学系の光軸は鉛直方向に延びており、前記第1面および前記光電変換面は水平方向に対して傾いている請求項21または22に記載の電子ビーム装置。
[請求項25]
前記光電変換面は、透明基板の射出側の面に形成され、
 前記透明基板の入射側の面は前記投影光学系の光軸と直交している請求項21乃至24のいずれか1項に記載の電子ビーム装置。
[請求項26]
前記光電変換面は、平行平面板の形態を有する透明基板の射出側の面に形成され、
 前記透明基板の入射側には第2の透明基板が配置され、該第2の透明基板の入射側の面は前記投影光学系の光軸と直交し、その射出側の面の法線は前記投影光学系の光軸に対して傾いている請求項21乃至24のいずれか1項に記載の電子ビーム装置。
[請求項27]
前記光電素子から発生する電子ビームをターゲットに照射する電子光学系を備え、
 前記第2の透明基板は、前記電子光学系の真空空間と外部雰囲気との境界に位置する請求項26に記載の電子ビーム装置。
[請求項28]
前記投影光学系は、少なくとも1つの非球面形状の光学面を有する請求項25乃至27のいずれか1項に記載の電子ビーム装置。
[請求項29]
前記光電変換面は、透明基板の射出側の面に形成され、
 前記少なくとも1つの非球面形状の光学面は、前記透明基板によって発生する収差を低減する請求項28に記載の電子ビーム装置。
[請求項30]
前記光電変換面は、前記投影光学系の光軸と直交するように配置され、
 前記投影光学系は、前記投影光学系の光軸に関して偏心配置された少なくとも1つの光学部材を有する請求項20に記載の電子ビーム装置。
[請求項31]
前記第1面は、その法線が前記第2面において前記投影光学系の光軸に対して傾くように配置され、
 前記光学部材は、前記投影光学系の光軸に対して偏心配置されている請求項30に記載の電子ビーム装置。
[請求項32]
前記少なくとも1つの光学部材の光軸は、前記投影光学系の光軸から偏心している請求項30または31に記載の電子ビーム装置。
[請求項33]
前記少なくとも1つの光学部材の光軸は、前記投影光学系の光軸に対して傾いている請求項30乃至32のいずれか1項に記載の電子ビーム装置。
[請求項34]
前記パターンジェネレータの前記複数の反射素子は、その法線が前記投影光学系の光軸に平行で且つ前記第2面において前記投影光学系の光軸からそれぞれ離れて配置されている請求項20に記載の電子ビーム装置。
[請求項35]
前記光源は、前記第3方向の長さが前記第4方向よりも長い発光部を有する請求項18乃至34のいずれか1項に記載の電子ビーム装置。
[請求項36]
 前記光源の可干渉性は、前記第3方向よりも前記第4方向の方が高い請求項35に記載の電子ビーム装置。
[請求項37]
前記照明光学系と前記投影光学系との間に配置された偏向部材を有する請求項1乃至36のいずれか1項に記載の電子ビーム装置。
[請求項38]
前記偏向部材は、前記パターンジェネレータと前記投影光学系との間に配置される請求項37に記載の電子ビーム装置。
[請求項39]
前記偏向部材は、前記照明光学系と前記パターンジェネレータとの間に配置される第1反射面と、前記パターンジェネレータと前記投影光学系との間に配置される第2反射面とを備える請求項37に記載の電子ビーム装置。
[請求項40]
光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
 前記照明光学系の光軸に対して法線が傾くように配置された前記被照射面上の第1位置および第2位置に、照明瞳から第1方向に沿って射出される第1光束と、前記照明瞳から前記第1方向と異なる第2方向に沿って射出される第2光束とをそれぞれ集光する集光光学系を含み、
 前記集光光学系は、前記第1光束の光軸方向の集光位置と、前記第2光束の前記光軸方向の集光位置とを異ならせる集光点調整部材を備える照明光学系。
[請求項41]
光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
 照明瞳から射出されて、前記照明光学系の光軸に対して法線が傾くように配置された前記被照射面上の第1位置に達する第1光束と、前記照明瞳から射出されて前記被照射面上の第2位置に達する第2光束とを集光する集光光学系を含み、
 前記集光光学系は、前記第1光束の光軸方向の集光位置と、前記第2光束の前記光軸方向の集光位置とを異ならせる集光点調整部材を備える照明光学系。
[請求項42]
光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
 前記被照射面上の第1位置および第2位置に、照明瞳から第1方向に沿って射出される第1光束と、前記照明瞳から前記第1方向と異なる第2方向に沿って射出される第2光束とをそれぞれ集光する集光光学系を含み、
 前記集光光学系は、前記第1光束の光軸方向の集光位置と、前記第2光束の前記光軸方向の集光位置とを異ならせる集光点調整部材を備える照明光学系。
[請求項43]
光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
 照明瞳から射出されて、前記被照射面上の第1位置に達する第1光束と、前記照明瞳から射出されて前記被照射面上の第2位置に達する第2光束とを集光する集光光学系を含み、
 前記集光光学系は、前記第1光束の光軸方向の集光位置と、前記第2光束の前記光軸方向の集光位置とを異ならせる集光点調整部材を備える照明光学系。
[請求項44]
前記照明光学系は、前記照明光学系の光軸に対して法線が傾くように配置された第1面を斜入射照明する請求項40乃至43のいずれか1項に記載の照明光学系。
[請求項45]
光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
 前記光源からの光の光路中に並列的に配置された複数の波面分割要素を有し、第1方向に細長い複数の光源像を照明瞳に形成するオプティカルインテグレータと、
 前記複数の光源像からの光束を前記被照射面に集光する集光光学系と、を備え、
 前記被照射面において前記第1方向と直交する第2方向に干渉縞を形成することにより、前記第1方向に細長い矩形状の照野を前記第2方向に間隔を隔てて複数形成する照明光学系。
[請求項46]
前記被照射面は、前記照明光学系の光軸と前記第2方向とを含む所定面において、その法線が前記照明光学系の光軸に対して傾くように配置され、
 前記集光光学系は、前記オプティカルインテグレータから第3方向に沿って射出される第1光束と前記オプティカルインテグレータから前記第3方向と異なる第4方向に沿って射出される第2光束とを集光し、前記第1光束の光軸方向の集光位置と前記第2光束の光軸方向の集光位置とを異ならせる集光点調整部材を有する請求項45に記載の照明光学系。
[請求項47]
前記集光光学系からの前記第1光束および前記第2光束は、前記被照射面上の第1点および前記第1点と異なる第2点に集光される請求項40乃至46のいずれか1項に記載の照明光学系。
[請求項48]
前記集光点調整部材は、前記被照射面の傾きに応じた楔角の楔プリズムを有する請求項40乃至44および46のいずれか1項に記載の照明光学系。
[請求項49]
前記楔プリズムは、前記照明瞳から前記被照射面までの前記第1光束の光路長と、前記照明瞳から前記被照射面までの前記第2光束の光路長とを揃える請求項48に記載の照明光学系。
[請求項50]
前記集光点調整部材は、前記照明光学系の光軸に沿った厚さが前記第2方向で異なる段差板を有する請求項40乃至44、46、48、および49のいずれか1項に記載の照明光学系。
[請求項51]
前記集光光学系は、前記集光点調整部材に起因して発生する収差を補正する収差補正部材を有する請求項40乃至44、46、48乃至50のいずれか一項に記載の照明光学系。
[請求項52]
前記収差補正部材は、コマ収差および非点収差のうちの少なくとも一方を発生させる非球面形状の光学面を有する請求項51に記載の照明光学系。
[請求項53]
前記収差補正部材は、前記照明光学系の光軸に対して偏心したアフォーカル光学系を有する請求項51または52に記載の照明光学系。
[請求項54]
前記被照射面は、前記照明光学系の光軸と前記第2方向とを含む所定面において、その法線が前記照明光学系の光軸に対して傾くように配置され、
 前記集光光学系は、前記オプティカルインテグレータから第3方向に沿って射出される第1光束と前記オプティカルインテグレータから前記第3方向と異なる第4方向に沿って射出される第2光束とを集光し、前記第1光束の光軸方向の集光位置と前記第2光束の光軸方向の集光位置とを異ならせるように前記第2方向に偏心配置されている少なくとも1つの光学部材を有する請求項40乃至44、46,48乃至53のいずれか1項に記載の照明光学系。
[請求項55]
前記被照射面は、前記照明光学系の光軸と前記第2方向とを含む所定面において、その法線が前記照明光学系の光軸に対して傾くように配置され、
 前記集光光学系は、前記オプティカルインテグレータから第3方向に沿って射出される第1光束と前記オプティカルインテグレータから前記第3方向と異なる第4方向に沿って射出される第2光束とを集光し、
 前記オプティカルインテグレータの各波面分割要素の入射側の面は、前記第1光束の光軸方向の集光位置と前記第2光束の光軸方向の集光位置とを異ならせるように、その中心法線が前記所定面において前記照明光学系の光軸に対して傾いている請求項40乃至44、46、48乃至54のいずれか1項に記載の照明光学系。
[請求項56]
請求項40乃至55のいずれか1項に記載の照明光学系と、
 個別に制御可能な複数の反射素子を有するパターンジェネレータと、
 前記複数の反射素子が配置された受光面と光電素子の光電変換面とを光学的に共役に配置する投影光学系と、を備え、
 前記照明光学系により前記被照射面に配置された前記受光面を斜入射照明し、前記投影光学系を介して前記受光面からの光を前記光電素子に照射して、前記光電素子から発生する電子ビームをターゲットに照射する電子ビーム装置。
[請求項57]
リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、
 前記リソグラフィ工程は、ターゲット上にラインアンドスペースパターンを形成することと、
 請求項1~39および56のいずれか1項に記載の電子ビーム装置を用いて、前記ラインアンドスペースパターンを構成するラインパターンの切断を行うことと、を含むデバイス製造方法。

図面

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