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1. (WO2019044312) 水処理方法および水処理装置
Document

明 細 書

発明の名称 水処理方法および水処理装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022  

発明の効果

0023  

図面の簡単な説明

0024  

発明を実施するための形態

0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057  

実施例

0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067  

符号の説明

0068  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : 水処理方法および水処理装置

技術分野

[0001]
 本発明は、水処理方法および水処理装置に関する。

背景技術

[0002]
 近年、上下水処理や工場排水処理等において、除濁膜が用いられる機会が増加している。しかし、被処理水に含まれる高分子有機物が除濁膜に膜閉塞をもたらすことが知られている。ここで除濁膜とは、精密ろ過膜(MF膜)および限外ろ過膜(UF膜)のことである。また、ここで高分子有機物とは、例えば、生物処理の処理水に含まれる生物代謝物や、凝集固液分離処理において添加されるアニオンポリマ等が挙げられる。
[0003]
 このため、前処理でアニオンポリマを用いる凝集処理により高分子有機物を低減する、除濁工程を膜ではなく砂ろ過を用いて行う、または、前処理で触媒と酸化剤を用いて高分子有機物を酸化分解する(特許文献1参照)等の対策が取られている。
[0004]
 しかし、凝集処理で添加されるアニオンポリマは過剰に添加された場合に後段の除濁膜でさらなる膜閉塞を招くため、水質が変動する工場の排水処理や天然水の処理等では運転管理が難しい。また、砂ろ過を採用した場合は、処理水の水質が膜処理と比較して劣る。酸化分解を行う場合は、工程や装置が煩雑になる。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特許第6128964号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 本発明の目的は、重量平均分子量が100,000以上30,000,000以下の範囲の高分子有機物を含む被処理水の除濁膜を用いる処理において、処理水質の悪化を抑制しつつ、除濁膜の閉塞を抑制することができる水処理方法および水処理装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明は、重量平均分子量が100,000以上30,000,000以下の範囲の高分子有機物を含む被処理水を、除濁膜を用いて処理する除濁工程を含み、前記被処理水に重量平均分子量が30,000以上かつ3,000,000以下の範囲のカチオンポリマを添加する、水処理方法である。
[0008]
 前記水処理方法において、前記カチオンポリマが、ポリアミン系、メタクリレート系、およびポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド系のうちのいずれかの構造を有するカチオンポリマであることが好ましい。
[0009]
 前記水処理方法において、前記カチオンポリマが、ジメチルアミン・エピクロロヒドリン・エチレンジアミン縮合物、または、ジメチルアミン・エピクロロヒドリン・アンモニア縮合物であることが好ましい。
[0010]
 前記水処理方法において、前記カチオンポリマの重量平均分子量が200,000以上かつ3,000,000以下の範囲であることが好ましい。
[0011]
 前記水処理方法において、前記除濁工程の前段において、アニオンポリマを用いる凝集固液分離処理、および生物処理のうちの少なくとも1つの前処理を行うことが好ましい。
[0012]
 前記水処理方法における前記除濁工程の前段において、アクリルアミド系のアニオンポリマを用いる凝集固液分離処理を行うことが好ましい。
[0013]
 前記水処理方法において、前記除濁膜の材質が、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、およびポリエーテルスルホンのうちの少なくとも1つであることが好ましい。
[0014]
 前記水処理方法において、前記除濁工程の処理水を逆浸透膜によって処理する逆浸透膜処理工程をさらに含むことが好ましい。
[0015]
 また、本発明は、重量平均分子量が100,000以上30,000,000以下の範囲の高分子有機物を含む被処理水を、除濁膜を用いて処理する除濁装置と、前記被処理水に重量平均分子量が30,000以上かつ3,000,000以下の範囲のカチオンポリマを添加する薬注手段と、を備える、水処理装置である。
[0016]
 前記水処理装置において、前記カチオンポリマが、ポリアミン系、メタクリレート系、およびポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド系のうちのいずれかの構造を有するカチオンポリマであることが好ましい。
[0017]
 前記水処理装置において、前記カチオンポリマが、ジメチルアミン・エピクロロヒドリン・エチレンジアミン縮合物、または、ジメチルアミン・エピクロロヒドリン・アンモニア縮合物であることが好ましい。
[0018]
 前記水処理装置において、前記カチオンポリマの重量平均分子量が200,000以上かつ3,000,000以下の範囲であることが好ましい。
[0019]
 前記水処理装置において、前記除濁装置の前段に、アニオンポリマを用いる凝集固液分離処理装置、および生物処理装置のうちの少なくとも1つである前処理装置を備えることが好ましい。
[0020]
 前記水処理装置において、前記除濁装置の前段に、アクリルアミド系のアニオンポリマを用いる凝集固液分離処理装置を備えることが好ましい。
[0021]
 前記水処理装置において、前記除濁膜の材質が、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、およびポリエーテルスルホンのうちの少なくとも1つであることが好ましい。
[0022]
 前記水処理装置において、前記除濁装置の処理水を逆浸透膜によって処理する逆浸透膜処理装置をさらに備えることが好ましい。

発明の効果

[0023]
 本発明により、重量平均分子量が100,000以上30,000,000以下の範囲の高分子有機物を含む被処理水の除濁膜を用いる処理において、処理水質の悪化を抑制しつつ、除濁膜の閉塞を抑制することができる。

図面の簡単な説明

[0024]
[図1] 本発明の実施形態に係る水処理装置の一例を示す概略構成図である。
[図2] 本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例を示す概略構成図である。
[図3] 実施例および比較例における、用いたカチオンポリマの重量平均分子量とろ過所要時間(分)との関係を示すグラフである。
[図4] 実施例および比較例における、用いたカチオンポリマの重量平均分子量と膜透過率(%)との関係を示すグラフである。

発明を実施するための形態

[0025]
 本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
[0026]
 本発明の実施形態に係る水処理装置の一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。水処理装置1は、除濁膜を用いて処理する除濁装置12を備える。水処理装置1は、必要に応じて、被処理水を貯留する被処理水槽10を備えてもよい。
[0027]
 図1の水処理装置1において、被処理水槽10の入口には被処理水配管14が接続されている。被処理水槽10の出口と除濁装置12の入口とは被処理水供給配管16により接続されている。除濁装置12には処理水配管18が接続されている。被処理水槽10には、被処理水にカチオンポリマを添加する薬注手段として、カチオンポリマ添加配管20が接続されている。
[0028]
 本実施形態に係る水処理方法および水処理装置1の動作について説明する。
[0029]
 重量平均分子量が100,000以上30,000,000以下の範囲の高分子有機物を含む被処理水は、被処理水配管14を通して、必要に応じて被処理水槽10に貯留される。被処理水槽10において、被処理水にカチオンポリマ添加配管20を通して、重量平均分子量が30,000以上かつ3,000,000以下の範囲のカチオンポリマが添加される(カチオンポリマ添加工程)。カチオンポリマは、被処理水配管14において添加されてもよいし、被処理水供給配管16において添加されてもよい。
[0030]
 カチオンポリマが添加された被処理水は、被処理水供給配管16を通して、除濁装置12へ送液され、除濁装置12において、除濁膜を用いて除濁処理される(除濁工程)。除濁工程された処理水は、処理水配管18を通して排出される。
[0031]
 本発明者らは、重量平均分子量が100,000以上30,000,000以下の範囲の高分子有機物を含む被処理水の除濁膜を用いる処理において、除濁膜の被処理水に重量平均分子量が30,000以上かつ3,000,000以下の範囲のカチオンポリマを添加することで、処理水質の悪化を抑制しつつ、除濁膜の閉塞を抑制することができることを見出した。また、簡易な工程や装置で、上記高分子有機物を含む被処理水の除濁処理が可能となる。除濁膜の被処理水に上記カチオンポリマを添加することで、上記高分子有機物が上記カチオンポリマにより捕捉されることにより、高分子有機物による膜閉塞が抑制されると考えられる。また、除濁膜の被処理水に上記カチオンポリマを添加することで、除濁膜における差圧の上昇速度が抑制される。
[0032]
 添加するカチオンポリマは、重量平均分子量が大き過ぎると除濁膜による膜ろ過の負荷になり、除濁膜の操作圧力の上昇を招く。重量平均分子量が小さ過ぎるとカチオンポリマが除濁膜を透過し、処理水質の悪化を招き、後段に逆浸透膜装置を備える場合に逆浸透膜の負荷になる。除濁膜の孔径は膜種や形状等により様々であるが、小さいもので分画分子量30,000Da程度である。また、重量平均分子量3,000,000以下であれば、除濁膜ろ過の過剰な負担にはならないと考えられる。よって、添加されるカチオンポリマの重量平均分子量は、30,000以上かつ3,000,000以下の範囲が良いと考えられる。
[0033]
 添加するカチオンポリマの重量平均分子量は、30,000以上かつ3,000,000以下の範囲であり、200,000以上かつ3,000,000以下の範囲であることが好ましく、200,000以上かつ600,000以下の範囲であることがより好ましい。カチオンポリマの重量平均分子量が3,000,000を超えると、膜への負荷がやや大きくなり、ろ過所要時間の低減量が小さくなる場合がある。カチオンポリマの重量平均分子量が30,000未満では、膜透過率が大きくなる場合があり、特に200,000未満では、膜透過率が大きくなる場合がある。
[0034]
 カチオンポリマとしては、重量平均分子量が30,000以上かつ3,000,000以下の範囲の、カチオンを有するポリマであればよく、特に制限はないが、ポリアミン系、メタクリレート系、およびポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド系のうちのいずれかの構造を有するカチオンポリマであることが好ましい。
[0035]
 ポリアミン系のカチオンポリマとしては、例えば、ジメチルアミン・エピクロロヒドリン・アンモニア縮合物、ジメチルアミン・エピクロロヒドリン・エチレンジアミン縮合物等が挙げられる。
[0036]
 ジメチルアミン・エピクロロヒドリン・アンモニア縮合物は、例えば、下記式(1)
[化1]


   (1)
で表される構造、および、下記式(2)
[化2]


   (2)
で表される構造を含むポリマである。上記ポリマでは、式(2)で表される構造と式(1)で表される構造の割合が、モル比(式(2)で表される構造:式(1)で表される構造)で例えば0.01:9.99~7:3であればよい。
[0037]
 ジメチルアミン・エピクロロヒドリン・エチレンジアミン縮合物は、例えば、式(1)で表される構造、および、下記式(3)
[化3]


   (3)
で表される構造を含むポリマである。上記ポリマでは、式(3)で表される構造と式(1)で表される構造の割合が、モル比(式(3)で表される構造:式(1)で表される構造)で例えば0.01:9.99~7:3であればよい。
[0038]
 メタクリレート系のカチオンポリマは、例えば、下記式(4)
[化4]


   (4)
で表される構造を含むポリマである。a,bはモノマのモル比(a:b=0.01:9.99~9.99:0.01)を表す。
[0039]
 ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド系のカチオンポリマは、例えば、下記式(5)
[化5]


   (5)
で表される構造を含むポリマである。nは繰り返し単位を表す。
[0040]
 カチオンポリマの添加量は、例えば、高分子有機物の重量に対して、1~100重量%の範囲であり、2~10重量%の範囲であることが好ましい。カチオンポリマの添加量が高分子有機物の重量に対して、1重量%未満であると、除濁膜の閉塞抑制効果が発揮されにくくなり、100重量%を超えると、処理水質の悪化やカチオンポリマ自体が膜を閉塞する場合がある。
[0041]
 カチオンポリマを添加する際の被処理水の温度は、特に制限はないが、例えば、5℃~40℃の範囲である。
[0042]
 被処理水は、重量平均分子量が100,000以上30,000,000以下の範囲の高分子有機物を含む水であればよく、特に制限はない。被処理水に含まれる高分子有機物とは、LC-OCD分析装置(DOC-LABOR社製、model 8)において、バイオポリマとして検出される有機物のことであり、その特徴は、重量平均分子量が100,000以上であることであり、上限は特に定められていないが、例えば30,000,000以下である。被処理水に含まれる高分子有機物としては、例えば、生物処理の処理水に含まれる生物代謝物や、凝集固液分離処理において添加されるアニオン性高分子凝集剤等のアニオンポリマ等が挙げられる。
[0043]
 被処理水に含まれる高分子有機物の含有量は、例えば、0.1mg/L~10mg/Lの範囲であり、特に0.2mg/L~1.0mg/Lの範囲の場合に、本実施形態に係る水処理方法および水処理装置が有効である。
[0044]
 除濁処理で用いられる除濁膜は、精密ろ過膜(MF膜)または限外ろ過膜(UF膜)である。限外ろ過膜の公称孔径は、0.01μm以上、0.1μm未満であり、精密ろ過膜の孔径は、0.1μm以上、10μm以下である。分画分子量で表すと、限外ろ過膜の分画分子量は、1,000以上、1,000,000未満である。
[0045]
 除濁膜は、平膜タイプでも中空糸タイプであってもよい。
[0046]
 除濁膜の材質としては、水素結合を形成し、高分子有機物と化学的に結合しやすいものである場合に本技術は効果的であり、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。
[0047]
 本実施形態に係る水処理方法および水処理装置において、除濁装置12の処理水を逆浸透膜によって処理する逆浸透膜処理装置をさらに備え、除濁工程の処理水を逆浸透膜によって処理する逆浸透膜処理工程をさらに含むことが好ましい。
[0048]
 本実施形態に係る水処理方法および水処理装置において、除濁装置12の前段に、アニオンポリマを用いる凝集固液分離処理装置、および生物処理装置のうちの少なくとも1つである前処理装置を備え、除濁工程の前段において、アニオンポリマを用いる凝集固液分離処理、および生物処理のうちの少なくとも1つの前処理を行うことが好ましい。
[0049]
 本実施形態に係る水処理装置の他の例の概略構成を図2に示す。水処理装置3は、除濁膜を用いて処理する除濁装置12と、除濁装置12の処理水を逆浸透膜によって処理する逆浸透膜処理装置24をさらに備える。また、水処理装置3は、除濁装置12の前段に、アニオンポリマを用いる凝集固液分離処理装置、および生物処理装置のうちの少なくとも1つである前処理装置22を備える。水処理装置3は、必要に応じて、被処理水を貯留する被処理水槽10を備えてもよい。
[0050]
 図2の水処理装置3において、前処理装置22の出口と被処理水槽10の入口とは被処理水配管14により接続されている。被処理水槽10の出口と除濁装置12の入口とは被処理水供給配管16により接続されている。除濁装置12の出口と逆浸透膜処理装置24の入口とは処理水配管18により接続されている。逆浸透膜処理装置24の透過水出口には、透過水配管26が接続され、濃縮水出口には、濃縮水配管28が接続されている。被処理水槽10には、被処理水にカチオンポリマを添加する薬注手段として、カチオンポリマ添加配管20が接続されている。
[0051]
 水処理装置3において、前処理装置22から排出された、重量平均分子量が100,000以上30,000,000以下の範囲の高分子有機物を含む被処理水は、被処理水配管14を通して、必要に応じて被処理水槽10に貯留される。被処理水槽10において、被処理水にカチオンポリマ添加配管20を通して、重量平均分子量が30,000以上かつ3,000,000以下の範囲のカチオンポリマが添加される(カチオンポリマ添加工程)。カチオンポリマは、被処理水配管14において添加されてもよいし、被処理水供給配管16において添加されてもよい。
[0052]
 カチオンポリマが添加された被処理水は、被処理水供給配管16を通して、除濁装置12へ送液され、除濁装置12において、除濁膜を用いて除濁処理される(除濁工程)。除濁工程された処理水は、処理水配管18を通して、逆浸透膜処理装置24へ送液され、逆浸透膜処理装置24において、逆浸透膜を用いて逆浸透膜処理される(逆浸透膜処理工程)。透過水は、透過水配管26を通して排出され、濃縮水は、濃縮水配管28を通して排出される。
[0053]
 図2の水処理装置3のように、除濁装置の後段に除濁装置の処理水を逆浸透膜によって処理する逆浸透膜処理装置をさらに備える場合であっても、重量平均分子量が30,000以上かつ3,000,000以下の範囲のカチオンポリマを用いることにより、カチオンポリマの除濁膜の透過が抑制され、逆浸透膜への負荷が低減される。
[0054]
 図2の水処理装置3のように、除濁装置12の前段に、アニオンポリマを用いる凝集固液分離処理装置、および生物処理装置のうちの少なくとも1つである前処理装置を備える場合であっても、重量平均分子量が30,000以上かつ3,000,000以下の範囲のカチオンポリマを用いることにより、例えば、生物処理の処理水に含まれる生物代謝物や、凝集固液分離処理において添加されるアニオン性高分子凝集剤等のアニオンポリマ等の高分子有機物による除濁膜の閉塞を抑制することができる。
[0055]
 逆浸透膜処理としては、逆浸透膜を用いる処理であればよく、特に制限はない。
[0056]
 凝集固液分離処理としては、凝集剤を用いる凝集処理と、固液分離処理とを含む処理であればよく、特に制限はないが、例えば、凝集沈殿処理、凝集加圧浮上処理等が挙げられる。凝集固液分離処理において用いられるアニオンポリマは、例えば、アクリルアミド系のアニオン性高分子凝集剤等が挙げられる。凝集固液分離処理水には、重量平均分子量が100,000以上30,000,000以下の範囲の高分子有機物として、このアニオンポリマが含まれる。特に、凝集固液分離処理水に、重量平均分子量が100,000以上30,000,000以下の範囲の高分子有機物として、アクリルアミド系のアニオンポリマが含まれる場合に、本実施形態に係る水処理方法および水処理装置が好適に適用される。
[0057]
 生物処理としては、微生物等の生物を用いる処理であればよく、特に制限はない。生物処理水には、重量平均分子量が100,000以上30,000,000以下の範囲の高分子有機物として、生物代謝物等のアニオンポリマが含まれる。
実施例
[0058]
 以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[0059]
<実施例1~5>
 高分子有機物を含む被処理水を50L作製し、除濁膜に通水した。高分子有機物としては、重量平均分子量10,000,000のアニオンポリマ(アクリルアミド系のアニオン性高分子凝集剤)を0.2mg/L添加した。除濁膜としては、立昇社製、材質:ポリ塩化ビニル、分画分子量:50,000Da、孔径:0.01μmの限外ろ過膜(中空糸タイプ)を使用し、膜面積1m となるモジュールを作製した。
[0060]
 通水は、被処理水に表1に示すカチオンポリマをそれぞれ2mg/L添加して行い、それぞれ被処理水を全てろ過するのに要した時間を測定した。また、除濁膜ろ過水(処理水)中のポリマ濃度を測定することで、ポリマの膜透過率(%)を測定した。
[0061]
 ポリマA(実施例1)は、ポリアミン系のカチオンポリマである、ジメチルアミン・エピクロロヒドリン・エチレンジアミン縮合物(重量平均分子量30,000)であり、ポリマB(実施例2)は、ポリアミン系のカチオンポリマである、ジメチルアミン・エピクロロヒドリン・エチレンジアミン縮合物(重量平均分子量70,000)であり、ポリマC(実施例3)は、ポリアミン系のカチオンポリマである、ジメチルアミン・エピクロロヒドリン・アンモニア縮合物(重量平均分子量200,000)であり、ポリマD(実施例4)は、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド系のカチオンポリマ(重量平均分子量600,000)であり、ポリマE(実施例5)は、メタクリレート系のカチオンポリマ(重量平均分子量3,000,000)である。
[0062]
 除濁膜ろ過水(処理水)中のポリマ濃度は、燃焼法TOC分析装置(島津製作所製、TOC-V)を用いて測定した。
[0063]
<比較例1~3>
 比較例1では被処理水にカチオンポリマを添加せずに処理を行った。ポリマF(比較例2)は、ポリ塩化アルミニウム(重量平均分子量2,500)であり、ポリマG(比較例3)は、アクリレート系のカチオンポリマ(重量平均分子量10,000,000)である。
[0064]
 結果を表1および図3,4に示す。図3には、実施例および比較例における、用いたカチオンポリマの重量平均分子量とろ過所要時間(分)との関係を示す。図4には、実施例および比較例における、用いたカチオンポリマの重量平均分子量と膜透過率(%)との関係を示す。
[0065]
 表1および図3,4に示すとおり、重量平均分子量30,000から3,000,000の範囲のカチオンポリマが最も除濁膜の閉塞抑制効果を示した。重量平均分子量30,000以下のポリマF(比較例2)は、ろ過所要時間は短くなったものの、カチオンポリマが除濁膜を透過しやすかったため好ましくない。重量平均分子量3,000,000以上のポリマG(比較例3)においては、ろ過所要時間が長くなり好ましくない。実施例3のポリマCが、ろ過所要時間と膜透過率のバランスに優れていた。
[0066]
[表1]


[0067]
 このように、実施例では、重量平均分子量が100,000以上30,000,000以下の範囲の高分子有機物を含む被処理水の除濁膜を用いる処理において、処理水質の悪化を抑制しつつ、除濁膜の閉塞を抑制することができた。

符号の説明

[0068]
 1,3 水処理装置、10 被処理水槽、12 除濁装置、14 被処理水配管、16 被処理水供給配管、18 処理水配管、20 カチオンポリマ添加配管、22 前処理装置、24 逆浸透膜処理装置、26 透過水配管、28 濃縮水配管。

請求の範囲

[請求項1]
 重量平均分子量が100,000以上30,000,000以下の範囲の高分子有機物を含む被処理水を、除濁膜を用いて処理する除濁工程を含み、
 前記被処理水に重量平均分子量が30,000以上かつ3,000,000以下の範囲のカチオンポリマを添加することを特徴とする水処理方法。
[請求項2]
 請求項1に記載の水処理方法であって、
 前記カチオンポリマが、ポリアミン系、メタクリレート系、およびポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド系のうちのいずれかの構造を有するカチオンポリマであることを特徴とする水処理方法。
[請求項3]
 請求項1または2に記載の水処理方法であって、
 前記カチオンポリマが、ジメチルアミン・エピクロロヒドリン・エチレンジアミン縮合物、または、ジメチルアミン・エピクロロヒドリン・アンモニア縮合物であることを特徴とする水処理方法。
[請求項4]
 請求項1~3のいずれか1項に記載の水処理方法であって、
 前記カチオンポリマの重量平均分子量が200,000以上かつ3,000,000以下の範囲であることを特徴とする水処理方法。
[請求項5]
 請求項1~4のいずれか1項に記載の水処理方法であって、
 前記除濁工程の前段において、アニオンポリマを用いる凝集固液分離処理、および生物処理のうちの少なくとも1つの前処理を行うことを特徴とする水処理方法。
[請求項6]
 請求項1~4に記載の水処理方法であって、
 前記除濁工程の前段において、アクリルアミド系のアニオンポリマを用いる凝集固液分離処理を行うことを特徴とする水処理方法。
[請求項7]
 請求項1~6のいずれか1項に記載の水処理方法であって、
 前記除濁膜の材質が、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、およびポリエーテルスルホンのうちの少なくとも1つであることを特徴とする水処理方法。
[請求項8]
 請求項1~7のいずれか1項に記載の水処理方法であって、
 前記除濁工程の処理水を逆浸透膜によって処理する逆浸透膜処理工程をさらに含むことを特徴とする水処理方法。
[請求項9]
 重量平均分子量が100,000以上30,000,000以下の範囲の高分子有機物を含む被処理水を、除濁膜を用いて処理する除濁装置と、
 前記被処理水に重量平均分子量が30,000以上かつ3,000,000以下の範囲のカチオンポリマを添加する薬注手段と、
 を備えることを特徴とする水処理装置。
[請求項10]
 請求項9に記載の水処理装置であって、
 前記カチオンポリマが、ポリアミン系、メタクリレート系、およびポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド系のうちのいずれかの構造を有するカチオンポリマであることを特徴とする水処理装置。
[請求項11]
 請求項9または10に記載の水処理装置であって、
 前記カチオンポリマが、ジメチルアミン・エピクロロヒドリン・エチレンジアミン縮合物、または、ジメチルアミン・エピクロロヒドリン・アンモニア縮合物であることを特徴とする水処理装置。
[請求項12]
 請求項9~11のいずれか1項に記載の水処理装置であって、
 前記カチオンポリマの重量平均分子量が200,000以上かつ3,000,000以下の範囲であることを特徴とする水処理装置。
[請求項13]
 請求項9~12のいずれか1項に記載の水処理装置であって、
 前記除濁装置の前段に、アニオンポリマを用いる凝集固液分離処理装置、および生物処理装置のうちの少なくとも1つである前処理装置を備えることを特徴とする水処理装置。
[請求項14]
 請求項9~12に記載の水処理装置であって、
 前記除濁装置の前段に、アクリルアミド系のアニオンポリマを用いる凝集固液分離処理装置を備えることを特徴とする水処理装置。
[請求項15]
 請求項9~14のいずれか1項に記載の水処理装置であって、
 前記除濁膜の材質が、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、およびポリエーテルスルホンのうちの少なくとも1つであることを特徴とする水処理装置。
[請求項16]
 請求項9~15のいずれか1項に記載の水処理装置であって、
 前記除濁装置の処理水を逆浸透膜によって処理する逆浸透膜処理装置をさらに備えることを特徴とする水処理装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]