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1. (WO2019044491) 蓄電デバイス用電極及びその製造方法
Document

明 細 書

発明の名称 蓄電デバイス用電極及びその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009   0010  

課題を解決するための手段

0011  

発明の効果

0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072  

実施例

0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087  

産業上の利用可能性

0088  

符号の説明

0089  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1A   1B   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 蓄電デバイス用電極及びその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、蓄電デバイス用電極及びその製造方法に関し、特に寿命特性に優れた電極及びその製造方法に関するものである。

背景技術

[0002]
 リチウムイオン電池は、携帯電話やノートパソコン等の小型電子機器の電源として広く使用されているが、近年、大型の電力貯蔵用電源や自動車用電源としても注目されている。このような用途の拡大と共に、リチウムイオン二次電池は更なるエネルギー密度の向上が望まれている。電池の高エネルギー密度化のために、単位体積当たりのリチウムイオンの吸蔵放出量が大きいSi材料を負極に使用することが検討されている。
[0003]
 特許文献1には、Si材料を用いた負極に、電解液中にフッ素原子を有するカーボネートを使用することで、電解液の分解を抑制し、電池の容量維持率を改善できることが記載されている。
[0004]
 特許文献2には、Si材料を用いた負極活物質に、結着剤として特殊なバインダを使用することにより、電極性能低下を抑制し、電池の容量維持率を改善できることが記載されている。
[0005]
 特許文献3、4には、Si材料を用いた負極活物質をPVDFで被覆することにより、電解液の分解を抑制し、電池の容量維持率を改善できることが記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特許第5412705号公報
特許文献2 : 特表2012-510142号公報
特許文献3 : 特開2013-191578号公報
特許文献4 : 特表2016-024934号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 Si材料は充放電時の膨張収縮が大きいことが知られている。そのため、低い電極強度では充放電時に電極層が破壊され、電極性能が低下する問題があった。また、充放電時に新しい活物質表面が露出するため、活物質表面で電解液分解が起こる問題があった。しかし、特許文献1から4に記載された技術では、十分な寿命特性を得ることはできなかった。
[0008]
 特許文献1に開示された技術では、低い電極強度が改善されていなかった。また、特許文献2に開示された技術では、電極製造時にバインダの結着性が大きく低下してしまうため、電極強度が低くなってしまう問題があった。そのため、充放電時の電極性能低下の抑制が不十分であった。
[0009]
 特許文献3、4では、電極製造時の熱処理温度が低いため、PVDFでの活物質の被覆が十分にできておらず、活物質表面で起こる電解液分解の抑制が不十分であった。また、電極強度が低く、電極性能低下の抑制が不十分であった。
[0010]
 本発明の一実施形態は、エネルギー密度が高く、サイクル特性が改善されたリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0011]
 本発明の蓄電デバイス用電極は、Siを構成元素として含む材料を1%以上含む負極活物質、負極活物質を被覆するフッ化ビニリデンをモノマー単位として含む第1ポリマー、並びにアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸、およびメタクリル酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマー単位を含む、分子量8万以上の第2ポリマーを含む負極バインダを含有する負極合剤層を備えることを特徴とする。

発明の効果

[0012]
 本発明によれば、Siを構成元素として含む材料を含む負極を有した二次電池において、電解液分解と電極性能低下が抑制され、寿命特性に優れたリチウムイオン二次電池を得ることができる。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1A] 負極の基本的構造を模式的に示す断面図である。
[図1B] 熱処理前の負極の構造を模式的に示す断面図である。
[図2] フィルム外装電池の基本的構造を示す分解斜視図である。
[図3] 図2の電池の断面を模式的に示す断面図である。

発明を実施するための形態

[0014]
 本実施形態の蓄電デバイス用電極は、(a)Siを構成元素として含む材料を1%以上含む負極活物質、(b)負極活物質を被覆する、フッ化ビニリデンをモノマー単位として含む第1ポリマー、および(c)アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸、およびメタクリル酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマー単位を含む、分子量8万以上の第2ポリマーを含む負極バインダを含有する負極合剤層を備える。
[0015]
 以下に、本実施形態の蓄電デバイス用電極が使用される二次電池の例として、リチウムイオン二次電池を例に、構成ごとに詳述する。本実施形態の蓄電デバイス用電極は、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタなどへの使用も可能であるが、リチウムイオン二次電池としての使用が最も望ましい。本実施形態の蓄電デバイス用電極の例は、[負極]の項で説明する。
[0016]
 [正極]
 正極は、集電体上に、正極活物質を含む正極活物質層が形成された構成とすることができる。本実施形態の正極は、例えば、金属箔で形成される正極集電体と、正極集電体の片面又は両面に形成された正極活物質層とを有する。正極活物質層は正極結着剤によって正極集電体を覆うように形成される。正極集電体は、正極端子と接続する延長部を有するように構成され、この延長部には正極活物質層は形成されない。
[0017]
 本実施形態における正極活物質としては、リチウムを吸蔵放出し得る材料であれば特に限定されず、いくつかの観点から選ぶことができる。高エネルギー密度化の観点からは、高容量の化合物を含むことが好ましい。高容量の化合物としては、Li過剰系層状正極、ニッケル酸リチウム(LiNiO )またはニッケル酸リチウムのNiの一部を他の金属元素で置換したリチウムニッケル複合酸化物が挙げられ、下式(A1)で表されるLi過剰系層状正極、下式(A2)で表される層状リチウムニッケル複合酸化物が好ましい。
[0018]
 Li(Li 1-x-zMn )O    (A1)
(式(A1)中、0.1≦x<0.3、0.4≦z≦0.8、MはNi、Co、Fe、Ti、Al及びMgのうちの少なくとも一種である。);
 Li Ni (1-x)   (A2)
(式(A2)中、0≦x<1、0<y≦1、MはLi、Co、Al、Mn、Fe、Ti及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。)
[0019]
 高容量の観点では、Niの含有量が高いこと、即ち式(A2)において、xが0.5未満が好ましく、さらに0.4以下が好ましい。このような化合物としては、例えば、Li αNi βCo γMn δ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、α+β+γ+δ=2、β≧0.7、γ≦0.2)、Li αNi βCo γAl δ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、α+β+γ+δ=2、β≧0.6好ましくはβ≧0.7、γ≦0.2)などが挙げられ、特に、LiNi βCo γMn δ(0.75≦β≦0.85、0.05≦γ≦0.15、0.10≦δ≦0.20、β+γ+δ=1)が挙げられる。より具体的には、例えば、LiNi 0.8Co 0.05Mn 0.15、LiNi 0.8Co 0.1Mn 0.1、LiNi 0.8Co 0.15Al 0.05、LiNi 0.8Co 0.1Al 0.1等を好ましく用いることができる。
[0020]
 また、熱安定性の観点では、Niの含有量が0.5を超えないこと、即ち、式(A2)において、xが0.5以上であることも好ましい。また特定の遷移金属が半数を超えないことも好ましい。このような化合物としては、Li αNi βCo γMn δ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、α+β+γ+δ=2、0.2≦β≦0.5、0.1≦γ≦0.4、0.1≦δ≦0.4)が挙げられる。より具体的には、LiNi 0.4Co 0.3Mn 0.3(NCM433と略記)、LiNi 1/3Co 1/3Mn 1/3、LiNi 0.5Co 0.2Mn 0.3(NCM523と略記)、LiNi 0.5Co 0.3Mn 0.2(NCM532と略記)など(但し、これらの化合物においてそれぞれの遷移金属の含有量が10%程度変動したものも含む)を挙げることができる。
[0021]
 また、式(A2)で表される化合物を2種以上混合して使用してもよく、例えば、NCM532またはNCM523とNCM433とを9:1~1:9の範囲(典型的な例として、2:1)で混合して使用することも好ましい。さらに、式(A2)においてNiの含有量が高い材料(xが0.4以下)と、Niの含有量が0.5を超えない材料(xが0.5以上、例えばNCM433)とを混合することで、高容量で熱安定性の高い電池を構成することもできる。
[0022]
 上記以外にも正極活物質として、例えば、LiMnO 、Li Mn (0<x<2)、Li MnO 、Li Mn 1.5Ni 0.5(0<x<2)等の層状構造またはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム;LiCoO またはこれらの遷移金属の一部を他の金属で置き換えたもの;これらのリチウム遷移金属酸化物において化学量論組成よりもLiを過剰にしたもの;及びLiFePO などのオリビン構造を有するもの等が挙げられる。さらに、これらの金属酸化物をAl、Fe、P、Ti、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La等により一部置換した材料も使用することができる。上記に記載した正極活物質はいずれも、1種を単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
[0023]
 本実施形態の一態様においては、リチウムに対して4.5V以上の電位で動作するスピネル構造を有する正極活物質が好ましく、例えば下記式(B)で表される正極活物質が挙げられる。
[0024]
 Li (M Mn 2-x-y)(O 4-w)   (B)
(式(B)中、0.4≦x≦1.2、0≦y、x+y<2、0≦a≦1.2好ましくは0<a≦1.2、0≦w≦1である。Mは遷移金属元素であり、Co、Ni、Fe、Cr及びCuからなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、Yは、金属元素であり、Li、B、Na、Al、Mg、Ti、Si、K及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、Zは、FおよびClからなる群より選ばれる少なくとも一種である。)
[0025]
 正極バインダとしては、特に制限されるものではないが、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミドイミド等を用いることができる。また、正極バインダは、前記の複数の樹脂の混合物、共重合体およびその架橋体、例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)等であってもよい。さらに、SBR系エマルジョンのような水系のバインダを用いる場合、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤を用いることもできる。
[0026]
 正極バインダの量は、正極活物質100質量部に対して、下限として好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、上限として好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下である。
[0027]
 正極集電体としては、特に制限されるものではないが、アルミニウム、ニッケル、銀、またはそれらの合金を使用できる。正極集電体の形状としては、例えば、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。
[0028]
 正極の作製に際して、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助剤を添加してもよい。導電補助剤としては、例えば、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子が挙げられる。
[0029]
 本実施形態に係る正極は、正極活物質、バインダ及び溶媒を含むスラリーを調製し、これを正極集電体上に塗布し、正極合剤層を形成することにより作製できる。
[0030]
 [負極]
 負極は、集電体と、集電体上に設けられた負極合剤層とを備える。負極合剤層は、第1ポリマー(即ち、フッ化ビニリデンをモノマー単位として含むポリマー)で被覆された負極活物質、負極バインダとして第2ポリマーおよび必要に応じ導電補助剤を含む。
[0031]
 (負極活物質)
 負極活物質は、シリコンを構成元素として含む材料(以下、「シリコン材料」とも記載する)を含む。シリコン材料としては、金属シリコン(シリコン単体)、シリコンを含む合金、組成式SiOx(0<x≦2)で表されるシリコン酸化物などが挙げられ、シリコン酸化物(「Si酸化物」とも記載する)を含むのが好ましい。負極活物質は、リチウムを吸蔵放出し得る物質である。本明細書において、例えば結着剤など、リチウムを吸蔵放出しない物質は、負極活物質には含まれない。
[0032]
 シリコンを含む合金は、シリコンとシリコン以外の金属(非シリコン金属)との合金であればよいが、例えば、シリコンと、Li、B、Al、Ti、Fe、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、LaおよびNiからなる群より選択される少なくとも一種との合金が好ましく、シリコンと、Li、B、Ti、FeおよびNiからなる群より選択される少なくとも一種との合金がより好ましい。シリコンと非シリコン金属との合金中の非シリコン金属の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.1~5質量%であるのが好ましい。シリコンと非シリコン金属との合金の製造方法としては、例えば、単体シリコンと非シリコン金属を混合および溶融する方法、単体シリコンの表面に非シリコン金属を蒸着等により被覆する方法が挙げられる。
[0033]
 シリコンおよびシリコン合金の表面の一部または全部が、酸化シリコンで被覆されていてもよい。
[0034]
 負極活物質中に含まれるシリコン材料は一種であってもよいし、二種以上であってもよい。
[0035]
 シリコン材料の含有量は、特に制限されないが、負極活物質の総量に対し、例えば1質量%以上であり、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、100質量%であってもよい。シリコン材料の含有量が該範囲内であると、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度が向上し、かつサイクル特性を向上させることができる。
[0036]
 活物質の形状は、特に限定されないが、蒸着等により活物質を層として負極に形成したものでもよいが、好ましくは、粒子形状のものであり、シリコン材料の粒径は、0.1μm以上50μm以下が好ましく、0.2μm以上20μm以下がさらに好ましい。粒径が小さすぎると、電解液などとの反応性が高くなり、寿命特性が低下する場合がある。粒径が大きすぎると、Li吸蔵放出時に粒子の割れが発生しやすくなり、寿命が低下する場合がある。
[0037]
 負極活物質は、シリコン材料に加え、その他の負極活物質を含んでもよい。その他の負極活物質として、炭素材料等を挙げることができる。
[0038]
 負極活物質は、シリコン材料に加えて、炭素を含むことが好ましい。シリコン材料を炭素とともに使用することで、リチウムイオンが吸収放出される際のシリコン材料の膨張収縮の影響を緩和して、電池のサイクル特性を改善することができる。シリコン材料と炭素を混合して使用してよく、シリコン材料の粒子表面を炭素で被覆して使用してもよい。炭素としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、グラフェン、ダイヤモンド状炭素、カーボンナノチューブ、またはこれらの複合物等が挙げられる。ここで、結晶性の高い黒鉛は、電気伝導性が高く、銅などの金属からなる負極集電体との接着性および電圧平坦性が優れている。結晶性の低い非晶質炭素は、体積膨張が比較的小さいため、負極全体の体積膨張を緩和する効果が高く、かつ結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する劣化が起きにくい。一方で、炭素の混合量が多すぎると電池の容量が低下する。負極活物質中の炭素材料の含有量は、特に限定されないが、1質量%以上が好ましく、5質量%以上が好ましく、また、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
[0039]
 負極活物質を被覆する第1ポリマーは、フッ化ビニリデンをモノマー単位として含むポリマーであれば限定されず、フッ化ビニリデンの単独重合体、フッ化ビニリデンと他のモノマー単位との共重合体を挙げることができる。共重合体中のフッ化ビニリデン単位は、通常50%(モノマー単位のモル比で)以上、好ましくは70%以上である。コモノマーとしては、エチレン、プロピレン等のオレフィン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のフッ素化オレフィン、およびパーフルオロアルキルビニルエーテル等を挙げることができる。
[0040]
 好ましい第1ポリマーとしては、例えばポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド-テトラフルオロエチレン共重合体を挙げることができる。
[0041]
 第1ポリマーは、負極活物質100質量部に対して、下限として好ましくは2質量部以上、より好ましくは4質量部以上である。一部の被覆でも効果は得られ、被覆率が高いほどより良好なサイクル特性が得られるが、第1ポリマーの混合量が多すぎると電池の容量が低下する。従って、第1ポリマーの量は、負極活物質100質量部に対して、通常20質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。
[0042]
 第2ポリマーは、下記式(11)で表される(メタ)アクリル酸単量体単位および/またはその塩を含むポリアクリル酸が好ましい。なお、本明細書において、用語「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸を意味する。
[0043]
[化1]


(式(11)中、R は、水素原子又はメチル基である。)
[0044]
 式(11)で表される単量体単位におけるカルボン酸は、カルボン酸金属塩などのカルボン酸塩であってよい。金属は好ましくは一価金属である。一価金属としては、アルカリ金属(例えば、Na、Li、K、Rb、Cs、Fr等)、及び、貴金属(例えば、Ag、Au、Cu等)等が挙げられる。ポリアクリル酸が、少なくとも一部の単量体単位にカルボン酸塩を含むことにより、電極合剤層の構成材料との密着性をさらに向上させることができる。
[0045]
 ポリアクリル酸は、その他の単量体単位を含んでいてもよい。ポリアクリル酸が、(メタ)アクリル酸単量体単位以外の単量体単位をさらに含むことで、電極合剤層と集電体との剥離強度を改善できる場合がある。その他の単量体単位としては、例えば、クロトン酸、ペンテン酸等のモノカルボン酸化合物、イタコン酸、マレイン酸等のジカルボン酸化合物、ビニルスルホン酸等のスルホン酸化合物、ビニルホスホン酸等のホスホン酸化合物等のエチレン性不飽和基を有する酸;スチレンスルホン酸、スチレンカルボン酸等の酸性基を有する芳香族オレフィン;(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリロニトリル;エチレン、プロピレン、ブタジエン等の脂肪族オレフィン;スチレン等の芳香族ビニルを包含する芳香族オレフィン等のモノマーに由来する単量体単位が挙げられる。また、その他の単量体単位は、二次電池の結着剤として使用される公知のポリマーを構成する単量体単位であってもよい。これらの単量体単位においても、存在する場合、酸が塩となっていてもよい。
[0046]
 さらに、ポリアクリル酸は、主鎖および側鎖の少なくとも1つの水素原子が、ハロゲン(フッ素、塩素、ホウ素、ヨウ素等)等で置換されていてもよい。
[0047]
 なお、ポリアクリル酸が2種以上の単量体単位を含む共重合体である場合、共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等、及びこれらの組合せのいずれであってもよい。
[0048]
 ポリアクリル酸の分子量(重量平均)は、5万超、好ましくは8万以上、より好ましくは10万以上100万以下、さらに好ましくは40万以上80万以下である。さらに、第1ポリマーは、好ましくは、アクリル酸Naと芳香族ビニルをモノマー単位として含む共重合ポリマーの場合に、熱処理後でも高い電極強度を得ることができる。
[0049]
 一般に、大きな比表面積の活物質には多くの量の結着剤を必要とするが、ポリアクリル酸は少量であっても高い結着性を有する。このため、負極結着剤としてポリアクリル酸を使用した場合、大きな比表面積の活物質を使用する電極であっても、結着剤による抵抗の上昇が少ない。さらに、ポリアクリル酸を含む結着剤は、電池の不可逆容量を低減し、電池を高容量化でき、サイクル特性を向上できる点においても優れている。
[0050]
 第2ポリマーの量は、負極活物質100質量部に対して、好ましくは3質量部以上10質量部以下である。負極バインダとして、第2ポリマーに加えて、その他の公知のバインダや増粘剤を併用することも可能である。例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤を用いることもできる。負極バインダ中の第2ポリマーの割合(固形分の割合)は、好ましくは60%質量以上、より好ましくは80質量%、さらに好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。
[0051]
 負極集電体としては、電気化学的な安定性から、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、およびそれらの合金が好ましい。その形状としては、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。
[0052]
 負極には、インピーダンスを低下させる目的で、導電材を追加して含んでもよい。追加の導電材としては、鱗片状、線維状の炭素質微粒子等、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相法炭素繊維等が挙げられる。
[0053]
 次に、本実施形態の負極(蓄電デバイス用電極)の構造の1例を、模式的に図1Aに示す。この図に示されるように、負極活物質(42-2)は、負極バインダである第2ポリマー(42-3)によって相互に結着されていると共に、集電体(41)に結着されている。そして、負極活物質(42-2)を第1ポリマー(42-1)が被覆している。
[0054]
 本実施形態に係る負極は、例えば以下の方法に従って作製することができる。
[0055]
 負極活物質、第1ポリマーと、第2ポリマー、任意成分として導電材の混合物を調製し、これを負極集電体に塗布する。混合及び塗布方法は、粉体の混合物をスパッタリング方式やCVD方式で塗布する方法でも問題ないが、NMPなどの溶液や水で調製したスラリーを、ダイ方式やドクターブレード方式で塗布することが好ましい。とくに、水で調製した場合は、第1ポリマーが溶解しないため、第2ポリマーが活物質に優先的に結着する。図1Bに、スラリーを負極集電体(41)に塗布し、乾燥した状態を模式的に示す。第2ポリマー(42-3)が負極活物質(42-2)間および負極活物質(42-2)と集電体41の間に入り込み、バインダとしての機能を発揮する。
[0056]
 塗布した電極は、乾燥した後に熱処理を行う。熱処理温度は、好ましくは250℃以上、より好ましくは300℃以上、最も好ましくは350℃以上である。熱処理を行うことにより、第1ポリマーが活物質上に被膜を形成することができる。また、好ましくは500℃以下、より好ましくは400℃以下である。熱処理時間は適宜設定することができるが、1時間以上48時間以内が好ましく、例えば3時間程度である。熱処理は不活性雰囲気下、好ましくは、窒素、アルゴン雰囲気下である。熱処理前は、図1Bに示すように、粒子状態で存在していた第1ポリマー(42-1)は、熱処理後、図1Aに示すように、負極活物質(42-2)を被覆する。後述する実施例で示すように、高い温度で処理することによって第1ポリマーが密着して均一に活物質を被覆し、容量維持率が向上すると考えられる。また、第2ポリマーは、活物質の間や集電体との間に分布して存在してバインダとして機能していると考えられる。
[0057]
 [電解液]
 本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の電解液としては特に限定されないが、電池の動作電位において安定な非水溶媒と支持塩を含む非水電解液が好ましい。
[0058]
 非水溶媒の例としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類;プロピレンカーボネート誘導体、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル等のエーテル類、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル類等の非プロトン性有機溶媒、及び、これらの化合物の水素原子の少なくとも一部をフッ素原子で置換したフッ素化非プロトン性有機溶媒等が挙げられる。
[0059]
 これらの中でも、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(MEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の環状または鎖状カーボネート類を含むことが好ましい。
[0060]
 非水溶媒は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
[0061]
 支持塩としては、LiPF 、LiAsF 、LiAlCl 、LiClO 、LiBF 、LiSbF 、LiCF SO 、LiC SO 、LiC(CF SO 、LiN(CF SO 等のリチウム塩が挙げられる。支持塩は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。低コスト化の観点からはLiPF が好ましい。
[0062]
 電解液は、さらに添加剤を含むことができる。添加剤としては特に限定されるものではないが、ハロゲン化環状カーボネート、不飽和環状カーボネート、酸無水物、及び、環状または鎖状ジスルホン酸エステル等が挙げられる。これらの化合物を添加することにより、サイクル特性等の電池特性を改善することができる。これは、これらの添加剤がリチウムイオン二次電池の充放電時に分解して電極活物質の表面に皮膜を形成し、電解液や支持塩の分解を抑制するためと推定される。
[0063]
 [セパレータ]
 セパレータは、正極および負極の導通を抑制し、荷電体の透過を阻害せず、電解液に対して耐久性を有するものであれば、いずれであってもよい。具体的な材質としては、ポリプロピレンおよびポリエチレン等のポリオレフィン、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデンならびにポリメタフェニレンイソフタルアミド、ポリパラフェニレンテレフタルアミドおよびコポリパラフェニレン-3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミド等の芳香族ポリアミド(アラミド)等が挙げられる。これらは、多孔質フィルム、織物、不織布等として用いることができる。
[0064]
 [絶縁層]
 正極、負極、およびセパレータの少なくとも1つの表面に、絶縁層を形成しても良い。絶縁層の形成方法としては、ドクターブレード法、ディップコーティング法、ダイコーター法、CVD法、スパッタリング法等が挙げられる。正極、負極、セパレータの形成と同時に絶縁層を形成することもできる。絶縁層を形成する物質としては、酸化アルミニウムやチタン酸バリウムなどとSBRやPVDFとの混合物などが挙げられる。
[0065]
 [リチウムイオン二次電池の構造]
 本実施形態のリチウムイオン二次電池は、例えば、図2および図3のような構造を有する。このリチウムイオン二次電池は、電池要素20と、それを電解質と一緒に収容するフィルム外装体10と、正極タブ51および負極タブ52(以下、これらを単に「電極タブ」ともいう)とを備えている。
[0066]
 電池要素20は、図3に示すように、複数の正極30と複数の負極40とがセパレータ25を間に挟んで交互に積層されたものである。正極30は、金属箔31の両面に電極材料32が塗布されており、負極40も、同様に、金属箔41の両面に電極材料42が塗布されている。なお、本発明は、必ずしも積層型の電池に限らず捲回型などの電池にも適用しうる。
[0067]
 本実施形態のリチウムイオン二次電池は図2および図3のように電極タブが外装体の片側に引き出された構成であってもよいが、リチウムイオン二次電池は電極タブが外装体の両側に引き出されたものであってもいい。詳細な図示は省略するが、正極および負極の金属箔は、それぞれ、外周の一部に延長部を有している。負極金属箔の延長部は一つに集められて負極タブ52と接続され、正極金属箔の延長部は一つに集められて正極タブ51と接続される(図3参照)。このように延長部どうし積層方向に1つに集めた部分は「集電部」などとも呼ばれる。
[0068]
 フィルム外装体10は、この例では、2枚のフィルム10-1、10-2で構成されている。フィルム10-1、10-2どうしは電池要素20の周辺部で互いに熱融着されて密閉される。図2では、このように密閉されたフィルム外装体10の1つの短辺から、正極タブ51および負極タブ52が同じ方向に引き出されている。
[0069]
 当然ながら、異なる2辺から電極タブがそれぞれ引き出されていてもよい。また、フィルムの構成に関し、図2、図3では、一方のフィルム10-1にカップ部が形成されるとともに他方のフィルム10-2にはカップ部が形成されていない例が示されているが、この他にも、両方のフィルムにカップ部を形成する構成(不図示)や、両方ともカップ部を形成しない構成(不図示)なども採用しうる。
[0070]
 [リチウムイオン二次電池の製造方法]
 本実施形態によるリチウムイオン二次電池は、通常の方法に従って作製することができる。積層ラミネート型のリチウムイオン二次電池を例に、リチウムイオン二次電池の製造方法の一例を説明する。まず、乾燥空気または不活性雰囲気において、正極および負極を、セパレータを介して対向配置して、電極素子を形成する。次に、この電極素子を外装体(容器)に収容し、電解液を注入して電極に電解液を含浸させる。その後、外装体の開口部を封止してリチウムイオン二次電池を完成する。
[0071]
 [組電池]
 本実施形態に係るリチウムイオン二次電池を複数組み合わせて組電池とすることができる。組電池は、例えば、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池を2つ以上用い、直列、並列又はその両方で接続した構成とすることができる。直列および/または並列接続することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。組電池が備えるリチウムイオン二次電池の個数については、電池容量や出力に応じて適宜設定することができる。
[0072]
 [車両]
 本実施形態に係るリチウムイオン二次電池またはその組電池は、車両に用いることができる。本実施形態に係る車両としては、ハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バス等の商用車、軽自動車等)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)が挙げられる。なお、本実施形態に係る車両は自動車に限定されるわけではなく、他の車両、例えば電車等の移動体の各種電源として用いることもできる。
実施例
[0073]
 [実施例1]
 <負極>
 負極活物質として、人造黒鉛と、金属ケイ素(Si)を使用し、第1ポリマーとしてPVdF(水分散)、第2ポリマーとして分子量がおよそ10万のポリアクリル酸Na(水分散)を使用した。質量比を黒鉛/Si/被膜形成剤/結着剤=83/10/4/3となるよう、それぞれ計量して混合した。得られたスラリーを厚さ10μmの銅箔に塗布した後に乾燥した後、N 雰囲気下で350℃熱処理を3時間行うことで負極を作製した。
[0074]
 <電極剥離強度評価>
 作製した負極を1cm幅の短冊状に切断し、固定台に両面の粘着テープで固定した。固定した電極の端の集電体を、ピンセットを用いて電極合剤層からわずかに剥がし、剥がした集電体部分を引張試験機に取り付けた。その後、引張試験機を作動し、固定台に対して90°の角度に一定速度で引っ張り、その際にかかる応力から剥離時の電極強度を測定した。
[0075]
 <正極>
 正極活物質として、LiNi 0.8Co 0.15Al 0.05を用いた。この正極活物質と、導電材としてのカーボンブラックと、正極結着剤としてのポリフッ化ビニリデンとを、90:5:5の質量比で計量した。そして、これらをN-メチルピロリドンと混合して、正極スラリーを調製した。正極スラリーを厚さ20μmのアルミ箔に塗布した後に乾燥し、さらにプレスすることで、正極を作製した。
[0076]
 <電極積層体>
 作製した正極の3層と負極の4層を、セパレータとしてのPET不織布フィルムを挟みつつ交互に重ねた。正極活物質に覆われていない正極集電体および負極活物質に覆われていない負極集電体の端部をそれぞれ溶接した。さらに、その溶接箇所に、アルミニウム製の正極端子およびニッケル製の負極端子をそれぞれ溶接して、平面的な積層構造を有する電極積層体を得た。
[0077]
 <電解液>
 エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)をEC/DEC=30/70(体積比)の配合比で混合して得た溶媒に、LiPF を支持塩として添加し、支持塩濃度が1.0mol/Lの電解液を作製した。
[0078]
 <注液>
 電極積層体を外装体としてのアルミニウムラミネートフィルム内に収容し、外装体内部に電解液を注入した。その後、チャンバー内にて真空含浸(圧力:10kPa(abs))を行い、外層体を封止することで電池を得た。
[0079]
 <電池評価>
 得られた電池のサイクル試験を次のようにして行った。CC-CV充電(上限電圧4.2V、電流1C、CV時間1.5時間)と、CC放電(下限電圧3.0V、電流1C)を、いずれも45℃で50サイクル実施した。50サイクル後の容量維持率として、1サイクル目の放電容量に対する50サイクル目の放電容量の割合を表1に示した。
[0080]
 [実施例2~9]
 負極活物質、負極バインダ、負極組成、処理温度を表1に記載の内容とした以外は、実施例1と同様にリチウムイオン二次電池を作製し、同様に負極の剥離強度評価および電池評価を実施した。実施例5および比較例9で負極バインダとして用いた第2ポリマーは、アクリル酸Naとスチレンをモノマー単位として含む分子量50万の共重合ポリマーである。
[0081]
 [比較例1~16]
 負極活物質、負極バインダ、負極組成、処理温度を表1に記載の内容とした以外は、実施例1と同様にリチウムイオン二次電池を作製し、同様に負極の剥離強度評価および電池評価を実施した。
[0082]
 実施例1~9および比較例1~17における負極条件と、電極剥離強度および電池評価の結果を以下の表1に示す。
[0083]
[表1]


[0084]
 表1から次のことがわかる。
(1)実施例1と比較例4の対比から、第2ポリマー(バインダ)を用いていない比較例4で電極剥離強度が極端に低下している。一方、第1ポリマー(被膜形成剤)を用いていない比較例10では電極剥離強度の低下はわずかである。さらに、第1ポリマーを用いずに第2ポリマーの量を増加させた比較例11では、電極剥離強度が大きく向上している。これらから、結着剤としての機能は、主として第2ポリマーが担っていることが理解できる。
(2)実施例1、実施例6および比較例10の対比から、第1ポリマーが維持率向上に寄与している。
(3)実施例1~3、比較例1~3の対比から、処理温度が高い方が維持率が向上している。負極活物質に対して、第1ポリマーの被膜の密着性・均一性が向上したものと考えられる。
(4)実施例5から、第2ポリマーとして分子量が比較的大きなものを用いると、電極剥離強度および維持率が向上する。
[0085]
付記
 上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下に限られない。
(付記1)
 (a)Siを構成元素として含む材料を1%以上含む負極活物質、
 (b)負極活物質を被覆する、フッ化ビニリデンをモノマー単位として含む第1ポリマー、および
 (c)アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸、およびメタクリル酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマー単位を含む、分子量8万以上の第2ポリマーを含む負極バインダ
を含有する負極合剤層を備える蓄電デバイス用電極。
(付記2)
 前記第2ポリマーは、分子量が40万以上のポリマーである、付記1に記載の蓄電デバイス用電極。
(付記3)
 前記第2ポリマーは、アクリル酸Naをモノマーとして含む共重合ポリマーである、付記1または2に記載の蓄電デバイス用電極。
(付記4)
 前記第2ポリマーは、アクリル酸Naと芳香族ビニルをモノマー単位として含む共重合ポリマーである、付記3に記載の蓄電デバイス用電極。
(付記5)
 (a)Siを構成元素として含む材料を1%以上含む負極活物質、
 (b)負極活物質を被覆する、フッ化ビニリデンをモノマー単位として含む第1ポリマー、および
 (c)アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸、メタクリル酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマー単位を含む、分子量8万以上の第2ポリマーを含む負極バインダ
を混合したスラリーを電極に塗布した後、250℃以上の温度で熱処理する、蓄電デバイス用電極の製造方法。
(付記6)
 300℃以上の温度で熱処理する、付記5に記載の蓄電デバイス用電極の製造方法。
(付記7)
 350℃以上の温度で熱処理する、付記5に記載の蓄電デバイス用電極の製造方法。
(付記8)
 前記Siを構成元素として含む材料が、SiO (0<x≦2)として表されるSi酸化物である、付記1から4のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極。
[0086]
 以上、実施形態及び実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
[0087]
 この出願は、2017年8月31日に出願された日本出願特願2017-166399を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

産業上の利用可能性

[0088]
 本発明で提供される蓄電デバイス用電極は、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタなどへの使用が可能である。また、それを用いた二次電池は、電源を必要とするあらゆる産業分野、ならびに電気的エネルギーの輸送、貯蔵および供給に関する産業分野にて利用することができる。具体的には、モバイル機器の電源、移動・輸送用媒体の電源、バックアップ電源、太陽光発電、風力発電などで発電した電力を貯める蓄電設備などに、利用することができる。

符号の説明

[0089]
10 フィルム外装体
20 電池要素
25 セパレータ
30 正極
40 負極
41 負極集電体
42-1 第1ポリマー
42-2 負極活物質
42-3 第2ポリマー

請求の範囲

[請求項1]
 (a)Siを構成元素として含む材料を1%以上含む負極活物質、
 (b)負極活物質を被覆する、フッ化ビニリデンをモノマー単位として含む第1ポリマー、および
 (c)アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸、およびメタクリル酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマー単位を含む、分子量8万以上の第2ポリマーを含む負極バインダ
を含有する負極合剤層を備える蓄電デバイス用電極。
[請求項2]
 前記第2ポリマーは、分子量が40万以上のポリマーである、請求項1に記載の蓄電デバイス用電極。
[請求項3]
 前記第2ポリマーは、アクリル酸Naをモノマーとして含む共重合ポリマーである、請求項1または2に記載の蓄電デバイス用電極。
[請求項4]
 前記第2ポリマーは、アクリル酸Naと芳香族ビニルをモノマー単位として含む共重合ポリマーである、請求項3に記載の蓄電デバイス用電極。
[請求項5]
 (a)Siを構成元素として含む材料を1%以上含む負極活物質、
 (b)負極活物質を被覆する、フッ化ビニリデンをモノマー単位として含む第1ポリマー、および
 (c)アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸、メタクリル酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマー単位を含む、分子量8万以上の第2ポリマーを含む負極バインダ
を混合したスラリーを電極に塗布した後、250℃以上の温度で熱処理する、蓄電デバイス用電極の製造方法。
[請求項6]
 300℃以上の温度で熱処理する、請求項5に記載の蓄電デバイス用電極の製造方法。
[請求項7]
 350℃以上の温度で熱処理する、請求項5に記載の蓄電デバイス用電極の製造方法。
[請求項8]
 前記Siを構成元素として含む材料が、SiOx(0<x≦2)として表されるSi酸化物である、請求項1から4のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極。

図面

[ 図 1A]

[ 図 1B]

[ 図 2]

[ 図 3]