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1. (WO2019039399) リチウムイオン二次電池用負極およびこれを含むリチウムイオン二次電池
Document

明 細 書

発明の名称 リチウムイオン二次電池用負極およびこれを含むリチウムイオン二次電池

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006   0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082  

実施例

0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110  

産業上の利用可能性

0111  

符号の説明

0112  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : リチウムイオン二次電池用負極およびこれを含むリチウムイオン二次電池

技術分野

[0001]
 本発明は、リチウムイオン二次電池用負極、および、これを含むリチウムイオン二次電池等に関する。

背景技術

[0002]
 リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高い、自己放電が小さい、長期信頼性に優れている等の利点により、ノート型パソコンや携帯電話などにおいて実用化が進められている。さらに近年では、電子機器の高機能化に加え、電気自動車やハイブリッド車等のモータ駆動の車両の市場の拡大、家庭用及び産業用蓄電システムの開発の加速により、サイクル特性や保存特性等の電池特性に優れ、かつ、容量やエネルギー密度をさらに向上した、高性能のリチウムイオン二次電池の開発が求められている。
[0003]
 高容量のリチウムイオン二次電池を与える負極活物質として、シリコン、スズ、それらを含む合金および金属酸化物等の金属系の活物質が注目を集めている。しかしながら、これらの金属系の負極活物質は、高容量を与える一方で、リチウムイオンが吸蔵放出される際の活物質の膨張収縮が大きい。膨張収縮の体積変化によって、充放電を繰り返すと負極活物質粒子が崩壊して、新たな活性面が露出する。この活性面が電解液の溶媒を分解し、電池のサイクル特性を低減させてしまうという問題があった。リチウムイオン二次電池の電池特性を改良するために、様々な検討が行われている。例えば、特許文献1にはシリコン酸化物を含む負極活物質とアルギン酸塩等のバインダとを含む電極が記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 国際公開第2015/141231号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 特許文献1に記載の電極よりさらに高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池が求められている。しかしながら、シリコンはリチウムの吸蔵と放出に伴う体積変化が大きいことから、負極中のシリコンの含有量が大きいと充放電のサイクル特性を低下させてしまうという問題が依然としてあり、さらなる改善が求められていた。

課題を解決するための手段

[0006]
 本実施形態の一態様は以下の事項に関する。
[0007]
 負極活物質および負極結着剤を含む負極合剤層と、負極集電体とを含み、
 前記負極活物質は、シリコンを含む合金(Si合金)を含み、
 前記Si合金は、結晶性を有し、そのメジアン径(D50粒径)は1.2μm以下であり、
 負極合剤層の重量に対する負極結着剤の含有量が、12重量%以上50重量%以下である、リチウムイオン二次電池用負極。

発明の効果

[0008]
 本実施形態によれば、エネルギー密度が高く、かつ、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の断面図である。
[図2] 本発明の一実施形態に係る積層ラミネート型の二次電池の構造を示す模式的断面図である。
[図3] フィルム外装電池の基本的構造を示す分解斜視図である。
[図4] 図3の電池の断面を模式的に示す断面図である。
[図5] 実施例13、比較例1、比較例2の充放電サイクル数と容量維持率との関係を示す図である。

発明を実施するための形態

[0010]
 以下、本実施形態の負極およびこれを含むリチウムイオン二次電池(単に「二次電池」とも記載する)について、構成ごとに詳細を説明する。なお、本明細書において「サイクル特性」とは、充放電を繰り返した後の容量維持率等の特性のことを意味するものとする。
[0011]
 <負極>
 負極は、負極集電体上に、負極活物質を含む負極合剤層が形成された構成とすることができる。本実施形態の負極は、例えば、金属箔等で形成される負極集電体と、負極集電体の片面又は両面に形成された負極合剤層とを有する。負極合剤層は負極結着剤によって負極集電体を覆うように形成される。負極集電体は、負極端子と接続する延長部を有するように構成され、この延長部には負極合剤層は形成されない。ここで、本明細書において、「負極合剤層」とは、負極の構成要素のうち、負極集電体を除く部分のことをいい、負極活物質および負極結着剤を含み、必要に応じて導電助剤等の添加剤等を含んでもよい。また、負極活物質は、リチウムを吸蔵放出し得る物質である。本明細書において、例えば結着剤など、リチウムを吸蔵放出しない物質は、負極活物質には含まれない。
[0012]
 本実施形態の一態様のリチウム二次電池用負極は、
 負極活物質および負極結着剤を含む負極合剤層と、負極集電体とを含み、
 該負極活物質は、Si合金を含み、
 該Si合金は、結晶性を有し、そのメジアン径(D50粒径)は1.2μm以下であり、
 負極合剤層の総重量に対する負極結着剤の含有量が、12重量%以上50重量%以下である。
[0013]
 (負極活物質)
 本実施形態において、負極活物質は、シリコンを含む合金(「Si合金」または「シリコン合金」とも記載する)を含む。シリコンを含む合金は、シリコンと、シリコン以外の金属(非シリコン金属)との合金であればよいが、例えば、シリコンと、Li、B、Al、Ti、Fe、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La、NiおよびPからなる群より選択される少なくとも一種との合金が好ましく、シリコンと、Li、B、Ti、Fe、Ni、AlおよびPからなる群より選択される少なくとも一種との合金がより好ましい。シリコンと非シリコン金属との合金中の非シリコン金属の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.1~5質量%であるのが好ましい。シリコンと非シリコン金属との合金の製造方法としては、例えば、単体シリコンと非シリコン金属を混合および溶融する方法、単体シリコンの表面に非シリコン金属を蒸着等により被覆する方法が挙げられる。
[0014]
 Si合金は、結晶性を有するのが好ましい。Si合金が結晶性を有することにより、放電容量を高くできる。Si合金が結晶性であることは、粉末XRD解析によって確認することができる。粉末状態ではなく、電極中のシリコン粒子であっても、電子線を当てることによる電子線回折解析によって、結晶性を確認することができる。
[0015]
 Si合金の粒子の結晶性が高いと、活物質容量や充放電効率が大きくなる傾向にある。一方、結晶性が低いと、リチウムイオン二次電池のサイクル特性が向上する場合がある。ただし、非晶質状態になると、充電状態における負極の結晶相が複数になる場合があり、負極電位のバラツキが大きくなる。結晶性は、FWHM(Full Width Half Maximum)を用いたシェラーの式(Scherrer equation)による計算から判断することが出来る。結晶性となるおよその結晶子サイズとしては、特に限定されないが、好ましくは、50nm以上500nm以下であり、より好ましくは70nm以上200nm以下である。
[0016]
 Si合金のメジアン径(D50粒径)は、1.2μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.7μm以下がさらに好ましく、0.6μm以下がよりさらに好ましく、0.5μm以下がよりさらに好ましい。Si合金のメジアン径の下限は特に限定されないが、0.05μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましい。結晶性シリコンのメジアン径が1.2μm以下であることにより、リチウムイオン二次電池の充放電において、Si合金の粒子ごとの体積の膨張収縮を小さくすることができ、結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する劣化がおきにくくなる。これにより、リチウムイオン二次電池の容量維持率等のサイクル特性が向上する。また、シリコン合金のメジアン径が大きすぎると粒界界面が多くなるため、粒子内不均一反応が増えること以外にも副反応生成物の偏析などが多く確認されるようになってしまう。なお、本発明において、メジアン径(D50)は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定による体積基準粒径分布によるものである。
[0017]
 メジアン径が1.2μm以下のシリコン合金は、化学的合成法により調製してもよく、粗大ケイ素化合物(例えば、10~100μm程度のシリコン合金)を粉砕することにより得てもよい。粉砕は、慣用の方法、例えば、ボールミル、ハンマーミルなどの慣用の粉砕機又は微粉末化手段が利用できる。
[0018]
 本実施形態の負極は、結晶性を有し、かつ、メジアン径が1.2μm以下のシリコン合金を含むのが好ましく、このようなシリコン合金を、本明細書において、「Si合金(a)」とも記載する。負極がSi合金(a)を含むことにより、高容量で、かつ、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を構成することができる。
[0019]
 Si合金(a)の比表面積(CS)は、好ましくは1m /cm 以上、より好ましくは5m /cm 以上、さらに好ましくは10m /cm 以上である。また、Si合金(a)の比表面積(CS)は、好ましくは300m /cm 以下である。ここで、CS(Calculated Specific Surfaces Area)は、粒子を球と仮定した時の比表面積(単位:m /cm )を意味する。
[0020]
 Si合金(a)は、その表面の一部または全部が酸化シリコンで被覆されていてもよい。Si合金(a)は、1種を単独で含んでもよいし2種以上を併用してもよい。
[0021]
 負極活物質の全重量に対するSi合金(a)の含有量は、65重量%以上であるのが好ましく、80重量%以上であるのがより好ましく、90重量%以上であるのがさらに好ましく、93重量%以上であるのがよりさらに好ましく、100重量%であってもよい。Si合金(a)を65重量%以上含むことにより、高い負極容量を得られる。メジアン径の小さいシリコン合金の含有量が多いと、シリコン合金の凝集が発生しやすくなり、一部のシリコン合金が充放電に寄与しなくなり、サイクル特性が低下する場合がある。しかしながら、本発明者らは、メジアン径が1.2μm以下の小さいSi合金(a)を負極活物質中65重量%以上用いる場合でも、負極結着剤の含有量を12重量%以上、好ましくは15重量%以上とすることで、サイクル特性に優れる二次電池とすることができることを見出した。
[0022]
 本実施形態の一態様として、負極活物質は、上記Si合金(a)に加えて、黒鉛(「副材」とも記載する)を含んでもよい。負極活物質中の黒鉛の種類は、特に限定はされないが、例えば、天然黒鉛および人造黒鉛が挙げられ、これらのうち2種以上を含んでもよい。黒鉛の形状は、例えば、球状、塊状等であってもよい。黒鉛は、電気伝導性が高く、金属からなる集電体との接着性および電圧平坦性が優れている。また、黒鉛を含むことにより、リチウムイオン二次電池の充放電時におけるSi合金の膨張および収縮の影響を緩和して、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を改善することができる場合がある。
[0023]
 黒鉛のメジアン径(D50)は、特に限定されないが、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上であり、また、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。
[0024]
 黒鉛の比表面積は、特に限定されないが、例えば、BET比表面積が0.5~9m /gであることが好ましく、0.8~5m /gであることがより好ましい。
[0025]
 黒鉛粒子の結晶構造はリチウムイオンの吸蔵、放出が可能であれば特に限定されない。例えば、面間隔d(002)は、好ましくは0.3354~0.34nm程度、より好ましくは0.3354~0.338nm程度であってもよい。
[0026]
 黒鉛粒子のラマン分光による黒鉛のラマンバンドとしては、面内振動モードに対応するGバンド(1580~1600cm -1付近)と、面内の欠陥に由来したDバンド(1360cm -1付近)が観測される。これらのピーク強度をそれぞれI 及びI とすると、ピーク強度比I /I が高いほど黒鉛化度が高いことを意味する。本実施形態に用いる黒鉛粒子のラマン分光特性は、特に限定されないが、例えば、I /I が2以上、11以下であるのが好ましい。
[0027]
 負極活物質の総重量に対する黒鉛の含有量は、特に限定されないが、好ましくは2重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、また、好ましくは35重量%以下であり、より好ましくは25重量%以下であり、さらに好ましくは15重量%以下であり、0重量%であってもよい。
[0028]
 負極活物質は、本願発明の効果が得られる範囲で上記以外のその他の負極活物質を含んでもよい。その他の負極活物質として、例えば、構成元素としてシリコンを含む材料(ただし、結晶性でメジアン径が1.2μm以下のシリコン合金を除く。以下、「その他のケイ素材料」とも呼ぶ。)を含んでもよく、その他のケイ素材料として、金属シリコン(シリコン単体)、組成式SiO (0<x≦2)で表されるシリコン酸化物などが挙げられる。その他のケイ素材料のメジアン径は、特に限定されないが、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.2μm以上8μm以下がより好ましい。
[0029]
 本実施形態の一態様においては、その他のケイ素材料として、シリコン酸化物を含むのが好ましい。シリコン酸化物を含むと、例えば特許第3982230号にあるように、負極における局所的応力集中を緩和することができる。シリコン酸化物の含有量は、負極活物質の総重量に対して、数ppm程度であってもよいが、0.2重量%以上であるのが好ましく、5重量%以下であるのが好ましく、2重量%以下であるのがより好ましく、0重量%であってもよい。シリコン酸化物のメジアン径は、特に限定されないが、例えば、0.5~9μm程度であるのが好ましい。粒径が小さすぎると、電解液などとの反応性が高くなり、寿命特性が低下する場合がある。粒径が大きすぎると、Li吸蔵放出時に粒子の割れが発生しやすくなり、寿命が低下する場合がある。
[0030]
 その他の負極活物質として、本願発明の効果が得られる範囲で、Si合金(a)以外のシリコン合金、すなわちメジアン径が1.2μm超えのシリコン合金または非晶質のシリコン合金を含んでもよいが、これらの含有量は負極活物質中、5重量%以下であるのが好ましく、3重量%以下であるのがより好ましく、0重量%であってもよい。
[0031]
 その他の負極活物質として、本願発明の効果を損なわない範囲で黒鉛以外の他の炭素材料を含んでもよい。炭素材料としては非晶質炭素、グラフェン、ダイヤモンド状炭素、またはこれらの複合物等が挙げられるが、これらは負極活物質中5重量%以下であるのが好ましく、0重量%であってもよい。
[0032]
 その他の負極活物質として、シリコン以外の金属、金属酸化物も挙げられる。金属としては、例えば、Li、Al、Ti、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La、またはこれらうちの2種以上の合金等が挙げられる。また、これらの金属又は合金は1種以上の非金属元素を含んでもよい。金属酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化リチウム、またはこれらの複合物等が挙げられる。また、金属酸化物に、窒素、ホウ素および硫黄の中から選ばれる一種または2種以上の元素を、例えば0.1~5質量%添加してもよい。こうすることで、金属酸化物の電気伝導性を向上させることができる場合がある。
[0033]
 負極合剤層中の負極活物質の含有量は45重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、55重量%以上がさらに好ましく、また、88重量%以下が好ましく、80%以下がより好ましい。
[0034]
 負極活物質は一種を単独で含んでも、二種以上を含んでもよい。
[0035]
(負極結着剤)
 負極結着剤は、特に限定されないが、例えば、ポリアクリル酸(「PAA」とも記載する)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル等を用いることができ、一種を単独で用いても二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤を組み合わせて使用することもできる。これらのうち、結着性に優れるという観点から、SBRとCMCの組合せ、ポリアクリル酸およびポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、ポリアクリル酸を含むことがより好ましい。
[0036]
 負極結着剤の含有量は、負極合剤層の総重量に対し、12重量%以上が好ましく、15重量%以上がより好ましく、20重量%以上がさらに好ましく、25重量%以上がさらに好ましく、30重量%以上がさらに好ましく、35重量%以上がよりさらに好ましく、40重量%以上が特に好ましく、また、50重量%以下が好ましく、45重量%以下がより好ましい。本実施形態の一態様においては、負極活物質として、結晶性を有しメジアン径が1.2μm以下のSi合金(a)を用いるが、小粒径のSi合金(a)の含有量が大きい(例えば、負極活物質中のSi合金の含有量が65重量%以上である。)と、通常、粉落ちが増えて、二次電池のサイクル特性が低下しやすいという問題がある。しかしながら、負極結着剤の含有量が12重量%以上、好ましくは15重量%以上であると、Si合金の粉落ちを抑制できるため、二次電池のサイクル特性の低下を抑制することができる。一方、負極結着剤の含有量が50重量%以下であると、負極のエネルギー密度の低下を抑制することができる。
[0037]
 以下、本実施形態の好ましい一態様として、負極結着剤としてのポリアクリル酸(PAA)について詳説するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[0038]
 ポリアクリル酸は、下記式(11)で表される(メタ)アクリル酸単量体単位を含む。なお、本明細書において、用語「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
[0039]
[化1]


(式(11)中、R は、水素原子又はメチル基である。)
[0040]
 式(11)で表される単量体単位におけるカルボン酸は、カルボン酸金属塩などのカルボン酸塩であってよい。金属は好ましくは一価金属である。一価金属としては、アルカリ金属(例えば、Na、Li、K、Rb、Cs、Fr等)、及び、貴金属(例えば、Ag、Au、Cu等)等が挙げられ、NaおよびKが好ましく、Naがより好ましい。ポリアクリル酸が、少なくとも一部の単量体単位にカルボン酸塩を含むことにより、電極合剤層の構成材料との密着性をさらに向上させることができる場合がある。
[0041]
 ポリアクリル酸は、その他の単量体単位を含んでいてもよい。ポリアクリル酸が、(メタ)アクリル酸単量体単位以外の単量体単位をさらに含むことで、電極合剤層と集電体との剥離強度を改善できる場合がある。その他の単量体単位としては、例えば、クロトン酸、ペンテン酸等のモノカルボン酸化合物、イタコン酸、マレイン酸等のジカルボン酸化合物、ビニルスルホン酸等のスルホン酸化合物、ビニルホスホン酸等のホスホン酸化合物等のエチレン性不飽和基を有する酸;スチレンスルホン酸、スチレンカルボン酸等の酸性基を有する芳香族オレフィン;(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリロニトリル;エチレン、プロピレン、ブタジエン等の脂肪族オレフィン;スチレン等の芳香族オレフィン等のモノマーに由来する単量体単位が挙げられる。また、その他の単量体単位は、二次電池の結着剤として使用される公知のポリマーを構成する単量体単位であってもよい。これらの単量体単位においても、存在する場合、酸が塩となっていてもよい。
[0042]
 さらに、ポリアクリル酸は、主鎖および側鎖の少なくとも1つの水素原子が、ハロゲン(フッ素、塩素、ホウ素、ヨウ素等)等で置換されていてもよい。
[0043]
 なお、ポリアクリル酸が2種以上の単量体単位を含む共重合体である場合、共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等、及びこれらの組合せのいずれであってもよい。
[0044]
 ポリアクリル酸の分子量は、特に限定されるものではないが、重量平均分子量が1000以上であることが好ましく、1万~500万の範囲であることがより好ましく、30万~35万の範囲であることが特に好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であると、活物質や導電助剤の良好な分散性を維持でき、かつ、スラリー粘度の過度の上昇を抑制できる。
[0045]
 一般に、大きな比表面積の活物質には多くの量の結着剤を必要とするが、ポリアクリル酸は少量であっても高い結着性を有する。このため、負極結着剤としてポリアクリル酸を使用した場合、大きな比表面積の活物質を使用する電極であっても、結着剤による抵抗の上昇が少ない。本実施形態の負極においては小粒径のSi合金の負極活物質を含むことにより比表面積が大きくなるため、負極結着剤としてポリアクリル酸を用いるのが好ましい。さらに、ポリアクリル酸を含む結着剤は、電池の不可逆容量を低減し、電池を高容量化でき、サイクル特性を向上できる点においても優れている。
[0046]
 負極は、インピーダンスを低下させる目的で、導電助剤を含んでもよい。導電助剤としては、鱗片状、線維状の炭素質微粒子等、例えば、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相法炭素繊維等が挙げられる。導電助剤の含有量は、負極合剤層中、0重量%であってもよいが、例えば0.5~5重量%であるのが好ましい。
[0047]
 負極集電体としては、電気化学的な安定性から、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、クロム、銅、銀、鉄、マンガン、モリブデン、チタン、ニオブおよびそれらの合金が好ましい。その形状としては、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。これらのうち、特に、ステンレス箔、電解銅箔、ならびに、圧延銅箔およびクラッド集電箔等の高強度集電箔が好ましい。クラッド集電箔は、銅を含むのが好ましい。
[0048]
 本実施形態において、負極合剤層の質量あたりの容量(リチウム金属を対極にして0V~1Vにおける初回のリチウム吸蔵量)が、1500mAh/g以上であるのが好ましく、また、特に限定されないが4200mAg/以下であるのが好ましい。本明細書において、負極合剤層の容量は、負極活物質の理論容量に基づいて算出される。
[0049]
 本実施形態の負極の負極合剤層の密度は、特に限定されないが、0.4g/cm 以上であるのが好ましく、1g/cm 以上であるのがより好ましく、1.2g/cm 以上であるのがさらに好ましく、また、1.4g/cm 以下であるのが好ましく、1.35g/cm 未満であるのがより好ましい。負極合剤層の密度が上記範囲内にあると、エネルギー密度が高く、かつサイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池を得ることができる。負極の負極合剤層の密度を上記範囲内にするために、負極の製造工程において、ロールプレス等して圧縮成形する工程を行わなくてよい場合もあり、この場合は負極の製造コストを削減できる。
[0050]
 負極は、通常の方法に従って作製することができる。一態様として、まず、負極活物質と、負極結着剤と、任意成分としての導電助剤等とを溶剤に混合しスラリーを調整する。好ましくは、段階的に、各工程において、V型混合器(Vブレンダ―)やメカニカルミリング等により混合して、スラリーを調製する。続いて、調製したスラリーを負極集電体に塗布し、乾燥することで、負極集電体上に負極合剤層が形成された負極を作製し、その後必要に応じてロールプレス等で圧縮成形を行う。塗布は、ドクターブレード法、ダイコーター法、リバースコーター法等によって実施できる。
[0051]
 <正極>
 正極は、正極集電体上に、正極活物質を含む正極合剤層が形成された構成とすることができる。本実施形態の正極は、例えば、金属箔等で形成される正極集電体と、正極集電体の片面又は両面に形成された正極合剤層とを有する。正極合剤層は正極結着剤によって正極集電体を覆うように形成される。正極集電体は、正極端子と接続する延長部を有するように構成され、この延長部には正極合剤層は形成されない。ここで、本明細書において、「正極合剤層」とは、正極の構成要素のうち、正極集電体を除く部分のことをいい、正極活物質および正極結着剤を含み、必要に応じて導電助剤等の添加剤等を含んでもよい。また、正極活物質は、リチウムを吸蔵放出し得る物質である。本明細書において、例えば結着剤など、リチウムを吸蔵放出しない物質は、正極活物質には含まれない。
[0052]
 正極活物質としては、リチウムを吸蔵放出し得る材料であれば特に限定されず、いくつかの観点から選ぶことができる。高エネルギー密度化の観点からは、高容量の化合物を含むことが好ましい。高容量の化合物としては、Li過剰系層状正極、ニッケル酸リチウム(LiNiO )またはニッケル酸リチウムのNiの一部を他の金属元素で置換したリチウムニッケル複合酸化物が挙げられ、下式(A1)で表されるLi過剰系層状正極、下式(A2)で表される層状リチウムニッケル複合酸化物が好ましい。
[0053]
 Li(Li 1-x-zMn )O    (A1)
(式(A1)中、0.1≦x<0.3、0.4≦z≦0.8、MはNi、Co、Fe、Ti、Al及びMgのうちの少なくとも一種である。);
 Li Ni (1-x)   (A2)
(式(A2)中、0≦x<1、0<y≦1、MはLi、Co、Al、Mn、Fe、Ti及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。)
[0054]
 高容量の観点では、Niの含有量が高いこと、即ち式(A2)において、xが0.5未満が好ましく、さらに0.4以下が好ましい。このような化合物としては、例えば、Li αNi βCo γMn δ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、α+β+γ+δ=2、β≧0.7、γ≦0.2)、Li αNi βCo γAl δ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、α+β+γ+δ=2、β≧0.6好ましくはβ≧0.7、γ≦0.2)などが挙げられ、特に、LiNi βCo γMn δ(0.75≦β≦0.85、0.05≦γ≦0.15、0.10≦δ≦0.20、β+γ+δ=1)が挙げられる。より具体的には、例えば、LiNi 0.8Co 0.05Mn 0.15、LiNi 0.8Co 0.1Mn 0.1、LiNi 0.8Co 0.15Al 0.05、LiNi 0.8Co 0.1Al 0.1等を好ましく用いることができる。
[0055]
 また、熱安定性の観点では、Niの含有量が0.5を超えないこと、即ち、式(A2)において、xが0.5以上であることも好ましい。また特定の遷移金属が半数を超えないことも好ましい。このような化合物としては、Li αNi βCo γMn δ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、α+β+γ+δ=2、0.2≦β≦0.5、0.1≦γ≦0.4、0.1≦δ≦0.4)が挙げられる。より具体的には、LiNi 0.4Co 0.3Mn 0.3(NCM433と略記)、LiNi 1/3Co 1/3Mn 1/3、LiNi 0.5Co 0.2Mn 0.3(NCM523と略記)、LiNi 0.5Co 0.3Mn 0.2(NCM532と略記)など(但し、これらの化合物においてそれぞれの遷移金属の含有量が10%程度変動したものも含む)を挙げることができる。
[0056]
 また、式(A2)で表される化合物を2種以上混合して使用してもよく、例えば、NCM532またはNCM523とNCM433とを9:1~1:9の範囲(典型的な例として、2:1)で混合して使用することも好ましい。さらに、式(A2)においてNiの含有量が高い材料(xが0.4以下)と、Niの含有量が0.5を超えない材料(xが0.5以上、例えばNCM433)とを混合することで、高容量で熱安定性の高い電池を構成することもできる。
[0057]
 上記以外にも正極活物質として、例えば、LiMnO 、Li Mn (0<x<2)、Li MnO 、Li Mn 1.5Ni 0.5(0<x<2)等の層状構造またはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム;LiCoO またはこれらの遷移金属の一部を他の金属で置き換えたもの;これらのリチウム遷移金属酸化物において化学量論組成よりもLiを過剰にしたもの;及びLiFePO などのオリビン構造を有するもの等が挙げられる。さらに、これらの金属酸化物をAl、Fe、P、Ti、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La等により一部置換した材料も使用することができる。上記に記載した正極活物質はいずれも、1種を単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
[0058]
 正極結着剤としては、特に限定されないが、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリル酸等を用いることができる。また、スチレンブタジエンゴム(SBR)等を用いてもよい。SBR系エマルジョンのような水系の結着剤を用いる場合、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤を用いることもできる。上記の正極結着剤は、2種以上を混合して用いることもできる。使用する正極結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、正極活物質100質量部に対して、2~10質量部が好ましい。
[0059]
 正極活物質を含む塗工層には、インピーダンスを低下させる目的で、導電助剤を添加してもよい。導電助剤としては、鱗片状、線維状の炭素質微粒子等、例えば、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、気相法炭素繊維等が挙げられる。
[0060]
 正極集電体としては、電気化学的な安定性から、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、鉄、クロム、マンガン、モリブデン、チタン、ニオブおよびそれらの合金が好ましい。その形状としては、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。特に、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄・ニッケル・クロム・モリブデン系のステンレスを用いた集電体が好ましい。
[0061]
 正極は、正極集電体上に、正極活物質と正極結着剤を含む正極合剤層を形成することで作製することができる。正極合剤層の形成方法としては、ドクターブレード法、ダイコーター法、CVD法、スパッタリング法等が挙げられる。予め正極合剤層を形成した後に、蒸着、スパッタ等の方法でアルミニウム、ニッケルまたはそれらの合金の薄膜を形成して、正極集電体としてもよい。
[0062]
 本実施形態においては、セパレータを介して対向配置された負極と正極とにおいて(負極の単位面積あたりの容量/正極の単位面積あたりの容量)で表される容量比が、1.1超えであるのが好ましく、2以下であるのが好ましい場合がある。容量比が上記範囲内にあることで、サイクル特性に優れた二次電池を得ることができる。
[0063]
 <電解液>
 電解液(非水電解液)としては、特に限定されないが、例えば支持塩を非水溶媒に溶解した溶液を用いることができる。
[0064]
 電解液の溶媒としては、電池の動作電位において安定な非水溶媒が好ましい。非水溶媒の例としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ブチレンカーボネート(BC)等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類;プロピレンカーボネート誘導体、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル等のエーテル類等の非プロトン性有機溶媒、及び、これらの化合物の水素原子の少なくとも一部をフッ素原子で置換したフッ素化非プロトン性有機溶媒等が挙げられる。
[0065]
 これらの中でも、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(MEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の環状または鎖状カーボネート類を含むことが好ましい。
[0066]
 非水溶媒は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
[0067]
(支持塩)
 支持塩は、Liを含有すること以外は特に限定されない。支持塩としては、例えば、LiPF 、LiAsF 、LiAlCl 、LiClO 、LiBF 、LiSbF 、LiCF SO 、LiC SO 、LiC(CF SO 、LiB 10Cl 10、および下記式(b):
  LiN(SO 2n+1(nは0以上の整数) 式(b)
で表される化合物が挙げられる。
[0068]
 式(b)で表される化合物としては、例えば、LiN(FSO (略称:LiFSI)、LiN(CF SO 、LiN(C SO が挙げられる。また、支持塩としては、他にも、低級脂肪族カルボン酸リチウム、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウム、LiBr、LiI、LiSCN、LiCl等が挙げられる。これらのうち、耐酸化性、耐還元性、安定性、溶解のしやすさなどからLiPF 、LiFSIが好ましく、低コストの観点からLiPF が好ましい。支持塩は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。支持塩の含有量(複数種の支持塩を含む場合はそれらの合計含有量)は、非水溶媒1Lに対して、好ましくは0.4mol以上1.5mol以下、より好ましくは0.5mol以上1.2mol以下である。
[0069]
 電解液は、さらにその他の添加剤を含んでもよく、特に限定はされないが、例えば4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン(FEC)等のフッ素化環状カーボネートが挙げられる。添加剤を添加することにより、電池のサイクル特性をさらに改善することができる場合がある。これは、これらの添加剤がリチウムイオン二次電池の充放電時に分解して電極活物質の表面に皮膜を形成し、電解液や支持塩の分解を抑制するためと推定される。
[0070]
 電解液中のこれら添加剤の含有量(複数種含む場合はその合計の含有量)は、特に限定されず0重量%でもよいが、電解液の総重量に対し、0.01重量%以上10重量%以下であるのが好ましい。含有量が0.01重量%以上であることにより、十分な皮膜効果を得ることができる。また、含有量が10重量%以下であると電解液の粘性の上昇、およびそれに伴う抵抗の増加を抑制することができる。
[0071]
 <セパレータ>
 セパレータは、正極および負極の導通を抑制し、荷電体の透過を阻害せず、電解液に対して耐久性を有するものであれば、いずれであってもよい。具体的な材質としては、ポリプロピレンおよびポリエチレン等のポリオレフィン、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデンならびにポリメタフェニレンイソフタルアミド、ポリパラフェニレンテレフタルアミドおよびコポリパラフェニレン-3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミド等の芳香族ポリアミド等(アラミド)が挙げられる。これらは、多孔質フィルム、織物、不織布等として用いることができる。
[0072]
 <絶縁層>
 正極、負極、およびセパレータの少なくとも1つの表面に絶縁層を形成してもよい。絶縁層の形成方法としては、ドクターブレード法、ディップコーティング法、ダイコーター法、CVD法、スパッタリング法等が挙げられる。正極、負極、セパレータの形成と同時に絶縁層を形成することもできる。絶縁層を形成する物質としては、酸化アルミニウムやチタン酸バリウムなどとSBRやPVDFとの混合物などが挙げられる。
[0073]
 <リチウムイオン二次電池の構造>
 図1に、本実施形態に係る二次電池の一例として、ラミネートタイプの二次電池を示す。正極活物質を含む正極合剤層1と正極集電体3とからなる正極と、負極合剤層2と負極集電体4とからなる負極との間に、セパレータ5が挟まれている。正極集電体3は正極リード端子8と接続され、負極集電体4は負極リード端子7と接続されている。外装体には外装ラミネート6が用いられ、二次電池内部は電解液で満たされている。なお、電極素子(「電池要素」又は「電極積層体」ともいう)は、図2に示すように、複数の正極及び複数の負極がセパレータを介して積層された構成とすることも好ましい。
[0074]
 ラミネート型に用いるラミネート樹脂フィルムとしては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン箔等が挙げられる。金属ラミネート樹脂フィルムの熱溶着部の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性高分子材料が挙げられる。また、金属ラミネート樹脂層や金属箔層はそれぞれ1層に限定されるものではなく、2層以上であってもよい。
[0075]
 さらに、別の態様としては、図3および図4のような構造の二次電池としてもよい。この二次電池は、電池要素20と、それを電解質と一緒に収容するフィルム外装体10と、正極タブ51および負極タブ52(以下、これらを単に「電極タブ」ともいう)とを備えている。
[0076]
 電池要素20は、図4に示すように、複数の正極30と複数の負極40とがセパレータ25を間に挟んで交互に積層されたものである。正極30は、金属箔31の両面に電極材料32が塗布されており、負極40も、同様に、金属箔41の両面に電極材料42が塗布されている。なお、本発明は、必ずしも積層型の電池に限らず捲回型などの電池にも適用しうる。
[0077]
 図1の二次電池は電極タブが外装体の両側に引き出されたものであったが、本発明を適用しうる二次電池は図3のように電極タブが外装体の片側に引き出された構成であってもよい。詳細な図示は省略するが、正極および負極の金属箔は、それぞれ、外周の一部に延長部を有している。負極金属箔の延長部は一つに集められて負極タブ52と接続され、正極金属箔の延長部は一つに集められて正極タブ51と接続される(図4参照)。このように延長部どうし積層方向に1つに集めた部分は「集電部」などとも呼ばれる。
[0078]
 フィルム外装体10は、この例では、2枚のフィルム10-1、10-2で構成されている。フィルム10-1、10-2どうしは電池要素20の周辺部で互いに熱融着されて密閉される。図3では、このように密閉されたフィルム外装体10の1つの短辺から、正極タブ51および負極タブ52が同じ方向に引き出されている。
[0079]
 当然ながら、異なる2辺から電極タブがそれぞれ引き出されていてもよい。また、フィルムの構成に関し、図3、図4では、一方のフィルム10-1にカップ部が形成されるとともに他方のフィルム10-2にはカップ部が形成されていない例が示されているが、この他にも、両方のフィルムにカップ部を形成する構成(不図示)や、両方ともカップ部を形成しない構成(不図示)なども採用しうる。
[0080]
 <リチウムイオン二次電池の製造方法>
 本実施形態によるリチウムイオン二次電池は、通常の方法に従って作製することができる。積層ラミネート型のリチウムイオン二次電池を例に、リチウムイオン二次電池の製造方法の一例を説明する。まず、乾燥空気または不活性雰囲気において、正極および負極を、セパレータを介して対向配置して、電極素子を形成する。次に、この電極素子を外装体(容器)に収容し、電解液を注入して電極に電解液を含浸させる。その後、外装体の開口部を封止してリチウムイオン二次電池を完成する。
[0081]
 <組電池>
 本実施形態に係るリチウムイオン二次電池を複数組み合わせて組電池とすることができる。組電池は、例えば、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池を2つ以上用い、直列、並列又はその両方で接続した構成とすることができる。直列および/または並列接続することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。組電池が備えるリチウムイオン二次電池の個数については、電池容量や出力に応じて適宜設定することができる。
[0082]
 <車両>
 本実施形態に係るリチウムイオン二次電池またはその組電池は、車両に用いることができる。本実施形態に係る車両としては、ハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バス等の商用車、軽自動車等)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)が挙げられる。なお、本実施形態に係る車両は自動車に限定されるわけではなく、他の車両、例えば電車等の移動体の各種電源として用いることもできる。
実施例
[0083]
 以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[0084]
 以下の実施例で用いた化合物の略号について説明する。
SBR:スチレンブタジエンラバー
PAA:ポリアクリル酸
CB:カーボンブラック
鱗片:鱗片状黒鉛
KB:ケッチェンブラック
CNT:カーボンナノチューブ
EC:エチレンカーボネート
DEC:ジエチルカーボネート
MEC:メチルエチルカーボネート
FEC:フルオロエチレンカーボネート(4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン)
SUS箔:ステンレス箔
高強度Cu箔:高強度銅クラッド箔
[0085]
<実施例1>
 本実施例の電池の作製について説明する。
[0086]
(負極)
 負極活物質としての結晶性シリコン合金(シリコンとホウ素との合金、重量比は、シリコン:ホウ素=99:1、メジアン径1μm、結晶子サイズ100nm)と、負極結着剤としてのSBRとを重量比85:15となるように計量し、それらを蒸留水にて混練し、負極合剤層用のスラリーとした。調製した負極スラリーを、集電体としての厚み10μmのSUS箔に片面1mg/cm の目付け量にて塗布、乾燥し、切断し、さらにプレスし、直径12mmの円形に打ち抜いて負極を得た。負極合剤層の密度は、1.3g/ccとした。この負極を用いた場合の1C電流値は、約3mAhである。
[0087]
 負極合剤層の容量は以下のようにして算出できる。電極を直径12mmの円形に打ち抜き、上記負極活物質を1mg/cm で片面に塗工したときの初回充電容量は以下のとおりである。負極活物質容量が例えば3000mAh/gで負極合剤層中の負極活物質の含有量が85重量%のとき、バインダを除いた負極容量(すなわち負極合剤層の容量)は、3000(mAh/g)×85/100=2550(mAh/g)である。よって、初回充電容量は2550(mAh/g)×1mg/cm ×(12mm×0.5) ×π=2.9(mAh)となる。
[0088]
(電池の作製)
 得られた負極を用いて、金属リチウムを対極としたハーフセルを作製した。電解液には、1.0mol/lのLiPF を含むECとDECとMECとの混合溶媒(体積比:EC/DEC/MEC=3/5/2)を用いた。
[0089]
(電池の評価)
 温度25℃において、充電として、0.5C電流値で0VまでCCCV充電を行い、放電として0.5C電流値で1VまでCC放電を行った。充放電を50回繰り返し、50サイクル後の容量維持率を、下記式:
{(50サイクル後の放電容量)/(1サイクル後の放電容量)}×100(単位:%)
により算出した。結果を表1に示す。
[0090]
<実施例2~21、比較例1~5>
 負極および電解液の組成を表1および表2に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、その評価を行った。表1および表2のとおり、負極活物質については、Si合金中のドープ元素の種類とSi合金のメジアン径、SiO粒子(メジアン径:5μm)の含有量、副材としての黒鉛の粒径とその含有量を変更した。Si合金はいずれも結晶性を有するものである。また、負極結着剤の種類とその含有量、負極導電助剤の種類とその含有量、負極集電体の種類、電解液の添加剤を、表1および表2のとおりに変えた。炭素副材としての黒鉛は、粒径(メジアン径)が10μmまたは5μmの球状の人造黒鉛粒子(d(002)値:0.336nm、G/D比≧9)を用いた。
[0091]
 表1および表2中、負極活物質を構成する各材料の含有量は、負極活物質の総重量に対する含有量を表し、「負極合剤層中の負極活物質の含有量」は、負極合剤層の総重量(すなわち負極活物質と負極結着剤と負極導電助剤の合計重量)に対する負極活物質の重量割合を表す。負極結着剤の含有量および負極導電助剤の含有量は、負極合剤層の総重量に対する、各材料の含有量を表す。
[0092]
 各実施例および比較例の電池の負極の作製において、SiO粒子、副材としての黒鉛、および/または導電助剤を含む場合は、これらを、シリコン合金と負極結着剤と一緒に、表1および表2に記載の組成になるように混合して、負極合剤層用のスラリーを調製した。電解液が添加剤のFECを含む場合は、上記実施例1の電解液中FECが10重量%になるようにFECを添加した。
[0093]
 表1および表2に、各実施例、比較例で作製した電池の評価結果を示す。また、図5に実施例13、比較例1および比較例2の電池それぞれについて、充放電サイクル数に対する容量維持率の関係を示す。
[0094]
[表1]


[0095]
[表2]


[0096]
 比較例1~3においては、Si合金のメジアン径が大きいため、容量維持率が低かった。これは、Si合金のメジアン径が大きいとリチウムの吸蔵と放出に伴う体積変化量が大きく、負極活物質内での反応が不均一となり結晶粒界、欠陥等の問題がおきやすく容量維持率が低下したものと推察される。比較例4は負極結着剤の量が多すぎたため、電極合剤中の電子伝導性が不足したことにより、容量維持率が低下したと推察される。比較例2および5は、負極結着剤の含有量が少なく、負極活物質間の接着が不十分で粉落ち等しやすいため、容量維持率が低下したものと推察される。一方、実施例1~21では、Si合金のメジアン径が小さく、かつ、負極結着剤の含有量が表1に示す範囲内であることにより、比較例1~5に比べて容量維持率は顕著に高かった。また、表1に示すように負極を構成する材料の種類やそれらの含有量の変更、電解液中への添加剤の添加等を行っても比較例に比べて良好な結果が得られた。
[0097]
 上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、本出願の開示事項は以下の付記に限定されない。
[0098]
(付記1)
 負極活物質および負極結着剤を含む負極合剤層と、負極集電体とを含み、
 前記負極活物質は、シリコンを含む合金(Si合金)を含み、
 前記Si合金は、結晶性を有し、そのメジアン径(D50粒径)は1.2μm以下であり、
 負極合剤層の重量に対する負極結着剤の含有量が、12重量%以上50重量%以下である、リチウムイオン二次電池用負極。
[0099]
(付記2)
 前記負極合剤層の容量が、1500mAh/g以上である、付記1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[0100]
(付記3)
 負極活物質中の前記Si合金の含有量が65重量%以上である、付記1または2に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[0101]
(付記4)
 前記負極結着剤が、ポリアクリル酸およびスチレンブタジエンゴムから選ばれる少なくとも一種である、付記1~3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[0102]
(付記5)
 前記負極集電体がステンレス箔、圧延銅箔、またはクラッド集電箔である、付記1~4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[0103]
(付記6)
 前記負極合剤層の密度が1.35g/cc未満である付記1~5のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[0104]
(付記7)
 付記1~6のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極を備えたリチウムイオン二次電池。
[0105]
(付記8)
 さらに電解液を含み、
 前記電解液が、4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン(FEC)を含む、付記7に記載のリチウムイオン二次電池。
[0106]
(付記9)
 付記7または8に記載のリチウムイオン二次電池を含む組電池。
[0107]
(付記10)
 付記7または8に記載のリチウムイオン二次電池を備えた車両。
[0108]
(付記11)
 付記1~6のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極と、正極とを、セパレータを介して積層して電極素子を製造する工程と、
 前記電極素子と電解液とを外装体内に封入する工程と、
を含むリチウムイオン二次電池の製造方法。
[0109]
 この出願は、2017年8月24日に出願された日本出願特願2017-161133を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
[0110]
 以上、実施形態(および実施例)を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態(および実施例)に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。

産業上の利用可能性

[0111]
 本発明によるリチウムイオン二次電池は、例えば、電源を必要とするあらゆる産業分野、ならびに電気的エネルギーの輸送、貯蔵および供給に関する産業分野において利用することができる。具体的には、携帯電話、ノートパソコン等のモバイル機器の電源;電気自動車、ハイブリッドカー、電動バイク、電動アシスト自転車等を含む電動車両、電車、衛星、潜水艦等の移動・輸送用媒体の電源;UPS等のバックアップ電源;太陽光発電、風力発電等で発電した電力を貯める蓄電設備;等に、利用することができる。

符号の説明

[0112]
1  正極合剤層
2  負極合剤層
3  正極集電体
4  負極集電体
5  セパレータ
6  外装ラミネート
7  負極リード端子
8  正極リード端子
10 フィルム外装体
20 電池要素
25 セパレータ
30 正極
40 負極

請求の範囲

[請求項1]
 負極活物質および負極結着剤を含む負極合剤層と、負極集電体とを含み、
 前記負極活物質は、シリコンを含む合金(Si合金)を含み、
 前記Si合金は、結晶性を有し、そのメジアン径(D50粒径)は1.2μm以下であり、
 負極合剤層の重量に対する負極結着剤の含有量が、12重量%以上50重量%以下である、リチウムイオン二次電池用負極。
[請求項2]
 前記負極合剤層の容量が、1500mAh/g以上である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[請求項3]
 負極活物質中の前記Si合金の含有量が65重量%以上である、請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[請求項4]
 前記負極結着剤が、ポリアクリル酸およびスチレンブタジエンゴムから選ばれる少なくとも一種である、請求項1~3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[請求項5]
 前記負極集電体がステンレス箔、圧延銅箔、またはクラッド集電箔である、請求項1~4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[請求項6]
 前記負極合剤層の密度が1.35g/cc未満である請求項1~5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
[請求項7]
 請求項1~6のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極を備えたリチウムイオン二次電池。
[請求項8]
 さらに電解液を含み、
 前記電解液が、4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン(FEC)を含む、請求項7に記載のリチウムイオン二次電池。
[請求項9]
 請求項7または8に記載のリチウムイオン二次電池を含む組電池。
[請求項10]
 請求項7または8に記載のリチウムイオン二次電池を備えた車両。
[請求項11]
 請求項1~6のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極と、正極とを、セパレータを介して積層して電極素子を製造する工程と、
 前記電極素子と電解液とを外装体内に封入する工程と、
を含むリチウムイオン二次電池の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]