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1. (WO2019039174) ホスト材料、膜および有機発光素子
Document

明 細 書

発明の名称 ホスト材料、膜および有機発光素子

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

非特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081  

実施例

0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094  

産業上の利用可能性

0095  

符号の説明

0096  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

明 細 書

発明の名称 : ホスト材料、膜および有機発光素子

技術分野

[0001]
 本発明は、有機発光素子の発光層の材料に用いうるホスト材料に関する。

背景技術

[0002]
 有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などの有機発光素子の発光効率を高める研究が盛んに行われている。特に、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層の材料について精力的に研究が進められた結果、発光層に用いうる種々の有機化合物が開発されている。ここで、有機発光素子の発光層は、一般に、発光を担当するドーパント材料と、電子および正孔のキャリア輸送や励起エネルギーの授受の機能を担うホスト材料からなり、ホスト材料中にドーパントが均一分散されて構成される。このため、有機発光素子のデバイス特性には、発光材料の特性もさることながら、ホスト材料のキャリア移動度等の特性も大きく影響する。そのような点から、ホスト材料としては、下記式で表されるmCBPなどのキャリア輸送能を有する様々な有機化合物が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
[0003]
[化1]


先行技術文献

非特許文献

[0004]
非特許文献1 : 時任静士、安達千波矢、村田英幸共著「有機ELディスプレイ」(オーム社)

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、これまでに提案されているホスト材料は、キャリア移動度が低く、有機発光素子の発光効率を高いレベルにまで引き上げられていないという課題があった。また、これまでのホスト材料は、化学構造が比較的複雑で合成に手間がかかるため、どうしても高価になるという不都合も生じていた。
[0006]
 そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、キャリア移動度が高く、安価なホスト材料を提供することを目的として鋭意検討を進めた。また、安価で発光効率が高い有機発光素子を実現することを目指して鋭意検討を進めた。

課題を解決するための手段

[0007]
 鋭意検討を進めた結果、本発明者らは、ペロブスカイト型化合物が高いキャリア移動度を有するとともに、励起三重項状態から励起一重項状態への逆項間交差を生じやすく、一重項励起子を効率よく生成しうるとの知見を得るに至った。そして、こうしたペロブスカイト化合物を発光層のホスト材料として用いることにより、駆動電圧が低く、発光効率が高く、動作安定性に優れた有機発光素子が提供できることを見出した。また、ペロブスカイト型化合物は、化学構造が比較的単純な有機カチオンと2価の金属イオンとハロゲンイオンからなるイオン化合物であり、後述するように簡単な工程で合成することができるため、安価なホスト材料を実現できることも見出した。本発明は、これらの知見に基づいて提案されたものであり、具体的に以下の構成を有する。
[0008]
[1] ペロブスカイト型化合物を含むホスト材料。
[2] 前記ペロブスカイト型化合物のキャリア移動度が10 -2~10 cm 2V -1s -1である、[1]に記載のホスト材料。
[3] 前記ペロブスカイト型化合物が、下記一般式(4)で表されるものである、[1]または[2]に記載のホスト材料。
   A 3BX     (4)
[一般式(4)において、A 3は有機カチオンを表し、Bは2価の金属イオンを表し、Xはハロゲンイオンを表す。3つのX同士は互いに同じであっても異なっていてもよい。]
[4] ペロブスカイト型化合物と有機発光材料を含む膜。
[5] 前記ペロブスカイト型化合物が、下記一般式(4)で表されるものである、[4]に記載の膜。
   A 3BX     (4)
[一般式(4)において、A 3は有機カチオンを表し、Bは2価の金属イオンを表し、Xはハロゲンイオンを表す。3つのX同士は互いに同じであっても異なっていてもよい。]
[6] 前記有機発光材料が、前記ペロブスカイト型化合物から移動してきたエネルギーにより発光する、[4]または[5]に記載の膜。
[7] 前記有機発光材料がクマリン骨格を有する化合物である、[4]~[6]のいずれか1項に記載の膜。
[8] 横軸に励起光強度の常用対数をとり、縦軸にフォトルミネッセンス量子収率をとった片対数グラフの傾きが正である、[4]~[7]のいずれか1項に記載の膜。
[9] ペロブスカイト型化合物と有機発光材料を含む発光層を有する有機発光素子。
[10] 前記発光層が[4]~[8]のいずれか1項に記載の膜である、[9]に記載の有機発光素子。
[11] 有機エレクトロルミネッセンス素子である、[9]または[10]に記載の有機発光素子。

発明の効果

[0009]
 本発明のホスト材料は、キャリア移動度が高く、安価である。本発明のホスト材料と有機発光材料を用いて発光層を構成することにより、駆動電圧が低く、発光効率が高く、動作安定性に優れた有機発光素子を実現することができ、また、有機発光素子の材料コストを削減することができる。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成例を示す概略断面図である。
[図2] 実施例1、比較例1および比較例2で形成した各薄膜の発光スペクトルである。
[図3] 実施例1、比較例1および比較例2で形成した各薄膜の発光の過渡減衰曲線である。
[図4] 実施例1および比較例1で形成した各薄膜のPL量子収率の励起光強度依存性を示すグラフである。
[図5] ペロブスカイト型化合物をホスト材料とする薄膜とmCBPをホスト材料とする薄膜の、低励起光強度(10 -4mW/cm )でのPL量子収率のクマリン153濃度依存性を示すグラフである。
[図6] 正孔輸送デバイスおよび電子輸送デバイスの電流密度-電圧特性を示すグラフである。
[図7] 実施例2および比較例3で作製した各有機エレクトロルミネッセンス素子の発光スペクトルである。
[図8] 実施例2で作製した有機エレクトロルミネッセンス素子について、電流密度を変えて測定した発光スペクトルである。
[図9] 実施例2および比較例3で作製した各有機エレクトロルミネッセンス素子の電流密度-電圧特性を示すグラフである。
[図10] 実施例2および比較例3で作製した各有機エレクトロルミネッセンス素子の輝度-電圧特性を示すグラフである。
[図11] 実施例2および比較例3で作製した各有機エレクトロルミネッセンス素子の外部量子効率-電流密度特性を示すグラフである。
[図12] 実施例2および比較例3で作製した各有機エレクトロルミネッセンス素子の、連続駆動時の発光強度の経時変化を示すグラフである。
[図13] 実施例3および実施例4で作製した各有機エレクトロルミネッセンス素子の発光スペクトルである。
[図14] 実施例3および実施例4で作製した各有機エレクトロルミネッセンス素子の電流密度-電圧特性を示すグラフである。
[図15] 実施例3および実施例4で作製した各有機エレクトロルミネッセンス素子の外部量子効率-電流密度特性を示すグラフである。

発明を実施するための形態

[0011]
 以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書において「主成分」というときは、その構成成分のうち、最も含有量が大きい成分のことをいう。また、本発明に用いられる化合物の分子内に存在する水素原子の同位体種は特に限定されず、例えば分子内の水素原子がすべて Hであってもよいし、一部または全部が H[重水素(デューテリウム)D]であってもよい。
[0012]
<ホスト材料>
 本発明のホスト材料は、ペロブスカイト型化合物を含むことを特徴とする。
 本発明における「ペロブスカイト型化合物」とは、有機カチオンと2価の金属イオンとハロゲンイオンからなるイオン化合物であり、ペロブスカイト型結晶構造を形成しうるものである。ホスト材料は、ペロブスカイト型化合物のみから構成されていてもよいし、他の成分を含んでいてもよいが、ペロブスカイト型化合物を主材料として構成されていることが好ましい。ここで、「ペロブスカイト型化合物を主材料として構成されている」とは、ホスト材料の51重量%以上がペロブスカイト型化合物で構成されていることを言う。
 ペロブスカイト型化合物は、バンドギャップが比較的広いためにキャリアが拡散し易い傾向があり、高いキャリア移動度を有する。そのため、ペロブスカイト型化合物を発光層のホスト材料として用いることにより、駆動電圧が低く、発光効率(電流効率)が高い有機発光素子を実現することができる。
 また、ペロブスカイト型化合物は、最低励起一重項エネルギー準位S と最低励起三重項エネルギー準位T が極めて近く、励起三重項状態へ遷移したとき、励起三重項状態から励起一重項状態への逆項間交差を生じ易い。そのため、ペロブスカイト型化合物を発光層のホスト材料として用いることにより、ホスト材料において効率よく一重項励起子が生成されて、その励起一重項エネルギーが有機発光素子の発光に利用され、より高い発光効率を得ることができる。
 さらに、ペロブスカイト型化合物は、有機化合物からなるホスト材料に比べて、簡単な手法で合成することができるために安価である。そのため、ペロブスカイト型化合物を発光層のホスト材料として用いることにより、有機発光素子の材料コストを削減することが可能である。
 また、さらに、ペロブスカイト型化合物は種類によって吸収発光スペクトルが異なるため、適切な種類を選択することによって、所望の波長領域に吸収発光を有するホスト材料として用いることが可能であることや、ペロブスカイト型化合物は透明性が高いため、それと組み合わせる発光材料からの発光を低下させる懸念も小さいという利点も有し、ホスト材料として高い有用性を有する。
 また、本発明では、ペロブスカイト型化合物を発光材料としてではなく、ホスト材料として用いることにより、有機発光素子の連続駆動時の動作が安定化するという効果が得られる。これは以下の理由によるものと推測される。
 すなわち、本発明と異なり、ペロブスカイト型化合物を発光材料に用いた場合、連続駆動時に発光強度が急速に低下する現象が見られる。これは、高電界下において、ペロブスカイト型化合物が不安定な励起状態になることが起因していると推測される。これに対して、本発明では、ペロブスカイト型化合物をホスト材料として用いるため、ペロブスカイト型化合物が不安定な励起状態になったとき、その励起エネルギーが発光材料に移動してペロブスカイト化合物の不安定な励起状態が直ちに解消される。これにより、有機発光素子の動作安定性が改善されると推測される。
[0013]
[ペロブスカイト型化合物]
 本発明のホスト材料が含むペロブスカイト型化合物は、有機カチオンと2価の金属イオンとハロゲンイオンからなるイオン化合物であり、ペロブスカイト型結晶構造を形成しうるものである。本発明で用いるペロブスカイト型化合物は、各イオンがペロブスカイト型構造を形成して3次元方向に規則的に配置する3次元ペロブスカイトであってもよいし、ペロブスカイト型構造の八面体部分に相当する無機骨格が2次元配列してなる無機層と、配向した有機カチオンからなる有機層とが交互に積層した層状構造を形成する2次元ペロブスカイトであってもよい。このペロブスカイト型化合物としては、下記一般式(1)~(4)で表される化合物を挙げることができる。このうち、一般式(1)~(3)で表される化合物は2次元ペロブスカイト構造を形成しうる化合物であり、一般式(4)で表される化合物は3次元ペロブスカイト構造を形成しうる化合物である。
[0014]
(一般式(1)で表される化合物)
   A BX     (1)
 一般式(1)において、Aは有機カチオンを表し、Bは2価の金属イオンを表し、Xはハロゲンイオンを表す。2つのA同士および4つのX同士は互いに同じであっても異なっていてもよい。
 一般式(1)で表される化合物は、ペロブスカイト型構造の八面体部分に相当する無機骨格BX が2次元配列してなる無機層と、配向した有機カチオンA が2次元配列してなる有機層とが交互に積層した層状構造を形成しうる。ここで、無機骨格BX は、ハロゲンイオンXを頂点とする八面体の中心に二価の金属イオンBが配置した構造を有し、隣り合う八面体同士で頂点共有する。有機カチオンAは、カチオン性基を無機層側に向けて配向する。そして、各八面体の上下それぞれ4つのカチオン性基を立方晶の頂点とし、各八面体の頂点を立方晶の面心としてペロブスカイト型構造が構成される。
[0015]
 Aで表される有機カチオンは、下記一般式(5)で表されるアンモニウムであることが好ましい。
   R      (5)
 一般式(5)において、Rは水素原子または置換基を表し、4つのRの少なくとも1つは、炭素数が2以上の置換基である。4つのRのうちの、炭素数が2以上の置換基の数は、1または2つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。また、アンモニウムを構成する4つのRは、その1つが炭素数2以上の置換基であって、残りは水素原子であることが好ましい。Rのうちの2つ以上が置換基であるとき、複数の置換基同士は互いに同じであっても異なっていてもよい。炭素数が2以上の置換基および他の置換基としては、特に限定されないが、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができ、これらの置換基は、さらにアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン等で置換されていてもよい。炭素数が2以上の置換基の炭素数は、アルキル基では2~30であることが好ましく、2~10であることがより好ましく、2~5であることがさらに好ましい。アリール基では、6~20であることが好ましく、6~18であることがより好ましく、8~10であることがさらに好ましい。ヘテロアリール基では、5~19であることが好ましく、5~17であることがより好ましく、7~9であることがさらに好ましい。ヘテロアリール基が有するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を挙げることができる。有機層の厚さは、Rで表される置換基の長軸長(例えば、アルキル基の鎖長)に応じて制御され、これにより、この化合物により構成される機能層の特性を制御することができる。
[0016]
 また、Aで表される有機カチオンは、アルキレン基および芳香環の少なくとも一方を有することが好ましく、アルキレン基と芳香環の両方を有することが好ましく、アルキレン基と芳香環が連結した構造を有することがより好ましく、下記一般式(5a)で表されるアンモニウムであることがさらに好ましい。
   Ar(CH n1NH     (5a)
 一般式(5a)において、Arは芳香環を表す。n1は1~20の整数である。
 有機カチオンが有する芳香環は、芳香族炭化水素であってもよいし、芳香族ヘテロ環であってもよいが、芳香族炭化水素であることが好ましい。芳香族ヘテロ環のヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を挙げることができる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン環および複数のベンゼン環が縮合した構造を有する縮合多環系炭化水素であることが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、クリセン環、テトラセン環、ペリレン環であることが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環であることが好ましく、ベンゼン環であることがさらに好ましい。芳香族ヘテロ環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、チオフェン環、フラン環、カルバゾール環、トリアジン環であることが好ましく、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環であることがより好ましく、ピリジン環であることがさらに好ましい。有機カチオンが有する芳香環は、例えばアルキル基、アリール基、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)等の置換基を有していてもよく、また、芳香環または芳香環に結合する置換基に存在する水素原子は重水素原子であってもよい。
 一般式(5a)のn1は1~20の整数であり、2~10の整数であることが好ましい。
 Aで表される有機カチオンとしては、アンモニウムの他に、ホルムアミジニウム、セシウム等も用いることができる。
[0017]
 Bで表される2価の金属イオンとしては、Cu 2+,Ni 2+,Mn 2+,Fe 2+、Co 2+、Pd 2+、Ge 2+、Sn 2+、Pb 2+、Eu 2+等を挙げることができ、Sn 2+、Pb 2+であることが好ましく、Sn 2+であることがより好ましい。
 Xで表されるハロゲンイオンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各イオンを挙げることができる。3つのXが表すハロゲンイオンは、全て同じであってもよいし、2または3種類のハロゲンイオンの組み合わせであってもよい。好ましいのは、3つのXが全て同じハロゲンイオンの場合であり、3つのXが全てヨウ素イオンであることがより好ましい。
 一般式(1)で表されるペロブスカイト型化合物の好ましい具体例として、[CH (CH n2NH )] SnI (n2=2~17)、(C NH SnI 、(CH (CH n3(CH )CHNH SnI [n3=5~8]、(C NH SnI 、(C 10CH NH SnI 及び(C NH SnBr 等の錫系ペロブスカイト、[CH (CH n2NH )] PbI (n2=2~17)、(C NH PbI 、(CH (CH n3(CH )CHNH PbI [n3=5~8]、(C NH PbI 、(C 10CH NH PbI 及び(C NH PbBr 等の鉛系ペロブスカイトを挙げることができる。ただし、本発明において用いることができるペロブスカイト型化合物は、これらの化合物によって限定的に解釈されることはない。
[0018]
(一般式(2)で表される化合物)
   A 2 1 n-13n+1    (2)
 一般式(2)のA 2は、A 1よりも炭素数が大きい有機カチオンを表す。一般式(2)のBおよびXは、一般式(1)のBおよびXとそれぞれ同義であり、一般式(2)のA 2は一般式(1)のAと同義である。一般式(2)のA 2、B、Xの好ましい範囲と具体例については、一般式(1)のA、B、Xの好ましい範囲と具体例をそれぞれ参照することができる。ここで、2つのA 2同士および複数のX同士は、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよい。A 1およびBがそれぞれ複数存在するとき、A 1同士およびB同士は、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよい。
[0019]
 A 1で表される有機カチオンは、A 2よりも炭素数が小さい有機カチオンであり、下記一般式(6)で表されるアンモニウムであることが好ましい。
 一般式(6)
   R 11
 一般式(6)において、R 11は水素原子または置換基を表し、4つのR 11の少なくとも1つは置換基である。4つのR 11のうちの置換基の数は、1または2つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。すなわち、アンモニウムを構成する4つのR 11は、その1つが置換基であって、残りは水素原子であることが好ましい。R 11のうちの2つ以上が置換基であるとき、複数の置換基同士は互いに同じであっても異なっていてもよい。置換基としては、特に限定されないが、アルキル基やアリール基(フェニル基、ナフチル基等)を挙げることができ、これらの置換基は、さらにアルキル基やアリール基等で置換されていてもよい。置換基の炭素数は、アルキル基では1~30であることが好ましく、1~20であることがより好ましく、1~10であることがさらに好ましい。アリール基では、6~30であることが好ましく、6~20であることがより好ましく、6~10であることがさらに好ましい。
 A 1およびA 2で表される有機カチオンとしては、アンモニウムの他に、ホルムアミジニウム、セシウム等も用いることができる。
[0020]
 一般式(2)で表される化合物は、八面体をなす無機骨格B 3n+1により構成された無機層と有機カチオンA 2により構成された有機層とが交互に積層した層状構造を形成する。nは各無機層における八面体の積層数に対応し、1~100の整数である。nが2以上であるとき、各八面体間の立方晶の頂点に対応する位置に有機カチオンA 1が配置する。
[0021]
 一般式(2)で表される有機無機ペロブスカイト型化合物の好ましい具体例として、下記一般式(2a)で表される化合物を挙げることができる。
  (C NH (CH NH n-1Sn 3n+1   (2a)
 一般式(2a)において、nは1~100の整数であり、好ましくは1~5の整数である。具体的には、(C NH SnI 、(C NH (CH NH )Sn 、(C NH (CH NH Sn 10、(C NH (CH NH Sn 13、(C NH (CH NH Sn 16を挙げることができる。また、一般式(2)で表される有機無機ペロブスカイト型化合物の好ましい具体例として、(CH (CH NH PbI (n=2~17)、(C NH PbI 、(CH (CH (CH )CHNH PbI [n=5~8]、(C NH PbI 、(C 10CH NH PbI 及び(C NH PbBr 等も挙げることができる。ただし、本発明において用いることができるペロブスカイト型化合物は、これらの化合物によって限定的に解釈されることはない。
[0022]
(一般式(3)で表される化合物)
   A 2 1 3m+2    (3)
 一般式(3)のA 2は、A 1よりも炭素数が大きい有機カチオンを表す。一般式(3)のBおよびXは、一般式(1)のBおよびXとそれぞれ同義である。一般式(3)のB、Xの好ましい範囲と具体例については、一般式(1)のB、Xの好ましい範囲と具体例をそれぞれ参照することができる。一般式(3)のA 1は一般式(2)のA 1と同義である。一般式(3)のA 1の好ましい範囲と具体例については、一般式(2)のA 1の好ましい範囲と具体例を参照することができる。
 ここで、2つのA 2同士および複数のX同士は、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよい。A 1およびBがそれぞれ複数存在するとき、A 1同士およびB同士は、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよい。
[0023]
 一般式(3)で表される化合物は、無機骨格B 3m+2により構成された無機層と有機カチオンA 2により構成された有機層とが交互に積層した層状構造を形成する。mは各無機層における積層数に対応し、1~100の整数である。
[0024]
 A 2で表される有機カチオンは、A 1よりも炭素数が大きい有機カチオンであり、上記一般式(6)で表されるアンモニウムであることが好ましく、下記一般式(7)で表されるアンモニウムであることがより好ましい。
 一般式(7)
   (R 12 C=NR 13
 一般式(7)において、R 12およびR 13は、各々独立に水素原子または置換基を表し、各R 12は同一であっても異なっていてもよく、また、各R 13は同一であっても異なっていてもよい。置換基としては、特に限定されないが、アルキル基、アリール基、アミノ基、ハロゲン原子等を挙げることができ、ここでいうアルキル基、アリール基、アミノ基は、さらにアルキル基、アリール基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。置換基の炭素数は、アルキル基では1~30であることが好ましく、1~20であることがより好ましく、1~10であることがさらに好ましい。アリール基では、6~30であることが好ましく、6~20であることがより好ましく、6~10であることがさらに好ましい。有機層の厚さは、R 12で表される置換基の長軸長(例えば、アルキル基の鎖長)に応じて制御され、これにより、この混合物により構成される機能層の特性を制御することができる。R 12およびR 13の組み合わせとして、例えば、R 12としてアミノ基やハロゲン原子を選択して、R 13として水素原子やアルキル基を選択して組み合わせることができる。あるいは、R 12としてアミノ基やハロゲン原子を選択して、R 13として水素原子を選択して組み合わせることができる。
 A 2で表される有機カチオンとしては、アンモニウムの他に、ホルムアミジニウム、セシウム等も用いることができる。
[0025]
 一般式(3)で表される有機無機ペロブスカイト型化合物の好ましい具体例として、下記一般式(3a)で表される化合物を挙げることができる。
  [NH C(I)=NH (CH NH Sn 3m+2 (3a)
 一般式(3a)において、mは2~100の整数であり、好ましくは2~5の整数である。具体的には、[NH C(I)=NH (CH NH Sn 、[NH C(I)=NH (CH NH Sn 11、[NH C(I)=NH (CH NH Sn 14を挙げることができる。ただし、本発明において用いることができるペロブスカイト型化合物は、これらの化合物によって限定的に解釈されることはない。
[0026]
 一般式(1)~(3)で表される化合物が形成する無機層および有機層の合計層数は、1~100であることが好ましく、1~50であることがより好ましく、5~20であることがさらに好ましい。
[0027]
(一般式(4)で表される化合物)
   A 3BX     (4)
 一般式(4)において、A 3は有機カチオンを表す。一般式(4)のBおよびXは、一般式(1)のBおよびXとそれぞれ同義である。一般式(4)のB、Xの好ましい範囲と具体例については、一般式(1)のB、Xの好ましい範囲と具体例をそれぞれ参照することができる。さらに、一般式(4)で表される化合物のBはフッ素イオンであることも好ましく、ヨウ素イオンとフッ素イオンの組み合わせであることも好ましい。一般式(4)のA 3の好ましい範囲と具体例については、一般式(2)のA 1の好ましい範囲と具体例を参照することができる。3つのXは互いに同じであっても異なっていてもよい。
[0028]
 一般式(4)で表される化合物は、立方晶系の単位格子を有し、立方晶の各頂点に有機カチオンAが配置し、体心に金属イオンBが配置し、立方晶の各面心にハロゲンイオンXが配置した立方晶ペロブスカイト構造を形成する。ここで、金属イオンBとハロゲンイオンXの無機骨格により八面体が形成される。
[0029]
 一般式(4)で表されるペロブスカイト型化合物の好ましい具体例として、CH NH PbI 、CH NH PbCl 、CH NH PbBr 、CH NH SnI 、CH NH SnI 3-q(ただし、qは0~2の整数である)、CH NH SnCl 、CH NH SnBr 、(NH CHSnI を挙げることができ、CH NH PbI 、CH NH SnI 3-q、(NH CHSnI であることが好ましい。ただし、本発明において用いることができるペロブスカイト型化合物は、これらの化合物によって限定的に解釈されることはない。
[0030]
 以上に挙げたペロブスカイト型化合物のうち好ましいものは、2価の金属イオンとしてSn 2+、Pb 2+の少なくとも1種を含むもの、有機カチオンとしてメチルアンモニウム、ホルムアミジニウム、セシウムの少なくとも1種を含むもの、ハロゲンイオンとしてCl 、I 、F の少なくとも1種を含むものである。また、一般式(1)~一般式(4)で表される化合物の中では、一般式(4)で表される化合物が好ましく、CH NH PbCl 、CH NH SnI がより好ましく、CH NH PbCl が最も好ましい。
 また、ペロブスカイト型化合物は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合せて用いてもよい。好ましい組み合せとして、CH NH SnI 、CH NH SnI 3-q(ただし、qは0~2の整数である)のうちの2種以上の組み合わせを挙げることができる。
[0031]
[ペロブスカイト型化合物のキャリア移動度]
 本発明のホスト材料が含むペロブスカイト型化合物は、そのキャリア移動度が10 -2~10 cm -1-1であることが好ましく、10 -1~10 cm -1-1であることがより好ましく、10 -1~10 cm -1-1であることがさらに好ましい。これにより、有機発光素子の駆動電圧の低減および発光効率の向上を確実に図ることができる。
 ペロブスカイト型化合物のキャリア移動度は、以下の方法により測定することができる。
 まず、ガラス基板と、膜厚100nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極と、膜厚10nmの酸化モリブデン(MoO )からなる膜をこの順に積層した積層体を用意し、この積層体の酸化モリブデンからなる膜の上に、キャリア移動度の測定対象であるペロブスカイト型化合物の膜を1000~5000nmの厚さに形成する。このペロブスカイト型化合物の膜の上に、膜厚10nmの酸化モリブデンからなる膜と膜厚100nmのアルミニウムからなる陰極を順に積層し、正孔輸送デバイスとする。
 また、酸化モリブデンからなる膜の代わりに、陽極とペロブスカイト型化合物からなる膜の間、および、ペロブスカイト型化合物からなる膜と陰極の間に、膜厚0.5nmのセシウムからなる膜を形成すること以外は、正孔輸送デバイスの作製工程と同様にして電子輸送デバイスを作製する。
 作製した正孔輸送デバイスおよび電子輸送デバイスについて、電流密度-電圧特性を測定して両対数グラフとし、そこから取得した電流密度および印加電圧と、下記の空間電荷制限電流式を用いてペロブスカイト層の正孔移動度μ 、電子移動度μ をそれぞれ求める。
[0032]
[数1]


 式において、Jは電流密度、ε は誘電率、ε 0は真空の誘電率、μはキャリア移動度、Lは膜厚、Vは印加電圧を表す。誘電率ε には文献値である23.9を使用する。正孔移動度μ および電子移動度μ の詳細については、M. A. Lampert, P. Mark, Current injection in solids Academic, NewYork, 1970を参照することができる。
 ここで、正孔輸送デバイスで測定された電流密度および印加電圧を用いて算出されたキャリア移動度μを正孔移動度μ とし、電子輸送デバイスで測定された電流密度および印加電圧を用いて算出されたキャリ移動度μを電子移動度μ とする。
[0033]
[ペロブスカイト型化合物の光吸収特性]
 本発明のホスト材料が含むペロブスカイト型化合物は、該ホスト材料と組み合わせて用いる有機発光材料の発光波長領域に、200~750nmにおける最大吸収波長を有しないことが好ましく、200~2000nmにおける最大吸収波長を有しないことがより好ましい。これにより、有機発光素子からの光取出し効率を高くすることができる。ここで、発光材料の発光波長領域とは、380~750nmの可視光領域に存在する発光材料の極大発光波長をλ maxとしたとき、λ max±100nmの範囲の波長領域のことをいう。
[0034]
<膜>
 次に、本発明の膜について説明する。
 本発明の膜は、ペロブスカイト型化合物と有機発光材料を含むことを特徴とする。この膜は、有機発光素子の発光層として効果的に用いることができる。
 ペロブスカイト型化合物についての説明と好ましい範囲、具体例については、上記のホスト材料が含むペロブスカイト型化合物についての記載を参照することができる。
 膜に用いることができる有機発光材料の種類および具体例、有機発光材料の含有量については、後述の有機発光素子の発光層に用いられる有機発光材料についての記載を参照することができる。
 本発明の膜は、横軸に励起光強度の常用対数をとり、縦軸にフォトルミネッセンス量子収率をとった片対数グラフの傾きが正であることが好ましい。こうした膜は、高エネルギーの供給により励起子が高密度に生成した場合でも、励起子-励起子消滅が生じにくいと考えられ、励起子の励起エネルギーが効率よく発光に利用される。
[0035]
[膜の形成方法]
 本発明の膜の形成方法は特に限定されず、真空蒸着法等のドライプロセスであっても、溶液塗布法等のウェットプロセスであってもよい。ここで、溶液塗布法を用いれば、簡単な装置で短時間に成膜が行えることから、コストを抑えて大量生産しやすいという利点がある。また、真空蒸着法を用いれば、表面状態がより良好な膜を形成できるという利点がある。
[0036]
 例えば、真空蒸着法を用いてペロブスカイト型化合物A 3BX と有機発光材料からなる膜を形成するには、有機カチオンとハロゲンイオンからなる化合物A 3Xと、金属ハロゲン化物BX と、有機発光材料を異なる蒸着源から共蒸着する共蒸着法を用いることができる。また、この他の一般式で表されるペロブスカイト型化合物と有機発光材料を含む膜も、この方法を応用して、有機カチオンとハロゲンイオンからなる化合物と、金属ハロゲン化物と、有機発光材料を共蒸着することにより形成することができる。
[0037]
 また、溶液塗布法を用いてペロブスカイト型化合物A 3BX からなるペロブスカイト層を形成するには、有機カチオンとハロゲンイオンからなる化合物A 3Xと、金属ハロゲン化物BX を溶媒中で反応させてペロブスカイト型化合物を合成し、このペロブスカイト型化合物と有機発光材料を含有する塗工液を支持体表面に塗布、乾燥することで膜を形成する。この他の一般式で表されるペロブスカイト型化合物と有機発光材料を含む膜も、この方法を応用して、溶媒中でペロブスカイト型化合物を合成し、このペロブスカイト化合物と有機発光材料を含有する塗工液を支持体表面に塗布、乾燥して形成することができる。
[0038]
 塗工液の塗布方法としては、特に制限されず、グラビア塗布法、バー塗布法、印刷法、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ダイコート法等の従来公知の塗布方法を用いることができ、比較的薄い厚さの塗膜を均一に形成できることがらスピンコート法を用いることが好ましい。
[0039]
 塗工液の溶剤は、ペロブスカイト型化合物を溶解できるものであればよく、特に限定されない。具体的には、エステル類(メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテート等)、ケトン類(γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、アセトン、ジメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等)、アルコール類(メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、2-メチル-2-ブタノール、メトキシプロパノール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロパノール等)、グリコールエーテル(セロソルブ)類(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル等)、アミド系溶剤(N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等)、ニトリル系溶剤(アセトニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等)、カーボート系剤(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルム等)、炭化水素(n-ペンタン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。この他、エステル類、ケトン類、エーテル類およびアルコール類の官能基(即ち、-O-、-CO-、-COO-、-OH)のいずれかを二つ以上有するものであってもよいし、エステル類、ケトン類、エーテル類およびアルコール類の炭化水素部分における水素原子がハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されたものであってもよい。
 塗工液におけるペロブスカイト型化合物の含有量は、塗工液全量に対して1~50質量%であることが好ましく、2~30質量%であることがより好ましく、5~20質量%であることがさらに好ましい。塗工液における有機発光材料の含有量は、ペロブスカイト化合物と有機発光材料の合計量に対して、0.001質量%以上、50質量%未満であることが好ましい。
 また、支持体表面に塗布された塗工液の乾燥は、窒素等の不活性ガスで置換された雰囲気中で、自然乾燥または加熱乾燥により行うことが好ましい。
[0040]
<有機発光素子>
 次に、本発明の有機発光素子について説明する。
 本発明の有機発光素子は、ペロブスカイト型化合物と有機発光材料を含む発光層を有するものである。
 上記のように、ペロブスカイト型化合物はキャリア移動度が高いため、発光層がペロブスカイト型化合物を含むことにより、有機発光素子の駆動電圧が低減し、発光効率を向上させることができる。また、ペロブスカイト型化合物は、励起三重項状態から励起一重項状態への逆項間交差を生じ易く、一重項励起子を効率よく生成することができる。そのため、発光層がペロブスカイト化合物と有機発光材料を含むことにより、励起一重項エネルギーが有機発光材料に効率よく供給されて発光に利用されるため、より高い発光効率を得ることができる。さらに、ペロブスカイト型化合物の励起エネルギーが有機発光材料に供給されることにより、ペロブスカイト型化合物が不安定な励起状態になっても、その励起状態が直ちに解消される。これにより、有機発光素子の動作が安定化するという効果が得られる。
 さらに、また、ペロブスカイト型化合物は安価であるため、これを発光層の材料として用いることにより、有機発光素子の材料コストを削減することが可能である。
[0041]
[有機発光素子の層構成]
 本発明を適用する有機発光素子は、有機フォトルミネッセンス素子(有機PL素子)であってもよく、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)であってもよい。有機フォトルミネッセンス素子は、基板上に少なくとも発光層を形成した構造を有する。また、有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも陽極、陰極、および陽極と陰極の間に有機層を形成した構造を有し、有機層が少なくとも発光層を含むものである。本発明は、これらの有機発光素子のうち、特に有機エレクトロルミネッセンス素子に適用した場合に、従来の構成に比べて発光効率が飛躍的に向上するという効果が得られる。これは以下の理由による。
 すなわち、有機エレクトロルミネッセンス素子では、陽極および陰極からのキャリアが発光層に注入されて再結合することにより、発光層において一重項励起子と三重項励起子が25%:75%の確率で生成する。このとき、ペロブスカイト型化合物は逆項間交差を生じ易いため、発光層のキャリア再結合ゾーンのうちペロブスカイト化合物で構成された領域では、75%の確率で生成した三重項励起子が一重項励起子へ効率よく変換し、結果として25%よりも遥かに高い比率で一重項励起子が生成する。そのため、従来のホスト材料を用いる場合に比べて、有機発光材料に効率よく励起一重項エネルギーが受け渡されて発光に利用されるため、有機発光素子の発光効率を飛躍的に向上させることができる。
 上記のように、有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも陽極、陰極、および陽極と陰極の間に有機層を形成した構造を有する。有機層は、少なくとも発光層を含むものであり、発光層のみからなるものであってもよいし、発光層の他に1層以上の有機層を有するものであってもよい。そのような他の有機層として、正孔輸送層、正孔注入層、電子阻止層、正孔阻止層、電子注入層、電子輸送層、励起子阻止層などを挙げることができる。正孔輸送層は正孔注入機能を有した正孔注入輸送層でもよく、電子輸送層は電子注入機能を有した電子注入輸送層でもよい。具体的な有機エレクトロルミネッセンス素子の構造例を図1に示す。図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は電子輸送層、7は陰極を表わす。
 以下において、有機エレクトロルミネッセンス素子の各部材および各層について説明する。なお、基板と発光層の説明は有機フォトルミネッセンス素子の基板と発光層にも該当する。
[0042]
(基板)
 本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板に支持されていることが好ましい。この基板については、特に制限はなく、従来から有機エレクトロルミネッセンス素子に慣用されているものであればよく、例えば、ガラス、透明プラスチック、石英、シリコンなどからなるものを用いることができる。
[0043]
(陽極)
 有機エレクトロルミネッセンス素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが好ましく用いられる。このような電極材料の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO 、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In -ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極材料の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な材料を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10~1000nm、好ましくは10~200nmの範囲で選ばれる。
[0044]
(陰極)
 一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが用いられる。このような電極材料の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al )混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性および酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al )混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm~5μm、好ましくは50~200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
 また、陽極の説明で挙げた導電性透明材料を陰極に用いることで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
[0045]
(発光層)
 発光層は、陽極および陰極のそれぞれから注入された正孔および電子が再結合することにより励起子が生成した後、発光する層であり、少なくともペロブスカイト型化合物と有機発光材料を含む。有機発光材料は、蛍光発光材料、遅延蛍光材料、リン光発光材料のいずれであってもよいが、蛍光発光材料、遅延蛍光材料であることが好ましく、蛍光発光材料であることがより好ましい。蛍光発光材料は、励起一重項状態からの放射緩和が高い確率で起こるため、ペロブスカイト型化合物から受け取った励起一重項エネルギーを効率よく発光に利用することができる。ここで、遅延蛍光材料とは、25℃で発光を観測したとき、発光寿命が短い蛍光と、発光寿命が長い蛍光(遅延蛍光)の両方が観測されるものをいい、蛍光発光材料とは発光寿命が短い蛍光が観測されるが発光寿命が長い蛍光(遅延蛍光)は観測されないものをいう。ここで、遅延蛍光は、励起三重項状態からの逆項間交差により生じた励起一重項状態が基底状態へ緩和する際に放射される蛍光であり、外部からのエネルギー供与やキャリア再結合により直接生じた励起一重項状態からの蛍光(通常の蛍光)よりも通常遅れて観測される。
 本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子および有機フォトルミネッセンス素子が高い発光効率を発現するためには、有機発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、有機発光材料中に閉じ込めることが重要である。従って、発光層に用いるペロブスカイト型化合物は、励起一重項エネルギー、励起三重項エネルギーの少なくとも何れか一方が有機発光材料よりも高い値を有することが好ましい。その結果、有機発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、有機発光材料の分子中に閉じ込めることが可能となり、その発光効率を十分に引き出すことが可能となる。本発明の有機発光素子または有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光は発光層に含まれる有機発光材料から生じる。この発光は蛍光発光、遅延蛍光発光、燐光発光のいずれでもよく、これらの2種以上の発光を含んでいてもよい。また、発光の一部或いは部分的にペロブスカイト型化合物からの発光があってもかまわない。
 発光層における有機発光材料の含有量は、発光層の全質量に対して0.001質量%以上、50質量%未満であることが好ましい。発光層における有機発光材料の含有量は、発光層の全質量に対して0.01質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましく、1質量%以上であることがさらにより好ましく、5質量%以上であってもよい。また、発光層における有機発光材料の含有量は、発光層の全質量に対して40質量%未満であることがより好ましく、30質量%未満であることがさらに好ましく、20質量%未満であることがさらにより好ましい。
[0046]
(注入層)
 注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、正孔注入層と電子注入層があり、陽極と発光層または正孔輸送層の間、および陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。注入層は必要に応じて設けることができる。
[0047]
(阻止層)
 阻止層は、発光層中に存在する電荷(電子もしくは正孔)および/または励起子の発光層外への拡散を阻止することができる層である。電子阻止層は、発光層および正孔輸送層の間に配置されることができ、電子が正孔輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。同様に、正孔阻止層は発光層および電子輸送層の間に配置されることができ、正孔が電子輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。阻止層はまた、励起子が発光層の外側に拡散することを阻止するために用いることができる。すなわち電子阻止層、正孔阻止層はそれぞれ励起子阻止層としての機能も兼ね備えることができる。本明細書でいう電子阻止層または励起子阻止層は、一つの層で電子阻止層および励起子阻止層の機能を有する層を含む意味で使用される。
[0048]
(正孔阻止層)
 正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は電子を輸送しつつ、正孔が電子輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。正孔阻止層の材料としては、後述する電子輸送層の材料を必要に応じて用いることができる。
[0049]
(電子阻止層)
 電子阻止層とは、広い意味では正孔を輸送する機能を有する。電子阻止層は正孔を輸送しつつ、電子が正孔輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔が再結合する確率を向上させることができる。
[0050]
(励起子阻止層)
 励起子阻止層とは、発光層内で正孔と電子が再結合することにより生じた励起子が電荷輸送層に拡散することを阻止するための層であり、本層の挿入により励起子を効率的に発光層内に閉じ込めることが可能となり、素子の発光効率を向上させることができる。励起子阻止層は発光層に隣接して陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。すなわち、励起子阻止層を陽極側に有する場合、正孔輸送層と発光層の間に、発光層に隣接して該層を挿入することができ、陰極側に挿入する場合、発光層と陰極との間に、発光層に隣接して該層を挿入することができる。また、陽極と、発光層の陽極側に隣接する励起子阻止層との間には、正孔注入層や電子阻止層などを有することができ、陰極と、発光層の陰極側に隣接する励起子阻止層との間には、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層などを有することができる。阻止層を配置する場合、阻止層として用いる材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーの少なくともいずれか一方は、発光材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーよりも高いことが好ましい。
[0051]
(正孔輸送層)
 正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
 正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。使用できる公知の正孔輸送材料としては例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物およびスチリルアミン化合物を用いることが好ましく、芳香族第3級アミン化合物を用いることがより好ましい。
[0052]
(電子輸送層)
 電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
 電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる場合もある)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。使用できる電子輸送層としては例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導h体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
[0053]
 有機エレクトロルミネッセンス素子には、ペロブスカイト型化合物を発光層以外の層に用いてもよい。例えば、上記の正孔輸送層や電子輸送層などにもペロブスカイト型化合物を用いることができる。その場合、発光層に用いるペロブスカイト型化合物と、発光層以外の層に用いるペロブスカイト型化合物は、同一であっても異なっていてもよい。
 有機エレクトロルミネッセンス素子を作製するには、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する各有機層を基板上に順に製膜する。これらの層の製膜方法は特に限定されず、ドライプロセス、ウェットプロセスのどちらで作製してもよい。発光層の形成方法については、上記の[膜の形成方法]の項の内容を参照することができる。
[0054]
 以下に、有機エレクトロルミネッセンス素子に用いることができる好ましい材料を具体的に例示する。ただし、本発明において用いることができる材料は、以下の例示化合物によって限定的に解釈されることはない。また、特定の機能を有する材料として例示した化合物であっても、その他の機能を有する材料として転用することも可能である。
[0055]
 発光層で用いる有機発光材料は、発光性の有機化合物であればよく、有機金属錯体以外の有機発光材料であることが好ましく、クマリン骨格を有する発光材料であることがより好ましい。クマリン骨格を有する発光材料としては、後掲の実施例で使用しているクマリン153を好ましく用いることができ、さらに、クマリン環の7位に電子供与性置換基を有する誘導体を挙げることができる。クマリン環の7位にアミノ基を有する発光材料として、3-(2’-ベンゾチアゾリル)-7-ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3-(2’-ベンゾイミダゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、3-(2’-N-メチルベンゾイミダゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン(クマリン30)や、2,3,5,6-1H,4H-テトラヒドロ-8-トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1-gh)クマリン(クマリン153)等のクマリン系色素、ベーシックイエロー51等のクマリン色素系染料を挙げることができる。また、クマリン環の7位にヒドロキシ基を有する発光材料として、7―ヒドロキシクマリン、3-シアノ-7-ヒドロキシクマリン、7-ヒドロキシ-4-メチルクマリン、7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリン、7-ジメチルアミノシクロペンタ[c]-クマリン、1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ-8-メチル[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gH]キノリジン-10-オン、7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ-9-シアノ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gH]キノリジン-10-オン、1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ-9-カルボ-t-ブトキシ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gH]キノリジン-10-オン、7-エチルアミノ-6-メチル-4-トリフルオロメチルクマリン、1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ-9-カルボエトキシ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gH]キノリジン-10-オン、7-ジエチルアミノ-3-(1-メチルベンズイミダゾリル)クマリン、7-ジメチルアミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ-9-カルボキシ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gH]キノリジン-10-オン、1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ-9-アセチル[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gH]キノリジン-10-オン、3-(2-ベンズイミダゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン、1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ-8-トリフルオロメチル[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gH]キノリジン-10-オン、3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-ジエチルアミノクマリン、7-ジエチルアミノクマリン、7-ジエチルアミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、2,3,6,7-テトラヒドロ-9-(トリフルオロメチル)-1H,5H,11H-[1]ベンゾピラノ[6,7,8-ij]キノリジン-11-オン、7-アミノ-4-メチルクマリン、4,6-ジメチル-7-エチルアミノクマリン等を挙げることができる。
[0056]
 また、有機発光材料には、遅延蛍光材料も用いることができる。遅延蛍光材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
[0057]
[化2-1]


[化2-2]


[0058]
 好ましい遅延蛍光材料として、WO2013/154064号公報の段落0008~0048および0095~0133、WO2013/011954号公報の段落0007~0047および0073~0085、WO2013/011955号公報の段落0007~0033および0059~0066、WO2013/081088号公報の段落0008~0071および0118~0133、特開2013-256490号公報の段落0009~0046および0093~0134、特開2013-116975号公報の段落0008~0020および0038~0040、WO2013/133359号公報の段落0007~0032および0079~0084、WO2013/161437号公報の段落0008~0054および0101~0121、特開2014-9352号公報の段落0007~0041および0060~0069、特開2014-9224号公報の段落0008~0048および0067~0076に記載される一般式に包含される化合物、特に例示化合物であって、遅延蛍光を放射するものを挙げることができる。また、特開2013-253121号公報、WO2013/133359号公報、WO2014/034535号公報、WO2014/115743号公報、WO2014/122895号公報、WO2014/126200号公報、WO2014/136758号公報、WO2014/133121号公報、WO2014/136860号公報、WO2014/196585号公報、WO2014/189122号公報、WO2014/168101号公報、WO2015/008580号公報、WO2014/203840号公報、WO2015/002213号公報、WO2015/016200号公報、WO2015/019725号公報、WO2015/072470号公報、WO2015/108049号公報、WO2015/080182号公報、WO2015/072537号公報、WO2015/080183号公報、特開2015-129240号公報、WO2015/129714号公報、WO2015/129715号公報、WO2015/133501号公報、WO2015/136880号公報、WO2015/137244号公報、WO2015/137202号公報、WO2015/137136号公報、WO2015/146541号公報、WO2015/159541号公報に記載される発光材料であって、遅延蛍光を放射するものも好ましく採用することができる。なお、この段落に記載される上記の公報は、本明細書の一部としてここに引用している。
[0059]
 次に、正孔注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
[0060]
[化3]


[0061]
 次に、正孔輸送材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
[0062]
[化4]


[0063]
[化5-1]


[化5-2]


[0064]
[化6]


[0065]
[化7]


[0066]
[化8]


[0067]
[化9]


[0068]
 次に、電子阻止材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
[0069]
[化10]


[0070]
 次に、正孔阻止材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
[0071]
[化11]


[0072]
 次に、電子輸送材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
[0073]
[化12-1]


[化12-2]


[0074]
[化13]


[0075]
[化14]


[0076]
 次に、電子注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
[0077]
[化15]


[0078]
 さらに添加可能な材料として好ましい化合物例を挙げる。例えば、安定化材料として添加すること等が考えられる。
[0079]
[化16]


[0080]
 上述の方法により作製された有機エレクトロルミネッセンス素子は、得られた素子の陽極と陰極の間に電界を印加することにより発光する。このとき、励起一重項エネルギーによる発光であれば、そのエネルギーレベルに応じた波長の光が、蛍光発光および遅延蛍光発光として確認される。また、励起三重項エネルギーによる発光であれば、そのエネルギーレベルに応じた波長が、りん光として確認される。通常の蛍光は、遅延蛍光発光よりも蛍光寿命が短いため、発光寿命は蛍光と遅延蛍光で区別できる。
 一方、りん光については、本発明の化合物のような通常の有機化合物では、励起三重項エネルギーは不安定で熱等に変換され、寿命が短く直ちに失活するため、室温では殆ど観測できない。通常の有機化合物の励起三重項エネルギーを測定するためには、極低温の条件での発光を観測することにより測定可能である。
[0081]
 本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX-Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。本発明によれば、正孔輸送層や電子輸送層が、厚みが50nm以上のペロブスカイト層で構成されていることにより、駆動電圧が低く、高い電力効率を有するとともに、電極間のショートおよび電流漏れを回避することができる。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子などの有機発光素子は、さらに様々な用途へ応用することが可能である。例えば、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いて、有機エレクトロルミネッセンス表示装置を製造することが可能であり、詳細については、時任静士、安達千波矢、村田英幸共著「有機ELディスプレイ」(オーム社)を参照することができる。また、特に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、需要が大きい有機エレクトロルミネッセンス照明やバックライトに応用することもできる。
実施例
[0082]
 以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下に示す材料、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、X線回折分析はX線回折計(リガク社製:Ultima IV)を用いて行い、吸収スペクトルの測定は紫外可視近赤外分光光度計(パーキンエルマー社製:LAMBDA950)を用いて行い、発光特性の評価は、蛍光分光光度計(堀場製作所社製:FluoroMax-4)、有機EL特性の評価は、外部量子効率測定装置(浜松ホトニクス製:C9920-12)と有機EL耐久性評価装置(システムエンジニア製:EAS-26B)を用いて行った。
 PL量子収率の励起光強度依存性の測定は、紫外線LEDにて365nmの連続励起光を基板の法線方向から各種強度で照射するとともに、多チャンネル光検出器(浜松ホトニクス製:PMA-12)にて、その発光を45°の角度から検出することにより行った。ここで、PL量子収率は、PL量子収率が20%であるトリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq )膜の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを基準にして求めた。
 また、本実施例において、真空蒸着法で成膜するときの真空度は10 -4Paに設定した。
[0083]
(実施例1) CH NH PbCl をペロブスカイト型化合物(ホスト材料)として用い、クマリン153を発光材料として用いた有機フォトルミネッセンス素子の作製
 石英基板上に、塩化メチルアンモニウム(CH NH Cl)と塩化鉛(II)(PbCl )とクマリン153を異なる蒸着源から共蒸着して厚さ50nmの薄膜(クマリン添加ペロブスカイト膜)を形成し、有機フォトルミネッセンス素子とした。このとき、塩化メチルアンモニウムと塩化鉛(II)のモル比は1:1とし、クマリン153の濃度は1重量%とした。
 また、これとは別に、薄膜におけるクマリン153の濃度を0.2~1.3重量%の範囲で変えたこと以外は同様にして、有機フォトルミネセンス素子を作製した。
[0084]
(比較例1) mCBPをホスト材料として用い、クマリン153を発光材料として用いた有機フォトルミネッセンス素子の作製
 石英基板上に、mCBPとクマリン153を異なる蒸着源から共蒸着して厚さ50nmの薄膜(クマリン添加mCBP膜)を形成し、有機フォトルミネッセンス素子とした。このとき、クマリン153の濃度は1重量%とした。
 また、これとは別に、薄膜におけるクマリン153の濃度を0.2~1.3重量%の範囲で変えたこと以外は同様にして、有機フォトルミネセンス素子を作製した。
[0085]
(比較例2) CH NH PbCl を用いた有機フォトルミネッセンス素子の作製
 石英基板上に、塩化メチルアンモニウム(CH NH Cl)と塩化鉛(II)(PbCl )を異なる蒸着源から共蒸着して厚さ50nmの薄膜(クマリン無添加ペロブスカイト膜)を形成し、有機フォトルミネッセンス素子とした。このとき、塩化メチルアンモニウムと塩化鉛(II)のモル比は1:1とした。
[0086]
 実施例1で形成した薄膜と比較例2で形成した薄膜について、それぞれX線回折スペクトルを測定したところ、既知のCH NH PbCl 単結晶のX線回折スペクトルと同じ位置に回折ピークが認められた。また、XPS(X線光電子分光)測定の結果、Cl/Pb比、N/Pb比、F/Pb比は、いずれも理論値に近い値であった。この結果から、実施例1および比較例2で形成した薄膜は、いずれもCH NH PbCl からなるペロブスカイト型結晶構造を有するものであることを確認することができた。また、実施例1で形成した薄膜と比較例2で形成した薄膜で、X線回折パターンの形状がほぼ同じであることから、実施例1で形成した薄膜のクマリン153分子は、そのほとんどが多結晶CH NH PbCl を構成する各結晶内または粒界に存在することが確認された。また、実施例1で形成した薄膜の算術平均粗さRaは6.9nm、比較例2で形成した薄膜の算術平均粗さRaは10.0nmであった。
 実施例1、比較例1、2で形成した薄膜の300nm励起光による発光スペクトルを図2に示し、発光の過渡減衰曲線を図3に示し、フォトルミネッセンス量子収率(PL量子収率)の励起光強度依存性を図4に示し、低励起光強度(10 -4mW/cm )での、クマリン153濃度に対するフォトルミネッセンス量子収率(PL量子収率)の依存性を図5に示す。
 図2から示されるように、クマリン153をドープしていない比較例2の薄膜(クマリン無添加ペロブスカイト膜)では402nmに発光ピークが認められるのに対して、クマリン153をドープした実施例1の薄膜(クマリン添加ペロブスカイト膜)では、402nmの発光ピークが消失して、比較例1の薄膜(クマリン添加mCBP膜)とほぼ同じ位置に発光ピークが認められた。このことから、実施例1の薄膜では、ペロブスカイト型化合物で生じた励起エネルギーがペロブスカイト型化合物自体の発光には利用されず、発光材料であるクマリン153に移動して該発光材料の発光のために利用されることがわかった。なお、実施例1の薄膜と比較例2の薄膜について光吸収スペクトルを測定したところ、それらの吸収パターンはよく一致していた。
 また、図3から、mCBPをホスト材料として用いた比較例1の薄膜では、発光強度が直線状に減衰するのに対して、CH NH PbCl をホスト材料として用いた実施例1の薄膜では、発光強度が多指数関数的に減衰する傾向が認められた。実施例1の薄膜で発光強度が多指数関数的に減衰するのは、この薄膜では、励起状態から基底状態への放射緩和の他に、励起子やキャリアが膜の欠陥状態(欠陥準位)にトラップされることが発光の減衰に関与しているためと推測される。
 一方、図4から示されるように、mCBPをホスト材料として用いた比較例1の薄膜では、励起光強度とPL量子収率の関係図が負の傾きを有しているのに対して、CH NH PbCl をホスト材料として用いた実施例1の薄膜では、励起光強度とPL量子効率の関係図が正の傾きを有していた。比較例1の薄膜で励起光強度とPL量子効率の関係図が負の傾きになっているのは、励起光強度が大きくなるにしたがって、クマリン153における励起子密度が高くなって励起子-励起子消滅が起き易くなるからであると推測される。これに対して、実施例1の薄膜で励起光強度とPL量子収率の関係図の傾きが正になっているのは、励起光強度が大きくなるにしたがって、膜の欠陥準位が励起子やキャリアで埋まってくるため、さらに生成されてくる励起子は、欠陥準位にトラップされずに、そのエネルギーが発光に有効に利用されるからであると推測される。
[0087]
(CH NH PbCl 膜の正孔移動度および電子移動度の測定)
 膜厚100nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて積層して正孔輸送デバイスおよび電子輸送デバイスをそれぞれ作製した。
 まず、ITO上にMoO を10nmの厚さに蒸着して正孔注入層を形成した。次に、塩化メチルアンモニウム(CH NH Cl)と塩化鉛(II)(PbCl )を異なる蒸着源から共蒸着し、3000nmの厚さに形成してCH NH PbCl 膜とした。このとき、塩化メチルアンモニウムと塩化鉛(II)のモル比は1:1とした。次に、MoO を10nmの厚さに蒸着して電子阻止層を形成し、その上に、Alを100nmの厚さに蒸着して陰極を形成し、積層体とした。この積層体を、窒素ガスを充填したグローブボックス内に移し、一対のガラスプレートを上下に配して紫外線エポキシ樹脂で封止することにより、正孔輸送デバイスとした。
 また、ITO上にCsを0.5nmの厚さに蒸着して正孔阻止層を形成した。次に、塩化メチルアンモニウム(CH NH Cl)と塩化鉛(II)(PbCl )を異なる蒸着源から共蒸着し、3000nmの厚さに形成してCH NH PbCl 膜とした。このとき、塩化アンモニウムと塩化鉛(II)のモル比は1:1とした。次に、Csを0.5nmの厚さに蒸着して電子注入層を形成し、その上に、Alを100nmの厚さに蒸着して陰極を形成し、積層体とした。この積層体を、窒素ガスを充填したグローブボックス内に移し、一対のガラスプレートを上下に配して紫外線エポキシ樹脂で封止することにより、電子輸送デバイスとした。
 作製した正孔輸送デバイスおよび電子輸送デバイスの電流密度-電圧特性を図6に示す。図6から示されるように、各デバイスの電流密度-電圧特性は空間電荷制限電流様のパターンであった。それらのパターンからキャリア移動度を算出したところ、正孔移動度が3.4cm -1-1、電子移動度が2.1cm -1-1であり、mCBPのような非晶質有機膜のキャリア移動度(<10 -3cmV -1-1)に比べて格段に高いものであった。
[0088]
(実施例2) CH NH PbCl をペロブスカイト型化合物(ホスト材料)として用い、クマリン153を発光材料として用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
 膜厚100nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて積層した。まず、ITO上にHAT-CNを10nmの厚さに形成し、その上に、Tris-PCzを50nmの厚さに形成した。次に、塩化メチルアンモニウム(CH NH Cl)と塩化鉛(II)(PbCl )とクマリン153を異なる蒸着源から共蒸着し、30nmの厚さに形成して発光層とした。このとき、塩化メチルアンモニウムと塩化鉛(II)のモル比は1:1とし、クマリン153の濃度は1重量%とした。次に、T2Tを20nmの厚さに形成し、その上に、BPy-TP2を40nmに厚さに形成した。さらに、フッ化リチウム(LiF)を0.8nmの厚さに蒸着し、次いでアルミニウム(Al)を100nmの厚さに蒸着することにより陰極を形成し、積層体とした。この積層体を、窒素ガスを充填したグローブボックス内に移し、一対のガラスプレートを上下に配して紫外線エポキシ樹脂で封止することにより、有機エレクトロルミネッセンス素子とした。
[0089]
(比較例3) mCBPをホスト材料として用い、クマリン153を発光材料として用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
 塩化メチルアンモニウム(CH NH Cl)と塩化鉛(II)(PbCl )とクマリン153を共蒸着する代わりに、mCBPとクマリン153を共蒸着して厚さ30nmの発光層を形成したこと以外は、実施例2と同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。この時、クマリン153の濃度は1重量%とした。
 実施例2および比較例3で製造した有機エレクトロルミネッセンス素子について、10mAcm -2の電流密度で測定した発光スペクトルを図7に示し、実施例2の有機エレクトロルミネッセンス素子について、0.11mAcm -2、1.1mAcm -2、10.4mAcm -2、または97mAcm -2の電流密度で測定した発光スペクトルを図8に示す。実施例2および比較例3で製造した有機エレクトロルミネッセンス素子の電流密度-電圧特性を図9に示し、輝度-電圧特性を図10に示し、外部量子効率-電流密度特性を図11に示し、50mAcm -2の電流密度で連続駆動させたときの発光強度の経時変化を図12に示す。図12において、縦軸は発光強度の初期発光強度に対する比率を示す。また、1mAcm -2の電流密度で測定した駆動電圧、最大外部量子効率、電流効率、電力効率および半減期を表1に示す。表1に示した測定結果は、同一条件で製造した3つの素子の測定データから求めた平均値±標準偏差である。半減期は50mAcm -2の電流密度で連続駆動させたときに、発光強度が初期発光強度の50%になるまでの時間である。
[0090]
[表1]


[0091]
 図7および図10から、実施例2の有機エレクトロルミネッセンス素子は緑色領域(495~570nm)に発光ピークを有し、輝度が高いことが示された。そして、その発光ピークの位置がクマリン153の発光波長と一致することから、その発光はクマリン153に由来するものであることがわかった。さらに、図8の4つの発光スペクトルが一致していることから、実施例2の有機エレクトロルミネッセンス素子は、電流密度に関わらず一定の発光スペクトルを示すことが確認された。
 また、表1および図11に示すように、CH NH PbCl をホスト材料として用いた実施例2の有機エレクトロルミネッセンス素子は、mCBPをホスト材料として用いた比較例3の有機エレクトロルミネッセンス素子に比べて駆動電圧が低く、また、外部量子効率、電流効率および電力効率の全てにおいて優れていた。
 さらに、図9および図10から示されるように、実施例2の有機エレクトロルミネッセンス素子は、100mAcm -2の電流密度が得られる電圧が約9Vであり(図9)、9Vのときの輝度は約5,000cdm -2である(図10)。すなわち、実施例2の有機エレクトロルミネッセンス素子では、100mAcm -2の電流密度で約5,000cdm -2の輝度が得られた。これに対して、青色ペロブスカイト発光体からオレンジ色ポリマー発光体へのエネルギー移動を利用した白色LEDが報告されており(Adv. Mater. 2017, 29, 1606859)、ここでは100mAcm -2での輝度が約100cdm -2であるとされている。実施例2の有機エレクトロルミネッセンス素子は、この白色LEDに比べて、同じ電流密度で約50倍高い輝度を得ることができた。
 また、図12から示されるように、CH NH PbCl をホスト材料として用いた実施例2の有機エレクトロルミネッセンス素子は、mCBPをホスト材料として用いた比較例3の有機エレクトロルミネッセンス素子と同等の動作安定性を有していた。また、表1に示すように、実施例2の有機エレクトロルミネッセンス素子の半減期は514±65時間であり、比較例3の有機エレクトロルミネッセンス素子と同等であった。ここで、本発明と異なり、ペロブスカイト型化合物を発光体として用いたエレクトロルミネッセンス素子では、連続駆動時に発光強度が急激に低下する問題が指摘されており、その原因の1つに、高電界下でのペロブスカイト型化合物の不安定な励起状態があると推測される。これに対して、ペロブスカイト型化合物をホスト材料に用いた実施例2の有機エレクトロルミネッセンス素子では、ペロブスカイト型化合物が不安定な励起状態になったとしても、その励起エネルギーが発光材料に移動して、不安定な励起状態が直ちに解消されることにより、安定な動作が実現したものと推測される。
[0092]
(実施例3) CH NH PbCl をペロブスカイト型化合物(ホスト材料)として用い、遅延蛍光材料4CzIPNを発光材料として用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
 クマリン153の代わりに4CzIPNを用いて発光層を形成し、発光層における4CzIPNの濃度を5重量%としたこと以外は、実施例2と同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
[0093]
(実施例4) CH NH PbCl をペロブスカイト型化合物(ホスト材料)として用い、リン光発光材料Ir(ppy) を発光材料として用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
 クマリン153の代わりにIr(ppy) を用いて発光層を形成し、発光層におけるIr(ppy) の濃度を8重量%としたこと以外は、実施例2と同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
 実施例3および実施例4で作製した有機エレクトロルミネッセンス素子の10mAcm -2の電流密度で測定した発光スペクトルを図13に示し、電流密度-電圧特性を図14に示す、外部量子効率-電流密度特性を図15に示す。
 実施例3および実施例4で作製した有機エレクトロルミネッセンス素子は、いずれも8~9%の高い外部量子効率を達成することができた。
 以上のことから、ペロブスカイト型化合物をホスト材料として用いることにより、有機フォトルミネッセンス素子および有機エレクトロルミネッセンス素子の効率を向上させることができることが示された。さらに、有機エレクトロルミネッセンス素子については、駆動電圧を低下させ、また、良好な動作安定性が実現することがわかった。さらに、本実施例で発光材料として使用しているクマリン系化合物はレーザー発振機能も有するため、この実施例の結果から、ペロブスカイト型化合物が有機レーザー装置にも応用可能であることが示された。
[0094]
[化17-1]


[化17-2]


産業上の利用可能性

[0095]
 本発明のホスト材料は、キャリア移動度が高く、安価である。そのため、このホスト材料を有機発光素子の発光層の材料に用いることにより、駆動電圧が低く、発光効率が高い有機発光素子を提供することができ、また、有機発光素子の材料コストを削減することができる。そのため、本発明は産業上の利用可能性が高い。

符号の説明

[0096]
 1 基板
 2 陽極
 3 正孔注入層
 4 正孔輸送層
 5 発光層
 6 電子輸送層
 7 陰極

請求の範囲

[請求項1]
 ペロブスカイト型化合物を含むホスト材料。
[請求項2]
 前記ペロブスカイト型化合物のキャリア移動度が10 -2~10 cm 2V -1s -1である、請求項1に記載のホスト材料。
[請求項3]
 前記ペロブスカイト型化合物が、下記一般式(4)で表されるものである、請求項1または2に記載のホスト材料。
   A 3BX     (4)
[一般式(4)において、A 3は有機カチオンを表し、Bは2価の金属イオンを表し、Xはハロゲンイオンを表す。3つのX同士は互いに同じであっても異なっていてもよい。]
[請求項4]
 ペロブスカイト型化合物と有機発光材料を含む膜。
[請求項5]
 前記ペロブスカイト型化合物が、下記一般式(4)で表されるものである、請求項4に記載の膜。
   A 3BX     (4)
[一般式(4)において、A 3は有機カチオンを表し、Bは2価の金属イオンを表し、Xはハロゲンイオンを表す。3つのX同士は互いに同じであっても異なっていてもよい。]
[請求項6]
 前記有機発光材料が、前記ペロブスカイト型化合物から移動してきたエネルギーにより発光する、請求項4または5に記載の膜。
[請求項7]
 前記有機発光材料がクマリン骨格を有する化合物である、請求項4~6のいずれか1項に記載の膜。
[請求項8]
 横軸に励起光強度の常用対数をとり、縦軸にフォトルミネッセンス量子収率をとった片対数グラフの傾きが正である、請求項4~7のいずれか1項に記載の膜。
[請求項9]
 ペロブスカイト型化合物と有機発光材料を含む発光層を有する有機発光素子。
[請求項10]
 前記発光層が請求項4~8のいずれか1項に記載の膜である、請求項9に記載の有機発光素子。
[請求項11]
 有機エレクトロルミネッセンス素子である、請求項9または10に記載の有機発光素子。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]