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1. (WO2019039614) ゴム組成物及びタイヤ
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明 細 書

発明の名称 ゴム組成物及びタイヤ

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017  

発明の効果

0018  

発明を実施するための形態

0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074  

実施例

0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084  

産業上の利用可能性

0085  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : ゴム組成物及びタイヤ

技術分野

[0001]
 本発明は、ゴム組成物及びタイヤに関する。

背景技術

[0002]
 近年、環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に対する要求が強まりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の低減が求められている。従来、タイヤの転がり抵抗を低減させる手法として、タイヤ構造を最適化する手法も検討されてきたが、タイヤに適用するゴム組成物として、tanδが低く、低発熱性(以下、「低ロス性」ということがある。)の優れたものを用いることが、現在一般的な手法として挙げられる。
[0003]
 このような低ロス性に優れたゴム組成物を得る方法として、例えば、カーボンブラックやシリカ等のフィラーを減量したり、大粒径のカーボンブラックを使用する方法が知られている。ただし、これらの方法では、ゴム組成物の補強性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の低下を招くことがあった。
[0004]
 ここで、例えば特許文献1には、ガラス転移温度(Tg)の異なるゴムを、ゴム組成物中にブレンドすることで、タイヤの耐摩耗性を損なうことなく、ウェットグリップ性能及び転がり抵抗低減効果の両立を図る技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開平8-27313号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 しかしながら、特許文献1に開示された技術については、低ロス性に加えて、タイヤに用いた場合の氷雪路面でのグリップ性(以下、「スノーグリップ性」という。)について、さらなる改善が望まれていた。また、ゴム成分としてTgの低いゴムを用いていることから、それに伴ってtanδも低下し、十分なウェットグリップ性能が確保できないおそれがあった。
[0007]
 そのため、本発明の目的は、ウェットグリップ性能を低下させることなく、低ロス性及びスノーグリップ性能に優れたゴム組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、ウェットグリップ性能を低下させることなく、低ロス性及びスノーグリップ性能に優れたタイヤを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究を行った。そして、ゴム組成物のゴム成分として、ジエン系ゴム及びスチレン量が1~20質量%の変性スチレンブタジエンゴムを用いるとともに、ガラス転移温度(Tg)が0℃よりも高い樹脂をさらに配合することによって、低ロス性及びウェットグリップ性能の高いレベルでの維持を可能とし、さらに、ゴム組成物中にガラス転移温度(Tg)が-50℃より低い低温可塑剤を含有させるとともに、上記樹脂との合計含有量を制御することによって、スノーグリップ性能を大きく向上させることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
[0009]
 即ち、本発明のゴム組成物は、天然ゴムを50質量%以上及びスチレン量が1~20質量%の変性スチレンブタジエンゴムを含有するゴム成分と、ガラス転移温度(Tg)が0℃よりも高い樹脂と、ガラス転移温度(Tg)が-50℃より低い低温可塑剤と、を含み、前記低温可塑剤及び前記樹脂の合計含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上50質量部未満であることを特徴とする。
 上記構成を具えることによって、ウェットグリップ性能を低下させることなく、低ロス性及びスノーグリップ性能を向上させることができる。
[0010]
 また、本発明のゴム組成物については、前記樹脂が、C 系樹脂、C ~C 系樹脂、C 系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン-芳香族化合物系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂及びアルキルフェノール系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。より優れたウェットグリップ性能及びスノーグリップ性能を実現できるためである。
[0011]
 さらに、本発明のゴム組成物については、前記樹脂の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、3質量部以上50質量部未満であることが好ましい。低ロス性の低下を招くことなく、より優れたウェットグリップ性能及びスノーグリップ性能を実現できるためである。
[0012]
 さらにまた、本発明のゴム組成物については、前記低温可塑剤が、オレイン酸エステル、トリオクチルホスフェート、アジピン酸エステルトリメリット酸エステル及びピロメリット酸エステルからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。より優れたスノーグリップ性能を実現できるためである。
[0013]
 また、本発明のゴム組成物については、前記低温可塑剤の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、1~30質量部であることが好ましい。低ロス性の低下を招くことなく、より優れたスノーグリップ性能を実現できるためである。
[0014]
 さらに、本発明のゴム組成物については、前記ゴム組成物が、シリカをさらに含有することが好ましい。より優れた耐摩耗性を実現できるためである。
[0015]
 さらに、本発明のゴム組成物については、前記変性スチレンブタジエンゴムが、変性剤としてN,N-ビス(トリメチルシリル)-3-[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルアミンを用いて変性されていることがより好ましい。より優れたウェットグリップ性能、低ロス性及び耐摩耗性を実現できるためである。
[0016]
 さらにまた、本発明のゴム組成物については、前記ゴム成分における変性スチレンブタジエンゴムの含有量が、1~40質量%であることが好ましい。ウェットグリップ性能、低ロス性及び耐摩耗性と、スノーグリップ性能とを高いレベルで両立できるためである。
[0017]
 本発明のタイヤは、上述のゴム組成物を用いたことを特徴とする。
 上記構成を具えることによって、ウェットグリップ性能を低下させることなく、優れた低ロス性及びスノーグリップ性能を実現できる。

発明の効果

[0018]
 本発明によれば、ウェットグリップ性能を低下させることなく、低ロス性及びスノーグリップ性能に優れたゴム組成物を提供することができる。さらに、本発明によれば、ウェットグリップ性能を低下させることなく、低ロス及びスノーグリップ性能に優れたタイヤを提供することができる。

発明を実施するための形態

[0019]
 以下に、本発明の実施形態を具体的に例示説明する。
<ゴム組成物>
 本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴムを50質量%以上及びスチレン量が1~20質量%の変性スチレンブタジエンゴムを含有するゴム成分と、ガラス転移温度(Tg)が0℃よりも高い樹脂と、ガラス転移温度(Tg)が-50℃より低い低温可塑剤と、を含むことを特徴とする。
[0020]
(ゴム成分)
 本発明のゴム組成物に含まれるゴム成分については、天然ゴムを50質量%以上及びスチレン量が1~20質量%の変性スチレンブタジエンゴムを含有する。
[0021]
 前記天然ゴムは、ガラス転移温度(Tg)が低く、優れた低ロス性を実現することができる。また、天然ゴムを50質量%以上含有することで、後述するガラス転移温度(Tg)が0℃よりも高い樹脂との相溶性が高く、樹脂を配合する効果が得られやすくなる。
[0022]
 さらに、前記ゴム成分中に、前記変性スチレンブタジエンゴム(以下、「変性SBR」ということがある。)を含むことによって、充填材の分散性を高め、低ロス性や耐摩耗性、ウェットグリップ性能を向上させることができる。ここで、前記変性SBRのスチレン量を1~20質量%としたのは、スチレン量が1質量%未満の場合には、 ロス性や耐摩耗性、ウェットグリップ性能及び向上させることができず、スチレン量が20質量%を超える場合には、低ロス性が悪化する。同様の観点から、前記変性SBRのスチレン量は、3~17質量%であることが好ましく、5~15質量%であることがより好ましい。
[0023]
 前記変性SBRの結合スチレン量については、フェニル基の紫外吸光によって測定でき、ここから結合共役ジエン量も求めることができる。具体的には、以下に準じて測定する。変性SBRを試料として、試料100mgを、クロロホルムで100mLにメスアップし、溶解して測定サンプルとする。スチレンのフェニル基による紫外線吸収波長(254nm付近)の吸収量により、試料100質量%に対しての結合スチレン量(質量%)を測定する(島津製作所社製の分光光度計「UV-2450」)。
[0024]
 また、前記ゴム成分については、前記天然ゴム及び変性SBRの他にも、例えば、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)等の合成ジエン系ゴムを、一種以上含むことができる。なお、これらのジエン系ゴムについては、未変性のものでも、変性させたものであってもよい。
[0025]
 なお、前記ゴム成分における天然ゴムの含有量については、50質量%以上であることを要し、より優れた低ロス性を得るという点からは、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
[0026]
 さらに、前記ゴム成分における前記変性SBRの含有量は、1~40質量%であることが好ましく、10~40質量%であることがより好ましい。前記変性スチレンブタジエンゴムの含有量が1質量%以上の場合、充填材の分散性を高めることができ、前記変性ゴムの含有量が40質量%以下の場合、加工性の低下を防ぐことができる。
[0027]
 なお、前記変性SBRの変性に用いる変性剤としては、特に限定はされない。例えば、シリカ等の充填剤に対して相互作用性の高い変性官能基付与できる点からは、アルコキシシラン化合物、ヒドロカルビルオキシシラン化合物及びこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
[0028]
 前記アルコキシシラン化合物は、特に限定されないが、下記一般式(I)で表されるアルコキシシラン化合物であることがより好ましい。
 R -Si-(OR 4-a ・・・ (I)
一般式(I)中、R およびR は、それぞれ独立に炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基または炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基を示し、aは0~2の整数であり、OR が複数ある場合、各OR は互いに同一でも異なっていてもよく、また分子中には活性プロトンは含まれない。
[0029]
 一般式(I)で表されるアルコキシシラン化合物の具体例としては、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-トリエトキシシリル-1-プロパンアミン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ-sec-ブトキシシラン、テトラ-tert-ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトリジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジエトキシシランなどが挙げられる。これらの中でも、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好適である。アルコキシシラン化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0030]
 前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
[化1]


一般式(II)中、n1+n2+n3+n4=4(但し、n2は1~4の整数であり、n1、n3およびn4は0~3の整数である)であり、A は、飽和環状3級アミン化合物残基、不飽和環状3級アミン化合物残基、ケチミン残基、ニトリル基、(チオ)イソシアナート基、(チオ)エポキシ基、イソシアヌル酸トリヒドロカルビルエステル基、炭酸ジヒドロカルビルエステル基、ニトリル基、ピリジン基、(チオ)ケトン基、(チオ)アルデヒド基、アミド基、(チオ)カルボン酸エステル基、(チオ)カルボン酸エステルの金属塩、カルボン酸無水物残基、カルボン酸ハロゲン化合物残基、並びに加水分解性基を有する第一もしくは第二アミノ基またはメルカプト基の中から選択される少なくとも1種の官能基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、A は、Siと結合して環状構造を形成する二価の基であってもよく、R 21は、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、n1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R 23は、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基またはハロゲン原子であり、n3が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R 22は、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、いずれも窒素原子および/またはケイ素原子を含有していてもよく、n2が2以上の場合には、互いに同一もしくは異なっていてもよく、あるいは、一緒になって環を形成しており、R 24は、炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。
[0031]
 加水分解性基を有する第一もしくは第二アミノ基または加水分解性基を有するメルカプト基における加水分解性基として、トリメチルシリル基またはtert-ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
[0032]
 一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
[化2]


一般式(III)中、p1+p2+p3=2(但し、p2は1~2の整数であり、p1およびp3は0~1の整数である)であり、A は、NRa(Raは、一価の炭化水素基、加水分解性基または含窒素有機基である)、あるいは、硫黄であり、R 25は、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、R 27は、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基またはハロゲン原子であり、R 26は、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基または含窒素有機基であり、いずれも窒素原子および/またはケイ素原子を含有していてもよく、p2が2の場合には、互いに同一でも異なっていてもよく、あるいは、一緒になって環を形成しており、R 28は、炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基である。加水分解性基として、トリメチルシリル基またはtert-ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
[0033]
 一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(IV)または(V)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
[化3]


一般式(IV)中、q1+q2=3(但し、q1は0~2の整数であり、q2は1~3の整数である)であり、R 31は炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、R 32およびR 33はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、R 34は炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、q1が2の場合には同一でも異なっていてもよく、R 35は炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、q2が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。
[0034]
[化4]


一般式(V)中、r1+r2=3(但し、r1は1~3の整数であり、r2は0~2の整数である)であり、R 36は炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、R 37はジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、メチルシリル(メチル)アミノメチル基、メチルシリル(メチル)アミノエチル基、メチルシリル(エチル)アミノメチル基、メチルシリル(エチル)アミノエチル基、ジメチルシリルアミノメチル基、ジメチルシリルアミノエチル基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、r1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R 38は炭素数1~20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、r2が2の場合には同一でも異なっていてもよい。
[0035]
 一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(VI)または(VII)で表される2つ以上の窒素原子を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。これにより低ロス性および耐摩耗性をより高度に両立することができる。
[化5]


一般式(VI)中、R 40はトリメチルシリル基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、R 41は炭素数1~20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、R 42は炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基である。
[0036]
[化6]


一般式(VII)中、R 43およびR 44はそれぞれ独立して炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、R 45は炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、各R 45は、同一でも異なっていてもよい。
[0037]
 一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(VIII)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
[化7]


一般式(VIII)中、r1+r2=3(但し、r1は0~2の整数であり、r2は1~3の整数である)であり、R 46は炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、R 47およびR 48はそれぞれ独立して炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基である。複数のR 47またはR 48は、同一でも異なっていてもよい。
[0038]
 一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(IX)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
[化8]


一般式(IX)中、Xはハロゲン原子であり、R 49は炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、R 50およびR 51はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であるか、あるいは、R 50およびR 51は結合して二価の有機基を形成しており、R 52およびR 53はそれぞれ独立してハロゲン原子、ヒドロカルビルオキシ基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基である。R 50およびR 51としては、加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基として、トリメチルシリル基またはtert-ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
[0039]
 一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(X)~(XIII)で表される構造を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
[化9]


[化10]


[化11]


[化12]


一般式(X)~(XIII)中、記号U、Vはそれぞれ0~2かつU+V=2を満たす整数である。一般式(X)~(XIII)中のR 5492は同一でも異なっていても良く、炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基である。一般式(XIII)中のαおよびβは0~5の整数である。
[0040]
 一般式(X)~(XII)の化合物の中でも、N1,N1,N7-テトラメチル-4-((トリメトキシシリル)メチル)-1,7へプタン、2-((ヘキシル-ジメトキシシリル)メチル)-N1,N1,N3,N3-2-ペンタメチルプロパン-1,3-ジアミン、N1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル-N3,N3-ジメチル-N1-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)プロパン-1,3-ジアミン、4-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N1,N1,N7,N7-テトラメチル-4-((トリメトキシシリル)メチル)へプタン-1,7-ジアミンが好ましい。
[0041]
 一般式(XIII)の化合物の中でも、N,N-ジメチル-2-(3-(ジメトキシメチルシリル)プロポキシ)エタンアミン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-2-(3-(トリメトキシシリル)プロポキシ)エタンアミン、N,N-ジメチル-2-(3-(トリメトキシシリル)プロポキシ)エタンアミン、N,N-ジメチル-3-(3-(トリメトキシシリル)プロポキシ)プロパン-1-アミンが好ましい。
[0042]
 一般式(II)~(XIII)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、アルコキシシラン化合物であることが好ましい。
[0043]
 前記変性SBRを、アニオン重合によって得る場合に好適な変性剤としては、例えば、3,4-ビス(トリメチルシリルオキシ)-1-ビニルベンゼン、3,4-ビス(トリメチルシリルオキシ)ベンズアルデヒド、3,4-ビス(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)ベンズアルデヒド、2-シアノピリジン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンおよび1-メチル-2-ピロリドンから選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
 前記変性剤は、アニオン重合における重合開始剤として用いられるリチウムアミド化合物のアミド部分であることが好ましい。このようなリチウムアミド化合物としては、例えば、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ-2-エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム-N-メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミドおよびこれらの組み合わせが挙げられる。例えば、リチウムヘキサメチレンイミドのアミド部分となる変性剤はヘキサメチレンイミンであり、リチウムピロリジドのアミド部分となる変性剤はピロリジンであり、リチウムピペリジドのアミド部分となる変性剤はピペリジンである。
[0044]
 前記変性SBRにおける変性率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。変性率は、例えば、30%以上が好ましく、35%以上がより好ましく、70%以上が特に好ましい。これにより、シリカを含む充填材がゴム成分の相により選択的に存在するようになり、低ロス性及び耐摩耗性をより高度に両立することができる。
[0045]
(ガラス転移温度(Tg)が0℃よりも高い樹脂)
 本発明のゴム組成物は、上述したゴム成分に加えて、ガラス転移温度(Tg)が0℃よりも高い樹脂を含む。Tgの高い樹脂(以下、「高Tg樹脂」ということがある。)を含有することによって、ゴム組成物のTgを高め、0℃でのtanδが高くなるため、タイヤに用いた場合にウェットグリップ性能を向上させることができる。
[0046]
 ここで、前記高Tg樹脂については、Tgが0℃よりも高いものであれば特に限定はされない。例えば、C 系樹脂、C ~C 系樹脂、C 系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン-芳香族化合物系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂及びアルキルフェノール系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種が好適に用いられる。
 また、これらの高Tg樹脂の中でも、ウェットグリップ性能をさらに向上させる観点からは、C 系樹脂、C ~C 系樹脂及びC 系樹脂のうちの少なくとも一種を用いることがより好ましい。
[0047]
 なお、前記C 系樹脂とは、C 系合成石油樹脂を指し、例えばAlCl やBF などのフリーデルクラフツ型触媒を用い、C 留分を重合して得られる固体重合体を指す。具体的には、イソプレン、シクロペンタジエン、1,3-ペンタジエン及び1-ペンテンなどを主成分とする共重合体、2-ペンテンとジシクロペンタジエンとの共重合体、1,3-ペンタジエンを主体とする重合体などが例示される。
 また、前記高Tg樹脂としてC 系樹脂を用いれば、更に氷雪路面上での制動性能を向上させることもできる。
[0048]
 前記C ~C 系樹脂とは、C ~C 系合成石油樹脂を指し、例えばAlCl やBF などのフリーデルクラフツ型触媒を用い、C ~C 11留分を重合して得られる固体重合体を指す。「C ~C 系樹脂」としては、例えばスチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、インデンなどを主成分とする共重合体などが挙げられる。本発明においては、このC ~C 樹脂として、C 以上の成分の少ない樹脂が、前記ゴム成分との相溶性の観点から好ましい。ここで、「C 以上の成分が少ない」とは、樹脂全量中のC 以上の成分が50質量%未満、好ましくは40質量%以下であることをいうものとする。
 前記高Tg樹脂としてC ~C 系樹脂を用いれば、更にハンドリング特性を向上させることもできる。
 ここで、C ~C 系樹脂としての固体重合体の重合に用いられるC ~C 11留分には、C 留分及びC 留分以外の留分が含まれるものとする。
[0049]
 前記C 系樹脂とは、C 系合成石油樹脂を指し、例えばAlCl やBF などのフリーデルクラフツ型触媒を用い、C 留分を重合して得られる固体重合体を指す。C 系樹脂としては、例えば、インデン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンなどを主成分とする共重合体などが挙げられる。
 前記高Tg樹脂としてC 系樹脂を用いれば、更にハンドリング性能を向上させることもできる。
[0050]
 前記テルペン系樹脂は、松属の木からロジンを得る際に同時に得られるテレビン油、或いはこれから分離した重合成分を配合し、フリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる固体状の樹脂であり、β-ピネン樹脂、α-ピネン樹脂などがある。
 前記テルペン-芳香族化合物系樹脂としては、代表例としてテルペン-フェノール樹脂を挙げることができる。このテルペン-フェノール樹脂は、テルペン類と種々のフェノール類とを、フリーデルクラフツ型触媒を用いて反応させたり、或いは更にホルマリンで縮合する方法で得ることができる。原料のテルペン類としては特に制限はなく、α-ピネンやリモネンなどのモノテルペン炭化水素が好ましく、α-ピネンを含むものがより好ましく、特にα-ピネンであることが好ましい。本発明においては、フェノール成分の比率の少ないテルペン-フェノール樹脂が好適である。ここで、「フェノール成分の比率が少ない」とは、樹脂全量中のフェノール成分が50質量%未満、好ましくは40質量%以下であることを指すものとする。
 前記高Tg樹脂としてテルペン-芳香族化合物系樹脂、特にテルペン-フェノール樹脂を用いれば、更にハンドリング性能を向上させることもできる。
[0051]
 前記ジシクロペンタジエン樹脂は、例えばAlCl やBF などのフリーデルクラフツ型触媒等を用い、ジシクロペンタジエンを重合して得られる樹脂を指す。前記ジシクロペンタジエン樹脂の市販品の具体例としては、クイントン1920(日本ゼオン製)、クイントン1105(日本ゼオン社製)、マルカレッツM-890A(丸善石油化学製)、などが挙げられる。
 前記高Tg樹脂としてジシクロペンタジエン樹脂を用いれば、更に氷雪路面上での制動性能を向上させることもできる。
[0052]
 前記アルキルフェノール系樹脂としては、例えばp-tert-ブチルフェノール-アセチレン樹脂などのアルキルフェノール-アセチレン樹脂、低重合度のアルキルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
 前記高Tg樹脂としてアルキルフェノール系樹脂を用いれば、更にハンドリング性能を向上させることもできる。
[0053]
 また、前記高Tg樹脂の含有量については、特に限定はされないが、低ロス性を悪化させることなく、より優れたウェットグリップ性能及びスノーグリップ性能を得る観点からは、前記ゴム成分100質量部に対して、3質量部以上50質量部未満であることが好ましく、5~40質量部であることがより好ましく、10~30質量部であることがさらに好ましく、15~25質量部であることが特に好ましい。
 前記高Tg樹脂の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して5質量部未満の場合には、前記樹脂の量が少なすぎるため、十分なウェットグリップ性能及びスノーグリップ性能を得ることができないおそれがあり、一方、前記高Tg樹脂の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して50質量部を超える場合には、前記樹脂の量が多すぎるため、ゴム組成物の低ロス性や耐摩耗性が低下するおそれがある。
[0054]
(ガラス転移温度(Tg)が-50℃より低い低温可塑剤)
 本発明のゴム組成物は、上述したゴム成分及びガラス転移温度(Tg)が0℃よりも高い樹脂に加えて、ガラス転移温度(Tg)が-50℃より低く、好ましくは-60℃より低い低温可塑剤をさらに含む。ガラス転移温度(Tg)が-50℃より低い低温可塑剤(以下、単に「低温可塑剤」ということがある。)を含有することによって、ゴム組成物のガラス転移点の上昇を防ぐことができ、低温時であってもゴム組成物のtanδを適切な範囲に高めることができる結果、スノーグリップ性能を向上させることができる。
[0055]
 ここで、前記低温可塑剤の種類については、ガラス転移温度(Tg)が-50℃より低い可塑剤であれば特に限定はされない。
 例えば、前記低温可塑剤として、カルボン酸エステル可塑剤、リン酸エステル可塑剤、スルホン酸エステル可塑剤等が挙げられる。
[0056]
 前記カルボン酸エステル可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、イソフタル酸エステル、テトラヒドロフタル酸エステル、アジピン酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステル、リノール酸エステル、オレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、リシノール酸エステル等がある。
 前記リン酸エステル可塑剤としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリ-(2-エチルヘキシル)ホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート等がある。
[0057]
 また、上述した低温可塑剤の中でも、オレイン酸エステル、トリオクチルホスフェート、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル及びピロメリット酸エステルからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。より優れたスノーグリップ性能を得ることができるからである。
[0058]
 前記低温可塑剤の含有量については、特に限定はされないが、低ロス性を悪化させることなく、より優れたスノーグリップ性能を得る観点からは、前記ゴム成分100質量部に対して、1~30質量部であることが好ましく、1~20質量部であることがより好ましく、1~10質量部であることがさらに好ましい。
 前記低温可塑剤の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して1質量部未満の場合には、前記低温可塑剤の量が少なすぎるため、十分なスノーグリップ性能を得ることができないおそれがあり、一方、前記低温可塑剤が、前記ゴム成分100質量部に対して30質量部を超える場合には、前記可塑剤の量が多すぎるため、ゴム組成物の耐摩耗性が低下するおそれがある。
[0059]
 そして、本発明のゴム組成物では、前記低温可塑剤及び前記樹脂の合計含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上50質量部未満であることを要し、10~40質量部であることが好ましく、12~23質量部であることがより好ましい。低温可塑剤及び樹脂の合計量の調整を図ることによって、高いレベルで、ウェットグリップ性能、低ロス性、耐摩耗性及びスノーグリップ性能を両立できるためである。前記低温可塑剤及び前記樹脂の合計含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して5質量部未満の場合には、十分なウェットグリップ性能及びスノーグリップ性能を確保できず、前記合計含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して50質量部以上の場合には、低ロス性や耐摩耗性の低下を招く。
[0060]
(充填材)
 本発明のゴム組成物は、上述したゴム成分、ガラス転移温度(Tg)が0℃よりも高い樹脂、及び、ガラス転移温度(Tg)が-50℃より低い低温可塑剤に加えて、充填材を含むことが好ましい。
 前記充填材を、充填剤をさらに含有することによって、他の物性を低下させることなく、低ロス性及び補強性を向上させることができる。
[0061]
 前記充填材の含有量については、前記ゴム成分100質量部に対して、20~120質量であることが好ましく、40~100質量部であることがより好ましく、50~90質量部であることがさらに好ましい。前記充填材の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して20質量部未満の場合、前記充填材を配合する効果が十分に得られないおそれがあり、一方、前記充填材の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して120質量部を超える場合には、ゴム組成物の加工性を低下させるおそれがある。
[0062]
 ここで、前記充填材の種類については特に限定はされない。例えば、カーボンブラックや、シリカ、その他の無機充填材を含むことができる。その中でも、前記充填材は、シリカを含むことが好ましい。前記ゴム成分に、前記高Tg樹脂とともに良好に分散した際に、その柔軟性を損ねることなく、より優れた強性と低ロス性とを付与することができるためである。
[0063]
 前記シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられるが、中でも、湿式シリカを好適に使用できる。この湿式シリカのBET比表面積は、40~350m 2/gであることが好ましく、150~300 m 2/gであることがより好ましく、200~250m 2/gであることが更に好ましい。BET比表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。この観点から、BET比表面積が80~300m 2/gの範囲にあるシリカが更に好ましい。このようなシリカとしては東ソー・シリカ(株)社製、商品名「ニプシルAQ」、「ニプシルKQ」、エボニック社製、商品名「ウルトラジルVN3」等の市販品を用いることができる。このシリカは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0064]
 また、前記シリカの含有量については、前記充填材中の50~100質量%を占めることが好ましく、80~100質量%を占めることがより好ましい。前記充填剤中のシリカの配合量を50~100質量%とすることで、特に、転がり抵抗の低減、湿潤路面での制動性能の向上といった効果を奏しつつ、かつ、ゴム成分の柔軟性を損ねにくい、という利点がある。
[0065]
 また、前記充填材については、シリカの他に、カーボンブラック、酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム等を適宜含有することができる。
[0066]
(その他の成分)
 本発明のゴム組成物は、上述した、ゴム成分、ガラス転移温度(Tg)が0℃よりも高い樹脂、ガラス転移温度(Tg)が-50℃より低い低温可塑剤及び充填材の他にも、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、ゴム工業で通常使用されている、老化防止剤、架橋促進剤、架橋剤、架橋促進助剤、シランカップリング剤、各種加工性改良剤、軟化剤、ステアリン酸、オゾン劣化防止剤、界面活性剤等の添加剤を適宜配合することができる。
[0067]
 前記老化防止剤としては、公知のものを用いることができ、特に制限されない。例えば、フェノール系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、アミン系老化防止剤等を挙げることができる。これら老化防止剤は、1種又は2種以上を併用することができる。
[0068]
 前記架橋促進剤としては、公知のものを用いることができ、特に制限されるものではない。例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラドデシルチウラムジスルフィド、テトラオクチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛等のジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤;ジアルキルジチオリン酸亜鉛等が挙げられる。
[0069]
 前記架橋剤についても、特に制限はされない。例えば、硫黄、ビスマレイミド化合物等が挙げられる。
 前記ビスマレイミド化合物の種類については、例えば、N,N’-o-フェニレンビスマレイミド、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、N,N’-p-フェニレンビスマレイミド、N,N’-(4,4’-ジフェニルメタン)ビスマレイミド、2,2-ビス-[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタンなどを例示することができる。本発明では、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド及びN,N’-(4,4’-ジフェニルメタン)ビスマレイミド等を好適に用いることができる。
[0070]
 前記架橋促進助剤については、例えば、亜鉛華(ZnO)や脂肪酸等が挙げられる。脂肪酸としては、飽和若しくは不飽和、直鎖状若しくは分岐状のいずれの脂肪酸であってもよく、脂肪酸の炭素数も特に制限されないが、例えば炭素数1~30、好ましくは15~30の脂肪酸、より具体的にはシクロヘキサン酸(シクロヘキサンカルボン酸)、側鎖を有するアルキルシクロペンタン等のナフテン酸;ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸(ネオデカン酸等の分岐状カルボン酸を含む)、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)等の飽和脂肪酸;メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸;ロジン、トール油酸、アビエチン酸等の樹脂酸などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明においては、亜鉛華及びステアリン酸を好適に用いることができる。
[0071]
 前記シランカップリング剤については、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-[エトキシビス(3,6,9,12,15-ペンタオキサオクタコサン-1-イルオキシ)シリル]-1-プロパンチオール(エボニック・デグッサ社製の商品名「Si363」)等が挙げられる。なお、これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
[0072]
 また、本発明のゴム組成物は、優れた低ロス性及び耐摩耗性を実現する観点から、軟化剤をさらに含むことが好ましい。前記軟化剤としては、例えば、ナフテン系ベースオイル、パラフィン系ベースオイル、アロマ系ベースオイル等が挙げられる。ここで、前記軟化剤の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対し、2~30質量部配合することが好ましい。前記軟化剤の含有量がゴム成分100質量部に対して30質量部を超える場合、軟化剤がゴム製品の表面に滲み出るおそれや、耐摩耗性が低下したりするおそれがある。
 さらに、上述した軟化剤の中でも、ナフテン系ベースオイル又はパラフィン系ベースオイルを用いることが好ましく、ナフテン系ベースオイルを用いることが最も好ましい。アロマオイルは、芳香族成分が多いため、芳香族化合物である当該薬品との親和性が高く、ポリマーとの反応をより阻害するため好ましくないためである。一方で、ナフテン系ベースオイルやパラフィン系ベースオイルは、ポリマー中に拡散し反応することを助ける効果があり、流動点が低いオイルの方がよくポリマー中に拡散するためである。
 なお、前記ナフテン系ベースオイル、前記パラフィン系ベースオイル、前記アロマ系ベースオイルという分類については、CA値、CP値、CN値により決定される。例えば、前記ナフテン系ベースオイル前記分類されるのは、TDAE、SRAE、RAE、Black Oil等である。また、前記パラフィン系ベースオイルとして分類されるのは、スピンドルオイルヤパラフィンオイルである。
 さらにまた、前記ナフテン系ベースオイルと前記ナフテン系アスファルトを混合した、A/O Mix(三共油化工業株式会社)等の混合油でもより好ましい効果が得られる。
 これらの潤滑油を配合するタイミングについては特に限定はされず、例えば、前記ゴム成分の製造の段階で油展させてもよいし、ゴム組成物を混錬する際に、添加させてもよい。
[0073]
 なお、本発明のゴム組成物の製造方法は、特に限定はされない。例えば、上述したゴム成分と、ガラス転移温度(Tg)が0℃よりも高い樹脂、ガラス転移温度(Tg)が-50℃より低い低温可塑剤及び充填材とを、公知の方法で、配合し、混錬することで得ることができる。
[0074]
<タイヤ>
 本発明のタイヤは、上述した本発明のゴム組成物を用いてなることを特徴とする。本発明のゴム組成物をタイヤ材料として含むことで、ウェットグリップ性能を低下させることなく、優れた低ロス性及びスノーグリップ性能を実現できる。
 前記ゴム組成物を適用する部位については、タイヤの中でもトレッドに用いることが好ましい。
 なお、本発明のタイヤは、上述した本発明のゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いる以外特に制限は無く、常法に従って製造することができる。なお、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
実施例
[0075]
 以下に、製造例、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の製造例、実施例に何ら限定されるものではない。
[0076]
(実施例1~12、比較例1~5)
 次に、表1に示す配合1~3のうちのいずれかに従って、サンプルのゴム組成物を調製する。なお、各配合成分の配合量については、ゴム成分100質量部に対する量(質量部)である。また、各サンプルにおける、高Tg樹脂及び低温可塑剤の種類及び含有量(ゴム成分100質量部に対する量(質量部))については、表2に示す。
 調製した各サンプルのゴム組成物をトレッドゴムとして用いて、各評価基準となるタイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を作製する(タイヤについては、JATMA規格に定める適用リムに装着し、規定内圧の条件下でタイヤ・リム組立体とする。)。
 各サンプルのゴム組成物を用いた評価基準のタイヤについて、下記の方法で、転がり抵抗、ウェットグリップ性能、スノーグリップ性能について評価を予測した。
[0077]
(1)転がり抵抗
 各評価基準のタイヤを、タイヤのビード幅に対応した幅のリムに装着して、タイヤ・リム組立体とした後、回転ドラムにより80km/hrの速度で回転させ、荷重を4.41kNとして、転がり抵抗を測定する。なお、測定した転がり抵抗値については、逆数を算出する。
 予測評価結果は、比較例1のサンプルのゴム組成物を用いたタイヤの転がり抵抗の逆数を100とした場合の指数として、表2に示す。この指数値が大きいほど、転がり抵抗が小さく、低ロス性に優れることを示す。
[0078]
(2)ウェットグリップ性能(鉄板湿潤路面での制動性能)
 排気量2000ccの乗用車に、上記評価基準のタイヤ4本を装着し、該乗用車をテストコースの鉄板湿潤路面評価路で走行させ、時速40 km/hrの時点でブレーキを踏んでタイヤをロックさせ、停止するまでの距離を測定する。
 予測評価結果は、測定した距離の逆数を算出し、比較例1のサンプルのゴム組成物を用いたタイヤの数値を100とした場合の指数として、表2に示す。指数値が大きい程、鉄板湿潤路面での性能(ウェットグリップ性能)に優れることを示す。
[0079]
(3)スノーグリップ性能(氷上制動性能)
 前記試験用のタイヤを、排気量1600ccクラスの国産乗用車に4本を装着し、氷温-1℃の氷上制動性能を確認する。
 予測評価結果は、比較例1のタイヤを基準とし、
氷上性能=(比較例1の制動距離/その他の例の制動距離)×100
として、指数表示し、表2に示す。指数値については、数値が大きい程、氷上性能が優れていることを示す。
[0080]
[表1]


[0081]
※1 以下の条件で製造した変性スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、Tg:-60℃
 乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3-ブタジエンのシクロヘキサン溶液及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3-ブタジエン67.5gおよびスチレン7.5gになるように加え、2,2-ジテトラヒドロフリルプロパン0.6mmolを加え、0.8mmolのn-ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行う。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、変性剤としてN,N-ビス(トリメチルシリル)-3-[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルアミンを0.72mmol添加し、50℃で30分間変性反応を行う。その後、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液2mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性SBRを得る。
※2 東海カーボン(株)製「シースト 7HM」
※3 東ソーシリカ(株)製、「ニプシールVN3」
※4 ビス(3-エトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、Evonik社製 「Si75」(登録商標)
※5 マイクロクリスタリンワックス、日本精蝋(株)製「オゾエース0701」
※6 N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、大内新興化学工業(株)製「ノクラック6C」
※7 2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、精工化学(株)製「ノンフレックス RD」
※8 1,3-ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業(株)製「ノクセラー D」
※9 ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業(株)製「ノクセラー DM」
※10 N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、三新化学工業(株)製「サンセラー CM-G」
[0082]
[表2]


[0083]
*21 C 系樹脂: エクソンモービルケミカル社製「ECR1102」
    C 系樹脂: JXTGエネルギー株式会社製「日石ネオポリマー140」 
    C ~C 系樹脂:日本ゼオン株式会社 製「クレイトンG100B」
[0084]
 表1の予測結果から、タイヤのトレッドに、各実施例のゴム組成物を用いた場合には、各比較例のゴム組成物を用いた場合と比較して、転がり抵抗、ウェットグリップ性能及びスノーグリップ性能のいずれの項目でも、同等以上の結果を示すことが予測される。

産業上の利用可能性

[0085]
 本発明によれば、ウェットグリップ性能を低下させることなく、低ロス性及びスノーグリップ性能に優れたゴム組成物を提供することができる。さらに、本発明によれば、ウェットグリップ性能を低下させることなく、低ロス性及びスノーグリップ性能に優れたタイヤを提供することができる。

請求の範囲

[請求項1]
 天然ゴムを50質量%以上及びスチレン量が1~20質量%の変性スチレンブタジエンゴムを含有するゴム成分と、ガラス転移温度(Tg)が0℃よりも高い樹脂と、ガラス転移温度(Tg)が-50℃より低い低温可塑剤と、を含み、
 前記低温可塑剤及び前記樹脂の合計含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上50質量部未満であることを特徴とする、ゴム組成物。
[請求項2]
 前記樹脂が、C 系樹脂、C ~C 系樹脂、C 系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン-芳香族化合物系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂及びアルキルフェノール系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム組成物。
[請求項3]
 前記樹脂の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、3質量部以上50質量部未満であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
[請求項4]
 前記低温可塑剤が、オレイン酸エステル、トリオクチルホスフェート、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル及びピロメリット酸エステルからなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
[請求項5]
 前記低温可塑剤の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、1~30質量部であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
[請求項6]
 前記ゴム組成物が、シリカをさらに含有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のゴム組成物。
[請求項7]
 前記変性スチレンブタジエンゴムが、変性剤としてN,N-ビス(トリメチルシリル)-3-[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルアミンを用いて変性されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のゴム組成物。
[請求項8]
 前記ゴム成分における変性スチレンブタジエンゴムの含有量が、1~40質量%であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のゴム組成物。
[請求項9]
 請求項1~8のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いたことを特徴とする、タイヤ。