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1. (WO2019031613) ダイバーティングエージェント及びこれを用いた坑井の亀裂の閉塞方法
Document

明 細 書

発明の名称 ダイバーティングエージェント及びこれを用いた坑井の亀裂の閉塞方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009  

先行技術文献

特許文献

0010  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0011   0012   0013  

課題を解決するための手段

0014   0015   0016   0017   0018   0019  

発明の効果

0020   0021   0022  

発明を実施するための形態

0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155  

実施例

0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244   0245   0246   0247   0248   0249   0250   0251  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

明 細 書

発明の名称 : ダイバーティングエージェント及びこれを用いた坑井の亀裂の閉塞方法

技術分野

[0001]
 本発明は、ダイバーティングエージェント(Diverting Agent)及びこれを用いた坑井の亀裂の閉塞方法に関し、更に詳しくは、水圧破砕法を用いる掘削工法の施工時に用いられるダイバーティングエージェント、及び該ダイバーティングエージェントを用いた坑井の亀裂の閉塞方法に関する。

背景技術

[0002]
 石油やその他の地下資源の採取のために、地下の頁岩(シェール)層に高圧の水を注入して亀裂を生じさせる水圧破砕法が広く採用されている。水圧破砕法では、まず、ドリルで垂直に地下数千メートルの縦孔(垂直坑井)を掘削し、頁岩層に達したところで水平に直径十から数十センチメートルの横孔(水平坑井)を掘削する。垂直坑井と水平坑井内を流体で満たし、この流体を加圧することにより、坑井から亀裂(フラクチャ、fracture)を生成させ、かかる亀裂から頁岩層にある天然ガスや石油(シェールガス・オイル)等が流出してくるので、それを回収する。このような手法によれば、亀裂の生成により、坑井の資源流入断面が増大し、効率よく地下資源の採取を行うことができる。
[0003]
 上記の水圧破砕法においては、流体加圧による亀裂の生成に先立って、水平坑井中でパーフォレーション(Perforation)と呼ばれる予備爆破が行われる。このような予備爆破により、坑井から生産層に穿孔を開ける。この後、この坑井内にフラクチュアリング流体を圧入することにより、これら穿孔に流体が流入し、これら穿孔に負荷が加えられることにより、これら穿孔に亀裂が生じ、資源の採取に好適な大きさの亀裂に成長していくこととなる。
[0004]
 水圧破砕法では、既に生成している亀裂をより大きく成長させたり、さらに多くの亀裂を生成させたりするために、既に生成している亀裂の一部をダイバーティングエージェントと呼ばれる添加剤を用いて一時的に塞ぐことがなされる。亀裂の一部をダイバーティングエージェントで一時的に閉塞し、この状態で坑井内に充填されたフラクチュアリング流体を加圧することにより、他の亀裂内に流体が侵入していき、これにより、他の亀裂を大きく成長させるあるいは新たな亀裂を発生させることができる。
[0005]
 ダイバーティングエージェントは、上記したように亀裂を一時的に閉塞するために用いられるものであるので、一定期間はその形状を維持でき、天然ガスや石油等を採取する際には加水分解して消失するものが使用される。例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸等の加水分解性樹脂をダイバーティングエージェントとして使用する技術が種々提案されている。
[0006]
 特許文献1では、生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂の中でも生分解性の高いポリグリコール酸を含有する構成掘削用一時目止め剤が提案されている。
[0007]
 また、特許文献2では、生分解性樹脂であるポリ乳酸の粒子からなり、目開き500μmの篩にかけた際にパスしない粒子が50質量%以上、且つ、51度以上の安息角を有する粉体が提案されている。
[0008]
 そして、特許文献3では、ポリ乳酸中に該ポリ乳酸の加水分解性を調整するための生分解性の高いポリオキサレートの微細粒子が分布している分散構造を有している加水分解性粒子であって、平均粒径(D 50)が300~1000μmの範囲にあり、短径/長径比が0.8以上の真円度を有する加水分解性粒子が提案されている。
[0009]
 そしてまた、特許文献4では、平均粒径(D 50)が300~1000μmの範囲にあり、短径/長径比が0.8以上の真円度を有しているポリオキサレート粒子が提案されている。

先行技術文献

特許文献

[0010]
特許文献1 : 国際公開第2015/072317号
特許文献2 : 日本国特開2016-56272号公報
特許文献3 : 日本国特開2016-147971号公報
特許文献4 : 日本国特開2016-147972号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0011]
 上記のように、ダイバーティングエージェントは、頁岩層にできた亀裂を一時的に閉塞するために用いられる。よって、ダイバーティングエージェントは、水に添加直後は形状が維持される必要がある。一方、石油や天然ガス等を回収する際には、ダイバーティングエージェントは、除去されていることが好ましい。
 すなわち、一定時間(30分~1週間程度)は水に一部溶解する程度であり、亀裂をふさぐことができるが、一定時間経過後は水で溶解除去できるダイバーティングエージェントが求められている。
[0012]
 しかしながら、特許文献1に記載の一時目止め剤、特許文献2に記載の粉体、特許文献3に記載の加水分解性粒子及び特許文献4に記載のポリオキサレート粒子は、水に溶解せず、また、低温域では生分解速度が遅いため、除去されるまでにかなりの時間を要する。
[0013]
 本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、一定時間(30分~1週間程度)は水に一部溶解する程度であり、亀裂をふさぐことができるが、一定時間経過後は水で溶解除去できるダイバーティングエージェントを提供することを解決すべき課題としている。

課題を解決するための手段

[0014]
 本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリビニルアルコール系樹脂をダイバーティングエージェントに含有させることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[0015]
 すなわち、本発明は下記<1>~<13>に関するものである。
<1>ポリビニルアルコール系樹脂を含有する、ダイバーティングエージェント。
<2>前記ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が90モル%以上である、<1>に記載のダイバーティングエージェント。
<3>前記ポリビニルアルコール系樹脂は、該ポリビニルアルコール系樹脂4gを40℃の水96g中に投入し、180分間撹拌した際の溶解率が0.1~30質量%である、<1>又は<2>に記載のダイバーティングエージェント。
<4>前記ポリビニルアルコール系樹脂の結晶化度が25~60%である、<1>~<3>のいずれか1つに記載のダイバーティングエージェント。
<5>前記ポリビニルアルコール系樹脂は、該ポリビニルアルコール系樹脂1gを40℃の水100gに浸漬した際の1時間後溶解率に対する24時間後溶解率の比が2.8以上である、<1>に記載のダイバーティングエージェント。
<6>前記ポリビニルアルコール系樹脂1gを40℃の水100gに浸漬した際の1時間後溶解率が30質量%未満である、<5>に記載のダイバーティングエージェント。
<7>前記ポリビニルアルコール系樹脂1gを40℃の水100gに浸漬した際の24時間後溶解率が30質量%以上である、<5>又は<6>に記載のダイバーティングエージェント。
<8>前記ポリビニルアルコール系樹脂が変性ポリビニルアルコール系樹脂である、<5>~<7>のいずれか1つに記載のダイバーティングエージェント。
<9>前記変性ポリビニルアルコール系樹脂の変性率が0.5~10モル%である、<8>に記載のダイバーティングエージェント。
<10>前記ポリビニルアルコール系樹脂は、下記式(A)を満たす、<1>に記載のダイバーティングエージェント。
 膨潤度×溶出率(質量%)≦500   (A)
(式(A)中、膨潤度とは、下記式(B)により求められる値であり、溶出率(質量%)とは、下記式(C)により求められる値である。)
[0016]
[数1]


[0017]
(式(B)中、膨潤後のポリビニルアルコール系樹脂の質量(g)とは、100gの水に1gのポリビニルアルコール系樹脂を投入し、23℃の恒温室中で1日静置後、ろ過により採取した残存ポリビニルアルコール系樹脂の質量(g)である。膨潤後に乾燥させたポリビニルアルコール系樹脂の質量(g)とは、前記残存ポリビニルアルコール系樹脂を140℃で3時間乾燥した後の質量(g)である。)
[0018]
[数2]


[0019]
(式(C)中、膨潤後に乾燥させたポリビニルアルコール系樹脂の質量(g)とは、式(B)における定義と同様である。)
<11>前記ポリビニルアルコール系樹脂の前記溶出率が50質量%以下である、<10>に記載のダイバーティングエージェント。
<12>前記ポリビニルアルコール系樹脂の前記膨潤度が30以下である、<10>又は<11>に記載のダイバーティングエージェント。
<13>坑井に生成された亀裂を一時的に閉塞する方法であって、<1>~<12>のいずれか1つに記載のダイバーティングエージェントを、坑井内の流体の流れに乗せて閉塞したい亀裂に流入させる、亀裂の閉塞方法。

発明の効果

[0020]
 本発明によれば、ポリビニルアルコール系樹脂を用いることによって、一定時間(30分~1週間程度)は水に一部溶解する程度であり、亀裂をふさぐことができるが、一定時間経過後は水で溶解除去できるダイバーティングエージェントを提供することができる。
[0021]
 また、後述の1時間後溶解率に対する24時間後溶解率の比が一定以上であるポリビニルアルコール系樹脂を用いることによって、水に添加後1時間程度は形状を維持でき、24時間程度経過後は水への溶解性が増すダイバーティングエージェントを提供することができる。
[0022]
 さらに、膨潤度及び溶出率に関する特定の式を満たすポリビニルアルコール系樹脂を用いることによって、水への分散性が良好なダイバーティングエージェントを提供することができる。

発明を実施するための形態

[0023]
 以下、本発明について詳述するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、本発明はこれらの内容に特定されるものではない。
[0024]
 本発明において、(メタ)アリルとはアリル又はメタリル、(メタ)アクリルとはアクリル又はメタクリル、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートをそれぞれ意味する。
 また、本発明において、「質量」は「重量」と同義である。
[0025]
[ポリビニルアルコール系樹脂]
 本発明のダイバーティングエージェントは、ポリビニルアルコール(以下、PVAと称することがある。)系樹脂を含有する。本発明のダイバーティングエージェントがPVA系樹脂を含有することにより水溶性のダイバーティングエージェントとなる。
[0026]
 また、本発明のダイバーティングエージェントは、PVA系樹脂を含有することにより、比較的低温域(例えば、30℃~60℃)においても、一定時間(30分~1週間程度)は水に一部溶解する程度であり、亀裂をふさぐことができるが、一定時間経過後は水で溶解除去できるダイバーティングエージェントとなる。
[0027]
 石油や天然ガス等を回収する際には、本発明のダイバーティングエージェントを用いて地中の亀裂を塞栓するわけであるが、本発明のダイバーティングエージェントは水に溶解するため、長期間地中にとどまることがない。よって、本発明のダイバーティングエージェントは、環境への負荷も極めて小さく、非常に有用である。
[0028]
 本発明で用いるPVA系樹脂は、下記の態様(i)を満たすことが好ましい。
<態様(i):PVA系樹脂4gを40℃の水96g中に投入し、180分間撹拌した際の溶解率が0.1~30質量%であるPVA系樹脂>
[0029]
 以下、態様(i)のPVA系樹脂について詳細に説明する。
 上記の溶解率は、1~20質量%であるものがより好ましく、2~10質量%であるものがさらに好ましい。かかる溶解率が低すぎると、坑井中の亀裂を塞ぐという役割が終了した後もダイバーティングエージェントが残存する傾向があり、かかる溶解率が高すぎると、塞栓期間が非常に短くなる傾向がある。
[0030]
 上記の溶解率の測定方法は、以下の通りである。
(1)PVA系樹脂4gを40℃の水96gに投入する。
(2)水の温度を40℃に保ったまま180分間撹拌する。
(3)180分間撹拌後、溶け残った残渣を濾過し、残渣を除いた水溶液の濃度を測定する。
[0031]
 水溶液の濃度は、PVA系樹脂水溶液を適量、量り取り、105℃の乾燥機に入れて3時間乾燥し、室温に冷却後、乾燥残渣の質量を測定し、次の式より算出する。
 水溶液の濃度(質量%)=乾燥残渣の質量(部)/量り取ったPVA系樹脂水溶液の質量(部)×100
[0032]
(4)水溶液濃度とPVA系樹脂の仕込み量から、残渣量を算出し、溶解率を求める。
[0033]
 態様(i)で用いられるPVA系樹脂の結晶化度は、好ましくは25~60%であり、より好ましくは30~55%、さらに好ましくは35~50%、特に好ましくは40~50%である。
 かかる結晶化度が小さすぎると目止効果が低下する傾向があり、かかる結晶化度が大きすぎると水溶解性が低下する傾向がある。
[0034]
 かかる結晶化度は、対象のPVA系樹脂の融点の融解熱(ΔH)(J/g)を測定し、下記の式により算出する。
[0035]
 結晶化度(%)=ΔH/ΔH ×100
(ただし、ΔH は、ケン化度100モル%のPVA系樹脂の融解熱156.7(J/g)である。)
[0036]
 PVA系樹脂の融点の融解熱(ΔH)(J/g)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定する。
 まず、測定する試料量としては、測定容器に5mg量りとる。測定開始温度は-30℃であり、昇温速度10℃/分で昇温され、到達温度(融点より30℃高い温度)は、200~240℃まで昇温する。その後、降温速度10℃/分で測定開始温度まで降温する。再び昇温速度10℃/分で融点より30℃程度高い温度まで昇温する。その2回目の昇温時の融点の吸熱ピーク面積を融解熱ΔH(J/g)として算出する。
[0037]
 融解熱(ΔH)の算出は、まず、分析チャートの横軸を温度軸とし、DSC曲線の吸熱ピークの終点の温度から5℃高い位置をA点、DSC曲線の吸熱ピークの頂点の温度から40℃低い点をB点とし、この2点を結んだ直線をベースラインとする。かかるベースラインと吸熱ピークに囲まれた部分の面積から融解熱(ΔH)(J/g)を算出する。
[0038]
 態様(i)で用いるPVA系樹脂の融点は、通常、140~250℃であり、好ましくは150~245℃、より好ましくは160~240℃、さらに好ましくは170~235℃、特に好ましくは180~230℃である。
 なお、融点は、示差走査熱量計(DSC)で昇降温速度10℃/minで測定した値である。
[0039]
 態様(i)で用いるPVA系樹脂を使用の目的に応じて設計したい場合、その性能を調整する方法としては、PVA系樹脂のケン化度を調整する方法、PVA系樹脂の平均重合度を調整する方法、PVA系樹脂に変性基を導入する方法、PVA系樹脂に熱処理を行う方法、PVA系樹脂を用いてコアシェル粒子とする方法等が挙げられる。なお、本願において、コアシェル粒子とはコア部とその表面に設けられたシェル部からなる粒子のことを指す。
[0040]
 態様(i)で用いるPVA系樹脂のケン化度(JIS K 6726に準じて測定)は、通常、70モル%以上であり、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、98モル%以上がさらに好ましい。
[0041]
 態様(i)で用いるPVA系樹脂のケン化度が高いと、PVA系樹脂の1時間後溶解率を小さくすることができ、頁岩層の亀裂での態様(i)のダイバーティングエージェントによる一時的な塞栓形成を効率的に行うことができる。また、態様(i)で用いるPVA系樹脂のケン化度が高いと、PVA系樹脂の水への分散性が良好となる。
[0042]
 また、態様(i)で用いるPVA系樹脂のケン化度が低すぎると、PVA系樹脂の水溶性が低くなり、除去されるまでに時間がかかる傾向がある。
[0043]
 また、態様(i)で用いるPVA系樹脂のケン化度は、生産効率の観点から、99.9モル%以下が好ましく、99.8モル%以下がより好ましく、99.5モル%以下がさらに好ましい。
[0044]
 態様(i)で用いるPVA系樹脂の平均重合度は、通常、150~4000であり、好ましくは200~3000である。なお、本明細書においてPVA系樹脂の平均重合度は、JIS K 6726に準拠して測定した20℃における4質量%水溶液の粘度から算出したものである。
[0045]
 態様(i)で用いるPVA系樹脂は、未変性PVAであっても、変性PVA系樹脂であってもよい。
[0046]
 また、かかる変性PVA系樹脂としては、共重合変性PVA系樹脂と後変性PVA系樹脂が挙げられる。
 共重合変性PVA系樹脂は、酢酸ビニルなどのビニルエステル系モノマーと、ビニルエステル系モノマーと共重合可能な他の不飽和単量体とを共重合させた後、ケン化することにより製造することができる。
 後変性PVA系樹脂は、未変性のPVAに変性モノマーを反応させることにより製造することができる。
[0047]
 前述のビニルエステル系モノマーと共重合可能な上記他の不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オクタデセン等のオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ウンデシレン酸等の不飽和酸類あるいはその塩、そのモノ又はジアルキルエステル等;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩;アルキルビニルエーテル類;N-アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド;アリルトリメチルアンモニウムクロライド;ジメチルアリルビニルケトン;N-ビニルピロリドン;塩化ビニル;塩化ビニリデン;ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等のポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル;ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート;ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド;ポリオキシエチレン(1-(メタ)アクリルアミド-1,1-ジメチルプロピル)エステル;ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル等のポリオキシアルキレンビニルエーテル;ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン等のポリオキシアルキレンアリルアミン;ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等のポリオキシアルキレンビニルアミン;3-ブテン-1-オール、4-ペンテン-1-オール、5-ヘキセン-1-オール等のヒドロキシ基含有α-オレフィン類あるいはそのアシル化物;ビニルエチレンカーボネート;2,2-ジアルキル-4-ビニル-1,3-ジオキソラン;グリセリンモノアリルエーテル;3,4-ジアセトキシ-1-ブテン等のビニル化合物;酢酸イソプロペニル;1-メトキシビニルアセテート等の置換酢酸ビニル類;1,4-ジアセトキシ-2-ブテン;ビニレンカーボネート等が挙げられる。
[0048]
 また、共重合変性PVA系樹脂として、側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂が挙げられる。かかるPVA系樹脂としては、例えば、3,4-ジアセトキシ-1-ブテン、ビニルエチレンカーボネート、グリセリンモノアリルエーテル等を共重合して得られる、側鎖に1,2-ジオール構造を有するPVA系樹脂;1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパン、1,3-ジプロピオニルオキシ-2-メチレンプロパン、1,3-ジブチロニルオキシ-2-メチレンプロパン等のヒドロキシメチルビニリデンジアセテート等を共重合して得られる側鎖にヒドロキシメチル基を有するPVA系樹脂が挙げられる。
[0049]
 前記後変性PVA系樹脂は、未変性PVAを後変性することにより製造することができる。かかる後変性の方法としては、未変性PVAをアセト酢酸エステル化、アセタール化、ウレタン化、エーテル化、リン酸エステル化、オキシアルキレン化する方法等が挙げられる。
[0050]
 中でも、側鎖に1,2-ジオール構造を有するPVA系樹脂が、溶解性がコントロールしやすい点で好ましい。
[0051]
 態様(i)で用いるPVA系樹脂は、通常はペレットや粉末などの形状で用いられる。中でも塞栓性の観点から、ペレット形状で用いられることが好ましい。
[0052]
 態様(i)で用いるPVA系樹脂として粉末形状のものを用いる場合には、その平均粒子径は、好ましくは10~3000μm、より好ましくは50~2000μm、さらに好ましくは100~1000μmである。
[0053]
 PVA系樹脂の平均粒子径が小さすぎると飛散するなどして扱いが困難となる傾向があり、大きすぎると後反応し、PVA系樹脂を変性させる場合に反応が不均一となる傾向がある。
 なお、かかる平均粒子径とは、レーザー回折で粒径別の体積分布を測定し、積算値(累積分布)が50%になる径である。
[0054]
 また、PVA系樹脂としてペレット形状のものを用いる場合には、その平均重合度は、特に好ましくは200~1200であり、さらに好ましくは300~800である。かかる平均重合度が低すぎると水溶性が高くなりすぎ、目止効果が低下する傾向がある。かかる平均重合度が高すぎると水溶性が低下しすぎて、溶解除去できるまでの時間が長くなりすぎる傾向がある。
[0055]
 PVA系樹脂としてペレット形状のものを用いる場合には、かかるペレット形状への成形は公知の方法を用いることができるが、押出機からストランド状に押出し、冷却後所定の長さに切断し、円柱状のペレットとする方法が効率的である。
 また、かかる円柱状のペレットの大きさとしては、長さは通常1~4mm、好ましくは2~3mm、直径は通常1~4mm、好ましくは2~3mmである。
[0056]
 態様(i)で用いるペレット形状のPVA系樹脂は、例えば、PVA系樹脂の粉末を溶融する方法などにより製造することができる。
[0057]
 溶融方法としては、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等の混合機により混合した後、単軸又は二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダーミキサー等の溶融混練機にて溶融混練する方法が挙げられる。溶融混練時の温度は、PVA系樹脂の融点以上であって、かつ熱劣化しない温度範囲で適宜設定することができるが、好ましくは100~250℃であり、特に好ましくは160~220℃である。
[0058]
 態様(i)で用いるPVA系樹脂を熱処理にて製造する場合は、常法により得られたPVA系樹脂を、例えば、90~220℃、好ましくは90~180℃、より好ましくは100~160℃で、10~600分、好ましくは20~400分、より好ましくは30~300分熱処理することでPVA系樹脂を得ることができる。なお、熱処理は公知の方法で行うことができ、熱処理缶などを用いた熱処理の他、溶融押出等により行うことも可能である。
[0059]
 また、態様(i)で用いるPVA系樹脂をコアシェル粒子とする方法にて製造する場合は、公知の方法、例えば日本国特開2017-048267号公報に記載の方法で得ることができる。
[0060]
 また、本発明のPVA系樹脂は、下記の態様(ii)を満たすものが好ましい。
<態様(ii):PVA系樹脂1gを40℃の水100gに浸漬した際の1時間後溶解率に対する24時間後溶解率の比は2.8以上であるPVA系樹脂>
[0061]
 すなわち、態様(ii)で用いるPVA系樹脂は、下記式(X)を満たすPVA系樹脂であることが好ましい。
 24時間後溶解率(質量%)/1時間後溶解率(質量%)≧2.8   (X)
[0062]
 態様(ii)で用いるPVA系樹脂の1時間後溶解率に対する24時間後溶解率の比を2.8以上とすることにより、当該PVA系樹脂は、水に添加後1時間程度は形状を維持でき、24時間程度経過後は水への溶解性が増すPVA系樹脂となる傾向がある。
[0063]
 よって、当該PVA系樹脂を含有する態様(ii)のダイバーティングエージェントを、一定時間は形状を維持でき、石油や天然ガス等を回収する際には水に溶解するものとすることができる。
[0064]
 1時間後溶解率に対する24時間後溶解率の比は、24時間程度経過後は水への溶解性をより増加させる観点から、3.0以上がより好ましく、3.5以上がさらに好ましく、4.0以上が特に好ましい。
 また、1時間後溶解率に対する24時間後溶解率の比は、溶解が速すぎると目止効果の作用期間が短くなりすぎるので、20以下が好ましく、10以下がより好ましい。
[0065]
 式(X)において、1時間後溶解率(質量%)は、40℃の水100gにPVA系樹脂1gを浸漬し、1時間静置した後に、溶解せずに残存したPVA系樹脂の質量の割合(質量%)から算出できる。具体的には、1時間後溶解率(質量%)は、下記の方法により算出することができる。
[0066]
 100gの水が入った140mLの蓋付きガラス容器を恒温機に入れ、水温を40℃とする。ナイロン製の120メッシュ(目開き125μm、10cm×7cm)の長辺を二つ折りにし、両端をヒートシールしメッシュの袋(5cm×7cm)を得る。
[0067]
 得られたメッシュの袋に1gのPVA系樹脂を入れ、開口部をヒートシールし、PVA系樹脂入りのメッシュの袋を得て、質量を測定する。上記ガラス容器中にPVA系樹脂入りのメッシュの袋を浸漬させる。1時間静置後、PVA系樹脂入りのメッシュの袋を上記ガラス容器から取り出し、105℃で3時間乾燥させ、かかるPVA系樹脂入りのメッシュの袋の質量を測定し、浸漬前の質量からメッシュの袋中に残存したPVA系樹脂の質量を計算し、下記式(Y)によってPVA系樹脂の1時間後溶解率(質量%)を算出する。
[0068]
 なお、下記式(Y)中、ポリビニルアルコール系樹脂の固形分率(質量%)は、PVA系樹脂を105℃で3時間乾燥させ、乾燥前後のPVA系樹脂の質量を測定することにより、算出することができる。
[0069]
[数3]


[0070]
 また、式(X)において、24時間後溶解率(質量%)は、上記の1時間後溶解率(質量%)を算出する工程中の1時間静置するところを24時間静置に変更する以外は同様にして、24時間後、メッシュの袋中に残存したPVA系樹脂の質量を計算し、算出することができる。
[0071]
 態様(ii)で用いるPVA系樹脂の1時間後溶解率は、30質量%未満が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
 1時間後溶解率が30質量%未満であると、PVA系樹脂の形状を一定時間維持することができ、頁岩層の亀裂での態様(ii)のダイバーティングエージェントによる一時的な閉塞を効率的に行うことができる。
[0072]
 また、態様(ii)で用いるPVA系樹脂の1時間溶解率は、溶解が遅すぎると目止期間が長くなりすぎるので、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。
[0073]
 態様(ii)で用いるPVA系樹脂の24時間後溶解率は、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
 24時間後溶解率が30質量%以上であると、石油や天然ガス等を回収する際に態様(ii)のダイバーティングエージェントを効率的に除去することができる。
[0074]
 また、態様(ii)で用いるPVA系樹脂の24時間後溶解率は、溶解が速すぎると目止期間が短くなりすぎるので、99質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましく、70質量%以下が特に好ましい。
[0075]
 1時間後溶解率に対する24時間後溶解率の比を調整する方法としては、PVA系樹脂のケン化度を調整する方法、PVA系樹脂の平均重合度を調整する方法、PVA系樹脂に変性基を導入する方法、PVA系樹脂に熱処理を行う方法、PVA系樹脂を用いてコアシェル粒子とする方法等が挙げられる。
[0076]
 上記式(X)を満たすPVA系樹脂を用いる場合、該PVA系樹脂の平均重合度(JIS K 6726に準拠して測定)は、450以上が好ましく、700以上がより好ましく、1000以上がさらに好ましい。
[0077]
 該PVA系樹脂の平均重合度が450以上であると、PVA系樹脂の1時間後溶解率を小さくすることができ、頁岩層の亀裂での態様(ii)のダイバーティングエージェントによる一時的な閉塞を効率的に行うことができる。
[0078]
 また、該PVA系樹脂の平均重合度は、24時間後の溶解性が低くなりすぎないようにする観点から、4000以下が好ましく、3000以下がより好ましく、2500以下がさらに好ましい。
[0079]
 また、態様(ii)で用いるPVA系樹脂のケン化度(JIS K 6726に準じて測定)は、通常、70モル%以上であり、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、98モル%以上がさらに好ましい。またケン化度の上限は、生産効率の観点から、99.9モル%以下が好ましく、99.8モル%以下がより好ましく、99.5モル%以下がさらに好ましい。
[0080]
 また、態様(ii)で用いるPVA系樹脂を熱処理にて製造する場合は、常法により得られたPVA系樹脂を、例えば、90~220℃、好ましくは90~180℃、より好ましくは100~160℃で、10~600分、好ましくは20~400分、より好ましくは30~300分熱処理することでPVA系樹脂を得ることができる。なお、熱処理は公知の方法で行うことができ、熱処理缶などを用いた熱処理の他、溶融押出等により行うことも可能である。
[0081]
 また、態様(ii)で用いるPVA系樹脂は、未変性PVAであっても、変性PVA系樹脂であってもよく、好ましくは側鎖に1,2-ジオール構造を有するPVA系樹脂である。
[0082]
 また、態様(ii)で用いるPVA系樹脂をコアシェル粒子とする方法にて製造する場合は、公知の方法、例えば日本国特開2017-048267号公報に記載の方法で得ることができる。
[0083]
 また、本発明で用いるPVA系樹脂は、下記の態様(iii)を満たすものが好ましい。
<態様(iii):下記式(A)を満たすPVA系樹脂>
 膨潤度×溶出率(質量%)≦500   (A)
 式(A)中、膨潤度とは、下記式(B)により求められる値である。
[0084]
[数4]


[0085]
 式(B)中、膨潤後のポリビニルアルコール系樹脂の質量(g)とは、100gの水に1gのポリビニルアルコール系樹脂を投入し、23℃の恒温室中で1日静置後、ろ過により採取した残存ポリビニルアルコール系樹脂の質量(g)である。
[0086]
 式(B)中、膨潤後に乾燥させたポリビニルアルコール系樹脂の質量(g)とは、上記残存ポリビニルアルコール系樹脂を140℃で3時間乾燥した後の質量(g)である。
[0087]
 また、式(A)中、溶出率(質量%)とは、下記式(C)により求められる値である。
[0088]
[数5]


[0089]
 式(C)中、膨潤後に乾燥させたポリビニルアルコール系樹脂の質量(g)とは、式(B)における定義と同様である。
 なお、式(C)中、ポリビニルアルコール系樹脂の固形分率(質量%)は、PVA系樹脂を105℃で3時間乾燥させ、乾燥前後のPVA系樹脂の質量を測定することにより、算出することができる。
[0090]
 態様(iii)で用いるPVA系樹脂の膨潤度×溶出率(質量%)の値が500以下であると、PVA系樹脂水溶液を1日静置後の、PVA系樹脂の膨潤及び溶出を抑えることができ、PVA系樹脂同士の付着を抑えることになるので、態様(iii)のダイバーティングエージェントの水への分散性を高めることができる。
 また、より分散性を高める観点から、膨潤度×溶出率(質量%)の値は、0~500がより好ましく、1~480がさらに好ましく、2~400が特に好ましい。
[0091]
 態様(iii)で用いるPVA系樹脂の膨潤度は、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。
 態様(iii)で用いるPVA系樹脂の膨潤度が30以下であると、PVA系樹脂が水により肥大しすぎるのを抑制でき、水や態様(iii)のダイバーティングエージェントを送り込むポンプへの負荷を軽減できる。また、シェール層の微細な割れ目においても、態様(iii)のダイバーティングエージェントが塞栓を形成することができる。
 なお、膨潤度の下限値は0である。
[0092]
 態様(iii)で用いるPVA系樹脂の膨潤度を調整する方法としては、PVA系樹脂のケン化度を調整する方法、PVA系樹脂の平均重合度を調整する方法、PVA系樹脂に変性基を導入する方法、PVA系樹脂に熱処理を行う方法、PVA系樹脂を用いてコアシェル粒子とする方法等が挙げられる。
[0093]
 態様(iii)で用いるPVA系樹脂の溶出率は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
 態様(iii)で用いるPVA系樹脂の溶出率が50質量%以下であると、PVA系樹脂の形状を一定時間維持することができ、シェール層の割れ目での態様(iii)のダイバーティングエージェントによる一時的な塞栓形成を効率的に行うことができる。
 なお、溶出率の下限値は0質量%である。
[0094]
 態様(iii)で用いるPVA系樹脂の溶出率を調整する方法としては、PVA系樹脂のケン化度を調整する方法、PVA系樹脂の平均重合度を調整する方法、PVA系樹脂に変性基を導入する方法、PVA系樹脂に熱処理を行う方法、PVA系樹脂を用いてコアシェル粒子とする方法等が挙げられる。
[0095]
 また、態様(iii)で用いるPVA系樹脂のケン化度(JIS K 6726に準じて測定)は、通常、70モル%以上であり、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、98モル%以上がさらに好ましい。またケン化度の上限は、生産効率の観点から、99.9モル%以下が好ましく、99.8モル%以下がより好ましく、99.5モル%以下がさらに好ましい。
[0096]
 また、態様(iii)で用いるPVA系樹脂を熱処理にて製造する場合は、常法により得られたPVA系樹脂を、例えば、90~220℃、好ましくは90~180℃、より好ましくは100~160℃で、10~600分、好ましくは20~400分、より好ましくは30~300分熱処理することでPVA系樹脂を得ることができる。なお、熱処理は公知の方法で行うことができ、熱処理缶などを用いた熱処理の他、溶融押出等により行うことも可能である。
[0097]
 また、態様(iii)で用いるPVA系樹脂は、未変性PVAであっても、変性PVA系樹脂であってもよく、好ましくは、未変性PVA、エチレン基を有するPVA系樹脂である。
[0098]
 また、態様(iii)で用いるPVA系樹脂をコアシェル粒子とする方法にて製造する場合は、公知の方法、例えば日本国特開2017-048267号公報に記載の方法で得ることができる。
[0099]
<PVA系樹脂の製造方法>
 本発明で用いるPVA系樹脂は、ケン化度相当のビニルアルコール構造単位と未ケン化部分の酢酸ビニル構造単位を有するものである。
 本発明で用いるPVA系樹脂としては、未変性PVAの他に、ビニルエステル系樹脂の製造時に各種モノマーを共重合させ、これをケン化して得られる変性PVA系樹脂や、未変性PVAに後変性によって各種官能基を導入した各種の後変性PVA系樹脂が挙げられる。かかる変性は、PVA系樹脂の水溶性が失われない範囲で行うことができる。また、場合によっては、変性PVA系樹脂を更に後変性させてもよい。
[0100]
 ビニルエステル系樹脂の製造時にビニルエステル系モノマーとの共重合に用いられるモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オクタデセン等のオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩、そのモノ又はジアルキルエステル等;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩;アルキルビニルエーテル類;N-アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド;アリルトリメチルアンモニウムクロライド;ジメチルアリルビニルケトン;N-ビニルピロリドン;塩化ビニル;塩化ビニリデン;ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等のポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル;ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート;ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド;ポリオキシエチレン(1-(メタ)アクリルアミド-1,1-ジメチルプロピル)エステル;ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル等のポリオキシアルキレンビニルエーテル;ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン等のポリオキシアルキレンアリルアミン;ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等のポリオキシアルキレンビニルアミン;3-ブテン-1-オール、4-ペンテン-1-オール、5-ヘキセン-1-オール等のヒドロキシ基含有α-オレフィン類あるいはそのアシル化物等の誘導体を挙げることができる。
[0101]
 また、3,4-ジヒドロキシ-1-ブテン、3,4-ジアシロキシ-1-ブテン、3-アシロキシ-4-ヒドロキシ-1-ブテン、4-アシロキシ-3-ヒドロキシ-1-ブテン、3,4-ジアシロキシ-2-メチル-1-ブテン、4,5-ジヒドロキシ-1-ペンテン、4,5-ジアシロキシ-1-ペンテン、4,5-ジヒドロキシ-3-メチル-1-ペンテン、4,5-ジアシロキシ-3-メチル-1-ペンテン、5,6-ジヒドロキシ-1-ヘキセン、5,6-ジアシロキシ-1-ヘキセン、グリセリンモノアリルエーテル、2,3-ジアセトキシ-1-アリルオキシプロパン、2-アセトキシ-1-アリルオキシ-3-ヒドロキシプロパン、3-アセトキシ-1-アリルオキシ-2-ヒドロキシプロパン、グリセリンモノビニルエーテル、グリセリンモノイソプロペニルエーテル、ビニルエチレンカーボネート、2,2-ジメチル-4-ビニル-1,3-ジオキソラン等のジオールを有する化合物等が挙げられる。
[0102]
 また、後反応によって官能基が導入された後変性PVA系樹脂としては、例えば、ジケテンとの反応によるアセトアセチル基を有するもの、エチレンオキサイドとの反応によるポリアルキレンオキサイド基を有するもの、エポキシ化合物等との反応によるヒドロキシアルキル基を有するもの、あるいは各種官能基を有するアルデヒド化合物をPVA系樹脂と反応させて得られたもの等を挙げることができる。
[0103]
 本発明で用いるPVA系樹脂は、1時間後溶解率に対する24時間後溶解率の比をより大きくする観点から、変性PVA系樹脂であることが好ましく、親水性である変性基を有しているものがより好ましい。
[0104]
 本発明で用いるPVA系樹脂が変性PVA系樹脂である場合、かかる変性PVA系樹脂中の変性率、すなわち共重合体中の各種モノマーに由来する構成単位、あるいは後反応によって導入された官能基の含有量は、1時間後溶解率に対する24時間後溶解率の比をより大きくする観点から、0.5~10モル%が好ましく、0.7~8モル%がより好ましく、1.0~5モル%がさらに好ましい。
[0105]
 なお、本発明で用いるPVA系樹脂中の変性率は、ケン化度100モル%のPVA系樹脂の H-NMRスペクトル(溶媒:DMSO-d 、内部標準:テトラメチルシラン)から求めることができる。具体的には、変性率は、変性基中の水酸基プロトン、メチンプロトン、およびメチレンプロトン、主鎖のメチレンプロトン、主鎖に連結する水酸基のプロトン等に由来するピーク面積から算出することができる。
[0106]
 上記親水性である変性基としては、例えば、オキシアルキレン基、水酸基含有アルキル基、アミノ基、アミノ基含有アルキル基、チオール基、チオール基含有アルキル基等が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果が顕著に得られる点から、オキシアルキレン基及び水酸基含有アルキル基が好ましく用いられる。
[0107]
 オキシアルキレン基としては、例えば、オキシエチレン基及びオキシエチレン-オキシプロピレン共重合基等を挙げることができるが、オキシエチレン-オキシプロピレン共重合基の場合、オキシプロピレン成分が増加すると親水性が低下する傾向にあるので、オキシエチレン基が好ましく用いられる。
[0108]
 水酸基含有アルキル基としては、アルキル基の炭素数、水酸基の数、水酸基の価数及び結合様式等によって数多くのものが挙げられるが、アルキル基の炭素数は通常1~5、特に2~3が好ましい。また、水酸基の数は、通常1~4であり、特に1~3が好ましく、その価数としては1級水酸基が好ましい。これらの水酸基含有アルキル基の中でも、特に1級水酸基と2級水酸基が隣り合う炭素に結合した1,2ジオール基が好ましい。
 なお、オキシエチレン基の末端は通常水酸基であることから、オキシエチレン基は水酸基含有官能基に包含されるものである。
[0109]
 また、本発明で用いるPVA系樹脂は、異なる他のPVA系樹脂との混合物であってもよく、かかる他のPVA系樹脂としては、変性基の含有量が異なるもの、ケン化度が異なるもの、平均重合度が異なるもの、他の共重合成分が異なるもの、変性基を有さないもの等を挙げることができる。混合物を用いる場合には、ケン化度、平均重合度、変性率の平均値が上述の範囲内であることが好ましい。
[0110]
 さらに、本発明で用いるPVA系樹脂は、本発明の目的を阻害しない範囲において、各種不飽和モノマーを共重合したものを用いることができる。かかる不飽和モノマーの導入量としては、一概にはいえないが、通常10モル%未満であり、導入量が多すぎると親水性が損なわれる傾向がある。
[0111]
 以下、本発明で用いるPVA系樹脂において、変性基として好ましく用いられるオキシエチレン基を側鎖に有するPVA系樹脂(以下、オキシエチレン基含有PVA系樹脂と称することがある。)について詳しく説明する。
 かかるオキシエチレン基は、下記一般式(1)で表されるものである。
[0112]
[化1]


[0113]
 一般式(1)におけるnは正の整数を表し、nは通常5~50、好ましくは8~20である。nは、PVA系樹脂中に含まれるオキシエチレン基の数の平均値である。
 また、R 及びR は水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表す。炭素数1~3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基等が挙げられ、当該アルキル基は必要に応じてハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。
 なお、親水性を阻害しない程度であれば、オキシエチレン基以外のオキシアルキレン基、例えばオキシプロピレン基が少量共重合されているものでもよい。
[0114]
 オキシエチレン基含有PVA系樹脂は、通常、ビニルエステル系単量体とオキシエチレン基を有する不飽和単量体を共重合して得られた変性ポリビニルエステル系樹脂をケン化することによって得ることができる。
 オキシエチレン基を有する不飽和単量体としては種々のものが挙げられ、代表的には次のものが例示される。
[0115]
((メタ)アクリル酸エステル型)
 下記の式(2)で示されるもので、具体的にはポリオキシエチレン(メタ)アクリレートが挙げられる。
[0116]
[化2]


[0117]
 式(2)中、Yは水素原子又はメチル基、n、R 及びR は前記定義と同様である。
[0118]
((メタ)アクリル酸アミド型)
 下記の式(3)で示されるもので、具体的にはポリオキシエチレン(メタ)アクリル酸アミド等が挙げられる。
[0119]
[化3]


[0120]
 式(3)中、Y、n、R 及びR は前記定義と同様である。
[0121]
((メタ)アリルエーテル型)
 下記の式(4)で示されるもので、具体的にはポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
[0122]
[化4]


[0123]
 式(4)中、Y、n、R 及びR は前記定義と同様である。
[0124]
(ビニルエーテル型)
 下記の式(5)で示されるもので、具体的にはポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル等が挙げられる。
[0125]
[化5]


[0126]
 式(5)中、n、R 及びR は前記定義と同様である。
[0127]
 これらのオキシエチレン基を含有する単量体の中でも式(4)で示される(メタ)アリルエーテル型のものが共重合反応の容易さ、ケン化工程における安定性等の点から好適に使用される。
[0128]
 上記の単量体と共重合するビニルエステル系単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が単独又は併用で用いられるが、工業的には酢酸ビニルが好適である。
 また、共重合するに当たっては特に制限はなく公知の重合方法が用いられる。
[0129]
 次に、本発明で用いるPVA系樹脂において、変性基として好ましく用いられる1,2-ジオール基を側鎖に有するPVA系樹脂(以下、1,2-ジオール基含有PVA系樹脂と称することがある。)について説明する。
[0130]
 1,2-ジオール基含有PVA系樹脂は、下記一般式(6)で表わされる1,2-ジオール構造単位を有するPVA系樹脂である。
[0131]
[化6]


[0132]
 上記一般式(6)において、R ~R 10は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を示し、Xは単結合又は結合鎖を示す。
 炭素数1~5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、必要に応じて、ハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。
[0133]
 R ~R 10は、すべて水素原子であることが好ましいが、樹脂特性を大幅に損なわない程度の量であれば炭素数1~5のアルキル基であってもよい。
[0134]
 Xは、熱安定性の点や高温下や酸性条件下での安定性の点で、単結合であるものが好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲であれば結合鎖であってもよい。
[0135]
 結合鎖としては、特に限定されず、例えば、炭素数1~4の直鎖状又は分岐のアルキレン基、炭素数1~4の直鎖状又は分岐のアルケニレン基、炭素数1~4の直鎖状又は分岐のアルキニレン基、フェニレン基、ナフチレン基等の炭化水素(これらの炭化水素は、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていてもよい)の他、-O-、-(CH O) -、-(OCH -、-(CH O) CH -、-CO-、-COCO-、-CO(CH CO-、-CO(C )CO-、-S-、-CS-、-SO-、-SO -、-NR-、-CONR-、-NRCO-、-CSNR-、-NRCS-、-NRNR-、-HPO -、-Si(OR) -、-OSi(OR) -、-OSi(OR) O-、-Ti(OR) -、-OTi(OR) -、-OTi(OR) O-、-Al(OR)-、-OAl(OR)-、-OAl(OR)O-等が挙げられる。Rはそれぞれ独立して水素原子又は任意の置換基であり、水素原子又はアルキル基(特に炭素数1~4のアルキル基)が好ましい。
 また、mは自然数であり、好ましくは1~10、特に好ましくは1~5である。
[0136]
 なかでも、製造時の粘度安定性や耐熱性等の点で、炭素数1~4のアルキレン基、特にメチレン基、あるいは-CH OCH -が好ましい。
[0137]
 1,2-ジオール基含有PVA系樹脂は、公知の製造方法により製造することができる。例えば、日本国特開2002-284818号公報、日本国特開2004-285143号公報、日本国特開2006-95825号公報に記載されている方法により製造することができる。
[0138]
 すなわち、(i)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(7)で示される化合物との共重合体をケン化する方法、(ii)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(8)で示されるビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(iii)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(9)で示される2,2-ジアルキル-4-ビニル-1,3-ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法等により、製造することができる。
[0139]
[化7]


[0140]
 上記一般式(7)中、R ~R 10及びXは、いずれも一般式(6)の場合と同様である。また、R 11及びR 12は、それぞれ独立して、水素原子又はR 13-CO-(式中、R 13は、炭素数1~5のアルキル基である。)である。
[0141]
[化8]


[0142]
 上記一般式(8)中、R ~R 10及びXは、いずれも一般式(6)の場合と同様である。
[0143]
[化9]


[0144]
 上記一般式(9)中、R ~R 10及びXは、いずれも一般式(6)の場合と同様である。また、R 14及びR 15は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基である。
 また、R 13~R 15の炭素数1~5のアルキル基の具体例は、一般式(6)の場合と同様である。
[0145]
 上記方法のうち、共重合反応性及び工業的な取扱いにおいて優れるという点で、(i)の方法が好ましく、特に、上記一般式(7)で示される化合物は、R ~R 10が水素原子、Xが単結合、R 11及びR 12がR 13-CO-であり、R 13が炭素数1~5のアルキル基である3,4-ジアシロキシ-1-ブテンが好ましく、その中でも特にR 13がメチル基である3,4-ジアセトキシ-1-ブテンが好ましく用いられる。
[0146]
 また、重合温度を100℃以上にすることにより、PVA系樹脂の主鎖中に1,2-ジオール構造を1.6~3.5モル%程度導入したものを得ることが可能である。
[0147]
[ダイバーティングエージェント]
 本発明のダイバーティングエージェントは、上記のPVA系樹脂を含有するものである。PVA系樹脂の含有量は、ダイバーティングエージェント全体に対して、通常50~100質量%、好ましくは80~100質量%、特に好ましくは90~100質量%である。かかる含有量が少なすぎると本発明の効果が得られにくくなる傾向がある。
[0148]
 本発明のダイバーティングエージェントには、上記のPVA系樹脂以外に、例えば、砂、鉄、セラミック、その他の生分解性樹脂等の添加剤を配合することができる。
 かかる添加剤の配合量は、ダイバーティングエージェント全体に対して、通常50質量%以下、好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
[0149]
 本発明のダイバーティングエージェントの形状は、通常、円柱状(ペレット)、球状、粉末状等であり、目止効果の向上や製造の点で、好ましくは円柱状や粉末状であり、使用する際にはこれらの混合物とすることが好ましい。
[0150]
 円柱状(ペレット)の場合は、直径は、通常0.5~4.0mm、好ましくは1.0~3.0mm、特に好ましくは1.85~2.25mmであり、厚みは、通常0.5~4.0mm、好ましくは1.0~3.0mm、特に好ましくは、1.85~2.25mmである。
[0151]
 粉末状の場合は、平均粒子径は、好ましくは10~3000μm、より好ましくは50~2000μmであり、さらに好ましくは100~1000μmである。かかる平均粒子径とは、レーザー回折で粒径別の体積分布を測定し、積算値(累積分布)が50%になる径である。
[0152]
 直径、厚み及び平均粒径が大きすぎると水溶解性が低下する傾向があり、小さすぎると目止効果が低下する傾向がある。
[0153]
 本発明のダイバーティングエージェントは、石油やガスなどの掘削において、水圧破砕法を用いる場合に、形成される亀裂や割れ目の中に入り、その亀裂や割れ目を一時的に閉塞することにより、新たな亀裂や割れ目を形成することができる。亀裂や割れ目の閉塞方法としては、本発明のダイバーティングエージェントを坑井内の流体の流れに乗せて閉塞したい亀裂に流入させればよい。
[0154]
 また、本発明のダイバーティングエージェントは水溶性でかつ、生分解性であるため、使用後は速やかに水に溶解し除去され、その後生分解されるため、環境負荷が小さく、非常に有用である。
[0155]
 なお、上記実施形態における各要素及び各特徴の一部又は全部は、他の実施形態に適宜組み合わせてもよい。
実施例
[0156]
 以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
 なお、例中、「部」、「%」とあるのは、特に断りのない限り、質量基準を意味する。
[0157]
<<試験例1>>
[No.1-1]
〔PVA1-1の製造〕
 還流冷却器、滴下装置、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル10部(全体の10%を初期仕込みに使用)、メタノール45部を仕込み、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、沸点に到達した後、アセチルパーオキサイドを0.050部投入し、重合を開始した。
[0158]
 さらに、重合開始から0.28時間後に酢酸ビニル90部を22時間かけて等速滴下した。酢酸ビニルの重合率が95%となった時点で、ヒドロキノンモノメチルエーテルを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込みつつ蒸留することで未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し酢酸ビニル重合体のメタノール溶液を得た。
[0159]
 ついで、上記溶液をメタノールで希釈し、固形分濃度を55%に調整して、かかるメタノール溶液をニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウム中のナトリウム分2%メタノール溶液を酢酸ビニル構造単位1モルに対して6.3ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、粒子状となった時点で、さらに水酸化ナトリウム中のナトリウム分2%メタノール溶液を酢酸ビニル構造単位1モルに対して6.0ミリモル追加しケン化を行った。その後、中和用の酢酸を水酸化ナトリウムの0.8当量添加し、濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、PVA1-1を得た。
[0160]
 得られたPVA1-1のケン化度は、樹脂中の残存酢酸ビニルの構造単位の加水分解に要するアルカリ消費量にて分析したところ、99モル%であった。
 また、PVA1-1の平均重合度は、JIS K6726に準じて分析を行ったところ、300であった。
[0161]
〔PVA1-1ペレットの製造〕
 上記で得られたPVA1-1を下記の条件でペレットとした。
押出機:テクノベル社製 15mmφ L/D=60
回転数:200rpm
吐出量:1.2~1.5kg/h
押出温度:C1/C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/D=90/170/210/220/230/230/230/230/230℃
[0162]
 得られたPVA系樹脂ペレットについて、以下の評価を行った。
〔結晶化度の測定〕
 上記で得られたPVA系樹脂ペレットについて、メトラートレド社製の熱流束型示差走査熱量計「DSC3」を用いて、サンプル量5mgを測定パンに密封し、-30℃から昇温速度10℃/分で、215℃まで昇温し、直ちに降温速度10℃/分で-30℃まで降温し、再び昇温速度10℃/分で230℃まで昇温した時の融点の融解熱(ΔH)を算出したところ69.0J/gであり、結晶化度は、44.0%であった。
[0163]
〔溶解性評価(40℃)〕
 上記で得られたPVA系樹脂ペレット4gを40℃の水96gに投入し、水の温度を40℃に保ったまま180分間撹拌した。
 180分後、溶け残ったPVA系樹脂ペレットの残渣を濾過し、残渣を除いた水溶液の濃度を測定した。水溶液の濃度は、PVA系樹脂水溶液を適量、量り取り、105℃の乾燥機に入れて3時間乾燥し、室温に冷却後、乾燥残渣の質量を測定し、次の式より算出した。
 水溶液の濃度(質量%)=乾燥残渣の質量(部)/量り取ったPVA系樹脂水溶液の質量(部)×100
 かかる水溶液濃度とPVA系樹脂ペレットの仕込み量から、残渣量を算出し、溶解率を求めた。結果を表1-1に示す。
[0164]
[No.1-2]
 No.1-1において、PVA1-1をPVA1-2(ケン化度99モル%、平均重合度500、未変性PVA)に替えた以外は、No.1-1と同様の評価を行った。結果を表1-1に示す。
[0165]
[No.1-3]
〔PVA1-3の製造〕
 還流冷却器、滴下装置、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル10部(全体の10%を初期仕込みに使用)、メタノール45部、及び3,4-ジアセトキシ-1-ブテン0.20部(全体の10%を初期仕込み)を仕込み、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、沸点に到達した後、アセチルパーオキサイドを0.100部投入し、重合を開始した。
[0166]
 さらに、重合開始から0.5時間後に酢酸ビニル90部と3,4-ジアセトキシ-1-ブテン1.80部を22.5時間かけて等速滴下した。酢酸ビニルの重合率が95%となった時点で、ヒドロキノンモノメチルエーテルを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込みつつ蒸留することで未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
[0167]
 ついで、上記溶液をメタノールで希釈し、固形分濃度を55%に調整して、かかるメタノール溶液をニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウム中のナトリウム分2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位及び3,4-ジアセトキシ-1-ブテン構造単位の合計量1モルに対して6.3ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、粒子状となった時点で、さらに水酸化ナトリウム中のナトリウム分2%メタノール溶液を酢酸ビニル構造単位及び3,4-ジアセトキシ-1-ブテン構造単位の合計量1モルに対して6.0ミリモル追加しケン化を行った。その後、中和用の酢酸を水酸化ナトリウムの0.8当量添加し、濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、側鎖に1,2-ジオール構造を有するPVA1-3を得た。
[0168]
 得られた側鎖に1,2-ジオール構造を有するPVA1-3のケン化度は、樹脂中の残存酢酸ビニルおよび3,4-ジアセトキシ-1-ブテンの構造単位の加水分解に要するアルカリ消費量にて分析したところ、99モル%であった。
 また、PVA1-3の平均重合度は、JIS K6726に準じて分析を行ったところ、300であった。
[0169]
 また、前記式(6)で表される1,2-ジオール構造単位の含有量は、 1H-NMR(300MHzプロトンNMR、d -DMSO溶液、内部標準物質;テトラメチルシラン、50℃)にて測定した積分値より算出したところ、1.0モル%であった。
[0170]
〔PVA1-3ペレットの製造〕
 上記で得られたPVA1-3を下記の条件でペレットとした。
 押出機:テクノベル社製 15mmφ L/D=60
 回転数:200rpm
 吐出量:1.2~1.5kg/h
 押出温度:C1/C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/D=90/160/200/225/230/230/230/230/230℃
[0171]
 得られたPVA系樹脂ペレットについて、No.1-1と同様の評価を行った。
[0172]
[No.1-4]
 No.1-3において、PVA1-3をPVA1-4(ケン化度99モル%、平均重合度600、1,2ジオール構造の含有量1.0モル%)に替えた以外はNo.1-3と同様の評価を行った。
[0173]
[No.1-5]
 No.1-3において、PVA1-3をPVA1-5(ケン化度99モル%、平均重合度450、1,2ジオール構造の含有量1.0モル%)に替えた以外はNo.1-3と同様の評価を行った。
[0174]
[No.1-6]
 No.1-3において、PVA1-3をPVA1-6(ケン化度99モル%、平均重合度500、エチレン基含有量7.0モル%)を用いた以外はNo.1-3と同様の評価を行った。
[0175]
[No.1-7]
 No.1-3において、PVA1-3をPVA1-7(ケン化度99モル%、平均重合度600、1,2ジオール構造の含有量1.5モル%)に替えた以外はNo.1-3と同様の評価を行った。
[0176]
[No.1-8]
 No.1-3において、PVA1-3をPVA1-8(ケン化度99モル%、平均重合度520、1,2ジオール構造の含有量2.0モル%)に替えた以外はNo.1-3と同様の評価を行った。
[0177]
[No.1-9]
 No.1-3において、PVA1-3をPVA1-9(ケン化度99モル%、平均重合度600、1,2ジオール構造の含有量3.0モル%)に替えた以外はNo.1-3と同様の評価を行った。
[0178]
[No.1-10]
 No.1-3において、PVA1-3をPVA1-10(ケン化度99モル%、平均重合度470、1,2ジオール構造の含有量3.0モル%)に替えた以外はNo.1-3と同様の評価を行った。
[0179]
[No.1-11]
 No.1-1において、PVA1-1をポリ乳酸(ネイチャーワークス社製 「Ingeo4032D」)に替えた以外はNo.1-1と同様の評価を行った。
 上記No.1-1~1-11の結果を表1-1に示す。
[0180]
[表1]


[0181]
 上記の通り本発明のダイバーティングエージェントを用いたNo.1-1~1-10は、水へ溶解するため、一時的に亀裂や割れ目を目止した後に、速やかに除去されるものである。
[0182]
 即ち、隙間を埋めておく時間を長く設計したい場合や、一定時間だけ隙間を埋めた後の除去時間を短く設計したい場合等、種々の目的に応じて、適切なダイバーティングエージェントを選択することができる。
[0183]
 一方、ポリ乳酸を用いたNo.1-11では、ポリ乳酸が水に溶解しないため一定時間は隙間を埋めることは可能であったが、その目的が達成された後にポリ乳酸を除去するのに長時間を要することがわかる。
[0184]
<<試験例2>>
 試験例2で用いたPVA2-1~PVA2-16の製造方法は以下のとおりである。
<PVA2-1の製造>
 還流冷却器、滴下装置、及び撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル20部(全体の20%を初期仕込みに使用)、メタノール32.5部、及び3,4-ジアセトキシ-1-ブテン0.40部(全体の20%を初期仕込みに使用)を仕込み、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、沸点に到達した後、アセチルパーオキサイドを0.093部投入し、重合を開始させた。
[0185]
 さらに、重合開始から0.4時間後に酢酸ビニル80部と3,4-ジアセトキシ-1-ブテン1.6部を11時間かけて等速で滴下した。酢酸ビニルの重合率が91%となった時点で、m-ジニトロベンゼンを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込みつつ蒸留することで未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
[0186]
 ついで、上記溶液をメタノールで希釈し、固形分濃度を50%に調整して、かかるメタノール溶液をニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウム中のナトリウム分2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位及び3,4-ジアセトキシ-1-ブテン構造単位の合計量1モルに対して4.8ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、粒子状となった時点で、さらに水酸化ナトリウム中のナトリウム分2%メタノール溶液を酢酸ビニル構造単位及び3,4-ジアセトキシ-1-ブテン構造単位の合計量1モルに対して7.5ミリモル追加しケン化を行った。その後、中和用の酢酸を水酸化ナトリウムの0.8当量添加し、濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、側鎖に1,2-ジオール構造単位を含有する変性PVA系樹脂(PVA2-1)を得た。
[0187]
(ケン化度)
 PVA2-1のケン化度は、JIS K 6726に準じて、樹脂中の残存酢酸ビニルおよび3,4-ジアセトキシ-1-ブテンの構造単位の加水分解に要するアルカリ消費量にて分析したところ、99モル%であった。
[0188]
(平均重合度)
 PVA2-1の平均重合度は、JIS K 6726に準じて分析を行ったところ、450であった。
[0189]
(変性率)
 PVA2-1中の前記式(6)で表される1,2-ジオール構造単位の含有率(変性率)は、 H-NMR(300MHz プロトンNMR、d -DMSO溶液、内部標準物質;テトラメチルシラン、50℃)にて測定した積分値より算出したところ、1.0モル%であった。
[0190]
(平均粒子径)
 PVA2-1の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置「マスターサイザー3000」(スペクトリス株式会社製)によって測定したところ、270μmであった。
[0191]
<PVA2-2の製造>
 PVA2-1の製造において、酢酸ビニルを100部、メタノール23部、および3,4-ジアセトキシ-1-ブテン6部を初期一括で仕込み、重合率が70%となった時点で重合を終了した以外は、同様に製造して側鎖に1,2-ジオール構造単位を含有する変性PVA系樹脂を得た。当該変性PVA系樹脂を300μm篩で篩分けして得られた篩上物をPVA2-2とした。
[0192]
 PVA2-1と同様にしてケン化度、平均重合度、変性率及び平均粒子径を求めた。ケン化度は99モル%、平均重合度は1200、変性率は3.0モル%、平均粒子径は415μmであった。
[0193]
<PVA2-3の製造>
 PVA2-1の製造において、酢酸ビニルを100部、メタノール23部、および3,4-ジアセトキシ-1-ブテン2部を初期一括で仕込み、重合率が58%となった時点で重合を終了した以外は、同様に製造して側鎖に1,2-ジオール構造単位を含有する変性PVA系樹脂を得た。当該変性PVA系樹脂を300μm篩で篩分けして得られた篩上物をPVA2-3とした。
[0194]
 PVA2-1と同様にしてケン化度、平均重合度、変性率及び平均粒子径を求めた。ケン化度は99モル%、平均重合度は1800、変性率は1.0モル%、平均粒子径は410μmであった。
[0195]
<PVA2-4の製造>
 重合缶にオキシエチレン基の平均鎖長(n)が15のポリオキシエチレンモノアリルエーテル15.0部、酢酸ビニル85部、メタノール10.0部を仕込み、還流状態になるまで昇温した後30分間還流させてから、アゾビスイソブチロニトリルを酢酸ビニル量に対して0.08モル%仕込んで重合を開始した。反応開始後2時間目と4時間目にアゾビスイソブチロニトリルを酢酸ビニル量に対して0.08モル%ずつ追加した。
[0196]
 ついで、重合反応開始後約10時間目で、冷却用メタノール20部と禁止剤としてm-ジニトロベンゼンを0.2部加え、反応缶ジャケットを冷却して重合反応を停止して、ポリオキシエチレン基含有酢酸ビニル重合体を得た。かかる重合体の重合率は約95%であった。
[0197]
 ついで、上記で得られたポリオキシエチレン基含有酢酸ビニル重合体の溶液から残存モノマーを追い出した後、メタノールで希釈して濃度40%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル1モル単位に対して3.5ミリモルとなる量を加えてケン化を行った。ケン化が進行するとともにケン化物が析出し、遂には粒子状となった。生成した樹脂を濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、オキシエチレン基含有PVA系樹脂(PVA2-4)を得た。
[0198]
 PVA2-1と同様にしてケン化度、平均重合度、変性率及び平均粒子径を求めた。ケン化度は99モル%、平均重合度は750、変性率は2.0モル%、平均粒子径は287μmであった。
[0199]
<PVA2-5の製造>
 ケン化度73モル%及び平均重合度500の未変性PVAを恒温乾燥機にて、140℃で2時間熱処理を行い、PVA2-5を得た。得られたPVA2-5の平均粒子径は240μmであった。
[0200]
<PVA2-6の製造>
 PVA2-1を恒温乾燥機にて、140℃で2時間熱処理を行い、PVA2-6を得た。
[0201]
 PVA2-1と同様にしてケン化度、平均重合度、変性率及び平均粒子径を求めた。ケン化度は99モル%、平均重合度は450、変性率は1.0モル%、平均粒子径は270μmであった。
[0202]
<PVA2-7の製造>
 転動流動コーティング装置(パウレック社製 MP-01)を用いて、コア部として後述のPVA2-8の微粉砕品(ケン化度88モル%、平均重合度500、平均粒子径は100μm)の粒子700部にシェル部として後述のPVA2-15(ケン化度99モル%、平均重合度500、平均粒子径は258μm)の3%水溶液700部(樹脂分:21部)で以下の条件でコーティングして、PVA2-7のコアシェル粒子を得た。
 PVA2-1と同様にして平均粒子径を求めた。平均粒子径は183μmであった。
[0203]
コーティング条件
 時間:100分
 給気温度:80℃
 排気温度:40℃
 スプレー速度:4.5g/分(40分間)及び7.5g/分(60分間)
 ローター回転速度:300回転/分
[0204]
<PVA2-8の製造>
 PVA2-8として、側鎖に1,2-ジオール構造単位を含有する変性PVA系樹脂を得た。
 PVA2-1と同様にしてケン化度、平均重合度、変性率及び平均粒子径を求めた。ケン化度は99モル%、平均重合度は600、変性率は1.5モル%、平均粒子径は594μmであった。
[0205]
<PVA2-9の製造>
 PVA2-9として、アセトアセチル基を含有する変性PVA系樹脂を得た。
 PVA2-1と同様にしてケン化度、平均重合度、変性率及び平均粒子径を求めた。ケン化度は99モル%、平均重合度は1100、変性率は5.5モル%、平均粒子径は245μmであった。
[0206]
<PVA2-10の製造>
 PVA2-10として、カルボン酸変性PVA系樹脂を得た。
 PVA2-1と同様にしてケン化度、平均重合度、変性率及び平均粒子径を求めた。ケン化度は99モル%、平均重合度は1700、変性率は2.0モル%、平均粒子径は1100μmであった。
[0207]
<PVA2-11の製造>
 PVA2-11として、側鎖に1,2-ジオール構造単位を含有する変性PVA系樹脂を得た。
 PVA2-1と同様にしてケン化度、平均重合度、変性率及び平均粒子径を求めた。ケン化度は99モル%、平均重合度は1200、変性率は1.0モル%、平均粒子径は215μmであった。
[0208]
<PVA2-12の製造>
 PVA2-12として、側鎖に1,2-ジオール構造単位を含有する変性PVA系樹脂を得た。
 PVA2-1と同様にしてケン化度、平均重合度、変性率及び平均粒子径を求めた。ケン化度は92モル%、平均重合度は2500、変性率は2.0モル%、平均粒子径は600μmであった。
[0209]
<PVA2-13の製造>
 PVA2-13として、ケン化度88モル%及び平均重合度500の未変性PVAを製造した。
 PVA2-1と同様にして平均粒子径を求めた。平均粒子径は300μmであった。
[0210]
<PVA2-14の製造>
 PVA2-14として、ケン化度73モル%及び平均重合度500の未変性PVAを製造した。
 PVA2-1と同様にして平均粒子径を求めた。平均粒子径は240μmであった。
[0211]
<PVA2-15の製造>
 PVA2-15として、ケン化度99モル%及び平均重合度500の未変性PVAを製造した。
 PVA2-1と同様にして平均粒子径を求めた。平均粒子径は258μmであった。
[0212]
<PVA2-16の製造>
 PVA2-16として、ケン化度99モル%及び平均重合度1800の未変性PVAを製造した。
 PVA2-1と同様にして平均粒子径を求めた。平均粒子径は259μmであった。
[0213]
[No.2-1]
(1時間後溶解率)
 100gの水が入った140mLの蓋付きガラス容器を恒温機に入れ、水温を40℃とした。ナイロン製の120メッシュ(目開き125μm、10cm×7cm)の長辺を二つ折りにし、両端をヒートシールしメッシュの袋(5cm×7cm)を得た。
[0214]
 得られたメッシュの袋に1gのPVA2-1を入れ、開口部をヒートシールし、PVA2-1入りのメッシュの袋を得て、質量を測定した。上記ガラス容器中にPVA2-1入りのメッシュの袋を浸漬させた。40℃の恒温機内で1時間静置後、PVA2-1入りのメッシュの袋を上記ガラス容器から取り出し、105℃で3時間乾燥させ、かかるPVA2-1入りのメッシュの袋の質量を測定し、浸漬前の質量からメッシュの袋中に残存したPVA2-1の質量を算出し、下記式(Y)によってPVA2-1の1時間後溶解率を算出した。当該1時間後溶解率は25質量%であった。
[0215]
[数6]


[0216]
(24時間後溶解率)
 上記の1時間後溶解率を測定する工程の1時間静置するところを24時間静置に変更した以外は同様にして、24時間後の、メッシュ中の袋に残存したPVA2-1の質量を算出し、PVA2-1の24時間後溶解率を算出した。当該24時間後溶解率は74質量%であった。
[0217]
 PVA2-1において、24時間後溶解率(質量%)/1時間後溶解率(質量%)により求めた、1時間後溶解率に対する24時間後溶解率の比は、3.0であった。
 PVA2-1の1時間後溶解率(質量%)、24時間後溶解率(質量%)及び1時間後溶解率に対する24時間後溶解率の比を表2-1にまとめた。
[0218]
[No.2-2~2-16]
 No.2-1において、PVA2-1の替わりにPVA2-2~PVA2-16を用いて、No.2-1と同様の試験を行った。結果を表2-1~表2-2に示す。
[0219]
[表2]


[0220]
[表3]


[0221]
 No.2-1~2-12のダイバーティングエージェントは、ある程度1時間経過後の初期溶解率がより抑えられ、なおかつ24時間経過後には水への溶解性により優れるものであった。
[0222]
 1時間後溶解率に対する24時間後溶解率の比が2.8以上であるPVA系樹脂を含有するダイバーティングエージェントは、水に添加されてから一定時間は形状を維持できる傾向があるので頁岩層にできた亀裂を一時的に閉塞しやすく、かつ、石油や天然ガス等を回収する際には水に溶解しやすい。
[0223]
<<試験例3>>
 試験例3で用いたPVA3-1~PVA3-6の製造方法は以下のとおりである。
<PVA3-1の製造>
 還流冷却器、滴下装置、及び撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル100部、メタノール23部、及び3,4-ジアセトキシ-1-ブテン2部を仕込み、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、沸点に到達した後、アセチルパーオキサイドを0.014部投入し、重合を開始させた。
[0224]
 酢酸ビニルの重合率が58%となった時点で、m-ジニトロベンゼンを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込みつつ蒸留することで未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
[0225]
 その後、上記溶液をメタノールで希釈し、固形分濃度を50%に調整して、かかるメタノール溶液をニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウム中のナトリウム分2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位及び3,4-ジアセトキシ-1-ブテン構造単位の合計量1モルに対して4.1ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行するとともにケン化物が析出し、粒子状となった時点で、さらに水酸化ナトリウム中のナトリウム分2%メタノール溶液を酢酸ビニル構造単位及び3,4-ジアセトキシ-1-ブテン構造単位の合計量1モルに対して7.5ミリモル追加しケン化を行った。その後、中和用の酢酸を水酸化ナトリウムの1.0当量添加し、濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、側鎖に1,2-ジオール構造単位を含有する変性PVA系樹脂を得た。当該変性PVA系樹脂を300μm篩で篩分けして得られた篩上物をPVA3-1とした。
[0226]
(ケン化度)
 PVA3-1のケン化度は、JIS K 6726に準じて、樹脂中の残存酢酸ビニルおよび3,4-ジアセトキシ-1-ブテンの構造単位の加水分解に要するアルカリ消費量にて分析したところ、99モル%であった。
[0227]
(平均重合度)
 PVA3-1の平均重合度は、JIS K 6726に準じて分析を行ったところ、1800であった。
[0228]
(変性率)
 PVA3-1中の前記式(1)で表される1,2-ジオール構造単位の含有率(変性率)は、 H-NMR(300MHz プロトンNMR、d -DMSO溶液、内部標準物質;テトラメチルシラン、50℃)にて測定した積分値より算出したところ、1モル%であった。
[0229]
(平均粒子径)
 PVA3-1の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置「マスターサイザー3000」(スペクトリス株式会社製)によって測定したところ、410μmであった。
[0230]
(膨潤度及び溶出率)
 140mLの蓋付きガラス容器に100gのイオン交換水を入れ、1gのPVA3-1を投入しPVA3-1水溶液を調製し、23℃の恒温室中で1日静置した。その後、PVA3-1水溶液をナイロン製の120メッシュ(目開き125μm)に通しろ過し、篩上に残存したPVA3-1(膨潤後のPVA3-1)の質量を測定した。次いで、上記膨潤後のPVA3-1を140℃で、3時間乾燥し、乾燥後のPVA3-1の質量を測定し、PVA3-1の膨潤度を下記式(B)により求めたところ、16であった。
[0231]
[数7]


[0232]
 また、PVA3-1の溶出率(質量%)を下記式(C)により求めたところ、29質量%であった。
 なお、下記式(C)中、ポリビニルアルコール系樹脂の固形分率(質量%)は、PVA系樹脂を105℃で3時間乾燥させ、乾燥前後のPVA系樹脂の質量を測定することにより、算出することができる。
[0233]
[数8]


[0234]
 PVA3-1において、膨潤度×溶出率の値は、464であった。
[0235]
<PVA3-2の製造>
 PVA3-2として、ケン化度99モル%及び平均重合度1800の未変性PVAを製造した。
[0236]
 PVA3-1と同様にして平均粒子径、膨潤度及び溶出率を求めた。平均粒子径は259μm、膨潤度は3、溶出率は8質量%、膨潤度×溶出率の値は24であった。
[0237]
<PVA3-3の製造>
 PVA3-3として、ケン化度99モル%及び平均重合度500の未変性PVAを製造した。
[0238]
 PVA3-1と同様にして平均粒子径、膨潤度及び溶出率を求めた。平均粒子径は258μm、膨潤度は2、溶出率は8質量%、膨潤度×溶出率の値は16であった。
[0239]
<PVA3-4の製造>
 PVA3-1の製造において、酢酸ビニルを100部、メタノール23部、および3,4-ジアセトキシ-1-ブテン2部を初期一括で仕込み、重合率が70%となった時点で重合を終了した以外は、同様に製造して側鎖に1,2-ジオール構造単位を含有する変性PVA系樹脂を得た。当該変性PVA系樹脂を140℃に設定した恒温乾燥機に入れて、2時間熱処理を行って得られた変性PVA系樹脂をPVA3-4とした。
[0240]
 PVA3-1と同様にしてケン化度、平均重合度、変性率、平均粒子径、膨潤度及び溶出率を求めた。ケン化度は99モル%、平均重合度は1100、変性率は1モル%、平均粒子径は400μm、膨潤度は8、溶出率は20質量%、膨潤度×溶出率の値は160であった。
[0241]
<PVA3-5の製造>
 PVA3-5として、ケン化度99モル%及び平均重合度500のエチレン基を含有する変性PVA系樹脂を用いた。
[0242]
 PVA3-1と同様にして平均粒子径、膨潤度及び溶出率を求めた。平均粒子径は700μm、膨潤度は6、溶出率は2質量%、膨潤度×溶出率の値は12であった。
[0243]
<PVA3-6の製造>
 PVA3-6として、ケン化度88モル%及び平均重合度500の未変性PVAを製造した。
[0244]
 PVA3-1と同様にして平均粒子径、膨潤度及び溶出率を求めた。平均粒子径は300μm、膨潤度は11、溶出率は82質量%、膨潤度×溶出率の値は902であった。
[0245]
[No.3-1]
 140mLの蓋付きガラス容器に100gのイオン交換水及び回転子を入れて、室温にて750rpmで撹拌した。撹拌しているところに6gのPVA3-1を投入し、1分間撹拌を続けPVA3-1水分散液を得た。その後、撹拌を止めて5分間静置し、750rpmで再度30秒撹拌を行い、その時のPVA3-1水分散液の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。結果を表3-1に示す。
[0246]
 A:PVA系樹脂が水溶液中に均一に分散していた。
 B:撹拌してすぐはPVA系樹脂が水溶液中に分散していたが、撹拌を続けるとPVA系樹脂の粒子が膨潤し撹拌が難しくなった。
 C:PVA系樹脂同士が付着し、PVA系樹脂が水溶液中に均一に分散しなかった。
[0247]
[No.3-2~3-6]
 No.3-1において、PVA3-1の替わりにPVA3-2~PVA3-6を用いて、No.3-1と同様の試験を行った。結果を表3-1に示す。
[0248]
[表4]


[0249]
 表3-1の結果から、膨潤度×溶出率の値が500以下であるPVA系樹脂を用いたNo.3-1~3-5では、No.3-6に比べ水溶液中のPVA系樹脂の分散性がより良好であることが分かった。
 また、No.3-6に比べケン化度がより大きいNo.3-1~3-5では、水溶液中のPVA系樹脂の分散性がより良好であることが分かった。
[0250]
 さらに、No.3-1~3-5のなかでも、未変性PVAを用いたNo.3-2及び3-3、並びにエチレン変性PVA系樹脂を用いたNo.3-5では、膨潤度×溶出率の値がより低くなることが分かった。
[0251]
 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2017年8月10日出願の日本特許出願(特願2017-155040)、2017年12月28日出願の日本特許出願(特願2017-254842)及び2017年12月28日出願の日本特許出願(特願2017-254843)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

請求の範囲

[請求項1]
 ポリビニルアルコール系樹脂を含有する、ダイバーティングエージェント。
[請求項2]
 前記ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が90モル%以上である、請求項1に記載のダイバーティングエージェント。
[請求項3]
 前記ポリビニルアルコール系樹脂は、該ポリビニルアルコール系樹脂4gを40℃の水96g中に投入し、180分間撹拌した際の溶解率が0.1~30質量%である、請求項1又は2に記載のダイバーティングエージェント。
[請求項4]
 前記ポリビニルアルコール系樹脂の結晶化度が25~60%である、請求項1~3のいずれか1項に記載のダイバーティングエージェント。
[請求項5]
 前記ポリビニルアルコール系樹脂は、該ポリビニルアルコール系樹脂1gを40℃の水100gに浸漬した際の1時間後溶解率に対する24時間後溶解率の比が2.8以上である、請求項1に記載のダイバーティングエージェント。
[請求項6]
 前記ポリビニルアルコール系樹脂1gを40℃の水100gに浸漬した際の1時間後溶解率が30質量%未満である、請求項5に記載のダイバーティングエージェント。
[請求項7]
 前記ポリビニルアルコール系樹脂1gを40℃の水100gに浸漬した際の24時間後溶解率が30質量%以上である、請求項5又は6に記載のダイバーティングエージェント。
[請求項8]
 前記ポリビニルアルコール系樹脂が変性ポリビニルアルコール系樹脂である、請求項5~7のいずれか1項に記載のダイバーティングエージェント。
[請求項9]
 前記変性ポリビニルアルコール系樹脂の変性率が0.5~10モル%である、請求項8に記載のダイバーティングエージェント。
[請求項10]
 前記ポリビニルアルコール系樹脂は、下記式(A)を満たす、請求項1に記載のダイバーティングエージェント。
 膨潤度×溶出率(質量%)≦500   (A)
(式(A)中、膨潤度とは、下記式(B)により求められる値であり、溶出率(質量%)とは、下記式(C)により求められる値である。)
[数1]


(式(B)中、膨潤後のポリビニルアルコール系樹脂の質量(g)とは、100gの水に1gのポリビニルアルコール系樹脂を投入し、23℃の恒温室中で1日静置後、ろ過により採取した残存ポリビニルアルコール系樹脂の質量(g)である。膨潤後に乾燥させたポリビニルアルコール系樹脂の質量(g)とは、前記残存ポリビニルアルコール系樹脂を140℃で3時間乾燥した後の質量(g)である。)
[数2]


(式(C)中、膨潤後に乾燥させたポリビニルアルコール系樹脂の質量(g)とは、式(B)における定義と同様である。)
[請求項11]
 前記ポリビニルアルコール系樹脂の前記溶出率が50質量%以下である、請求項10に記載のダイバーティングエージェント。
[請求項12]
 前記ポリビニルアルコール系樹脂の前記膨潤度が30以下である、請求項10又は11に記載のダイバーティングエージェント。
[請求項13]
 坑井に生成された亀裂を一時的に閉塞する方法であって、
 請求項1~12のいずれか1項に記載のダイバーティングエージェントを、坑井内の流体の流れに乗せて閉塞したい亀裂に流入させる、亀裂の閉塞方法。