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1. (WO2019044676) 太陽電池素子および太陽電池モジュール
Document

明 細 書

発明の名称 太陽電池素子および太陽電池モジュール

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

発明の概要

0004   0005   0006  

図面の簡単な説明

0007  

発明を実施するための形態

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116  

符号の説明

0117  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

明 細 書

発明の名称 : 太陽電池素子および太陽電池モジュール

技術分野

[0001]
 本開示は、太陽電池素子および太陽電池モジュールに関する。

背景技術

[0002]
 太陽電池素子には、PERC(Passivated Emitter and Rear Cell)型の太陽電池素子がある(例えば、特表2013-526045号公報、特開2014-53287号公報、特開2017-45907号公報および国際公開第2009/157079号の記載を参照)。
[0003]
 このPERC型の太陽電池素子では、例えば、半導体基板の裏面側に位置しているパッシベーション層を貫通している多数の貫通電極を介して、裏面電極と半導体基板の裏面とが接続している。そして、例えば、多数の貫通電極が、パッシベーション層の全面にわたって均一に存在している構造がある(例えば、特表2013-526045号公報および特開2014-53287号公報の記載を参照)。また、例えば、多数の貫通電極が、パッシベーション層のうちの裏面側のバスバー電極を避けた部分の全面にわたって均一に存在している構造がある(例えば、特開2017-45907号公報および国際公開第2009/157079号の記載を参照)。

発明の概要

[0004]
 太陽電池素子および太陽電池モジュールが開示される。
[0005]
 太陽電池素子の一態様は、半導体基板と、パッシベーション層と、複数の貫通電極と、第1電極と、1つ以上の第2電極と、を備えている。前記半導体基板は、第1面および該第1面とは逆方向を向いた状態で位置している第2面を有する。前記パッシベーション層は、前記第2面の上に位置し、複数の孔部を有する。前記複数の貫通電極は、前記複数の孔部内において前記半導体基板の前記第2面に対して電気的に接続している状態で位置している。前記第1電極は、前記複数の貫通電極のうちの2つ以上の第1貫通電極に電気的に接続している状態で前記パッシベーション層の上に位置している。前記1つ以上の第2電極は、前記複数の貫通電極のうちの1つ以上の第2貫通電極に電気的に接続している状態で前記パッシベーション層の上において第1方向に直線状に延びるように位置し、前記第1電極に電気的に接続している状態にある。前記第1電極および前記第2電極を平面透視した場合に、前記第1電極が位置している第1領域において前記2つ以上の第1貫通電極が占めている面積の比率よりも、前記第2電極が位置している第2領域において前記1つ以上の第2貫通電極が占めている面積の比率が小さい。
[0006]
 太陽電池モジュールの一態様は、上記一態様に係る複数の太陽電池素子と、複数の配線材と、第1部材と、第2部材と、第1充填材と、第2充填材と、を備えている。前記複数の太陽電池素子は、2次元的に並んでいる状態で位置している。前記複数の配線材は、前記複数の太陽電池素子のうちの互いに隣り合う太陽電池素子の間をそれぞれ電気的に接続している状態で位置している。前記第1部材は、前記複数の太陽電池素子の前記第1面側に位置し、透光性を有する。前記第2部材は、前記複数の太陽電池素子の前記第2面側に位置している。前記第1充填材は、前記複数の太陽電池素子と前記第1部材との間に位置し、透光性を有する。前記第2充填材は、前記複数の太陽電池素子と前記第2部材との間に位置している。

図面の簡単な説明

[0007]
[図1] 図1は、第1実施形態に係る太陽電池モジュールの一例の第1部材側の外観を示す平面図である。
[図2] 図2(a)は、図1のII-II線に沿った太陽電池モジュールの切断面の一例を示す断面図である。図2(b)は、図1のII-II線に沿った太陽電池モジュールの切断面の他の一例を示す断面図である。
[図3] 図3は、第1実施形態に係る太陽電池素子の一例における第1素子面側の外観を示す平面図である。
[図4] 図4は、第1実施形態に係る太陽電池素子の一例における第2素子面側の外観を示す平面図である。
[図5] 図5は、図3および図4のV-V線に沿った太陽電池素子の仮想的な切断面部の一例を示す図である。
[図6] 図6(a)は、図4のVIa部における太陽電池素子の第2素子面側の外観を拡大して示す拡大平面図である。図6(b)は、図4のVIa部におけるパッシベーション層の構成を拡大して示す拡大平面図である。
[図7] 図7は、図6(a)のVII-VII線に沿った太陽電池素子の仮想的な切断面部の一例を示す図である。
[図8] 図8は、参考例に係る太陽電池素子のうちの図6(a)のVII-VII線に沿った仮想的な切断面部に対応する仮想的な切断面部の一例を示す図である。
[図9] 図9(a)から図9(f)のそれぞれは、第1実施形態に係る太陽電池素子を製造する途中の状態における、図5の仮想的な切断面部に対応する仮想的な切断面部の一例を示す図である。
[図10] 図10は、太陽電池素子の破壊荷重を測定する装置の概略的な構成を例示する図である。
[図11] 図11は、太陽電池素子の破壊荷重の測定結果の一例を示すグラフである。
[図12] 図12は、第2実施形態に係る太陽電池素子の一例のうちの図6(a)のVII-VII線に沿った仮想的な切断面部に対応する仮想的な切断面部の一例を示す図である。
[図13] 図13は、第3実施形態に係る太陽電池素子の一例のうちの図6(a)のVII-VII線に沿った仮想的な切断面部に対応する仮想的な切断面部の一例を示す図である。

発明を実施するための形態

[0008]
 PERC型の太陽電池素子では、例えば、半導体基板の裏面側に位置しているパッシベーション層によるパッシベーション効果によって、出力特性の向上が図られている。このパッシベーション層には、半導体基板の裏面と裏面電極とを電気的に接続している状態にある多数の貫通電極が位置しており、半導体基板の裏面側において光電変換で得られるキャリアが集められる。そして、裏面電極には、例えば、キャリアを集めるための電極(集電電極ともいう)と、出力を取り出すために集電電極と電気的に接続された状態にあるバスバー電極と、が含まれる。
[0009]
 ここで、例えば、貫通電極が存在している領域を小さく、パッシベーション層が存在している領域を大きくすることで、パッシベーション効果を高めることができる。一方、例えば、貫通電極が存在している領域を多く、パッシベーション層が存在している領域を小さくすることで、半導体基板において光電変換で得られるキャリアを収集する効率(集電効率ともいう)を高めることができる。このため、例えば、パッシベーション効果と集電効率とのバランスを考慮して、貫通電極の数および大きさを適宜調整することで、PERC型の太陽電池素子における出力特性の向上を図ることが考えられる。
[0010]
 ところで、例えば、平面透視して、バスバー電極の直下に貫通電極が位置していると、この部分では、パッシベーション層が減少し、少数キャリアの再結合が生じやすい。この場合には、例えば、PERC型の太陽電池素子における光電変換効率が低下し得る。ただし、例えば、平面透視して、バスバー電極の直下にバスバー電極とつながっている貫通電極が位置していなければ、半導体基板に対するバスバー電極の接合強度が低下し、半導体基板からバスバー電極が剥離しやすい。この場合には、例えば、PERC型の太陽電池素子における長期信頼性が低下し得る。
[0011]
 そこで、本願発明者らは、PERC型の太陽電池素子および太陽電池モジュールについて、光電変換効率と長期信頼性とをバランス良く向上させることができる技術を創出した。
[0012]
 これについて、以下、各種実施形態を図面に基づいて説明する。図面においては同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。図面は模式的に示されたものである。図1から図10、図12および図13には、右手系のXYZ座標系が付されている。このXYZ座標系では、太陽電池素子1の第1素子面1fsに沿った第1出力取出電極E11の短手方向が+X方向とされ、第1素子面1fsに沿った第1出力取出電極E11の長手方向が+Y方向とされ、+X方向と+Y方向との両方に直交する方向が+Z方向とされている。
[0013]
 <1.第1実施形態>
  <1-1.太陽電池モジュール>
 第1実施形態に係る太陽電池モジュール100を、図1から図7に基づいて説明する。
[0014]
 図1および図2(a)で示されるように、太陽電池モジュール100は、例えば、第1部材101と、充填材102と、太陽電池部103と、第2部材104と、を備えている。充填材102は、例えば、第1充填材102uと、第2充填材102bと、を含む。図1および図2(a)の例では、太陽電池モジュール100は、第1部材101と、第1充填材102uと、太陽電池部103と、第2充填材102bと、第2部材104と、がこの記載の順に-Z方向に積層された形態を有する。太陽電池モジュール100は、例えば、主に太陽などの光源に向けて配置される前面(第1モジュール面ともいう)Ms1と、この第1モジュール面Ms1とは逆方向を向いた状態で位置している裏面(第2モジュール面ともいう)Ms2と、を有する。
[0015]
 太陽電池部103は、例えば、複数の太陽電池素子1と、複数の第1配線材W1と、複数の第2配線材W2と、を有する。図1の例では、太陽電池部103において、例えば、複数の太陽電池素子1は、2次元的に並んでいる状態で位置している。具体的には、太陽電池部103は、例えば、複数(ここでは、6つ)の太陽電池ストリングSG1を含む。太陽電池ストリングSG1は、例えば、複数(ここでは、7つ)の太陽電池素子1と、複数の第1配線材W1と、を含む。複数の第1配線材W1は、例えば、複数の太陽電池素子1のうちの相互に隣り合う太陽電池素子1の間をそれぞれ電気的に接続している状態で位置している。複数の第2配線材W2は、複数の太陽電池ストリングSG1のうちの相互に隣り合う太陽電池ストリングSG1の間をそれぞれ電気的に接続している状態で位置している。各太陽電池素子1は、表(おもて)面側に位置している面(第1素子面ともいう)1fsと、この第1素子面1fsとは逆方向を向いた状態で位置している面(第2素子面ともいう)1bsと、を有する。図1から図5の例では、第1素子面1fsが+Z方向を向いており、第2素子面1bsが-Z方向を向いた状態にある。
[0016]
 第1部材101は、例えば、複数の太陽電池素子1を含む太陽電池部103の第1素子面1fs側に位置している。第1部材101は、例えば、太陽電池部103を保護する役割と、太陽電池部103を封止する役割と、を果たすことができる。第1部材101は、例えば、透明な素材で形成されていてもよい。第1部材101は、例えば、ガラスあるいはアクリルまたはポリカーボネートなどの樹脂で形成されていてもよい。これにより、第1部材101は、例えば、特定範囲の波長の光に対する透光性を有することができる。特定範囲の波長としては、例えば、太陽電池モジュール100に照射される光に含まれる強度が高い光の波長であって、太陽電池部103が光電変換し得る光の波長が採用される。ここで、ガラスには、例えば、光透過率の高い材料が適用されてもよい。ガラスとしては、例えば、白板ガラス、強化ガラスまたは熱線反射ガラスなどが採用されてもよい。ガラスは、例えば、厚さが2mmから5mm程度であってもよい。第1部材101の形状としては、例えば、平板状などの板状の形状が採用される。図1および図2(a)の例では、+Z方向の側から-Z方向に向けて第1部材101を平面視すると、第1部材101の外形が長方形状である。第1部材101の+Z方向の側の面としては、例えば、一辺が900mmから1200mm程度の矩形状の面が採用される。
[0017]
 第2部材104は、例えば、複数の太陽電池素子1を含む太陽電池部103の第2素子面1bs側に位置している。第2部材104は、例えば、太陽電池部103を保護する役割と、太陽電池部103を封止する役割と、を果たすことができる。第2部材104の素材、形状および厚さとしては、例えば、第1部材101と同様な素材、形状および厚さが採用され得る。第2部材104は、例えば、第1部材101と同様に、特定範囲の波長の光に対する透光性を有する。ここで、第2部材104は、例えば、特定範囲の波長の光に対する透光性を有していなくてもよい。この場合、第2部材104は、例えば、図2(b)で示されるように、樹脂などのシート状の部材(バックシートともいう)であってもよい。また、例えば、第2部材104として、表面が白色を呈するアルミ箔などを挟持した耐候性を有するフッ素系樹脂シート、または、アルミナもしくはシリカを蒸着したポリエチレンテレフタレ-ト(PET)シートなどを用いてもよい。
[0018]
 第1充填材102uは、例えば、複数の太陽電池素子1と第1部材101との間に位置している。第2充填材102bは、例えば、複数の太陽電池素子1と第2部材104との間に位置している。換言すれば、第1充填材102uと第2充填材102bとを含む充填材102は、例えば、太陽電池部103を覆うように、第1部材101と第2部材104との間に充填された状態で位置している。これにより、第1充填材102uおよび第2充填材102bは、例えば、太陽電池部103を保持する役割と、太陽電池部103を封止する封止材としての役割と、を果たすことができる。第1充填材102uおよび第2充填材102bは、第1部材101および第2部材104と同様に、透光性を有する。第1充填材102uおよび第2充填材102bの素材としては、例えば、熱硬化性樹脂などが採用される。熱硬化性樹脂としては、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)あるいはポリビニルブチラール(PVB)を主成分とするものが採用される。熱硬化性樹脂には、例えば、架橋剤が含有されてもよい。本明細書において、主成分とは、含有成分のうち含有される比率(含有率ともいう)が最も大きい(高い)成分のことを意味する。ここで、第2充填材102bは、例えば、特定範囲の波長の光に対する透光性を有していなくてもよい。例えば、第2充填材102bとして、有色の樹脂材料を用いることができる。例えば、第2充填材102bとして、酸化チタンなどを添加することで白色などに着色したEVAなどを用いてもよい。
[0019]
  <1-2.太陽電池素子の構成>
 第1実施形態に係る太陽電池素子1の概略的な構成を、図3から図7に基づいて説明する。第1実施形態に係る太陽電池素子1は、PERC型の太陽電池素子である。
[0020]
 太陽電池素子1は、例えば、半導体基板10と、反射防止膜11と、パッシベーション層12と、保護層13と、表面電極E1と、裏面電極E2と、を有する。
[0021]
 半導体基板10は、第1面10fsと、この第1面10fsとは逆方向を向いた状態で位置している第2面10bsと、を有する。第1面10fsは、太陽電池素子1の第1素子面1fs側に位置している。図3から図5の例では、第1面10fsは、+Z方向を向いた状態にある。第2面10bsは、太陽電池素子1の第2素子面1bs側に位置している。図3から図5の例では、第2面10bsは、-Z方向を向いた状態にある。第1面10fsおよび第2面10bsは、それぞれXY平面に沿った半導体基板10の板面を構成している。半導体基板10は、+Z方向に沿った厚さを有する。
[0022]
 また、半導体基板10は、例えば、第1半導体領域10fと、第2半導体領域10sと、を有する。第1半導体領域10fは、例えば、半導体基板10のうちの第2面10bs側に位置している。また、第1半導体領域10fは、例えば、第1導電型を有する半導体で構成された領域である。第2半導体領域10sは、例えば、半導体基板10のうちの第1面10fs側に位置している。また、第2半導体領域10sは、例えば、第1導電型とは逆の第2導電型を有する半導体で構成された領域である。図5の例では、第2半導体領域10sは、半導体基板10のうちの第1面10fs側の表層部に位置している。換言すれば、第1半導体領域10f上に第2半導体領域10sが位置している。
[0023]
 ここで、例えば、半導体基板10がシリコンを含有するシリコン基板である場合を想定する。この場合には、シリコン基板として、多結晶または単結晶のシリコン基板が採用される。シリコン基板は、例えば、250μm以下あるいは150μm以下の厚さを有する薄い基板である。また、シリコン基板は、例えば、平面視して1辺が150mmから200mm程度の略矩形状の板面を有する。このような形状を有する半導体基板10が採用されれば、複数の太陽電池素子1を並べて太陽電池モジュール100が製造される際に、太陽電池素子1同士の間の隙間が小さくなり得る。
[0024]
 また、例えば、第1導電型がp型であり且つ第2導電型がn型である場合、p型のシリコン基板は、例えば、多結晶あるいは単結晶のシリコンの結晶に、ドーパント元素として、ボロンあるいはガリウムなどの不純物を含有させることで製作され得る。この場合、p型のシリコン基板の第1面10fs側の表層部にドーパントとしてのリンなどの不純物を拡散させることで、n型の第2半導体領域10sが生成され得る。このとき、p型の第1半導体領域10fとn型の第2半導体領域10sとが積層された半導体基板10が形成され得る。これにより、半導体基板10は、第1半導体領域10fと第2半導体領域10sとの界面に位置しているpn接合部を有する。
[0025]
 図5で示されるように、半導体基板10の第1面10fsは、例えば、照射された光の反射率を低減するための微細な凹凸構造(テクスチャともいう)を有していてもよい。テクスチャの凸部の高さは、例えば、0.1μmから10μm程度とされる。隣り合う凸部の頂点の間の距離は、例えば、0.1μmから20μm程度とされる。テクスチャでは、例えば、凹部が略球面状であってもよい。また、テクスチャでは、例えば、凸部がピラミッド形状であってもよい。上述した「凸部の高さ」とは、例えば、図5において、凹部の底面を通る直線を基準線とし、基準線に対して垂直な方向(ここでは+Z方向)において、基準線から凸部の頂点までの距離のことである。
[0026]
 また、半導体基板10は、第3半導体領域10tを有する。第3半導体領域10tは、半導体基板10のうちの第2面10bs側の表層部に位置している。第3半導体領域10tの導電型は、第1半導体領域10fの導電型(第1実施形態ではp型)と同一であればよい。そして、第3半導体領域10tが含有するドーパントの濃度は、第1半導体領域10fが含有するドーパントの濃度よりも高い。このとき、第3半導体領域10tは、半導体基板10の第2面10bs側において内部電界を形成するBSF(Back Surface Field) 層としての役割を果たす。これにより、半導体基板10の第2面10bsの近傍では、半導体基板10における光の照射に応じた光電変換で生じる少数キャリアの再結合が低減され得る。その結果、太陽電池素子1における光電変換効率が低下しにくくなる。第3半導体領域10tは、例えば、半導体基板10のうちの第2面10bs側の表層部に、アルミニウムなどのドーパント元素が拡散されることで形成され得る。このとき、第1半導体領域10fが含有するドーパント元素の濃度を、5×10 15atoms/cm から1×10 17atoms/cm 程度とし、第3半導体領域10tが含有するドーパント元素の濃度を、1×10 18atoms/cm から5×10 21atoms/cm 程度とすることができる。第3半導体領域10tは、例えば、後述する裏面側の第1貫通電極E231と半導体基板10との接触部分に存在すればよい。
[0027]
 反射防止膜11は、例えば、半導体基板10の第1面10fs側に位置している。反射防止膜11は、例えば、太陽電池素子1の第1素子面1fsに照射される光の反射率を低減することができる。反射防止膜11の素材としては、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウムまたは窒化シリコンなどが採用され得る。反射防止膜11の屈折率および厚さは、例えば、太陽光のうち、半導体基板10に吸収されて発電に寄与し得る波長範囲の光に対して、反射率が低い条件(低反射条件ともいう)を実現することが可能な値に適宜設定される。ここで、例えば、反射防止膜11の屈折率が、1.8から2.5程度とされ、反射防止膜11の厚さが、50nmから120nm程度とされる。反射防止膜11は、例えば、プラズマ化学気相成長(PECVD:Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition)法またはスパッタリング法を用いて形成され得る。
[0028]
 パッシベーション層12は、半導体基板10の少なくとも第2面10bsの上に位置している。第1実施形態では、パッシベーション層12は、半導体基板10の第2面10bsに接している状態で位置している。パッシベーション層12は、例えば、半導体基板10において光の照射に応じた光電変換で生成される少数キャリアの再結合を低減することができる。パッシベーション層12の素材としては、例えば、酸化アルミニウムなどが採用される。この場合、パッシベーション層12は、例えば、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法で形成され得る。ここで、酸化アルミニウムは負の固定電荷を有する。このため、電界効果によって、半導体基板10の第2面10bs側で生じる少数キャリア(この場合は電子)が、p型の第1半導体領域10fとパッシベーション層12との界面(第2面10bs)から遠ざけられる。これにより、半導体基板10のうちの第2面10bsの近傍における少数キャリアの再結合が低減され得る。その結果、PERC型の太陽電池素子1の光電変換効率が向上し得る。パッシベーション層12の厚さは、例えば、10nmから60nm程度とされる。パッシベーション層12は、例えば、半導体基板10の第1面10fsの上に位置していてもよい。パッシベーション層12は、例えば、半導体基板10の第1面10fsと第2面10bsとを接続している状態にある側面10ss上に位置していてもよい。
[0029]
 ここで、パッシベーション層12は、例えば、複数の孔部(第1孔部ともいう)H1を有する。各第1孔部H1は、パッシベーション層12の厚さ方向(ここでは、+Z方向)においてパッシベーション層12を貫通している状態で位置している。第1孔部H1は、例えば、第2面10bsに沿った周囲が閉じられた状態にある貫通孔の形態を有る孔部であってもよい。また、第1孔部H1は、第2面10bsに沿った周囲の少なくとも一部が開口している状態にあるスリット状の形態を有する孔部であってもよい。ここで、複数の第1孔部H1には、例えば、後述する第2集電電極E21の直下に位置している第1A孔部H11と、後述する第2出力取出電極E22の直下に位置している第1B孔部H12と、が含まれている。
[0030]
 保護層13は、例えば、半導体基板10の第2面10bs側に位置している。第1実施形態では、保護層13は、例えば、半導体基板10の第2面10bs上に位置しているパッシベーション層12上に位置している。別の観点から言えば、保護層13は、例えば、パッシベーション層12と裏面電極E2との間に位置している。そして、保護層13は、パッシベーション層12上においてパッシベーション層12を覆っている。これにより、保護層13は、例えば、パッシベーション層12を保護することができる。具体的には、例えば、太陽電池素子1を製造する際および太陽電池素子1を使用する際の双方において、保護層13の存在によって、太陽電池素子1の外部からパッシベーション層12まで水分などが到達しにくい。これにより、パッシベーション層12が劣化しにくくなる。
[0031]
 保護層13の素材としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコンまたは絶縁樹脂などが採用される。保護層13は、パッシベーション層12上において、所望のパターンを有する状態で位置している。保護層13は、厚さ方向(ここでは+Z方向)に保護層13を貫通している状態にある複数の孔部(第2孔部ともいう)H3を有する。第2孔部H3は、例えば、第2面10bsに沿った周囲が閉じられた状態にある貫通孔の形態を有する孔部であってもよい。また、第2孔部H3は、第2面10bsに沿った周囲の少なくとも一部が開口している状態にあるスリット状の形態を有する孔部であってもよい。各第2孔部H3は、例えば、パッシベーション層12の第1孔部H1と連続してつながっている状態にある。ここで、複数の第2孔部H3には、例えば、後述する第2集電電極E21の直下に位置している第2A孔部H31と、後述する第2出力取出電極E22の直下に位置している第2B孔部H32と、が含まれている。
[0032]
 保護層13は、例えば、半導体基板10の第2面10bs上に形成されたパッシベーション層12上に、乾式のプロセスあるいは湿式のプロセスによって形成される。湿式のプロセスには、例えば、絶縁性ペーストの塗布、乾燥および加熱をおこなう方法などが適用される。乾式のプロセスには、例えば、PECVD法またはスパッタリング法などを用いた方法などが適用される。
[0033]
 ここで、例えば、保護層13が窒化シリコンを含む薄膜であれば、スパッタリング法および化学蒸着法などの乾式のプロセスを用いて保護層13を形成することができる。これにより、例えば、パッシベーション層12と保護層13との接合強度が向上し得る。この場合には、例えば、半導体基板10の第2面10bs側に、レーザー装置を用いてレーザービームを照射して、所望のパターンを有する第2孔部H3を形成することができる。レーザー装置には、例えば、Qスイッチ付きNd:YAG(ネオジムドープ、イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザーなどが適用される。このとき、例えば、半導体基板10の第2面10bs側に、マスクを用いて所望のパターンを有する第2孔部H3が形成されてもよい。ここでは、保護層13に第2孔部H3が形成される際には、パッシベーション層12に第1孔部H1が同時に形成され得る。
[0034]
 また、例えば、保護層13がシロキサン樹脂などを含む薄膜であれば、パッシベーション層12上に対する絶縁性ペーストのスクリーン印刷法などによる塗布および乾燥などをおこなう湿式のプロセスを用いて保護層13を形成することができる。ここで、絶縁性ペーストには、例えば、保護層13の原料となるシロキサン樹脂と、有機溶剤と、複数のフィラーと、を含む絶縁性のペーストが適用される。シロキサン樹脂は、Si-O-Si結合(シロキサン結合ともいう)を有するシロキサン化合物である。具体的には、シロキサン樹脂としては、例えば、アルコキシシランまたはシラザンなどを加水分解させて縮合重合させることで生成された、分子量が1万5千以下の低分子量の樹脂が採用される。
[0035]
 保護層13は、例えば、半導体基板10の側面10ss上に形成されてもよい。このとき、保護層13の存在により、太陽電池素子1でリーク電流が生じにくくなる。
[0036]
 表面電極E1は、半導体基板10の第1面10fsの側に位置している。表面電極E1には、第1出力取出電極E11と、第1集電電極E12と、が含まれている。
[0037]
 第1出力取出電極E11は、半導体基板10における光の照射に応じた光電変換で生じるキャリアを第1集電電極E12を介して集めて、太陽電池素子1の外部に電気を取り出すことができる電極(バスバー電極ともいう)である。図3および図5の例では、半導体基板10の第1面10fs側に、3本の第1出力取出電極E11が存在している。各第1出力取出電極E11は、第1面10fsに沿った長手方向を有する。この長手方向は+Y方向である。そして、各第1出力取出電極E11は、長手方向に交差している短手方向(幅方向ともいう)を有する。幅方向は+X方向である。ここで、第1出力取出電極E11は、例えば、平面視して、細長い長方形状の形状を有する。第1出力取出電極E11の短手方向の長さ(幅ともいう)は、例えば0.8mmから2mm程度とされる。第1出力取出電極E11の少なくとも一部は、第1集電電極E12と交差して電気的に接続された状態にある。
[0038]
 第1集電電極E12は、半導体基板10における光の照射に応じた光電変換で生じるキャリアを集めることができる電極である。図3の例では、半導体基板10の第1面10fs側に、複数本の第1集電電極E12が存在している。各第1集電電極E12は、第1面10fsに沿った長手方向を有する。この長手方向は+X方向である。また、各第1集電電極E12は、長手方向に交差している短手方向(幅方向ともいう)を有する。ここで、各第1集電電極E12は、例えば、線状の電極である。また、各第1集電電極E12は、例えば、30μmから150μm程度の幅を有する。つまり、各第1集電電極E12の幅は、第1出力取出電極E11の幅よりも小さい。複数の第1集電電極E12は、例えば、互いに1mmから3mm程度の間隔を空けて並ぶように位置している。
[0039]
 第1出力取出電極E11および第1集電電極E12の厚さは、例えば、10μmから40μm程度である。第1出力取出電極E11および第1集電電極E12は、例えば、銀ペーストがスクリーン印刷などで所望の形状に塗布された後に、この銀ペーストを焼成することで形成され得る。銀ペーストは、例えば、主成分として銀を含む金属粉末、有機ビヒクルおよびガラスフリットを含有する導電性ペーストであればよい。また、表面電極E1は、例えば、補助電極E13を含んでいる。また、補助電極E13は、半導体基板10の周縁部に沿って位置しており、第1集電電極E12同士を電気的に接続している状態にある。補助電極E13は、例えば、第1面10fs上において、第1集電電極E12と同様の形状を有していてもよい。
[0040]
 裏面電極E2は、半導体基板10の第2面10bsの側に位置している。裏面電極E2には、第1電極(第2集電電極ともいう)E21と、1つ以上の第2電極(第2出力取出電極ともいう)E22と、複数の貫通電極E23と、が含まれている。
[0041]
 複数の貫通電極E23のそれぞれは、互いに連続してつながった状態にある第1孔部H1と第2孔部H3とで構成された一続きの孔部(連結孔部ともいう)内において、半導体基板10の第2面10bsに対して電気的に接続している状態で位置している。連結孔部は、例えば、第2面10bsに沿った周囲が閉じられた状態にある貫通孔の形態を有する孔部であってもよい。また、連結孔部は、例えば、第2面10bsに沿った周囲の少なくとも一部が開口している状態にあるスリット状の形態を有する孔部であってもよい。また、図5から図7で示されるように、複数の貫通電極E23には、2つ以上の第1貫通電極E231と、1つ以上の第2貫通電極E232と、が含まれている。ここで、第1貫通電極E231は、例えば、互いに連続してつながった状態にある第1A孔部H11と第2A孔部H31とで構成された一続きの孔部(第1連結孔部ともいう)内において、半導体基板10の第2面10bsに対して電気的に接続している状態で位置している。第2貫通電極E232は、例えば、互いに連続してつながった状態にある第1B孔部H12と第2B孔部H32とで構成された一続きの孔部(第2連結孔部ともいう)内において、半導体基板10の第2面10bsに対して電気的に接続している状態で位置している。
[0042]
 第2集電電極E21は、パッシベーション層12の上に位置している。第2集電電極E21は、例えば、半導体基板10の第2面10bs側において、半導体基板10における光の照射に応じた光電変換で生じるキャリアを集めることができる。図5から図7で示されるように、第2集電電極E21は、2つ以上の第1貫通電極E231に電気的に接続している状態で、パッシベーション層12の上に位置している。図5から図7の例では、第2集電電極E21は、2つ以上の第1貫通電極E231に電気的に接続している状態で、パッシベーション層12の上に位置している保護層13の上に位置している。換言すれば、図5から図7の例では、第2集電電極E21は、例えば、パッシベーション層12上において、第2集電電極E21とパッシベーション層12とが保護層13を挟んでいる状態となるように位置している。
[0043]
 第2集電電極E21の厚さは、例えば、15μmから50μm程度とされる。第2集電電極E21は、例えば、導電性ペーストの塗布および焼成によって形成され得る。ここで、導電性ペーストの塗布は、例えば、スクリーン印刷などで実現され得る。そして、例えば、保護層13の上に導電性ペーストを塗布する際には、導電性ペーストを、第2A孔部H31内あるいは第2A孔部H31内および第1A孔部H11内にも塗布することができる。このため、導電性ペーストの焼成によって、第2集電電極E21と第1貫通電極E231とを同時に形成することができる。
[0044]
 ここで、例えば、第2集電電極E21が主成分としてアルミニウムを含む場合には、第2集電電極E21を形成するための導電性ペーストには、主成分としてアルミニウムを含む導電性ペースト(アルミニウムペーストともいう)が適用される。アルミニウムペーストは、例えば、主成分としてアルミニウムを含む金属粉末、有機ビヒクルおよびガラスフリットを含有する。このアルミニウムペーストは、例えば、アルミニウムを含有する金属粉末とガラスフリットと有機ビヒクルとを混練することで作製され得る。このとき、例えば、アルミニウムペーストの総質量に対して、65質量%から80質量%程度がアルミニウムを含む金属粉末とされ、総質量の0.05質量%から10質量%程度が有機ビヒクルとされ、2質量%から15質量%程度がガラスフリットとされる。
[0045]
 ここで、アルミニウムを含む金属粉末の粒径は、例えば、0.05μmから20μm程度とされる。アルミニウムを含む金属粉末の粒径は、例えば、0.1μmから5μm程度とされてもよい。有機ビヒクルは、例えば、バインダとして使用される樹脂成分を有機溶媒に添加することで準備される。バインダとしては、例えば、エチルセルロースなどのセルロース系樹脂、アクリル樹脂またはアルキッド樹脂などが使用される。有機溶媒としては、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ターピネオールまたはジエチレングリコールモノブチルエーテルなどが使用される。ガラスフリットとしては、例えば、Al -SiO -PbO系などの鉛系ガラスが適用される。
[0046]
 ところで、例えば、保護層13が湿式のプロセスで形成された場合には、アルミニウムペーストの焼成時に、保護層13の第2A孔部H31においてパッシベーション層12上に直接塗布されたアルミニウムペーストは、パッシベーション層12の焼成貫通を生じる。このとき、パッシベーション層12の第1A孔部H11が形成され得る。そして、例えば、第2集電電極E21とつながっている状態にあり、半導体基板10の第2面10bsに直接接続された状態にある第1貫通電極E231が形成され得る。また、例えば、保護層13が乾式のプロセスで形成された場合には、レーザーの照射などで第2A孔部H31および第1A孔部H11が形成された状態にある。このため、連続してつながった状態にある第2A孔部H31と第1A孔部H11とで構成された第1連結孔部において半導体基板10の第2面10bs上にアルミニウムペーストが直接塗布される。これにより、アルミニウムペーストの焼成時には、パッシベーション層12の焼成貫通を生じなくても、第1貫通電極E231が形成され得る。また、アルミニウムペーストの焼成時には、例えば、アルミニウムペースト内のアルミニウムが半導体基板10の第2面10bsの表層部内に拡散することで、第3半導体領域10tが形成される。
[0047]
 ここで、例えば、保護層13の厚さが、パッシベーション層12の厚さよりも十分大きい場合には、パッシベーション層12のうちの保護層13で覆われている部分では、アルミニウムペーストはパッシベーション層12の焼成貫通を生じない。これにより、太陽電池素子1において、半導体基板10の第2面10bs上に、保護層13の所望のパターンに対応するパターンでパッシベーション層12を存在させることが可能となる。ここで、例えば、保護層13をPECVD法により窒化シリコンで形成した場合では、保護層13の厚さは、例えば、70nmから200nm程度とされる。また、保護層13を、絶縁性ペーストを用いて形成した場合では、保護層13の厚さは、例えば、0.5μmから10μm程度とされる。この場合の保護層13の厚さは、例えば、保護層13を形成するための絶縁性ペーストの組成、半導体基板10の第2面10bsの形状、および第2集電電極E21の形成時の焼成条件などによって適宜設定される。
[0048]
 第2出力取出電極E22は、パッシベーション層12の上において第1方向としての+Y方向に沿って直線状に延びるように位置している。第1実施形態では、図5から図7で示されるように、第2素子面1bsを平面視した場合に、第2出力取出電極E22の外周部に第2集電電極E21が重なるように位置している。換言すれば、第2集電電極E21は、第2出力取出電極E22の一部に重なって接触している状態で位置している。
[0049]
 第2出力取出電極E22は、半導体基板10における光の照射に応じた光電変換で生じるキャリアを第2集電電極E21を介して集めて、太陽電池素子1の外部に電気を取り出すことができる。図5から図7で示されるように、第2出力取出電極E22は、1つ以上の第2貫通電極E232に電気的に接続している状態でパッシベーション層12の上において第1方向(+Y方向)に直線状に延びるように位置し、第2集電電極E21に電気的に接続している状態にある。図5から図7の例では、第2出力取出電極E22は、1つ以上の第2貫通電極E232に電気的に接続している状態で、パッシベーション層12の上に位置している保護層13の上に位置している。換言すれば、図5から図7の例では、第2出力取出電極E22は、例えば、パッシベーション層12上において、第2出力取出電極E22とパッシベーション層12とが保護層13を挟んでいる状態となるように位置している。
[0050]
 図4の例では、半導体基板10の第2面10bs側に、3本の第2出力取出電極E22が存在している。各第2出力取出電極E22は、第2面10bsに沿った長手方向を有する。この長手方向は+Y方向である。そして、各第2出力取出電極E22は、長手方向としての+Y方向に沿って並んでいるN個(Nは2以上の整数)の島状の電極部(島状電極部ともいう)によって構成された状態にある。ここでは、N個は5個である。つまり、半導体基板10の第2面10bs側には、それぞれ第2出力取出電極E22の長手方向(ここでは+Y方向)に沿って並んでいる3列の島状電極部が存在している。そして、第2出力取出電極E22は、長手方向に交差している幅方向を有する。この幅方向は+X方向である。
[0051]
 第2出力取出電極E22の厚さは、例えば5μmから20μm程度とされる。第2出力取出電極E22の幅は、例えば、0.8mmから3mm程度とされる。第2出力取出電極E22は、例えば、導電性ペーストの塗布および焼成によって形成され得る。ここで、導電性ペーストの塗布は、例えば、スクリーン印刷などで実現され得る。そして、例えば、保護層13の上に導電性ペーストを塗布する際には、導電性ペーストを、第2B孔部H32内あるいは第2B孔部H32内および第1B孔部H12内にも塗布することができる。このため、導電性ペーストの焼成によって、第2出力取出電極E22と第2貫通電極E232とを同時に形成することができる。
[0052]
 ここで、例えば、第2出力取出電極E22が主成分として銀を含む場合には、第2出力取出電極E22を形成するための導電性ペーストには、主成分として銀を含む導電性ペースト(銀ペーストともいう)が適用される。銀ペーストは、例えば、主成分として銀を含む金属粉末、有機ビヒクルおよびガラスフリットを含有する。この銀ペーストは、例えば、銀を含有する金属粉末とガラスフリットと有機ビヒクルとを混練することで作製され得る。このとき、例えば、銀ペーストの総質量に対して、70質量%から80質量%程度が銀を含む金属粉末とされ、総質量の5質量%から20質量%程度が有機ビヒクルとされ、2質量%から15質量%程度がガラスフリットとされる。
[0053]
 ここで、主成分として銀を含む銀ペーストは、例えば、主成分として銀と銅とを含むものでもよい。銀を含む金属粉末の粒径は、例えば、0.05μmから20μm程度とされる。銀を含む金属粉末の粒径は、例えば、0.1μmから5μm程度とされてもよい。有機ビヒクルは、例えば、バインダとして使用される樹脂成分を有機溶媒に添加することで準備される。バインダとしては、例えば、エチルセルロースなどのセルロース系樹脂、アクリル樹脂またはアルキッド樹脂などが使用される。有機溶媒としては、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ターピネオールまたはジエチレングリコールモノブチルエーテルなどが使用される。ガラスフリットとしては、例えば、Al -SiO -PbO系などの鉛系ガラスが適用される。また、ガラスフリットとして、例えば、B -SiO -Bi 系またはB -SiO -ZnO系などの非鉛系ガラスが適用されてもよい。
[0054]
 ところで、例えば、保護層13が湿式のプロセスで形成された場合には、銀ペーストの焼成時に、保護層13の第2B孔部H32においてパッシベーション層12上に直接塗布された銀ペーストが、パッシベーション層12の焼成貫通を生じる。このとき、パッシベーション層12の第1B孔部H12が形成され得る。そして、例えば、第2出力取出電極E22とつながっている状態にあり、半導体基板10の第2面10bsに直接接続された状態にある第2貫通電極E232が形成され得る。また、例えば、保護層13が乾式のプロセスで形成された場合には、レーザーの照射などで第2B孔部H32および第1B孔部H12が形成された状態にある。このため、連続してつながった状態にある第2B孔部H32と第1B孔部H12とで構成された第2連結孔部において半導体基板10の第2面10bs上に銀ペーストが直接塗布される。これにより、銀ペーストの焼成時には、銀ペーストがパッシベーション層12の焼成貫通を生じなくても、第2貫通電極E232が形成され得る。したがって、第2出力取出電極E22を形成する際には、銀ペーストがパッシベーション層12を焼成貫通してもよいし、銀ペーストがパッシベーション層12を焼成貫通しなくてもよい。ここでは、第2出力取出電極E22の形成に用いる銀ペーストに含まれるガラスフリットの成分を適宜設定することで、パッシベーション層12の焼成貫通の有無および程度を適宜制御することができる。
[0055]
 ここで、例えば、ガラスフリットに酸化ビスマスを含有させることで、銀ペーストによるパッシベーション層12の焼成貫通を生じさせることができる。このとき、例えば、ガラスフリットが含有する酸化ビスマスの量を増加させると、銀ペーストによるパッシベーション層12の焼成貫通が生じやすくなる。一方、ここで、例えば、ガラスフリットに酸化亜鉛を含有させることで、銀ペーストによるパッシベーション層12の焼成貫通を生じにくくすることができる。このとき、例えば、ガラスフリットが含有する酸化亜鉛の量を増加させると、銀ペーストによるパッシベーション層12の焼成貫通がさらに生じにくくなる。
[0056]
 また、ここで、例えば、保護層13の厚さが、パッシベーション層12の厚さよりも十分大きい場合には、パッシベーション層12のうちの保護層13で覆われている部分では、銀ペーストはパッシベーション層12の焼成貫通を生じない。これにより、太陽電池素子1において、半導体基板10の第2面10bs上に、保護層13の所望のパターンに対応するパターンでパッシベーション層12を存在させることが可能となる。保護層13の厚さは、例えば、保護層13を形成するための絶縁性ペーストの組成、半導体基板10の第2面10bsの形状、および第2出力取出電極E22の形成時の焼成条件などによって適宜設定される。
[0057]
 ところで、複数の太陽電池素子1を電気的に直列に接続して太陽電池ストリングSG1を製作する際には、図3および図4で示されるように、隣り合う太陽電池素子1の間で、第2出力取出電極E22と第1出力取出電極E11とが第1配線材W1で接続される。このとき、第1配線材W1は、例えば、第2出力取出電極E22および第1出力取出電極E11に対してはんだ付けなどで接合される。
[0058]
  <1-3.太陽電池素子の第2素子面側の構成>
 図5から図7で示されるように、例えば、第2出力取出電極E22が第2貫通電極E232を介して半導体基板10の第2面10bsに接続している状態で位置している。ここでは、例えば、第2出力取出電極E22とつながっている第2貫通電極E232が第1B孔部H12および第2B孔部H32内に存在していることで、第2出力取出電極E22がアンカー効果によって半導体基板10の第2面10bs側に強固に接合された状態にある。また、例えば、第2貫通電極E232を形成する際に、銀ペーストに含まれるガラス成分が溶融して半導体基板10の第2面10bs側の表層部内に入り込む。これにより、第2出力取出電極E22は第2貫通電極E232を介して半導体基板10に対してより強固に接合され得る。このように、半導体基板10に対する第2出力取出電極E22の接合強度が向上することで、例えば、半導体基板10から第2出力取出電極E22が剥離しにくくなる。その結果、太陽電池素子1における長期信頼性が向上し得る。
[0059]
 また、図6(a)および図6(b)で示されるように、例えば、第2素子面1bsを平面透視することで、第2出力取出電極E22および第2集電電極E21を平面透視した場合を想定する。この場合に、第2集電電極E21が位置している領域を第1領域Ar1とし、第2出力取出電極E22が位置している領域を第2領域Ar2とする。そして、例えば、第1領域Ar1で2つ以上の第1貫通電極E231が占めている面積(第1面積ともいう)の比率を、第1面積率とし、第2領域Ar2で1つ以上の第2貫通電極E232が占めている面積(第2面積ともいう)の比率を、第2面積率とする。このとき、例えば、第1面積率よりも、第2面積率が小さい。
[0060]
 ここでは、第2素子面1bsを平面透視した場合に、第1領域Ar1で2つ以上の第1貫通電極E231が占めている第1面積、および第2領域Ar2で1つ以上の第2貫通電極E232が占めている第2面積は、例えば、次のようにして求めることができる。まず、例えば、太陽電池素子1のうち、主にアルミニウムを含む第2集電電極E21と、主に銀を含む第2出力取出電極E22とを、塩酸を用いて溶解させる。そして、例えば、半導体基板10の第2面10bs上に残るレーザーの痕跡の個数および大きさなどを光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することで、上述した第1面積および第2面積を算出することができる。ここでは、例えば、保護層13に残る第2孔部H3の個数および大きさなどを光学顕微鏡あるいはSEMを用いて観察することで、上述した第1面積および第2面積を算出してもよい。
[0061]
 図5から図6(b)の例では、第2素子面1bsを平面透視した場合に、第1領域Ar1で、隣り合う3つの第1貫通電極E231の中心点を仮想的に結ぶ3本の仮想線が正三角形を成すように、複数の第1貫通電極E231が並んでいる状態で位置している。ここで、互いに隣り合う2つの第1貫通電極E231の中心点の間の距離(第1ピッチともいう)D1は、例えば、0.5mmから0.8mm程度とされる。また、図5から図6(b)の例では、第2素子面1bsを平面透視した場合に、第2領域Ar2で、隣り合う3つの第2貫通電極E232の中心点を仮想的に結ぶ3本の仮想線が正三角形を成すように、複数の第2貫通電極E232が並んでいる状態で位置している。ここで、互いに隣り合う2つの第2貫通電極E232の中心点の間の距離(第2ピッチともいう)D2は、例えば、1mmから8mm程度とされる。複数の第1貫通電極E231および第2貫通電極E232の平面透視した形状は、例えば、図示されているようなドット状であってもよい。また、複数の第1貫通電極E231および第2貫通電極E232の平面透視した形状は、例えば、線状(または帯状)であってもよい。
[0062]
 このように、例えば、第2集電電極E21の直下の第1貫通電極E231の密度よりも、第2出力取出電極E22の直下の第2貫通電極E232の密度の方が小さくなるように設定されれば、パッシベーション層12の減少量が低減され得る。これにより、例えば、半導体基板10の第2面10bsの近傍において、少数キャリアの再結合が生じにくくなる。その結果、太陽電池素子1における光電変換効率が向上し得る。したがって、PERC型の太陽電池素子1における光電変換効率と長期信頼性とをバランス良く向上させることができる。
[0063]
 ところで、第2素子面1bsを平面透視した場合に、第1領域Ar1と第2領域Ar2とが重畳している状態にある領域を重畳領域Ar3とする。重畳領域Ar3は、第2集電電極E21と第2出力取出電極E22とが重なっている領域である。また、第1領域Ar1と第2領域Ar2とが接している状態にある領域を接続領域Pc0とする。接続領域Pc0は、第2集電電極E21と第2出力取出電極E22とが接している状態にある領域である。ここで、例えば、図5から図7で示されるように、第2集電電極E21がアルミニウムを含有し、第2出力取出電極E22が銀を含有しており、重畳領域Ar3および接続領域Pc0を避けている状態で、複数の貫通電極E23が位置していてもよい。換言すれば、第2素子面1bsを平面透視した場合に、複数の貫通電極E23は、第1領域Ar1および第2領域Ar2のうち、重畳領域Ar3および接続領域Pc0の双方の領域とは異なる領域(非接続領域ともいう)Ar4に位置していてもよい。さらに換言すれば、第2素子面1bsを平面透視した場合に、複数の貫通電極E23は、第1領域Ar1および第2領域Ar2のうち、重畳領域Ar3および接続領域Pc0の双方の領域には位置していない。
[0064]
 ここで、例えば、図8で示されるように、仮に重畳領域Ar3および接続領域Pc0に貫通電極E23が位置している場合を想定する。この場合には、重畳領域Ar3および接続領域Pc0に位置している貫通電極E23を含む領域A3cに、シリコン、アルミニウムおよび銀を含む3元系(Si-Al-Agの3元系ともいう)の合金部Cm0が形成され得る。このSi-Al-Agの3元系の合金部Cm0は、例えば、アルミニウムペーストおよび銀ペーストを焼成する際に、半導体基板10とアルミニウムペーストと銀ペーストとの間におけるシリコン、アルミニウムおよび銀の相互拡散によって生成される。また、例えば、図8で示されるように、非接続領域Ar4のうちの第1領域Ar1に位置している第1貫通電極E231を含む領域A2cに、シリコンおよびアルミニウムを含む2元系(Si-Alの2元系ともいう)の合金部が形成され得る。このSi-Alの2元系の合金部は、例えば、アルミニウムペーストを焼成する際に、半導体基板10とアルミニウムペーストとの間におけるシリコンとアルミニウムとの相互拡散によって形成される。図8では、領域A2cおよび領域A3cは、それぞれ太い二点鎖線で囲まれた領域である。
[0065]
 これに対して、第1実施形態では、例えば、第2素子面1bsを平面透視した場合に、複数の貫通電極E23が、重畳領域Ar3および接続領域Pc0とは異なる非接続領域Ar4に位置している。このため、例えば、平面透視して重畳領域Ar3および接続領域Pc0では、半導体基板10の第2面10bs側に第2集電電極E21および第2出力取出電極E22を形成する際に、Si-Al-Agの3元系の合金部Cm0が形成されにくい。このとき、例えば、太陽電池素子1では、荷重の付与による撓みによって、合金部Cm0を起点としたクラックおよび割れが生じにくい。その結果、例えば、PERC型の太陽電池素子1における光電変換効率および長期信頼性を向上させることができる。
[0066]
 ところで、第2集電電極E21および第2出力取出電極E22を形成する際の導電性ペーストの焼成時には、第2集電電極E21および第2出力取出電極E22を形成するための各導電性ペーストに含まれるバインダの熱分解によって、ガスが発生する。このとき、半導体基板10を平面透視した場合に、バインダの熱分解による単位面積当たりのガスの発生量は、第2集電電極E21および第2出力取出電極E22の厚さに比例する。ここで、例えば、第2出力取出電極E22が第2集電電極E21よりも厚さが小さい場合を想定する。この場合には、重畳領域Ar3では、第2集電電極E21を形成するための導電性ペーストよりも第2出力取出電極E22を形成するための導電性ペーストの方が、バインダの熱分解によるガスの発生量が少ない。
[0067]
 そこで、例えば、図7で示されるように、重畳領域Ar3において、第2面10bsの上に第2集電電極E21よりも薄い第2出力取出電極E22を位置させ、第2出力取出電極E22の上に第2集電電極E21を位置させることが考えられる。このような構成では、第2集電電極E21および第2出力取出電極E22のうちの半導体基板10に近い側に位置している第2出力取出電極E22を形成するための導電性ペーストの焼成時に、バインダの熱分解によるガスの発生量が減少する。これにより、例えば、第2集電電極E21と第2出力取出電極E22との界面に、ガスが入り込んで、第2集電電極E21と第2出力取出電極E22との密着強度が低下する不具合が生じにくい。その結果、例えば、PERC型の太陽電池素子1における光電変換効率および長期信頼性を向上させることができる。
[0068]
  <1-4.太陽電池素子の製造方法>
 太陽電池素子1の製造方法の一例について、図9(a)から図9(f)および図5に基づいて説明する。
[0069]
 まず、図9(a)で示されるように、半導体基板10を準備する。ここでは、半導体基板10としては、単結晶シリコンまたは多結晶シリコンの基板が採用される。半導体基板10は、例えば、既存のチョクラルスキー法(CZ法)または鋳造法などを用いて形成される。ここで、半導体基板10として、p型の多結晶シリコンの基板を準備する場合には、例えば、鋳造法を用いて多結晶シリコンのインゴットを作製する。このとき、ドーパント元素として、例えば、ボロンを添加することで、インゴットの抵抗率を1Ω・cmから5Ω・cm程度に調整する。次に、そのインゴットを、例えば、1辺が約160mmの正方形状の底面を有する直方体状にカットし、さらに200μm程度の厚さにスライスして半導体基板10を作製する。ここで、例えば、半導体基板10の表面に対して、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、フッ酸またはフッ硝酸などの水溶液でごく微量のエッチングを施すことで、半導体基板10の切断面の機械的なダメージを受けた層および汚染された層を除去することができる。
[0070]
 次に、図9(b)で示されるように、半導体基板10の第1面10fsにテクスチャを形成する。テクスチャは、例えば、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性の水溶液またはフッ硝酸などの酸性の水溶液を用いた湿式エッチング、あるいは反応性イオンエッチング (RIE:Reactive Ion Etching)法などを使用した乾式エッチングで形成され得る。
[0071]
 次に、図9(c)で示されるように、テクスチャを有する半導体基板10の第1面10fsに、n型の半導体領域である第2半導体領域10sを形成する。具体的には、テクスチャを有する半導体基板10における第1面10fs側の表層部にn型の第2半導体領域10sを形成する。第2半導体領域10sは、例えば、ペースト状にした五酸化二リン(P )を半導体基板10の表面に塗布してリンを熱拡散させる塗布熱拡散法、ガス状にしたオキシ塩化リン(POCl )を拡散源とした気相熱拡散法などを用いて形成され得る。第2半導体領域10sは、例えば、0.1μmから2μm程度の深さと40Ω/□から200Ω/□程度のシート抵抗値とを有するように形成される。ここで、例えば、気相熱拡散法では、POCl などの拡散源のガスを含む雰囲気中で600℃から800℃程度の温度において、半導体基板10に5分間から30分間程度の熱処理を施すことでリンシリコンガラス(PSG)を半導体基板10の表面に形成する。その後、アルゴンまたは窒素などの不活性ガスの雰囲気中で800℃から900℃程度の高い温度において、半導体基板10に10分間から40分間程度の熱処理を施す。これにより、PSGから半導体基板10の表層部にリンが拡散し、半導体基板10の第1面10fs側に第2半導体領域10sが形成される。
[0072]
 ここで、例えば、第2半導体領域10sを形成する際に、第2面10bs側にも第2半導体領域が形成されれば、第2面10bs側に形成された第2半導体領域をエッチングで除去する。例えば、フッ硝酸の水溶液に半導体基板10の第2面10bs側の部分を浸すことで、第2面10bs側に形成された第2半導体領域を除去することができる。これにより、半導体基板10の第2面10bsにp型の導電型を有する第1半導体領域10fを露出させることができる。その後、第2半導体領域10sを形成する際に半導体基板10の第1面10fs側に付着したPSGをエッチングで除去する。このとき、半導体基板10の側面10ssに形成された第2半導体領域も併せて除去してもよい。ところで、例えば、半導体基板10の第2面10bs側に予め拡散マスクを形成しておき、気相熱拡散法などによって第2半導体領域10sを形成し、続いて拡散マスクを除去してもよい。この場合には、第2面10bs側に第2半導体領域は形成されず、第2面10bs側の第2半導体領域を除去する工程が不要となる。
[0073]
 以上の処理によって、第1面10fs側にn型の半導体領域である第2半導体領域10sが位置し、第1面10fsにテクスチャが形成された、第1半導体領域10fを含む半導体基板10が準備され得る。
[0074]
 次に、図9(d)で示されるように、少なくとも半導体基板10の第2面10bs上に、例えば、酸化アルミニウムなどを主として含有するパッシベーション層12を形成する。パッシベーション層12は、例えば、ALD法あるいはPECVD法などで形成され得る。ここで、例えば、ALD法が用いられれば、半導体基板10の表面がパッシベーション層12によってより隙間なく緻密に覆われ得る。ALD法を用いたパッシベーション層12の形成工程では、まず、成膜装置のチャンバー内に第2半導体領域10sが形成された半導体基板10が載置される。そして、半導体基板10が100℃から250℃の温度域で加熱された状態で、アルミニウム原料の供給、アルミニウム原料の排気による除去、酸化剤の供給および酸化剤の排気による除去、の4工程を複数回繰り返す。これにより、半導体基板10の上に、酸化アルミニウムを主に含有するパッシベーション層12が形成される。ここで、アルミニウム原料には、例えば、トリメチルアルミニウム(TMA)またはトリエチルアルミニウム(TEA)などが適用される。酸化剤には、例えば、水またはオゾンガスなどが適用される。ALD法を用いれば、半導体基板10の第2面10bsだけでなく、半導体基板10の側面10ssを含む半導体基板10の全周囲にパッシベーション層が形成され得る。ここでは、例えば、半導体基板10の第2面10bs上のパッシベーション層12に耐酸レジストを塗布した後に、フッ酸などを用いたエッチングで不要なパッシベーション層を除去してもよい。
[0075]
 次に、図9(d)で示されるように、少なくとも半導体基板10の第1面10fsの上に、例えば、窒化シリコンなどを含有する反射防止膜11を形成する。反射防止膜11は、例えば、PECVD法またはスパッタリング法を用いて形成される。PECVD法を用いる場合は、事前に半導体基板10を反射防止膜11の成膜中の温度よりも高い温度まで加熱しておく。その後、シラン(SiH )とアンモニア(NH )との混合ガスを、窒素(N )ガスで希釈し、反応圧力を50Paから200Pa程度にして、グロー放電分解でプラズマ化させたものを、加熱された半導体基板10上に堆積させる。これにより、半導体基板10上に反射防止膜11が形成される。このとき、成膜温度は、350℃から650℃程度とされる。グロー放電に必要な高周波電源の周波数は、10kHzから500kHz程度とされる。ガスの流量は、反応室の大きさなどに応じて適宜決定される。例えば、ガスの流量は、150ミリリットル/分(sccm)から6000ミリリットル/分(sccm)程度の範囲とされる。このとき、アンモニアガスの流量Bをシランガスの流量Aで除した値(B/A)は、0.5から15の範囲とされる。
[0076]
 次に、図9(e)で示されるように、半導体基板10の第2面10bsの上に形成されたパッシベーション層12の上に、窒化シリコンなどを含有する保護層13を形成する。保護層13が窒化シリコンであれば、上述したPECVD法を用いた反射防止膜11と同様な方法によって、保護層13が形成され得る。
[0077]
 次に、図9(f)で示されるように、保護層13とパッシベーション層12とを貫通するように連結孔部を形成する。ここでは、例えば、半導体基板10の表面まで到達するように、レーザービームを保護層13とパッシベーション層12の上から照射することで、保護層13およびパッシベーション層12に対して複数の連結孔部を形成する。例えば、レーザービームの出力などを調整することで、半導体基板10の第2面10bs側を平面視して、直径が30μmから150μm程度の円柱形状であり、1cm 当たり400個から700個程度の連結孔部が均一に分布するように複数の連結孔部を形成する。ただし、このとき、第2出力取出電極E22が形成される部分については、1cm 当たり10個から200個程度の連結孔部が均一に分布するように複数の連結孔部を形成する。また、このとき、例えば、半導体基板10の第2面10bs側を平面透視して、重畳領域Ar3および接続領域Pc0ならびにこれらの周辺を避けるように、複数の連結孔部を形成する。ここで使用するレーザー装置には、例えば、レーザービームの波長が1064nmであるQスイッチ付きNd:YAG(ネオジムドープ、イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザーが適用される。レーザービームには、例えば、Nd:YAGレーザーの第2高調波(SHG、波長532nm)などが用いられてもよい。ここで、例えば、Qスイッチ付きNd:YAGレーザーの第2高調波を用いる場合には、発振周波数が10kHz程度、出力が7Wから10W程度、レーザービームの径が100μm程度の条件が採用される。
[0078]
 次に、図5で示されるように、表面電極E1および裏面電極E2を形成する。ここでは、例えば、半導体基板10の第1面10fs側に、表面電極E1を形成するための導電性ペーストとしての銀ペーストを所望のパターンで塗布する。また、例えば、半導体基板10の第2面10bs側に、裏面電極E2のうちの第2出力取出電極E22および第2貫通電極E232を形成するための導電性ペーストとしての銀ペーストを所望のパターンで塗布する。銀ペーストは、例えば、スクリーン印刷法などを用いて塗布することができる。塗布後の銀ペーストは、所定の温度で乾燥させる。このとき、銀ペーストの溶剤が蒸散することで、銀ペーストが乾燥する。また、ここでは、例えば、半導体基板10の第2面10bs側に、裏面電極E2のうちの第2集電電極E21および第1貫通電極E231を形成するための導電性ペーストとしてのアルミニウムペーストを所望のパターンで塗布する。アルミニウムペーストは、例えば、スクリーン印刷法などを用いて塗布することができる。塗布後のアルミニウムペーストは、所定の温度で乾燥させる。このとき、アルミニウムペーストの溶剤が蒸散することで、アルミニウムペーストが乾燥する。
[0079]
 その後、銀ペーストおよびアルミニウムペーストが塗布された半導体基板10を、焼成炉内において700℃から900℃程度の最高温度付近で0.1秒間から数十秒間程度維持する熱処理で、銀ペーストおよびアルミニウムペーストを焼成する。このとき、銀ペーストおよびアルミニウムペーストのそれぞれにおいて金属粉末の焼結が進み、表面電極E1と裏面電極E2とが形成される。具体的には、例えば、半導体基板10の第1面10fs側に塗布された銀ペーストは、反射防止膜11などの焼成貫通を生じることで半導体基板10の第1面10fsのn型の第2半導体領域10sに接続され、表面電極E1が形成される。また、このとき、半導体基板10の第2面10bsに塗布された銀ペーストの焼成によって、第2出力取出電極E22および第2貫通電極E232が形成される。また、このとき、半導体基板10の第2面10bsに塗布されたアルミニウムペーストの焼成によって、第2集電電極E21および第1貫通電極E231が形成される。ここで、第1貫通電極E231が形成される際には、アルミニウムペースト中のアルミニウムが半導体基板10の第2面10bsの表層部内に拡散し、BSF層としての第3半導体領域10tが形成される。
[0080]
 以上の工程によって、図5で示されるような太陽電池素子1が形成される。
[0081]
  <1-5.太陽電池モジュールの製造方法>
 例えば、第1部材101、第1充填材102u、複数の太陽電池ストリングSG1を含む太陽電池部103、第2充填材102bおよび第2部材104が、この記載の順に重ねられる。そして、例えば、第1部材101、第1充填材102u、太陽電池部103、第2充填材102bおよび第2部材104が、ラミネータによって一体化されることで、図2(a)または図2(b)で示されるような太陽電池モジュール100が製造され得る。この太陽電池モジュール100は、例えば、積雪および風圧などによる外力の付与に応じて撓むことがある。しかしながら、太陽電池モジュール100に用いられている太陽電池素子1では半導体基板10から第2出力取出電極E22が剥離しにくい。このため、太陽電池モジュール100における長期信頼性が向上し得る。
[0082]
 ここで、太陽電池モジュール100の第2モジュール面Ms2上には、例えば、太陽電池部103における光電変換で得られた電気を取り出すための端子ボックスBx1が取り付けられる。また、例えば、太陽電池モジュール100の外周部には、フレーム部材が取り付けられてもよい。これにより、太陽電池モジュール100が補強され得る。
[0083]
  <1-6.具体例>
 以下に、参考例1、参考例2および参考例3に係る太陽電池素子および実施例に係る太陽電池素子1について、作製方法および破壊荷重について説明する。
[0084]
   <1-6-1.参考例1に係る太陽電池素子の作製>
 まず、図9(a)で示されるように、半導体基板10を準備した。ここでは、鋳造法によって半導体基板10としての多結晶シリコン基板を20枚作製した。このとき、多結晶シリコン基板は、ボロンがドープされることでp型の導電型を有するものとされた。また、多結晶シリコン基板は、約1.0Ω・cmの比抵抗値、一辺が約156mmの正方形状の平面形状、および180μm程度の厚みを有するものとされた。
[0085]
 次に、この半導体基板10の表面から5μmから10μm程度の深さまでの部分を、水酸化ナトリウム水溶液を用いたエッチングによって除去した。その後、図9(b)で示されるように、RIE法を用いて半導体基板10の第1面10fs側にテクスチャを形成した。
[0086]
 次に、図9(c)で示されるように、オキシ塩化リン(POCl )を拡散源とした気相熱拡散法によって、半導体基板10の表面の全周にわたる表層部に、n型の導電型を有する第2半導体領域を形成した。その後、半導体基板10の第2面10bsおよび側面10ss側の部分を、フッ酸と硝酸との混合溶液に浸すことで、半導体基板10の第2面10bsおよび側面10ss側に形成された第2半導体領域を除去した。これにより、半導体基板10の第1面10fs側の表層部にn型の導電型を有する第2半導体領域10sが形成された。この第2半導体領域10sは、約100Ω/□程度のシート抵抗を有するものとされた。
[0087]
 次に、図9(d)で示されるように、ALD法を用いて、半導体基板10の全周囲の表面上に、酸化アルミニウムを主として含有するパッシベーション層12を形成した。形成されたパッシベーション層12の膜厚は、10nm程度とされた。
[0088]
 さらに、図9(d)で示されるように、半導体基板10の第1面10fs側に、PECVD法を用いて、窒化シリコンの反射防止膜11を形成した。ここで形成された反射防止膜11は、2.1程度の屈折率および70nm程度の厚みを有するものとされた。
[0089]
 次に、図9(e)で示されるように、半導体基板10の第2面10bsの上に形成されたパッシベーション層12の上に、PECVD法を用いて窒化シリコンを含有する保護層13を形成した。この保護層13は、2.1程度の屈折率および90nm程度の厚さを有するものとされた。
[0090]
 次に、図9(f)で示されるように、レーザー装置を用いて、保護層13とパッシベーション層12とを貫通するように複数の連結孔部を形成した。ここで、レーザー装置には、Qスイッチ付きNd:YAGレーザーが適用された。このレーザー装置では、Nd:YAGレーザーの第2高調波を用いた。ここでは、連結孔部の直径が100μm程度となり、上記図6(b)で示した第1ピッチD1が0.65mm程度となるように、半導体基板10の第2面10bs側の全面において均一に分布するように複数の連結孔部を形成した。
[0091]
 次に、半導体基板10の第1面10fs側に、第1出力取出電極E11と第1集電電極E12と補助電極E13とを含む表面電極E1を形成するための銀ペーストを塗布した。銀ペーストとしては、銀を主成分として85質量%程度含有し、さらにガラスフリット、有機ビヒクルを含有するものが採用された。このような銀ペーストを、スクリーン印刷法を用いて、図3のパターンを有するように、半導体基板10の第1面10fs側に塗布した。ここで、印刷直後における銀ペーストの膜厚は、18μm程度とされた。そして、塗布後の銀ペーストを、150℃程度の温度で3分間程度の時間、乾燥させた。このとき、銀ペーストの溶剤が蒸発した。
[0092]
 次に、半導体基板10の第2面10bs側に、裏面電極E2の第2出力取出電極E22を形成するための銀ペーストを、スクリーン印刷法を用いて、図4で示された第2出力取出電極E22のパターンとなるように塗布した。この銀ペーストには、銀を主成分として65質量%程度含有し、さらにガラスフリット、有機ビヒクルを含有するものが採用された。ここで、印刷直後における銀ペーストの膜厚は、15μm程度とされた。そして、塗布後の銀ペーストを、150℃程度の温度で3分間程度の時間、乾燥させた。このとき、銀ペーストの溶剤が蒸発した。
[0093]
 次に、半導体基板10の第2面10bs側に、裏面電極E2の第2集電電極E21を形成するためのアルミニウムペーストを塗布した。アルミニウムペーストとしては、アルミニウムを主成分として75質量%程度含有し、さらにガラスフリット、有機ビヒクルを含有するものを採用した。このようなアルミニウムペーストを、半導体基板10の第2面10bs側に、スクリーン印刷法を用いて、図4で示された第2集電電極E21のパターンとなるように塗布した。ここで、印刷直後のアルミニウムペーストの膜厚は、48μm程度とされた。そして、塗布後のアルミニウムペーストを、150℃程度の温度で3分間程度の時間、乾燥させた。このとき、アルミニウムペーストの溶剤が蒸発した。
[0094]
 次に、第1面10fs側に銀ペーストが塗布され、第2面10bs側に銀ペーストおよびアルミニウムペーストが塗布された半導体基板10を、ピーク温度が約700℃で約10秒間程度維持することで、銀ペーストおよびアルミニウムペーストの焼成をおこなった。これにより、表面電極E1および裏面電極E2が形成された。ここで、裏面電極E2には、複数の貫通電極E23が含まれていた。その結果、参考例1に係る太陽電池素子が作製された。
[0095]
   <1-6-2.参考例2に係る太陽電池素子の作製>
 参考例1に係る太陽電池素子の作製工程のうち、上記図9(f)で示された、レーザー装置を用いて複数の連結孔部を形成する工程、を省略した作製工程によって、参考例2に係る太陽電池素子を作製した。したがって、参考例2に係る太陽電池素子は、参考例1に係る太陽電池素子から全ての連結孔部および貫通電極E23が省略されたものとされた。
[0096]
   <1-6-3.参考例3に係る太陽電池素子の作製>
 参考例1に係る太陽電池素子の作製工程のうち、上記図9(f)で示された、レーザー装置を用いて複数の連結孔部を形成する工程において、半導体基板10の第2面10bs側を平面透視して、第2領域Ar2を避けるように複数の連結孔部を形成した。ここで、第2領域Ar2は、第2出力取出電極E22が形成される領域であった。このような複数の連結孔部の形成は、レーザー装置によるレーザービームの走査を制御するプログラムを変更することで実現した。これにより、参考例1に係る太陽電池素子から、第2出力取出電極E22の直下の第2領域Ar2における全ての連結孔部および貫通電極E23が省略された、参考例3に係る太陽電池素子が作製された。
[0097]
   <1-6-4.実施例に係る太陽電池素子の作製>
 参考例1に係る太陽電池素子の作製工程のうち、上記図9(f)で示された、レーザー装置を用いて複数の連結孔部を形成する工程において、半導体基板10の第2面10bs側を平面透視して、重畳領域Ar3を避けるように複数の連結孔部を形成した。ここで、重畳領域Ar3は、上述したように、第2出力取出電極E22が形成される第2領域Ar2と第2集電電極E21が形成される第1領域Ar1とが重畳している状態にある領域であった。さらに、第2領域Ar2において、第2貫通電極E232となる第2連結孔部は、図6(b)で示した第2ピッチD2が1.3mm程度となるように形成した。このような複数の第2連結孔部の形成は、レーザー装置によるレーザービームの走査を制御するプログラムを変更することで実現した。これにより、参考例1に係る太陽電池素子から、重畳領域Ar3における全ての連結孔部および貫通電極E23が省略された、実施例に係る太陽電池素子が作製された。
[0098]
   <1-6-5.破壊荷重の測定法>
 上記のようにして、参考例1、参考例2、参考例3および実施例に係る太陽電池素子を、それぞれ20枚ずつ作製した。そして、参考例1、参考例2、参考例3および実施例に係る太陽電池素子のそれぞれについて、20枚ずつ破壊荷重を測定した。
[0099]
 図10で示されるように、太陽電池素子の破壊荷重を測定するための装置(破壊荷重測定装置ともいう)70として、支持部80と、押圧部90と、を備えるものを用いた。
[0100]
 支持部80は、ベース板部81と、2枚の支持用板部82と、を有していた。ベース板部81は、水平方向に沿った状態で位置していた平板状の部分であった。2枚の支持用板部82は、ベース板部81の上方向(ここでは、+Z方向)に向いた面上に固定されていた。各支持用板部82は、垂直方向に沿った状態で位置していた平板状の部分であった。2枚の支持用板部82は、互いに対向している状態で位置していた。各支持用板部82は、60mm程度の高さと、160mm程度の奥行きと、7mm程度の厚さと、奥行き方向に垂直な断面が半円形状である上端部と、を有していた。2枚の支持用板部82の間隔d1は、130mm程度とされた。支持部80は、アルミニウム製であった。
[0101]
 押圧部90は、2枚の押圧用板部91と、連結用板部92と、作動用板部93と、圧力センサ94と、を有していた。連結用板部92は、水平方向に沿った状態で位置していた平板状の部分であった。2枚の押圧用板部91は、連結用板部92の下方向(ここでは、-Z方向)に向いた面上に固定されていた。各押圧用板部91は、垂直方向に沿った状態で位置していた平板状の部分であった。2枚の押圧用板部91は、2枚の支持用板部82に対して平行である状態で、互いに対向している状態で位置していた。各押圧用板部91は、30mm程度の高さと、160mm程度の奥行きと、5mm程度の厚さと、奥行き方向に垂直な断面が半円形状である下端部と、を有していた。2枚の押圧用板部91の間隔d2は、80mm程度であった。ここでは、2枚の押圧用板部91の間の+X方向における中間の位置と、2枚の支持用板部82の間の+X方向における中間の位置と、が一致していた。また、連結用板部92の上方向(ここでは、+Z方向)に向いた面上に作動用板部93が固定されていた。2枚の押圧用板部91、連結用板部92および作動用板部93は、アルミニウム製であった。作動用板部93は、サーボモータによって一定速度で上方向および下方向(ここでは、-Z方向)に移動可能とされていた。これにより、2枚の押圧用板部91も上下方向に移動可能とされていた。また、作動用板部93に取り付けられていた圧力センサ94によって、2枚の押圧用板部91に対して上方向に付与される荷重を測定することが可能であった。
[0102]
 このような構成を有する破壊荷重測定装置70では、まず、2枚の支持用板部82の上端部上に、測定対象である太陽電池素子を第1素子面1fs側が上向きとなるように載置した。このとき、太陽電池素子において、-X方向の側に位置する太陽電池素子の端部と-X方向の側に位置している支持用板部82で支持された状態にある太陽電池素子の部分との距離と、+X方向の側に位置する太陽電池素子の端部と+X方向の側に位置している支持用板部82で支持された状態にある太陽電池素子の部分との距離と、が等しくされた。その後、作動用板部93を-Z方向に下降させることで、2枚の押圧用板部91を、20mm/minの一定の速度で下降させた。これにより、太陽電池素子の+Z方向を向いた上面を、2枚の押圧用板部91によって押圧して、太陽電池素子を凹状に撓ませた。このとき、2枚の押圧用板部91に掛かる応力は、徐々に上昇し、太陽電池素子の撓み変形が大きくなって太陽電池素子に割れおよびクラックが発生すると急激に低下した。ここでは、圧力センサ94によって2枚の押圧用板部91に掛かる応力の変化を測定し、2枚の押圧用板部91に掛かる応力が急激に低下する直前に2枚の押圧用板部91に掛かっていた応力の最大値(N)を、太陽電池素子が破壊する破壊加重として測定した。
[0103]
   <1-6-6.破壊荷重の測定結果>
 図11には、参考例1、参考例2、参考例3および実施例に係る太陽電池素子のそれぞれについて、20枚についての破壊荷重の平均値が示されている。ただし、図11では、参考例1に係る太陽電池素子についての破壊荷重の平均値を100とした場合における破壊荷重の指数が示されている。
[0104]
 図11で示されるように、参考例2、参考例3および実施例に係る太陽電池素子については、それぞれ参考例1に係る太陽電池素子よりも18%から20%程度の破壊荷重の向上が認められた。また、参考例2、参考例3および実施例に係る太陽電池素子1の間では、破壊荷重に有意な差は認められなかった。このため、太陽電池素子1における撓み変形による破壊荷重の向上には、重畳領域Ar3に連結孔部および貫通電極E23を存在させないことが有効であることが分かった。
[0105]
 ここでは、例えば、重畳領域Ar3に連結孔部および貫通電極E23が存在する参考例1に係る太陽電池素子については、裏面電極E2の形成時に、重畳領域Ar3の連結孔部およびこの連結孔部の近傍に、Si-Al-Agの3元系の合金部Cm0が形成されやすいものと推定された。これに対して、例えば、重畳領域Ar3に連結孔部および貫通電極E23が存在していない参考例2、参考例3および実施例に係る太陽電池素子については、裏面電極E2の形成時に、Si-Al-Agの3元系の合金部Cm0が形成されにくいものと推定された。
[0106]
 ところで、例えば、参考例2に係る太陽電池素子では、保護層13とパッシベーション層12とを貫通している状態で位置している連結孔部および貫通電極E23が全く存在していなかった。このような構成では、太陽電池素子に光電変換機能がない状態となる。このため、参考例2に係る太陽電池素子は、実際には利用可能なものではなかった。
[0107]
 ここで、太陽電池素子を量産する際に、重畳領域Ar3の位置ずれが若干生じ得ることを考慮すれば、重畳領域Ar3を含む第2領域Ar2に連結孔部および貫通電極E23が全く存在していない参考例3に係る太陽電池素子では、破壊荷重の向上と太陽電池素子の生産性の向上とが図られるものと思われた。ただし、重畳領域Ar3を除く第2領域Ar2に連結孔部と貫通電極E23とが存在している実施例に係る太陽電池素子1では、少なくとも、第2出力取出電極E22が連結孔部内の第2貫通電極E232によるアンカー効果によって半導体基板10の第2面10bs側に強固に接合され得るものと思われた。
[0108]
  <1-7.第1実施形態のまとめ>
 第1実施形態に係る太陽電池素子1では、例えば、第2出力取出電極E22が第2貫通電極E232によって半導体基板10の第2面10bsに接続している状態で位置している。これにより、例えば、第2出力取出電極E22が第2貫通電極E232によるアンカー効果によって半導体基板10の第2面10bs側に強固に接合され得る。また、例えば、第2貫通電極E232を形成する際に、銀ペーストのガラス成分が溶融して半導体基板10の第2面10bs側の表層部内に入り込むことで、第2出力取出電極E22は第2貫通電極E232によって半導体基板10に対してより強固に接合され得る。このように、例えば、半導体基板10に対する第2出力取出電極E22の接合強度が向上することで、半導体基板10から第2出力取出電極E22が剥離しにくくなる。その結果、太陽電池素子1における長期信頼性が向上し得る。
[0109]
 また、例えば、第2素子面1bsを平面透視した場合に、第2集電電極E21が位置している第1領域Ar1での第1貫通電極E231の第1面積率よりも、第2出力取出電極E22が位置している第2領域Ar2での第2貫通電極E232の第2面積率が小さい。このように、例えば、第2集電電極E21の直下の第1貫通電極E231の密度よりも、第2出力取出電極E22の直下の第2貫通電極E232の密度の方が小さくなるように設定されれば、パッシベーション層12の減少量が低減され得る。これにより、例えば、半導体基板10の第2面10bsの近傍において、少数キャリアの再結合が生じにくくなる。その結果、太陽電池素子1における光電変換効率が向上し得る。
[0110]
 したがって、第1実施形態では、PERC型の太陽電池素子1における光電変換効率と長期信頼性とをバランス良く向上させることができる。また、例えば、このような複数の太陽電池素子1が並べられた太陽電池モジュール100についても、光電変換効率と長期信頼性とがバランス良く向上し得る。
[0111]
 <2.他の実施形態>
 本開示は上述の第1実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良などが可能である。
[0112]
  <2-1.第2実施形態>
 上記第1実施形態において、例えば、パッシベーション層12は、単層に限定されない。パッシベーション層12は、例えば、複数の層が積層している状態で位置している構造を有していてもよい。複数の層の組合せには、例えば、図12で示されるように、半導体基板10の第2面10bsの上に位置する酸化シリコンの層121と、この酸化シリコンの層121の上に位置する酸化アルミニウムの層122との組合せが含まれる。この場合、酸化シリコンの層121の厚さは、例えば、0.1nmから5nm程度とされる。酸化アルミニウムの層122の厚さは、例えば、5nmから30nm程度とされる。ここでは、例えば、半導体基板10の第2面10bs上に酸化シリコンの層121を成膜した後に、その酸化シリコンの層121の上に酸化アルミニウムの層122を成膜することで、パッシベーション層12を形成することができる。これらの酸化シリコンの層121および酸化アルミニウムの層122は、ALD法によって連続して成膜することができる。このようにp型の第1半導体領域10f上に酸化シリコンの層121が成膜されれば、例えば、第1半導体領域10fの未結合手を終端させることができる。これにより、例えば、半導体基板10の第2面10bsの近傍では、半導体基板10における光の照射に応じた光電変換で生じる少数キャリアの再結合が低減され得る。その結果、太陽電池素子1の光電変換効率のさらなる向上を図ることができる。
[0113]
  <2-2.第3実施形態>
 上記各実施形態において、例えば、図13で示されるように、保護層13が存在していなくてもよい。換言すれば、例えば、半導体基板10の第2面10bs側では、パッシベーション層12上に第2集電電極E21および第2出力取出電極E22が直接位置していてもよい。図13の例では、第1貫通電極E231が、第1A孔部H11内に位置し、第2貫通電極E232が、第1B孔部H12内に位置している。このような構成は、例えば、パッシベーション層12上に塗布する導電性ペーストが、この導電性ペーストの焼成時にパッシベーション層12の焼成貫通を生じないような成分を有していれば、実現され得る。
[0114]
 <3.その他>
 上記各実施形態では、例えば、第2出力取出電極E22は、銀を主成分として含有することなく、銅を主成分として含有していてもよい。この場合には、例えば、銀ペーストの代わりに銅ペーストが採用され得る。銅ペーストには、例えば、主成分として銅を含む金属粉末、有機ビヒクルおよびガラスフリットを含有する導電性ペーストが適用される。
[0115]
 また、上記各実施形態では、例えば、第2集電電極E21と第2出力取出電極E22とが重畳することなく接続領域Pc0を形成するように接していてもよい。
[0116]
 上記各実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。

符号の説明

[0117]
 1 太陽電池素子
 10 半導体基板
 100 太陽電池モジュール
 101 第1部材
 102 充填材
 102b 第2充填材
 102u 第1充填材
 103 太陽電池部
 104 第2部材
 10bs 第2面
 10f 第1半導体領域
 10fs 第1面
 10s 第2半導体領域
 10t 第3半導体領域
 11 反射防止膜
 12 パッシベーション層
 13 保護層
 1bs 第2素子面
 1fs 第1素子面
 Ar1 第1領域
 Ar2 第2領域
 Ar3 重畳領域
 Ar4 非接続領域
 Cm0 合金部
 E1 表面電極
 E11 第1出力取出電極
 E12 第1集電電極
 E2 裏面電極
 E21 第2集電電極
 E22 第2出力取出電極
 E23 貫通電極
 E231 第1貫通電極
 E232 第2貫通電極
 H1 第1孔部
 H11 第1A孔部
 H12 第1B孔部
 H3 第2孔部
 H31 第2A孔部
 H32 第2B孔部
 Pc0 接続領域
 W1 第1配線材
 W2 第2配線材

請求の範囲

[請求項1]
 第1面および該第1面とは逆方向を向いた状態で位置している第2面を有する半導体基板と、
 前記第2面の上に位置し、複数の孔部を有するパッシベーション層と、
 前記複数の孔部内において前記半導体基板の前記第2面に対して電気的に接続している状態で位置している複数の貫通電極と、
 前記複数の貫通電極のうちの2つ以上の第1貫通電極に電気的に接続している状態で前記パッシベーション層の上に位置している第1電極と、
 前記複数の貫通電極のうちの1つ以上の第2貫通電極に電気的に接続している状態で前記パッシベーション層の上において第1方向に直線状に延びるように位置し、前記第1電極に電気的に接続している状態にある1つ以上の第2電極と、を備え、
 前記第1電極および前記第2電極を平面透視した場合に、前記第1電極が位置している第1領域において前記2つ以上の第1貫通電極が占めている面積の比率よりも、前記第2電極が位置している第2領域において前記1つ以上の第2貫通電極が占めている面積の比率が小さい、太陽電池素子。
[請求項2]
 請求項1に記載の太陽電池素子であって、
 前記半導体基板は、シリコンを含有し、
 前記第1電極は、アルミニウムを含有し、
 前記第2電極は、銀を含有し、
 前記第1電極および前記第2電極を平面透視した場合に、前記複数の貫通電極は、前記第1領域および前記第2領域のうち、前記第1領域と前記第2領域とが重畳している状態にある重畳領域および前記第1領域と前記第2領域とが接している状態にある接続領域には、位置していない、太陽電池素子。
[請求項3]
 請求項1または請求項2に記載の太陽電池素子であって、
 前記第2電極の厚さは、前記第1電極の厚さよりも小さく、
 前記第1領域と前記第2領域とが重畳している状態にある重畳領域において、前記第2面の上に前記第2電極が位置し、該第2電極の上に前記第1電極が位置している、太陽電池素子。
[請求項4]
 請求項1から請求項3の何れか1つの請求項に記載の太陽電池素子であって、
 前記パッシベーション層と前記第1電極との間に位置している保護層をさらに備えている、太陽電池素子。
[請求項5]
 請求項4に記載の太陽電池素子であって、
 前記保護層は、窒化シリコンを含む、太陽電池素子。
[請求項6]
 請求項1から請求項5の何れか1つの請求項に記載の太陽電池素子であって、
 前記半導体基板は、前記第2面側に位置するp型の第1半導体領域と、前記第1面側に位置するn型の第2半導体領域と、を有し、
 前記パッシベーション層は、酸化アルミニウムを含む、太陽電池素子。
[請求項7]
 2次元的に並んでいる状態で位置している、請求項1から請求項6の何れか1つの請求項にそれぞれ記載の複数の太陽電池素子と、
 前記複数の太陽電池素子のうちの互いに隣り合う太陽電池素子の間をそれぞれ電気的に接続している状態で位置している複数の配線材と、
 前記複数の太陽電池素子の前記第1面側に位置し、透光性を有する第1部材と、
 前記複数の太陽電池素子の前記第2面側に位置している第2部材と、
 前記複数の太陽電池素子と前記第1部材との間に位置し、透光性を有する第1充填材と、
 前記複数の太陽電池素子と前記第2部材との間に位置している第2充填材と、を備えている、太陽電池モジュール。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]