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1. (WO2019031274) 電池パック及び電池パックを用いた電気機器
Document

明 細 書

発明の名称 電池パック及び電池パックを用いた電気機器

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010  

発明の効果

0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

実施例 1

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063  

符号の説明

0064  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : 電池パック及び電池パックを用いた電気機器

技術分野

[0001]
本発明はモータ、照明等の負荷を有する電気機器と、このような電気機器に対して電源を供給する電池パックに関するものである。

背景技術

[0002]
電動工具等の電気機器が、リチウムイオン電池等の二次電池を用いた電池パックにて駆動されるようになり、電気機器のコードレス化が進んでいる。例えば、モータにより先端工具を駆動する手持ち式の電動工具においては、複数の二次電池セルを収容した電池パックが用いられ、電池パックに蓄電された電気エネルギーにてモータを駆動する。電池パックは電動工具本体に着脱可能に構成され、放電によって電圧が低下したら電池パックを電動工具本体から取り外して、外部の充電装置を用いて充電される。
[0003]
コードレス型の電動工具や電気機器においては所定の稼働時間の確保や、所定の出力の確保が要求され、二次電池の性能向上に伴い高出力化や高電圧化が図られてきた。また、電池パックを電源とする電気機器が開発されるにつれ、様々な電圧の電池パックが商品化されるようになった。さらに近年では、電池パック内にもMCU(Micro Controller Unit、以下、「マイコン」と称する)を含んで構成することにより、電源管理を電池パック側にて高精度に行うものが提案されている。電池パック側にマイコンを有するような電池パックとしては、特許文献1が知られている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2005-224909号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
電池パックを用いる電気機器本体には、メインスイッチを有する機器だけでなく、メインスイッチが無くてトリガスイッチだけの電気機器本体もある。メインスイッチを持たない電気機器本体の場合は、電気機器本体に電池パックが装着されると本体側のマイコンが起動するように構成される。一方で、マイコンによる電池パックの電力消費を極力抑えるために、マイコンの電源をオフにするシャットダウンモードを設け、電池パックが装着された状態にも関わらず電気機器本体が所定の時間以上使われない場合には、マイコンへ供給される電源を停止することによりマイコンの動作を停止させる。このような制御により、電気機器本体側のマイコンによる電力消費を極力抑えている。本体側のマイコンの省電力制御はこのような制御で良いが、電池パック側の制御部にもマイコンを設ける場合には、どのようにして電池パック側のマイコンの省電力管理を行かが問題となる。
[0006]
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は電気機器間の電源とされ二次電池による電池セルを複数有する電池パックにおいて、マイコンを用いて高精度の電池パックの保護機能を実現すると共に、マイコンによる電力消費を極力抑えるようにした電池パック及び電池パックを用いた電気機器を提供することにある。本発明の他の目的は、電池パック側のマイコンをシャットダウンできるように構成して、シャットダウンによって電池パック側の電源管理を効率良く行い、長期に渡って保管するような場合であってもマイコンによる電力の自己消費を抑制できるようにした電池パック及び電池パックを用いた電気機器を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、装着される相手側機器の接続状況、動作状況に応じてノーマルモードにて動作中のマイコンをスリープモード又はシャットダウンへの移行ができるようにした電池パック及び電池パックを用いた電気機器を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007]
本願において開示される発明のうち代表的な特徴を説明すれば次のとおりである。本発明の一つの特徴によれば、正極端子と、負極端子と、装着される電気機器本体に停止信号を送出するためのLD端子と、複数本の電池セルと、電池セルの電圧を監視する保護回路と、保護回路に接続され電池セルの負荷状態を監視するマイコンと、マイコンの駆動用の電源回路を有する電池パックであって、電気機器本体に機器側マイコンが含まれる場合に、マイコンは機器側マイコンが省電力モードに移行したと判断すると省電力モードに移行させるようにした。ここで省電力モードは、スリープモード(間欠動作モード)又はシャットダウン(マイコンの電源遮断)のいずれかである。また、LD端子の電圧の有無に応じて電源回路を起動させる電源管理回路を設け、電源管理回路は、LD端子の電圧がある場合に電源回路を動作させ、マイコンはLD端子の電圧消失に連動して電源回路を停止させるか、又は、電源消失後の一定の時間経過後に電源回路を停止させるようにした。
[0008]
本発明のさらに他の特徴によれば、電池パックのLD端子は、スイッチング素子を介してグランドに接続され、マイコンはスイッチング素子のゲート信号を制御することによりスイッチング素子を導通状態にしてLD端子をグランドに接地させることにより、電気機器本体へ動作停止信号を伝達するようにした。また、マイコンは電源回路のオン状態を維持させるための自己保持信号を電源管理回路に出力可能とされ、電源回路はLD端子の電圧消失、及び、自己保持信号の消失によって動作を停止するように構成した。マイコンの動作モードには、プロセッサが連続的に稼働するノーマルモードと、プロセッサが間欠的に稼働するスリープモードが含まれ、電源回路が起動中であって閾値I min以上の放電電流が流れていない状態が一定時間続いたら、ノーマルモードからスリープモードに移行させる。このスリープモードへの移行によって電池パック内のマイコンによって自己消費される電力量を節約できる。
[0009]
本発明のさらに他の特徴によれば、マイコンは、スリープモードにて動作中に、電気機器本体側の動作が推定される所定の電流値(閾値I min以上の放電電流)を検出したらスリープモードからノーマルモードに復帰する。また、マイコンは、少なくとも機器側マイコンが起動している間は起動状態を維持し、機器側マイコンが省電力モードに移行した場合には省電力モードに移行する。このように電池パック側のマイコンは、電気機器側のマイコンが起動している時だけノーマルモードとなるように稼働させることにより、電池パック側のマイコンと連動させて高精度で効率の良い電池管理機能を実現できる。さらにマイコンは、電池パックの正極端子の電圧とLD端子の電圧を比較することによって電気機器本体に機器側マイコンが含まれるか否か判断する。電気機器本体に装着された際の電気機器側LD端子の電圧は、電気機器本体側に機器側マイコンを有する場合はマイコンの電源電圧レベルであり、電気機器本体側に機器側マイコンが含まれない場合は電池パックの正極端子の電圧レベルである。電気機器本体に機器側マイコンが含まれていないと判定した際には、ノーマルモードにて作動中に電気機器本体の不使用状態が一定時間以上続いたことを検知したら、電池パック側のマイコンがスリープモードに移行する。このスリープモードにて作動中に電気機器本体の使用を検知したら、電池パック側のマイコンがスリープモードからノーマルモードに移行する。また、ノーマルモード又はスリープモードにて作動中にLD端子の電圧の消失を検知したら、電池パック側のマイコンは一定時間経過後に自らをシャットダウンさせる。
[0010]
本発明のさらに他の特徴によれば、正極端子と、負極端子と、装着される電気機器本体に停止信号を送出するためのLD端子と、複数本の電池セルと、電池セルの電圧を監視する保護回路と、保護回路に接続され電池セルの負荷状態を監視するマイコンと、マイコンの駆動用の電源回路を有する電池パックにおいて、LD端子の電圧を検出してマイコンに出力する端子電圧検出回路を設けた。マイコンは、LD端子の電圧の変化をよって電気機器本体側の機器側マイコンがシャットダウンしたか否か判定し、機器側マイコンがシャットダウンしたことに応じて自らシャットダウンさせる。このようにマイコンは電気機器本体側の機器側マイコンがシャットダウンしたことを検出したことに連動して、所定の時間経過後に自らシャットダウンさせるので、稼働する必要の無い状態時には省電力モードに移行して、電池パック側マイコンによる電力の自己消費を抑えることができる。さらに、LD端子の電圧変化に応じてマイコン用の電源回路を起動させる電源管理回路を設け、電源管理回路はLD端子に電圧が印加されたら電源回路を起動させる。この結果、電気機器本体側の動作に合わせてシャットダウン中のマイコンを再び起動させることができる。さらに、マイコンは電池パックが電気機器本体から取り外される等により、LD端子の電圧がゼロになったらマイコンをシャットダウン又はスリープさせるようにした。

発明の効果

[0011]
本発明によれば、電気機器本体の電源状況を電池パック側で検出し、機器側のマイコンの電源が入っているときは電池パック側のマイコンもオン状態を維持する。機器側のマイコンの電源が落ちたら、それ検出して電池パック側のマイコンも省電力モードに移行する。また、LD端子に所定電圧が入力されると電池パックの回路を起動するようにしたので、電池パック側マイコンの電源回路起動用の専用の接続端子を別途設ける必要が無く、既存の信号端子(LD端子)を用いて電池パックが装着された相手側の機器の状態に応じた電池パック側のマイコンをオンオフ制御を行うことができる。さらに、LD端子の電圧から電池パックが取り外された状態(機器非接続状態)を検出し、その状態が所定時間経過したことを検出したら、電池パック側のマイコンの電源回路を省電力モード(スリープ又はシャットダウン)に切り替えるので、電池パックが取り外されている際のマイコンによる電力消費を大幅に抑えることが可能となる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] 本発明に係る電池パック100の電動工具本体1への装着状況を説明するための図である。
[図2] 本発明の実施例に係る電池パック100の斜視図である。
[図3] 本実施例の電池パック100をマイコン付きの電動工具本体1に接続した状態を示す回路図である。
[図4] 本実施例の電池パック100をマイコン無しの電動工具本体1Aに接続した状態を示す回路図である。
[図5] 本実施例の電池パック100のノーマルモードにおける制御手順を説明するフローチャートである。
[図6] 本実施例の電池パック100のスリープモードにおける制御手順を説明するフローチャートである。
[図7] 本実施例の電池パック100の動作例1を説明するためのフローチャートである。
[図8] 本実施例の電池パック100の動作例2を説明するためのフローチャートである。
[図9] 本実施例の電池パック100の動作例3を説明するためのフローチャートである。

発明を実施するための形態

実施例 1
[0013]
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。本明細書においては、電気機器の一例として電池パックにて動作する電動工具を例示して説明するものとし、電池パックの単体で見た際の前後左右、上下の方向は、電池パックの装着方向を基準として図2に示す方向として説明する。
[0014]
図1は本実施例に係る電池パックの電動工具への装着状況を説明するための図である。電気機器の一形態である電動工具は、電池パック100を有し、モータによる回転駆動力を用いて先端工具や作業機器を駆動する。電動工具としては種々の種類が実現されているが、図1で示す電動工具本体(電気機器本体)1は、図示しないビットやソケットレンチ等の先端工具に回転力や軸方向の打撃力を加えることにより締め付け作業をおこなうインパクト工具である。先端工具は先端工具保持部8に装着される。電動工具本体1は、外形を形成する外枠たるハウジング2を備え、ハウジング2にはハンドル部3が形成される。ハンドル部3の一部であって作業者が把持した際に人差し指があたる付近には、トリガ状の動作スイッチ4が設けられ、ハウジング2のハンドル部3の下方には、電池パック100を装着するための電池パック装着部10が形成される。
[0015]
電池パック100の内部には、定格3.6Vのリチウムイオン電池のセルが複数接続してなるセルユニットが1組又は複数組収容される。「セルユニット」とは、複数の電池セルを電気的に接続したものであり、その一例として、電池セルを複数本直列接続させた連結体や、電池セルを複数本並列接続させた連結体や、複数の電池セルを直列かつ並列に接続させた連結体が含まれる。電池パック装着部10には、電池パック100を装着するための図示しないレール溝が形成され、電池パック100の接続端子と嵌合するための入力端子が形成される。電池パック100には、レール138a、138b(図2参照)が形成され、ラッチ141(141a、141b)によってロックされる。
[0016]
図2は本発明の実施例に係る電池パック100の斜視図である。電池パック100は電池パック装着部10(図1参照)に対して取り付け及び取り外しが可能であって、電動工具本体1側のターミナル形状に対応している。電池パック100の筐体は、上下方向に分割可能な下ケース101と上ケース110により形成される。下ケース101と上ケース110は電気を通さない部材、例えば合成樹脂製であって4本の図示しないネジによってお互いが固定される。上ケース110は、電池パック装着部10に取り付けるために2本のレール138a、138bが形成された装着機構が形成される。レール138a、138bは、長手方向が電池パック100の装着方向と平行になるように、且つ、上ケース110の左右側面から左右方向に突出するように形成される。レール138a、138bの前方側端部は開放端となり、後方側端部は隆起部132の前側壁面と接続された閉鎖端となる。レール138a、138bは、電動工具本体1の電池パック装着部10に形成された図示しないレール溝と対応した形状に形成され、レール138a、138bがレール溝と嵌合した状態で、ラッチの爪となる係止部142a(図1参照)、142bにて係止することにより電池パック100が電動工具本体1に固定される。電池パック100を電動工具本体1から取り外すときは、左右両側にあるラッチ141(141a、141b)を押すことにより、係止部142a、142bが内側に移動して係止状態が解除されるので、その状態のまま電池パック100を装着方向と反対側に移動させる。
[0017]
上ケース110の前方側には平らな下段面111が形成され、中央付近は下段面111よりも高く形成された上段面115が形成される。下段面111と上段面115は階段状に形成され、それらの接続部分は鉛直面となる段差部114となっている。段差部114から上段面115の前方側部分がスロット121~128を配置する領域になる。スロット121~128は、前方の段差部114から後方側に延びるように電池パック装着方向に所定の長さを有するように切り欠かれた部分であって、この切り欠かれた部分の内部には、電動工具本体1又は外部の充電装置(図示せず)の機器側端子と嵌合可能な複数の接続端子(図示せず)が配設される。本実施例のスロット121~128では下段面111側から電動工具本体側のターミナルを挿入可能なように、装着方向と平行な上面と鉛直面にそれぞれ切り欠きが形成されたものである。また、スロット121~128の下側であって、下段面111との間は、横方向に連続して開口する開口部113が形成される。
[0018]
スロット121~128のうち、電池パック100の右側のレール138aに近い側のスロット121が充電用正極端子(C+端子)の挿入口となり、スロット122が放電用正極端子(+端子)の挿入口となる。また、電池パック100の左側のレール138bに近い側のスロット127が負極端子(-端子)の挿入口となる。電池パック100では通常、電力を伝達するための電力端子の正極側と負極側を十分離すようにして配置するもので、左右中心に位置する鉛直仮想面からみて、右側の十分離した位置に正極端子(+端子)を設けて、左側の十分離した位置に負極端子を設けている。正極端子と負極端子の間には、電池パック100と電動工具本体1や外部の充電装置(図示せず)への制御に用いる信号伝達用の複数の信号端子が配置され、ここでは信号端子用の4つのスロット123~126が電力端子の間に設けられる。スロット123は予備の端子挿入口であり、本実施例では端子は設けられない。スロット124は電池パック100の識別情報となる信号を電動工具本体又は充電装置に出力するためのT端子用の挿入口である。スロット125は外部の充電装置(図示せず)からの制御信号が入力されるためのV端子用の挿入口である。スロット126はセルに接触して設けられた図示しないサーミスタ(感温素子)による電池の温度情報を出力するためのLS端子用の挿入口である。負極端子(-端子)の挿入口となるスロット127の左側には、さらに電池パック100内に含まれる後述する電池保護回路による異常停止信号を出力するLD端子用のスロット128が設けられる。
[0019]
上段面115の後方側には、隆起するように形成された隆起部132が形成される。隆起部132はその外形が上段面115より上側に隆起する形状である、その中央付近に窪み状のストッパ部131が形成される。ストッパ部131は、電池パック100を、電池パック装着部10に装着した際に、電池パック装着部10の突起部(図示せず)に突き当てられる面となるもので、電動工具本体1側の突起部がストッパ部131に当接する位置まで相対移動すると、電動工具本体1に配設された複数の端子(機器側端子)と電池パック100に配設された複数の接続端子(図4にて後述)が接触して導通状態となる。同時に、電池パック100のラッチ141の係止部142a(図1参照)、142bがばねの作用によりレール138a、138bの下部で左右方向に飛び出して、電動工具本体1のレール溝に形成された図示しない凹部と係合することにより、電池パック100の脱落が防止される。
[0020]
次に、図3を用いて実施例の電池パック100をマイコン付きの電動工具本体1に接続した状態の回路構成を説明する。図3の回路図において、点線で囲まれた左側の領域が電動工具本体1の内部構成を示す概略ブロック図であり、右側部分が電池パック100の内部構成である。電池パック100側には、電力出力用の端子として正極端子162と、負極端子167が設けられる。対応する電動工具本体1側には電力用の正極入力端子22、負極入力端子27が設けられる。電池パック100には更に、4つの信号伝達用端子(信号端子)が設けられるが、電動工具本体1側との接続にはLD端子168だけが用いられる。従って、図3では電池パック100側の信号伝達用端子としてLD端子168に関する回路だけを図示しており、それ以外の信号伝達用端子(V端子、LS端子、T端子)用の出力回路の図示を省略している。尚、LD端子168以外の使用を除外するものではなく、例えば外部の充電装置に接続する際には電池パック100のその他の信号端子がすべて接続される。
[0021]
電動工具本体1は、正極入力端子22と負極入力端子27との間の電源経路中に、直流式のモータ5が設けられ、モータ5の回転駆動力を用いて作業機器を動作させてねじ締め等の所定の作業を行う。電源経路中にはモータ5の回転のオン又はオフをするためのトリガスイッチ4が直列に設けられる。作業者がトリガスイッチ4のレバーを操作することにより、トリガスイッチ4がオンになりモータ5に電池パック100からの電力が供給される。また、作業者がトリガスイッチ4のレバーの操作を解除することにより、トリガスイッチ4がオフになりモータ5への電力供給が遮断される。電動工具本体1には、モータ5へ流れる電流値を検出して、モータ5や駆動機構の保護を行うための制御部60が設けられる。制御部60には、マイコン60aが含まれる。モータ5と負極入力端子27との間には、半導体のスイッチング素子M21とシャント抵抗R21が挿入される。スイッチング素子M21は、例えばFET(電界効果トランジスタ)であって、そのゲート信号66が制御部60によって送出される。スイッチング素子M21のゲート信号66は、通常ハイ信号が出力されており、モータ5と負極入力端子27を導通状態にしている。一方、マイコン60aが異常状態検知した時などの何らかの原因でモータ5の回転を停止される場合は、ゲート信号66をハイからローに切り替えることによりスイッチング素子M21のソース-ドレイン間を遮断状態とする。このようにスイッチング素子M21を電源経路中に介在させたことによって、機器側のマイコン60aによるモータ5の停止制御を行うことができる。
[0022]
電流検出回路64はモータ5に流れる電流値を測定するために設けられるものであって、シャント抵抗R21の両端電圧を測定することにより、シャント抵抗R21に流れる電流値に比例する信号を制御部60に出力する。制御部60は、電流検出回路64の出力を用いて電流値をリアルタイムに監視することによって、モータ5に過大な負荷が加わった場合や、モータがロックしてしまった際の過大電流時に、ゲート信号66をローにすることによりモータ5を停止させてモータ5を保護すると共に、動力伝達機構等の機構部も保護する。モータ5を停止した後には、作業者が過大電流の発生する要因と取り除き、例えば固着したネジやボルト等から先端工具を離脱させて、再びトリガスイッチ4をオンにすることによりモータが起動する。制御部60はゲート信号66をローにした後に、トリガスイッチ4がオフにされたことを検出してゲート信号66をハイに復帰させるので、作業者は作業を再開することが可能となる。
[0023]
マイコン60aを含む制御部60は、電源回路61によって生成される低電圧の電源によって動作する。電源回路61は、制御部60の動作用電源を生成するもので、電池パック100側から供給される直流(例えば定格18V)から、駆動用の低電圧(基準電圧VDD2、例えば5V)を生成して制御部60に供給する。従って、電池パック100が電動工具本体1から取り外されている状態では電源回路61からの電力が得られないのでマイコン60aは停止状態にある。一方、電池パック100が電動工具本体1に装着されると、電源回路61から制御部60へ基準電圧の供給を開始できる準備が整う。電源管理回路62は、電源回路61による基準電圧VDD2の生成を指示又は抑制するための電気回路である。電源管理回路62は一端が電源回路61に接続され、他端が接地され(図示していない)、一つめの入力信号としてトリガ4とモータ5の間の電位が入力され、2つ目の入力信号としてマイコン60aからの信号、即ち、自己保持信号62aが入力される。電源管理回路62は、入力信号のいずれか一方または双方がハイになると電源回路61を稼働させて、電源回路61から制御部60に基準電圧VDD2が供給されるように制御する。また、電源管理回路62は、入力信号の双方がローになると、電源回路61を停止させることにより、制御部60への電源供給を停止させる。制御部60への基準電圧VDD2の供給が停止すると、マイコン60aはシャットダウンする。
[0024]
電池電圧検出回路65は正極入力端子22と負極入力端子27間の電圧を測定して制御部60に出力をする回路である。電池電圧検出回路65を用いることによって、制御部60は電池電圧をリアルタイムに監視できる。制御部60は、電池パック100からの電圧が所定の基準値以下にまで低下した場合は、電池セルが過放電状態であると判断して、ゲート信号66をハイからローにすることによりモータ5の運転を停止させる。スイッチ状態検出回路63は、トリガスイッチ34の接続状態に応じてハイ又はロー信号を制御部60に出力する。スイッチ状態検出回路63の出力によってマイコン60aは、電動工具が動作している状態(使用状態)と、停止している状態(不使用状態)を検知でき、不使用状態が所定の時間以上継続されている際に、マイコン60aへの基準電圧VDD2の供給を停止させることにより、マイコン60aを省電力モードに移行させる。ここで省電力モードとして、マイコン60aの動作モードをスリープモードへ移行させることと、マイコン60a自体をシャットダウンさせることが考えられる。シャットダウンは、マイコン60aが自己保持信号62aをハイからローに切り替えることで容易に実行できる。例えば、電動工具本体1がインパクトドライバである場合は、スイッチ状態検出回路63による最後のトリガ操作の検出が行われてから、数分から数時間程度、トリガ操作なしに放置された場合にマイコン60aをシャットダウンさせれば良い。マイコン60aがシャットダウンした後に、作業者によるトリガスイッチ4の操作が行われて、トリガスイッチ4がオンになると、電源管理回路62にトリガ4とモータ5の間の電位(ハイ信号)が入力されるので、電源回路61が起動してマイコン60aに基準電圧VDD2が供給される。よって、マイコン60aはトリガ操作に連動して直ちに起動し、通常の動作モード(ノーマルモード)にて動作することになる。
[0025]
電動工具本体1のLD端子28は、マイコン60aの入力ポートに接続される。通常LD端子28には抵抗R22を介して基準電圧VDD2が接続される。この構成により制御部60の入力ポートとLD端子28には、通常時に基準電圧VDD2とほぼ等しい電圧(≒5V)が加わることになる。また、LD端子28に接続されたマイコン60aの入力ポートもハイとなる。一方、LD端子に28に接続される電池パック100側のLD端子168が、後述するように接地されることによりLD端子28の電位がグランドレベルに落ちると、マイコン60aの入力ポートはハイからローになるため、マイコン60aはこのLD信号線67の電位の変化を検出することにより電池パック100側からの放電停止信号(又は非常停止信号)を受け取ることができる。マイコン60aは、LD信号線67がローになったら、スイッチング素子M21のゲート信号66をローに切り替えて、モータ5への電力供給を停止させる。尚、図3の回路では、モータ5はブラシ付きの直流モータとして図示されているが、公知のインバータ回路を用いて3相ブラシレスモータを駆動する構成としても良い。その場合は、図示しないインバータ回路に入力される電力経路中にスイッチング素子M21を直列に接続しても良いし、スイッチング素子M21の代わりにインバータ回路に含まれる図示しないスイッチング素子を制御することによりモータ5の回転を停止させる構成としても良い。
[0026]
電池パック100は、正極端子162と、負極端子167と、LD端子168が含まれる。正極端子162にはセルユニット146の正極(+出力)が接続され、負極端子167にはセルユニット146の負極(-出力)が接続される。セルユニット146は、リチウムイオン式の電池セル146a~146eを5本直列に接続したものである。セルユニット146には、電池セルの電圧を監視するための電池セル保護回路220が接続される。電池セル保護回路220は、いわゆる“リチウムイオン電池用保護IC”として市販されている集積回路であり、セルユニット146の各電池セルの両端電圧を入力することにより、電池セル146a~146e各々の電圧を検出し、検出された電圧を用いて過充電保護機能、過放電保護機能の他、セルバランス機能、カスケード接続機能、断線検出機能等のいずれかを実行する。
[0027]
LD端子168は、電池パック100側からの電動工具本体1を停止させる信号、又は、図示しない電池パックを電源とする電気機器の動作を停止させる信号を伝達するための端子である。LD端子168の状態を変更させるために放電禁止制御回路240が設けられる。放電禁止制御回路240は、通常の稼働時には放電禁止信号241はロー(放電を許容)であるが、マイコン250aが電池パック100からの放電を停止させる必要があると判断した場合、例えば過放電状態時、過電流状態時、過温度状態時には放電禁止信号241をハイ(放電禁止)に切り替える。FETを用いたスイッチング素子M1のドレインはLD端子168に接続される。スイッチング素子M1は、例えばP型の電界効果トランジスタ(FET)であって、ドレイン側がLD端子168に接続され、ソース側が接地される。ゲート-ソース間には抵抗R2とコンデンサC1が設けられる。抵抗R2はゲート信号がローになった際に、ゲート-ソース間を0Vにするための接地抵抗である。コンデンサC1は放電禁止信号241がハイからローになった際に、LD端子168の電位の上昇を若干遅らせるために設けられるものである。抵抗R5は、LD端子168の電圧を安定させるための抵抗である。制御部250は放電禁止制御回路240の半導体のスイッチング素子M1に入力されるゲート信号(放電禁止信号241)を通常のロー状態(電池パック100からの“放電許可”)から、ハイ状態(電池パック100からの“放電禁止”)に切り替える。放電禁止信号241がハイに切り替えられると、スイッチング素子M1のソース-ドレイン間が導通により接地されるため、電動工具本体1側のLD端子28の電位がグランド電位に落ちることになる。この結果、マイコン60aにより電動工具本体1の電力回路が遮断され、モータ5の回転が阻止される。このように、電池パック100の制御部250が発する放電禁止信号241によって電動工具本体1のモータ5の回転を阻止できるので、制御部250は、電池パック100からの電力供給を止めなければならない事態、例えば、放電時の過大電流、放電時のセル電圧の低下(過放電)、セル温度の異常上昇(過温度)等が生じた際に電動工具や電気機器の動作を素早く停止させることができ、電池パック100だけでなく電動工具本体1の保護を図ることができる。
[0028]
電池セル保護回路220には制御部250が接続される。制御部250はマイコン250aを含んで構成される。制御部250の駆動用の電源は、電源回路221によって生成され、低電圧の一定電圧(基準電圧VDD1)が制御部250に供給される。ここでは制御部250を動作させるための基準電圧VDD1は3.3Vである。制御部250は、電圧値、電流値やセル温度の監視を行うと共に、電池セル保護回路220の出力を元に相手側機器、即ち電動工具本体1側への放電禁止信号241を伝達する。マイコン250aは、LD端子168の電圧値を測定する端子電圧検出回路228の出力から、相手側機器の内部にマイコン60aが含まれるか否かを判定する。LD端子28からLD端子168に伝達される通常時の電圧は、相手側が機器にマイコン60aが含まれる場合はマイコン60aの動作電圧(≒3.3V又は5V)であるが、マイコンが含まれない機器の場合は電池パックの電圧VCC(ここでは定格18V)である。この電圧の差を検出することによりマイコン250aは、過電流監視、温度監視の制御パラメータを切り替えることが可能となる。
[0029]
電源管理回路222は、電源回路221による基準電圧VDD1の生成を指示又は抑制するための回路である。電源管理回路222は一端が電源回路221に接続され、他端が接地される(図示していない)。また、一つめの入力信号としてLD端子168の電位が電源起動信号223として入力され、2つ目の入力信号としてマイコン250aからの信号、即ち、自己保持信号224が入力される。電池パック100が相手側機器に装着されていない場合、即ち取り外されている場合には、LD端子168はハイインピーダンス状態にあり、電源起動信号223の電位はローである。電源管理回路222は入力信号(電源起動信号223、自己保持信号224)のいずれか一方または双方がハイになると電源回路221を稼働させて、電源回路221から制御部250に基準電圧VDD1を供給させるようにする。また、電源管理回路222は入力信号の双方がローになると、電源回路221からの基準電圧VDD1の送出を停止させることにより、制御部25への電源供給が遮断されるので、マイコン250aはシャットダウンする。電池パック100が電動工具本体1に装着された後にトリガスイッチ4が操作されると、LD端子168の端子電圧(=電源起動信号223)が0Vから、基準電圧VDD2(ここでは約5V)に上昇する。この結果、電動工具本体1本体側のマイコン60aが起動するのに連動して、電源管理回路222が電源回路221を起動させ、制御部250には基準電圧VDD1が供給されるのでマイコン250aも起動する。このようにして電池パック100のマイコン250aが電動工具本体1側のマイコン250aに連動して起動する。
[0030]
電動工具本体1の緊急的な停止が必要となった場合には、マイコン250aは放電禁止信号241を発してLD端子168の電位を変えることによって、LD端子28を介して電動工具本体1側に動作の停止を指示する。また、制御部250は、セルユニット146の電池セルに流れる電流量の監視を行う。近年の電動工具においては、電池セルの性能向上、容量増大に伴い、電池パック100から大電流を取り出すことが可能となった。しかしながら寿命や発熱の面から、電池セルは所定の電流量(電流上限値以下)に制限することが好ましい。電動工具本体1側にマイコン60aが含まれる場合には、過電流監視はマイコン60aが行うことができるので、マイコン250aは電池パック100の破損を防止する程度の高めの閾値とすれば良い。しかしながら、電動工具本体1側にマイコン60aが含まれない場合は、電動工具本体1側にて過電流監視を行っていない可能性が高いので、マイコン250aには一般的な過電流監視用の閾値を設定し、例えば20Aとして、電池パック100からの放電電流が20Aを越えた場合にマイコン250aは放電禁止信号241をハイにする。同様にしてマイコン250aはセルユニット146の過放電管理も行う。セルユニット146の電池セルの電圧が所定の閾値V 未満に低下した場合は、放電を禁止する放電禁止信号241を出すことによりマイコン250aは電動工具本体1側の動作を停止させる。
[0031]
制御部250は、電池セルに流れる電流を特に監視するために、電池セル保護回路220の電力供給ラインの途中に介在されたシャント抵抗R1と電流検出回路227を用いて、電流値を監視する。電流検出回路227は、セルユニット146と直列に介在されるシャント抵抗R1の電圧を測定することによりセルユニット146に流れる電流値を測定するための回路で、電流検出回路227の出力は制御部250のマイコン250aに伝達される。マイコン250aには、例えばアナログ・フロント・エンド(AFE)と呼ばれる電圧検出回路を含み、電流検出回路227の出力電圧から電池セル保護回路220に流れる電流値を測定する。制御部250、電源回路221、電流検出回路227等からなる電池セル保護回路220は、1チップ内に集積化された“電池管理IC”として構成されたものを用いても良い。電池セル保護回路220は、複数の信号線で制御部と接続され、マイコン250aは各電池セル146a~146eの電圧を検出することができる。セル温度検出手段231は、電池セル146a~146eの近傍に設けられたサーミスタ(図示せず)を用いて電池セルの温度を測定するための回路である。
[0032]
電源回路221の電源がオンになると制御部250に電源電圧VDD1が供給されるため、電源回路221のマイコンが起動する。マイコン250aが起動したら、マイコン250aからの自己保持信号224がローからハイとなり、電源管理回路222に入力されるためマイコン250aが起動している状態が保たれる。一方、電源回路221から制御部250への電源供給が停止すると、マイコン250aがシャットダウンする。このマイコン250aのシャットダウンは、電源起動信号223がローの状態の時に、マイコン250a自らが自己保持信号224をハイからローに切り替えることにより電源回路221の出力を停止させることでおこなう。
[0033]
電池パック100内にマイコンを有する制御部250を設ける場合は、セルユニット146の電圧が十分低下しない限り制御部250に電源電圧VDD1を供給できる状態が続くことになる。そこで、電池パック100においては、必要の無い場合、特に電池パック100が電気機器本体や外部充電装置から取り外されている場合や、それらに装着されているものの電気機器本体や外部充電装置が停止状態である場合のいずれかであって、制御部250として必要な電池管理制御を行わない場合(又は不要な場合)には制御部250への電源供給を遮断するようにして制御部250による電池セルの電力の自己消費を抑えるようにした。
[0034]
LD端子168がグランドレベルに落とされた後に、マイコン250aがシャットダウンされると放電禁止信号241が消失するため、再びLD端子168がハイになって電源管理回路222が動作してマイコン250aが起動し、放電禁止信号241が再び送出されるというような動作が繰り返される虞がある。そこで、本実施例ではシャットダウン維持回路260を設けて、電池セル146a~146eの過放電が原因で放電禁止信号241が送出された後に、電源回路221を再起動できないようにした。電源回路221を再起動できないようにするためには、LD端子168をグランド電位に保つようにすれば良い。シャットダウン維持回路260は、FET等の2つのスイッチング素子M2、M3と、複数の抵抗器(抵抗R3、R4)とダイオードD1とツェナーダイオードZD1を含んで構成される。基本的な動作は、セルユニット146の電池電圧VCCが閾値V 以上の場合にはスイッチング素子M2を遮断状態に保ち、電池電圧VCCが過放電状態を示す閾値V 未満になったらスイッチング素子M2を接続状態に保つことにより、LD端子168の電位をグランドレベルに維持するようにした。スイッチング素子M2のドレイン端子はLD端子168に接続され、ソース端子はグランドに接地される。スイッチング素子M2のゲート信号には、さらなるスイッチング素子M3のドレイン端子が接続される。スイッチング素子M3のドレイン端子にはセルユニット146の電池電圧VCCが抵抗R3を介して接続される。スイッチング素子M3のソース端子はグランドに接地され、ゲート端子は、電池電圧VCCとグランド間のツェナーダイオードZD1と抵抗R4による分圧電圧が入力される。シャットダウン維持回路260では、電池パックの電圧VCCが過放電の閾値V よりも小さくなって、且つ、ダイオードD1を介するVDD1の供給が無くなると、スイッチング素子M3、M2が共にオンになってLD端子168がグランド電位に落とされる。スイッチング素子M2のオン状態は電池電圧VCCが閾値V よりも小さい電圧領域でも十分稼働する。よって、電池電圧VCCがV よりも遙かに小さい電圧値V (V >0)に低下するまでスイッチング素子M2のオン状態を維持する。このように構成することにより、過放電によりマイコン250aをシャットダウンさせた後に、マイコン250aの再起動が繰り返されるというチャタリング現象の発生を防ぐことができ、過放電状態時にマイコン250aが動作することによる電池セル146a~146eの深放電を防止できる。
[0035]
マイコン250aの状態には、ノーマル、スリープ、シャットダウンの3段階がある。ノーマルはマイコン250aが常時起動している状態である。スリープはマイコン250aが自ら間欠的に起動させる省電力モードであり、数ミリ秒の起動後に数百ミリ秒程度停止するというような動作を繰り返す。シャットダウンは、電源電圧VDD1が全く供給されない状態の省電力モードであって、マイコン250aが完全に停止している状態である。マイコン250aは、電池パック100が電動工具本体1に装着されている時も、装着されていないときも動作する。但し、電池パック100が装着されていない時や、装着時であっても電動工具が一定時間以上使用されていない時、例えば、トリガ操作が終了してから2時間程度トリガ操作が行われなかった場合は、マイコン250aはスリープ状態になる。このスリープ状態時であっても、LD端子28の状態が変化したら電源管理回路222が電源回路221をオンにするため、マイコン250aがノーマルモードに復帰する。このように構成することにより、マイコン250aのノーマルモードでの稼働と、それ以外の省電力モードでの稼働(又は停止)を電動工具本体1側のマイコン60aと連動して制御できる。
[0036]
図4は、本実施例の電池パック100をマイコン無しの電動工具本体1Aに接続した状態を示す回路図である。電動工具本体1Aは、機器側の正極入力端子22と、負極入力端子27と、LD端子28を含んで構成される。正極入力端子22と負極入力端子27の間には、トリガスイッチ4と直流式のモータ5が接続される。モータ5と負極入力端子27の間には半導体によるスイッチング素子M31が設けられる。スイッチング素子M31のドレイン-ソースがモータ5の電力供給経路に接続され、ゲートが、抵抗R31を介して正極入力端子22に接続される。また、スイッチング素子M31のゲートは、抵抗R32を介してLD端子28に接続される。通常、電池パック100側のLD端子28はハイインピーダンス状態にある。その際には、スイッチング素子M31のゲートには、抵抗R31を介して正極電圧が掛かることになり、スイッチング素子M31は導通状態にある。この際、電池パック100側から、放電禁止信号241によってLD端子168がグランド電位に落とされると、スイッチング素子M31のゲート電位は、正極入力端子22の電圧を抵抗R31、R32で分圧した電圧となり、この分圧電位はスイッチング素子M31のソース-ドレイン間を遮断させる電位となる。この結果、モータ5への電力供給経路が遮断されるためモータ5の回転が停止する。このLD端子168の電位の切替えは、電池パック100側のマイコン250aの制御により放電禁止制御回路240が行うもので、電池セルの電圧が過放電状態の閾値(所定の電圧値V )まで下がった状態、いわゆる過放電の状態の時や、電池セルに流れる電流が規定された上限値を越えた場合、電池セルの温度が上限値を超えた場合等に実行される。
[0037]
電動工具本体1Aのように電池パック100側の制御部250が過電流の監視を行う場合には、複数の電動工具本体1Aに適用できるような平均的な過電流の保護制御が必要になる。その場合の過電流と判断する閾値電流ICは、平均的な値に設定せざるを得ない。しかしながら、電動工具本体1側の制御部60が過電流の監視を行う場合には、電動工具本体1に最適な制御条件(過電流の高めの閾値)を設定できるので、制御部250が平均的な制御条件(過電流の低めの閾値)を設定することによる電動工具の出力制限を回避できる。この出力制限の回避は、今後発売される新型の電動工具において特に有効であり、新型の電動工具本体1の能力を最大限に生かした制御を実現できる。
[0038]
本実施例では電池パック100側の制御部250が、電池パック100が装着された電動工具本体1又は1A側にマイコンを有する制御部60が含まれているか否かを判定し、判定結果に応じて電池パック100側の過負荷保護のための条件を変更する。具体的には、図4のように電動工具本体1側にマイコンが含まれない場合は、低電圧出力時の過電流制限値をマイコン無し電動工具本体1A用の閾値、例えば20A(デフォルト値)に設定する。このデフォルト値をどの程度にするかは、用いられる電池セルの容量や性能に応じて適宜設定すれば良い。この過電流制限値は、従来の電池パックで設定されていた値と同等にするので、従来のマイコン無し電動工具本体1Aを、本実施例の電池パック100を用いて駆動させることができる。一方、電動工具本体1A側にマイコンが含まれる場合は、低電圧出力時の過電流制限値を電池パック100側では設定しないか、又は設定してもマイコン無しの電動工具本体1よりも十分高い閾値(例えば過放電の閾値が50A)として、過電流値の監視を電動工具本体1A側の制御部60のマイコンに任せるようにした。
[0039]
端子電圧検出回路228は、接続線によってLD端子168に接続され、端子電圧検出回路228は端子電圧に応じた出力を制御部250に出力する。この動作は図3で示した回路と同じである。端子電圧検出回路228によって制御部250が電動工具本体1A側のマイコンの有無を判定したことによって変更される電池セル監視のための制御パラメータ、例えば過負荷保護条件は、マイコン250aに含まれる不揮発性メモリ内に予め格納しておいて、判断結果に応じて格納された値のいずれかを読み出してセットするようにすれば良い。
[0040]
次に図5を用いて本実施例の電池パック100のノーマルモードにおける制御手順を説明する。電池パック100の制御部250のマイコンには、ノーマルモード、スリープモード、シャットダウンの3つの動作レベルがある。ノーマルモードはマイコンが連続的に起動している状態であり、スリープモードはマイコンが間欠的に起動することにより動作電力を節約するモードである。シャットダウンモードは、電源回路211から制御部250への電源供給を遮断させることによって制御部250に含まれるマイコンの動作を停止させるモードである。図5はマイコンがノーマルモードにて動作している状態(ステップ300)の制御であり、最初にマイコンは電池セル保護回路220を用いて電池電圧が所定の閾値V 以下であるか否かを判定する(ステップ301)。閾値V は、電池セルの過充電状態の監視用の閾値であり、閾値V を越えている場合はタイマAとタイマBをクリアしてステップ301に戻る(ステップ308)。ステップ301にてYESの場合は、マイコンは電流検出回路227を用いて充電電流が閾値I 以下であることを判定する(ステップ302)。閾値I は、正常な充電電流範囲の上限値である。ここで充電電流が閾値I 以下である場合はステップ303に進み、閾値I を越えている場合はタイマAとタイマBをクリアしてステップ301に戻る(ステップ308)。これは、充電電流が閾値I 以上の場合は、図示しないLS端子を用いて充電停止信号を外部充電装置(図示せず)に送出しなければならない。そのためにマイコン250aをノーマルモードに維持するというものである。尚、図3のフローチャートは、マイコン250aの動作モードの推移を示しているだけで、図示しない充電管理のプログラムは図3のフローチャートとは並行に実行されている。
[0041]
ステップ303では、放電電流が許容できる上限値たる閾値I 以下であるかを判定する。ここで閾値I 以下の場合はステップ304に進み、閾値I を越えている場合はタイマAとタイマBをクリアしてステップ301に戻る(ステップ308)。ステップ304では、マイコンは電池温度が許容できる上限値たる閾値T 以下であるかを判定し、閾値T 以下の場合、即ち正常状態の場合はステップ305に進み、閾値T を越えている場合は異常状態であるので、タイマAとタイマBをクリアして(ステップ308)、ステップ301に進むことによりマイコン250aはノーマルモードを維持する。この際、電池温度に応じてどのような電池管理制御を行うかは図3とは別のプログラム(図示せず)にて管理される。
[0042]
ステップ305では、マイコンは端子電圧検出回路228の出力からLD端子168の電圧を測定し、LD端子電圧がロー状態であるか否かを判定する(ステップ305)。LD端子電圧がローである場合は、接続されている外部機器(電気機器本体又は充電装置)にマイコンが含まれていることを意味するので、その場合は、タイマAを用いたシャットダウン移行処理を実行する。まず、タイマAのカウントをインクリメントし、タイマAのカウント値が閾値N 以上になったか否かを判定する(ステップ307)。ステップ307において、閾値N 未満の場合はステップ301に戻り、閾値N 以上の場合は、制御部250のマイコン250aのシャットダウン処理を行う(ステップ309)。このようにして、タイマAが閾値N に達するまでの一定の時間だけ電池パック100の使用がされていない状態が続いた場合に、電池パック100側のマイコン250aを自動的にシャットダウンさせることができる。
[0043]
ステップ305において、LD端子電圧がハイである場合は、接続されている外部機器(電気機器本体又は充電装置)にマイコンが含まれていないことを意味するので、その場合は、外部機器側のマイコンと連動して電池パック100側のマイコンをシャットダウンさせて、また、外部機器側のマイコンの起動と連動して電池パック100側のマイコンを起動させることができない。そのためマイコン250aの省電力モードへの移行制御を、電動工具本体1A側と連動させずに、電池パック100側にて自発的に行うようにした。即ち、ステップ310移行にてタイマBを用いてスリープモード移行処理を実行する。最初に、タイマBのカウントをインクリメントする(ステップ310)。次に、タイマBのカウント値がスリープモードに移行させるための所定の時間値、即ち閾値N 以上になったか否かを判定する(ステップ311)。カウント値が閾値N 未満の場合はステップ301に戻り、カウント値が閾値N 以上の場合は、タイマBをゼロにクリアした後に制御部250のマイコンのスリープモードへの移行処理を行う(ステップ312、313)。マイコンのスリープモードへの以降手順については公知であるので、個々での説明は省略する。このようにして、本体側にマイコンを含まない相手側機器の際には、タイマAが閾値N に達するまでの一定の時間だけ電池パック100の不使用状態が続いたら、電池パック100側のマイコンを自動的にスリープモードへ移行させる。この移行によって電池パック100内でのマイコンによる電力消費を抑制することができる。
[0044]
図6は、マイコンがスリープモードにて動作している状態(ステップ350)の制御を示すフローチャートである。最初に電池パック100側のマイコンは、電池セル保護回路220を用いて電池電圧が閾値V 以上であるか否かを判定する(ステップ351)。閾値V は、図5にて説明したのと同様に、電池セルの過放電状態の監視用の閾値であり、閾値V より高いのが正常で、閾値V 未満の場合は外部の充電装置を用いて充電しなければならない過放電状態である。よって、閾値V より低い場合はステップ362に進んでノーマルモードに移行してノーマルモードの電池保護ルーチンで過放電状態か否かを再度判断して放電禁止信号241を送出する。尚、放電禁止信号241を送出すると、LD端子168がグランド電位に落ちるため図5のフローチャートに戻った際の電源シャットダウン条件、即ちステップ305のLD端子電圧=Lowを満たすので、タイマAが所定時間N 経過した後にマイコン250aはシャットダウンすることになる。ステップ351にて電圧が閾値V より高い電圧の場合はステップ352に進む。
[0045]
ステップ352では、マイコン250aは電池セル保護回路220を用いて電池電圧が閾値V 以下であるか否かを判定する。閾値V は、異常高電圧を示す閾値電圧であり、閾値V 以上ある場合は過充電状態か通常あり得ない異常値であるので、スリープモードのような間欠的な制御ではなくて、連続的な制御が可能なようにステップ362に進んでノーマルモードに移行させる(ステップ352)。ノーマルモードでは電池保護ルーチンで過電圧に応じた図示しない異常対策処理を行う。閾値V 未満の場合は正常であるのでステップ353に進む。
[0046]
ステップ353にてマイコンは、電流検出回路227を用いて充電電流が閾値I 以下であるかを判定する(ステップ353)。ここで充電電流が閾値I を越えている場合は異常値であるので、スリープモードのような間欠的な制御ではなくて、連続的な制御が可能なようにステップ362に進んでノーマルモードに移行させる。ステップ353にて充電電流が閾値I 以下の場合はステップ354に進む。ステップ354にてマイコンは、電流検出回路227を用いて放電電流が閾値I 以下であることを判定する(ステップ353)。ここで放電電流が閾値I より大きい場合は過熱や電池セル劣化の虞が高いので、ステップ362に進んでノーマルモードに移行させることにより、定められた過電流保護処理(図示せず)が実行できるようにする。放電電流が閾値I 以下の場合はステップ355に進む。
[0047]
ステップ355にてマイコンは、セル温度検出手段231(図3参照)を用いて電池セルの温度が閾値T 以下であるかを判定し、閾値T 以下の場合は正常であるのでステップ356に進む。電池セルの温度が閾値T を越えている異常状態の際にはステップ362に進んでノーマルモードに移行する。ステップ356では、マイコン250aは端子電圧検出回路228(図3参照)を用いてLD端子168の電圧を測定することにより、電池パック100が相手側機器(電動工具本体又は充電装置)から取り外されたかどうかを判定する。マイコンをもたない電動工具本体1Aに接続されている場合はLD端子168の電圧がハイであり、電池パック100が取り外された際にはLD端子28の電圧がローになる。ステップ356において、電池パック100が取り外された場合は、ステップ362に進んで電池パック100側のマイコン250aはノーマルモードに移行する。電池パック100が取り外されていない場合は、LD端子28の電圧がハイのままであるが、接続中の外部機器にマイコンが含まれない)には、電池パック100側のマイコンのモードを本体機器側のマイコンに連動させることができないため、マイコン250a側で独立してスリープ設定を行う(ステップ357)。スリープ設定はマイコン250aの回路の大部分への電源を遮断することにより消費電力を減らすための制御である。スリープ設定中には、ウェイクアップトリガ信号がマイコンに入力されると、スリープからアクティブ状態へ変更され(ステップ361)、ステップ362に移行してノーマルモードに移行する。ここで、ウェイクアップトリガ信号とは、電動工具本体1側のトリガスイッチ4を引くことにより、放電電流が所定値I min以上に上昇した場合や、電池パック100が取り外された状態であっても電池残量表示用のスイッチ(図示せず)がONになった場合等が考えられる。ステップ358にてウェイクアップトリガを検出しなかったら、マイコンがスリープ状態からアクティブ状態に戻るための所定時間が経過したか否かを判定し(ステップ359)、経過していたらマイコンをアクティブ状態に戻し(ステップ360)、ステップ351に戻る。ステップ359にて所定時間が経過していない場合は、ステップ358に戻る。
[0048]
以上のように、電池パック100の制御部250に含まれるマイコン250aは、接続中の外部機器側にマイコン60aが含まれるか否かによって、マイコン250aのスリープモードを設定するか、又はスリープモードの利用をしないで、シャットダウンとノーマルモードの制御にするかを切り替えることができる。尚、図6のフローチャートでは、電池パック100が電動工具本体1Aに装着されている限り、スリープモードのマイコン250aがシャットダウンしないことになる。そこで、マイコン250aのスリープモードの連続動作時間T をカウントして、連続動作時間T を所定の閾値、たとえば1週間となった場合にマイコン250aをシャットダウンさせるように制御しても良い。図6のみではシャットダウンにならないが、図6と図5の組合せでシャットダウンになる。動作は、図6でスリープモードを継続しているといずれ電圧V 以下となる。するとノーマルモードへ移行する。図7でノーマルモードへ移行し、更に電圧が低下して過放電状態となるとマイコン250aは放電禁止信号241を出力して、LD端子168がローになる。そして、タイマAが所定値以上となったらマイコン250aはシャットダウンする。
[0049]
図7は本実施例の電池パック100の動作例1の制御手順を説明する図であって、本体側の制御部60にもマイコンが含まれる電動工具本体1に対する動作例1を示すフローチャートである。このフローチャートは、作業者が電池パック100を電動工具本体1の電池パック装着部10に取り付けることにより開始される。電池パック100を電動工具本体1の電池パック装着部10に取り付けられると(ステップ400)、電池パック100からの電力が電動工具本体1に供給されるため、電池パック100の電源管理回路62に電源が供給されてONになり(ステップ402)、電源管理回路62は電源回路61をオンにする。この結果、基準電圧VDD2が0Vから5Vに切り替わる(ステップ403)。
[0050]
図7において、中段の左側のステップ404~410が電動工具本体1側のマイコン60aの制御フローであり、中段の右側のステップ411~416が電池パック100側のマイコン250aの制御フローである。ステップ404~410とステップ411~416は、並列に処理される。ステップ403において、基準電圧VDD2が0Vから5Vに切り替わると、電動工具本体1側の制御部60に含まれるマイコン60aが起動する(ステップ405)。マイコン60aは、電動工具本体1側のモータ5の制御を行う(ステップ406)が、モータ制御の内容は従来と同じ制御であるので、その詳細の説明は省略する。
[0051]
本体側のマイコン60aが起動すると、図3で説明したようにことにより、LD端子28にもほぼ基準電圧VDD2(≒5V)が掛かるため、電源管理回路222がオンになり、電源回路221もオンになることにより基準電圧VDD1が0Vから3.3Vに切り替わる(ステップ402、403)。この切り替えの結果、電池パック100の制御部250が起動する(ステップ414)。この際、マイコン250aは電源管理回路222に電源の自己保持信号224を送出する(ステップ415)。電源管理回路222は制御部250からの自己保持信号224がオン状態である限り、電源回路221が出力を継続するON状態が維持される。その次に、電池パック側のマイコン250aは電池保護制御を行う(ステップ416)。電池保護制御は公知の制御方法と同じであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
[0052]
ステップ406の制御中に、作業者がトリガスイッチ4をオフにすると(ステップ407)、モータ5が停止する。すると、本体側のマイコン60aは、トリガスイッチ4がオフになってから所定時間内は電源管理回路62に自己保持信号62aを送出し続けることにより、電源管理回路62は電源回路61をオン状態に維持する。このオン状態の維持が所定時間経過したら(ステップ408)、制御部60のマイコンは電源管理回路62に送る自己保持信号62aをオフにする(ローにする)ことにより、電源管理回路62は電源回路61からの基準電圧VDD2の出力を停止させる。電源回路61がオフになると基準電圧VDD2が5Vから0Vになる(ステップ410)。基準電圧VDD2が0Vになると、マイコン60aを含む制御部60が電源を失うことによりシャットダウンする(ステップ417)。
[0053]
本体側のマイコン60aがシャットダウンすると、LD端子28の電圧がほぼ5Vからほぼ0Vに低下する(ステップ418)。すると端子電圧検出回路228の出力変化によって電池パック側のマイコン250aが、LD端子168の電圧が切り替わったことを検出する。マイコン250aは、所定時間だけ自己保持信号224を送出し続けることにより、電源管理回路222は電源回路221をオン状態のまま維持する。このオン状態の維持が所定時間経過したら(ステップ419)、制御部250のマイコンは電源管理回路222に送る自己保持信号224を停止する(ローにする)(ステップ420)。すると電源回路221はオフになり、基準電圧VDD1が3.3Vから0Vになり(ステップ421)、マイコン250aを含む制御部250は電源を失うことによりシャットダウンする(ステップ422)。
[0054]
図8は本実施例の電池パック100の動作例2の制御手順を説明する図であって、本体側の制御部60にもマイコンが含まれる電動工具本体1に対する動作例2を示すフローチャートである。このフローチャートは、作業者が電池パック100を電動工具本体1の電池パック装着部10に取り付けることにより開始されるもので、ステップ400~406、411~416までの手順は図7で示した動作例と同一であるので、繰り返しの説明は省略する。ここでは電動工具本体1側において制御部60がステップ406のモータ制御を行っており、作業者がトリガスイッチ4を操作することにより複数回のモータ5の起動と停止が繰り返される。ここで、作業者が電池パック100を電動工具本体1から取り外したとする(ステップ430)。すると、電動工具本体1側の電源回路61への電池パック100からの直流電力が消失するため、電源回路61がオフとなり、基準電圧VDD2が0Vになる(ステップ431)。また、制御部60のマイコン60aも電源を失うことによりシャットダウンする(ステップ432)。一方、電池パック100側においては、LD端子168の電圧がほぼ0Vになるため、制御部250のマイコン250aはその状態を検出し(ステップ418)、所定時間が経過するまでマイコン250aをノーマルモードのままで待機する(ステップ419)。このマイコン250aのオン状態が所定時間経過したら、制御部250のマイコン250aは電源管理回路222に送る自己保持信号224を停止する(ローにする)(ステップ420)。すると電源回路221はオフになり、基準電圧VDD1が3.3Vから0Vになり(ステップ421)、制御部250のマイコンも電源を失うことによりシャットダウンする(ステップ422)ため、制御部250の動作が停止する。
[0055]
以上のようにトリガスイッチ4をオンにしてマイコン60a、250aを起動させている時に、電池パック100と電動工具本体1の接続解除をした場合には、LD端子168の端子電圧がローになるので、マイコン250aはLD端子168の端子電圧がロー状態の時間が所定時間以上続いた場合に省電力モード(スリープモード、シャットダウン)に移行させることができる。
[0056]
図9は本実施例の電池パック100の動作例3の制御手順を説明する図である。図9ででは、電池パック100が接続される相手側機器としてマイコンを含んだ制御部を持たない電動工具本体1Aである場合の制御を示している(ステップ500)。このフローチャートは、作業者が電池パック100を電動工具本体1の電池パック装着部10に取り付けることにより開始されるもので(ステップ501)、左右2列のうち右側に示すのが電池パック100側の制御手順であり、左側に示すのが電動工具本体1Aの動作である。
[0057]
電池パック100が電動工具本体1Aに装着されると、電動工具本体1Aは使用可能な状態にあり、作業者がトリガスイッチ4をオンにすることにより(ステップ502)、モータ5に電力が供給されることにより起動し、モータ5がオン状態になる(ステップ503)。作業者は所定の作業を行った後に、トリガスイッチ4をオフにすることにより(ステップ504)、モータ5に供給される電力が遮断されるので、モータ5が停止し、モータ5がオフ状態になる(ステップ505)。ステップ502~505の動作は1回だけでなく、作業対象に応じて複数回繰り返される。
[0058]
ステップ502~505に対応する電池パック100側の制御は、ステップ501にて電池パック100が装着されると、図4にて示したようにLD端子168にはほぼ電池パック100の電圧VCCが印加される(ステップ510)。すると電源管理回路222に電源起動信号223として所定の電圧が印加されるので、電源管理回路222がオン状態になる(ステップ511)。電源管理回路222が起動すると、電源回路221を起動させてオンとすることにより、電源回路221から制御部250に対して電源電圧VDD1が供給される(ステップ512)。電源電圧VDD1は、ここでは制御部250に含まれるマイコンとして、3.3Vの動作電圧で動作するMPU(Micro-processing unit)が用いられる。電源電圧VDD1が制御部250に供給されると制御部250がスリープモードから復帰してオン状態、すなわちノーマルモードになる(ステップ513)。次に制御部250のマイコンは、電源管理回路222に対して自己保持信号224を送出することにより、マイコンからの電源遮断指示がない限り電源回路221のオン状態を保つようにする(ステップ514)。電源管理回路222は、電源起動信号223がハイレベルとなるか、自己保持信号224がハイレベルとなるかのいずれか一方以上が満たされることにより電源回路をオンにし、電源起動信号223と自己保持信号224の双方がローレベルとなった場合に、電源回路221の動作を停止させてオフ状態とする。ステップ515においては、電池パック側の制御部250のマイコンが電池保護制御を行う。電池保護制御は公知の制御方法と同じであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
[0059]
ステップ502~505、510~515の手順が1回実行又は複数回繰り返し実行された後に、作業者による作業が終了して作業者が電動工具本体1Aに電池パック100を装着した状態で放置した場合、電池パック100側のマイコンは、電動工具本体1Aが不使用状態にて所定時間以上、例えば所定の閾値たる「閾値T 」以上経過したこと検出したら(ステップ516)、自らの動作モードを「ノーマルモード」から「スリープモード」に移行させる(ステップ517)。本実施例では、閾値T を2時間として設定し、電動工具本体1Aの最後のトリガ操作が終了してから2時間経過したらスリープモードに移行する。尚,電池パック100の不使用時にノーマルモードからスリープモードに移行させるまでの時間は2時間だけで無く、数分から数時間程度に設定すれば良い。マイコンのスリープモードとは、メインクロックの発振を間欠的に行うことにより、発振停止中にCPUや周辺モジュールの動作を停止させるモードである。しかしながら、マイコンの内蔵レギュレータは動作を継続しているので、電源は供給されている状態を維持しているので、内蔵レギュレータによってメインクロックの発振の間欠起動トリガとして使うことが可能となる。尚、ステップ517においてはマイコンの消費電力を抑える「省電力モード」に移行することが目的であるので、省電力モードの実現にメインクロックの発振を間欠的に行うスリープモードで実現するだけに限られずに、その他のマイコン用の省電力技術を用いて実現するようにしても良い。
[0060]
ステップ517にてマイコンがスリープモードに移行したあとに、作業者がトリガスイッチ4をオンにすると(ステップ506)、モータ5に電力が供給されることによりモータ5がオン状態になる(ステップ507)。電池パック100側のマイコンは、間欠的に起動した際に電流検出回路227を用いた電流監視を行っているので、その電流値が所定値以上、例えば電動工具本体1等の外部接続機器側へ電流が流れていると判定できる最低電流値たる閾値I minを越えていることを検出したら(ステップ518)、制御部250のマイコンはスリープモードからノーマルモードに復帰する(ステップ519)。次に、制御部250のマイコンは、電池セル146a~146eの電圧が、所定の閾値V 以下であるかを検出する(ステップ520)。ここで所定の閾値V は、電池セル146a~146eが過放電状態であると判定するための所定値であり、閾値V 以上の場合は電池電圧が正常(使用可能状態)であるので、シャットダウン維持回路260が動作可能状態にある。マイコンがノーマルモードで動作している最中に、電池セル146a~146eのいずれか一つ以上の電圧Vが、閾値V 以下になった場合には、マイコンは過放電状態と判断して(ステップ521)、放電禁止/許可信号をローからハイに切り替えることによりスイッチング素子M1をオン(放電禁止状態)にし、LD端子28、168の電位をグランド電位に落とす(ステップ522)。この結果、電動工具本体1A側のスイッチング素子M31へのゲート電圧が低下するので、スイッチング素子M31がオフ(ソースードレイン間遮断)になる(ステップ508)。この結果、モータ5への電力供給が遮断されるので、モータ5の回転が停止する(ステップ509)。
[0061]
電池パック100側においては、ステップ522の結果LD端子168の電圧はほぼ0Vになる(ステップ523)。制御部250はこの状態で所定時間経過するまで待機し(ステップ524)、電源管理回路222をオン状態に維持するための自己保持信号224をオフ(ロー)にすることにより、電源回路221の動作をオフにする(ステップ525、526)。すると制御部250のマイコンへの基準電圧VDD1(3.3V)の供給が停止されるので、マイコンがシャットダウンする(ステップ527)。この際、シャットダウン維持回路260が動作状態を維持し、電池パック100の電圧VCCの値が、電池セル単位の閾値V に相当するトータル電圧を大きく下回り、シャットダウン維持回路260の動作すら不能になる低電圧V (V <V )に低下するまで、スイッチング素子M2をオン状態のまま維持する。尚、シャットダウン維持回路260の動作すら不能となる低電圧V 未満の場合は、仮にLD端子168に3.3V以上の電圧が印加されても、電源管理回路222が動作しないので制御部250が再起動することはない。
[0062]
以上のようにして本実施例の電池パック100は、装着される相手側機器、即ち電動工具本体又は充電装置にマイコンが含まれるか否かに応じて、マイコンの通常モードから省電力モード(例えばスリープモード)への移行するようにした。この省電力モードでは、トリガが引かれて電動工具本体1が起動されたらマイコンがすぐに通常モードにても再起動するので、電動工具の動作に支障を与えること無く電池パックの省電力化を促進することができる。さらに、スリープモード状態が長く続いた場合、例えば1ヶ月以上続いた場合には、マイコンをシャットダウンさせるようにした。これにより電池パック100のマイコンによる電力消費を抑制することができる。この電力消費の抑制は、特に電池パック100が使用されていない待機時において効果がある。
[0063]
以上、本発明を複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上述の実施例だけに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上述の実施例では電気機器本体としてトリガスイッチとモータを有する電動工具の例を用いて説明したが、電動工具だけに限られずに電池パックからの電力を利用して稼働するその他の電動工具や、照明器具、音響機器、電動機器等、幅広く利用することができる。

符号の説明

[0064]
1,1A…電動工具本体、2…ハウジング、3…ハンドル部、4…トリガスイッチ(動作スイッチ)、5…モータ、8…先端工具保持部、10…電池パック装着部、22…正極入力端子、25…制御部、27…負極入力端子、28…LD端子、34…トリガスイッチ、60…制御部、60a…マイコン、61…電源回路、62…電源管理回路、62a…自己保持信号、63…スイッチ状態検出回路、64…電流検出回路、65…電池電圧検出回路、66…ゲート信号、67…信号線、100…電池パック、101…下ケース、110…上ケース、111…下段面、113…開口部、114…段差部、115…上段面、121~128…スロット、131…ストッパ部、132…隆起部、138a~138b…レール、141…ラッチ、142a…係止部、146…セルユニット、146a~146e…電池セル、162…正極端子、167…負極端子、168…LD端子、211…電源回路、220…電池セル保護回路、221…電源回路、222…電源管理回路、223…電源起動信号、224…自己保持信号、227…電流検出回路、228…端子電圧検出回路、231…セル温度検出手段、240…放電禁止制御回路、241…放電禁止信号、250…制御部、250a…マイコン、260…シャットダウン維持回路、C1…コンデンサ、D1…ダイオード、M1~M3…(半導体)スイッチング回路、R1~R5…抵抗、ZD1…ツェナーダイオード、VDD1…電源電圧(基準電圧)、VDD2…基準電圧、VCC…電池電圧

請求の範囲

[請求項1]
正極端子と、負極端子と、装着される電気機器本体に停止信号を送出するためのLD端子と、複数本の電池セルと、前記電池セルの電圧を監視する保護回路と、前記保護回路に接続され前記電池セルの負荷状態を監視するマイコンと、前記マイコンの駆動用の電源回路を有する電池パックであって、
前記電気機器本体に機器側マイコンが含まれる場合に、前記マイコンは前記機器側マイコンが省電力モードに移行したと判断すると、省電力モードに移行させることを特徴とする電池パック。
[請求項2]
前記省電力モードは、スリープモード又はシャットダウンのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
[請求項3]
前記LD端子の電圧の有無に応じて前記電源回路を起動させる電源管理回路を設け、
前記電源管理回路は、前記LD端子の電圧がある場合に前記電源回路を動作させ、
前記マイコンは前記LD端子の電圧消失に連動して、又は、電源消失後の一定の時間経過後に前記電源回路を停止させることを特徴とする請求項1又は2に記載の電池パック。
[請求項4]
前記電池パックのLD端子は、スイッチング素子を介してグランドに接続され、
前記マイコンは前記スイッチング素子のゲート信号を制御することにより前記スイッチング素子を導通状態にして前記LD端子をグランドに接地させることにより、前記電気機器本体へ動作停止信号を伝達することを特徴とする請求項3に記載の電池パック。
[請求項5]
前記マイコンは前記電源回路のオン状態を維持させるための自己保持信号を前記電源管理回路に出力可能とされ、
前記電源回路は、前記LD端子の電圧消失、及び、前記自己保持信号の消失によって動作を停止することを特徴とする請求項3又は4のいずれか一項に記載の電池パック。
[請求項6]
前記マイコンは、ノーマルモードとスリープモードを有し、前記電源回路が起動中であって閾値I min以上の放電電流が流れていない状態が一定時間続いたら、ノーマルモードからスリープモードに移行し、前記スリープモードにて動作中に、前記閾値I min以上の放電電流を検出したら前記スリープモードから前記ノーマルモードに復帰することを特徴とする請求項5に記載の電池パック。
[請求項7]
前記マイコンは、少なくとも前記機器側マイコンが起動している間は起動状態を維持し、
前記機器側マイコンが省電力モードに移行した場合には省電力モードに移行することを特徴とする請求項6に記載の電池パック。
[請求項8]
前記マイコンは、前記電池パックの前記正極端子の電圧と前記LD端子の電圧を比較することによって前記電気機器本体に前記機器側マイコンが含まれるか否か判断することを特徴とする請求項7に記載の電池パック。
[請求項9]
前記マイコンは、前記電気機器本体に前記機器側マイコンが含まれていないと判定した際には、前記ノーマルモードにて作動中に前記電気機器本体の不使用状態が一定時間以上続いたことを検知したら、前記スリープモードに移行し、前記スリープモードにて作動中に前記電気機器本体の使用を検知したら、前記スリープモードから前記ノーマルモードに移行させることを特徴とする請求項8に記載の電池パック。
[請求項10]
前記マイコンは、前記ノーマルモード又は前記スリープモードにて作動中に前記LD端子の電圧の消失を検知したら、一定時間経過後に自らをシャットダウンさせることを特徴とする請求項9に記載の電池パック。
[請求項11]
請求項1から10のいずれか一項に記載の電池パックを装着する電池パック装着部を有し、前記電池パックの電力により機器を稼働させることを特徴とする電気機器。
[請求項12]
前記電気機器の本体に装着された際の前記電気機器側LD端子の電圧は、前記本体側に機器側マイコンを有する場合は前記マイコンの電源電圧レベルであり、前記機器側マイコンが含まれない場合は前記電池パックの前記正極端子の電圧レベルであることを特徴とする請求項11に記載の電気機器。
[請求項13]
正極端子と、負極端子と、装着される電気機器本体に停止信号を送出するためのLD端子と、複数本の電池セルと、前記電池セルの電圧を監視する保護回路と、前記保護回路に接続され前記電池セルの負荷状態を監視するマイコンと、前記マイコンの駆動用の電源回路を有する電池パックであって、
前記LD端子の電圧を検出して前記マイコンに出力する端子電圧検出回路を設け、
前記マイコンは、前記LD端子の電圧の変化をよって前記電気機器本体の機器側マイコンがシャットダウンしたか否か判定し、前記機器側マイコンがシャットダウンしたことに応じて自らシャットダウンさせることを特徴とする電池パック。
[請求項14]
前記マイコンは、前記機器側マイコンがシャットダウンしたことを検出したことに連動して、所定の時間経過後に自らシャットダウンさせる、又は、前記LD端子の電圧がゼロになったら前記マイコンをシャットダウン又はスリープさせることを特徴とする請求項13に記載の電池パック。
[請求項15]
前記LD端子の電圧変化に応じて前記電源回路を起動させる電源管理回路を設け、前記電源管理回路は前記LD端子に電圧が印加されたら前記電源回路を起動させることによりシャットダウン中の前記マイコンを起動させることを特徴とする請求項14に記載の電池パック。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]