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1. (WO2019049266) アブラヤシの茎葉の前処理方法、バイオマス燃料の製造方法
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明 細 書

発明の名称 アブラヤシの茎葉の前処理方法、バイオマス燃料の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009   0010   0011  

課題を解決するための手段

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029  

発明の効果

0030  

図面の簡単な説明

0031  

発明を実施するための形態

0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100  

符号の説明

0101  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : アブラヤシの茎葉の前処理方法、バイオマス燃料の製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、アブラヤシの茎葉をバイオマス燃料として有効利用するにあたって、アブラヤシの茎葉を前処理する方法、及びバイオマス燃料を製造する方法に関する。

背景技術

[0002]
 世界のパーム油生産量は5500万トンを超え、日本においても年間約70万トンのパーム油が、インスタント麺等の食品向けや、洗剤や石鹸等の非食品向けに使用されている。
[0003]
 ところで、パーム油の生産工程及びパーム油を産するアブラヤシのプランテーションからは、アブラヤシ果房から果実を脱果した後に残る空果房(Empty Fruit Bunches、以後「EFB」と称する場合がある。)、25~30年毎に伐採更新されるアブラヤシの樹幹(Oil Palm Trunk、以後「パーム樹幹」又は「OPT」と称する場合がある。)、及びアブラヤシ果房1個の採取につき2~3本が切り落とされ、更にパーム樹幹伐採時にはパーム樹幹1本あたり30~50本生えているアブラヤシの茎葉(Oil Palm Frond、以後「パーム茎葉」又は「OPF」と称する場合がある。)が、大量に排出される。
[0004]
 EFBは、製紙用パルプ原料やバイオマス燃料への有効利用技術の開発が進められており、OPTは、搾汁液のエタノール変換等の有効利用技術の開発が進められている。例えば、下記特許文献1には、EFBをバイオマス燃料として有効利用するための技術が開示されている。
[0005]
 しかしながら、アブラヤシの茎葉(OPF)は、量的にはEFBやOPTを上回り、例えばマレーシア1国でも乾燥重量で年間4000万トン以上が排出されるにもかかわらず、プランテーションに放置されたままで、現時点では堆肥的活用以外には利用されていない。この理由としては、OPFは、量が多いのみならず、個々の長さが5mを超える大きさのものが存在するため、人力による運搬が困難であり、車両による運搬が必要である一方で、アブラヤシが生息しているヤシ畑には現時点では大型の車両が走行できるようなスペースが十分には確保されていないという、運搬上の課題によるところが大きい。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2010-270320号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 ところで、バイオマス発電は、カーボンニュートラルの観点から、温暖化の進展を抑制する効果が期待されている。このため、現時点では有効利用されていないアブラヤシの茎葉(OPF)についても、仮にバイオマス発電用燃料として有効活用できることが分かれば、積極的にOPFを有効活用する機運が高まり、前述したような運搬上の課題は、政策的な理由によって解決する可能性が十分に考えられる。
[0008]
 このような背景の下、本発明者らは、OPFをバイオマス燃料に利用することが可能かどうかにつき、鋭意研究を行った。その結果、OPFは、EFB同等の熱量を有しており、バイオマス燃料として十分に利用可能であることを確認した。一方で、本発明者らは、OPFが、燃料とした場合に忌避成分となるアルカリ金属や塩素を多量に含んでいることを確認した。
[0009]
 アルカリ金属が多く含まれているバイオマス燃料を発電用燃料に利用すると、アルカリ金属が加熱装置(発電ボイラ)内で化学反応を起こして低融点物質を生成させ、生成した低融点物質が、例えば、流動層式加熱装置内の流動層の流れを妨げる等のトラブルを生じさせるおそれがある。また、塩素が多く含まれているバイオマス燃料を発電用燃料に利用すると、アルカリ金属と同様に発電ボイラ内で低融点物質を生成させたり、発電ボイラを腐食させるおそれがある。
[0010]
 従って、本発明者らは、OPFをバイオマス燃料として有効活用するためには、OPFに対してアルカリ金属や塩素を除去するための前処理が必要であると考えた。具体的には、燃料中のアルカリ金属含有量は0.2質量%以下であることが好ましく、燃料中の塩素含有量は0.1質量%以下であることが好ましい。しかしながら、現時点において、OPFをバイオマス燃料として積極的に活用することについては検討されていないところ、このOPFに含まれるアルカリ金属や塩素を効率的に除去する方法についても、現時点では存在していない。
[0011]
 本発明は、上記の課題に鑑み、アブラヤシの茎葉(OPF)から効率よくアルカリ金属及び塩素を除去することのできる、アブラヤシの茎葉の前処理方法を提供することを目的とする。また、本発明は、この前処理方法を経て得られたアブラヤシの茎葉を用いた、バイオマス燃料の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0012]
 本発明に係るアブラヤシの茎葉の前処理方法は、
 アブラヤシの茎葉を加熱する工程(a)と、
 前記工程(a)によって加熱された前記アブラヤシの茎葉を圧搾する工程(b)と、
 前記工程(b)によって圧搾された前記アブラヤシの茎葉に、物理的衝撃を与えながら水洗する工程(c)と、
 前記工程(c)によって水洗された前記アブラヤシの茎葉を、水切りした後に散水洗浄する工程(d)とを有することを特徴とする。
[0013]
 上記工程(a)でアブラヤシの茎葉を加熱されることで、アブラヤシの茎葉中の植物細胞が柔らかくなる。この結果、その後に行われる圧搾工程(b)や水洗工程(c)で、アブラヤシの茎葉の植物細胞が破壊され易くなり、アルカリ金属及び塩素を効率よくアブラヤシの茎葉から除去することが可能になる。
[0014]
 この加熱工程(a)は、蒸気を使用して加熱する工程とすることができる。一例としては、飽和蒸気を使用することができる。
[0015]
 本発明の方法では、圧搾工程(b)において、アブラヤシの茎葉が圧搾されて茎葉中の植物細胞が破壊されると共に、アブラヤシの茎葉に含まれる水分が一定量除去される。この工程(b)の終了後に、アブラヤシの茎葉に含まれる水分が60質量%以下になるように、水分が除去されるのが好ましい。この圧搾工程(b)により、アブラヤシの茎葉に含まれていたアルカリ金属及び塩素が、搾り出された圧搾水と共にアブラヤシの茎葉から除去される。更に、この圧搾工程(b)において、アブラヤシの茎葉を構成する植物細胞が破壊されることによって、次の水洗工程(c)においてアルカリ金属及び塩素が効率よくアブラヤシの茎葉から除去されやすくなる。
[0016]
 本発明の方法では、水洗工程(c)において、アブラヤシの茎葉に物理的衝撃を与えながら水洗される。すなわち、この工程(c)では、アブラヤシの茎葉中の植物細胞が破壊されながら水洗される。これにより、圧搾工程(b)では搾り出されなかったアブラヤシの茎葉中のアルカリ金属及び塩素を水洗水中に溶出させることができる。
[0017]
 水洗工程(c)における物理的衝撃は、継続的(連続的)な加圧によるものでも構わないが、瞬間的な衝撃を断続的に加えることによるものでも構わない。後者を採用することで、水洗工程(c)に要する時間を必要最小限に抑えることができる。
[0018]
 本発明の方法では、散水洗浄工程(d)において、水洗工程(c)が完了した後のアブラヤシの茎葉を水切りした後に散水洗浄される。この工程(d)により、アブラヤシの茎葉の表面に付着している水に溶解されているアルカリ金属及び塩素を除去することができる。
[0019]
 なお、この散水洗浄工程(d)において、アブラヤシの茎葉に散水された後の水(洗浄後の水)は、水洗工程(c)でアブラヤシの茎葉を水洗した後の水と比較して、溶解しているアルカリ金属量及び塩素量が少ない。このため、散水洗浄工程(d)で使用された水を回収した後、水洗工程(c)の水洗水に利用するものとしても構わない。これにより、本発明の方法で使用される総水量が低減されると共に、散水洗浄工程で使用された後の水の排水処理を省略又は簡略化することができる。
[0020]
 ところで、アブラヤシの茎葉の中には、5mを超えるような大型のものが存在する。圧搾工程(b)は、例えば圧搾機にアブラヤシの茎葉を投入して稼働させることにより実行される。このため、大型のアブラヤシの茎葉をそのまま圧搾機に投入した場合、アブラヤシの茎葉自体が大きすぎて圧搾機内で十分に圧搾できなかったり、そもそも圧搾機内に投入できない場合も起こり得る。このため、上記方法において、圧搾工程(b)の実行前に、アブラヤシの茎葉を長繊維長が300mm以下となるように破砕する工程(e)を有するものとしても構わない。この破砕工程(e)は、加熱工程(a)の前に行われるものとしても構わないし、加熱工程(a)の後であって、圧搾工程(b)の前に行われるものとしても構わない。
[0021]
 上記方法において、水洗工程(c)では、水洗される対象となる前記アブラヤシの茎葉1質量部(乾燥質量)に対して、3質量部以上22質量部以下の水量で、前記アブラヤシの茎葉を水洗するものとしても構わない。同様に、散水洗浄工程(d)では、散水される対象となる前記アブラヤシの茎葉1質量部(乾燥質量)に対して、3質量部以上20質量部以下の散水量で、前記アブラヤシの茎葉を散水洗浄するものとしても構わない。この範囲内の水量で水洗/散水洗浄が行われることで、水の使用量を一定の範囲内に抑制しながらも、アルカリ金属や塩素を除去する効果が発揮される。
[0022]
 上記方法において、前記工程(d)の後に、前記アブラヤシの茎葉を更に圧搾する工程(f)を有するものとしても構わない。
[0023]
 上述したように、圧搾工程(b)及び水洗工程(c)を経て、アブラヤシの茎葉の植物細胞は、少なくとも一部が破壊される。このため、水洗工程(c)及び散水洗浄工程(d)によってアブラヤシの茎葉に供給される水(水洗水/洗浄水)の一部が、アブラヤシの茎葉の植物細胞内に取り込まれる可能性がある。上記のように、散水洗浄工程(d)の終了後に、改めて圧搾工程(f)が実行されることで、アブラヤシの茎葉の植物細胞に内包されている水が取り出されるため、当該水に溶解しているアルカリ金属や塩素が除去される。この結果、アブラヤシの茎葉からアルカリ金属や塩素を更に除去することができる。
[0024]
 上記方法において、前記工程(f)の後に、前記アブラヤシの茎葉を更に散水洗浄する工程(g)と、
 前記工程(g)の後に、前記アブラヤシの茎葉を更に圧搾する工程(h)とを有するものとしても構わない。
[0025]
 この工程(g)及び(h)が実行されることで、アブラヤシの茎葉の表面に付着しているアルカリ金属や塩素を更に除去することができると共に、破壊された植物細胞内等に含有している、アブラヤシの茎葉の内部に残留する微量のアルカリ金属や塩素についても更に除去することができる。
[0026]
 また、本発明に係るバイオマス燃料の製造方法は、
 上述したアブラヤシの茎葉の前処理方法の完了後に、前記アブラヤシの茎葉を、当該アブラヤシの茎葉に含まれる水分が20質量%以下になるまで乾燥させる工程(i)と、
 前記工程(i)の後に、乾燥した前記アブラヤシの茎葉をペレットに成型する工程(j)とを有することを特徴とする。
[0027]
 上記方法によれば、アブラヤシの茎葉を、アルカリ金属や塩素が充分に除去された状態でバイオマス燃料として好適に用いることができる。なお、工程(j)において、ペレットの大きさを、かさ密度0.50kg/L以上とするものとしても構わない。このペレットの大きさは輸送効率やハンドリング性を考慮して適宜設定することができる。
[0028]
 上記方法において、前記工程(i)と前記工程(j)との間に、前記アブラヤシの茎葉を長繊維長が20mm以下となるまで破砕する工程(k)を有するものとしても構わない。この工程(k)を実行することで、アブラヤシの茎葉が小型化され、成型工程(j)の実行が容易化される。
[0029]
 なお、前記工程(j)において、上述したアブラヤシの茎葉の前処理方法の完了後に得られた、前記アブラヤシの茎葉由来の油脂を、成型助剤として使用するものとしても構わない。この油脂を用いることで、アブラヤシの茎葉の利用効率を高めながら、ペレットの熱量を増加させることができる。

発明の効果

[0030]
 本発明の方法によれば、アブラヤシの茎葉(OPF)からアルカリ金属及び塩素を効率よく除去できるため、現時点で有効利用されていなかったアブラヤシの茎葉を、バイオマス燃料の利用に供することができる。

図面の簡単な説明

[0031]
[図1] 本発明に係るアブラヤシの茎葉の前処理方法及びバイオマス燃料の製造方法を模式的に示すフローチャートである。
[図2] 図1のフローチャートに示される方法を実施する装置の一例を模式的に示すブロック図である。
[図3] 本発明に係るアブラヤシの茎葉の前処理方法及びバイオマス燃料の製造方法の別実施形態の態様を模式的に示すフローチャートである。
[図4] 図3のフローチャートに示される方法を実施する装置の一例を模式的に示すブロック図である。

発明を実施するための形態

[0032]
 以下、本発明に係るアブラヤシの茎葉の前処理方法及びバイオマス燃料の製造方法の実施形態につき、適宜図面を参照して説明する。
[0033]
 図1は、本発明に係るアブラヤシの茎葉の前処理方法及びバイオマス燃料の製造方法の一実施形態を模式的に示すフローチャートである。また、図2は、本発明に係るアブラヤシの茎葉の前処理方法及びバイオマス燃料の製造方法を実施する装置(以下、「バイオマス燃料化装置」と呼ぶ。)の一例を模式的に示すブロック図である。図2において、バイオマス材料の流れを矢印付きの実線で示し、液体(水分や油分)の流れを矢印付き破線で示す。
[0034]
 図1に示されるように、本発明に係るバイオマス燃料の製造方法は、前処理工程に対応するステップS10と、後処理工程に対応するステップS20とを含んで構成される。
[0035]
 図1に示される例では、前処理工程S10は、加熱工程S11、圧搾工程S12、水洗工程S13、散水洗浄工程S14、及び圧搾工程S15を備える。また、後処理工程S20は、乾燥工程S21、破砕工程S22、及び成型工程S23を備える。
[0036]
 また、図2に示されるように、本実施形態のバイオマス燃料化装置1は、前処理装置2と、後処理装置3とを有して構成される。前処理装置2は、加熱機11、ホッパ12、圧搾機13、水洗装置14、振動篩(ふるい)15、振動篩16、洗浄水供給装置17、排洗浄水タンク18、送水ポンプ19、水洗水供給装置21、油水分離機22、排水処理装置24、及び圧搾機25を含んで構成される。後処理装置3は、乾燥機32、破砕機33、成型機34、及び送油ポンプ35を含んで構成される。
[0037]
 以下、それぞれの工程について、適宜図2を参照しながら詳述する。
[0038]
 [前処理工程]
 まず、前処理工程S10について説明する。
[0039]
  (加熱工程S11)
 まず、プランテーション等から採取されたアブラヤシの茎葉e1が、加熱機11に投入され、同加熱機11において加熱される。アブラヤシの茎葉e1は、アルカリ金属の中でも特にカリウムを多く含み、その含有量は、葉の部分が0.2~0.5質量%、茎の部分が0.8~1.3質量%である。また、塩素の含有量は、葉の部分が0.2~0.4質量%、茎の部分が0.1~0.6質量%である。そして、このアブラヤシの茎葉e1は、60~70質量%の水分を含んでいる。
[0040]
 加熱後のアブラヤシの茎葉e2は、その植物細胞が柔らかくされた状態となる。加熱後のアブラヤシの茎葉e2の柔らかさの程度は、次工程以降でのハンドリングに支障が生じない程度に、全体に柔軟性を持たせるのが好ましい。より具体的には、この加熱工程S1では、100~200℃の飽和蒸気を用いて15~60分加熱するのが好ましい。
[0041]
 加熱機11は、加熱後のアブラヤシの茎葉e2が柔らかくなって、ハンドリングしやすい状態を実現できる範囲内であれば、装置態様や加熱原理には限定されないが、蒸気又は飽和蒸気を使用して加熱するのが好適である。一例として、加熱機11は、蒸し器、スチーマー、温風装置(ドライヤー)、温水溜め(鍋)等の、植物を柔らかくするための一般的な装置が使用され得る。これらの中では、短い所要時間でアブラヤシの茎葉e1を十分に柔らかくすることができるという理由により、蒸し器やスチーマーを使用するのが好ましい。
[0042]
 ところで、アブラヤシは、マレーシアやインドネシアといった熱帯雨林気候地帯に多く生息している。これらの地域においては、2週間程度の期間、アブラヤシの茎葉e1を野外に野積みするだけで、植物細胞を十分に柔らかくすることができる場合がある。このような場合、アブラヤシの茎葉e1を一定期間にわたって野積みする工程が加熱工程S11に対応し、前処理装置2は必ずしも加熱機11を備えなくても構わない。
[0043]
 この加熱工程S11が、前記工程(a)に対応する。
[0044]
  (圧搾工程S12)
 加熱工程S11を経て柔らかくされたアブラヤシの茎葉e2は、ホッパ12に投入されて蓄えられる。そして、このアブラヤシの茎葉e2は、ホッパ12から所定の流量(速度)で、適宜圧搾機13へと供給される。
[0045]
 圧搾機13は、投入されたアブラヤシの茎葉e2に加圧することで、既に柔らかくされていたアブラヤシの茎葉e2の植物細胞を破壊すると共に、同植物細胞に含まれていたアルカリ金属及び塩素を、水分と共に絞り出す。このとき、圧搾機13は、圧搾後のアブラヤシの茎葉e3の水分量を60質量%以下に圧搾するのが好ましく、この範囲内で圧搾できるものであれば、その形式には限定されない。一例として、圧搾機13は、油圧プレス機(垂直型、水平型)、一軸圧搾機(スクリュー型)、二軸圧搾機(エクストルーダー)等の汎用の装置を使用できる。これらの中では、所要時間が短く、且つ連続式の処理が可能であるという理由により、二軸圧搾機(エクストルーダー)を使用するのが好ましい。
[0046]
 この圧搾工程S12により、アブラヤシの茎葉e2の植物細胞に含まれていたアルカリ金属及び塩素の一部が溶け込んだ水が、アブラヤシの茎葉e2から絞り出されて排出される。この結果、圧搾工程S12が完了した後のアブラヤシの茎葉e3は、圧搾工程S12実行前のアブラヤシの茎葉e2と比較して、アルカリ金属及び塩素の含有量が低下する。
[0047]
 ところで、圧搾工程S12が完了した後のアブラヤシの茎葉e3に含まれるアルカリ金属及び塩素は、そのほとんどがアブラヤシの茎葉e3内に含まれる水分に溶解して存在する。従って、アブラヤシの茎葉e3のアルカリ金属及び塩素含有量は、アブラヤシの茎葉e3の残存水分量に比例するといえる。つまり、アブラヤシの茎葉e3の残存水分量を、アブラヤシの茎葉e3に含まれるアルカリ金属及び塩素の含有量の指標とすることができる。更に、アブラヤシの茎葉e3の残存水分量は、圧搾機13によるアブラヤシの茎葉e2の植物細胞の破壊の程度の指標ともなり、この残存水分量が少ないほど、破壊された植物細胞の量が多いことを意味する。
[0048]
 このアブラヤシの茎葉e3の残存水分量は、アルカリ金属及び塩素含有量を低下させる観点、及び植物細胞を多く破壊する観点から、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下が特に好ましい。アブラヤシの茎葉e3の残存水分量が60質量%以下であれば、この後に行われる水洗工程S13、及び散水洗浄工程S14を経ることで、アルカリ金属含有量が0.2質量%以下であり、且つ、塩素含有量が0.1質量%以下のアブラヤシの茎葉を得ることができる。なお、残存水分量が60質量%のアブラヤシの茎葉e3のアルカリ金属含有量は0.2~0.8質量%であり、また塩素含有量は0.1~0.5質量%である。
[0049]
 なお、本実施形態では、圧搾工程S12が実行されることで得られる排出水(以下、「圧搾水」という。)SW1が、油水分離機22に送られる。油水分離機22は、供給された圧搾水SW1を、水分W3と油脂分O1とに分離する。油水分離機22は、水分と油脂分とが混在する液体から、水分と油脂分とを分離する機能を実現することができる構成であれば、その形式には限定されない。例えば、油水分離機22としては、油水分離桝や遠心脱油機を使用可能であるが、排水処理後に系外排出される水分W3を清浄にする観点からは、高速遠心分離による遠心脱油機を使用するのが好ましい。
[0050]
 この圧搾工程S12が、前記工程(b)に対応する。
[0051]
  (水洗工程S13)
 圧搾工程S12が完了した後のアブラヤシの茎葉e3は、水洗装置14に送出され、この水洗装置14において水洗工程S13が実行される。水洗工程S13は、アブラヤシの茎葉e3に物理的衝撃を与えてアブラヤシの茎葉e3の植物細胞を破壊しながら、アブラヤシの茎葉e3を水洗する工程である。水洗装置14は、水洗水供給装置21から水洗水W1が供給され、この水洗水W1を用いてアブラヤシの茎葉e3を水洗する。水洗水供給装置21は、水洗水W1を貯水するためのタンクと、貯水された水洗水W1を所定の流量で水洗装置14に送出するための注水口とを備える。
[0052]
 水洗装置14は、より好ましくは、アブラヤシの茎葉e3に対して、瞬間的な物理的な衝撃を、断続的に加えながら水洗を行うことができる構成が好ましい。例えば、水洗装置14は、水洗水供給装置21から水洗水W1が供給される円筒形状の装置であって、軸方向に回転する回転機構と、この装置内に収容されたアブラヤシの茎葉e3に物理的衝撃を与える衝撃媒体とを備える構成を採用することができる。
[0053]
 具体的な例として、水洗装置14は、水洗水供給装置21から水洗水W1が供給される円筒形状の装置であって、同装置の内部に、複数のパドルを備え付けた軸を有し、この軸が回転可能に構成されている。このような装置は、パドルミキサと称されることがある。アブラヤシの茎葉e3は、装置の一方の端部付近から同装置内に供給され、水洗水W1の流れに従って装置の他方の端部付近へと流れる。このようにアブラヤシの茎葉e3が水洗装置14内を移動中に、パドルの設置箇所を通過する時点で、パドルによって押しつぶされる。この結果、パドルが設けられている箇所を通過するたびに、瞬間的な衝撃を受けながら、アブラヤシの茎葉e3は水洗装置14内で水洗処理が行われる。この態様では、パドルが衝撃媒体に対応する。
[0054]
 水洗装置14は、アブラヤシの茎葉e3に対して物理的衝撃を加えながら水洗を行うことのできる構成であれば、上記のようなパドルミキサに限定されない。他の例としては、水洗水供給装置21から水洗水W1が供給される、デソルトセパレータを利用することもできる。デソルトセパレータとは、水平方向に延設された軸線又は水平方向から若干傾斜した軸線回りに回転する、内面にリフターが付設されたドラム状の容器と、この容器内に移動可能に収容された複数本の鉄棒とを備え、ドラムウォッシャとロッドミルの両方の機能を併せ持つ装置である。リフターによって持ち上げられた後に落下する鉄棒の衝撃によってアブラヤシの茎葉e3の植物細胞を破壊すると共に、かかる鉄棒の自重と容器の回転による撹拌効果により、アブラヤシの茎葉e3を効率よく押しつぶすことができる。
[0055]
 水洗装置14をデソルトセパレータで構成する場合、衝撃媒体としての鉄棒は、水洗装置14の試料室の容積Am 3に対して、長さが水洗装置14の試料室の長さとほぼ同じであって、体積が0.015A~0.04Am 3の棒状部材を4~10本使用するのが好ましく、5~8本使用するのがより好ましい。また、衝撃媒体を球状部材とすることも可能であり、この場合、φ25mm以上の部材を充填率7~15%で使用するのが好ましい。
[0056]
 水洗装置14のその他の例としては、湿式トロンメルを採用することができる。また、水洗装置14は、必ずしも衝撃媒体を備える必要はなく、回転装置のみを備え、アブラヤシの茎葉e3を回転装置内で撹拌することで、アブラヤシの茎葉e3の自重によって回転装置の内側面に向かって複数回落下させることでアブラヤシの茎葉e3に対して物理的衝撃を与える構成を採用することもできる。
[0057]
 この水洗工程S13で使用される水洗水W1の量は、アブラヤシの茎葉e3からアルカリ金属及び塩素を効率的に除去する観点、及び水洗水W1の使用量を抑制する観点から、洗浄対象であるアブラヤシの茎葉e3の1質量部に対して、好ましくは2~13質量部(乾燥質量基準でのアブラヤシの茎葉e3の1質量部に対して(以下、「ドライベース」という。)3~22質量部)であり、より好ましくは3~5質量部(ドライベースで5~8質量部)である。
[0058]
 また、この水洗水W1は、アブラヤシの茎葉e3が含有するアルカリ金属及び塩素を溶解して、除去するために用いられるものであることから、アルカリ金属及び塩素を含まない水であることが最も好ましい。ただし、上述したように、アブラヤシの茎葉e3内に含まれる水分中のアルカリ金属及び塩素濃度は、それぞれ0.2~0.8質量%、0.1~0.5質量%と高いことから、水洗水W1のアルカリ金属及び塩素含有量は0.1質量%以下であればよい。そこで、後述される排水処理装置24での排水処理量を抑制する観点から、本実施形態では、次工程の散水洗浄工程S14で使用された後の排洗浄水W5を、水洗水W1として使用することができる。なお、後述されるように、排洗浄水W5のアルカリ金属及び塩素含有量は0.02質量%以下であり、水洗水W1として利用できる範囲内である。
[0059]
 この水洗工程S13が、前記工程(c)に対応する。
[0060]
  (散水洗浄工程S14)
 水洗工程S13が完了した後のアブラヤシの茎葉e4は、水切りがされた後に、散水洗浄が施される。より具体的には、以下の通りである。
[0061]
 水洗工程S13が完了した後のアブラヤシの茎葉e4は、水洗工程S13で使用された後の水(排水洗水W2)と共に、振動篩15に供給される。振動篩15は、アブラヤシの茎葉e4は通過させず、水(排水洗水W2)は通過可能な範囲の大きさの孔部が複数設けられている。このため、振動篩15に供給された、アブラヤシの茎葉e4と排水洗水W2の混合物は、振動篩15の篩上面に残存するアブラヤシの茎葉e4と、振動篩15の篩下面に流出する排水洗水W2とに分離される。
[0062]
 その後、振動篩15の篩上面に残存したアブラヤシの茎葉e4は、この振動篩15に連接して設けられた振動篩16に移動される。振動篩16では、アブラヤシの茎葉e4に対して、洗浄水供給装置17から供給される洗浄水W4が散水される。洗浄水供給装置17は、洗浄水W4を貯水するためのタンクと、貯水された洗浄水W4を振動篩16に向けて散水するための散水用注水口とを備える。
[0063]
 この散水洗浄工程S14で使用される洗浄水W4には、アルカリ金属及び塩素含有量が0.01質量%以下のものを用いるのが好ましい。また、この洗浄水W4の散水量は、アブラヤシの茎葉e4の1質量部に対して、好ましくは2~12質量部(ドライベースで3~20質量部)であり、より好ましくは3~5質量部(ドライベースで5~8質量部)である。
[0064]
 この散水洗浄工程S14によって、水洗工程S13の完了後にアブラヤシの茎葉e4の表面に付着した、アルカリ金属及び/又は塩素が溶解した水が洗い流される。この結果、散水洗浄工程S14の完了後、すなわち振動篩16から供給されるアブラヤシの茎葉e5は、アルカリ金属含有量が0.2質量%以下であり、塩素含有量が0.1質量%以下に低下する。
[0065]
 振動篩16は、振動篩15と同様に、アブラヤシの茎葉e5は通過させず、水(排洗浄水W5)は通過可能な範囲の大きさの孔部が複数設けられている。これにより、アブラヤシの茎葉e5の表面に付着した、一定量以上の洗浄水W4(排洗浄水W5)が、振動篩16によって振り落とされ、アブラヤシの茎葉e5が水切りされる。振動篩16は、篩に載せたアブラヤシの茎葉e5に振動を加えるなどして、アブラヤシの茎葉e5に大きな水滴が残存しないことを目視で確認できる程度に、アブラヤシの茎葉e5に付着された水分を取り除けばよい。
[0066]
 なお、振動篩15及び振動篩16の篩目は、水とアブラヤシの茎葉とを分離して回収するため、より詳細には、排水洗水W2とアブラヤシの茎葉e4、及び排洗浄水W5とアブラヤシの茎葉e5をそれぞれ分離して回収するため、公称目開き4mm以下が好ましく、2.8mm以下が更に好ましい。
[0067]
 また、本実施形態では、振動篩15及び振動篩16が相互に連接して設けられているものとして説明した。しかしながら、アブラヤシの茎葉e4の水切りと、水切り後のアブラヤシの茎葉e4を散水洗浄した後、散水洗浄処理完了後のアブラヤシの茎葉e5の水切りとを行うことができれば、1機の振動篩で実現しても構わない。すなわち、1機の振動篩の上流側でアブラヤシの茎葉e4の水切りが行われ、下流側でアブラヤシの茎葉e4に対する散水洗浄及び水切りが行われるものとしても構わない。
[0068]
 本実施形態では、振動篩15で振り分けられた、排水洗水W2は、上述した油水分離機22に送出される。油水分離機22では、圧搾機13から排出された圧搾水SW1と、この排水洗水W2との混合流体を、水分W3と油脂分O1とに分離する。なお、圧搾水SW1を油水分離する機構と、排水洗水W2を油水分離する機構とを、別体で設ける構成としても構わない。
[0069]
 また、本実施形態では、振動篩16で振り分けられた排洗浄水W5は、排洗浄水タンク18に回収・貯水される。排洗浄水タンク18に貯水された排洗浄水W5は、一部が、送水ポンプ19によって水洗水供給装置21に供給されて、水洗水W1として循環利用される。また、排洗浄水W5の他の一部は、排水処理装置24に供給される。送水ポンプ19は、液体用ポンプであれば特に制限はなく、渦巻きポンプやピストンポンプなどの汎用の装置を使用できる。
[0070]
 この散水洗浄工程S14が、前記工程(d)に対応する。
[0071]
  (圧搾工程S15)
 本実施形態では、散水洗浄工程S14が完了した後のアブラヤシの茎葉e5が圧搾機25に供給され、再度圧搾工程が実行される。圧搾機25は、アブラヤシの茎葉e5を加圧して、アブラヤシの茎葉e5に含まれている洗浄水W4又は排洗浄水W5を搾り出すために備えられる。圧搾機25は、圧搾後のアブラヤシの茎葉e6の水分量を70質量%以下に圧搾できるものであれば特に限定されず、圧搾機13と同様に、油圧プレス機(垂直型、水平型)、一軸圧搾機(スクリュー型)、二軸圧搾機(エクストルーダー)等の汎用の装置を使用できる。
[0072]
 この圧搾機25によって水分量が70質量%以下となったアブラヤシの茎葉e6は、アルカリ金属含有量が0.1質量%以下、塩素含有量が0.05質量%以下に低下する。
[0073]
 なお、この圧搾機25から排出される圧搾水SW2は、排水処理装置24に供給される。排水処理装置24には、油水分離機22によって分離された水分W3、及び排水タンク18に貯水されていた排洗浄水W5についても供給される。排水処理装置24に供給された水分W3、排洗浄水W5及び圧搾水SW2は、適切な排水処理を施した後、排水W6として系外に排出される。これにより、排水処理を排水処理装置24において一箇所でまとめて行うことができる。ここで、上記の水分W3、排洗浄水W5及び圧搾水SW2は、BOD(生物的酸素要求量)、COD(化学的酸素要求量)及びSS(懸濁物質)が高いので、排水処理装置24には、沈殿槽や活性汚泥槽(曝気槽)を使用するのが好ましい。
[0074]
 この圧搾工程S15は、工程(f)に対応する。
[0075]
 本発明の前処理工程S10によれば、少なくとも、アルカリ金属含有量が0.2質量%以下で、塩素含有量が0.1質量%以下のアブラヤシの茎葉e5を得ることができる。更に、本実施形態のように、散水洗浄工程S14の後に圧搾工程S15を実行することで、アルカリ金属含有量が0.1質量%以下で、塩素含有量が0.05質量%以下のアブラヤシの茎葉e6を得ることができる。
[0076]
 [後処理工程]
 次に、後処理工程S20について説明する。
[0077]
  (乾燥工程S21)
 前処理工程S10が実行された後のアブラヤシの茎葉e6は、乾燥機32に投入され、乾燥機32において、その水分が、好ましくは20質量%以下、より好ましくは17質量%以下になるように乾燥される。乾燥機32は、アブラヤシの茎葉e6を水分量20質量%以下まで乾燥可能であれば、特にその型式等は限定されないが、連続運転が可能なロータリードライヤーを好適に用いることができる。
[0078]
 また、気温、湿度等の環境に依存するが、天日干しによっても水分量20質量%以下までアブラヤシの茎葉e6を乾燥することが可能である。この場合、乾燥工程S21を実行するために乾燥機32を用いる必要はない。
[0079]
 この乾燥工程S21を経て得られる乾燥後のアブラヤシの茎葉e7によれば、含有する水分が少なくなっていることから、後段の破砕工程S22及び成型工程S23の作業効率を向上させることができる。これにより、得られるバイオマス燃料の品質が均斉化されると共に、得られたバイオマス燃料の湿分による品質変化が抑制される。
[0080]
 この乾燥工程S21が、前記工程(i)に対応する。
[0081]
  (破砕工程S22)
 乾燥工程S21が完了した後のアブラヤシの茎葉e7は、破砕機33に供給されて長繊維長が20mm以下のアブラヤシの茎葉e8に変形される。破砕機33としては、一軸破砕機、二軸破砕機等の一般的な設備が使用できる。
[0082]
 この破砕工程S22は、乾燥工程S21の完了後のアブラヤシの茎葉e7を破砕して、後段の成型工程S23の作業効率を向上させるための工程である。乾燥工程S21の完了後のアブラヤシの茎葉e7は、長繊維長が300mm程度にまで達するものが含まれている場合があるため、この破砕工程S22においてアブラヤシの茎葉e7を破砕して、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下のアブラヤシの茎葉e8に変形する。ただし、後述の成型工程S23において、乾燥工程S21の完了後のアブラヤシの茎葉e7のままで成型が可能である場合には、この破砕工程S22を省略しても構わない。
[0083]
 この破砕工程S22が、前記工程(k)に対応する。
[0084]
  (成型工程S23)
 破砕工程S22が完了した後のアブラヤシの茎葉e8は、成型機34に供給されて、ペレット(バイオマス燃料)e9に変形される。この成型工程S23により、かさ密度が0.50kg/L以上、圧縮強度が1.5N/mm 2以上、熱量が3500kcal/kg以上の、ペレット状のバイオマス燃料e9が生成される。なお、かさ密度は、JISZ 7302-9「廃棄物固形化燃料-第9部:かさ密度試験方法」に規定する試験方法に、圧壊強度は、JIS Z 8841「造粒物-強度試験方法」に規定する試験方法に、熱量は、JIS Z 7302-2「廃棄物固形化燃料-第2部:発熱量試験方法」に規定する試験方法にそれぞれ準拠した試験で得られた測定値である。
[0085]
 本実施形態では、成型機34内のアブラヤシの茎葉e8に対して、油水分離機22で分離されることで得られたスラッジ状の油脂分O1が、送油ポンプ35によって供給される。この油脂分O1は、成型機34において、成型助剤として利用される。油脂分O1は、熱量を有しているため、これをアブラヤシの茎葉e8に供給して成型することで、成型後のバイオマス燃料e9の熱量を増加させることができる。ただし、油脂分O1に含有されるアルカリ金属及び/又は塩素の含有量が多い場合には、この油脂分O1を成型助剤として用いないものとすることができる。
[0086]
 ペレットの大きさは、輸送効率やハンドリング性を考慮して適宜決定することができる。成型後のバイオマス燃料e9は、発電用のCFB(循環流動層)ボイラ装置等で固形燃料として用いたり、セメント焼成装置等で石炭代替燃料として使用することができる。
[0087]
 この成型工程S23が、前記工程(j)に対応する。
[0088]
 [実施例]
 前処理装置2を用いた前処理方法の実施例について、表1を参照して説明する。なお、表1に示すカリウム含有量は、試料を酸で全溶解して得られた溶液をICP発光分光分析法で測定した結果である。また、塩素含有量は、JISZ 7302-6「廃棄物固形化燃料-第6部:全塩素分試験方法」の試験方法に準拠して得られた試験結果である。また、表1のカリウム及び塩素の除去率欄の括弧なしの値は各々の工程までの総除去率(質量%)を示しており、括弧内の値は前工程からの除去率(質量%)を示している。
[0089]
[表1]


[0090]
 表1によれば、散水洗浄工程S14が完了した時点で、アブラヤシの茎葉のアルカリ含有量は0.16質量%、塩素含有量は0.075質量%である。更に、その後に圧搾工程S15が実行された場合、アブラヤシの茎葉のアルカリ含有量は0.08質量%、塩素含有量は0.025質量%である。
[0091]
 以上により、本発明の前処理工程S10によれば、アブラヤシの茎葉のアルカリ含有量を0.2質量%以下、塩素含有量を0.1質量%以下にまで低下させることができる。
[0092]
 [別実施形態]
 以下、別実施形態につき説明する。
[0093]
 〈1〉上述した実施形態では、前処理工程S10において、散水洗浄工程S14の完了後に圧搾工程S15を実行するものとしたが、この圧搾工程S15を省略しても構わない。図3は、この別実施形態に対応したフローチャートを図1にならって図示したものであり、図4は、この別実施形態の方法を実行するための装置の構成例を、図2にならって図示したものである。図4に示すように、この構成では、振動篩16で水分が振り分けられた後のアブラヤシの茎葉e5が、乾燥機32に供給され、乾燥工程S21が実行される。
[0094]
 上述したように、圧搾工程S15を実行しない場合であっても、散水洗浄工程S14の完了後に得られるアブラヤシの茎葉e5は、アルカリ含有量を0.2質量%以下、塩素含有量を0.1質量%以下にすることができる。なお、この別実施形態では、図2に示す圧搾機25を備えないため、排水処理装置24には、水分W3及び排洗浄水W5が供給されている。
[0095]
 〈2〉圧搾工程S12の実行前において、アブラヤシの茎葉を破砕する工程を更に備えるものとしても構わない。具体的には、前処理装置2が、破砕機33と同様の破砕機を備えると共に、この破砕機が、加熱機11に投入する前のアブラヤシの茎葉e1、又は、圧搾機13に投入する前のアブラヤシの茎葉e2を、長繊維長が300mm以下となるように破砕するものとしても構わない。これにより、圧搾機13における圧搾工程を効率的に行うことができる。
[0096]
 この破砕工程は、工程(e)に対応する。
[0097]
 〈3〉図1において、圧搾工程S15の実行後、更に散水洗浄工程S14と圧搾工程S15を1回又は複数回繰り返し実行するものとしても構わない。これにより、アブラヤシの茎葉e6の内部に残留する微量のアルカリ金属や塩素を更に除去することができる。圧搾工程S15の実行後に再び実行される散水洗浄工程S14が工程(g)に対応し、その後に実行される圧搾工程S15が工程(h)に対応する。
[0098]
 〈4〉上記の実施形態では、排洗浄水W5を水洗水供給装置21に循環供給することで、水洗水W1として利用するものとして説明したが、この態様は任意である。すなわち、排洗浄水W5を全て排水処理装置24に排出するものとしても構わない。
[0099]
 〈5〉上記の実施形態において、圧搾機25から排出される圧搾水SW2を排水処理装置24に供給する構成としたが、圧搾水SW1と同様に、油水分離機22を経由して、水分W3を排水処理装置24に供給し、油脂分O1を成型機34に供給するものとしても構わない。
[0100]
 〈6〉上記の実施形態において、油水分離機22で分離した油脂分O1を成型機34に供給するか否かは任意である。

符号の説明

[0101]
    1   :  バイオマス燃料化装置
    2   :  前処理装置
    3   :  後処理装置
   11   :  加熱機
   12   :  ホッパ
   13   :  圧搾機
   14   :  水洗装置
   15   :  振動篩
   16   :  振動篩
   17   :  洗浄水供給装置
   18   :  排洗浄水タンク
   19   :  送水ポンプ
   21   :  水洗水供給装置
   22   :  油水分離機
   24   :  排水処理装置
   25   :  圧搾機
   32   :  乾燥機
   33   :  破砕機
   34   :  成型機
   35   :  送油ポンプ

請求の範囲

[請求項1]
 アブラヤシの茎葉を加熱する工程(a)と、
 前記工程(a)によって加熱された前記アブラヤシの茎葉を圧搾する工程(b)と、
 前記工程(b)によって圧搾された前記アブラヤシの茎葉に、物理的衝撃を与えながら水洗する工程(c)と、
 前記工程(c)によって水洗された前記アブラヤシの茎葉を、水切りした後に散水洗浄する工程(d)とを有することを特徴とするアブラヤシの茎葉の前処理方法。
[請求項2]
 前記工程(b)よりも前の段階で、前記アブラヤシの茎葉を長繊維長が300mm以下となるように破砕する工程(e)を有することを特徴とする請求項1に記載のアブラヤシの茎葉の前処理方法。
[請求項3]
 前記工程(a)は、蒸気を使用した加熱工程であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアブラヤシの茎葉の前処理方法。
[請求項4]
 前記工程(b)は、前記アブラヤシの茎葉に含まれる水分が60質量%以下になるように除去する工程であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のアブラヤシの茎葉の前処理方法。
[請求項5]
 前記工程(c)は、瞬間的な前記物理的衝撃を前記アブラヤシの茎葉に繰り返し与えながら水洗する工程であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のアブラヤシの茎葉の前処理方法。
[請求項6]
 前記工程(c)は、水洗される対象となる前記アブラヤシの茎葉1質量部(乾燥質量)に対して、3質量部以上22質量部以下の水量で、前記アブラヤシの茎葉を水洗する工程であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のアブラヤシの茎葉の前処理方法。
[請求項7]
 前記工程(d)は、散水される対象となる前記アブラヤシの茎葉1質量部(乾燥質量)に対して、3質量部以上20質量部以下の散水量で、前記アブラヤシの茎葉を散水洗浄する工程であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のアブラヤシの茎葉の前処理方法。
[請求項8]
 前記工程(c)において、前記工程(d)で使用された洗浄水が回収された後の水が用いられることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のアブラヤシの茎葉の前処理方法。
[請求項9]
 前記工程(d)の後に、前記アブラヤシの茎葉を更に圧搾する工程(f)を有することを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のアブラヤシの茎葉の前処理方法。
[請求項10]
 前記工程(f)の後に、前記アブラヤシの茎葉を更に散水洗浄する工程(g)と、
 前記工程(g)の後に、前記アブラヤシの茎葉を更に圧搾する工程(h)とを有することを特徴とする請求項9に記載のアブラヤシの茎葉の前処理方法。
[請求項11]
 請求項1~10のいずれか1項に記載のアブラヤシの茎葉の前処理方法の完了後に、前記アブラヤシの茎葉を、当該アブラヤシの茎葉に含まれる水分が20質量%以下になるまで乾燥させる工程(i)と、
 前記工程(i)の後に、乾燥した前記アブラヤシの茎葉をペレットに成型する工程(j)とを有することを特徴とするバイオマス燃料の製造方法。
[請求項12]
 前記工程(i)と前記工程(j)との間に、前記アブラヤシの茎葉を長繊維長が20mm以下となるまで破砕する工程(k)を有することを特徴とする請求項11に記載のバイオマス燃料の製造方法。
[請求項13]
 前記工程(j)は、請求項1~10のいずれか1項に記載のアブラヤシの茎葉の前処理方法の完了後に得られた、前記アブラヤシの茎葉由来の油脂を、成型助剤として使用する工程であることを特徴とする請求項11又は12に記載のバイオマス燃料の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]