このアプリケーションの一部のコンテンツは現時点では利用できません。
このような状況が続く場合は、にお問い合わせくださいフィードバック & お問い合わせ
1. (WO2019053977) 中空突起具の製造方法、中空突起具の製造装置、及び中空突起具
Document

明 細 書

発明の名称 中空突起具の製造方法、中空突起具の製造装置、及び中空突起具

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

0007   0008   0009  

図面の簡単な説明

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068  

実施例

0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27   28   29  

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : 中空突起具の製造方法、中空突起具の製造装置、及び中空突起具

技術分野

[0001]
 本発明は、開孔を有する微細な中空突起部を備えた中空突起具の製造方法及び製造装置に関する。また、本発明は、開孔を有する微細な中空突起部を備えた中空突起具に関する。

背景技術

[0002]
 近年、医療分野或いは美容分野において、マイクロニードルによる剤の供給が注目されている。マイクロニードルは、微小サイズの針を皮膚の浅い層に穿刺することで、痛みを伴わずに、注射器による剤の供給と同等の性能を得ることができ、出願人は、内部が中空の微細中空突起物の製造方法を提案した(特許文献1)。マイクロニードルの中でも、特に開孔を有する中空型マイクロニードルは、マイクロニードルの内部に配される剤の選択肢を広げることができ有効である。しかし、開孔を有する中空型マイクロニードルは、特に医療分野或いは美容分野にて使用される場合に、マイクロニードルの形状の精度が求められ、開孔を通して皮膚の内部に剤を安定的に供給する安定性が求められる。
[0003]
 開孔を有する中空型マイクロニードルは、例えば、特許文献2~4に開示されている製造方法により製造することができる。特許文献2には、予め形成されている複数の凹部を備えた型と予め形成されている複数の凸部を備えた型とを用い、各凸部を各凹部内に挿入して、中空のマイクロニードルアレイを射出成型により製造する方法が記載されている。
[0004]
 また、特許文献3には、熱インプリント法により基板上に複製された微細な中実のマイクロニードルに、基板の裏面側から短パルスレーザー光によって基板及びマイクロニードルを貫通する開孔を形成して、開孔を有する微細なマイクロニードルを製造する方法が記載されている。
[0005]
 また、特許文献4には、射出成形等によって基板の一方の面から突出する中実の突起部を有する針状体を作製した後、基板の他方の面側からレーザー光を照射して基板及び突起部を共に貫通する貫通孔を針状体に形成する、貫通孔を有する中空型針状体の製造方法が記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 米国特許出願公開第2017/0239855号明細書
特許文献2 : 米国特許出願公開第2012/0041337号明細書
特許文献3 : 特開2011-72695号公報
特許文献4 : 米国特許出願公開第2016/0354521号明細書

発明の概要

[0007]
 本発明は、開孔を有する微細な中空突起部を備えた中空突起具の製造方法である。本発明は、熱可塑性樹脂を含んで形成された基材シートの一面側から、突起部形成用の凸型部を刺入して、該基材シートの他面側から突出する非貫通の中空突起部を形成する突起部形成工程を備える。本発明は、前記基材シートの他面側に配された非接触式の開孔手段を用いて、該非貫通の中空突起部に貫通する開孔を形成する開孔形成工程を備える、中空突起具の製造方法を提供するものである。
[0008]
 また、本発明は、開孔を有する微細な中空突起部を備えた中空突起具である。前記開孔は、前記中空突起部の先端部の中心からずれた位置に配された貫通孔である。本発明は、前記開孔に関して、前記中空突起部の内面側の内径よりも該中空突起部の外面側の内径の方が大きい、中空突起具を提供するものである。
[0009]
 また、本発明は、開孔を有する微細な中空突起部を備えた中空突起具を製造する製造装置である。本発明は、熱可塑性樹脂を含んで形成された基材シートの一面側に配された突起部形成用の凸型部を備える突起部形成部と、該基材シートの他面側に配された非接触式の開孔手段を備える開孔形成部とを有する。本発明は、前記基材シートの一面側から前記凸型部を刺入して、該基材シートの他面側から突出する非貫通の中空突起部を形成し、その後、前記基材シートの他面側から前記開孔手段により該非貫通の中空突起部に貫通孔である開孔を形成するようになっている、中空突起具の製造装置を提供するものである。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 図1は、本発明の中空突起具の製造方法で製造される、開孔を有する微細な中空突起部が配列された中空突起具の一例の模式斜視図である。
[図2] 図2は、図1に示す複数の中空突起部の内の1個の中空突起部に着目した中空突起具の斜視図である。
[図3] 図3は、図2に示すIII-III線断面図である。
[図4] 図4は、図1に示す中空突起具を製造する好ましい一実施形態の製造装置の全体構成を示す図である。
[図5] 図5は、凸型部の凸型の先端径及び先端角度の測定方法を示す説明図である。
[図6] 図6(a)~(e)は、図4に示す製造装置を用いて開孔を有する微細な中空突起部を備えた中空突起具を製造する製造方法を説明する図である。
[図7] 図7は、図1に示す中空突起具を製造する他の実施形態の製造方法を説明する図である。

発明の詳細な説明

[0011]
 特許文献2に記載の製造方法は、射出成型により製造するため、使用する凹部の型と凸部の型との間に、温度のバラつき、或いは摩耗による型の変形が生じ易く、マイクロニードルの形状を精度良く製造することが難しく、開孔を通して皮膚の内部に剤を安定的に供給することが難しい。また、特許文献2に記載の製造方法は、中空のマイクロニードルを形成した後、中空のマイクロニードルの中を通してレーザードリルを行って開孔を形成している。その為、マイクロニードルの外面における開孔の周囲にばりが形成され易く、皮膚に穿刺し難くなる可能性がある。
[0012]
 また、特許文献3及び特許文献4に記載の製造方法は、別工程で基板上に中実のマイクロニードルを形成した後、後加工で基板の裏面側からレーザー光を照射して開孔を形成しているので、特許文献2に記載の製造方法と同様に、マイクロニードルの外面における開孔の周囲にばりが形成され易い。また、特許文献3及び特許文献4に記載の製造方法は、基板の裏面側からレーザー光を照射して基板及び中実のマイクロニードルを貫通する開孔を形成しているので、レーザー光に高い照射エネルギーが必要となり、微細なマイクロニードルの形状を精度良く製造することが難しい。
[0013]
 したがって本発明は、微細な中空突起部の形状を精度良く製造でき、中空突起部の外面における開孔の周囲にばりが形成され難い、開孔を有する微細中空突起具の製造方法及び製造装置に関する。また、本発明は、皮膚に穿刺し易い開孔を有する微細中空突起具に関する。
[0014]
 以下、本発明を、その好ましい実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
 図1には、本発明の中空突起具の好ましい一実施態様の中空突起具1の斜視図が示されている。中空突起具1は、先端側に開孔3hを有する微細な中空突起部3と、平坦な基底部材2とを備えている。中空突起具1は、基底部材2から複数個の中空突起部3が突出する形態となっている。
[0015]
 中空突起部3の数、中空突起部3の配置及び中空突起部3の形状には、特に制限はないが、図1に示す中空突起具1は、シート状の基底部材2の上面に、9個の円錐状の中空突起部3を配列している。配列された9個の中空突起部3は、後述する基材シート2Aを搬送する方向(基材シート2Aの縦方向)である第1方向(Y方向)に3行、搬送する方向と直交する方向及び搬送される基材シート2Aの横方向である第2方向(X方向)に3列に配されている。尚、図2は、中空突起具1の有する配列された中空突起部3の内の1個の中空突起部3に着目した中空突起具1の斜視図であり、図3は、図2に示すIII-III線断面図である。
[0016]
 中空突起具1は、図2に示すように、中空突起部3に貫通孔である開孔3hを有している。中空突起具1は、図3に示すように、基底部材2における各中空突起部3に対応する位置に基底側開孔2hを有している。中空突起具1には、図3に示すように、基底部材2の基底側開孔2hから各中空突起部3の内部を通って先端側の開孔3hにまで亘る空間3kが形成されている。従って、開孔3hは、中空突起部3の内部の空間3kに貫通している。各中空突起部3の内部の空間3kは、中空突起部3の外形形状に対応した形状に形成されており、図1に示す中空突起具1では、円錐状の中空突起部3の外形形状に対応した円錐状に形成されている。尚、中空突起部3は、その外形形状が円錐状であるが、円錐状の形状以外に、円錐台状、円柱状、角柱状、角錐状、角錐台状等であってもよい。
[0017]
 開孔3hは、図2に示すように、中空突起部3の先端部の中心からずれた位置に形成された貫通孔である。このように開孔3hが中空突起部3の先端部の中心からずれた位置に形成されていると、中空突起具1の中空突起部3を皮膚に穿刺する際に開孔3hが潰れ難く、開孔3hを通して皮膚の内部に中空突起具1から剤を安定的に供給することができる。
[0018]
 各中空突起部3は、マイクロニードルとして使用するときに、中空突起部3の先端を最も浅いところでは角層まで、該先端を深くは真皮まで刺入するため、その突出高さH1(図3参照)が、好ましくは0.01mm以上、更に好ましくは0.02mm以上であり、そして、好ましくは10mm以下であり、更に好ましくは5mm以下であり、具体的には、好ましくは0.01mm以上10mm以下であり、更に好ましくは0.02mm以上5mm以下である。
[0019]
 各中空突起部3の先端径L(図3(a)参照)は、即ち、中空突起部3の先端における外面32、32どうしの間隔は、その直径が、好ましくは1μm以上、更に好ましくは5μm以上であり、そして、好ましくは500μm以下であり、更に好ましくは300μm以下であり、具体的には、好ましくは1μm以上500μm以下であり、更に好ましくは5μm以上300μm以下である。中空突起具1の先端径Lは、中空突起部3の先端における最も広い位置での長さである。当該範囲であると、中空突起具1を皮膚に刺し入れた際の痛みが殆どない。前記先端径Lは、以下のようにして測定する。
[0020]
 〔中空突起具1の中空突起部3先端径の測定〕
 中空突起部3の先端部を、走査型電子顕微鏡(SEM)もしくはマイクロスコープを用いて、図3(a)に示すように所定倍率拡大した状態で観察する。
 次に、図3(a)に示すように、外面32を形成する両側辺1a,1bの内の一側辺1aにおける直線部分に沿って仮想直線ILaを延ばし、他側辺1bにおける直線部分に沿って仮想直線ILbを延ばす。次に、先端側にて、一側辺1aが仮想直線ILaから離れる箇所を第1先端点1a1として求め、他側辺1bが仮想直線ILbから離れる箇所を第2先端点1b1として求める。このようにして求めた第1先端点1a1と第2先端点1b1とを結ぶ直線の長さLを、走査型電子顕微鏡(SEM)又はマイクロスコープを用いて測定し、測定した該直線の長さを、中空突起部3の先端径とする。
[0021]
 開孔3hは、中空突起部3の内面31における開孔面積S1が、好しくは0.7μm 2以上、更に好ましくは20μm 2以上であり、そして、好ましくは200000μm 2以下であり、更に好ましくは70000μm 2以下であり、具体的には、好ましくは0.7μm 2以上200000μm 2以下であり、更に好ましくは20μm 2以上70000μm 2以下である。
[0022]
 開孔3hは、図3に示すように、中空突起部3の内面31側の開孔面積S1よりも中空突起部3の外面32側の開孔面積の方が大きく形成されている。すなわち、開孔3hは、中空突起部3の内面31側の内径よりも中空突起部3の外面32側の内径の方が大きく形成されている。該内面31側の内径とは内面31に形成された開孔3hにおける最も広い位置での直径であり、該外面32側の内径とは外面32に形成された開孔3hにおける最も広い位置での直径である。中空突起部3の開孔3hを通して皮膚の内部に剤を安定的に供給する観点から、開孔3hの内面31側の内径は、好ましくは1μm以上、更に好ましくは5μm以上であり、そして、好ましくは500μm以下であり、更に好ましくは300μm以下であり、具体的には、好ましくは1μm以上500μm以下であり、更に好ましくは5μm以上300μm以下である。同様の観点から、開孔3hの該外面32側の内径は内面31側の内径と比べて、好ましくは1.1倍以上、更に好ましくは1.2倍以上であり、そして、好ましくは15倍以下であり、更に好ましくは10倍以下であり、具体的には、好ましくは1.1倍以上15倍以下であり、更に好ましくは1.2倍以上10倍以下である。中空突起部3の開孔3hを通して皮膚の内部に剤をより一層安定的に供給する観点から、開孔3hは、その内径が、中空突起部3の内面31側から外面32側に向かって漸次増大していることが好ましい。
[0023]
 基底側開孔2hは、基底部材2における中空突起部3の配された上面とは反対側の下面での開孔面積S2が、好しくは0.007mm 2以上、更に好ましくは0.03mm 2以上であり、そして、好ましくは20mm 2以下であり、更に好ましくは7mm 2以下であり、具体的には、好ましくは0.007mm 2以上20mm 2以下であり、更に好ましくは0.03mm 2以上7mm 2以下である。
[0024]
 シート状の基底部材2の上面に配列された9個の中空突起部3は、第1方向Yの中心間距離が均一で、第2方向Xの中心間距離が均一であることが好ましく、第1方向Yの中心間距離と第2方向Xの中心間距離とが同じ距離であることが好ましい。好適には、中空突起部3の第1方向Yの中心間距離が、好ましくは0.01mm以上、更に好ましくは0.05mm以上であり、そして、好ましくは10mm以下であり、更に好ましくは5mm以下であり、具体的には、好ましくは0.01mm以上10mm以下であり、更に好ましくは0.05mm以上5mm以下である。また、中空突起部3の第2方向Xの中心間距離が、好ましくは0.01mm以上、更に好ましくは0.05mm以上であり、そして、好ましくは10mm以下であり、更に好ましくは5mm以下であり、具体的には、好ましくは0.01mm以上10mm以下であり、更に好ましくは0.05mm以上5mm以下である。
[0025]
 次に、本発明の中空突起具の製造方法を、前述した中空突起具1の製造方法を例にとり図4~図6を参照して説明する。図4には、中空突起具1の製造方法の実施に用いる一実施形態の製造装置100の全体構成が示されている。尚、上述したように、中空突起具1の各中空突起部3は非常に小さなものであるが、説明の便宜上、図4においては中空突起具1の各中空突起部3が非常に大きく描かれている。
[0026]
 製造装置100は、図4に示すように、基材シート2Aに中空突起部3を形成するための凸型部11を備える突起部形成部10と、中空突起部3に貫通する開孔3hを形成するための非接触式の開孔手段を備える開孔形成部40とを備えている。また、製造装置100は、冷却部20を備えている。製造装置100は、基材シート2Aの一面2D側から凸型部11を刺入して、基材シート2Aの他面2U側から突出する非貫通の中空突起部3を形成し、その後、基材シート2Aの他面2U側から開孔手段により非貫通の中空突起部3に貫通孔である開孔3hを形成するようになっている。以下、製造装置100を用いる中空突起具1の製造方法を詳述する。
 以下の説明では、基材シート2Aを搬送する方向をY方向、搬送する方向と直交する方向及び搬送される基材シート2Aの第2方向をX方向、搬送される基材シート2Aの厚み方向をZ方向として説明する。
[0027]
 製造装置100を用いる中空突起具1の製造方法では、先ず、図4に示すように、熱可塑性樹脂を含んで形成された基材シート2Aの原料ロールから帯状の基材シート2Aを繰り出し、搬送方向Yに搬送する。そして、基材シート2Aが所定位置まで送られたところで、基材シート2Aの搬送を止める。このように、中空突起具1の製造方法では、帯状の基材シート2Aの搬送を間欠的に行うようになっている。
[0028]
 基材シート2Aは、製造される中空突起具1の有する基底部材2となるシートであり、熱可塑性樹脂を含んでいる。基材シート2Aとしては、熱可塑性樹脂を主体とする、即ち50質量%以上含むものであることが好ましく、熱可塑性樹脂を90質量%以上含むものであることが更に好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリ脂肪酸エステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート類、ポリ塩化ビニル、ナイロン樹脂、アクリル樹脂等又はこれらの組み合わせが挙げられ、生分解性の観点から、ポリ脂肪酸エステルが好ましく用いられる。ポリ脂肪酸エステルとしては、具体的に、ポリ乳酸、ポリグリコール酸又はこれらの組み合わせ等が挙げられる。尚、基材シート2Aは、熱可塑性樹脂以外に、ヒアルロン酸、コラーゲン、でんぷん、セルロース等を含んだ混合物で形成されていても良い。基材シート2Aの厚みは、中空突起具1の有する基底部材2の厚みT2(図3参照)と同等である。
[0029]
 次いで、中空突起具1の製造方法では、図4に示すように、帯状の基材シート2Aの一面2D側から突起部形成部10の備える凸型部11を刺入して、基材シート2Aの他面2U側から突出する微細な中空突起部3を形成する突起部形成工程を行う。
[0030]
 突起部形成部10は、図4に示すように、突起部形成用の凸型部11を備えている。凸型部11は、加熱手段(不図示)を設けていても設けていなくてもよいが、製造装置100では、加熱手段(不図示)を設けている。また製造装置100では、凸型部11の加熱手段以外に他の加熱手段を設けていなくともよい。本明細書で「凸型部11の加熱手段以外に他の加熱手段を設けていない」とは、他の加熱手段を一切排除する場合を指すだけではなく、基材シート2Aの軟化温度未満、又はガラス転移温度未満に加熱する手段を備える場合も含む意味である。但し、他の加熱手段を一切含まないことが好ましい。
[0031]
 凸型部11とは、基材シート2Aに刺さる部分である凸型110を備えた部材のことであり、凸型部11は、製造装置100では、円盤状の土台部分の上に配された構造となっている。ただし、これに限られず凸型110のみからなる凸型部であってもよいし、複数の凸型110を台状支持体の上に配した凸型部11であってもよい。凸型部11は、製造する中空突起具1の中空突起部3の個数、配置、各中空突起部3の略外形形状に対応した凸型110を有しており、製造装置100では、9個の円錐状の中空突起部3に対応して、9個の円錐状の凸型110を有している。
[0032]
 凸型110は、図4に示すように、9個の尖鋭な先端の円錐状に形成されており、その先端を厚み方向Zの上方に向けて配されている。凸型部11は、基材シート2Aの一面2D側(下面側)に該一面2Dから厚み方向Zの下方に一定の間隔を空けて配置されている。凸型部11は、電動アクチュエータ(不図示)によって、厚み方向Zの上下に移動可能となっている。凸型部11の凸型110の先端を基材シート2Aの一面2D側から当接可能に構成されている。
[0033]
 凸型部11の加熱手段は、製造装置100では、超音波振動装置である。凸型部11の超音波振動の作動は、基材シート2Aに凸型部11が当接する直前から、次工程である後述する冷却工程に至る直前まで行われることが好ましい。
 凸型部11の動作、凸型部11の加熱手段の作動等の凸型部11の備える加熱手段の加熱条件の制御は、製造装置100に備えられた制御手段(不図示)により制御されている。
[0034]
 凸型部11の超音波振動装置による超音波振動に関し、その周波数は、中空突起部3の形成の観点から、好ましくは10kHz以上、更に好ましくは15kHz以上であり、そして、好ましくは50kHz以下であり、更に好ましくは40kHz以下であり、具体的には、好ましくは10kHz以上50kHz以下であり、更に好ましくは15kHz以上40kHz以下である。また、凸型部11の超音波振動に関し、その振幅は、中空突起部3の形成の観点から、好ましくは1μm以上、更に好ましくは5μm以上であり、そして、好ましくは60μm以下であり、更に好ましくは50μm以下であり、具体的には、好ましくは1μm以上60μm以下であり、更に好ましくは5μm以上50μm以下である。
[0035]
 凸型部11の先端側の形状は、製造する中空突起具1の有する中空突起部3の外形形状に対応した形状となっていればよい。凸型部11の凸型110は、その高さが、製造される中空突起具1の有する中空突起部3の突出高さH1(図3参照)と同じか或いは若干高く形成されており、好ましくは0.01mm以上、更に好ましくは0.02mm以上であり、そして、好ましくは30mm以下であり、更に好ましくは20mm以下であり、具体的には、好ましくは0.01mm以上30mm以下であり、更に好ましくは0.02mm以上20mm以下である。凸型部11の凸型110は、その先端径D1(図5参照)が、好ましくは0.001mm以上、更に好ましくは0.005mm以上であり、そして、好ましくは1mm以下であり、更に好ましくは0.5mm以下であり、具体的には、好ましくは0.001mm以上1mm以下であり、更に好ましくは0.005mm以上0.5mm以下である。凸型部11の凸型110の先端径D1は、以下のようにして測定する。
 凸型部11の凸型110は、その根本径D2が、好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは0.2mm以上であり、そして、好ましくは5mm以下であり、更に好ましくは3mm以下であり、具体的には、好ましくは0.1mm以上5mm以下であり、更に好ましくは0.2mm以上3mm以下である。凸型部11の凸型110は、十分な強度が得られ易くなる観点から、その先端角度αが、好ましくは1度以上、更に好ましくは5度以上である。そして、先端角度αは、適度な角度を有する中空突起部3を得る観点から、好ましくは60度以下であり、更に好ましくは45度以下であり、具体的には、好ましくは1度以上60度以下であり、更に好ましくは5度以上45度以下である。凸型部11の先端角度αは、以下のようにして測定する。
[0036]
 〔凸型部11の凸型110の先端径の測定〕
 凸型部11の凸型110の先端部を、走査型電子顕微鏡(SEM)もしくはマイクロスコープを用いて所定倍率に拡大した状態で観察する。次に、図5に示すように、両側辺11a,11bの内の一側辺11aにおける直線部分に沿って仮想直線ILcを延ばし、他側辺11bにおける直線部分に沿って仮想直線ILdを延ばす。そして、先端側にて、一側辺11aが仮想直線ILcから離れる箇所を第1先端点11a1として求め、他側辺11bが仮想直線ILdから離れる箇所を第2先端点11b1として求める。このようにして求めた第1先端点11a1と第2先端点11b1とを結ぶ直線の長さD1を、走査型電子顕微鏡又はマイクロスコープを用いて測定し、測定した該直線の長さを、凸型110の先端径とする。
[0037]
 〔凸型部11の凸型110の先端角度αの測定〕
 凸型部11の凸型110の先端部を、走査型電子顕微鏡もしくはマイクロスコープを用いて所定倍率拡大した状態で、例えば、図5に示す画像のように観察する。次に、図5に示すように、両側辺11a,11bの内の一側辺11aにおける直線部分に沿って仮想直線ILcを延ばし、他側辺11bにおける直線部分に沿って仮想直線ILdを延ばす。そして、仮想直線ILcと仮想直線ILdとのなす角を、走査型電子顕微鏡又はマイクロスコープを用いて測定し、測定した該なす角を、凸型部11の凸型110の先端角度αとする。
[0038]
 凸型部11は、折れ難い高強度の材質で形成されている。凸型部11の材質としては、鋼鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、ベリリウム銅、ベリリウム銅合金等の金属、又はセラミック等が挙げられる。
[0039]
 突起部形成部10は、図4に示すように、基材シート2Aの他面2U側(上面側)に撓み抑制手段としての第1開口プレート12Uを有し、基材シート2Aの一面2D側(下面側)に撓み抑制手段としての第2開口プレート12Dを有している。両開口プレート12U,12Dは、搬送方向Yに平行に延在する板状部材から形成されている。両開口プレート12U,12Dは、開口部12a以外の領域で基材シート2Aを挟持している。
[0040]
 両開口プレート12U,12Dは、1個の開口部12aに対して凸型部11における各凸型110が複数個挿通できるように、各凸型110の断面積よりも大きな開口面積で形成されていてもよいが、製造装置100では、図4及び図6に示すように、1個の開口部12aに対して1個の凸型110が挿通されるように形成されている。第1開口プレート12Uの開口部12aは、製造装置100では、第2開口プレート12Dの開口部12aと同心円上に配置されている。従って、基材シート2Aを挟持する一対の第1開口プレート12Uの開口部12a及び第2開口プレート12Dの開口部12aが厚み方向に重なっている。
[0041]
 両開口プレート12U,12Dは、基材シート2Aに当接する方向と離間する方向に移動可能となっている。製造装置100では、各開口プレート12U,12Dは、電動アクチュエータ(不図示)によって、厚み方向Zの上下に移動可能となっている。各開口プレート12U,12Dの動作の制御は、製造装置100に備えられた、制御手段(不図示)により制御されている。
 なお、製造装置100では、両開口プレート12U,12Dは、基材シート2Aに当接する方向と離間する方向に移動可能となっているが、第2開口プレート12Dは、基材シート2Aに当接する方向と離間する方向に移動可能となっていなくても良い。
[0042]
 支持部材12(両開口プレート12U,12D)を形成する材質としては、各凸型部11の材質と同じ材質でもよく、合成樹脂等から形成されていてもよい。
[0043]
 中空突起具1の製造方法では、図6(a)及び図6(b)に示すように、第1開口プレート12Uと第2開口プレート12Dとで、基材シート2Aを挟持した状態で突起部形成工程を行うようになっている。突起部形成工程では、基材シート2Aの一面2D側から、第2開口プレート12Dの開口部12aに凸型110を通過させ、図6(a)に示すように、超音波振動装置により各凸型110に超音波振動を予め発現させながら、次いで凸型部11を基材シート2Aの一面2Dに当接させる。これにより当接部分TPを軟化させる。そして、図6(b)に示すように、当接部分TPを軟化させながら、基材シート2Aの一面2D側から他面2U側に向かって凸型110を上昇させて、基材シート2Aの他面2U側に配された第1開口プレート12Uで基材シート2Aの撓みを抑制しつつ、凸型110を基材シート2Aに刺入する。そして、基材シート2Aの他面2U側から突出する微細な非貫通の中空突起部3を形成する。
[0044]
 凸型部11の加熱による基材シート2Aの加熱温度は、中空突起部3の形成の観点から、使用される基材シート2Aのガラス転移温度以上溶融温度未満であることが好ましく、特に軟化温度以上溶融温度未満であることが好ましい。詳述すると前記加熱温度は、好ましくは30℃以上、更に好ましくは40℃以上であり、そして、好ましくは300℃以下であり、更に好ましくは250℃以下であり、具体的には、好ましくは30℃以上300℃以下であり、更に好ましくは40℃以上250℃以下である。なお、超音波振動装置を用いて基材シート2Aを加熱する場合においては、凸型110と接触した基材シート2Aの部分の温度範囲として適用される。一方、超音波振動装置の代わりに加熱ヒーター装置を用いて基材シート2Aを加熱する場合には、凸型部11の加熱温度を上述した範囲で調整すればよい。なお、ガラス転移温度(Tg)の測定方法は、以下の方法によって測定され、軟化温度の測定方法は、JIS K-7196「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」に従って行う。
[0045]
 〔ガラス転移温度(Tg)の測定方法〕
 DSC測定器を使用して熱量の測定を行い、ガラス転移温度を求める。具体的に、測定器はPerkin Elmer社製の示差走査熱量測定装置(Diamond DSC)を使用する。基材シートから試験片10mgを採取する。測定条件は20℃で5分間維持した後に、20℃から320℃まで、5℃/分で昇温させ、横軸温度、縦軸熱量のDSC曲線を得る。そして、このDSC曲線からガラス転移温度Tgを求める。
[0046]
 尚、前記「基材シートのガラス転移温度(Tg)」は、基材シートの構成樹脂のガラス転移温度(Tg)を意味し、該構成樹脂が複数種存在する場合においてそれら複数種のガラス転移温度(Tg)が互いに異なる場合、前記加熱手段による基材シートの加熱温度は、少なくともそれら複数のガラス転移温度(Tg)のうち最も低いガラス転移温度(Tg)以上であることが好ましく、それら複数のガラス転移温度(Tg)のうち最も高いガラス転移温度(Tg)以上であることがさらに好ましい。
 また、前記「基材シートの軟化温度」についてもガラス転移温度(Tg)と同様であり、即ち、基材シートの構成樹脂が複数種存在する場合においてそれら複数種の軟化温度が互いに異なる場合、前記加熱手段による基材シートの加熱温度は、少なくともそれら複数の軟化温度のうち最も低い軟化温度以上であることが好ましく、それら複数の軟化温度のうち最も高い軟化温度以上であることがさらに好ましい。
 また、基材シートが融点の異なる2種以上の樹脂を含んで構成されている場合、前記加熱手段による基材シートの加熱温度は、それら複数の融点のうち最も低い融点未満であることが好ましい。
[0047]
 凸型部11を基材シート2Aに刺入する刺入速度は、遅過ぎると樹脂を過剰に加熱軟化させ、速過ぎると加熱軟化不足となるので、中空突起部3を効率的に形成する観点から、好ましくは0.1mm/秒以上、更に好ましくは1mm/秒以上であり、そして、好ましくは1000mm/秒以下であり、更に好ましくは800mm/秒以下であり、具体的には、好ましくは0.1mm/秒以上1000mm/秒以下であり、更に好ましくは1mm/秒以上800mm/秒以下である。加熱状態の凸型部11の上昇を停止させ、中空突起部3の内部に凸型部11を刺入した状態のまま次工程の冷却工程を行うまでの時間である軟化時間は、長過ぎると過剰加熱となるが、加熱不足を補う観点から、好ましくは0秒以上、更に好ましくは0.1秒以上であり、そして、好ましくは10秒以下であり、更に好ましくは5秒以下であり、具体的には、好ましくは0秒以上10秒以下であり、更に好ましくは0.1秒以上5秒以下である。
[0048]
 基材シート2Aに刺す凸型部11の刺入高さは、中空突起部3を効率的に形成する観点から、好ましくは0.01mm以上、更に好ましくは0.02mm以上であり、そして、好ましくは10mm以下であり、更に好ましくは5mm以下であり、具体的には、好ましくは0.01mm以上10mm以下であり、更に好ましくは0.02mm以上5mm以下である。ここで、「刺入高さ」とは、基材シート2Aに最も凸型部11の凸型110を刺し込んだ状態において、凸型110の頂点と、基材シート2Aの他面2U(上面)との間の距離を意味する。したがって、突起部形成工程における刺入高さとは、突起部形成工程で凸型110が最も深く刺し込まれて基材シート2Aの他面2Uから凸型110が出てきた状態における、該他面2Uから垂直方向に測定した凸型110の頂点までの距離のことである。
[0049]
 次いで、中空突起具1の製造方法では、図4及び図6(c)に示すように、冷却部20の備える冷風送風装置21を用いて、中空突起部3を冷却する冷却工程を行う。冷風送風装置21は、図4に示すように、冷風送風する送風口22が基材シート2Aの他面2U側(上面側)に配されており、送風口22から冷風を吹き付けて非貫通の中空突起部3を冷却するようになっている。尚、冷風送風装置は、搬送される帯状の基材シート2Aの他面2U側(上面側)及び一面2D側(下面側)の全体を中空状に覆い、冷風送風装置の内部を帯状の基材シート2Aが搬送方向(Y方向)に搬送されるようにし、中空内に、例えば、冷風送風する送風口22を設けるようにしてもよい。冷風送風装置21の冷却温度、冷却時間の制御は、製造装置100に備えられた、制御手段(不図示)により制御されている。
[0050]
 中空突起具1の製造方法では、図6(c)に示すように、非貫通の中空突起部3の内部に凸型部11を刺入した状態で該非貫通の中空突起部3を冷却する冷却工程を行うようになっている。冷却工程では、電動アクチュエータ(不図示)による凸型部11の厚み方向(Z方向)の移動を停止し、凸型部11の凸型110を非貫通の中空突起部3の内部に刺し込んだ状態で、基材シート2Aの他面2U側(上面側)に配された送風口22から冷風を吹き付けて、非貫通の中空突起部3の内部に凸型110を刺入した状態のまま冷却する。尚、冷却する際には、凸型部11の超音波装置による超音波振動は、継続状態でも止められた状態でも良いが、非貫通の中空突起部3の形状を過度な変形をさせず一定に保つ観点から、止められていることが好ましい。
[0051]
 吹き付ける冷風の温度は、非貫通の中空突起部3の形成の観点から、好ましくは-50℃以上、更に好ましくは-40℃以上であり、そして、好ましくは26℃以下であり、更に好ましくは10℃以下であり、具体的には、好ましくは-50℃以上26℃以下であり、更に好ましくは-40℃以上10℃以下である。
 冷風を吹き付けて冷却する冷却時間は、成形性と加工時間の両立性の観点から、好ましくは0.01秒以上、更に好ましくは0.5秒以上であり、そして、好ましくは60秒以下であり、更に好ましくは30秒以下であり、具体的には、好ましくは0.01秒以上60秒以下であり、更に好ましくは0.5秒以上30秒以下である。
[0052]
 なお、製造装置100のように、凸型部11の加熱手段が超音波振動である場合には、冷風送風装置21を必ず備える必要はなく、超音波振動装置の振動を切ることにより、冷却することもできる。この点で、超音波振動を加熱手段として用いると、装置の簡便化とともに、高速での中空突起具1の製造が容易となるので好ましい。また、基材シート2Aの凸型部11と当接していない部分では、より熱が伝わりにくく、また、超音波振動付与のオフによって冷却が効率的に行われるので、成形部分以外の変形が生じにくいという長所がある。
[0053]
 中空突起具1の製造方法では、冷却工程で非貫通の中空突起部3を冷却しながら、又は冷却工程終了後に、開孔3hを形成する開孔形成工程を行うようになっているところ、図4及び図6に示す製造方法では、非貫通の中空突起部3を冷却しながら、開孔形成部40の備える非接触式の開孔手段を用いて、非貫通の中空突起部3に電磁波や熱風を照射し、該非貫通の中空突起部3に貫通孔である開孔3hを形成している。このように非貫通の中空突起部3を冷却しながら中空突起部3に開孔3hを形成すると、冷却工程と開孔形成工程が同時に行えるため製造時間を短縮することが可能となる。
[0054]
 開孔形成部40は、基材シート2Aの他面2U側に非接触式の開孔手段を備えている。非接触式の開孔手段としては、レーザー光を照射するレーザー装置、ホットエアーを発射するホットエアー発射装置、赤外線を照射するハロゲンランプ照射装置等、熱源を用いた加工装置が挙げられ、製造装置100では、微細加工に必要な集光性や高精度なエネルギー制御が可能である観点から、レーザー装置4が用いられている。レーザー装置4は、図4に示すように、レーザー光4Lを自在に走査するガルバノスキャナである照射ヘッド41を有している。照射ヘッド41は、基材シート2Aの他面2U側(上面側)に該他面2Uから厚み方向Zの上方に一定の間隔を空けて配置されている。このように基材シート2Aの他面2U側(上面側)に配された照射ヘッド41からレーザー光4Lを非貫通の中空突起部3に照射して、中空突起部3に開孔3hを形成すると、中空突起部3の外面32における開孔3hの周囲にばりが形成され難い。また、中空突起部3の任意の位置に開孔3hを形成し易いため、液剤等を供給したい皮膚表面に対する位置を任意に制御し易い。
[0055]
 照射ヘッド41は、図4に示すように、照射されたレーザー光4Lを集光するレンズ43及び集光した該レーザー光4Lを自在に走査する2枚のミラー42及び保護レンズ44を有している。保護レンズ44は設けていても設けていなくても良いが、光学系への塵やほこりの進入を防止するため、設けている方が好ましい。ミラー42は、モータ軸に取り付けられている。ミラー42は、レーザー光4Lが基材シート2A上の中空突起部3に当たる照射点を、基材シート2Aの搬送方向Yに移動させる機構、基材シート2Aの搬送する方向と直交する方向Xに移動させる機構を備え、レーザー光4Lを自在に走査できるようになっている。レンズ43は、光軸方向に移動可能となっており、レーザー光4Lを集光して、中空突起部3に当たるレーザー光4Lの照射点のスポット径を一定にする機構、該レーザー光4Lの照射点を基材シート2Aの厚み方向(Z方向)に移動させる機構等を備えている。ミラー42及びレンズ43を有する照射ヘッド41は、レーザー光4Lの照射点をX方向、Y方向及びZ方向からなる3次元に調整できるようになっている。その為、9個の中空突起部3それぞれの照射したい位置を3次元に座標化することで、レーザー光4Lを各中空突起部3の照射したい位置に所定のスポット径で照射することができる。レーザー光4Lとしては、開孔を形成する中空突起部3に吸収され得るものを用いることが好ましい。中空突起部3を形成する基材シート2Aが、熱可塑性樹脂を主体とするフィルム等のシートである場合、レーザー光4Lとしては、CO 2レーザー、エキシマレーザー、アルゴンレーザー、YAGレーザー、LDレーザー(半導体レーザー)、YVO 4レーザー、ファイバーレーザー等を用いることが好ましい。
[0056]
 中空突起具1の製造方法では、図6(c)に示すように、非貫通の中空突起部3の内部に凸型部11を刺入した状態で、該中空突起部3を冷却しながら、該非貫通の中空突起部3に照射ヘッド41からレーザー光4Lを照射して開孔3hを形成する。このように非貫通の中空突起部3の内部に凸型部11を刺入した状態でレーザー光4Lを照射して開孔3hを形成すると、中空突起部3の内面31における開孔3hの周囲にばりが形成され難く、皮膚の内部に剤を安定的に供給できる。また、非貫通の中空突起部3の内部に凸型部11を刺入した状態でレーザー光4Lを照射して開孔3hを形成すると、中空突起部3におけるレーザー光4Lが照射された側の側壁とは反対側の側壁の内面31にダメージを与え難く、皮膚の内部に剤を安定的に供給できる。
[0057]
 中空突起部3の先端に開孔3hを形成してもよいが、中空突起部3の先端にダメージを与え難く、皮膚に穿刺し易い観点から、開孔形成工程では、非貫通の中空突起部3の先端部の中心からずれた位置にレーザー光4Lを照射して開孔3hを形成することが好ましい。少ない照射エネルギーで中空突起部3の側壁にレーザー光4Lを照射して開孔3hを形成する観点と、レーザー光4Lの照射エネルギーの影響を抑え形成された開孔3h周辺の強度を維持する観点から、開孔形成工程では、図6(c)に示すように、レーザー装置4の照射ヘッド41からレーザー光4Lを凸型部11の凸型110の刺入方向ILeに対して傾斜する方向ILfから非貫通の中空突起部3に照射して開孔3hを形成することが好ましい。同様の観点から、凸型110の刺入方向ILeと、レーザー光4Lを照射する傾斜する方向ILfとのなす角θは、5度以上であることが好ましく、10度以上であることが更に好ましく、15度以上であることが特に好ましく、そして、85度以下であることが好ましく、80度以下であることが更に好ましく、75度以下であることが特に好ましい。具体的には、5度以上85度以下であることが好ましく、10度以上80度以下であることが更に好ましく、15度以上75度以下であることが特に好ましい。同様の観点から、レーザー光4Lの照射時間は、0.001ms以上であることが好ましく、0.005ms以上であることが更に好ましく、そして、5ms以下であることが好ましく、3ms以下であることが更に好ましく、具体的には、0.001ms以上5ms以下であることが好ましく、0.005ms以上3ms以下であることが更に好ましい。また、同様の観点から、レーザー光4Lのレーザー出力は、0.5W以上であることが好ましく、1W以上であることが更に好ましく、そして、100W以下であることが好ましく、50W以下であることが更に好ましく、具体的には、0.5W以上100W以下であることが好ましく、1W以上50W以下であることが更に好ましい。
[0058]
 次いで、図6(d)に示すように、非貫通の中空突起部3の内部に凸型部11を刺した状態で、非貫通の中空突起部3に開孔3hを形成し、且つ中空突起部3の冷却を停止する。次いで、図6(e)に示すように、開孔3hが形成された中空突起部3の内部から凸型部11を抜いて内部が中空の中空突起部3を形成するリリース工程を行う。冷却工程において凸型部11の超音波振動装置による超音波振動を継続している場合には、リリース工程において、超音波振動を停止することが好ましい。リリース工程では、電動アクチュエータ(不図示)によって、凸型部11を厚み方向(Z方向)の下方に移動させ、各中空突起部3の内部に凸型110を刺し込んだ状態から、凸型110を抜いて、内部が中空の中空突起部3を形成する。リリース工程では、中空突起部3の内部から凸型部11を抜く際に基材シート2Aの撓みを抑制する撓み抑制手段として第2開口プレート12Dを用いているので、凸型110を中空突起部3の内部から抜き易い。中空突起具1の製造方法では、9個の中空突起部3が基材シート2Aの他面2U(上面)に配列された中空突起具1の前駆体1Aが製造できる。中空突起具1の前駆体1Aが製造された後に、第1開口プレート12U及び第2開口プレート12Dを、基材シート2Aから離間させ、基材シート2Aを挟持状態から解放する。
[0059]
 以上のように形成された中空突起具1の前駆体1Aは、その後、搬送方向Y下流側に搬送される。その後、カット工程にて、所定の範囲でカットされ、図1に示すような、シート状の基底部材2と複数の中空突起部3とを有する中空突起具1が製造できる。以上の工程を繰り返すことによって、中空突起具1を連続的に効率良く製造できる。
[0060]
 なお、上述したように製造された中空突起具1は、その後の工程において更に所定の形状に形成されても良いし、凸型部11を刺し込む工程の前に所望の形状に基材シート2Aを予め調整しておいても良い。
[0061]
 以上説明したように、中空突起具1を製造する製造装置100を用いた本実施態様の製造方法によれば、基材シート2Aの一面2D側から凸型部11を刺入して基材シート2Aの他面2U側から突出する微細な非貫通の中空突起部3を形成する突起部形成工程と、基材シート2Aの他面2U側に配された非接触式の開孔手段であるレーザー装置4からレーザー光4Lを非貫通の中空突起部3に照射して開孔3hを形成する開孔形成工程とを備えている。その為、開孔3hを有する微細な中空突起部3の形状を精度良く製造することができ、中空突起部3の外面32における開孔3hの周囲にばりが形成され難い。このように製造された中空突起具1は、皮膚に穿刺し易く、皮膚の内部に剤を安定的に供給できる。
[0062]
 以上、本発明を、その好ましい本実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されるものではなく、適宜変更可能である。
[0063]
 例えば、上述した中空突起具1の製造方法では、非貫通の中空突起部3の内部に凸型部11を刺入した状態で、冷却工程で中空突起部3を冷却しながら、非接触式の開孔手段を用いて中空突起部3に貫通する開孔3hを形成しているが、非貫通の中空突起部3の内部から凸型部11を抜いた後に、非接触式の開孔手段を用いて非貫通の中空突起部3に貫通する開孔3hを形成してもよい。具体的には、図7(a)及び図7(b)に示すように、第1開口プレート12Uと第2開口プレート12Dとで、基材シート2Aを挟持した状態で、基材シート2Aの一面2D側から、第2開口プレート12Dの開口部12aに凸型110を通過させ、超音波振動装置により各凸型110に超音波振動を予め発現させながら、凸型部11を基材シート2Aの一面2Dに当接させる。これにより当接部分TPを軟化させながら、基材シート2Aの一面2D側から他面2U側に向かって凸型110を上昇させて、基材シート2Aの他面2U側から突出する非貫通の中空突起部3を形成する。
[0064]
 次いで、図7(c)に示すように、基材シート2Aの他面2U側(上面側)に配された冷風送風装置21を用いて非貫通の中空突起部3を冷却する。そして、非貫通の中空突起部3の内部から凸型部11を抜いて内部が中空の中空突起部3を形成するリリース工程を行う。リリース工程では、凸型部11の超音波振動装置による超音波振動を停止し、電動アクチュエータ(不図示)によって、凸型部11を厚み方向(Z方向)の下方に移動させ、第2開口プレート12Dによって基材シート2Aの撓みを抑制しながら、中空突起部3の内部から凸型110を抜いて、非貫通の中空突起部3を形成する。
[0065]
 次いで、図7(d)に示すように、冷却後、基材シート2Aの他面2U側(上面側)に配されたレーザー装置4の照射ヘッド41からレーザー光4Lを非貫通の中空突起部3に照射して開孔3hを形成し、図7(e)に示すように、開孔3hが形成された中空突起部3を形成してもよい。
[0066]
 また、上述した中空突起具1の製造方法では各凸型部11の加熱手段として超音波振動装置を用いて説明したが、凸型部11の加熱手段を加熱ヒーター装置としてもよい。
[0067]
 上述した実施態様に関し、本発明は更に以下の開孔を有する中空突起具の製造方法を開示する。
[0068]
<1>
 開孔を有する微細な中空突起部を備えた中空突起具の製造方法であって、
 熱可塑性樹脂を含んで形成された基材シートの一面側から、突起部形成用の凸型部を刺入して、該基材シートの他面側から突出する非貫通の中空突起部を形成する突起部形成工程と、
 前記基材シートの他面側に配された非接触式の開孔手段を用いて、前記非貫通の中空突起部に貫通孔である開孔を形成する開孔形成工程とを備える、中空突起具の製造方法。
<2>
 前記開孔形成工程では、前記非貫通の中空突起部の内部に前記凸型部を刺入した状態で前記開孔を形成する、前記<1>に記載の中空突起具の製造方法。
<3>
 前記開孔形成工程では、前記非貫通の中空突起部の先端部の中心からずれた位置に開孔を形成する、前記<1>又は<2>に記載の中空突起具の製造方法。
<4>
 非接触式の開孔手段として、レーザー装置を用いる、前記<1>~<3>の何れか1つに記載の中空突起具の製造方法。
<5>
 前記開孔形成工程では、前記レーザー装置からレーザー光を前記凸型部の刺入方向に対して傾斜する方向から前記非貫通の中空突起部に照射して前記開孔を形成する、前記<4>に記載の中空突起具の製造方法。
<6>
 前記凸型部の刺入方向と、前記レーザー光を照射する傾斜する方向とのなす角は、5度以上であることが好ましく、10度以上であることが更に好ましく、15度以上であることが特に好ましく、そして、85度以下であることが好ましく、80度以下であることが更に好ましく、75度以下であることが特に好ましく、具体的には、5度以上85度以下であることが好ましく、10度以上80度以下であることが更に好ましく、15度以上75度以下であることが特に好ましい、前記<5>に記載の中空突起具の製造方法。
<7>
 前記凸型部は加熱手段を有しており、
 前記突起部形成工程では、前記加熱手段により前記基材シートを加熱し軟化させる、前記<1>~<6>の何れか1つに記載の中空突起具の製造方法。
<8>
 前記加熱手段により前記基材シートを加熱し軟化させる時間は、好ましくは0秒以上、更に好ましくは0.1秒以上であり、そして、好ましくは10秒以下であり、更に好ましくは5秒以下であり、具体的には、好ましくは0秒以上10秒以下であり、更に好ましくは0.1秒以上5秒以下である、前記<7>に記載の中空突起具の製造方法。
<9>
 前記凸型部は加熱手段を有しており、
 前記加熱手段として、超音波振動装置を用いる、前記<1>~<8>の何れか1つに記載の中空突起具の製造方法。
<10>
 前記突起部形成工程では、前記凸型部を基材シートに刺入する刺入速度は、好ましくは0.1mm/秒以上、更に好ましくは1mm/秒以上であり、そして、好ましくは1000mm/秒以下であり、更に好ましくは800mm/秒以下であり、具体的には、好ましくは0.1mm/秒以上1000mm/秒以下であり、更に好ましくは1mm/秒以上800mm/秒以下である、前記<1>~<9>の何れか1つに記載の中空突起具の製造方法。
<11>
 前記突起部形成工程の後に、前記非貫通の中空突起部を冷却する冷却工程を行う、前記<1>~<10>の何れか1つに記載の中空突起具の製造方法。
<12>
 前記冷却工程では、前記非貫通の中空突起部の内部に前記凸型部を刺入した状態で該非貫通の中空突起部を冷却する、前記<11>に記載の中空突起具の製造方法。
<13>
 前記冷却工程で前記非貫通の中空突起部を冷却しながら、又は前記冷却工程終了後に、前記開孔形成工程を行う、前記<11>又は<12>に記載の中空突起具の製造方法。
<14>
 開孔を有する微細な中空突起部を備えた中空突起具を製造する製造装置であって、
 熱可塑性樹脂を含んで形成された基材シートの一面側に配された突起部形成用の凸型部を備える突起部形成部と、該基材シートの他面側に配された非接触式の開孔手段を備える開孔形成部とを有し、
 前記基材シートの一面側から前記凸型部を刺入して、該基材シートの他面側から突出する非貫通の中空突起部を形成し、その後、前記基材シートの他面側から前記開孔手段により該非貫通の中空突起部に貫通孔である開孔を形成するようになっている、中空突起具の製造装置。
<15>
 前記開孔形成部は、前記非貫通の中空突起部の内部に前記凸型部を刺入した状態で前記開孔を形成するようになっている、前記<14>に記載の中空突起具の製造装置。
<16>
 前記開孔形成部は、前記非貫通の中空突起部の先端部の中心からずれた位置に開孔を形成するようになっている、前記<14>又は<15>に記載の中空突起具の製造装置。
<17>
 非接触式の開孔手段は、レーザー装置である前記<14>~<16>の何れか1つに記載の中空突起具の製造装置。
<18>
 前記開孔形成部は、前記レーザー装置からレーザー光を前記凸型部の刺入方向に対して傾斜する方向から前記非貫通の中空突起部に照射して前記開孔を形成する、前記<17>に記載の中空突起具の製造装置。
<19>
 前記凸型部の刺入方向と、前記レーザー光を照射する傾斜する方向とのなす角は、5度以上であることが好ましく、10度以上であることが更に好ましく、15度以上であることが特に好ましく、そして、85度以下であることが好ましく、80度以下であることが更に好ましく、75度以下であることが特に好ましく、具体的には、5度以上85度以下であることが好ましく、10度以上80度以下であることが更に好ましく、15度以上75度以下であることが特に好ましい、前記<18>に記載の中空突起具の製造装置。
<20>
 前記凸型部は、前記基材シートを加熱し軟化させる加熱手段を有している、前記<14>~<19>の何れか1つに記載の中空突起具の製造装置。
<21>
 前記加熱手段として、超音波振動装置を有している、前記<20>に記載の中空突起具の製造装置。
<22>
 前記突起部形成部よりも前記基材シートの搬送方向の下流側に、前記非貫通の中空突起部を冷却する冷却部を備えている、前記<14>~<21>の何れか1つに記載の中空突起具の製造装置。
<23>
 前記冷却部では、前記非貫通の中空突起部の内部に前記凸型部を刺入した状態で該中空突起部を冷却する、前記<22>に記載の中空突起具の製造装置。
<24>
 前記開孔形成部により、前記冷却部で前記非貫通の中空突起部を冷却しながら、又は前記冷却部での冷却終了後に、前記開孔を形成するようになっている、前記<22>又は<23>に記載の中空突起具の製造装置。
<25>
 開孔を有する微細な中空突起部を備えた中空突起具であって、
 前記開孔は、前記中空突起部の先端部の中心からずれた位置に配された貫通孔であり、
 前記開孔は、前記中空突起部の内面側の内径よりも該中空突起部の外面側の内径の方が大きい、中空突起具。
<26>
 前記開孔は、その内径が、前記中空突起部の内面側から外面側に向かって漸次増大している、前記<25>に記載の中空突起具。
<27>
 前記開孔の内面側の内径は、好ましくは1μm以上、更に好ましくは5μm以上であり、そして、好ましくは500μm以下であり、更に好ましくは300μm以下であり、具体的には、好ましくは1μm以上500μm以下であり、更に好ましくは5μm以上300μm以下である、前記<25>又は<26>に記載の中空突起具。
<28>
 前記開孔の外面側の内径は内面側の内径と比べて、好ましくは1.1倍以上、更に好ましくは1.2倍以上であり、そして、好ましくは15倍以下であり、更に好ましくは10倍以下であり、具体的には、好ましくは1.1倍以上15倍以下であり、更に好ましくは1.2倍以上10倍以下である、前記<25>~<27>の何れか1つに記載の中空突起具。
<29>
 前記開孔は、前記中空突起部の内面側の開孔面積よりも前記中空突起部の外面側の開孔面積の方が大きい、前記<25>~<28>の何れか1つに記載の中空突起具。

実施例

[0069]
 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
[0070]
 (1)製造装置の備える凸型部11の準備
 凸型部11としては、その材質がステンレス鋼であるSUS304で形成されたものを用意した。凸型部11は、1個の円錐状の凸型110を有していた。凸型110は、その高さ(テーパー部の高さ)H2が2.5mmであり、その先端径D1が15μmであり、その根本径D2が0.5mmであり、その先端角度が11度であった。
 (2)製造装置の備えるレーザー装置4の準備
 レーザー装置4としては、CO 2レーザー装置を用い、波長9.3μmのCO 2レーザー光を照射した。
[0071]
 (3)基材シート2Aの準備
 基材シート2Aとしては、ポリ乳酸(PLA;Tg55.8℃)の厚み0.3mmの帯状のシートを用意した。
[0072]
 (4)非貫通の中空突起部の作成
 図7(a)~図7(c)に示す順序で、先ず、非貫通の中空突起部3を形成した。製造条件としては、凸型部11の超音波振動の周波数が20kHzであり、超音波振動の振幅が40μmであった。また、凸型部11の刺入高さが0.7mmであり、刺入速度が10mm/秒であった。また、軟化時間は0.1秒であり、冷却時間は0.5秒であった。形成された中空突起部3の突出高さH1は1mmであった。
[0073]
 〔実施例1~3〕
 非貫通の中空突起部3を形成した後、図7(d)~図7(e)に示す順序で、中空突起具1を製造した。具体的には、中空突起部3の先端からの位置を300μm、レーザー光4Lのレーザー出力を14W、刺入方向ILeと傾斜する方向ILfとのなす角θを30度に固定した。実施例1~3の中空突起具は、レーザー光4Lの照射時間を、それぞれ、0.015ms、0.02ms、0.04msに変更し、レーザー光4Lを中空突起部3に照射して、開孔3hを形成した。
[0074]
 〔実施例4〕
 非貫通の中空突起部3を形成した後、図7(d)~図7(e)に示す順序で、中空突起具1を製造した。具体的には、中空突起部3の先端からの位置を300μm、レーザー光4Lの照射時間を0.02ms、刺入方向ILeと傾斜する方向ILfとのなす角θを30度に固定した。実施例4の中空突起具は、レーザー光4Lのレーザー出力を10Wに変更し、レーザー光4Lを中空突起部3に照射して、開孔3hを形成した。
[0075]
 〔実施例5~8〕
 非貫通の中空突起部3を形成した後、図7(d)~図7(e)に示す順序で、中空突起具1を製造した。具体的には、レーザー光4Lのレーザー出力を14W、レーザー光4Lの照射時間を0.02ms、刺入方向ILeと傾斜する方向ILfとのなす角θを30度に固定した。実施例5~8の中空突起具は、中空突起部3の先端からの位置を、それぞれ、200μm、500μm、700μm、900μmに変更し、レーザー光4Lを中空突起部3に照射して、開孔3hを形成した。
[0076]
 〔実施例9~10〕
 非貫通の中空突起部3を形成した後、図7(d)~図7(e)に示す順序で、中空突起具1を製造した。具体的には、中空突起部3の先端からの位置を500μm、レーザー光4Lのレーザー出力を14W、レーザー光4Lの照射時間を0.02msに固定した。実施例9~10の中空突起具は、刺入方向ILeと傾斜する方向ILfとのなす角θを、それぞれ、15度、45度に変更し、レーザー光4Lを中空突起部3に照射して、開孔3hを形成した。
 〔性能評価〕
 実施例1~10の中空突起具について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、中空突起部の外面における開孔の周囲のばりの有無を確認するとともに、開孔3hの内面31側の内径及び、外面側の内径を測定し、それらの結果を下記表1に示した。
[0077]
[表1]


[0078]
 表1に示す結果から明らかなように、実施例1~10の中空突起具は、外面にばりが無く、皮膚に穿刺する際にスムーズに穿刺できることが期待できる。また、実施例1~10の中空突起具は、中空突起部の形状及び開孔の形状が良好であった。従って、実施例1~10の中空突起具を製造する製造方法によれば、中空突起部の高さ及び開孔の大きさの精度の良好な中空突起具を、効率的に連続して製造できることが期待できる。

産業上の利用可能

[0079]
 本発明の製造方法及び製造装置によれば、開孔を有する微細な中空突起部の形状を精度良く製造することができ、中空突起部の外面における開孔の周囲にばりが形成され難い。また、本発明の微細中空突起具によれば、皮膚に穿刺し易い。

請求の範囲

[請求項1]
 開孔を有する微細な中空突起部を備えた中空突起具の製造方法であって、
 熱可塑性樹脂を含んで形成された基材シートの一面側から、突起部形成用の凸型部を刺入して、該基材シートの他面側から突出する非貫通の中空突起部を形成する突起部形成工程と、
 前記基材シートの他面側に配された非接触式の開孔手段を用いて、前記非貫通の中空突起部に貫通孔である開孔を形成する開孔形成工程とを備える、中空突起具の製造方法。
[請求項2]
 前記開孔形成工程では、前記非貫通の中空突起部の内部に前記凸型部を刺入した状態で前記開孔を形成する、請求項1に記載の中空突起具の製造方法。
[請求項3]
 前記開孔形成工程では、前記非貫通の中空突起部の先端部の中心からずれた位置に開孔を形成する、請求項1又は2に記載の中空突起具の製造方法。
[請求項4]
 非接触式の開孔手段として、レーザー装置を用いる、請求項1~3の何れか1項に記載の中空突起具の製造方法。
[請求項5]
 前記開孔形成工程では、前記レーザー装置からレーザー光を前記凸型部の刺入方向に対して傾斜する方向から前記非貫通の中空突起部に照射して前記開孔を形成する、請求項4に記載の中空突起具の製造方法。
[請求項6]
 前記凸型部の刺入方向と、前記レーザー光を照射する傾斜する方向とのなす角は、5度以上85度以下である、請求項5に記載の中空突起具の製造方法。
[請求項7]
 前記凸型部は加熱手段を有しており、
 前記突起部形成工程では、前記加熱手段により前記基材シートを加熱し軟化させる、請求項1~6の何れか1項に記載の中空突起具の製造方法。
[請求項8]
 前記加熱手段により前記基材シートを加熱し軟化させる時間は、0秒以上10秒以下である、請求項7に記載の中空突起具の製造方法。
[請求項9]
 前記凸型部は加熱手段を有しており、
 前記加熱手段として、超音波振動装置を用いる、請求項1~8の何れか1項に記載の中空突起具の製造方法。
[請求項10]
 前記突起部形成工程では、前記凸型部を前記基材シートに刺入する刺入速度は、0.1mm/秒以上1000mm/秒以下である、請求項1~9の何れか1項に記載の中空突起具の製造方法。
[請求項11]
 前記突起部形成工程の後に、前記非貫通の中空突起部を冷却する冷却工程を行う、請求項1~10の何れか1項に記載の中空突起具の製造方法。
[請求項12]
 前記冷却工程では、前記非貫通の中空突起部の内部に前記凸型部を刺入した状態で該非貫通の中空突起部を冷却する、請求項11に記載の中空突起具の製造方法。
[請求項13]
 前記冷却工程で前記非貫通の中空突起部を冷却しながら、又は前記冷却工程終了後に、前記開孔形成工程を行う、請求項11又は12に記載の中空突起具の製造方法。
[請求項14]
 開孔を有する微細な中空突起部を備えた中空突起具を製造する製造装置であって、
 熱可塑性樹脂を含んで形成された基材シートの一面側に配された突起部形成用の凸型部を備える突起部形成部と、該基材シートの他面側に配された非接触式の開孔手段を備える開孔形成部とを有し、
 前記基材シートの一面側から前記凸型部を刺入して、該基材シートの他面側から突出する非貫通の中空突起部を形成し、その後、前記基材シートの他面側から前記開孔手段により該非貫通の中空突起部に貫通孔である開孔を形成するようになっている、中空突起具の製造装置。
[請求項15]
 前記開孔形成部は、前記非貫通の中空突起部の内部に前記凸型部を刺入した状態で前記開孔を形成するようになっている、請求項14に記載の中空突起具の製造装置。
[請求項16]
 前記開孔形成部は、前記非貫通の中空突起部の先端部の中心からずれた位置に開孔を形成するようになっている、請求項14又は15に記載の中空突起具の製造装置。
[請求項17]
 前記非接触式の開孔手段は、レーザー装置である、請求項14~16の何れか1項に記載の中空突起具の製造装置。
[請求項18]
 前記開孔形成部は、前記レーザー装置からレーザー光を前記凸型部の刺入方向に対して傾斜する方向から前記非貫通の中空突起部に照射して前記開孔を形成する、請求項17に記載の中空突起具の製造装置。
[請求項19]
 前記凸型部の刺入方向と、前記レーザー光を照射する傾斜する方向とのなす角は、5度以上85度以下である、請求項18に記載の中空突起具の製造装置。
[請求項20]
 前記凸型部は、前記基材シートを加熱し軟化させる加熱手段を有している、請求項14~19の何れか1項に記載の中空突起具の製造装置。
[請求項21]
 前記加熱手段として、超音波振動装置を有している、請求項20に記載の中空突起具の製造装置。
[請求項22]
 前記突起部形成部よりも前記基材シートの搬送方向の下流側に、前記非貫通の中空突起部を冷却する冷却部を備えている、請求項14~21の何れか1項に記載の中空突起具の製造装置。
[請求項23]
 前記冷却部では、前記非貫通の中空突起部の内部に前記凸型部を刺入した状態で該中空突起部を冷却する、請求項22に記載の中空突起具の製造装置。
[請求項24]
 前記開孔形成部により、前記冷却部で前記非貫通の中空突起部を冷却しながら、又は前記冷却部での冷却終了後に、前記開孔を形成するようになっている、請求項22又は23に記載の中空突起具の製造装置。
[請求項25]
 開孔を有する微細な中空突起部を備えた中空突起具であって、
 前記開孔は、前記中空突起部の先端部の中心からずれた位置に配された貫通孔であり、
 前記開孔は、前記中空突起部の内面側の内径よりも該中空突起部の外面側の内径の方が大きい、中空突起具。
[請求項26]
 前記開孔は、その内径が、前記中空突起部の内面側から外面側に向かって漸次増大している、請求項25に記載の中空突起具。
[請求項27]
 前記開孔の内面側の内径は、1μm以上500μm以下である、請求項25又は26に記載の中空突起具。
[請求項28]
 前記開孔の外面側の内径は内面側の内径と比べて、1.1倍以上15倍以下である、請求項25~27の何れか1項に記載の中空突起具。
[請求項29]
 前記開孔は、前記中空突起部の内面側の開孔面積よりも前記中空突起部の外面側の開孔面積の方が大きい、請求項25~28の何れか1項に記載の中空突起具。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]