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1. (WO2019035164) 遮熱部品及びその製造方法
Document

明 細 書

発明の名称 遮熱部品及びその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

0005   0006   0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058  

実施例

0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105  

産業上の利用可能性

0106  

符号の説明

0107  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : 遮熱部品及びその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、遮熱部品及びその製造方法に関する。詳細には、本発明は、優れた断熱性を有する遮熱部品及びその製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 例えば内燃機関などでは、燃焼室内の熱を逃がさないように燃焼室の内壁面に断熱性を有する薄膜を形成し、熱効率を向上させることが検討されている。
[0003]
 例えば、特許文献1では、粒子製造工程と、ガス抜用加熱工程と、焼成用加熱工程と、を含むことで、各粒子内に気泡が形成された薄膜を基材上に形成する、薄膜の形成方法が記載されている。ここで、粒子製造工程では、粒状の樹脂の周りを無機化合物の層で覆った粒子を製造する。また、ガス抜用加熱工程では、基材上に塗布された、有機化合物と多数の粒子とを含む薄膜を加熱して、上記粒子内の樹脂をガス化させるとともに、上記有機化合物の熱分解により発生するガスを薄膜から抜いている。また、焼成用加熱工程では、ガス抜用加熱工程後の薄膜をガス抜用加熱工程よりも高い温度で加熱して、無機化合物の層を緻密化させるとともに、熱分解後の上記有機化合物を焼成する。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2010-70792号公報

発明の概要

[0005]
 しかしながら、特許文献1に記載された気孔は、周囲が無機化合物に覆われており、この無機化合物を通じて熱が伝導するため、特許文献1のエンジン燃焼室構造では、基材に対する断熱性が十分ではなかった。
[0006]
 本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、優れた断熱性を有する遮熱部品を提供することにある。
[0007]
 本発明の態様に係る遮熱部品は、基材と、気孔を含むセラミックス多孔質層と、を備え、気孔の内壁は熱可塑性樹脂により被覆されており、セラミックス多孔質層の気孔率が所定の範囲内である。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 図1は、本実施形態に係る遮熱部品の一例を示す断面図である。
[図2] 図2は、本実施形態に係る遮熱部品の断面における電子顕微鏡写真の一例である。
[図3] 図3は、本実施形態に係る遮熱部品の他の例を示す断面図である。
[図4] 図4は、本実施形態に係る遮熱部品の製造方法を示すフローチャートである。
[図5] 図5は、冷却応答性試験の測定方法を示す概略図である。

発明を実施するための形態

[0009]
 以下、図面を用いて本実施形態に係る遮熱部品及びその製造方法について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
[0010]
 [遮熱部品]
 図1に示すように、本実施形態の遮熱部品100は、基材10と、セラミックス多孔質層20と、を備える。図1は本実施形態に係る遮熱部品の一例を示す断面図である。また、図2は本実施形態に係る遮熱部品の断面における電子顕微鏡写真の一例である。本実施形態では、遮熱部品100がセラミックス多孔質層20を備えることで、外部から基材10へ伝わる熱を遮って、熱が伝達するのを抑制することができる。以下、各構成を詳細に説明する。
[0011]
 (基材10)
 基材10を形成する材料としては特に限定されないが、例えばアルミニウム、マグネシウム、鉄などの金属が挙げられる。また、基材10の形状や厚みなどは特に限定されず、用途に応じて適宜変更することができる。
[0012]
 (セラミックス多孔質層20)
 セラミックス多孔質層20は基材10の上に配置される。セラミックス多孔質層20は、基材10と直接接していてもよく、接着層などの他の層を介して配置されていてもよい。図1の実施形態では、セラミックス多孔質層20は基材10の表面上にセラミックス多孔質層20が直接接するように配置されている。
[0013]
 セラミックス多孔質層20は、基体21と、気孔26と、を含む。ただし、セラミックス多孔質層20には、基体21及び気孔26に加え、他の添加物などが含まれていてもよい。
[0014]
 基体21はセラミックスを含む。セラミックスとしては特に限定されず、遮熱部品100が用いられる用途に応じて適宜選択することができる。セラミックスとしては、例えば酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物などの無機化合物が挙げられる。これらの化合物は1種又は2種以上を混合して用いることができる。
[0015]
 セラミックスは、金属の酸化物及び窒化物の少なくともいずれか一方とすることができる。金属の酸化物としては、例えばジルコニア(ZrO )、酸化イットリウム(Y )、アルミナ(Al )などが挙げられる。また、金属の窒化物としては、例えば窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si )、窒化ホウ素(BN)、窒化チタン(TiN)などが挙げられる。
[0016]
 これらの中でも、セラミックスがジルコニアであるか、又は、セラミックスが窒化アルミニウムであることが好ましい。これらの材料は熱伝導率が低く、高い強度と靱性を有するためである。
[0017]
 気孔26は、基体21に含有される。気孔26の形状は特に限定されず、球状、半球状、楕円体状、三日月状など特に限定されない。
[0018]
 気孔26の内壁は熱可塑性樹脂により被覆されている。そして、気孔26の内側に熱可塑性樹脂層28が形成され、熱可塑性樹脂層28の内側に空洞部27が形成される。本実施形態では、基体21で空洞部27が圧迫されて潰れないように、熱可塑性樹脂層28によって気孔26の形状が維持されている。そして、本実施形態では、無機化合物よりも熱伝導率の比較的低い熱可塑性樹脂により気孔26の内壁を被覆することにより、外部の熱が基材10に伝わるのを抑制し、遮熱部品100の断熱性を向上させている。なお、空洞部27が形成されているのであれば、気孔26の内壁は完全に被覆されている必要はない。ただし、気孔26の内壁の80%以上が被覆されていることが好ましく、90%以上が被覆されていることがより好ましく、95%以上被覆されていることがさらに好ましい。
[0019]
 空洞部27の内径は特に限定されないが、5μm~100μmであることが好ましく、5μm~50μmであることがより好ましい。空洞部27の内径をこのような範囲とすることにより、セラミックス多孔質層20の強度と断熱性を両立することができる。なお、空洞部27の内径は、走査型電子顕微鏡(SEM)などにより観察されたセラミックス多孔質層20の断面写真において、数十個の平均値とすることができる。
[0020]
 熱可塑性樹脂層28を形成する熱可塑性樹脂は特に限定されないが、1,1-ジクロロエチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン及び酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも一種以上の単量体により形成された重合体であることが好ましい。
[0021]
 熱可塑性樹脂層28の厚さは特に限定されないが、0.1μm~20μmであることが好ましい。熱可塑性樹脂層28の厚さを0.1μm以上とすることにより、気孔の形状をより強固に保つことができる。また、熱可塑性樹脂層28の厚さを20μm以下とすることにより、熱可塑性樹脂による熱伝導を抑制することができるため、断熱性をより向上させることができる。なお、熱可塑性樹脂層28の厚さは、2μm~15μmであることがより好ましい。
[0022]
 本実施形態では、セラミックス多孔質層20の気孔率が40%~70%である。このように、セラミックス多孔質層20の気孔率を40%以上とすることにより、十分な気孔の数を有することから、十分な断熱性を有するセラミックス多孔質層を形成することができる。また、セラミックス多孔質層20の気孔率を70%以下とすることにより、セラミックス多孔質層20の物理的強度を維持することができる。なお、セラミックス多孔質層20の気孔率は、断面を電子顕微鏡などで観察し、セラミックス多孔質層20における気孔の面積の割合を算出することにより測定することができる。
[0023]
 セラミックス多孔質層20の厚さは特に限定されないが、30μm~500μmであることが好ましい。セラミックス多孔質層20の厚さを30μm以上とすることにより、遮熱部品100の断熱性を向上させることができる。また、セラミックス多孔質層20の厚さを500μm以下とすることにより、例えば内燃機関に遮熱部品100を用いた場合に、シリンダ内で燃焼ガスが過度に加熱されるのを抑制し、ノッキングが発生するのを抑制することができる。なお、セラミックス多孔質層20の厚さは、30μm~200μmであることがより好ましい。
[0024]
 セラミックスの熱伝導率が5W/(m・K)以下であることが好ましい。セラミックスの熱伝導率を5W/(m・K)以下とすることにより、遮熱部品100の断熱性を向上させることができる。セラミックスの熱伝導率の下限は特に限定されないが、例えば0.1W/(m・K)以上である。なお、セラミックスの熱伝導率は、例えば、セラミックスの密度、比熱容量及び熱拡散時間を乗ずることにより算出することができる。
[0025]
 セラミックス多孔質層20の熱伝導率が1W/(m・K)以下であることが好ましい。セラミックス多孔質層20の熱伝導率を1W/(m・K)以下とすることにより、遮熱部品100の断熱性を向上させることができる。セラミックス多孔質層20の熱伝導率の下限は特に限定されないが、例えば0.01W/(m・K)以上である。なお、セラミックス多孔質層20の熱伝導率は、例えば、セラミックス多孔質層20の密度、比熱容量及び熱拡散時間を乗ずることにより算出することができる。
[0026]
 また遮熱部品100の断熱性の観点より、セラミックスの熱伝導率が5W/(m・K)以下であり、セラミックス多孔質層20の熱伝導率が1W/(m・K)以下であることがさらに好ましい。また、セラミックスの熱伝導率が5W/(m・K)以下であり、セラミックス多孔質層20の熱伝導率が0.5W/(m・K)以下であることが特に好ましい。
[0027]
 セラミックス多孔質層20の容積比熱が1500kJ/m K以下であることが好ましい。セラミックス多孔質層20の容積比熱を1500kJ/m K以下とすることにより、遮熱部品100の断熱性を向上させることができる。なお、セラミックス多孔質層20の容積比熱が1000kJ/m K以下であることがより好ましい。セラミックス多孔質層20の容積比熱の下限は特に限定されないが、例えば10kJ/m K以上である。また、セラミックス多孔質層20の容積比熱は、セラミックス多孔質層20の密度及び比熱容量を乗ずることにより算出することができる。
[0028]
 (被覆層30)
 図3に示すように、本実施形態の遮熱部品100は、セラミックス多孔質層20の表面を被覆し、シリカにより形成された被覆層30をさらに備えることが好ましい。被覆層30は、は遮熱部品の耐熱性を向上させるだけでなく、セラミックス多孔質層20の表面において、熱可塑性樹脂によって被覆されていない開気孔を被覆して閉気孔を形成することができ、断熱性をさらに向上させることができるためである。
[0029]
 シリカにより形成された被覆層は、例えばポリシラザンを含む溶液を塗布して硬化させることにより形成することができる。
[0030]
 被覆層30の厚さは、セラミックス多孔質層20の表面に閉気孔が形成されていれば特に限定されないが、0.01μm以上5μm以下であることが好ましい。被覆層30の厚みを0.01μm以上とすることにより遮熱部品の耐熱性を向上させることができる。また、被覆層30の厚みを5μm以下とすることにより被覆層30のクラックの発生を抑制することができる。
[0031]
 以上の通り、本実施形態の遮熱部品は、基材と、基材の上に配置され、セラミックスを含む基体と、基体に含有される気孔と、を含むセラミックス多孔質層と、を備える。そして、本実施形態の遮熱部品では、気孔の内壁は熱可塑性樹脂により被覆されており、セラミックス多孔質層の気孔率が40%~70%である。
[0032]
 このように、本実施形態の遮熱部品は、熱可塑性樹脂により形成された気孔の内壁は熱可塑性樹脂により被覆されており、セラミックス多孔質層の気孔率が所定の範囲内である。そのため、気孔が無機化合物により形成されている場合と比較して、遮熱部品の断熱性に優れている。したがって、例えば遮熱部品を内燃機関に用いた場合に、燃焼室内の熱を逃がさないようにすることができるため、内燃機関の熱効率を向上させることができる。
[0033]
 [内燃機関]
 次に、本実施形態の内燃機関について説明する。本実施形態の内燃機関は、上記遮熱部品を備える。上述の通り、上記遮熱部品は、優れた断熱性を有することから、内燃機関に用いることで、内燃機関の熱効率を向上させることができる。上記遮熱部品は、内燃機関において、燃焼ガスに曝されて高温になる部材の表面に配置されることが好ましい。燃焼ガスに曝されて高温になる部材としては、例えば、燃焼室を構成するピストン、シリンダヘッド、バルブ、シリンダの他、シリンダヘッド排気ポート、エキゾーストマニホールド、排気管、過給機等の排気系部材が挙げられる。上記遮熱部品は、必ずしもこれらの部材の全表面に配置する必要はなく、燃焼ガスに曝されて高温になる面に配置されていればよい。
[0034]
 [遮熱部品の製造方法]
 図4に示すように、本実施形態の遮熱部品の製造方法は、混合工程S1と、塗布工程S2と、加熱工程S3と、を備える。以下、各工程について詳細に説明する。
[0035]
 混合工程S1では、ゾルと、熱発泡性マイクロスフェアと、を混合して混合溶液を得る。ゾルと熱発泡性マイクロスフェアとを混合する方法は特に限定されず、例えば、一軸混練機、二軸混練機、遊星式ミキサー及びニーダーなどを用いてゾルに熱発泡性マイクロスフェアを分散させて混合することができる。
[0036]
 ゾルは、セラミックス前駆体を含む。セラミックス前駆体は、上述したセラミックスの前駆体となる物質である。セラミックス前駆体としては、例えばジルコニウム、イットリウム、アルミニウム、ケイ素、チタンからなる群より選択される少なくとも1種以上の金属又は半金属のアルコキシドなどを用いることができる。また、アルコキシドの種類は特に限定されず、例えばメトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド等を用いることができる。
[0037]
 熱発泡性マイクロスフェアは、熱可塑性樹脂により形成された外殻の内側に発泡剤が密封される。このような熱発泡性マイクロスフェアを用いることにより、加熱工程S3において、基体21の内部に気孔26を形成することができる。
[0038]
 外殻を形成する熱可塑性樹脂としては、例えば1,1-ジクロロエチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン及び酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも一種以上の単量体により形成された重合体であることが好ましい。
[0039]
 発泡剤としては、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n-ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n-ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素、トリクロロフルオロカーボンなどのクロロフルオロカーボン、テトラメチルシランなどのテトラアルキルシランなどが挙げられる。これらの発泡剤は1種だけで用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
[0040]
 発泡前における熱発泡性マイクロスフェアの外殻の膜厚は、0.1μm~20μmであることが好ましく、2μm~15μmであることがより好ましい。発泡前における熱発泡性マイクロスフェアの外殻の膜厚をこのような範囲とすることにより、所定の温度で良好に発泡し、かつ、発泡後に粒子が破裂してしまうのを抑制することができる。
[0041]
 外殻を含む熱発泡性マイクロスフェアの平均粒子径は、1μm~50μmであることが好ましく、5μm~20μmであることがより好ましい。熱発泡性マイクロスフェアの平均粒子径をこのような範囲とすることにより、気孔の大きさを所望の範囲にすることができ、セラミックス多孔質層の強度及び断熱性を両立することができる。なお、平均粒子径は、体積基準における粒度分布の累積値が50%の時の粒子径を表し、例えば、レーザー回折・散乱法により測定することができる
[0042]
 熱発泡性マイクロスフェアの含有量は、有機溶媒を除くゾルと熱発泡性マイクロスフェアの合計100質量%に対して10質量%~30質量%であることが好ましい。熱発泡性マイクロスフェアの含有量を10質量%以上とすることにより、セラミックス多孔質層20の物理的強度を高くすることができる。また、熱発泡性マイクロスフェアの含有量を30質量%以下とすることにより、セラミックス多孔質層20を良好に成膜することができる。なお、セラミックス多孔質層20をジルコニアとする場合、熱発泡性マイクロスフェアの含有量は、ゾルと熱可塑性マイクロスフェアの合計100質量%に対して20質量%~30質量%であることが好ましい。一方、セラミックス多孔質層20を窒化アルミニウムとする場合、熱発泡性マイクロスフェアの含有量は、ゾルと熱可塑性マイクロスフェアの合計100質量%に対して10質量%~15質量%であることが好ましい。
[0043]
 発泡後における熱発泡性マイクロスフェアの外殻(熱可塑性樹脂層28)の膜厚は、0.1μm~20μmであることが好ましい。熱可塑性樹脂層28の膜厚を0.1μm以上とすることにより、気孔の形状をより強固に保つことができる。また、熱可塑性樹脂層28の膜厚を20μm以下とすることにより、熱可塑性樹脂による熱伝導を抑制することができるため、断熱性をより向上させることができる。なお、熱可塑性樹脂層28の膜厚は、2μm~15μmであることがより好ましい。
[0044]
 混合工程S1では、ゾル及び熱発泡性マイクロスフェアに加え、混合溶液に有機溶媒などを添加してもよい。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン系などのアミド系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒を挙げることができる。
[0045]
 (塗布工程)
 塗布工程S2では、混合溶液を基材に塗布して塗布物を得る。基材は、上述した基材と同様のものを用いることができる。
[0046]
 ゾルを基材に塗布する方法は特に限定されず、例えば、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、フローコート法、ディップコート法、スピンコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法などの公知の方法を使用することができる。
[0047]
 (加熱工程)
 加熱工程S3では、塗布物を加熱し、セラミックス前駆体からセラミックスを含む基体21を形成する。例えば、セラミックス前駆体として上述したような金属又は半金属のアルコキシドを用いた場合、いわゆるゾル-ゲル法により、金属又は半金属のアルコキシドは個々の分子間の加水分解及び脱水縮合によりポリマー化される。そして、セラミックスを含む基体21が基材10の上に形成される。
[0048]
 また、加熱工程S3では、熱発泡性マイクロスフェアを発泡させて、基体21に気孔26が含有されたセラミックス多孔質層を形成する。上述したように、熱発泡性マイクロスフェアは、熱可塑性樹脂により形成された外殻の内側に発泡剤が密封されている。そのため、塗布物を焼成することにより、熱可塑性樹脂がガラス転移点を超えて軟化するとともに内部の発泡剤が気化する。そのため、加熱工程S3によって気化した発泡剤は、熱可塑性樹脂の内部に気泡を形成することができる。すなわち、基体21の内部に気孔26を形成することができる。
[0049]
 塗布物を加熱する温度及び時間などは特に限定されず、セラミックス前駆体の種類や熱発泡性マイクロスフェアの種類などによって適宜変更すればよい。なお、基材10が軟化して変形しないよう、塗布物を加熱する温度は280℃以下であることが好ましい。
[0050]
 なお、加熱工程S3は、乾燥工程と、発泡工程と、焼成工程と、を備えていてもよい。
[0051]
 乾燥工程では、混合工程S1で添加した有機溶媒などを揮発させて塗布した混合溶液を乾燥させる。このような乾燥工程により、セラミックス前駆体の分子間の距離が短くなり、縮合反応が生じやすくなることから、セラミックスを含む基体21を良好に形成することができる。乾燥工程における乾燥温度は特に限定されないが、熱発泡性マイクロスフェアが発泡する温度より低いことが好ましい。乾燥温度は、例えば30℃~80℃とすることができる。また、乾燥工程における乾燥時間は特に限定されないが、例えば5分~60分とすることができる。
[0052]
 発泡工程では、熱可塑性マイクロスフェアを発泡させる。発泡工程における発泡温度は熱可塑性マイクロスフェアの種類などによるが、例えば80℃~210℃とすることができる。また、発泡工程における発泡時間は特に限定されないが、例えば60分~180分とすることができる。
[0053]
 焼成工程では、セラミックス前駆体からセラミックスを含む基体21が形成されるとともに、有機溶媒などの揮発成分を揮発させる。焼成工程における焼成温度はセラミックス前駆体の種類などによるが、例えば150℃~280℃とすることができる。また、焼成工程における焼成時間は特に限定されないが、例えば60分~180分とすることができる。
[0054]
 本実施形態では、セラミックス多孔質層20の気孔率が40%~70%である。このように、セラミックス多孔質層の気孔率を40%以上とすることにより、十分な気孔の数を有することから、十分な断熱性を有するセラミックス多孔質層20を形成することができる。また、セラミックス多孔質層20の気孔率を70%以下とすることにより、セラミックス多孔質層20の物理的強度を維持することができる。なお、セラミックス多孔質層20の気孔率は、断面を電子顕微鏡などで観察し、セラミックス多孔質層20における気孔の面積の割合を算出することにより測定することができる。
[0055]
 以上の通り、本実施形態の遮熱部品の製造方法は、セラミックス前駆体を含むゾルと、熱可塑性樹脂により形成された外殻の内側に発泡剤が密封された熱発泡性マイクロスフェアと、を混合して混合溶液を得る混合工程を備える。そして、遮熱部品の製造方法は、混合溶液を基材に塗布して塗布物を得る塗布工程を備える。さらに、遮熱部品の製造方法は、塗布物を加熱し、セラミックス前駆体からセラミックスを含む基体を形成するとともに、熱発泡性マイクロスフェアを発泡させて、基体に気孔が含有されたセラミックス多孔質層を形成する加熱工程を備える。そして、遮熱部品の製造方法では、セラミックス多孔質層の気孔率が40%~70%である。
[0056]
 このように、本実施形態では、ゾルと熱発泡性マイクロスフェアを含む混合溶液を基材に塗布して加熱する。そのため、例えば溶射などと比較して低温でセラミックス多孔質層を形成することができる。したがって、例えば基材に軟化しやすい材料を用いた場合であっても、基材を大きく変形させることなくセラミックス多孔質層を形成することができる。
[0057]
 また、本実施形態では、上記のように比較的低温でセラミックス多孔質層を形成することができ、溶射のような特殊な設備も必要としない。そのため、比較的低いコストで基材にセラミックス多孔質層を形成することができる。
[0058]
 また、本実施形態の遮熱部品の製造方法によれば、上述したように優れた断熱性を有する遮熱部品を提供することができる。したがって、例えば遮熱部品を内燃機関に用いた場合に、燃焼室内の熱を逃がさないようにすることができるため、内燃機関の熱効率を向上させることができる。
実施例
[0059]
 以下、本実施形態を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
[0060]
 [実施例1]
 まず、密着性を向上させるため、厚みが9.5mmのアルミニウム製の基材を100℃のお湯に10分浸漬させて基材を洗浄した。なお、基材の密度ρ は2700kg/m 、基材の熱伝導率λ は236W/(m・K)、比熱容量C 1Pは910J/(kg・K)であった。
[0061]
 次に、基体の材料としてジルコニウムアルコキシドを有機溶媒に溶解させ、さらに粒子としての熱発泡性マイクロスフェアを添加し、混合溶液を得た。なお、この混合溶液には、基体の材料70質量%及び粒子30質量%が混合されている。そして、上述のようにして洗浄した基材に、有機溶媒揮発後のセラミックス多孔質層の膜厚が62.8μmとなるように上記混合溶液をスピンコーターで塗布した。
[0062]
 なお、熱発泡性マイクロスフェアは、外殻を含む平均粒子径が15μmであり、内部に炭化水素が充填され、外殻が厚さ3μm以上の熱可塑性樹脂で形成されたものを用いた。
[0063]
 次に、塗布物を40℃で20分間加熱して乾燥させた後、110℃で140分間加熱して熱発泡性マイクロスフェアを発泡させた。さらに、250℃で150分間加熱し、有機溶媒を揮発させた後、自然冷却させた。このように、基材上にセラミックス多孔質層を形成して得られたものを遮熱部品とした。
[0064]
 [実施例2]
 有機溶媒揮発後のセラミックス多孔質層の膜厚が98.1μmとなるように上記混合溶液を基材に塗布した。それ以外は実施例1と同様にして遮熱部品を作製した。
[0065]
 [実施例3]
 基体の材料としてジルコニウムアルコキシドに代え、窒化アルミニウムの前駆体である金属アルコキシドを用いた。また、上記混合溶液を、基体の材料85質量%及び粒子15質量%が含まれるように調製した。また、有機溶媒揮発後のセラミックス多孔質層の膜厚が80.4μmとなるように上記混合溶液を基材に塗布した。それ以外は、実施例1と同様にして遮熱部品を作製した。
[0066]
 [実施例4]
 有機溶媒揮発後のセラミックス多孔質層の膜厚が103.0μmとなるように上記混合溶液を基材に塗布した。それ以外は実施例1と同様にして基材とセラミックス多孔質層とからなる積層体を作製した。
[0067]
 次に、この積層体のセラミックス多孔質層の表面に、ポリシラザン溶液を塗布して硬化させ、0.5μm厚のシリカからなる被覆層を形成し、遮熱部品を作製した。
[0068]
 [実施例5]
 基体の材料としてジルコニウムアルコキシドに代え、窒化アルミニウムの前駆体である金属アルコキシドを用いた。また、上記混合溶液を、基体の材料85質量%及び粒子15質量%が含まれるように調製した。また、有機溶媒揮発後のセラミックス多孔質層の膜厚が85.0μmとなるように上記混合溶液を基材に塗布した。それ以外は、実施例1と同様にして基材とセラミックス多孔質層とからなる積層体を作製した。
[0069]
 次に、この積層体のセラミックス多孔質層の表面に、ポリシラザン溶液を塗布して硬化させ、0.5μm厚のシリカからなる被覆層を形成し、遮熱部品を作製した。
[0070]
 [比較例1]
 アルミニウム基材にセラミックス多孔質層を形成せず、基材をそのまま用いた。
[0071]
 [比較例2]
 セラミックス多孔質層に代え、アルミニウム基材の表面を陽極酸化処理し、膜厚が70.0μmのアルマイト層を形成した。それ以外は、実施例1と同様にして基材とアルマイト層とからなる積層体を作製した。
[0072]
 次に、この積層体のアルマイト層の表面に、ポリシラザン溶液を塗布して硬化させ、0.5μm厚のシリカからなる被覆層を形成し、遮熱部品を作製した。
[0073]
 [比較例3]
 セラミックス多孔質層に代え、部分安定化ジルコニア粒子(ZrO -8Y 、体積平均粒子径:50μm~60μm)を基材の表面に膜厚が500.0μmとなるように溶射してジルコニア溶射層を形成した。それ以外は、実施例1と同様にして遮熱部品を作製した。なお、多孔質層に熱発泡性マイクロスフェアのような粒子は添加していない。
[0074]
 [比較例4]
 ジルコニア溶射層の膜厚を100.0μmとした以外は、比較例3と同様にして遮熱部品を作製した。なお、多孔質層に熱発泡性マイクロスフェアのような粒子は添加していない。
[0075]
 [比較例5]
 基体の材料としてジルコニウムアルコキシドに代え、窒化アルミニウムの前駆体である金属アルコキシドを用いた。また、有機溶媒揮発後のセラミックス多孔質層の膜厚が100.0μmとなるように上記混合溶液を基材に塗布した。それ以外は、実施例1と同様にして遮熱部品を作製した。なお、多孔質層に熱発泡性マイクロスフェアのような粒子は添加していない。
[0076]
 [比較例6]
 上記混合溶液を、基体の材料85質量%及び粒子15質量%が含まれるように調製した。また、有機溶媒揮発後のセラミックス多孔質層の膜厚が36.4μmとなるように上記混合溶液を基材に塗布した。それ以外は、実施例1と同様にして遮熱部品を作製した。
[0077]
 [比較例7]
 上記混合溶液を、基体の材料85質量%及び粒子15質量%が含まれるように調製した。また、有機溶媒揮発後のセラミックス多孔質層の膜厚が184.7μmとなるように上記混合溶液を基材に塗布した。それ以外は、実施例1と同様にして遮熱部品を作製した。
[0078]
 [比較例8]
 熱発泡性マイクロスフェアに代えてシリカ中空ビーズを用いた。また、上記混合溶液を、基体の材料80質量%及び粒子20質量%が含まれるように調製した。また、有機溶媒揮発後のセラミックス多孔質層の膜厚が313.0μmとなるように上記混合溶液を基材に塗布した。それ以外は、実施例1と同様にして遮熱部品を作製した。
[0079]
 [比較例9]
 基体の材料としてジルコニウムアルコキシドに代え、窒化アルミニウムの前駆体である金属アルコキシドを用いた。熱発泡性マイクロスフェアに代えてシリカ中空ビーズを用いた。また、上記混合溶液を、基体の材料80質量%及び粒子20質量%が含まれるように調製した。また、有機溶媒揮発後のセラミックス多孔質層の膜厚が47.0μmとなるように上記混合溶液を基材に塗布した。それ以外は、実施例1と同様にして遮熱部品を作製した。
[0080]
 [評価]
 実施例及び比較例の遮熱部品について、以下の評価を実施した。結果を表1に示す。
[0081]
 基体の材料の熱伝導率は、JIS R1611:2010(ファインセラミックスのフラッシュ法による熱拡散率・比熱容量・熱伝導率の測定方法)に準じ、レーザーフラッシュ法にて測定した。
[0082]
 (気孔率p)
 多孔質層の気孔率p(%)は、遮熱部品断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を画像解析することにより算出した。具体的には、まず、切断した多孔質層の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した。次に、小型汎用画像解析装置(株式会社ニレコ製 LUZEX(登録商標)AP)で上記電子顕微鏡写真をグレースケール化した。そして、気孔と気孔以外の部分との間に閾値を設定した二値化処理画像より、多孔質層全体の面積に対する気孔の面積の百分率を算出して気孔率とした。
[0083]
 (基材の熱伝導率λ
 基材の熱伝導率λ (W/(m・K))は、λ =ρ 1pα の式に従い算出した。なお、ρ は基材の密度(kg/m )、C 1pは基材の比熱容量(J/(kg・K))、α は基材の熱拡散率(m /s)を表す。基材の密度ρ 、基材の比熱容量C 1p、基材の熱拡散率α の測定方法は以下の通りである。
[0084]
 (基材の密度ρ
 基材の密度ρ (kg/m )は、直径10mm及び厚さ1mmの円板を基材から切り出し、大気中、室温(20℃)において、当該円板の重量を測定することにより算出した。
[0085]
 (基材の比熱容量C 1P
 基材の比熱容量C 1P(J/(kg・K))は、直径10mm及び厚さ1mmの円板を基材から切り出し、大気中、室温(20℃)において、レーザーフラッシュ法により測定した。なお、基材の比熱容量は、熱定数測定装置(アルバック理工株式会社製 TC-7000)を用いて測定した。
[0086]
 (基材の熱拡散率α
 基材の熱拡散率α (m /s)は、直径10mm及び厚さ1mmの円板を基材から切り出し、大気中、室温(20℃)において、レーザーフラッシュ法により測定した。なお、基材の熱拡散率α は、熱定数測定装置(アルバック理工株式会社製 TC-7000)を用いて測定した。
[0087]
 (多孔質層の熱拡散率α
 多孔質層の熱拡散率α は以下のようにして算出した。まず、上述のようにして得られた各実施例及び比較例の遮熱部品における基材側の面を1mmまで研磨し、2層の積層板を準備した。次に、この積層板から直径10mmの円板を切り出して試験片とし、大気中、室温(20℃)において、レーザーフラッシュ法により、規格化された温度-時間曲線から、上記積層板の面積熱拡散時間Aを算出した。レーザーフラッシュ法は、熱定数測定装置(アルバック理工株式会社製 TC-7000)を用いて測定した。ここで、面積熱拡散時間Aは下記の数式(1)で表すことができる。
[0088]
[数1]


[0089]
 ここで、X =d ρ 1P、X =d ρ 2Pとすると、上記数式(1)より、以下の数式(2)が導かれる。なお、d は基材の厚さ(m)、ρ は基材の密度(kg/m )、C 1Pは基材の比熱容量(J/(kg・K))、d は多孔質層の厚さ(m)、ρ は多孔質層の密度(kg/m )、C 2Pは多孔質層の比熱容量(J/(kg・K))を表す。基材の密度ρ 、基材の比熱容量C 1Pの測定方法は上述した通りである。また、多孔質層の密度ρ 、多孔質層の比熱容量C 2Pの測定方法は後述する。
[0090]
[数2]


[0091]
 さらに、上記数式(2)より、以下の数式(3)を導くことができ、多孔質層の熱拡散時間τ を算出することができる。
[0092]
[数3]


[0093]
 そして、以下の数式(4)に上記数式(3)を算出することにより得られた多孔質層の熱拡散時間τ を代入し、多孔質層の熱拡散率α を算出した。
[0094]
[数4]


[0095]
 (多孔質層の密度ρ
 多孔質層の密度ρ (kg/m )は、以下のようにして測定した。まず、基材の上に厚さ約1mmの多孔質層を形成し、積層体を得た。次に、上記積層体から13mm×5mmの試験片を切り出してその重量を測定し、積層体の密度を算出した。そして、積層体の密度から上述のようにして得られた基材の密度を差し引くことにより、多孔質層の密度を算出した。なお、多孔質層の厚さは、積層体の厚さから基材の厚さを差し引くことにより算出した。また、積層体及び基材の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定した。なお、走査型電子顕微鏡(SEM)では、高倍率で5点、低倍率で3点の厚さを測定した平均値としている。
[0096]
 (多孔質層の比熱容量C 2p
 多孔質層の比熱容量C 2p(J/(kg・K))は、以下のようにして測定した。まず、各例で得られた遮熱部品の多孔質層側にテフロン(登録商標)テープを貼り、塩酸に浸漬させ、基材を完全に溶解させた。次に、残った多孔質層をアセトンに浸漬させ、テフロン(登録商標)テープを多孔質層から剥離させ、粉末状の多孔質層の試料を得た。この試料12mgを示差走査熱量測定(DSC)によって測定し、多孔質層の比熱容量を得た。示差走査熱量測定(DSC)では、アルゴンガス雰囲気下、測定温度を20℃で測定した。なお、示差走査熱量測定(DSC)は、PerkinElmer製のDSC-7型を用いて測定した。
[0097]
 (多孔質層の熱伝導率λ
 多孔質層の熱伝導率λ (W/(m・K))は、λ =ρ 2pα の式に従い算出した。なお、ρ は多孔質層の密度、C 2pは多孔質層の比熱容量、α は多孔質層の熱拡散率を表す。多孔質層の密度ρ 、多孔質層の比熱容量C 2p、多孔質層の熱拡散率α の測定方法は、それぞれ上述の通りである。
[0098]
 (多孔質層の容積比熱C 2V
 多孔質層の容積比熱C 2V(J/(m ・K))は、C 2V=C 2pの数式に従い算出した。なお、上記数式中、C 2pは多孔質層の比熱容量(J/(kg・K))、d は多孔質層の密度(kg/m )を表す。多孔質層の比熱容量C 2p及び多孔質層の密度d の測定方法は上述の通りである。
[0099]
 (冷却応答性試験)
 図5に示すように、各例の遮熱部品を縦50mm、横50mm、厚さ9.5mmの大きさに切り出して試験片とし、試験片の基材10側をヒータ51の上に乗せた。そして、基材10側からヒータ51で加熱して多孔質層20の表面の温度を250℃にした後、20℃の空気52を0.002m /秒の流量で多孔質層20の表面に吹き付け、多孔質層20の表面の温度を測定した。なお、多孔質層20の表面の温度は赤外線カメラ53により得られた温度分布の映像により測定した。空気52を吹き付けてから10秒後における多孔質層20の表面の低下温度差を表1に示す。なお、図5では、セラミックス多孔質層20が最表層である実施例1の場合について説明しているが、被覆層30が最表層である場合には、セラミックス多孔質層20を被覆層30と読み替えて冷却応答性試験を実施すればよい。
[0100]
[表1]


[0101]
 表1の結果より、比較例1~比較例9の遮熱部品は、冷却応答性試験において17.7℃以下であるのに対し、実施例1~実施例5の遮熱部品は、冷却応答性試験において19.5℃以上であり、優れた断熱性を示すことが分かった。実施例で用いた熱発泡性マイクロスフェアを添加してセラミックス多孔質層を形成した場合、内壁を熱可塑性樹脂により被覆された気孔が基体内に含まれるため、このような断熱性が得られたと考えられる。
[0102]
 一方、比較例1~比較例5のように基材に熱可塑性マイクロスフェアのような粒子を含むセラミックス多孔質層を設けなかった場合、熱を遮るのに十分な層がないため、所望の断熱性が得られなかった。
[0103]
 また、熱可塑性マイクロスフェアを用いてセラミックス多孔質層を形成した場合であっても、比較例6及び比較例7のように、セラミックス多孔質層の気孔率がそれほど大きくない場合、熱を遮るには十分でないため、所望の断熱性が得られなかった。
[0104]
 さらに、セラミックス多孔質層の気孔率が所定の範囲内であったとしても、比較例8及び比較例9のように、気孔率が所定の範囲内であった場合であっても、熱可塑性マイクロスフェアに代えてシリカ中空粒子を添加した場合は十分な断熱性が得られなかった。おそらく、比較例8及び比較例9の遮熱部品では、セラミックス多孔質層内の気泡の内壁がシリカにより被覆されており、シリカの熱伝導性が熱可塑性樹脂と比較して高いため、所望の断熱性が得られなかったと考えられる。
[0105]
 以上、実施例に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。

産業上の利用可能性

[0106]
 本発明の遮熱部品は、基材と、基材の上に配置され、セラミックスを含む基体と、基体に含有される気孔と、を含むセラミックス多孔質層と、を備える。そして、遮熱部品において、気孔の内壁は熱可塑性樹脂により被覆されており、セラミックス多孔質層の気孔率が40%~70%である。そのため、本発明によれば、優れた断熱性を有する遮熱部品を提供することができる。

符号の説明

[0107]
 10 基材
 20 セラミックス多孔質層
 21 基体
 26 気孔
 27 空洞部
 28 熱可塑性樹脂層
100 遮熱部品

請求の範囲

[請求項1]
 基材と、
 前記基材の上に配置され、セラミックスを含む基体と、前記基体に含有される気孔と、を含むセラミックス多孔質層と、
 を備え、
 前記気孔の内壁は熱可塑性樹脂により被覆されており、
 前記セラミックス多孔質層の気孔率が40%~70%である遮熱部品。
[請求項2]
 前記セラミックスの熱伝導率が5W/(m・K)以下であり、前記セラミックス多孔質層の熱伝導率が1W/(m・K)以下である請求項1に記載の遮熱部品。
[請求項3]
 前記セラミックスの熱伝導率が5W/(m・K)以下であり、前記セラミックス多孔質層の熱伝導率が0.5W/(m・K)以下である請求項1又は2に記載の遮熱部品。
[請求項4]
 前記セラミックス多孔質層の容積比熱が1500kJ/m K以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の遮熱部品。
[請求項5]
 前記セラミックス多孔質層の容積比熱が1000kJ/m K以下である請求項1~4のいずれか1項に記載の遮熱部品。
[請求項6]
 前記セラミックスがジルコニアである請求項1~5のいずれか1項に記載の遮熱部品。
[請求項7]
 前記セラミックスが窒化アルミニウムである請求項1~5のいずれか1項に記載の遮熱部品。
[請求項8]
 前記セラミックス多孔質層の表面を被覆し、シリカにより形成された被覆層をさらに備える請求項1~7のいずれか1項に記載の遮熱部品。
[請求項9]
 セラミックス前駆体を含むゾルと、熱可塑性樹脂により形成された外殻の内側に発泡剤が密封された熱発泡性マイクロスフェアと、を混合して混合溶液を得る混合工程と、
 前記混合溶液を基材に塗布して塗布物を得る塗布工程と、
 前記塗布物を加熱し、セラミックス前駆体からセラミックスを含む基体を形成するとともに、前記熱発泡性マイクロスフェアを発泡させて、前記基体の内部に閉気孔を含むセラミックス多孔質層を形成する加熱工程と、
 を備え、
 前記セラミックス多孔質層の気孔率が40%~70%である遮熱部品の製造方法。
[請求項10]
 前記塗布物を加熱する温度が280℃以下である請求項9に記載の遮熱部品の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]