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1. (WO2019038818) フローセル
Document

明 細 書

発明の名称 フローセル

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009   0010   0011  

課題を解決するための手段

0012   0013   0014   0015  

発明の効果

0016  

図面の簡単な説明

0017  

発明を実施するための形態

0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032  

符号の説明

0033  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : フローセル

技術分野

[0001]
 本発明は、例えば液体の吸光度等を測定する光検出装置において用いられるフローセルに関し、特に試料水が流れる流路を、例えば直線状のキャピラリによって構成したキャピラリフローセルに関するものである。

背景技術

[0002]
 高速液体クロマトグラフに用いられる光検出装置の一つとして、吸光度光検出装置が知られている。吸光度光検出装置では、試料水が流れる流路を内部に有するフローセルを用い、光源からの光をフローセルに照射し、フローセルを透過した光量を検出する。フローセルを透過した光量の変化を検出することにより、フローセル内の流路を流れる試料水の特定波長の光の吸光度を測定する。吸光度を測定することにより、試料水中に含まれる特定成分の濃度を定量することができる。
[0003]
 希少試料の分析を高感度かつ高速に行なうためには、分析システムの容量をできる限り小さくし、かつ分析システム内での試料の拡散をできる限り抑制することが重要である。例えば超高速液体クロマトグラフでは、分析システム内の小容量化や低拡散化を実現するために、システム内の流路を構成する配管を細く、配管の長さを短く、光検出装置のフローセルの内部容量を小さく、さらにフローセルの通液部分の断面積を小さくするといったことがなされている。
[0004]
 光検出装置のフローセルは、ステンレスやポリエーテルエーテルケトンなどからなるブロック内に細い流路を設けたものが一般的である。フローセルの内部容量を小さくするためには、ブロック内の流路の断面積を小さくすることが考えられる。しかし、フローセル内の流路の断面積を単純に小さくと、光が通過する断面積が小さくなる分だけ光量が低下するほか、フローセル内の流路壁面で散乱する光の量も増加する。これにより、フローセルを透過する光量が低下し、S/Nが悪化するという問題があった。従来のブロック型のフローセルでは、小容量・低拡散化の実現と高感度高速分析の実現はトレードオフの関係にあり、両立を図ることは困難であった。
[0005]
 このような問題に対し、試料水の流れる流路としてキャピラリを使用したキャピラリフローセルが提案され、実施もなされている(特許文献1、2参照。)。キャピラリの一端から入射した光は内側壁面(試料水とキャピラリの界面)あるいは外側壁面(キャピラリと空気の界面)で全反射を繰り返してキャピラリ内を伝搬するため、フローセルの流路の壁面で光が散乱し光量が低下することが抑制される。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2014-041024号公報
特許文献2 : 米国特許公開第2012/0069340号明細書

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 上記のようなキャピラリフローセルでは、キャピラリの中央部のコアを試料水が流れるため、コアを伝搬する光は試料水の成分濃度の影響を受ける一方で、キャピラリのクラッド(コアの周囲部分)を伝搬する光は試料水の成分濃度の影響を受けない。すなわち、キャピラリのクラッドを伝搬してきた光は試料水の成分濃度の測定に寄与しない迷光となる。
[0008]
 吸光度光検出装置のような光検出装置を用いて定量分析を行なう場合、検量線を用いることが一般的である。検量線のダイナミックレンジは光検出装置性能の重要な特徴の一つである。検量線のダイナミックレンジに影響する測定結果の直線性を悪化させる要因として迷光がある。
[0009]
 キャピラリのコアから出射した光とクラッドから出射した光の両方を検出して測定に用いると、迷光成分の寄与が大きくなり、測定結果の直線性が悪化する。このような問題に対応するため、特許文献1に開示されているように、キャピラリのコアの出射側端部に光ファイバ(導波路)を挿入し、コアを伝搬してきた光のみを光検出素子に導いて検出するということが行われる場合がある。しかし、フローセルに用いられるキャピラリの内径は極めて小さいため、キャピラリ内に光ファイバを挿入する作業は容易ではなく、熟練を要する。
[0010]
 また、特許文献2に開示されているように、検出面が複数に分割された光検出素子を用いてキャピラリのコアを伝搬してきた光とクラッドを伝搬してきた光を別々に検出するといったこともなされているが、複数に分割された検出面を有する光検出素子の製造コストが高く、量産型の光検出装置への搭載は現実的ではない。
[0011]
 そこで、本発明は、簡単な構造をもつフローセルで迷光成分の低減を図ることを目的とするものである。

課題を解決するための手段

[0012]
 本発明に係るフローセルは、試料液が流れる流路を構成するコア、及び前記流路の壁面をなす光透過性のクラッドを有する直線状のキャピラリと、光源からの光を前記キャピラリの一端に光を入射させるための入射部と、前記キャピラリを通過した光を前記キャピラリの他端から取り出して光検出素子へ導くための出射部と、前記キャピラリの前記クラッドを通過した光の前記出射部からの出射光量を低下させる遮光部と、を備えている。
[0013]
 前記遮光部の一例は、前記キャピラリの前記他端側の前記クラッドの端面に光透過率を低下させる低透過率加工が施されて構成されたものである。低透過率加工としては、フッ酸によるフロスト処理やサンドブラストによってキャピラリ端面の表面を荒くする加工などが挙げられる。なお、遮光部は、クラッドの端面から出射する光量を低減させるものであり、好ましくはクラッドの端面から出射する光量をゼロにするものである。したがって、光透過率を低下させるとは、光透過率を0にすることを含む。
[0014]
 前記遮光部の他の例は、前記キャピラリの前記他端側の前記クラッドの端面と前記出射部との間に光透過率を低下させる部材が配置されて構成されたものである。光透過率を低下させる部材としては、キャピラリの端面に貼り付けられた円環状のガスケット、キャピラリの端面に銀鏡反応により成膜された鏡、キャピラリの端面に蒸着された金属、誘電体又は絶縁体などが挙げられる。また、光透過率を低下させる部材は、キャピラリの端面に直接貼り付いていなくてもよく、キャピラリのクラッドから出射した光の出射部からの出射光量を低減するか又はゼロにするものであれば、いかなるものであってもよい。
[0015]
 ところで、入射部に照射された光源からの光がキャピラリのコア以外の部分からフローセル内に取り込まれるようになっていると、フローセル内に取り込まれた光によってフローセル内の樹脂製の部材が劣化する虞がある。そこで、前記キャピラリの前記一端側、すなわち入射側の前記クラッドの端面にも光透過率を低下させる低透過率加工が施されているか、又は前記キャピラリの前記一端側の前記クラッドの端面及び前記キャピラリを保持する保持部材の端面と前記入射部との間に光透過率を低下させる部材が配置されていることが好ましい。そうすれば、フローセル内の樹脂製の部材の劣化を抑制することができる。

発明の効果

[0016]
 本発明のフローセルでは、キャピラリのクラッドを通過した光の出射部からの出射光量を低下させる遮光部を備えているので、光検出素子によって検出される光量のうちキャピラリのクラッドを伝搬してきた光量の割合、すなわち迷光成分の割合が低下する。これにより、測定結果の直線性が向上する。

図面の簡単な説明

[0017]
[図1] フローセルの一実施例を示す模式的断面図である。
[図2] 同実施例のフローセルから取り出されたキャピラリを示す斜視図である。
[図3] 同実施例による吸光度測定結果の直線性の検証結果を示すグラフである。
[図4] フローセルの他の実施例を示す模式的断面図である。

発明を実施するための形態

[0018]
 以下に、本発明に係るフローセルの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[0019]
 図1に示されているように、フローセル1はキャピラリ2を備えており、試料水が流れる流路をキャピラリ2のコア2aによって実現している。キャピラリ2の一端(図において左端)はフェルール等によって実現される保持部材6aによって基体4に対して液密に装着されている。キャピラリ2の他端(図において右端)も同様に、フェルール等によって実現される保持部材6bによって基体4に対して液密に装着されている。
[0020]
 キャピラリ2内の試料水が流れる中央の空洞をコア2a、その周囲の壁面をクラッド2bと称する。キャピラリ2のクラッド2bは、溶融石英、合成石英などからなる各種ガラス、水晶、サファイアなど、170nm~800nmの波長の光の透過率が70%以上である材質によって構成されている。
[0021]
 基体4のキャピラリ2の一端を保持する部分に開口が設けられ、その開口に入射窓8aが取り付けられている。また、基体4のキャピラリ2の他端を保持する部分にも開口が設けられ、その開口に出射窓8bが取り付けられている。入射窓8aと出射窓8bは、レンズであってもよいし、石英などの光透過性材料からなる平板であってもよい。入射窓8aは光源からの光をキャピラリ2の一端へ入射させる入射部をなし、出射窓8bはキャピラリ2を通過した光をキャピラリ2の他端から取り出して光検出素子へ導くための出射部をなしている。
[0022]
 基体4には、キャピラリ2の一端と入射窓8aとの間の空間12aに通じる導入流路10aと、キャピラリ2の他端と出射窓8bとの間の空間12bに通じる導出流路10bが設けられている。導入流路10aには、例えば液体クロマトグラフの分析カラムの下流側の流路が接続される。分析カラムから溶出した試料水は、導入流路10aを介してフローセル1内に導入される。フローセル1内に導入された試料水はキャピラリ2のコア2aを流れてキャピラリ2の他端側の空間12bに至り、導出流路10bを介してフローセル1の外部へ排出される。
[0023]
 キャピラリ2の他端側のクラッド2bの端部に遮光部14が設けられている。遮光部14は、キャピラリ2のクラッド2bを伝搬してきた光の射出窓8bからの射出光量を低減するものである。
[0024]
 遮光部14は、図2に示されているように、キャピラリ2の他端側のクラッド2bの端面がフッ酸によるフロスト処理やサンドブラストによって表面荒さを荒くする加工(低透過率加工)が施されることで、光透過率が低減されたものであってもよい。また、遮光部14は、キャピラリ2の他端側のクラッド2bの端面に貼り付けられた円環状のガスケット等であってもよいし、キャピラリ2の他端側のクラッド2bの端面に銀鏡反応により成膜された鏡、蒸着された金属、誘電体又は絶縁体などであってもよい。また、遮光部14は、キャピラリ2の他端側のクラッド2bの端面に直接貼り付いていなくてもよい。
[0025]
 遮光部14は、キャピラリ2のクラッド2bを伝搬してきた光の射出窓8bからの射出光量を低減するものであればよいが、迷光成分をより低減するためには、キャピラリ2のクラッド2bの端部から射出窓8bに向けて射出される光の量をゼロにすることが好ましい。そのため、遮光部14の光透過率がゼロであることが好ましい。
[0026]
 この実施例では、入射窓8aからキャピラリ2の一端側に入射した光は、試料水の流れるコア2a内だけでなくクラッド2b内も伝搬するが、クラッド2b内を伝搬してきた光は遮光部14のうちの少なくとも一部、好ましくは全部が出射窓8bから出射しないようになっている。これにより、出射窓8bから射出された光におけるクラッド2b内を伝搬してきた光、すなわち迷光成分の割合が低減される。
[0027]
 図3は、キャピラリ2の他端側に遮光部14を設けたことの効果についての検証結果を示すグラフである。このグラフの横軸は、試料水中の特定の成分濃度(試料濃度)であり、縦軸はそのときに測定された吸光度の値である。また、このグラフの「実施例」はキャピラリ2の他端側にクラッド2bの端面からの光を透過させない遮光部14を設けた場合の測定データであり、「比較例」はキャピラリ2の他端側に遮光部14を設けなかった場合(比較例)の測定データである。
[0028]
 試料濃度が高くなると、それに比例して試料水の吸光度も高くなるはずである。しかし、このグラフからわかるように、キャピラリ2の他端側に遮光部14を設けない場合には、試料濃度が高くなるにつれてキャピラリ2のコア2aを通過する光量が低下する一方で、クラッド2bを通過する光量は低下しないため、キャピラリ2を通過して検出される光量に占める迷光成分の割合が上昇する。そのため、「比較例」では、試料濃度がある程度高くなると、試料濃度が上昇しても吸光度の測定値がそれに比例するようには上昇しない。
[0029]
 これに対し、キャピラリ2の他端側に遮光部14を設けると、試料濃度に関係なくキャピラリ2を通過して検出される光量に占める迷光成分の割合が低くなるため、このグラフの「実施例」に示されているように、試料濃度の上昇に比例するように吸光度の測定値も上昇し、測定結果の直線性が向上する。
[0030]
 図4はフローセル1のさらに好ましい実施形態を示している。この実施形態では、キャピラリ2の一端側(図において左側)のクラッド2bの端部にも遮光部16が設けられている。遮光部16はクラッド2bへの入射光量を低減、好ましくはクラッド2bへの入射光量をゼロにするためのものである。
[0031]
 遮光部16は、遮光部14と同様に、キャピラリ2の一端側のクラッド2bの端面がフッ酸によるフロスト処理やサンドブラストによって表面荒さを荒くする加工(低透過率加工)が施されることで、光透過率が低減されたものであってもよい。また、遮光部16は、キャピラリ2の一端側のクラッド2bの端面に貼り付けられた円環状のガスケット等であってもよいし、キャピラリ2の一端側のクラッド2bの端面に銀鏡反応により成膜された鏡、蒸着された金属、誘電体又は絶縁体などであってもよい。また、遮光部16は、キャピラリ2の一端側のクラッド2bの端面に直接貼り付いていなくてもよい。
[0032]
 このように、キャピラリ2の入射側及び保持部材6aの入射側にも遮光部16が設けられていることで、キャピラリ2のクラッド2bの端面から入射した光がキャピラリ2を保持する保持部材6a、6bなどに照射されることが防止される。これにより、保持部材6a、6bがPEEKなどの樹脂によって構成されていても、その樹脂に光が当たることによって劣化することが抑制され、フローセル1の長寿命化に寄与する。

符号の説明

[0033]
   1   フローセル
   2   キャピラリ
   4   基体
   6a,6b   保持部材
   8a   入射窓
   8b   出射窓
   10a   導入流路
   10b   導出流路
   12a,12b   空間
   14,16   遮光部

請求の範囲

[請求項1]
 試料液が流れる流路を構成するコア、及び前記流路の壁面をなす光透過性のクラッドを有する直線状のキャピラリと、
 光源からの光を前記キャピラリの一端に光を入射させるための入射部と、
 前記キャピラリを通過した光を前記キャピラリの他端から取り出して光検出素子へ導くための出射部と、
 前記キャピラリの前記クラッドを通過した光の前記出射部からの出射光量を低下させる遮光部と、を備えたフローセル。
[請求項2]
 前記遮光部は、前記キャピラリの前記他端側の前記クラッドの端面に光透過率を低下させる低透過率加工が施されて構成されている、請求項1に記載のフローセル。
[請求項3]
 前記遮光部は、前記キャピラリの前記他端側の前記クラッドの端面と前記出射部との間に光透過率を低下させる部材が配置されて構成されている、請求項1に記載のフローセル。
[請求項4]
 前記キャピラリの前記一端側の前記クラッドの端面に光透過率を低下させる低透過率加工が施されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のフローセル。
[請求項5]
 前記キャピラリの前記一端側の前記クラッドの端面及び前記キャピラリを保持する保持部材の端面と前記入射部との間に光透過率を低下させる部材が配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のフローセル。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]