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1. (WO2019009356) レーダ装置
Document

明 細 書

発明の名称 レーダ装置 0001  

技術分野

0002  

背景技術

0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

0006   0007   0008   0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

明 細 書

発明の名称 : レーダ装置

関連出願の相互参照

[0001]
 本国際出願は、2017年7月7日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第2017-133762号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2017-133762号の全内容を本国際出願に参照により援用する。

技術分野

[0002]
 本開示は、チャープ波を利用するレーダ装置に関する。

背景技術

[0003]
 チャープ波は、周波数が連続的に増加又は減少するレーダ波である。チャープ波を利用するレーダ装置は、チャープ波を複数回送受信することで得られるビート信号を周波数解析することで、物体の距離及び速度を算出する。算出される速度は、チャープ波の観測点の間隔が短いほど最大検知速度が大きく、一度に観測する観測時間が長いほど速度分解能が高くなる。
[0004]
 下記特許文献1に記載の物体検出装置は、カメラによって撮影された画像と、チャープ波を利用するレーダ装置によって受信された受信信号と、から物体を検出する。上記物体検出装置は、検出された物体がカメラの画像に基づいて歩行者と判定された場合に、レーダ装置によって一度に観測する観測時間を延長して速度分解能を上げている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特許第5558440号公報

発明の概要

[0006]
 チャープ波を利用するレーダ装置において、観測点の間隔を維持しつつ観測時間を長くすると、最大検知速度を維持しつつ速度分解能を上げることができる。しかしながら、発明者の詳細な検討の結果、観測時間を長くすることでチャープ数が増加するために、計算負荷が増加するという課題が見出された。また、観測点の間隔を長くしつつ観測時間を長くすると、チャープ数の増加が抑制されるため、計算負荷の増加を抑制しつつ速度分解能を上げることができる。しかしながら、発明者の詳細な検討の結果、観測点の間隔を長くすることで最大検知速度が小さくなるため、速度の曖昧性が増加するという課題が見出された。
[0007]
 本開示は、計算負荷の増加を抑制しつつ、最大検知速度と速度分解能を両立できることが望ましい。
 本開示の一つの局面は、レーダ装置であって、ビート信号生成部と、第1信号処理部と、第2信号処理部と、速度確定部と、を備える。ビート信号生成部は、周波数が連続的に増加または減少するチャープ波を繰り返し送受信して、ビート信号を繰り返し生成する。第1信号処理部は、ビート信号生成部により生成されたビート信号を、設定された第1観測時間の間、設定された第1観測数だけ観測し、第1観測数のビート信号の時系列で検出される周波数成分の位相回転から、第1速度を算出する。第2信号処理部は、前記ビート信号生成部により生成された前記ビート信号を、第2観測時間の間、第2観測数だけ観測し、第2観測数のビート信号の時系列で検出される周波数成分の位相回転から、第2速度を算出する。第2観測時間は第1観測時間よりも長く設定された観測時間であり、時間比は第1観測時間に対する第2観測時間の比であり、第2観測数は第1観測数に時間比を乗じた数よりも小さい数である。速度確定部は、第1信号処理部により算出された第1速度を用いて、第2信号処理部が実現する分解能で表された速度の計測結果を一意に確定する。
[0008]
 本開示の一つの局面によれば、第1信号処理部により、比較的短い観測点の間隔で比較的短い観測時間に観測されたビート信号から第1速度が算出される。この場合、観測点の間隔は比較的短いものの観測時間が比較的短いため、計算負荷の増加が抑制される。よって、計算負荷の増加を抑制しつつ、比較的大きな最大検知速度の第1速度を算出することができる。また、第2信号処理部により、比較的長い観測点の間隔で比較的長い観測時間に観測されたビート信号から第2速度が算出される。この場合、観測時間は比較的長いものの観測点の間隔が比較的長いため、計算負荷の増加が抑制される。よって、計算負荷の増加を抑制しつつ、比較的高い速度分解能の第2速度を算出することができる。そして、比較的最大検知速度の大きい第1速度を用いて、第2速度の速度分解能で表された計測結果が一意に算出される。したがって、計算負荷の増加を抑制しつつ、最大検知速度と速度分解能を両立させることができる。
[0009]
 なお、請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] レーダ装置の車両での搭載位置及び検知範囲を示す図である。
[図2] レーダ装置の構成を示すブロック図である。
[図3] レーダ装置が送信するレーダ波の変調方式を説明する図である。
[図4] 第1実施形態に係る速度検出の処理手順を示すフローチャートである。
[図5] 第1実施形態に係る第1観測時間及び第1観測数と、第2観測時間及び第2観測数の一例を示す図である。
[図6] 第1実施形態に係る第1観測時間及び第1観測数と、第2観測時間及び第2観測数の一例を示す図である。
[図7] 2次元FFTの概要を示す説明図である。
[図8] 第1実施形態に係る速度の確定方法を示す説明図である。
[図9] 第1実施形態に係る速度の確定方法を示す説明図である。
[図10] 第1実施形態に係る速度の確定方法を示す説明図である。
[図11] 第2実施形態に係る速度検出の処理手順を示すフローチャートである。
[図12] 第2実施形態に係る第1観測時間及び第1観測数と、第2観測時間及び第2観測数の一例を示す図である。

発明を実施するための形態

[0011]
 以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための例示的な実施形態を説明する。
 (第1実施形態)
 <1-1.構成>
 まず、本実施形態に係るレーダ装置10の構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1に示すように、レーダ装置10は、車両70の左前側方、右前側方、左後側方、及び右後側方の4箇所に搭載されている。具体的には、例えば、レーダ装置10は、車両70の前方バンパの左右両端及び後方バンパの左右両端に搭載されている。そして、レーダ装置10の検知エリアAdは、車両70の左前方、右前方、左後方、及び右後方の領域である。
[0012]
 レーダ装置10は、レーダ波を放射してその反射波を受信し、その受信信号に基づいて、レーダ波を反射した物体までの距離、物体の速度、物体の方位を観測する。レーダ装置10は、レーダ波として、後述するチャープ波を送受信するFCM方式のミリ波レーダである。FCMは、Fast Chirp Modulationの略である。
[0013]
 図2に示すように、レーダ装置10は、ビート信号生成部30及び信号処理部20の要素を備える。
 ビート信号生成部30は、送信アンテナ及び複数のアンテナ素子が配列された受信アンテナを含む。ビート信号生成部30は、送信信号に基づいて、中心周波数fcのチャープ波を繰り返し送信する。チャープ波は、図3に示すように、周波数がノコギリ波状に変化するように周波数変調されたレーダ波である。つまり、チャープ波は、周波数が連続的に増加または減少するレーダ波である。図3には、周波数が連続的に増加するチャープ波を示しているが、周波数が連続的に減少するチャープ波でもよい。観測点は、周波数が連続的に増加を開始する時点であり、チャープ周期Tcyは、1つの観測点と次の観測点との間隔である。また、ビート信号生成部30は、物体から反射されたチャープ波を繰り返し受信し、受信信号を生成する。そして、ビート信号生成部30は、繰り返し送受信された送信信号と受信信号とからビート信号を繰り返し生成する。
[0014]
 信号処理部20は、CPU、ROM、RAM、及び、高速フーリエ変換(以下、FFT)処理等を実行するコアプロセッサを含むマイクロコンピュータを備える。そして、信号処理部20は、CPU等がROMに記憶されているプログラムを実行することにより、第1信号処理部40、第2信号処理部50、及び速度確定部60の各機能を実現する。第1信号処理部40は、距離スペクトラム算出部41、第1速度スペクトラム算出部42、及び物体検出部43の機能を含む。また、第2信号処理部50は、距離スペクトラム抽出部51及び第2速度スペクトラム算出部52の機能を含む。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。さらに、これらの機能を実現する手法はソフトウェアに限るものではなく、その一部又は全部の要素を、論理回路やアナログ回路等を組み合わせたハードウェアを用いて実現してもよい。なお、信号処理部20の各機能の詳細は後述する。
[0015]
 <1-2.速度検出処理>
 次に、本実施形態に係る物体の速度を検出する処理手順について、図4のフローチャートを参照して説明する。本処理手順は、信号処理部20が所定数のチャープ波を送受信する都度実行する。
[0016]
 まず、S10では、ビート信号を取得する。つまり、図5及び図6に示すように、現処理サイクルで送受信した所定数のチャープ波の送信信号と受信信号とから生成された、所定数のビート信号を取得する。
[0017]
 続いて、S20では、S10で取得したビート信号を周波数解析して、距離情報を表す距離スペクトラムを算出する。詳しくは、図5及び図6に示すように、観測時間Tup1の間、N1個のビート信号を観測する。観測時間Tup1は、1回の処理サイクルの期間である。観測時間Tup1は第1観測時間に相当する。N1個は、予め設定されている第1観測数であり、観測時間Tup1におけるチャープ数である。ここでは、N1個のビート信号の隣接する観測点の間隔をチャープ周期Tcy1とする。
[0018]
 そして、図7に示すように、1回目のFFT処理として、N1個のビート信号のそれぞれに対してFFT処理を実行して、N1個の距離スペクトラムを算出する。各距離スペクトルは、距離BINに対するパワーを表す。ビート信号は物体までの距離に応じた周波数成分を持つため、算出された距離スペクトラムの周波数BINは距離BINに相当する。
[0019]
 続いて、S30では、S20で算出したN1個の距離スペクトラムの時系列を周波数解析して、速度情報を表す第1速度スペクトラムを算出する。ここで、同一物体からの反射波に基づいたN1個のビート信号は、いずれも同じ周波数成分を有する。つまり、N1個の距離スペクトラムにおいてピークとなる周波数BINは同じである。しかしながら、物体と車両70とが相対速度を持つ場合、N1個のビート信号の位相は、ビート信号ごとに少しずつ異なった値となる。よって、図7に示すように、2回目のFFT処理として、N1個の距離スペクトラムの時系列に対して、距離BINごとにFFT処理を実行する。そして、距離BINごとに、速度BINに対するパワーを表す第1速度スペクトラムを算出する。つまり、距離BINごとにN1個の距離スペクトルを集めて、距離BINごとに、集めたN1個の距離スペクトルの時系列に対してFFT処理を実行する。算出されたスペクトラムの周波数BINは、ビート信号の位相の回転速度に応じた周波数成分であり、速度BINに相当する。
[0020]
 続いて、S40では、S20で算出した距離スペクトラム及びS30で生成した第1速度スペクトラムのピークに対応する物体を検出し、検出した物体ごとに、距離スペクトラムから算出した距離と、第1速度スペクトラムから算出した第1速度V1とを対応づける。距離スペクトラム及び第1速度スペクトラムにピークが存在しない場合は、物体を検出しない。
[0021]
 続いて、S50では、S40で物体を検出したか否か判定する。S40で物体を検出していない場合には、本処理を終了する。一方、S40で物体を検出した場合には、S60の処理へ進む。
[0022]
 続いて、S60では、観測時間Tup2におけるビート信号に対応する距離スペクトラムから、N2個の距離スペクトラムを抽出する。観測時間Tup2は、観測時間Tup1よりも長い時間に予め設定されている。観測時間Tup2は第2観測時間に相当し、N2個は第2観測数に相当する。
[0023]
 詳しくは、図5に示すように、観測時間Tup2が観測時間Tup1の2倍の場合には、現在の処理サイクル及び1つ前の処理サイクルのS20で算出された2×N1個の距離スペクトラムから、N2個の距離スペクトラムを抽出する。N2は、N1×(Tup2/Tup1)よりも少ない数に予め設定されている。つまり、観測時間Tup2が観測時間Tup1の2倍の場合には、N2は、2×N1よりも少ない数に設定されている。そのため、2×N1個の距離スペクトラムから、(2×N1-N2)個の距離スペクトラムを間引いて、N2個の距離スペクトラムを抽出する。
[0024]
 また、図6に示すように、観測時間Tup2が観測時間Tup1の4倍の場合には、現在の処理サイクル、1つ前の処理サイクル、2つ前の処理サイクル、及び3つ前の処理サイクルのS20で算出された4×N1個の距離スペクトラムから、N2個の距離スペクトラムを抽出する。
[0025]
 ここで、次のS70において、N2個の距離スペクトラムに対してFFT処理を実行する。そのため、FFT処理の都合上、抽出する距離スペクトラムに対応するビート信号の観測点の間隔が等間隔となるように、N2個の距離スペクトラムを抽出する。つまり、N2は、抽出する距離スペクトラムに対応するビート信号の隣接する観測点の間隔が等間隔となる数とする。さらに、FFT処理の速度を上げるため、N2は、N1×1/(2n)、nは正の整数となるような数とするとよい。ここでは、N2個の距離スペクトラムに対応するビート信号の隣接する観測点の間隔をチャープ周期Tcy2とする。
[0026]
 続いて、S70では、S30と同様にして、S60で抽出したN2個の距離スペクトラムの時系列に対して、距離BINごとにFFT処理を行い、速度情報を表す第2速度スペクトラムを算出する。算出された第2速度スペクトルは、ビート信号を観測時間Tup2の間、N2個だけ観測して、N2個のビート信号の時系列に基づいて算出された速度スペクトルである。このとき、距離BINごとに集めた距離スペクトラムのうち、S40で検出された物体の距離を表す距離BINの距離スペクトラムに限って、FFT処理を行うようにする。そして、第2速度スペクトラムからピークを抽出し、抽出したピークの速度BINから第2速度V2を算出する。
[0027]
 続いて、S80では、物体の速度の計測結果である速度V0を確定する。ここで、ビート信号の位相回転から求められる速度は、位相折返しによる曖昧性が含まれた速度となることがある。これは、検出された位相がθである場合、実際の位相はθ+2π・k、kは整数、である可能性があり、これを特定することができないことによる。FCM方式の場合、曖昧性なく検知できる速度Vの範囲は、光速をcとして、次の式(1)で示す範囲である。
[0028]
[数1]


 式(1)で示すように、チャープ周期Tcyが短いほど、曖昧性なく検知できる速度Vの範囲は広くなる、つまり、最大検知速度Vmaxは大きくなる。上述したように、第2速度V2は、N2個のビート信号の時系列に基づいて算出される。そして、N2個のビート信号のチャープ周期Tcy2は、チャープ周期Tcy1よりも長い。よって、第2速度V2は、第1速度V1よりも最大検知速度Vmaxが小さく折返しが生じやすい。
[0029]
 また、FCM方式の場合、速度分解能Vresは、次の式(2)で表される。式(2)で示すように、観測時間Tupが長いほど、速度分解能Vresは高くなる。上述したように、第2速度V2は、観測時間Tup1よりも長い観測時間Tup2で観測されたビート信号の時系列に基づいて算出される。よって、第2速度V2は、第1速度V1よりも、速度分解能Vresが高くなる。
[0030]
[数2]


 本実施形態において、第1速度V1は、速度計測範囲の全体に亘って速度が一意に確定され、比較的速度分解能Vresが低い速度である。一方、第2速度V1は、速度計測範囲内で折返しが発生する可能性があり、比較的速度分解能Vresが高い速度である。
[0031]
 そこで、同じ物体つまり同じ距離に対応した第1速度V1と第2速度V2とを比較して、一意に確定され、第2速度V2の速度分解能Vresで表された速度V0を確定する。詳しくは、第1速度V1と、第2速度V2の折り返しを考慮して求められた複数の速度候補V21,V22,…V2mとを比較し、第1速度V1に最も近い速度候補を速度V0とする。以上で、本処理を終了する。
[0032]
 本実施形態では、S20の処理が、距離スペクトラム算出部41の機能に相当し、S30の処理が、第1速度スペクトラム算出部42の機能に相当し、S40の処理が、物体検出部43の機能に相当する。また、S60の処理が、距離スペクトラム抽出部51の機能に相当し、S70の処理が、第2速度スペクトラム算出部52の機能に相当し、S80の処理が、速度確定部60の機能に相当する。
[0033]
 <1-3.動作>
 図8~図10は、それぞれ、第1信号処理部40の距離及び速度の出力結果と、第2信号処理部50の距離及び速度の出力結果とを比較して、物体の速度V0を算出する一例である。図8~図10に示されているように、第1信号処理部40と第2信号処理部50とでは、同じ距離スペクトラムを用いているため、第1信号処理部40の出力結果と第2信号処理部50の出力結果とは、距離分解能が等しい。
[0034]
 図8及び図9は、1つの物体が検出されている例であり、図10は、同じ距離に2つの物体が検出されている例である。図8~図10に示すように、同じ距離で算出された第1速度V1と第2速度V2から求められた速度候補V21,V22とが比較され、速度候補V21,V22のうちの第1速度V1に近い方が速度V0と確定される。図8は、速度候補V21が速度V0に確定されており、第2速度V2に折り返しが生じていない例を示している。図9は、速度候補V22が速度V0に確定されており、第2速度V2に折り返しが生じている例を示している。また、図10は、2つの物体の第1速度V1a,V1bと、2つの物体の第2速度V2a,V2bから求められた速度候補V21a,V22a,V21b,V22bと、が比較され、速度候補V21a,V21bが、2つの物体の速度V0a,V0bに確定されている。図10は、第2速度V2a,V2bに折り返しが生じていない例を示している。
[0035]
 <1-4.効果>
 以上説明した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
 (1)比較的低い速度分解能Vresであるが一意に速度が確定される第1速度V1と、比較的高い速度分解能Vresであるが一意に速度が確定されない第2速度V2の複数の候補とが比較され、第1速度V1に最も近い第2速度V2の候補が速度V0と確定される。これにより、信号処理部20の計算負荷の増加を抑制しつつ、高分解能な速度V0を一意に算出することができる。
[0036]
 (2)第2信号処理部50により、第1信号処理部40により算出されたN1の距離スペクトラムから、N2の距離スペクトラムが抽出される。つまり、第2信号処理部50は、距離スペクトラムを算出せず、第1信号処理部40により算出された距離スペクトラムを流用する。よって、第2信号処理部50により距離スペクトラムを算出する場合と比べて、信号処理部20の計算負荷の増加を抑制することができる。
[0037]
 (3)第2信号処理部50により、抽出された距離スペクトラムにおいて、第1信号処理部40により検出された物体の距離を表す距離BINに限って、FFT処理が実行され、第2速度スペクトラムが算出される。よって、抽出された距離スペクトラムのすべての距離BINに対してFFT処理が実行される場合と比べて、信号処理部20の計算負荷を抑制することができる。
[0038]
 (4)N2を、抽出される距離スペクトラムに対応するビート信号の隣接する観測点の間隔が等間隔となる数とすることにより、抽出された距離スペクトラムに対してFFT処理を適用することができる。また、N2を、N1×1/(2n)とすることにより、抽出された距離スペクトラムに対するFFT処理の速度を上げることができる。
[0039]
 (第2実施形態)
 <2-1.第1実施形態との相違点>
 第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
[0040]
 図2に破線で示すように、本実施形態に係る第2信号処理部50は、第2観測数算出部53の機能を備える。前述した第1実施形態では、予め第2観測数であるN2が設定されており、第1速度V1と第2速度V2とを比較して、物体の速度V0を確定した。これに対し、第2実施形態では、第2観測数算出部53が、図9に破線で示すように、第2速度V2の最大検知速度Vmaxが第1速度V1よりもやや大きくなるように、第1速度V1に応じてN2を算出する。これにより、一意に確定され、且つ、第1速度V1よりも高い速度分解能Vresを実現する第2速度V2を算出し、第2速度V2を速度V0に確定する点で、第1実施形態と相違する。
[0041]
 <2-1.速度検出処理>
 次に、本実施形態に係る物体の速度を検出する処理手順について、図11のフローチャートを参照して説明する。本処理手順は、信号処理部20が所定数のチャープ波を送受信する都度実行する。
[0042]
 まず、S100~S140では、S10~S50と同様の処理を行う。
 続いて、S150では、算出された第1速度V1の大きさよりも第2速度V2の最大検知速度Vmaxが大きく、且つ、第1速度V1の大きさと第2速度V2の最大検知速度Vmaxの大きさとの差が、差分閾値未満になるように、第2観測数であるN2を算出する。差分閾値は、予め設定された値でもよいし、第1速度V1の大きさに応じて設定された値、例えば、第1速度V1の大きさの10%程度でもよい。差分閾値は、計算負荷を抑制するために、十分に小さい値に設定される。なお、複数の物体が検出され、各物体の第1速度V1が検出されている場合には、最も大きい第1速度V1の大きさと第2速度V2の最大検知速度Vmaxの大きさとの差が、差分閾値未満になるようにN2を算出する。
[0043]
 詳しくは、式(1)から、最大検知速度Vmaxが、第1速度V1+αとなるように、チャープ周期Tcy2を算出する。そして、観測時間Tup2とチャープ周期Tcy2とから、N2を算出する。これにより、図12に示すように、N2は変動する値となる。
[0044]
 続いて、S160では、S60と同様にして、観測時間Tup2におけるビート信号に対応する距離スペクトラムから、S150で算出したN2個を用いて、N2個の距離スペクトラムを抽出する。
[0045]
 続いて、S170では、S70と同様にして、第2速度スペクトラムを算出する。そして、第2速度スペクトラムからピークを抽出し、抽出したピークの速度BINから第2速度V2を算出する。ここで算出された第2速度V2は、一意に確定され、第1速度V1よりも高い速度分解能Vresで表された速度である。
[0046]
 続いて、S180では、S170で算出した第2速度V2を、物体の計測速度である速度V0として確定する。以上で、本処理を終了する。
 <2-3.効果>
 以上説明した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1)~(4)に加え、以下の効果が得られる。
[0047]
 (5)第1信号処理部40により算出された第1速度V1の大きさよりも、第2速度V2の最大検知速度Vmaxの大きさが大きく、且つ、第1速度V1の大きさと第2速度V2の最大検知速度Vmaxの大きさとの差が差分閾値未満となるように、N2が算出される。これにより、一意に確定される第2速度V2を算出するために、必要最小限のN2を算出することができる。そして、算出されたN2個のビート信号からは、一意に確定される第2速度V2を算出することができる。よって、信号処理部20の計算負荷を抑制しつつ、高分解能な第2速度V2を一意に算出することができる。
[0048]
 (他の実施形態)
 以上、本開示を実施するための形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
[0049]
 (a)上記第1実施形態では、第2観測数であるN2が予め設定されていたが、本開示はこれに限定されるものではない。第1実施形態でも、第2実施形態と同様に、第2信号処理部50が第2観測数算出部53の機能を備え、N2を可変に算出してもよい。例えば、第2観測数算出部53は、予め設定された演算時間の中で、第2速度スペクトラムの算出が可能となるように、N2を算出してもよい。
[0050]
 このようにすることで、信号処理部20をカメラ装置などの他のシステムと共有している場合に、信号処理部20の全体的な負荷に応じたN2を算出することができる。例えば、他のシステムによる信号処理部20の計算負荷が増加した場合には、N2を減少させて、第2速度スペクトラムの算出を速くすることができる。また、他のシステムによる信号処理部20の計算負荷が減少した場合には、N2を増加させて、チャープ周期Tcy2を短くし、第2速度V2の最大検知速度Vmaxを大きくすることができる。
[0051]
 (b)上記各実施形態では、観測時間Tup1の終了時点と観測時間Tup2の終了時点が一致していたが、ずれていてもよい。例えば、処理サイクルの1/3ずつずれていてもよい。ただし、2つの観測時間の終了時点のずれは、処理サイクルの半分以下とする。
[0052]
 (c)上記各実施形態では、周波数解析としてFFT処理を実行しているが、FFT処理以外の周波数解析を実行してもよい。
 (d)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
[0053]
 (e)上述したレーダ装置の他、当該レーダ装置を構成要素とするシステム、速度検出装置、当該速度検出装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体、速度検出方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。

請求の範囲

[請求項1]
 周波数が連続的に増加または減少するチャープ波を繰り返し送受信して、ビート信号を繰り返し生成するように構成されたビート信号生成部(30)と、
 前記ビート信号生成部により生成された前記ビート信号を、設定された第1観測時間の間、設定された第1観測数だけ観測し、前記第1観測数の前記ビート信号の時系列で検出される周波数成分の位相回転から、第1速度を算出するように構成された第1信号処理部(40)と、
 前記ビート信号生成部により生成された前記ビート信号を、第2観測時間の間、第2観測数だけ観測し、前記第2観測数の前記ビート信号の時系列で検出される周波数成分の位相回転から、第2速度を算出するように構成された第2信号処理部(50)であって、前記第2観測時間は前記第1観測時間よりも長く設定された観測時間であり、前記時間比は前記第1観測時間に対する前記第2観測時間の比であり、前記第2観測数は前記第1観測数に前記時間比を乗じた数よりも小さい数である、第2信号処理部と、
 前記第1信号処理部により算出された前記第1速度を用いて、前記第2信号処理部が実現する分解能で表された速度の計測結果を一意に確定するように構成された速度確定部(60)と、
 を備える、レーダ装置。
[請求項2]
 前記速度確定部は、前記第2信号処理部により算出された前記第2速度の折り返しを考慮して求められた複数の速度のうち、前記第1信号処理部により算出された前記第1速度と最も近い速度を、前記計測結果に確定するように構成されている、
 請求項1に記載のレーダ装置。
[請求項3]
 前記第2信号処理部は、
 前記第1信号処理部により検出された前記第1速度の大きさよりも、前記第2速度の最大検知速度の大きさが大きく、且つ、前記第1速度の大きさと前記第2速度の最大検知速度の大きさとの差が差分閾値未満となるように、前記第2観測数を算出するように構成された第2観測数算出部(53)を備え、
 前記速度確定部は、前記第2信号処理部により算出された前記第2速度を前記計測結果に確定するように構成されている、
 請求項1に記載のレーダ装置。
[請求項4]
 前記第1信号処理部は、
 前記第1観測数の前記ビート信号のそれぞれに対して周波数解析を行い、距離情報を表す前記第1観測数の距離スペクトラムを算出するように構成された距離スペクトラム算出部(41)と、
 前記距離スペクトラム算出部により算出された前記距離スペクトラムに対して、距離成分ごとに周波数解析を行い、速度情報を表す第1速度スペクトラムを算出するように構成された第1速度スペクトラム算出部(42)と、を備え、
 前記第2信号処理部は、
 今回の処理サイクルにおいて前記距離スペクトラム算出部により算出された前記距離スペクトラムと直近の過去の少なくとも1つ以上の処理サイクルにおいて前記距離スペクトラム算出部により算出された前記距離スペクトラムとから、前記第2観測数の距離スペクトラムを抽出するように構成された距離スペクトラム抽出部(51)と、
 前記距離スペクトラム抽出部により抽出された前記第2観測数の前記距離スペクトラムに対して、距離成分ごとに周波数解析を行い、速度情報を表す第2速度スペクトラムを算出するように構成された第2速度スペクトラム算出部(52)と、を備える、
 請求項1~3のいずれか1項に記載のレーダ装置。
[請求項5]
 前記第1信号処理部は、
 前記距離スペクトラム算出部により算出された前記第1観測数の前記距離スペクトラムと、前記第1速度スペクトラム算出部により算出された前記距離成分ごとの前記第1速度スペクトラムとから、物体を検出するように構成された物体検出部(43)を備え、
 前記第2速度スペクトラム算出部は、前記距離スペクトラム抽出部により抽出された前記第2観測数の前記距離スペクトラムにおいて、前記物体検出部により検出された物体の距離を表す前記距離成分に限って周波数解析を行い、前記第2速度スペクトラムを算出するように構成されている、
請求項4に記載のレーダ装置。
[請求項6]
 前記第2信号処理部は、前記第2観測数を算出する第2観測数算出部(53)を備え、
 前記第2観測数算出部は、設定された演算時間の中で、前記第2速度スペクトラムの算出が可能な前記第2観測数を算出するように構成されている、
 請求項4又は5に記載のレーダ装置。
[請求項7]
 前記第2観測数は、前記ビート信号の観測点の間隔が等間隔となり、且つ、前記第1観測数に1/(2n)(nは正の整数)を乗じた数となっている、
 請求項1~6のいずれか1項に記載のレーダ装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]