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1. (WO2019035163) 遮熱部品
Document

明 細 書

発明の名称 遮熱部品

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

0005   0006   0007   0008   0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059  

実施例

0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112  

産業上の利用可能性

0113  

符号の説明

0114  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

図面

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : 遮熱部品

技術分野

[0001]
 本発明は、遮熱部品に関する。詳細には、本発明は、断熱性及び炭化水素排出量の低減効果が高く、内燃機関などに用いることができる遮熱部品に関する。

背景技術

[0002]
 例えば内燃機関などでは、燃焼室内の熱を逃がさないように、燃焼室の内壁面に断熱性を有する薄膜を形成し、熱効率を向上させることが検討されている。
[0003]
 特許文献1には、燃焼室に臨む壁面の一部もしくは全部に遮熱膜が形成されてなる内燃機関の製造方法が記載されている。特許文献1には、遮熱膜の材料となる金属材料を壁面に溶射して遮熱膜を形成するに当たり、溶射の際の不活性ガス濃度を段階的に変化させることにより、金属と金属酸化物から形成された層を複数積層することが記載されている。そして、特許文献1には、各層における金属酸化物の含有割合が壁面に接する層が最も少なく、該壁面から離れるにつれて層中の金属酸化物の含有割合が多くなっている遮熱膜を形成することが記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特許第5655813号公報

発明の概要

[0005]
 ところで、内燃機関では、ガソリンなどの燃料の不完全燃焼などにより、炭化水素(HC)が排出されることがある。炭化水素は、太陽光の紫外線成分により、光化学スモッグの原因になることから、排出量の低減が求められている。
[0006]
 しかしながら、特許文献1のように、金属材料を壁面に溶射して遮熱膜が形成されている場合には、排気ガス中の炭化水素の低減効果が十分でなかった。
[0007]
 また、例えば内燃機関などでは、熱効率の改善のため、燃焼室内壁の断熱性の更なる向上が求められている。
[0008]
 本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、断熱性及び炭化水素排出量の低減効果が高い遮熱部品を提供することにある。
[0009]
 本発明の態様に係る遮熱部品は、基材と遮熱膜とを備える。遮熱膜は、熱伝導率及び容積比熱が所定の値以下である第一層と、第一層との間に閉気孔を形成する第二層と、を備える。そして、遮熱膜の上面の表面粗さが所定の値以下である。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 図1は、本実施形態に係る遮熱部品の一例を示す断面図である。
[図2] 図2は、本実施形態に係る遮熱部品の他の例を示す断面図である。
[図3] 図3は、各種材料における好ましい最小膜厚を近似により求めたグラフである。
[図4] 図4は、各種材料における好ましい最大膜厚を近似により求めたグラフである。
[図5] 図5は、冷却応答性試験の測定方法を示す概略図である。

発明を実施するための形態

[0011]
 以下、図面を用いて本実施形態に係る遮熱部品について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
[0012]
 [遮熱部品]
 図1に示すように、本実施形態の遮熱部品100は、基材5と、基材5の上に配置される遮熱膜7と、を備える。そして、遮熱膜7は、第一層10と、第二層20と、を備える。本実施形態では、遮熱部品100が遮熱膜7を備えることで、外部から基材5へ伝わる熱を遮ることができる。以下、各構成を詳細に説明する。
[0013]
 (基材5)
 基材5を形成する材料としては特に限定されないが、例えばアルミニウム、マグネシウム、鉄などの金属が挙げられる。また、基材5の形状や厚みなどは特に限定されず、用途に応じて適宜変更することができる。
[0014]
 (第一層10)
 第一層10は基材5の上に配置される。第一層10は、基材5と直接接していてもよく、接着層などの他の層を介して配置されていてもよい。図1の実施形態では、第一層10は基材5の表面上に直接接するように配置されている。
[0015]
 第一層10の熱分解温度は350℃以上であることが好ましい。第一層10の熱分解温度を350℃以上とすることにより、遮熱部品100の耐熱性を向上させることができる。なお、熱分解温度は、熱重量測定(TG)により、質量減少率が5%になる温度とすることができる。熱重量測定は、例えば、100mL/分で空気を試料室に流入させた状態で、10℃/分で加熱して測定することができる。
[0016]
 第一層10を形成する材料は特に限定されないが、例えばポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミドなどの樹脂を用いることが好ましい。これらのような樹脂は、金属や金属酸化物などと比較し、熱伝導率及び容積比熱が小さく、耐熱性が高いためである。なお、これらの樹脂の中でも、第一層10を形成する材料は、ポリイミド及びポリアミドイミドの少なくともいずれか一方であることがより好ましく、ポリイミドであることがさらに好ましい。特に、ポリイミドは強度及び耐熱性が高いため、断熱性が求められている箇所に用いるのに適しているためである。
[0017]
 基材5の上に第一層10を形成する方法は特に限定されない。例えば、基材5の上に第一層10をラミネートしたり、第一層10を形成する材料に溶媒を加えた溶液を基材5の上に塗布、乾燥及び加熱などしたりすることにより第一層10を形成することができる。
[0018]
 基材5に第一層10をラミネートする方法は特に限定されず、例えば押出機などを用い、公知の方法によりラミネートすることができる。また、基材5に第一層10を塗布する方法は特に限定されず、例えば、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、フローコート法、ディップコート法、スピンコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法などの公知の方法を使用することができる。
[0019]
 第一層10を形成する材料に加える溶媒としては特に限定されないが、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)などのアミド系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのエーテル系溶媒などを用いることができる。これらの溶媒は1種又は2種以上を混合して用いることができる。溶媒の含有量は、第一層10を形成する材料に溶媒を加えた溶液全体に対して40質量%~90質量%であることが好ましく、60質量%~85質量%であることがより好ましい。
[0020]
 例えば、第一層を10ポリイミドで形成する場合、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液を、基材5の表面に塗布、乾燥及び加熱することで第一層10を形成することができる。また、例えば、第一層10をポリアミドイミドで形成する場合、ポリアミドイミドの前駆体であるポリアミドイミド溶液を、基材5の表面に塗布、乾燥及び加熱することで第一層10を形成することができる。乾燥温度は例えば100℃~150℃、加熱温度は例えば150℃~350℃とすることができる。
[0021]
 第一層10は気孔15を有する。気孔15の平均粒子径は特に限定されないが、1μm~200μmであることが好ましく、3μm~100μmであることがより好ましく、5μm~50μmであることがさらに好ましい。気孔15の大きさをこのような範囲とすることにより、第一層10の強度と断熱性を両立させることができる。なお、平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)などにより観察された第一層10の断面写真において、数十個の気孔15における直径の平均値とすることができる。
[0022]
 第一層10の気孔15を形成する方法は特に限定されない。例えば、セラミックなどにより形成された外殻の内部に気孔15を有する中空ビーズを第一層10に添加して気孔15を形成することができる。また、第一層10を形成する材料に溶媒を加えた溶液を、基材5の上に塗布し、気孔15が形成される条件で加熱して溶媒を揮発させることにより、気孔15を形成することができる。
[0023]
 第一層10の気孔率は特に限定されないが、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。第一層10の気孔率を30%以上とすることにより、十分な気孔の数を有することから、十分な断熱性を有する第一層10を形成することができる。なお、第一層10の気孔率は特に限定されないが、90%以下とすることが好ましく、70%以下とすることがより好ましい。第一層10の気孔率を90%以下とすることにより、第一層10の物理的強度を維持することができる。なお、第一層10の気孔率は、断面を電子顕微鏡などで観察し、第一層10における気孔15の合計面積の割合を算出することにより測定することができる。
[0024]
 第一層10の気孔15の大きさや気孔率を制御する方法は特に限定されない。例えば、上述のように中空ビーズを用いて気孔15を形成する場合、中空ビーズの大きさや含有量を適宜変更して気孔15の大きさや気孔率を制御することができる。また、上述のように溶媒を含む材料を塗布、乾燥及び加熱して気孔15を形成する場合、溶媒の種類及び含有量、並びに、溶媒の乾燥温度及び乾燥時間などを適宜変更して気孔15の大きさや気孔率を制御することができる。例えば、溶媒の種類及び含有量によりイミド系高分子の気孔率を制御する場合、上述したアミド系溶媒とエーテル系溶媒との混合比率を制御することで気孔率を制御することができる。すなわち、アミド系溶媒はイミド系高分子に対する溶解度が高く、エーテル系溶媒はイミド系高分子に対する溶解度が低い傾向にあるため、これらの溶解度の違いにより相分離が生じやすい。したがって、例えばエーテル系溶媒の混合比率を多くすることで、第一層10の気孔率を高くすることができる。なお、エーテル系溶媒の含有量は、アミド系溶媒とエーテル系溶媒の合計に対し、30質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
[0025]
 第一層10の熱伝導率は0.3W/(m・K)以下である。第一層10の熱伝導率を0.3W/(m・K)以下とすることにより、遮熱部品100の断熱性を向上させることができ、例えば内燃機関に用いた場合に燃費を向上させることができる。なお、第一層10の熱伝導率は0.2W/(m・K)以下であることがより好ましく、0.1W/(m・K)以下であることがさらに好ましい。第一層10の下限は特に限定されないが、例えば0.01W/(m・K)以上である。また、第一層10の熱伝導率は、例えば、密度、比熱容量及び熱拡散時間を乗ずることにより算出することができる。
[0026]
 第一層10の容積比熱は1200kJ/(m ・K)以下である。遮熱部品100の断熱性を向上させることができ、例えば内燃機関に用いた場合に燃費を向上させることができる。なお、第一層10の容積比熱が1000kJ/(m ・K)以下であることがより好ましく、700kJ/(m ・K)以下であることがさらに好ましい。第一層10の容積比熱の下限は特に限定されないが、例えば100kJ/(m ・K)以上である。また、第一層10の容積比熱は、密度及び比熱容量を乗ずることにより算出することができる。
[0027]
 第一層10の密度は特に限定されないが、500kg・m 以上1300kg・m 以下であることが好ましい。第一層10の密度を500kg・m 以上とすることにより、第一層10の強度が向上する傾向にある。また、第一層10の密度を1300kg・m 以下とすることにより、第一層10の断熱性が向上する傾向にある。なお、第一層の密度は、600kg・m 以上990kg・m 以下であることがより好ましい。また、第一層の密度は、かさ密度とすることができる。
[0028]
 また、第一層10の熱伝導率は0.2W/(m・K)以下であり、容積比熱は1000kJ/(m ・K)以下であることがさらに好ましい。また、第一層10の熱伝導率は0.1W/(m・K)以下であり、第一層10の容積比熱は1000kJ/(m ・K)以下であることが特に好ましい。第一層10の熱伝導率及び容積比熱をこのような範囲とすることにより、遮熱部品100の断熱性をより向上させることができ、例えば内燃機関に用いた場合に燃費を向上させることができる。
[0029]
 第一層10の比熱容量は特に限定されないが、例えば0.1kJ/(kg・K)以上3kJ/(kg・K)以下とすることができる。第一層10の比熱容量は、0.95kJ/(kg・K)以上2kJ/(kg・K)以下としてもよい。なお、第一層10の比熱容量は、示差走査熱量測定(DSC)法により測定することができる。
[0030]
 第一層10の膜厚は10μm以上250μm以下であることが好ましい。第一層10の膜厚を10μm以上とすることにより、第一層10の断熱性を向上させることができ、例えば内燃機関に用いた場合に燃費を向上させることができる。また、第一層10の膜厚を250μm以下とすることにより、例えば内燃機関に遮熱部品100を用いた場合に、シリンダ内で燃料ガスが過度に加熱されるのを抑制し、ノッキングが発生するのを抑制することができる。
[0031]
 (第二層20)
 第二層20は、第一層10の上に配置され、第一層10との間に閉気孔25を形成する。第二層20は、第一層10と直接接していてもよく、接着層などの他の層を介して配置されていてもよい。図1の実施形態では、第二層20は第一層10の表面上に直接接するように配置されている。第二層20は、このような配置とすることにより、第一層10の気孔によって形成された表面の凹凸を第二層20で覆うことができるため、遮熱膜7の上面7aの表面積を低減させ、表面粗さを所定の値以下とすることができる。また、このような第一層10と第二層20との間に形成された閉気孔25により、基材5へ向かう熱を遮ることができる。そのため、遮熱部品100の断熱性及び炭化水素排出量の低減効果を向上させることができる。
[0032]
 第二層20の気孔率は特に限定されないが、遮熱膜7の上面7aの表面積を低減させるという観点から、20%以下であることが好ましい。第二層20の気孔率を20%以下とすることにより、遮熱部品100の表面粗さを低減することができ、遮熱部品100の断熱性及び炭化水素排出量の低減効果を向上させることができる。なお、第二層20の気孔率は10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。また、第二層20の気孔率は、断面を電子顕微鏡などで観察し、第二層20における気孔の合計面積の割合を算出することにより測定することができる。
[0033]
 第二層20の熱分解温度は350℃以上であることが好ましい。第二層20の熱分解温度を350℃以上とすることにより、遮熱部品100の耐熱性を向上させることができる。熱分解温度は、熱重量測定(TG)により、質量減少率が5%になる温度とすることができる。熱重量測定は、例えば、100mL/分で空気を試料室に流入させた状態で、10℃/分で加熱して測定することができる。なお、第一層10及び第二層20の熱分解温度はそれぞれ350℃以上であることがより好ましい。
[0034]
 第二層20を形成する材料は特に限定されないが、例えばポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミドなどの樹脂を用いることが好ましい。これらのような樹脂は、金属や金属酸化物などと比較し、熱伝導率及び容積比熱が小さく、耐熱性が高いためである。なお、これらの樹脂の中でも、第二層20を形成する材料は、ポリイミド及びポリアミドイミドの少なくともいずれか一方であることがより好ましく、ポリイミドであることがさらに好ましい。特に、ポリイミドは強度及び耐熱性が高いため、断熱性が求められている箇所に用いるのに適しているためである。なお、第一層10及び第二層20はそれぞれポリイミドを含む材料で形成されていることがより好ましい。
[0035]
 第一層10の上に第二層20を形成する方法は特に限定されない。例えば、第一層10の上に第二層20をラミネートしたり、第二層20を形成する材料に溶媒を加えた溶液を第一層10の上に塗布、乾燥及び加熱などしたりすることにより第二層20を形成することができる。
[0036]
 第一層10に第二層20をラミネートする方法は特に限定されず、例えば押出機などを用い、公知の方法によりラミネートすることができる。また、第一層10に第二層20を塗布する方法は特に限定されず、例えば、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、フローコート法、ディップコート法、スピンコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法などの公知の方法を使用することができる。
[0037]
 第二層20を形成する材料に加える溶媒としては特に限定されないが、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)などのアミド系溶媒などを用いることができる。これらの溶媒は1種又は複数種を併せて用いてもよい。溶媒の含有量は、第二層20を形成する材料に溶媒を加えた溶液全体に対して40質量%~90質量%であることが好ましく、60質量%~85質量%であることがより好ましい。
[0038]
 例えば、第二層20をポリイミドで形成する場合、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液を、第一層10の表面に塗布、乾燥及び加熱することで第二層20を形成することができる。また、例えば、第二層20をポリアミドイミドで形成する場合、ポリアミドイミドの前駆体であるポリアミドイミド溶液を、第一層10の表面に塗布、乾燥及び加熱することで第二層20を形成することができる。乾燥温度は例えば100℃~150℃、加熱温度は例えば150℃~350℃とすることができる。
[0039]
 第二層の膜厚は1μm以上10μm以下であることが好ましい。第二層20の膜厚を1μm以上とすることにより、閉気孔25を効果的に形成することができ、断熱性を向上させることができる。また、第二層20の膜厚を10μm以下とすることにより、第二層20の膜厚を均一に形成することができる。
[0040]
 (第三層)
 遮熱膜7は、第二層20の上に配置され、500℃以上の熱分解温度を有する第三層30をさらに備えることが好ましい。第三層30は、第二層20と直接接していてもよく、接着層などの他の層を介して配置されていてもよい。図2の実施形態では、第三層30は第二層20の表面上に直接接するように配置されている。
[0041]
 また、第三層30の熱分解温度を500℃以上とすることにより、遮熱部品100の耐熱性を向上させることができる。熱分解温度は、熱重量測定(TG)により、質量減少率が5%になる温度とすることができる。熱重量測定は、例えば、100mL/分で空気を試料室に流入させた状態で、10℃/分で加熱して測定することができる。
[0042]
 第三層30はシリカを主成分とする無機膜により形成されていることが好ましい。シリカを主成分とする無機膜は、耐熱性が高く、表面を平滑にしやすい。そのため、シリカを主成分とする無機膜を第三層30として用いた場合、遮熱部品100の断熱性及び炭化水素排出量の低減効果をさらに高くすることができる。なお、シリカを主成分とする無機膜は、例えばポリシラザンを含む溶液を塗布して硬化させることにより形成することができる。なお、本実施形態において、シリカを主成分とする無機膜とは、シリカを50質量%以上含む無機膜あることを示す。なお、第三層30は、シリカを90質量%以上含む無機膜により形成されていることが好ましい。
[0043]
 また、第三層30は非晶質炭素系薄膜であることも好ましい。非晶質炭素系薄膜とは、薄膜が非晶質炭素を50質量%以上含むことを意味する。なお、第三層30は、非晶質炭素を90質量%以上含むことが好ましい。非晶質炭素系薄膜は、黒色であり、断熱性が高い。そのため、非晶質炭素系薄膜を第三層30として用いた場合、遮熱部品100の断熱性をさらに向上させることができる。非晶質炭素系薄膜は、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)とすることができる。
[0044]
 非晶質炭素系薄膜を形成する方法は特に限定されないが、化学気相成長(CVD)法や物理気相成長(PVD)法などにより形成することができる。化学気相成長(CVD)法としては、熱CVD法、プラズマCVD法などが挙げられる。物理気相成長(PVD)法としては、真空蒸着やスパッタリングなどが挙げられる。
[0045]
 第三層30の膜厚は特に限定されないが、0.01μm以上5μm以下であることが好ましい。第三層30の膜厚を0.01μm以上とすることにより、遮熱部品の断熱性などを向上させることができる。また、第三層30の膜厚を5μm以下とすることにより、第三層30のクラックの発生を抑制することができる。なお、第三層30の膜厚は0.05μm以上1μm以下であることがより好ましい。
[0046]
 遮熱膜7の上面7aの表面粗さは1.5μmRa以下である。遮熱膜7の上面7aの表面粗さを1.5μm以下とすることにより、遮熱部品100の断熱性を向上させると共に、炭化水素排出量を低減することができる。
[0047]
 特に、多孔質の金属酸化物層などを溶射により形成した場合には、遮熱膜の上面の表面積が大きくなってしまう傾向にあり、遮熱膜の表面と空気層との熱交換も多くなることから、十分な断熱性を有する遮熱部品が得られにくい。また、遮熱膜の上面の表面積が大きい場合、ガソリンなどの燃料ガスが壁面に付着しやすいことから、炭化水素排出量を増大させる原因にもなりやすい。しかしながら、本実施形態では、遮熱膜7の上面7aの表面粗さを所定の値以下とすることにより、遮熱部品100の最表面と空気層との熱交換を抑制し、遮熱部品100の壁面に燃料ガスなどが付着しにくくしている。そのため、遮熱部品100の断熱性を向上させると共に、炭化水素排出量を低減させることができる。
[0048]
 なお、遮熱膜7の上面7aの表面粗さは0.5μmRa以下であることが好ましく、0.1μmRa以下であることがより好ましい。遮熱膜7の上面7aの表面粗さの上限は特に限定されないが、例えば0.01μmRa以上である。また、表面粗さは、算術平均粗さであり、JIS B0601:2013(製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式-用語,定義及び表面性状パラメータ)に従って触針式表面粗さ測定機を用いて測定することができる。
[0049]
 なお、遮熱膜7の上面7aとは、第一層10に対し、基材5側ではなく、第二層20側の表面を意味する。すなわち、表面粗さの測定箇所は、例えば遮熱部品100が基材5と第一層10と第二層20とを備える場合、第二層20における第一層10の反対側の面である。また、表面粗さの測定箇所は、例えば遮熱部品100が基材5と第一層10と第二層20と第三層30とを備える場合、第三層30における第二層20の反対側の面である。
[0050]
 また、本実施形態においては、遮熱膜7の上面7aの単位投影面積当たりのガス吸着面積は20m /m 以下であることが好ましい。単位投影面積当たりのガス吸着面積を20m /m 以下とすることにより、表面粗さを小さくした場合と同様に遮熱部品100の断熱性を向上させると共に、炭化水素排出量を低減することができる。なお、遮熱膜7の上面7aの単位投影面積当たりのガス吸着面積は、3m /m 以下であることが好ましく、1.5m /m 以下であることがより好ましく、1.1m /m 以下であることが特に好ましい。なお、遮熱膜7の上面7aの単位投影面積当たりのガス吸着面積(m /m )は、BET法に基づき測定された遮熱膜7の上面7aのガス吸着面積を、最表層の投影面積で除することにより算出することができる。
[0051]
 第一層10の膜厚は6.7119e (0.0063×熱伝導率×容積比熱)μm~67.119e (0.0063×熱伝導率×容積比熱)であることが好ましい。第一層10の膜厚を6.7119e (0.0063×熱伝導率×容積比熱)μm以上とすることにより、遮熱部品100の断熱性を向上させることができる。また、第一層10の膜厚を67.119e (0.0063×熱伝導率×容積比熱)以下とすることにより、例えば内燃機関に遮熱部品を用いた場合に、シリンダ内で燃料ガスが過度に加熱されるのを抑制し、ノッキングが発生するのを抑制することができる。
[0052]
 なお、6.7119e (0.0063×熱伝導率×容積比熱)μmについては、基材にそれぞれ異なる材料を被覆した内燃機関を評価し、アルマイト層で被覆した場合と比較して所定以上の燃費となる第一層10の最小膜厚を調査した。そして、その調査結果を、図3に示すように、X軸がλ×ρ×Cp、Y軸が第一層10の膜厚である座標にそれぞれプロットし、指数近似により最適な最小膜厚の関係を求めた。なお、図3のグラフ中、λは第一層10の熱伝導率(W/(m・K))、ρは第一層10の密度(kg/m )、Cpは第一層10の比熱容量(kJ/(kg・K))を示す。
[0053]
 同様に、67.119e (0.0063×熱伝導率×容積比熱)μmについては、基材にそれぞれ異なる材料を被覆した内燃機関について評価をし、ノッキングが発生しにくい最大膜厚を調査した。そして、その調査結果を、図4に示すように、X軸がλ×ρ×Cp、Y軸が第一層10の膜厚の座標にそれぞれプロットし、指数近似により最適な最小膜厚の関係を求めた。なお、図4のグラフ中、λは第一層10の熱伝導率(W/(m・K))、ρは第一層10の密度(kg/m )、Cpは第一層10の比熱容量(kJ/(kg・K))を示す。
[0054]
 以上の通り、本実施形態の遮熱部品は、基材と、基材の上に配置される遮熱膜と、を備える。遮熱膜は、基材の上に配置され、気孔を有し、熱伝導率は0.3W/(m・K)以下であり、容積比熱は1200kJ/(m ・K)以下である第一層と、第一層の上に配置され、第一層との間に閉気孔を形成する第二層と、を備える。そして、遮熱膜の上面の表面粗さは1.5μmRa以下である。
[0055]
 本実施形態では、第一層の熱伝導率及び容積比熱を所定の値以下としている。そのため、基材の表面上にアルマイト層を形成した場合と比較して断熱性を向上させることができる。したがって、本実施形態の遮熱部品を例えば内燃機関に用いた場合に、アルマイト層を形成した場合と比較して内燃機関の燃費を向上させることができる。なお、従来のように、基材の表面上に金属酸化物を形成した場合は、熱伝導率及び容積比熱を所定の値以下とすることはできず、アルマイト層以上に燃費を向上させることは困難であると推定される。
[0056]
 また、本実施形態では、気孔を有する第一層の上に、第二層を設けている。そのため、第一層と第二層との間に閉気孔が形成されることから、この閉気孔が断熱材の役割を果たし、遮熱部品の断熱性を向上させることができる。
[0057]
 さらに、第二層によって、第一層の気孔を覆うと共に、遮熱膜の上面の表面粗さを所定の値以下としているため、遮熱膜の上面の表面積が小さくなることから、遮熱部品の表面と空気層との熱交換を抑制することができる。また、遮熱膜の上面の表面積を小さくすることにより、遮熱部品の壁面に燃料ガスなどを付着しにくくさせることができる。
[0058]
 したがって、本実施形態の遮熱部品によれば、断熱性及び炭化水素排出量の低減効果を高くすることができる。
[0059]
 [内燃機関]
 次に、本実施形態の内燃機関について説明する。本実施形態の内燃機関は、上記遮熱部品を備える。上述の通り、上記遮熱部品は、断熱性及び炭化水素排出量の低減効果を高くすることから、内燃機関に用いることで、燃費の向上や、炭化水素排出量の低減が期待できる。上記遮熱部品は、内燃機関において、燃焼ガスに曝されて高温になる部材の表面に配置されることが好ましい。燃焼ガスに曝されて高温になる部材としては、例えば、燃焼室を構成するピストン、シリンダヘッド、バルブ、シリンダの他、シリンダヘッド排気ポート、エキゾーストマニホールド、排気管、過給機等の排気系部材が挙げられる。上記遮熱部品は、必ずしもこれらの部材の全表面に配置する必要はなく、燃焼ガスに曝されて高温になる面に配置されていればよい。
実施例
[0060]
 以下、本実施形態を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
[0061]
 [実施例1]
 まず、密着性を向上させるため、厚みが9.5mmのアルミニウム製の基材を100℃のお湯に10分浸漬させて基材を洗浄した。なお、基材の密度ρ は2700kg/m 、基材の熱伝導率λ は236W/(m・K)、比熱容量C 1Pは910J/(kg・K)、容積比熱は2457kJ/(m ・K)であった。
[0062]
 次に、固形分濃度が26質量%となるように、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びテトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGM)で希釈したポリアミック酸溶液(ポリイミド前駆体)を準備した。TEGMの含有量は、DMAcとTEGMの合計に対し、50質量%とした。そして、上述のようにして洗浄した基材の表面上に、溶媒揮発後の膜厚が90μmとなるように、スピンコーターで上記ポリアミック酸溶液を塗布した。
[0063]
 そして、ポリアミック酸溶液を塗布した基材を、130℃で30分間乾燥させた後、200℃で60分間加熱し、アルミニウム基材上にポリイミドからなる第一層を形成した。
[0064]
 次に、固形分濃度が26質量%となるように、ジメチルアセトアミド(DMAc)で希釈したポリアミック酸溶液(ポリイミド前駆体)を準備した。そして、第一層の表面上に、溶媒揮発後の膜厚が10μmとなるように、スピンコーターでポリアミック酸溶液(ポリイミド前駆体)を塗布した。
[0065]
 塗布したポリアミック酸溶液を、130℃で30分間乾燥させた後、200℃で60分間加熱し、第一層上にポリイミドからなる第二層を形成し、遮熱部品とした。
[0066]
 [実施例2]
 第二層の表面上に、ポリシラザン溶液を塗布して硬化させ、0.38μm厚のシリカからなる第三層を形成し、遮熱部品を作製した。それ以外は、実施例1と同様にして遮熱部品を作製した。
[0067]
 [実施例3]
 第二層の表面上に、スパッタリングにより、0.1μm厚の非晶質炭素皮膜(ダイヤモンドライクカーボン)からなる第三層を形成し、遮熱部品を作製した。それ以外は、実施例1と同様にして遮熱部品を作製した。
[0068]
 [実施例4]
 第二層の膜厚を90μmから190μmに変更した。また、第二層の表面上に、ポリシラザン溶液を塗布して硬化させ、0.38μm厚のシリカからなる第三層を形成し、遮熱部品を作製した。それ以外は、実施例1と同様にして遮熱部品を作製した。
[0069]
 [実施例5]
 第一層に用いたポリアミック酸溶液において、TEGMの含有量は、DMAcとTEGMの合計に対し、30質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして遮熱部品を作製した。
[0070]
 [実施例6]
 固形分濃度が30質量%となるように、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)及びテトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGM)で希釈したポリアミドイミド溶液(ポリアミドイミド前駆体)を準備した。TEGMの含有量は、NMPとTEGMの合計に対し、40質量%とした。そして、上述のようにして洗浄した基材の表面上に、溶媒揮発後の膜厚が190μmとなるように、スピンコーターでポリアミドイミド溶液を塗布した。
[0071]
 そして、ポリアミドイミド溶液を塗布した基材を、130℃で30分間乾燥させた後、200℃で60分間加熱し、アルミニウム基材上にポリアミドイミドからなる第一層を形成した。
[0072]
 次に、固形分濃度が30質量%となるように、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)で希釈したポリアミドイミド溶液(ポリアミドイミド前駆体)を準備した。そして、第一層の表面上に、溶媒揮発後の膜厚が10μmとなるように、スピンコーターでポリアミドイミド溶液を塗布した。
[0073]
 そして、塗布したポリアミドイミド溶液を、130℃で30分間乾燥させた後、200℃で60分間加熱し、第一層上にポリアミドイミドからなる第二層を形成し、遮熱部品とした。
[0074]
 上記以外は、実施例1と同様にして遮熱部品を作製した。
[0075]
 [比較例1]
 アルミニウム基材に第一層を形成せず、鋳肌の基材をそのまま用いた。なお、アルミニウム基材の密度ρ は2740kg/m 、基材の熱伝導率λ は126W/(m・K)、比熱容量C 1Pは869J/(kg・K)、容積比熱は2381kJ/(m ・K)であった。
[0076]
 [比較例2]
 比較例1のアルミニウム基材に代え、異なるアルミニウム基材を用いた。それ以外は、比較例1と同様に、アルミニウム基材に第一層を形成せず、基材をそのまま用いた。なお、基材の密度ρ は2700kg/m 、基材の熱伝導率λ は236W/(m・K)、比熱容量C 1Pは910J/(kg・K)、容積比熱は2457kJ/(m ・K)であった。すなわち、比較例2で用いたアルミニウム基材は、実施例1で用いたアルミニウム基材と同様である。
[0077]
 [比較例3]
 第一層に代え、アルミニウム基材の表面を陽極酸化処理し、膜厚が70.0μmのアルマイト層を形成した。それ以外は、実施例1と同様にして基材とアルマイト層とからなる積層体を作製した。
[0078]
 次に、この積層体のアルマイト層の表面に、ポリシラザン溶液を塗布して硬化させ、0.54μm厚のシリカからなる第三層を形成し、遮熱部品を作製した。
[0079]
 [比較例4]
 第一層に代え、部分安定化ジルコニア粒子(ZrO -8Y 、体積平均粒子径:50μm~60μm)を基材の表面に膜厚が500.0μmとなるように溶射してジルコニア溶射層を形成した。それ以外は、実施例1と同様にして遮熱部品を作製した。
[0080]
 [比較例5]
 固形分濃度が26質量%となるように、ジメチルアセトアミド(DMAc)で希釈したポリアミック酸溶液(ポリイミド前駆体)を準備した。そして、基材の表面上に、溶媒揮発後の膜厚が50μmとなるように、スピンコーターでポリアミック酸溶液(ポリイミド前駆体)を塗布した。次に、塗布したポリアミック酸溶液を、130℃で30分間乾燥させた後、200℃で60分間加熱し、基材上にポリイミドからなる第一層を形成し、遮熱部品とした。また、第一層の表面に第二層を形成しなかった。それ以外は、実施例1と同様にして遮熱部品を作製した。
[0081]
 [比較例6]
 第一層の膜厚を90μmから100μmに変更した。また、第一層の表面に第二層を形成しなかった。それ以外は、実施例1と同様にして遮熱部品を作製した。
[0082]
 [評価]
 実施例及び比較例の遮熱部品について、以下の評価を実施した。結果を表1及び表2に示す。
[0083]
 (気孔率p)
 第一層の気孔率p(%)は、遮熱部品断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を画像解析することにより算出した。具体的には、まず、切断した第一層の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した。次に、小型汎用画像解析装置(株式会社ニレコ製 LUZEX(登録商標)AP)で上記電子顕微鏡写真をグレースケール化した。そして、気孔と気孔以外の部分との間に閾値を設定した二値化処理画像より、第一層全体の面積に対する気孔の面積の百分率を算出して気孔率とした。
[0084]
 (基材の熱伝導率λ
 基材の熱伝導率λ (W/(m・K))は、λ =ρ 1pα の式に従い算出した。なお、ρ は基材の密度(kg/m )、C 1pは基材の比熱容量(J/(kg・K))、α は基材の熱拡散率(m /s)を表す。基材の密度ρ 、基材の比熱容量C 1p、基材の熱拡散率α の測定方法は以下の通りである。
[0085]
 (基材の密度ρ
 基材の密度ρ (kg/m )は、直径10mm及び厚さ1mmの円板を基材から切り出し、大気中、室温(20℃)において、当該円板の重量を測定することにより算出した。
[0086]
 (基材の比熱容量C 1P
 基材の比熱容量C 1P(J/(kg・K))は、直径10mm及び厚さ1mmの円板を基材から切り出し、大気中、室温(20℃)において、レーザーフラッシュ法により測定した。なお、基材の比熱容量は、熱定数測定装置(アルバック理工株式会社製 TC-7000)を用いて測定した。
[0087]
 (基材の熱拡散率α
 基材の熱拡散率α (m /s)は、直径10mm及び厚さ1mmの円板を基材から切り出し、大気中、室温(20℃)において、レーザーフラッシュ法により測定した。なお、基材の熱拡散率α は、熱定数測定装置(アルバック理工株式会社製 TC-7000)を用いて測定した。
[0088]
 (第一層の熱拡散率α
 第一層の熱拡散率α は以下のようにして算出した。まず、上述のようにして得られた各実施例及び比較例の遮熱部品における基材側の面を1mmまで研磨し、2層の積層板を準備した。次に、この積層板から直径10mmの円板を切り出して試験片とし、大気中、室温(20℃)において、レーザーフラッシュ法により、規格化された温度-時間曲線から、上記積層板の面積熱拡散時間Aを算出した。レーザーフラッシュ法は、熱定数測定装置(アルバック理工株式会社製 TC-7000)を用いて測定した。ここで、面積熱拡散時間Aは下記の数式(1)で表すことができる。
[0089]
[数1]


[0090]
 ここで、X =d ρ 1P、X =d ρ 2Pとすると、上記数式(1)より、以下の数式(2)が導かれる。なお、d は基材の厚さ(m)、ρ は基材の密度(kg/m )、C 1Pは基材の比熱容量(J/(kg・K))、d は第一層の厚さ(m)、ρ は第一層の密度(kg/m )、C 2Pは第一層の比熱容量(J/(kg・K))を表す。基材の密度ρ 、基材の比熱容量C 1Pの測定方法は上述した通りである。また、第一層の密度ρ 、第一層の比熱容量C 2Pの測定方法は後述する。
[0091]
[数2]


[0092]
 さらに、上記数式(2)より、以下の数式(3)を導くことができ、第一層の熱拡散時間τ を算出することができる。
[0093]
[数3]


[0094]
 そして、以下の数式(4)に上記数式(3)を算出することにより得られた第一層の熱拡散時間τ を代入し、第一層の熱拡散率α を算出した。
[0095]
[数4]


[0096]
 (第一層の密度ρ
 第一層の密度ρ (kg/m )は、以下のようにして測定した。まず、基材の上に厚さ約1mmの第一層を形成し、積層体を得た。次に、上記積層体から13mm×5mmの試験片を切り出してその重量を測定し、積層体の密度を算出した。そして、積層体の密度から上述のようにして得られた基材の密度を差し引くことにより、第一層の密度を算出した。なお、第一層の厚さは、積層体の厚さから基材の厚さを差し引くことにより算出した。また、積層体及び基材の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定した。なお、走査型電子顕微鏡(SEM)では、高倍率で5点、低倍率で3点の厚さを測定した平均値としている。
[0097]
 (第一層の比熱容量C 2p
 第一層の比熱容量C 2p(J/(kg・K))は、以下のようにして測定した。まず、各例で得られた遮熱部品の第一層側にテフロン(登録商標)テープを貼り、塩酸に浸漬させ、基材を完全に溶解させた。次に、残った第一層をアセトンに浸漬させ、テフロン(登録商標)テープを第一層から剥離させ、粉末状の第一層の試料を得た。この試料12mgを示差走査熱量測定(DSC)によって測定し、第一層の比熱容量を得た。示差走査熱量測定(DSC)では、アルゴンガス雰囲気下、測定温度を20℃で測定した。なお、示差走査熱量測定(DSC)は、PerkinElmer製のDSC-7型を用いて測定した。
[0098]
 (第一層の熱伝導率λ
 第一層の熱伝導率λ (W/(m・K))は、λ =ρ 2pα の式に従い算出した。なお、ρ は第一層の密度、C 2pは第一層の比熱容量、α は第一層の熱拡散率を表す。第一層の密度ρ 、第一層の比熱容量C 2p、第一層の熱拡散率α の測定方法は、それぞれ上述の通りである。
[0099]
 (第一層の容積比熱C 2V
 第一層の容積比熱C 2V(J/(m ・K))は、C 2V=C 2pρ の数式に従い算出した。なお、上記数式中、C 2pは第一層の比熱容量(J/(kg・K))、ρ は第一層の密度(kg/m )を表す。第一層の比熱容量C 2p及び第一層の密度ρ の測定方法は上述の通りである。
[0100]
 (第三層の熱伝導率λ
 第三層の熱伝導率λ (W/(m・K))は、λ =ρ 3pα の式に従い算出した。なお、ρ は第三層の密度、C 3pは第三層の比熱容量、α は第三層の熱拡散率を表す。第三層の密度ρ 、第三層の比熱容量C 3p、第三層の熱拡散率α の測定方法は、それぞれ第一層と同様の方法により測定した。
[0101]
 (表面粗さ)
 表面粗さは、接触式表面粗さ測定器を用い、JIS B0601:2013に従って、得られた試験サンプル表面の算術平均粗さを測定した。
[0102]
 (単位投影面積当たりのガス吸着面積)
 単位投影面積当たりのガス吸着面積(m /m )は、BET法に基づき測定された各例の遮熱膜の上面におけるガス吸着面積を、最表層の投影面積で除することにより算出した。
[0103]
 各例の遮熱膜の上面におけるガス吸着面積は、BET法に基づき測定された各例の遮熱部品の全ガス吸着面積から、遮熱膜の上面より下の層のガス吸着面積を減ずることにより算出した。なお、遮熱膜の上面より下の層のガス吸着面積については、例えば基材単独のガス吸着面積や露出している表面積(表層の投影面積)を考慮して算出している。
[0104]
 ガス吸着面積は、JIS Z8830:2013(ISO 9277:2010)に準じて測定した。具体的には、以下の条件にて測定した。
測定装置 :全自動ガス吸着量測定装置 Autosorb(登録商標)-iQ(Quantachrome製)
試料:各例の遮熱部品を幅5mm、長さ25mmの短冊状に切り抜いたもの
試料セル: ステム外径が直径9mmの薄膜セル
脱ガス処理(試料前処理):真空状態(1Pa以下)、100℃で1時間以上加熱
吸着質ガス : クリプトン(Kr)ガス
測定温度 : 77.35K(液体窒素下)
測定方法 : 静的容量法
解析項目 :BET多点法による比表面積
測定した吸着質ガスの相対圧:0.075~0.3の内の13点
測定回数:同一試料にて2回
[0105]
 (熱分解温度)
 熱分解温度は、熱重量測定(TG)により、100mL/分で空気を試料室に流入させた状態で、20℃から950℃まで10℃/分で加熱したときに、質量減少率が5%になったときの温度として評価した。なお、試料量は5mg、容器は白金パンとした。
[0106]
 (冷却応答性試験)
 図5に示すように、各例の遮熱部品を縦50mm、横50mm、厚さ9.5mmの大きさに切り出して試験片とし、試験片の基材5側をヒータ51の上に乗せた。そして、基材5側からヒータ51で加熱して遮熱部品の最表面の温度を250℃にした後、20℃の空気52を0.002m /秒の流量で遮熱部品の最表面に吹き付け、遮熱部品の最表面の温度を測定した。なお、遮熱部品の最表面の温度は赤外線カメラ53により得られた温度分布の映像により測定した。空気52を吹き付けてから10秒後における遮熱部品の最表面の低下温度差を表2に示す。なお、図5では、第二層20が最表層である実施例1の場合について説明しているが、第三層30が最表層である場合には、第二層20を第三層30と読み替えて冷却応答性試験を実施すればよい。
[0107]
 (炭化水素濃度)
 炭化水素(HC)濃度は、上述のように作製した遮熱部品をシリンダヘッドの頂面に施して内燃機関を作製し、排出ガス内の濃度を測定することにより評価した。なお、評価結果は比較例1に対する濃度の低下量を示しており、比較例1に対して炭化水素濃度が低下した場合、評価結果は正の値となり、値が大きい程炭化水素排出量の低減効果が優れていることを示している。
[0108]
[表1]


[0109]
[表2]


[0110]
 表1及び表2の結果より、実施例1~実施例6では、冷却応答性試験の評価結果が22.9℃以上、炭化水素濃度の低減量が317ppm以上であり、断熱性及び炭化水素排出量の低減効果に優れていた。
[0111]
 一方、比較例1~比較例6では、冷却応答性試験の評価結果、又は、炭化水素濃度の低減量が実施例1~実施例6ほど良好ではなかった。これらの結果より、実施例の遮熱部品では、断熱性及び炭化水素排出量の低減効果が高いことが分かる。
[0112]
 以上、実施例に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。

産業上の利用可能性

[0113]
 本発明の遮熱部品は、基材と遮熱膜とを備える。遮熱膜は、熱伝導率及び容積比熱が所定の値以下である第一層と、第一層との間に閉気孔を形成する第二層と、を備える。そして、遮熱膜の上面の表面粗さが所定の値以下である。そのため、本発明の遮熱部品によれば、例えば内燃機関などにおいて、断熱性及び炭化水素排出量の低減効果を高くすることができる。

符号の説明

[0114]
  5  基材
  7  遮熱膜
  7a 上面
 10  第一層
 15  気孔
 20  第二層
 25  閉気孔
 30  第三層
100  遮熱部品

請求の範囲

[請求項1]
 基材と、
 前記基材の上に配置される遮熱膜と、
 を備え、
 前記遮熱膜は、
 前記基材の上に配置され、気孔を有し、熱伝導率は0.3W/(m・K)以下であり、容積比熱は1200kJ/(m ・K)以下である第一層と、
 前記第一層の上に配置され、第一層との間に閉気孔を形成する第二層と、
 を備え、
 前記遮熱膜の上面の表面粗さは1.5μmRa以下である遮熱部品。
[請求項2]
 前記遮熱膜の上面の単位投影面積当たりのガス吸着面積は20m /m 以下である請求項1に記載の遮熱部品。
[請求項3]
 前記熱伝導率は0.2W/(m・K)以下であり、前記容積比熱は1000kJ/(m ・K)以下である請求項1又は2に記載の遮熱部品。
[請求項4]
 前記熱伝導率は0.1W/(m・K)以下であり、前記容積比熱は1000kJ/(m ・K)以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の遮熱部品。
[請求項5]
 前記第一層の膜厚は6.7119e (0.0063×前記熱伝導率×前記容積比熱)μm~67.119e (0.0063×前記熱伝導率×前記容積比熱)である請求項1~4のいずれか1項に記載の遮熱部品。
[請求項6]
 前記表面粗さは0.5μmRa以下である請求項1~5のいずれか1項に記載の遮熱部品。
[請求項7]
 前記表面粗さは0.1μmRa以下である請求項1~6のいずれか1項に記載の遮熱部品。
[請求項8]
 前記第二層の膜厚は1μm以上10μm以下である請求項1~7のいずれか1項に記載の遮熱部品。
[請求項9]
 前記遮熱膜は、前記第二層の上に配置され、500℃以上の熱分解温度を有する第三層をさらに備える請求項1~8のいずれか1項に記載の遮熱部品。
[請求項10]
 前記第一層及び前記第二層の熱分解温度はそれぞれ350℃以上である請求項1~9のいずれか1項に記載の遮熱部品。
[請求項11]
 前記第一層及び前記第二層はそれぞれポリイミドを含む材料で形成されている請求項1~10のいずれか1項に記載の遮熱部品。
[請求項12]
 前記第三層はシリカを主成分とする無機膜により形成されている請求項9に記載の遮熱部品。
[請求項13]
 前記第三層は非晶質炭素系薄膜である請求項9に記載の遮熱部品。
[請求項14]
 前記第一層の気孔率は30%以上である請求項1~13のいずれか1項に記載の遮熱部品。
[請求項15]
 前記第一層の気孔率は50%以上である請求項1~14のいずれか1項に記載の遮熱部品。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]