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1. (WO2019044888) タイヤ用ゴム組成物
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明 細 書

発明の名称 タイヤ用ゴム組成物

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012  

発明の効果

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136  

実施例

0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179  

産業上の利用可能性

0180  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

明 細 書

発明の名称 : タイヤ用ゴム組成物

技術分野

[0001]
 本発明はタイヤ用ゴム組成物、これを少なくとも一部に用いたタイヤトレッド、ビードフィラー、タイヤ用ベルト及び空気入りタイヤに関する。

背景技術

[0002]
 空気入りタイヤは、乾燥路面でのグリップ性能(ドライグリップ性能)だけでなく、湿潤路面でのグリップ性能(ウェットグリップ性能)や低温時や積雪時でのグリップ性能(アイスグリップ性能)等も高い水準で兼ね備えていることが望まれており、さらに操縦安定性、耐摩耗性に優れることも求められている。
[0003]
 ドライグリップ性能を向上させる方法としては、スチレン-ブタジエンゴム等のガラス転移温度(Tg)が高いゴムを使用する方法や、平均粒径が5~100nm程度のカーボンブラックを多量に配合する方法が知られている。しかし、これらの方法ではタイヤトレッド用ゴム組成物の粘度が高くなり、製造時の加工性が低下するという問題、低温時の柔軟性が低下し、アイスグリップ性能やウェットグリップ性能に影響を与える場合があった。
[0004]
 アイスグリップ性能を向上させるには、タイヤと氷雪との接触面積を大きくすることが有効であると共に、タイヤの低温時の柔軟性を向上させることが有効である。そして、タイヤに柔軟性を付与する方法としては、Tgの低い固形ゴムを使用する方法や、カーボンブラックの配合量を減らす方法、配合するカーボンブラックの平均粒径を100~200nm程度に調整する方法、オイル等の軟化剤を配合する方法が知られている。しかし、柔軟性を付与することによりタイヤのアイスグリップ性能を改善すると、ウェットグリップ性能やドライグリップ性能が低下するという問題がある。また、オイル等の軟化剤を配合した場合には、時間が経つとこれらが配合物からブリードし、経年でゴムが硬化してしまうという問題もある。
[0005]
 同様に、耐摩耗性を向上させる方法としては、一般的に、ゴム組成物にゴム補強剤としてカーボンブラックやシリカを配合する方法が知られている。しかしこれらの方法でも、製造時の加工性が低下することが問題であった。
[0006]
 加工性改良剤としてプロセスオイルや液状重合体等が使用されている。しかしながら、従来の加工性改良剤を用いた場合、加工性が改良されるものの、ドライグリップ性能、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性は充分に改善されないという問題があった。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 国際公開第2013/115011号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 特許文献1に記載のゴム組成物を用いて製造したタイヤにおいては、グリップ性能等に改善がみられるものの十分ではないため、更なる改良が望まれている。
 本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、耐摩耗性等の機械強度等に優れる架橋物が得られるタイヤ用ゴム組成物及び該架橋物、ならびに、ドライグリップ性能が十分であり、優れたウェットグリップ性能及びアイスグリップ性能を兼ね備え、操縦安定性の向上を達成できる該組成物又は該架橋物を一部に用いたタイヤトレッド、ビードフィラー、タイヤ用ベルト及び空気入りタイヤを提供する。

課題を解決するための手段

[0009]
 本発明者らが、鋭意検討を行った結果、特定の変性液状ジエン系ゴム等をタイヤ用ゴム組成物に含有させることにより、そのゴム組成物から得られた架橋物では耐摩耗性等に優れ、また該組成物又は該架橋物を一部に用いたタイヤトレッド、ビードフィラー、タイヤ用ベルト及び空気入りタイヤはドライグリップ性能が十分であり、優れたウェットグリップ性能及びアイスグリップ性能を兼ね備え、操縦安定性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
[0010]
 すなわち、本発明は以下〔1〕~〔14〕に関する。
 〔1〕ガラス転移温度(Tg)が-10℃以下の固形ゴム(A)100質量部に対して、下記式(1)で表されるシラン化合物に由来する官能基を有する変性液状ジエン系ゴム(B)を0.1~50質量部、及びフィラー(C)を20~200質量部含有するタイヤ用ゴム組成物であり、
前記変性液状ジエン系ゴム(B)が、下記(i)~(iv)
(i)重量平均分子量(Mw)が1,000以上15,000未満、
(ii)ビニル含有量が70モル%以下、
(iii)変性液状ジエン系ゴム(B)一分子当たりの平均官能基数が1~20個、
(iv)ガラス転移温度(Tg)が0℃以下、
を満たす、タイヤ用ゴム組成物。
[0011]
[化1]


(式(1)中、R 1は炭素数1から6の2価のアルキレン基であり、R 2、R 3及びR 4はそれぞれ独立に、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチル基、エチル基又はフェニル基を示す。ただし、R 2、R 3及びR 4の少なくとも1つはメトキシ基、エトキシ基又はフェノキシ基である。)
[0012]
 〔2〕前記変性液状ジエン系ゴム(B)の38℃における溶融粘度が0.1~2,000Pa・sである、〔1〕に記載のタイヤ用ゴム組成物。
 〔3〕前記変性液状ジエン系ゴム(B)がイソプレン及び/又はブタジエンの単量体単位を含む重合体である、〔1〕又は〔2〕に記載のタイヤ用ゴム組成物。
 〔4〕前記フィラー(C)が、カーボンブラック及びシリカから選ばれる少なくとも1種である〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
 〔5〕前記フィラー(C)が、平均粒径5~100nmのカーボンブラック及び平均粒径が0.5~200nmのシリカから選ばれる少なくとも1種である、〔4〕に記載のタイヤ用ゴム組成物。
 〔6〕前記フィラー(C)がシリカであり、シリカ100質量部に対し、シランカップリング剤を0.1~30質量部含有する、〔4〕又は〔5〕に記載のゴム組成物。
 〔7〕前記固形ゴム(A)が、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム及びイソプレンゴムから選ばれる1種以上である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
 〔8〕〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を架橋させた架橋物。
 〔9〕〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物又は〔8〕に記載の架橋物を少なくとも一部に用いたタイヤトレッド。
 〔10〕〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物又は〔8〕に記載の架橋物を少なくとも一部に用いたビードフィラー。
 〔11〕〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物又は〔8〕に記載の架橋物を少なくとも一部に用いたタイヤ用ベルト。
 〔12〕〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を少なくとも一部に用いた空気入りタイヤ。
 〔13〕前記空気入りタイヤがウインタータイヤ又はスタッドレスタイヤである、〔12〕に記載の空気入りタイヤ。
 〔14〕前記空気入りタイヤがオールシーズンタイヤである、〔12〕に記載の空気入りタイヤ。

発明の効果

[0013]
 本発明によれば、そのタイヤ用ゴム組成物から得られる架橋物は耐摩耗性等に優れ、該組成物又は架橋物からは、例えば、ドライグリップ性能が十分であり、優れたウェットグリップ性能及びアイスグリップ性能を兼ね備え、操縦安定性の向上を達成できる該組成物又は該架橋物を一部に用いたタイヤトレッド、ビードフィラー、タイヤ用ベルト及び空気入りタイヤが得られる。

発明を実施するための形態

[0014]
[固形ゴム(A)]
 本発明のタイヤ用ゴム組成物で用いる固形ゴム(A)とは、20℃において固形状で取り扱うことができるゴムをいい、固形ゴム(A)の100℃におけるムーニー粘度ML 1+4は通常20~200の範囲にあり、通常合成ゴム及び天然ゴムの少なくとも1種から選ばれるものである。
[0015]
 上記固形ゴム(A)としては、例えば、スチレンブタジエンゴム(以下、「SBR」ともいう。)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリル共重合体ゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、及びウレタンゴム等の合成ゴム;天然ゴムなどが挙げられる。これら固形ゴム(A)の中でも、天然ゴム、SBR、ブタジエンゴム、及びイソプレンゴムが好ましく、天然ゴム、ブタジエンゴム、及びSBRがさらに好ましい。これら固形ゴム(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0016]
 上記固形ゴム(A)の数平均分子量(Mn)は、得られるゴム組成物及び架橋物における特性を十分に発揮させる観点から、80,000以上であることが好ましく、100,000~3,000,000の範囲内であることがより好ましい。なお、本明細書における数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量である。
[0017]
 本発明のタイヤ用ゴム組成物を、冬用タイヤ(ウインタータイヤ、スタッドレスタイヤ)トレッド、オールシーズンタイヤトレッドとして用いる観点からは、上記固形ゴム(A)の示差熱分析法により求めたガラス転移温度(Tg)は、-10℃以下であり、好ましくは-20℃以下、より好ましくは-30℃以下、さらに好ましくは-40℃以下、よりさらに好ましくは-45℃以下、特に好ましくは-50℃以下、最も好ましくは-55℃以下である。ガラス転移温度が前記範囲内であると、タイヤ用ゴム組成物の低温での柔軟性が向上し、アイスグリップ性能が向上する。ここで、本発明における固形ゴム(A)のガラス転移温度(Tg)とは、該固形ゴム(A)を実質的に構成するゴム成分のガラス転移温度であり、例えば固形ゴム(A)が複数のゴム成分を含む場合には、該固形ゴム(A)を実質的に構成する複数のゴム成分それぞれのガラス転移温度が-10℃以下である。例えば、固形ゴム(A)を実質的に構成するゴム成分がSTR20(タイ製天然ゴム)とブタジエンゴムである場合、STR20とブタジエンゴムそれぞれのガラス転移温度が-10℃以下であればよい。
[0018]
 SBRとしては、タイヤ用途に用いられる一般的なものを使用できるが、具体的には、スチレン含有量が0.1~70質量%のものが好ましく、5~60質量%のものがより好ましく、5~50質量%のものがさらに好ましく、5~40質量%のものがよりさらに好ましく、5~30質量%のものが特に好ましく、5~25質量%のものが最も好ましい。また、ビニル含有量が0.1~80質量%のものが好ましく、5~70質量%のものがより好ましい。
[0019]
 なお、本明細書におけるSBRのビニル含有量とは、SBRに含まれる全ブタジエンに由来する単位のうち、ビニル基を有する単量体単位の含有量を表す。以下同様に、固形ゴム(A)のビニル含有量は、結合形態によりビニル基を有しうる単量体単位の全量に対し、実際にビニル基を有する単量体単位の含有量を表す。
[0020]
 SBRの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100,000~2,500,000、より好ましくは150,000~2,000,000、さらに好ましくは150,000~1,500,000である。SBRの重量平均分子量(Mw)が上記範囲である場合、タイヤ用ゴム組成物の加工性が向上すると共に、タイヤ用ゴム組成物から得られるタイヤのウェットグリップ性能が向上し、さらに、機械強度、耐摩耗性、及び操縦安定性も向上する。なお、本明細書における重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定から求めたポリスチレン換算の重量平均分子量である。
[0021]
 SBRの示差熱分析法により求めたガラス転移温度(Tg)は-10℃以下であり、好ましくは-20℃以下、より好ましくは-30℃以下、さらに好ましくは-40℃以下、よりさらに好ましくは-45℃以下、特に好ましくは-50℃以下、最も好ましくは-55℃以下である。ガラス転移温度が前記範囲内であると、タイヤ用ゴム組成物の低温での柔軟性が向上し、アイスグリップ性能が向上する。
[0022]
 本発明において用いることができるSBRは、スチレンとブタジエンとを共重合して得られる。SBRの製造方法について特に制限はなく、乳化重合法、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができるが、これら製造方法の中でも、乳化重合法、溶液重合法が好ましい。
[0023]
 乳化重合スチレンブタジエンゴム(以下、E-SBRともいう。)は、公知又は公知に準ずる通常の乳化重合法により製造できる。例えば、所定量のスチレン及びブタジエン単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合することにより得られる。
[0024]
 乳化剤としては、例えば、炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩又はロジン酸塩が用いられる。具体例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩が挙げられる。
[0025]
 分散媒としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
 ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム等の過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等が挙げられる。
[0026]
 得られるE-SBRの分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、例えば、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ-テルピネン、α-メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
[0027]
 乳化重合の温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類によって適宜選択できるが、通常、0~100℃が好ましく、0~60℃がより好ましい。重合様式は、連続重合、回分重合のいずれでもよい。重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。
[0028]
 重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン等のアミン化合物;ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
[0029]
 重合反応停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら重合体を凝固させた後、分散媒を分離することによって重合体をクラムとして回収できる。クラムを水洗、次いで脱水後、バンドドライヤー等で乾燥することで、E-SBRが得られる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展ゴムとして回収してもよい。なお、本明細書におけるタイヤ用ゴム組成物中の組成において伸展油は固形ゴム(A)には含めない。
[0030]
 E-SBRの市販品としては、JSR株式会社製、油展スチレンブタジエンゴム「JSR1723」等が挙げられる。
 溶液重合スチレンブタジエンゴム(以下、S-SBRともいう。)は、通常の溶液重合法により製造でき、例えば、溶媒中でアニオン重合可能な活性金属を使用して、所望により極性化合物の存在下、スチレン及びブタジエンを重合する。
[0031]
 溶媒としては、例えば、n-ブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶媒は通常、単量体濃度が1~50質量%となる範囲で用いることが好ましい。
[0032]
 アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。これら活性金属の中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。さらにアルカリ金属の中でも、有機アルカリ金属化合物がより好ましく用いられる。
[0033]
 有機アルカリ金属化合物としては、例えば、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4-ジリチオブタン、1,4-ジリチオ-2-エチルシクロヘキサン、1,3,5-トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。有機アルカリ金属化合物の使用量は、要求されるS-SBRの分子量によって適宜決められる。有機アルカリ金属化合物は、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン等の第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
[0034]
 極性化合物としては、アニオン重合において、反応を失活させず、ブタジエン単位のミクロ構造やスチレンの共重合体鎖中の分布を調整するために通常用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物等が挙げられる。
[0035]
 重合反応の温度は、通常-80~150℃、好ましくは0~100℃、さらに好ましくは30~90℃の範囲である。重合様式は、回分式あるいは連続式のいずれでもよい。また、スチレン及びブタジエンのランダム共重合性を向上させるため、重合系中のスチレン及びブタジエンの組成比が特定範囲になるように、反応液中にスチレン及びブタジエンを連続的あるいは断続的に供給することが好ましい。
[0036]
 重合反応は、重合停止剤としてメタノール、イソプロパノール等のアルコールを添加して停止できる。重合反応停止後の重合溶液から直接乾燥やスチームストリッピング等により溶媒を分離して、目的のS-SBRが回収できる。なお、溶媒を除去する前に、予め重合溶液と伸展油とを混合し、油展ゴムとして回収してもよい。
[0037]
 上記SBRとしては、本発明の効果を損ねない範囲であれば、SBRに官能基が導入された変性SBRを用いてもよい。官能基としては、例えばアミノ基、アルコキシシリル基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。
[0038]
 変性SBRの製造方法としては、例えば、重合停止剤を添加する前に、重合活性末端と反応し得る四塩化錫、テトラクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4-トリレンジイソシアネート等のカップリング剤や、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N-ビニルピロリドン等の重合末端変性剤、又は特開2011-132298号公報に記載のその他の変性剤を添加する方法が挙げられる。この変性SBRにおいて、官能基が導入される重合体の位置については重合末端であってもよく、重合体鎖の側鎖であってもよい。
[0039]
 上記イソプレンゴムとしては、例えば、四ハロゲン化チタン-トリアルキルアルミニウム系、ジエチルアルミニウムクロライド-コバルト系、トリアルキルアルミニウム-三弗化ホウ素-ニッケル系、ジエチルアルミニウムクロライド-ニッケル系等のチーグラー系触媒;トリエチルアルミニウム-有機酸ネオジム-ルイス酸系等のランタノイド系希土類金属触媒、又はS-SBRと同様に有機アルカリ金属化合物を用いて重合された、市販のイソプレンゴムを用いることができる。チーグラー系触媒により重合されたイソプレンゴムが、シス体含有量が高く好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含有量のイソプレンゴムを用いてもよい。
[0040]
 イソプレンゴムのビニル含有量は好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。ビニル含有量が50質量%を超えると転がり抵抗性能が悪化する傾向にある。ビニル含有量の下限は特に限定されない。またガラス転移温度はビニル含有量によって変化するが、-20℃以下であることが好ましく、-30℃以下であることがより好ましい。
[0041]
 イソプレンゴムの重量平均分子量(Mw)は90,000~2,000,000であることが好ましく、150,000~1,500,000であることがより好ましい。Mwが上記範囲にある場合、加工性と機械強度が良好となる。
[0042]
 上記イソプレンゴムは、本発明の効果を損ねない範囲であれば、その一部が多官能型変性剤、例えば四塩化錫、四塩化珪素、エポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン、又はアミノ基含有アルコキシシランのような変性剤を用いることにより分岐構造又は極性官能基を有していてもよい。
[0043]
 上記ブタジエンゴムとしては、例えば、四ハロゲン化チタン-トリアルキルアルミニウム系、ジエチルアルミニウムクロライド-コバルト系、トリアルキルアルミニウム-三弗化ホウ素-ニッケル系、ジエチルアルミニウムクロライド-ニッケル系等のチーグラー系触媒;トリエチルアルミニウム-有機酸ネオジム-ルイス酸系等のランタノイド系希土類金属触媒、又はS-SBRと同様に有機アルカリ金属化合物を用いて重合された、市販のブタジエンゴムを用いることができる。チーグラー系触媒により重合されたブタジエンゴムが、シス体含有量が高く好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含有量(例えばシス体含有量95%以上)のブタジエンゴムを用いてもよい。
[0044]
 ブタジエンゴムのビニル含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。ビニル含有量が50質量%を超えると転がり抵抗性能(低燃費性能)、耐摩耗性が悪化する傾向にある。ビニル含有量の下限は特に限定されない。またガラス転移温度はビニル含有量によって変化するが、-40℃以下であることが好ましく、-50℃以下であることがより好ましい。
[0045]
 ブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は好ましくは90,000~2,000,000、より好ましくは150,000~1,500,000である。Mwが上記範囲にある場合、タイヤ用ゴム組成物の加工性が向上すると共に、タイヤ用ゴム組成物を一部に用いたタイヤのアイスグリップ性能、耐摩耗性及び操縦安定性も向上する。
[0046]
 上記ブタジエンゴムは、本発明の効果を損ねない範囲であれば、その一部が多官能型変性剤、例えば四塩化錫、四塩化珪素、エポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン、又はアミノ基含有アルコキシシランのような変性剤を用いることにより形成された分岐構造又は極性官能基を有していてもよい。
[0047]
 なお、SBR、イソプレンゴム、及びブタジエンゴムの少なくとも1種と共に、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリル重合体ゴム、クロロプレンゴム等を1種又は2種以上を使用することができる。また、これらの製造方法は特に限定されず、市販されているものを使用できる。
[0048]
 上記天然ゴムとしては、例えばSMR(マレーシア産TSR)、SIR(インドネシア産TSR)、STR(タイ産TSR)等のTSR(Technically Specified Rubber)やRSS(Ribbed Smoked Sheet)等のタイヤ工業において一般的に用いられる天然ゴム、高純度天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、水酸基化天然ゴム、水素添加天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴムが挙げられる。中でも、品質のばらつきが少ない点、及び入手容易性の点から、SMR20、STR20やRSS#3が好ましい。これら天然ゴムは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、本発明においては合成ゴムと天然ゴムとを併用してもよい。
[0049]
[変性液状ジエン系ゴム(B)]
 本発明のタイヤ用ゴム組成物で用いる変性液状ジエン系ゴム(B)とは、液状の重合体であり、その重量平均分子量(Mw)が1,000以上15,000未満の範囲、ビニル含有量が70モル%以下であり、前述した式(1)で表されるシラン化合物に由来する官能基を有し、その官能基の変性液状ジエン系ゴム(B)一分子当たりの平均官能基数が1~20個、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の範囲にあるものをいう。本発明のタイヤ用ゴム組成物において変性液状ジエン系ゴム(B)は後述するフィラー(C)との親和性が高くフィラー(C)近傍に集中しフィラー(C)の補強性に優れ、またフィラー(C)と固形ゴム(A)との相溶性向上にも寄与すると推定される。そのため、ゴム組成物中のフィラー(C)の分散性に優れ、そのゴム組成物から得られる架橋物の耐摩耗性等の機械強度に優れる。また、例えば該架橋物をタイヤトレッド等として用いた場合には、ドライグリップ性能が十分であり、優れたウェットグリップ性能及びアイスグリップ性能を兼ね備え、操縦安定性が向上する。
[0050]
 変性液状ジエン系ゴム(B)の原料となる未変性の液状ジエン系ゴム(B’)は、その重合体を構成する単量体単位として共役ジエン単位を含む。共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン;2,3-ジメチルブタジエン、2-フェニルブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、1,3-シクロヘキサジエン、2-メチル-1,3-オクタジエン、1,3,7-オクタトリエン、ミルセン、及びクロロプレン等のブタジエン及びイソプレン以外の共役ジエン(b1)が挙げられる。未変性の液状ジエン系ゴム(B’)に含まれる共役ジエン単位としては、ブタジエン及び/又はイソプレンの単量体単位が含まれていることが好ましい。
[0051]
 変性液状ジエン系ゴム(B)の原料となる未変性の液状ジエン系ゴム(B’)は、その重合体を構成する全単量体単位のうち、50質量%以上がブタジエン及び/又はイソプレンの単量体単位であることが好ましい一態様である。ブタジエン単位及びイソプレン単位の合計含有量は、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)の全単量体単位に対して60~100質量%であることが好ましく、70~100質量%であることがより好ましい。なお、固形ゴム(A)との相溶性などを考慮してブタジエン単位及びイソプレン単位の合計含有量は定めることもでき、例えば固形ゴム(A)の成分としてブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴムが含まれる場合には、ブタジエン単位及びイソプレン単位の合計含有量が100質量%であることは好ましい一態様である。
[0052]
 上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)に含まれ得るブタジエン単位及びイソプレン単位以外の他の単量体単位としては、前述したブタジエン及びイソプレン以外の共役ジエン(b1)単位、芳香族ビニル化合物(b2)単位などが挙げられる。特に、固形ゴム(A)の成分としてSBRが含まれる場合には、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)に芳香族ビニル化合物(b2)単位が含まれると、変性液状ジエン系ゴム(B)の固形ゴム(A)への相溶性向上効果が期待できる。
[0053]
 芳香族ビニル化合物(b2)としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、4-プロピルスチレン、4-t-ブチルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N-ジエチル-4-アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、4-メトキシスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、及びジビニルベンゼンなどが挙げられる。これら芳香族ビニル化合物の中では、スチレン、α-メチルスチレン、及び4-メチルスチレンが好ましい。
[0054]
 上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)における、ブタジエン単位及びイソプレン単位以外の他の単量体単位の含有量は、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。例えば、ビニル芳香族化合物(b2)単位が上記範囲以下であると、ゴム組成物の加工性が向上する傾向にある。
[0055]
 上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)としては、共役ジエン及び必要に応じて含まれる共役ジエン以外の他の単量体を、例えば、乳化重合法、又は溶液重合法等により重合して得られる重合体が好ましい。
[0056]
 上記乳化重合法としては、公知又は公知に準ずる方法を適用できる。例えば、所定量の共役ジエンを含む単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
[0057]
 乳化剤としては、例えば炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩及びロジン酸塩などが挙げられる。長鎖脂肪酸塩としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩などが挙げられる。
[0058]
 分散媒としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
 ラジカル重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムのような過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等が挙げられる。
[0059]
 得られる未変性の液状ジエン系ゴム(B’)の分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ-テルピネン、α-メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。
[0060]
 乳化重合の温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類などにより適宜設定できるが、通常0~100℃の範囲、好ましくは0~60℃の範囲である。重合様式は、連続重合、回分重合のいずれでもよい。
[0061]
 重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン等のアミン化合物、ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
[0062]
 重合反応停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら、上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)を凝固させた後、分散媒を分離することによって重合体を回収する。次いで水洗、及び脱水後、乾燥することで、上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)が得られる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展した未変性の液状ジエン系ゴム(B’)として回収してもよい。
[0063]
 上記溶液重合法としては、公知又は公知に準ずる方法を適用できる。例えば、溶媒中で、チーグラー系触媒、メタロセン系触媒、アニオン重合可能な活性金属又は活性金属化合物を使用して、必要に応じて極性化合物の存在下で、共役ジエンを含む単量体を重合する。
[0064]
 溶媒としては、例えば、n-ブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。
[0065]
 アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。アニオン重合可能な活性金属の中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。
[0066]
 アニオン重合可能な活性金属化合物としては、有機アルカリ金属化合物が好ましい。有機アルカリ金属化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、ジリチオナフタレン、1,4-ジリチオブタン、1,4-ジリチオ-2-エチルシクロヘキサン、1,3,5-トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。これら有機アルカリ金属化合物の中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。
[0067]
 有機アルカリ金属化合物の使用量は、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)及び変性液状ジエン系ゴム(B)の溶融粘度、分子量などに応じて適宜設定できるが、共役ジエンを含む全単量体100質量部に対して、通常0.01~3質量部の量で使用される。
[0068]
 上記有機アルカリ金属化合物は、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミンなどの第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
[0069]
 極性化合物は、アニオン重合において、通常、反応を失活させず、共役ジエン単位のミクロ構造(例えば、ビニル含有量)を調整するため用いられる。極性化合物としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物などが挙げられる。極性化合物は、有機アルカリ金属化合物1モルに対して、通常0.01~1000モルの量で使用される。
[0070]
 溶液重合の温度は、通常-80~150℃の範囲、好ましくは0~100℃の範囲、より好ましくは10~90℃の範囲である。重合様式は回分式あるいは連続式のいずれでもよい。
[0071]
 重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。重合停止剤としては、例えば、メタノール、イソプロパノール等のアルコールが挙げられる。得られた重合反応液をメタノール等の貧溶媒に注いで、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)を析出させるか、重合反応液を水で洗浄し、分離後、乾燥することにより上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)を単離できる。
 上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)の製造方法としては、上記方法の中でも、溶液重合法が好ましい。
[0072]
 このようにして得られた未変性の液状ジエン系ゴム(B’)は、そのまま(水素添加されない状態で)後述する式(1)で表されるシラン化合物に由来する官能基による変性が行われてもよいが、その液状ジエン系ゴム中に含まれる不飽和結合の少なくとも一部を水素添加した後に変性が行われてもよい。
[0073]
 また、上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)は、後述する式(1)で表されるシラン化合物に由来する官能基の特性をより好ましい状態で発揮させる点から、官能基(例えば、水酸基など)で変性されていないことが好ましい一態様である。未変性の液状ジエン系ゴム(B’)が他の官能基で変性されていないことにより、得られる変性液状ジエン系ゴム(B)の安定性がより優れる傾向にある。また、得られる変性液状ジエン系ゴム(B)の式(1)で表されるシラン化合物に由来する官能基のフィラー(C)(例えばシリカ)への相互作用(例えば反応性)がより優れる傾向にある。
[0074]
 上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)は下記式(1)で表されるシラン化合物(以下、シラン化合物(1)とも称する。)に由来する官能基により変性され、変性液状ジエン系ゴム(B)として用いられる。
[0075]
[化2]


 上記式(1)中、R 1は炭素数1から6の2価のアルキレン基である。二価の炭素数1~6のアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基が挙げられる。R 2、R 3及びR 4はそれぞれ独立に、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチル基、エチル基又はフェニル基を示す。ただし、R 2、R 3及びR 4の少なくとも1つはメトキシ基、エトキシ基又はフェノキシ基である。
[0076]
 上記シラン化合物(1)としては、例えば、メルカプトメチレンメチルジエトキシシラン、メルカプトメチレントリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルメトキシジメチルシラン、2-メルカプトエチルエトキシジメチルシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3-メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシエチルシラン、3-メルカプトプロピルジエトキシエチルシラン、3-メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、3-メルカプトプロピルエトキシジメチルシランなどが挙げられる。これらシラン化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0077]
 シラン化合物(1)のメルカプト基(-SH)が、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)に含まれる炭素-炭素不飽和結合にラジカル付加反応することにより、シラン化合物(1)に由来する官能基、具体的には下記式(2)で示される部分構造を官能基として有する変性液状ジエン系ゴム(B)が得られる。
[0078]
[化3]


 上記式(2)中のR 1、R 2、R 3及びR 4の定義及び具体例等は、式(1)中のR 1、R 2、R 3及びR 4の定義及び具体例等と同一である。
[0079]
 シラン化合物(1)に由来する官能基の変性液状ジエン系ゴム(B)一分子当たりの平均官能基数は1~20個であり、1~15個が好ましく、1~10個がさらにより好ましく、1~9個が特に好ましい。平均官能基数が1未満である場合には、フィラー(C)との親和性が低く、ゴム組成物中のフィラー分散性を改善することができず、所望の物性向上がない場合、例えば耐摩耗性向上、操縦安定性の向上、ドライグリップ性能とウェットグリップ性能が損なわれる場合がある。一方平均官能基数が20を超える場合には、そのゴム組成物から得られる架橋物でも所望の物性向上がなく悪化する傾向、例えば、耐摩耗性、又はウェットグリップ性能が悪化する傾向にある。その詳細なメカニズムは不明であるが、変性液状ジエン系ゴム(B)に適切な量の官能基が導入されていることにより、変性液状ジエン系ゴムがフィラー(C)近傍に集中しやすくなり、フィラー(C)の補強効果が大きくなり、得られる架橋物の耐摩耗性の向上につながると推定される。また、変性液状ジエン系ゴム(B)を介することで、固形ゴム(A)とフィラー(C)との親和性が向上し、ゴム組成物中のフィラー(C)等各成分の分散状態が得られる架橋物の物性向上(例えば、耐摩耗性の向上、操縦安定性の向上、ドライグリップ性能、ウェットグリップ性能)のためには理想的になると推定される。一方、変性液状ジエン系ゴムとしてその官能基数が大きくなり過ぎると、フィラー(C)に吸着した変性液状ジエン系ゴム(B)同士の相互作用により、フィラー(C)を凝集させてしまうこととなり、変性液状ジエン系ゴムが、固形ゴムとフィラー(C)との親和性向上に寄与しないものと推定される。
[0080]
 変性液状ジエン系ゴム(B)一分子当たりの平均官能基数は、変性液状ジエン系ゴム(B)の官能基の当量(g/eq)とスチレン換算の数平均分子量Mnより求めることができる。
(一分子当たりの平均官能基数)=[(数平均分子量Mn)/(スチレン単位の分子量)×(共役ジエン及び必要に応じて含まれる共役ジエン以外の他の単量体単位の平均分子量)]/(官能基の当量)
[0081]
 なお、変性液状ジエン系ゴム(B)の官能基の当量は、官能基1個当たりに結合しているブタジエン及び必要に応じて含まれるブタジエン以外の他の単量体の質量を意味する。官能基の当量は、 1H-NMR又は 13C-NMRを用いて官能基由来のピークと重合体主鎖に由来するピークの面積比から算出することができる。なお、官能基由来のピークとは、アルコキシ基由来のピークを指す。
[0082]
 変性液状ジエン系ゴム(B)におけるシラン化合物(1)の付加量は、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)100質量部に対し1~200質量部が好ましく、1~100質量部がより好ましく、1~60質量部がさらに好ましく、1~50質量部がよりさらに好ましく、1~40質量部であってもよい。付加された変性化合物量が200質量部より多い場合には、フィラー(C)の分散性効果に乏しく、加工性が悪化し、得られる架橋物の耐摩耗性も低下する傾向にある。1質量部より低い場合には、フィラー(C)の分散性効果に乏しく、フィラー(C)などの分散状態が得られる架橋物の物性向上のためには理想的にならない傾向にある。なお、変性液状ジエン系ゴム(B)中に付加されたシラン化合物(1)の付加量は、例えば、核磁気共鳴分光法等の各種分析機器を用いて求めることができる。
[0083]
 シラン化合物(1)を、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)に付加させる方法は特に限定されず、例えば、液状ジエン系ゴム中にシラン化合物(1)、さらに必要に応じてラジカル触媒を加えて、有機溶媒の存在下又は非存在下に加熱する方法を採用することができる。使用するラジカル発生剤には特に制限はなく、通常市販されている有機過酸化物、アゾ系化合物、過酸化水素等が使用できる。シラン化合物(1)を未変性の液状ジエン系ゴム(B’)に付加する反応を、ラジカル発生剤を使用せずに加熱のみによって行うことは望ましくない。例えば、加熱温度が低すぎる場合には付加する反応が十分に起こらず、一分子当たりの平均官能基数が所望の範囲とならない場合がある。また、加熱温度を高くした場合には、付加反応が進行する場合があるが、ポリマー主鎖上にラジカルが発生することによりポリマーの多量化反応も同時に進行する場合があるため、変性液状ジエン系ゴムのMwが所望の範囲とならない場合、変性液状ジエン系ゴムの粘度が所望の範囲とならない場合がある。付加反応時の温度が高いこれらの場合には、高粘度のために変性液状ジエン系ゴムの取扱い性の悪化する場合、シリカとの反応性の低下により得られるタイヤ用ゴム組成物の物性への悪影響が出る場合がある。一方で、付加反応をラジカル発生剤を使用して行うと、比較的低い温度でも多量化反応等の副反応を十分に抑制しつつ、付加する反応が十分に進行する。
[0084]
 上記変性液状ジエン系ゴム(B)のGPCの測定から求めたポリスチレン換算の最大ピーク分子量をMtとしたとき、変性液状ジエン系ゴム(B)のGPC測定により得られるGPCクロマトグラムの重合体由来の全面積を100%として、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合が0~20%の範囲にあることが好ましく、0~15%の範囲であることがより好ましく、0~10%の範囲であることがさらに好ましく、0~8%の範囲であることが特に好ましい。このような変性液状ジエン系ゴム(B)をゴム組成物に配合することにより、ゴム組成物の加工性が良好となり、また得られるゴム組成物中の後述するフィラー(C)の親和性が向上するため、ゴム組成物を作製する際にフィラー(C)の近傍に存在しやすくなり、その結果ゴム組成物中のフィラー(C)などの分散状態が得られる架橋物の物性向上(例えば、ドライグリップ性能、ウェットグリップ性能)のためには理想的になると推定される。また、その変性液状ジエン系ゴム(B)がフィラー(C)の近傍に存在しやすくなる結果、耐摩耗性に優れる架橋物が得られる。
[0085]
 上記有機過酸化物としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン2,5-ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジt-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2.5-ヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル及びその置換体、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メタトルオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t-ブチル-2-エチルヘキサノエート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシオクタノエート、t-ブチルパーオキシ3,3,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシカーボネート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート等が挙げられる。
[0086]
 上記アゾ系化合物としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン)、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオンニトリル)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリックアシッド)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2-シアノ-2-プロピルアゾホルムアミド、2-フェニルアゾ-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル等が挙げられる。
[0087]
 上記方法で使用される有機溶媒としては、一般的には炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒が挙げられる。これら有機溶媒の中でも、n-ブタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒が好ましい。
[0088]
 さらに、上記方法により変性化合物を付加する反応を行う時には、副反応を抑制する観点等から老化防止剤を添加してもよい。
 この時に用いる好ましい老化防止剤としては、例えば、2,6-ジt-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)(AO-40)、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(AO-80)、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-6-メチルフェノール(Irganox1520L)、2,4-ビス[(ドデシルチオ)メチル]-6-メチルフェノール(Irganox1726)、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジt-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジt-ペンチルフェニルアクリレート(SumilizerGS)、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート(SumilizerGM)、6-t-ブチル-4-[3-(2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イルオキシ)プロピル]-2-メチルフェノール(SumilizerGP)、亜りん酸トリス(2,4-ジt-ブチルフェニル)(Irgafos168)、ジオクタデシル3,3’-ジチオビスプロピオネート、ヒドロキノン、p-メトキシフェノール、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(ノクラック6C)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(LA-77Y)、N,N-ジオクタデシルヒドロキシルアミン(IrgastabFS042)、ビス(4-t-オクチルフェニル)アミン(Irganox5057)などが挙げられる。上記老化防止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 老化防止剤の添加量は、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)100質量部に対して0~10質量部が好ましく、0~5質量部がより好ましい。
[0089]
 この変性液状ジエン系ゴム(B)において、官能基が導入される位置については重合末端であってもよく、重合体鎖の側鎖であってもよいが、複数の官能基を容易に導入できるという観点で、重合鎖の側鎖であることが好ましい。また上記官能基は1種単独で含まれていてもよく2種以上含まれていてもよい。したがって、変性液状ジエン系ゴム(B)は、変性化合物1種により変性されたものであってもよく、また2種以上の変性化合物で変性されていてもよい。
[0090]
 未変性の液状ジエン系ゴム(B’)とシラン化合物(1)との混合割合は、例えば、変性液状ジエン系ゴム(B)一分子当たりの平均官能基数が所望の値とになるように適宜設定すればよいが、例えば、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)とシラン化合物(1)との質量比(B’)/(1)が0.3~100となるように混合すればよく、例えば質量比(B’)/(1)が0.3~50となるように混合してもよい。
[0091]
 特定の性状を有する変性液状ジエン系ゴム(B)を製造する手法としては、シラン化合物(1)をラジカル付加する反応を適切な反応温度において、充分な反応時間で反応させることが有効である。例えば、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)にシラン化合物(1)を付加させる反応における温度は10~200℃が好ましく、50℃~180℃がより好ましく、50℃~140℃がさらに好ましい。また反応時間は1~200時間が好ましく、1~100時間がより好ましく、1~50時間がさらに好ましく、1~25時間がよりさらに好ましい。
[0092]
 上記変性液状ジエン系ゴム(B)の38℃で測定した溶融粘度は、0.1~2,000Pa・sが好ましく、0.1~1500Pa・sがより好ましく、0.1~1000Pa・sがさらに好ましく、0.1~500Pa・sがよりさらに好ましく、0.1~250Pa・sが特に好ましく、0.1~100Pa・sがより特に好ましく、0.1~50Pa・sが最も好ましい。変性液状ジエン系ゴム(B)の溶融粘度が前記範囲内であると、得られるゴム組成物の柔軟性が向上するため、加工性が向上する。このような特定の溶融粘度にある変性液状ジエン系ゴム(B)を合成する手法としては、変性反応時にラジカル触媒を添加し、反応温度を低温で、また短時間で行うことが有効である。なお、本発明において変性液状ジエン系ゴム(B)の溶融粘度は、38℃においてブルックフィールド型粘度計により測定した値である。
[0093]
 変性液状ジエン系ゴム(B)の重量平均分子量(Mw)は1,000以上15,000未満であり、2,000以上15,000未満が好ましく、3,000以上15,000未満がより好ましい。本発明において変性液状ジエン系ゴム(B)のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定から求めたポリスチレン換算の重量平均分子量である。上記変性液状ジエン系ゴム(B)のMwが前記範囲内であると、製造時の工程通過性に優れ、経済性が良好となる。また、本発明のタイヤ用ゴム組成物の加工性が良好となり、また得られるゴム組成物中の後述するフィラー(C)の親和性が向上するため、ゴム組成物を作製する際にフィラー(C)の近傍に存在しやすくなり、その結果ゴム組成物中のフィラー(C)などの分散状態が得られる架橋物の物性向上(例えば、ドライグリップ性能、ウェットグリップ性能)のためには理想的になると推定される。また、その変性液状ジエン系ゴム(B)がフィラー(C)の近傍に存在しやすくなる結果、耐摩耗性に優れる架橋物が得られる。また、その変性液状ジエン系ゴムが固形ゴムと共加硫しやすくなり、その結果、配合物から変性液状ジエン系ゴムがブリードしにくくなり、経年による物性の低下が小さくなる。これらのことから、例えば、その架橋物からなるタイヤ等は、優れたドライグリップ性能及びウェットグリップ性能を兼ね備え、操縦安定性などが良好となり、経年による物性低下も小さい。本発明においては、Mwが異なる2種以上の変性液状ジエン系ゴム(B)を組み合わせて用いてもよい。
[0094]
 変性液状ジエン系ゴム(B)の分子量分布(Mw/Mn)は1.0~20.0が好ましく、1.0~15.0がより好ましく、1.0~10.0がさらに好ましい。Mw/Mnが前記範囲内であると、得られる変性液状ジエン系ゴム(B)の粘度のばらつきが小さく、より好ましい。なお、分子量分布(Mw/Mn)は、GPCの測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比を意味する。
[0095]
 変性液状ジエン系ゴム(B)のビニル含有量は70モル%以下であり、耐摩耗性、アイスグリップ性能の観点からは、50モル%未満が好ましく、40モル%未満がより好ましく、35モル%未満さらに好ましく、30モル%未満がよりさらに好ましく、25モル%未満が特に好ましく、20モル%未満が最も好ましい。変性液状ジエン系ゴム(B)のビニル含有量は、操縦安定性、ドライグリップ性能、ウェットグリップ性能の観点からは、20モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好まく、35モル%以上がさらに好ましく、40モル%以上がよりさらに好ましく、45モル%以上が特に好ましく、50モル%以上が最も好ましい。本発明において、「ビニル含有量」とは、変性液状ジエン系ゴムに含まれる、イソプレン単位、ブタジエン単位、及びイソプレン単位とブタジエン単位以外の共役ジエン(b1)単位の合計100モル%中、1,2-結合又は3,4-結合で結合をしている共役ジエン単位(1,4-結合以外で結合をしている共役ジエン単位)の合計モル%を意味する。ビニル含有量は、 1H-NMRを用いて1,2-結合又は3,4-結合で結合をしている共役ジエン単位由来のピークと1,4-結合で結合をしている共役ジエン単位に由来するピークの面積比から算出することができる。
[0096]
 ビニル含有量が70モル%を超えると、変性液状ジエン系ゴム(B)と固形ゴム(A)との相溶性が悪くなるために、フィラー(C)のゴム組成物中の分散状態が得られる架橋物の物性発現のためには理想的とはいえず、ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能が損なわれる傾向にある。また、得られる架橋物の耐摩耗性も悪化する傾向にある。
[0097]
 なお、変性液状ジエン系ゴム(B)のビニル含有量は、例えば、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)を製造する際に使用する溶媒の種類、必要に応じて使用される極性化合物、重合温度などを制御することにより所望の値とすることができる。
[0098]
 変性液状ジエン系ゴム(B)のガラス転移温度(Tg)は0℃以下であり、該ガラス転移温度(Tg)はイソプレン単位、ブタジエン単位及び共役ジエン(b1)単位のビニル含有量、共役ジエン(b1)の種類、共役ジエン以外の単量体に由来する単位の含有量などによって変化し得るが、耐摩耗性、アイスグリップ性能、転がり抵抗性能の観点から、-10℃以下が好ましく、-20℃以下がより好ましく、-30℃以下がさらに好ましく、-40℃以下がよりさらに好ましく、-50℃以下が特に好ましく、-60℃以下がより特に好ましく、-70℃以下が最も好ましい。変性液状ジエン系ゴム(B)のガラス転移温度(Tg)は、操縦安定性、ドライグリップ性能、ウェットグリップ性能の観点からは、-100℃以上が好ましく、-90℃以上がより好ましく、-70℃以上がさらに好ましく、-60℃以上がよりさらに好ましく、-40℃以上がより特に好ましく、-20℃以上が最も好ましい。
[0099]
 上記変性液状ジエン系ゴム(B)は、1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
 上記変性液状ジエン系ゴム(B)は、その製造に用いる重合触媒に由来する触媒残渣量が、金属換算で0~200ppmの範囲にあることが好ましい。例えば、変性液状ジエン系ゴム(B)の原料となる未変性の液状ジエン系ゴム(B’)を製造するための重合触媒として有機リチウム化合物等の有機アルカリ金属を用いた場合には、触媒残渣量の基準となる金属は、リチウム等のアルカリ金属になる。触媒残渣量が上記範囲にあることにより、加工等する際にタックが低下せず、また本発明のタイヤ用ゴム組成物から得られる架橋物の耐熱性、タイヤの転がり抵抗性能が向上する。変性液状ジエン系ゴム(B)の製造に用いる重合触媒に由来する触媒残渣量としては、金属換算で、より好ましくは0~150ppm、さらに好ましくは0~100ppmである。なお、触媒残渣量は、例えば偏光ゼーマン原子吸光分光光度計を用いることにより測定できる。
[0100]
 液状ジエン系ゴムの触媒残渣量をこのような特定の量とする方法としては、変性液状ジエン系ゴム(B)又は原料となる未変性の液状ジエン系ゴム(B’)を精製し、触媒残渣を十分に除去する方法などが挙げられる。精製する方法としては、水若しくは温水、又はメタノール、アセトンなどに代表される有機溶媒若しくは超臨界流体二酸化炭素による洗浄が好ましい。洗浄回数としては、経済的な観点から1~20回が好ましく、1~10回がより好ましい。また、洗浄温度としては、20~100℃が好ましく、40~90℃がより好ましい。また重合反応前に、重合の阻害を行うような不純物を蒸留や吸着剤により除去し、単量体の純度を高めた後に重合を行うことによっても、必要な重合触媒量が少なくてすむため、触媒残渣量を低減することができる。また、上記と同様の観点から、本発明の固形ゴム(A)、変性液状ジエン系ゴム(B)及びフィラー(C)を含有するタイヤ用ゴム組成物中の触媒残渣量が、金属換算で0~200ppmであることが好ましく、0~150ppmがより好ましく、0~100ppmがさらに好ましい。この場合の触媒残渣量は固形ゴム(A)、変性液状ジエン系ゴム(B)及び/又は該タイヤ用ゴム組成物中に含まれるその他任意成分の製造に用いる重合触媒に由来する触媒残渣量であってもよい。
[0101]
 本発明のタイヤ用ゴム組成物において、固形ゴム(A)100質量部に対する変性液状ジエン系ゴム(B)の含有量は、0.1~50質量部であり、0.1~45質量部が好ましく、0.5~40質量部がより好ましく、1~40質量部がさらに好ましく、2~40質量部がよりさらに好ましく、2~30質量部が特に好ましく、2~20質量部が最も好ましい。変性液状ジエン系ゴム(B)の含有量が上記範囲内であると、ゴム組成物中でのフィラー(C)の分散性、得られる架橋物の耐摩耗性の向上が見られ、例えばタイヤ等のドライグリップ性能が十分であり、ウェットグリップ性能及びアイスグリップ性能が優れ、操縦安定性などが良好となる。
[0102]
[フィラー(C)]
 本発明のタイヤ用ゴム組成物で用いるフィラー(C)としては、タイヤ用ゴム組成物に一般的に用いるものであれば特に制限はなく、機械強度の向上等の物性の改善、タイヤ用ゴム組成物を一部に用いたタイヤのドライグリップ性能、ウェットグリップ性能、操縦安定性能及び低燃費性能を向上させるなどの観点からは、上記フィラー(C)の中でも、カーボンブラック及びシリカから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
[0103]
 上記カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラックなどが挙げられる。架橋速度向上、得られる架橋物の機械強度向上、タイヤ用ゴム組成物を一部に用いたタイヤのドライグリップ性能、ウェットグリップ性能、操縦安定性能及び低燃費性能を向上させるなどの観点からは、これらカーボンブラックの中でも、ファーネスブラックが好ましい。これらカーボンブラックは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0104]
 カーボンブラックの平均粒径は、タイヤ用ゴム組成物を一部に用いたタイヤのドライグリップ性能、ウェットグリップ性能、及び低燃費性能を向上させる観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは15nm以上であり、そして、好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下、さらに好ましくは70nm以下、よりさらに好ましくは60nm以下である。なお、カーボンブラックの平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定してその平均値を算出することにより求めることができる。
[0105]
 上記ファーネスブラックの市販品としては、例えば、三菱化学株式会社「ダイアブラック」、東海カーボン株式会社製「シースト」などが挙げられる。アセチレンブラックの市販品としては、例えば、電気化学工業株式会社製「デンカブラック」などが挙げられる。ケッチェンブラックの市販品としては、例えば、ライオン株式会社製「ECP600JD」などが挙げられる。
[0106]
 上記カーボンブラックは、固形ゴム(A)への濡れ性、分散性などを向上させる観点から、硝酸、硫酸、塩酸又はこれらの混合酸等による酸処理や、空気存在下での熱処理による表面酸化処理を行ってもよい。また、本発明のタイヤ用ゴム組成物及びこの組成物から得られる架橋物の機械強度向上の観点から、黒鉛化触媒の存在下に2,000~3,000℃で熱処理を行ってもよい。なお、黒鉛化触媒としては、ホウ素、ホウ素酸化物(例えば、B 22、B 23、B 43、B 45等)、ホウ素オキソ酸(例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等)及びその塩、ホウ素炭化物(例えば、B 4C、B 6C等)、窒化ホウ素(BN)、その他のホウ素化合物が好適に用いられる。
[0107]
 上記カーボンブラックは、粉砕等により粒度を調整した後、用いることもできる。カーボンブラックの粉砕には、高速回転粉砕機(ハンマーミル、ピンミル、ケージミル)や各種ボールミル(転動ミル、振動ミル、遊星ミル)、撹拌ミル(ビーズミル、アトライター、流通管型ミル、アニュラーミル)等が使用できる。
[0108]
 上記シリカとしては、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等を挙げることができる。これらシリカの中でも、加工性、得られる架橋物の機械強度及び耐摩耗性を一層向上させ、タイヤ用ゴム組成物を一部に用いたタイヤのドライグリップ性能、ウェットグリップ性能、操縦安定性能及び低燃費性能を一層向上させる観点から、湿式シリカが好ましい。これらシリカは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0109]
 シリカの平均粒径は、タイヤ用ゴム組成物の加工性、タイヤ用ゴム組成物を一部に用いたタイヤのドライグリップ性能、ウェットグリップ性能、及び低燃費性能を向上させる観点から、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは2nm以上、さらに好ましくは5nm以上、よりさらに好ましくは8nm以上、特に好ましくは10nm以上であり、そして、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、さらに好ましくは100nm以下、よりさらに好ましくは50nm以下、特に好ましくは30nm以下、最も好ましくは20nm以下である。なお、シリカの平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定して、その平均値を算出することにより求めることができる。
[0110]
 これらカーボンブラック及びシリカの中でも、得られるゴム組成物及びその架橋物の転がり抵抗性能向上等の観点からは、フィラー(C)としてはシリカを含むことがより好ましい。
 本発明においては、タイヤ用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの機械強度を向上させること、及びフィラーを増量剤として配合することによる製造コストの改善等を目的として、シリカ及びカーボンブラック以外のフィラーを含有していてもよい。
[0111]
 シリカ及びカーボンブラック以外のフィラーとしては、例えば、有機充填剤や、クレー、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラス繊維、繊維状フィラー、及びガラスバルーン等の無機充填剤を使用できる。これらのフィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0112]
 固形ゴム(A)100質量部に対するフィラー(C)の量は20~200質量部である。フィラー(C)の量が前記範囲内であると、タイヤ用ゴム組成物を一部に用いたタイヤのドライグリップ性能、ウェットグリップ性能、及び低燃費性能が向上する。前述の観点から、固形ゴム(A)100質量部に対するフィラー(C)の量は、より好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは40質量部以上、よりさらに好ましくは50質量部以上、特に好ましくは60質量部以上であり、そして、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下、よりさらに好ましくは90質量部以下、特に好ましくは80質量部以下、より特に好ましくは70質量部以下である。
[0113]
 また、フィラー(C)としてシリカを用いる場合、固形ゴム(A)100質量部に対するシリカの量は、タイヤ用ゴム組成物を一部に用いたタイヤのドライグリップ性能、ウェットグリップ性能、及び低燃費性能を向上させる観点から、好ましくは20質量部以上、より好ましくは25質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上、よりさらに好ましくは35質量部以上、特に好ましくは40質量部以上、最も好ましくは45質量部以上であり、そして、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下、さらに好ましくは80質量部以下、よりさらに好ましくは70質量部以下、特に好ましくは65質量部以下、より特に好ましくは60質量部以下、最も好ましくは55質量部以下である。
[0114]
 さらに、フィラー(C)としてカーボンブラックを用いる場合、固形ゴム(A)100質量部に対するカーボンブラックの量は、タイヤ用ゴム組成物を一部に用いたタイヤのドライグリップ性能、ウェットグリップ性能、及び低燃費性能を向上させる観点から、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、よりさらに好ましくは30質量部以上、特に好ましくは40質量部以上であり、そして、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下、さらに好ましくは80質量部以下、よりさらに好ましくは70質量部以下、特に好ましくは60質量部以下、より特に好ましくは55質量部以下、最も好ましくは50質量部以下である。
[0115]
 シリカ及びカーボンブラックを併用する場合、シリカとカーボンブラックの割合(質量比=シリカ/カーボンブラック)は、1/99~99/1が好ましく、10/90~90/10がより好ましく、30/70~80/20がよりさらに好ましい。
[0116]
[その他の成分]
 本発明のタイヤ用ゴム組成物では、フィラー(C)としてシリカなどを含有する場合は、シランカップリング剤を含有することが好ましい一態様である。シランカップリング剤としては、例えば、スルフィド系化合物、メルカプト系化合物、ビニル系化合物、アミノ系化合物、グリシドキシ系化合物、ニトロ系化合物、クロロ系化合物等が挙げられる。
[0117]
 スルフィド系化合物としては、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリメトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
[0118]
 メルカプト系化合物としては、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
[0119]
 ビニル系化合物としては、例えばビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
 アミノ系化合物としては、例えば、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
[0120]
 グリシドキシ系化合物としては、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
[0121]
 ニトロ系化合物としては、例えば、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
 クロロ系化合物としては、例えば、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン、2-クロロエチルトリメトキシシラン、2-クロロエチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
 その他の化合物としては、例えば、オクチルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシランなどが挙げられる。
[0122]
 これらシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらシランカップリング剤の中でも、補強効果が大きい観点から、スルフィド系化合物及びメルカプト系化合物等の硫黄を含有するシランカップリング剤が好ましく、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
[0123]
 上記シランカップリング剤は、フィラー(C)100質量部に対して好ましくは0.1~30質量部、より好ましくは0.5~20質量部、さらに好ましくは1~15質量部含有される。シランカップリング剤の含有量が前記範囲内であると、分散性、カップリング効果、補強性、耐摩耗性が向上する。
[0124]
 本発明のタイヤ用ゴム組成物は、そのゴムを架橋するために、さらに加硫剤(D)を含有していてもよい。加硫剤(D)としては、例えば、硫黄、硫黄化合物などが挙げられる。硫黄化合物としては、例えば、モルホリンジスルフィド、及びアルキルフェノールジスルフィドなどが挙げられる。これら加硫剤(D)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記加硫剤(D)は、架橋物の力学物性の観点から、固形ゴム(A)100質量部に対し、通常0.1~10質量部、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは0.8~5質量部含有される。
[0125]
 本発明のタイヤ用ゴム組成物は、例えばゴムを架橋(加硫)するための加硫剤(D)が含まれている場合には、さらに加硫促進剤(E)を含有していてもよい。加硫促進剤(E)としては、例えば、グアニジン系化合物、スルフェンアミド系化合物、チアゾール系化合物、チウラム系化合物、チオウレア系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、アルデヒド-アミン系化合物、アルデヒド-アンモニア系化合物、イミダゾリン系化合物、及びキサンテート系化合物などが挙げられる。これら加硫促進剤(E)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記加硫促進剤(E)は、固形ゴム(A)100質量部に対し、通常0.1~15質量部、好ましくは0.1~10質量部含有される。
[0126]
 本発明のタイヤ用ゴム組成物は、例えばゴムを架橋(加硫)するための加硫剤(D)として硫黄、硫黄化合物等が含まれている場合には、さらに加硫助剤(F)を含有していてもよい。加硫助剤(F)としては、例えば、ステアリン酸等の脂肪酸、亜鉛華等の金属酸化物、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩が挙げられる。これら加硫助剤(F)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記加硫助剤(F)は、固形ゴム(A)100質量部に対し、通常0.1~15質量部、好ましくは1~10質量部含有される。
[0127]
 タイヤ用ゴム組成物は加硫剤の他に架橋剤を含有してもよい。架橋剤としては、例えば、酸素、有機過酸化物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、キノン及びキノンジオキシム誘導体、ハロゲン化合物、アルデヒド化合物、アルコール化合物、エポキシ化合物、金属ハロゲン化物、有機金属ハロゲン化物、及びシラン化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。架橋剤の量は、固形ゴム(A)100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部である。
[0128]
 本発明のタイヤ用ゴム組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、加工性、流動性等の改良を目的とし、必要に応じてシリコンオイル、アロマオイル、TDAE(Treated Distilled Aromatic Extracts)、MES(Mild Extracted Solvates)、RAE(Residual Aromatic Extracts)、パラフィンオイル、ナフテンオイル等のプロセスオイル、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、C9系樹脂、ロジン系樹脂、クマロン・インデン系樹脂、フェノール系樹脂等の樹脂成分を軟化剤として含有していてもよい。本発明のタイヤ用ゴム組成物が上記プロセスオイルを軟化剤として含有する場合には、その含有量は、耐ブリード性の観点から、固形ゴム(A)100質量部に対して好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。
[0129]
 本発明のタイヤ用ゴム組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、耐候性、耐熱性、耐酸化性等の向上を目的として、必要に応じて老化防止剤、酸化防止剤、ワックス、滑剤、光安定剤、スコーチ防止剤、加工助剤、顔料や色素等の着色剤、難燃剤、帯電防止剤、艶消し剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、発泡剤、抗菌剤、防カビ剤、香料等の添加剤を含有してもよい。
[0130]
 酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、ラクトン系化合物、ヒドロキシル系化合物等が挙げられる。
 老化防止剤としては、例えば、アミン-ケトン系化合物、イミダゾール系化合物、アミン系化合物、フェノール系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物等が挙げられる。これら添加剤は、1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0131]
[タイヤ用ゴム組成物の製造方法]
 本発明のタイヤ用ゴム組成物の製造方法は、上記各成分を均一に混合できれば特に限定されない。タイヤ用ゴム組成物の製造に用いる装置としては、例えば、ニーダールーダー、ブラベンダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー等の接線式又は噛合式の密閉式混練機、単軸押出機、二軸押出機、ミキシングロール、及びローラーなどが挙げられる。上記ゴム組成物を製造は、通常50~270℃の温度範囲で行うことができる。
[0132]
 本発明のタイヤ用ゴム組成物は架橋することにより架橋物(加硫ゴム)として用いることが好ましい。加硫の条件及び方法に特に制限はないが、加硫金型を用いて加硫温度120~200℃及び加硫圧力0.5~20MPaの条件で行うことが好ましい。
[0133]
 架橋物中からの、変性液状ジエン系ゴム(B)の抽出率は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
 なお、上記抽出率は、架橋物2gをトルエン400mL中に浸漬し、23℃で48時間後にトルエン中に抽出された変性液状ジエン系ゴム(B)の量から算出することができる。
[0134]
[タイヤトレッド及び空気入りタイヤ]
 本発明のタイヤトレッドは、前記タイヤ用ゴム組成物を少なくとも一部に用いたものであり、ドライグリップ性能が十分であり、優れたウェットグリップ性能及びアイスグリップ性能を示し、優れた操縦安定性能を示すものである。本発明のタイヤトレッドの構造は特に制限されず、一層構造であっても多層構造であってもよいが、多層構造とする場合は、路面と接触する層に前記タイヤ用ゴム組成物を用いることが好ましい。
[0135]
 本発明の空気入りタイヤは、前記タイヤ用ゴム組成物を少なくとも一部に用いたものであり、特に前記タイヤを用いた空気入りタイヤが好ましい。本発明の空気入りタイヤは、前記タイヤ用ゴム組成物を一部に用いているため、ドライグリップ性能が十分であり、優れたウェットグリップ性能及びアイスグリップ性能を兼ね備え、操縦安定性が向上しており、耐摩耗性にも優れる。そのため、空気入りタイヤとしては、ウインタータイヤ、スタッドレスタイヤ等の冬用タイヤ、オールシーズンタイヤとして好適である。
[0136]
 上記ゴム組成物及び該ゴム組成物の架橋物を使用できるタイヤの部位としては、例えば、トレッド(キャップトレッド、アンダートレッド)、サイドウォール、ランフラットタイヤ用ゴム補強層(ライナーなど)、リムクッション、ビードフィラー、ビードインシュレーション、ビードエイペックス、クリンチエイペックス、ベルト、ベルトクッション、ブレーカー、ブレーカークッション、チェーファー、チェーファーパッド、ストリップエイペックスなどが挙げられる。
実施例
[0137]
 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
 本実施例及び比較例において使用した各成分は以下のとおりである。
[0138]
<(A)成分>
天然ゴム(NR)   :STR20(タイ製天然ゴム)、ガラス転移温度-63℃
ブタジエンゴム(BR):JSR株式会社製 JSR BR01、
            重量平均分子量55万、シス体含有量95質量%、
            ガラス転移温度-103℃
SBR(1):乳化重合スチレンブタジエンゴム、JSR1500(JSR株式会社製)

       重量平均分子量45万、スチレン含有量23.5質量%、
       ガラス転移温度-52℃
SBR(2):溶液重合スチレンブタジエンゴム、HPR355(JSR株式会社製)
       アルコキシシランでカップリングし末端に導入、
       スチレン含有量28質量%、ビニル含有量56質量%、
       ガラス転移温度-27℃
<(B)成分>
後述する製造例1~3で得られた変性液状ジエン系ゴム並びに製造例4及び5で得られた未変性の液状ジエン系ゴム
<(C)成分>
シリカ     :エボニック社製 Ultrasil7000GR(湿式シリカ)、
         平均粒径14nm
カーボンブラック:三菱化学株式会社製 ダイアブラックI、
         平均粒径20nm
<(X)成分>
(B)成分の比較用に下記(X)成分を用いた。
TDAE   :H&R社製 VivaTec500
<その他の成分>
シランカップリング剤(1):エボニック社製 Si75
シランカップリング剤(2):モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 NXT SILANE
硫黄        :鶴見化学工業株式会社製 微粉硫黄200メッシュ
加硫促進剤(1)  :大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーCZ-G
加硫促進剤(2)  :大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーD
加硫促進剤(3)  :大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーTBT-N
ステアリン酸    :花王株式会社製 ルナックS-20
亜鉛華       :堺化学工業株式会社製 酸化亜鉛
老化防止剤(1)  :大内新興化学工業株式会社製 ノクラック6C
老化防止剤(2)  :川口化学工業株式会社製 アンテージRD
ワックス      :精工化学株式会社製 サンタイトS
[0139]
 <製造例1> 変性液状ジエン系ゴム(B-1)の製造
 十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、ヘキサン1150g及びn-ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)154gを仕込み、50℃に昇温し、撹拌条件下、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン10gを添加した後、重合温度を50℃となるように制御しながら、ブタジエン1250gを逐次添加して、1時間重合した。その後メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液に水を添加して撹拌し、水で重合体溶液を洗浄した。撹拌を終了し、重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合体溶液を70℃で24時間真空乾燥することにより、未変性液状ジエン系ゴム(B’-1)を得た。
[0140]
 続いて、容量1Lのオートクレーブ中に、得られた未変性液状ジエン系ゴム(B’-1)700gを仕込み、60℃で3時間撹拌をしながら窒素脱気をした。1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン0.2gと(3-メルカプトプロピル)トリエトキシシラン130gを添加し、105℃で8時間反応させて、変性液状ジエン系ゴム(B-1)を得た。
 なお、製造例で得られた変性液状ジエン系ゴム等の各物性の測定方法及び算出方法は以下の通りである。
[0141]
 (重量平均分子量の測定方法)
 変性液状ジエン系ゴム(B)のMwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算分子量で求めた。測定装置及び条件は、以下の通りである。
・装置    :東ソー株式会社製GPC装置「GPC8020」
・分離カラム :東ソー株式会社製「TSKgelG4000HXL」
・検出器   :東ソー株式会社製「RI-8020」
・溶離液   :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :1.0mL/分
・サンプル濃度:5mg/10mL
・カラム温度 :40℃
[0142]
 (ビニル含有量)
 変性液状ジエン系ゴム(B)のビニル含有量を、日本電子株式会社製 1H-NMR(500MHz)を使用し、サンプル/重クロロホルム=50mg/1mLの濃度、積算回数1024回で測定した。得られたスペクトルのビニル化されたジエン化合物由来の二重結合のピークと、ビニル化されていないジエン化合物由来の二重結合のピークとの面積比から、ビニル含有量を算出した。
[0143]
 (ガラス転移温度)
 変性液状ジエン系ゴム(B)10mgをアルミパンに採取し、示差走査熱量測定(DSC)により10℃/分の昇温速度条件においてサーモグラムを測定し、DDSCのピークトップの値をガラス転移温度(Tg)とした。
[0144]
 (38℃における溶融粘度の測定方法)
 変性液状ジエン系ゴム(B)の38℃における溶融粘度をブルックフィールド型粘度計(BROOKFIELD ENGINEERING LABS.INC.製)により測定した。
[0145]
 (変性液状ジエン系ゴム(B)一分子当たりの平均官能基数)
 変性液状ジエン系ゴム(B)一分子当たりの平均官能基数は、変性液状ジエン系ゴム(B)の官能基の当量(g/eq)とスチレン換算の数平均分子量Mnより求めることができる。
(一分子当たりの平均官能基数)=[(数平均分子量Mn)/(スチレン単位の分子量)×(共役ジエン及び必要に応じて含まれる共役ジエン以外の他の単量体単位の平均分子量)]/(官能基の当量)
[0146]
 なお、変性液状ジエン系ゴム(B)の官能基の当量は、官能基1個当たりに結合しているブタジエン及び必要に応じて含まれるブタジエン以外の他の単量体の質量を意味する。官能基の当量は、 1H-NMR又は 13C-NMRを用いて官能基由来のピークと重合体主鎖に由来するピークの面積比から算出することができる。なお、官能基由来のピークとは、アルコキシ基由来のピークを指す。
 以下、製造例1で得られた変性液状ジエン系ゴム(B-1)の物性を表1にまとめる。
[0147]
[表1]


[0148]
 <製造例2> 変性液状ジエン系ゴム(B-2)の製造
 十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、ヘキサン1100g及びn-ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)204gを仕込み、50℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を50℃となるように制御しながら、ブタジエン1300gを逐次添加して、1時間重合した。その後メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液に水を添加して撹拌し、水で重合体溶液を洗浄した。撹拌を終了し、重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合体溶液を70℃で24時間真空乾燥することにより、未変性液状ジエン系ゴム(B’-2)を得た。
[0149]
 続いて、容量1Lのオートクレーブ中に、得られた未変性液状ジエン系ゴム(B’-2)700gを仕込み、60℃で3時間撹拌をしながら窒素脱気をした。1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン0.2gと(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン102gを添加し、105℃で8時間反応させて、変性液状ジエン系ゴム(B-2)を得た。製造例2で得られた変性液状ジエン系ゴム(B-2)の物性を表2にまとめる。
[0150]
 <製造例3> 変性液状ジエン系ゴム(B-3)の製造
 十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、ヘキサン1100g及びn-ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)100gを仕込み、50℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を50℃となるように制御しながら、ブタジエン1100gを逐次添加して、1時間重合した。その後メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液に水を添加して撹拌し、水で重合体溶液を洗浄した。撹拌を終了し、重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合体溶液を70℃で24時間真空乾燥することにより、未変性液状ジエン系ゴム(B’-3)を得た。
[0151]
 続いて、容量1Lのオートクレーブ中に、得られた未変性液状ジエン系ゴム(B’-3)700gを仕込み、60℃で3時間撹拌をしながら窒素脱気をした。1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン0.2gと(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン214gを添加し、105℃で8時間反応させて、変性液状ジエン系ゴム(B-3)を得た。製造例3で得られた変性液状ジエン系ゴム(B-3)の物性を表2にまとめる。
[0152]
 <製造例4> 未変性の液状ジエン系ゴム(B’-4)の製造
 十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、ヘキサン1150g及びn-ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)154gを仕込み、50℃に昇温し、撹拌条件下、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン10gを添加した後、重合温度を50℃となるように制御しながら、ブタジエン1250gを逐次添加して、1時間重合した。その後メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液に水を添加して撹拌し、水で重合体溶液を洗浄した。撹拌を終了し、重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合体溶液を70℃で24時間真空乾燥することにより、未変性の液状ジエン系ゴム(B’-4)を得た。製造例4で得られた液状ジエン系ゴム(B’-4)の物性を表2にまとめる。
[0153]
 <製造例5> 未変性の液状ジエン系ゴム(B’-5)の製造
 十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、ヘキサン1100g及びn-ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)204gを仕込み、50℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を50℃となるように制御しながら、ブタジエン1300gを逐次添加して、1時間重合した。その後メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液に水を添加して撹拌し、水で重合体溶液を洗浄した。撹拌を終了し、重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合体溶液を70℃で24時間真空乾燥することにより、未変性の液状ジエン系ゴム(B’-5)を得た。製造例5で得られた液状ジエン系ゴム(B’-5)の物性を表2にまとめる。
[0154]
[表2]


[0155]
 実施例1及び比較例1
 表3に記載した配合割合(質量部)にしたがって、固形ゴム(A)、変性液状ジエン系ゴム(B)、フィラー(C)、TDAE、シランカップリング剤、亜鉛華、ステアリン酸、ワックス、及び老化防止剤を、それぞれ密閉式バンバリーミキサーに投入して開始温度60℃、樹脂温度が150℃となるように6分間混練した後、ミキサー外に取り出して室温まで冷却した。次いで、この混合物を再度バンバリーミキサーに入れ、加硫剤(硫黄)及び加硫促進剤を加えて開始温度50℃、到達温度100℃となるように75秒混練することでゴム組成物を得た。
[0156]
 また、得られたゴム組成物をプレス成形(145℃、20~40分)して加硫ゴムシート(厚み2mm)及び円柱形の摩擦係数測定用試験片(幅16mm、直径80mm)を作製し、下記の方法に基づき、アイスグリップ性能、ウェットグリップ性能、操縦安定性を評価した。その結果を表3に示す。
 なお、各評価の測定方法は以下のとおりである。
[0157]
 (氷上摩擦係数(μ))
 ゴム組成物のアイスグリップ性能の指標として氷上摩擦係数(μ)の評価を行った。
 実施例及び比較例で得られた円柱形の摩擦係数測定用試験片を用いて氷上摩擦係数を測定した。測定装置及び条件は、以下のとおりである。
 タイヤと路面のSlip ratioを0から40%までの範囲で摩擦係数を測定し、得られた摩擦係数の最大値を、氷上摩擦係数(μ)とした。氷上摩擦係数(μ)の数値が高いほど、アイスグリップ性能は良好であることを示す。
[0158]
〔測定装置及び測定条件〕
・装置:株式会社上島製作所製 RTM摩擦試験機
・測定温度:-3.0℃
・路面:氷
・速度:30km/hrs
・荷重:50N
・Slip ratio:0~40%
[0159]
 (湿潤路面摩擦係数(μ))
 ゴム組成物のウェットグリップ性能の指標として湿潤路面摩擦係数(μ)の評価を行った。
 実施例及び比較例で得られた円柱形の摩擦係数測定用試験片を用いて湿潤路面摩擦係数を測定した。測定装置及び条件は、以下のとおりである。
 タイヤと路面のSlip ratioを0から40%までの範囲で摩擦係数を測定し、得られた摩擦係数の最大値を、湿潤路面摩擦係数(μ)とした。湿潤路面摩擦係数(μ)の数値が高いほど、ウェットグリップ性能は良好であることを示す。
[0160]
〔測定装置及び測定条件〕
・装置:株式会社上島製作所製 RTM摩擦試験機
・測定温度:20℃
・路面:株式会社ノリタケコーテッドアブレーシブ製、METABRIT、粒度120、砥粒A
・路面供給水量:0.5L/min
・路面供給水温:20℃
・速度:30km/hrs
・荷重:50N
・Slip ratio:0~40%
[0161]
 (耐摩耗性)
 JIS K 6264に準拠して、10N荷重下、摩耗距離40mでのDIN摩耗量を測定した。各実施例及び比較例の数値は、DIN摩耗量の逆数において表5の比較例5(表7では比較例7)の値を100とした際の相対値である。なお、数値が大きいほど摩耗量が少なく耐摩耗性が良好である。
[0162]
 (操縦安定性)
 実施例及び比較例で作製したゴム組成物の加硫ゴムシートから縦40mm×横5mmの試験片を切り出し、GABO社製動的粘弾性測定装置を用いて、測定温度25℃、60℃、周波数10Hz、静的歪み10%、動的歪み2%の条件で、E’(貯蔵弾性率)を測定し、剛性の指標とした。各実施例及び比較例の数値は、表3の比較例1の値を100とした際の相対値である。なお、数値が大きいほどゴム組成物の剛性が高く、変形が小さいため操縦安定性能が良好である。
[0163]
[表3]


[0164]
 比較例1に対し、変性液状ジエン系ゴムを用いた実施例1は、アイスグリップ性能を損なうことなく、ウェットグリップ性能に優れている。また、25℃、60℃の貯蔵弾性率が共に高く、貯蔵弾性率の温度依存性が低く操縦安定性に優れる。
[0165]
 実施例2~6及び比較例2~4
 表4に記載した配合割合(質量部)にしたがって、固形ゴム(A)、変性液状ジエン系ゴム(B)(比較例2、3では未変性の液状ジエン系ゴム、比較例4では未配合)、フィラー(C)、TDAE、シランカップリング剤、亜鉛華、ステアリン酸、ワックス、及び老化防止剤を、それぞれ密閉式バンバリーミキサーに投入して開始温度60℃、樹脂温度が150℃となるように6分間混練した後、ミキサー外に取り出して室温まで冷却した。次いで、この混合物を再度バンバリーミキサーに入れ、加硫剤(硫黄)及び加硫促進剤を加えて開始温度50℃、到達温度100℃となるように75秒混練することでゴム組成物を得た。
[0166]
 また、得られたゴム組成物をプレス成形(145℃、20~40分)して加硫ゴムシート(厚み2mm)及び円柱形の摩擦係数測定用試験片(幅16mm、直径80mm)を作製し、上述と同様に、ウェットグリップ性能、操縦安定性を評価した。また、下記の測定方法により、低燃費性能を評価した。それぞれの評価結果は比較例4の値を100とした際の相対値である。その結果を表4に示す。
[0167]
 (低燃費性能)
 実施例及び比較例で作製したゴム組成物のシートから縦40mm×横5mmの試験片を切り出し、GABO社製動的粘弾性測定装置を用いて、測定温度60℃、周波数10Hz、静的歪み10%、動的歪み2%の条件で、tanδを測定し、低燃費性能の指標とした。各実施例及び比較例の数値は、表4の比較例4(表5では比較例5)の値を100とした際の相対値である。なお、数値が小さいほどゴム組成物の低燃費性能が良好である。
[0168]
[表4]


[0169]
 比較例2~4に対し、変性液状ジエン系ゴムを用いた実施例2~6は、ウェットグリップ性能を損なうことなく、低燃費性能に優れている。また、25℃、60℃の貯蔵弾性率が共に高く、貯蔵弾性率の温度依存性が低く操縦安定性に優れる。
[0170]
 実施例7及び比較例5
 表5に記載した配合割合(質量部)にしたがって、実施例3と同様に(比較例5では変性液状ジエン系ゴムは未配合)ゴム組成物を作製した。得られたゴム組成物をプレス成形(160℃、20~40分)して加硫ゴムシート(厚み2mm)及び円柱形の摩擦係数測定用試験片(幅16mm、直径80mm)を作製し、上述と同様に、耐摩耗性、アイスグリップ性能、ウェットグリップ性能、操縦安定性、低燃費性能を評価した。それぞれの評価結果は比較例5の値を100とした際の相対値である。その結果を表5に示す。
[0171]
[表5]


[0172]
 比較例5に対し、変性液状ジエン系ゴムを用いた実施例7は、耐摩耗性、アイスグリップ性能、ウェットグリップ性能を損なうことなく、低燃費性能に優れている。また、25℃、60℃の貯蔵弾性率が共に高く、貯蔵弾性率の温度依存性が低く操縦安定性に優れる。
[0173]
 実施例8及び比較例6
 表6に記載した配合割合(質量部)にしたがって、樹脂温度が165℃となるように6分間混練した以外は、実施例3と同様に(比較例6では変性液状ジエン系ゴムは未配合)ゴム組成物を作製した。得られたゴム組成物をプレス成形(160℃、20~40分)して加硫ゴムシート(厚み2mm)を作製し、上述と同様に、操縦安定性を評価した。また、下記の測定方法により、0℃でのtanδを測定し、これをウェットグリップ性能の指標とした。それぞれの評価結果は比較例6の値を100とした際の相対値である。その結果を表6に示す。
[0174]
 (tanδ(0℃))
 実施例及び比較例で作製したゴム組成物のシートから縦40mm×横5mmの試験片を切り出し、GABO社製動的粘弾性測定装置を用いて、測定温度0℃、周波数10Hz、静的歪み10%、動的歪み2%の条件で、tanδを測定し、ウェットグリップ性能の指標とした。各実施例及び比較例の数値は、表6の比較例6の値を100とした際の相対値である。なお、数値が大きいほどゴム組成物のウェットグリップ性能が良好である。
[0175]
[表6]


[0176]
 比較例6に対し、変性液状ジエン系ゴムを用いた実施例8は、tanδ(0℃)が高く、ウェットグリップ性能に優れている。また、25℃、60℃の貯蔵弾性率が共に高く、貯蔵弾性率の温度依存性が低く操縦安定性に優れる。
[0177]
 実施例9及び比較例7
 表7に記載した配合割合(質量部)にしたがって、実施例3と同様に(比較例7では変性液状ジエン系ゴムは未配合)ゴム組成物を作製した。得られたゴム組成物をプレス成形(160℃、20~40分)して加硫ゴムシート(厚み2mm)を作製し、上述と同様に、耐摩耗性、操縦安定性、低燃費性能を評価した。それぞれの評価結果は比較例7の値を100とした際の相対値である。その結果を表7に示す。
[0178]
[表7]


[0179]
 比較例7に対し、変性液状ジエン系ゴムを用いた実施例9は、耐摩耗性、低燃費性能を損なうことなく、25℃、60℃の貯蔵弾性率が共に高く、貯蔵弾性率の温度依存性が低く操縦安定性に優れる。

産業上の利用可能性

[0180]
 本発明のタイヤ用ゴム組成物は加工性、フィラー分散性に優れるだけでなく、架橋剤を加えるなどして架橋性のゴム組成物とした場合、耐摩耗性の向上等が見られる優れる架橋物を与えることからタイヤ用途などに好適に用いることができる。特に、タイヤトレッド等に架橋物を用いた場合には、ドライグリップ性能が十分で、優れたウェットグリップ性能及びアイスグリップ性能を兼ね備えるだけでなく、操縦安定性の向上を達成できるため有用である。

請求の範囲

[請求項1]
 ガラス転移温度(Tg)が-10℃以下の固形ゴム(A)100質量部に対して、下記式(1)で表されるシラン化合物に由来する官能基を有する変性液状ジエン系ゴム(B)を0.1~50質量部、及びフィラー(C)を20~200質量部含有するタイヤ用ゴム組成物であり、
前記変性液状ジエン系ゴム(B)が、下記(i)~(iv)
(i)重量平均分子量(Mw)が1,000以上15,000未満、
(ii)ビニル含有量が70モル%以下、
(iii)変性液状ジエン系ゴム(B)一分子当たりの平均官能基数が1~20個、
(iv)ガラス転移温度(Tg)が0℃以下、
を満たす、タイヤ用ゴム組成物。
[化1]


(式(1)中、R 1は炭素数1から6の2価のアルキレン基であり、R 2、R 3及びR 4はそれぞれ独立に、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチル基、エチル基又はフェニル基を示す。ただし、R 2、R 3及びR 4の少なくとも1つはメトキシ基、エトキシ基又はフェノキシ基である。)
[請求項2]
 前記変性液状ジエン系ゴム(B)の38℃における溶融粘度が0.1~2,000Pa・sである、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
[請求項3]
 前記変性液状ジエン系ゴム(B)がイソプレン及び/又はブタジエンの単量体単位を含む重合体である、請求項1又は2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
[請求項4]
 前記フィラー(C)が、カーボンブラック及びシリカから選ばれる少なくとも1種であ
る、請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
[請求項5]
 前記フィラー(C)が、平均粒径5~100nmのカーボンブラック及び平均粒径が0.5~200nmのシリカから選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載のタイヤ用ゴム組成物。
[請求項6]
 前記フィラー(C)がシリカであり、シリカ100質量部に対し、シランカップリング剤を0.1~30質量部含有する、請求項4又は5に記載のタイヤ用ゴム組成物。
[請求項7]
 前記固形ゴム(A)が、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム及びイソプレンゴムから選ばれる1種以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
[請求項8]
 請求項1~7のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物を架橋させた架橋物。
[請求項9]
 請求項1~7のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物又は請求項8に記載の架橋物を少なくとも一部に用いたタイヤトレッド。
[請求項10]
 請求項1~7のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物又は請求項8に記載の架橋物を少なくとも一部に用いたビードフィラー。
[請求項11]
 請求項1~7のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物又は請求項8に記載の架橋物を少なくとも一部に用いたタイヤ用ベルト。
[請求項12]
 請求項1~7のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を少なくとも一部に用いた空気入りタイヤ。
[請求項13]
 前記空気入りタイヤがウインタータイヤ又はスタッドレスタイヤである、請求項12に記載の空気入りタイヤ。
[請求項14]
 前記空気入りタイヤがオールシーズンタイヤである、請求項12に記載の空気入りタイヤ。