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1. (WO2019039011) バスケットカテーテルおよびその製造方法ならびに医療用処置具
Document

明 細 書

発明の名称 バスケットカテーテルおよびその製造方法ならびに医療用処置具

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021  

発明の効果

0022  

図面の簡単な説明

0023  

発明を実施するための形態

0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106  

符号の説明

0107  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

明 細 書

発明の名称 : バスケットカテーテルおよびその製造方法ならびに医療用処置具

技術分野

[0001]
 本発明は、バスケットに異物を捕捉可能なカテーテルと当該カテーテルを有する医療用処置具に関する。

背景技術

[0002]
 胆管や尿道に生じる結石の治療では、SUS撚線やNi-Ti等の形状記憶合金線を籠状に編んだバスケットカテーテル(鉗子)や結石除去用バルーンカテーテルが用いられる。バスケットカテーテルにおいて、異物を捕捉するバスケット部は、複数の金属線材が、遠位端と該遠位端よりも近位側の2箇所で固定されて、この2箇所の固定点の間で線材が折り曲げられたり、らせん状にねじり合わされることで籠状に構成されている。バスケット部は、患部への送達時には例えば樹脂製のシースに収められており、異物の捕捉時にシースの遠位端から露出させることにより籠状に展開される。短時間で正確に異物を除去するためには、手元側のハンドル操作による回転トルクをバスケット部に効率良く伝達し、バスケットを形成する金属線材の位置を変えることで異物を取り込みやすくしたり、引っ掛けることが必要である。
[0003]
 図10~図11には、従来のバスケットカテーテルを示した。図10に示すように、従来のバスケットカテーテル100は、外筒部材102内に収納可能なバスケット部110を有するものであり、バスケット部110と手元側のハンドル(図示せず)は、ワイヤ部材104、105を介して接続されている。ワイヤ部材104、105はトルクを伝達するものであり、図10ではワイヤ部材104、105が接続パイプ106を介して接続されている。ワイヤ部材としては、図11に示すようなバスケット部を構成する複数の弾性ワイヤが同軸状に平行に配置されたものが挙げられる。例えば、特許文献1には、かご形状部の近位端部よりも近位側で複数の撚線が同軸状に並行に配置されており、さらに近位側には操作ワイヤが接続されている医療用バスケット型把持鉗子が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2005―21195号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 特許文献1に記載の把持鉗子(バスケット鉗子)を蛇行形状を有している体内管腔に挿入すると、操作ワイヤやバスケット部の近位端部(複数の弾性ワイヤが軸方向に並行に配置されている部分)が内視鏡管内壁と接触したり、鉗子起上台により鋭角な角度がつくことで外筒内腔が押し潰されトラップされて所望の角度や方向に回転できないことがあった。特に小径の胆管内の屈曲部では、屈曲管路の外側にバスケットワイヤーが偏って配置されてしまうため、バスケットを十分な拡張状態に維持することができず、採石時に難渋することがあった。また、バスケット内に捕捉された結石をリリースできず、胆管内からカテーテル自体を抜去できない(嵌頓)ことがあり、その結果、篏頓解除の処置や外科的手技に移行することで手技時間が長くなり、患者への侵襲が大きくなるおそれがあった。そこで、本発明は、近位側の回転トルクをバスケット部に伝達しやすくして異物の捕捉を容易にすることができ、かつバスケットカテーテルの内腔に別の補助処置具を挿通させることで、管腔内または異物の観察や、捕捉した異物の除去等の処置を行うことができるバスケットカテーテルを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 上記課題を解決し得た本発明のバスケットカテーテルは、遠位側と近位側を有するものであって、外筒部材と、該外筒部材の内腔に配置されている内筒部材と、内筒部材の遠位側に配置され、複数の弾性ワイヤを有し拡張可能なバスケット部と、を有しており、内筒部材は、線材がらせん状に巻回されて形成されている中空コイル体を有している点に要旨を有する。本発明のバスケットカテーテルにおいて、バスケット部の近位側に配置される内筒部材は、線材がらせん状に巻回されて形成されている中空コイル体を有しているため、手元側の回転トルクをバスケット部に伝達しやすくなり、異物の捕捉操作が行いやすくなる。また、内筒部材の内腔に、バスケットカテーテルとは別の補助処置具を挿通させることができるため、管腔内または異物の観察や捕捉した異物の除去等の処置を行うことができる。このため、嵌頓の防止、症例に応じた手技の選択肢の増加、低侵襲治療の促進といった効果が得られる。
[0007]
 上記バスケットカテーテルにおいて、中空コイル体は、少なくとも第1層と、該第1層よりも外側に配置されている第2層を有しており、線材の巻回方向が第1層と第2層で反対となっていることが好ましい。
[0008]
 上記バスケットカテーテルにおいて、中空コイル体は、第1層と、該第1層よりも外側に配置されている第2層と、第2層よりも外側に配置されている第3層からなり、線材の巻回方向が第1層と第2層で反対となっており、第2層と第3層で反対となっていることが好ましい。
[0009]
 上記バスケットカテーテルにおいて、中空コイル体の内腔に、遠近方向に沿って延在している他の線材が配置されており、他の線材の一方端部と他方端部が中空コイル体に固定されていることが好ましい。
[0010]
 上記バスケットカテーテルにおいて、内筒部材は、中空コイル体の近位端部に接続されている金属管をさらに有することが好ましい。
[0011]
 上記バスケットカテーテルにおいて、複数の弾性ワイヤと内筒部材が、筒状の接続具によって接続されていることが好ましい。
[0012]
 接続具は、遠位側から弾性ワイヤの近位端部が挿入されているワイヤ挿通路を複数有しており、複数のワイヤ挿通路が周方向に並んで配置されていることが好ましい。
[0013]
 接続具は、周壁に外部およびワイヤ挿通路と連通している固定孔を有していることが好ましい。
[0014]
 接続具は、近位側の外径が遠位側の外径よりも小さい小径部を有しており、小径部が、内筒部材の内腔の遠位側に挿入されていることが好ましい。
[0015]
 小径部における接続具の内径が、内筒部材の遠位端における内径以上の大きさであることが好ましい。
[0016]
 本発明はまた、上記バスケットカテーテルと、内筒部材の内腔に挿通されている補助処置具と、を有する医療用処置具も提供する。補助処置具を用いて、管腔内または異物の観察やバスケットカテーテルで捕捉した異物の除去等の処置を行うことができる。
[0017]
 上記医療用処置具において、補助処置具は、バルーンカテーテル、マイクロカテーテル、鉗子、レーザープローブ、ファイバースコープ、電気水圧衝撃破砕プローブまたはガイドワイヤーであることが好ましい。
[0018]
 本発明はバスケットカテーテルの製造方法も提供する。バスケットカテーテルの製造方法は、拡張可能なバスケット部を形成する複数の弾性ワイヤと、内筒部材と複数の弾性ワイヤを接続するものであって周方向に並んで配置されている複数のワイヤ挿通路を有する筒状の接続具と、を準備する工程と、弾性ワイヤの近位端部を遠位側からワイヤ挿通路に挿入する工程と、弾性ワイヤと接続具を接合する工程と、を有する点に要旨を有する。本発明のバスケットカテーテルの製造方法では、手元側の回転トルクをバスケット部に伝達するワイヤ部材として内筒部材を採用しており、また、弾性ワイヤと内筒部材を筒状の接続具を介して接続するため、内腔に補助処置具を挿通可能なバスケットカテーテルが得られる。
[0019]
 上記製造方法において、接続具は、周壁に外部およびワイヤ挿通路と連通している固定孔を有しており、弾性ワイヤと接続具の接合工程において、固定孔に接合剤を注入することが好ましい。
[0020]
 上記製造方法において、弾性ワイヤをワイヤ挿通路に挿入する工程の前に、弾性ワイヤの近位端部の外径を小さくする工程を有することが好ましい。
[0021]
 上記製造方法において、さらに、線材がらせん状に巻回されて形成されている中空コイル体を有している内筒部材を準備する工程と、内筒部材の内腔の遠位端部に、接続具の近位端部を挿入する工程と、を有することが好ましい。

発明の効果

[0022]
 本発明のバスケットカテーテルによれば、手元側の回転トルクをバスケット部に伝達しやすくなり、異物の捕捉操作が行いやすくなる。また、内筒部材の内腔に、バスケットカテーテルとは別の補助処置具を挿通させることができるため、管腔内または異物の観察や捕捉した異物の除去等の処置を行うことができる。
 本発明の医療用処置具によれば、内筒部材の内腔に挿通されている補助処置具により、管腔内または異物の観察や捕捉した異物の除去等の処置を行うことができる。
 以上のことから、上記バスケットカテーテルまたは医療用処置具によれば、嵌頓の防止、症例に応じた手技の選択肢の増加、低侵襲治療の促進といった効果が得られる。
 また、本発明のバスケットカテーテルの製造方法では、手元側の回転トルクをバスケット部に伝達するワイヤ部材として内筒部材を採用しており、また、弾性ワイヤと内筒部材を筒状の接続具を介して接続するため、内腔に補助処置具を挿通可能なバスケットカテーテルが得られる。

図面の簡単な説明

[0023]
[図1] 本発明の実施の形態に係るバスケットカテーテルの遠位側の平面図(一部断面図)を表す。
[図2] 図1に示したバスケットカテーテルのII-II線に沿った断面図を表す。
[図3] 本発明の実施の形態に係るバスケットカテーテルの近位側の平面図(一部断面図)を表す。
[図4] 本発明の実施の形態に係る接続具の斜視図を表す。
[図5] 本発明の実施の形態に係る接続具の軸方向に沿った断面図を表す。
[図6] 本発明の実施の形態に係るバスケットカテーテルの製造方法を示す平面図(一部断面図)を表す。
[図7] 本発明の実施の形態に係るバスケットカテーテルの製造方法を示す平面図(一部断面図)を表す。
[図8] 本発明の実施の形態に係るバスケットカテーテルの製造方法を示す平面図(一部断面図)を表す。
[図9] 本発明の実施の形態に係るバスケットカテーテルの製造方法を示す平面図(一部断面図)を表す。
[図10] 従来のバスケットカテーテルの平面図を表す。
[図11] 図10に示したバスケットカテーテルのXI-XI線に沿った断面図を表す。

発明を実施するための形態

[0024]
 以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
[0025]
1.バスケットカテーテルおよび医療用処置具
 本発明においてバスケットカテーテルは、遠位側と近位側を有するものであり、結石等の体内の異物を捕捉する籠状のバスケットを有する医療用の処置具であって、バスケット鉗子を含むものである。バスケットカテーテルを、以下、単に「カテーテル」と称することがある。まず、図1を参照して、カテーテルの全体構成について説明する。図1は、本発明のカテーテル1の遠位側の平面図(一部断面図)を表し、図2は、図1に示したカテーテル1のII-II線に沿った断面図を表している。
[0026]
 本発明において、カテーテル1の近位側とは、カテーテル1の延在方向に対して使用者(術者)の手元側の方向を指し、遠位側とは近位側の反対方向(すなわち処置対象側の方向)を指す。また、カテーテル1の近位側から遠位側への方向を軸方向または遠近方向と称する。
[0027]
 カテーテル1は、外筒部材2と、外筒部材2の内腔に配置されている内筒部材3と、内筒部材3の遠位側に配置され、複数の弾性ワイヤ15を有し拡張可能なバスケット部10と、を有している。
[0028]
 外筒部材2は、内視鏡の鉗子口から鉗子チャンネル内を通って異物の近くに搬送するまでの間に、バスケット部10の弾性ワイヤ15が内視鏡内の鉗子口、鉗子チャンネル内、異物以外の体内組織等を傷付けることを防止する。
[0029]
 外筒部材2としては、押出成形によって押出された樹脂チューブ、単線または撚線の線材を特定のパターンで配置することによって形成された筒状体、金属管またはこれらを組み合わせたものが挙げられる。線材が特定のパターンで配置された筒状体としては、線材が単に交差される、または編み込まれることによって網目構造を有する筒状体や、線材が巻回されたコイルが示される。網目構造の種類は特に制限されず、コイルの巻き数や密度も特に制限されない。コイルは、軸方向の全体にわたって一定の密度で巻回されていてもよく、軸方向の位置によって異なる密度で巻回されていてもよい。金属管の可撓性を高めるために、金属管の外側表面にはらせん状に溝が形成されていてもよい。中でも、溝が、金属管の軸方向の中央よりも遠位側の外表面に形成されていることが好ましい。溝は、金属管の軸方向の中央よりも近位側の外表面には形成されていなくてもよい。
[0030]
 外筒部材2は樹脂または金属から構成されることが好ましい。外筒部材2を構成する樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、天然ゴム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂が好適に用いられる。また、外筒部材2を構成する金属としては、例えば、SUS304、SUS316等のステンレス鋼、白金、ニッケル、コバルト、クロム、チタン、タングステン、金、Ni-Ti合金、Co-Cr合金、またはこれらの組み合わせが挙げられる。特に、Ni-Ti合金から構成されている線材は、形状記憶性および高弾性に優れている。また、線材はポリアリレート繊維、アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、PBO繊維、炭素繊維等の繊維材料であってもよい。繊維材料は、モノフィラメントであっても、マルチフィラメントであってもよい。また、樹脂から構成されている筒状体に、金属線材等の補強材が配設されているものを外筒部材2として用いてもよい。
[0031]
 外筒部材2は、単層から構成されていてもよく、複数層から構成されていてもよい。また、軸方向において、外筒部材2の一部が単層から構成されており、他部が複数層から構成されていてもよい。
[0032]
 内筒部材3は、外筒部材2の内腔に配置されている。内筒部材3は、線材がらせん状に巻回されて形成されている中空コイル体4を有している。このように本発明のバスケットカテーテル1の内筒部材3は中空コイル体4を有しているため、手元側のトルクをバスケット部10に伝達しやすくなり、異物の捕捉操作が行いやすくなる。また、内筒部材3の内腔に、バスケットカテーテル1とは別の補助処置具を挿通させることができるため、管腔内または異物の観察や捕捉した異物の除去等の処置を行うことができる。このため、嵌頓の防止、症例に応じた手技の選択肢の増加、低侵襲治療の促進といった効果が得られる。
[0033]
 内筒部材3は、カテーテル1の遠近方向の一部が中空コイル体4であればよく、内筒部材3の軸方向全体が中空コイル体4であってもよい。内筒部材3の一部が中空コイル体4の場合、中空コイル体4でない部分は外筒部材2と同様に構成することができる。図示していないが、内筒部材3は、中空コイル体4の近位端部に接続されている金属管をさらに有することが好ましい。中空コイル体4が設けられることによって手元側のトルクを更にバスケット部10に伝達しやすくなるとともに、金属管が設けられることによって内筒部材3の軸方向への伸び率を抑えることができる。
[0034]
 中空コイル体4は、一又は複数の線材がらせん状に巻回されて形成されているものである。中空コイル体4の密度(巻き間隔)は特に制限されず、密巻き、ピッチ巻き、またはこれらを組み合わせることができる。中空コイル体4は、バスケットカテーテル1の遠近方向の少なくとも一部で隣り合う線材が接触していることが好ましく、より好ましくは遠近方向の全体にわたって隣り合う線材が接触している。隣り合う線材を接触させることにより、トルクの伝達性や応答性が良好な中空コイル体4が得られる。
[0035]
 中空コイル体4を構成する線材が、単線から形成されている単条体である場合、線材の軸方向における断面形状は、円形、楕円形、多角形、またはこれらの組み合わせであってもよい。
[0036]
 線材が、複数の単線がらせん状に巻回されて形成されている多条体である場合、その条数は、2以上、3以上、4以上、または20以下、15以下、12以下、10以下、8以下であっても許容される。
[0037]
 中空コイル体4は、複数の線材を撚り合わせて芯のない中空体として形成されていることが好ましい。中空コイル体4において、線材の撚り方向は、特に限定されず、Z撚りであってもよく、S撚りであってもよい。
[0038]
 中空コイル体4を形成している線材は、樹脂または金属から構成されることが好ましい。線材を構成する材料としては、外筒部材2を構成する樹脂または金属を用いることができる。中空コイル体4の形状を安定させるためには、線材は白金とタングステンから構成されていることが好ましい。
[0039]
 中空コイル体4は、単層コイルであってもよく、複数の層を有している多層コイルであってもよい。中空コイル体4が複数の層を有している場合、各層において、線材の巻回方向、巻き間隔の少なくともいずれか一方が異なっていることが好ましい。中空コイル体4が多層コイルの場合、各層の線材の外径が同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、中空コイル体4は、外層の線材の外径が、内層の線材の外径よりも大きくてもよく、小さくてもよい。
[0040]
 中空コイル体4は、少なくとも第1層4Aと、第1層4Aよりも外側に配置されている第2層4Bを有しており、線材の巻回方向が第1層4Aと第2層4Bで反対となっていることが好ましい。これにより、線材の巻回方向が反対である第1層4Aと第2層4Bが互いに接触することで、中空コイル体4が軸方向に伸びることを抑制できる。
[0041]
 中空コイル体4は、第1層4Aと、第1層4Aよりも外側に配置されている第2層4Bと、第2層4Bよりも外側に配置されている第3層4Cからなり、線材の巻回方向が第1層4Aと第2層4Bで反対となっており、第2層4Bと第3層4Cで反対となっていることが好ましい。つまり、第1層4Aと第3層4Cの線材の巻回方向が、同じであることが好ましい。これにより、線材の巻回方向が反対である第1層4Aと第2層4B、第2層4Bと第3層4Cがそれぞれ接触することで、中空コイル体4が軸方向に伸びることが一層抑制される。中空コイル体4が、複数の線材を撚り合わせて芯のない3層の中空体として形成される場合、第1層4AがS撚り、第2層4BがZ撚り、第3層4CがS撚りであってもよく、また、第1層4AがZ撚り、第2層4BがS撚り、第3層4CがZ撚りであってもよい。
[0042]
 中空コイル体4の内腔に、遠近方向に沿って延在している他の線材(以下、「補強線」と称することがある)が配置されており、他の線材の一方端部と他方端部が中空コイル体4に固定されていることが好ましい。このように中空コイル体4の内腔に補強線を配置することによっても、中空コイル体4が軸方向に伸びることを抑制できる。
[0043]
 外筒部材2の内腔であって中空コイル体4の外側に、遠近方向に沿って延在している他の線材(補強線)が配置されており、他の線材の一方端部と他方端部が中空コイル体4に固定されていることが好ましい。このように中空コイル体4の外側に補強線を配置することによっても、中空コイル体4が軸方向に伸びることを抑制できる。
[0044]
 補強線は、軸方向に伸長しにくく、かつ生体適合性を有している樹脂または金属から構成されていることが好ましい。補強線を構成する材料としては、中空コイル体4を形成する線材を構成する材料を挙げることができ、例えば、白金、タングステン、チタン、金またはこれらの合金、ステンレス鋼、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂を使用することができる。特に、カテーテル1の柔軟性の向上、デリバリ性能の向上、製造コストの抑制の観点からは、ポリプロピレン樹脂から構成される線材が補強線として好ましく用いられる。
[0045]
 補強線の形状は特に制限されず、例えば、直線形状、波形状、らせん形状、またはこれらを組み合わせた形状にすることができる。
[0046]
 補強線は、中空コイル体4に直接固定されていてもよく、他の部材を介して間接的に固定されていてもよい。補強線は、中空コイル体4の内側面や外側面に固定されていてもよく、中空コイル体4の近位端面または遠位端面に固定されていてもよい。
[0047]
 造影剤や薬液等の流体から外筒部材2や内筒部材3を保護するために、外筒部材2や内筒部材3の内側表面にはコーティング剤が塗布されていてもよい。また、内筒部材3に対するガイドワイヤの摺動性を高めるために、内筒部材3の内側表面には潤滑剤が塗布されていてもよい。さらに、外筒部材2に対する内筒部材3の摺動性を高めるために、外筒部材2の内側表面には潤滑剤が塗布されていてもよい。コーティング剤や潤滑剤としては、公知のコーティング剤や潤滑剤を用いることができる。
[0048]
 図3は、図1に示したカテーテル1の近位側の構成例を示している。図3に示すように、内筒部材3の操作性を向上させるため、内筒部材3の近位端側には把持部材50が接続されていてもよい。把持部材50としては、例えば、内筒部材3の近位端側を挿入可能な筒状部材が挙げられる。
[0049]
 また、外筒部材2と内筒部材3の相対位置を調整しやすくするために、外筒部材2の近位端側には外筒部材2を把持するための補助把持部材51が接続されていてもよい。補助把持部材51としては、外筒部材2の近位端側を内腔に挿通可能な筒状部材が挙げられる。把持部材50や補助把持部材51の材料としては、例えば、ABSやポリカーボネート等の合成樹脂や、ポリウレタン発泡体等の発泡プラスチックを用いることができる。把持部材50の内腔は、内筒部材3の内腔と連通していてもよい。把持部材50の内腔は、ガイドワイヤの挿通路以外に、薬剤や生体体腔内の流体等の通路として機能させてもよい。また、外筒部材2の内腔であって内筒部材3の外側と連通している補助把持部材51の内腔を、薬剤や生体体腔内の流体等の通路として機能させてもよい。
[0050]
 内筒部材3と把持部材50、外筒部材2と補助把持部材51の接合は、接着剤や熱溶着など従来公知の接合手段を用いて行うことができる。把持部材50は、補助把持部材51よりも近位側に配置されている。補助把持部材51の近位端には、例えば環状の抵抗部材52が設けられていてもよい。これにより、把持部材50に対する補助把持部材51の位置が意図せずにずれることを防止できるため、外筒部材2と内筒部材3の相対位置を固定することができる。
[0051]
 バスケットカテーテル1は、内筒部材3の遠位側に配置され、複数の弾性ワイヤ15を有し拡張可能なバスケット部10を有している。バスケット部10は、体内で異物を捕捉するために設けられる。図1に示すように、バスケット部10は、複数の弾性ワイヤ15が遠位側と近位側の2箇所で固定されていることが好ましい。これにより、2箇所の固定部の間に異物を捕捉する捕捉部16が形成される。外筒部材2から弾性ワイヤ15を露出させることによって、弾性ワイヤ15が径方向の外方に拡張し、捕捉部16に異物を捕捉することができる。
[0052]
 弾性ワイヤ15は、弾性を有する線状部材であり、形状記憶合金または形状記憶樹脂から構成されることが好ましい。弾性ワイヤ15は、例えば、SUS304、SUS316等のステンレス鋼、白金、ニッケル、コバルト、クロム、チタン、タングステン、アルミニウム、金、銀、Ni-Ti合金、Co-Cr合金等から構成されている単線または撚線の金属線材であってもよいが、中でもNi-Ti合金から構成されている金属線材であることが好ましい。弾性ワイヤ15の数は特に制限されないが、例えば、3本以上、4本以上、5本以上、10本以上、または、20本以下、15本以下であっても許容される。
[0053]
 捕捉部16において、弾性ワイヤ15は屈曲している部分(屈曲部)を有していることが好ましい。屈曲部において、弾性ワイヤ15は湾曲していてもよく、折り曲げられていてもよい。また、捕捉部16において、弾性ワイヤ15は、らせん状に形成されていてもよい。このように捕捉部16を形成することによって異物を捕捉しやすくなる。
[0054]
 バスケット部10は、複数の弾性ワイヤ15が遠位端部で互いに固定されていることが好ましい。複数の弾性ワイヤ15の遠位端部は、先端チップ11によって固定されていてもよい。また、図示していないが、熱溶着または銀ロウ付け、接着により、複数の弾性ワイヤ15が互いに固定されていてもよい。
[0055]
 先端チップ11は、近位側から複数の弾性ワイヤ15の遠位端部が挿入されているワイヤ挿入孔12を有していることが好ましい(図6を参照)。図示していないが、先端チップ11は、近位側から弾性ワイヤ15の遠位端部が挿入されているワイヤ挿入孔12を複数有していてもよい。
[0056]
 先端チップ11を構成する材料としては、外筒部材2を好ましく構成する樹脂、金属、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、先端チップ11を構成する金属は、ステンレス鋼またはNi-Ti合金であることが好ましい。
[0057]
 図示していないが、先端チップ11には、バスケットカテーテル1とは別の処置具である補助処置具を挿通させる処置具挿通路が設けられていてもよい。処置具挿通路は、内筒部材3の軸方向に沿って延在していることが好ましい。さらに、先端チップ11の処置具挿通路の中心軸が、内筒部材3の中心軸と重なっていることがより好ましい。このように先端チップ11に処置具挿通路を設けることによって、補助処置具の遠位端を、カテーテル1の遠位端よりも遠位側に配置しやすくなる。このため、捕捉部16で異物を捕捉した後でも、補助処置具を用いて異物の遠位側に薬液や造影剤を流すことが可能になる。なお、補助処置具を挿通しやすくするために、処置具挿通路は、内筒部材3の軸方向に沿って延在していることが好ましい。
[0058]
 内筒部材3の径方向において、先端チップ11の外径は、外筒部材2の内径よりも大きいことが好ましい。外筒部材2内に捕捉部16を収納しても、先端チップ11が外筒部材2の遠位端に引っ掛かるため、バスケット部10が外筒部材2の近位側に過度に移動することを防ぐことができる。また、捕捉部16の収納後に手技を行う際にも、捕捉部16を外筒部材2から直ぐに露出することができるので、手技を効率よく行うことができる。
[0059]
 図1に示すように、複数の弾性ワイヤ15が近位側で固定されていることが好ましい。詳細には、複数の弾性ワイヤ15と内筒部材3が筒状の接続具20によって接続されていることが好ましい。図4および図5に筒状の接続具20の一実施形態を示す。接続具20は筒状に形成されているため、接続具20と内筒部材3の内腔が互いに連通することが可能となり、内筒部材3の内腔に挿通される補助処置具を、接続具20の内腔24を介して、捕捉部16や捕捉部16よりも遠位側まで到達することができる。このため、管腔内または異物の観察や捕捉した異物の除去等の処置を行うことができ、嵌頓の防止、症例に応じた手技の選択肢の増加、低侵襲治療の促進といった効果が得られる。
[0060]
 接続具20を構成する材料は生体適合性を有していることが好ましく、例えば、先端チップ11を構成する好ましい材料として挙げた材料から構成することができる。
[0061]
 接続具20の形状としては、円筒状や多角筒状を用いることができるが、外筒部材2に対する摺動性を高めるためには、接続具20の形状は円筒状であることが好ましい。
[0062]
 接続具20は、捕捉部16とともに外筒部材2内に収納されるものであるため、接続具20の外径は、外筒部材2の内径よりも小さいものである。
[0063]
 図4に示すように、接続具20は、遠位側から弾性ワイヤ15の近位端部が挿入されているワイヤ挿通路21(例えば、21a、21b、21c、21d)を複数有しており、複数のワイヤ挿通路21が周方向に並んで配置されていることが好ましい。その場合、ワイヤ挿通路21は、接続具20の周壁に設けられていることが好ましい。このように弾性ワイヤ15が周方向に並んで、接続具20の内腔24の径方向の外側、つまり内腔24の周りに配置されていることにより、補助処置具を軸方向に進退させたときに弾性ワイヤ15に引っ掛かることを抑制できる。
[0064]
 ワイヤ挿通路21の入口は、接続具20の遠位側端面に設けられていることが好ましい。これにより、弾性ワイヤ15を遠位側から挿入しやすくなる。
[0065]
 1つのワイヤ挿通路21には、1本の弾性ワイヤ15が挿通されてもよく、複数の弾性ワイヤ15が挿通されてもよいが、弾性ワイヤ15と接続具20を強固に固定するためには、1つのワイヤ挿通路21に1本の弾性ワイヤ15が挿通されていることが好ましい。このため、ワイヤ挿通路21の内径は、弾性ワイヤ15の外径より大きいことが好ましく、弾性ワイヤ15の外径の1.5倍以下の大きさであることが好ましく、より好ましくは1.2倍以下、さらに好ましくは1.1倍以下の大きさである。
[0066]
 ワイヤ挿通路21の個数は、弾性ワイヤ15の本数に合わせて設けられていればよく、例えば、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上であってもよいが、接続具20を製造しやすくする観点からは例えば12個以下、または10個以下であってもよい。
[0067]
 ワイヤ挿通路21の延在方向は特に制限されないが、ワイヤ挿通路21の少なくとも一部が内筒部材3の軸方向に沿って延在していることが好ましく、より好ましくは、ワイヤ挿通路21全体が内筒部材3の軸方向に沿って延在している。これにより、ワイヤ挿通路21に弾性ワイヤ15の近位端部を挿入しやすくなるとともに、弾性ワイヤ15の座屈を防ぐことができる。
[0068]
 ワイヤ挿通路21は、接続具20を軸方向に貫通するように設けられていてもよい。詳細には、ワイヤ挿通路21の入口が接続具20の遠位側端面に設けられており、出口が接続具20の近位側端面に設けられていてもよい。このようにワイヤ挿通路21を設けることにより、挿通路を長くすることができる。また、内筒部材3の軸方向において、ワイヤ挿通路21が、接続具20の全長と同じ長さであってもよい。このようなワイヤ挿通路21は容易に形成することができるため、接続具20の生産性を高めることができる。
[0069]
 他方、ワイヤ挿通路21の近位端が、接続具20の近位端よりも遠位側に位置していてもよい。すなわち、ワイヤ挿通路21の長さが、接続具20の全長よりも短くてもよい。ワイヤ挿通路21に弾性ワイヤ15を挿入したときに、弾性ワイヤ15がワイヤ挿通路21の突き当たりに接触することによって、捕捉部16に相当する部分の弾性ワイヤ15の長さを一定にすることができる。遠近方向において、ワイヤ挿通路21の長さは、接続具20と弾性ワイヤ15を接合できる限り、接続具20の全長よりも短くてもよく、接続具20の全長の75%以下であってもよく、50%以下であってもよく、また、5%以上、10%以上、あるいは20%以上であることも許容される。
[0070]
 複数のワイヤ挿通路21は、接続具20の周方向に一定の間隔で配置されていることが好ましい。また、複数のワイヤ挿通路21は、接続具20の中心軸を中心とする回転対称に配置されていてもよい。このようにワイヤ挿通路21を配置することによって、捕捉部16が異物を捕捉しやすい形状に形成される。
[0071]
 接続具20は、軸方向における長さが最大外径よりも長いことが好ましい。これにより、ワイヤ挿通路21の長さを確保しやすくなる。
[0072]
 図4および図5に示すように、接続具20は、周壁に外部およびワイヤ挿通路21と連通している固定孔22を有していることが好ましい。固定孔22から接合剤30を注入することによって、弾性ワイヤ15と接続具20をより一層強固に固定することができる。
[0073]
 固定孔22は、1つの挿通路に対して1つ、または複数設けられていてもよいが、接続具20の強度低下を防ぐためには、固定孔22は1つの挿通路に対して1つ設けられていることが好ましい。固定孔22の軸方向は、ワイヤ挿通路21の軸方向と交差していることが好ましく、直交していることがより好ましい。
[0074]
 固定孔22の内径は、ワイヤ挿通路21の内径よりも大きくてもよく、小さくてもよい。また、固定孔22の軸方向における長さは、ワイヤ挿通路21の軸方向における長さよりも短くてもよい。
[0075]
 固定孔22は、ワイヤ挿通路21の近位端よりも遠位側に設けられていることが好ましい。また、軸方向においてワイヤ挿通路21の近位端を0%、遠位端を100%としたときに、固定孔22は25%以上75%以下の区間に設けられていることが好ましく、より好ましくは40%以上60%以下の区間に設けられる。これにより、固定孔22から注入された接合剤30が、ワイヤ挿通路21内で広がりやすくなるため、弾性ワイヤ15と接続具20を強固に固定することができる。
[0076]
 固定孔22に注入される接合剤30としては、例えば、銀ロウ等のロウや、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系等の接着剤を用いることができる。
[0077]
 接続具20と、内筒部材3の接合方法は特に制限されないが、図4および図5に示すように、接続具20は、近位側の外径が遠位側の外径よりも小さい小径部23を有しており、小径部23が、内筒部材3の内腔の遠位側に挿入されていることが好ましい。接続具20にこのような小径部23を設けることによって、内筒部材3と接続具20を容易に接続することができる。
[0078]
 軸方向において、小径部23の長さは、接続具20の全長の半分以下であることが好ましい。このように小径部23の長さを設定することにより、内筒部材3と強固に接合することができる。
[0079]
 上記小径部23と、小径部23よりも遠位側の非小径部において、接続具20の内径が一定であることが好ましい。このように内径を設定することにより、接続具20の内腔24に挿通される補助処置具の摺動性が良好となる。
[0080]
 小径部23の外径は、非小径部の外径の95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましく、80%以下であることがさらに好ましく、また、60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましい。これにより、補助処置具の挿通路の大きさを確保しつつ、内筒部材3と接続しやすくなる。
[0081]
 小径部23における接続具20の内径が、内筒部材3の遠位端における内径以上の大きさであることが好ましい。これにより、補助処置具を内筒部材3の近位側から内腔に挿入するときに、内筒部材3と接続具20の部材の継ぎ目に突き当たりにくくなるため、補助処置具の遠位側から近位側への移動をスムーズに行うことができる。さらに、一旦、補助処置具の軸方向の一部が内筒部材3と接続具20の継ぎ目を通過すれば、補助処置具を内筒部材3から引き抜く操作もスムーズに行うことができる。また、小径部23における接続具20の内径が、内筒部材3の遠位端における内径より小さくてもよい。さらに、小径部23の近位端における接続具20の内径が、内筒部材3の遠位端における内径と同じであることが好ましい。接続具20と内筒部材3の間には段差がないため、補助処置具をより一層スムーズに挿通することができる。
[0082]
 小径部23における接続具20の外径が、内筒部材3の遠位端における内径以下の大きさであることが好ましい。このように接続具20と内筒部材3の内径を設定することにより、内筒部材3の遠位端側に接続具20の近位側を挿入することができる。
[0083]
 接続具20に小径部23が設けられる場合、ワイヤ挿通路21および固定孔22は、小径部23よりも遠位側の非小径部に設けられていることが好ましい。このようにワイヤ挿通路21および固定孔22を形成することによって、接続具20の強度低下を防ぐことができる。
[0084]
 また、本発明には、上述したバスケットカテーテル1と、内筒部材3の内腔に挿通されている補助処置具と、を有する医療用処置具も含まれる。本発明の医療用処置具によれば、バスケットカテーテル1の内腔に挿通されている補助処置具により、管腔内または異物の観察や捕捉した異物の除去等の処置を行うことができる。このため、嵌頓の防止、症例に応じた手技の選択肢の増加、低侵襲治療の促進といった効果が得られる。
[0085]
 補助処置具としては、バルーンカテーテル、マイクロカテーテル、鉗子、レーザープローブ、ファイバースコープ、電気水圧衝撃破砕プローブ(Electronic hydraulic lithotripsy:EHL)またはガイドワイヤーが挙げられる。バルーンカテーテル、鉗子、レーザープローブおよびEHLを用いれば、バスケット部10に引っ掛かった異物を除去できるため、嵌頓の発生を抑制することができる。マイクロカテーテルは、バスケットカテーテル1の遠位端よりも遠位側への造影剤の注入や、ガイドワイヤーを通しにくい部位にバスケットカテーテル1を送達するためのワイヤーバックアップに使用できる。また、ファイバースコープは、バスケットカテーテル1の遠位端よりも遠位側の状態の観察に使用できる。ガイドワイヤーは、バスケットカテーテル1の送達ルートや送達位置を案内することができる。
[0086]
2.医療用処置具の作動方法
 本発明の医療用処置具の作動方法は、補助処置具を内筒部材3の内腔に配置する工程を有していることが好ましい。具体的には、補助処置具の遠位端部を、内筒部材3の近位側から挿入することが好ましい。この工程は、補助処置具を内筒部材3の遠位端から露出させる工程の前準備工程に相当する。
[0087]
 上記作動方法は、補助処置具が、内筒部材3の遠位端から外部に露出する工程を有する。詳細には、補助処置具の遠位側に設けられている処置部の近位端を、内筒部材3の遠位端よりも遠位側に配置することが好ましい。これにより、バスケットカテーテル1による異物等の対象物の捕捉に加えて、補助処置具により、管腔内または異物の観察や捕捉した異物の除去等の処置を行うことができる。なお、補助処置具を、内筒部材3の遠位端から外部に露出する工程の前に、バスケット部10で対象物を捕捉する工程を行ってもよい。
[0088]
 上記作動方法は、さらに、バスケット部10で対象物を保持する工程と、バスケット部10に保持されている対象物を補助処置具を用いて除去する工程(除去工程)を有していることが好ましい。バスケット部10で保持した結石等の対象物をリリースすることが出来なくても、補助処置具を用いて対象物を除去することができるので、嵌頓の発生を抑制することができる。対象物を除去するためには、補助処置具は、バルーンカテーテル、鉗子、レーザープローブまたはEHLであることが好ましい。例えば、補助処置具がバルーンカテーテルの場合、バルーンを膨張させることによって対象物に内側から荷重を加えて複数の弾性ワイヤ15の間隔を広げることにより、弾性ワイヤ15に引っ掛かっていた対象物がバスケット部10の外に押し出されるため、対象物を除去することができる。上記除去工程では、補助処置具の鉗子、レーザープローブまたはEHLを用いて、対象物を破砕してもよい。また、上記除去工程では、補助処置具の鉗子によって、対象物を把持して、バスケット部10からリリースさせることも好ましい。
[0089]
 上記作動方法は、さらに、前記補助処置具の遠位端を、前記バスケットカテーテル1の遠位端よりも遠位側に配置する工程を有していることが好ましい。その場合、補助処置具がマイクロカテーテル、ファイバースコープまたはガイドワイヤーであることが好ましい。バスケットカテーテル1の遠位端よりも遠位側に存在している対象物や治療対象部位の状態を確認したい場合や、ガイドワイヤーが通し難い部位にバスケットカテーテル1を送達する場合に好適に使用できる。
[0090]
 補助処置具がマイクロカテーテルである場合、マイクロカテーテルの遠位端から造影剤を流してもよい。これにより、バスケットカテーテル1の遠位端よりも遠位側の対象物を越えて造影剤を注入することができるので、バスケットカテーテル1の遠位端よりも遠位側にある対象物や治療対象部位の状態を観察することができる。
[0091]
3.バスケットカテーテルの製造方法
 「1.バスケットカテーテルおよび医療用処置具」で説明したバスケットカテーテル1は、以下の方法で製造することができる。本発明のバスケットカテーテル1の製造方法は、拡張可能なバスケット部10を形成する複数の弾性ワイヤ15と、内筒部材3と複数の弾性ワイヤ15を接続するものであって周方向に並んで配置されている複数のワイヤ挿通路21を有する筒状の接続具20と、を準備する工程と、弾性ワイヤ15の近位端部を遠位側からワイヤ挿通路21に挿入する工程と、弾性ワイヤ15と接続具20を接合する工程と、を有する。
[0092]
 まず、複数の弾性ワイヤ15と、複数のワイヤ挿通路21を有する筒状の接続具20とを準備する。
[0093]
 弾性ワイヤ15は、拡張可能なバスケット部10を形成するものである。弾性ワイヤ15としては、線材を所望の形状に屈曲させた状態で加熱させ、形状記憶させた金属材料または樹脂が好ましく用いられる。加熱温度や加熱時間は、線材の材質に応じて適宜設定することができる。この工程を経ることで、線材は対象物の捕捉に適した形状に加工される。別の方法としては予め所定の形状に屈曲されている線材を準備してもよい。
[0094]
 筒状の接続具20は、内筒部材3と複数の弾性ワイヤ15を接続するものであって周方向に並んで配置されている複数のワイヤ挿通路21を有する。1個のワイヤ挿通路21には、1本または複数の弾性ワイヤ15を挿入することができるが、1本の弾性ワイヤ15を挿通することが好ましい。
[0095]
 接続具20は、周壁に外部およびワイヤ挿通路21と連通している固定孔22を有していることが好ましい。これにより、接続具20と弾性ワイヤ15を強固に固定することができる。ワイヤ挿通路21や固定孔22は、「1.バスケットカテーテルおよび医療用処置具」で説明した構成とすることができる。ワイヤ挿通路21や固定孔22は、ドリル加工、エッチング加工、レーザー加工により形成できる。
[0096]
 本発明は、さらに、先端チップ11を準備する工程を有していてもよい。先端チップ11により、複数の弾性ワイヤ15を遠位端部で固定することができる。
[0097]
 また、本発明は、さらに、線材がらせん状に巻回されて形成されている中空コイル体4を有している内筒部材3を準備する工程を有していることが好ましい。これにより、手元側の回転トルクをバスケット部10に伝達しやすくなり、異物の捕捉操作が行いやすくなる。
[0098]
 本発明には、複数の弾性ワイヤ15の遠位端部を固定する工程を有するバスケットカテーテル1の製造方法も含まれる。複数の弾性ワイヤ15の遠位端部を固定する方法としては、先端チップ11を準備する工程を有している場合、図6に示すように、弾性ワイヤ15(例えば、15a、15b、15c、15d)の遠位端部を先端チップ11に設けられているワイヤ挿入孔12に挿入し、弾性ワイヤ15が挿入された先端チップ11をかしめる(圧着する)、レーザー等による溶接、溶着、ろう付け、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系等の接着剤による接着等により接合する方法が挙げられる。この方法に限られず、複数の弾性ワイヤ15の遠位端部を互いに熱溶着することにより固定してもよい。
[0099]
 次いで、図7に示すように、弾性ワイヤ15の近位端部を遠位側からワイヤ挿通路21に挿入する。このため、ワイヤ挿通路21の内径は、弾性ワイヤ15の近位端部の外径以上であることが好ましい。
[0100]
 図示していないが、上記製造方法は、弾性ワイヤ15をワイヤ挿通路21に挿入する工程の前に、弾性ワイヤ15の近位端部の外径を小さくする工程を有していてもよい。このように弾性ワイヤ15の近位端部の外径を小さくすることにより、ワイヤ挿通路21に挿入しやすくなる。弾性ワイヤ15の近位端部の外径を小さくする方法としては、弾性ワイヤ15の近位端部を刃物で切削する方法や、近位端部を押圧して潰す方法が挙げられる。ワイヤ挿通路21に挿入される挿入部の外径は、挿入されない非挿入部の外径の95%以下の大きさとすることが好ましく、より好ましくは90%以下、さらに好ましくは70%以下、また、40%以上や50%以上の大きさであっても許容される。
[0101]
 上記製造方法は、弾性ワイヤ15と接続具20を接合する工程を有する。弾性ワイヤ15と接続具20を接合する方法としては、弾性ワイヤ15が挿入された接続具20のカシメ(圧着)、レーザー等による溶接、溶着、ろう付け、接着剤による接着等が挙げられる。接合強度のバラツキの発生を抑制するためには、弾性ワイヤ15と接続具20をろう付けまたは接着剤により接着することが好ましい。
[0102]
 図8に示すように、接続具20は、周壁に外部およびワイヤ挿通路21(21bおよび21dは図示せず)と連通している固定孔22を有しており、弾性ワイヤ15と接続具20の接合工程において、固定孔22に接合剤30を注入することが好ましい。接続具20に設けられる固定孔22としては上述した構成にすることができる。接合剤30としては、銀ろう等のろう、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系等の接着剤が挙げられる。
[0103]
 上記製造方法は、接続具20と内筒部材3を接合する工程を有していてもよい。上記製造方法は、図9に示すように、内筒部材3の内腔の遠位端部に、接続具20の近位端部を挿入する工程を有することが好ましい。このように内筒部材3に接続具20を挿入することによって、内筒部材3と接続具20を容易に接合することができる。図9に示すように、内筒部材3の内腔には、接続具20に好ましく設けられる小径部23を挿入してもよい。また、別の態様として、接続具20の内腔24の近位端部に内筒部材3の遠位端部を挿入してもよい。さらに別の態様としては、接続具20の近位端部と内筒部材3の遠位端部を溶接、溶着、ろう付け、接着剤による接着等による方法で接合してもよい。
[0104]
 上記製造方法は、内筒部材3の近位端部に、他の筒状部材(以下、「パイプ」と称する)を接続する工程を有していてもよい。パイプは、把持部材50を操作しやすくするために設けられる部材であるため、内筒部材3よりも硬度が高いことが好ましい。パイプは、ステンレス鋼等の金属材料から構成されることが好ましい。パイプと内筒部材3の接合方法としては、パイプの遠位端部を内筒部材3の内腔の近位端部に挿入する方法の他、レーザー等による溶接、溶着、ろう付け、接着剤による接着等による方法が挙げられる。
[0105]
 また、上記製造方法は、内筒部材3の近位端部に把持部材50を接続する工程、外筒部材2の近位端部に補助把持部材51を接続する工程、外筒部材2の内腔に、内筒部材3を配置する工程を有していてもよい。
[0106]
 本願は、2017年8月24日に出願された日本国特許出願第2017-161611号に基づく優先権の利益を主張するものである。2017年8月24日に出願された日本国特許出願第2017-161611号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。

符号の説明

[0107]
1:バスケットカテーテル
2:外筒部材
3:内筒部材
4:中空コイル体
4A:第1層、4B:第2層、4C:第3層
10:バスケット部
11:先端チップ
12:ワイヤ挿入孔
15、15a、15b、15c、15d:弾性ワイヤ
16:捕捉部
20:接続具
21、21a、21b、21c、21d:ワイヤ挿通路
22:固定孔
23:小径部
24:接続具の内腔
30:接合剤
50:把持部材
51:補助把持部材
52:抵抗部材

請求の範囲

[請求項1]
 遠位側と近位側を有するバスケットカテーテルであって、
 外筒部材と、
 該外筒部材の内腔に配置されている内筒部材と、
 前記内筒部材の遠位側に配置され、複数の弾性ワイヤを有し拡張可能なバスケット部と、を有しており、
 前記内筒部材は、線材がらせん状に巻回されて形成されている中空コイル体を有しているバスケットカテーテル。
[請求項2]
 前記中空コイル体は、少なくとも第1層と、該第1層よりも外側に配置されている第2層を有しており、
 前記線材の巻回方向が前記第1層と前記第2層で反対となっている請求項1に記載のバスケットカテーテル。
[請求項3]
 前記中空コイル体は、第1層と、該第1層よりも外側に配置されている第2層と、前記第2層よりも外側に配置されている第3層からなり、
 前記線材の巻回方向が前記第1層と前記第2層で反対となっており、前記第2層と前記第3層で反対となっている請求項1または2に記載のバスケットカテーテル。
[請求項4]
 前記中空コイル体の内腔に、遠近方向に沿って延在している他の線材が配置されており、前記他の線材の一方端部と他方端部が前記中空コイル体に固定されている請求項1~3のいずれか一項に記載のバスケットカテーテル。
[請求項5]
 前記内筒部材は、前記中空コイル体の近位端部に接続されている金属管をさらに有する請求項1~4のいずれか一項に記載のバスケットカテーテル。
[請求項6]
 前記複数の弾性ワイヤと前記内筒部材が、筒状の接続具によって接続されている請求項1~5のいずれか一項に記載のバスケットカテーテル。
[請求項7]
 前記接続具は、遠位側から前記弾性ワイヤの近位端部が挿入されているワイヤ挿通路を複数有しており、前記複数のワイヤ挿通路が周方向に並んで配置されている請求項6に記載のバスケットカテーテル。
[請求項8]
 前記接続具は、周壁に外部および前記ワイヤ挿通路と連通している固定孔を有している請求項7に記載のバスケットカテーテル。
[請求項9]
 前記接続具は、近位側の外径が遠位側の外径よりも小さい小径部を有しており、
 前記小径部が、前記内筒部材の内腔の遠位側に挿入されている請求項6~8のいずれか一項に記載のバスケットカテーテル。
[請求項10]
 前記小径部における前記接続具の内径が、前記内筒部材の遠位端における内径以上の大きさである請求項9に記載のバスケットカテーテル。
[請求項11]
 請求項1~10のいずれか一項に記載のバスケットカテーテルと、
 前記内筒部材の内腔に挿通されている補助処置具と、を有する医療用処置具。
[請求項12]
 前記補助処置具は、バルーンカテーテル、マイクロカテーテル、鉗子、レーザープローブ、ファイバースコープ、電気水圧衝撃破砕プローブまたはガイドワイヤーである請求項11に記載の医療用処置具。
[請求項13]
 拡張可能なバスケット部を形成する複数の弾性ワイヤと、内筒部材と前記複数の弾性ワイヤを接続するものであって周方向に並んで配置されている複数のワイヤ挿通路を有する筒状の接続具と、を準備する工程と、
 前記弾性ワイヤの近位端部を遠位側から前記ワイヤ挿通路に挿入する工程と、
 前記弾性ワイヤと前記接続具を接合する工程と、を有するバスケットカテーテルの製造方法。
[請求項14]
 前記接続具は、周壁に外部および前記ワイヤ挿通路と連通している固定孔を有しており、
 前記弾性ワイヤと前記接続具の接合工程において、前記固定孔に接合剤を注入する請求項13に記載のバスケットカテーテルの製造方法。
[請求項15]
 前記弾性ワイヤを前記ワイヤ挿通路に挿入する工程の前に、
 前記弾性ワイヤの近位端部の外径を小さくする工程を有する請求項13または14に記載のバスケットカテーテルの製造方法。
[請求項16]
 さらに、線材がらせん状に巻回されて形成されている中空コイル体を有している前記内筒部材を準備する工程と、
 前記内筒部材の内腔の遠位端部に、前記接続具の近位端部を挿入する工程と、を有する請求項13~15のいずれか一項に記載のバスケットカテーテルの製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]